JP2023076194A - アルコール飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】バナナの果肉感および熟したバナナ感が付与され、且つパウダリーなオフフレーバーが低減されたアルコール飲料を提供する。【解決手段】酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有するアルコール飲料とすることにより、前記課題を解決する。【選択図】なし
Description
本発明は、アルコール飲料、その製造方法等に関する。
果実の香味を有するアルコール飲料は、近年需要が高まっているアルコール飲料の1つである。特に、缶チューハイや缶カクテルなどのいわゆるRTD飲料等において、柑橘類やグレープ類だけでなく、ベリー類、桃、梅、キウイ、パイン、マンゴー、バナナなどの様々な果実の香味を有するものが多く製造、販売されている。
例えば特許文献1には、バナナと殺菌した蜂蜜とを混合し、該混合物に酵母を加えて発酵することを特徴とする、特有の芳香及び味を有するバナナの特徴を生かした喉ごしの良い全く新しいタイプのバナナを用いたアルコール飲料の製造方法が開示されている。
しかしながら、バナナの香味をアルコール飲料に付与しようとする場合において、酢酸イソアミルなどのバナナ様香気成分を単に添加すると菓子のような香味となり易く、バナナの果肉感や熟したバナナ感が得られにくいという課題がある。また、このバナナ様香気成分の添加によりパウダリーなオフフレーバー(粉っぽい異臭)が目立つアルコール飲料となり易いという課題もある。
そこで本発明は、バナナの果肉感および熟したバナナ感が付与され、且つパウダリーなオフフレーバーが低減されたアルコール飲料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、香気成分である酢酸イソアミルおよび酢酸イソブチルと、乳成分と、の組み合わせがバナナの香味などに影響を与えることを明らかにした。そして、この知見から、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有するアルコール飲料とすることにより、バナナの果肉感および熟したバナナ感が付与され、且つパウダリーなオフフレーバーが低減されたものとなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次の<1>~<8>である。
<1>酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有するアルコール飲料。
<2>前記乳成分が乳タンパク質を含み、前記アルコール飲料における前記乳タンパク質の含有量が0.05g/100ml以上2g/100ml以下である、<1>に記載のアルコール飲料。
<3>前記酢酸イソアミルの含有量および前記酢酸イソブチルの含有量がいずれも1mg/L以上であり、且つ前記酢酸イソアミルと前記酢酸イソブチルとの合計含有量が5mg/L以上である、<1>または<2>に記載のアルコール飲料。
<4>水溶性食物繊維を含有し、前記水溶性食物繊維の含有量が0.05g/100ml以上10g/100ml以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
<5>オイゲノールを含有し、前記オイゲノールの含有量が0.5mg/L以上30mg/L以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
<6>バナナテイストアルコール飲料である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
<7>酢酸イソアミルを含有させる工程と、酢酸イソブチルを含有させる工程と、乳成分を含有させる工程と、を備える、アルコール飲料の製造方法。
<8>アルコール飲料に酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有させることを特徴とする、アルコール飲料におけるバナナの果肉感および熟したバナナ感の付与、ならびにパウダリーなオフフレーバーの低減方法。
<1>酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有するアルコール飲料。
<2>前記乳成分が乳タンパク質を含み、前記アルコール飲料における前記乳タンパク質の含有量が0.05g/100ml以上2g/100ml以下である、<1>に記載のアルコール飲料。
<3>前記酢酸イソアミルの含有量および前記酢酸イソブチルの含有量がいずれも1mg/L以上であり、且つ前記酢酸イソアミルと前記酢酸イソブチルとの合計含有量が5mg/L以上である、<1>または<2>に記載のアルコール飲料。
<4>水溶性食物繊維を含有し、前記水溶性食物繊維の含有量が0.05g/100ml以上10g/100ml以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
<5>オイゲノールを含有し、前記オイゲノールの含有量が0.5mg/L以上30mg/L以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
<6>バナナテイストアルコール飲料である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
<7>酢酸イソアミルを含有させる工程と、酢酸イソブチルを含有させる工程と、乳成分を含有させる工程と、を備える、アルコール飲料の製造方法。
<8>アルコール飲料に酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有させることを特徴とする、アルコール飲料におけるバナナの果肉感および熟したバナナ感の付与、ならびにパウダリーなオフフレーバーの低減方法。
本発明によれば、バナナの果肉感および熟したバナナ感が付与され、且つパウダリーなオフフレーバーが低減されたアルコール飲料を提供することができる。
本発明について説明する。
本発明は、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有するアルコール飲料(以下においては「本発明のアルコール飲料」という場合もある)、その製造方法等である。
本発明は、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有するアルコール飲料(以下においては「本発明のアルコール飲料」という場合もある)、その製造方法等である。
ここで、本発明において「アルコール飲料」とは、酒税法(令和元年法律第六十三号)において定義される酒類(例えば、リキュール、スピリッツ、果実酒、甘味果実酒、その他の発泡性酒類等)などの、アルコール度数が1v/v%以上である飲料を意味する。なお、この「アルコール度数(v/v%)」は、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3-4アルコール分(振動式密度計法)に基づいて測定される値である(以下においても同様である)。また、本発明において「アルコール」とは、エタノールを意味する。
そして、本発明のアルコール飲料は、バナナテイストアルコール飲料であるのが好適である。この「バナナテイストアルコール飲料」とは、バナナの香味を主体とするアルコール飲料を意味し、「主体」とは、最も強く感じられる香味、あるいは最も感じ易い香味となっていることである。しかしながら、このバナナテイストアルコール飲料は、主体となるバナナの香味に加えて、バナナ以外の果実等の香味を有していても良い(例えばバナナミックスフルーツテイストなど)。なお、本発明のアルコール飲料は、バナナ以外の果実の香味を主体とするミックスフルーツテイストアルコール飲料などの、バナナの香味を有するがバナナの香味が主体ではないアルコール飲料であっても構わないが、本発明のアルコール飲料がバナナテイストアルコール飲料であると、主体となるバナナの香味におけるバナナの果肉感および熟したバナナ感が高まり、より好ましいバナナテイストとなるため非常に好適である。
以下、本発明のアルコール飲料を構成する成分等について詳細に説明する。
本発明のアルコール飲料は、酢酸イソアミル(Isoamyl acetate:C7H14O2)および酢酸イソブチル(Isobutyl acetate:C6H12O2)を含有する。この酢酸イソアミルおよび酢酸イソブチルはいずれも香気成分であって、酢酸イソアミルは下記式(1)で表される化合物であり、酢酸イソブチルは下記式(2)で表される化合物である。
さらに、本発明のアルコール飲料は、上記した酢酸イソアミルおよび酢酸イソブチルに加えて、乳成分を含有する。これらの相乗効果によって、バナナの果肉感および熟したバナナ感が付与され、且つパウダリーなオフフレーバー(粉っぽい異臭、アルコール飲料として好ましくない粉っぽい香り)が低減されたアルコール飲料とすることができる。なお、バナナの香味をアルコール飲料に付与しようとする場合において、酢酸イソアミルおよび酢酸イソブチルを単に添加するだけでは菓子のような香味となり易く、バナナの果肉感や熟したバナナ感は得られにくい。また、パウダリーなオフフレーバーを感じ易い。しかしながら、本発明では酢酸イソアミルおよび酢酸イソブチルとこの乳成分とを併用することにより、バナナの果肉感および熟したバナナ感、つまり本物のバナナらしい香味を有し、且つパウダリーなオフフレーバーが少ない(感じにくい)アルコール飲料とすることができる。
ここで、この「乳成分」とは、乳由来の成分であって、乳タンパク質、乳脂肪分、乳糖などの乳由来の各成分から選ばれる1以上を含むものである。なお、本発明のアルコール飲料は、質量百分率で乳固形分(無脂乳固形分と乳脂肪分とを合わせたもの)を3.0%以上含む乳飲料であっても良い。特に、本発明の効果がより発揮され易くなることから、本発明のアルコール飲料では乳タンパク質を含む乳成分を用いるのが好ましい。この乳タンパク質とは、乳由来のタンパク質の総称であり、詳細には、カゼイン、ホエイタンパク質などが挙げられる。さらに、乳脂肪分が少ない乳成分(例えば本発明のアルコール飲料における乳脂肪分が0.01g/100ml未満、さらには0.005g/100ml未満となるようなもの)を用いるのが、アルコール飲料としての飲みやすさなどの観点から好ましい。そして、このような乳成分は、本発明のアルコール飲料の製造原料として乳原料を使用することにより含有させることができる。
乳原料は、乳成分により構成される原料であって、乳成分以外の添加物(pH調整剤、乳化剤、甘味料など)を含んでいても良いが、乳由来以外のタンパク質や脂肪分は含まれないものである。例えば、乳タンパク質を含む乳原料としては、脱脂粉乳、全粉乳、ホエイパウダー、スキムミルクといった粉状のもの、生乳、牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、練乳といった液状のもの、さらには乳等を主要原料とする食品、チーズ、ヨーグルトといったものなどが挙げられる。本発明のアルコール飲料では、上記から選ばれる1以上を乳原料として使用することができる。
そして、本発明のアルコール飲料が乳タンパク質を含む乳成分を含有する場合、本発明のアルコール飲料における乳タンパク質の含有量を0.05g/100ml以上とするのが好ましく、0.1g/100ml以上とするのがより好ましく、0.15g/100ml以上とするのがさらに好ましく、0.2g/100ml以上とするのがさらに好ましい。アルコール飲料においてバナナの果肉感および熟したバナナ感をより向上させ易く、さらにパウダリーなオフフレーバーもより低減させ易いからである。なお、この乳タンパク質の含有量は、上記した乳タンパク質を含む乳原料の使用量などによって調整することができる。
また、本発明のアルコール飲料においては、この乳タンパク質の含有量を、好ましくは2g/100ml以下、より好ましくは1.5g/100ml以下、さらに好ましくは1g/100ml以下、さらに好ましくは0.8g/100ml以下、さらに好ましくは0.5g/100ml以下、さらに好ましくは0.3g/100ml以下となるように調整すると、上記効果を保ちつつ味のべたつきの増加などを抑え、アルコール飲料としての香味全体のバランスをより優れたものとすることができるため好適である。例えば、この乳タンパク質の含有量は、0.05g/100ml以上2g/100ml以下であって良い。
ここで、本発明のアルコール飲料における乳タンパク質の含有量は、本発明のアルコール飲料に乳タンパク質以外のタンパク質が含まれない場合には、例えば、セミミクロケルダール法(乳製品試験法・注解(金原出版)の「一般試験法 タンパク質」を参照)によって測定することができる。あるいは、本発明のアルコール飲料に使用する乳原料中の乳タンパク質含有量を上記方法により測定し、この乳原料の使用量(配合量)から本発明のアルコール飲料における乳タンパク質の含有量を算出しても良い。
そして、本発明のアルコール飲料においては、このような乳成分との併用によってバナナの果肉感および熟したバナナ感をより向上させ易くなることから、前述した酢酸イソアミルの含有量または酢酸イソブチルの含有量を1mg/L以上とするのが好ましく、2mg/L以上とするのがより好ましく、3mg/L以上とするのがさらに好ましく、4mg/L以上とするのがさらに好ましく、5mg/L以上とするのがさらに好ましい。さらに、この酢酸イソアミルの含有量および酢酸イソブチルの含有量がいずれも1mg/L以上であるのがより好ましく、いずれも2mg/L以上であるのがさらに好ましく、いずれも3mg/L以上であるのがさらに好ましく、いずれも4mg/L以上であるのがさらに好ましく、いずれも5mg/L以上であるのがさらに好ましい。しかしながら、この酢酸イソアミルの含有量と酢酸イソブチルの含有量とが等量でなくても良い。そして、この酢酸イソアミルと酢酸イソブチルとの合計含有量が5mg/L以上であるのがより好ましく、6mg/L以上であるのがさらに好ましく、7mg/L以上であるのがさらに好ましく、8mg/L以上であるのがさらに好ましく、9mg/L以上であるのがさらに好ましく、10mg/L以上であるのがさらに好ましい。本発明のアルコール飲料では、酢酸イソアミルや酢酸イソブチルが上記のような含有量であっても、前述した乳成分との併用により、菓子のような香味となることを抑制でき且つパウダリーなオフフレーバーを抑制できることも大きな特徴である。なお、この酢酸イソアミルの含有量および酢酸イソブチルの含有量は、市販されている酢酸イソアミル製剤、酢酸イソブチル製剤や、酢酸イソアミルまたは酢酸イソブチル含有原料(香料など)の使用により調整することができ、これらを複数併用しても良い。
また、本発明のアルコール飲料においては、前述した酢酸イソアミルの含有量または酢酸イソブチルの含有量を200mg/L以下とするのが好ましく、150mg/L以下とするのがより好ましく、125mg/L以下とするのがさらに好ましく、100mg/L以下とするのがさらに好ましく、75mg/L以下とするのがより好ましい。さらに、この酢酸イソアミルの含有量および酢酸イソブチルの含有量がいずれも200mg/L以下であるのがより好ましく、いずれも150mg/L以下であるのがさらに好ましく、いずれも125mg/L以下であるのがさらに好ましく、いずれも100mg/L以下であるのがさらに好ましく、いずれも75mg/L以下であるのがさらに好ましい。これも同様に、この酢酸イソアミルの含有量と酢酸イソブチルの含有量とが等量でなくても良い。そして、この酢酸イソアミルと酢酸イソブチルとの合計含有量が400mg/L以下であるのが好ましく、300mg/L以下であるのがより好ましく、250mg/L以下であるのがさらに好ましく、225mg/L以下であるのがさらに好ましく、200mg/L以下であるのがさらに好ましく、180mg/L以下であるのがさらに好ましく、150mg/L以下であるのがさらに好ましい。アルコール飲料としての香味全体のバランスをより優れたものとすることができるからである。
なお、限定されるものではないが、本発明のアルコール飲料では、この酢酸イソアミルと酢酸イソブチルとの合計含有量に対する前述した乳タンパク質の含有量の比率(乳タンパク質含有量/酢酸イソアミルと酢酸イソブチルとの合計含有量、質量比)を1以上、さらには3以上、さらには6以上、さらには8以上、さらには10以上、さらには15以上とし、その上限を4000以下、さらには3000以下、さらには2500以下、さらには2000以下、さらには1500以下、さらには1000以下、さらには500以下、さらには200以下とすると、上記効果がさらに発揮され易くなるため非常に好適である。
ここで、本発明のアルコール飲料における酢酸イソアミルおよび酢酸イソブチルの含有量は、例えば、ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析法(HS-GC-MS法)により測定することができる。
さらに、本発明のアルコール飲料は、水溶性食物繊維を含有すると好適である。前述した酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分との相乗効果により、アルコール飲料において甘さを強めずにバナナの果肉感および熟したバナナ感をより向上させることができ、パウダリーなオフフレーバーもより低減させることができるからである。この水溶性食物繊維とは、人間の消化酵素では消化されない食品中の多糖類を主体とした高分子成分の総体のうち水溶性のものをいう(綾野、ジャパンフードサイエンス、12、27~37頁(1988))。水溶性食物繊維としては、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物等が例示され、これらから選ばれる1以上を使用することができる。特に、α,βのいずれのグルコシド結合も含む多分岐鎖状構造を有する重合度が10~35の消化抵抗性グルコースポリマーである難消化性グルカンまたは難消化性デキストリンを使用するのが上記効果の十分な発揮という観点から好適であり、これらのうち難消化性グルカンが特に好ましい。なお、難消化性グルカン含有原料としては、例えばフィットファイバー#80(日本食品化工株式会社製)等が挙げられる。難消化性デキストリン含有原料としては、例えばファイバーソル2(登録商標、松谷化学工業株式会社製)等が挙げられる。
そして、本発明のアルコール飲料においては、この水溶性食物繊維の含有量を0.05g/100ml以上とするのが好ましく、0.1g/100ml以上とするのがより好ましく、0.15g/100ml以上とするのがさらに好ましく、0.2g/100ml以上とするのがさらに好ましい。上記したバナナの果肉感および熟したバナナ感を十分に向上させ易く、パウダリーなオフフレーバーも十分に低減させ易いからである。同時に、アルコール飲料に濃厚感(飲みごたえ)や滑らかさを付与することもできる。さらに、アルコール飲料としての香味全体のバランスも優れたものとすることができる。なお、この水溶性食物繊維の含有量は、上記した水溶性食物繊維の使用量や、水溶性食物繊維含有原料の使用量などによって調整することができる。
また、本発明のアルコール飲料においては、水溶性食物繊維の含有量を、好ましくは10g/100ml以下、より好ましくは8g/100ml以下、さらに好ましくは6g/100ml以下、さらに好ましくは5g/100ml以下、さらに好ましくは4g/100ml以下、さらに好ましくは3g/100ml以下となるように調整すると、上記効果を保ちつつ渋味の増加などを抑え、アルコール飲料としての香味全体のバランスをより優れたものとすることができるため好適である。例えば、この水溶性食物繊維の含有量は、0.05g/100ml以上10g/100ml以下であって良い。
なお、限定されるものではないが、本発明のアルコール飲料では、乳タンパク質を含む乳成分とこの水溶性食物繊維とを組み合わせて使用するのがより好ましく、さらに、乳タンパク質の含有量に対する水溶性食物繊維の含有量の比率(水溶性食物繊維含有量/乳タンパク質含有量、質量比)を0.5以上、さらには1以上、さらには1.5以上、さらには2以上、さらには2.5以上とし、その上限を30以下、さらには25以下、さらには20以下、さらには15以下とすると、上記効果がさらに発揮され易くなるため非常に好適である。
ここで、本発明のアルコール飲料における水溶性食物繊維の含有量は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて測定することができる。具体的には、水溶性食物繊維が難消化性グルカンまたは難消化性デキストリンの場合には、日本食品分析センター「栄養表示のための成分分析のポイント(2007年10月20日発行)」第76~78頁に記載された方法に基づいて測定することができる。
さらに、本発明のアルコール飲料は、オイゲノール(Eugenol:C10H12O2)を含有すると好適である。これも前述した酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分との相乗効果により、アルコール飲料におけるバナナの果肉感および熟したバナナ感をより向上させることができ、パウダリーなオフフレーバーもより低減させることができるからである。特に、本発明のアルコール飲料では、前述した水溶性食物繊維とこのオイゲノールとを組み合わせて使用するとさらに好ましい。このオイゲノールも香気成分の1つであって、下記式(3)で表される化合物である。
そして、本発明のアルコール飲料においては、オイゲノールの含有量を0.5mg/L以上とするのが好ましく、1mg/L以上とするのがより好ましく、2mg/L以上とするのがさらに好ましく、3mg/L以上とするのがさらに好ましい。上記したバナナの果肉感および熟したバナナ感を十分に向上させ易く、パウダリーなオフフレーバーも十分に低減させ易いからである。同時に、甘さの後引きが上品なアルコール飲料とすることができる。さらに、アルコール飲料としての香味全体のバランスも優れたものとすることができる。なお、このオイゲノールの含有量は、市販されているオイゲノール製剤やオイゲノール含有原料(香料など)の使用により調整することができ、これらを複数併用しても良い。
また、本発明のアルコール飲料においては、オイゲノールの含有量を、好ましくは30mg/L以下、より好ましくは25mg/L以下、さらに好ましくは20mg/L以下、さらに好ましくは15mg/L以下、さらに好ましくは10mg/L以下、さらに好ましくは5mg/L以下、さらに好ましくは4mg/L以下となるように調整すると、上記効果を保ちつつハーブ香の増加などを抑え、アルコール飲料としての香味全体のバランスをより優れたものとすることができるため好適である。例えば、このオイゲノールの含有量は、0.5mg/L以上30mg/L以下であって良い。
なお、限定されるものではないが、本発明のアルコール飲料では、前述した酢酸イソアミルと酢酸イソブチルとの合計含有量に対するオイゲノールの含有量の比率(オイゲノール含有量/酢酸イソアミルと酢酸イソブチルとの合計含有量、質量比)を0.001以上、さらには0.005以上、さらには0.01以上、さらには0.03以上とし、その上限を30以下、さらには15以下、さらには5以下、さらには3以下、さらには2以下とすると、上記効果がさらに発揮され易くなるため非常に好適である。
ここで、本発明のアルコール飲料におけるオイゲノールの含有量は、例えば、ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析法(HS-GC-MS法)により測定することができる。
そして、本発明のアルコール飲料は、甘味料を含有するアルコール飲料であると、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分によるバナナの果肉感および熟したバナナ感の付与効果がより発揮されやすいため好適である。この甘味料には、糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトース、ショ糖、マルトース、ラクトース、オリゴ糖、果糖ぶどう糖液糖、トレハロースなど)、糖アルコール(キシリトール、エリスリトールなど)、高甘味度甘味料(アセスルファムK、スクラロース、アスパルテームなど)等が包含される。特に、本発明のアルコール飲料が糖類を含有するアルコール飲料であると、上記した効果がさらに発揮されやすい。
さらに、本発明のアルコール飲料は、有機酸(クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、グルコン酸、酒石酸、酢酸など)またはその塩を含有するアルコール飲料であると、本発明の効果がより発揮されやすくなるためより好適である。特に、クエン酸またはクエン酸塩を含有するアルコール飲料とすると非常に好ましい。
例えば、本発明のアルコール飲料は、限定されるものではないが、有機酸またはその塩の含有により、その酸度が0.05g/100ml以上、より好ましくは0.1g/100ml以上となっていると好適である。そして、この酸度の上限は1.2g/100ml以下であって良く、さらには1.0g/100ml以下であって良い。
例えば、本発明のアルコール飲料は、限定されるものではないが、有機酸またはその塩の含有により、その酸度が0.05g/100ml以上、より好ましくは0.1g/100ml以上となっていると好適である。そして、この酸度の上限は1.2g/100ml以下であって良く、さらには1.0g/100ml以下であって良い。
ここで、この「酸度」とは、クエン酸酸度(クエン酸相当量として換算した酸度の値)であり、果実飲料の日本農林規格(平成28年2月24日農林水産省告示第489号)に定められた方法で求められる値である。具体的には、飲料を水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/L)で中和滴定し、中和滴定において必要となった水酸化ナトリウム溶液の「滴定量(ml)」、滴定に使用した飲料の「体積(ml)」、「0.0064」(0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液1mLに相当するクエン酸の重量(g))という定数などを用いて算出すれば良い。
また、本発明のアルコール飲料は、果実の果肉、果汁、果皮、これらのエキスや発酵液、浸漬液などから選ばれる1以上を含有するアルコール飲料であっても良く、例えばバナナ果肉またはバナナ果汁を含有するアルコール飲料であっても良い。なお、本発明のアルコール飲料に果汁を含有させる場合、果汁の含有量は、ストレート果汁に換算した果汁使用率として1w/w%以上であって良く、また上限は10w/w%以下であって良い。ここで、果汁とは、果実を搾った搾汁、あるいは、その濃縮液、濃縮還元液、または希釈液であり、果肉や果皮などが含まれていても良い。また、ストレート果汁に換算した果汁使用率とは、飲料の総質量に対する、この飲料中に含まれる果汁をJAS(日本農林規格)に準じてストレート果汁に換算した質量の割合である。
しかしながら、本発明のアルコール飲料では、ストレート果汁に換算した果汁使用率として1w/w%未満、さらには0.5w/w%未満である無果汁アルコール飲料などの果肉や果汁を実質的に含まないアルコール飲料としても、上記した効果が十分に得られることが特徴である。そして、例えばバナナ果肉およびバナナ果汁を含まないバナナテイストアルコール飲料においても上記した効果が十分に発揮される。
しかしながら、本発明のアルコール飲料では、ストレート果汁に換算した果汁使用率として1w/w%未満、さらには0.5w/w%未満である無果汁アルコール飲料などの果肉や果汁を実質的に含まないアルコール飲料としても、上記した効果が十分に得られることが特徴である。そして、例えばバナナ果肉およびバナナ果汁を含まないバナナテイストアルコール飲料においても上記した効果が十分に発揮される。
さらに、本発明のアルコール飲料は、香料を含有するアルコール飲料であっても良い。香料は、食品の製造または加工の工程で、所定の香気を付与または増強するために添加される添加物およびその製剤であり、バナナフレーバーやミックスフルーツフレーバーなどの果実香料が例示されるが、これに限定されるものではない。なお、この果実香料などは、前述した酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、およびオイゲノールから選ばれる1以上が含まれるものであっても良い。
なお、本発明のアルコール飲料には、上記以外に、塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)、リン酸またはその塩、酒類、炭酸水、水(純水など)、着色料、調味料、消泡剤、酸化防止剤、乳化剤等を原料として任意に使用することができる。
そして、本発明のアルコール飲料は、前述したように、酒税法において定義される酒類であっても良く、例えば、前述したようなリキュール、スピリッツ、果実酒、甘味果実酒、その他の発泡性酒類などであって良い。また、酵母によるアルコール発酵工程(酵母が糖類などの有機物から代謝産物であるアルコールを生成する工程)を経て製造された発酵アルコール飲料、あるいはアルコール発酵工程を行うことなく製造された非発酵アルコール飲料(例えば蒸留酒等の酒類を原料として用いて調合により製造されたアルコール飲料など)のいずれであっても良い。
本発明のアルコール飲料のアルコール度数は、1v/v%以上であれば特に限定されないが、例えば、下限として2v/v%以上、さらには3v/v%以上、さらには4v/v%以上の範囲が示され、上限として20v/v%以下、さらには15v/v%以下、さらには12v/v%以下、さらには10v/v%以下、さらには9v/v%以下、さらには8v/v%以下、さらには7v/v%以下、さらには6v/v%以下の範囲が示される。特に、このアルコール度数が1v/v%以上12v/v%以下であると、本発明の効果がより発揮され易いため好ましい。
また、このアルコール度数は、その製造工程において使用する酒類(蒸留酒、醸造酒、原料用アルコールなど)のアルコール度数や、その配合割合などによって調整することができる。さらには、発酵アルコール飲料の場合においては、アルコール発酵工程の発酵条件を制御することによりアルコール度数を調整することもできる。
また、このアルコール度数は、その製造工程において使用する酒類(蒸留酒、醸造酒、原料用アルコールなど)のアルコール度数や、その配合割合などによって調整することができる。さらには、発酵アルコール飲料の場合においては、アルコール発酵工程の発酵条件を制御することによりアルコール度数を調整することもできる。
そして、本発明のアルコール飲料は、炭酸ガスを含有する発泡性アルコール飲料であると、後味の香味などがより優れたものとなり、本発明の効果もより発揮されやすいため好ましい。ここで、「発泡性」とは、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.05MPa以上であることを意味し、この炭酸ガス圧は0.1MPa以上、さらには0.15MPa以上であっても良い。そして、この炭酸ガス圧の上限は、0.5MPa以下、さらには0.45MPa以下、さらには0.4MPa以下であっても良い。また、この炭酸ガスは、原料として使用する炭酸水由来のものであっても良いし、カーボネーション(炭酸ガス圧入)工程によりアルコール飲料に付与されたものであっても良い。そして、このカーボネーション工程は、バッチ式で行っても良いし、配管路に炭酸ガス圧入システム(カーボネーター)が組み込まれたインライン方式で連続的に行っても良い。また、このカーボネーション工程は、フォーミング(泡噴き)の発生等を避けるために、液の液温を10℃以下(好ましくは4℃以下)として行うのが好適である。
しかしながら、本発明のアルコール飲料は、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.05MPa未満である非発泡性アルコール飲料であっても構わない。
しかしながら、本発明のアルコール飲料は、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.05MPa未満である非発泡性アルコール飲料であっても構わない。
本発明のアルコール飲料の製造方法は、酢酸イソアミルを含有させる工程、酢酸イソブチルを含有させる工程、および乳成分を含有させる工程を含めば、他はアルコール飲料製造における常法にしたがえば良く、特段限定はされない。そして、その製造において、酵母によるアルコール発酵工程を経て発酵アルコール飲料を製造しても良く、あるいは蒸留酒等の酒類を原料として用いた調合工程を経て(アルコール発酵工程を経ないで)非発酵アルコール飲料を製造しても良い。例えば、ウォッカや原料用アルコールなどのベース酒に、甘味料、有機酸、酢酸イソアミル製剤、酢酸イソブチル製剤、乳原料、炭酸水などを混合し、必要であればろ過、殺菌などを行って製品とする方法が例示される。
さらに、この製造方法は、必要であれば、乳タンパク質の含有量を0.05g/100ml以上2g/100ml以下とする工程、酢酸イソアミルの含有量または酢酸イソブチルの含有量を所定量とする工程、水溶性食物繊維を0.05g/100ml以上10g/100ml以下含有させる工程、オイゲノールを0.5mg/L以上30mg/L以下含有させる工程などを含んでいても良い。また、これらはさらに、前述したそれぞれのより好ましい範囲に含まれるように調整等をしても良い。
そして、本発明のアルコール飲料は、上記のようにして得られた製品が金属製容器(アルミ製容器、スチール製容器など)、ペットボトル容器、ガラス製容器、紙容器、樽容器などに充填された容器詰アルコール飲料とするのが好ましい。このような容器詰アルコール飲料とすることにより、香味などの経時劣化を抑制しやすいだけでなく、流通や販売などにおける利便性がより高まる。例えば、本発明のアルコール飲料は、栓を開けてそのまま飲めるRTD飲料(Ready to drink飲料)であっても良く、あるいは氷やソーダなどで割るRTS飲料(Ready to serve飲料)であっても良い。
以上のような構成である本発明のアルコール飲料は、バナナの果肉感および熟したバナナ感が付与され、さらにパウダリーなオフフレーバーも低減され、アルコール飲料としての香味全体のバランスも向上したものとなる。特に、バナナテイストアルコール飲料において上記効果がより発揮され易い。
なお、本発明は、アルコール飲料に酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有させることを特徴とする、アルコール飲料におけるバナナの果肉感および熟したバナナ感の付与、ならびにパウダリーなオフフレーバーの低減方法を提供するものであるとも言える。言い換えれば、アルコール飲料の香味改善方法を提供するものであるとも言える。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
<アルコール飲料の調製および官能評価I>
ウォッカに液糖(果糖ぶどう糖液糖)、酸味料(クエン酸等)、消泡剤(太陽化学株式会社製)、乳原料(乳等を主要原料とする食品:南日本酪農協同株式会社製)、ならびに酢酸イソブチルおよび酢酸イソアミルを含む香料を添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が4.2v/v%、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.15MPaであり、酢酸イソブチル含有量、酢酸イソアミル含有量、および乳原料配合量(乳タンパク質含有量)が下記表1上段に記載の量である無果汁のバナナテイストアルコール飲料サンプル(サンプル1~4)を調製した。
ウォッカに液糖(果糖ぶどう糖液糖)、酸味料(クエン酸等)、消泡剤(太陽化学株式会社製)、乳原料(乳等を主要原料とする食品:南日本酪農協同株式会社製)、ならびに酢酸イソブチルおよび酢酸イソアミルを含む香料を添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が4.2v/v%、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.15MPaであり、酢酸イソブチル含有量、酢酸イソアミル含有量、および乳原料配合量(乳タンパク質含有量)が下記表1上段に記載の量である無果汁のバナナテイストアルコール飲料サンプル(サンプル1~4)を調製した。
そして、得られた各サンプルにおける、バナナの果肉感、熟したバナナ感、パウダリーなオフフレーバー(粉っぽい異臭)、およびアルコール飲料としての総合評価(アルコール飲料としての香味全体のバランス)について、訓練され官能的識別能力を備えた5名のパネリストにより、以下に示す評価基準を用いて各サンプルを官能評価した。
[バナナの果肉感、および熟したバナナ感の評価基準]
サンプル1におけるバナナの果肉感、および熟したバナナ感をいずれも1(感じない)とし、このサンプル1との対比として、それぞれ、1(感じない:サンプル1と同等)から5(強く感じる)の5段階により比較官能評価を行った。
サンプル1におけるバナナの果肉感、および熟したバナナ感をいずれも1(感じない)とし、このサンプル1との対比として、それぞれ、1(感じない:サンプル1と同等)から5(強く感じる)の5段階により比較官能評価を行った。
[パウダリーなオフフレーバーの評価基準]
サンプル1におけるパウダリーなオフフレーバーを5(強く感じる)とし、このサンプル1との対比として、それぞれ、1(感じない)から5(強く感じる:サンプル1と同等)の5段階により比較官能評価を行った。なお、この項目は点数が低いほど評価が高いものとなる。
サンプル1におけるパウダリーなオフフレーバーを5(強く感じる)とし、このサンプル1との対比として、それぞれ、1(感じない)から5(強く感じる:サンプル1と同等)の5段階により比較官能評価を行った。なお、この項目は点数が低いほど評価が高いものとなる。
[アルコール飲料としての総合評価の評価基準]
アルコール飲料としての総合評価を、1(良くない)から5(非常に良い)の5段階によって絶対評価を行った。
アルコール飲料としての総合評価を、1(良くない)から5(非常に良い)の5段階によって絶対評価を行った。
この官能評価結果(5名のパネリストの評価平均値)を下記表1下段に示した。この結果から、酢酸イソブチルおよび酢酸イソアミルを含み且つ乳成分を含有するサンプル2~4は、いずれもバナナの果肉感および熟したバナナ感が付与されており、さらに、いずれもパウダリーなオフフレーバーが乳成分を含まないサンプル1より低減されており、総合評価も高まったアルコール飲料であることが明らかとなった。特に、サンプル2は味の厚みやまろやかさも感じられ、また、サンプル3およびサンプル4はバナナの果肉感および熟したバナナ感がより感じられるものとなっていた。
<アルコール飲料の調製および官能評価II>
ウォッカに液糖(果糖ぶどう糖液糖)、酸味料(クエン酸等)、消泡剤(太陽化学株式会社製)、乳原料(乳等を主要原料とする食品:南日本酪農協同株式会社製)、酢酸イソブチルおよび酢酸イソアミルを含む香料、ならびに水溶性食物繊維含有原料(難消化性グルカン含有原料(フィットファイバー#80:日本食品化工株式会社製))を添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が4.2v/v%、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.15MPaであり、酢酸イソブチル含有量、酢酸イソアミル含有量、乳原料配合量(乳タンパク質含有量)、および水溶性食物繊維含有量が下記表2上段に記載の量である無果汁のバナナテイストアルコール飲料サンプル(サンプル6~10)を調製した。
ウォッカに液糖(果糖ぶどう糖液糖)、酸味料(クエン酸等)、消泡剤(太陽化学株式会社製)、乳原料(乳等を主要原料とする食品:南日本酪農協同株式会社製)、酢酸イソブチルおよび酢酸イソアミルを含む香料、ならびに水溶性食物繊維含有原料(難消化性グルカン含有原料(フィットファイバー#80:日本食品化工株式会社製))を添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が4.2v/v%、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.15MPaであり、酢酸イソブチル含有量、酢酸イソアミル含有量、乳原料配合量(乳タンパク質含有量)、および水溶性食物繊維含有量が下記表2上段に記載の量である無果汁のバナナテイストアルコール飲料サンプル(サンプル6~10)を調製した。
そして、得られた各サンプルにおける、バナナの果肉感、熟したバナナ感、パウダリーなオフフレーバー、およびアルコール飲料としての総合評価について、上記Iと同じ方法および評価基準により官能評価を行った。
この官能評価結果(5名のパネリストの評価平均値)を下記表2下段に示した。この結果から、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、および乳成分を含み、且つ水溶性食物繊維を所定量含有するサンプル6~10は、いずれもバナナの果肉感および熟したバナナ感が水溶性食物繊維を含まない上記Iのサンプル3よりもさらに向上しており、また、いずれもパウダリーなオフフレーバーがサンプル3よりもさらに低減されており、総合評価もより高まったアルコール飲料であることが明らかとなった。特に、サンプル6は滑らかさも出ており、またサンプル8~10はバナナの果肉感および熟したバナナ感がかなり向上し、濃厚感も強く、且つパウダリーなオフフレーバーがかなり低減したものとなっていた。
<アルコール飲料の調製および官能評価III>
ウォッカに液糖(果糖ぶどう糖液糖)、酸味料(クエン酸等)、消泡剤(太陽化学株式会社製)、乳原料(乳等を主要原料とする食品:南日本酪農協同株式会社製)、酢酸イソブチルおよび酢酸イソアミルを含む香料、水溶性食物繊維含有原料(難消化性グルカン含有原料(フィットファイバー#80:日本食品化工株式会社製))、ならびにオイゲノール製剤を添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が4.2v/v%、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.15MPaであり、酢酸イソブチル含有量、酢酸イソアミル含有量、乳原料配合量(乳タンパク質含有量)、水溶性食物繊維含有量、およびオイゲノール含有量が下記表3上段に記載の量である無果汁のバナナテイストアルコール飲料サンプル(サンプル11~14)を調製した。
ウォッカに液糖(果糖ぶどう糖液糖)、酸味料(クエン酸等)、消泡剤(太陽化学株式会社製)、乳原料(乳等を主要原料とする食品:南日本酪農協同株式会社製)、酢酸イソブチルおよび酢酸イソアミルを含む香料、水溶性食物繊維含有原料(難消化性グルカン含有原料(フィットファイバー#80:日本食品化工株式会社製))、ならびにオイゲノール製剤を添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が4.2v/v%、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.15MPaであり、酢酸イソブチル含有量、酢酸イソアミル含有量、乳原料配合量(乳タンパク質含有量)、水溶性食物繊維含有量、およびオイゲノール含有量が下記表3上段に記載の量である無果汁のバナナテイストアルコール飲料サンプル(サンプル11~14)を調製した。
そして、得られた各サンプルにおける、バナナの果肉感、熟したバナナ感、パウダリーなオフフレーバー、およびアルコール飲料としての総合評価について、上記Iと同じ方法および評価基準により官能評価を行った。
この官能評価結果(5名のパネリストの評価平均値)を下記表3下段に示した。この結果から、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、および乳成分を含み、且つ水溶性食物繊維およびオイゲノールを所定量含有するサンプル11~14は、いずれもバナナの果肉感および熟したバナナ感がオイゲノールを含まない上記IIのサンプル7よりもさらに向上しており、また、いずれもパウダリーなオフフレーバーがサンプル7よりさらに低減されたアルコール飲料であることが明らかとなった。特に、サンプル11およびサンプル12はバナナの果肉感および熟したバナナ感が非常に向上し、且つパウダリーなオフフレーバーがかなり低減し、総合評価も非常に高まったものとなっていた。また、サンプル11は甘味の後引きが上品となっており、サンプル12は香味のバランスが最も良いものであった。
Claims (8)
- 酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有するアルコール飲料。
- 前記乳成分が乳タンパク質を含み、前記アルコール飲料における前記乳タンパク質の含有量が0.05g/100ml以上2g/100ml以下である、請求項1に記載のアルコール飲料。
- 前記酢酸イソアミルの含有量および前記酢酸イソブチルの含有量がいずれも1mg/L以上であり、且つ前記酢酸イソアミルと前記酢酸イソブチルとの合計含有量が5mg/L以上である、請求項1または2に記載のアルコール飲料。
- 水溶性食物繊維を含有し、前記水溶性食物繊維の含有量が0.05g/100ml以上10g/100ml以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
- オイゲノールを含有し、前記オイゲノールの含有量が0.5mg/L以上30mg/L以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
- バナナテイストアルコール飲料である、請求項1~5のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
- 酢酸イソアミルを含有させる工程と、酢酸イソブチルを含有させる工程と、乳成分を含有させる工程と、を備える、アルコール飲料の製造方法。
- アルコール飲料に酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、および乳成分を含有させることを特徴とする、アルコール飲料におけるバナナの果肉感および熟したバナナ感の付与、ならびにパウダリーなオフフレーバーの低減方法。
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