JP2023076508A - ハイドロゲル組成物、生体組織の模型、及び生体組織の模型の製造方法 - Google Patents

ハイドロゲル組成物、生体組織の模型、及び生体組織の模型の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生体組織の模型の粘性を好適に維持しつつ、生体組織の模型の製造の時間及び費用を削減することが可能な、ハイドロゲル組成物、生体組織の模型、及び生体組織の模型の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】生体組織の模型を構成するハイドロゲル組成物は、ポリビニルアルコールと、シュードプラスチック性を有する化合物とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、生体組織の模型の成形材料等として用いられるハイドロゲル組成物、該ハイドロゲル組成物を用いた生体組織の模型、及び該ハイドロゲル組成物を用いた生体組織の模型の製造方法に関する。
特許文献1には、ポリビニルアルコールハイドロゲル組成物を成形材料とした生体組織の模型が開示されている。特許文献1に例示されるような生体組織の模型は、ディスペンサ等の装置を用いて、ポリビニルアルコールの溶液を生体組織の模型の鋳型へ吐出し、射出成形又は圧着成形されたポリビニルアルコールの溶液をゲル化することによって製造される。
特開2007-316434号公報
Kosukegawa, H.,Mamada,K.,Kuroki,K.,Liu,L.,Inoue,K.Hayase,T.and Ohta,M.,Mesurements of Dynamic Viscoelasticity of Poly(vinyl alcohol)Hydrogel for the Development of Blood Vessel Biomodeling,Journal of Fluid Science and Technology,、Vol.3,No.4(2008),pp.533-543
生体組織の模型の製造においては、ハイドロゲル組成物の粘性及び弾性を、実際の生体組織の粘性及び弾性と同一にするために、高濃度のポリビニルアルコールの溶液が用いられる場合がある。ポリビニルアルコールの溶液の粘度は、ポリビニルアルコールが高濃度になるにつれて増大する。したがって、高濃度のポリビニルアルコールの溶液を生体組織の模型の製造に用いた場合には、ポリビニルアルコールの溶液の吐出に大きなエネルギーを要することとなる。
また、ポリビニルアルコールの溶液が高濃度となり、ポリビニルアルコールの溶液の粘度が増大すると、ディスペンサのノズル部又はニードル部が目詰まりを起こす可能性が高くなる。ノズル部又はニードル部が目詰まりを起こすと、ポリビニルアルコールの溶液のディスペンサからの吐出量を一定に維持できなくなる。したがって、高濃度のポリビニルアルコールの溶液を生体組織の模型の製造に用いた場合には、ディスペンサの吐出量を一定に維持するためのメンテナンスの時間及び費用が増大することになる。
したがって、高濃度のポリビニルアルコールの溶液を用いて生体組織の模型を製造する場合には、生体組織の模型の作製のための時間及び費用が増大する可能性があるという課題があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、生体組織の模型の粘性を好適に維持しつつ、生体組織の模型の製造の時間及び費用を削減することが可能な、ハイドロゲル組成物、生体組織の模型、及び生体組織の模型の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のハイドロゲル組成物は、生体組織の模型を構成するハイドロゲル組成物であって、ポリビニルアルコールと、シュードプラスチック性を有する化合物とを含む。
また、本発明の生体組織の模型は、上述のハイドロゲル組成物を含む。
また、本発明の生体組織の模型の製造方法は、ポリビニルアルコールと、シュードプラスチック性を有する化合物とを含む溶液を生成する工程と、前記溶液を0.01~300sec-1のせん断速度で、前記生体組織の模型の鋳型に吐出する工程とを含む。
本発明によれば、ポリビニルアルコールとシュードプラスチック性を有する化合物とを用いることにより、生体組織の模型の粘性を好適に維持しつつ、生体組織の模型の製造の時間及び費用を削減することが可能な、ハイドロゲル組成物、生体組織の模型、及び生体組織の模型の製造方法を提供できる。
本発明のハイドロゲル組成物を構成するポリビニルアルコールの構造を示す化学式である。 本発明のハイドロゲル組成物の化学構造を示した概略図である。 本発明のハイドロゲル組成物の水素結合による架橋領域の一部を示した概略図である。 本発明の実施例2に係るポリビニルアルコール溶液の試料1~5における、せん断速度と動的粘度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るポリビニルアルコール溶液の試料1及び6~9における、せん断速度と動的粘度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例4に係るキサンタンガムを含有するハイドロゲル組成物の試料における、キサンタンガムの濃度と、0.5のひずみに対するヤング率との関係を示すグラフである。
[ポリビニルアルコール]
本発明のハイドロゲル組成物を構成するポリビニルアルコール1について説明する。
(ポリビニルアルコールの化学構造)
図1は、本発明のハイドロゲル組成物を構成するポリビニルアルコール1の構造を示す化学式である。なお、図1の化学式におけるm及びnは1以上の整数を表す変数である。
図1に示すように、ポリビニルアルコール1は、直鎖型の基本骨格2と、官能基3とからなる高分子化合物の合成樹脂である。ポリビニルアルコール1の基本骨格2は、化学式-CH-CH-で示されるm個の第1炭素水素骨格部2aと、第1炭素水素骨格部2aと同一の化学式-CH-CH-で示されるn個の第2炭化水素骨格部2bとから構成される。ポリビニルアルコール1においては、第1炭素水素骨格部2aと、第2炭化水素骨格部2bとは、炭素原子間の共有結合により、直鎖状にランダムに結合されている。官能基3は、1個の第1炭素水素骨格部2aにつき1個連結された疎水性のm個の酢酸基4(-COOCH)と、1個の第2炭化水素骨格部2bにつき1個連結された親水性のn個の水酸基5(-OH)とを有している。
(ポリビニルアルコールの製造方法)
工業製品としてのポリビニルアルコール1は、合成工程と、重合工程と、けん化工程とを含む工程で製造される。合成工程は、エチレン及び酢酸から単量体の酢酸ビニルを精製する工程とである。重合工程は、単量体の酢酸ビニルから、重合体のポリ酢酸ビニルを生成する工程である。けん化工程は、ポリ酢酸ビニルの酢酸基4の一部を水酸基5に置換する工程である。上述の工程で製造されたポリビニルアルコール1の沈殿物は水から分離されて精製され、結晶性のポリビニルアルコール1が製造される。結晶性のポリビニルアルコール1は乾燥により水分が除去され、ポリビニルアルコール1の乾燥物となる。ポリビニルアルコール1の乾燥物は、必要に応じて粉砕加工され、顆粒状又は粉末状の工業製品として用いられる。
(ポリビニルアルコールの工業上の用途)
ポリビニルアルコール1は、生体組織の模型を作製する成形材料として用いられる他、人工関節等の生体適合性材料の原料、化粧品原料、及び医薬品添加物としても用いられる。
ポリビニルアルコール1は、上述の他にも多様な用途で用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール1は、合成繊維であるビニロンの原料、フラットパネルディスプレイ用光学フィルムである偏光子フィルムの原料、及びアセタール樹脂の原料としても用いられる。その他、ポリビニルアルコール1は、繊維加工剤、紙加工用のコーティング剤、紙加工用のバインダ、接着剤、液体のり、玩具又は理科教材等に用いられるスライム、塩化ビニルの重合安定剤、無機物のバインダ等としても用いられている。
[ハイドロゲル組成物]
次に、本発明のハイドロゲル組成物10の化学構造について、図2を用いて説明する。
(ハイドロゲル組成物の化学構造)
図2は、本発明のハイドロゲル組成物10の化学構造を示した概略図である。なお、本発明のハイドロゲル組成物10は、ポリビニルアルコール1の樹脂を含み、ポリビニルアルコールハイドロゲルとも称される。また、ポリビニルアルコールハイドロゲルはPVA-Hと略称される場合もある。
ゲル組成物とは、鎖状の高分子化合物に含まれる特定の原子又は原子団において、高分子化合物同士が部分的に結合されて三次元の網目構造を構成し、三次元の網目構造の内部に流動性を失い束縛された低分子の溶媒を含有する組成物をいう。本発明では、溶媒として網目構造の内部に水を含有するゲル組成物、又は溶媒として網目構造の内部に、水と水に対して混和性のある有機溶媒との混合溶媒を含有するゲル組成物を「ハイドロゲル組成物」と称する。
図2に示すように、ハイドロゲル組成物10の網目構造は、高分子化合物において直鎖状に結合された炭素鎖部分である高分子鎖12と、第1高分子鎖12aと、第2高分子鎖12bとの間の結合領域である架橋領域14とを有している。なお、図2では図示できないが、第2高分子鎖12bは、第1高分子鎖12aとはねじれの位置で隣接しており、架橋領域14で立体的に結合されている。言い換えると、ハイドロゲル組成物10の三次元の網目構造は、第1高分子鎖12aと第2高分子鎖12bとを結合する架橋領域14によって構成される。
(ハイドロゲル組成物の溶媒)
また、図2に示すように、ハイドロゲル組成物10は、高分子鎖12と架橋領域14とにより構成された三次元の網目構造の網目部分16に束縛されて流動性を失った低分子の溶媒18を含んでいる。図示しないが、溶媒18の分子は、高分子鎖12から分子間力による強い引力を受けるため、三次元の網目構造の近傍においては溶媒18の分子の自由度が最も低くなる。すなわち、三次元の網目構造の近傍においては溶媒18の分子の束縛力が最も大きくなる。また、溶媒18の分子は、三次元の網目構造から離れるに従い、溶媒18の分子の自由度が高くなり、溶媒18の分子の束縛力が小さくなる。
ハイドロゲル組成物10においては、低分子の溶媒18としては、限定しないが、例えば、水と水に対して混和性がある有機溶媒との混合溶媒、水、又は生理食塩水を用いることができる。
溶媒18に好適な水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水等があるが、これに限定されない。
また、水に対して混和性がある有機溶媒としては限定しないが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等の炭素数1~4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、エチレングリコール、プリピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルコールエーテル類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等を用いることができる。上述の有機溶媒は、保湿性付与、抗菌性付与、防黴性付与、導電性付与、粘性又は弾性の調整等の目的に応じて選択することができる。また、上述の有機溶媒としては、いずれか一種類の有機溶媒のみを単独で用いてもよいし、二種類以上の有機溶媒を用いてもよい。
好適な有機溶媒としては、例えば、アセトン、ジメチルホルムアミド、グリセリン、又はジメチルスルホキシド等がある。本発明に最も好適な有機溶媒は、ハイドロゲル組成物10に適度な弾性を与えることが可能なジメチルスルホキシドである。また、ジメチルホルムアミドはDMFとも略称される。
ハイドロゲル組成物10は、ポリビニルアルコール1を低分子の溶媒18に溶解した溶液をゲル化することによって製造される。具体的な製造方法は後述する。
(ハイドロゲル組成物の架橋領域)
本発明においては、ハイドロゲル組成物10の架橋領域14は、水酸基5の水素結合により物理架橋された架橋構造のみを有しており、共有結合により高分子化合物同士を架橋結合させた、化学架橋された架橋構造を有しない構成にできる。
図3は、本発明のハイドロゲル組成物10の水素結合による架橋領域14の一部を示した概略図である。図3におけるポリビニルアルコール1の直鎖型のアルキル鎖である基本骨格2は、図2のハイドロゲル組成物10における高分子鎖12に対応している。また、図3に示すように、本発明においては、ハイドロゲル組成物10の架橋領域14は、ポリビニルアルコール1の官能基3である水酸基5の水素結合により、物理架橋されている。
すなわち、ハイドロゲル組成物10における、ポリビニルアルコール1の樹脂は、三次元の網目構造を有している。また、ハイドロゲル組成物10は、ポリビニルアルコール1の樹脂の三次元の網目構造の内部に流動性を失い束縛された低分子の溶媒18を有している。
(ハイドロゲル組成物の物理的特性)
ハイドロゲル組成物10は、ポリビニルアルコール1の重合度及びけん化度、並びに、ハイドロゲル組成物10に含まれるポリビニルアルコール1の含有量等の違いによって、多様な物理的特性を呈する。したがって、ハイドロゲル組成物10を用いることにより、多様な生体組織の模型を作製することができる。ここでは、ハイドロゲル組成物10の物理的特性を決定するパラメータの一部である、ポリビニルアルコール1の重合度及びけん化度、並びにハイドロゲル組成物10におけるポリビニルアルコール1の含有量について説明する。
(ポリビニルアルコールの重合度)
ポリビニルアルコール1の重合度は、ポリビニルアルコール1の基本骨格2の長さに対応するものであり、重合度が大きくなるにつれて、ポリビニルアルコール1の基本骨格2が長くなり、ポリビニルアルコール1の分子量が大きくなる。ポリビニルアルコール1の重合度は、重合工程におけるポリ酢酸ビニルの重合度により決定される。ポリビニルアルコール1の重合度は、例えば、ゲル透過クロマトグラフィ等の液体クロマトグラフィ法で分子量を測定することにより算出される。
また、ポリビニルアルコール1の重合度(DP)は、図1に示した変数m及び変数nを用いた場合、以下の数式(1)で算出される。
DP=m+n …(1)
ポリビニルアルコール1の重合度が大きくなるにつれて、ハイドロゲル組成物10の粘性、皮膜強度、耐水性等の物理特性が上昇する。また、ポリビニルアルコール1の重合度が大きくなるにつれて、低温におけるハイドロゲル組成物10の粘度安定性等の物理特性が低下する。また、ポリビニルアルコール1の重合度が大きくなるにつれて、ポリビニルアルコール1の分子量及び分子間力が上昇するため、ポリビニルアルコール1の溶解性が低下し、粘性が上昇する。
(ポリビニルアルコールのけん化度)
ポリビニルアルコール1のけん化度は、ポリビニルアルコール1の官能基3における水酸基5の割合(RH)に対応するものであり、けん化度が大きくなるにつれて、ポリビニルアルコール1の水酸基5の量が多くなる。ポリビニルアルコール1のけん化度は、けん化工程で酢酸基4から置換された、ポリビニルアルコール1における水酸基5の量により決定される。ポリビニルアルコール1のけん化度は、例えば、水酸化ナトリウムを用いてポリビニルアルコール1の酢酸基4の量を定量することによって算出される。具体的には、けん化度(DS)は、定量した酢酸基4の量を、ポリビニルアルコール1の官能基3における酢酸基4の割合(RA)としてモル百分率単位、すなわちモル%単位に換算することにより、以下の数式(2)でモル%単位の数値として算出される。
DS=RH=1-RA …(2)
また、ポリビニルアルコール1のけん化度(DS)は、図1に示した変数m及び変数nを用いた場合、以下の数式(4)でモル%単位の数値として算出される。
DS={n/(m+n)}×100 …(3)
ポリビニルアルコール1のけん化度が大きくなるにつれて、ハイドロゲル組成物10の粘性、皮膜強度、耐水性等の物理特性が上昇する。また、ポリビニルアルコール1のけん化度が大きくなるにつれて、低温におけるハイドロゲル組成物10の粘度安定性等の物理特性が低下する。また、ポリビニルアルコール1のけん化度が大きくなるにつれて、ポリビニルアルコール1が容易に結晶化されるため、ポリビニルアルコール1の溶解性が低下し、粘性が上昇する。
(ハイドロゲル組成物におけるポリビニルアルコールの含有量)
ハイドロゲル組成物10におけるポリビニルアルコール1の含有量は、ハイドロゲル組成物10の重量に対するポリビニルアルコール1の重量の割合として、重量%単位で算出される。ハイドロゲル組成物10は、ポリビニルアルコール1の含有量が大きくなるにつれて、ポリビニルアルコール1が容易に結晶化されるため、ポリビニルアルコール1の溶解性が低下し、ハイドロゲル組成物10の粘性が上昇する。
(シュードプラスチック性を有する化合物による物理的特性の調整)
本発明では、ポリビニルアルコール1の含有量を小さくすることによりポリビニルアルコール1の溶解性を向上させ、かつハイドロゲル組成物10の粘性を維持する増粘剤として、シュードプラスチック性を有する化合物が用いられる。シュードプラスチック性とは、流体に圧力等が印加されたときに、流体の粘性が低下する性質のことをいう。シュードプラスチック性を有する化合物は、例えば、キサンタンガム、ウルトラキサンタンガム、グァーガム、ウェランガム、ダイユータンガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ランザンガム、カラギーナン、プルラン、カードラン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、メチルセルロース、アクリル、並びにその塩及び誘導体、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
キサンタンガムは、シュードプラスチック性を有する化合物の代表例であり、トウモロコシデンプン等のデンプンを発酵させることにより生成される多糖類である。キサンタンガムは、水との混合により粘性を生じる性質を有しており、増粘剤又は増粘安定剤として、化粧品、食品添加物等に用いられる。本発明においては、キサンタンガムをハイドロゲル組成物10に添加することにより、ポリビニルアルコール1の含有量を小さくし、ポリビニルアルコール1の溶解性を向上させることができる。また、ポリビニルアルコール1の含有量を小さくしたことによる、ハイドロゲル組成物10の粘性の低下を回避することができる。
[生体組織の模型]
次に、ハイドロゲル組成物10を用いた生体組織の模型について説明する。本発明の生体組織の模型は、ハイドロゲル組成物10を用いることにより、特に、粘性、弾性、及び水分保持性等の物理特性が、実際の生体軟組織の物理特性に類似した生体軟組織の模型として作製できる。
なお、以降の説明では、「生体軟組織」とは、具体的に指定しない限り、骨、歯、軟骨等の生体の硬組織を除く生体組織を意味するものとする。生体軟組織は、限定しないが、例えば、血管組織、口腔粘膜等の口腔軟組織、鼻腔粘膜等の鼻腔軟組織、耳腔粘膜等の耳腔軟組織、脳、心臓、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、肺、胃、小腸、大腸、子宮、食道等の内臓組織、皮膚組織、筋肉組織、眼球組織等を含むものとする。また、「生体硬組織」とは、骨、歯、軟骨等の生体の硬組織を意味するものとする。
(生体軟組織の模型におけるポリビニルアルコールの重合度)
生体軟組織の模型を作製する場合、重合度が1000~2000のポリビニルアルコール1が用いられる。ポリビニルアルコール1の重合度が1000未満である場合、ハイドロゲル組成物10の皮膜強度の低下により、生体軟組織の模型の弾性が実際の生体軟組織の弾性よりも低下する。また、ポリビニルアルコール1の重合度が2000を超えると、ハイドロゲル組成物10の粘性の上昇により、生体軟組織の模型の粘性が実際の生体軟組織の粘性よりも上昇する。また、ハイドロゲル組成物10の粘性の上昇により、生体軟組織の模型の静止表面摩擦係数が実際の生体軟組織の静止表面摩擦係数よりも大きくなる。したがって、ポリビニルアルコール1の重合度が1000未満である場合、又は2000を超える場合、生体軟組織の模型の触感等の官能性が低下する。
(生体軟組織の模型におけるポリビニルアルコールのけん化度)
また、本発明の生体組織の模型として、生体軟組織の模型を作製する場合、けん化度が85モル%以上のポリビニルアルコール1が用いられる。ポリビニルアルコール1のけん化度が85モル%未満である場合、ポリビニルアルコール1の樹脂の皮膜強度の低下により、生体軟組織の模型の弾性が実際の生体軟組織の弾性よりも低下する。
ポリビニルアルコール1のけん化度は、100モル%に近くなるにつれて、ポリビニルアルコール1の溶媒18への溶解度を向上させることができる。一方、ポリビニルアルコール1のけん化度が98モル%を超えると、ポリビニルアルコール1の樹脂の粘性が上昇することにより、生体軟組織の模型の粘性が実際の生体軟組織の粘性よりも上昇する場合がある。また、ハイドロゲル組成物10の粘性の上昇により、生体軟組織の模型の静止表面摩擦係数が実際の生体軟組織の静止表面摩擦係数よりも大きくなる場合がある。したがって、けん化度が98モル%を超えるポリビニルアルコール1を用いて生体軟組織の模型を作製する場合は、ハイドロゲル組成物10の粘性が上昇しないように、ポリビニルアルコール1の含有量を低減することが必要となる。
また、生体軟組織の模型を作製する場合、けん化度が85モル%以上であり、かつ重合度が1000~2000である、一種類のポリビニルアルコール1のみを単独で用いて、ポリビニルアルコール樹脂を生成することができる。また、けん化度又は重合度が異なる二種類以上のポリビニルアルコール1を用いて、けん化度の平均値が85モル%以上であり、かつ重合度の平均値が1000~2000であるポリビニルアルコール樹脂を生成することもできる。なお、本願において、「平均けん化度」との用語は、一種類のポリビニルアルコール1のみを単独で用いた場合における「けん化度」、及び二種類以上のポリビニルアルコール1を用いた場合における「けん化度の平均値」の双方に対応するものとする。また、本願において、「平均重合度」との用語は、一種類のポリビニルアルコール1のみを単独で用いた場合における「重合度」、及び二種類以上のポリビニルアルコール1を用いた場合における「重合度の平均値」の双方に対応するものとする。
ポリビニルアルコール1は、前述した製造方法で製造することができる。また、ポリビニルアルコール1は、市場から入手可能な工業製品を用いることができる。けん化度が97モル%以上であり、かつ重合度が500~3000であるポリビニルアルコール1は、完全けん化型の工業製品として販売されている。例えば、完全けん化型のポリビニルアルコール1は、日本酢ビ・ポバール株式会社から、JF-05、JF-10、JF-17、JF-20、V、VO、及びVC-10等の商品名で工業製品として販売されている。また、完全けん化型のポリビニルアルコール1は、株式会社クラレから、例えば、PVA-105、PVA-110、PVA-117、PVA-117H、PVA-120、及びPVA-124等の商品名で工業製品として販売されている。上述のうち、けん化度が99モル%以上であり、かつ重合度が500~2000であるポリビニルアルコール1は、日本酢ビ・ポバール株式会社のJF-17、JF-20、V、VO、及びVC-10、並びに株式会社クラレのPVA-117Hとの商品名の工業製品が該当する。
また、二種類以上のポリビニルアルコールを用いてハイドロゲル組成物10を提供する場合には、けん化度が70~90モル%であり、かつ重合度が500~3000であるポリビニルアルコールを、完全けん化型のポリビニルアルコールと混合して用いてもよい。
けん化度が70~90モル%であり、かつ重合度が500~3000であるポリビニルアルコール1は、前述した製造方法で製造することができる。また、けん化度が70~90モル%であり、かつ重合度が500~3000であるポリビニルアルコール1は、市場から入手可能な部分けん化型の工業製品として販売されている。例えば、部分けん化型のポリビニルアルコール1は、日本酢ビ・ポバール株式会社から、JP-05、JP-10、JP-15、JP-20、JP-24、VP-18、及びVP-20等の商品名で工業製品として販売されている。また、第2ポリビニルアルコールは、株式会社クラレから、例えば、PVA-205、PVA-210、PVA-217、PVA-220、及びPVA-224等の商品名で工業製品として販売されている。
なお、ポリビニルアルコール1としては、粉末状又は顆粒状の乾燥物のいずれの乾燥物も用いることができる。しかしながら、乾燥物の溶解性及び精製度の高さを考慮した場合、ポリビニルアルコール1は、粉末状の乾燥物が好適である。
(生体軟組織の模型におけるポリビニルアルコールの含有量)
血管組織等の生体軟組織の模型を作製する場合、5~20重量パーセントのポリビニルアルコール1の溶液が用いられる。ハイドロゲル組成物10は、ポリビニルアルコール1の含有量が20重量パーセントを超えると、ポリビニルアルコール1が容易に結晶化されるため、ハイドロゲル組成物10の粘性が生体軟組織の許容範囲より上昇する。また、ハイドロゲル組成物10は、ポリビニルアルコール1の含有量が20重量パーセントを超えると、ポリビニルアルコール1の溶解性が低下する。一方、ハイドロゲル組成物10は、ポリビニルアルコール1の含有量が5重量パーセント未満になると、ポリビニルアルコール1の溶解性が上昇するものの、ポリビニルアルコール1の結晶化が阻害されるため、ハイドロゲル組成物10の粘性が低下する。
[ハイドロゲル組成物への他の添加物]
(ゲル化剤)
なお、ハイドロゲル組成物10には、必要に応じて、水素結合による物理架橋の補助剤として少量のゲル化剤を添加することができる。ゲル化剤としては限定しないが、例えば四ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩が用いられる。また、ハイドロゲル組成物10に対するゲル化剤の添加量は、限定しないが、例えば5重量%以下とすることができる。
(防腐剤)
また、ハイドロゲル組成物10には、必要に応じて、保存性を付与するための防腐剤を少量添加することができる。防腐剤としては限定しないが、例えば、デヒドロ酢酸塩、ソルビン酸塩、安息香酸塩、ぺンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム、2,4-ジメチル-6-アセトキシ-m-ジオキサン、1,2-ベンズチアゾリン-3-オン等が添加される。ハイドロゲル組成物10に対する防腐剤の添加量は、限定しないが、例えば1重量%以下とすることができる。
(染料又は顔料等の着色剤)
また、ハイドロゲル組成物10には、生体組織の模型において実際の生体組織の色彩を再現するために、必要に応じて着色剤を少量添加することができる。ハイドロゲル組成物10に対する着色剤の添加量は、限定しないが、例えば1重量%以下とすることができる。着色剤としては、限定しないが、例えば、ブラック染料、マゼンタ染料、シアン染料、及びイエロー染料等の染料、又は、赤色顔料若しくはマゼンタ顔料、青色顔料若しくはシアン顔料、緑色顔料、黄色顔料、及び黒色顔料等の色彩の顔料を用いることができる。
(水膨潤性層状粘土鉱物)
また、生体組織の模型として、例えば心臓等の臓器の模型を作製する場合、臓器の模型の弾性等の物理特性を実際の臓器の物理特性と類似させるために、水膨潤性層状粘土鉱物を必要に応じてハイドロゲル組成物10に添加することができる。水膨潤性層状粘土鉱物は、溶媒18に分散可能であり、層状構造を有する粘土鉱物であり、水膨潤性層状粘土鉱物の添加量は、限定しないが、例えば1~5重量%とすることができる。水膨潤性層状粘土鉱物としては、限定しないが、例えば、水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリナイト、及び水膨潤性サポナイト等の水膨潤性スメクタイト、並びに水膨潤性合成雲母等の水膨潤性雲母を用いることができる。また、水膨潤性スメクタイト及び水膨潤性雲母は、ナトリウムイオンを粘土鉱物層の間に含む粘土鉱物にできる。
ハイドロゲル組成物10に水膨潤性層状粘土鉱物を添加することにより、臓器の模型の弾性等の物理特性、すなわち機械的強度を、実際の臓器の機械的強度と類似させることができる。言い換えると、ハイドロゲル組成物10に水膨潤性層状粘土鉱物を添加することにより、臓器の模型の触感等の官能性を実際の臓器と類似させることができる。したがって、ハイドロゲル組成物10に水膨潤性層状粘土鉱物を添加することにより、例えば、手術用メス等による切開時の触感を実際の臓器の触感と類似させることができるため、手術の練習に好適な臓器の模型を提供することができる。
以上に示したように、ハイドロゲル組成物10を用いることにより、粘性又は弾性等の物理特性を実際の生体組織の物理特性に類似させることが可能な生体組織の模型を提供することができる。特に、本発明のハイドロゲル組成物10を用いて、生体組織の模型として生体軟組織の模型を作製する場合に、生体軟組織の剥離又は切開等の手術の練習に適した生体組織の模型を提供することができる。
[生体組織の模型の製造方法]
次に、ハイドロゲル組成物10を用いた生体組織の模型の製造方法の例を具体的に説明する。以降の説明では、生体組織の模型として、血管組織、口腔軟組織等の生体軟組織の模型が作製される場合を考える。
生体組織の模型は、ポリビニルアルコール1を溶媒18に添加する工程と、ポリビニルアルコール1の溶液を生成する工程と、生成したポリビニルアルコール1の溶液を生体組織の模型の鋳型に射出する工程と、生体組織の模型の鋳型に射出されたポリビニルアルコール1の溶液をゲル化させて生体組織の模型を作製する工程とを含む方法により製造できる。
(ポリビニルアルコールの溶媒への添加)
ポリビニルアルコール樹脂を構成するポリビニルアルコール1は、例えば、上述したけん化度が99モル%以上であり、かつ重合度が500~2000である完全けん化型のポリビニルアルコール1の粉末とすることができる。溶媒18に添加されるポリビニルアルコール1の量は、好適なハイドロゲル組成物10の物理特性を得るために、任意の量とすることができる。例えば、生体組織の模型を血管組織の模型とする場合は、17重量部のポリビニルアルコール1を溶媒18に添加することにより生成できる。なお、ポリビニルアルコール1は、2種類以上のポリビニルアルコール1の粉末の混合物としてもよい。
生体組織の模型の製造のための溶媒18としては、例えば、ポリビニルアルコール1の溶解性に優れ、低温で凍結しない混合溶媒である、水とジメチルスルホキシドとの混合溶媒が用いられる。なお、ジメチルスルホキシドは以降の説明において、DMSOと略称する。
また、混合溶媒における水に対するDMSOの重量比は、限定しないが、例えば、1~10とすることができる。本発明のハイドロゲル組成物10の製造における水に対するDMSOの好適な重量比は、1~5である。生体組織の模型の製造における水に対するDMSOの最も好適な重量比は、4である。
また、キサンタンガム等の増粘剤、及びその他の上述したハイドロゲル組成物10に含まれる添加物も、次に述べるポリビニルアルコール1の溶液を生成する工程の前に溶媒18に添加される。
(ポリビニルアルコールの溶液の生成)
ポリビニルアルコール1が添加された溶媒18は加熱され、攪拌装置等で攪拌しながら溶媒18に溶解され、ポリビニルアルコール1の溶液が生成される。溶媒18の加熱温度は、例えば60~120℃にできる。また、ポリビニルアルコール1の溶解度等を考慮した場合、溶媒18の好適な加熱温度は、100~120℃である。なお、溶媒18における水の沸点等を考慮した場合、溶媒18の最も好適な加熱温度は、100℃である。
なお、ポリビニルアルコール1の混合物の溶媒18への溶解は、開放下で行っても、密閉下で行ってもよいが、不純物の混入を防ぐこと等に配慮すれば、密閉下で行うことが好適である。
(ポリビニルアルコールの溶液の生体組織の模型の鋳型への射出)
生成されたポリビニルアルコール1の溶液は、生体組織の模型の鋳型に射出される。例えば、ポリビニルアルコール1の溶液は、150~160kg/cmの加圧条件下で、生体組織の模型の鋳型へ射出することにより、生体組織の模型の鋳型に注入される。ポリビニルアルコール1の溶液の射出時の加圧条件を150~160kg/cmとすることにより、生体組織の模型の鋳型に注入されたポリビニルアルコール1の溶液に生じる気泡を少なくできる。したがって、ポリビニルアルコール1の溶液の射出時の加圧条件を150~160kg/cmとすることにより、生体組織の模型の鋳型に注入されたポリビニルアルコール1の溶液を均質化することができる。
生体組織の模型の鋳型は、例えば、切削加工、光造形、又は3次元プリンタ等の造形装置を用いた造形処理等により製造できる。生体組織の模型の鋳型の材料は、ハイドロゲル組成物10を生体組織の形状に作製できる材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、石英ガラス、金属、石膏、ワックス、又は合成樹脂等の材料を用いることができる。例えば、生体組織の鋳型の材料として、黄銅、ステンレス鋼、ニッケルチタン、又はアルミナ等の金属が用いられた場合、凍結処理時の熱伝導が向上し、凍結時間が低減できる。
(ポリビニルアルコールの溶液のゲル化)
次いで、ポリビニルアルコール1の溶液が注入された生体組織の模型の鋳型は、凍結処理される。凍結処理により、生体組織の模型の鋳型の内部のポリビニルアルコール1の溶液は、複数の高分子鎖と、複数の高分子鎖を相互に結合する架橋領域とを有する三次元の網目構造のポリビニルアルコール樹脂と、三次元の網目構造の網目部分に束縛されて流動性を失った溶媒18とを含有するポリビニルアルコールハイドロゲルにゲル化される。ポリビニルアルコール1の溶液をゲル化するための凍結温度は、例えば-20℃以下とすることができる。また、生体組織の模型、すなわちハイドロゲル組成物10の粘性及び弾性等の物理特性を考慮した場合、生体組織の模型の鋳型の好適な凍結処理温度は-40~-20℃以下であり、最も好適な凍結温度は-30℃である。また、生体組織の模型の鋳型の好適な凍結処理時間は、24時間以上であり、最も好適な凍結処理時間は24時間である。また、生体組織の模型の鋳型の凍結処理回数は、ハイドロゲル組成物10の物理特性にも配慮し、複数回とすることができる。その後、生体組織の模型は、生体組織の模型の鋳型から取り出される。
生体組織の模型の製造方法では、生体組織の模型を生体組織の模型の鋳型から取り出す前に、ハイドロゲル組成物10に含まれるジメチルスルホキシドエタノールを水に置き換える水置換処理を行ってもよい。例えば、ハイドロゲル組成物10の水置換処理では、凍結処理が完了した生体組織の模型の鋳型を十分な量のエタノールに120分浸漬して、ハイドロゲル組成物10のジメチルスルホキシドをエタノールに置換する処理が行われる。次いで、生体組織の模型の鋳型を十分な量の水に24時間浸漬して、ハイドロゲル組成物10のエタノールを水と置換する処理が行われる。
なお、生体組織の模型は、上述以外の方法で製造してもよい。例えば、生体組織の模型は、上述したポリビニルアルコール1の溶液を生体組織の模型の鋳型に注入する以外の処理でも製造できる。生体組織の模型は、インクジェット方式のマテリアルジェット造形装置といった3次元プリンタ等の造形装置を用いて、ポリビニルアルコール1の溶液を生体組織の模型の鋳型に圧着成形することによっても製造できる。また、生体組織の模型は、ポリビニルアルコール1の溶液を生体組織の模型の鋳型に塗布することによっても製造できる。
また、生体軟組織の模型の鋳型は、骨、歯、軟骨等の生体硬組織の模型を一部に含めることができる。骨、歯、軟骨等の生体硬組織の模型は、例えば石膏、木材、紙、金属、アクリル樹脂等の合成樹脂から製造できる。
例えば、骨の模型は、アクリル樹脂に、おがくずとポリビニルアルコールとを添加することによって製造できる。骨の模型では、アクリル樹脂の使用量によって骨の硬度が再現でき、おがくずの粒径によって、骨の触感が再現できる。また、骨の模型では、ポリビニルアルコールを添加することによって、生体の内部における骨と生体軟組織との密着状態が再現できる。
また、生体軟組織の模型は、例えば、口腔模型、鼻腔模型、耳腔模型、眼部模型、頭部模型、胸部模型、腹部模型等の生体模型の一部して作製することができる。
例えば、生体模型として口腔模型が作製される場合、口腔模型は、上述した骨の模型を含む口腔模型の鋳型にポリビニルアルコール1の溶液を注入しゲル化した後、生体硬組織の模型以外の鋳型を取り外すことにより作製できる。また、口腔模型は、例えば、上述した骨の模型に、3次元プリンタ等の造形装置を用いてポリビニルアルコール1の溶液を圧着成形し、ハイドロゲル組成物10にゲル化することによっても作製できる。
上述の口腔模型は、骨の模型と口腔粘膜等の口腔組織の模型との密着状態を、生体の内部における骨と口腔組織との密着状態と同様にすることができる。また、上述の口腔模型では、メス等の外科用切断器具により、生体軟組織の模型を生体硬組織の模型から均一に剥離することができる。したがって、上述の口腔模型では、生体の内部における、口腔粘膜の剥離手術と同様の感触を再現ですることができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の説明においては、ポリビニルアルコールを「PVA」、キサンタンガムを「XG」とそれぞれ略称する場合がある。また、重量パーセント濃度は「wt%」と略称する場合がある。
[実施例1]
(ポリビニルアルコール溶液の試料の作製)
ポリビニルアルコールは、商品名がJ-POVAL JF-17である日本酢ビ・ポバール株式会社製の工業製品を用いた。J-POVAL JF-17は、けん化度が99.0モル%以上に調製され、重合度が1700に調製されたポリビニルアルコール粉末である。
本実施例では、シュードプラスチック性を有する化合物の代表例として、キサンタンガムを用いた。キサンタンガムは、和光純薬工業製の工業製品を用いた。
ジメチルスルホキシドと水との混合溶媒は、水に対するジメチルスルホキシドの重量比が4に調製された東レファインケミカル株式会社製の工業製品を用いた。
ポリビニルアルコールと、キサンタンガムとを、表1に示す濃度となるようにジメチルスルホキシドと水との混合溶媒に添加し、100℃の温度条件下で2時間攪拌して、ポリビニルアルコールとキサンタンガムと混合溶媒に溶解して、ポリビニルアルコール溶液の試料1~9を生成した。なお、表1における「N/A」との表示は、ポリビニルアルコール溶液がキサンタンガムを含有しないことを示すものである。
Figure 2023076508000002
表1における試料1は、キサンタンガムを含まない17重量パーセントのポリビニルアルコール溶液であり、血管組織等の生体軟組織の模型を作製するために従来用いられるポリビニルアルコール溶液の一例である。
[実施例2]
(ハイドロゲル組成物の動的粘度の測定)
実施例1で説明した方法で生成したポリビニルアルコール溶液の試料の動的粘度を測定した。ポリビニルアルコール溶液の試料の動的粘度の測定には、精密回転粘度計として、カナダBrookfield社製の型番RS-CPSのレオメータを用いた。粘度を測定するためのセンサとしては、型番R25-2/3の測定スピンドルを使用した。
レオメータにおいて、ポリビニルアルコール溶液の試料のせん断速度を300秒間で0.01~300(sec-1)まで加速させて、3秒ごとせん断速度と動的粘度とを測定した。動的粘度の測定時のポリビニルアルコール溶液の試料の温度は、40℃に維持した。せん断速度及び動的粘度の測定は、ポリビニルアルコール溶液の試料ごとに3回繰り返して行われ、各せん断速度に対する動的粘度の値は、3回の測定値の平均値として算出した。
図4は、本発明の実施例2に係るポリビニルアルコール溶液の試料1~5における、せん断速度と動的粘度との関係を示すグラフである。図4におけるグラフの横軸は、せん断速度であり、単位は秒速度(sec-1)である。図4におけるグラフの縦軸は、動的粘度であり、単位はパスカル秒(Pa・s)である。
図4のグラフでは、試料1のせん断速度と動的粘度との関係が細い実線で示されている。また、試料2のせん断速度と動的粘度との関係が二点鎖線で示されている。また、試料3のせん断速度と動的粘度との関係がドットの大きい破線で示されている。また、試料4のせん断速度と動的粘度との関係が太い実線で示されている。また、試料5のせん断速度と動的粘度との関係がドットの小さい破線で示されている。
図4に示されるように、15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液を用いた場合における動的粘度のピークは、0.2重量パーセントのキサンタンガムを含む試料4において43.8(Pa・s)、0.5重量パーセントのキサンタンガムを含む試料5において、61.9(Pa・s)となった。一方、17重量パーセントのポリビニルアルコール溶液である試料1の動的粘度のピークは、62.1(Pa・s)であり、15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液の静的な状態での粘性の最大値である61.9(Pa・s)に近似する結果となった。
この動的粘性のピークは、せん断速度が3(sec-1)でのポリビニルアルコール溶液の動的粘性であるため、ポリビニルアルコール溶液が静的な状態での粘性を示すものであると言える。ここで、15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液の静的な状態での粘性は最大で61.9(Pa・s)であるが、例えば、キサンタンガム中の塩の含有量等の製品間の誤差、及び測定装置等の測定誤差から±10%の誤差が最小でも生じると考えられる。したがって、15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液の静的な状態での粘性は最大で68.1(Pa・s)になると考えられる。
したがって、図5の結果からは、15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液では、0重量パーセントより大きく、かつ、0.5重量パーセント以下のシュードプラスチック性を有する化合物を添加することにより、ハイドロゲル組成物において所望の粘性が得られることが明確となった。また、ポリビニルアルコール溶液では、シュードプラスチック性を有する化合物を添加した場合に、0.01~300のせん断速度で、せん断速度依存性の粘性低下効果が顕著に見られることが明確となった。また、シュードプラスチック性を有する化合物を添加したポリビニルアルコール溶液では、0.01~300のせん断速度での動的粘度が、0(Pa・s)より大きく、68.1(Pa・s)以下であることが明確となった。
特に、せん断速度が6(sec-1)以上となると、15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液の動的粘度は、17重量パーセントのポリビニルアルコール溶液の動的粘度よりも顕著に小さくなることが示された。特に、0.1~0.2重量パーセントのキサンタンガムを含む15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液の場合、6~170sec-1でのせん断速度での動的粘度が、16.6~40.8(Pa・s)となった。また、せん断速度が12(sec-1)での試料1の動的粘度と、試料2~5の動的粘度の差は、最小でも19.3(Pa・s)であった。一方、せん断速度が170(sec-1)を超えると、試料1の動的粘度と、試料2~5の動的粘度の差は0.2~6.0(Pa・s)程度となり、ほぼ一定となった。
以上の結果から、本発明では、シュードプラスチック性を有する化合物を含む15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液は、6~170sec-1のせん断速度で、生体組織の模型の鋳型に吐出することが特に有効であることが明確となった。これは、6~170sec-1のせん断速度では、キサンタンガムを含む15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液の動的粘度は、キサンタンガムを含有しない17重量パーセントのポリビニルアルコール溶液の動的粘度より小さくなるためである。よって、6~170sec-1のせん断速度では、キサンタンガムを含む15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液は、17重量パーセントのポリビニルアルコール溶液と比較して小さなエネルギーで吐出できる。したがって、シュードプラスチック性を有する化合物を含むポリビニルアルコール溶液を用いることにより、生体組織の模型の製造の費用を削減可能であることが明確となった。
また、本発明では、ポリビニルアルコール溶液の動的粘度を小さくできるため、ディスペンサ等の装置のノズル部又はニードル部が目詰まりするのを回避することができる。したがって、ディスペンサ等の装置のメンテナンスのための費用及び時間を削減することができ、生体組織の模型の製造の費用及び時間を削減することが可能となる。
図5は、本発明の実施例2に係るポリビニルアルコール溶液の試料1及び6~9における、せん断速度と動的粘度との関係を示すグラフである。すなわち、図5におけるグラフの横軸は、せん断速度であり、単位は秒速度(sec-1)である。図5におけるグラフの縦軸は、動的粘度であり、単位はパスカル秒(Pa・s)である。
図5のグラフでは、試料1のせん断速度と動的粘度との関係が細い実線で示されている。また、試料6のせん断速度と動的粘度との関係が二点鎖線で示されている。また、試料7のせん断速度と動的粘度との関係がドットの大きい破線で示されている。また、試料8のせん断速度と動的粘度との関係がドットの小さい破線で示されている。また、試料9のせん断速度と動的粘度との関係が太い実線で示されている。
図5に示すように、12重量パーセントのポリビニルアルコール溶液を用いた場合における、動的粘度のピークは試料9において、18.7(Pa・s)となり、12重量パーセントのポリビニルアルコール溶液である試料6~9における動的粘度のピークの最大値となった。一方、前述したとおり、17重量パーセントのポリビニルアルコール溶液である試料1の動的粘度のピークは、62.1(Pa・s)となった。
この動的粘性のピークは、せん断速度が3(sec-1)でのポリビニルアルコール溶液の動的粘性であるため、ポリビニルアルコール溶液が静的な状態での粘性を示すものであると言える。12重量パーセントのポリビニルアルコール溶液の静的な状態での粘性は最大でも18.7(Pa・s)であり、17重量パーセントのポリビニルアルコール溶液の静的な状態での粘性である62.1(Pa・s)を大きく下回る結果となった。この結果は、12重量パーセントのポリビニルアルコール溶液のポリビニルアルコール依存性の粘性が、15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液のポリビニルアルコール依存性の粘性よりも低いために生じたものである。したがって、図5の静的な状態での粘性の結果からは、12重量パーセントのポリビニルアルコール溶液では、キサンタンガムの濃度を大きくしたとしても、17重量パーセントのポリビニルアルコール溶液と同等の静的な粘性を得られないことが明確となった。また、ポリビニルアルコール溶液をゲル化したハイドロゲル組成物においても、同様に所望の粘性が得られなかった。以上のことから、12重量パーセントのポリビニルアルコール溶液では、ポリビニルアルコール依存性の粘性が低いため、シュードプラスチック性を有する化合物を添加したとしても、せん断速度依存性の粘性低下効果は顕著に見られないことが示された。
上述したように、血管組織等の生体軟組織の模型を作製する場合、5~20重量パーセントのポリビニルアルコール溶液が用いられる。12重量パーセントのポリビニルアルコール溶液では、せん断速度依存性の粘性低下効果は顕著に見られず、15重量パーセントのポリビニルアルコール溶液では、せん断速度依存性の粘性低下効果が顕著に見られた。この結果は、15重量パーセント以上のポリビニルアルコール溶液では、せん断速度依存性の粘性低下効果があることを示している。また、12重量パーセントのポリビニルアルコール溶液では、せん断速度依存性の粘性低下効果は顕著に見られなかったが、動的粘度のピークは、試料9において18.7(Pa・s)まで上昇した。このことから、13重量パーセント未満のポリビニルアルコール溶液では、せん断速度依存性の粘性低下効果は顕著に見られず、13重量パーセント未満のポリビニルアルコール溶液では、せん断速度依存性の粘性低下効果は顕著に見られると考えられる。したがって、実施例2の動的粘度の測定結果からは、ハイドロゲル組成物におけるポリビニルアルコールの含有量が、13~20重量パーセントであり、前記ハイドロゲル組成物における前記シュードプラスチック性を有する化合物の含有量が、0重量パーセントよりも大きく、0.5重量パーセント以下である場合に、せん断速度依存性の粘性低下効果が顕著に見られることが示された。
[実施例3]
(ハイドロゲル組成物の試料の作製)
実施例1に示した方法により生成したポリビニルアルコール溶液を、常温環境下で40℃になるまで冷却した。その後、ポリビニルアルコール溶液を鋳型に注入し、ポリビニルアルコール溶液を注入した鋳型を-30℃の温度条件下で24時間冷却して、表2及び表3に示すようにハイドロゲル組成物の試料A~Mを作製した。鋳型は、長辺の長さが50mmであり、短辺の長さが8mmであり、厚さが1mmである矩形形状のステンレス鋼製の鋳型を用いた。なお、表2における「N/A」との表示は、ハイドロゲル組成物がキサンタンガムを含有しないことを示すものである。
Figure 2023076508000003
Figure 2023076508000004
表2における試料Aは、キサンタンガムを含まない17重量パーセントのポリビニルアルコールを含有するハイドロゲル組成物であり、血管組織等の生体軟組織の模型を作製するために従来用いられるハイドロゲル組成物の一例である。
また、比較例として、キサンタンガムの代わりに、従来の増粘剤であるアルギン酸ナトリウムを含有するポリビニルアルコール溶液を生成し、上述の試料A~Mの作製条件と同様の条件で、表4に示したハイドロゲル組成物の比較試料AA、BB、及びCCを作製した。試料AA、BB、及びCCは、いずれも試料数は1とした。また、アルギン酸ナトリウムとしては、関東化学工業株式会社の特級「鹿1級」の市販品を用いた。なお、以下の説明においては、アルギン酸ナトリウムを「AlgNa」と略称する場合がある。
Figure 2023076508000005
[実施例4]
(ハイドロゲル組成物の引張応力の測定)
実施例3で作製したハイドロゲル組成物の試料A~M、並びに比較試料AA、BB、及びCCの引張応力を測定した。ハイドロゲル組成物の試料の引張応力の測定には、一軸引張試験機として、島津製作所製の型番EZ-Sの小型卓上試験機を用いた。ハイドロゲル組成物の試料の長辺側の両端を、一軸引張試験機のつまみ具で把持し、つまみ具の間の初期距離が40mmとなるようにハイドロゲル組成物の試料を固定した。
次いで、固定したハイドロゲル組成物の試料を、20mm/minの速度で、ハイドロゲル組成物の試料のひずみが100%となるまで双方向に引っ張り、その後、ハイドロゲル組成物の試料のひずみを0%に戻した。すなわち、固定したハイドロゲル組成物の試料を、つまみ具の間の距離が初期距離の2倍となるまで双方向に引っ張り、その後、つまみ具の間の距離を初期距離に戻した。実施例2では、固定したハイドロゲル組成物の試料を80mmとなるまで引っ張り、その後、40mmに戻した。
実施例2では、ハイドロゲル組成物の試料のヒステリシスを考慮して、上述の動作サイクルを3回繰り返し、3回目のサイクルにおいて、0.05秒ごとに、ハイドロゲル組成物の試料のひずみと、ハイドロゲル組成物の試料の引張応力を測定した。
また、ハイドロゲル組成物の試料の伸び弾性の指標となるヤング率を、引張試験の結果から算出した。ハイドロゲル組成物の試料においては、ひずみの値が0.6よりも大きくなると、ひずみと引張応力との間の非線形性が顕著になる。したがって、ハイドロゲル組成物の各試料については、ヤング率の線形性が維持されている0.5のひずみ、すなわち、50%のひずみにおけるヤング率として算出した。ヤング率は、試料A~Mについては、各々の試料A~Mごとの平均値±標準偏差で算出した。
図6は、本発明の実施例4に係るキサンタンガムを含有するハイドロゲル組成物の試料における、キサンタンガムの濃度と、0.5のひずみに対するヤング率との関係を示すグラフである。図6におけるグラフの横軸は、キサンタンガムの濃度であり、単位は重量パーセント(wt%)である。図6における縦軸は0.5のひずみに対するヤング率であり、単位はキロパスカル(kPa)である。図6における点線は、試料Aの0.5のひずみに対するヤング率の平均値を示した。また、図6における実線は、15重量パーセントのポリビニルアルコールを含むハイドロゲル組成物において、キサンタンガムの濃度を変化させた場合の0.5のひずみに対するヤング率の変化を示したものであり、各々のプロット点は左から順に試料B~Mの0.5のひずみに対するヤング率の平均値を示すものである。また、各々の試料B~Mの0.5のひずみに対するヤング率の標準偏差は、各々のプロット点から上下に延びたエラーバーにより図示した。なお、キサンタンガムを含有せず、かつ15重量パーセントのポリビニルアルコールを含む試料Bにおける、0.5のひずみに対するヤング率は、140.4±3.8(kPa)あり、150(kPa)未満であった。
図6に示されるように、キサンタンガムを含有する試料C~Mにおいては、キサンタンガムを含有しない試料Bと同程度又はそれ以上のヤング率が確保できた。特に、図6の一点鎖線に示すように、15重量パーセントのポリビニルアルコールを含むハイドロゲル組成物の0.5のひずみに対するヤング率は、0.15~0.20重量パーセントのキサンタンガムを含有する場合に、17重量パーセントのポリビニルアルコールを含むハイドロゲル組成物の0.5のひずみに対するヤング率に最も近づいた。具体的には、17重量パーセントのポリビニルアルコールを含むハイドロゲル組成物(試料A)の0.5のひずみに対するヤング率は、204.8±13.7(kPa)であった。これに対して、0.15重量パーセントのキサンタンガムを含む試料Dにおける0.5のひずみに対するヤング率は、186.1±12.1(kPa)であった。また、0.2重量パーセントのキサンタンガムを含む試料Eにおける0.5のひずみに対するヤング率は、172.1±10.9(kPa)であった。
また、図6に示すように、キサンタンガムの含有量が0.12~0.15重量の範囲における0.5のひずみに対するヤング率は、キサンタンガムの含有量が0.15~0.20重量パーセントである場合と比較すると低減するものの、150(kPa)を超えた。また、キサンタンガムの含有量が0.20~0.25重量パーセントの範囲における0.5のひずみに対するヤング率は、キサンタンガムの含有量が0.15~0.20重量パーセントである場合と比較すると低減するものの、150(kPa)を超えた。また、0.40重量パーセントのキサンタンガムを含有するハイドロゲル組成物(試料H)を範囲に含む、0.34~0.46重量パーセントの範囲でも、0.5のひずみに対するヤング率は150(kPa)を超えた。また、0.60重量パーセント及び0.70重量パーセントのキサンタンガムを含有するハイドロゲル組成物(試料K)を範囲に含む、0.55~0.82重量パーセントの範囲でも、0.5のひずみに対するヤング率は150(kPa)を超えた
これに対して、比較試料AAの0.5のひずみに対するヤング率は、98(kPa)であった。比較試料BBの0.5のひずみに対するヤング率は、1.1×10(kPa)であった。比較試料CCの0.5のひずみに対するヤング率は、1.3×10(kPa)であった。すなわち、アルギン酸ナトリウムを含有するポリビニルアルコール溶液を用いたハイドロゲル組成物では、0.5のひずみに対するヤング率は、最大でも1.3×10(kPa)であり、150(kPa)未満であった。
以上の結果から、シュードプラスチック性を有する化合物を含有するポリビニルアルコール溶液を用いたハイドロゲル組成物では、ハイドロゲル組成物のヤング率、すなわち、ハイドロゲル組成物の硬度を有効に増加させることができることが示された。
非特許文献1では、ハイドロゲル組成物の動的粘弾性G’の上限値として、18重量パーセントのポリビニルアルコール溶液を用いたハイドロゲル組成物において、動的粘弾性G’が、2.0×10(Pa)、すなわち200(kPa)であることが示されている。ここで、非特許文献1の動的粘弾性G’は、1(Hz)という小さな周波数で測定されたものであるため、ハイドロゲル組成物の静的な粘弾性を表す、剪断弾性率に相当するパラメータとして用いられる。また、ハイドロゲル組成物が血管組織等の生体軟組織の模型の材料として使用される場合、ハイドロゲル組成物のポアソン比は0.5となる。また、ハイドロゲル組成物のポアソン比が0.5であれば、非特許文献1の動的粘弾性G’は、0.5のひずみに対するヤング率、すなわち、引張弾性率の1/3倍となる。
したがって、本実施例のハイドロゲル組成物で、血管組織等の生体軟組織の模型が作製された場合には、ハイドロゲル組成物は、0.5のひずみに対するヤング率が少なくとも6.0×10(kPa)以下となるように構成できる。また、ハイドロゲル組成物の動的粘弾性G’は、キサンタンガム中の塩の含有量等の製品間の誤差、及び測定装置等の測定誤差から、±10%の誤差が最小でも生じることが考えられる。したがって、±10%の誤差も考慮した場合、ハイドロゲル組成物は、0.5のひずみに対するヤング率が少なくとも6.6×10(kPa)以下となるように構成できる。更に、前述したように、本実施例のハイドロゲル組成物で血管組織等の生体軟組織の模型が作製された場合、最大20重量パーセントのポリビニルアルコール溶液を用いたハイドロゲル組成物が作成されるため、ハイドロゲル組成物は、0.5のひずみに対するヤング率が少なくとも7.0×10(kPa)以下となるように構成できる。
一方、非特許文献1によれば、ハイドロゲル組成物の動的粘弾性G’の下限値が、5×10(kPa)であることが示されている。したがって、本実施例のハイドロゲル組成物で、血管組織等の生体軟組織の模型が作製された場合には、ハイドロゲル組成物は、0.5のひずみに対するヤング率が少なくとも15.0(kPa)以下となるように構成できる。また、±10%の誤差も考慮した場合、ハイドロゲル組成物は、0.5のひずみに対するヤング率が少なくとも13.5(kPa)以下となるように構成できる。
以上の考察から、0.5のひずみに対するヤング率が、13.5~700(kPa)となる、ハイドロゲル組成物は、生体組織の模型の成形材料として好適に用いることが可能である。
また、キサンタンガムの含有量が0.12~0.25、0.34~0.46、又は0.55~0.82重量パーセントであるハイドロゲル組成物では、0.5のひずみに対するヤング率が、キサンタンガムを含有しない場合と比較して増加した。特に、0.15~0.20重量パーセントのキサンタンガムのポリビニルアルコールを含むハイドロゲル組成物は、0.5のひずみに対するヤング率が、1.6×10~2.0×10(kPa)となった。したがって、キサンタンガムの含有量が上述の範囲にあるハイドロゲル組成物又は0.5のひずみに対するヤング率が上述の範囲にあるハイドロゲル組成物は、硬度を増加可能な生体組織の模型の成形材料として好適に用いることが可能となる。また、0.5のひずみに対するヤング率が、1.6×10~2.0×10(kPa)となるハイドロゲル組成物は、生体組織の模型の成形材料として更に好適に用いることが可能となる。
特に、15重量パーセントのポリビニルアルコールと、0.15~0.20重量パーセントのキサンタンガムとを含有するハイドロゲル組成物の0.5のひずみに対するヤング率は、キサンタンガムとを含有しない17重量パーセントのポリビニルアルコールを含むハイドロゲル組成物に近似する。実施例2で示したように、キサンタンガムを含有する15重量パーセントのポリビニルアルコールの溶液は、キサンタンガムを含有しない17重量パーセントのポリビニルアルコールの溶液よりも動的粘性が小さくなる。したがって、本発明では、15重量パーセントのポリビニルアルコールと、0.15~0.20重量パーセントのキサンタンガムとを含むハイドロゲル組成物で生体組織の模型を製造することにより、製造のための費用及び時間を削減することが可能な生体組織の模型を提供することが可能となる。
1 ポリビニルアルコール、2 基本骨格、2a 第1炭素水素骨格部、2b 第2炭化水素骨格部、3 官能基、4 酢酸基、5 水酸基、10 ハイドロゲル組成物、12 高分子鎖、12a 第1高分子鎖、12b 第2高分子鎖、14 架橋領域、16 網目部分、18 溶媒。

Claims (10)

  1. 生体組織の模型を構成するハイドロゲル組成物であって、
    ポリビニルアルコールと、
    シュードプラスチック性を有する化合物と
    を含む
    ハイドロゲル組成物。
  2. 前記シュードプラスチック性を有する化合物は、キサンタンガム、ウルトラキサンタンガム、グァーガム、ウェランガム、ダイユータンガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ランザンガム、カラギーナン、プルラン、カードラン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、メチルセルロース、アクリル、並びにその塩及び誘導体、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される
    請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
  3. 前記ハイドロゲル組成物における前記ポリビニルアルコールの含有量が、13~20重量パーセントであり、
    前記ハイドロゲル組成物における前記シュードプラスチック性を有する化合物の含有量が、0重量パーセントよりも大きく、0.5重量パーセント以下である
    請求項1又は2に記載のハイドロゲル組成物。
  4. 前記ハイドロゲル組成物の0.5のひずみに対するヤング率が、1.35~700kPaである
    請求項1~3のいずれか一項に記載のハイドロゲル組成物。
  5. 前記ポリビニルアルコールの平均けん化度は85モル%以上であり、
    前記ポリビニルアルコールの平均重合度は1000~2000である
    請求項1~4のいずれか一項に記載のハイドロゲル組成物。
  6. 前記ハイドロゲル組成物が生成される前の前記ポリビニルアルコールと前記キサンタンガムとを含む溶液の動的粘度は、前記溶液のせん断速度が0.01~300sec-1である場合に、0Pa・sよりも大きく、68.1Pa・s以下である
    請求項1~5のいずれか一項に記載のハイドロゲル組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のハイドロゲル組成物を含む
    生体組織の模型。
  8. 前記生体組織が生体軟組織である
    請求項7に記載の生体組織の模型。
  9. 前記生体軟組織が血管組織である
    請求項8に記載の生体組織の模型。
  10. 生体組織の模型の製造方法であって、
    ポリビニルアルコールと、シュードプラスチック性を有する化合物とを含む溶液を生成する工程と、
    前記溶液を0.01~300sec-1のせん断速度で、前記生体組織の模型の鋳型に吐出する工程と
    を含む
    生体組織の模型の製造方法。
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