JP2023071228A - 液式鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】正極集電板の格子状部に正極合剤が保持された正極板を有する液式鉛蓄電池において、正極活物質の利用率を向上できる新しい技術を提供する。【解決手段】本発明の液式鉛蓄電池の極板群1は、交互に配置された複数枚の正極板10および負極板20と、正極板10と負極板20との間に配置されたセパレータと、を備えた積層体を有し、正極板10は、格子状部を備えた正極集電板と格子状部に保持された正極合剤とを有し、正極合剤ペーストを格子状部に充填した後、熟成および乾燥工程を経て得られたものである。正極合剤ペーストは、鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、金属錫の平均厚さは0.10μm以上1.0μm以下であり、金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.1以上1.7以下であり、鉛粉100質量部に対する金属錫の割合が0.10質量部以上1.0質量部未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、液式鉛蓄電池に関する。
一般的な液式鉛蓄電池は、セル室を有する電槽と、セル室に収納された極板群と、セル室に注入された電解液と、を備えている。極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、を備えた積層体を有する。正極板は、格子状部を備えた正極集電板と、格子状部に保持された正極合剤(正極活物質を含む合剤)とを有する。負極板は、格子状部を備えた負極集電板と、格子状部に保持された負極合剤(負極活物質を含む合剤)とを有する。電解液としては希硫酸が使用されている。このような液式鉛蓄電池は自動車用バッテリーなどとして広く使用されている。
近年の自動車の電装の高機能化に伴い、電源として搭載される鉛蓄電池にも、より大きな放電容量が求められるようになった。鉛蓄電池の放電容量は、例えば、正極活物質の利用率を向上させることで改善することができる。
鉛蓄電池の正極活物質の利用率を向上させる技術として、正極活物質を含む正極合剤中に錫系添加剤を含有させる方法が知られている。例えば、特許文献1には、酸化錫を主成分とするフレーク状の導電性セラミックスを鉛蓄電池の正極合剤ペーストに添加する(活物質に対して1~8質量%)ことで、充放電サイクル寿命およびエネルギー密度が向上できると記載されている。
特許文献2には、利用率の向上、正極板の長寿命化、および電池性能の改善を達成するために、正極活物質中に炭素系添加剤と錫系添加剤を含有させることが記載されている。また、錫系添加剤としては、金属錫、酸化錫、硫化錫、水酸化錫等が挙げられ、金属錫又は錫化合物の形状は、粉末形状、鱗状、鱗片状以外に、板状、ウィスカー状、繊維状等の平均アスペクト比の大きい形状が、添加量が少なくても導電性付与効果が高いため好ましいと記載されている。実施例では酸化錫繊維粉を用いている。
特開平6-187820号公報 特開2001-43861号公報
本発明の課題は、正極集電板の格子状部に正極合剤が保持された正極板を有する液式鉛蓄電池において、正極活物質の利用率を向上できる新しい技術を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第一態様は、下記の構成(a)~(c)を備えた液式鉛蓄電池を提供する。
(a)セル室を有する電槽と、前記セル室に収納された極板群と、前記セル室に注入された電解液と、を備えている。前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、を備えた積層体を有する。
(b)前記正極板は、格子状部を備えた正極集電板と、前記格子状部に保持された正極合剤と、を有し、正極合剤ペーストを前記格子状部に充填した後、熟成および乾燥工程を経て得られたものである。
(c)前記正極合剤ペーストは、鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、前記金属錫の平均厚さは0.10μm以上1.0μm以下であり、前記金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.1以上1.7以下であり、前記鉛粉100質量部に対する前記金属錫の割合が0.10質量部以上1.0質量部未満である。
本発明の第二態様は、上記構成(a)(b)と下記の構成(d)を備えた液式鉛蓄電池を提供する。
(d)前記正極合剤ペーストは、鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、前記金属錫の平均厚さは0.10μm以上1.0μm以下であり、前記金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.1以上1.7以下であり、前記鉛粉100質量部に対する前記金属錫の割合が0.20質量部以上0.50質量部以下である。
本発明の第三態様は、上記構成(a)(b)と下記の構成(e)を備えた液式鉛蓄電池を提供する。
(e)前記正極合剤ペーストは、鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、前記金属錫の平均厚さは0.15μm以上0.50μm以下であり、前記金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.1以上1.7以下であり、前記鉛粉100質量部に対する前記金属錫の割合が0.20質量部以上0.50質量部以下である。
本発明の第四態様は、下記の構成(f)~(h)を備えた液式鉛蓄電池の製造方法を提供する。
(f)セル室を有する電槽と、前記セル室に収納された極板群と、前記セル室に注入された電解液と、を備え、前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、を備えた積層体を有し、前記正極板は、格子状部を備えた正極集電板と、前記格子状部に保持された正極合剤と、を有する液式鉛蓄電池の製造方法である。
(g)正極合剤ペーストを前記格子状部に充填する工程と、前記工程の後に熟成および乾燥を行って正極合剤充填板を得る工程と、前記正極合剤充填板を化成して前記正極板を得る工程と、を備える。
(h)前記正極合剤ペーストとして、鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、前記金属錫の平均厚さは0.10μm以上1.0μm以下であり、前記金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.1以上1.7以下であり、前記鉛粉100質量部に対する前記金属錫の割合が0.10質量部以上1.0質量部未満であるものを用いる。
本発明によれば、正極集電板の格子状部に正極合剤が保持された正極板を有する液式鉛蓄電池において、正極活物質の利用率向上が期待できる。
実施形態の液式鉛蓄電池の構造を示す部分断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
[全体構成]
本実施形態の液式鉛蓄電池は、図1に示すように、セル室を有する電槽41と、セル室に収納された極板群1と、正極端子14および負極端子24と、セル室に注入された電解液(図示せず)と、電槽41に固定されてセル室の上方を塞ぐ蓋43を備えている。極板群1は、交互に配置された複数枚の正極板10および負極板20と、正極板10と負極板20との間に配置されたセパレータ30と、からなる積層体、積層体の正極板10を連結する正極ストラップ13、および積層体の負極板20を連結する負極ストラップ23を備えている。
極板群1の積層体は、正極板10および負極板20の格子状部の板面を電槽41の上下方向に沿わせて、電槽41内に配置されている。また、一つのセル室に一つの極板群1が収容されている。なお、極板群1の積層体を構成する正極板10の枚数は、負極板20の枚数と同じでもよいし、負極板20の枚数より多くても良いが、本実施形態では負極板20の枚数より一枚少なくしている。
正極板10は、長方形の格子状部およびこれに連続する耳部12を備えた正極集電板と、格子状部に保持された正極合剤(正極活物質を含む合剤)とを有し、特定の正極合剤ペーストを格子状部に充填した後、通常の熟成および乾燥工程を経て得られる。正極合剤は、正極集電板の格子状部の開口部内に充填されているとともに、格子状部の両板面に存在する。特定の正極合剤ペーストの詳細については後述する。
負極板20は、長方形の格子状部およびこれに連続する耳部22を備えた負極集電板と、格子状部に保持された負極合剤(負極活物質を含む合剤)とを有し、通常の負極合剤ペーストを格子状部に充填した後、熟成および乾燥工程を経て得られたものである。負極合剤は、負極集電板の格子状部の開口部内に充填されているとともに、格子状部の両板面に存在する。
正極板10を構成する正極集電板は、Pb-Sn系合金を用い重力鋳造法で形成されたものである。負極板20を構成する負極集電板は、Pb-Ca系合金を用い連続鋳造法で形成されたものである。正極集電板および負極集電板のその他の製造方法としては、鉛合金製圧延板に対する打抜法、鉛合金製圧延板を用いたエキスパンド法が挙げられる。セパレータ30は、例えば、樹脂、ガラス繊維等からなる多孔質の膜状体であり、平板状のベース(膜状体)に、ベース面に対して垂直な方向に突出する襞状のリブが形成されていてもよい。
複数枚の正極板10の耳部12が正極ストラップ13で連結され、複数枚の負極板20の耳部22が負極ストラップ23で連結されている。また、正極ストラップ13の上部に正極端子14の一端が接続され、負極ストラップ23の上部に負極端子24の一端が接続されている。そして、正極端子14の他端および負極端子24の他端が、電槽41の開口部を閉塞する蓋43を貫通して、電槽41と蓋43からなる液式鉛蓄電池のケース体の外部に露出している。
実施形態の液式鉛蓄電池は、極板群1を電槽41内に収納して蓋43を固定した後に、蓋43が有する注液口から電槽41内に電解液を注入し、電槽化成を行うことで得られる。電解液は、比重が1.28以上1.30以下(20℃換算)の希硫酸である。
[特定の正極合剤ペーストについて]
正極集電板の格子状部に充填する正極合剤ペーストは、鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、金属錫の平均厚さが0.10μm以上1.0μm以下であり、金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.1以上1.7以下であり、鉛粉100質量部に対する金属錫の割合が0.10質量部以上1.0質量部未満のものである。この正極合剤ペーストの作製方法は、上記構成の金属錫を上記配合で添加することを除いて通常の方法と同じである。
この正極合剤ペーストを正極集電板の格子状部に充填した後、通常の熟成および乾燥工程を行って正極充填板(化成前の正極板)を得る。そして、得られた正極充填板、通常の負極合剤を用いて同様にして得られた負極充填板(化成前の負極板)、およびセパレータを用いて積層体とした後に、極板群としたものを電槽内に収納し、電槽化成を行うことで正極充填板が正極板となり、負極充填板が負極板となる。
なお、「扁平状の金属錫の平均アスペクト比」は、扁平状の金属錫の厚さ方向に垂直な面における平均長軸径と平均短軸径との比率(平均長軸径/平均短軸径)と定義する。また、扁平状の金属錫の平均厚さおよび上記平均長軸径と平均短軸径は、例えば以下の方法で算出できる。走査型電子顕微鏡を用いて、扁平状の金属錫を少なくとも20個以上サンプリングし、これらの金属錫のうちの少なくとも5個について、厚さと、厚さ方向に垂直な面(楕円面と見做す)における長軸径および短軸径を測定して、平均長軸径、平均短軸径、および平均厚さを算出する。
また、正極合剤ペーストに含有させた扁平状の金属錫は、化成後の正極板の格子状部に保持された正極合剤中で、金属錫だけではなく錫化合物(例えば、酸化物、硫化物、水酸化物等の錫化合物であって、錫の価数は二価、四価のいずれの場合もある)の状態で存在する可能性がある。また、金属錫の一部が正極合剤から電解液に溶け出して、錫イオン(二価および/又は四価)として存在し、その電解液に溶け出した錫イオンの一部が、負極板に金属錫または錫化合物の状態で析出している可能性もある。
正極合剤ペーストに含有させる扁平状金属錫の平均アスペクト比および平均厚さは、金属錫の粉砕加工方法や加工条件によって調整できる。例えば、ボールミル装置で錫源を粉砕加工する際に、ボールミル装置の回転速度や、粉砕媒体の量、サイズあるいは重量を変えることで、平均アスペクト比と平均厚さが調整された扁平状金属錫を得ることができる。
また、扁平状金属錫の厚さ方向に垂直な面の面積は特に限定されないが、例えば100μm2以上1000μm2以下であることが好ましい。
[作用、効果]
この実施形態の液式鉛蓄電池は、正極合剤ペーストとして、「鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、金属錫の平均厚さは0.10μm以上1.0μm以下であり、金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.1以上1.7以下」であって、「鉛粉100質量部に対する金属錫の割合が0.10質量部以上1.0質量部未満」のものを用いることにより、正極合剤ペーストに含まれる金属錫の形状等(扁平状であること、平均アスペクト比、および平均厚さ)と金属錫の鉛粉に対する割合が上記範囲外であるものと比較して、放電時の正極活物質の利用率が高くなる。
[試験電池の作製]
実施形態の液式鉛蓄電池と同じ構造の液式鉛蓄電池として、サンプルNo.1~No.25の液式鉛蓄電池を作製した。
具体的には、JIS規格B20サイズの電槽を構成するセル室を一つだけ有する電槽を用意し、そのセル室に一つの極板群を収納して、セル室を一つだけ有する液式鉛蓄電池(動作電圧:2V、定格容量:32Ah)を作製した。また、サンプルNo.1~No.25の液式鉛蓄電池は、使用する正極合剤ペーストを変えた以外は全て同じ構成とした。
先ず、正極集電板として、Pb-Ca-Sn系の鉛合金製のJIS規格B20サイズ用の正極集電板を重力鋳造法によって作製した。次に、負極集電板として、Pb-Ca-Sn系の鉛合金製のJIS規格B20サイズ用の負極集電板を連続鋳造法によって作製した。正極集電板および負極集電板は略長方形である格子状部と耳部とからなり、格子状部は、長方形の四辺をなす枠骨と、枠骨内に配置された縦内骨および横内骨とを有し、枠骨、縦内骨、および横内骨によって、複数の開口部が形成されている。
〔化成前の正極板の作製〕
次に、正極集電板の格子状部に、サンプル毎に下記の方法で作製した正極合剤ペーストを充填した後、熟成および乾燥工程を行って、正極合剤充填板(化成前の正極板)を得た。熟成および乾燥工程は、温度40℃、湿度95%以上の空間で48時間熟成を行った後、温度60℃で24時間以上乾燥させることにより行った。
<サンプル毎の正極合剤ペースト>
No.1で使用した正極合剤ペーストは、以下の方法で作製したものである。先ず、一酸化鉛を主成分とする鉛粉2000gに、水400gと比重1.37の硫酸175gを添加して練り合わせる。次に、得られた水練り物に従来と同様の必要な添加剤(ポリエステル繊維、酸化ビスマス)を添加して練り合わせることにより、正極合剤ペーストを得た。
No.2で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫を10g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.50質量部の割合で含有する。
No.3で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、平均粒子径が45μmである球状の金属錫を10g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して球状の金属錫を0.50質量部の割合で含有する。
No.4で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、平均長さが51.0μmで平均直径が1.0μmである繊維状の金属錫を10g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して繊維状の金属錫を0.50質量部の割合で含有する。
No.5で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が26.0μmで平均短軸径が19.0μm(平均アスペクト比が1.4)であって、平均厚さが6μmで、表面全体(楕円柱の両底面と周面)に凹みが多数存在する金属錫を10g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して厚さが1.0μm超で平坦度が低い金属錫を0.50質量部の割合で含有する。
No.6で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫を1g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.05質量部の割合で含有する。
No.7で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫を2g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.10質量部の割合で含有する。
No.8で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫を4g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.20質量部の割合で含有する。
No.9で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.10で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)である扁平状の金属錫を8g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.40質量部の割合で含有する。
No.11で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫を12g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.60質量部の割合で含有する。
No.12で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫を15g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.75質量部の割合で含有する。
No.13で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫を18g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.90質量部の割合で含有する。
No.14で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫を20g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を1.00質量部の割合で含有する。
No.15で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.05μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.16で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.10μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.17で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.15μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.18で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.30μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.19で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが0.50μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.20で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが1.00μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.21で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が36.2μmで平均短軸径が27.0μm(平均アスペクト比が1.3)であって、平均厚さが1.50μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.22で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が35.2μmで平均短軸径が34.8μm(平均アスペクト比が1.0)であって、平均厚さが0.30μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.23で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が35.7μmで平均短軸径が33.3μm(平均アスペクト比が1.1)であって、平均厚さが0.30μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.24で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が39.6μmで平均短軸径が22.8μm(平均アスペクト比が1.7)であって、平均厚さが0.30μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
No.25で使用した正極合剤ペーストは、No.1と同じ水練り物に従来と同様の必要な添加剤だけでなく、厚さ方向に垂直な面の平均長軸径が39.8μmで平均短軸径が21.6μm(平均アスペクト比が1.8)であって、平均厚さが0.30μmである扁平状の金属錫を5g添加して練り合わせることにより得たものである。つまり、この正極合剤ペーストは、鉛粉100質量部に対して扁平状の金属錫を0.25質量部の割合で含有する。
なお、No.2、No.6~No.25の正極合剤ペーストの作製で使用した扁平状の金属錫は、縁部(楕円柱の周面)に僅かな凹みはあるが、厚さ方向の両面には凹みがほとんど無いものであった。また、No.2、No.6~No.25の正極合剤ペーストの作製で使用した扁平状の金属錫は、厚さ方向に垂直な面の面積が100μm2以上1000μm2以下の範囲内となっていた。
〔その他〕
負極集電板の格子状部には、下記の組成物を用い通常の方法で作製した鉛ペーストを充填した。負極活物質ペースト用の組成物は、鉛粉、ポリエステル繊維からなるカットファイバー、カーボンブラック、リグニン、硫酸バリウムを混合した組成物である。充填後に通常の処理を行って、化成前の負極板を得た。
次に、化成前の負極板をポリエチレン製の袋状セパレータに入れ、化成前の負極板が入ったセパレータ7枚と化成前の正極板6枚を交互に積層して、サンプル毎に二つの積層体を得た。次に、積層体の化成前の正極板の耳部同士および負極板の耳部同士をそれぞれガスバーナーで溶接して、サンプル毎に一つの極板群を得た。
次に、用意した電槽のセル室(空間体積:706.86cm3)内に一つの極板群を収納して、蓋、導線部及び拡張端子を取り付けた後、比重1.23の希硫酸からなる電解液をセル室内に入れた。次に、正極理論容量の230%の充電電気量で電槽化成を行うことで、No.1~No.25の液式鉛蓄電池を一体ずつ得た。
[評価試験]
得られた各液式鉛蓄電池を用いて、以下の方法で正極利用率を調べる試験を行った。
JIS D 5301に則り、各液式鉛蓄電池を25℃の水槽内に設置し、5時間率電流で、終止電圧が10.5Vに到達するまで定電流放電した。この10.5Vに到達した時の放電容量を理論容量で除算した値を、各液式鉛蓄電池の正極利用率とし、No.1の液式鉛蓄電池の正極利用率を100とした相対値を算出した。
<金属錫の有無および形状が異なる例における比較>
先ず、No.1~No.5の液式鉛蓄電池の試験結果について、各液式鉛蓄電池の正極板の構成(正極合剤ペーストに含まれる金属錫の鉛粉に対する割合、平均長軸径、平均短軸径、平均アスペクト比、平均厚さ)とともに表1に示す。
つまり、表1には、正極合剤ペーストに金属錫が含まれていないものを用いた液式鉛蓄電池(No.1)、正極合剤ペーストに「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.50質量部の割合で含まれているものを用いた液式鉛蓄電池(No.2)、および正極合剤ペーストに金属錫が鉛粉100質量部に対して0.50質量部の割合で含まれているが「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.1以上1.7以下で、平均厚さが0.10μm以上1.0μm以下である扁平状の金属錫」ではないものを用いた液式鉛蓄電池(No.3~No.5)の結果が、まとめて示してある。
Figure 2023071228000002
表1の結果から以下のことが分かる。
「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.50質量部の割合で含まれている正極合剤ペーストを用いたNo.2の液式鉛蓄電池は、金属錫が含まれていない正極合剤ペーストを用いたNo.1の液式鉛蓄電池よりも正極利用率が向上したが、正極合剤ペーストに金属錫が同じ割合で含まれていても、その金属錫が「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.1以上1.7以下で、平均厚さが0.10μm以上1.0μm以下である扁平状の金属錫」でない場合(No.3~No.5の液式鉛蓄電池)は、正極利用率の向上効果が得られなかった。この結果は以下の理由によるものと考えられる。
No.2の液式鉛蓄電池においては、「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫」が含まれている正極合剤ペーストを用いたことで、正極合剤充填板(化成前の正極板)に存在する化成前の正極合剤中に、比表面積の大きい扁平状の金属錫が存在している。この大きな比表面積の金属錫が、化成後の正極板の正極合剤中で正極活物質に対して高い電子伝導性を付与したことで、No.2の液式鉛蓄電池では正極利用率の向上効果が得られたと考えられる。
これに対して、No.3の液式鉛蓄電池では、球状の金属錫が扁平状の金属錫と比較して正極活物質粒子との接触面積が小さいため、正極活物質に対して電子伝導性を付与する効果が得られず、正極利用率の向上効果が得られなかったと考えられる。
また、No.4の液式鉛蓄電池では、繊維状の金属錫は扁平状の金属錫よりも高い比表面積を有するが、電槽化成時に正極合剤から電解液中に溶出し易いため、繊維状の金属錫が正極合剤に存在しない状態となって、正極活物質に対して電子伝導性を付与する効果が得られず、正極利用率の向上効果が得られなかったと考えられる。
また、No.5の液式鉛蓄電池では、厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.4であるが平均厚さが6μmで平坦度の低い金属錫が含まれている正極合剤ペーストを用いたことで、正極活物質粒子と金属錫粒子との接触面積が小さくなって、化成後の正極板の正極合剤中で正極活物質に対して電子伝導性を付与する効果が得られず、正極利用率の向上効果が得られなかったと考えられる。
<扁平状金属錫の鉛粉に対する割合が異なる例における比較>
次に、No.2とNo.6~No.14の液式鉛蓄電池の試験結果について、各液式鉛蓄電池の正極板の構成(正極合剤ペーストに含まれる金属錫の鉛粉に対する割合、平均長軸径、平均短軸径、平均アスペクト比、平均厚さ)とともに表2に示す。
つまり、表2には、正極合剤ペーストに「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して異なる割合(0.05質量部~1.00質量部の各割合)で含まれているものを用いた液式鉛蓄電池の結果が、まとめて示してある。
Figure 2023071228000003
表2の結果から以下のことが分かる。
「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.10質量部以上0.90質量部以下の割合で含まれている正極合剤ペーストを用いたNo.2とNo.7~No.13の液式鉛蓄電池は、金属錫が含まれていない正極合剤ペーストを用いたNo.1の液式鉛蓄電池よりも正極利用率が向上した(相対値が101以上であった)が、鉛粉100質量部に対して0.05質量部および1.00質量部の割合で含まれている正極合剤ペーストを用いたNo.6およびNo.14の液式鉛蓄電池の正極利用率は、金属錫が含まれていない正極合剤ペーストを用いたNo.1の液式鉛蓄電池と同等以下であった。
このような結果となった理由は、鉛粉に対する「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫」の割合が、No.6の液式鉛蓄電池では少な過ぎて扁平状の金属錫による作用が得られなかったためであり、No.14の液式鉛蓄電池では多過ぎたためであると考えられる。鉛粉に対する「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫」の割合が多過ぎると、扁平状の金属錫が正極活物質と電解液の接触を阻害することで、正極利用率が低下すると考えられる。
また、No.2とNo.7~No.13の液式鉛蓄電池のうち、「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.75μmである扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.20質量部以上0.50質量部以下の割合で含まれている正極合剤ペーストを用いたNo.2とNo.8~No.10の液式鉛蓄電池は、正極利用率の向上効果が大きかった。
<扁平状金属錫の平均厚さが異なる例における比較>
次に、No.9とNo.15~No.21の液式鉛蓄電池の試験結果について、各液式鉛蓄電池の正極板の構成(正極合剤ペーストに含まれる金属錫の鉛粉に対する割合、平均長軸径、平均短軸径、平均アスペクト比、平均厚さ)とともに表3に示す。
つまり、表3には、正極合剤ペーストに「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.05μm~1.50μmの各値である扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.25質量部で含まれているものを用いた液式鉛蓄電池の結果が、まとめて示してある。
Figure 2023071228000004
表3の結果から以下のことが分かる。
「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.10μm以上1.00μm以下である扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.25質量部の割合で含まれている正極合剤ペーストを用いたNo.9とNo.15~No.21の液式鉛蓄電池は、金属錫が含まれていない正極合剤ペーストを用いたNo.1の液式鉛蓄電池よりも正極利用率が向上した(相対値が102以上であった)が、「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.05μmおよび1.50μmである扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.25質量部の割合で含まれている正極合剤ペーストを用いたNo.15およびNo.21の液式鉛蓄電池の正極利用率は、金属錫が含まれていない正極合剤ペーストを用いたNo.1の液式鉛蓄電池と同じであった。
このような結果となった理由は、正極合剤ペーストに鉛粉100質量部に対して0.25質量部の割合で含まれている「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3である扁平状の金属錫」の平均厚さが、No.15の液式鉛蓄電池では薄すぎて、No.21の液式鉛蓄電池では厚すぎて、扁平状の金属錫による作用が得られなかったためであると考えられる。
扁平状の金属錫の平均厚さが薄過ぎると、電槽化成時に正極合剤から電解液中に溶出し易い。そのため、No.15の液式鉛蓄電池では、扁平状の金属錫が正極合剤に存在しない状態となって、正極活物質に対して電子伝導性を付与する効果が得られず、正極利用率の向上効果が得られなかったと考えられる。
扁平状の金属錫の平均厚さが厚過ぎると、正極合剤充填板(化成前の正極板)に存在する化成前の正極合剤中に存在する扁平状の金属錫の比表面積が小さいものとなっている。そして、比表面積の小さい金属錫では、化成後の正極板の正極合剤中で正極活物質に対して電子伝導性を付与する効果が得られず、No.21の液式鉛蓄電池では、正極利用率の向上効果が得られなかったと考えられる。
また、No.9とNo.16~No.21の液式鉛蓄電池のうち、「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.3で、平均厚さが0.15μm以上0.50μm以下である扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.25質量部の割合で含まれている正極合剤ペーストを用いたNo.17~No.19の液式鉛蓄電池は、正極利用率の向上効果が大きかった。
<扁平状金属錫の平均アスペクト比が異なる例における比較>
次に、No.18とNo.22~No.25の液式鉛蓄電池の試験結果について、各液式鉛蓄電池の正極板の構成(正極合剤ペーストに含まれる金属錫の鉛粉に対する割合、平均長軸径、平均短軸径、平均アスペクト比、平均厚さ)とともに表4に示す。
つまり、表4には、正極合剤ペーストに「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.0~1.8の各値で、平均厚さが0.30μmである扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.25質量部で含まれているものを用いた液式鉛蓄電池の結果が、まとめて示してある。
Figure 2023071228000005
表4の結果から以下のことが分かる。
「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.1~1.7で、平均厚さが0.30μmである扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.25質量部の割合で含まれている正極合剤ペーストを用いたNo.18とNo.23~No.25の液式鉛蓄電池は、金属錫が含まれていない正極合剤ペーストを用いたNo.1の液式鉛蓄電池よりも正極利用率が向上した(相対値が102以上であった)が、「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.0および1.8で、平均厚さが0.30μmである扁平状の金属錫」が鉛粉100質量部に対して0.25質量部の割合で含まれている正極合剤ペーストを用いたNo.22およびNo.25の液式鉛蓄電池の正極利用率は、金属錫が含まれていない正極合剤ペーストを用いたNo.1の液式鉛蓄電池と同じであった。
このような結果となった理由は、正極合剤ペーストに鉛粉100質量部に対して0.25質量部の割合で含まれている平均厚さが0.30μmである扁平状の金属錫の平均アスペクト比が、No.22の液式鉛蓄電池では小さすぎて、No.25の液式鉛蓄電池では大きすぎて、扁平状の金属錫による作用が得られなかったためであると考えられる。
以上のことから、鉛粉と、「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.1以上1.7以下で、平均厚さが0.10μm以上1.0μm以下である扁平状の金属錫」と、を含み、「鉛粉100質量部に対する金属錫の割合が0.10質量部以上1.0質量部未満」である正極合剤ペーストを、正極集電板の格子状部に充填した後、熟成および乾燥工程を経て得られた正極板を有する液式鉛蓄電池は、正極合剤ペーストに上記添加物(「厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比が1.1以上1.7以下で、平均厚さが0.10μm以上1.0μm以下である扁平状の金属錫」であって、鉛粉100質量部に対する金属錫の割合が0.10質量部以上1.0質量部未満であるもの)を含まないものよりも、正極利用率が高いものとなることが確認できた。
また、上記添加物の鉛粉100質量部に対する金属錫の割合は0.20質量部以上0.50質量部以下であることが好ましく、上記添加物の平均厚さは0.15μm以上0.50μm以下であることが好ましいことも確認できた。
1 極板群
10 正極板
12 正極集電板の耳部
13 正極ストラップ
14 正極端子
20 負極板
22 負極集電板の耳部
23 負極ストラップ
24 負極端子
30 セパレータ
41 電槽
43 蓋

Claims (4)

  1. セル室を有する電槽と、前記セル室に収納された極板群と、前記セル室に注入された電解液と、を備え、
    前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、を備えた積層体を有し、
    前記正極板は、格子状部を備えた正極集電板と、前記格子状部に保持された正極合剤と、を有し、正極合剤ペーストを前記格子状部に充填した後、熟成および乾燥工程を経て得られたものであり、
    前記正極合剤ペーストは、鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、
    前記金属錫の平均厚さは0.10μm以上1.0μm以下であり、前記金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.1以上1.7以下であり、
    前記鉛粉100質量部に対する前記金属錫の割合が0.10質量部以上1.0質量部未満である液式鉛蓄電池。
  2. セル室を有する電槽と、前記セル室に収納された極板群と、前記セル室に注入された電解液と、を備え、
    前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、を備えた積層体を有し、
    前記正極板は、格子状部を備えた正極集電板と、前記格子状部に保持された正極合剤と、を有し、正極合剤ペーストを前記格子状部に充填した後、熟成および乾燥工程を経て得られたものであり、
    前記正極合剤ペーストは、鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、
    前記金属錫の平均厚さは0.10μm以上1.0μm以下であり、前記金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.1以上1.7以下であり、
    前記鉛粉100質量部に対する前記金属錫の割合が0.20質量部以上0.50質量部以下である液式鉛蓄電池。
  3. セル室を有する電槽と、前記セル室に収納された極板群と、前記セル室に注入された電解液と、を備え、
    前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、を備えた積層体を有し、
    前記正極板は、格子状部を備えた正極集電板と、前記格子状部に保持された正極合剤と、を有し、正極合剤ペーストを前記格子状部に充填した後、熟成および乾燥工程を経て得られたものであり、
    前記正極合剤ペーストは、鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、
    前記金属錫の平均厚さは0.15μm以上0.50μm以下であり、前記金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.1以上1.7以下であり、
    前記鉛粉100質量部に対する前記金属錫の割合が0.20質量部以上0.50質量部以下である液式鉛蓄電池。
  4. セル室を有する電槽と、前記セル室に収納された極板群と、前記セル室に注入された電解液と、を備え、
    前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、を備えた積層体を有し、
    前記正極板は、格子状部を備えた正極集電板と、前記格子状部に保持された正極合剤と、を有する液式鉛蓄電池の製造方法であって、
    正極合剤ペーストを前記格子状部に充填する工程と、
    前記工程の後に熟成および乾燥を行って正極合剤充填板を得る工程と、
    前記正極合剤充填板を化成して前記正極板を得る工程と、
    を備え、
    前記正極合剤ペーストとして、
    鉛粉と扁平状の金属錫とを含み、前記金属錫の平均厚さは0.10μm以上1.0μm以下であり、前記金属錫の厚さ方向に垂直な面の平均アスペクト比は1.1以上1.7以下であり、前記鉛粉100質量部に対する前記金属錫の割合が0.10質量部以上1.0質量部未満であるものを用いる液式鉛蓄電池の製造方法。
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