JP2023077211A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023077211000001
【課題】低温定着性を有し、且つ、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、前記トナー粒子の体積平均粒径をdとしたとき、当該トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する前記結晶性樹脂のドメインの個数が、前記結晶性樹脂のドメインの総個数に対して30個数%以上90個数%以下である、静電荷像現像用トナー。
【選択図】図3

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
電子写真法等、画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電及び静電荷像形成により、像保持体の表面に画像情報として静電荷像を形成する。そして、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面にトナー画像を形成し、このトナー画像を記録媒体に転写した後、トナー画像を記録媒体に定着する。これら工程を経て、画像情報を画像として可視化する。
例えば、特許文献1には、結着樹脂、着色剤、離型剤及び可塑剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記離型剤のドメインの平均分散粒径をDw、前記離型剤のドメインの平均分散個数をNw、前記可塑剤のドメインの平均分散粒径をDc、前記可塑剤のドメインの平均分散個数をNcとしたとき、下記式(1)から下記式(4)を全て満たす静電荷像現像用トナーが開示されている。
Dw/Dc≧3・・・(1)
Nc/Nw≧5・・・(2)
0.3μm≦Dw≦3.0μm・・・(3)
0.045μm≦Dc≦0.9μm・・・(4)
特開2016-184134号公報
本開示は、結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、トナー粒子の体積平均粒径をdとしたとき、当該トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する結晶性樹脂のドメインの個数が、結晶性樹脂のドメインの総個数に対して30個数%未満又は90個数%超である場合に比較して、低温定着性を有し、且つ、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の態様を含む。
<1> 結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、
前記トナー粒子の体積平均粒径をdとしたとき、当該トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する前記結晶性樹脂のドメインの個数が、前記結晶性樹脂のドメインの総個数に対して30個数%以上90個数%以下である、静電荷像現像用トナー。
<2> 前記トナー粒子の表面から深さ0.05dまでの領域に存在する前記結晶性樹脂のドメインの個数が、前記結晶性樹脂のドメインの総個数に対して2個数%以下である、<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3> 前記トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域より内部に存在する前記離型剤のドメインの個数が、前記離型剤のドメインの総個数に対して70個数%以上である、<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4> 前記離型剤のドメイン径が0.5μm以上1.5μm以下である、<3>に記載の静電荷像現像用トナー。
<5> 前記結晶性樹脂のドメインのアスペクト比が、3以上30以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<6> 前記離型剤のドメインのアスペクト比Xに対する、前記結晶性樹脂のドメインのアスペクト比Yの割合(Y/X)が、0.2≦Y/X≦30の関係を満たす、<1>~<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<7> 前記結晶性樹脂のドメイン径Aと、前記離型剤のドメイン径Bと、が、A<Bの関係を満たす、<1>~<6>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<8> 前記離型剤のドメイン径Bに対する、前記結晶性樹脂のドメイン径Aの割合(A/B)が、0.2≦A/B<1の関係を満たす、<7>に記載の静電荷像現像用トナー。
<9> 結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、
前記トナー粒子内には前記結晶性樹脂のドメインが存在し、
前記トナー粒子に対する前記外添剤の離脱率が50%未満である、静電荷像現像用トナー。
<10> <1>~<9>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<11> <1>~<9>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<12> <10>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<13> 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
<10>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
<14> 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
<10>に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
<1>に係る発明によれば、結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、トナー粒子の体積平均粒径をdとしたとき、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する結晶性樹脂のドメインの個数が、結晶性樹脂のドメインの総個数に対して30個数%未満又は90個数%超である場合に比較して、低温定着性を有し、且つ、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
<2>に係る発明によれば、トナー粒子の表面から深さ0.05dまでの領域に存在する結晶性樹脂のドメインの個数が、結晶性樹脂のドメインの総個数に対して2個数%超である場合に比較して、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
<3>に係る発明によれば、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域より内部に存在する離型剤のドメインの個数が、離型剤のドメインの総個数に対して70個数%未満である場合に比較して、低温定着性を有し、且つ、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
<4>に係る発明によれば、離型剤のドメイン径が0.5μm未満又は1.5μm超である場合に比較して、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
<5>に係る発明によれば、結晶性樹脂のドメインのアスペクト比が、3未満又は30超である場合に比較して、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
<6>に係る発明によれば、上記割合(Y/X)が、0.2未満又は30超である場合に比較して、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
<7>に係る発明によれば、結晶性樹脂のドメイン径Aと離型剤のドメイン径Bとが、A≧Bの関係を満たす場合に比較して、低温定着性を有し、且つ、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
<8>に係る発明によれば、上記割合(A/B)が0.2未満である場合に比較して、低温定着性を有し、且つ、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
<9> 結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、トナー粒子内には結晶性樹脂のドメインが存在し、トナー粒子に対する外添剤の離脱率が50%以上である場合に比較して、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
<10>、<11>、<12>、<13>、又は<14>に係る発明によれば、結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、トナー粒子の体積平均粒径をdとしたとき、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する結晶性樹脂のドメインの個数が、結晶性樹脂のドメインの総個数に対して30個数%未満又は90個数%超である場合に比較して、低温定着性を有し、且つ、外添剤の離脱率が低い静電荷像現像用トナーを備えた、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、又は画像形成方法が提供される。
本開示に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本開示に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。 本開示に係る静電荷像現像用トナーにおける、トナー粒子の断面を示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態の例について詳細に説明する。この説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本明細書において、段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
また、数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、静電荷像現像用トナーは、単に、「トナー」ともいい、静電荷像現像剤は、単に、「現像剤」ともいう。
また、本明細書において、特に断りなく、単に「本開示に係るトナー」という場合は、後述する第1実施形態と第2実施形態との両方について述べるものとする。
<静電荷像現像用トナーの第1実施形態>
本開示に係る静電荷像現像用トナーの第1実施形態(以下、本開示に係るトナー(1)又はトナー(1)ともいう)は、結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、トナー粒子の体積平均粒径をdとしたとき、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する結晶性樹脂のドメインの個数が、結晶性樹脂のドメインの総個数に対して30個数%以上90個数%以下である。
トナーの低温定着性を達成するために、トナーが有するトナー粒子中に、結着樹脂として結晶性樹脂を含ませる手法が採用される。しかしながら、トナー粒子中に、結晶性樹脂と共に離型剤を含むと、低温定着性が損なわれる場合がある。これは、結晶性樹脂と離型剤とは共に極性が低く、トナー粒子中で結晶性樹脂と離型剤とが相溶してしまい、結晶性樹脂を含むことによる低温定着性の効果を阻害してしまうことによるものと推測される。そこで、トナー粒子中に結晶性樹脂を多く含ませることが検討されるが、この場合、結晶性樹脂がトナー粒子の表面に露出してしまう可能性が高くなる。結晶性樹脂は低抵抗であって電荷を漏洩し易い性質を有することから、結晶性樹脂がトナー粒子の表面に露出すると、トナー粒子と外添剤との静電的な付着力が弱くなり、トナー粒子から外添剤が脱離し易い。
そこで、本開示に係るトナー(1)が有するトナー粒子は、結晶性樹脂を含む結着樹脂と離型剤とを含有し、トナー粒子の体積平均粒径をdとしたとき、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域(以降、「外層部」ともいう)に存在する結晶性樹脂のドメインの個数が、結晶性樹脂のドメインの総個数に対して30個数%以上90個数%以下である、といった構成を有する。特に、このようなトナー粒子の外層部に、総個数のうちの30個数%以上90個数%以下の結晶性樹脂のドメインが存在するということは、低温定着性の発現に有利なトナー粒子の外層部に、低温定着性に寄与する十分な量の結晶性樹脂のドメインが存在しつつも、結晶性樹脂のドメインがトナー粒子の表面に露出している頻度は低いことを示している。そのため、このようなトナー粒子と外添剤とを有する本開示に係るトナー(1)は、外添剤の離脱率を低く抑えられるものと推測される。また、本開示に係るトナー(1)は、低温定着性にも優れる。
以下、トナー粒子中の結晶性樹脂のドメイン及び離型剤のドメインについて説明する。
まず、図3に示すトナー粒子の断面を参照して、結晶性樹脂のドメイン及び離型剤のドメインについて説明する。
図3は、本開示に係るトナーが有するトナー粒子の断面を示す模式図である。図3中に示す各符号は、TNはトナー粒子を、Cryは結晶性樹脂のドメインと、Waxは離型剤のドメインを、Amoは結着樹脂を、Tcgはトナー粒子の幾何学的な重心を、それぞれ示す。そして、トナー粒子TNの表面を示す実線から、表面からの深さ0.2dを示す鎖線までの領域が、トナー粒子の体積平均粒径をdとしたとき、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域、すなわち、外層部に該当する。
〔トナー(1)の好ましい態様〕
本開示に係るトナー(1)では、外層部に存在する結晶性樹脂のドメインの個数が、結晶性樹脂のドメインの総個数に対して30個数%以上90個数%以下であり、50個数%以上88個数%以下であることが好ましく、70個数%以上86個数%以下であることがより好ましい。
本開示に係るトナー(1)は、外添剤の離脱率の低減の観点から、トナー粒子の表面から深さ0.05dまでの領域(以下、「表層部」ともいう)に存在する結晶性樹脂のドメインの個数が、結晶性樹脂のドメインの総個数に対して2個数%以下であることが好ましく、1個数%以下であることがより好ましい。表層部に存在する結晶性樹脂のドメインの個数は、0であることが特に好ましい。
上記のように、外添剤の離脱率の低減の観点からは、トナー粒子においては、表層部に存在する結晶性樹脂のドメインの数が少ない程好ましい。
また、本開示に係るトナー(1)は、低温定着性の観点、及び外添剤の離脱率の低減の観点から、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域より内部(以下、単に「内部」ともいう)に存在する離型剤のドメインの個数が、離型剤のドメインの総個数に対して70個数%以上であることが好ましく、80個数%以上であることがより好ましく、90個数%以上であることが更に好ましい。内部に存在する離型剤のドメインの個数が、離型剤のドメインの総個数に対して100個数%である、すなわち、離型剤のドメインの全てが上記内部に存在していてもよい。
本開示に係るトナー(1)では、外添剤の離脱率の低減の観点から、離型剤のドメイン径が0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましく、0.6μm以上1.4μm以下であることがより好ましく、0.7μm以上1.3μm以下であることが更に好ましい。
離型剤のドメイン径が0.5μm以上であると、トナー粒子の内部に存在する離型剤のドメインに、結晶性樹脂のドメインが引き寄せられやすく、結晶性樹脂のドメインがトナー粒子の表面に露出し難くなる。その結果、外添剤の離脱率を低下させうる。また、離型剤のドメイン径が1.5μm以下であると、低温定着性も達成し易くなる。
本開示に係るトナー(1)では、外添剤の離脱率の低減の観点から、結晶性樹脂のドメインのアスペクト比が、3以上30以下であることが好ましく、5以上20以下であることがより好ましく、であることが更に好ましい。
結晶性樹脂のドメインのアスペクト比が30以下であることで、結晶性樹脂のドメインがトナー粒子の表面に露出し難くなり、外添剤の離脱率を低下させ易くなる。また、結晶性樹脂のドメインのアスペクト比が3以上であることで、低温定着性を達成し易くなる。
本開示に係るトナー(1)では、外添剤の離脱率の低減の観点から、離型剤のドメインのアスペクト比Xに対する、結晶性樹脂のドメインのアスペクト比Yの割合(Y/X)が、0.2≦Y/X≦30の関係を満たすことが好ましく、1.5≦Y/X≦25の関係を満たすことがより好ましく、3≦Y/X≦22の関係を満たすことが更に好ましい。
割合(Y/X)が0.2以上であることで、トナー粒子の内部の離型剤のドメインがトナー粒子の表層の結晶性樹脂のドメインを引き寄せる力のバラつきを抑制し、結晶性樹脂のドメインがトナー表層に露出し難くなり、外添剤の離脱率を低下させ易くなる。また、割合(Y/X)が30以下であることで、結晶性樹脂のドメインのトナー粒子の表面露出を抑制しつつ、低温定着性を達成し易くなる。
本開示に係るトナー(1)では、外添剤の離脱率の低減の観点から、結晶性樹脂のドメイン径Aと、離型剤のドメイン径Bと、が、A<Bの関係を満たすことが好ましい。また、同様の理由から、離型剤のドメイン径Bに対する、結晶性樹脂のドメイン径Aの割合(A/B)が、0.2≦A/B<1の関係を満たすことが好ましく、0.25≦A/B≦0.95の関係を満たすことがより好ましく、0.3≦A/B≦0.9の関係を満たすことが更に好ましい。
結晶性樹脂のドメイン径Aと、離型剤のドメイン径Bと、が、A<Bの関係を満たすことで、結晶性樹脂のドメインがトナー粒子の表面に露出し難くなり、外添剤の離脱率を低下させうる。
ここで、結晶性樹脂のドメイン径とは、結晶性樹脂のドメインの最大径(つまり、結晶性樹脂のドメインの輪郭線上の任意の2点に引いた直線の最大の長さ)を意味する。
また、離型剤のドメイン径とは、離型剤のドメインの最大径(つまり、離型剤のドメインの輪郭線上の任意の2点に引いた直線の最大の長さ)を意味する。
結晶性樹脂のドメインのアスペクト比は、結晶性樹脂のドメインの長軸長さと短軸長さとの比(長軸長さ/短軸長さ)を意味する。ここで、結晶性樹脂のドメインの長軸長さは、結晶性樹脂のドメインの最大径を指し、結晶性樹脂のドメインの短軸長さは、最大径に直交方向の長さのうち最大の長さを意味する。
離型剤のドメインのアスペクト比は、離型剤のドメインの長軸長さと短軸長さとの比(長軸長さ/短軸長さ)を意味する。ここで、離型剤のドメインの長軸長さは、離型剤のドメインの最大径を指し、離型剤のドメインの短軸長さは、最大径に直交方向の長さのうち最大の長さを意味する。
トナー粒子の表面から深さ0.2d又は0.05dまでの領域における「深さ」とは、トナー粒子の表面から重心に向かって延びる方向での、トナー粒子の表面からの距離を意味する。
以下、結晶性樹脂のドメイン及び離型剤のドメインの、ドメイン径及びアスペクト比の測定方法、並びに、これらのドメインの存在位置の確認方法について説明する。これらは、いずれも、トナーの断面観察により求められる。
トナー粒子の断面観察の方法は、次の通りである。
トナー粒子(又は外添剤が付着したトナー粒子)をエポキシ樹脂に混合して包埋し、エポキシ樹脂を固化する。得られた固化物を、ウルトラミクロトーム装置(Leica社製UltracutUCT)により切断し、厚さ80nm以上130nm以下の薄片試料を作製する。次に、得られた薄片試料を30℃のデシケーター内で四酸化ルテニウムにより3時間染色する。そして、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM、日立ハイテクノロジーズ社製S-4800)にて、染色された薄片試料の透過像モードのSTEM観察画像(加速電圧:30kV、倍率:20000倍)を得る。
トナー粒子中、コントラストと形状から結着樹脂(結晶性樹脂及び非晶性樹脂)と離型剤の判断を実施する。STEM観察画像において、ルテニウム染色された結晶性樹脂は、非晶性樹脂、離型剤等と比べ、離型剤以外の結着樹脂は二重結合部分を多く有し四酸化ルテニウムによって染色されるため、離型剤部分と離型剤以外の樹脂部分が識別される。より具体的には、ルテニウム染色により、離型剤が一番薄く染色され、次いで結晶性樹脂(例えば、結晶性ポリエステル樹脂)が染色され、非晶性樹脂(例えば、非晶性ポリエステル樹脂)が一番濃く染色される。コントラストを調整することで、離型剤は白色に、非晶性樹脂は黒色に、結晶性樹脂はライトグレー色のように観察される。このようにすることで、結晶性樹脂のドメイン及び離型剤のドメインが判別される。
STEM観察画像において、画像処理ソフト(例えば、WinROOF2015、三谷商事株式会社)でトナー粒子20個を抽出し、20個のトナー粒子について、以下の測定を行う。
まず、トナー粒子中の全ての離型剤のドメイン、全ての結晶性樹脂のドメインの位置を確認する。
そして、トナー粒子の体積平均粒径をdとしたときの、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する結晶性樹脂のドメインの個数をカウントする。このとき、「トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する」との判断は、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に、一部でも含まれているかどうかで行う。つまり、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に、一部でも含まれている結晶性樹脂のドメインは、「トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する」と判断する。
また、同様にして、トナー粒子の表面から深さ0.05dまでの領域に存在する結晶性樹脂のドメインの個数をカウントする。ここでも、「トナー粒子の表面から深さ0.05dまでの領域に存在する」との判断は、上記と同様であり、トナー粒子の表面から深さ0.05dまでの領域に、一部でも含まれている結晶性樹脂のドメインは、「トナー粒子の表面から深さ0.05dまでの領域に存在する」と判断する。
更に、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域の内側に存在する離型剤のドメインの個数をカウントする。このとき、「トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域の内側に存在する」との判断は、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域の内側に、その全体が含まれているかどうかで行う。つまり、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域の内部に、全体が含まれている離型剤のドメインは、「トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域の内側に存在する」と判断する。
上記の測定を20個のトナー粒子で行い、得られた20個分の値の算術平均値が採用される。
また、STEM観察画像において、画像処理ソフト(例えば、WinROOF2015、三谷商事株式会社)でトナー粒子20個を抽出し、20個のトナー粒子について、結晶性樹脂のドメイン及び離型剤のドメインの、ドメイン径及びアスペクト比の測定も行い、それぞれについて得られた20個分の値の算術平均値を求める。
なお、STEM画像には様々な大きさのトナー粒子断面が含まれるところ、トナー粒子断面の径がトナー粒子の体積平均粒径の50%以上であるトナー粒子断面を選択し、観察対象のトナー粒子とする。ここで、トナー粒子断面の径とは、トナー粒子断面と同じ面積をもつ円の直径(いわゆる円相当径)をいう。
また、トナー粒子の体積平均粒径dを含む、各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の体積平均粒径(d、D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
<静電荷像現像用トナーの第2実施形態>
本開示に係る静電荷像現像用トナーの第2実施形態(以下、本開示に係るトナー(2)又はトナー(2)ともいう)は、結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、トナー粒子内には結晶性樹脂のドメインが存在し、トナー粒子に対する外添剤の離脱率が50%未満である。
本開示に係るトナー(2)は、上述のように、トナー粒子に対する外添剤の離脱率が低い。
本開示に係るトナー(2)は、外添剤の離脱率が、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。トナー粒子に対する外添剤の離脱率は、低ければ低い程好ましい。トナー粒子に対する外添剤の離脱率の下限値としては、例えば、0%が挙げられ、10%であってもよい。
ここで、トナー粒子に対する外添剤の離脱率の測定方法は、実施例における外添剤の離脱率の測定方法を用いる。
本開示に係るトナー(2)は、トナー粒子の体積平均粒径をdとしたとき、トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域(すなわち、外層部)に存在する結晶性樹脂のドメインの個数が、結晶性樹脂のドメインの総個数に対して30個数%以上90個数%以下であることが好ましい。
本開示に係るトナー(2)における、トナー粒子の外層部に存在する結晶性樹脂のドメインの個数、トナー粒子の表層部に存在する結晶性樹脂のドメインの個数、及び、トナー粒子の内部に存在する離型剤のドメインの個数の好ましい態様は、それぞれ、上述した本開示に係るトナー(1)におけるこれらの項目の好ましい態様と同様である。
また、本開示に係るトナー(2)における、離型剤のドメイン径及び離型剤のドメインのアスペクト比、結晶性樹脂のドメイン径及び結晶性樹脂のドメインのアスペクト比、離型剤のドメイン径と結晶性樹脂のドメイン径との関係、並びに、離型剤のドメインのアスペクト比と結晶性樹脂のドメインのアスペクト比との関係の好ましい態様も、それぞれ、上述した本開示に係るトナー(1)におけるこれらの項目の好ましい態様と同様である。
以下、本開示に係るトナーについて詳細に説明する。
本開示に係るトナーは、トナー粒子と、外添剤と、を有する。
(トナー粒子)
トナー粒子は、結着樹脂、及び離型剤を含む。なお、トナー粒子は、着色剤、その他の添加剤を含んでもよい。
-結着樹脂-
結着樹脂は、結晶性樹脂を含み、好ましくは、結晶性樹脂と、結晶性樹脂のドメイン及び離型剤のドメインを分散するための非晶性樹脂と、を含む。
非晶性樹脂と結晶性樹脂との質量比(結晶性樹脂/非晶性樹脂)は、3/97以上50/50以下が好ましく、7/93以上30/70以下がより好ましい。
ここで、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱変化のみを有するものであり、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
一方、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
具体的には、例えば、結晶性樹脂とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味し、非晶性樹脂とは、半値幅が10℃を超える樹脂、又は明確な吸熱ピークが認められない樹脂を意味する。
ここで、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱変化のみを有するものであり、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
一方、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
具体的には、例えば、結晶性樹脂とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味し、非晶性樹脂とは、半値幅が10℃を超える樹脂、又は明確な吸熱ピークが認められない樹脂を意味する。
非晶性樹脂について説明する。
非晶性樹脂としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(例えばスチレンアクリル樹脂等)、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等の公知の非晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(特にスチレンアクリル樹脂)が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
なお、非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリル樹脂とを併用することも好ましい態様である。また、非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂セグメント及びスチレンアクリル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂を適用することも好ましい態様である。
特に、非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂セグメント及びスチレンアクリル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂を適用すると、エステル結合により左記の樹脂が結合している場合、エステル系の離型剤と相溶しやすくなるため、よりトナー溶融性に優れるため、凹凸のある記録媒体に、高速で、トナー載り量が多い画像を形成したときでも、より画像抜けが抑制される
・非晶性ポリエステル樹脂
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、芳香族ジオールがより好ましい。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂は、公知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
非晶性ポリエステル樹脂としては、未変性の非晶性ポリエステル樹脂以外に、変性の非晶性ポリエステル樹脂も挙げられる。変性の非晶性ポリエステル樹脂とは、エステル結合以外の結合基が存在する非晶性ポリエステル樹脂、ポリエステルとは異なる樹脂成分が共有結合又はイオン結合等で結合された非晶性ポリエステル樹脂である。変性の非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、イソシアネート基等の官能基を末端に導入した非晶性ポリエステル樹脂と活性水素化合物とを反応させて末端を変性した樹脂が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂は、全結着樹脂に占める割合が60質量%以上98質量%以下であることが好ましく、65質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。
・スチレンアクリル樹脂
スチレンアクリル樹脂は、スチレン系単量体(スチレン骨格を有する単量体)と(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル基を有する単量体、好ましくは(メタ)アクリロキシ基を有する単量体)とを少なくとも共重合した共重合体である。スチレンアクリル樹脂は、例えば、スチレン類の単量体と(メタ)アクリル酸エステル類の単量体との共重合体を含む。
なお、スチレンアクリル樹脂におけるアクリル樹脂部分は、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体のいずれか、又は、その両方を重合してなる部分構造である。また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、メタクロロスチレン、パラクロロスチレン、パラフルオロスチレン、パラメトキシスチレン、メタ-tert-ブトキシスチレン、パラ-tert-ブトキシスチレン、パラビニル安息香酸、パラメチル-α-メチルスチレン等が挙げられる。スチレン系単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)メタクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。(メタ)アクリル系単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体との重合比は、質量基準で、スチレン系単量体:(メタ)アクリル系単量体=70:30~95:5が好ましい。
スチレンアクリル樹脂は、架橋構造を有していてもよい。架橋構造を有するスチレンアクリル樹脂は、例えば、スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体と架橋性単量体とを共重合することで製造できる。架橋性単量体としては、特に制限されないが、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
スチレンアクリル樹脂の作製方法は、特に制限はなく、例えば、溶液重合、沈殿重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合が適用される。重合反応には、公知の操作(例えば、回分式、半連続式、連続式等)が適用される。
スチレンアクリル樹脂は、全結着樹脂に占める割合が0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。
非晶性樹脂の特性について説明する。
非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
非晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
非晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
結晶性樹脂について説明する。
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル樹脂(例えば、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等)等の公知の結晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、トナーの機械的強度及び低温定着性の点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
・結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香環を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族の重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば、主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオール等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、非晶性ポリエステル樹脂と同様に、公知の製造方法により得られる。
結晶性ポリエステル樹脂としては、α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸とα,ω-直鎖脂肪族ジオールとの重合体が好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸とα,ω-直鎖脂肪族ジオールとの重合体は、非晶性ポリエステル樹脂との相溶性が高いため、凹凸のある記録媒体に、高速で、トナー載り量が多い画像を形成したときでも、定着時のトナーの溶融性が高まり、離型剤の染み出し性も高まる。そのため、より画像抜けが抑制される。
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、2個のカルボキシ基をつなぐアルキレン基の炭素数が3以上14以下であるα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸が好ましく、前記アルキレン基の炭素数は4以上12以下がより好ましく、前記アルキレン基の炭素数は6以上10以下が更に好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,6-ヘキサンジカルボン酸(慣用名:スベリン酸)、1,7-ヘプタンジカルボン酸(慣用名:アゼライン酸)、1,8-オクタンジカルボン酸(慣用名:セバシン酸)、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、1,6-ヘキサンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、1,8-オクタンジカルボン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸が好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
α,ω-直鎖脂肪族ジオールとしては、2個のヒドロキシ基をつなぐアルキレン基の炭素数が3以上14以下であるα,ω-直鎖脂肪族ジオールが好ましく、前記アルキレン基の炭素数は4以上12以下がより好ましく、前記アルキレン基の炭素数は6以上10以下が更に好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール等が挙げられ、中でも、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジオールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸とα,ω-直鎖脂肪族ジオールとの重合体としては、画像抜け抑制の観点から、1,6-ヘキサンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、1,8-オクタンジカルボン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、及び1,10-デカンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種と、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種との重合体が好ましく、中でも、1,10-デカンジカルボン酸と1,6-ヘキサンジオールとの重合体がより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、全結着樹脂に占める割合が1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。
結晶性樹脂の特性について説明する。
結晶性樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下が好ましい。
結着樹脂の含有量は、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
-離型剤-
離型剤としては、例えば、パラフィンワックス等の炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
離型剤の融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤として、例えば、エステル系ワックスが好ましい。エステル系ワックスは、離型剤のドメインが球形化し易く、アスペクト比が小さな離形剤のドメインが得られる。
離型剤として、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスを用いてもよい。これらのワックスは、結晶成長し易く、エステル系ワックスに比べ、アスペクト比が大きな離形剤のドメインが得られる。
離型剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
トナー粒子の体積平均粒径d(D50vともいう)としては、2μm以上15μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
トナー粒子の平均円形度としては、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。
具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA-3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理をおこなって外添剤を除去したトナー粒子を得る。
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子の全質量に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
(トナーの製造方法)
次に、本開示に係るトナーの製造方法について説明する。
本開示に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、結晶性樹脂のドメインの配置、及び、離型剤のドメイン径の配置を制御し易い観点から、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する工程(粒子分散液準備工程)と、
樹脂粒子分散液と離型剤粒子分散液との混合分散液中で(必要に応じて、着色剤分散液を混合した後の混合分散液中で)、樹脂粒子及び離型剤(必要に応じて、着色剤等)を凝集させ、第1凝集粒子を形成する工程(第1凝集粒子形成工程)と、
第1凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子分散液と、を混合し、第1凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集する操作を、第2凝集粒子を形成する工程(第2凝集粒子形成工程)と、
第2凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子分散液を混合し、第2凝集粒子の表面に樹脂粒子を付着するように凝集し、第3凝集粒子を形成する工程(第3凝集粒子形成工程)と
第3凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、第3凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
以上の工程において、上記粒子分散液準備工程において、結晶性樹脂粒子分散液及び非晶性樹脂粒子分散液を準備する。
第1凝集粒子形成工程では、結晶性樹脂粒子分散液及び非晶性樹脂粒子分散液を用いることが好ましい。
第2凝集粒子形成工程では、非晶性樹脂粒子分散液を用いることが好ましい。
第3凝集粒子形成工程では、結晶性樹脂粒子分散液及び非晶性樹脂粒子分散液を用いることが好ましい。
以上の工程において、第1凝集粒子形成工程においてのみ、離型剤粒子分散液を用いることで、トナー粒子の内部に相当する第1凝集粒子中に、離型剤の多くが存在する形態を形成しうる。その後、第2凝集粒子形成工程において、離型剤のドメインを成長させた後、第3凝集粒子形成工程を行う。第3凝集粒子形成工程では、第1凝集粒子形成工程で用いた量よりも多くの結晶性樹脂粒子分散液を用いることで、トナー粒子の外層部に相当する第3凝集粒子形成工程で形成された被覆層中に、結晶性樹脂のドメインの多くが存在する形態を形成しうる。第3凝集粒子形成工程では、離型剤のドメインが存在する第2凝集粒子の外側に、結晶性樹脂のドメインが存在する被覆層を形成する。既述のように、離型剤と結晶性樹脂とは相溶する程であり、両者の間に互いを引き付ける作用が働くことから、第2凝集粒子に離型剤のドメインが存在すると、上記被覆層中にて、離型剤のドメインの方に結晶性樹脂のドメインが引き付けられる。その結果、結晶性樹脂のドメインは、被覆層に存在しているものの、トナー粒子の表面への露出を抑制しうる。
以上の工程において、第2凝集粒子形成工程において、凝集粒子の加熱条件(具体的には、加熱温度及び加熱時間)を制御することで、離型剤のドメイン径を調整しうる。例えば、高温で且つ長時間の加熱を行うことで、離型剤のドメイン径が大きくなる傾向にある。一方で、低温で且つ短時間の加熱を行うことで、離型剤のドメイン径が小さくなる傾向にある。
また、融合・合一工程を経た後、高温状態の粒子を冷却する際(冷却工程ともいう)の冷却条件(具体的には、冷却速度)を制御することで、トナー粒子中の結晶性樹脂のドメインのアスペクト比を調整しうる。冷却速度が遅いと、結晶性樹脂の結晶化が促進され、結晶性樹脂のドメインのアスペクト比が大きくなる傾向にある。一方で、冷却速度が早いと、結晶性樹脂のドメインのアスペクト比が小さくなる傾向にある。
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
-樹脂粒子分散液準備工程-
まず、結着樹脂となる各樹脂粒子が分散された各樹脂粒子分散液(非晶性樹脂粒子分散液及び結晶性樹脂粒子分散液)と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
-第1凝集粒子形成工程-
次に、樹脂粒子分散液(好ましくは、結晶性樹脂粒子分散液及び非晶性樹脂粒子分散液)と離型剤粒子分散液と着色剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と離型剤粒子と着色剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と離型剤粒子と着色剤粒子とを含む第1凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加した後、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、第1凝集粒子を形成する。
第1凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
凝集剤としての無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酢酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、非晶性樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
-第2凝集粒子形成工程-
次に、第1凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子分散液(好ましくは、結晶性樹脂粒子分散液)と、を混合する。当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子分散液及び離型剤樹脂粒子分散液の混合液と、を混合してもよい。
そして、第1凝集粒子及び樹脂粒子が分散された分散液中で、第1凝集粒子の表面に樹脂粒子を凝集する。
具体的には、例えば、第1凝集粒子形成工程において、第1凝集粒子が目的とする粒径に達したときに、第1凝集粒子分散液に、樹脂粒子分散液を添加し、この分散液に対して、樹脂粒子のガラス転移温度以下で加熱を行う。必要であれば、この凝集操作を、1回以上繰り返し、第2凝集粒子を形成する。なお、この際、加熱時間を延ばすことで、第2凝集粒子における離型剤のドメインの成長を促進させうる。
-第3凝集粒子形成工程-
第2凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子分散液を混合する。
そして、第2凝集粒子、及び樹脂粒子が分散された分散液中で、第2凝集粒子の表面に樹脂粒子を凝集する。
具体的には、例えば、第3凝集粒子形成工程において、第2凝集粒子が目的とする粒径に達したときに、第2凝集粒子分散液に、樹脂粒子分散液を添加し、この分散液に対して、樹脂粒子のガラス転移温度以下で加熱を行う。
そして、分散液のpHを調整し、凝集の進行を停止させる。
-融合・合一工程、冷却工程-
次に、第3凝集粒子が分散された第3凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10℃乃至30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
次いで、加熱により形成されたトナー粒子(即ち、高温状態のトナー粒子)を冷却する。ここで、加熱により形成されたトナー粒子を冷却する際、既述のように、冷却条件(具体的には、冷却速度)を制御することで、結晶性樹脂のドメインのアスペクト比を制御する。
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本開示に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<静電荷像現像剤>
本開示に係る静電荷像現像剤は、本開示に係るトナーを少なくとも含むものである。
本開示に係る静電荷像現像剤は、本開示に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
<画像形成装置/画像形成方法>
本開示に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本開示に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本開示に係る静電荷像現像剤が適用される。
本開示に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本開示に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本開示に係る画像形成方法)が実施される。
本開示に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
なお、本開示に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本開示に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本開示に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、本開示に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本開示に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本開示に係るプロセスカートリッジは、本開示に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
なお、本開示に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
以下、本開示に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本開示に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
次に、本開示に係るトナーカートリッジについて説明する。
本開示に係るトナーカートリッジは、本開示に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、量を示す「部」及び「%」とは、特に断りがない限り、質量基準である。
[樹脂粒子分散液の調製]
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)の作製>
(非晶性ポリエステル樹脂(A)の作製)
・テレフタル酸:70部
・フマル酸:30部
・エチレングリコール:41部
・1,5-ペンタンジオール:48部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ、及び精留塔を備えた内容量5リットルのフラスコに、上記の材料を仕込み窒素ガス気流下、1時間を要して温度を220℃まで上げ、上記材料100部に対してチタンテトラエトキシド1部を投入した。生成する水を留去しながら0.5時間を要して240℃まで温度を上げ、該温度で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量96000、ガラス転移温度61℃の非晶性ポリエステル樹脂(A)を合成した。
(非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)の調製)
温度調節手段及び窒素置換手段を備えた容器に、酢酸エチル40部及び2-ブタノール25部を投入し、混合溶剤とした後、非晶性ポリエステル樹脂(A)100部を徐々に投入し溶解させ、ここに、10%アンモニア水溶液(樹脂の酸価に対してモル比で3倍量相当量)を入れて30分間撹拌した。次いで、容器内を乾燥窒素で置換し、温度を40℃に保持して、混合液を撹拌しながらイオン交換水400部を2部/分の速度で滴下し、乳化を行った。滴下終了後、乳化液を25℃に戻し、体積平均粒径190nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。該樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を20%に調整して、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)とした。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)の作製>
(結晶性ポリエステル樹脂(B)の作製)
・1,10-デカンジカルボン酸:265部
・1,6-ヘキサンジオール:168部
・ジブチル錫オキサイド(触媒):0.3部
加熱乾燥した三口フラスコに、上記の成分を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌・還流を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させた。分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた「結晶性ポリエステル樹脂(B)」の重量平均分子量(Mw)は12700であり、融解温度は73℃であった。
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)の調製)
結晶性ポリエステル樹脂(B)を90質量部、イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬)を1.8質量部、イオン交換水を210質量部、を用い、120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行い、体積平均粒径が190nmであり,固形分量が20質量部である結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)とした。
[離型剤粒子分散液の作製]
<離型剤粒子分散液(W1)の調製>
エステル系ワックス(日油株式会社製、WEP-5、融解温度85℃)70部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンRK)を1質量部、及びイオン交換水200質量部を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した。分散液中の固形分量が20質量%となるようにイオン交換水を加え、着色剤粒子分散液(W1)を得た。着色剤粒子分散液における着色剤粒子の体積平均粒径は、195nmであった。
<離型剤粒子分散液(W2)の調製>
エステル系ワックス(日油株式会社製、WEP-5、融解温度85℃)を、パラフィンワックス(日本精鑞(株)製、HNP―0190、融解温度89℃)に変更した以外は、離型剤粒子分散液(W1)の調製と同様にして、離型剤粒子分散液(W2)を調製した。
<離型剤粒子分散液(W3)の調製>
エステル系ワックス(日油株式会社製、WEP-5、融解温度85℃)を、フィッシャートロプシュワックス(日本精鑞(株)製、FT-105)に変更した以外は、離型剤粒子分散液(W1)の調製と同様にして、離型剤粒子分散液(W3)を調製した。
[着色剤粒子分散液の作製]
<着色剤粒子分散液(C1)の調製>
・カーボンブラック(キャボット社製、Regal330):50部
・イオン系界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬):5部
・イオン交換水:193部
上記成分を混合し、アルティマイザ(スギノマシン社製)により240MPaで10分処理し、固形分濃度20%の着色剤粒子分散液(C1)を調製した。
<実施例1>
-トナー粒子の作製-
・イオン交換水:200部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A1):180部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1):20部
・着色剤粒子分散液(C1):25部
・離型剤粒子分散液(W1):35部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬株式会社:ネオゲンRK、20%):2.5部
上記成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した3リットルの反応容器に入れ、撹拌回転数150rpmにて、20分間保持した。その後、0.3N硝酸水溶液を添加し、系内のpHを3.5に調整した。
次に、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)で分散しながら、PAC(王子製紙株式会社製:30%粉末品)1.2部をイオン交換水10部に溶解させたPAC水溶液を添加し、その後、撹拌しながら、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.2μmとなるまで成長させた(第1凝集粒子形成工程)。
次に、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)20部を追添加し、20分間保持した後に、1Nの水酸化ナトリウムを用いてpH6.5に調整し、その後、75℃まで加熱して60分間保持した(第2凝集粒子形成工程)。
その後、50℃まで冷却し、0.3N硝酸水溶液を添加し、系内のpHを4.5に調整し、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)25部と結晶性ポリエステル樹脂分散液(B1)65部との混合液を追添加し、30分保持した。
次いで、10%のニトリロ三酢酸金属塩水溶液(キレスト70:キレスト社製)を15部添加し、更に1Nの水酸化ナトリウムを用いてpH9.5に調整した(第3凝集粒子形成工程)。
その後、80℃まで加熱し、120分間保持して融合・合一した粒子を、30℃まで2℃/分の速度で冷却した(融合・合一工程、及び冷却工程)。
得られたトナー粒子をイオン交換水にて再分散し、ろ過を繰り返して、ろ液の電気伝導度が20uS/cm以下になるまで洗浄を行った後、40℃のオーブンで5時間真空乾燥してトナー粒子を得た。
-トナーの作製-
得られたトナー粒子(1)100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル株式会社製、T805)を1.0部とを用い、これらをサンプルミルを用いて10,000rpm(revolutions per minute)で30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー(1)を調製した。
得られたトナー(1)中のトナー粒子(1)の体積平均粒径は6.4μmであった。
<実施例2~27、比較例1、2>
表1に従って、第1凝集粒子形成工程にて用いる離型剤粒子分散液の種類と使用量(仕込み量)、第2凝集粒子形成工程にてpHを調整した後の加熱温度及び保持時間、更に、融合・合一工程後の冷却工程にて80℃で加熱し、120分間保持して融合・合一した粒子の冷却速度を、適宜、変更した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(2)~(27)を得た。
そして、得られたトナー粒子を用い、実施例1と同様にして、トナー(2)~(27)を得た。
<特性>
各例のトナー中のトナー粒子について、既述の方法に従って、次の特性を測定した。
・トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する結晶性樹脂のドメインの個数割合[個数%]
・トナー粒子の表面から深さ0.05dまでの領域に存在する結晶性樹脂のドメインの個数割合[個数%]
・トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域より内部に存在する離型剤のドメインの個数割合[個数%]
・離型剤のドメイン径B
・結晶性樹脂のドメイン径A
・離型剤のドメインのアスペクト比X
・結晶性樹脂のドメインのアスペクト比Y
・離型剤のドメインのアスペクト比Xに対する、結晶性樹脂のドメインのアスペクト比Yの割合(Y/X)
離型剤のドメイン径Bに対する、結晶性樹脂のドメイン径Aの割合(A/B)
結果を表1及び表2に示す。
<静電荷像現像剤の作製>
得られたトナーを8質量部と樹脂被覆されたフェライトキャリア(平均粒子径35μm)100質量部を混合して二成分現像剤を調製し、現像剤(静電荷像現像剤)を得た。
得られた現像剤をそれぞれ、DocuPrint C2220(富士ゼロックス)の現像器に充填して、低温低湿下環境(10℃/15%RH)で24時間シーズニングした。
<評価>
(低温定着性)
各例で得られた現像剤を、富士ゼロックスのApeosport6-C7771改造機(定着機を定着温度が可変となるように改造)の現像器に充填し、定着器の定着ロール表面温度を60℃から10℃おきに200℃まで変え、各々の温度でソリッド部(トナー載り量:4.5g/m)及び細線部の画像出しを行なった。これらのソリッド部定着像のほぼ中央部分の内側に折り目を入れ、目視で定着像の破壊の評価を行い、問題ないレベルになった定着温度を最低定着温度(MFT(℃))とし、下記評価基準で評価した。MFT(℃)の値が小さい程、低温定着性に優れると評価する。結果を表1及び表2に示す。
-低温定着性の評価基準-
・G1:MFT≦110℃
・G2:110℃<MFT≦125℃
・G3:125℃<MFT≦140℃
・G4:140℃<MFT
(転写性)
温度28℃、湿度85%の環境下でDocuCentreColor400(富士ゼロックス)の改造機を用いて、画像濃度1%となるように長方形パッチを書いた画像サンプルをエンボス紙(特種東海製紙社製のレザック66、203gsm)に画像出力した後、画質評価(色抜け有無確認)を行った。得られた画像を目視で確認した場合に、以下の基準で転写性グレードを判定した。評価はG1~G3までを、実使用上の許容範囲とした。結果を表1及び表2に示す。
-転写性の評価基準-
・G1:エンボス紙の凹部において、色抜けが存在しない。
・G2:エンボス紙の凹部において、画像面積が10%以下の範囲で抜けが存在する
・G3:エンボス紙の凹部において、画像面積が30%未満の範囲で抜けが存在する
・G4:エンボス紙の凹部において、画像面積が30%以上の範囲で抜けが存在する
(外添剤の離脱率)
ガラス瓶に、イオン交換水とオクチルフェノールエトキシレート(トリトンX100水溶液(Acros Organics製))とを添加し、その混合液に評価対象のトナーを5g添加して、30回攪拌し、1時間以上静置する。その後、上記混合液を20回攪拌後、超音波ホモジナイザー(SONICS&MATERIALS有限会社製、製品名homogenizer、形式VCX750、CV33)を用いて、出力30%にダイヤルを設定し、以下の条件で超音波エネルギーを1分間付与する。次に、超音波エネルギーを付与した混合液をろ紙〔商品名:定性ろ紙(No.2、110mm)、アドバンテック東洋株式会社製〕を用いて吸引ろ過し、再度イオン交換水で2回洗浄し、遊離した粒子(外添剤)をろ過して除去後、トナーを乾燥させる。上記の処理により粒子除去後のトナーに残留する粒子量(以下、分散後粒子量と称する)と、上記の粒子を除去する処理を行っていないトナーの粒子量と(以下、分散前粒子量と称する)、を蛍光X線法で定量し、分散前粒子量及び分散後粒子量の値を下記式1に代入し、算出された値を粒子の離脱率とする。
式1 : 粒子(外添剤)の離脱率(質量%)=〔(分散前粒子量-分散後粒子量)/分散前粒子量〕×100
得られた粒子の離脱率の値を、外添剤の離脱率として、表1及び表2に示す。
Figure 2023077211000002
Figure 2023077211000003
上記結果から、本実施例は、低温定着性を有し、且つ、外添剤の離脱率が低いことが分かる。また、本実施例は、転写性にも優れることが分かった。
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
118 露光のための開口部
117 筐体
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)

Claims (14)

  1. 結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、
    前記トナー粒子の体積平均粒径をdとしたとき、当該トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域に存在する前記結晶性樹脂のドメインの個数が、前記結晶性樹脂のドメインの総個数に対して30個数%以上90個数%以下である、静電荷像現像用トナー。
  2. 前記トナー粒子の表面から深さ0.05dまでの領域に存在する前記結晶性樹脂のドメインの個数が、前記結晶性樹脂のドメインの総個数に対して2個数%以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記トナー粒子の表面から深さ0.2dまでの領域より内部に存在する前記離型剤のドメインの個数が、前記離型剤のドメインの総個数に対して70個数%以上である、請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記離型剤のドメイン径が0.5μm以上1.5μm以下である、請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記結晶性樹脂のドメインのアスペクト比が、3以上30以下である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記離型剤のドメインのアスペクト比Xに対する、前記結晶性樹脂のドメインのアスペクト比Yの割合(Y/X)が、0.2≦Y/X≦30の関係を満たす、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記結晶性樹脂のドメイン径Aと、前記離型剤のドメイン径Bと、が、A<Bの関係を満たす、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記離型剤のドメイン径Bに対する、前記結晶性樹脂のドメイン径Aの割合(A/B)が、0.2≦A/B<1の関係を満たす、請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 結晶性樹脂を含む結着樹脂及び離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、
    前記トナー粒子内には前記結晶性樹脂のドメインが存在し、
    前記トナー粒子に対する前記外添剤の離脱率が50%未満である、静電荷像現像用トナー。
  10. 請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
  11. 請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
    画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
  12. 請求項10に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
    画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  13. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    請求項10に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
    を備える画像形成装置。
  14. 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
    請求項10に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
    を有する画像形成方法。

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