JP2023075422A - 加工装置および加工装置の制御方法 - Google Patents

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Koichi Saruta
崇 直江
Takashi Naoe
誠 勅使河原
Makoto Teshigawara
正敏 二川
Masatoshi Futagawa
輝 梁
Hui Liang
エルカン ネジェット
Erkan Nejdet
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Abstract

【課題】加工により発生するヒュームの大気中への拡散防止およご前記ヒュームを回収可能な加工装置を提供すること。【解決手段】加工対象物10の局所部16を溶融するために、前記局所部16を加熱する加熱ヘッド122を備えた加熱装置120と、前記局所部16と前記加熱ヘッド122とを繋ぐ加熱エリア20の外側にミストカバー層40を形成するミスト層形成装置140と、液体からミスト41を生成して前記ミスト層形成装置140に供給するミスト生成装置130と、前記加熱ヘッド122により加熱されて溶融する前記局所部16を前記加工対象物10の加工場所12に沿って移動させる加工位置移動機構30と、を備え、前記ミスト層形成装置140から噴霧された前記ミスト41により、前記加熱エリア20の外周を覆う前記ミストカバー層40を形成した、ことを特徴とする加工装置。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属などの材料を加工するための加工装置および前記加工装置を制御する制御方法に係り、特に材料の加工時に発生するヒュームの拡散を抑制する機能を備えた加工装置および前記ヒュームの拡散を抑制するための前記加工装置の制御方法に関する。
金属などの材料を加工する場合に、材料の加工部分を高温に加熱する方法を用いる加工装置が現在広く使用されている。例えばレーザーを使用する加工装置やプラズマアークを使用する加工装置である。このような加工装置は、色々な利点を有している。しかし上記加工装置では加工部分に対して局所加熱を行うので、局所加熱部で材料が溶融する。この溶融に伴って、溶融金属など、材料が蒸気化し、ヒュームと呼ばれる煙状の微細粉塵を発生する。このヒュームが空気中に拡散し、場合によっては長時間浮遊する。ヒュームが空気中に滞留することにより作業環境が悪化する場合がある。あるいは貴重な材料を使用した物の加工、例えば電子機器等の加工、の場合には、前記貴重な材料がヒュームの状態で空気中等に拡散するのを防止して、回収できる状態とすることが望ましい。このためには先ず空気中などへの上記ヒュームの拡散を抑制できることが望ましい。
特開2015-139778号公報 特開2021-62388号公報
特許文献1にはレーザー(LASER)を照射して金属材料を加工する加工装置が開示されている。また特許文献2にはプラズマアークを利用して金属材料を加工する加工装置が開示されている。
特許文献1において、段落「0015」に、レーザー加工に伴って生じたガスや溶融部を除去するためにノズル25からアシストガスを噴き出すと記載されている。この記載でレーザー加工に伴って生じたガスを除去するとは、加工対象の金属材料であるワークWの加工部分から上記ガスを他の場所へ移動させるとのことであり、放出されたガスを回収するとの意味ではない。逆にアシストガスを噴きつけることは、レーザー加工に伴って生じたヒュームを含むガスの空気中への拡散を助けることになる。
なお、特許文献1において、段落「0010」や段落「0015」で、ノズル25からミストFMが噴射されると記載されているが、この記載は誤記であり、正しくは特許文献1の段落「0017」や段落「0021」に記載のとおり、「ミストノズル1からミストFMが噴射されるが」、が正しい表現である。特許文献1の段落「0032」の記載によれば次のように記載されている。ミストノズル1からのミストFMの噴射により、ワークW1の表面に液体の膜を形成することができる。これによりワークW1の表面に付着するスパッタの量を低減することができる、またノズル25にスパッタが付着し難くなる。このためノズル25を、ワークW1に、より接近させることができる。
また特許文献2では、段落「0073」から段落「0082」に、プラズマ溶接時にヒュームが発生することが記載されている。段落「0074」および段落「0075」の記載によれば、次のように記載されている。図7に示す複数の溝15gのそれぞれを通じてインサートキャップ16の開口16bからチップ穴15bの周囲近傍に、バリアガスBGを流すことにより、チップ穴15bの周囲に、チップ穴15bを囲むバリアガスBGによるガス流を形成することができる。チップ穴15bを囲むバリアガスBGの流速のあるガス流により、鋼板31の表面の亜鉛めっき層32と先端面15aとの間にバリアを形成することができる。これにより、プラズマ溶接時に、亜鉛ヒューム33及び鋼板スパッタ34の双方が遮断され、これらがインサートチップ15の先端面15aに付着又は溶着してしまうことを抑制できる。
特許文献1や特許文献2において、金属材料の加工部分に対する局所加熱により、ヒュームが発生することが記載されている。しかし発生したヒュームについて、空気中への拡散の防止について、全く開示が無いし、示唆もない。さらにヒュームの回収について開示や示唆が全く無い。
本発明の目的は、金属などの材料の加工において発生するヒュームの拡散を抑制する機能を備えた加工装置を提供することである。あるいは、本発明の目的は加工装置を制御して、前記材料の加工において発生するヒュームの拡散を抑制する制御方法を提供することである。
〔第1の発明〕
前記課題を解決する第1の発明は、
加工対象物の加工場所における局所部を溶融するための加熱ヘッドを備えた加熱装置と、
前記加工対象物の前記局所部と前記加熱装置の前記加熱ヘッドとを繋ぐ加熱エリアの外側にミストカバー層を形成するために、ミストを噴霧するミスト層形成装置と、
液体から前記ミストを生成して前記ミスト層形成装置に供給するミスト生成装置と、
前記加熱ヘッドと前記加工対象物との位置関係を相対的に変えることにより、前記局所部を前記加工対象物の前記加工場所に沿って移動させる加工位置移動機構と、
を備え、
前記ミスト層形成装置から噴霧された前記ミストにより、前記加熱エリアの外側に前記加熱エリアの外周を覆う前記ミストカバー層を形成して前記局所部の溶融により発生するヒュームが空気中に拡散するのを抑制する、ことを特徴とする加工装置である。
〔第1の発明の作用効果〕
加工対象物の加工場所における局所部を溶融させると、前記溶融部でヒュームが発生する。このヒュームが空気中に拡散し、空気中に滞留する。これを抑制するために、本発明ではミストカバー層を形成して、空気中への拡散を抑制する。このようにミストカバー層を形成してヒュームの空気中への拡散を抑制する構成および作用について、特許文献1や特許文献2に開示されていないし、示唆もされていない。
以下の実施形態ではミストカバー層とヒュームとの作用について説明するが、高温に加熱することによる局所部の溶融に伴って発生したヒュームは蒸気の状態で前記ミストカバー層の内側に放出される。放出されたヒュームは前記ミストカバー層で冷却され、凝縮される。このようにしてヒュームが前記ミストカバー層によって閉じ込められる。このためミストカバー層から外に拡散されるヒュームを大幅に抑制できる。
なお特許文献1の段落「0032」や「0038」の記載によれば、ミストFMによりワークW1の表面に水の膜が形成されると記載されている。仮に特許文献1に記載のミストが、前記第1の発明のミストと同じようにミストカバー層を構成しヒュームを閉じ込める作用を有すると解釈すると、特許文献1に記載されているように特許文献1のミストによって作られたワークW1の表面の水の膜が、ヒュームを含むことになる。このことは特許文献1の記載と矛盾する。
すなわち加工部からはヒュームだけでなくスパッタも発生する。従って特許文献1において、もしミストカバー層が形成されていると解釈すると、前記ミストカバー層はヒュームだけでなくスパッタも閉じ込める作用を有することになる。このためワークW1の表面に水の膜を形成する際に、前記ミストカバー層は、ヒュームとスパッタをワークW1の表面に誘導することになる。このことは、特許文献1の段落「0032」や「0038」の記載と、完全に矛盾する。従って特許文献1に記載のミストは、層を形成してヒュームの空気中への拡散を抑制するものとは全く異なるものと判断せざるを得ない。
〔第2の発明〕
前記課題を解決する第2の発明は、第1の発明の加工装置において、
さらに前記ミストカバー層を吸引して回収する回収装置を備えている、ことを特徴とする加工装置である。
〔第2の発明の作用効果〕
加工対象物の局所部を溶融させたことにより発生したヒュームの多くは蒸気の状態でミストカバー層の内側に放出され、前記ミストカバー層により冷却されると共にその多くは前記ミストカバー層により捕獲される。回収装置によりミストカバー層を吸引して、回収する。このことにより、前記ミストカバー層により捕獲されヒュームは、前記ミストカバー層と共に吸引されて回収される。上述したように発生したヒュームの多くは前記ミストカバー層により捕獲されるので、発生したヒュームを効率よく回収することができる。
特許文献1や特許文献2には、前記ミストカバー層を回収する回収装置について全く記載が無い。さらにワークW1の表面に水の膜を形成しようとした場合に、仮に回収装置を設けたとすると、水の膜を形成する上で、文献に述べられた効果が低減するなどの悪影響が出ると考えられる。
第2の発明では、ヒュームを回収する回収装置を備えている。ヒュームの拡散を抑制し、ヒュームを回収し、ヒュームによる空気の汚染を抑制できる効果が得られることは上述のとおりである。しかしこれ以外の効果が得られる場合がある。希少金属からなる加工対象物あるいは一部に希少金属が使用されている加工対象物の場合では、希少金属の空気中への拡散を抑制してこれを回収できる効果がある。この場合には汚染の防止だけでなく、貴重な資源である希少金属を再利用できる大きな効果が得られる。
〔第3の発明〕
前記課題を解決する第3の発明は、第1の発明あるいは第2の発明の内の一の発明の加工装置において、
前記ミストカバー層は第1ミスト層と第2ミスト層を有していて、前記加熱エリアの外周を覆うように前記第1ミスト層が形成され、前記第1ミスト層の外周を覆うように前記第2ミスト層(44)が形成される、ことを特徴とする加工装置である。
〔第3の発明の作用効果〕
ミストカバー層は非常に細かい液体の粒で構成されており、乱れが生じやすい。ミストカバー層を2層とすることで、ヒュームを閉じ込める効果や回収効果を大きく向上することができる。例えば発生するヒュームの量は一定とは限らない。局所部の状態や加工場所の形状によって異なる。例えば加工場所が直線ではなく鋭角に折れ曲がっている場合には、ヒュームの発生量が増減するなど変化したり、一方向に偏った状態で発生したりする。このような変化が生じても、ヒュームを安定して閉じ込められることが好ましい。ミストカバー層を少なくとも2層とすることで、上述のような局所部の状態が変化しても、安定した効果を得ることができる。
さらにミストカバー層を少なくとも2層とすることで、第1ミスト層と第2ミスト層とに重要な機能を分担させることができる。発生した直後のヒュームは高エネルギーを有し、粒子が非常に細かい状態である。従って第1ミスト層で先ず高温のヒュームを冷却する。次に第2ミスト層でヒュームを捕集する。このように第1ミスト層と第2ミスト層を有することで、ヒュームの吸引および回収効率を大きく向上することができる。
〔第4の発明〕
前記課題を解決する第4の発明は、第3の発明の加工装置において、
前記ミスト層形成装置は、前記第1ミスト層を形成するための第1ミストを噴霧する第1ミスト噴霧ノズルと前記第2ミスト層を形成するための第2ミストを噴霧する第2ミスト噴霧ノズルを備え、
前記第1ミスト噴霧ノズルから噴霧される前記第1ミストの径が、前記第2ミスト噴霧ノズルから噴霧される前記第2ミストの径より小さい、ことを特徴とする加工装置である。
〔第4の発明の作用効果〕
第4の発明では、前記第2ミスト層を形成するための前記第2ミストより、前記第1ミスト層を形成するための前記第1ミストの径を小さくしている。前記第1ミスト層が接するヒュームの方が、前記第2ミスト層が接するヒュームより高温であり、また径が小さい。このため前記第1ミスト層を形成する第1ミストの径を小さくした方が、前記第1ミスト層自身の内部に生じる隙間をより小さくできる。従って径の小さいヒュームに対しても前記第1ミスト層から外部への漏れをより効果的に抑制できる。
加工対象物の局所部から発生したヒュームは、微細であり高温状態である。このヒュームが、第1ミスト層の前記第1ミストと接することにより冷却されると、ヒュームの粒子は互いに結びつき、径が大きくなる。径が大きくなったヒュームの粒子は質量も大きくなる。径が大きくなったヒュームを捕らえるには、ミストの方も径が大きい方が好ましい。このため前記第2ミスト層の第2ミストの径を、前記第1ミスト層を形成するための第1ミストの径より大きくする。このようにすることにより、前記第1ミスト層および前記第2ミスト層の作用が大幅に改善される。
上記第4発明で記載したように、前記第1ミスト層を形成するための前記第1ミストの径を、前記第2ミスト層を形成するための前記第2ミストの径より、小さくすることにより、上述した大きな効果を奏することができる。前記第1ミストの径と前記第2ミストの径について、次に一具体例を説明する。ここでミストの径とは、例えば、ミストの直径であり、ミストの大きさである。
前記第1ミスト層や前記第2ミスト層を形成する前記第1ミストや前記第2ミストはその大きさが均一ではなく、大きさに関して大小のミストが混ざり合って存在している。しかし前記第1ミストや前記第2ミストのそれぞれを構成している多数のミストについて、その大きさをパラメータとしたミスト数の分布に着目すると、ある大きさの領域において、ミストの数がピークとなり、ピークの領域から遠ざかるにつれてその領域に含まれるミストの数が減少する。
前記第1ミスト層や前記第2ミスト層は、上述のとおり、発生するヒュームを閉じ込める、あるいは捕獲する、作用をする。この観点から前記第1ミスト層や前記第2ミスト層を形成する前記第1ミストや前記第2ミストの粒についてその大きさに着目すると、存在するミストの数が最も多い領域のミストの大きさ、言い換えると上述したミスト数の分布がピークとなる領域のミストの大きさが、その作用の観点から重要となる。前記第4発明では、前記第1ミスト層を形成する前記第1ミストと、前記第2ミスト層を形成する前記第2ミストと、をそれぞれの分布数がピークとなる領域に含まれるミストの大きさにおいて比較すると、前記第2ミストの大きさが、前記第1ミストの大きさより大きい。このように、大きさをパラメータとした分布数のピークとなる領域に存在するミストの径で比較することが、前記第1ミスト層や前記第2ミスト層の作用の観点において有効である。最も数の多い領域あるいはその近傍の領域のミストが、上述した作用や効果を奏するうえで、大きな働きをする。
〔第5の発明〕
前記課題を解決する第5の発明は、第3の発明あるいは第4の発明の内の一の発明の加工装置において、
前記ミスト層形成装置は、前記第1ミスト層を形成するための第1ミストを噴霧する第1ミスト噴霧ノズルと前記第2ミスト層を形成するための第2ミストを噴霧する第2ミスト噴霧ノズルを備え、
前記第2ミスト噴霧ノズルを、前記加工対象物に対して、前記第1ミスト噴霧ノズルより遠い位置に設けると共に、前記第2ミスト噴霧ノズルから噴霧される単位時間当たりの前記第2ミストの量を、前記第1ミスト噴霧ノズルから噴霧される単位時間当たりの前記第1ミストの量より多くした、
ことを特徴とする加工装置である。
〔第5の発明の作用効果〕
加工対象物の局所部の加熱に伴って放出されるヒュームを第1ミスト層と第2ミスト層とによりミストカバー層内に閉じ込め、外側の大気中への漏れ量を抑制することが望ましい。発明者達が行った実験によれば、噴霧するミストの量を増やすことが、大気中へのヒュームの漏れを低減するうえで非常に有効であることが明確となった。しかし第1ミスト噴霧ノズルや第2ミスト噴霧ノズルから噴霧されるミストの量を際限なく増やすことは、当然のことながら不可能である。また現実的な解決策とはならない。
第5の発明では、第2ミスト噴霧ノズルを第1ミスト噴霧ノズルより、加工対象物に対して遠い位置に配置することにより、第2ミスト層で第1ミスト層の全体を、言い換えると根元の方から加工対象物までの全体を覆うようにする。これにより、第1ミスト層から漏れ出たヒュームが第2ミスト層で閉じ込められ、しかも第2ミスト層からの漏れを低減できる。さらに第2ミスト噴霧ノズルからのミストの噴霧量を増やすことで、より高い信頼性が向上する。
〔第6の発明〕
前記課題を解決する第3の発明あるいは第4の発明の内の一の発明の加工装置において、
前記ミスト層形成装置は、前記第1ミスト層を形成するための第1ミストを噴霧する第1ミスト噴霧ノズルと前記第2ミスト層を形成するための第2ミストを噴霧する第2ミスト噴霧ノズルを備え、
前記第2ミスト噴霧ノズルを、前記加工対象物に対して、前記第1ミスト噴霧ノズルより近い位置に設けると共に、前記第2ミスト噴霧ノズルにより前記第1ミスト層における前記第1ミスト噴霧ノズルの近傍を覆うようにした、
ことを特徴とする加工装置である。
〔第6の発明の作用効果〕
第6の発明では、前記第2ミスト噴霧ノズルを、前記加工対象物に対して、前記第1ミスト噴霧ノズルより近い位置に設けると共に、前記第2ミスト噴霧ノズルにより前記第1ミスト層における記第1ミスト噴霧ノズルの近傍を覆う構成とした。ミストカバー層を形成するための前記第1ミスト噴霧ノズルや前記第2ミスト噴霧ノズルを加工対象物に近づけた方が、ミストカバー層が安定し、前記ミストカバー層から大気中にもれるヒュームを低減できる。しかし加熱ヘッドと局所部との間隔は、加工対象物を最適に加工することを優先して定めることが望ましい。このため第1ミスト噴霧ノズルと加工対象物との間の距離をより短くすることには限界がある。これに対して第2ミスト噴霧ノズルの方は自由度が大きく、第1ミスト噴霧ノズルよりも加工対象物に近づけて配置することが可能となる。
第2ミスト噴霧ノズルを加工対象物に近づけた方が、前記第2ミスト層をより安定した状態で維持できる。この場合に第1ミスト噴霧ノズルの近傍の第1ミスト層は、第2ミスト噴霧ノズルの部分で包含する構造となる。このようにすることで、上述のとおり第2ミスト層でヒュームを含む微細粉塵を安定して捕獲でき、大気中への漏れを大幅に低減できる。
〔第7の発明〕
前記課題を解決する第7の発明は、第2の発明乃至第6の発明の内の一の発明の加工装置において、
前記回収装置は前記ミストカバー層を吸引するための吸引装置を有しており、
前記吸引装置は前記ミストカバー層を形成しているミストを吸引するための複数の吸引口を有していて、前記複数の吸引口は、それぞれ前記ミストカバー層における前記加工対象物の近傍に配置されており、
前記吸引装置は、吸引装置支持機構により前記加熱ヘッドと共に移動するように支持されている、
ことを特徴とする加工装置である。
〔第7の発明の作用効果〕
第7の発明において、吸引装置は、ヒュームが発生する局所部の移動に基づいて、自動的に移動する。このことにより前記局所部を覆うように、自動的に第1ミスト層や前記第2ミスト層を備えたミストカバー層を形成することができる。このためミストカバー層から外部の大気中へのヒュームの漏れを抑制できるだけでなく、信頼性を大きく向上することができる。
〔第8の発明〕
前記課題を解決する第8の発明は、第7の発明に記載の加工装置において、
前記吸引装置が有する前記複数の吸引口はそれぞれその開口方向が、前記ミストカバー層の周方向を向いている、
ことを特徴とする加工装置である。
〔第8の発明の作用効果〕
第8の発明においては、前記吸引装置が有する前記複数の吸引口はそれぞれその開口方向が、前記ミストカバー層の周方向を向いている。もし前記吸引口が前記局所部の方を向いていると、前記第2ミスト層をその外周面に対して垂直方向から吸引することになる。この場合、前記ミストカバー層に乱れが生じ易く、前記ミストカバー層が有する加熱エリアの外側を覆う機能が、前記乱れにより、失われる恐れがある。
一方前記ミストカバー層の周方向に前記吸引口を開口した場合には、できるだけ層流を維持するようにして前記ミストカバー層を吸引することができる。これにより乱流の発生を抑制できる効果がある。この結果ミストカバー層からのヒュームの漏れを抑制できる効果が大きく、さらに吸引動作も安定する。
〔第9の発明〕
前記課題を解決する第9の発明は、
加工対象物の加工場所における局所部を溶融するための加熱ヘッドを備えた加熱装置と、
前記加工対象物の前記局所部と前記加熱装置の前記加熱ヘッドとを繋ぐ加熱エリアの外側にミストカバー層を形成するためのミスト層形成装置と、
前記加熱ヘッドと前記加工対象物との相対的な位置関係を変えることにより、前記局所部を前記加工対象物の前記加工場所に沿って移動させる加工位置移動機構と、
前記加熱装置と、前記ミスト層形成装置と、前記加工位置移動機構と、を制御する制御装置と、
を備えた前記加工対象物を加工するための加工装置の制御方法であって、
前記ミスト層形成装置により前記ミストカバー層を形成し、
前記ミストカバー層を形成した後に、前記加熱装置の前記加熱ヘッドにより前記加工対象物の加工場所における局所部を溶融するようにした、
ことを特徴とする加工装置の制御方法である。
〔第9の発明の作用効果〕
第9の発明では、先ず、前記加工対象物の前記局所部と前記加熱装置の前記加熱ヘッドとを繋ぐ加熱エリアの外側にミストカバー層を形成する。前記ミストカバー層を形成した後に、前記局所部を溶融する。このようにすることで、前記局所部からヒュームが放出される以前に前記ミストカバー層を形成することができる。これにより前記局所部から放出されたヒュームが外部に漏れるのを抑制することができる。
〔第10の発明〕
前記課題を解決する第10の発明は、第9の発明の加工装置の制御方法において、
前記ミスト層形成装置により前記ミストカバー層を形成した後に、前記加熱装置の前記加熱ヘッドにより前記加工対象物の前記加工場所における前記局所部を溶融し、
さらに前記加工位置移動機構により前記加熱ヘッドと前記加工対象物との相対的な位置関係を変化させることにより、溶融した前記局所部を前記加工対象物の前記加工場所に沿って移動し、
加工終了時あるいは加工停止時において、前記加熱ヘッドにより前記局所部を溶融する溶融動作を停止し、
前記溶融動作の停止後に、前記ミスト層形成装置により前記ミストカバー層を形成するミストカバー層形成動作を停止するようにした、
ことを特徴とする、加工装置の制御方法である。
〔第10の発明の作用効果〕
前記加工対象物の加工が終了した時あるいは前記加工を一時的に停止した時には、前記局所部の溶融動作を停止するので、前記局所部からのヒュームの発生が停止する。従って前記ミストカバー層の形成を停止することができる。しかしこの場合に既に発生しているヒュームに関しては、外部への漏洩を防止しなければならない。このためヒュームの発生が停止した時点では前記ミストカバー層を形成するミストカバー層形成動作を維持し、前記局所部の溶融動作を停止するのを待って、その後前記ミストカバー層を形成するミストカバー層形成動作を停止する。このようにすることで、ヒュームの外部への漏れを防止できる。
〔第11の発明〕
上記課題を解決する第11の発明は、第10の発明の加工装置の制御方法において、
前記加工装置は前記ミストカバー層を吸引するための吸引装置を有する回収装置をさらに備えており、
前記ミスト層形成装置により前記ミストカバー層を形成し、さらに前記回収装置の前記吸引装置により前記ミストカバー層を吸引するを開始し、
前記ミスト層形成装置により前記ミストカバー層を形成した後に、前記加熱装置の前記加熱ヘッドによる前記加工対象物の前記加工場所における前記局所部の前記溶融動作を開始し、
前記加工終了時あるいは前記加工停止時において、前記加熱装置の前記加熱ヘッドによる前記局所部の前記溶融動作を停止し、
前記局所部に対する前記溶融動作を停止してから予め設定された時間が経過した後に、前記ミスト層形成装置による前記ミストカバー層形成動作を停止し、
前記ミスト層形成装置による前記ミストカバー層形成動作を停止した後に、前記回収装置の前記吸引装置による前記ミストカバー層に対する前記吸引動作を停止するようにした、
ことを特徴とする、加工装置の制御方法である。
〔第11の発明の作用効果〕
前記加工対象物の加工が終了した時あるいは前記加工を一時的に停止する時に、前記局所部の溶融動作を停止する。その結果前記局所部におけるヒュームの発生が停止する。しかし、既に発生したヒュームが前記ミストカバー層の内部に閉じ込められた状態で存在している。前記ミストカバー層の内部に閉じ込められた状態のヒュームを前記吸引装置により吸引し、回収することが望ましい。ヒュームを吸引する場合に、前記吸引装置だけでは、うまく吸引できない。ヒュームを前記ミストカバー層で包含すると共に、前記ミストカバー層を構成するミストと結合した状態でヒュームを吸引することにより、ヒュームの漏れを低減し、効率よくミストを吸引し、回収することができる。
第11の発明では、ヒュームの発生を停止してから既に発生して浮遊しているヒュームを吸引して回収するのに必要な時間を予め設定しておき、ヒュームの発生を停止した後も予め設定した時間の間、前記ミストカバー層の形成を維持する。このようにすることで、ヒュームの吸引と回収を大幅に改善することができる。
〔第12の発明〕
前記課題を解決する第12の発明は、第9の発明乃至第11の発明の内の一の発明の加工装置の制御方法において、
前記加工装置の異常診断動作を前記加工対象物の加工動作と共に実行し、
前記異常診断動作において異常状態が検知されると、前記加熱ヘッドによる前記局所部の溶融動作を停止し、
前記局所部の前記溶融動作を停止してから予め設定した前記時間が経過した後に、前記ミスト層形成装置による前記ミストカバー層の形成を停止する、
ことを特徴とする、加工装置の制御方法である。
〔第12の発明の作用効果〕
加工装置の異常診断は重要であり、異常が検知されると直ちに動作を停止することが重要である。しかし、異常の原因にもよるが、異常が検知された状態であってもできるだけヒュームの大気への拡散を防止することが望ましい。本発明では、前記局所部に対する溶融動作を停止する。しかし、異常の原因にもよるが、前記ミストカバー層の形成を先ずは維持し、ヒュームの回収動作を持続する。異常に伴う危険な状態は、高温状態が異常となることである。前記局所部の溶融を停止することで、高温状態の異常を抑制することができる。さらにヒュームの拡散や回収を目的とした前記ミストカバー層の形成が、ヒュームの拡散防止と回収の作用だけでなく、異常な高温状態の発生や持続を抑制する効果を奏する。
本発明によれば、金属などの材料の加工において発生するヒュームの拡散を抑制する機能を備えた加工装置を得ることができる。さらに本発明によれば、発生したヒュームの拡散を効果的に抑制できる加工装置の制御方法を得ることができる。
本発明が適用された一実施例である加工装置の概要を説明する説明図である。 図1に記載した実施例におけるミスト層の状態およびミストを吸引するミスト吸引装置の動作を説明する説明図である。 発生するヒュームのミストカバー層によるトラップ動作を説明するための説明図である。 ヒュームを含む微細粉塵の回収を説明するための説明図である。 他の実施例を説明する説明図である。 本発明を、プラズマアークを使用した加工装置に適用した場合の実施例を説明する説明図である。 他の実施例を説明する説明図である。 本発明に係る加工装置の制御内容における、加工開始前や加工終了時等の処理に関するフローチャートである。 本発明に係る加工装置の制御内容における、加工動作中および緊急状態発生時の処理に関するフローチャートである。
1.はじめに
以下に記載の実施例において、同一符号が付された構成についてはその作用効果が同じであり、重複した説明を省略する場合がある。さらに以下に記載の実施例が解決する課題および前記実施例が奏する効果は色々あり、これらの効果は、前記本発明の目的の欄および前記発明の効果の欄に記載した目的や効果の範囲に限るものではなく、これらの範囲以外の課題をも解決し、これらの範囲以外の効果をも奏する場合がある。
2.本発明が適用された一実施例である加工装置100の構成について
(1)本発明が適用可能な加工装置の説明
図1は、本発明が適用された一実施例である加工装置100の概要を説明する説明図である。また図2は、ミストカバー層40の状態および吸引装置160の動作を説明する説明図である。本実施例は、本発明を適用したレーザービーム50を用いた加工装置の例である。なお本発明が適用可能な加工装置はこれに限るものではない。例えばプラズマアークを用いた加工装置に対しても本発明が適用可能である。また本発明が適用可能な加工装置の加工の内容としては、例えば加工対象物10の切断、あるいは複数の加工対象物10の接合、等がある。加工対象物10は例えば金属材料であり、加工を行う場所である加工場所12の局所部16を加熱することにより、加工対象物10の加工を行う。加熱により加工を行う装置であれば、本発明を適用することにより大きな効果を奏することができる。
図1の実施例では、加工対象物10が小さく記載されているが、これは図面の都合でこのように記載したのであり、本発明の適用においては、加工対象物10が大きくても良くまた小さくても良く、加工対象物10の大きさによる制約はない。また本実施例では加工対象物10が、加工装置100の加工台31の上に固定されている。しかしこれは一例であり、これに限るものではない。例えば大きな建築物の床あるいは壁に加工を行う加工装置に本発明を適用しても良い。また船や車両、航空機、などに使用する材料を加工する加工装置に本発明を適用しても良い。以下に説明する本実施例の作用および効果は、上述の加工装置においても同様である。
図1において、以下で説明する第2ミスト層44の内側に第1ミスト層42が存在し、第1ミスト層42の内側にレーザービーム50が加工対象物10の局所部16に向けて放出されるための空間である加熱エリア20が存在する。これらの構成が理解し易いように、図1では、第2ミスト層44や第1ミスト層42を断面にした状態で記載している。
(2)本発明が適用された実施例である加工装置100の構成の説明
(2-1)加工位置移動機構30の構成についての説明
加工装置100は、加工対象物10を固定する加工台31を有している。加工対象物10に対して例えば切断加工する場合の切断場所である加工場所12に沿って加工点である局所部16を移動することにより、希望した切断加工を行うことができる。加工点である局所部16を加工場所12に沿って移動するために、加工装置100には加工位置移動機構30が設けられている。加工位置移動機構30は、局所部16をX方向に移動するためのX方向移動機構32と、局所部16をY方向に移動するためのY方向移動機構34と、局所部16と加熱装置120の加熱ヘッド122との間の距離を調整するZ方向移動機構36と、を備えている。具体的には、加工対象物10の局所部16を加熱するための加熱装置120が加工部支持台38に固定されており、加工部支持台38が加工位置移動機構30により、X方向やY方向、Z方向に動かされる構造となっている。加工部支持台38には加熱装置120やミスト生成装置130、レーザー発振器70、回収装置170が設けられている。
図1に記載の実施例や以下に記載の実施例では、説明を簡単にし、理解し易いようにするため、加工対象物10を一定の位置に維持し、加工対象物10対して、加熱装置120の加熱ヘッド122が移動するように図示している。しかし、加工対象物10の加工場所12に沿って局所部16を移動する場合に、加熱装置120の加熱ヘッド122の位置を固定し、加工対象物10を移動するようにしても良い。X方向移動機構32やY方向移動機構34で加熱装置120を保持する加工部支持台38を移動する代わりに、加工台31を移動して加熱ヘッド122と加工対象物10における局所部16との位置関係を変えるようにしても良い。さらに局所部16と加熱ヘッド122との間の距離を調整する場合に、Z方向移動機構36により加工部支持台38を上下させても良いし、加工部支持台38の位置を固定し、加工台31の高さを変えるようにしても良い。さらに加工部支持台38あるいは加工台31のどちらかを動かす方法でも良いが、両方を動かして局所部16と加熱ヘッド122との間の距離や加工対象物10に対する加熱ヘッド122のX方向やY方向における相対的な位置関係を調整するようにしても良い。
(2-2)加熱装置120による加工動作の説明
加工部支持台38に設けられたレーザー発振器70は、エネルギーを加えることによりレーサービームを発生し、さらに発生したレーザービームを増幅して高エネルギーのレーザービームを加熱装置120に供給する。なお本実施例ではレーザー発振器70を加工部支持台38に設けているが、これはレーザー発振器70や加熱装置120の装置全体をコンパクトにするためである。しかし本発明の適用においては、レーザー発振器70をどこに配置するかは、制約条件とはならない。
加熱装置120に導入されたレーザービームは、加熱装置120の加熱ヘッド122から加熱エリア20を通して局所部16に向けてレーザービーム50として照射される。加熱装置120には、例えばレンズが設けられていて、レーザービーム50が局所部16で焦点を結ぶ。レーザービーム50のエネルギーが局所部16に集中し、局所部16が高温に加熱されて溶融する。エネルギーが集中する局所部16を加工場所12に沿って移動させるために、加工位置移動機構30により加熱装置120を加工対象物10に対して相対的に移動する。このようにして加工場所12に沿って加工対象物10を切断することができる。なお、加工装置100には操作部112や表示部114を有する制御装置110が設けられている。制御装置110と、レーザー発振器70やミスト生成装置130、回収装置170との間の配線の記載は省略しているが、これらの間は通信回線で接続されている。加工装置100の動作は、制御装置110により総合的に制御される。制御装置110による加工装置100の制御方法については以下で図8や図9に基づき説明する。
3.ヒューム13の発生とヒューム13の大気中への漏れの抑制方法の説明
(1)局所部16からのヒューム13およびスパッタの噴出の説明
レーザービーム50を加工対象物10の局所部16に照射することにより、局所部16が高温に加熱され、溶融する。この時局所部16においてヒューム13やスパッタが発生し、放出される。ヒューム13はその径が非常に小さく軽い微細粉塵であるため、このヒューム13が大気中に放出されると、大気中に長時間浮遊し、回収が困難となる。さらに粒径の大きいスパッタも局所部16から放出される。このスパッタが大気中に放出されると、周囲の装置やその他に付着するなどの問題を引き起こす。なお図1や図2において、上述のようにヒューム13だけでなく、スパッタも発生するが、スパッタについては図示を省略している。
(2)ミストカバー層40によるヒューム13やスパッタの拡散抑制方法の説明
図1や図2に記載のように局所部16が高温に加熱されることにより、ヒューム13やスパッタが発生して局所部16から放出される。本実施例では水などの液体によるミストカバー層40を形成してレーザービーム50の照射のための加熱エリア20を取囲む。ミストカバー層40のその先端が加工対象物10の表面に到達しても良い。このミストカバー層40を発生することにより局所部16から放出されたヒューム13やスパッタを効率よくさらに高い信頼性でミストカバー層40の内部に閉じ込めることができる。さらに以下で説明するが、ヒューム13を単に閉じ込めるだけでなく、ミストカバー層40を構成する第1ミスト43や第2ミスト45によりヒューム13をトラップすることができる。また質量と運動量が小さいスパッタの飛散を軽減する。このように第1ミスト43や第2ミスト45によりトラップしたヒューム13や質量と運動量が小さいスパッタを第1ミスト43や第2ミスト45と共に回収することができる。この具体的な方法については以下で説明する。
(3)ミストカバー層40の形成方法の説明
加工装置100は図示しない液体供給装置から水などの液体の供給を受け、ミスト生成装置130でミストを生成してミスト層形成装置140に供給し、ミスト層形成装置140から供給されたミストを加熱エリア20の外周を取囲むように噴霧して、加熱エリア20の外周にミストカバー層40を形成する。
この実施例では、ミストカバー層40は、少なくとも加熱エリア20の外周を取囲むように形成された第1ミスト層42と第1ミスト層42の外周を取囲むように形成された第2ミスト層44とを、有している。第1ミスト層42は第1ミスト噴霧ノズル144から噴霧された多数の第1ミスト43によって形成されている。また第2ミスト層44は第2ミスト噴霧ノズル154から噴霧された多数の第2ミスト45によって形成されている。第1ミスト層42を構成する多数の第1ミスト43と第2ミスト層44を形成する多数の第2ミスト45とを、それぞれ比較した場合に、第1ミスト層42を形成する多数の第1ミスト43の方が、第2ミスト層44を形成する多数の第2ミスト45より粒径が小さい。このようにすることにより、以下で説明するが、ミストカバー層40によるヒューム13のトラップ作用を向上することができる。
(4)第1ミスト層42を構成する第1ミスト43の径と第2ミスト層44を構成する第2ミスト45の径の説明
本実施例では、上述のとおり、第1ミスト層42を形成する多数の第1ミスト43の径を、第2ミスト層44を形成する多数の第2ミスト45の径より、小さくしている。ここで第1ミスト43の径と第2ミスト45の径とは、例えば、ミストの直径であり、ミストの大きさである。
第1ミスト層42や第2ミスト層44を形成している多数の第1ミスト43や第2ミスト45は、その大きさが均一ではなく、大きさに関して大小のミストが混ざり合って存在している。第1ミスト43や第2ミスト45のそれぞれを構成している多数のミストについて、その大きさをパラメータとしてその分布数を見ると、大きさに関するある領域にミスト数のピークが存在し、ピークの領域から遠ざかるにつれて存在するミスト数が減少する。
第1ミスト層42や第2ミスト層44は、上述のとおり、発生するヒュームを閉じ込める、あるいは捕獲する、作用をする。この観点か第1ミスト層42や第2ミスト層44を形成する第1ミスト43や第2ミスト45の大きさに着目すると、存在するミストの量が最も多いミストの大きさ、言い換えると上述したミスト数の分布がピークとなる領域のミストの大きさが、その作用の観点で重要となる。第1ミスト層42を形成する第1ミスト43と、第2ミスト層44を形成する第2ミスト45と、をそれぞれの分布する数がピークとなる領域に含まれるミストの大きさに関して比較すると、第2ミスト45の大きさが、第1ミスト43の大きさより大きい。このように、大きさをパラメータとした分布数のピークの領域に存在するミストの径で比較することが、第1ミスト層42や第2ミスト層44の作用の観点において有効である。最も数の多い領域の含まれるミストにより、さらに最も数の多い領域の近傍の領域に存在するミストにより、上述した作用が奏せられ効果がもたらされる。
(5)ヒューム13に対するトラップ作用の説明
上述したように加工対象物10の局所部16にレーザービーム50を照射すると高温に加熱された局所部16からヒューム13が放出される。このヒューム13はミストカバー層40によりトラップされる。ミストカバー層40が、粒径の小さい多数の第1ミスト43で形成された第1ミスト層42と、第1ミスト43より粒径の大きい第2ミスト層44と、を有する構成とすることにより、ヒューム13に対するミストカバー層40によるトラップの作用や効果が大きく向上する。
図3に基づき、上述のミストカバー層40によるとなぜトラップ状態が向上するかについて、その考え方を説明する。ミストカバー層40の内側の第1ミスト層42を粒径の小さい多数の第1ミスト43によって形成することにより、多数の第1ミスト43間の間隔を小さくすることができる。局所部16から発生するヒューム13が非常に小さいので、もし間隔が大きいと、第1ミスト層42から漏れるヒューム13の割合が増加する。本実施例では、第1ミスト層42を形成する多数の第1ミスト43の粒径を小さくしているので、ヒューム13の漏れを抑制できる。
この実施例では、第1ミスト層42を形成する多数の第1ミスト43の粒径を、ヒューム13の粒径分布と同程度にしている。このためヒューム13と効率的に衝突がおこり第1ミスト43が複数のヒューム13の粒子を捕らえることができ、さらに第1ミスト43と複数のヒューム13とが結びついたクラスター48を作ることができる。
本実施例では、第1ミスト層42の外側に第2ミスト層44を設け、第2ミスト層44を形成する第2ミスト45の径を、第1ミスト層42を形成する第1ミスト43の径より大きくしている。好ましくは、第2ミスト45の径を第1ミスト43の径より数倍以上にあるいは数十倍にしている。第1ミスト43に基づいて作られたクラスター48は質量と直径(断面積)が大きくなる。従ってクラスター48を効率的に捕らえるために第2ミスト45の質量と直径も同程度に大きいことが望ましい。また本実施例では、第1ミスト噴霧ノズル144から噴霧される第1ミスト43の単位時間当たりの質量より、第2ミスト噴霧ノズル154から噴霧される単位時間当たりの第2ミスト45の質量を多くしている。このようにすることで、第2ミスト層44を安定することができ、またヒューム13やクラスターの回収効率を上げることができる。
局所部16から放出されたヒューム13を含む微細粉塵が全て第1ミスト43と共にクラスター48を形成するとは限らない。第1ミスト層42を通り抜けてクラスター48を形成しなかった微細粉塵は、ブラウン運動などにより拡散する。この拡散過程において、クラスター48と接触する可能性が大きく、クラスター48に取り込まれることが期待できる。さらに第2ミスト層44に取り込まれることも期待できる。このようにして第2ミスト層44にトラップされたヒューム13を含む微細粉塵は、以下で説明するが、吸引口162から吸引され、回収される。
(5)ミストカバー層40を形成することによる効果の説明
本実施例では、ミストカバー層40を形成することにより、局所部16の高温加熱により発生するヒューム13を含む微細粉塵のエネルギーを吸収し、さらに微細粉塵を取り込むことが期待できる。このため大気中への微細粉塵の拡散を抑制できる。
ミストカバー層40が第1ミスト層42と第2ミスト層44とを有しているので、微細粉塵の大気中への拡散を抑制できる効果が増大する。
第1ミスト層42を形成している第1ミスト43の径より、第2ミスト層44を形成する第2ミスト45の径を大きくしている。このようにすることで、ヒューム13を含む微細粉塵を効率よく捕獲できる。
また第1ミスト層42を形成している第1ミスト43の径を、微細粉塵の粒径分布を概ね包含する粒径分布にしている。このことにより前記ヒューム13を含む微細粉塵の捕獲効果を大きく向上することが期待できる。例えば第1ミスト43をベースとしたクラスター48の生成が期待でき、前記捕獲能力の向上が期待できる。
第1ミスト層42を形成している第1ミスト43の径より、第2ミスト層44を形成する第2ミスト45の径を、数倍以上あるいは数十倍以上の大きさにしている。このことにより、第1ミスト層42を形成している第1ミスト43に基づくクラスター48を第2ミスト45により捕獲することが期待できる。
上記説明ではヒューム13を中心に説明したが、局所部16からスパッタも放出される。スパッタについても大気中への拡散を抑制することが好ましい。上述したミストカバー層40により、さらには上述したミストカバー層40を構成する第1ミスト層42や第2ミスト層44の作用により、質量と運動量が小さいスパッタについても大気中への拡散の抑制が期待できる。またミストカバー層40により捕獲され、以下で説明する吸引装置160で吸引されて回収装置170で回収できる。
4.ヒューム13を含む微細粉塵の回収方法の説明
(1)微細粉塵の回収方法の概要の説明
図1に記載のヒューム13を含む微細粉塵は、上述したようにミストカバー層40により捕獲される。捕獲されたヒューム13を含む微細粉塵は、ミストカバー層40を形成するミストや空気と共に、吸引装置160が有する吸引口162から吸引される。吸引された後、ヒューム13を含む微細粉塵は回収装置170の内部に設けたフィルター180により回収され、微細粉塵が回収された後のクリーンな空気が回収装置170から排出される。
(2)吸引方法の説明
図2を用いて吸引方法を説明する。ミストカバー層40を構成する第1ミスト層42や第2ミスト層44は、ヒューム13を含む微細粉塵が大気中に漏れるのを防止する働きをしている。ヒューム13を含む微細粉塵が大気中に漏れるのを防止する作用を維持するためには、ミストカバー層40を乱さないことが重要である。例えば、ミストカバー層40の外周面に垂直に吸引口162により吸引すると、ミストカバー層40に穴が生じる恐れがある。乱流の発生を抑制し、層流の状態を維持することが好ましい。
図2に記載のごとく、第2ミスト層44の外周に沿って多数の吸引口162が設けられており、個々の吸引口162における流速の変化を小さくしている。さらに乱流の発生を抑制するために、多数の吸引口162はそれぞれ時計方向あるいは反時計方向のどちらかの方向に統一されて開口している。このためミストカバー層40は回転した状態を維持し、回転しながら吸引口162に吸引される。ミストカバー層40の特に第2ミスト層44が一方向に回転することにより、ヒューム13を含む微細粉塵やクラスター48が衝突する第2ミスト45と衝突する確率が増大する。このことにより、ヒューム13を含む微細粉塵やクラスター48が第2ミスト45によってトラップされる割合が増大する。従ってヒューム13を含む微細粉塵やクラスター48の大気中への漏れを抑制できる効果が増大する。
本実施例では、吸引口162が第2ミスト層44の外周に沿って8個設けられている。上述したように第2ミスト層44を含むミストカバー層40が層流状態を維持することが望ましい。吸引口162の数が少ないと層流を維持することが難しくなる。少なくとも4個以上が好ましい。吸引口162が多い方が、第2ミスト層44の流れがより安定する。従って8個の方がより好ましく、さらに多ければより第2ミスト層44の流れが安定する。
本実施例では、吸引口162を有する吸引装置160が、吸引装置支持機構166により、加熱装置120に固定されている。ミストカバー層40を形成するためのミスト層形成装置140も加熱装置120に固定されている。加熱装置120と共に吸引装置160が移動することにより、吸引口162と第2ミスト層44とが常に一定の関係を維持する。従って上述したミストカバー層40および第2ミスト層44の層流が吸引口162により安定した状態で維持される。本実施例では吸引装置160が吸引装置支持機構166により直接加熱装置120に固定されているが、加熱装置120が支持されている加工部支持台38に吸引装置支持機構166を固定してもほぼ同様の効果が得られる。
(3)ヒューム13を含む微細粉塵やクラスター48の回収方法および効果の説明
吸引口162から吸引されたヒューム13を含む微細粉塵やクラスター48の回収について、図4を用いて説明する。なお図4で説明する方法は一例であり、他にも色々な方法が存在する。
上述のクラスター48を含め、ヒューム13を含む微細粉塵を、フィルター180を用いて取り除くことができれば、有害物質による大気汚染を防止できる。本実施例では、回収装置170にフィルター180を設けており、フィルター180に所定量を超える微細粉塵が付着した状態で、図示しない交換口から使用済みのフィルター180を取り出し、新しいフィルター180と交換することができる。回収装置170にはベンチュリ―スクラバー164が設けられている。ベンチュリ―スクラバー164には吸入された流体を加速するための絞り174が形成されている。従って吸引口162から取れこまれたクラスター48や微細粉塵は取り込まれた空気と共に、絞り174の作用により加速する。加速状態のクラスター48や微細粉塵に対して、ミスト生成装置130から第3ミスト噴射ノズル176を介して第3ミスト178が供給されると、クラスター48や微細粉塵が第3ミスト178と衝突し、水滴49を形成する。
第3ミスト噴射ノズル176から噴霧される第3ミスト178は、粒径がたいへん大きく、流路を塞ぐように噴霧される。従って絞り174により加速されたクラスター48や微細粉塵は、ほぼ全てが第3ミスト178に衝突する。このことにより大きな水滴のかたまりが形成される。
フィルター180による捕集は、粒径が大きいほど確実に捕集することが可能となる。フィルター180として、例えばHEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)を使用することができる。このフィルターを使用すると大変高い粒子捕集率で上記物質を捕集することが可能である。このため、ミストカバー層40によりヒューム13を含む微細粉塵を高い確率で捕獲できれば、高い確率で、ヒューム13を含む微細粉塵の大気中への拡散を防止できる。図1や図2に記載の実施例について上述したように、ミストカバー層40を形成することで、高い確率で微細粉塵を捕獲することができる。さらにミストカバー層40が第1ミスト層42と第2ミスト層44を有することで、より高い確率で微細粉塵を捕獲することが可能となる。
(4)応用例の説明
図3を用いて説明したように吸引装置160に設けられた吸引口162により、ヒューム13を含む微細粉塵を効率よく安定して吸引することにより、大気中への微細粉塵の拡散を防止できる。効率よく微細粉塵を吸引するためには、吸引装置160に設けられた吸引口162を加工対象物10の表面に近づけて配置することが好ましい。しかしそれだけではなく、第1ミスト噴霧ノズル144や第2ミスト噴霧ノズル154から噴霧されるミストの量との関係も考慮することが望ましい。
構成の詳細は省略するが、図1に記載の制御装置110により、吸引装置160を支持している吸引装置支持機構166を制御して、吸引装置160の図2や図3に記載の吸引口162と加工対象物10との距離を制御し、吸引口162における吸引力や第1ミスト噴霧ノズル144や第2ミスト噴霧ノズル154から噴霧されるミスト量を適切に制御することができる。本実施例では、制御装置110からのこれらの指示に基づいて、第1ミスト噴霧ノズル144や第2ミスト噴霧ノズル154から噴霧されるミストの径やミスト量が設定される。さらに制御装置110により、噴霧するミストに関する前記設定値に従って吸引装置支持機構166や回収装置170に制御指令が送くられ、吸引装置160が有する吸引口162の加工対象物10に対するZ方向の位置が最適に設定されるとともに、吸引力が設定される。これによりいろいろな加工対象物10の材質や厚さ、使用条件等に対する適応性が大きく向上する。
5.第1ミスト噴霧ノズル144と第2ミスト噴霧ノズル154に関する他の実施例の説明
(1)基本構成の説明
図5を使用して以下説明するが、図1の実施例と図5の実施例との相違点は、第2ミスト噴霧ノズル154を第1ミスト噴霧ノズル144より加工対象物10に近い位置に配置した点と、第2ミスト噴霧ノズル154にカバー156を設けた点である。その他の点は図1と同じであるが、図面の煩雑さを避けるために図1の構成に対して省略している構成がある。さらに第2ミスト噴霧ノズル154およびカバー156はその内部の構成との関係が理解し易いように、第2ミスト噴霧ノズル154やカバー156を破線で示している。実際には第2ミスト噴霧ノズル154やカバー156の内部に配置された構成は、外からは見ることができない。さらにミストカバー層40の構成が分かるように、第2ミスト層44や第1ミスト層42はそれぞれ断面の状態で記載している。
発明者達の実験結果によれば、第1ミスト噴霧ノズル144や第2ミスト噴霧ノズル154が加工対象物10に近い場合、噴霧するミスト量が同じであるのに、第1ミスト層42や第2ミスト層44による微細粉塵の大気中への拡散をより効果的に抑制できることが確認された。局所部16と加熱ヘッド122との関係は最適となるように加熱ヘッド122が設定される。これにより加熱エリア20が設定される。加熱エリア20を取り巻くように第1ミスト噴霧ノズル144から噴霧された第1ミスト43により第1ミスト層42が形成される。第1ミスト噴霧ノズル144を加工対象物10に近づけて配置することが好ましいが、いろいろな制約を考慮することが必要であり、限界がある。
(2)作用効果の説明
図5に記載の実施例では、第2ミスト噴霧ノズル154を第1ミスト噴霧ノズル144より加工対象物10に近づけて配置している。第2ミスト噴霧ノズル154により形成される第2ミスト層44で微細粉塵を確実に捕獲し、吸引装置160により吸引することで、大気中への微細粉塵の漏れを抑制できる。この観点から第2ミスト層44の微細粉塵に対する捕獲能力を向上させることがたいへん重要であり、好ましい結果が得られる。また吸引装置160による吸引作用の影響は、第1ミスト層42より第2ミスト層44の方が大きい。吸引装置160の吸引作用においても、第2ミスト層44の層が安定していることが好ましい。第2ミスト噴霧ノズル154を第1ミスト噴霧ノズル144より加工対象物10に近づけて配置することで、上述の効果が得られる。なおこの実施例では、第1ミスト層42における第1ミスト噴霧ノズル144の近傍は、第2ミスト噴霧ノズル154によってその外周が覆われている。第1ミスト噴霧ノズル144の全体を第2ミスト噴霧ノズル154で覆うようにしても良いし、第2ミスト噴霧ノズル154にカバー156を設け、カバー156によって第1ミスト噴霧ノズル144の外周をカバーするようにしても良い。
5.本願発明を、プラズマアークを使用した加工装置に適用した場合の説明
(1)まえがき
本発明は、加工対象物10に加工を施すための局所部16を高温に加熱する方式の加工装置に適用した場合に、ヒューム13を含む微細粉塵の大気中への拡散を防止する観点で、大きな効果を奏する。加工を施すための局所部16を高温に加熱するタイプの加工装置の代表例として、レーザービームを使用する加工装置があり、その実施例を図1から図5を用いて説明した。加工を施すための局所部16を高温に加熱する他のタイプの代表例として、プラズマアークを使用する加工装置がある。この実施例を図6に示す。基本的な構成や作用、効果が上述した実施例とほぼ同じである。従って同じ構成には同一の符号を使用する。同一符号の構成は、作用や効果がほぼ同じであり、説明を省略する。
(2)図6に記載の実施例の基本構成、および作用効果、の説明
加熱ヘッド122から加工対象物10の局所部16に向けてプラズマアーク52を噴出するために、ガス供給装置72から加熱装置120へガスを供給する。さらに電源装置74から加熱装置120と加工対象物10との間に電圧を印加する。ガス供給装置72から供給されたガスは電離してプラズマ状態となり、プラズマアーク52が生成され、加熱ヘッド122から局所部16に向けて噴射される。この実施例において、プラズマアーク52の発生及び噴射のための加熱装置120の構造は、一般に利用されているプラズマ加工機の構造と同じである。
プラズマアーク52の中心温度は非常に高く、局所部16が高温に加熱される。図1から図5で説明した実施例と同様、局所部16からヒューム13を含む微細粉塵が放出される。先の実施例と同様、プラズマアーク52が形成される加熱エリア20を取囲むように第1ミスト層42が第1ミスト噴霧ノズル144によって形成され、さらに第1ミスト層42の外側に第2ミスト噴霧ノズル154により第2ミスト層44が形成される。第1ミスト層42や第2ミスト層44の作用効果およびミストカバー層40の作用効果、さらに吸引装置160や回収装置170の作用効果は、上述した実施例において説明した内容と同じである。
6.汚染された加工対象物10の加工における作用効果の説明
(1)基本となる作用効果の説明
上述の実施例において、加工対象物10から発生した微細粉塵が大気中に拡散するのを抑制できる効果について説明した。加工対象物10自身が有害物質等で汚染されている場合に、本発明が適用された加工装置100を適用すると、より大きな効果を奏する。例えば、加工対象物10が放射性物質によって汚染されている場合、局所部16から放出される微細粉塵もまた放射性物質によって汚染されていることになる。このような汚染物質の大気中への放出はできるだけ抑制することが望ましい。
上述した実施例では、加工対象物10の加工に伴って放出される微細粉塵をミストカバー層40によりトラップし、さらに吸引装置160により吸引することにより、回収することができる。前述のように加工対象物10に有害物質が付着し、前記有害物質が加工時に放出される場合に、有害物質の大気中への漏れを抑制できるのに加え、放出された有害物質を回収することが可能となる。上述の実施例は、非常に大きな効果を有している。
(2)上述した実施例に記載の加工装置の代案の説明
上述した実施例では、基本的な作用効果の説明に重点を置き、加工対象物10として小型の板状のものを記載した。しかし本発明の適用対象はこのような小型の材料に限るものではない。例えば有害物質が付着した建造物の解体に使用可能で、上述した作用効果により、大きな効果を奏する。
図7は大きな加工対象物10を加工するための実施例であり、図1から図6を使用して説明した実施例との違いは、次のとおりである。上述の実施例では、加工対象物10を加工台31に固定していた。図7の実施例では、加工対象物10あるいは加工対象物10を有する建築物やその他に、固定装置39を固定し、固定装置39によって加工位置移動機構30が固定される。固定された加工位置移動機構30によって加熱装置120等を支持している加工部支持台38が、加工対象物10に対してX方向やY方向、Z方向に移動する。汚染物質が付着した建造物などに、切断を含めた加工を行う場合に、上述した作用効果により、大気汚染が抑制できる。加工対象物10自身が汚染物質であっても同様である。
7.加工対象物10が希少金属である場合、あるいは希少金属が使用されている場合における作用効果の説明
上述の実施例において、加工対象物10が金や銀、その他、の希少金属である場合、あるいは加工対象物10の一部に希少金属が使用されている場合、加工対象物10の加工に伴って放出される希少金属の微細粉塵をミストカバー層40によりトラップし、さらに吸引装置160により吸引することにより、希少金属を回収することができる。従って、希少金属の大気中への漏れを抑制できるのに加え、放出された希少金属を回収することが可能となる。上記実施例に記載の加工装置100を利用することにより、さらに積極的に希少金属を回収することができる。例えば電子機器や電池等に希少金属が使用されており、これらを廃棄する場合においても、廃棄前に上記実施例で説明した加工装置100の加熱ヘッド122により、加工対象物10の希少金属が使用されている部分を局所部16として溶融し、希少金属を微細粉塵の状態にしてミストカバー層40によりトラップし、回収装置170により取り出すことが可能となる。例えば電子回路における希少金属の使用では、希少金属が小さい塊として離散的に存在する場合ある。このような状態であっても、上記実施例の加工装置100によれば希少金属の存在位置を正確に捉えて、希少金属を正確に溶融することができる。従って効率的に希少金属を回収することが可能となる。
8.制御装置110による加工装置100の加工動作の制御方法の説明
(1)フローチャートS300の基本構成
図8と図9に記載のフローチャートS300は、図1や図5から図7に記載の制御装置110が行う、加工装置100を構成する主要装置に対する制御の一例である。フローチャートS300は、加工装置100を構成する主要装置の動作を制御するために制御指令を送る。このために入力タスクS310や加工開始タスクS330、加工終了/加工停止タスクS350、加工実行タスクS410、異常処理タスクS440を備えている。さらにフローチャートS300は、上記タスクの起動すなわち実行開始や実行停止、実行の中断、を行うためにタスク実行制御部S302やタスク終了処理部S304を備えている。
各タスクには実行開始条件が予め設定されていて、実行開始条件を満たすとタスク実行制御部S302は該当タスクの実行を開始する。開始条件が複数のタスクで満たされた場合には、優先順位の高いタスクから実行を開始する。タスクの実行が終了すると、タスク終了処理部S304は該当タスクの実行が終了したことを報告するための終了処理を行う。
(2)入力タスクS310の実行内容の説明
加工対象物10の加工開始前に入力タスクS310により、加工対象物10の加工条件を制御装置110の操作部112から入力する。入力タスクS310の実行開始条件は、いろいろ考えられ、どのような条件で実行を開始しても良い。ここでは一例として、操作部112への入力操作により割り込み処理が行われ、入力タスクS310の実行が開始される。実行が開始されると制御装置110の表示部114に入力すべき項目が表示され、この項目に従って条件を入力する。加工条件の入力の場合には、ステップS312からステップS314へ実行が遷移し、ステップS314で加工対象物10の材質が入力され、ステップS316で加工対象物10の厚みが入力される。さらにステップS318で、加工対象物10における加工場所が入力される。
次に実行がステップS320へ移り、ステップS314からステップS318における入力情報に基づいて、ステップS320で主要な制御条件が決定される。加工対象物10の材質や厚みに基づいて、内部に記憶しているデータが検索され、加熱ヘッド122の出力や第1ミスト噴霧ノズル144から噴霧される第1ミスト43の径およびミストの噴霧量が決定される。さらに第2ミスト噴霧ノズル154から噴霧される第2ミスト45のミストの径および噴霧量が決定それる。さらに動作終了時における制御のために、加熱ヘッド122による局所部16の溶融動作が停止されてから第1ミスト噴霧ノズル144および第2ミスト噴霧ノズル154からのミストの噴霧動作が停止されるまでの時間M、また加熱ヘッド122による局所部16の溶融動作の停止から吸引装置160の吸引動作の停止までの時間S、などが設定される。
(3)加工装置100の加工動作開始制御の説明
ステップS320による加工条件の設定が終了すると加工動作を開始する状態となる。加工装置100の加工動作を開始する場合には、制御装置110の操作部112を操作することにより、入力タスクS310の実行が開始され、実行がステップS312からステップS322を介してステップS324へ移り、ステップS324で加工開始の指示が入力される。この入力によりタスクS330の実行開始が可能になる。すなわちタスクS330の実行停止条件が解かれる。なお加工装置100の加工動作中において、加工動作を停止したい場合には、制御装置110の操作部112を操作することにより、入力タスクS310が割り込み処理により実行され、ステップS324で加工停止の指示を入力することができる。この加工停止の指示では、後述するタスクS350による加工装置100の加工動作を停止するための制御が可能となり、タスクS350を実行することにより、加工装置100の加工動作の停止が可能となる。これについては以下で述べる。入力タスクS310における加工装置100の動作を開始するための入力タスクS310の実行が終了すると、タスク終了処理部S304により、タスク実行制御部S302の指示で開始された入力タスクS310の実行の終了が、タスク実行制御部S302へ報告される。
加工装置100の加工動作を開始するための加工開始タスクS330の実行停止が、入力タスクS310のステップS324の入力操作により解除されると、これによりタスク実行制御部S302による加工開始タスクS330の実行が開始が可能となる。加工開始タスクS330は、単に一例であるが100mSEC周期で実行される。この実行開始により、加工開始タスクS330の実行がステップS332からステップS334に移り、ステップS318で、入力された加工場所12のデータに基づき、加工対象物10と加熱ヘッド122との位置関係が設定される。この設定は制御装置110から加工位置移動機構30への制御指令により行われる。次にステップS336が実行され、制御装置110からレーザー発振器70あるいはガス供給装置72や加熱装置120へ制御指令が送られ、加熱ヘッド122の出力が設定される。但し加熱ヘッド122の具体的な溶融動作はこの段階では停止している。またミスト生成装置130やミスト層形成装置140へ制御指令が送られ、第1ミスト噴霧ノズル144から噴霧される第1ミスト43の径や噴射量が設定される。また第2ミスト噴霧ノズル154から噴霧される第2ミスト45の径や噴霧量が設定される。さらに吸引装置160の吸引力が設定される。
ステップS336が実行されると、加工動作が実際に開始される。まず吸引装置160が動作し、吸引を開始する。まだミストカバー層40が形成されていないので、ミストが吸引されないが、ミストカバー層40の形成に伴って遅れることなく吸引を行える状態となる。さらにミスト層形成装置140が動作を開始し、ミストカバー層40の形成を開始する。加熱ヘッド122による局所部16の溶融動作を開始していないので、捕獲すべきヒュームが発生していないが、発生した場合にヒュームの外への漏れを防止し、捕獲する体制が出来上がる。吸引装置160やミスト層形成装置140が動作を開始して、ヒュームの漏れ防止とヒュームの捕獲の準備が完了した後で、加熱ヘッド122による局所部16の溶融動作が開始される。このような制御により、ヒュームの漏れ防止と捕獲の動作を高い信頼性を持って実行することが可能となる。
加工開始タスクS330による加工開始動作がステップS334からステップS338で終了するので、ステップS340により、加工開始タスクS330の実行を停止する処理を行い、タスク終了処理部S304で終了報告が行われる。加工開始動作が完了したので、この実行停止の処理により加工開始タスクS330の連続した繰り返しの実行は停止される。但し上述のように、入力タスクS310のステップS324で開始の処理が行われた場合には、ステップS340による加工開始タスクS330の実行停止が、ステップS324により解除されるので、加工開始タスクS330は再び実行可能となる。
(4)加工実行タスクS410の説明
加工開始タスクS330のステップS340で加工実行タスクS410の実行停止が解除され、加工実行タスクS410が実行可能となる。図9に記載の加工実行タスクS410が実行可能となり、例えば10mSEC毎に実行される。加工実行タスクS410が実行されると、入力タスクS310のステップS318の実行で入力された加工場所12に基づいて、ステップS412で、局所部16が加工場所12に沿って所定の速度で移動する。この局所部16の移動は先に説明したごとく、加熱ヘッド122と加工対象物10との相対的な位置関係の制御により移動する。次にステップS416で、加工場所12における加工が、加工場所12の全体について完了したかを判断し、完了していない場合には、タスク終了処理部S304が実行される。加工実行タスクS410は10mSEC毎に実行されるので、ステップS412において10mSEC毎に局所部16が加工場所12に沿って移動し、この繰り返しにより加工場所12に対する加工作業が遂行される。やがて加工場所12についての加工が完了するとステップS416が実行され、図8に記載の加工停止/加工終了タスクS350の実行停止が解除され、加工停止/加工終了タスクS350の実行による加工終了の制御が行われる。
(5)異常処理タスクS440の説明
図9に記載の異常処理タスクS440は、加工装置100の動作において異常状態が発生していないかを常時診断し、異常の状態が検知されると危険回避の動作を行う。非常に短い周期、例えば2mSECで繰り返し実行される。具体的な説明は省略するが、加工装置100には温度検出装置や動作に必要な供給電流値を計測するための計測装置等か多数設けられている。レーザー発振器70や加熱装置120、ミスト生成装置130、回収装置170、等において、温度や電流値において異常の有無が非常に短い周期で監視されている。ステップS442で異常の発生が無いかを検知する。異常が発生した場合には、ステップS444から実行がステップS446やさらに続けてステップS448に移る。
異常が発生した場合には、加工装置100の動作を停止することが必要であり、異常発生の報告がなされ、これにより図に記載の加工停止/加工終了タスクS350の実行開始が可能となる。さらにステップS444で、異常発生の表示や危険発生の警報が出される。なお、ステップS442で異常が検知されない場合には、ステップS444から実行がタスク終了処理部S304に遷移し、異常処理タスクS440の実行終了報告がなされる。
(5)加工停止/加工終了タスクS350の説明
図8に記載の加工停止/加工終了タスクS350の制御内容を説明する。加工場所12における加工動作の途中において、加工動作を停止したい場合には、入力タスクS310のステップS324で、加工停止操作が行われる。さらに図9に記載のステップS416で、加工場所12に対しての加工が全て終了した場合には、加工終了報告がなされる。これら加工動作の停止や加工終了の場合には、図8に記載の加工停止/加工終了タスクS350が実行され、実行がステップS加工停止/加工終了タスクS350の開始から、ステップS352やステップS364を介してステップS370へ移り、このステップで加熱ヘッド122による局所部16の溶融動作が停止される。従ってヒュームの新たな発生が停止する。しかし既に発生したヒュームは存在している。これらのヒュームをミストカバー層40で捕獲し、吸引装置160で吸引して回収するには、加熱ヘッド122による溶融動作の停止後において、さらに継続して動作を維持することが必要である。従ってミスト層形成装置140や吸引装置160は動作を継続する。継続する時間は色々な条件で異なるので、加工条件に基づいて継続時間Mや継続時間SがステップS320で決定される。すなわち入力タスクS310のステップS314からステップS318に於いて入力された入力条件に基づいて、決定される。
加熱ヘッド122の溶融動作の停止から経過時間Mである所定時間Mが経過したかどうかをステップS372で判断する。所定時間Mが経過した状態で、ステップS374が実行され、ミスト層形成装置140を形成するための動作が停止される。ミスト層形成装置140の動作が停止しても既に形成されたミストカバー層40は残っており、その後も吸引装置160による吸引動作を継続することが望ましい。加熱ヘッド122の停止から経過時間Sである所定時間Sが経過した状態で吸引装置160の動作が停止される。経過時間Sは経過時間Mより長い時間であり、この長さの差により、ミスト層形成装置140の動作停止後も吸引装置160は動作を持続する。経過時間Sと経過時間Mとの長さの差を設定時間として、ミスト層形成装置140の停止後、吸引装置160が停止するまでの持続時間を制御しても良いが、これは同じ結果となり、どちらでも良い。
このように加熱ヘッド122の溶融動作の停止後、所定時間遅らせてミスト層形成装置140の動作を停止し、さらに所定時間遅らせて吸引装置160の動作を停止することで、ヒュームの回収の信頼性を向上することができる。さらに吸引装置160の動作の停止後に回収装置170を遅らせて停止するようにすれば、さらに確実にヒュームやミストを回収することができる。
図9に記載のステップS446による異常状態の発生により、図8に記載の加工停止/加工終了タスクS350が動作可能となり、10mSECの間隔で加工停止/加工終了タスクS350が実行される。この実行開時間隔は極めて短い時間であり、実質的には、異常処理タスクS440のステップS444で異常が検知されると、遅滞なく加工停止/加工終了タスクS350の実行が開始される。
異常時には加工停止/加工終了タスクS350からステップS352を介して実行がステップS354へ移り、直ちに加熱ヘッド122による局所部16の溶融動作が停止される。これに続いてミスト層形成装置140や吸引装置160、回収装置170の動作をすぐに停止しても良いが、加熱ヘッド122の動作停止の後もヒュームが浮遊している。ミスト層形成装置140により形成されるミストカバー層40はヒュームを捕獲する機能を有するだけでなく、温度の上昇を抑制し更には冷却する機能を有する。従って異常の原因にもよるが、温度を低下させることは多くの場合安全性の向上につながるので、この実施例では浮遊しているヒューム等を捕獲して回収するために、ミスト層形成装置140の動作を所定時間継続する。さらに吸引装置160や回収装置170の動作も所定時間継続する。
浮遊するヒュームを捕獲し、吸引装置160で吸引して、回収装置170で回収するのに要する時間Mの経過後に、ステップS358で先ずミスト層形成装置140の動作を停止する。さらにミスト層形成装置140の動作停止後も残っているミストカバー層40を回収するために、時間Mよりも長い時間である時間Sの経過後に吸引装置160を停止し、さらにその後の所定時間経過後に回収装置170の動作を停止する。このようにすることで、異常発生時においても、安全性を確保しながら、ヒュームの回収を良好に行うことができる。
8.以上、図面を用いて本発明の実施の形態を説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
10 加工対象物、
12 加工場所、
13 ヒューム、
30 加工位置移動機構、
31 加工台、
32 X方向移動機構、
34 Y方向移動機構、
36 Z方向移動機構、
39 固定装置、
40 ミストカバー層、
42 第1ミスト層、
43 第1ミスト、
44 第2ミスト層、
45 第2ミスト、
48 クラスター、
49 水滴、
50 レーザービーム、
52 プラズマアーク、
70 レーザー発振器、
72 ガス供給装置、
74 電源装置、
100 加工装置、
120 加熱装置、
122 加熱ヘッド、
130 ミスト生成装置、
144 第1ミスト噴霧ノズル、
154 第2ミスト噴霧ノズル、
160 吸引装置、
162 吸引口、
164 ベンチュリ―スクラバー、
166 吸引装置支持機構、
170 回収装置、
174 絞り、
176 第3ミスト噴射ノズル、
178 第3ミスト、

Claims (12)

  1. 加工対象物の加工場所における局所部を溶融するための加熱ヘッドを備えた加熱装置と、
    前記加工対象物の前記局所部と前記加熱装置の前記加熱ヘッドとを繋ぐ加熱エリアの外側にミストカバー層を形成するために、ミストを噴霧するミスト層形成装置と、
    液体から前記ミストを生成して前記ミスト層形成装置に供給するミスト生成装置と、
    前記加熱ヘッドと前記加工対象物との位置関係を相対的に変えることにより、前記局所部を前記加工対象物の前記加工場所に沿って移動させる加工位置移動機構と、
    を備え、
    前記ミスト層形成装置から噴霧された前記ミストにより、前記加熱エリアの外側に前記加熱エリアの外周を覆う前記ミストカバー層を形成して前記局所部の溶融により発生するヒュームが空気中に拡散するのを抑制する、ことを特徴とする加工装置。
  2. 請求項1に記載の加工装置において、
    さらに前記ミストカバー層を吸引して回収する回収装置を備えている、ことを特徴とする加工装置。
  3. 請求項1あるいは請求項2の内の一に記載の加工装置において、
    前記ミストカバー層は第1ミスト層と第2ミスト層を有していて、前記加熱エリアの外周を覆うように前記第1ミスト層が形成され、前記第1ミスト層の外周を覆うように前記第2ミスト層が形成される、ことを特徴とする加工装置。
  4. 請求項3に記載の加工装置において、
    前記ミスト層形成装置は、前記第1ミスト層を形成するための第1ミストを噴霧する第1ミスト噴霧ノズルと前記第2ミスト層を形成するための第2ミストを噴霧する第2ミスト噴霧ノズルを備え、
    前記第1ミスト噴霧ノズルから噴霧される前記第1ミストの径が、前記第2ミスト噴霧ノズルから噴霧される前記第2ミストの径より小さいことを特徴とする加工装置。
  5. 請求項3あるいは請求項4の内の一に記載の加工装置において、
    前記ミスト層形成装置は、前記第1ミスト層を形成するための第1ミストを噴霧する第1ミスト噴霧ノズルと前記第2ミスト層を形成するための第2ミストを噴霧する第2ミスト噴霧ノズルを備え、
    前記第2ミスト噴霧ノズルを、前記加工対象物に対して、前記第1ミスト噴霧ノズルより遠い位置に設けると共に、前記第2ミスト噴霧ノズルから噴霧される単位時間当たりの前記第2ミストの量を、前記第1ミスト噴霧ノズルから噴霧される単位時間当たりの前記第1ミストの量より多くした、
    ことを特徴とする加工装置。
  6. 請求項3あるいは請求項4の内の一に記載の加工装置において、
    前記ミスト層形成装置は、前記第1ミスト層を形成するための第1ミストを噴霧する第1ミスト噴霧ノズルと前記第2ミスト層を形成するための第2ミストを噴霧する第2ミスト噴霧ノズルを備え、
    前記第2ミスト噴霧ノズルを、前記加工対象物に対して、前記第1ミスト噴霧ノズルより近い位置に設けると共に、前記第2ミスト噴霧ノズルにより前記第1ミスト層における記第1ミスト噴霧ノズルの近傍を覆う構造とした、
    ことを特徴とする加工装置。
  7. 請求項2乃至請求項6の内の一に記載の加工装置において、
    前記回収装置は前記ミストカバー層を吸引するための吸引装置を有しており、
    前記吸引装置は前記ミストカバー層を形成しているミストを吸引するための複数の吸引口を有していて、前記複数の吸引口は、それぞれ前記ミストカバー層における前記加工対象物の近傍に配置されており、
    前記吸引装置は、吸引装置支持機構により前記加熱ヘッドと共に移動するように支持されている、
    ことを特徴とする加工装置。
  8. 請求項7に記載の加工装置において、
    前記吸引装置が有する前記複数の吸引口はそれぞれその開口方向が、前記ミストカバー層の周方向を向いている、
    ことを特徴とする加工装置。
  9. 加工対象物の加工場所における局所部を溶融するための加熱ヘッドを備えた加熱装置と、
    前記加工対象物の前記局所部と前記加熱装置の前記加熱ヘッドとを繋ぐ加熱エリアの外側にミストカバー層を形成するためのミスト層形成装置と、
    前記加熱ヘッドと前記加工対象物との相対的な位置関係を変えることにより、前記局所部を前記加工対象物の前記加工場所に沿って移動させる加工位置移動機構と、
    前記加熱装置と、前記ミスト層形成装置と、前記加工位置移動機構と、を制御する制御装置と、
    を備えた前記加工対象物を加工するための加工装置の制御方法であって、
    前記ミスト層形成装置により前記ミストカバー層を形成し、
    前記ミストカバー層を形成した後に、前記加熱装置の前記加熱ヘッドにより前記加工対象物の加工場所における局所部を溶融するようにした、
    ことを特徴とする加工装置の制御方法。
  10. 請求項9に記載の加工装置の制御方法において、
    前記ミスト層形成装置により前記ミストカバー層を形成した後に、前記加熱装置の前記加熱ヘッドにより前記加工対象物の前記加工場所における前記局所部を溶融し、
    さらに前記加工位置移動機構により前記加熱ヘッドと前記加工対象物との相対的な位置関係を変化させることにより、溶融した前記局所部を前記加工対象物の前記加工場所に沿って移動し、
    加工終了時あるいは加工停止時において、前記加熱ヘッドにより前記局所部を溶融する溶融動作を停止し、
    前記溶融動作の停止後に、前記ミスト層形成装置により前記ミストカバー層を形成するミストカバー層形成動作を停止するようにした、
    ことを特徴とする、加工装置の制御方法。
  11. 請求項10に記載の加工装置の制御方法において、
    前記加工装置は前記ミストカバー層を吸引するための吸引装置を有する回収装置をさらに備えており、
    前記ミスト層形成装置により前記ミストカバー層を形成し、さらに前記回収装置の前記吸引装置により前記ミストカバー層を吸引する吸引動作を開始し、
    前記ミスト層形成装置により前記ミストカバー層を形成した後に、前記加熱装置の前記加熱ヘッドによる前記加工対象物の前記加工場所における前記局所部の前記溶融動作を開始し、
    前記加工終了時あるいは前記加工停止時において、前記加熱装置の前記加熱ヘッドによる前記局所部の前記溶融動作を停止し、
    前記局所部に対する前記溶融動作を停止してから予め設定された時間が経過した後に、前記ミスト層形成装置による前記ミストカバー層形成動作を停止し、
    前記ミスト層形成装置による前記ミストカバー層形成を停止した後に、前記回収装置の前記吸引装置による前記ミストカバー層に対する前記吸引動作を停止するようにした、
    ことを特徴とする、加工装置の制御方法。
  12. 請求項9あるいは請求項11の内の一の請求項に記載の加工装置の制御方法において、
    前記加工装置の異常診断動作を前記加工対象物の加工動作と共に実行し、
    前記異常診断動作において異常状態が検知されると、前記加熱ヘッドによる前記局所部の前記溶融動作を停止し、
    前記局所部の溶融動作を停止してから予め設定した前記時間が経過した後に、前記ミスト層形成装置による前記ミストカバー層の形成を停止する、
    ことを特徴とする、加工装置の制御方法。
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