JP2023073687A - 改変型抗体 - Google Patents

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智巳 久保田
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Abstract

【課題】熱安定性が改良された抗体を提供すること又は抗体の熱安定性を向上させる手段を提供すること。【解決手段】重鎖可変領域(VH)、重鎖第一定常領域(CH1)、及びVHとCH1との間にリンカー(L)を有し、前記Lは、(L1)配列番号1のアミノ酸配列、又は(L2)配列番号1のアミノ酸配列において、1又は2つのアミノ酸が置換、欠失、若しくは挿入されたアミノ酸配列(但し、N末端から2番目のアミノ酸残基はシステインである)を有し、前記CH1は、配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、且つ、N末端から56番目のアミノ酸残基はシステインである、抗体。【選択図】なし

Description

改変型抗体、例えば、熱安定性が向上した改変型抗体に関する技術が開示される。
抗体のアミノ酸配列に変異を導入することにより、抗体の抗原に対する親和性を改変させる多くの試みがなされている(例えば、特許文献1)。しかし、抗体には、抗原に対する親和性または特異性だけでなく、使用環境または目的等に応じた熱安定性が求められる。
特開2021-129579
熱安定性が改良された抗体を提供すること又は抗体の熱安定性を向上させる手段を提供することが1つの課題である。
上記課題等を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、抗体の特定の部位にシステイン残基を導入することにより、抗体の熱安定性が向上することが見出された。斯かる知見に更なる検討と改良を加え、下記に代表される発明が提供される。
項1
重鎖可変領域(VH)、重鎖第一定常領域(CH1)、及びVHとCH1との間にリンカー(L)を有し、
前記Lは、
(L1)配列番号1のアミノ酸配列、又は
(L2)配列番号1のアミノ酸配列において、1又は2つのアミノ酸が置換、欠失、若しくは挿入されたアミノ酸配列(但し、N末端から2番目のアミノ酸残基はシステインである)
を有し、
前記CH1は、配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、且つ、N末端から56番目のアミノ酸残基はシステインである、
抗体。
項2
前記Lは、配列番号1のアミノ酸配列を有し、
前記CH1は、配列番号2のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、且つ、N末端から56番目のアミノ酸残基はシステインである、
項1に記載の抗体。
項3
IgG、IgA、IgM、IgD及びIgEから成る群より選択される抗体である、項1又は2に記載の抗体。
項4
F(ab’)、Fab’、Fab、及び還元型IgGから成る群から選択される抗体断片である、項1又は2に記載の抗体。
項5
重鎖可変領域(VH)、重鎖第一定常領域(CH1)、及びVHとCH1とを連結するリンカー(L)を有する抗体について、
LのN末端から2番目のアミノ酸残基をシステインに置換すること、及び
CH1のN末端から56番目のアミノ酸残基をシステインに置換すること
を含む、改変型抗体を製造する方法。
項6
前記改変型抗体の熱安定性が改変前の抗体と比較して向上している、項5に記載の方法。
熱安定性が向上した抗体が提供される。
実施例で作成したSS-CH1改変型抗体、SS-CH2改変型抗体、SS-CH1/SS-CH2改変型抗体の重鎖のアミノ酸配列と野生型抗体の重鎖のアミノ酸配列とのアライメントを示す。上段は野生型NP24抗体の重鎖のアミノ酸配列(配列番号8)であり、下段はSS-CH1/SS-CH2改変型抗体の重鎖のアミノ酸配列(配列番号9)である。 哺乳類培養細胞にて抗体の発現誘導後30時間の培養上清を4℃で80分処理した場合(4℃抗体液)と、65℃で80分熱処理した場合(65℃抗体液)の抗原に対する結合能を測定した結果を示す。縦軸は、各抗体の4℃抗体液の結合能を100%とした、65℃抗体液の抗体の結合能を示す。 哺乳類培養細胞にて抗体の発現誘導後48時間の培養上清を4℃で80分処理した場合(4℃抗体液)と、65℃で80分熱処理した場合(65℃℃抗体液)の抗原に対する結合能を測定した結果を示す。縦軸は、各抗体の4℃抗体液の結合能を100%とした、65℃抗体液の抗体の結合能を示す。 哺乳類培養細胞にて抗体の発現誘導後、72時間の培養上清を4℃で80分処理した場合(4℃抗体液)と、65℃で80分熱処理した場合(65℃抗体液)の抗原に対する結合能を測定した結果を示す。縦軸は、各抗体の4℃抗体液の結合能を100%とした、65℃抗体液の抗体の結合能を示す。 図2~4に示された結果を1つに纏めた図を示す。 COS-7細胞にて抗体の発現誘導後48時間の培養上清を4℃で80分処理した場合(4℃抗体液)と、65℃で80分熱処理した場合(65℃℃抗体液)の抗原に対する結合能を測定した結果を示す。縦軸は、各抗体の4℃抗体液の結合能を100%とした、65℃抗体液の抗体の結合能を示す。
1.定義
本明細書中において、「含有する」、「含む」、及び「有する」という表現は、広義的に同一することが可能であり、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
アミノ酸配列の「同一性」とは、2つ以上の対比可能なアミノ酸配列の、互いに対するアミノ酸配列の一致の程度を意味する。ある2つのアミノ酸配列の一致度が高いほど、それらの配列の同一性は高い。アミノ酸配列の同一性は、例えば、配列を整列化することにより比較するツールとしてのClustal Omega(https://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/)をデフォルトパラメータで用いて決定できる。若しくは、Karlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST(Karlin S,Altschul SF.“Methods for assessing the statistical significance of molecular sequence features by using general scoring schemes” Proc Natl Acad Sci USA.87:2264-2268(1990)、Karlin S,Altschul SF.“Applications and statistics for multiple high-scoring segments in molecular sequences” Proc Natl Acad Sci USA.90:5873-5877(1993))を用いて決定できる。このようなBLASTのアルゴリズムに基づいたblastp、blastxと呼ばれるプログラムが開発されている。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(National Center for Biotechnology Information(NCBI)のウェブサイト(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/))。塩基配列の同一性もアミノ酸配列の同一性に準じて定義され、決定できる。
本明細書中において、「保存的置換」とは、アミノ酸残基がそれが有する側鎖と類似する側鎖を有する異なるアミノ酸残基に置換されることを意味する。例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジンといった塩基性側鎖を有するアミノ酸残基いずれかが、他の塩基性側鎖を有するいずれかのアミノ酸残基で置換されることを保存的な置換という。アスパラギン酸、グルタミン酸といった酸性側鎖を有するアミノ酸残基;アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システインといった無電荷極性側鎖を有するアミノ酸残基;グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンといった非極性側鎖を有するアミノ酸残基;ロイシン、バリン、イソロイシンといった分岐側鎖を有するアミノ酸残基;チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンといった芳香族側鎖を有するアミノ酸残基同士での置換も同様に、保存的な置換である。
2.抗体
抗体は、一般的に、重鎖及び軽鎖を含むことが好ましい。重鎖は、可変領域及び定常領域を含むことが好ましい。重鎖定常領域は、少なくとも第一定常領域(CH1)を含むことが好ましい。一実施形態において、重鎖定常領域は、CH1に加え、第二定常領域(CH2)及び第三定常領域(CH3)を含むことが好ましい。一実施形態において、重鎖定常領域は、CH1~CH3に加え、第四定常領域(CH4)を含むことが好ましい。軽鎖は、可変領域、或いは可変領域及び定常領域を含むことが好ましい。
重鎖及び軽鎖の可変領域は、各々3つの相補性決定領域(超可変領域、CDR1~3)を含むことが好ましい。CDR1~3以外の領域はフレーム領域(FR)と称される。一般的に、可変領域のN末端~CDR1のN末端まで領域はFR1、CDR1とCDR2との間の領域はFR2、CDR2とCDR3との間の領域はFR3、CDR3とCH1との間の領域はFR4と称される。FR4は、リンカー又はSwitching regionとも称される。
抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMのいずれであってもよい。IgA、IgD及びIgGは、CH1~CH3を含む重鎖を有し、IgE及びIgMは、CH1~CH4を含む重鎖を有する。一実施形態において、抗体は、IgGであることが好ましい。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のいずれのサブクラスであってもよい。一実施形態において、抗体はIgG1であることが好ましい。抗体は、その抗原結合断片(例えば、F(ab’)2、Fab’、Fab、及び還元型IgG)であってもよい。一実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体であることが好ましい。
抗体のリンカー(「L」とも称する)は、配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1のアミノ酸配列において、1又は2つのアミノ酸が置換、欠失、若しくは挿入されたアミノ酸配列であって、N末端から2番目のアミノ酸残基がシステインであることが好ましい。配列番号1のアミノ酸配列は、SCKTTであり、N末端から2番目のアミノ酸残基はシステインである。前記「1又は2つ」は、好ましくは1つである。前記「置換、欠失若しくは挿入」は、好ましくは置換であり、保存的置換であることが好ましい。
抗体におけるリンカーのアミノ酸配列は保存性が高い。例えば、NCBIに登録されている任意の抗体と配列番号1を含む重鎖の配列との同一性をデフォルトの設定で検索したところ、ヒットしたマウス由来の100種のIgG抗体の全てがアミノ酸配列SAKTT(配列番号7)を有していた。このアミノ酸配列は、後述する実施例において置換を挿入する前のマウス由来の野生型NP24抗体のリンカーのアミノ酸配列と同一である。また、ヒト、ラット及びマウス等の哺乳類由来の抗体についてもNCBIでの検索によって高い保存性を有していることが確認された。
一実施形態において、リンカーは、5~7個のアミノ酸残基で構成されることが好ましく、5又は6個のアミノ酸残基で構成されることが好ましく、5個のアミノ酸残基で構成されることが好ましい。一実施形態において、リンカーのN末端から1番目のアミノ酸残基はセリン又はアラニンであることが好ましく、セリンであることが好ましい。リンカーのN末端から2番目のアミノ酸残基はシステインであることが好ましい。リンカーのN末端から3番目のアミノ酸残基はリシン、セリン、又はグルタミン酸であることが好ましく、リシンであることが好ましい。リンカーのN末端から4番目のアミノ酸残基はスレオニンであることが好ましい。リンカーのN末端から5番目のアミノ酸残基はスレオニンであることが好ましい。
抗体のCH1は、配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、且つ、N末端から56番目のアミノ酸残基はシステインであることが好ましい。同一性は、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、99%以上であることが好ましい。
抗体は、リンカーの配列番号1のN末端から2番目のアミノ酸残基及びCH1の配列番号2におけるN末端から56番目に相当するアミノ酸残基がシステインであることにより、これらのシステイン残基間でジスルフィド結合を形成し、抗体の熱安定性を向上すると考えられる。一実施形態において、抗体のリンカーにおけるシステイン残基及びCH1におけるシステイン残基の位置は、立体構造解析または機械学習や人工知能(AI)技術等を含む立体構造予測により、配列番号1のアミノ酸配列を有するリンカー及び配列番号2のアミノ酸配列を有するCH1を含む抗体(好ましくは、実施例で作成されたSS-CH1改変型抗体)における各システイン残基の位置立に相当する(立体構造的に同等)と判定される位置であることが好ましい。
抗体の熱安定性は、後述する実施例に示すように、抗体を熱処理に供し、熱処理前後の抗体の抗原に対する結合能力を比較することにより評価/測定することができる。熱処理前の抗体の結合能と比較して熱処理後の抗体の結合能の低下率が小さい程、抗体は高い熱安定性を有すると評価される。熱処理は、例えば、一定の温度(例えば60℃~80℃)で一定時間(例えば、60分~90分)、抗体を維持することで行うことができる。抗体の結合能の測定は、例えば、ELISAを用いて実施することができる。
このように熱安定性に優れた抗体は、任意の公知の抗体または今後開発される抗体について、リンカーのN末端から2番目のアミノ酸残基をシステインに置換し、CH1の配列番号2におけるN末端から56番目に相当するアミノ酸残基をシステインに置換することで得ることができる。ここで、リンカーのN末端から2番目のアミノ酸残基は、抗体のCDR3とCH1との間のアミノ酸配列と配列番号1のアミノ酸配列とを対比し、それらの同一性ないし類似性に基づいて特定される。CH1の配列番号2おけるN末端から56番目に相当するアミノ酸残基についても、任意の抗体のCH1のアミノ酸配列と配列番号2のアミノ酸配列とを対比し、それらの同一性ないし相同性に基づいて特定される。
抗体が有する重鎖可変領域(リンカー又はFR4を除く)のアミノ酸配列は任意である。公知又は今後開発される任意の抗体の重鎖可変領域をそのまま又はそれを改良したものを採用することができる。一実施形態において、抗体の重鎖可変領域(好ましくはCDR1~3を除く)のアミノ酸配列は、配列番号3のアミノ酸配列と65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上の同一性を有することが好ましい。配列番号3のアミノ酸配列は、後述する実施例で使用された野生型NP24抗体及び改変型NP24抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列である。
抗体が有する重鎖定常領域(CH1のN末端から56番目のアミノ酸残基を除く)のアミノ酸配列は任意である。公知又は今後開発される任意の抗体の重鎖定常領域をそのまま又はそれを改良したものを採用することができる。一実施形態において、抗体の重鎖定常領域のアミノ酸配列は、配列番号4のアミノ酸配列と65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上の同一性を有することが好ましい。配列番号4のアミノ酸配列は、後述する実施例で使用された野生型NP24抗体の重鎖定常領域(CH1を含む)のアミノ酸配列である。
抗体が有する軽鎖可変領域のアミノ酸配列は任意である。公知又は今後開発される任意の抗体の軽鎖可変領域をそのまま又はそれを改良したものを採用することができる。一実施形態において、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とは同一又は同種の抗体に由来することが好ましい。一実施形態において、抗体の軽鎖可変領域(好ましくはCDR1~3を除く)のアミノ酸配列は、配列番号5のアミノ酸配列と65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上の同一性を有することが好ましい。配列番号5のアミノ酸配列は、後述する実施例で使用された野生型NP24抗体及び改変型NP24抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列である。
抗体が有する軽鎖定常領域のアミノ酸配列は任意である。公知又は今後開発される任意の抗体の軽鎖定常領域をそのまま又はそれを改良したものを採用することができる。一実施形態において、抗体の軽鎖定常領域のアミノ酸配列は、配列番号6のアミノ酸配列と80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上の同一性を有することが好ましい。配列番号6のアミノ酸配列は、後述する実施例で使用された野生型NP24抗体及び改変型NP24抗体の軽鎖定常領域のアミノ酸配列である。
抗体の由来は特に制限されない。抗体は、例えばヒト由来抗体、マウス由来抗体、ラット由来抗体、ウサギ由来抗体、サル由来抗体、チンパンジー由来抗体などであり得る。また、本発明の抗体は、キメラ抗体(例えばヒト以外の生物(マウスなど)由来抗体の定常領域のアミノ酸配列をヒト由来抗体の定常領域のアミノ酸配列に置き換えられてなる抗体)、ヒト化抗体、完全ヒト化抗体などであってもよい。
抗体は、任意の手法で製造することができる。例えば、抗体をコードするポリヌクレオチドにより形質転換させた宿主を培養し、抗体を含む画分を回収する工程を含む方法によって製造することができる。
抗体をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は、抗体を発現可能な限り特に制限されず、抗体のコード配列以外に、他の配列を含んでいてもよい。他の配列としては、抗体コード配列に隣接して配置される分泌シグナルペプチドコード配列、プロモーター配列、エンハンサー配列、リプレッサー配列、インスレーター配列、複製起点、薬剤耐性遺伝子コード配列などが挙げられる。また、ポリヌクレオチドは、直鎖状のポリヌクレオチドであってもよいし、環状のポリヌクレオチド(ベクターなど)であってもよい。
宿主は、特に制限されず、例えば昆虫細胞、真核細胞、哺乳類細胞等が挙げられる。中でも、抗体をより効率的に発現させる観点から、哺乳類細胞であるHEK細胞、CHO細胞、COS-7細胞、NS0細胞、SP2/O細胞、P3U1細胞などが好ましい。一実施形態において、宿主として蚕を用いることが好ましい。形質転換、培養、及び回収の方法は、特に制限されず、抗体製造における公知の方法を採用することができる。回収後は、必要に応じて本発明の抗体を精製してもよい。精製は、抗体製造における公知の方法、例えばアフィニティークロマトグラフィー、透析などにより行うことができる。
以下、実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
1.哺乳類培養細胞株
CHO-K1細胞またはCOS-7細胞は10%ウシ胎児血清入りのD-MEM / Ham's F-12(シグマ)にて37℃CO2インキュベーターにて最長72時間培養した。CHO-K1細胞またはCOS-7細胞を24ウェルプレートの1ウェルあたり1.0×105細胞を用い、HIV p24を抗原とするNP24抗体を発現させるためにリポフェクション法(Lipofectamine 3000; Invitrogen)を用いてNP24抗体の遺伝子をこれら哺乳類培養細胞株に導入した。
2.耐熱化改変型NP24抗体
検証に用いたNP24抗体の構成は、野性型NP24抗体に対して、重鎖の139番目(リンカー領域の2番目)のアラニンをシステインへ、198番目(CH1領域の56番目)のアスパラギン酸をシステインへ変更した計2アミノ酸の変異をもつSS-CH1改変型、重鎖の285番目のアスパラギン酸をシステインへ、342番目のアラニンをシステインへ変更した計2アミノ酸の変異をもつSS-CH2改変型、及び上記4アミノ酸変異を有するSS-CH1/SS-CH2改変型をデザインした(図1)。いずれの抗体も軽鎖は野生型のみの1種類とした。
3.培養細胞での抗体の発現
4種類(野生型、SS-CH1改変型、SS-CH2改変型、SS-CH1/SS-CH2改変型)の重鎖のコード配列(Coding sequence; CDS)と野生型の軽鎖のCDSをそれぞれ発現用ベクター(pcDNA3.1; Invitrogen)に組み込んだものを準備した。重鎖発現ベクターと軽鎖発現ベクターを各0.5 μgずつ合計1 μgを哺乳類培養細胞へ導入し、4種類のNP24抗体の発現を一過性に誘導した。発現したNP24抗体は培養上清に存在するため、誘導を開始して30時間、48時間、72時間の計3段階の経過時点に培養上清の一部を回収した。回収された培養上清を小分けし、4℃保存または65℃で80分の熱処理を行なった。4℃で保存した培養上清を4℃抗体液、熱処理後の培養上清を65℃抗体液としてELISAに用いた。
4.培養上清を用いたELISA反応
96ウェルプレート(Nunc)へ1 μg/mLのNP24抗原(HIV 1; ViroStat)を1ウェルあたり100 μl入れ、室温で1時間あるいは4℃で一晩、静置し固相化した。PBSTにて3回洗浄し、室温で1時間ブロッキング(0.2%BSA/PBS)操作を行なった。その後、PBSTにて3回洗浄し、5~10倍に希釈した4℃抗体液または65℃抗体液を100 μl入れ室温で1時間、静置した。PBSTにて3回洗浄後、20 ng/mLの検出抗体(Anti-Mouse IgG (H+L) Goat IgG Fab’ - HRP; IBL)を100 μl入れ室温で1時間、静置した。PBSTにて3回洗浄した後、検出試薬(TMB Blue; Dako)を80 μl入れ37℃恒温器に5~10分静置し発色を確認した後、反応停止液(2 N H2SO4)を20 μl入れ、マイクロプレートリーダー(iMark; BioRad)にて吸光度を測定した。全ての抗原および抗体液の希釈にはPBSを用いた。
5.ELISAによる熱耐性の評価
改変型NP24抗体の熱処理(65℃で80分)によるNP24抗原に対する結合能力への影響を評価する際には次の操作を行った。(1)4種類の抗体遺伝子を細胞へ導入する行程は、培養細胞を起こした日にち、継代数および培養の日数が同じものを用いて行った。(2)4℃抗体液と65℃抗体液について、1種類あたり3ウェルを評価試験に使用した。(3)各4種類の抗体について4℃抗体液に対する65℃抗体液の吸光度の値の比を熱耐性の強さとし、4種類の抗体の熱耐性の強さの間の誤差及び有意差を図に示した。(4)固相化されたNP24抗原に対する4℃抗体液の吸光度の値が、野生型NP24抗体と3種類の改変型NP24抗体の間において大きな差がないことを確認した。(5)1種類あたり1ウェルを使用したサンドイッチELISA法(Anti-Mouse IgG (H+L) Goat IgG; Thermo Fisher Scientific)における4℃抗体液の吸光度の値が、野生型NP24抗体と3種類の改変型NP24抗体の間において大きな差がないことを確認した。上記の(1)および(2)、(3)より、手技的なバイアスによる影響を除いた。(4)および(5)より、培養上清中の抗体は濃度に大きな差がないことを確認すると同時に、重鎖にデザインしたSS-CH1あるいはSS-CH2のアミノ酸変異が哺乳類培養細胞株における抗体の発現量や安定性には影響していないことを確認した。
6.CHO-K1細胞で発現させた改変型NP24抗体の熱耐性
発現誘導(トランスフェクション後の経過時間)が30時間の4℃抗体液および65℃抗体液によるELISAの結果(図2)から、野生型の熱耐性の強さ(12.3%)と比べてSS-CH1改変型(46.5%±0.03)およびSS-CH1/SS-CH2改変型(47.5%±0.08)の熱耐性の強さはそれぞれ約3.8倍、3.9倍(p>0.05)上昇していることが確認された。一方、SS-CH2改変型(10.0%)については熱耐性の向上は見られなかった。また、SS-CH1改変型とSS-CH1/SS-CH2改変型では有意な差は見られなかった。
発現誘導48時間のELISAの結果(図3)から、野生型の熱耐性の強さ(10.5%)と比べてSS-CH1改変型(50.9%±0.03)およびSS-CH1/SS-CH2改変型(55.0%±0.04)の熱耐性の強さはそれぞれ約4.7倍、5.2倍(p>0.01)上昇していた。一方、発現誘導30時間の場合と同様にSS-CH2改変型(9.8%)については熱耐性の上昇は見られなかった。また、SS-CH1改変型とSS-CH1/SS-CH2改変型で有意な差は見られなかった(図3)。
発現誘導72時間のELISAの結果(図4)から、野生型の熱耐性の強さ(14.8%)と比べてSS-CH1改変型(49.5%±0.02)およびSS-CH1/SS-CH2改変型(48.0%±0.03)の熱耐性の強さはそれぞれ約3.4倍、3.2倍(p>0.01)上昇していた。一方、発現誘導30時間および48時間の場合と同様にSS-CH2改変型(15.9%)については熱耐性の向上は見られなかった。また、SS-CH1改変型とSS-CH1/SS-CH2改変型で有意な差は見られなかった。
以上の結果を一つのグラフにまとめたところ(図5)、野生型(12.5%±0.67)と比べてSS-CH1改変型(49.0%±1.50)およびSS-CH1/SS-CH2改変型(50.2%±2.84)は65℃における熱耐性がそれぞれ約3.9倍、4.0倍(p>0.01)と有意性をもって上昇することが示された。
7.COS-7細胞における改変型NP24抗体の熱耐性
発現誘導48時間のELISAの結果(図6)から、CHO-K1細胞と同様な結果が得られた。野生型の熱耐性の強さ(17.2%)と比べてSS-CH1改変型(64.4%±0.01)およびSS-CH1/SS-CH2改変型(68.2%±0.03)の熱耐性の強さはそれぞれ約3.7倍、4.0倍(p>0.01)上昇していた。一方で、CHO-K1細胞の場合と同様にSS-CH2改変型(15.9%)については熱耐性の向上は見られなかった。また、SS-CH1改変型とSS-CH1/SS-CH2改変型で有意な差は見られなかった(図6)。
以上の結果から、野生型の抗体に対して、重鎖の139番目のアラニンをシステインへ、198番目のアスパラギン酸をシステインへ改変させることで抗体に熱耐性を付与させることが可能であることが判明した。

Claims (6)

  1. 重鎖可変領域(VH)、重鎖第一定常領域(CH1)、及びVHとCH1との間にリンカー(L)を有し、前記Lは、(L1)配列番号1のアミノ酸配列、又は(L2)配列番号1のアミノ酸配列において、1又は2つのアミノ酸が置換、欠失、若しくは挿入されたアミノ酸配列(但し、N末端から2番目のアミノ酸残基はシステインである)
    を有し、前記CH1は、配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、且つ、N末端から56番目のアミノ酸残基はシステインである、抗体。
  2. 前記Lは、配列番号1のアミノ酸配列を有し、
    前記CH1は、配列番号2のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、且つ、N末端から56番目のアミノ酸残基はシステインである、
    請求項1に記載の抗体。
  3. IgG、IgA、IgM、IgD及びIgEから成る群より選択される抗体である、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. F(ab’)、Fab’、Fab、及び還元型IgGから成る群から選択される抗体断片である、請求項1又は2に記載の抗体。
  5. 重鎖可変領域(VH)、重鎖第一定常領域(CH1)、及びVHとCH1とを連結するリンカー(L)を有する抗体について、
    LのN末端から2番目のアミノ酸残基をシステインに置換すること、及び
    CH1のN末端から56番目のアミノ酸残基をシステインに置換すること
    を含む、改変型抗体を製造する方法。
  6. 前記改変型抗体の熱安定性が改変前の抗体と比較して向上している、請求項5に記載の方法。
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