JP2023072562A - 電動機制御方法及び電動機制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2つの巻線組をもつ多重巻線同期型の電動機において、トルクリプルの発生をより確実に抑制し得る電動機制御方法及び電動機制御装置を提供する。【解決手段】 多重巻線同期型の電動機の出力に応じたフィードバック信号を生成する生成工程と、電動機に対する要求出力及びフィードバック信号に基づいて、第1の巻線組に対する電圧位相の指令値である第1電圧位相指令値、及び第2の巻線組に対する電圧位相の指令値である第2電圧位相指令値を演算する演算工程と、を備える電動機制御方法であって、演算工程において、フィードバック信号に対してステータの巻線構造に起因する電気角逓倍次数の振動成分を除去する振動除去処理を実行することで補正フィードバック信号を生成し、補正フィードバック信号に基づいて、第1電圧位相指令値及び第2電圧位相指令値を演算する。【選択図】図1

Description

本発明は、電動機制御方法及び電動機制御装置に関する。
特許文献1では、三相の巻線組をステータに2組有し、各巻線組は異なる中性点をもつ電動機に対し、2組のステータ巻線に発生する電力を各巻線組に個別に接続されたインバータでフィードバック制御する電動機制御方法が提案されている。特に、この電動機制御方法では、電気的に接続されていない2組の巻線間の磁気結合よって発生する干渉電圧の影響を非干渉化しつつ所望の電力を実現するための電力フィードバック制御を実行する。
特に、特許文献1の電動機制御方法では、モータの低回転領域(特に、弱め界磁制御領域などの正弦波電圧を印加すべき回転数域に至らない回転数領域)において、各巻線組の電力フィードバック制御器の出力として少なくとも一つとして当該巻線組の電圧位相を出力し、もう一つとして第1及び第2の巻線組の電圧位相の差分を出力する。
特開2015-231286号公報
しかしながら、特許文献1の電動機制御方法は、第1及び第2の巻線組のそれぞれに対して独立にフィードバック制御器を持つ構成を前提とする。このため、各巻線組のフィードバック信号にリプル成分が残っている場合には、ステータの巻線構造に起因する振動の影響が大きくなって、各巻線組の制御器の出力信号が振動してトルクリプルが引き起こされるという問題がある。
このような事情に鑑み、本発明は、2つの巻線組をもつ多重巻線同期型の電動機において、トルクリプルの発生をより確実に抑制し得る電動機制御方法及び電動機制御装置を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、ステータに2つの巻線組が設けられた多重巻線同期型の電動機を制御する電動機制御方法が提供される。この電動機制御方法は、電動機の出力に応じたフィードバック信号を生成する生成工程と、電動機に対する要求出力及びフィードバック信号に基づいて、第1の巻線組に対する電圧位相の指令値である第1電圧位相指令値、及び第2の巻線組に対する電圧位相の指令値である第2電圧位相指令値を演算する演算工程と、を備える。特に、演算工程では、フィードバック信号に対してステータの巻線構造に起因する電気角逓倍次数の振動成分を除去する振動除去処理を実行することで補正フィードバック信号を生成し、補正フィードバック信号に基づいて、第1電圧位相指令値及び第2電圧位相指令値を演算する。
本発明によれば、2つの巻線組をもつ多重巻線同期モータにおいて、トルクリプルの発生をより確実に抑制することができる。
図1は、本発明の第1実施形態による電動機制御システムの構成を説明するブロック図である。 図2は、第1実施形態による電動機制御方法を説明するフローチャートである。 図3は、第2実施形態による電動機制御方法を説明するためのブロック図である。 図4は、第3実施形態による電動機制御方法を説明するためのブロック図である。 図5は、第3実施形態の変形例による電動機制御方法を説明するためのブロック図である。 図6は、第4実施形態による電動機制御方法を説明するためのブロック図である。 図7は、第4実施形態の変形例による電動機制御方法を説明するためのブロック図である。 図8は、第5実施形態による電動機制御方法を説明するためのブロック図である。 図9は、第6実施形態による電動機制御方法を説明するためのブロック図である。 図10は、第6実施形態の変形例による電動機制御方法を説明するためのブロック図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態による電動機制御方法を実行するための電動機制御システム100の構成を説明するブロック図である。また、図2は、電動機制御方法の処理の概要を説明するフローチャートである。
本実施形態の電動機制御システム100は、固定子(ステータ)に2組の巻線組が設けられた多重巻線同期電動機(より詳細には三相二重巻線型の永久磁石同期モータ)としてのモータ101の動作を制御するシステムである。
モータ101は、種々の駆動力要求装置の動力源として用いることができる。特に、モータ101は、電気自動車(EV)又はハイブリッド自動車(HEV)等の電動モータの駆動力で走行する任意の車両における駆動源として用いられる。
ここで、本実施形態における巻線組とは、各相(例えば、三相交流の場合、U相、V相、及びW相の各相)のそれぞれに対応する一組の巻線を組み合わせて成る巻線組を意味する。
また、以下の説明において、上記複数の巻線組の内の特定の巻線組への通電を制御する一組の構成要素の単位を「系統」と称する。
さらに、以下の説明においては、三相二重巻線型永久磁石同期モータとして構成されるモータ101を備える電動機制御システム100において、上述した2つの系統をそれぞれ「系統1」及び「系統2」と称する。特に、系統1における各制御量(電流など)及び系統2における各制御量を区別する必要がある場合には、これら各制御量に「1」又は「2」という下付きの添え字を付する。
また、これら系統1及び系統2における各制御量を包括して説明する場合には、各制御量に「n」(n=1又は2)という下付きの添え字を付する。例えば、系統1における三相電圧の指令値「三相電圧指令値(v* u1,v* v1,v* w1)」及び系統2における三相電圧の指令値「三相電圧指令値(v* u2,v* v2,v* w2)」を包括して、「三相電圧指令値(v* un,v* vn,v* wn)」などと表記する。
図1に示すように、本実施形態の電動機制御システム100は、PWM変換器102と、三相電圧型のインバータ103と、直流電源104と、電流センサ105と、A/D変換器106と、3相/dq交流座標変換部107と、磁極位置検出器108と、パルスカウンタ109と、角速度演算部110と、トルク推定部111と、トルク制御部112と、電圧指令値演算部113と、dq/3相交流座標変換器114と、振動除去部115と、を有している。なお、これらの各構成の機能は、適宜、当該機能を実行するようにプログラムされたコンピュータにより実現される。
PWM変換器102は、2系統の三相電圧指令値(v* un,v* vn,v* wn)に基づいて、2系統の三相電圧型のインバータ103のスイッチング素子(IGBTなど)のPWM_Duty駆動信号(D* uun,D* uln,D* vun,D* vln,D* wun,D* wln)を生成する。
インバータ103は、PWM変換器102によって生成されるPWM_Duty駆動信号(D* uun,D* uln,D* vun,D* vln,D* wun,D* wln)に基づいて、直流電源104からの直流電圧を三相電圧指令値(v* un,v* vn,v* wn)に応じた三相交流電圧(vun,vvn,vwn)に変換し、モータ101に供給する。
直流電源104は、積層型リチウムイオンバッテリなどの蓄電デバイスにより構成される。
電流センサ105は、インバータ103からモータ101の各巻線組に供給される三相交流電流(iun,ivn,iwn)を検出する(図2のステップS10)。特に、電流センサ105は、系統1及び2のそれぞれにおける少なくとも2相の電流(例えば、iu1、iv1、iu2、iv2)を検出する複数(図1では4つ)の個別センサにより構成される。なお、電流センサ105が2相の電流を検出する構成である場合、残りの1相の電流iwnは、次式(1)により求めることができる。
Figure 2023072562000002
なお、式中の下付き文字「s」は検出値であることを明示する符号である。
A/D変換器106は、電流センサ105による三相交流電流検出値をデジタル信号に変換して、3相/dq交流座標変換部107に出力する。
磁極位置検出器108は、モータ101の回転子位置に応じたA相B相Z相のパルスをパルスカウンタ109に出力する。
パルスカウンタ109は、磁極位置検出器108からのA相B相Z相のパルスに基づいて、モータ101の電気角度θreを演算する(ステップS10)。この電気角度θreは、実際の機械角度θrm及びモータ101の構造により定まるモータ極対数pに基づいて定まる、モータ101の電気角の実値に相当する値である。
角速度演算部110は、パルスカウンタ109からの電気角度θreを時間変化率(時間微分)から電気角速度ωreを演算し、さらに電気角速度ωreをモータ極対数pで除して機械角速度ωrmを演算する(ステップS20)。
3相/dq交流座標変換部107は、パルスカウンタ109で演算される電気角度θreを用いて、A/D変換器106でデジタル信号に変換された三相交流電流検出値(iuns,ivns,iwns)に対して3相交流座標系(uvw軸)から直交2軸直流座標系(dq軸)への変換を行う(ステップS30)。
より具体的に、3相/dq交流座標変換部107は、以下の式(2)及び式(3)に基づいて電気角度θreから系統nの電気角θを算出する。
Figure 2023072562000003
Figure 2023072562000004
なお、式(2)及び式(3)中の「θoffset」は電気角度θreと系統1の位相差を意味する。また、「θ12」は、系統1に対する系統2の位相差を意味する。すなわち「θ12」は、「θ-θ」に相当する。
さらに、3相/dq交流座標変換部107は、以下の式(4)に基づき、電気角θを用いて上記三相交流電流検出値(iuns,ivns,iwns)から系統1のdq軸電流(id1,iq1)及び系統2のdq軸電流(id2,iq2)をそれぞれ算出する。
Figure 2023072562000005
なお、以下では、記載の簡略化のため、適宜、電流等のパラメータに関してd軸成分とq軸成分を包括する符号「x」(x=d,q)を用いた表示を行う。例えば、系統1のdq軸電流(id1,iq1)及び系統2のdq軸電流(id2,iq2)について、d軸及びq軸成分と各系統をそれぞれ包括して「dq軸電流ixn」と表記する。
トルク推定部111は、dq軸電流ixnを入力として、推定トルクTestnを演算する。具体的に、トルク推定部111は、予めメモリに記憶されたd軸電流、q軸電流、及びトルクの関係を定めたテーブルデータを参照して、dq軸電流ixnから推定トルクTestnを求める。なお、このテーブルデータは、実機モータに対する計測又は所定のモデル解析の結果に基づいて定めることができる。特に、このモデル解析には、例えば、3D-CAD等の専用ソフトウェアを用いた3次元有限要素解析(3D-FEA)が含まれる。
より詳細に、本実施形態のトルク推定部111は、第1トルク推定部111-1及び第2トルク推定部111-2により構成される。第1トルク推定部111-1は、系統1のdq軸電流ix1を入力として、系統1の推定トルクTestである第1推定トルクTest1を演算する。一方、第2トルク推定部111-2は、系統2のdq軸電流ix2を入力として、系統2の推定トルクTestである第2推定トルクTest2を演算する。
振動除去部115は、推定トルクTestnを入力として、当該推定トルクTestnに対してステータ巻線構造に起因して発生する電気角逓倍次数の振動成分を除去する処理(振動除去処理)を実行して補正推定トルクTestn_viblessを生成する。
より詳細に、振動除去部115は、第1振動除去部115-1及び第2振動除去部115-2により構成される。第1振動除去部115-1は、第1推定トルクTest1から上記振動成分を除去して、系統1の補正推定トルクTest_viblessである第1補正推定トルクTest1_viblessを演算する。一方、第2振動除去部115-2は、第2推定トルクTest2から上記振動成分を除去して、系統2の補正推定トルクTest_viblessである第2補正推定トルクTest2_viblessを演算する(ステップS40)。
トルク制御部112は、モータ101に対する要求出力に応じたトルク指令値T* 、及び補正推定トルクTestn_viblessを入力として、以下の式(5)に基づくPI制御によって電圧位相指令値(以下、「fb電圧位相指令値α* fbn」とも称する)を演算する(ステップS50)。
Figure 2023072562000006
なお、式(5)中の「K」は比例ゲイン、「K」は積分ゲイン、「s」はラプラス演算子をそれぞれ表す。
特に、トルク制御部112は、第1トルク制御部112-1及び第2トルク制御部112-2により構成される。第1トルク制御部112-1は、系統1のトルク指令値T*(以下、「第1トルク指令値T* 」とも称する)及び第1補正推定トルクTest1_viblessに基づいて、系統1のfb電圧位相指令値α* fbである第1fb電圧位相指令値α* fb1を求める。一方、第2トルク制御部112-2は、系統2のトルク指令値T*(以下、「第2トルク指令値T* 」とも称する)及び第2補正推定トルクTest2_viblessに基づいて、系統2のfb電圧位相指令値α* fbである第2fb電圧位相指令値α* fb2を求める。
電圧指令値演算部113は、電圧ノルム指令値V *、フィードフォワード信号として定められる電圧指令値(以下、「ff電圧位相指令値α* ff」とも称する)、及びfb電圧位相指令値α* fbnを入力として、以下の式(6)に基づいて、dq軸電圧指令値v* xnを演算する(ステップS60)。
Figure 2023072562000007
なお、上記dq軸電圧指令値v* xnの演算及び以降の処理においては説明の簡略化のため、電圧ノルム指令値V *及びff電圧位相指令値α* ffが系統1及び2の双方で共通すること、特に、第1トルク指令値T* 及び第2トルク指令値T* が相互に同一であることを前提とする。しかしながら、これに限られず、系統1及び2の間で、トルク指令値T*、電圧ノルム指令値V *、及びff電圧位相指令値α* ffの少なくとも何れかが相互に異なる場合であっても、式(6)に基づくdq軸電圧指令値v* xnの演算、及び当該演算以降の各処理を同様の制御ロジックにより実現することが可能である。
dq/3相交流座標変換器114は、電気角度θreを用いて、dq軸電圧指令値v* xnに対して直交2軸直流座標系(dq軸)から3相交流座標系(uvw軸)への変換を行う(ステップS70)。
特に、dq/3相交流座標変換器114は、上記式(2)及び(3)に基づいて電気角度θreから定まる系統nの電気角θを用いて、以下の式(7)に基づき、三相電圧指令値(v* un,v* vn,v* wn)を求める。
Figure 2023072562000008
以上説明した本実施形態の電動機制御方法の構成及びそれによる作用効果について説明する。
本実施形態の電動機制御方法は、ステータ(固定子)に2つの巻線組(系統1及び系統2)が設けられた多重巻線同期型の電動機(モータ101)を制御する電動機制御方法が提供される。
この電動機制御方法は、モータ101の出力に応じたフィードバック信号(推定トルクTest)を生成する生成工程(トルク推定部111)と、モータ101に対する要求出力(特にトルク指令値T*)及び推定トルクTestnに基づいて、第1の巻線組に対する電圧位相の指令値である第1電圧位相指令値(第1fb電圧位相指令値α* fb1)、及び第2の巻線組に対する電圧位相の指令値である第2電圧位相指令値(第2fb電圧位相指令値α* fb2)を演算する演算工程(トルク制御部112)と、を備える。
そして、演算工程では、推定トルクTestnに対してステータの巻線構造に起因する電気角逓倍次数の振動を除去する振動除去処理(振動除去部115)を実行することで補正フィードバック信号(補正推定トルクTestn_vibless)を生成し、補正推定トルクTestn_viblessに基づいて、第1fb電圧位相指令値α* fb1及び第2fb電圧位相指令値α* fb2を演算する。
このように、振動除去処理を実行することで、電気角逓倍次数の振動成分が除去されたfb電圧位相指令値α* fbnが定められることとなる。すなわち、モータ101の制御量であるfb電圧位相指令値α* fbnから不要な振動成分を消失させることができので、モータ101の出力トルクを安定させることができ、トルクリプルの発生を抑制することができる。
特に、三相二重巻線モータでは、一般的に電気角6次の振動を低減すべく各系統1,2の巻線組の位相差が30°となるように設計される。しかしながら、巻線組ごとにフィードバックループを構成した電圧位相制御を採用する場合、各フィードバック信号(第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2)が、上記電気角6次の振動の影響を受けることで当該フィードバック信号に基づいて定まる各操作量が振動し、トルクリプルを生じさせる。これに対して、上記振動除去処理を実行することで、かかるトルクリプルを好適に抑制することができる。
さらに、電気角6次の振動に起因するトルクリプルは、モータ101の回転数(例えば、機械角速度ωrm)が所定の閾値以上となる高回転領域において特に顕著となる。この点を考慮して、モータ101の回転数が上記閾値未満の場合(電気角6次の振動による影響が相対的に小さいと推定される場合)には上記振動除去処理を実行せず、モータ101の回転数が閾値以上の場合(電気角6次の振動による影響が相対的に大きいと推定される場合)に上記振動除去処理を実行する制御ロジックを採用しても良い。より詳細には、モータ101の回転数がある一定値未満の場合にいわゆる電流ベクトル制御を実行し、モータ101の回転数が当該一定値以上の場合に電圧位相制御を実行する制御システムにおいて、上記振動除去処理の実行の有無を判断するための回転数閾値を、当該電圧位相制御が実行されている回転数領域内の特定の値に定める制御構成を採用しても良い。
また、本実施形態の電動機制御方法において、上記フィードバック信号は、第1の巻線組の出力に応じた第1フィードバック信号(第1推定トルクTest1)、及び第2の巻線組の出力に応じた第2フィードバック信号(第2推定トルクTest2)を含む。そして、演算工程では、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2から個別に電気角逓倍次数の振動成分を除去して、それぞれに応じた補正第1フィードバック信号(第1補正推定トルクTest1_vibless)及び補正第2フィードバック信号(第2補正推定トルクTest2_vibless)を定め、第1補正推定トルクTest1_vibless及び第2補正推定トルクTest2_viblessのそれぞれに基づいて、第1fb電圧位相指令値α* fb1及び第2fb電圧位相指令値α* fb2を演算する。
これにより、巻線組ごとにフィードバックループが構成された電圧位相制御を採用するシステムにおいて、各フィードバック信号のそれぞれから電気角逓倍次数の振動成分を除去し得る制御構成が実現される。
さらに、本実施形態では、上記電動機制御方法の実行に適した電動機制御装置が提供される。
この電動機制御装置は、モータ101の出力に応じたフィードバック信号(推定トルクTest)を生成する生成部(トルク推定部111)と、モータ101に対する要求出力(特にトルク指令値T*)及び推定トルクTestに基づいて、第1の巻線組に対する電圧位相の指令値である第1電圧位相指令値(第1fb電圧位相指令値α* fb1)、及び第2の巻線組に対する電圧位相の指令値である第2電圧位相指令値(第2fb電圧位相指令値α* fb2)を演算する演算部(トルク制御部112)と、を備える。
特に、トルク制御部112は、推定トルクTestに対してステータの巻線構造に起因する電気角逓倍次数の振動を除去する振動除去処理(振動除去部115)を実行することで補正フィードバック信号(補正推定トルクTestn_vibless)を生成し、補正推定トルクTestn_viblessに基づいて、第1fb電圧位相指令値α* fb1及び第2fb電圧位相指令値α* fb2を演算する。
これにより、本実施形態の電動機制御方法を実行するための好適な電動機制御装置が実現される。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図3は、本実施形態による電動機制御方法を実行するための電動機制御システム100の構成を説明するブロック図である。図示のように、本実施形態では、振動除去部115が、ローパスフィルタ(第1ローパスフィルタ及び第2ローパスフィルタ)又は移動平均処理(第1移動平均処理及び第2移動平均処理)により構成される。
<振動除去部115がローパスフィルタにより構成される場合>
振動除去部115は、以下の式(8)により、補正推定トルクTestn_viblessを演算する。
Figure 2023072562000009
ただし、式中の「τ」は、ローパスフィルタ伝達関数G(s)の時定数、「ω」はカットオフ周波数をそれぞれ表す。ここで、カットオフ周波数ω(又は時定数τ)は、電気角逓倍次数の振動周波数、特に高次の高調波成分のみに有効となるように設定することが好ましい。なお、式(8)に示す一次のローパスフィルタに代えて、高次の高調波成分のみに有効となる2次以上のローパスフィルタを採用しても良い。
<振動除去部115が移動平均処理により構成される場合>
振動除去部115は、以下の式(9)及び式(10)により、補正推定トルクTestn_viblessを演算する。
Figure 2023072562000010
ただし、式中の「MAiN(x)」は移動平均処理関数、「x」は入力信号(すなわち、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2)、「N」は移動平均回数をそれぞれ表す。ここで、移動平均回数Nは、電気角逓倍次数の振動周波数、特に高次の高調波成分のみに有効となるように設定することが好ましい。なお、式(9)及び式(10)に示す累積移動平均に代えて、適宜得られる振動除去性能を考慮して、加重移動平均などの他の平均処理アルゴリズムを採用しても良い。
以上説明した本実施形態の電動機制御方法の構成及びそれによる作用効果について説明する。
上記振動除去処理(振動除去部115)は、ローパスフィルタ処理又は移動平均化処理を含む。
これにより、ステータの巻線構造に起因する電気角逓倍次数の振動を除去するためのより具体的な制御構成が実現される。
特に、上記ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数ω又は移動平均化処理の移動平均回数Nを、電気角逓倍次数の振動成分(高次の高調波成分)を選択的に除去し得る所定値以上に定める。
これにより、ローパスフィルタ処理又は移動平均化処理に起因するフィードバック信号(推定トルクTestn)の基本波成分の位相遅れを抑制しつつも、当該推定トルクTestnに含まれる電気角逓倍次数の振動成分を除去することができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について説明する。なお、第1又は第2実施形態と同様の要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2のそれぞれに個別に含まれる電気角逓倍次数の振動成分を個別に推定し、得られた推定値(第1振動成分Test1_vib及び第2振動成分Test2_vib)を、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2から減じることで第1補正推定トルクTest1_vibless及び第2補正推定トルクTest2_viblessを求める制御構成が提供される。
図4は、本実施形態による電動機制御方法を実行するための電動機制御システム100の構成を説明するブロック図である。図示のように、本実施形態では、振動除去部115が、バンドパスフィルタ115a(第1バンドパスフィルタ115a-1及び第2バンドパスフィルタ115a-2)と、減算部115b(第1減算部115b-1及び第2減算部115b-2)と、により構成される。
振動除去部115は、以下の式(11)~式(13)により、補正推定トルクTestn_viblessを演算する。
Figure 2023072562000011
ただし、式中の「τ」はバンドフィルタ伝達関数F(s)の時定数、「ω」はカットオフ周波数、「H」はバンドフィルタゲイン、「Q」は重みづけ係数をそれぞれ表す。ここで、カットオフ周波数ω(又は時定数τ)は、電気角逓倍次数の振動周波数、特に高次の高調波成分のみに有効となるように設定することが好ましい。なお、式(11)に示すバンドパスフィルタ115aに代えて、抽出対象とする周波数の数に応じた異なるカットオフ周波数ωを持つフィルタを並列に接続して成るバンドパスフィルタ115aを用いても良い。
以上説明した本実施形態の電動機制御方法の構成及びそれによる作用効果について説明する。
本実施形態の振動除去処理では、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2のそれぞれに個別に含まれる電気角逓倍次数の振動成分としての第1振動成分Test1_vib及び第2振動成分Test2_vibを推定し(式(11))、第1推定トルクTest1及び第1振動成分Test1_vibに基づいて第1補正推定トルクTest1_viblessを生成し(式(12))、第2推定トルクTest2及び第2振動成分Test2_vibに基づいて第2補正推定トルクTest2_viblessを生成する(式(13))。
これにより、巻線構造に起因する電気角逓倍次数の振動成分を除去するためのより具体的な制御構成が実現される。
特に、第1振動成分Test1_vib及び第2振動成分Test2_vibの演算を、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2に対するバンドパスフィルタ処理という簡易な演算ロジックで実現することができる。
(第3実施形態の変形例)
図5は、本変形例による電動機制御方法を実行するための電動機制御システム100の構成を説明するブロック図である。
図示のように、本変形例では、振動除去部115が、差分演算部115cと、減算部115b(第1減算部115b-1及び第2減算部115b-2)と、により構成される。
そして、振動除去部115は、以下の式(14)~式(17)により、補正推定トルクTestn_viblessを演算する。
Figure 2023072562000012
このように本変形例では、第1振動成分Test1_vib及び第2振動成分Test2_vibを、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2の差分演算という簡易な演算処理により推定することができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について説明する。なお、第1~第3実施形態の何れかと同様の要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2の何れか一方(以下では、第1推定トルクTest1として説明を行う)に含まれる電気角逓倍次数の振動成分(第1振動成分Test1_vib)を推定し、得られた推定値を、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2から減じることで第1補正推定トルクTest1_vibless及び第2補正推定トルクTest2_viblessを求める制御構成が提供される。
図6は、本実施形態による電動機制御方法を実行するための電動機制御システム100の構成を説明するブロック図である。図示のように、本実施形態では、振動除去部115が、第1推定トルクTest1に対するバンドパスフィルタ115aと、減算部115bと、加算部115dと、により構成される。
そして、振動除去部115は、以下の式(18)~式(20)により、補正推定トルクTestn_viblessを演算する。
Figure 2023072562000013
以上説明した本実施形態の電動機制御方法の構成及びそれによる作用効果について説明する。
本実施形態の振動除去処理では、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2の何れか一方(第1推定トルクTest1)に含まれる電気角逓倍次数の振動成分(第1振動成分Test1_vib)を推定し(式(18))、第1推定トルクTest1及び第1振動成分Test1_vibに基づいて第1補正推定トルクTest1_viblessを生成し(式(19))、第2推定トルクTest2及び第1振動成分Test1_vibに基づいて第2補正推定トルクTest2_viblessを生成する(式(20))。
これにより、一方の系統に係るフィードバック信号に含まれる電気角逓倍次数の振動成分のみを推定することで、両系統における第1補正推定トルクTest1_vibless及び第2補正推定トルクTest2_viblessを演算可能となる制御構成が実現される。したがって、演算負担を軽減しつつ、トルクリプルを抑制することができる。特に、電気角逓倍次数の振動成分は、系統間の対称性を考慮すると、両系統の各フィードバック信号に概ね逆符号の同一の波形として含まれる。このため、式(19)及び式(20)のように、推定した第1振動成分Test1_vibを一方の系統に係る第1推定トルクTest1から減じるとともに、他方の系統に係る第2推定トルクTest2に加算することで、実用的な精度が確保されたそれぞれの第1補正推定トルクTest1_vibless及び第2補正推定トルクTest2_viblessを得ることができる。
なお、本実施形態では、一方の系統に係るフィードバック信号に含まれる電気角逓倍次数の振動成分として第1振動成分Test1_vibを演算し、これに基づき第1補正推定トルクTest1_vibless及び第2補正推定トルクTest2_viblessを求める例を説明した。一方で、これに代えて、一方の系統に係るフィードバック信号に含まれる電気角逓倍次数の振動成分として第2振動成分Test2_vibを演算し、これに基づき第1補正推定トルクTest1_vibless及び第2補正推定トルクTest2_viblessを求めても良い。この場合においても、系統官間における振動成分の対称性から同様の効果が得られる。
(第4実施形態の変形例)
図7は、本変形例による電動機制御方法を実行するための電動機制御システム100の構成を説明するブロック図である。
図示のように、本変形例では、振動除去部115が、差分演算部115cと、減算部115bと、加算部115dと、により構成される。
そして、振動除去部115は、以下の式(21)~式(23)により、補正推定トルクTestn_viblessを演算する。
Figure 2023072562000014
このように本変形例では、第1補正推定トルクTest1_vibless及び第2補正推定トルクTest2_viblessを求めるための第1振動成分Test1_vibを、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2の差分演算という簡易な演算処理で求めることができ、演算負担がより軽減される。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について説明する。なお、第1~第4実施形態の何れかと同様の要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。特に、本実施形態では、予め準備された振動モデルに基づいて、電気角逓倍次数の振動成分(特に、第1振動成分Test1_vib)を推定し、当該第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2から推定された第1振動成分Test1_vibを除去する制御構成が提供される。
図8は、本実施形態による電動機制御方法を実行するための電動機制御システム100の構成を説明するブロック図である。図示のように、本実施形態では、振動除去部115が、振動モデルテーブル115eと、減算部115bと、加算部115dと、により構成される。
そして、振動除去部115は、第1トルク指令値T* 、電気角速度ωre、及び電気角度θreを入力信号として、振動モデルテーブル115eを参照して第1振動成分Test1_vibを求める。ここで、振動モデルテーブル115eは、実験、シミュレーション、及び/又はモータ磁気回路特性の解析結果に基づいて予め定められる。
さらに、振動除去部115は、第4実施形態と同様に式(19)及び式(20)を用いて、第1振動成分Test1_vib、第1推定トルクTest1、及び第2推定トルクTest2から、第1補正推定トルクTest1_vibless及び第2補正推定トルクTest2_viblessを求める。
以上説明した本実施形態の電動機制御方法の構成及びそれによる作用効果について説明する。
本実施形態の演算工程では、振動除去処理として、予め準備された振動モデルテーブル115eに基づいて、電気角逓倍次数の振動成分(特に、第1振動成分Test1_vib)を推定する。
これにより、巻線構造に起因する電気角逓倍次数の振動成分を除去するためのより具体的な制御構成が実現される。
なお、振動モデルテーブル115eの入力信号としては、第1振動成分Test1_vibを求めるという機能を実現し得る範囲において種々変更が可能である。例えば、第1トルク指令値T* に代えて系統1の巻線組の実電流(例えば、dq軸電流ix1の検出値など)、及び/又は電気角度θreに代えて機械角速度ωrmを入力信号とする振動モデルテーブル115eを採用しても良い。また、第1振動成分Test1_vibが直流電圧の違いに対して一定の感度を示す場合などには、直流電圧(直流電源104の出力電圧)の検出値を入力信号としても良い。さらに、振動モデルテーブル115eを、複数の振動周波数成分(複数の電気角逓倍次数の振動成分)を除去できるように構成しても良い。
(第6実施形態)
以下、第6実施形態について説明する。なお、第1~第5実施形態の何れかと同様の要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
特に、本実施形態では、上記振動除去処理として、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2を統合した推定合成トルクTest1_sumを生成する。そして、生成した推定合成トルクTest1_sumに基づいて、第1fb電圧位相指令値α* fb1及び第2fb電圧位相指令値α* fb2を演算する。
図9は、本実施形態による電動機制御方法を実行するための電動機制御システム100の構成を説明するブロック図である。図示のように、本実施形態では、振動除去部115が、d軸電流合成部116と、q軸電流合成部117と、推定合成トルク演算部118と、により構成される。
d軸電流合成部116は、3相/dq交流座標変換部107から入力される系統1のd軸電流id1と系統2のd軸電流id2の和を合成d軸電流id_sumとして演算し、推定合成トルク演算部118に出力する。
q軸電流合成部117は、3相/dq交流座標変換部107から入力される系統1のq軸電流iq1と系統2のq軸電流iq2の和を合成q軸電流iq_sumとして演算し、推定合成トルク演算部118に出力する。
推定合成トルク演算部118は、予め定められる電流-トルクマップを参照して、入力された合成d軸電流id_sum及び合成q軸電流iq_sumに基づいて、推定合成トルクTest_sumを求める。なお、電流-トルクマップは、実験又はシミュレーションにより得られる系統1及び2を統合したモータ101の電流-トルク特性に基づいて定められる。
そして、トルク制御部112は、トルク指令値T*(T* +T* )及び推定合成トルクTest_sumを入力として、fb電圧位相指令値α* fbを求める。より具体的には、第1実施形態で示した式(5)に基づき、「α* fbn」を「α* fb」、「T* 」を「T*」、及び「Testn_vibless」を「Test_sum」にそれぞれ置き換えて、fb電圧位相指令値α* fbを演算する。さらに、トルク制御部112は、得られたfb電圧位相指令値α* fbにff電圧位相指令値α* ffを加算して、系統1及び2の共通のfb電圧位相指令値α* fbとして機能する最終電圧位相指令値α* finを求める。
そして、電圧指令値演算部113は、電圧ノルム指令値V *及び最終電圧位相指令値α* finを入力として系統間の対称性を考慮し、以下の式(24)に基づき各系統のdq軸電圧指令値v* xnを定める。
Figure 2023072562000015
以上説明した本実施形態の電動機制御方法の構成及びそれによる作用効果について説明する。
本実施形態の電動機制御方法において、フィードバック信号は、第1の巻線組の出力に応じた第1フィードバック信号(d軸電流id1及びq軸電流iq1)、及び第2の巻線組出力に応じた第2フィードバック信号(d軸電流id2及びq軸電流iq2)を含む。そして、演算工程では、振動除去処理として、第1フィードバック信号及び第2フィードバック信号を統合した統合フィードバック信号(推定合成トルクTest_sum)を生成し、推定合成トルクTest_sumを補正フィードバック信号として、第1fb電圧位相指令値α* fb1及び第2fb電圧位相指令値α* fb2(本実施形態では、何れも最終電圧位相指令値α* fin)を演算する。
これにより、制御系を、系統1及び系統2を統括したモータ101の制御に係る一つのフィードバックループにより構成して制御ロジックを簡素化しつつ、上記振動除去処理の機能も実現することができる。
また、本実施形態の生成工程では、第1の巻線組及び第2の巻線組の各dq軸電流ixnをフィードバック信号として生成する。また、演算工程では、各dq軸電流ixnに基づく推定合成トルクTest_sumを上記統合フィードバック信号として演算する。特に、推定合成トルクTest_sumは、各dq軸電流ixnの内のd軸成分同士の和(id1+id2)として定まる合成d軸電流id_sum、及び各dq軸電流ixnの内のq軸成分同士の和(iq1+iq2)として定まる合成q軸電流iq_sumに基づいて得られる。
これにより、上述した振動除去機能を実現可能な一つのフィードバックループを備えるより具体的な制御構成を実現することができる。
(第6実施形態の変形例)
図10は、本変形例による電動機制御方法を実行するための電動機制御システム100の構成を説明するブロック図である。
図示のように、本変形例では、振動除去部115が、推定合成トルク演算部118により構成される。特に、本変形例の推定合成トルク演算部118は、第1トルク推定部111-1で演算された第1推定トルクTest1及び第2トルク推定部111-2で演算された第2推定トルクTest2を入力とし、これらの和を推定合成トルクTest_sumとして求め、トルク制御部112に出力する。
すなわち、本変形例の生成工程では、第1の巻線組(系統1)及び第2の巻線組(系統2)の各推定トルク(第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2)をフィードバック信号として生成する。そして、演算工程では、統合フィードバック信号として、第1推定トルクTest1及び第2推定トルクTest2を合成した推定合成トルクTest_sumを演算する。
これにより、上述した振動除去機能を実現可能な一つのフィードバックループを備えるより具体的な制御構成を実現することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
なお、上記各実施形態では、モータ101の出力に応じたフィードバック信号として、推定トルクTestn又はdq軸電流ixnを採用する例を説明した。しかしながら、フィードバック信号を構成するパラメータはこれに限られず、モータ101の出力の大小に相関する任意のパラメータを採用することができる。例えば、三相交流電流検出値(iuns,ivns,iwns)を適切な次数に変換して得られたパラメータに基づいてフィードバック信号を生成しても良い。
また、上記各実施形態では、モータ101の要求出力の示唆量としてトルク指令値T* を用いてfb電圧位相指令値α* fbの演算する例について説明した。しかしながら、fb電圧位相指令値α* fbの演算に用いるパラメータとしては、トルク指令値T* に限られず、モータ101の要求出力に相関する任意のパラメータを採用することができる。
100 電動機制御システム、101 モータ、102 PWM変換器、103 インバータ、104 直流電源、105 電流センサ、106 A/D変換器、107 3相/dq交流座標変換部、108 磁極位置検出器、109 パルスカウンタ、110 角速度演算部、111 トルク推定部、112 トルク制御部、113 電圧指令値演算部、114 dq/3相交流座標変換器、115 振動除去部

Claims (12)

  1. ステータに2つの巻線組が設けられた多重巻線同期型の電動機を制御する電動機制御方法であって、
    前記電動機の出力に応じたフィードバック信号を生成する生成工程と、
    前記電動機に対する要求出力及び前記フィードバック信号に基づいて、第1の前記巻線組に対する電圧位相の指令値である第1電圧位相指令値、及び第2の前記巻線組に対する電圧位相の指令値である第2電圧位相指令値を演算する演算工程と、を備え、
    前記演算工程では、
    前記フィードバック信号に対して前記ステータの巻線構造に起因する電気角逓倍次数の振動成分を除去する振動除去処理を実行することで補正フィードバック信号を生成し、
    前記補正フィードバック信号に基づいて、前記第1電圧位相指令値及び前記第2電圧位相指令値を演算する、
    電動機制御方法。
  2. 請求項1に記載の電動機制御方法であって、
    前記フィードバック信号は、
    第1の前記巻線組の出力に応じた第1フィードバック信号、及び第2の前記巻線組の出力に応じた第2フィードバック信号を含み、
    前記演算工程では、
    前記第1フィードバック信号及び前記第2フィードバック信号から個別に前記電気角逓倍次数の振動成分を除去して、それぞれに応じた補正第1フィードバック信号及び補正第2フィードバック信号を定め、
    前記補正第1フィードバック信号及び前記補正第2フィードバック信号のそれぞれに基づいて、前記第1電圧位相指令値及び前記第2電圧位相指令値を演算する、
    電動機制御方法。
  3. 請求項1又は2に記載の電動機制御方法であって、
    前記振動除去処理は、前記フィードバック信号に対するローパスフィルタ処理又は移動平均化処理を含む、
    電動機制御方法。
  4. 請求項3に記載の電動機制御方法であって、
    前記ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数又は前記移動平均化処理の移動平均回数を、前記電気角逓倍次数の振動成分を選択的に除去し得る所定値以上に定める、
    電動機制御方法。
  5. 請求項2に記載の電動機制御方法であって、
    前記振動除去処理では、前記第1フィードバック信号及び前記第2フィードバック信号のそれぞれに個別に含まれる前記電気角逓倍次数の振動成分としての第1振動成分及び第2振動成分を推定し、
    前記第1フィードバック信号及び前記第1振動成分に基づいて前記補正第1フィードバック信号を生成し、
    前記第2フィードバック信号及び前記第2振動成分に基づいて前記補正第2フィードバック信号を生成する、
    電動機制御方法。
  6. 請求項2に記載の電動機制御方法であって、
    前記振動除去処理では、前記第1フィードバック信号及び前記第2フィードバック信号の何れか一方に含まれる前記電気角逓倍次数の振動成分を推定し、
    前記第1フィードバック信号及び推定した振動成分に基づいて前記補正第1フィードバック信号を生成し、
    前記第2フィードバック信号及び推定した振動成分に基づいて前記補正第2フィードバック信号を生成する、
    電動機制御方法。
  7. 請求項5又は6に記載の電動機制御方法であって、
    前記振動成分を、前記第1フィードバック信号及び/又は前記第2フィードバック信号に対するバンドパスフィルタ処理、又は前記第1フィードバック信号及び前記第2フィードバック信号の間の差分演算により推定する、
    電動機制御方法。
  8. 請求項1又は2に記載の電動機制御方法であって、
    前記演算工程では、前記振動除去処理として、
    予め準備された振動モデルテーブルに基づいて前記電気角逓倍次数の振動成分を推定する、
    電動機制御方法。
  9. 請求項1に記載の電動機制御方法であって、
    前記フィードバック信号は、
    第1の前記巻線組の出力に応じた第1フィードバック信号、及び第2の前記巻線組の出力に応じた第2フィードバック信号を含み、
    前記演算工程では、
    前記振動除去処理として、前記第1フィードバック信号及び前記第2フィードバック信号を統合した統合フィードバック信号を生成し、
    前記統合フィードバック信号を前記補正フィードバック信号として、前記第1電圧位相指令値及び前記第2電圧位相指令値を演算する、
    電動機制御方法。
  10. 請求項9に記載の電動機制御方法であって、
    前記生成工程では、
    第1の前記巻線組及び第2の前記巻線組の各dq軸電流を前記フィードバック信号として生成し、
    前記演算工程では、
    前記各dq軸電流に基づく推定合成トルクを前記統合フィードバック信号として演算し、
    前記推定合成トルクは、前記各dq軸電流の内のd軸成分同士の和として定まる合成d軸電流、及び前記各dq軸電流の内のq軸成分同士の和として定まる合成q軸電流に基づいて得られる、
    電動機制御方法。
  11. 請求項9に記載の電動機制御方法であって、
    前記生成工程では、
    第1の前記巻線組及び第2の巻線組の各推定トルクを前記フィードバック信号として生成し、
    前記演算工程では、
    前記統合フィードバック信号として、前記各推定トルクを合成した推定合成トルクを演算する、
    電動機制御方法。
  12. ステータに2つの巻線組が設けられた多重巻線同期型の電動機を制御する電動機制御装置であって、
    前記電動機の出力に応じたフィードバック信号を生成する生成部と、
    前記電動機に対する要求出力及び前記フィードバック信号に基づいて、第1の前記巻線組に対する電圧位相の指令値である第1電圧位相指令値、及び第2の前記巻線組に対する電圧位相の指令値である第2電圧位相指令値を演算する演算部と、を備え、
    前記演算部は、
    前記フィードバック信号に対して前記ステータの巻線構造に起因する電気角逓倍次数の振動成分を除去する振動除去処理を実行することで補正フィードバック信号を生成し、
    前記補正フィードバック信号に基づいて、前記第1電圧位相指令値及び前記第2電圧位相指令値を演算する、
    電動機制御装置。
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