JP2023077651A - コントローラ、制御方法、および制御プログラム - Google Patents

コントローラ、制御方法、および制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ワークの製造品質を低下することを抑制しつつ、空調装置の消費電力を削減することが可能な技術を提供する。【解決手段】工場内には、工場内の温度と工場内の湿度との影響により製造品質が変化するワークを製造するための製造装置が設置されている。コントローラは、工場内の目標温度と工場内の目標湿度と空調装置の消費電力との相関関係を示す消費電力情報を格納するための記憶装置と、消費電力情報に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲の設定を受け付けるための設定受付部と、許容範囲内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを空調装置の設定値として消費電力情報から特定するための特定部と、特定部によって特定された設定値に基づいて、空調装置を制御するための空調制御部とを備える。【選択図】図4

Description

本開示は、コントローラ、制御方法、および制御プログラムに関する。
特開2020-144470号公報(特許文献1)は、「製造現場における加工効率を大きく低下させずに高品位加工レベルにおける機械環境を確立することが可能とする」管理装置を開示している。当該管理装置は、工作機械が高品位加工を行う際に環境変動を低減するように空調装置の動作を制限する。
特開2020-144470号公報
特許文献1に示される管理装置は、環境変動の変化を低減するように空調装置の動作を制限し、ワークの製造品質を維持することを目的としている。一方で、特許文献1は、空調装置の消費電力を低減することに関しては何ら開示していない。したがって、ワークの製造品質を低下することを抑制しつつ、空調装置の消費電力を削減することが可能な技術が望まれている。
本開示の一例では、工場に設置されている空調装置を制御するためのコントローラが提供される。上記工場内には、上記工場内の温度と上記工場内の湿度との影響により製造品質が変化するワークを製造するための製造装置が設置されている。上記コントローラは、上記工場内の目標温度と上記工場内の目標湿度と上記空調装置の消費電力との相関関係を示す消費電力情報を格納するための記憶装置と、上記消費電力情報に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲の設定を受け付けるための設定受付部と、上記許容範囲内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを上記空調装置の設定値として上記消費電力情報から特定するための特定部と、上記特定部によって特定された設定値に基づいて、上記空調装置を制御するための空調制御部とを備える。
本開示の一例では、上記記憶装置は、複数の上記消費電力情報を格納している。複数の上記消費電力情報の各々には、期間が予め対応付けられている。上記特定部は、複数の上記消費電力情報の内から、現在が属する期間に対応する消費電力情報を取得し、当該取得した消費電力情報から上記設定値を特定する。
本開示の一例では、上記製造装置は、工作機械と、半導体製造装置との少なくとも一方を含む。
本開示の一例では、上記コントローラは、さらに、上記設定値に基づいて、上記製造装置における上記ワークの製造に係るパラメータと、上記製造装置における上記ワークの製造に係る加工プログラムとの少なくとも1つを補正するための補正部を含む。
本開示の一例では、上記コントローラは、さらに、所定のデータセットに基づいて、上記消費電力情報を生成するための生成部を備える。上記データセットは、過去の時間別に、当該時間における上記工場外の温度と、当該時間における上記工場外の湿度と、当該時間における上記製造装置の稼働状況と、当該時間における上記工場内の温度と、当該時間において上記工場内の湿度と、当該時間における上記空調装置の負荷情報とを対応付けている。上記時間における上記工場内の温度は、上記空調装置の設定温度と、当該工場内で測定された実測温度との少なくとも1つを含む。上記時間における上記工場内の湿度は、上記空調装置の設定湿度と、当該工場内で測定された実測湿度との少なくとも1つを含む。上記時間における上記空調装置の負荷情報は、上記空調装置の消費電力と、上記空調装置の熱負荷との少なくとも1つを含む。
本開示の他の例では、工場に設置されている空調装置を制御するための制御方法が提供される。上記工場内には、上記工場内の温度と上記工場内の湿度との影響により製造品質が変化するワークを製造するための製造装置が設置されている。上記制御方法は、上記工場内の目標温度と上記工場内の目標湿度と上記空調装置の消費電力との相関関係を示す消費電力情報を取得するステップと、上記消費電力情報に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲の設定を受け付けるためのステップと、上記許容範囲内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを上記空調装置の設定値として上記消費電力情報から特定するためのステップと、上記特定するステップで特定された設定値に基づいて、上記空調装置を制御するためのステップとを備える。
本開示の他の例では、工場に設置されている空調装置を制御するためのコンピュータによって実行される制御プログラムが提供される。上記工場内には、上記工場内の温度と上記工場内の湿度との影響により製造品質が変化するワークを製造するための製造装置が設置されている。上記制御プログラムは、上記コンピュータに、上記工場内の目標温度と上記工場内の目標湿度と上記空調装置の消費電力との相関関係を示す消費電力情報を取得するステップと、上記消費電力情報に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲の設定を受け付けるためのステップと、上記許容範囲内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを上記空調装置の設定値として上記消費電力情報から特定するためのステップと、上記特定するステップで特定された設定値に基づいて、上記空調装置を制御するためのステップとを実行させる。
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
空調制御システムの装置構成の一例を示す図である。 工場内環境の変動要因の一例を示す図である。 空調装置の目標温度を変更している様子を示す図である。 消費電力情報の一例を示す図である。 コントローラのハードウェア構成の一例を示す模式図である。 空調装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。 工作機械のハードウェア構成の一例を示す模式図である。 コントローラの機能構成の一例を示す図である。 学習用のデータセットの一例を示す図である。 学習部による学習処理の過程を概略的に示す図である。 推定部の処理過程を概略的に示す図である。 5月中における消費電力情報を示す図である。 5月中における消費電力情報を示す図である。 8月中における消費電力情報を示す図である。 8月中における消費電力情報を示す図である。 コンフォートチャートの一例を示す図である。 許容範囲の設定処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 空調装置の設定値の変更処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 評価用に生成されたモデルを示す図である。 実験環境を示す図である。 評価結果を示す図である。 切削テストの実験条件を示す図である。 20℃下におけるワーク外周の測定結果と、25℃下におけるワーク外周の測定結果とを示す図である。 各実験での熱変位量を示す図である。 製造装置の稼働時間をリスケジュールしている様子を示す図である。 製造装置の稼働時間をリスケジュールしている様子を示す図である。 シミュレーション結果を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
<A.空調制御システム10>
まず、図1を参照して、空調制御システム10の装置構成について説明する。図1は、空調制御システム10の装置構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、空調制御システム10は、コントローラ100と、空調装置200と、製造装置300とを含む。
コントローラ100と、空調装置200と、製造装置300とは、たとえば、工場FA内に設置されており、ネットワークNWを介して互いに通信可能に構成される。ネットワークNWには、たとえば、EtherNet(登録商標)などが採用される。
コントローラ100は、工場FA内の各種設備を制御するための装置である。一例として、コントローラ100は、空調装置200と、製造装置300とを制御する。コントローラ100は、たとえば、デスクトップ型のPC(Personal Computer)、ノート型のPC、タブレット端末、または、通信機能を備えたその他のコンピュータである。
空調装置200は、工場FA内の温度や工場FA内の湿度を調整するための装置である。空調装置200は、たとえば、エアコンディショナー(所謂エアコン)である。空調装置200は、コントローラ100によって遠隔で制御され得る。一例として、コントローラ100は、ネットワークNWを介して設定値を送信することにより空調装置200を制御する。当該設定値は、たとえば、目標温度と、目標湿度とを含む。空調装置200は、コントローラ100から設定値を受信したことに基づいて、現在の設定温度を指示された目標温度に変更するとともに、現在の設定湿度を指示された目標湿度に変更する。
製造装置300は、工場FA内の温度と工場FA内の湿度との影響により製造品質が変化するワークを製造するための装置である。当該ワークの一例としては、たとえば、鉄を含む製造物、銅を含む製造物、アルミニウムを含む製造物、マグネシウムを含む製造物、または、その他の金属を含む製造物などが挙げられる。
一例として、製造装置300は、工作機械と、半導体製造装置との少なくとも一方を含む。工作機械としては、たとえば、横形のマシニングセンタ、立形のマシニングセンタ、旋盤、付加加工機、切削機械、研削機械、およびこれらを複合した複合機などが挙げられる。半導体製造装置としては、マスク製造用装置、ウェハ製造用装置、半導体組立用装置、半導体検査用装置、およびこれらを複合した複合機などが挙げられる。
なお、図1には、空調制御システム10が1つのコントローラ100を含む例が示されているが、空調制御システム10を構成するコントローラ100の数は、2つ以上であってもよい。
また、図1には、コントローラ100が工場FA内に設置されている例が示されているが、コントローラ100は、工場FA外に設置されてもよい。
また、図1には、空調制御システム10が1つの空調装置200を含む例が示されているが、空調制御システム10を構成する空調装置200の数は、2つ以上であってもよい。
また、図1には、空調制御システム10が1つの製造装置300を含む例が示されているが、空調制御システム10を構成する製造装置300の数は、2つ以上であってもよい。
<B.工場内環境の変動要因>
次に、図2を参照して、工場内環境を変動させる要因について説明する。図2は、工場内環境の変動要因の一例を示す図である。
図2に示されるグラフG1は、夏場の工場外環境の変化の一例を表わす。グラフG1には、日射量Sの変化と、工場外温度Toutdoorの変化と、工場外湿度Houtdoorの変化とが時系列に示されている。図2の例では、6時~18時の時間帯における日射量Sは、他の時間帯における日射量Sよりも少ない。また、工場外温度Toutdoorは、5時~17時の時間帯においては上昇し、他の時間帯においては下降している。工場外湿度Houtdoorは、5時~17時の時間帯においては下降し、他の時間帯においては上昇している。
図2に示されるグラフG2は、工場内の発熱量Windoorの変化を時系列に示す図である。一例として、発熱量Windoorは、たとえば、製造装置300の稼働状態に依存する。製造装置300が5時~18時に稼働している場合、5時~18時における工場内の発熱量Windoorは、他の時間帯における発熱量Windoorよりも多くなる。
図2に示されるグラフG3は、空調装置200を用いない場合における工場内環境の変化の一例を表わす。グラフG3に示されるように、工場内環境は、工場外温度Toutdoor、工場外湿度Houtdoor、および日射量Sなどの工場外環境だけでなく、工場内の発熱量Windoorの影響も受ける。
図2の例では、工場内温度Tnaturalは、工場外温度Toutdoorの変化に連動するだけでなく、工場内の発熱量Windoorの変化にも連動している。また、工場内湿度Hnaturalは、工場外湿度Houtdoorの変化に連動している。
空調制御システム10は、製造装置300によるワークの製造品質を一定に維持するために、工場内環境を一定に維持するように空調装置200を制御する。以下では、工場内を一定の温湿度に保つために必要な熱量を熱負荷と称する。一日の熱負荷Qcooling[J]は、以下の式(1)に基づいて算出される。
cooling=V・∫(Unatural(t)-Utarget(t))dt ・・・(1)
上記式(1)の「Unatural(t)」は、自然環境下におけるエンタルピーを表わす。「Utarget(t)」は、目標環境下におけるエンタルピーを表わす。目標環境とは、目標温度下かつ目標湿度下の環境である。「Unatural(t)」および「Utarget(t)」の単位は、「J/kgDA」で表わされる。当該単位における「kgDA」は、乾燥空気質量を表わす。「V」は、工場内の体積を表わす。「V」の単位は、たとえば、「kgDA」で表わされる。
エンタルピーU[J/kg]は、以下の式(2)に示されるように、温度Tと、絶対温度X[kg/kgDA]とに基づいて算出される。
U=cairT+(CvaporT+Δh)・X ・・・(2)
上記式(2)の「cair」は、乾燥空気の比熱を表わす。「cair」の値は、たとえば、1.006[kJ/K]である。「Cvapor」は、蒸気の比熱を表わす。「Cvapor」の値は、たとえば、1.805[kJ/kgK]である。「Δh」は、気化のエンタルピーを表わす。「Δh」の値は、たとえば、2501[kJ/kg]である。
1日の平均熱負荷Waverageと、1日の最大熱負荷Wmaximumとは、式(1)に示されるQcoolingから算出される。空調装置200の消費電力を減らすためには、平均熱負荷Waverageを下げる必要がある。一方で、電気回路のメンテナンスコストや電力の契約容量などに基づく電力コストを削減するためには、最大熱負荷Wmaximumを下げる必要がある。
熱負荷は、自然環境下におけるエンタルピーと、目標環境下におけるエンタルピーとの差に応じて決まる。したがって、消費電力および電力コストの削減を実現するためには、当該熱負荷を下げる必要がある。そこで、空調制御システム10は、各時間の熱負荷Wcoolingを減らすように空調装置200を制御する。
<C.空調制御処理の概要>
次に、図3および図4を参照して、空調制御システム10による空調制御処理の概要について説明する。
図3は、空調装置200の目標温度Ttargetを変更している様子を示す図である。図3のグラフG4,G5に示される工場内温度Tnaturalは、図2のグラフG3に示される工場内温度Tnaturalと同じである。
図3に示されるように、夏場においては、コントローラ100は、各時間の熱負荷Wcoolingを減らすように目標温度Ttargetを上げる。一方で、コントローラ100は、冬場においては、各時間の熱負荷Wcoolingを減らすように目標温度Ttargetを下げる。このように、コントローラ100は、各時間の熱負荷Wcoolingを減らすように空調装置200の目標温度Ttargetを調整する。図3の例では、目標温度Ttargetが所定のオフセット値ΔTだけ上げられている。
なお、図3には、目標温度Ttargetの調整例のみが示されているが、目標湿度Htargetの調整例についても同様のことが言える。すなわち、コントローラ100は、各時間の熱負荷Wcoolingを減らすように、空調装置200の目標湿度Htargetを調整する。
一方で、空調装置200の設定値の変更は、製造装置300によるワークの製造品質に影響を与える。そこで、コントローラ100は、製造装置300によるワークの製造品質が一定の品質を維持できる範囲内で空調装置200の設定値を変更する。これにより、コントローラ100は、ワークの製造品質を低下することを抑制しつつ、空調装置200の消費電力を削減することができる。
空調装置200の設定値は、たとえば、図4に示される消費電力情報124に基づいて決定される。図4は、消費電力情報124の一例を示す図である。
消費電力情報124は、工場内の目標温度と工場内の目標湿度と空調装置の消費電力との相関関係を示す情報である。これらの相関関係は、テーブル形式で規定されてもよいし、所定の算出式で規定されてもよいし、その他の形式で規定されてもよい。
一例として、消費電力情報124は、工場内の目標温度と工場内の目標湿度との組み合わせの別に空調装置200の消費電力が対応付けられているテーブル形式で規定される。他の例として、消費電力情報124は、工場内の目標温度と工場内の目標湿度とを説明変数とし、空調装置200の消費電力を目的変数とする算出式で規定される。
図4の例では、消費電力情報124の横軸は、空調装置200の目標温度を示す。また、消費電力情報124の縦軸は、空調装置200の目標湿度を示す。また、空調装置200の消費電力は、目標温度と目標湿度との組み合わせ別に濃淡で表わされている。
図4の例では、夏場における消費電力情報124が示されている。夏場においては、目標温度が上げられて、目標温度が自然温度に近付くほど、空調装置200の消費電力は下がる。また、目標湿度が下げられて、目標湿度が自然湿度に近付くほど、空調装置200の消費電力が下がる。
コントローラ100は、消費電力情報124に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲AZの設定を受け付ける。許容範囲AZは、製造装置300によるワークの製造品質が一定の品質を維持できる温度範囲および湿度範囲を示す。
許容範囲AZは、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。また、許容範囲AZは、コントローラ100のディスプレイなどに表示される消費電力情報124に対して直接入力されてもよいし、消費電力情報124とは別に独立して設定されてもよい。
コントローラ100は、許容範囲AZ内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを空調装置200の設定値として消費電力情報124から特定する。その後、コントローラ100は、当該特定した設定値に基づいて、空調装置200を制御する。図4の例では、空調装置200の設定値は、「P」から「P'」に変更されている。これにより、コントローラ100は、製造装置300によるワークの製造品質の低下を抑制しつつ、空調装置200の消費電力を削減することができる。
<D.コントローラ100のハードウェア構成>
次に、図5を参照して、コントローラ100のハードウェア構成について説明する。図5は、コントローラ100のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
コントローラ100は、制御回路101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、表示インターフェイス105と、入力インターフェイス107と、記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、バス110に接続される。
制御回路101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
制御回路101は、制御プログラム122やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することでコントローラ100の動作を制御する。制御回路101は、各種プログラムの実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120またはROM102からRAM103に当該プログラムを読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、各種プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。
通信インターフェイス104には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。コントローラ100は、通信インターフェイス104を介して、外部機器との間でデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、空調装置200や製造装置300などを含む。
表示インターフェイス105には、ディスプレイ106が接続される。表示インターフェイス105は、制御回路101などからの指令に従って、ディスプレイ106に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ106は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。なお、ディスプレイ106は、コントローラ100と一体的に構成されてもよいし、コントローラ100とは別に構成されてもよい。
入力インターフェイス107には、入力デバイス108が接続される。入力デバイス108は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス108は、コントローラ100と一体的に構成されてもよいし、コントローラ100とは別に構成されてもよい。
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置120は、制御プログラム122、データセット123、データセット123から生成された消費電力情報124、および上述の許容範囲AZなどを格納する。これらの格納場所は、記憶装置120に限定されず、制御回路101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM102、RAM103、外部機器などに格納されていてもよい。
なお、制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、制御プログラム122に規定される各種処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でコントローラ100が構成されてもよい。
<E.空調装置200のハードウェア構成>
次に、図6を参照して、空調装置200のハードウェア構成について説明する。図6は、空調装置200のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
空調装置200は、制御回路201と、通信インターフェイス202と、温度センサ203と、湿度センサ204と、記憶装置220と、屋内機230と、屋外機240とを含む。
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
通信インターフェイス202には、アンテナなどのネットワーク機器が接続される。空調装置200は、通信インターフェイス202を介して、外部機器との間でデータをやり取りする。当該外部機器としては、たとえば、コントローラ100や製造装置300などが挙げられる。
温度センサ203は、工場内の温度を測定する。温度センサ203としては、たとえば、サーミスタなどが用いられる。
湿度センサ204は、工場内の湿度を測定する。湿度センサ204としては、たとえば、高分子抵抗式の湿度センサなどが用いられる。
記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置220は、制御プログラム222および設定値224などを格納する。設定値224は、たとえば、目標温度、目標湿度、その他のパラメータなどを含む。制御プログラム222および設定値224の格納場所は、記憶装置220に限定されず、制御回路101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM102、RAM103、外部機器などに格納されていてもよい。
屋内機230は、屋内ファン231と、膨張弁232と、熱交換器233とを含む。屋外機240は、屋外ファン241と、圧縮機242と、熱交換器243とを含む。
空調装置200は、空気と冷媒との間で熱交換を行うことで、暖房運転や冷房運転を実現する。冷房運転時においては、冷媒は、圧縮機242、熱交換器243、膨張弁232、熱交換器233の順に循環する。
より具体的には、圧縮機242は、屋内機230から送られる冷媒を圧縮することで、冷媒の温度を上げる。圧縮機242は、たとえば、シングルロータリー圧縮機、ツインロータリー圧縮機、またはハイパーウェーブロータリー圧縮機などである。
熱交換器243は、屋外ファン241によって取り込まれた工場外の空気と、圧縮機242から送られた冷媒との間で熱交換を行い、冷媒を冷却する。冷却された冷媒は、屋内機230の膨張弁232に送られる。
膨張弁232は、冷媒を膨張することで当該冷媒をさらに冷却する。膨張弁232によって冷却された冷媒は、熱交換器233に送られる。
熱交換器233は、屋内ファン231によって取り込まれた工場内の空気と、膨張弁232によって冷却された冷媒との間で熱交換を行い、工場内から取り込まれた空気を冷却する。屋内ファン231は、熱交換器233によって冷却された空気を工場内に送風する。これにより、工場内が冷却される。熱交換器233は、熱交換後の冷媒を屋外機240の圧縮機242に送る。
このように、冷房運転時においては、冷媒は、圧縮機242、熱交換器243、膨張弁232、熱交換器233の順に循環する。一方で、暖房運転時には、冷媒は、圧縮機242、熱交換器233、膨張弁232、熱交換器243の順に循環する。
<F.工作機械300Aのハードウェア構成>
次に、図7を参照して、製造装置300の一例である工作機械300Aのハードウェア構成について説明する。図7は、工作機械300Aのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
工作機械300Aは、制御回路301と、ROM302と、RAM303と、通信インターフェイス304と、フィールドバスコントローラ305と、記憶装置320とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス309に接続される。
制御回路301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
制御回路301は、加工プログラム322などの各種プログラムを実行することで工作機械300Aの動作を制御する。加工プログラム322は、ワーク加工を実現するためのプログラムである。制御回路301は、加工プログラム322の実行命令を受け付けたことに基づいて、ROM302からRAM303に加工プログラム322を読み出す。RAM303は、ワーキングメモリとして機能し、加工プログラム322の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
通信インターフェイス304には、LAN、WLAN、またはBluetooth(登録商標)などが接続される。工作機械300Aは、通信インターフェイス304を介して外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器としては、たとえば、コントローラ100や空調装置200などが挙げられる。
フィールドバスコントローラ305は、フィールドバスに接続される各種の駆動ユニット306との通信を実現するための通信ユニットである。駆動ユニット306としては、たとえば、主軸を駆動するためのモータや、ワークの設置台を駆動するためのモータなどが挙げられる。
記憶装置320は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置320は、加工プログラム322および加工パラメータ324などを格納する。加工プログラム322および加工パラメータ324の格納場所は、記憶装置320に限定されず、制御回路301の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM302、RAM303、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
<G.コントローラ100の機能構成>
次に、図8~図16を参照して、空調制御処理を実現するための機能構成について説明する。図8は、コントローラ100の機能構成の一例を示す図である。
図8に示されるように、コントローラ100の制御回路101は、機能構成として、生成部152と、設定受付部154と、特定部156と、空調制御部158と、補正部160とを含む。以下では、これらの構成について順に説明する。
なお、各機能構成の配置は、任意である。一例として、図8に示される機能構成の一部または全部は、上述の空調装置200(図1参照)に実装されてもよいし、その他の装置に実装されてもよい。
(G1.生成部152)
まず、図9~図11を参照して、図8に示される生成部152の機能について説明する。
生成部152は、所定のデータセット123に基づいて、上述の消費電力情報124を生成する。消費電力情報124の生成方法には、任意の方法が採用される。
一例として、生成部152は、学習部152Aと、推定部152Bとを含む。学習部152Aは、学習用のデータセット123を用いた予め定められた機械学習処理によりモデルMDを生成する。その後、推定部152Bは、生成した学習済みのモデルMDから消費電力情報124を生成する。
図9は、学習用のデータセット123の一例を示す図である。データセット123は、過去の時間別に、当該時間における工場外の温度と、当該時間における工場外の湿度と、当該時間における工場内の温度と、当該時間において工場内の湿度と、当該時間における工場外の日射量と、当該時間における製造装置300の稼働状況と、当該時間における空調装置200の負荷情報とを対応付けている。
データセット123に示される工場外の温度は、工場周辺の屋外の温度を示す。当該温度は、温度計などのセンサを用いて工場の付近で実測されてもよいいし、気象情報を提供する外部サイトなどからダウンロードされてもよい。
データセット123に示される工場外の湿度は、工場周辺の屋外の湿度を示す。当該湿度は、湿度計などのセンサを用いて工場の付近で実測されてもよいいし、気象情報を提供する外部サイトなどからダウンロードされてもよい。
データセット123に示される工場内の温度は、製造装置300の設定温度(目標温度)であってもよいし、当該工場内で測定された実測温度であってもよい。実測温度は、たとえば、上述の温度センサ203(図6参照)から取得されてもよいし、工場内に設置されているその他の温度センサから取得されてもよい。
データセット123に示される工場内の湿度は、製造装置300の設定湿度(目標湿度)であってもよいし、当該工場内で測定された実測湿度であってもよい。実測湿度は、たとえば、上述の湿度センサ204(図6参照)から取得されてもよいし、工場内に設置されているその他の湿度センサから取得されてもよい。
データセット123に示される日射量は、太陽光が工場に照射されていた量を示す。一例として、当該日射量は、単位時間当たりの日照時間で表わされる。あるいは、当該日射量は、単位平方メートル当たりのワット数(すなわち、W/m)で表わされる。当該照射量は、たとえば、気象情報を提供する外部サイトなどからダウンロードされる。
データセット123に示される稼働状況は、工場内に設置されている製造装置300の稼働量を示す。当該稼働量は、たとえば、製造装置300の消費電力で表わされてもよいし、単位時間当たりの製造装置300の稼働時間で表わされてもよい。
データセット123に示される負荷情報は、工場内に設置されている空調装置200の負荷を示す。一例として、当該負荷情報は、空調装置200の消費電力で表わされてもよいし、空調装置200の熱負荷で表わされてもよい。
学習部152Aは、学習用のデータセット123を用いた予め定められた機械学習処理によりモデルMDを生成する。学習部152Aが実行する機械学習処理は、ディープラーニング(深層学習)であってもよいし、RNN(Recurrent Neural Network)であってもよいし、サポートベクターマシンであってもよいし、その他の学習手法であってもよい。以下では、一例として、RNNでモデルMDを生成する方法について説明する。
図10は、学習部152Aによる学習処理の過程を概略的に示す図である。図10には、初期状態のモデルMD1と、1回目のパラメータ更新が済んだモデルMD2とが示されている。以下では、モデルMD1,MD2を特に区別しない場合には、モデルMDとも称する。モデルMDは、入力層Xと、中間層Hと、出力層Yとで構成される。
入力層Xは、所定期間における工場外の温度Toutdoor(t)と、当該所定期間における工場外の湿度Houtdoor(t)と、当該所定期間における工場内の温度Ttarget(t)と、当該所定期間における工場内の湿度Htarget(t)と、当該所定期間における工場内の日射量S(t)との入力を入力用特徴量として受ける。
中間層Hは、複数の層で構成されている。中間層Hの層数は、任意である。各層は、複数のユニットで構成される。中間層Hの各層を構成する各ユニットは、前の層の各ユニットと、次の層の各ユニットと接続される。各層の各ユニットは、前の層の各ユニットからの各出力値を受けて、各出力値に重みを乗算し、それらの乗算結果を積算し、その積算結果に対して所定のバイアスを加算(または減算)し、その加算結果(または減算結果)を所定の関数(たとえば、シグモナイト関数)に入力し、その関数の出力値を次の層の各ユニットに出力する。
出力層Yは、複数のユニットで構成される。出力層Yを構成する各ユニットは、中間層Hの最終層の各ユニットと接続される。出力層Yの各ユニットは、中間層Hの最終層の各ユニットからの出力値を受けて、各出力値に重みを乗算し、それらの乗算結果を積算し、その積算結果に対して所定のバイアスを加算(または減算)し、その加算結果(または減算結果)を所定の関数(たとえば、シグモナイト関数)に入力し、その関数の出力結果を出力値として出力する。当該出力値は、所定期間における空調装置200の負荷を示す。
より具体的な例として、学習部152Aは、学習用のデータセット123に規定される時間t1,t2・・・における入力用特徴量をモデルMDに入力する。学習部152Aは、その結果得られた推定負荷W'cooling(t1),W'cooling(t2)・・・を、学習用のデータセット123に規定されている正解値のWcooling(t1),Wcooling(t2)・・・と比較する。そして、学習部152Aは、推定負荷が正解値に近付くように、モデルMDに含まれる各種のパラメータ(たとえば、重みやバイアス)を更新する。
次に、学習部152Aは、学習用のデータセット123に規定される時間t2,t3・・・における入力用特徴量をモデルMDに入力する。2回目の以降の学習においては、学習部152Aは、前回の学習過程における中間層Hの出力の一部を入力層Xに入力する。このように、RNNにおいては、ある層の出力は、次の層の入力として利用されるだけでなく、次の学習過程における入力層Xにも入力される。その結果、時間的な情報が受け渡される。
学習部152Aは、その結果得られた推定負荷W'cooling(t2),W'cooling(t3)・・・を、学習用のデータセット123に規定されている正解値のWcooling(t2),Wcooling(t3)・・・と比較する。そして、学習部152Aは、推定負荷が正解値に近付くように、モデルMDに含まれる各種のパラメータ(たとえば、重みやバイアス)を更新する。
このように、学習部152Aは、モデルMDに含まれるパラメータの更新処理を繰り返し行う。その結果、モデルMDによる負荷の推定精度が向上する。
なお、学習部152Aは、モデルMDを生成するために、学習用のデータセット123に含まれる全ての学習用データを必ずしも用いる必要はなく、学習用のデータセット123に含まれる一部の学習用データを用いてモデルMDを生成してもよい。
推定部152Bは、生成した学習済みのモデルMDから消費電力情報124を生成する。図11は、推定部152Bの処理過程を概略的に示す図である。
推定部152Bは、学習済みのモデルMDに対して、所定期間における工場外の温度Toutdoor(t)と、当該所定期間における工場外の湿度Houtdoor(t)と、当該所定期間における工場内の温度Ttarget(t)と、当該所定期間における工場内の湿度Htarget(t)と、当該所定期間における工場内の日射量S(t)とを入力用特徴量として入力する。当該所定期間は、過去の期間であってもよいし、現在を含む期間であってもよいし、未来の期間であってもよい。また、モデルMDへの入力用特徴量は、上述の学習用のデータセット123から取得されてもよいし、別のデータセットから取得されてもよい。
その後、推定部152Bは、モデルMDの出力値に対して、工場内の発熱量Windoor(t)を加算する。これにより、各時間の熱負荷Wcooling(t)が推定結果として出力される。
次に、推定部152Bは、予め定められた変換式(たとえば、後述の式(3))に基づいて、各時間の熱負荷Wcooling(t)から消費電力Pcooling(t)を算出する。
その後、推定部152Bは、消費電力Pcooling(t)からサンプル値を算出する。当該サンプル値は、たとえば、消費電力Pcooling(t)の平均値であってもよいし、消費電力Pcooling(t)の最大値であってもよい。算出されたサンプル値は、対応する温湿度の組み合わせに関連付けられた上で、消費電力情報124に記憶される。
関連付けられる温湿度は、学習済みのモデルMDに入力した目標温度Ttarget(t)と目標湿度Htarget(t)との組み合わせが用いられる。典型的には、目標温度Ttarget(t)と目標湿度Htarget(t)とは、工場の環境が変動しないように一定である。そのため、関連付けられる温湿度も一点に決まる。
一例として、目標温度Ttarget(t)が21℃であり、目標湿度Htarget(t)が50%rhであるとする。この場合、消費電力Pcooling(t)のサンプル値は、21℃および50%rhの組み合わせに関連付けられた上で消費電力情報124に記憶される(図11に示され点「P」参照)。
推定部152Bは、温湿度の各組み合わせについて消費電力Pcooling(t)のサンプル値を取得する。その結果、空調装置200の消費電力が目標温度と目標湿度と組み合わせの別に表わされた消費電力情報124が生成される。
好ましくは、生成部152は、期間別に消費電力情報124を生成する。当該期間の単位は、季節であってもよいし、月であってもよいし、日であってもよい。
図12は、5月中における消費電力情報124Aを示す図である。消費電力情報124Aは、データセット123の内で5月に属するデータ群を用いて生成されたものである。消費電力情報124Aは、工場内の目標温度と工場内の目標湿度との組み合わせの別に空調装置200の最大消費電力を規定している。
図13は、5月中における消費電力情報124Bを示す図である。消費電力情報124Bは、データセット123の内で5月に属するデータ群を用いて生成されたものである。消費電力情報124Bは、工場内の目標温度と工場内の目標湿度との組み合わせの別に空調装置200の平均消費電力を規定している。
図14は、8月中における消費電力情報124Cを示す図である。消費電力情報124Cは、データセット123の内で8月に属するデータ群を用いて生成されたものである。消費電力情報124Cに、工場内の目標温度と工場内の目標湿度との組み合わせの別に空調装置200の最大消費電力を規定している。
図15は、8月中における消費電力情報124Dを示す図である。消費電力情報124Dは、データセット123の内で8月に属するデータ群を用いて生成されたものである。消費電力情報124Dは、工場内の目標温度と工場内の目標湿度との組み合わせの別に空調装置200の平均消費電力を規定している。
生成部152は、生成した消費電力情報124A~124Dの各々に期間を関連付けた上で、消費電力情報124A~124Dを上述の記憶装置120(図5参照)に格納する。以下では、消費電力情報124A~124Dを特に区別しない場合には、消費電力情報124とも称する。
なお、上述では、消費電力情報124が機械学習処理により生成される例について説明を行ったが、消費電力情報124の生成方法はこれに限定されない。一例として、まず、生成部152は、予め定められた変換式(たとえば、後述の式(3))に基づいて、データセット123に規定される各負荷情報から消費電力を算出する。その後、生成部152は、算出した消費電力を、対応する温湿度の組み合わせに関連付けた上で消費電力情報124に記憶する。このように、消費電力情報124は、より簡易な方法で生成されてもよい。
(G2.設定受付部154)
次に、上述の図12~図15を参照しつつ、図16を参照して、図8に示される設定受付部154の機能について説明する。
設定受付部154は、消費電力情報124に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲AZの設定を受け付ける。許容範囲AZの設定操作は、たとえば、上述の入力デバイス108(図5参照)で受け付けられる。
許容範囲AZは、製造装置300によるワークの製造品質が一定の品質を維持できる温度範囲および湿度範囲を示す。すなわち、許容範囲AZは、許容できる熱変位の温度範囲および湿度範囲を示す。許容範囲AZは、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。また、許容範囲AZは、コントローラ100のディスプレイなどに表示される消費電力情報124に対して直接入力されてもよいし、消費電力情報124とは別に独立して設定されてもよい。
図12および図13には、消費電力情報124A,124Bに設定されている許容範囲AZ1が示されている。湿度については、たとえば、金属が錆びない範囲を考慮して60%th以下に設定される。
好ましくは、許容範囲AZ1は、人が快適に感じるコンフォートゾーンCZ1の範囲内に設定される。異なる言い方をすれば、設定受付部154は、コンフォートゾーンCZ1を超える範囲については許容範囲AZ1の設定を受け付けない。
図14および図15には、消費電力情報124C,124Dに設定されている許容範囲AZ2が示されている。湿度については、たとえば、金属が錆びない範囲を考慮して60%th以下に設定される。また、許容範囲AZ2は、コンフォートゾーンCZ2の範囲内に設定される。
図16は、コンフォートチャートの一例を示す図である。コンフォートゾーンCZ1,CZ2は、たとえば、図16に示されるコンフォートチャートに基づいて特定される。
(G3.特定部156)
次に、上述の図12~図15を参照して、図8に示される特定部156の機能について説明する。
特定部156は、消費電力情報124A~124Dの内から、現在が属する期間に対応する消費電力情報124を取得する。次に、特定部156は、事前に設定されている許容範囲AZ内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを空調装置200の設定値として消費電力情報124から特定する。特定された設定値は、空調制御部158に出力される。
一例として、現在が5月であるとする。この場合、特定部156は、5月に対応付けられている消費電力情報124A,124Bを取得する。図12および図13の例では、許容範囲AZ1内で消費電力が最小となる設定値P1'が特定される。その結果、空調装置200の設定値は、「P1」から「P1'」に変更される。
他の例として、現在が8月であるとする。この場合、特定部156は、8月に対応付けられている消費電力情報124C,124Dを取得する。図14および図15の例では、許容範囲AZ2内で消費電力が最小となる設定値P2'が特定される。その結果、空調装置200の設定値は、「P2」から「P2'」に変更される。
(G4.空調制御部158)
次に、図8に示される空調制御部158の機能について説明する。
空調制御部158は、特定部156によって特定された設定値に基づいて、空調装置200を制御する。一例として、空調制御部158は、当該設定値を空調装置200に送信する。これにより、空調装置200は、当該設定値に基づいて、工場内の温湿度を調整する。
(G5.補正部160)
次に、図8に示される補正部160の機能について説明する。
補正部160は、特定部156によって特定された空調装置200の設定値に基づいて、製造装置300におけるワークの製造に係る加工プログラム322(図7参照)と、製造装置300におけるワークの製造に係る加工パラメータ324(図7参照)との少なくとも1つを補正する。
より具体的な処理として、補正部160は、変更前における空調装置200の設定値と、変更後における空調装置200の設定値との差異に応じて、ワークや工具の熱変位量を推定する。熱変位量は、予め生成されている熱変位モデルを用いて算出される。
一例として、熱変位モデルは、たとえば、温度変化量と湿度変化量とを説明変数とし、熱変位量を目的変数とする所定の算出式(たとえば、後述の式(4))で規定される。
他の例として、熱変位モデルは、学習用データセットを用いた学習処理により生成される。学習用データセットは、温度変化量と、湿度変化量と、熱変位量とを対応付けた複数の学習用データを含む。熱変位モデルの内部パラメータは、このような学習用データセットを用いた学習処理により予め最適化されている。熱変位モデルを生成するための学習手法には、種々の機械学習アルゴリズムが採用され得る。一例として、当該機械学習アルゴリズムとして、ディープラーニング、サポートベクターマシンなどが採用される。学習後の熱変位モデルは、温度変化量と湿度変化量との入力を受けて、熱変位量を推定結果として出力する。
補正部160は、熱変位モデルから出力される熱変位量に基づいて、製造装置300の加工パラメータ324を補正する。補正対象の加工パラメータ324としては、たとえば、工具の形状を示す形状パラメータと、工具の摩耗量を示す摩耗パラメータとが挙げられる。
形状パラメータは、工具の形状を指定するためのパラメータである。形状パラメータが設定されることで、製造装置300は、工具の形状を把握した上でワークを加工することができる。典型的には、形状パラメータは、所定の基準点からのオフセット値として示される。形状パラメータは、たとえば、所定の基準点からのX方向における幅や、所定の基準点からのZ方向における幅や、所定の基準点からのY方向における幅や、所定の基準点からの工具の径などを含む。
摩耗パラメータは、工具の摩耗量を指定するためのパラメータである。摩耗パラメータが設定されることで、製造装置300は、工具の摩耗量を把握した上でワークを加工することができる。典型的には、摩耗パラメータは、所定の基準点からのオフセット値として示される。摩耗パラメータは、たとえば、所定の基準点からのX方向における工具の摩耗幅や、所定の基準点からのZ方向における工具の摩耗幅や、所定の基準点からのY方向における工具の摩耗幅や、所定の基準点からの工具の経方向における摩耗量などを含む。
なお、上述では、空調装置200の設定値の変更に伴う熱変位量に応じて加工パラメータ324が補正される例について説明を行ったが、補正部160は、当該熱変位量に基づいて、加工プログラム322を補正してもよい。加工プログラム322には、たとえば、主軸の移動量など、ワークの加工に係る変数が規定されている。補正部160は、たとえば、空調装置200の設定値の変更に伴う熱変位量に応じて、加工プログラム322に規定されている主軸の移動量を補正する。
<H.許容範囲の設定フロー>
次に、図17を参照して、上述の許容範囲AZの設定処理に係るフローについて説明する。図17は、許容範囲AZの設定処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
図17に示される処理は、コントローラ100の制御回路101が上述の制御プログラム122を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
ステップS110において、制御回路101は、消費電力情報124に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲AZの設定指令を受け付けたか否かを判断する。当該設定指令は、たとえば、ユーザが入力デバイス108を用いて設定変更操作を行ったことに基づいて発せられる。制御回路101は、許容範囲AZの設定指令を受け付けたと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御回路101は、制御をステップS110の処理を再び実行する。
ステップS112において、制御回路101は、上述の設定受付部154として機能し、許容範囲AZの設定画面を表示する。当該設定画面は、たとえば、上述のディスプレイ106に表示される。
好ましくは、当該設定画面は、図4に示される消費電力情報124を表示し、当該消費電力情報124に示される目標温度において範囲の指定を受け付ける。また、当該設定画面は、当該消費電力情報124に示される目標湿度において範囲の指定を受け付ける。
ステップS120において、制御回路101は、許容範囲AZの保存操作を受け付けたか否かを判断する。当該保存操作は、たとえば、上記設定画面上の保存ボタンが押されることにより受け付けられる。制御回路101は、許容範囲AZの保存操作を受け付けたと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御回路101は、図17に示される処理を終了する。
ステップS122において、制御回路101は、ステップS112で設定された許容範囲AZを記憶装置120に保存する。
<I.許容範囲の設定フロー>
次に、図18を参照して、空調装置200の設定値の変更処理に係るフローについて説明する。図18は、空調装置200の設定値の変更処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
図18に示される処理は、コントローラ100の制御回路101が上述の制御プログラム122を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
制御回路101は、空調装置200の設定値の変更指令を受け付けたか否かを判断する。一例として、当該変更指令は、空調装置200の設定値の変更操作をユーザから受け付けたことに基づいて発せられる。他の例として、当該変更指令は、スケジュールに予め登録されている変更タイミングが到来したことに基づいて発せられる。
制御回路101は、空調装置200の設定値の変更指令を受け付けたと判断した場合(ステップS150においてYES)、制御をステップS152に切り替える。そうでない場合には(ステップS150においてNO)、制御回路101は、ステップS150の処理を再び実行する。
ステップS152において、制御回路101は、現期間(たとえば、現季節)に対応する消費電力情報124を取得する。また、制御回路101は、当該取得した消費電力情報124に設定されている許容範囲AZを取得する。
ステップS154において、制御回路101は、上述の特定部156(図8参照)として機能し、ステップS152で取得した消費電力情報124に基づいて、許容範囲AZ内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを空調装置200の設定値として特定する。
ステップS156において、制御回路101は、上述の空調制御部158(図8参照)として機能し、ステップS154で特定した設定値を工場内の全ての空調装置200に送信する。これにより、空調装置200の設定値が更新される。
ステップS158において、制御回路101は、上述の補正部160(図8参照)として機能し、空調装置200の設定値の変更に伴う熱変位量に基づいて、上述の加工プログラム322または上述の加工パラメータ324の補正量を算出する。補正部160の機能については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
ステップS160において、制御回路101は、ステップS158で算出した補正量を製造装置300に送信する。これにより、上述の加工プログラム322または上述の加工パラメータ324が更新される。
<J.モデルMDの評価実験>
次に、図19~図21を参照して、上述のモデルMDの評価実験について説明する。図19は、評価用に生成されたモデルMDを示す図である。図20は、実験環境VEを示す図である。
図19に示されるモデルMDは、実験環境VEの熱環境をモデル化したものである。また、モデルMDは、実験環境VEにおいて収集されたデータセット123から生成されたものである。
データセット123は、アイドリング状態下(すなわち、Wcooling=0kw)で収集された。実験者は、データセット123の60%を学習用データ(learning data)として用い、データセット123の残りの20%を検証用データ(validation data)に用い、データセット123の残りの20%を有効性確認用(verification data)に用いた。
また、実験者は、温湿度計で測定した室内温度Tindoorと湿度HindoorとをそれぞれTtargetとHtargetとして使用した。また、実験者は、日本の国立気象観測システムのアメダスから外気情報を収集した。また、実験者は、乾球温度、相対湿度、および日照時間をそれぞれ外気温、湿度、および日照時間として使用した。
さらに、実験者は、次のようにして熱負荷を求めた。まず、実験者は、熱交換器E1,E2の各ユニットついて、熱交換器の流入口/流出口における温湿度を測定した。次に、実験者は、流入口と流出口との間のエンタルピー差を計算した。各ユニットの熱負荷は、当該エンタルピー差に風量を乗じて算出した。実験者は、その平均値を各ユニットの熱負荷とした。
図21は、評価結果を示す図である。図21には、熱負荷の実測値が実線で示され、推定値が散布図として示されている。散布図に示される推定値は、実測値と概ね一致している。実測値と推定値との間の誤差は約10%であり、モデルMDは有効である言える。
本実験では、実験者は、空調装置200の消費電力Pcooling[kW]をコンデンサユニットのメインスイッチで測定した。WcoolingとPcoolingとの関係式は、実験結果から下記式(3)のように近似され得る。
cooling=0.147・Wcooling+0.550 ・・・(3)
<K.熱変位の影響>
次に、図22および図23を参照して、空調装置200の設定値の変更に伴う熱変位の影響について説明する。
上述のように、特定部156は、許容範囲AZ内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを空調装置200の設定値とする。これにより、屋内の温度がオフセット値ΔTだけ変わり、製造装置300やワークに熱変位が生じる。ここで、ワークの熱変位量dworkpeiceは、下記の式(4)に基づいて算出される。
workpeice=L・(αmachine-αworkpeice)・ΔT ・・・(4)
式(4)に示される「L」は、加工箇所の長さを表わす。「αmachine」は、製造装置300の熱膨張係数を表わす。「αworkpeice」は、ワークの熱膨張係数を表わす。
実験者は、上記式(4)の妥当性を検証するために切削テストを行った。図22は、切削テストの実験条件を示す図である。図22に示されるように、実験には、ピラミッド形状の300mm×300mmのワークが用いられた。実験者は、アルミニウム素材のワークを実験に用いた。また、当該ワークの外周部は、5mm幅の段状になっている。
実験者は、屋内温度が20℃である環境下と、屋内温度が25℃である環境下との2つの環境下で本実験を行った。ワークの加工は、主軸のZ軸の位置を変えながら、主軸を冷却した状態で2時間ごとに4回繰り返された。
また、実験者は、主軸の回転速度を8750rpmとした。さらに、実験者は、主軸の送り速度を980mm/minとした。さらに、実験者は、ワークの切り込み量を0.5mmとした。さらに、実験者は、ワークの切り込み幅を8mmとした。これらの条件下では、ワークの熱変位量dworkpeiceは、上記式(4)から19.5μmと推定される。
図23は、20℃下におけるワーク外周の測定結果と、25℃下におけるワーク外周の測定結果とを示す図である。ワークの外周は、座標測定器を用いて測定された。図24は、各実験での熱変位量dworkpeiceを示す図である。
推定値としてのdworkpeiceと、実測値としてのdworkpeiceの差は1.8μmであり、測定の標準偏差は3.0μmであった。この結果は、上記式(4)が有効であることを示す。したがって、オフセット値ΔTに応じて生じる熱変位は,上記式(4)を用いて推定され得る。
<L.オフセット手法の応用>
次に、図25~図27を参照して、空調装置200の設定値を上述のオフセット値ΔT(図3参照)の分だけ変更するオフセット手法の応用について説明する。図25は、製造装置300の稼働時間をリスケジュールしている様子を示す図である。
図25に示されるように、製造装置300の稼働時間を日中から夜間に移動するリスケジュール手法が用いられると、1日の最大熱負荷Wmaximumが下がる。しかしながら、リスケジュール手法では、1日の平均熱負荷Waverageは、変化しない。
図26は、製造装置300の稼働時間をリスケジュールしている様子を示す図である。図26の例では、リスケジュール手法とオフセット手法とが組み合わされている。
リスケジュール手法とオフセット手法とが組み合わされると、1日の最大熱負荷Wmaximumが下がるだけでなく、1日の平均熱負荷Waverageも下がる。
図27は、シミュレーション結果R1~R8を示す図である。シミュレーション結果R1,R5は、リスケジュール手法およびオフセット手法を採用しない場合における最大熱負荷Wmaximumと平均熱負荷Waverageとを示す。
シミュレーション結果R2,R6は、リスケジュール手法のみを採用した場合における最大熱負荷Wmaximumと平均熱負荷Waverageとを示す。
シミュレーション結果R3,R7は、オフセット手法のみを採用した場合における最大熱負荷Wmaximumと平均熱負荷Waverageとを示す。
シミュレーション結果R4,R8は、リスケジュール手法およびオフセット手法の両方を採用した場合における最大熱負荷Wmaximumと平均熱負荷Waverageとを示す。
また、シミュレーション結果R1~R4は、5月中における最大熱負荷Wmaximumと平均熱負荷Waverageとを示す。シミュレーション結果R5~R8は、8月中における最大熱負荷Wmaximumと平均熱負荷Waverageとを示す。
図27に示されるように、オフセット手法による熱負荷の削減率は、30%以上であり、リスケジュール手法の削減率よりも大きい。また、リスケジュール手法とオフセット手法とが組み合わせられることで、最大熱負荷Wmaximumが下がるだけでなく、平均熱負荷Waverageも下がる。
<M.まとめ>
以上のようにして、コントローラ100は、消費電力情報124に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲AZの設定を受け付ける。許容範囲AZは、製造装置300によるワークの製造品質が一定の品質を維持できる温度範囲および湿度範囲を示す。
コントローラ100は、許容範囲AZ内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを空調装置200の設定値として消費電力情報124から特定する。その後、コントローラ100は、当該特定した設定値に基づいて、空調装置200を制御する。
これにより、コントローラ100は、製造装置300によるワークの製造品質の低下を抑制しつつ、空調装置200の消費電力を削減することができる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
10 空調制御システム、100 コントローラ、101 制御回路、102 ROM、103 RAM、104 通信インターフェイス、105 表示インターフェイス、106 ディスプレイ、107 入力インターフェイス、108 入力デバイス、110 バス、120 記憶装置、122 制御プログラム、123 データセット、124 消費電力情報、124A 消費電力情報、124B 消費電力情報、124C 消費電力情報、124D 消費電力情報、152 生成部、152A 学習部、152B 推定部、154 設定受付部、156 特定部、158 空調制御部、160 補正部、200 空調装置、201 制御回路、202 通信インターフェイス、203 温度センサ、204 湿度センサ、220 記憶装置、222 制御プログラム、224 設定値、230 屋内機、231 屋内ファン、232 膨張弁、233 熱交換器、240 屋外機、241 屋外ファン、242 圧縮機、243 熱交換器、300 製造装置、300A 工作機械、301 制御回路、302 ROM、303 RAM、304 通信インターフェイス、305 フィールドバスコントローラ、306 駆動ユニット、309 内部バス、320 記憶装置、322 加工プログラム、324 加工パラメータ。

Claims (7)

  1. 工場に設置されている空調装置を制御するためのコントローラであって、
    前記工場内には、前記工場内の温度と前記工場内の湿度との影響により製造品質が変化するワークを製造するための製造装置が設置されており、
    前記工場内の目標温度と前記工場内の目標湿度と前記空調装置の消費電力との相関関係を示す消費電力情報を格納するための記憶装置と、
    前記消費電力情報に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲の設定を受け付けるための設定受付部と、
    前記許容範囲内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを前記空調装置の設定値として前記消費電力情報から特定するための特定部と、
    前記特定部によって特定された設定値に基づいて、前記空調装置を制御するための空調制御部とを備える、コントローラ。
  2. 前記記憶装置は、複数の前記消費電力情報を格納しており、
    複数の前記消費電力情報の各々には、期間が予め対応付けられており、
    前記特定部は、複数の前記消費電力情報の内から、現在が属する期間に対応する消費電力情報を取得し、当該取得した消費電力情報から前記設定値を特定する、請求項1に記載のコントローラ。
  3. 前記製造装置は、工作機械と、半導体製造装置との少なくとも一方を含む、請求項1または2に記載のコントローラ。
  4. 前記コントローラは、さらに、前記設定値に基づいて、前記製造装置における前記ワークの製造に係るパラメータと、前記製造装置における前記ワークの製造に係る加工プログラムとの少なくとも1つを補正するための補正部を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のコントローラ。
  5. 前記コントローラは、さらに、所定のデータセットに基づいて、前記消費電力情報を生成するための生成部を備え、
    前記データセットは、過去の時間別に、当該時間における前記工場外の温度と、当該時間における前記工場外の湿度と、当該時間における前記製造装置の稼働状況と、当該時間における前記工場内の温度と、当該時間において前記工場内の湿度と、当該時間における前記空調装置の負荷情報とを対応付けており、
    前記時間における前記工場内の温度は、前記空調装置の設定温度と、当該工場内で測定された実測温度との少なくとも1つを含み、
    前記時間における前記工場内の湿度は、前記空調装置の設定湿度と、当該工場内で測定された実測湿度との少なくとも1つを含み、
    前記時間における前記空調装置の負荷情報は、前記空調装置の消費電力と、前記空調装置の熱負荷との少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のコントローラ。
  6. 工場に設置されている空調装置を制御するための制御方法であって、
    前記工場内には、前記工場内の温度と前記工場内の湿度との影響により製造品質が変化するワークを製造するための製造装置が設置されており、
    前記工場内の目標温度と前記工場内の目標湿度と前記空調装置の消費電力との相関関係を示す消費電力情報を取得するステップと、
    前記消費電力情報に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲の設定を受け付けるためのステップと、
    前記許容範囲内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを前記空調装置の設定値として前記消費電力情報から特定するためのステップと、
    前記特定するステップで特定された設定値に基づいて、前記空調装置を制御するためのステップとを備える、制御方法。
  7. 工場に設置されている空調装置を制御するためのコンピュータによって実行される制御プログラムであって、
    前記工場内には、前記工場内の温度と前記工場内の湿度との影響により製造品質が変化するワークを製造するための製造装置が設置されており、
    前記制御プログラムは、前記コンピュータに、
    前記工場内の目標温度と前記工場内の目標湿度と前記空調装置の消費電力との相関関係を示す消費電力情報を取得するステップと、
    前記消費電力情報に示される目標温度と目標湿度との組み合わせに対して許容範囲の設定を受け付けるためのステップと、
    前記許容範囲内で消費電力が最小となる目標温度と目標湿度との組み合わせを前記空調装置の設定値として前記消費電力情報から特定するためのステップと、
    前記特定するステップで特定された設定値に基づいて、前記空調装置を制御するためのステップとを実行させる、制御プログラム。
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