JP2023078540A - 空孔形成用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】空孔の形成が容易で、空孔径の均一性に優れ、空孔の分散性が高い、空孔形成用組成物を提供することを目的とする。【解決手段】アルカリ可溶性重合体粒子と樹脂を含む空孔形成用組成物であって、25℃における該重合体粒子と該樹脂との接触角の絶対差が、10°~55°である空孔形成用組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、空孔形成用組成物に関する。
従来、各種マトリクス、例えば、多孔質セラミック成型体を作製する際の空孔形成剤として、中空粒子や樹脂粒子が利用されている(例えば、特許文献1、2)。
中空粒子の場合は、粒子の強度が低いため、例えば各種マトリクスと混錬する際に粒子が潰れ、空孔率が低下する課題があった。樹脂粒子の場合は、高温、長時間条件下であっても十分な分解・除去ができないため空孔が形成され難い問題があった。
よって、本発明は、容易に空孔を形成し、形成された空孔の均一性も高い、空孔形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成する為に種々検討を行ない、本発明に想到した。すなわち本開示の空孔形成用組成物は、アルカリ可溶性重合体粒子と樹脂を含む空孔形成用組成物であって、25℃における該重合体粒子と該樹脂との接触角の絶対差が、10°~55°である空孔形成用組成物である。
本開示の空孔形成用組成物は、空孔を容易に形成でき、形成された空孔径の均一性や空孔の分散性を発現する。よって、繊維、セラミック、塗膜、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、各種フィルムなどの各種分野への応用が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[アルカリ可溶性重合体粒子]
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子(以下、空孔形成剤という場合がある)とは、アルカリ溶液と親和性を有する官能基を含む重合体粒子である。アルカリ溶液と親和性を有する官能基とは、アルカリ溶液と相互作用する官能基のことである。
[アルカリ可溶性重合体粒子]
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子(以下、空孔形成剤という場合がある)とは、アルカリ溶液と親和性を有する官能基を含む重合体粒子である。アルカリ溶液と親和性を有する官能基とは、アルカリ溶液と相互作用する官能基のことである。
アルカリ溶液と親和性を有する官能基としては、例えば、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びこれらの塩構造を有する基、エポキシ基、ポリオキシエチレン基等が挙げられる。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子は、アルカリ溶液に溶解することが出来ればよい。
アルカリ溶液とは、アルカリ化合物と溶媒を含む溶液である。
アルカリ溶液とは、アルカリ化合物と溶媒を含む溶液である。
アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソピルアルコール、ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類等が挙げられる。
アルカリ溶液として、好ましくは、アルカリ水溶液である。具体的には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、アンモニア水溶液が挙げられる。より好ましくは、水酸化ナトリウム水溶液である。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子は、アルカリ溶液に溶解できる温度に特に限定されないが、90℃といった高い温度だけでなく、25℃といった温度においても、高い溶解度を有する。
アルカリ溶液のpHは、好ましくはpH7.5~14であることが好ましく、より好ましくはpH8.5~14であり、さらに好ましくは、pH9.0~14である。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子とアルカリ溶液を含むアルカリ分散液のpHは、pH7.0~14であることが好ましく、より好ましくは、pH7.2~13であり、さらに好ましくは、pH7.5~13である。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子を5質量%の濃度で含むアルカリ分散液のヘイズは、10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。一方、0.01%以上であることが好ましく、より好ましくは、0.05%以上であり、さらに好ましくは、0.1%以上である。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子を5質量%の濃度で含むアルカリ分散液の全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子の体積平均粒子径は、10nm以上であること好ましく、より好ましくは、50nm以上であり、さらに好ましくは100nm以上である。一方、10μm以下であること好ましく、より好ましくは、5μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。空孔径の均一性を向上させる傾向にある。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子の体積平均粒子径は、たとえば動的光散乱法により測定することができる。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子の25℃における水に対する接触角は、10°以上であることが好ましく、より好ましくは15°以上であり、さらに好ましくは20°以上である。一方、110°以下であることが好ましく、より好ましくは100°以下であり、さらに好ましくは95°以下である。
<エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位>
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子は、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子は、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する。
エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位とは、単量体が重合して形成される構造と同じ構造を有する構造単位を言い、通常は、単量体に含まれる炭素炭素不飽和二重結合の少なくとも1つが、炭素炭素単結合に置き換わった構造である。なお、単量体に由来する構造単位は、実際に単量体が重合することにより形成された構造単位である必要は無く、単量体が重合して形成される構造と同じ構造であれば、単量体が重合する以外の方法で形成された構造単位であっても、単量体に由来する構造単位に含まれる。例えば、アクリル酸、CH2=CH(-COOH)、であれば、アクリル酸に由来する構造単位は、-CH2-CH(-COOH)-、で表すことができる。
アルカリ溶液と親和性を有する官能基としては、例えは、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びこれらの塩構造を有する基、エポキシ基、ポリオキシエチレン基等が挙げられる。
本開示のエチレン性不飽和単量体には、アルカリ溶液と親和性を有する官能基を1つ有していてもよく、2つ以上有してもよい。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子には、下記一般式(1)に由来する構造単位を含むことが好ましい。
上記R1で表される炭素数1~4のアルキル基は、炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)であることがより好ましい。
R1で表されるアルカリ金属原子は、リチウム、ナトリウム、カリウムが好ましく、ナトリウム、カリウムがより好ましく、ナトリウムがより更に好ましい。
R1で表されるアルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。
R1で表されるアンモニウムとは、NH4+に限られず、有機アンモニウムを含む意味であると定義される。有機アンモニウムとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウムなどの4級アンモニウム;アミンをプロトン化することによって形成されるアンモニウム(1~3級アンモニウム)などが挙げられる。R1としては、アンモニア又はアミンのプロトン化によって形成されるアンモニウムが好ましい。前記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン(好ましくはトリC1-10アルキルアミン);ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのヒドロキシアルキルアミン(好ましくはジ又はトリ(ヒドロキシC1-10アルキル)アミンなど)などが挙げられ、ヒドロキシアルキルアミンが好ましい。
上記一般式(1)で表される構造単位は、下記一般式(2)で表される単量体が重合反応を経由することにより形成されても良いが、他の方法で形成されても良い。例えば、一般式(2)において、R1が炭素数1~4のアルキル基である単量体を重合し、加水分解をすることにより、上記一般式(1)においてR1がアルカリ金属の構造単位、アルカリ土類金属の構造単位、またはアンモニウムの構造単位を形成しても良い。
なお、上記一般式(2)において、R1は、1種であってもよく、2種以上であっても良い。R1が2種以上の場合、2種以上の上記一般式(2)で表される単量体を重合して形成してもよく、R1が炭素数1~4のアルキル基である上記一般式(2)で表される単量体を重合した後に、エステル基を部分加水分解したり、2種以上の塩基性物質で加水分解することにより形成しても良い。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子は、そのうち少なくとも一部が加水分解されていることが好ましい。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子の少なくとも一部が加水分解されているとは、重合体が、部分加水分解物、完全加水分解物、これらの加水分解中和物のいずれかであることを意味する。例えば、アクリル酸メチル、CH2=CH(-COO―CH3)であれば、部分加水分解物とは、CH2=CH(-COO―CH3)とCH2=CH(-COO―H)に由来する構造単位との両方を含む。 本開示のアルカリ可溶性重合体粒子には、アルカリ可溶性重合体粒子の総量に対し、上記一般式(1)で表される構造単位を40質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことがより好ましく、60質量%以上含むことがさらに好ましく、70質量%以上含むことがよりさらに好ましく、80質量%以上含むことが特に好ましく、90質量%以上含むことが最も好ましい。一方、99.9質量%以下であることが好ましく、99質量%以下含むことがより好ましく、97質量%以下含むことがさらに好ましく、95質量%以下含むことが最も好ましい。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子は、多層構造を有していてもよく、例えばコア部とその表面に設けられたシェル部で構成されるコアシェル粒子であってもよい。
本開示のアルカリ可能性重合体粒子が多層構造を有する場合には、最外殻の層における組成が上記範囲であることが好ましい。
本開示のアルカリ可能性重合体粒子が多層構造を有する場合には、最外殻の層における組成が上記範囲であることが好ましい。
上記範囲で含むことにより、pHや親水性などを調整することができるため、本開示の空孔形成用組成物は、空孔を容易に形成でき、形成された空孔の均一性も高い傾向にある。
<その他単量体に由来する構造単位>
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子には、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位以外の単量体に由来する構造単位(以下、「その他の単量体に由来する構造単位」ともいう)を1種または2種以上含んでいても良い。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子には、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位以外の単量体に由来する構造単位(以下、「その他の単量体に由来する構造単位」ともいう)を1種または2種以上含んでいても良い。
その他単量体としては、特に限定されず、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルヒドロキシシランなどのシラン基含有単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル等の窒素原子含有単量体;エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどのオキソ基含有単量体;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-(メタ)アクリレート等の光安定化単量体;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体、ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体などの紫外線吸収性単量体、多官能エチレン性不飽和単量体などが例示される。
多官能エチレン性不飽和単量体としては、エチレン性の炭素炭素二重結合を2または3以上含む化合物であれば、特に制限されないが、例えば、CH2=CH-基、CH2=CH-O-基、CH2=CH-CH2-O-基、CH2=C(CH3)-CH2-O-基、CH2=CH-CH2-CH2-O-基、CH2=C(CH3)-CH2-CH2-O-基、CH2=CH-CO-O-基、CH2=C(CH3)-CO-O-基、CH2=CH-CO-NH-基、から選択される1種または2種以上のエチレン性の炭素炭素二重結合を2または3以上含む化合物が例示される。
多官能エチレン性不飽和単量体としては、分子量が50以上、1000以下であることが好ましく、100以上、400以下であることがより好ましい。
多官能エチレン性不飽和単量体に特に制限はないが、造孔時のハンドリング性や、形成された空孔の均一性の観点から、多官能エチレン性不飽和単量体1分子に含まれるエチレン性不飽和基の数n個(nは2以上の整数)に対して、n-1個以上がCH2=CH-CO-O-基又はCH2=CH-CO-NH-基である多官能エチレン性不飽和単量体(以下、「加水分解性多官能エチレン性不飽和単量体」とも言う)であることが好ましい。
多官能エチレン性不飽和単量体としては、例えば、多官能アクリル酸エステル、N、N’-メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。
多官能アクリル酸エステルとしては、具体的には、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、アクリル変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子には、加水分解性多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を1種又は2種以上含んでいても良い。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子は、加水分解性多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を、0.01質量%以上含むことが好ましく、0.1質量%以上含むことがより好ましく、0.5質量%以上含むことがさらに好ましく、2質量%以上含むことがよりさらに好ましく、5質量%以上含むことが特に好ましい。一方、本開示のアルカリ可溶性重合体粒子は、加水分解性多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を、60質量%以下含むことが好ましく、50質量%以下含むことがより好ましく、40質量%以下含むことがさらに好ましく、20質量%以下含むことがよりさらに好ましく、10質量%以下含むことが特に好ましい。
その他単量体に由来する構造単位とは、その他単量体の少なくとも一つの炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造単位を表す。例えば、エチレングリコールジアクリレート、CH2=CH-CO-O-CH2CH2O-CO-CH=CH2、であれば、エチレングリコールジアクリレート由来の構造単位は、例えば、-CH2-CH-CO-O-CH2CH2O-CO-CH-CH2-、で表すことができる。その他単量体由来の構造単位は、例えば、その他単量体をラジカル重合することにより形成することができる。なお、その他単量体由来の構造単位は、その他単量体の炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造と同じ構造であればよく、その他単量体が重合することにより形成された構造単位に限定されず、例えば重合後の反応により形成された構造単位であってもよい。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子にはその他の単量体に由来する構造単位を、0.01質量%以上含むことが好ましく、0.1質量%以上含むことがより好ましく、1質量%以上含むことがさらに好ましく、2質量%以上含むことがよりさらに好ましく、5質量%以上含むことが特に好ましい。一方、本開示のアルカリ可溶性重合体粒子には、その他の単量体に由来する構造単位を、60質量%以下含むことが好ましく、40質量%以下含むことがより好ましく、20質量%以下含むことがさらに好ましく、15質量%以下含むことがよりさらに好ましく、10質量%以下含むことが特に好ましい。
[アルカリ可溶性重合体粒子の製造方法]
<重合方法>
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子は、エチレン性不飽和単量体として、例えば、上記式(2)で表される単量体、必要に応じてその他単量体を含有する単量体成分を、水系溶媒中で重合させた後、部分的に又は完全に加水分解された重合体を製造することにより得られる。
<重合方法>
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子は、エチレン性不飽和単量体として、例えば、上記式(2)で表される単量体、必要に応じてその他単量体を含有する単量体成分を、水系溶媒中で重合させた後、部分的に又は完全に加水分解された重合体を製造することにより得られる。
重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、分散重合等が挙げられる。中でも、乳化剤の存在下、上記原料単量体成分を反応溶媒に分散させて(ラジカル)重合反応を行う乳化重合が好ましく、具体的には、本発明の重合体の製造方法としては、乳化剤の存在下、式(2)で示される単量体の少なくとも1種を水系溶媒に分散させて重合反応を行う乳化重合を含むことが好ましい。乳化重合は、1段階のみで行ってもよく多段階で行ってもよい。
前記乳化剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、非反応型界面活性剤であっても、ラジカル重合可能な基を構造中に有する反応型界面活性剤であってもよい。
非反応型界面活性剤には、アニオン性、ノニオン性の界面活性剤が包含される。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル(アリル)スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸塩等が挙げられ、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
反応型界面活性剤には、アニオン性、ノニオン性の界面活性剤が包含される。アニオン性反応型界面活性剤としては、エーテルサルフェート型反応型界面活性剤、リン酸エステル系反応型界面活性剤が挙げられるが、これに限定されない。
乳化剤は、原料単量体成分の合計100質量部に対して、0.05質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。
本開示において、水系溶媒とは、水単独、または水と水混和性有機溶媒との混合溶媒が挙げられるが、水単独であることが好ましい。水系溶媒とは、典型的には、水の含有量が50体積%を超える溶媒を指す。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、蒸留水、純水等を用いることができる。水混和性有機溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール等)を用いることができる。重合体中に有機溶媒が極力残存しないようにする観点から、水系溶媒の80体積%以上が水である水系溶媒が好ましく、水系溶媒の90体積%以上が水である水系溶媒がより好ましく、水系溶媒の95体積%以上が水である水系溶媒がさらに好ましく、実質的に水からなる水系溶媒(99.5体積%以上が水である水系溶媒)が特に好ましく、水単独であることが最も好ましい。
原料単量体成分を重合する際には、例えば、重合開始剤、紫外線や放射線の照射、熱の印加等の手段が用いられ、重合開始剤を使用することが好ましく、原料単量体成分を効率よく反応させ、残存するモノマーを十分に低減させる観点から、酸化剤及び還元剤を組み合わせた重合開始剤(レドックス型重合開始剤)が好ましい。
<加水分解方法>
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子の加水分解は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、アンモニア水溶液、シクロヘキシルアミン水溶液等の塩基性水溶液を添加することで加水分解を行うことができる。
本開示のアルカリ可溶性重合体粒子の加水分解は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、アンモニア水溶液、シクロヘキシルアミン水溶液等の塩基性水溶液を添加することで加水分解を行うことができる。
加水分解に用いるアルカリ水溶液としては、pHが7.0以上、14以下であることが好ましい。アルカリ溶液の濃度としては、0.1重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。アルカリの使用量としては、単量体に由来する構造単位の総量に対し、0.01モル以上、200モル以下であることが好ましい。さらに、加水分解液に適宜酸を添加することで、部分中和又は完全中和を行うことができる。加水分解及び中和を行うことで、式(1)のR1に該当する基を水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ金属原子またはアンモニウムにできる。重合時、加水分解時、及び中和時に用いる酸や塩基の量を調整したり、R1が水素原子である単量体単位の割合を調整することで、重合体のpHや親水性を調整することができ、造孔時の操作性や、形成された空孔の均一性を向上させることができる。
[本開示の空孔形成用組成物]
本開示の空孔形成用組成物には、本開示のアルカリ可溶性重合体粒子を含む。本開示の空孔形成用組成物における本開示のアルカリ可溶性重合体粒子の含有量は、1質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。一方、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。上記範囲に含むことにより、空孔を容易に形成することができる傾向にある。
本開示の空孔形成用組成物には、本開示のアルカリ可溶性重合体粒子を含む。本開示の空孔形成用組成物における本開示のアルカリ可溶性重合体粒子の含有量は、1質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。一方、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。上記範囲に含むことにより、空孔を容易に形成することができる傾向にある。
本開示の空孔形成用組成物には、樹脂を含む。樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、PTFE等の熱可塑性樹脂;ポリ乳酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート樹脂、ポリカプロラクト樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネートテレフタレート樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ケイ素樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。水に分散したエマルジョン樹脂であってもよい。エマルジョン樹脂として、例えば、アクリルエマルジョン樹脂などが挙げられる。具体的には、(株)日本触媒製、商品名:ユーダブルなどが挙げられる。空孔径の均一性の観点から、ポリエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。具体的には、三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスター、東洋紡績(株)製、商品名:バイロナール、高松油脂(株)、商品名:ぺスレジン、互応化学工業(株)製、商品名:プラスコートなどが挙げられる。
本開示の樹脂の25℃における水に対する接触角は、10°以上であることが好ましく、より好ましくは15°以上であり、さらに好ましくは20°以上である。一方、110°以下であることが好ましく、より好ましくは100°以下であり、さらに好ましくは95°以下である。
本開示の空孔形成用組成物は、本開示の樹脂を20質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上である。一方、99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは95質量%以下であり、さらに好ましくは90質量%以下である。
本開示の空孔形成用組成物には、アルカリ可溶性重合体粒子および樹脂以外にその他成分を含んでいてもよい。その他成分としては、溶剤、分散剤、増粘剤、成膜助剤、湿潤剤、増粘剤、pH調整剤、安定化剤、界面活性剤、接着促進剤、充填剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、顔料などが挙げられる。
溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソピルアルコール、ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2-ジメチルエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。
本開示の空孔形成用組成物は、上記アルカリ可溶性重合体粒子と樹脂との25℃における接触角の絶対差は、10°以上であることが好ましく、より好ましくは15°以上であり、さらに好ましくは20°以上である。一方、55°以下であることが好ましく、より好ましくは50°以下であり、さらに好ましくは45°以下である。空孔が形成され易く、形成された空孔の均一性や分散性が向上する傾向にある。
[本開示の空孔形成方法]
本開示の空孔形成用組成物は、例えば、繊維などの各種マトリックスに添加後、例えばアルカリで処理することにより、温和な条件でマトリックスに空孔を形成することができる。
本開示の空孔形成用組成物は、例えば、繊維などの各種マトリックスに添加後、例えばアルカリで処理することにより、温和な条件でマトリックスに空孔を形成することができる。
各種マトリックスに、本開示の空孔形成用組成物を添加する方法は限定されないが、例えば繊維などに本開示の空孔形成用組成物を溶融混合する方法や、本開示の空孔形成用組成物と繊維とを含む溶剤を塗工などした後に溶剤を乾燥除去する方法が例示される。
アルカリで処理する方法(「アルカリ洗浄工程」とも言う)は特に限定されない。例えば、アルカリ溶液と本開示の空孔形成用組成物を含むマトリックスとを接触させることにより実施することが好ましいが、アルカリ溶液と、本開示の空孔形成用組成物と繊維とを含む溶剤とを接触させることにより実施しても良い。
アルカリ処理工程は、室温、加熱、冷却のいずれの条件下で実施しても良いが、40℃以下で実施することが好ましい。アルカリ処理工程は、常圧下、加圧下、減圧下、のいずれで実施しても良い。
アルカリ処理工程で使用するアルカリ成分としては、無機塩基でも、有機塩基でも良い。アルカリ溶液としては、例えば水溶液の場合であれば、pHが7.0以上、14以下であることが好ましい。アルカリ溶液の濃度としては、0.1重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。アルカリの使用量としては、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位に対し、0.01モル以上、200モル以下であることが好ましい。
本開示の空孔形成方法は、アルカリ洗浄工程を必須とすることが好ましいが、本開示の重合体等の添加工程、水洗工程、溶剤洗浄工程等、任意の工程をさらに含んでいても良い。
[本開示の空孔形成用組成物の用途]
本発明で用いられる空孔形成用組成物の用途は限定されず、空孔径の均一性や空孔の分散性を達成できることから、繊維、セラッミク、塗膜、各種フィルム、固体燃料電池、二次電池用セパレータ、触媒担体、断熱材料、低反射材料などの各種分野への応用が可能となる。
本発明で用いられる空孔形成用組成物の用途は限定されず、空孔径の均一性や空孔の分散性を達成できることから、繊維、セラッミク、塗膜、各種フィルム、固体燃料電池、二次電池用セパレータ、触媒担体、断熱材料、低反射材料などの各種分野への応用が可能となる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<体積平均粒子径>
重合体分散体をイオン交換水で希釈したものを光散乱粒度分布測定機(スペクトリス社製「Zetasizer Ultra」)を用いて測定して、動的光散乱法により重合体の体積平均粒子径(nm)を求めた。
重合体分散体をイオン交換水で希釈したものを光散乱粒度分布測定機(スペクトリス社製「Zetasizer Ultra」)を用いて測定して、動的光散乱法により重合体の体積平均粒子径(nm)を求めた。
<アルカリ可溶性評価>
重合体水分散体10質量部に対し、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を3質量部添加し、混合後の重合体粒子の固形分が5質量%となるようにイオン交換水を加え、スターラーチップで十分に攪拌した。ヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH7000」)を用いて、攪拌後の溶液の全光線透過率(%)およびヘイズ(%)を測定し、以下の判定基準によりアルカリ可溶性を評価した。尚、測定はイオン交換水のみで測定した際の数値をブランク(全光線透過率:100%、ヘイズ:0.0%)として算出した。
〇:全光線透過率が80%以上、かつヘイズ10%以下
×:全光線透過率が80%未満、もしくはヘイズが10%より高い
重合体水分散体10質量部に対し、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を3質量部添加し、混合後の重合体粒子の固形分が5質量%となるようにイオン交換水を加え、スターラーチップで十分に攪拌した。ヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH7000」)を用いて、攪拌後の溶液の全光線透過率(%)およびヘイズ(%)を測定し、以下の判定基準によりアルカリ可溶性を評価した。尚、測定はイオン交換水のみで測定した際の数値をブランク(全光線透過率:100%、ヘイズ:0.0%)として算出した。
〇:全光線透過率が80%以上、かつヘイズ10%以下
×:全光線透過率が80%未満、もしくはヘイズが10%より高い
<アルカリ可溶性粒子接触角>
乾燥させたアルカリ可溶性粒子を25mm×75mmのスライドガラス上に貼付した両面テープ上に単層に隙間なくのせ、その後エアースプレーで余分な粒子を除去した。これにより、両面テープ上にアルカリ可溶性粒子を固定化した。粒子が隙間なく固定化されていることをマイクロスコープで確認し、測定用の試料とした。試料の大きさは縦、横それぞれ20mm程度である。自動接触角計(協和界面科学社製、「CA-X」)を用いて、25℃の条件下、純水1μLの液滴を作製し、測定用試料に着液させ、接触角をθ/2法により算出した。なお、着液後0.5秒後の接触角値を測定値とし、5回測定を行い、最大値と最小値の2点を除く3点の平均値を、アルカリ可溶粒子の接触角とした。
乾燥させたアルカリ可溶性粒子を25mm×75mmのスライドガラス上に貼付した両面テープ上に単層に隙間なくのせ、その後エアースプレーで余分な粒子を除去した。これにより、両面テープ上にアルカリ可溶性粒子を固定化した。粒子が隙間なく固定化されていることをマイクロスコープで確認し、測定用の試料とした。試料の大きさは縦、横それぞれ20mm程度である。自動接触角計(協和界面科学社製、「CA-X」)を用いて、25℃の条件下、純水1μLの液滴を作製し、測定用試料に着液させ、接触角をθ/2法により算出した。なお、着液後0.5秒後の接触角値を測定値とし、5回測定を行い、最大値と最小値の2点を除く3点の平均値を、アルカリ可溶粒子の接触角とした。
<樹脂接触角>
透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」と称する、東洋紡社製、コスモシャインA4300 縦:297mm、横:210mm、厚さ:0.100mm)に、樹脂を塗工後の膜厚が50μmとなるようにバーコーターで塗布し、送風定温恒温器(ヤマト科学社製「DNF400」)にて100℃10分間乾燥して、塗膜を得た。自動接触角計(協和界面科学社製、「CA-X」)を用いて、25℃の条件下、純水1μLの液滴を作製し、得られた塗膜表面に着液させ、接触角をθ/2法により算出した。なお、着液後30秒後の接触角値を測定値とし、5回測定を行い、最大値と最小値の2点を除く3点の平均値を、樹脂の接触角とした。
透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」と称する、東洋紡社製、コスモシャインA4300 縦:297mm、横:210mm、厚さ:0.100mm)に、樹脂を塗工後の膜厚が50μmとなるようにバーコーターで塗布し、送風定温恒温器(ヤマト科学社製「DNF400」)にて100℃10分間乾燥して、塗膜を得た。自動接触角計(協和界面科学社製、「CA-X」)を用いて、25℃の条件下、純水1μLの液滴を作製し、得られた塗膜表面に着液させ、接触角をθ/2法により算出した。なお、着液後30秒後の接触角値を測定値とし、5回測定を行い、最大値と最小値の2点を除く3点の平均値を、樹脂の接触角とした。
<空孔形成評価>
(光学特性評価)
ヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH7000」)を用いて、アルカリ処理前後の成膜試料のヘイズ(%)を評価した。アルカリ処理前後におけるヘイズ値の差を算出し、以下の基準により空孔の有無を定量的に評価した。
○:ヘイズ値差が0.5%以上
×:ヘイズ値差が0.5%未満
(空孔径評価)
成膜試料を切り出し、塗膜が形成されている面を上向きに試料台に貼り、評価用サンプルとした。電子顕微鏡(日本電子社製「JSM-7600FA」)にて当該サンプルの膜形状の観察を行った。得られた顕微鏡画像を目視にて以下の基準により定性的に評価した。
3:アルカリ可溶粒子サイズに応じた空孔が存在する。
2:アルカリ可溶粒子サイズよりも小さい、もしくは変形した空孔が一部存在する。
1:アルカリ可溶粒子サイズに応じた空子が形成されていない。
(空孔頻度評価)
前記空孔径評価にて得られた顕微鏡画像を目視にて以下の基準により、空孔の分散性を定性的に評価した。
2:球形空孔が多数存在する。
1:球形空孔が少ない。
(総合評価)
前記空孔径評価、ならびに空孔頻度評価の判定値を合計し、以下の基準により成膜試料の空孔形成性を総合評価した。
◎:判定値合計が4以上
〇:判定値合計が3
×:判定値合計が2
(光学特性評価)
ヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH7000」)を用いて、アルカリ処理前後の成膜試料のヘイズ(%)を評価した。アルカリ処理前後におけるヘイズ値の差を算出し、以下の基準により空孔の有無を定量的に評価した。
○:ヘイズ値差が0.5%以上
×:ヘイズ値差が0.5%未満
(空孔径評価)
成膜試料を切り出し、塗膜が形成されている面を上向きに試料台に貼り、評価用サンプルとした。電子顕微鏡(日本電子社製「JSM-7600FA」)にて当該サンプルの膜形状の観察を行った。得られた顕微鏡画像を目視にて以下の基準により定性的に評価した。
3:アルカリ可溶粒子サイズに応じた空孔が存在する。
2:アルカリ可溶粒子サイズよりも小さい、もしくは変形した空孔が一部存在する。
1:アルカリ可溶粒子サイズに応じた空子が形成されていない。
(空孔頻度評価)
前記空孔径評価にて得られた顕微鏡画像を目視にて以下の基準により、空孔の分散性を定性的に評価した。
2:球形空孔が多数存在する。
1:球形空孔が少ない。
(総合評価)
前記空孔径評価、ならびに空孔頻度評価の判定値を合計し、以下の基準により成膜試料の空孔形成性を総合評価した。
◎:判定値合計が4以上
〇:判定値合計が3
×:判定値合計が2
[重合体の合成]
<製造例A1>
攪拌機、温度計および冷却機を備えたステンレス製の反応釜に、脱イオン水832.0質量部およびアニオン性反応型界面活性剤アデカリアソープSR-20(有効成分100質量%、ADEKA社製)をイオン交換水で有効成分25.0質量%に希釈したもの(以下、「SR-20(有効成分25.0質量%)」という)を0.96質量部加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。他方、上記反応釜とは異なる容器で、2-ヒドロキシメチルメタクリル酸メチル(以下「RHMA」と称する)180.0質量部とトリエチレングリコールジアクリレート(以下「3EG-A」と称する)20.0質量部を混合して、単量体組成物200.0質量部を調製した。
<製造例A1>
攪拌機、温度計および冷却機を備えたステンレス製の反応釜に、脱イオン水832.0質量部およびアニオン性反応型界面活性剤アデカリアソープSR-20(有効成分100質量%、ADEKA社製)をイオン交換水で有効成分25.0質量%に希釈したもの(以下、「SR-20(有効成分25.0質量%)」という)を0.96質量部加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。他方、上記反応釜とは異なる容器で、2-ヒドロキシメチルメタクリル酸メチル(以下「RHMA」と称する)180.0質量部とトリエチレングリコールジアクリレート(以下「3EG-A」と称する)20.0質量部を混合して、単量体組成物200.0質量部を調製した。
上記反応釜内を窒素ガスで置換した後、上記単量体組成物40.0質量部、過酸化水素水(過酸化水素濃度1.28質量%)21.0質量部、およびL-アスコルビン酸水溶液(L-アスコルビン酸濃度1.90質量%)21.0質量部を上記反応釜内に添加して、初期重合反応を行った。次いで、上記単量体組成物の残部160.0質量部、過酸化水素水(過酸化水素濃度0.22質量%)479.0質量部、およびL-アスコルビン酸水溶液(L-アスコルビン酸濃度0.33質量%)479.0質量部とSR-20(有効成分25.0質量%)7.04質量部との混合組成物486.04質量部を、各々異なる投入口より反応釜へ4時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、内温を85℃まで昇温し、同温度で2時間保持して熟成した後、反応溶液を冷却して、重合体(1)が分散した重合体水分散体(1a)を得た。
<製造例A2>
製造例A1記載の単量体組成物をRHMA180.0質量部と3EG-A 20.0質量部から、RHMA170.0質量部と3EG-A 20.0質量部とノルマルブチルアクリレート(以下「BA」と称する)10.0質量部に変更した以外は製造例A1と同様にして、重合体(2)が分散した重合体水分散体(2a)を得た。
製造例A1記載の単量体組成物をRHMA180.0質量部と3EG-A 20.0質量部から、RHMA170.0質量部と3EG-A 20.0質量部とノルマルブチルアクリレート(以下「BA」と称する)10.0質量部に変更した以外は製造例A1と同様にして、重合体(2)が分散した重合体水分散体(2a)を得た。
<製造例A3>
攪拌機、温度計及び冷却機を備えたステンレス製の第1の反応釜に、脱イオン水1378質量部、及びエーテルサルフェート型アンモニウム塩を主成分とするアニオン性反応性乳化剤アデカリアソープSR-20(有効成分10質量%)0.96質量部を加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。他方、第1の反応釜とは異なる第2の反応釜で、RHMA120.0質量部と3EG-A 30.0質量部を投入し、単量体組成物A 150質量部を調製した。さらに、第1の反応釜、第2の反応釜とは異なる第3の反応釜で、RHMA45.0質量部と、3EG-A 5.0質量部とを混合して、単量体組成物B 50質量部を調製した。
攪拌機、温度計及び冷却機を備えたステンレス製の第1の反応釜に、脱イオン水1378質量部、及びエーテルサルフェート型アンモニウム塩を主成分とするアニオン性反応性乳化剤アデカリアソープSR-20(有効成分10質量%)0.96質量部を加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。他方、第1の反応釜とは異なる第2の反応釜で、RHMA120.0質量部と3EG-A 30.0質量部を投入し、単量体組成物A 150質量部を調製した。さらに、第1の反応釜、第2の反応釜とは異なる第3の反応釜で、RHMA45.0質量部と、3EG-A 5.0質量部とを混合して、単量体組成物B 50質量部を調製した。
次に、第1の反応釜内を窒素ガスで置換した後、前記単量体組成物A 150質量部、過酸化水素水(濃度3.35質量%)20質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(濃度5.0質量%)20質量部を第1の反応釜内に添加して、初期重合反応を行った。続いて、前記単量体組成物B 50質量部、過酸化水素水(濃度0.83質量%)100質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(濃度1.25質量%)100質量部、SR-20(有効成分10質量%)7.04質量部とアンモニア水溶液(濃度28質量%)0.36質量部とイオン交換水92.6質量%との混合組成物100質量部を、各々異なる投入口より、第1の反応釜へ3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、第1の反応釜の内温を75℃に保持し、同温度で2時間保持して熟成した後、反応溶液を冷却して、重合体(3)が分散した重合体水分散体(3a)を得た。
<製造例A4>
製造例A3記載の単量体組成物BをRHMA 45.0質量部と3EG-A 5.0質量部から、RHMA 45.0質量部とスチレン(以下「St」と称する)5.0質量部に変更した以外は製造例A3と同様にして、重合体(4)が分散した重合体水分散体(4a)を得た。
製造例A3記載の単量体組成物BをRHMA 45.0質量部と3EG-A 5.0質量部から、RHMA 45.0質量部とスチレン(以下「St」と称する)5.0質量部に変更した以外は製造例A3と同様にして、重合体(4)が分散した重合体水分散体(4a)を得た。
[樹脂]
アルカリ可溶粒子と配合する樹脂(C)として、下記のものを使用した。
C-1:三菱ケミカル社製、ニチゴーポリエスターWR-901
C-2:日本触媒社製、ユーダブルEF-015
C-3:互応化学工業社製、プラスコートZ-561
アルカリ可溶粒子と配合する樹脂(C)として、下記のものを使用した。
C-1:三菱ケミカル社製、ニチゴーポリエスターWR-901
C-2:日本触媒社製、ユーダブルEF-015
C-3:互応化学工業社製、プラスコートZ-561
[実施例1]
(塗料用組成物の調製)
樹脂C-1と重合体水分散体(1a)とを固形分で100:20の比率になるように配合した後、スターラーチップで十分に攪拌し、塗膜用組成物を得た。
(成膜試料の調製)
塗膜用組成物を透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」と称する、東洋紡社製、コスモシャインA4300 縦:297mm、横:210mm、厚さ:0.100mm)に、塗工後の膜厚が50μmとなるようにバーコーターで塗布し、送風定温恒温器(ヤマト科学社製「DNF400」)にて100℃10分間乾燥して、塗膜が積層されたPETフィルムを得た。前記PETフィルムを1重量%の水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬させ、アルカリ処理を施し成膜試料を得た。
(塗料用組成物の調製)
樹脂C-1と重合体水分散体(1a)とを固形分で100:20の比率になるように配合した後、スターラーチップで十分に攪拌し、塗膜用組成物を得た。
(成膜試料の調製)
塗膜用組成物を透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」と称する、東洋紡社製、コスモシャインA4300 縦:297mm、横:210mm、厚さ:0.100mm)に、塗工後の膜厚が50μmとなるようにバーコーターで塗布し、送風定温恒温器(ヤマト科学社製「DNF400」)にて100℃10分間乾燥して、塗膜が積層されたPETフィルムを得た。前記PETフィルムを1重量%の水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬させ、アルカリ処理を施し成膜試料を得た。
[実施例2~9、比較例1、2]
配合する樹脂および重合体水分散体の種類を表1に記載のものに変更する以外は、実施例1と同様にして、成膜試料を調製した。
配合する樹脂および重合体水分散体の種類を表1に記載のものに変更する以外は、実施例1と同様にして、成膜試料を調製した。
表1、2の結果から、容易に空孔を形成し、形成された空孔径の均一性や空孔の分散性が高い、空孔形成用組成物を提供することが明らかとなった。
Claims (5)
- アルカリ可溶性重合体粒子と樹脂を含む空孔形成用組成物であって、25℃における該重合体粒子と該樹脂との接触角の絶対差が、10°~55°である空孔形成用組成物。
- 前記アルカリ可溶性重合体粒子の体積平均粒子径が、10nm~10μmである、請求項1に記載の空孔形成用組成物。
- 前記アルカリ可溶性重合体粒子は、該重合体粒子を5質量%含むアルカリ分散液のヘイズが0.01%~10%である、請求項1又は2に記載の空孔形成用組成物。
- 前記アルカリ可溶性重合体粒子が1質量%~80質量%含まれる請求項1~3の何れかに記載の空孔形成用組成物剤。
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