JP2023072135A - フェルール、光コネクタおよびフェルールの製造方法 - Google Patents

フェルール、光コネクタおよびフェルールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薄型でクラックが発生することの無いフェルール、およびフェルールとフェルール用ブーツとを備えた光コネクタを提供する。【解決手段】複数の光ファイバを挿入するためのファイバ孔20、25が前端面100aに設けられ、光ファイバを挿通させたフェルール用ブーツ102を挿入するブーツ挿入部30のブーツ挿入孔35が後端面100bに設けられたフェルール100であって、フェルール100は、ファイバ孔20とブーツ挿入孔35とを連通する内部空間を備えるとともに、内部空間に接着剤を充填するための接着剤充填部50の接着剤充填窓55を一面に備え、ブーツ挿入部30のフェルール100の幅は、フェルール本体10の幅よりも大きく、ブーツ挿入部30のフェルール100の幅と高さの比率が5倍以上であり、ブーツ挿入孔35の周囲のフェルール100の肉厚が最も薄い部分で0.32mm以上である。【選択図】図2

Description

本発明は、光信号を伝達する光ケーブルの光ファイバ同士を光学的に接続するフェルールと、光ファイバを保持しフェルールに挿入固定されるフェルール用ブーツと、を備える光コネクタ、およびフェルールの製造方法に関する。
光ファイバを用いた光ケーブルは、多量の情報の高速通信が可能であることから、家庭用、産業用の情報通信に広く利用されている。
例えば、特許文献1(特開2004-020962号公報)には、光コネクタのフェルールに光ファイバテープを固定する際に、接着用の樹脂を、気泡を生成せず満遍なくフェルールの光ファイバテープ挿入孔に流し込むことのできる光コネクタが開示されている。
特許文献1に記載の光コネクタは、複数の光ファイバを被覆してなる光ファイバテープを保護するための筒状のブーツと、ブーツを取り付けるブーツ挿着孔と、ブーツ挿着孔に連通して設けられた光ファイバテープ挿入孔と、光ファイバテープ挿入孔に連通して設けられた複数の光ファイバ用の複数の光ファイバ孔と、を有するフェルールと、を備え、複数の光ファイバを光ファイバ孔に挿着し、且つ光ファイバテープを挿着したブーツをブーツ挿着孔に挿入した状態で、光ファイバテープ挿入孔の上部に設けられた窓穴から接着用の樹脂を充填して形成され、ファイバテープ挿入孔の光ファイバテープ収納部に傾斜部が設けられている。
特許文献2(特開2007-279576号公報)には、接着剤の漏れ出しを防止しつつ十分な柔軟性を有するブーツによって光ファイバの曲げ力を緩和することができる光コネクタ及びその光コネクタを容易に製造することができる製造方法が開示されている。
特許文献2に記載の光コネクタは、光ファイバをフェルールのファイバ挿通孔に挿通させて接着剤により固定した光コネクタであって、フェルールの後端側に液体状態で注入し固化させた状態で弾性力を有する樹脂材料部を備えていることを特徴とする。
特許文献3(特開2001-108867号公報)には、高い精度と形状安定性を備えたMT光コネクタ用のフェルールが開示されている。
特許文献3に記載のフェルールは、横並びの複数の光ファイバ穴の左右両側にガイドピン穴を形成したプラスチック製で嵌合ピン位置合わせ方式の多心光コネクタ用フェルールであって、左右のガイドピン穴間の中間部を上下対称に薄肉にしたことを特徴とする。
特許文献4(特開2001-264585号公報)には、組立て作業性を向上させるようにした光コネクタ用フェルールが開示されている。
特許文献4に記載の光コネクタ用フェルールは、ガイドピンを挿入するガイド孔を有すると共に、前端面側に形成した光接続口から内部に向けて延在する光ファイバ挿入部を有する光コネクタ用フェルールにおいて、光接続口の数に対応させて前端面側に凸部を形成し、凸部の頂部に光接続口を配置させたことを特徴とする。
特許文献5(実用新案登録第3222482号公報)には、フェルール用ブーツが挿入されるブーツ挿入部のクラックの発生、クラックによるカケ破損がなくすことができるフェルール及び光コネクタが開示されている。
特許文献5に記載のフェルールは、前端面に複数の光ファイバをそれぞれ挿入するための複数のファイバ穴が設けられ、後端部に複数の光ファイバを挿通させたフェルール用ブーツを装着するブーツ挿入部が設けられたフェルールであって、ブーツ挿入部は、フェルールの後端面及び上面の一部を連通して開口するように構成されていると共に、該開口の幅方向の両側面にフェルール用ブーツを保持するブーツ保持部が設けられていることを特徴とする。
特開2004-020962号公報 特開2007-279576号公報 特開2001-108867号公報 特開2001-264585号公報 実用新案登録第3222482号公報
光ケーブルは、従来は距離の離れた情報通信機器同士を接続するためのケーブルであったが、情報通信機器の高速化、高密度化に伴い、最近では情報通信機器の内部配線に光ケーブルを用いる場合が多くなっている。そして、そのような場合には光ケーブル同士を接続する光コネクタは、情報通信機器のPCボードの端部、あるいはPCボード上に配置されることも多くなり、光コネクタ、あるいは光コネクタを構成するフェルールの薄型化が必要になってきている。
しかし、光ケーブルの中の光ファイバは曲げに弱く、急角度に曲げられると光の伝送損失が増大し、さらには破壊される場合もある。このため、光コネクタは、光ケーブルが接続される後端側に、柔軟性や弾性を有するゴムまたは樹脂で形成されたブーツを備え、このブーツに光ケーブルを挿通させることで光の伝送損失の増大、光ファイバの破壊を防いでいる。
この場合、光コネクタの後端のブーツが備えられた部分では、光ケーブルをブーツが挿通させ、さらに光ケーブルを挿通させたブーツをフェルールに挿入する必要があるため、フェルールのブーツ挿入部ではどうしてもフェルールの高さが高くなり、薄型フェルールの実現が困難であった。
上記特許文献1に記載の光コネクタでは、ブーツ挿入孔の部分のフェルールが鍔の形状を備えており、その結果、ブーツ挿入孔において、フェルールの高さが高くなっている(図1および図6参照)。そして、ブーツ挿入孔の部分のフェルールが鍔の形状を備えることによってフェルールのブーツ挿入孔の部分の肉厚を厚くし、この部分でのフェルールのクラックの発生、クラックによるカケ破損を防止している。
この鍔形状のフェルールを備えた光コネクタは、距離の離れた情報通信機器同士を接続するための光ケーブルの接続に用いる場合には問題ないが、光コネクタが情報通信機器のPCボードの端部、あるいはPCボード上に配置される場合には、情報機器の高密度化の障害になる場合がある。
また、鍔形状を備えたフェルールの場合でも、鍔部分と接着剤充填窓との間にはフェルールの肉厚の薄い部分が存在し、クラックの発生、およびクラックによるカケ破損の発生の可能性がある。
特許文献2の樹脂材料の充填領域(ブーツ挿入孔に相当)の部分のフェルール(図4参照)、特許文献3の鍔部(図1参照)、特許文献3のブーツ挿入穴の部分のフェルール(図4参照)もすべて鍔の形状を備えており、このため、この部分でのフェルールのクラックの発生、クラックによるカケ破損を防止するには有利であるが、情報機器の高密度化の障害になる場合がある。
一方、特許文献5のフェルールでは、ブーツ挿入部は上面が開口しており、ブーツは、開口の幅方向の両側面に一対の凸部からなるブーツ保持部を形成することによってブーツ挿入部に保持されている。
フェルールを薄型化し、さらにブーツ挿入部の鍔形状をなくした場合にはフェルール構造が薄肉になり、強度が低下する傾向にあり、フェルール用ブーツが挿入される際に、特にフェルールのブーツ挿入部(ブーツ窓)と接着剤充填部との間にはクラックが発生しやすく、クラックによるカケ破損が発生するという問題点があった。
これに対して、特許文献5のフェルールでは、ブーツ挿入部の上面を開口することによって、フェルール用ブーツが挿入される際に、ブーツ挿入部のクラックの発生、クラックによるカケ破損をなくすことができる。
しかし、ブーツは光ファイバが急角度に曲げられることの無いよう、柔軟性や弾性を有するゴムまたは樹脂で形成されているため、ブーツの側面をブーツ保持部で保持しても、光ファイバケーブルに力がかかった場合にブーツが変形してブーツ保持部で十分保持できない場合があった。
本発明の目的は情報機器の高密度化に対応できる薄型のフェルールであって、かつ、フェルールの製造工程において、およびフェルール用ブーツが挿入される際にクラックが発生することの無いフェルール、およびフェルールの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、薄型でクラックが発生することの無いフェルールと、複数の光ファイバを挿通させることができ、光ファイバを急角度の曲げから保護することができ、かつ、薄型でクラックが発生することの無いフェルールに挿入することができる、フェルール用ブーツとを備えた光コネクタを提供することにある。
(1)
一局面に従うフェルールは、複数の光ファイバをそれぞれ挿入するための複数のファイバ孔が前端面に設けられ、複数の光ファイバを挿通させたフェルール用ブーツを挿入するブーツ挿入部のブーツ挿入孔が後端面に設けられたフェルールであって、フェルールは、複数のファイバ孔とブーツ挿入孔とを連通する内部空間を備えるとともに、内部空間に接着剤を充填するための接着剤充填部の接着剤充填窓を上下方向で対向する一面に備え、ブーツ挿入部のフェルールの幅は、フェルール本体の幅よりも大きく、ブーツ挿入部のフェルールの幅と高さの比率が5倍以上であり、ブーツ挿入孔の周囲のフェルールの肉厚が最も薄い部分で0.32mm以上である。
ここで、前端面と後端面とを結ぶ方向を長さ方向とし、長さ方向に直交する方向を幅方向とし、長さ方向および幅方向と直交する方向を上下方向とする。
また、ブーツ挿入孔の周囲のフェルールの肉厚が最も薄い部分は0.32mm以上0.40mm以下であることが好ましい。
なお、フェルールの後端面に鍔部を備えたフェルールの場合には、ブーツ挿入部のフェルールの高さとは、鍔部以外でのフェルールの高さに相当し、フェルールの肉厚が最も薄い部分とは、鍔部と接着剤充填窓との間の薄肉部分に相当する。また、内部空間は、上面視で接着剤充填窓とブーツ挿入孔とを合わせた部分に相当する。
近年の光通信では小型かつ高密度化が可能な多心フェルールが多く用いられている。この場合、さらなる小型化と高密度化を進めるためには、フェルールの内部空間は高密度の多心ファイバが格納可能であり、かつフェルールの外寸は極力小さくかつ扁平となることが好ましい。しかしながら、ブーツ挿入部のフェルールの幅と高さの比率が5倍以上の薄型フェルールとした場合、ブーツ挿入部にフェルール用ブーツを挿入するためには、フェルールの肉厚をできる限り薄くして、ブーツ挿入孔の高さを確保する必要がある。しかし、フェルールの肉厚を薄くした場合、
1)樹脂成型後超音波洗浄をする際にクラックが発生する、
2)ファイバを挿通したフェルール用ブーツを挿入する際にフェルールを指で押さえるとフェルールが割れる、などの課題がある。
一局面に従うフェルールでは、フェルールの肉厚を、肉厚が最も薄い部分で0.32mm以上とすることによって、小型かつ高密度のフェルールであっても、クラックの発生を好ましく防止することができる。
(2)
第2の発明にかかるフェルールは、一局面に従うフェルールにおいて、フェルールは、PPS樹脂からなり、フェルールの高さは1.24mm以上1.40mm以下であって、ブーツ挿入部のブーツ挿入孔の高さは0.50mm以上0.70mm以下であってもよい。
小型かつ高密度の多心フェルールは、極めて高い位置と寸法の精度が求められるため、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を用いることが好ましい。この場合、フェルールの薄型化とブーツ挿入部の物理的強度とは相反する課題であって、最適なフェルールの高さとフェルールのブーツ挿入孔の高さとの選択が重要である。
すなわち、PPS製であって、高さ1.24mm以上、1.4mm以下の薄型フェルールにおいては、肉厚を0.32mm以上とするために、ブーツ挿入孔の高さを0.50mm以上0.70mm以下とすることが好ましい。
ブーツ挿入孔の高さが下限値未満の場合、ブーツ挿入孔に挿入するブーツの高さが低くなりすぎて、光ファイバをスムーズに挿通させることのできるブーツの製造が困難になる。ブーツ挿入孔の高さが上限値を超える場合、フェルールの肉厚の確保が困難となり不具合が発生する場合がある。
(3)
第3の発明にかかるフェルールは、一局面から第2の発明にかかるフェルールにおいて、フェルールのイジェクトピン跡が、上下方向で対向する他面の側であって、上面視で内部空間と重ならない部分に位置するようにしてもよい。
フェルールは、例えば無機充填物が充填された樹脂材料を成型して形成されるが、樹脂成型時のイジェクトピンを上面視でフェルールの内部空間に相当する位置に設けた場合、内部空間に相当する部分のフェルールは肉厚が薄いため、イジェクト時にフェルールにクラックが入る可能性がある。また、仮にフェルールの外観上では明確なクラックが生じていない場合も、フェルールの内部において内部クラックが生じている場合があり、これによってフェルールの耐久性が低下する場合がある。
第3の発明にかかるフェルールでは、イジェクトピンを、上下方向で対向する他面の側(接着剤充填窓に対向する他の面の側)の、上面視で内部空間と重ならない部分に配置することにより、イジェクト時のクラックの発生を防止している。
(4)
第4の発明にかかるフェルールは、一局面から第3の発明にかかるフェルールにおいて、接着剤充填窓の後端面側の角に半径0.3mm以上のR形状を設けてもよい。
フェルールを指で押えた場合、あるいは、フェルールを超音波洗浄した場合、接着剤充填窓の後端面側の角にクラックが入りやすい。第4の発明にかかるフェルールでは、接着剤充填窓の後端面側の角に半径0.3mmのR形状を設けることによって、ストレスの集中を回避し、この部分でのクラックの発生を防止している。
(5)
第5の発明にかかるフェルールは、一局面から第4の発明にかかるフェルールにおいて、ブーツ挿入孔の4角に半径0.1mm以上のR形状を設けてもよい。
ブーツ挿入孔の4角は、超音波洗浄時、およびフェルール用ブーツ挿入時などにクラックが入りやすい。
第5の発明にかかるフェルールは、ブーツ挿入孔の4角に半径0.1mmのR形状を設けることによって、この部分でのクラックの発生を防止している。
(6)
他の局面に従う光コネクタは、一局面から第5の発明にかかるフェルールと、フェルールに配置された複数の光ファイバを保持し、フェルールのブーツ挿入部に挿入固定されるフェルール用ブーツと、を備え、フェルール用ブーツがABS樹脂で形成されている。
従来のフェルール用ブーツは、柔軟性や弾性を有するゴムやエラストマーなどの合成樹脂で形成されている。これは、フェルール用ブーツが、光ファイバケーブルの外周に配置され、コネクタの挿抜操作や光ファイバケーブルの繰り返しの曲げ等によって、光ファイバケーブルに曲げ方向の荷重がかかって急角度に曲がったり、光ファイバが破壊されたりして、光の伝送損失の増大等の不都合が起こるのを防止するためである。
しかし、本発明のような小型かつ薄型のフェルールにおいては、ブーツ挿入孔の高さが低いため、ブーツの高さも低くなる。一方で、ブーツには光ファイバを挿通する必要があるため、内部にファイバ挿通孔を設ける必要がある。したがって、フェルール用ブーツの肉厚は薄肉となる。
この場合、従来のゴムやエラストマーなどでは薄肉のブーツを成型することが困難である。また仮に、高さが低い薄型のブーツを成形できたとしても、ブーツには光ファイバテープを挿入するための光ファイバ挿通孔が形成されるため、この挿通孔を構成する壁面同士が癒着して光ファイバテープを挿入できなくなるという問題が生じる場合がある。
他の局面に従う光コネクタでは、光ファイバの保護に必要な柔軟性を備え、かつ薄肉のブーツを形成するのに必要な剛性を備えた材質として、ABS樹脂を採用している。
ABS樹脂は引張破断強さが40-50MPa、曲げ弾性率が2000-2500MPaであり、ブーツの材質として必要な剛性と柔軟性とを兼ね備えている。
これにより、小型かつ薄型のブーツを確実に成型することができ、かつ光ファイバテープの挿入孔の癒着による不具合を防止することができる。
(7)
第7の発明にかかる光コネクタは、他の局面に従う光コネクタにおいて、フェルール用ブーツは複数の光ファイバを挿通させる光ファイバ挿通孔を備え、光ファイバ挿通孔の周りのフェルール用ブーツの肉厚が最も薄い部分で0.15mm以上であってもよい。
この場合、肉厚を0.15mmとすることにより、フェルール用ブーツの光挿通孔の高さを0.3mmとすることができる。また、ABS樹脂を用いることにより、肉厚0.15mmのフェルール用ブーツを安定に成型することができる。
(8)
さらに他の局面に従うフェルールの製造方法は、一局面から第5の発明に従うフェルールの製造方法であって、フェルールのブーツ挿入部の幅方向両端からそれぞれ突出したゲートを備えたフェルール半製品を成型する樹脂成型工程と、ゲートの他面の側と、フェルール本体のうち上面視で内部空間に重ならない部分の他面の側とにイジェクトピン位置を設けてフェルール半製品をイジェクトするイジェクト工程と、フェルール半製品から、ゲートを切除する切除工程と、を備える。
イジェクト時におけるクラックの発生を防止するためには、イジェクトピンを上面視で内部空間と重ならない部分に位置させる必要がある。しかし、フェルールのブーツ挿入部側では内部空間と重ならない部分の面積が狭いため、内部空間と重ならない部分にイジェクトピンを位置させることは困難である。
このため、他の局面に従うフェルールの製造方法では、ブーツ挿入部の幅方向両端からそれぞれ突出したゲートの他面の側と、フェルール本体の他面の側で、上面視で内部空間(上面視で接着剤充填窓とブーツ挿入孔)と重ならない部分にイジェクトピンを位置させることによって、イジェクトがスムーズに行われ、かつ、イジェクト時にクラックの発生することの無いイジェクト工程を実現している。
第1の実施形態のフェルールの模式的斜視図である。 図2(A)は第1の実施形態のフェルールの模式的上面図、図2(B)は左側から見た模式的側面図、図2(C)は右側から見た模式的側面図、図2(D)は図2(A)のA-A’面の模式的断面図である。 図3(A)は変形例のフェルールの模式的上面図、図3(B)は左側から見た模式的側面図、図3(C)は右側から見た模式的側面図である。 第1の実施形態の光コネクタの構成を示す模式的分解斜視図である。 光コネクタを図2(A)のA-A’面に相当する面で切断したときの模式的断面図である。 図6(A)は第1の実施形態のフェルール用ブーツの模式的上面図、図6(B)は左側から見た模式的側面図、図6(C)は手前側から見た模式的側面図である。 図7(A)は変形例のフェルール用ブーツの模式的上面図、図7(B)は左側から見た模式的側面図、図7(C)は右側から見た模式的側面図、図7(D)は手前側から見た模式的側面図である。 実施例のフェルールを後端側から撮影した写真である。 比較例のフェルールを後端側から撮影した写真である。 ゲートが残るフェルール半製品の上面図にイジェクトピンの位置を示した模式図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
以下の説明においては、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施形態>
(フェルール100)
図1は第1の実施形態のフェルール100を示す模式的斜視図である。また、図2(A)は第1の実施形態のフェルール100の模式的上面図、図2(B)は左側から見た模式的側面図、図2(C)右側から見た模式的側面図、図2(D)は図2(A)のA-A’面の模式的断面図である。
図1乃至図2に示すように、本実施形態のフェルール100は、フェルール本体10と、先端(接続端面)がフェルール100の前端面100aに開口し、光ファイバの被覆を除去した部分を挿入して位置決めして固定するための複数の光ファイバ孔20と、これら複数の光ファイバ孔20の後端に連通し互いに平行な複数のファイバ誘導孔25と、複数のファイバ誘導孔25の後端に連通し互いに平行なU字状又はV字状の複数のファイバ誘導溝40と、フェルール本体10の後端側に設けられている。そして、光ファイバを挿通させたフェルール用ブーツを装着するブーツ挿入部30と、光ファイバをフェルール本体10に固定するための接着剤を注入する接着剤充填部50と、複数の光ファイバ孔20と平行に横幅方向の両端部近傍に形成されており、ガイドピンを挿入するため2つのガイドピン孔60とを備えている。
ブーツ挿入部30はフェルール100の後端面100bにブーツ挿入孔35が開口しており、接着剤充填部50はフェルール本体10の上面に接着剤充填窓55が開口している。また、フェルール100には、光ファイバ孔20およびファイバ誘導孔25とブーツ挿入孔35とを連通する内部空間が設けられている。図2のイジェクトピン跡36aはフェルール100の製造の過程において、金型からフェルール100をイジェクトするときに生成される跡である。なお、イジェクトピン跡36aは、外観上目視等で確認できるもののほか、樹脂の内部構造(密度等)から把握できるものであってもよい。
なお、本明細書の説明においては、前端面100aと後端面100bとを結ぶ方向(図2(A)の左右方向)を長さ方向、長さ方向に直交する方向(図2(A)の上下方向)を幅方向、長さ方向および幅方向と直交する方向を上下方向としている。
図1および図2からわかるように、フェルール100の幅は複数の光ファイバ孔20およびファイバ誘導孔25が設けられるフェルール本体10よりもブーツ挿入部30の方が大きい。これは、ブーツ挿入部30にはフェルール用ブーツ102(図3参照)を挿入するためのブーツ挿入孔35が開口しており、フェルール用ブーツ102挿入時などにストレスがかかるためである。
従来のフェルール100では、ブーツ挿入部30の物理的強度を高めるために、ブーツ挿入部30の上下方向にもフェルール100の肉厚を厚くした、いわゆる鍔形状を備えているフェルール100も多い。鍔形状を備えることは、フェルール用ブーツ102挿入時のストレス対策としては有効であるが、鍔形状を備えているフェルール100の場合も接着剤充填窓55の近傍ではフェルール100の肉厚が薄くなっており、樹脂成型後の超音波洗浄時などにおいては、この部分にクラックが入る場合も多いため、クラック発生対策としては十分ではない。
フェルール100は、情報機器の高密度化に対応するために、多心化および薄型化が進行している。本実施形態のフェルール100は、12心で、最大幅が7.00mm、高さが1.25mmである。したがって、幅と高さとの比率は5.6倍である。
このような形状のフェルール100は、例えば、無機充填物が充填された樹脂材料を成型して構成される。樹脂材料は、熱硬化性エポキシ樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などである。このうち、位置精度、寸法精度、成形収縮率および熱安定性の観点からポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を用いることが好ましい。これにより小型かつ高密度の実装を行っても接続損失の少ないフェルールにすることができる。また、無機充填物には、例えば粒状シリカを用いることができる。
無機充填物を充填することで、フェルールの強度を向上させることはできるが、幅と高さとの比率が5倍以上の薄型のフェルール100では、ブーツ挿入孔35の周囲のフェルール100の肉厚が薄く、この部分にクラックが入りやすい。
また、フェルール100の肉厚が薄い部分のうち、とりわけ開口の角部は、ストレスが集中しクラックが入りやすい個所である。そこで、接着剤充填窓55の後端面100b側の角に半径0.3mmのR形状が設けられ、ブーツ挿入孔35の4角にも半径0.1mmのR形状が設けられている。これにより、肉厚を確保しつつ、応力などのストレスを効果的に分散することができる。本実施の形態において、肉厚が最も薄い部分とは、ブーツ挿入孔35の開口の周囲、および/または接着剤充填窓55の開口の周囲であり、特に開口の4角の付近にクラックが発生しやすい。
(フェルール100の変形例)
図3(A)は変形例のフェルール100の模式的上面図、図3(B)は左側から見た模式的側面図、図3(C)は右側から見た模式的側面図である。
図2のフェルール100は、高さが1.25mmで長さが4mmのいわゆるSlim&Shortフェルールであるが、図3のフェルール100は、高さが1.25mmで長さが8mmのSlimフェルールである。また、図2のフェルールは12心であるが、図3のフェルールは16心である。本発明は、その他、16心のSlim&Shortフェルール、または12心のSlimフェルールにも適用可能である。
(光コネクタ200)
図4は、フェルール100と、フェルール用ブーツ102とから構成される光コネクタ200に光ファイバケーブル101を挿入した場合の模式的分解斜視図であり、図5は、光ファイバケーブル101が挿入された光コネクタ200を図2(A)のA-A’面に相当する面で切断したときの模式的断面図である。フェルール用ブーツ102は、光ファイバケーブル101を挿通させるとともに、フェルール100のブーツ挿入部30に挿入固定される。光ファイバケーブル101はフェルール100の内部空間において、フェルール用ブーツ102の先端側を抜けた位置で裸ファイバ101aとなり、ファイバ誘導溝40、ファイバ誘導孔25、光ファイバ孔20を経由してフェルール100の前端面100aに至っている。
(フェルール用ブーツ102)
図6(A)はフェルール用ブーツ102の模式的上面図、図6(B)は左側から見た模式的側面図、図6(C)は手前側から見た模式的側面図である。フェルール用ブーツ102には、光ファイバケーブル101を挿通するための光ファイバ挿通孔102aが開口されている。光ファイバ挿通孔102aの高さは光ファイバケーブル101の高さに相当し、約0.3mmである。
フェルール用ブーツ102の肉厚はフェルール用ブーツ102の高さによって決まり、フェルール用ブーツ102の高さはブーツ挿入孔の高さとほぼ等しい。例えば、ブーツ挿入孔35の高さが0.80mmの場合はフェルール用ブーツ102の肉厚は0.25mm、ブーツ挿入孔35の高さが0.60mmの場合はフェルール用ブーツ102の肉厚は0.15mmとなる。当然、ブーツ挿入孔の高さが低くなると、フェルール用ブーツ102の肉厚が薄くなり、フェルール用ブーツ102の成型が困難になる。
また、光ファイバ挿通孔102aの開口幅が大きくなりかつ開口高さが低くなればなるほど、光ファイバ挿通孔102aを構成する壁面同士が癒着しやすくなる。したがって、フェルール用ブーツ102の成型ができたとしても、時間が経過すると光ファイバ挿通孔102aの壁が癒着して光ファイバテープが挿入できなくなるという問題が生じる場合がある。
従来のフェルール用ブーツ102は、柔軟性や弾性を有するゴムやエラストマーなどの合成樹脂で形成されている。これは、フェルール用ブーツ102が、光ファイバケーブル101の外周に配置され、光コネクタ200の挿抜操作や光ファイバケーブル101の繰り返しの曲げ等によって、光ファイバケーブル101に曲げ方向の荷重がかかって急角度に曲がったり、光ファイバケーブル101が破壊されたりして、光の伝送損失の増大等の不都合が起こるのを防止するためのものだからである。
しかし、本発明のような薄型のフェルール100においては、ブーツ挿入孔35の高さが低いため、フェルール用ブーツ102の高さも低くなる。一方で、フェルール用ブーツ102には光ファイバケーブル101を挿通する必要があるため、内部に光ファイバ挿通孔102aを設ける必要がある。したがって、フェルール用ブーツ102の肉厚は薄肉となる。この場合、従来のゴムやエラストマーなどでは薄肉のブーツの形成することが困難である。
本実施形態では、光ファイバの保護に必要な柔軟性を備え、かつ薄肉のフェルール用ブーツ102を形成するのに必要な剛性を備えた材質として、ABS樹脂を採用している。
ABS樹脂は引張破断強さが40-50MPa、曲げ弾性率が2000-2500MPaであり、フェルール用ブーツ102の材質として必要な剛性と柔軟性とを兼ね備えている。これにより、小型かつ薄型のブーツを確実に成型することができ、かつ光ファイバテープの挿入孔の癒着による不具合を防止することができる。
図7にはフェルール用ブーツ102の変形例を示す。図7(A)はフェルール用ブーツ102の模式的上面図、図7(B)は左側から見た模式的側面図、図7(C)は右側から見た模式的側面図、図7(D)は手前側から見た側面図である。光ファイバ挿通孔102aの高さは約0.3mmである。
図7のフェルール用ブーツ102は、フェルール100のブーツ挿入孔35に挿入される挿入部102bは肉厚が0.15mmであり、高さが0.60mmのブーツ挿入孔35に挿入することができる。一方、フェルール100のブーツ挿入孔35から突出した突出部102cは、肉厚が厚く、例えば0.25mmであってもよい。
図7のフェルール用ブーツ102の変形例では、突出部102cの部分の肉厚を厚くすることによって、光ファイバケーブル101を折り曲げた場合のフェルール用ブーツ102の物理的強度を向上させることができる。
(フェルール100の実施例と比較例)
以下、フェルール100の実施例と比較例について説明する。
[実施例1]
図8は実施例1のフェルール100を後端側から見た写真である。図8のフェルール100はPPS樹脂を射出成形したものであり、ブーツ挿入部30の幅が7.0mm、フェルール本体10の幅が6.40mm、高さが1.25mmであり、幅と高さの比率がブーツ挿入部30で5.6倍、フェルール本体10で5.12倍の薄型フェルールである。ブーツ挿入孔35の周囲のフェルール100の肉厚は0.325mm、ブーツ挿入孔35の高さは0.60mm、幅は3.60mmである。
さらに、ブーツ挿入孔35の4角には半径0.1mmのR形状が設けられている。また、図8からは確認できないが、実施例1のフェルール100では、接着剤充填窓55の後端面100b側の角に半径0.3mmのR形状を設けている。
図8からわかるように、実施例1のフェルール100ではクラックの発生しやすいブーツ挿入孔35の4角にもクラックは全く観察されなかった。また、クラックは超音波洗浄においてクラックが発生することが多いが、実施例1のフェルール100では母数300個のフェルール100に対して超音波出力を100%にした状態で超音波洗浄した場合でも、クラックの発生したフェルールは1個もなかった。
[比較例1]
図9は比較例1のフェルール100を後端側から見た写真である。図9のフェルール100は、実施例1のフェルール100と同様に成形し、ブーツ挿入部30の幅が7mm、フェルール本体10の幅が6.4mm、高さが1.25mmであり、幅と高さの比率がブーツ挿入部30で5.6倍、フェルール本体10で5.12倍の薄型フェルールである。ただし、ブーツ挿入孔35の高さが0.8mmと高く、このため、ブーツ挿入孔35の周囲のフェルール100の肉厚は0.225mmと薄くなっている。ブーツ挿入孔35の幅は3.6mmである。
また、ブーツ挿入孔35の4角と接着剤充填窓55の後端面100b側の角とには、どちらにもR形状が設けられていない。
図9からわかるように、比較例1のフェルール100では、ブーツ挿入孔35の角にクラックが入っており(矢印)、使用中にクラックによるカケ破損が発生する可能性が高い。また、実施例1と同様、比較例1のフェルール100に対して、母数300個で超音波洗浄を行った。ただし、比較例1のフェルール100では超音波洗浄によるクラックの発生が予想されたため、超音波の出力を50%に下げて超音波洗浄を行ったが、それでも、比較例1のフェルール100では46%のフェルールにおいてクラックの発生が観測された。
実施例1と比較例1を比較した場合、実施例は、
a)ブーツ挿入孔35の周囲のフェルール100の肉厚が0.1mm厚い、
b)ブーツ挿入孔35の4角にR形状が設けられている、点で異なる。
したがって、実施例1のフェルール100にクラックが発生しない理由は、フェルール100の肉厚が0.1mm厚いこと、および/またはブーツ挿入孔35の4角にR形状が設けられていることによると考えられる。
本発明者は、その他の比較例として、フェルール100の肉厚のみを厚くした場合についても検討を行っているが、その場合にも、クラックの発生において大幅な改善が見られた。したがって、フェルール100の肉厚を厚くすることが最も有効である。そして、さらにブーツ挿入孔35の4角にR形状を設けることによって、4角へのストレスの集中を防ぎ、クラック発生防止効果を高めることができた。
また、実施例1のフェルール100では、接着剤充填窓55の後端面100b側の角に半径0.3mm以上のR形状を設けているが、ここにR形状を設けることにより、フェルールを指で押えた場合などにおけるクラックの発生を抑圧することができる。
以上の結果より、高さ1.25mmで、ブーツ挿入部30のフェルール100の幅と高さの比率が5倍以上となる薄型フェルールにおいては、ブーツ挿入孔35の周囲のフェルール100の肉厚が最も薄い部分で0.32mm以上必要である。さらに、ブーツ挿入孔35の4角に半径0.1mm以上のR形状を設けること、および接着剤充填窓55の後端面100b側の角に半径0.3mm以上のR形状を設けることが望ましい。
(フェルール用ブーツ102の実施例と比較例)
[実施例2]
実施例2のフェルール用ブーツ102の形状は、図6または図7に記載のものであり、高さ0.6mmのブーツ挿入孔35に挿入できるよう、高さを0.6mm、最薄部の肉厚を0.15mm、光ファイバ挿通孔102aの開口を0.3mmとしている。
実施例2のフェルール用ブーツ102は、より剛性の高いABS樹脂で樹脂成型されている。具体的には、テクノポリマー株式会社のテクノABS350を成型用樹脂として用いた。テクノABS350は、従来、フェルール用ブーツ102用の樹脂として用いられていたエラストマーと比べてより剛性の高い樹脂である。テクノABS350は、例えば、曲げ弾性率(ASTM D790)が2350MPa、引張破断強さ(ASTM D638)が41.2MPaである。なお、ASTMとは、世界最大規模の標準化団体であるASTM Internationalが策定する規格である。
テクノABS350を成型用樹脂として用いることにより、最薄部の肉厚が0.15mm、開口が0.3mmのフェルール用ブーツ102を安定して樹脂成型することができ、光コネクタ200組立時にも光ファイバケーブル101を確実に挿通することができた。
[比較例2]
比較例2のフェルール用ブーツ102の形状は、図6において高さが0.8mm、最薄部の肉厚が0.25mm、開口が0.3mmである。
比較例2のフェルール用ブーツ102は、従来通りエラストマーを用いて樹脂成型することができる。例えば、樹脂として、ペルプレン(登録商標)P90BD(東洋紡製)が使用可能である。P90BDは、曲げ弾性率(ASTM D790)が162MPa、引張破断強さ(ASTM D638)が31MPaと、曲がりやすく、かつ、やや破断しやすい物性を備えている。
比較例2のフェルール用ブーツ102は安定して樹脂成型することができるが、実施例2のフェルール100はブーツ挿入孔35の高さが0.6mmであるため、実施例のフェルール100と組み合わせて光コネクタ200とすることはできない。
[比較例3]
比較例3のフェルール用ブーツ102の形状は実施例と同一である。ただし、比較例3は比較例2と同様、成型用樹脂として、ペルプレン(登録商標)P90BDを用いた。しかし、実施例2と同一の形状で樹脂成型した場合、成型後の形状が安定せず、光ファイバケーブル101を確実に挿通することができなかった。
以上の結果より、高さ0.6mmのブーツ挿入孔35を備えた薄型のフェルール100と組み合わせるブーツとしては、肉厚が0.15mmであって、ABS樹脂などの剛性の高い樹脂を用いて成型することが必要である。
(フェルール100の製造方法)
図10はゲート37が残るフェルール半製品の上面図にイジェクトピン位置36を記載した模式図である。
フェルール100は樹脂成型によって製造される。この場合、射出された樹脂はゲート37を経由して金型に充填されて樹脂成型された後、樹脂成型されたフェルール半製品がイジェクトピンで金型からイジェクトされ、最後にフェルール100の本体からゲートが切除されて、フェルール100が完成する。
従来のフェルール100では、このイジェクトピン位置36は全てフェルール100の本体に配置されていた。しかし、本実施形態のフェルール100では、イジェクトピン位置36が上面視で、ファイバ誘導孔25とブーツ挿入孔35とを連通する内部空間と重なった場合、内部空間の部分のフェルールの肉厚が薄いため、イジェクト時にフェルール半製品にクラックが入る。一方、図10からもわかるように、特に後端面100b側のイジェクトピン位置36を内部空間と重ならない部分(図10のブーツ挿入孔35の外側)に配置することは困難である。
本実施形態のフェルール100の製造方法では、前端面100a側のイジェクトピン位置36をフェルール本体10の他面の側に配置し、後端面100b側のイジェクトピン位置36をブーツ挿入部30ではなく、ブーツ挿入部30の幅方向両端からそれぞれ突出したゲート37の他面の側に配置することによって、イジェクトピン位置36が上面視で内部空間と重ならないようにし、イジェクト時にフェルール半製品にクラックが入ることを予防した。
また、この製造方法で製造されたフェルール100は、イジェクトピン跡36aが上面視で内部空間(接着剤充填窓とブーツ挿入孔に相当)と重なることがない。
本発明においては、光ファイバ孔20およびファイバ誘導孔25が「ファイバ孔」に相当し、前端面100aが「前端面」に相当し、フェルール用ブーツ102が「フェルール用ブーツ」に相当し、ブーツ挿入部30が「ブーツ挿入部」に相当し、ブーツ挿入孔35が「ブーツ挿入孔」に相当し、後端面100bが「後端面」に相当し、フェルール100が「フェルール」に相当し、接着剤充填部50が「接着剤充填部」に相当し、接着剤充填窓55が「接着剤充填窓」に相当し、フェルール本体10が「フェルール本体」に相当し、イジェクトピン跡36aが「イジェクトピン跡」に相当し、光コネクタ200が「光コネクタ」に相当し、光ファイバ挿通孔102aが「光ファイバ挿通孔」に相当し、ゲート37が「ゲート」に相当し、イジェクトピン位置36が「イジェクトピン位置」に相当する。
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
10 フェルール本体
20 光ファイバ孔
25 ファイバ誘導孔
30 ブーツ挿入部
35 ブーツ挿入孔
36 イジェクトピン位置
36a イジェクトピン跡
37 ゲート
50 接着剤充填部
55 接着剤充填窓
100 フェルール
100a 前端面
100b 後端面
102 フェルール用ブーツ
102a 光ファイバ挿通孔
200 光コネクタ

Claims (8)

  1. 複数の光ファイバをそれぞれ挿入するための複数のファイバ孔が前端面に設けられ、複数の前記光ファイバを挿通させたフェルール用ブーツを挿入するブーツ挿入部のブーツ挿入孔が後端面に設けられたフェルールであって、
    前記フェルールは、複数の前記ファイバ孔と前記ブーツ挿入孔とを連通する内部空間を備えるとともに、前記内部空間に接着剤を充填するための接着剤充填窓を上下方向で対向する一面に備え、
    前記ブーツ挿入部の前記フェルールの幅は、複数の前記ファイバ孔が設けられるフェルール本体の幅よりも大きく、
    前記ブーツ挿入部の前記フェルールの幅と高さの比率が5倍以上であり、
    前記ブーツ挿入孔の周囲の前記フェルールの肉厚が最も薄い部分で0.32mm以上である、フェルール。
  2. 前記フェルールは、PPS樹脂からなり、
    前記ブーツ挿入部の前記フェルールの高さは1.24mm以上、1.40mm以下であって、前記ブーツ挿入部の前記ブーツ挿入孔の高さは0.50mm以上0.70mm以下である、請求項1に記載のフェルール。
  3. 前記フェルールのイジェクトピン跡が、上下方向で対向する他面の側であって、上面視で前記内部空間と重ならない部分に位置する、請求項1または2に記載のフェルール。
  4. 前記接着剤充填窓の前記後端面の側の角に半径0.3mm以上のR形状を設けた、請求項1から3のいずれか1項に記載のフェルール。
  5. 前記ブーツ挿入孔の4角に半径0.1mm以上のR形状を設けた、請求項1から4のいずれか1項に記載のフェルール。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のフェルールと、
    前記フェルールに配置された複数の前記光ファイバを保持し、前記フェルールの前記ブーツ挿入部に挿入固定される前記フェルール用ブーツと、を備え、
    前記フェルール用ブーツがABS樹脂で形成されている、光コネクタ。
  7. 前記フェルール用ブーツは前記複数の光ファイバを挿通させる光ファイバ挿通孔を備え、
    前記光ファイバ挿通孔の周りの前記フェルール用ブーツの肉厚が最も薄い部分で0.15mm以上である、請求項6に記載の光コネクタ。
  8. 請求項1から5のいずれか1項に記載のフェルールの製造方法であって、
    前記フェルールの前記ブーツ挿入部の幅方向両端からそれぞれ突出したゲートを備えたフェルール半製品を成型する樹脂成型工程と、
    前記ゲートの上下方向で対向する他面の側と、前記フェルール本体のうち上面視で前記内部空間に重ならない部分の前記他面の側とにイジェクトピン位置を設けて前記フェルール半製品をイジェクトするイジェクト工程と、
    前記フェルール半製品から、前記ゲートを切除する切除工程と、を備える、フェルールの製造方法。
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