JP2023075002A - 樹脂組成物 - Google Patents

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史浩 武藤
Fumihiro Muto
秀太 井関
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Abstract

【課題】ポリフェニレンスルフィド樹脂を含有し、低反り性、耐熱性及び難燃性に優れ、金属に対する腐食性が少なく、機械的強度や耐薬品性にも優れる樹脂組成物。【解決手段】MVRが60~500cm3/10minのポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を25~65質量部、非晶性のゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及び/又はポリフェニレンエーテル樹脂(C)を、(B)と(C)の合計で35~75質量部を含有する(A)~(C)の合計100質量部に対し、繊維状フィラー(D)を5~150質量部、臭素系難燃剤(E)を1~20質量部含有することを特徴とする樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関し、詳しくは、ポリフェニレンスルフィド樹脂を含有し、優れた耐熱性と高度の低反り性、及び優れた難燃性を有する樹脂組成物に関する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と称することもある)は、優れた耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などを有することから、電気電子機器部品、自動車用部品その他の電装部品、機械部品等に広く用いられている。
しかし、PPS樹脂は結晶性の樹脂であるため、成形収縮率が大きく、成形品の反りが問題となりやすい。PPS樹脂の反り改良のために、タルク等の板状フィラーを配合して反りを低減することが行われているが、強度や靭性が劣る傾向がある。
また、PPS樹脂をポリフェニレンエーテル樹脂(以下、PPE樹脂と称することもある)とアロイ化することにより、低反り性を図る技術も提案(例えば特許文献1)されているが、大型の成形品に求められるような高度の低反り性を達成するには至っていない。
特開2004-269664号公報
本発明の目的(課題)は、PPS樹脂を含有し、優れた耐熱性と大型成形品に適合するような高度の低反り性を有し、且つ難燃性に優れる樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記した課題を解決するため鋭意検討した結果、ハイフローのPPS樹脂に、非晶性のポリスチレンまたはゴム強化ポリスチレン、及び/または非晶性であるPPE樹脂を多い量で組み合わせた上で、さらに繊維状フィラーと特定の難燃剤を配合することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、以下の樹脂組成物および成形品に関する。
1.295℃、1.00kgf荷重で測定したMVRが60~500cm/10minのポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を25~65質量部、非晶性のゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及び/又はポリフェニレンエーテル樹脂(C)を、(B)と(C)の合計で35~75質量部を含有する(A)~(C)の合計100質量部に対し、繊維状フィラー(D)を5~150質量部、臭素系難燃剤(E)を1~20質量部含有することを特徴とする樹脂組成物。
2.さらに、三酸化アンチモン(F)を、(A)~(C)の合計100質量部に対し、0.1~10質量部含有する上記1に記載の樹脂組成物。
3.臭素系難燃剤(E)が、臭素化フタルイミド、臭素化ポリアクリレートまたは臭素化エポキシ化合物から選ばれる上記1または2に記載の樹脂組成物。
4.さらに、エポキシ化合物(但し臭素化エポキシ化合物を除く)(G)を、(A)~(C)の合計100質量部に対し、0.01~5質量部含有する上記1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
5.エポキシ基含有化合物(G)は、エポキシ当量が150~500g/eqである上記4に記載の樹脂組成物。
6.(B)と(C)の含有量の質量比(B)/(C)が0.5以上である上記1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
7.上記1~6のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
8.車載用筐体部品である上記7に記載の成形品。
本発明の樹脂組成物は、低反り性に極めて優れ、且つ耐熱性にも優れ、さらに、高度の難燃性を有し、金属に対する腐食性が極めて小さいという優れた効果を奏する。
本発明の樹脂組成物は、295℃、1.00kgf荷重で測定したMVRが60~500cm/10minのポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を25~65質量部、非晶性のゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及び/又はポリフェニレンエーテル樹脂(C)を、(B)と(C)の合計で35~75質量部を含有する(A)~(C)の合計100質量部に対し、繊維状フィラー(D)を5~150質量部、臭素系難燃剤(E)を1~20質量部含有することを特徴とする。
このような構成とすることにより、PPS樹脂(A)が少ない、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)および/またはPPE樹脂(C)がリッチの系にも係らず、ハイフローのPPS樹脂(A)が海島構造の海(マトリックス)もしくは共連続構造の海となり、非晶性のゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)および/またはPPE樹脂(C)が島となり、さらにPPS樹脂(A)が繊維状フィラー(D)を介して連続的になることでマトリックス(海)となりやすくなり、さらに臭素系難燃剤(E)を含有する結果、低反り性に極めて優れ、且つ耐熱性にも優れ、高度の難燃性と低腐食性を兼備する樹脂組成物が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下に記載する説明は実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)]
本発明の樹脂組成物は、295℃、1.00kgf荷重で測定したMVRが60~500cm/10minのポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を含有する。
MVRが60~500cm/10minとハイフローのPPS樹脂を、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)と組み合わせて用いることにより、高度の低反り性並びに耐熱性に優れ、また、機械的強度や耐薬品性にも優れた樹脂組成物となる。
MVRが60cm/10minより低いものを用いると、反り量が大きくなり低反り性を達成し難く、またPPS樹脂の耐熱性が発現しないことに加え、機械的強度の低いものとなりやすい。また500cm/10minより高いものでは、前記した海島構造は形成しにくくなり、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)並びにPPE樹脂(C)が海となりやすく、低反り性と耐熱性が悪くなりやすい。MVRは、好ましくは70cm/10min以上、より好ましくは75cm/10min以上、さらには80cm/10min以上、中でも85cm/10min以上が好ましく、また、好ましくは300cm/10min以下、さらに好ましくは250cm/10min以下である。
なお、本発明において、PPS樹脂(A)のMVRは、温度295℃℃、荷重1.00kgfで測定する値である。
PPS樹脂(A)は、構成単位としてp-フェニレンスルフィド単位を含むものであり、p-フェニレンスルフィド単位を好ましくは50モル%超、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含むものである。他の構成単位としては、m-フェニレンスルフィド単位、o-フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルホン単位、フェニレンケトン単位、フェニレンエーテル単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位等を挙げることができる。
中でも強度、靭性、耐熱性、耐薬品性、機械的特性が優れた樹脂組成物となることから、p-フェニレンスルフィド単位を好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含むもの、特にはp-フェニレンスルフィド単位のみを含むポリ(p-フェニレンスルフィド)が好ましい。
PPS樹脂(A)の製造方法としては、特に限定されず、一般的にPPS樹脂の製造方法として知られている方法により製造すればよい。具体的には、パラジクロルベンゼンと硫化ソーダを極性溶媒中で重縮合反応させることで得られ、高温高圧下で反応を進行させ、脱水反応や脱食塩反応を経て重合され、重合時間や触媒量の調整や、分岐剤の導入によりMVRも調整可能である。
PPS樹脂(A)は、特殊な熱処理を行わないため直鎖状の構造を維持する直鎖型のものであってもよく、酸素存在下、高温で処理することによって架橋した架橋型のものであってもよいが、本発明の効果を十分に得る観点から、架橋型より直鎖型のPPS樹脂が好ましい。
[ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)]
本発明の樹脂組成物は、非晶性のゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)を用いる。
非晶性のゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)の非晶性とは、示差走査型熱量計(DSC)などを用いて試料を測定した場合、明確な融点及び融解ピークが検出されない特性のことをいう。逆に、結晶性とは、分子が規則的に配列した結晶構造になりやすく、示差走査型熱量計(DSC)などによる測定による融点及び融解ピークを持つ性質をいう。ポリマー主鎖に対してベンゼン環が規則的に交互に配列されたシンジオタクチックポリスチレン等は結晶性であって、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)としては除かれる。
ポリスチレンとしては、スチレンの単独重合体、あるいは他の芳香族ビニルモノマー、例えばα-メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等を例えば、50質量%以下の範囲で共重合したものであってもよい。
ゴム強化ポリスチレンとしては、好ましくはブタジエン系ゴム成分を共重合またはブレンドしたものであり、ブタジエン系ゴム成分の量は、通常1質量%以上50質量%未満であり、好ましくは3~40質量%、より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%である。ゴム強化ポリスチレンとしては、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)が特に好ましい。
ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)を、PPS樹脂(A)25~65質量部、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)および/またはPPE樹脂(C)として、(A)~(C)の合計100質量部基準で、合計で35~75質量部という量で含有することにより、PPS樹脂(A)が物性上で支配的となり、その結果、高い耐熱性と高度の低反り性を達成することができる。
ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)としては、200℃、5kgf荷重で測定したMVRが0.3~16cm/10minのものを使用することが好ましく、より好ましくは0.4cm/10min以上、さらには0.8cm/10min以上、中でも1.0cm/10min以上、特には1.1cm/10min以上であることが好ましい。また、より好ましくは11cm/10min以下、さらに好ましくは8cm/10min以下、中でも6cm/10min以下、特に好ましくは4cm/10min以下である。MVRが16cm/10min以下であれば耐熱性や耐薬品性を向上させることができ、0.3cm/10min以上であれば、優れた生産安定性と流動性を具備することができる。
[ポリフェニレンエーテル樹脂(C)]
本発明の樹脂組成物に用いられるポリフェニレンエーテル樹脂(C)は、下記一般式で表される構成単位を主鎖に有する重合体であって、単独重合体または共重合体のいずれであってもよい。
Figure 2023075002000001
(式中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、またはハロ炭化水素オキシ基を表し、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、またはハロ炭化水素オキシ基を表す。ただし、2つのRがともに水素原子になることはない。)
およびRとしては、水素原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基が好ましい。第1級アルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-アミル基、イソアミル基、2-メチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-、3-若しくは4-メチルペンチル基またはヘプチル基が挙げられる。第2級アルキル基の好適な例としては、例えば、イソプロピル基、sec-ブチル基または1-エチルプロピル基が挙げられる。特に、Rは第1級若しくは第2級の炭素数1~4のアルキル基またはフェニル基であることが好ましい。Rは水素原子であることが好ましい。
好適なPPE樹脂(C)の単独重合体としては、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-エチル-6-メチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレンエーテル)等の2,6-ジアルキルフェニレンエーテルの重合体が挙げられる。共重合体としては、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリエチルフェノール共重合体、2,6-ジエチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体、2,6-ジプロピルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体等の2,6-ジアルキルフェノール/2,3,6-トリアルキルフェノール共重合体、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
PPE樹脂(C)としては、特に、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノールランダム共重合体が好ましい。
PPE樹脂(C)は、クロロホルム中で測定した30℃の固有粘度が0.4dl/g以上のものが好ましく、0.42dl/g以上のものがより好ましい。固有粘度を0.4dl/g以上とすることにより、樹脂組成物の機械的強度がより向上し、さらに樹脂組成物の耐薬品性や耐熱性が発現する傾向にある。固有粘度の好ましい上限は0.8dl/gであり、0.8dl/g以下とすることにより、流動性がより向上し、成形加工がより容易になる傾向にある。また、固有粘度の異なる2種以上のPPE樹脂を併用して、この固有粘度の範囲としてもよい。
PPE樹脂(C)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って、例えば、2,6-ジメチルフェノール等のモノマーをアミン銅触媒の存在下、酸化重合する方法を採用することができ、その際、反応条件を選択することにより、固有粘度を所望の範囲に制御することができる。固有粘度の制御は、重合温度、重合時間、触媒量等の条件を選択することにより達成できる。
本発明の樹脂組成物は、PPE樹脂(C)および/または前記したゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)を、(A)~(C)の合計100質量部基準で、35~75質量部という量で、PPS樹脂(A)25~65質量部と併せて含有することにより、PPS樹脂(A)が物性上で支配的となり、その結果、高い耐熱性と高度の低反り性を達成することができる。
(A)~(C)の好ましい含有量は、(A)~(C)合計100質量部基準で、(A)成分を25~60質量部、中でも25~55質量部、25~50質量部、30~50質量部、30~48質量部、特に35~48質量部が好ましい。(B)および/または(C)成分の好ましい含有量は、上記(A)の量を100質量部から引いた量である。
ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)とPPE樹脂(C)は、両方を含有することが好ましく、(A)~(C)合計100質量部基準で、(B)が15~40質量部、中でも15~35質量部、(C)を15~40質量部、中でも15~35質量部であることが好ましい。
また、(B)と(C)の含有量の質量比(B)/(C)が0.5以上であることが荷重撓み温度の点から好ましく、より好ましくは0.7以上、さらに0.8以上が好ましく、好ましくは3以下、より好ましくは2以下であり、最も好ましくは1.5以下である。
[繊維状フィラー(D)]
本発明の樹脂組成物は、繊維状フィラー(D)を含有する。
繊維状フィラー(D)としては、ガラス繊維、炭素繊維、鉱物繊維等の繊維状フィラーが挙げられるが、中でもガラス繊維が好ましい。
ガラス繊維としては、Aガラス、Eガラス、ジルコニア成分含有の耐アルカリガラス組成や、チョップドストラント、ロービングガラス、熱可塑性樹脂とガラス繊維のマスターバッチ等の配合時のガラス繊維の形態を問わず、公知のいかなるガラス繊維も使用可能である。中でもガラス繊維としては、樹脂組成物の熱安定性を向上させる目的から無アルカリガラス(Eガラス)が好ましい。
ガラス繊維としては、長さ方向断面が、丸形のものでもよく、長さ方向断面の異形比が2~6のガラス繊維も好ましい。長さ方向断面の異形比とは、ガラス繊維の長さ方向に対して垂直な断面に外接する最小面積の長方形を想定し、この長方形の長辺の長さを長径とし、短辺の長さを短径としたときの、長径/短径の比である。異形比が2~6であるガラス繊維を含有させることにより、ガラス繊維が配向したPPS樹脂(A)の相の間を繋ぐ橋架けの機能を示し、PPS樹脂(A)がマトリックス(海)となり易くなることから、特異的に耐熱性が向上し、また低反り性や外観性に優れたものとすることも可能である。
更には、そのガラス繊維がPPS樹脂(A)の相で囲繞された状態で存在している場合に於いては、ガラス繊維によるPPS樹脂(A)相間の橋架け効果がより高くなり、加えて嵩高いガラス繊維がPPS樹脂(A)の増量剤の役割を果たすことから、更に耐熱性が向上しやすい。
異形断面のガラス繊維の場合、その異形比は、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3以上であり、より好ましくは5.5以下、さらに好ましくは5以下である。長さ方向断面の形状は、特に略矩形状であることが特に好ましい。
ガラス繊維の長さ方向の断面積は、180μm超300μm以下であることが好ましく、このような断面積であることで、PPS樹脂(A)がマトリックスとなりやすく、結果的に耐熱性が向上し易い。断面積は、より好ましくは180μm超250μm以下、さらに好ましくは180μm超200μm以下である。
ガラス繊維の太さは、特に限定されるものではないが、短径が2~20μm、長径が5~50μm程度であることが好ましい。
ガラス繊維は、集束剤や表面処理剤により処理がなされていてもよい。また、本発明の樹脂組成物製造時に、未処理のガラス繊維とは別に、集束剤や表面処理剤を添加し、表面処理してもよい。
集束剤としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂エマルジョン等が挙げられる。
表面処理剤としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系化合物、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン等のクロロシラン系化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン系化合物、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系化合物、アクリル系化合物、イソシアネート系化合物、チタネート系化合物、エポキシ系化合物などが挙げられる。
これらの集束剤や表面処理剤は2種以上を併用してもよく、その使用量(付着量)は、ガラス繊維の質量に対し、通常10質量%以下、好ましくは0.05~5質量%である。付着量を10質量%以下とすることにより、必要十分な効果が得られる。
繊維状フィラー(D)の含有量は、PPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)の合計100質量部に対して、5~150質量部であり、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、特には40質量部以上が好ましく、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、中でも80質量部以下、特には60質量部以下が好ましい。このような範囲で含有することにより高度な耐熱性を達成でき、得られた成形体の強度、収縮率の低減効果を高めることができる。
繊維状フィラー(D)は、要求される特性に応じて2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、電子顕微鏡で観察される樹脂組成物の成形体の断面構造において、繊維状フィラー(D)がPPS樹脂(A)の相で囲繞された状態で存在していることが好ましい。また、PPS樹脂(A)が、海島構造の海(マトリックス)、若しくはゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)と共連続相を形成していることが好ましい。このようなモルフォロジー構造を有することにより、特異的に耐熱性をより向上させ、さらに低反り性に優れ、外観性にも優れたものとなりやすくなる。
本発明の樹脂組成物は、上記した繊維状フィラー(D)以外に、板状、粒状又は無定形の他の無機フィラーを含有してもよい。板状無機フィラーは、タルク、ガラスフレーク、マイカ、雲母、カオリン、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛、金属箔等が挙げられる。
粒状又は無定形の他の無機フィラーとしては、セラミックビーズ、クレー、ゼオライト、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
繊維状フィラー(D)以外の他の無機フィラーは、異方性低減による反り低減には効果を示すものの、樹脂組成物の強度、靭性を低下させやすいので、過剰の添加は好ましくない。
他の無機フィラーを含有する際の含有量は、PPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)の合計100質量部に対し、好ましくは、30質量部以下であり、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下、中でも10質量部以下、7質量部以下、特には5質量部以下である。
[臭素系難燃剤(E)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、臭素系難燃剤(E)を含有する。
臭素系難燃剤(E)としては各種のものが使用できる。臭素系難燃剤としては、臭素化フタルイミド、臭素化ポリアクリレート、臭素化エポキシ化合物、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリスチレンが挙げられるが、中でも臭素化フタルイミド、臭素化ポリアクリレート、臭素化エポキシ化合物が本発明の樹脂組成物の耐熱性を大きく損なうことなく難燃性をより向上できる点から好ましい。
臭素化フタルイミドとしては、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
Figure 2023075002000002
(式(1)中、Dはアルキレン基、アルキルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルケトン基あるいはジフェニルエーテル基を示す。iは1~4の整数である。)
上記一般式(1)で示される臭素化フタルイミドとしては、例えばN,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)エタン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)プロパン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ブタン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジエチルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジプロピルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジブチルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルスルフォン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルケトン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルエーテル等が挙げられる。
臭素化フタルイミドとしては、上記一般式(1)において、Dがアルキレン基であるものが好ましく、特に好ましくは下記一般式(2)で示される臭素化フタルイミドである。
Figure 2023075002000003
(式(2)中、iは1~4の整数である。)
中でも、上記式(2)におけるiが4である、N,N’-エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)が好ましい。
臭素化フタルイミドは、臭素濃度が52~75質量%であることが好ましく、56~73質量%であることがより好ましく、57~70質量%であることがさらに好ましい。臭素濃度をこのような範囲とすることにより、難燃性を良好に保つことが容易である。
臭素化ポリアクリレートとしては、臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートを単独で重合、又は2種以上を共重合、もしくは他のビニル系モノマーと共重合させることによって得られる重合体であることが好ましく、該臭素原子は、ベンゼン環に付加しており、付加数はベンゼン環1個あたり1~5個、中でも4~5個付加したものであることが好ましい。
臭素原子を含有するベンジルアクリレートとしては、ペンタブロムベンジルアクリレート、テトラブロムベンジルアクリレート、トリブロムベンジルアクリレート、又はそれらの混合物等が挙げられる。また、臭素原子を含有するベンジルメタクリレートとしては、上記したアクリレートに対応するメタクリレートが挙げられる。
臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートと共重合させるために使用される他のビニル系モノマーとしては、具体的には例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレートのようなアクリル酸エステル類;メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートのようなメタクリル酸エステル類;スチレン、アクリロニトリル、フマル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸又はその無水物;酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられる。
これらは通常、臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートに対して等モル量以下、中でも0.5倍モル量以下が用いることが好ましい。
また、ビニル系モノマーとしては、キシレンジアクリレート、キシレンジメタクリレート、テトラブロムキシレンジアクリレート、テトラブロムキシレンジメタクリレート、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼン等を使用することもでき、これらは通常、臭素原子を含有するベンジルアクリレート又はベンジルメタクリレートに対し、0.5倍モル量以下が使用できる。
臭素化ポリアクリレートとしては、臭素原子を含有するアクリレートモノマー、特にベンジル(メタ)アクリレートを単独で重合、又は2種以上を共重合、もしくは他のビニル系モノマーと共重合させることによって得られる重合体であることが好ましく、臭素原子は、ベンゼン環に付加しており、付加数はベンゼン環1個あたり1~5個、中でも4~5個付加したものであることが好ましい。
臭素化ポリアクリレートとしては、ペンタブロモベンジルポリアクリレートが、高臭素含有量であること、熱安定性に優れること、且つ電気絶縁特性(耐トラッキング特性)が高い点で好ましい。
臭素化エポキシ化合物としては、具体的には、テトラブロモビスフェノールAエポキシ化合物や、グリシジル臭素化ビスフェノールAエポキシ化合物に代表されるビスフェノールA型ブロモ化エポキシ化合物が好ましく挙げられる。
臭素化エポキシ化合物の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、好ましくは、質量平均分子量(Mw)で3,000~100,000であり、中でも分子量が高い方が好ましく、具体的にはMwとして10,000~80,000、中でも13,000~78,000、更には15,000~75,000、特に18,000~70,000であることが好ましく、この範囲内に於いても分子量の高いものが好ましい。
臭素化エポキシ化合物は、そのエポキシ当量が3,000~40,000g/eqであることが好ましく、中でも4,000~35,000g/eqが好ましく、特に10,000~30,000g/eqであることが好ましい。
臭素系難燃剤(E)は、その熱分解開始温度が350℃以上であることが好ましく、より好ましくは360℃以上、中でも365℃以上、370℃以上、380℃以上、390℃以上、395℃以上、400℃以上であることが好ましい。熱分解開始温度がこのように高い臭素系難燃剤(E)を含有することにより、ペレット製造時の生産安定性や成形時の発ガス性を悪化させることなく、難燃性を付与することが容易となる。
臭素系難燃剤(E)の含有量は、PPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)の合計100質量部に対して、1~20質量部である。
臭素系難燃剤(E)の含有量が1質量部未満では難燃性が不十分となりやすく、逆に20質量部を超えると耐衝撃性などの機械的強度が不十分となり易く、且つ比重も重くなってしまう。臭素系難燃剤(E)の含有量は、好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上、中でも4質量部以上、特に5質量部以上が好ましく、好ましくは17質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下、中でも12質量部以下、とりわけ10質量部以下、特には9質量部以下であることが好ましい。
[三酸化アンチモン(F)]
本発明の樹脂組成物は、三酸化アンチモン(F)を含有する。アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)およびアンチモン酸ナトリウム等が挙げられるが、本発明ではこれらの中でも三酸化アンチモンを含有する。
三酸化アンチモン(F)は、樹脂組成物中の臭素系難燃剤(E)由来の臭素原子と、三酸化アンチモン(F)中のアンチモン原子の質量割合が、両者の合計で3~25質量%となるように配合することが好ましく、4~22質量%であることがより好ましく、10~20質量%であることがさらに好ましい。3質量%未満であると難燃性が低下する傾向にあり、25質量%を超えると機械的強度が低下する傾向にある。また、臭素原子とアンチモン原子の質量比(Br/Sb)は、0.3~5であることが好ましく、0.3~4であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、難燃性が発現しやすい傾向にあり好ましい。
本発明においては、三酸化アンチモン(F)は、予めマスターバッチ化したものを用いることが好ましく、熱可塑性樹脂、好ましくはゴム強化ポリスチレン又はポリスチレン(B)、若しくはポリフェニレンエーテル樹脂(C)とのマスターバッチとして配合することが好ましい。これにより、三酸化アンチモン(F)が、ゴム強化ポリスチレン又はポリスチレン(B)、若しくはポリフェニレンエーテル樹脂(C)の相に存在しやすくなり、溶融混練、成形加工時の熱安定性が良好となり、耐衝撃性の低下が抑えられ、さらに、難燃性、耐衝撃性のばらつきが少なくなる傾向となる。
マスターバッチ中の三酸化アンチモン(F)の含有量は20~90質量%であることが好ましい。三酸化アンチモン(F)が20質量%未満の場合は、難燃剤マスターバッチ中のアンチモン化合物の割合が少なく、難燃性向上効果が小さくなりやすい。一方、三酸化アンチモン(F)が90質量%を超える場合は、三酸化アンチモン(F)の分散性が低下しやすく、これを配合すると樹脂組成物の難燃性が不安定になり、またマスターバッチ製造時の作業性が低下しやすく、例えば、押出機を使用して製造する際に、ストランドが安定せず、切れやすい等の問題が発生しやすいため好ましくない。
マスターバッチ中の三酸化アンチモン(F)の含有量は、好ましくは30~85質量%である。
三酸化アンチモン(F)の含有量は、PPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上、中でも1.5質量部以上、特には2質量部以上が好ましく、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下、中でも5質量部以下、特に好ましくは8質量部以下である。上記下限値を下回ると難燃性が低下しやすく。また、上記上限値を上回ると、結晶化温度が低下し離型性が悪化したり、耐衝撃性等の機械的物性が低下しやすい。
[エポキシ化合物(G)]
本発明の樹脂組成物は、エポキシ化合物(G)を含有することも好ましい。
PPS樹脂(A)自体はエポキシ化合物(G)と反応する化学構造を有していないものの、エポキシ化合物(G)が極性的な親和性によってPPS樹脂(A)と繊維状フィラー(D)の界面に偏在することにより、PPS樹脂(A)と繊維状フィラー(D)の界面強度が増し、結果的に樹脂組成物の機械的強度、特に靭性を向上させることができる。
エポキシ化合物(G)を含有する場合の好ましい含有量は、PPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)の合計100質量部に対して、0.01~5質量部である。このような含有量とすることで機械的強度、特に靭性を向上させることができる。含有量は0.01質量部未満では上記の改良効果が少なくなり、5質量部を超えると滞留時の増粘が著しく、成形安定性が低下する傾向となる。エポキシ化合物(G)の含有量は、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上、特には0.3質量部以上であり、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、中でも2質量部以下、1.5質量部以下、特には1質量部以下である。
エポキシ化合物(G)としては、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するものであればよく、例えば、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエーテル類、グリシジルエステル類、エポキシ化ブタジエン重合体、レゾルシン型エポキシ化合物等が挙げられる。
なお、臭素系難燃剤(E)で挙げた臭素化エポキシ化合物は、このエポキシ化合物(G)からは除外される。
ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等を例示できる。
ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ化合物としては、ビスフェノールF-ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールF-ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物の例としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、3,4-エポキシシクロヘキシル-3,4-シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
グリシジルエーテル類の具体例としては、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のモノグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル類が挙げられる。
グリシジルエステル類としては、安息香酸グリシジルエステル、ソルビン酸グリシジルエステル等のモノグリシジルエステル類;アジピン酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル等のジグリシジルエステル類等が挙げられる。
エポキシ化ブタジエン重合体としては、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン系共重合体、エポキシ化水素化スチレン-ブタジエン系共重合体等を例示できる。
レゾルシン型エポキシ化合物としてはレゾルシンジグリシジルエーテル等が例示できる。
また、エポキシ化合物(G)は、グリシジル基含有化合物を一方の成分とする共重合体であってもよい。例えばα,β-不飽和酸のグリシジルエステルと、α-オレフィン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上のモノマーとの共重合体が挙げられ、例えば、好ましいものとして、エポキシ基含有アクリル系(共)重合体を挙げることができる。
エポキシ化合物の汎用品である、例えばエポキシ基含有オレフィン系エラストマー等はそれ自体が柔軟であることから、靭性には優れる一方、機械的強度の改善効果は十分ではなく、剛性も低下してしまうため、これらエラストマー系のものはあまり好ましくない。
エポキシ化合物(G)としては、エポキシ当量が150~1500g/eqのものが好ましい。エポキシ当量が150g/eq未満のものは、エポキシ基の量が多すぎるため樹脂組成物の粘度が高くなり、逆にエポキシ当量が1500g/eqを超えるものは、エポキシ基の量が少なくなるため、樹脂組成物の機械的強度を向上させる効果が十分に発現しにくい傾向にある。エポキシ当量は、より好ましくは150~1000g/eqであり、さらに好ましくは150~500g/eqである。
エポキシ化合物(G)の重量平均分子量は300~9000のものが好ましい。重量平均分子量が9000を超えるものは、PPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)との相溶性が低下し、樹脂組成物の成形体の機械的強度が低下する傾向にある。重量平均分子量は、より好ましくは7000以下であり、さらに好ましくは6000以下である。
エポキシ化合物(G)の重量平均分子量は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwである。
エポキシ化合物(G)としては、ビスフェノールAやノボラックとエピクロロヒドリンとの反応から得られるビスフェノールA型エポキシ化合物やノボラック型エポキシ化合物、あるいはエポキシ基含有アクリル系(共)重合体が耐熱性やハンドリング性の点から特に好ましい。
[安定剤]
本発明の樹脂組成物は、安定剤を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度、透明性や色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤、イオウ系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル(ホスファイト)、3価のリン酸エステル(ホスホナイト)、5価のリン酸エステル(ホスフェート)等が挙げられ、中でも有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物、有機ホスフェート化合物が好ましい。
有機ホスフェート化合物としては、好ましくは、下記一般式:
(RO)3-nP(=O)OH
(式中、Rは、アルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは0~2の整数を示す。)
で表される化合物である。より好ましくは、Rが炭素原子数8~30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素原子数8~30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2-エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物としては、例えば、オクチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オクタデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ-2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましく、このものはADEKA社の商品名「アデカスタブ AX-71」として、市販されている。
有機ホスファイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
O-P(OR)(OR
(式中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基または炭素原子数6~30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素原子数6~30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
有機ホスホナイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
-P(OR)(OR
(式中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基又は炭素原子数6~30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素原子数6~30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
有機ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-iso-プロピルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-n-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-iso-プロピルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
イオウ系安定剤としては、従来公知の任意のイオウ原子含有化合物を用いることが出来、中でもチオエーテル類が好ましい。具体的には例えば、ジドデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ドデシルチオプロピオネート)、チオビス(N-フェニル-β-ナフチルアミン)、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、トリラウリルトリチオホスファイトが挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ドデシルチオプロピオネート)が好ましい。
フェノール系安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-ネオペンチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
安定剤の含有量は、PPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)の合計100質量部に対し、好ましくは0.001~2質量部である。安定剤の含有量が0.001質量部未満であると、樹脂組成物の熱安定性が低下しやすく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、2質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。安定剤の含有量は、より好ましくは0.01~1.5質量部であり、更に好ましくは、0.1~1質量部である。
[離型剤]
本発明の樹脂組成物は、離型剤(または滑剤)を含有することが好ましい。
離型剤(滑剤)としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の炭化水素系離型剤;ステアリルアルコール、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の脂肪族系離型剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド等のアミド系離型剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸系離型剤;硬化油脂、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸ブチル、ペンタエリスリトールステアレート、ステアリン酸ステアリル等のエステル系離型剤が挙げられる。
離型剤(滑剤)の含有量は、PPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)の合計100質量部に対し、好ましくは0.1~3質量部であるが、0.2~2.5質量部であることがより好ましく、更に好ましくは0.3~2質量部である。0.1質量部未満であると、溶融成形時の離型不良により表面性が低下しやすく、一方、3質量部を超えると、樹脂組成物の練り込み作業性が低下しやすく、また成形体表面に曇りが生じやすい。
[カーボンブラック]
本発明の樹脂組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。
カーボンブラックは、その種類、原料種、製造方法に制限はなく、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のいずれをも使用することができる。その数平均粒径には特に制限はないが、5~60nm程度であることが好ましい。
カーボンブラックは、熱可塑性樹脂と予めマスターバッチ化されたものを用いることが好ましい。マスターバッチ化のための熱可塑性樹脂としては、PPS樹脂、PPE樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂等が好ましく挙げられ、スチレン系樹脂、特にはアクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)が好ましい。
カーボンブラックの含有量は、PPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)の合計100質量部に対し、好ましくは0.1~4質量部、より好ましくは0.2~3質量部である。0.1質量部以上であれば、所望の色が得られる効果が高まり、また耐候性改良効果等が期待できる。4質量部以下であれば、機械的物性の低下を抑制等が期待できる。
[その他含有成分]
本発明の樹脂組成物は、上記したPPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)、PPE樹脂(C)以外の他の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えばポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
ただし、その他の樹脂を含有する場合の含有量は、PPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及びPPE樹脂(C)の合計100質量部に対し、20質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下がより好ましく、さらには5質量部以下、特には3質量部以下とすることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、前記した以外の種々の添加剤を含有していてもよく、このような添加剤としては、滴下防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、着色剤、染顔料等が挙げられる。
[樹脂組成物の製造]
本発明の樹脂組成物を製造するには、樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。すなわち、繊維状フィラー(D)を除くPPS樹脂(A)、ゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)、及びPPE樹脂(C)、並びに、所望により添加されるその他樹脂成分及び種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、樹脂組成物を調製することもできる。また、一部をマスターバッチ化したものを配合して溶融混練してもよい。さらには、予め各成分を混合した混合物を、溶融混練することなく、そのまま射出成形機等の成形機に供給し、各種成形体を製造することも可能である。なお、繊維状フィラー(D)はサイドフィーダーを用いてサイドフィードすることが好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常280~350℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、外観不良の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練時や、後行程の成形時の分解を抑制するため、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
[成形体]
本発明の樹脂組成物を用いて成形体を製造する方法は、特に限定されず、樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。これらの中でも、特に射出成形やインサート成形が好ましい。本発明の樹脂組成物は金属を腐食させにくいのでインサート成形にも特に好適である。
得られた成形体は、低反り性と耐熱性と難燃性に優れ、靭性や強度、その他の機械的特性や耐薬品性に優れ、金属腐食も起こしにくいので、これらの特性が厳しく求められる電気電子機器部品、自動車用内外装部品その他の電装部品として特に好適に使用される。
電気電子機器部品としては、コネクター、コイル、センサー、センサーカバー、ランプソケット、抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、各種端子板、プラグ、バリコン用筐体、IH調理器筐体部品、グリル取手、コイル周辺部材、炊飯器保護枠、スマートメーター筐体、産業用ブレーカー筐体、インバーターケース、携帯電話筐体、温暖機器筐体、電池用セパレーター、電池用ケース、自動車用充電設備等が具体的に挙げられる。
自動車用内外装部品用としては、車載用筐体部品、車載電池用ケース、車載電池用カバー、車載電池用セパレーター、各種モーターケース、センサーケース、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサー、車載用カメラブラケット、排気ガスセンサー、ホルダー部品、ドアミラーステイ、自動車内装用ヘッドアップディスプレイの筐体、あるいは、エンジンコントロールユニット(ECU)用の筐体等に、また自動車の電装用コネクター部品等に、特に好適に用いることができる。
特に、本発明の樹脂組成物は、車載用筐体部品等として好適である。
以下、実施例を示して本発明について、更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
(実施例1~5、比較例1~4)
使用した成分は、以下の表1の通りである。
Figure 2023075002000004
上記表1に示した各成分のうち、繊維状フィラー(D)を除く成分について、後記表2に示す割合(全て質量部)にて、タンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30α」、L/D=42)を使用し、繊維状フィラー(D)についてはサイドフィーダーを用いて投入しながら、シリンダー設定温度310℃、吐出量30kg/h、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練した樹脂組成物を、水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
[引張破断強度、引張破断伸び率]
上記で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所社製射出成形機(型締め力85T)を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度140℃の条件で、ISO多目的試験片(4mm厚)を射出成形した。
ISO527に準拠して、上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用いて、引張破断強度(単位:MPa)、引張破断伸び率(単位:%)を測定した。
[曲げ最大強度、曲げ弾性率]
ISO178に準拠して、上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で、曲げ最大強度(単位:MPa)と曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
[ノッチ付シャルピー衝撃強度]
ISO179に準拠して、上記ISO多目的試験片(4mm厚)にノッチ加工を施したノッチ付き試験片について、23℃の温度でノッチ付シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
[荷重たわみ温度と耐熱性判定]
上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用い、ISO75-1及びISO75-2に準拠して、荷重1.80MPaの条件で、荷重たわみ温度を測定した。
以下の基準により、耐熱性の判定を行った。
〇:荷重たわみ温度が175℃以上
×:荷重たわみ温度が175℃未満
[はんだ耐熱試験とはんだ耐熱性判定]
射出成形機(日本製鋼所社製「J50ADS」)にて、シリンダー温度310℃、金型温度130℃の条件で、12.5mm×125mm×1.5mm厚みの燃焼試験片を射出成形した。ピンセットを用い、この試験片を260℃に調整したはんだ槽に10sec浸漬し、取り出した後の試験片の状態を観察した。
以下の基準により、はんだ耐熱性の評価判定を行った。
〇:形状及び外観の点で異常が見られない
△:形状は保持しているものの、膨れ等の外観的異常が確認される。
×:形状を保持していない。
[難燃性評価(UL-94)]
アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL-94)の方法に準じ、5本の試験片(厚み:1.6mm)を用いて燃焼性(難燃性)を試験した。
UL-94記載の評価方法に従って、V-0、V-1、V-2、不適合に分類した。
[反り量と反り性判定]
射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー温度310℃、金型温度130℃、射出時間0.5secの条件で、直径100mm、厚み1.6mmの円板をサイドゲート金型により成形し、円板の反り量(単位:mm)を求めた。
以下の基準により、反り性の評価判定を行った。
〇:反り量が3mm以下
△:反り量が3mm超、5mm以下
×:反り量が5mm超
[腐食性評価]
得られた樹脂組成物ペレット4gを内径17φ×高さ160mmのガラス製試験管に入れる。銀板(10mm×10mm×0.2mmt)を内側に貼り付けた27φのガラス板でそれを封止した後、350℃で保持したブロックヒーターで2時間保持し、銀板の変色の程度を、分光測色色差計(コニカミノルタ社製「CM-3600d」)を使用してSCI法に基づくa値とb値を求め、以下の基準で評価した。
〇:a+bが10.0未満
:a+bが10.0以上15.0未満
△:a+bが、15.0以上20.0未満
×:a+bが、20.0以上
以上の結果を、以下の表2に示す。
Figure 2023075002000005
本発明の樹脂組成物は、低反り性、耐熱性及び難燃性に優れ、金属に対する腐食性が少なく、機械的強度や耐薬品性にも優れるので、これらの特性が厳しく求められる電気電子製品部品や車載用電装部品、車載用筐体部品等に好適に利用できる。

Claims (8)

  1. 295℃,1.00kgf荷重で測定したMVRが60~500cm/10minのポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を25~65質量部、非晶性のゴム強化ポリスチレン若しくはポリスチレン(B)及び/又はポリフェニレンエーテル樹脂(C)を、(B)と(C)の合計で35~75質量部を含有する(A)~(C)の合計100質量部に対し、繊維状フィラー(D)を5~150質量部、臭素系難燃剤(E)を1~20質量部含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. さらに、三酸化アンチモン(F)を、(A)~(C)の合計100質量部に対し、0.1~10質量部含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 臭素系難燃剤(E)が、臭素化フタルイミド、臭素化ポリアクリレートまたは臭素化エポキシ化合物から選ばれる請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. さらに、エポキシ化合物(但し臭素化エポキシ化合物を除く)(G)を、(A)~(C)の合計100質量部に対し、0.01~5質量部含有する請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. エポキシ基含有化合物(G)は、エポキシ当量が150~500g/eqである請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. (B)と(C)の含有量の質量比(B)/(C)が0.5以上である請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
  8. 車載用筐体部品である請求項6に記載の成形品。
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