JP2023068618A - 車両用ドア装置 - Google Patents

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克介 荒木
Katsusuke Araki
誠一 角谷
Seiichi Sumiya
明能 森
Akiyoshi Mori
智章 深民
Tomoaki Fukatami
佑介 梶野
Yusuke Kajino
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Abstract

【課題】構成簡素に開閉動作の自由度を向上させる。【解決手段】車両用ドア装置20は、車体2に対する第1の回動連結点X1と車両のドア5に対する第2の回動連結点X2とを有する第1及び第2のリンクアーム11,12を備える。そして、車両用ドア装置20は、これら第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づいて、そのドア5が開閉動作する。また、車両用ドア装置20は、第2のリンクアーム12に設けられて、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長を変更可能とする連結長可変機構35を備える。そして、車両用ドア装置20は、この連結長可変機構35の動作に基づいて、その第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15を介して車体2に支持されたドア5の開閉動作軌跡が変化するように構成される。【選択図】図24

Description

本発明は、車両用ドア装置に関するものである。
従来、車体に対する第1の回動連結点と車両のドアに対する第2の回動連結点とを有した第1及び第2のリンクアームを備える車両用ドア装置がある。このような車両用ドア装置は、第1及び第2のリンクアームが形成するリンク機構の動作に基づいて、そのドア開口部に設けられたドアが開閉動作する。また、例えば、特許文献1には、リンク機構を形成する各リンクアームを、ドアが閉状態にある場合に、車体側部の端末部に装着されるドアオープニングの外側、且つドアの車内側に装着されるウェザストリップの内側となる位置に格納する構成が記載されている。そして、例えば、特許文献2には、このような各リンクアームが形成するリンク機構を、車体側のガイドレールとドア側のガイドローラユニットとが係合する構造に組み合わせる構成が開示されている。
特開2006-90097号公報 特開2008-163693号公報
しかしながら、上記のようなリンク機構を介して車体にドアを支持する構成においては、そのリンク機構を構成する第1及び第2のリンクアームの回動に基づいて、ドアの開閉動作軌跡が規定される。そして、開閉動作の自由度を高めるべく、上記従来技術のようにガイドレールを組み合わせることで、その構成が複雑になるという問題がある。
上記課題を解決する車両用ドア装置の各態様を記載する。
態様1の車両用ドア装置は、車体に対する第1の回動連結点と車両のドアに対する第2の回動連結点とを有する第1及び第2のリンクアームと、前記第1及び第2のリンクアームの少なくとも何れかに設けられて前記第1及び第2の回動連結点間の連結長を変更可能とする連結長可変機構と、を備え、前記第1及び第2のリンクアームが形成するリンク機構の動作に基づき前記ドアが開閉動作するとともに、前記連結長可変機構の動作に基づいて、前記ドアの開閉動作軌跡が円弧状軌跡と直線状軌跡とで変化するように構成される。
上記構成によれば、簡素な構成にて、開閉動作の自由度を高めることができる。即ち、連結長可変機構の動作に基づき連結長が変化することで、例えば、全閉位置近傍において、そのドアの開閉動作軌跡を円弧状軌跡から直線状軌跡に変化させることができる。そして、これにより、ドアが全閉位置から開動作又は全閉位置に閉動作する際、車体に干渉することなく円滑に開閉動作させることができる。
態様2の車両用ドア装置は、態様1に記載の車両用ドア装置において、前記連結長可変機構は、前記第1の回動連結点を有した車体側リンクと前記第2の回動連結点を有したドア側リンクとを回動可能に連結してなる関節リンク機構であることが好ましい。
上記構成によれば、車体側リンク及びドア側リンクが形成する関節リンク機構の中間連結点を頂点とする三角形の底辺が、その第1及び第2の回動連結点間の連結長となる。そして、これにより、車体側リンクとドア側リンクとの相対回動に基づいて、その連結長を変更することができる。
また、このような関節リンク機構には、例えば、埃やゴミ等の異物、或いは凍結等、使用環境の影響を受け難いという特徴がある。そして、これにより、高い信頼性及び耐久性を確保することができる。
更に、関節リンク機構には、その車体側リンク及びドア側リンクの形状自由度が高いという利点がある。例えば、車体側リンクを折曲形状として、ドア開口部との干渉を回避する。そして、これにより、そのドアの全開動作時、より大きなドア開口量を確保することができる。
態様3の車両用ドア装置は、態様2に記載の車両用ドア装置において、前記ドア側リンクは、前記車体側リンクを挟み込む状態で該車体側リンクに対して回動可能に連結されるとともに上下方向に離間した位置において前記ドアに対して回動可能に連結される一対の挟持部を備えてなることが好ましい。
上記構成によれば、車体側リンクがドアとの間に形成する第2の回動連結点について、高い支持剛性を確保することができる。更に、この第2の回動連結点に形成される回動軸に対して、そのドアが傾動し難くなる。そして、これにより、安定的に、そのドアを支持することができる。
態様4の車両用ドア装置は、態様2又は態様3に記載の車両用ドア装置において、前記車体側リンク及び前記ドア側リンクを相対回動させる付勢力を発生する付勢部材を備えることが好ましい。
上記構成によれば、付勢部材の付勢力を利用して、ドアの開閉動作時、その車体側リンク及びドア側リンクの相対回動に基づいた第1及び第2の回動連結点間の連結長を保持することができる。そして、これにより、ドアの揺れや振動を抑えて、安定的な開閉動作を実現することができる。
態様5の車両用ドア装置は、態様4に記載の車両用ドア装置において、前記関節リンク機構は、前記ドアが全閉位置から開動作することにより、前記車体側リンク及び前記ドア側リンクの相対回動に基づいて、連結長方向に沿った前記付勢力の分力が、前記全閉位置よりも強くなるように構成されることが好ましい。
上記構成によれば、ドアが開閉動作する状態にある場合には、その連結長方向に沿った強い付勢力の分力によって、第1及び第2の回動連結点間の連結長を安定的に保持することができる。そして、これにより、安定的なドアの開閉動作を実現することができる。
また、ドアが全閉位置にある場合には、その連結長方向に沿った付勢力の分力が小さくなる。即ち、全閉状態にある場合には、付勢部材の付勢力に依らず、安定的に、そのドアを保持することが可能である。従って、この場合、その連結長方向に沿った付勢力の分力を弱めることにより、良好なドアの建て付け性を確保することができる。
態様6の車両用ドア装置は、態様1~態様5の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記連結長可変機構と組み合わせて前記第1及び第2のリンクアームの少なくとも何れかに設けられた係合突部と、前記係合突部が係合するカム溝を有して前記ドア又は前記車体に設けられたカム部材と、を備え、前記ドアの開閉動作に基づき前記カム溝内を前記係合突部が移動することにより、前記ドアの開閉動作軌跡が規定されることが好ましい。
上記構成によれば、例えば、開閉動作時、車体とドアとのクリアランスを詰める等、狙いの開閉動作軌跡を実現することができる。更に、例えば、外力等による開閉動作軌跡の変動を抑制することができる。そして、これにより、車体との干渉を回避することができるとともに、併せて、良好な操作フィーリングを確保することができる。
態様7の車両用ドア装置は、態様6に記載の車両用ドア装置において、前記カム溝は、該カム溝内における前記係合突部の係合位置に基づいて、前記連結長を規定するように構成されることが好ましい。
上記構成によれば、ドアの開閉動作位置に応じた連結長を設定することができる。そして、これにより、そのドアの開閉動作軌跡を自在に設定することができる。更に、ドアに対して外力が印加された場合にも、その開閉動作位置に応じた連結長が維持される。そして、これにより、ドアの揺れや振動を抑えて、その開閉動作姿勢を安定的に保持することができる。
態様8の車両用ドア装置は、態様6又は態様7に記載の車両用ドア装置において、前記カム部材は、前記ドアに設けられるとともに、前記カム溝は、該カム溝内における前記係合突部の係合位置に応じて、前記第2の回動連結点周りに前記ドアの回動を規制するように構成されることが好ましい。
上記構成によれば、ドアに対して外力が印加された場合にも、その開閉動作位置に応じた第2の回動連結点周りの回動姿勢が維持される。そして、これにより、ドアの揺れや振動を抑えて、その開閉動作姿勢を安定的に保持することができる。
態様9の車両用ドア装置は、態様6~態様8の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記連結長可変機構の動作に基づき接離する第1及び第2の当接部を有したストッパ機構を備え、前記第1及び第2の当接部が当接して前記連結長の変更が規制されることにより、前記ドアの開閉動作軌跡が前記直線状軌跡から前記円弧状軌跡に移行するとともに、前記カム溝は、前記円弧状軌跡に対応する円弧形状部と、前記直線状軌跡に対応する直線形状部と、前記円弧形状部と前記直線形状部との間を連続的に接続する湾曲形状を有した湾曲接続部と、を備え、前記カム溝内の前記係合突部が前記直線形状部から前記円弧形状部に移動する際には、前記湾曲接続部に前記係合突部が摺接する状態で、前記直線形状部から前記円弧形状部に向かう前記係合突部の移動が案内される。
上記構成によれば、ストッパ機構の機能に基づいて、その第1及び第2の回動連結点間の連結長が安定的に保持される。そして、これにより、安定的なドアの開閉動作を実現することができる。更に、ストッパ機構を構成する第1及び第2の当接部が当接する際の衝撃を効果的に緩和することができる。そして、これにより、そのドアの揺れや振動を抑えて、高い質感を確保することができる。
態様10の車両用ドア装置は、態様1~態様9の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記ドアが全開位置にある場合に前記第1及び第2のリンクアームの少なくとも何れかと前記車体との間に挟み込まれる緩衝部材を備えることが好ましい。
上記構成によれば、全開位置に到達したドアの揺れや振動を抑えて、安定的に、その全開位置に保持することができる。
態様11の車両用ドア装置は、態様1~態様10の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記第1及び第2のリンクアームにおける回動連結点の少なくとも何れかは、板状連結部と、前記板状連結部を厚み方向に貫通する貫通孔と、前記貫通孔に嵌着される筒状緩衝部材と、前記筒状緩衝部材を介して前記貫通孔に挿通される支軸と、を備えてなることが好ましい。
上記構成によれば、その筒状緩衝部材を介して貫通孔に挿通された支軸周りに板状連結部の回動が許容される。更に、その筒状緩衝部材が弾性変形することで、その板状連結部の変位が許容される。つまりは、その回動軸となる支軸に対する傾動を含めたリンクアームの上下方向変位が許容される。そして、これにより、簡素な構成にて、その回動連結部の連結自由度を高めることができる。つまりは、例えば、ボールジョイント等の自在継手を用いた場合の動きを擬似的に再現することができる。その結果、例えば、製造及び組付公差等を吸収して組付性の向上を図ることができる。
態様12の車両用ドア装置は、態様1~態様11の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記第1及び第2のリンクアームにおける回動連結点の少なくとも何れかは、相対回動可能に連結された第1及び第2の回動連結部を備えてなるとともに、前記第1及び第2の回動連結部間に介在されて該第1及び第2の回動連結部に摺接することにより摺動抵抗を付与するフリクション部材を備えることが好ましい。
上記構成によれば、第1及び第2の回動連結部が形成する回動連結点周りに、そのリンク機構に支持されたドアの動作抵抗を増加させることができる。そして、これにより、ドアに生じた揺れや振動を減衰することで、その開閉動作姿勢を安定的に保持することができる。
態様13の車両用ドア装置は、態様1~態様12の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記リンク機構の動作に基づき前記車両のドア開口部を開閉する前記ドアの閉側端部に設けられたドア側係合部と、前記ドアの開閉動作に基づいて該ドアの前記閉側端部が接離する前記ドア開口部の閉側端部に設けられた車体側係合部と、を備え、前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の一方側は、前記車両の上下方向に延びる軸状係合部を備え、前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の他方側は、車幅方向に対向する一対の側壁部を有して前記ドアの開閉動作方向に延在するガイド溝を備えてなり、前記ドア側係合部と前記車体側係合部とが係合する前記ドアの全閉位置近傍の開閉動作位置においては、前記ガイド溝内に前記軸状係合部が配置されることが好ましい。
上記構成によれば、ガイド溝内に軸状係合部が配置されることにより、その車幅方向の変位が規制される。そして、これにより、第1及び第2のリンクアームの距離が近づいて直線的に並んだ状態になりやすい全閉位置近傍の開閉動作位置においても、そのドアを安定的に支持することができる。
更に、ドア側係合部と車体側係合部とが係合した状態においては、連結長可変機構の動作に基づいて、そのドアの開閉動作軌跡が円弧状軌跡から直線状軌跡に変化する。そして、これにより、円滑に、そのドアを全閉位置に閉動作させ、及び全閉位置から開動作させることができる。
態様14の車両用ドア装置は、態様1~態様13の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記リンク機構に駆動力を付与して前記ドアを開閉動作させるアクチュエータを備えることが好ましい。
上記構成によれば、利便性を向上させることができる。
態様15の車両用ドア装置は、態様1~態様14の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記連結長を固定可能とする連結長固定機構を備えることが好ましい。
即ち、ドアと車体との間の連結長を固定することで、ドアの開閉動作時、ドアの揺れや振動を抑えて、安定的な開閉動作を実現することができる。
態様16の車両用ドア装置は、態様15に記載の車両用ドア装置において、前記連結長可変機構は、前記第1の回動連結点を有した車体側リンクと前記第2の回動連結点を有したドア側リンクとを回動可能に連結してなる関節リンク機構であって、前記連結長固定機構は、前記ドア側リンクに設けられた第1係合部材と、前記ドアに設けられた第2係合部材と、を備え、前記ドアの開閉動作に基づいて、前記第1係合部材と前記第2係合部材とが係合することにより、前記ドア側リンクを前記ドアに固定して該ドアに対する前記ドア側リンクの相対回動を規制することにより前記連結長を固定するとともに、前記第1係合部材と前記第2係合部材とが脱離することにより、前記連結長の固定を解除するように構成されることが好ましい。
即ち、関節リンク機構を連結長可変機構に用いる構成では、ドア側リンクがドアと一体化した状態となることで、このドア側リンクと車体側リンクとの中間連結点が、そのドアに対する新たな第2の回動連結点となる。つまりは、その連結長が、車体側リンクの長さに基づいた一定の値となる。そして、上記構成によれば、ドアの開閉動作に基づいたドア側リンク側の第1係合部材とドア側の第2係合部材との係脱によって、安定的に、その第1及び第2の回動連結点間の連結長を固定し、及び、その固定を解除することができる。
態様17の車両用ドア装置は、態様16に記載の車両用ドア装置において、前記連結長固定機構は、前記ドアの開閉動作に基づき前記第1係合部材及び前記第2係合部材の係脱タイミングを生成するタイミング生成部と、前記生成された前記係脱タイミングに基づき前記第1係合部材及び前記第2係合部材を係脱させる係脱駆動部と、を備えることが好ましい。
上記構成によれば、タイミング生成部及び係脱駆動部の設定により、第1係合部材と第2係合部材との係脱タイミングを調整することができる。そして、これにより、適切なタイミングで、精度よく、そのドアの開閉動作に基づいて、ドアと車体との連結長を固定し、及び、その固定を解除することができる。
態様18の車両用ドア装置は、態様17に記載の車両用ドア装置において、前記第1係合部材は、前記ドア側リンクに設けられた係合突部であり、前記第2係合部材は、前記ドアに設けられた支軸周りに回動することにより前記係合突部に対して係脱するフックレバーであるとともに、前記連結長固定機構は、前記車体側リンクに設けられた押圧突部と、前記フックレバーに設けられたフックカムと、を備え、前記タイミング生成部及び前記係脱駆動部は、前記ドアの開閉動作に基づき前記車体側リンクが回動することにより前記フックカムと前記押圧突部とが相対変位するとともに、該相対変位に基づき前記フックカムと前記押圧突部とが係脱することにより前記フックレバーが回動するように構成されることが好ましい。
上記構成によれば、連結長可変機構を構成する関節リンク機構の動作に基づいて、自律的に作動するタイミング生成部及び係脱駆動部を形成することができる。更に、支軸周りに回動するフックレバーが係合突部に係合する構成を採用することで、簡素な構成にて、安定的に、そのドア側リンク側の第1係合部材とドア側の第2係合部材とを係脱させることができる。そして、これにより、ドアの開閉動作に基づいた適切なタイミングで、その連結長固定機構の作動により、ドアと車体との連結長を固定し、及び、その固定を解除することができる。
態様19の車両用ドア装置は、態様17に記載の車両用ドア装置において、前記第1係合部材は、前記ドア側リンクに設けられた係合突部であり、前記第2係合部材は、前記ドアに設けられた支軸周りに回動することにより前記係合突部に対して係脱するフックレバーであるとともに、前記連結長固定機構は、前記リンク機構の動作に基づき前記車両のドア開口部を開閉する前記ドアの閉側端部に設けられたドアレバーと、前記ドアの開閉動作に基づいて該ドアの前記閉側端部が接離する前記ドア開口部の閉側端部に設けられた車体カムと、前記ドアレバーと前記フックレバーとを接続する接続部材と、を備え、前記ドアの開閉動作に基づき前記ドアレバーと前記車体カムとが係脱することにより前記タイミング生成部が形成されるとともに、前記接続部材を介して前記ドアレバーの動作が前記フックレバーに伝達されることにより前記係脱駆動部が形成されることが好ましい。
上記構成によれば、支軸周りに回動するフックレバーが係合突部に係合する構成を採用することで、簡素な構成にて、安定的に、そのドア側リンク側の第1係合部材とドア側の第2係合部材とを係脱させることができる。また、そのタイミング生成部が、第1係合部材としての係合突部及び第2係合部材としてのフックレバーから独立した構成を有することで、容易に、その係脱タイミングの調整を行うことができる。更に、タイミング生成部を構成するドアレバーとフックレバーとを接続部材を介して接続することにより、その係脱駆動部が形成される。そして、これにより、簡素な構成にて、精度よく、その係合突部に対してフックレバーを係脱動作させることができるとともに、併せて、その高い信頼性を確保することができる。
態様20の車両用ドア装置は、態様15~態様19に記載の車両用ドア装置において、前記リンク機構の動作に基づき前記車両のドア開口部を開閉する前記ドアの閉側端部に設けられたドア側係合部と、前記ドアの開閉動作に基づいて該ドアの前記閉側端部が接離する前記ドア開口部の閉側端部に設けられた車体側係合部と、を備えるとともに、前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の一方側は、ガイド係合部を備え、前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の他方側は、互いに対向する一対の側壁部を有して前記ドアの開閉動作方向に延在するガイド溝を備えてなり、前記ドア側係合部と前記車体側係合部とが係合する前記ドアの全閉位置近傍においては、前記ガイド溝内に前記ガイド係合部が配置された状態で、前記ドアの開閉動作が案内されるものであって、前記連結長固定機構は、前記全閉位置から移動する前記ドアの開動作に基づいて、前記ドア側係合部と前記車体側係合部との係合が解除されるタイミングで前記連結長を固定するとともに、前記全閉位置に移動する前記ドアの閉動作に基づいて、前記ドア側係合部と前記車体側係合部とが係合するタイミングで前記連結長の固定を解除するように構成されることが好ましい。
上記構成によれば、リンク機構の動作に基づき開閉動作するドアについて、そのドア側係合部と車体側係合部とが係合する全閉位置近傍の開閉動作位置においては、その連結長可変機構の動作に基づいた開閉動作軌跡の変化が許容される。また、そのドア側係合部と車体側係合部との係合が解除された開側の開閉動作位置においては、そのドアと車体との連結長が固定される。そして、これにより、全閉位置近傍における円滑なドアの開閉動作を担保しつつ、安定的に、そのドアを支持することができる。
本発明によれば、簡素な構成にて、開閉動作の自由度を高めることができる。
車両用ドア装置の斜視図。 車両用ドア装置の斜視図。 リンク機構を形成する第1及び第2のリンクアームの平面図。 リンク機構を形成する第1及び第2のリンクアームの平面図。 リンク機構を形成する第1及び第2のリンクアームの平面図。 リンク機構を形成する第1及び第2のリンクアームの平面図。 ドア側係合部及び車体側係合部の概略構成図。 ドア側係合部及び車体側係合部の配置を示す説明図。 ドア側係合部及び車体側係合部の配置を示すドア及びドア開口部の斜視図。 ドア側係合部及び車体側係合部の斜視図。 ドア側係合部及び車体側係合部の側面図。 ドア側係合部及び車体側係合部の断面図。 ドア側係合部及び車体側係合部の断面図。 ドア側係合部及び車体側係合部の分解斜視図。 ドア側係合部の正面図。 ドア側係合部の側面図。 上方の車体側係合部を構成する第1のガイド部材及び固定ブラケットの斜視図。 下方の車体側係合部を構成する第2のガイド部材及び固定ブラケットの斜視図。 第2のガイド部材及び固定ブラケットの側面図。 第2のガイド部材及び固定ブラケットの断面図。 第1のガイド部材及び固定ブラケットの斜視図。 第2のリンクアームに設けられた連結長可変機構を構成する関節リンク機構の平面図。 関節リンク機構の平面図。 車両用ドア装置の斜視図。 車両用ドア装置の斜視図。 関節リンク機構を有した第2のリンクアームの平面図。 関節リンク機構を有した第2のリンクアームの動作説明図。 関節リンク機構を有した第2のリンクアームの側面図。 関節リンク機構を有した第2のリンクアームの分解斜視図。 第2のリンクアームのドアに対する第2の回動連結点及び関節リンク機構の中間連結点の断面図。 第2のリンクアームに設けられた係合突部及びドアに設けられたカム部材の平面図。 第2のリンクアームに設けられた係合突部及びドアに設けられたカム部材の平面図。 第2のリンクアームに設けられた係合突部及びドアに設けられたカム部材の平面図。 第2のリンクアームに設けられた係合突部及びドアに設けられたカム部材の平面図。 第2のリンクアームの車体に対する第1の回動連結点近傍の斜視図。 第2のリンクアームの車体に対する第1の回動連結点の断面図。 第1のリンクアーム及びアクチュエータの斜視図。 第1のリンクアーム及びアクチュエータの分解斜視図。 第1のリンクアームの側面図。 第1のリンクアームのドアに対する第2の回動連結点を構成する先端ブラケット及びドアブラケット、並びにフリクション部材の断面図。 アクチュエータが設けられた第1のリンクアームの車体に対する第1の回動連結点の形成部位近傍の側面図。 別例の連結長可変機構を構成する伸縮リンク機構の平面図。 伸縮リンク機構の平面図。 第2の実施形態における連結長固定機構の平面図。 第2の実施形態における連結長固定機構の平面図。 第2の実施形態における連結長固定機構の平面図。 連結長固定機構及びガイド機構の係脱タイミングを説明するタイミングチャート。 第3の実施形態における連結長固定機構の平面図。 第3の実施形態における連結長固定機構の平面図。 第3の実施形態における連結長固定機構の平面図。 第3の実施形態の連結長固定機構を構成するタイミング生成部の側面図。 第3の実施形態の連結長固定機構を構成するタイミング生成部の側面図。 第3の実施形態の連結長固定機構を構成するタイミング生成部の側面図。 別例の連結長固定機構の概略構成を示すブロック図。 第4の実施形態におけるドアブラケット及び関節リンク機構を有した第2のリンクアームの側面図。 第4の実施形態におけるドアブラケット及び関節リンク機構を有した第2のリンクアームの分解斜視図。 第4の実施形態におけるドアブラケット及び関節リンク機構を有した第2のリンクアームの平面図。 第4の実施形態におけるドアブラケット及び関節リンク機構を有した第2のリンクアームの平面図。 第4の実施形態におけるドアブラケット及び関節リンク機構を有した第2のリンクアームの平面図。 第4の実施形態におけるカム溝の形状を示す平面図。 第4の実施形態におけるドアブラケット及び関節リンク機構を有した第2のリンクアームの平面図。
[第1の実施形態]
以下、車両用ドア装置を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の車両1は、車体2の側面に設けられたドア開口部3を備えている。そして、そのドア開口部3には、このドア開口部3に車両1のドア5を支持する第1のリンクアーム11及び第2のリンクアーム12が設けられている。
詳述すると、本実施形態の車両1において、これら第1及び第2のリンクアーム11,12は、それぞれ、車体2に対する第1の回動連結点X1と、ドア5に対する第2の回動連結点X2と、を有している。具体的には、第1のリンクアーム11は、上下方向(各図中、上下方向)に延びる支軸N1aに軸支された状態で車体2に連結されるとともに、上下方向に延びる支軸N1bに軸支された状態でドア5に連結されている。そして、第2のリンクアーム12もまた、上下方向に延びる支軸N2aに軸支された状態で車体2に連結されるとともに、上下方向に延びる支軸N2bに軸支された状態でドア5に連結されている。
即ち、図3~図6に示すように、本実施形態の車両1においては、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12が四節リンクとしての構成を有したリンク機構15を形成する。そして、本実施形態の車両1は、このリンク機構15の動作に基づいて、そのドア開口部3に支持されたドア5が開閉動作する構成になっている。
さらに詳述すると、図1及び図2に示すように、本実施形態の車両1は、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12を用いて、そのドア5を車両後方側(図1中、左側、図2中、右側)のドア開口部3に支持する。本実施形態の車両1において、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12は、それぞれ、ドア開口部3の後縁部3r近傍において、その車体2に対して回動可能に連結された第1の回動連結点X1を有している。そして、本実施形態の車両1においては、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12が上下方向に離間して配置されている。
本実施形態の車両1においては、第1のリンクアーム11の方が、第2のリンクアーム12よりも上方に設けられている。また、第1のリンクアーム11は、ドア5の前後方向略中央位置において、このドア5に対して回動可能に連結された第2の回動連結点X2を有している。一方、第2のリンクアーム12は、ドア5の前端部5f近傍において、このドア5に連結された第2の回動連結点X2を有している。そして、本実施形態の車両1においては、これにより、その第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づいて、そのドア5が開閉動作するような車両用ドア装置20が形成されている。
具体的には、図3~図6に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5の開動作時、第1及び第2のリンクアーム11,12が、それぞれ、その第1の回動連結点X1周りに、各図中、反時計回り方向に回動する。そして、これにより、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12に支持された車両1のドア5が、車両後方側(各図中、左側)に開動作する。
また、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5の閉動作時、第1及び第2のリンクアーム11,12が、それぞれ、その第1の回動連結点X1周りに、各図中、時計回り方向に回動する。そして、これにより、これら第1及び第2のリンクアーム11,12に支持された車両1のドア5が、車両前方側(各図中、右側)に閉動作する構成になっている。
更に、本実施形態の車両用ドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づいて、円弧状のグライド軌跡Rgを描くように、そのドア5の開閉動作軌跡Rが規定される。即ち、図5に示すように、第1及び第2のリンクアーム11,12が車幅方向(図3~図6中、上下方向)に延在する状態となる中間位置においては、車両前後方向への移動成分が大きくなる。そして、図3及び図4に示すように、ドア5の開閉動作位置が全閉位置P0に近いほど、第1及び第2のリンクアーム11,12が車両前後方向(図3~図6中、左右方向)に延在する状態となることで、その車幅方向への移動成分が大きくなる。
また、本実施形態の車両用ドア装置20においては、第2のリンクアーム12よりも第1のリンクアーム11の方が、より重心Gに近い位置に、そのドア5に対する第2の回動連結点X2を有している。即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより、この第1のリンクアーム11が、より大きなドア荷重を支えるメインリンク21に位置付けられている。そして、第2のリンクアーム12は、その作用するドア荷重が比較的小さいサブリンク22に位置付けられている。
尚、本実施形態の車両用ドア装置20においては、第1のリンクアーム11の方が、第2のリンクアーム12よりも大きな外形を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、そのメインリンク21に位置付けられた第1のリンクアーム11に高い支持剛性を付与する構成となっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20は、モータ25mを駆動源として、その第1のリンクアーム11を回転駆動するアクチュエータ25を備えている。本実施形態の車両用ドア装置20において、このアクチュエータ25は、第1のリンクアーム11の基端部分に設けられている。即ち、本実施形態のアクチュエータ25は、第1のリンクアーム11を回動させるかたちで、この第1のリンクアーム11及び第2のリンクアーム12が形成するリンク機構15を駆動する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、このアクチュエータ25の駆動力に基づいて、そのドア5を開閉動作させることができるパワードア装置30としての構成を有している。
また、図3~図7に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5の前端部5fに設けられたドア側係合部31と、ドア開口部3の前縁部3fに設けられた車体側係合部32と、を備えている。即ち、本実施形態の車両1において、ドア側係合部31は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づき車両1のドア開口部3を開閉するドア5の閉動作側に位置する閉側端部33に設けられている。更に、車体側係合部32は、その車両前後方向に移動するドア5の開閉動作に基づいて、このドア5の閉側端部33が接離、即ち接近又は離間するドア開口部3の閉側端部34に設けられている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5が全閉位置P0近傍にある状態において、これらのドア側係合部31及び車体側係合部32が互いに係合する構成になっている。
具体的には、図8及び図9に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、上下方向に離間した二位置において、そのドア5の前端部5fに設けられたドア側係合部31,31を備えている。更に、この車両用ドア装置20は、同じく上下方向に離間した二位置において、そのドア開口部3の前縁部3fに設けられた車体側係合部32,32を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これらのドア側係合部31,31及び車体側係合部32,32が互いに係合する状態で、そのドア5を全閉位置P0に保持する構成になっている。
また、図3~図6に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、サブリンク22としての位置付けを有する第2のリンクアーム12には、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを変更可能とする連結長可変機構35が設けられている。更に、この連結長可変機構35は、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の長さ、つまりは、この連結長可変機構35が設けられた第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lを短縮する方向に付勢されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、その第2のリンクアーム12による連結長Lが短縮された状態でドア5が開閉動作する構成になっている。
更に、図3、図4、及び図7に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20においては、第2のリンクアーム12に設けられた連結長可変機構35の動作に基づいて、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合した状態でのドア5の開閉動作が許容される。即ち、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する全閉位置P0近傍においては、第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lが変化することで、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15に支持されたドア5の姿勢が変化する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、そのドア側係合部31が設けられたドア5の前端部5f側が車両前後方向に移動するとともに、その後端部5r側が車幅方向に移動する態様で、このドア5が開閉動作する構成になっている。
具体的には、例えば、全閉位置P0に向かうドア5の閉動作時、ドア5は、その前端部5f側よりも後端部5r側が車幅方向外側(各図中、上側)に突出した傾斜姿勢となっている。また、このとき、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する状態で、そのドア5が閉動作する方向にアクチュエータ25の駆動力又は手動による操作力が付与される。更に、このドア5を閉動作させる力に基づき第2のリンクアーム12に設けられた連結長可変機構35が動作することより、ドア側係合部31と車体側係合部32との係合状態に基づいて、その第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lが延長される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、車幅方向内側に向かう後端部5r側の移動を伴いながら前端部5f側が直線的なスライド軌跡Rsを描く態様で、そのリンク機構15に支持されたドア5が全閉動作する構成になっている。
また、ドア5が全閉位置P0にある状態からの開動作時にも、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する状態で、そのドア5が開動作する方向にアクチュエータ25の駆動力又は手動による操作力が付与される。更に、このドア5を開動作させる力に基づき連結長可変機構35が動作することより、ドア側係合部31と車体側係合部32との係合状態に基づいて、その第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lが短縮される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、車幅方向外側に向かう後端部5r側の移動を伴いながら前端部5f側が直線的なスライド軌跡Rsを描く態様で、そのリンク機構15に支持されたドア5が開動作する構成になっている。
(ドア側係合部及び車体側係合部)
次に、本実施形態の車両用ドア装置20におけるドア側係合部31及び車体側係合部32の構成について説明する。
図7、図9~図14に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、ドア側係合部31は、車両1の上下方向(図7及び図12中、紙面に直交する方向、図11及び13中、上下方向)に延びるガイド係合部としての軸状係合部41を備えている。また、車体側係合部32は、車幅方向(図7及び図12中、上下方向、図13中、左右方向)に対向する一対の側壁部42a,42bを有してドア5の開閉動作方向に延在するガイド溝42を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5が全閉位置P0近傍にある場合には、このガイド溝42内に軸状係合部41を配置する状態で、これらのドア側係合部31及び車体側係合部32が互いに係合する構成になっている。
即ち、図7及び図12に示すように、車幅方向に対向する一対の側壁部42a,42b間に挟み込まれる状態で、車体側係合部32のガイド溝42内にドア側係合部31の軸状係合部41が配置されることにより、その車幅方向におけるドア5の変位が規制される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、第1及び第2のリンクアーム11,12が並んだ状態になりやすい全閉位置P0近傍の開閉動作位置においても、ドア5を安定的に支持することが可能になっている(図3及び図4参照)。
更に、この状態でドア5が開閉動作することにより、連結長可変機構35の動作に基づいた連結長Lの変更を伴いながら、見かけ上、そのガイド溝42の延在方向に沿って軸状係合部41が相対変位する。そして、これにより、そのドア5の開閉動作軌跡Rが変化、つまりは、そのリンク機構15の動作に基づいた円弧状のグライド軌跡Rgが直線的なスライド軌跡Rsに変化する構成となっている。
詳述すると、図10~図16に示すように、本実施形態のドア側係合部31は、ドア5の閉側端部33に設定された設置面43(図7参照)に固定される支持ブラケット44を備えている。具体的には、この支持ブラケット44は、上下方向(図15及び図16中、上下方向)に対向する一対の支持壁45,45と、これら各支持壁45,45の基端部に設けられた一対のフランジ部46,46と、を備えている。尚、本実施形態の車両用ドア装置20において、これらの各支持壁45,45及び各フランジ部46,46は、金属製の板材を折曲加工することにより一体に形成されている。また、この支持ブラケット44が固定されるドア5側の設置面43は、そのドア5が閉動作する方向、つまりは車両前方側に臨む位置において、その閉側端部33となるドア5の前端部5fに設定されている。そして、本実施形態の支持ブラケット44は、このドア5側の設置面43に対し、その一対のフランジ部46,46が締結される構成となっている。
また、本実施形態のドア側係合部31は、その支持ブラケット44を構成する一対の支持壁45,45間に架け渡された支軸47を備えている。本実施形態の支持ブラケット44において、この支軸47は、その前端部5fに設定されたドア5側の設置面43から車両前方側に突出する支持壁45,45の先端部分に設けられている。更に、ドア側係合部31は、この支軸47により回転自在に軸支されたローラ48を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、このローラ48が、その回転自在に軸支されたドア側係合部31の軸状係合部41として機能する構成になっている。
一方、図10~図14に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、車体側係合部32は、ガイド溝42を形成するガイド部材50を備えている。そして、本実施形態の車体側係合部32は、このガイド部材50を、そのドア開口部3の閉側端部34に設定された設置面52に固定する固定ブラケット53を備えている。
詳述すると、本実施形態の車両1において、これらのガイド部材50及び固定ブラケット53が固定される車体2側の設置面52は、車幅方向外側(図12中、下側、図13中、左側)に臨む位置において、そのドア開口部3の前縁部3fに設定されている。そして、本実施形態の固定ブラケット53は、この車体2側の設置面52との間に、そのガイド部材50に設けられたガイド溝42の形成部位を挟み込む状態で、このガイド部材50を固定する構成となっている。
具体的には、本実施形態のガイド部材50は、車体2側の設置面52に対する固定面54と、このガイド部材50が設置面52に固定された状態で車幅方向外側に臨む第1対向面55と、を有している。即ち、本実施形態のガイド部材50において、これらの固定面54及び第1対向面55は、互いに相反する方向に面している。更に、このガイド部材50は、その第1対向面55に対向する第2対向面56を有した係合片57を備えている。そして、本実施形態のガイド部材50は、これらの第1対向面55及び第2対向面56を車幅方向に対向する一対の側壁部42a,42bとして、そのガイド溝42を形成する構成となっている。
即ち、本実施形態のガイド部材50において、係合片57は、ガイド部材50が設置面52に固定された状態で、その車両前方側に配置されるガイド部材50の前端部50fから車両後方側(図12中、左側から右側)に突出する略板状の外形を有している。そして、本実施形態のガイド部材50は、これにより、車両1の上下方向及び車両後方に開口するガイド溝42を形成する構成となっている。
また、本実施形態の固定ブラケット53は、このガイド溝42を形成するガイド部材50の前端部50fを覆う断面略コ字状の外形を有している。具体的には、この固定ブラケット53は、そのガイド部材50の前端部50fに設けられた上記係合片57に対して車幅方向外側から当接する規制壁61を備えている。更に、この固定ブラケット53は、その規制壁61に連続する状態でガイド部材50の上下方向を覆う一対の側壁部62,62を備えている。そして、この固定ブラケット53は、これら各側壁部62,62の基端部に設けられた一対のフランジ部63,63を備えている。
尚、本実施形態の固定ブラケット53は、金属製の板材を折曲加工することにより、その規制壁61、各側壁部62,62、及びフランジ部63,63が一体に形成されている。更に、この固定ブラケット53は、その一対のフランジ部63,63が車体2側の設置面52に締結される。そして、本実施形態の固定ブラケット53は、これにより、その規制壁61と車体2側の設置面52との間に、上記係合片57を含むガイド部材50の前端部50f側、つまりはガイド溝42の形成部位を挟み込む構成となっている。
また、図9~図14、図17及び図18~図20に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20においては、上下方向に離間して設けられた2つの車体側係合部32,32を構成する各ガイド部材50の形状に違いが設けられている。
詳述すると、本実施形態のガイド部材50は、そのガイド溝42に連続する案内面65を備えている。具体的には、この案内面65は、ガイド部材50が設置面52に固定された状態で、その車両後方側に配置されるガイド部材50の後端部50rに設けられている。更に、この案内面65は、車幅方向外側に臨む状態で、そのガイド部材50の上記第1対向面55、つまりはガイド溝42を構成する一方の側壁部42aに連続して設けられている。即ち、ドア5の開閉動作に基づきガイド部材50のガイド溝42に係脱する軸状係合部41は、この案内面65に当接することにより、そのガイド溝42内に進入する方向、及びそのガイド溝42から離脱する方向に案内される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、この案内面65の形成部位について、その上方の車体側係合部32aを構成する第1のガイド部材71と、下方の車体側係合部32bを構成する第2のガイド部材72とに形状の差異が設定されている。
さらに詳述すると、図12及び図14に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のガイド部材71には、この第1のガイド部材71が設置面52に固定された状態において、その車幅方向外側に突出する案内突部73が設けられている。即ち、この案内突部73は、ドア5の開閉動作に基づいた軸状係合部41の接離方向に突出して設けられている。具体的には、この案内突部73は、ガイド部材50としての前端部50f側から後端部50r側に向かって徐々に、その突出量αが大きくなるような略三角板状の外形を有している。そして、第1のガイド部材71は、これにより、この案内突部73が形成する車幅方向外側に臨む傾斜面74を、その案内面65とする構成になっている。
即ち、このような傾斜面74をガイド部材50の案内面65とすることで、ドア側係合部31の軸状係合部41が当接する際、その案内面65に対する軸状係合部41の当接角度が浅くなる。そして、第1のガイド部材71は、これにより、その軸状係合部41の当接時に作用する衝撃を緩和する構成になっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20において、この案内面65を形成する案内突部73の傾斜面74は、ガイド溝42に近い位置ほど、その傾斜が緩くなるような略一定の曲率を有した湾曲面となっている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、例えば、公差等を要因として、ドア5の閉動作時、その第1のガイド部材71に対する軸状係合部41の当接位置がズレた場合であっても、好適に、この当接による衝撃を緩和することが可能になっている。
一方、図18~図20に示すように、下方の車体側係合部32bを構成する第2のガイド部材72には、上記のような案内突部73が設けられていない。そして、第2のガイド部材72は、これにより、略平坦な案内面65を有する構成となっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15によって、そのドア5を開閉可能に支持する。このため、第1及び第2のリンクアーム11,12の距離が近づいて直線的に並んだ状態になる全閉位置P0近傍の開閉動作位置においては、そのドア5の姿勢が変化しやすい。そして、これにより、その上方の車体側係合部32aと車体側係合部32bとの間で、そのガイド溝42に対する軸状係合部41の係脱姿勢に差異が生ずる可能性がある。
特に、図8及び図9に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20においては、上方の車体側係合部32aは、メインリンク21に位置付けられた第1のリンクアーム11に対応する第1の上下方向位置Y1に設けられている。また、下方の車体側係合部32bは、サブリンク22としての位置付けを有する第2のリンクアーム12に対応する第2の上下方向位置Y2に設けられている。そして、これにより、上記のような係脱姿勢の差異が顕著になりやすい傾向がある。
具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のリンクアーム11に対応する第1の上下方向位置Y1は、第2のリンクアーム12によるドア5の支持位置よりも、第1のリンクアーム11によるドア5の支持位置に近い上下方向位置に設定される。そして、第2のリンクアーム12に対応する第2の上下方向位置Y2は、第1のリンクアーム11によるドア5の支持位置よりも、その第2のリンクアーム12によるドア5の支持位置に近い上下方向位置に設定される。
即ち、上記のように、第1のリンクアーム11は、第2のリンクアーム12よりもドア5の重心Gに近い位置において、そのドア5に対する第2の回動連結点X2を有している。更に、第2のリンクアーム12には、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを変更可能とする連結長可変機構35が設けられている。このため、本実施形態の車両用ドア装置20においては、第2のリンクアーム12に支持されたドア5の下方側ほど、そのドア5の姿勢変化が大きくなっている。そして、これにより、下方の車体側係合部32bの方が、上方の車体側係合部32aよりも、そのガイド溝42に対する軸状係合部41の係脱姿勢が変化しやすくなっている。
この点を踏まえ、本実施形態の車両用ドア装置20においては、上方の車体側係合部32aを構成する第1のガイド部材71については、上記案内突部73が形成する案内面65によって、この第1のガイド部材71に対する軸状係合部41の係脱軌跡を規定する。一方、下方の車体側係合部32bを構成する第2のガイド部材72については、このような案内突部73を設けないことで、この第2のガイド部材72に対する軸状係合部41の係脱自由度が高くなっている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、第1及び第2のガイド部材71,72に対して、その対応する各軸状係合部41,41が係脱する際、これらの各軸状係合部41,41が引っ掛かり難い構成となっている。
尚、このような上下方向に離間して設けられた第1及び第2のガイド部材71,72と各軸状係合部41,41とが引っ掛かる現象は、例えば、全閉位置P0からドア5を開作動させる場合等に生じやすく、これによりドア5が揺動するおそれがある。しかしながら、本実施形態の車両用ドア装置20においては、このような引っ掛かりの発生を要因とするドア5の揺れが抑制される。そして、車両用ドア装置20は、これにより、その優れたドア5の操作フィーリングを確保する構成となっている。
また、図12、図14、図17、及び図21に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のガイド部材71は、ドア5の開閉動作に基づき相対移動する軸状係合部41が当接した際の衝撃を緩和する弾力性を有した緩衝部材80を備えている。
詳述すると、第1のガイド部材71において、緩衝部材80は、その案内突部73が形成する案内面65、及びガイド溝42の側壁部42aを構成する第1対向面55に設けられている。つまり、この緩衝部材80は、ドア5の開閉動作に基づき相対移動するドア側係合部31の軸状係合部41が、その第1のガイド部材71に対して当接する位置に設けられている。また、緩衝部材80は、車体2側の設置面52に対する固定面54に設けられている。即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、ドア5の開閉動作に基づいて、そのドア側係合部31の軸状係合部41が第1のガイド部材71に対して接離する方向の延長線上に、この緩衝部材80及び設置面52が位置している。更に、この緩衝部材80は、車体2側の設置面52に当接する複数の突起部80xを有している。そして、第1のガイド部材71は、これらの各突起部80xが押し潰された状態で、その車体2側の設置面52に固定される構成となっている。
さらに詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のガイド部材71は、ガイド溝42を有するベース部材81と、このベース部材81を被覆する被覆体82と、を備えている。そして、第1のガイド部材71は、これにより、その被覆体82が緩衝部材80として機能する構成となっている。
具体的には、ベース部材81には、例えば、繊維強化プラスチック等、比較的硬質な素材が用いられる。また、被覆体82には、例えば、ゴムやエラストマ等の弾力素材が用いられる。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、インサート成形によって、そのベース部材81と、その緩衝部材80を構成する被覆体82とが一体に形成される構成となっている。
また、図12、図14、及び図17~図20に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、ガイド部材50及び固定ブラケット53に貫設される連結軸83を備えている。具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20において、ガイド部材50の後端部50rには、このガイド部材50が車体2側の設置面52に固定された状態で、上下方向に延在する挿通孔84が設けられている。また、固定ブラケット53の各側壁部62,62は、それぞれ、この挿通孔84に対応する位置に設けられた貫通孔85,85を有している。そして、本実施形態の連結軸83は、これらの挿通孔84、及び貫通孔85,85に挿通されることにより、ガイド部材50及び固定ブラケット53を車両1の上下に貫通する状態で、これらのガイド部材50及び固定ブラケット53を連結する構成となっている。
詳述すると、図12及び図20に示すように、この連結軸83は、車体2側の設置面52及び該設置面52との間にガイド部材50を挟み込む固定ブラケット53の規制壁61に並行する状態でガイド部材50及び固定ブラケット53に貫設されている。そして、本実施形態の連結軸83は、これにより、そのガイド溝42が延在する車両前後方向に対して交差する方向に延在する構成となっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20は、ガイド部材50に対してドア側係合部31の軸状係合部41が当接した際、この連結軸83を支軸として、そのガイド部材50が変位しようとする方向を規定する。具体的には、ガイド部材50は、軸状係合部41の当接によって、その連結軸83周りに回動しようとする。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、このガイド部材50の動きを、その回動方向に位置する車体2側の設置面52又は固定ブラケット53の規制壁61が規制する構成となっている。
例えば、ドア5の閉動作に基づきガイド溝42に係合しようとする軸状係合部41がガイド部材50に当接した場合、このガイド部材50は、連結軸83周りに回動する態様で(各図中、時計回り方向)、車幅方向内側(各図中、上側)に変位しようとする。そして、この場合、その回動方向に位置する設置面52にガイド部材50の前端部50f側が当接することで、その軸状係合部41の押圧力に基づいたガイド部材50の変位が規制される。
一方、ドア5の開動作に基づきガイド溝42から脱離しようとする軸状係合部41がガイド部材50に当接した場合にも、このガイド部材50は、連結軸83周りに回動する態様で(各図中、反時計回り方向)、車幅方向外側(各図中、下側)に変位しようとする。そして、この場合には、その回動方向に位置する固定ブラケット53の規制壁61にガイド部材50の前端部50f側が当接することで、その軸状係合部41の押圧力に基づいたガイド部材50の変位が規制される構成となっている。
また、図12、図14、図17~図20に示すように、本実施形態のガイド部材50は、ガイド溝42の入り口となる位置に配置される枠状部86を有している。具体的には、この枠状部86は、車両後方側に開口する略四角枠状の外形を有している。更に、この枠状部86は、ガイド溝42の形成部位となる上記係合片57の先端57aとガイド部材50の後端部50rとを接続する態様で設けられている。そして、本実施形態のガイド部材50は、この枠状部86を入り口として、そのガイド溝42内に軸状係合部41が進入する構成となっている。
更に、本実施形態の車両用ドア装置20において、この枠状部86は、固定ブラケット53の後端面53x、詳しくは規制壁61及び各側壁部62,62が形成する断面略コ字形状の後端部分(各図中、右側の端部)を覆う位置に配置される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、その固定ブラケット53の後端面53xが、例えば、利用者等に接触しないように保護する構成となっている。
(第2のリンクアーム及び連結長可変機構)
次に、サブリンク22としての構成を有する第2のリンクアーム12、及び、この第2のリンクアーム12に設けられた連結長可変機構35の構成について説明する。
図22~図25に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、第2のリンクアーム12は、車体2に対する第1の回動連結点X1を有した車体側リンク91と、ドア5に対する第2の回動連結点X2を有したドア側リンク92とを有している。具体的には、車体側リンク91は、ドア開口部3の後縁部3r近傍に設けられた車体ブラケット93を介して車体2に連結されている。また、ドア側リンク92は、ドア5の内側面5sに固定されたドアブラケット94を介してドア5に連結されている。更に、第2のリンクアーム12は、これらの車体側リンク91とドア側リンク92とを回動可能に連結した構成を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより形成される関節リンク機構100が、その連結長可変機構35を構成する。
詳述すると、図22及び図23に示すように、本実施形態のドア側リンク92は、車体側リンク91との比較において、その軸方向長さの短い所謂ミニアームとしての構成を有している。また、車体側リンク91は、その長手方向の一端側に、車体2に対する車体側連結部101を有している。更に、ドア側リンク92もまた、その長手方向の一端側に、ドア5に対するドア側連結部102を有している。そして、これらの車体側リンク91及びドア側リンク92は、それぞれ、長手方向の他端側に、その互いに連結される中間連結部103,104を有している。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これらの中間連結部103,104が、その第2のリンクアーム12に設けられた関節リンク機構100の中間連結点X3を形成する。また、第2のリンクアーム12は、この中間連結点X3を頂点として、その車体側リンク91及びドア側リンク92が三角形を形成する。そして、これにより、これらの車体側リンク91及びドア側リンク92が相対回動することで、上記三角形の底辺となる第1及び第2の回動連結点X1,X2を結ぶ直線の長さ、つまりは、その連結長Lが変化する構成となっている。
具体的には、図22、図23、図26及び図27に示すように、本実施形態において、車体側リンク91とドア側リンク92との中間連結点X3は、ドア5に対する第2の回動連結点X2よりも、そのドア5の内側面5sに近い位置に配置されている。尚、本実施形態のドア5には、その内側面5sに、中間連結点X3を構成する車体側リンク91及びドア側リンク92の中間連結部103,104との接触を回避するための凹部105が形成されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、ドア5の開閉動作に基づいて、見かけ上、第2の回動連結点X2周りに中間連結点X3が回動する態様で、第2のリンクアーム12による車体2とドア5との連結長Lが変化する構成になっている。
さらに詳述すると、図26~図29に示すように、本実施形態の車体側リンク91は、長尺略軸状の外形を有している。更に、この車体側リンク91は、クランク状の折曲形状部106を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、第2のリンクアーム12とドア開口部3の後縁部3rとの干渉を回避して、そのドア5の全開動作時、より大きなドア開口量を確保する構成となっている。
また、図28~図30に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、ドア側リンク92は、車体側リンク91の中間連結部103を挟み込む状態で、この中間連結部103に対して回動可能に連結される一対の挟持部107,107を有している。
具体的には、これらの挟持部107,107は、その長手方向の一端側にドア5に対するドア側連結部102を有するとともに、その長手方向の他端側にドア側リンク92に対する中間連結部104を有している。また、本実施形態のドア側リンク92は、金属製の板材を折曲加工することにより、その中間連結部104に接続部108を有して、これらの挟持部107,107が一体に形成されている。更に、本実施形態の車両用ドア装置20においては、車体側リンク91の中間連結部103もまた、略平板状の外形を有している。そして、第2のリンクアーム12は、これにより、その折曲板状をなす一対の挟持部107,107が形成するドア側リンク92の中間連結部104,104間に、車体側リンク91の中間連結部103を挟み込む構成となっている。
また、本実施形態のドア側リンク92において、各挟持部107,107は、そのドア側連結部102を構成する長手方向の他端側が互いに離間するような折曲板状の断面形状を有している。そして、本実施形態のドア側リンク92は、これにより、これらの各挟持部107,107が、上下方向に離間した位置において、そのドア5に対して回動可能に連結される構成となっている。
さらに詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、ドア5の内側面5sに固定されたドアブラケット94は、略平板状の外形を有して上下方向に対向する一対の連結壁110,110を備えている。そして、ドア側リンク92は、これらの各連結壁110,110に対して、その一対の挟持部107,107が形成する上下方向に離間したドア側連結部102,102が、それぞれ連結されている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20は、これらドア側リンク92のドア側連結部102,102及びドアブラケット94の各連結壁110,110が形成する第2の回動連結点X2と同軸位置に設けられた一対の支軸112,112を備えている。本実施形態のドアブラケット94において、これら各支軸112,112の一方は、その上方の連結壁110から上側に突出する状態で立設されている。また、各支軸112,112の他方は、その下方の連結壁110から下側に突出する状態で立設されている。更に、これらの各支軸112,112には、それぞれ、捩りコイルバネ113,113が嵌装されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これらの捩りコイルバネ113,113を付勢部材115として、そのドア側リンク92が回動付勢される構成となっている。
即ち、図31及び図32に示すように、これらの捩りコイルバネ113,113は、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが短くなる方向に、その車体側リンク91及びドア側リンク92を相対回動させる付勢力Fを発生する。また、これにより、第2のリンクアーム12においては、そのドア5の開動作に基づいて、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが、全閉位置P0よりも短くなる(図22及び図23参照)。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、この第2のリンクアーム12における第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが短縮した状態で、そのドア5が開閉動作する構成となっている(図3~図6参照)。
尚、図28、及び図30~図32に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、ドアブラケット94には、ストッパ116が設けられている。具体的には、このストッパ116は、ドア5が全閉位置P0から開動作する際、見かけ上、その第2の回動連結点X2周りに車体側リンク91及びドア側リンク92の中間連結点X3が回動することにより、そのドア側リンク92の接続部108に当接する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、その第2のリンクアーム12に支持されたドア5の安定的な開閉動作姿勢を確保する構成となっている。
また、図31及び図32に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、関節リンク機構100を構成する車体側リンク91及びドア側リンク92の相対回動に基づいて、その付勢部材115の付勢力Fが変化するように構成されている。詳しくは、全閉位置P0からドア5が開動作することにより、その第2のリンクアーム12における連結長方向に沿った付勢力Fの分力F´が全閉位置P0よりも強くなるように構成されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、ドア5が全閉状態にある場合における連結長方向に沿った付勢力Fの分力F´を小さくすることで、良好なドア5の建て付け性を確保する構成となっている。
さらに詳述すると、図28~図34に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、車体側リンク91に設けられた係合突部121と、この係合突部121が係合するカム溝122を有してドア5に設けられたカム部材123とを備えている。
具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20において、車体側リンク91は、ドア側リンク92との中間連結部103近傍に設けられた上方に突出する支軸124と、この支軸124によって回転自在に軸支されたローラ125とを有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、このローラ125が、その係合突部121として機能する構成になっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20において、カム部材123は、そのドア側リンク92が連結されたドアブラケット94における上側の連結壁110aと一体に設けられている。即ち、このカム部材123は、略平板状の外形を有している。更に、このカム部材123は、その中間連結部103,104の上方を覆う態様で、その車体側リンク91及びドア側リンク92の上方に配置される。そして、本実施形態のカム部材123は、このカム部材123を上下方向に貫通する態様で設けられたカム溝122を備えている。
具体的には、本実施形態のカム溝122は、ドアブラケット94と一体に形成されたカム部材123がドア5の内側面5sに固定された状態で車幅方向内側(図31~図34中、下側)に凸となる円弧形状部126を有している。また、カム溝122は、この円弧形状部126に連続して車両後方側に延びる直線形状部127を有している。更に、本実施形態の車両用ドア装置20は、このカム溝122内に、その係合突部121となるローラ125が配置される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5の開閉動作に基づいて、そのカム溝122に摺接する状態で、このカム溝122内をローラ125が移動する構成となっている。
即ち、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合することにより、そのドア5の前端部5fが直線的なスライド軌跡Rsを描く全閉位置P0近傍の開閉動作位置においては、そのローラ125がカム溝122の直線形状部127内を移動する。また、ドア側係合部31と車体側係合部32とが脱離することにより、そのドア5の前端部5fが円弧状のグライド軌跡Rgを描いて開閉動作する範囲においては、そのローラ125がカム溝122の円弧形状部126内を移動する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、そのドア5の開閉動作軌跡Rが規定される構成となっている。
具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20においては、そのカム溝122内におけるローラ125の係合位置に応じて、車体側リンク91とドア側リンク92との相対回動が制限される。つまりは、これらの車体側リンク91及びドア側リンク92が形成する連結長可変機構35の動作に基づいた第1及び第2の回動連結点X1,X2の連結長Lが規定される。また、同じくカム溝122内におけるローラ125の係合位置に基づいて、そのドア側リンク92が形成する第2の回動連結点X2周りにドア5の回動が規制される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、そのドア5の開閉動作軌跡Rが規定される構成となっている。
また、図35に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5が全開位置P1にある場合に、ストッパとして、その車体2と第2のリンクアーム12との間に介在される緩衝部材131を備えている。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、この緩衝部材131は、例えば、ゴム材やエラストマ等、比較的軟質の弾力部材を用いて構成される。また、この緩衝部材131は、車体2に対する第1の回動連結点X1を有した車体側リンク91に設けられている。具体的には、この緩衝部材131は、車体側リンク91に設けられたクランク状の折曲形状部106に固定されている。そして、本実施形態の緩衝部材131は、これにより、第1の回動連結点X1周りに第2のリンクアーム12が回動し、ドア5が全開位置P1に到達することにより、その車体側リンク91とドア開口部3の後縁部3rとの間に挟み込まれる構成になっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20において、この緩衝部材131は、車体側リンク91とドア開口部3の後縁部3rとの間に押し潰された状態で、その全開位置P1に到達したドア5を車体2に支持する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、ドア5の揺れを抑えて安定的に、その全開位置P1に保持する構成となっている。
また、図29、図35及び図36に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、その車体側リンク91に設けられた車体側連結部101は、略平板状の外形を有している。更に、この車体側リンク91を車体2に支持する車体ブラケット93は、その車体側連結部101を上下方向に挟んで配置される一対の連結壁132,132を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これら車体側リンク91の車体側連結部101及び車体ブラケット93の両連結壁132,132を上下方向に貫通する支軸133周りに、その車体2に対する車体側リンク91の回動軸が形成される。つまりは、その支軸133をドア5に対する第2のリンクアーム12の支軸N2aとして、第1の回動連結点X1が形成される構成となっている。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、車体ブラケット93は、その両連結壁132,132を含め、金属製の板材を折曲加工することにより形成されている。また、この車体ブラケット93の両連結壁132,132及び車体側リンク91の車体側連結部101には、それぞれ、その略平板状を厚み方向に貫通する貫通孔134,134及び貫通孔135が設けられている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、その板状連結部136としての構成を有する車体側連結部101の貫通孔135に嵌着された筒状緩衝部材137としてのブッシュ138を備えている。
具体的には、このブッシュ138は、ゴム材やエラストマ等、比較的軟質の弾力部材を用いて構成されている。また、上記支軸133は、このブッシュ138を介して車体側リンク91の車体側連結部101に設けられた貫通孔135に挿通される。そして、この支軸133は、その軸方向両端部が車体ブラケット93の両連結壁132,132に設けられた貫通孔134,134に挿通されることにより、上下方向に延在する状態で車体ブラケット93に支持される構成となっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、この支軸133周りに車体側リンク91が回動することにより、第2のリンクアーム12の車体2に対する第1の回動連結点X1が形成される。尚、本実施形態の車両用ドア装置20において、車体側リンク91の車体側連結部101と、この車体側連結部101を上下方向に挟む車体ブラケット93の両連結壁132,132との間には隙間が設定されている。更に、本実施形態の車両用ドア装置20においては、筒状緩衝部材137としてのブッシュ138が弾性変形することで、その板状連結部136としての構成を有する車体側連結部101の変位が許容される。つまりは、その支軸N2aに対する傾動を含めた第2のリンクアーム12の上下方向変位が許容される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、その車体2に対する第2のリンクアーム12の連結自由度を高める構成となっている。
尚、図30に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20においては、車体側リンク91及びドア側リンク92の中間連結部103,104が形成する中間連結点X3もまた、同様の連結構造を有している。
即ち、車体側リンク91の中間連結部103、及び、この中間連結部103を上下方向に挟んで配置されるドア側リンク92の両中間連結部104,104もまた、略平板状の外形を有している。また、これらの中間連結部103,104,104には、それぞれ、その略平板状を厚み方向に貫通する貫通孔143及び貫通孔144,144が設けられている。そして、上記車体側リンク91の車体側連結部101と同様、板状連結部136としての構成を有する車体側リンク91の中間連結部103に設けられた貫通孔143には、筒状緩衝部材137としてのブッシュ138が嵌着されている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20は、このブッシュ138を介して車体側リンク91の中間連結部103に設けられた貫通孔143に挿通される支軸149を有している。更に、この支軸149は、その軸方向両側部がドア側リンク92の両中間連結部104,104に設けられた貫通孔144,144に挿通されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、この支軸149周りに、その第2のリンクアーム12を構成する車体側リンク91及び車体側リンク91が相対回動することにより、その中間連結点X3が形成される構成になっている。
更に、この中間連結点X3においてもまた、筒状緩衝部材137としてのブッシュ138が弾性変形することで、その板状連結部136としての構成を有した車体側リンク91の中間連結部103の支軸149に対する傾動が許容される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより、その中間連結点X3における車体側リンク91とドア側リンク92との連結自由度が高められている。
(第1のリンクアーム)
次に、メインリンク21としての構成を有する第1のリンクアーム11の構成について説明する。
図24、及び図37~図39に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のリンクアーム11は、上下に並んで配置される一対のパイプフレーム151,151を備えている。そして、第1のリンクアーム11は、これら両パイプフレーム151,151の基端部分を接続する基端ブラケット153と、これら両パイプフレーム151,151の先端部分を接続する先端ブラケット154と、を備えている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア開口部3の後縁部3r近傍に固定された状態で、その第1のリンクアーム11を構成する基端ブラケット153が回動可能に連結される車体ブラケット155を備えている。更に、車両用ドア装置20は、ドア5の内側面5sに固定された状態で、同じく第1のリンクアーム11を構成する先端ブラケット154が回動可能に連結されるドアブラケット156を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより、その第1のリンクアーム11における第1及び第2の回動連結点X1,X2が形成されている。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のリンクアーム11の基端部11aを構成する基端ブラケット153は、上下方向に延在する状態で、その一対のパイプフレーム151,151を連結する基部160を備えている。また、基端ブラケット153は、その基部160の上端及び下端から、この基部160に連結された両パイプフレーム151,151の延伸方向とは逆向きに延びる一対の連結部161,161を備えている。更に、車体ブラケット155には、これらの各連結部161,161が、それぞれ独立に連結される一対の連結部162,162が設けられている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これら基端ブラケット153の各連結部161,161と車体ブラケット155の各連結部162,162とが、それぞれ独立に、その上下方向に延在する支軸163,163周りに回動可能に連結されている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより、上下方向に離間した二位置において、その第1のリンクアーム11の基端部11aが車体2に対して回動可能に連結されている。そして、これにより、その支軸163,163を車体2に対する第1のリンクアーム11の支軸N1aとして、第1の回動連結点X1が形成されている。
尚、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これらの各支軸163,163もまた、略平板状をなす基端ブラケット153の各連結部161,161に嵌着された筒状緩衝部材137としてのブッシュ138に挿通される態様で貫設されている。即ち、この第1のリンクアーム11における第1の回動連結点X1についても、第2のリンクアーム12の場合と同様、ブッシュ138が弾性変形することで、板状連結部136として基端ブラケット153の各連結部161,161の変位が許容される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、支軸N1aに対する傾動を含めた第1のリンクアーム11の上下方向変位を許容することで、その車体2に対する第1のリンクアーム11の連結自由度を高める構成となっている。
一方、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のリンクアーム11の先端部11bを構成する先端ブラケット154は、その一対のパイプフレーム151,151の先端側を覆うカバー状の外形を有している。具体的には、この先端ブラケット154は、パイプフレーム151,151よりも車幅方向内側に配置された状態で、その先端側を覆うカバー部164を有している。尚、車両用ドア装置20においては、例えば溶接等により、その各パイプフレーム151,151が、それぞれ、このカバー部164の裏面に固定される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより、これら第1のリンクアーム11を構成するパイプフレーム151,151の先端部分が、その先端ブラケット154によって接続される構成となっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20において、この先端ブラケット154は、上下方向に対向する一対の連結フランジ167,167を備えている。更に、ドア5の内側面5sに固定されるドアブラケット156もまた、上下方向に対向する一対の連結フランジ168,168を備えている。そして、これら先端ブラケット154の各連結フランジ167,167とドアブラケット156の各連結フランジ168,168とが回動可能に連結されることにより、その第1のリンクアーム11における第2の回動連結点X2が形成されている。
具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20は、これら先端ブラケット154の各連結フランジ167,167及びドアブラケット156の各連結フランジ168,168を上下方向に貫通する支軸170を備えている。そして、この支軸170周りに、その先端ブラケット154の各連結フランジ167,167とドアブラケット156の各連結フランジ168,168とが相対回動する構成となっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これらの各連結フランジ167,167及び各連結フランジ168,168を第1及び第2の回動連結部171,172として、その第2の回動連結点X2が形成される。更に、本実施形態の車両用ドア装置20は、第1及び第2の回動連結部171,172間に介在されて、これらの第1及び第2の回動連結部171,172に摺接するフリクション部材175を備えている。具体的には、このフリクション部材175は、例えば、ナイロン等、比較的摩擦抵抗の大きな樹脂素材を用いて形成されている。更に、このフリクション部材175には、その摩擦抵抗が増加するような表面処理が施されている。そして、これにより、その第2の回動連結点X2を形成する第1及び第2の回動連結部171,172が相対回動する際に摺動抵抗を付与する構成となっている。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20においては、ドアブラケット156の各連結フランジ168,168が、その上下方向に離間した先端ブラケット154の各連結フランジ167,167の内側に配置される構成になっている。
即ち、図40に示すように、下方側の連結フランジ167a及び連結フランジ168aにおいては、そのドアブラケット156の連結フランジ168aの方が、先端ブラケット154の連結フランジ167aよりも上方に配置されている。また、本実施形態のフリクション部材175は、支軸170に嵌装される環状のプレート形状を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20において、このフリクション部材175は、その上下方向に重なる先端ブラケット154の連結フランジ167aとドアブラケット156の連結フランジ168aとの間に挟み込まれる状態で設けられている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、フリクション部材175の上方に位置するドアブラケット156の連結フランジ168aを介して、そのドア5の荷重がフリクション部材175に印加される。また、これにより、そのフリクション部材175と、このフリクション部材175を挟み込む先端ブラケット154の連結フランジ167a及びドアブラケット156の連結フランジ168aとの間に摩擦力が発生する。更に、その支軸170周りに先端ブラケット154の連結フランジ167aとドアブラケット156の連結フランジ168aとが相対回動することにより摺動抵抗が付与される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、これら第1及び第2の回動連結部171,172が形成する第2の回動連結点X2周りに回動するドア5の動作抵抗を増加させることで、このドア5に生じた揺れや振動を減衰する構成となっている。
(アクチュエータ)
次に、本実施形態の車両用ドア装置20におけるアクチュエータ25の構成について説明する。
上記のように、本実施形態の車両用ドア装置20において、ドア5を開閉動作させるための駆動力を発生するアクチュエータ25は、第1のリンクアーム11の基端部11aに設けられている。更に、このアクチュエータ25は、モータ25mを駆動源として、その第1のリンクアーム11を回転駆動する。そして、車両用ドア装置20は、これにより、この第1のリンクアーム11及び第2のリンクアーム12が形成するリンク機構15の動作に基づいて、このリンク機構15を介して車体2に支持されたドア5を開閉動作させる構成となっている(図3~図6参照)。
詳述すると、図37~図39、及び図41に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20においては、第1のリンクアーム11における車体2に対する第1の回動連結点X1の形成部位180に、そのアクチュエータ25が配置されている。
具体的には、上記のように、第1のリンクアーム11は、上下方向に離間した二位置において、その基端部11aが車体2に設けられた車体ブラケット155に対して回動可能に連結されている。そして、本実施形態のアクチュエータ25は、その上下方向に離間した二位置で、それぞれ回動可能に連結された第1のリンクアーム11側の両連結部161,161及び車体ブラケット155側の両連結部162,162の間の上下方向位置に配置されている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、略コ字状の外形を有した基端ブラケット153が、その第1のリンクアーム11の基端部11aを構成する。更に、車体ブラケット155もまた、その上下方向に離間した両連結部162,162を有する部分が略コ字形状をなす。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これら2つのコ字形状部材を相対回動可能に連結してなる第1の回動連結点X1の形成部位180内に、そのアクチュエータ25を配置する構成となっている。
換言すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のリンクアーム11の車体2に対する第1の回動連結点X1は、上下方向に離間して設けられた上側連結点181及び下側連結点182を有している。そして、アクチュエータ25は、第1の回動連結点X1の形成部位180において、その上側連結点181と下側連結点182との間の位置に設けられている。
さらに詳述すると、本実施形態のアクチュエータ25においては、駆動源となるモータ25mは、減速機付きのギヤードモータ183としての構成を有している。また、本実施形態のアクチュエータ25は、このモータ25mの回転を更に減速する減速機構184を備えている。更に、本実施形態の車両用ドア装置20は、第1のリンクアーム11の基端部11aを構成する基端ブラケット153の基部160から突出して、その両連結部161,161の間の位置に配置されるセクターギヤ185を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、このセクターギヤ185に対して、その減速機構184のピニオンギヤ186が噛合することにより、そのアクチュエータ25の駆動力が第1のリンクアーム11に伝達される構成となっている。
尚、本実施形態のアクチュエータ25は、固定ブラケット187を用いて車体ブラケット155に固定される。また、本実施形態の車両用ドア装置20は、断面略コ字状の外形を有したカバー部材188を備えている。更に、本実施形態の車両用ドア装置20において、このカバー部材188は、そのコ字状をなすカバー部188xの両端に設けられたフランジ部189,189が、上下方向に離間して設けられた車体ブラケット155側の両連結部162,162に固定される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、このカバー部材188が、その第1の回動連結点X1の形成部位180内に配置されたアクチュエータ25の側方を覆う構成になっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
第2のリンクアーム12においては、車体2に対する第1の回動連結点X1を有した車体側リンク91と、ドア5に対する第2の回動連結点X2を有したドア側リンク92とが相対回動可能に連結されることにより連結長可変機構35が形成される。即ち、これらの車体側リンク91及びドア側リンク92が中間連結点X3を有した関節リンク機構100を形成することで、その中間連結点X3周りの相対回動に基づいて第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが変化する。そして、この連結長可変機構35の動作に基づいて、その第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15を介して車体2に支持されたドア5の開閉動作軌跡Rが変化する。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)上記構成によれば、簡素な構成にて、開閉動作の自由度を高めることができる。
即ち、車体側リンク91及びドア側リンク92が形成する関節リンク機構100の中間連結点X3を頂点とする三角形の底辺が、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lとなる。更に、これにより連結長可変機構35として機能する関節リンク機構100の動作に基づいて、その連結長Lが変化する。例えば、全閉位置P0近傍において、そのドア5の開閉動作軌跡Rを円弧状のグライド軌跡Rgから直線的なスライド軌跡Rsに変化させることができる。そして、これにより、ドア5が全閉位置P0から開動作又は全閉位置P0に閉動作する際、車体2に干渉することなく、円滑に開閉動作させることができる。
(2)また、このような関節リンク機構100には、例えば、埃やゴミ等の異物、或いは凍結等、使用環境の影響を受け難いという特徴がある。そして、これにより、高い信頼性及び耐久性を確保することができる。
更に、関節リンク機構100には、その車体側リンク91及びドア側リンク92の形状自由度が高いという利点がある。例えば、車体側リンク91を折曲形状として、ドア開口部3との干渉を回避する。そして、これにより、そのドア5の全開動作時、より大きなドア開口量を確保することができる。
(3)ドア側リンク92は、車体側リンク91を挟み込む状態で、この車体側リンク91に対して回動可能に連結される一対の挟持部107,107を備えてなる。そして、これらの各挟持部107,107は、上下方向に離間した位置において、それぞれ独立に、そのドア5に対して回動可能に連結される。
上記構成によれば、その車体側リンク91がドア5との間に形成する第2の回動連結点X2について、高い支持剛性を確保することができる。更に、第2の回動連結点X2に形成される回動軸に対して、そのドア5が傾動し難くなる。そして、これにより、安定的に、そのドア5を支持することができる。
(4)車両用ドア装置20は、車体側リンク91及びドア側リンク92を中間連結点X3周りに相対回動させる付勢力Fを発生する付勢部材115を備える。
上記構成によれば、付勢部材115の発生する付勢力Fを利用して、ドア5の開閉動作時、その車体側リンク91及びドア側リンク92の相対回動に基づいた第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを保持することができる。そして、これにより、ドア5の揺れや振動を抑えて、安定的な開閉動作を実現することができる。
(5)関節リンク機構100は、ドア5が全閉位置P0から開動作することにより、車体側リンク91及びドア側リンク92の相対回動に基づいて、その連結長方向に沿った付勢力Fの分力F´が、全閉位置P0よりも強くなるように構成される。
上記構成によれば、ドア5が開閉動作する状態にある場合には、その連結長方向に沿った強い付勢力Fの分力F´によって、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを安定的に保持することができる。そして、これにより、安定的なドア5の開閉動作を実現することができる。
また、ドア5が全閉位置P0にある場合には、その連結長方向に沿った付勢力Fの分力F´が小さくなる。即ち、全閉状態にある場合には、付勢部材115の付勢力Fに依らず、安定的に、そのドア5を保持することが可能である。従って、この場合、その連結長方向に沿った付勢力Fの分力F´を弱めることにより、良好なドア5の建て付け性を確保することができる。
(6)車両用ドア装置20は、連結長可変機構35と組み合わせて第2のリンクアーム12に設けられた係合突部121と、この係合突部121が係合するカム溝122を有してドア5に設けられたカム部材123と、を備える。そして、これにより、ドア5の開閉動作に基づきカム溝122内を係合突部121が移動することで、そのドア5の開閉動作軌跡Rが規定される。
上記構成によれば、例えば、開閉動作時、車体2とドア5とのクリアランスを詰める等、狙いの開閉動作軌跡Rを実現することができる。更に、例えば、外力等による開閉動作軌跡Rの変動を抑制することができる。そして、これにより、車体2との干渉を回避することができるとともに、併せて、良好な操作フィーリングを確保することができる。
加えて、係合突部121に設けられたローラ125がカム溝122に摺接することで、円滑に、その係合突部121がカム溝122内を移動することができる。
(7)カム溝122は、このカム溝122内における係合突部121の係合位置に基づいて、連結長可変機構35の動作に基づいた第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを規定するように構成される。
上記構成によれば、ドア5の開閉動作位置に応じた連結長Lを設定することができる。そして、これにより、そのドア5の開閉動作軌跡Rを自在に設定することができる。更に、ドア5に対して外力が印加された場合にも、その開閉動作位置に応じた連結長Lが維持される。そして、これにより、ドア5の揺れや振動を抑えて、その開閉動作姿勢を安定的に保持することができる。
(8)カム溝122は、このカム溝122内における係合突部121の係合位置に応じて、第2の回動連結点X2周りにドア5の回動を規制するように構成される。
上記構成によれば、ドア5に対して外力が印加された場合にも、その開閉動作位置に応じた第2の回動連結点X2周りの回動姿勢が維持される。そして、これにより、ドア5の揺れや振動を抑えて、その開閉動作姿勢を安定的に保持することができる。
(9)カム部材123は、ドア5に固定された状態で、その第2の回動連結点X2を形成するドアブラケット94と一体に設けられる。これにより、構成の簡素化と省スペース化を図ることができる。
(10)車両用ドア装置20は、ドア5が全開位置P1にある場合に、第2のリンクアーム12と車体2との間に挟み込まれる緩衝部材131を備える。
上記構成によれば、全開位置P1に到達したドア5の揺れや振動を抑えて、安定的に、その全開位置P1に保持することができる。
(11)第2のリンクアーム12の基端部となる車体側リンク91の車体側連結部101は、略平板状をなす板状連結部136としての構成を有する。また、車体側連結部101には、この車体側連結部101を厚み方向に貫通する貫通孔135が設けられる。更に、この貫通孔135には、筒状緩衝部材137としてのブッシュ138が嵌着される。そして、第2のリンクアーム12の車体2に対する第1の回動連結点X1は、このブッシュ138を介して車体側連結部101の貫通孔135に挿通される支軸133を備えて構成される。
上記構成によれば、その支軸133周りに第2のリンクアーム12の回動が許容される。更に、筒状緩衝部材137としてのブッシュ138が弾性変形することで、その板状連結部136としての構成を有する車体側連結部101の変位が許容される。つまりは、その回動軸となる支軸133に対する傾動を含めた第2のリンクアーム12の上下方向変位が許容される。そして、これにより、簡素な構成にて、車体2に対する第2のリンクアーム12の連結自由度を高めることができる。つまりは、例えば、ボールジョイント等の自在継手を用いた場合の動きを擬似的に再現することができる。その結果、例えば、製造及び組付公差等を吸収して組付性の向上を図ることができる。
(12)車両用ドア装置20は、相対回動可能に連結されることにより、第1のリンクアーム11のドア5に対する第2の回動連結点X2を形成する第1及び第2の回動連結部171,172を備える。そして、車両用ドア装置20は、第1及び第2の回動連結部171,172間に介在されて、これらの第1及び第2の回動連結部171,172に摺接することにより摺動抵抗を付与するフリクション部材175を備える。
上記構成によれば、第1及び第2の回動連結部171,172が形成する第2の回動連結点X2周りにドア5が回動する際の動作抵抗を増加させることができる。そして、これにより、ドア5に生じた揺れや振動を減衰することで、その開閉動作姿勢を安定的に保持することができる。
(13)車両用ドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づき車両1のドア開口部3を開閉するドア5の閉側端部33に設けられたドア側係合部31を備える。更に、車両用ドア装置20は、ドア5の開閉動作に基づいて、このドア5の閉側端部33が接離、即ち接近又は離間するドア開口部3の閉側端部34に設けられた車体側係合部32を備える。ドア側係合部31は、車両1の上下方向に延びる軸状係合部41を備え、車体側係合部32は、車幅方向に対向する一対の側壁部42a,42bを有してドア5の開閉動作方向に延在するガイド溝42を備えてなる。そして、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合するドア5の全閉位置P0近傍の開閉動作位置においては、そのガイド溝42内に軸状係合部41が配置される。
上記構成によれば、ガイド溝42内に軸状係合部41が配置されることにより、その車幅方向におけるドア5の変位が規制される。そして、これにより、第1及び第2のリンクアーム11,12の距離が近づいて直線的に並んだ状態になりやすい全閉位置P0近傍の開閉動作位置においても、そのドア5を安定的に支持することができる。
更に、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合した状態においては、連結長可変機構35の動作に基づいて、そのドア5の開閉動作軌跡Rが円弧状のグライド軌跡Rgから直線状のスライド軌跡Rsに変化する。そして、これにより、円滑に、そのドア5を全閉位置P0に閉動作させ、及び全閉位置P0から開動作させることができる。
(14)車両用ドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15に駆動力を付与してドア5を開閉動作させるアクチュエータ25を備える。これにより、利便性を向上させることができる。
[第2の実施形態]
以下、車両用ドア装置を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
図44~図46に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、連結長可変機構35が設けられた第2のリンクアーム12Bについて、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを固定可能とする連結長固定機構300を備えている。尚、これらの各図中においては、左側が車両前方側となり、右側が車両後方側となる。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいては、その連結長可変機構35を構成する関節リンク機構100に対し、上記第1の実施形態における車両用ドア装置20のような捩りコイルバネ113が設けられていない(図30及び図31参照)。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、この捩りコイルバネ113に代わる付勢部材115、つまり、その車体側リンク91Bとドア側リンク92Bとを相対回動させる方向の付勢力Fを付与する付勢部材115を有していない。
即ち、上記のように、第1の実施形態における車両用ドア装置20においては、捩りコイルバネ113の弾性力に基づいて、その連結長可変機構35が設けられた第2のリンクアーム12Bの連結長Lが短縮された状態で、そのドア5が開閉動作する。
これに対し、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいては、ドア5の開閉動作時、連結長固定機構300の作動によって、その連結長可変機構35が設けられた第2のリンクアーム12Bの連結長Lが固定される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、これにより、その第2のリンクアーム12が形成するリンク機構15に支持されたドア5を、より安定的に、開閉動作させることが可能となっている。
具体的には、本実施形態の連結長固定機構300は、ドア側リンク92B側に設けられた第1係合部材301と、ドア5側に設けられた第2係合部材302と、を備えている。また、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいては、ドア5の開閉動作に基づいて、これらの第1係合部材301及び第2係合部材302が互いに係合する。更に、これら第1係合部材301及び第2係合部材302の係合力に基づいて、そのドア5に対してドア側リンク92Bが固定される。そして、本実施形態の連結長固定機構300は、これにより、ドア5に対するドア側リンク92Bの相対回動が規制されることで、その連結長可変機構35が設けられた第2のリンクアーム12Bによるドア5と車体2との連結長Lが固定される構成になっている。
即ち、回動可能に連結された車体側リンク91及びドア側リンク92を有する関節リンク機構100を連結長可変機構35に用いる構成では、ドア5に対してドア側リンク92Bが固定されることにより、このドア側リンク92Bがドア5と一体化した状態となる。更に、この状態においては、そのドア側リンク92Bと車体側リンク91との中間連結点X3周りに、この車体側リンク91が相対回動する状態で、そのドア5が開閉動作することになる。つまりは、そのドア側リンク92Bと車体側リンク91との中間連結点X3が、そのドア5に対する新たな第2の回動連結点X2´となる(図46参照)。換言すると、そのドア5に対する第2の回動連結点X2が遷移する。そして、本実施形態の連結長固定機構300は、これにより、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが、車体側リンク91の長さに基づいた一定の値に固定される構成となっている。
尚、上記第1の実施形態における車両用ドア装置20のような付勢部材115の付勢力Fを利用する構成においても、その付勢力Fによりドア側リンク92をドア5に押し当てることで、実質的に、その中間連結点X3が新たな第2の回動連結点X2´となる。しかしながら、この場合、外力の入力により、そのドア5側に押し当てられたドア側リンク92が、付勢部材115の付勢力Fに抗して相対回動する可能性がある。そして、これにより連結長Lが変動することで、そのドア5に揺れや振動が生ずるおそれがある。
この点を踏まえ、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいては、連結長固定機構300の作動により、その連結長可変機構35が設けられた第2のリンクアーム12Bによるドア5と車体2との連結長Lを固定する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、これにより、ドア5の揺れや振動を抑えて、その開閉動作姿勢を安定的に保持する構成となっている。
さらに詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、ドア5に対して一体に固定されるドアブラケット94Bに設けられた支軸310xと、この支軸310x周りに回動自在に軸支されたフックレバー310と、を備えている。また、この車両用ドア装置20Bは、ドア側リンク92Bに設けられた係合突部311を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいては、この係合突部311を第1係合部材301とし、上記フックレバー310をドア5に設けられた第2係合部材302として、その連結長固定機構300が形成されている。
具体的には、本実施形態のドアブラケット94Bは、ドア側リンク92Bのドア側連結部102を支承する支軸312を有している。更に、本実施形態のドア側リンク92Bは、この支軸312に対して回動自在に連結されたドア側連結部102を基点として、その車体側リンク91との中間連結点X3を形成する中間連結部104の逆側に向かって延びる延伸部313を有している。そして、本実施形態の係合突部311は、この延伸部313の先端部分に設けられている。
一方、本実施形態のフックレバー310は、先端部分に鉤状の係合部315を有している。更に、本実施形態のフックレバー310は、その支軸310xに嵌挿された捩りコイルバネ316の弾性力に基づき回動付勢されている。そして、本実施形態のフックレバー310は、これにより、その先端部分に設けられた係合部315が、その係合突部311の移動軌跡Q上に配置される構成となっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいて、その係合突部311は、ドア5の開閉動作に基づきドア側リンク92Bが支軸312周りに回動することにより、この支軸312を中心とした円弧状の軌跡を描いて移動する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、この係合突部311の移動軌跡Q上にフックレバー310の係合部315が位置することで、そのドア5の開閉動作に基づいて、これらのフックレバー310及び係合突部311が互いに係合する構成となっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、そのフックレバー310に設けられたフックカム317を備えている。更に、本実施形態のドアブラケット94Bは、上記第1の実施形態におけるドアブラケット94と同様、その車体側リンク91に設けられた係合突部121のローラ125が係合するカム溝122を有したカム部材123としての構成を有している。そして、本実施形態のフックレバー310は、上記のように、係合部315が係合突部311の移動軌跡Q上に配置された状態で、そのフックカム317が、このドアブラケット94Bのカム溝122に重複して配置されるように構成されている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、このカム溝122に係合するローラ125を軸方向に延長する態様で、その係合突部121と一体に設けられた押圧突部318を有している。更に、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいては、この押圧突部318が、そのドア5の開閉動作に基づいて、フックレバー310に設けられたフックカム317に対して係脱する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、これにより、その付勢部材となる捩りコイルバネ316の付勢力に抗してフックレバー310が回動する構成となっている。
即ち、車体側リンク91に設けられた押圧突部318は、ドア5の開閉動作に基づき車体側リンク91が回動することにより、そのドアブラケット94Bのカム溝122に沿って移動する。尚、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいて、上記ドア側リンク92Bの延伸部313は、このカム溝122に沿って移動する押圧突部318に干渉しない立体形状を有している。また、本実施形態の押圧突部318は、フックカム317に係合することにより、このフックカム317を押し退ける態様でフックレバー310を回動させながら(各図中、反時計回り方向)、そのフックカム317がカム溝122に重複する位置を通過する。尚、本実施形態のフックカム317は、カム溝122内に突出する半円形状のカム面317sを有している。更に、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいては、そのフックカム317から押圧突部318が脱離することで、再び、捩りコイルバネ316の付勢力に基づいてフックレバー310が回動する(各図中、時計回り方向)。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、これにより、そのフックレバー310の係合部315が、係合突部311の移動軌跡Q上に復帰する構成となっている。
更に、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、フックレバー310の係合部315が配置される移動軌跡Q上の位置に、その係合突部311が移動するタイミングで、上記のように、そのフックレバー310が回動するように構成されている。そして、本実施形態の連結長固定機構300は、これにより、円滑に、そのドア側リンク92B側に設けられた第1係合部材301としての係合突部311に対してドア5側に設けられた第2係合部材302としてフックレバー310が係脱する構成となっている。
このように、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいては、ドア5の開閉動作に基づき車体側リンク91Bが回動することにより、そのフックカム317と押圧突部318とが相対変位する。そして、本実施形態の連結長固定機構300においては、その相対変位に基づき係脱するフックカム317及び押圧突部318によって、そのタイミング生成部321及び係脱駆動部322が形成されている。
即ち、ドア5の開閉動作に基づいて、これらのフックカム317と押圧突部318とが係脱することにより、その第1係合部材301としての係合突部311に対する第2係合部材302としてフックレバー310の係脱タイミングが生成される。そして、本実施形態の連結長固定機構300は、この生成された係脱タイミングに基づいて、その係合突部311に対してフックレバー310を係脱させる構成となっている。
具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいて、これら係合突部311及びフックレバー310の係脱タイミングは、ドア5に設けられたドア側係合部31及びドア開口部3に設けられた車体側係合部32の係脱タイミングに合わせて設定されている。即ち、本実施形態の連結長固定機構300は、これらのドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する全閉位置P0近傍の開閉動作位置においては(図3及び図4参照)、その連結長Lの固定を解除するように構成される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、これにより、第2のリンクアーム12Bに設けられた連結長可変機構35の動作に基づいて、そのリンク機構15に支持されたドア5の開閉動作軌跡Rが変化する構成となっている。
つまり、本実施形態の車両用ドア装置20Bもまた、全閉位置P0に移動する際、車体側係合部32に対してドア側係合部31が係合することにより、そのガイド溝42内にガイド係合部としての軸状係合部41が配置された状態でドア5の開閉動作が案内される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、これにより、そのリンク機構15の動作に基づいた円弧状のグライド軌跡Rgが、ドア開口部3の開口幅方向に沿った直線状のスライド軌跡Rsに変化する構成となっている。
詳述すると、図47に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Bは、ドア5が全閉位置P0にある場合に、そのガイド機構330を構成するドア側係合部31と車体側係合部32とが互い係合した状態にある。そして、本実施形態の連結長固定機構300は、このとき、その第1係合部材301としての係合突部311と第2係合部材302としてフックレバー310とが脱離した状態、つまりは、その連結長Lの固定を解除した状態となっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいては、全閉位置P0から移動するドア5の開動作に基づいて、そのガイド機構330を構成するドア側係合部31と車体側係合部32との係合が解除される。つまり、そのドア側係合部31に設けられたガイド係合部としての軸状係合部41が、その車体側係合部32を構成するガイド溝42から脱離する。更に、このタイミングで、そのドア側リンク92Bに設けられた第1係合部材301としての係合突部311とドア5側に設けられた第2係合部材302としてフックレバー310とが係合する。つまり、本実施形態の連結長固定機構300は、これにより、その連結長Lを固定する状態に移行する構成になっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20Bにおいては、全閉位置P0に移動するドア5の閉動作に基づいて、そのドア側係合部31と車体側係合部32との係合が係合する。つまり、そのドア側係合部31に設けられたガイド係合部としての軸状係合部41が、その車体側係合部32を構成するガイド溝42内に進入する。更に、このタイミングで、そのドア側リンク92Bに設けられた第1係合部材301としての係合突部311とドア5側に設けられた第2係合部材302としてフックレバー310との係合が解除される。そして、本実施形態の連結長固定機構300は、これにより、その連結長Lの固定を解除する状態に移行する構成となっている。
以上、本実施形態の構成によっても、上記第1の実施形態と同様、全閉位置P0近傍における円滑なドア5の開閉動作を担保しつつ、安定的に、そのドア5を支持することができる。加えて、以下のような特徴的な効果を得ることができる。
(1)即ち、連結長固定機構300の作動によりドア5と車体2との間の連結長Lを固定することで、ドア5の開閉動作時、安定的に、ドア5を支持することができる。そして、これにより、ドア5の揺れや振動を抑えて、安定的な開閉動作を実現することができる。その結果、例えば、付勢部材115の付勢力Fに基づき連結長Lを保持する構成との比較において、より優れた安定性を確保することができる。
(2)連結長固定機構300は、ドア側リンク92B側に設けられた第1係合部材301としての係合突部311と、ドア5に設けられた第2係合部材302としてのフックレバー310と、を備える。そして、連結長固定機構300は、ドア5の開閉動作に基づいて、その係合突部311とフックレバー310とが係合することにより連結長Lを固定し、これらの係合突部311とフックレバー310とが脱離することにより連結長Lの固定を解除する。
即ち、ドア側リンク92Bがドア5と一体化した状態となることで、このドア側リンク92Bと車体側リンク91との中間連結点X3が、そのドア5に対する新たな第2の回動連結点X2´となる。つまり、その連結長Lが、車体側リンク91の長さに基づいた一定の値となる。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、安定的に、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを固定することができる。そして、支軸310周りに回動するフックレバー310が係合突部311に係合する構成を採用することで、簡素な構成にて、安定的に、ドア側リンク92B側の第1係合部材301とドア5側の第2係合部材302とを係脱させることができる。
(3)連結長固定機構300は、ドア5の開閉動作に基づき第1係合部材301及び第2係合部材302の係脱タイミングを生成するタイミング生成部321を備える。そして、連結長固定機構300は、この生成された係脱タイミングに基づいて、その第1係合部材301及び第2係合部材302を係脱させる係脱駆動部322を備える。
上記構成によれば、タイミング生成部321及び係脱駆動部322の設定により、第1係合部材301と第2係合部材302との係脱タイミングを調整することができる。そして、これにより、そのドア5の開閉動作に基づいて、精度よく、ドア5と車体2との連結長Lを固定し、及び、その固定を解除することができる。
(4)連結長固定機構300は、車体側リンク91Bに設けられた押圧突部318と、フックレバー310に設けられたフックカム317と、を備える。更に、これらの押圧突部318及びフックカム317は、ドア5の開閉動作に基づき車体側リンク91Bが回動することにより相対変位する。そして、タイミング生成部321及び係脱駆動部322は、その相対変位に基づきフックカム317と押圧突部318とが係脱することによりフックレバー310が回動するように構成される。
上記構成によれば、連結長可変機構35を構成する関節リンク機構100の動作に基づいて、自律的に作動するタイミング生成部321及び係脱駆動部322を形成することができる。そして、これにより、ドア5の開閉動作に基づいた適切なタイミングで、その連結長固定機構300の作動により、ドア5と車体2との連結長Lを固定し、及び、その固定を解除することができる。
(5)連結長固定機構300は、全閉位置P0から移動するドア5の開動作に基づいて、そのドア側係合部31と車体側係合部32との係合が解除されるタイミングで連結長Lを固定する。そして、連結長固定機構300は、全閉位置P0に移動するドア5の閉動作に基づいて、そのドア側係合部31と車体側係合部32とが係合するタイミングで連結長Lの固定を解除するように構成される。
上記構成によれば、リンク機構15の動作に基づき開閉動作するドア5について、そのドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する全閉位置P0近傍の開閉動作位置においては、その連結長可変機構35の動作に基づいた開閉動作軌跡Rの変化が許容される。また、そのドア側係合部31と車体側係合部32との係合が解除された開側の開閉動作位置においては、そのドア5と車体2との連結長Lが固定される。そして、これにより、全閉位置P0近傍における円滑なドア5の開閉動作を担保しつつ、安定的に、そのドア5を支持することができる。
[第3の実施形態]
以下、車両用ドア装置を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1及び第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
図48~図50に示すように、上記第2の実施形態との比較において、本実施形態の車両用ドア装置20Cは、連結長固定機構300Cの構成、詳しくは、そのタイミング生成部321C及び係脱駆動部322Cの構成が相違する。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20Cは、その連結長固定機構300Cを構成するフックレバー310Cに対し、上記第2の実施形態におけるフックレバー310のようなフックカム317が設けられていない(図44~図46参照)。そして、車体側リンク91に設けられた係合突部121のローラ125もまた、上記第2の実施形態のような、そのドアブラケット94Cのカム溝122に沿った移動によりフックカム317に対して係脱する押圧突部318としての機能を有していない。
また、図51~図53に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Cは、ドア5の閉側端部33に設けられたドアレバー341と、ドア開口部3の閉側端部34に設けられた車体カム342と、を備えている。尚、これら図51~図53においては、各図中、右側が車両前方側、左側が車両後方側となっている。
更に、図48~図53に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Cは、そのドアレバー341とフックレバー310Cとを接続する接続部材343としての駆動ケーブル345を備えている。尚、本実施形態の駆動ケーブル345は、可撓性を有する樹脂チューブ内を芯材が摺動することにより、この芯材を介して駆動力を伝達することのできる周知の構成を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Cにおいては、これらのドアレバー341、車体カム342、及び駆動ケーブル345によって、そのタイミング生成部321C及び係脱駆動部322Cが形成されている。
さらに詳述すると、図51~図53に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Cにおいて、ドアレバー341は、ドア5の閉側端部33に設けられた支軸341x周りに回動可能に軸支されている。また、このドアレバー341は、長手方向の一端側に駆動ケーブル345との接続部350を有している。そして、本実施形態のドアレバー341は、その長手方向の他端側に設けられた鉤状の係合部351を有している。
一方、本実施形態の車体カム342は、ドア開口部3の閉側端部34から突出する断面略円弧状のカム面342sを有している。また、本実施形態の車両用ドア装置20Cは、ドア5の開閉動作に基づいて、このドア5の閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34に対して接離することにより、そのドアレバー341の係合部351が、車体カム342のカム面342sに対して係脱する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Cは、これにより、そのドアレバー341が支軸341x周りに回動する構成になっている。
具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20Cは、ドア5の開閉動作に基づいて、ドアレバー341の係合部351が、その断面略円弧状をなす車体カム342のカム面342sに乗り上げる態様で係合する。尚、本実施形態のドアレバー341は、フックレバー310Cと同様、支軸341xに嵌挿された捩りコイルバネ352の弾性力に基づいて、その係合部351が車体カム342のカム面342sに押し当てられる方向に回動付勢されている。そして、本実施形態のドアレバー341は、これにより、その係合部351が車体カム342のカム面342sに係合する位置を通過することで、その支軸341x周りに回動する構成となっている。
即ち、本実施形態のドアレバー341は、その係合部351が車体カム342のカム面342sに係合することにより、捩りコイルバネ352の付勢力に抗して、各図中、反時計回り方向に回動する。そして、その係合部351が車体カム342のカム面342sから脱離することにより、その捩りコイルバネ352の付勢力に基づいて、各図中、時計回り方向に回動する構成になっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20Cは、ドア5が全閉位置P0にある場合に、そのドアレバー341の係合部351と車体カム342とのカム面342sが脱離した状態となるように構成されている。更に、この車両用ドア装置20Cは、全閉位置P0から移動するドア5の開動作に基づいて、そのドアレバー341と車体カム342とが係脱する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Cは、全閉位置P0に移動するドア5の閉動作時においても、そのドアレバー341と車体カム342とが係脱する構成になっている。
図48~図53に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Cにおいては、この車体カム342に対する係脱に伴うドアレバー341の回動が、その駆動ケーブル345を介してフックレバー310Cに伝達される。尚、本実施形態のフックレバー310Cは、その係合部315が設けられた位置とは反対側の長手方向端部に、その駆動ケーブル345の接続部353を有している。更に、本実施形態の車両用ドア装置20Cは、これにより、フックレバー310Cが回動することで、上記第1の実施形態におけるフックレバー310と同様、その係合部315が、ドア側リンク92Cに設けられた係合突部311に対して係脱する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Cにおいてもまた、これら第1係合部材301としての係合突部311と第2係合部材302としてのフックレバー310Cとの係脱によって、ドア側リンク92Cとドア5とが固定され、及びその固定が解除される。つまりは、その第2のリンクアーム12Cによるドア5と車体2とのとの連結長Lが固定され、及びその固定が解除される。
このように、本実施形態の車両用ドア装置20Cにおいては、ドア5の開閉動作に基づいて、そのドアレバー341と車体カム342とが係脱することにより、タイミング生成部321Cが形成されている。そして、その駆動ケーブル345を介してドアレバー341の動作がフックレバー310Cに伝達されることにより、その係脱駆動部322Cが形成される構成となっている。
尚、本実施形態の車両用ドア装置20Cもまた、その係合突部311及びフックレバー310Cの係脱タイミングは、ドア側係合部31及び車体側係合部32の係脱タイミングに合わせて設定されている(図47参照)。そして、本実施形態の連結長固定機構300Cもまた、これにより、これらのドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する全閉位置P0近傍の開閉動作位置においては、その連結長Lの固定を解除する構成となっている。
以上、本実施形態の構成によっても、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態の車両用ドア装置20Cにおいては、そのタイミング生成部321Cが、第1係合部材301としての係合突部311及び第2係合部材302としてのフックレバー310Cから独立した構成を有する。このため、容易に、その係脱タイミングの調整を行うことができる。更に、タイミング生成部321Cを構成するドアレバー341とフックレバー310Cとを接続部材343としての駆動ケーブル345を介して接続することにより、その係脱駆動部322Cが形成される。そして、これにより、簡素な構成にて、精度よく、その係合突部311に対してフックレバー310Cを係脱動作させることができるとともに、併せて、その高い信頼性を確保することができる。
[第4の実施形態]
以下、車両用ドア装置を具体化した第4の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
図55~図57に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、上記第1の実施形態との比較において、その第2のリンクアーム12Hが連結されるドアブラケット94Hの構成が相違する。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいてもまた、第2のリンクアーム12Hは、その車体側リンク91H及びドア側リンク92Hを相対回動可能に連結することにより形成されている。更に、ドアブラケット94Hもまた、上下方向に対向する一対の連結壁110H,110Hを備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、これらの両連結壁110H,110Hに対し、そのドア側リンク92Hが回動可能に連結される構成となっている。
即ち、図57~図59に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいてもまた、第2のリンクアーム12Hについては、このドアブラケット94Hに対するドア側リンク92Hの連結によって、そのドア5に対する第2の回動連結点X2が形成される。そして、上記第1の実施形態と同様、車体側リンク91H及びドア側リンク92Hの相対回動に基づいて、その第2のリンクアーム12Hによるドア5の連結長Lが変化する(図22及び図23参照)。つまりは、これらの車体側リンク91H及びドア側リンク92Hが形成する関節リンク機構100を、その連結長可変機構35に用いる構成となっている。
また、図55~図57に示すように、本実施形態のドアブラケット94Hは、上下方向に対向する両連結壁110H,110Hのうち、その下側の連結壁110Hbと一体にカム部材123Hが設けられた構成を有している。そして、これに合わせ、車体側リンク91Hに設けられた係合突部121Hもまた、その車体側リンク91Hの下方に突出する状態で、このカム部材123Hに設けられたカム溝122Hに係合する構成になっている。
更に、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいては、そのドア側リンク92Hの付勢部材115に引張コイルバネ400が用いられている。即ち、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、この引張コイルバネ400の引張力に基づいて、そのドアブラケット94Hに対する回動軸401周りにドア側リンク92Hを回動付勢する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hもまた、これにより、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが短くなる方向に、その連結長可変機構35を構成する車体側リンク91H及びドア側リンク92Hを相対回動させる構成となっている。
具体的には、本実施形態のドア側リンク92Hは、ドアブラケット94Hの各連結壁110H,110Hに対向配置される一対の連結部407,407と、これらの両連結部407,407を接続する接続部408と、を有した略コ字状の折曲板形状を有している。そして、本実施形態のドア側リンク92Hは、その各連結部407,407が、それぞれ、連結ピン402,402を介して、その対向するドアブラケット94Hの各連結壁110H,110Hに対して回動可能に連結される構成となっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、接続部408近傍の位置において、その両連結部407,407間に架け渡される態様でドア側リンク92Hに設けられた軸状部材409を備えている。更に、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいては、この軸状部材409が、そのドア側リンク92Hに対する車体側リンク91Hの連結軸410を構成する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、これにより、ドア側リンク92Hの両連結部407,407間に車体側リンク91Hが挟み込まれた状態で、この連結軸410周りに、車体側リンク91H及びドア側リンク92Hが相対回動する構成になっている。
また、本実施形態のドア側リンク92Hは、ドアブラケット94Hの各連結壁110H,110Hに対して回動可能に連結された各連結部407,407のうち、下側の連結部407bに設けられたバネ係止部411を備えている。具体的には、このバネ係止部411は、下側の連結部407bを長手方向に延長する態様で、その連結ピン402が設けられた位置、つまりはドアブラケット94Hの連結壁110Hbに対する回動軸401を挟んで接続部408の反対側に設けられている。更に、ドアブラケット94Hにおける下側の連結壁110Hbにも、このドア側リンク92H側のバネ係止部411と対になるバネ係止部412が設けられている。本実施形態のドアブラケット94Hにおいて、このバネ係止部412は、その車両後方側(図57中、左側)の端部、つまりドア5が全閉状態にある場合に、ドアブラケット94Hに連結された第2のリンクアーム12Hが延在する方向の端部位置に設けられている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、これらの両バネ係止部411,412に対して、その引張コイルバネ400の両端を係止する構成になっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいて、ドア側リンク92H側は、ドア5が全閉状態にある場合に、そのバネ係止部411が、ドアブラケット94Hに対する回動軸401よりも、車両前方側(図57中、右側)に配置されている。更に、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいては、このバネ係止部411に係止された引張コイルバネ400の弾性力に基づいて、その回動軸401周りに、図57中、時計回り方向にドア側リンク92Hが回動付勢されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、これにより、その関節リンク機構100を構成する車体側リンク91Hとドア側リンク92Hとのなす角度が狭くなる。即ち、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが短くなる方向に、これらの車体側リンク91H及びドア側リンク92Hが相対回動するように構成されている。
尚、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいて、ドア側リンク92Hは、そのバネ係止部411を有した下側の連結部407bが、ドアブラケット94Hにおける下側の連結壁110Hbよりも下方に配置されている。更に、この連結壁110Hbに設けられたドアブラケット94H側のバネ係止部412もまた、その連結壁110Hbの下方に突設されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、これにより、これらの両バネ係止部411,412に係止された引張コイルバネ400が、そのドアブラケット94Hに干渉しない構成となっている。
更に、図57~図59に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Hもまた、ドア5が全閉位置P0から開動作する際、連結長可変機構35の動作に基づいて、ドア側リンク92Hの接続部408が、ドアブラケット94H側のストッパ116Hに当接する。即ち、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいてもまた、ドア側係合部31と車体側係合部32との係合が解除されるタイミングに同期して、そのドア側リンク92Hの接続部408がドアブラケット94H側のストッパ116Hに当接する(図7参照)。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、第1の実施形態と同様、これにより形成されるストッパ機構420の機能に基づいて、その第2のリンクアーム12Hに支持されたドア5の安定的な開閉動作姿勢を確保する構成となっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20Hもまた、連結長可変機構35の動作に基づいて、このストッパ116H、及び、その回動軸401を挟んでバネ係止部411の反対側に位置するドア側リンク92Hの接続部408が互いに接離する。更に、ドア側リンク92Hの接続部408がドアブラケット94H側のストッパ116Hに当接することにより、その回動軸401周りに、各図中、時計回り方向におけるドア側リンク92Hとドアブラケット94Hとの間の相対回動が規制される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいては、これにより、これらドア側リンク92Hの接続部408及びドアブラケット94H側のストッパ116Hを、その第1及び第2の当接部421,422としたストッパ機構420が形成されている。
更に、本実施形態の車両用ドア装置20Hもまた、その付勢部材115の付勢力に基づいて、これらの第1及び第2の当接部421,422が互いに当接する状態が保持される。そして、これにより、その連結長可変機構35の動作に基づいた連結長Lの変更が規制される。
即ち、回動可能に連結された車体側リンク91H及びドア側リンク92Hが連結長可変機構35を形成する構成では、付勢部材115の付勢力に基づきストッパ116Hに押し当てられることで、そのドア側リンク92Hがドア5と一体化した状態となる。そして、これにより、そのドア側リンク92Hと車体側リンク91Hとの中間連結点X3周りに、この車体側リンク91Hが相対回動する状態で、そのドア5が開閉動作することになる。
つまりは、その中間連結点X3がドア5に対する新たな第2の回動連結点X2´となる。換言すると、そのドア5に対する第2の回動連結点X2が遷移する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいてもまた、これにより、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが、車体側リンク91Hの長さに基づいた一定の値に固定される構成となっている。
(ストッパ当接時の衝撃緩和構造)
さらに詳述すると、図60に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいてもまた、そのカム部材123Hに設けられたカム溝122Hは、上記第1の実施形態と同様の円弧形状部126及び直線形状部127を有している。そして、本実施形態のカム溝122Hは、これらの円弧形状部126と直線形状部127との間を連続的に接続する湾曲形状を有した湾曲接続部430を有している。
更に、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいては、カム溝122H内の係合突部121Hが直線形状部127から円弧形状部126に移動する際、この湾曲接続部430に係合突部121Hが摺接する状態で、その係合突部121Hの移動が案内される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、これにより、そのストッパ機構420を構成する第1及び第2の当接部421,422が当接する際の衝撃を緩和する構成になっている。
即ち、図57~図59に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20Hもまた、上記のように、ドア5が全閉位置P0から開動作する際、そのドアブラケット94H側のストッパ116Hに対してドア側リンク92Hの接続部408が当接する。更に、これにより、その連結長可変機構35の動作に基づいた連結長Lの変更が規制されることで、そのドア5の開閉動作軌跡Rが直線的なスライド軌跡Rsから円弧状のグライド軌跡Rgに変化する(図4参照)。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいてもまた、カム部材123Hに設けられたカム溝122Hは、その円弧形状部126がグライド軌跡Rgに対応し、その直線形状部127がスライド軌跡Rsに対応する構成となっている。
つまりは、連結長可変機構35の動作に基づきドア側リンク92Hの接続部408がドアブラケット94H側のストッパ116Hに近接する動作に連動して、その直線形状部127内の係合突部121Hが円弧形状部126側(各図中、右側)に向かって移動する。そして、ドア側リンク92Hの接続部408がドアブラケット94H側のストッパ116Hに当接することにより、その連結長可変機構35の動作に基づく連結長Lの変更が規制された状態で、その円弧形状部126内を係合突部121Hが移動する。
ここで、このような開閉動作軌跡Rの切り替え時、そのドアブラケット94H側のストッパ116Hに対してドア側リンク92Hの接続部408が勢いよく当接することで、その衝撃により、ドア5の揺れや振動が生ずる可能性がある。
この点を踏まえ、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、上記のように直線形状部127と円弧形状部126との間に設けられた湾曲接続部430によって、その直線形状部127から円弧形状部126に向かう係合突部121Hの移動を案内する。
具体的には、図60に示すように、直線形状部127から円弧形状部126に向かう係合突部121が摺接する湾曲接続部430の側壁430sは、その直線形状部127と円弧形状部126との接続形状を緩やかな円弧状に「面取り」する態様で設けられている。即ち、図60中の二点鎖線は、このような湾曲接続部430を設けない場合の直線形状部127と円弧形状部126との接続形状を示している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、これにより、その湾曲接続部430の側壁430sに大きな曲率半径を付与する構成となっている。
即ち、図58及び図61に示すように、直線形状部127から円弧形状部126に向かう係合突部121が湾曲接続部430に進入する際、ドア側リンク92Hの接続部408は、まだドアブラケット94H側のストッパ116Hに当接してない(図61参照)。更に、この湾曲接続部430に進入した係合突部121は、その湾曲接続部430の側壁430sに摺接する状態で、この湾曲接続部430内を移動する。そして、この湾曲接続部430から係合突部121が離脱する際には、そのドアブラケット94H側のストッパ116Hに対してドア側リンク92Hの接続部408が当接した状態となっている(図58参照)。
このように、本実施形態の車両用ドア装置20Hにおいては、カム溝122H内を移動する係合突部121が、その湾曲接続部430に案内された状態で、ドアブラケット94H側のストッパ116Hに対してドア側リンク92Hの接続部408が当接する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20Hは、このとき、その湾曲接続部430の湾曲形状に基づいて、これらドアブラケット94H側のストッパ116Hとドア側リンク92Hの接続部408とが緩やかに当接する構成になっている。
以上、本実施形態の構成によっても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、全閉位置P0からの開動作時、そのドア側リンク92Hの接続部408とドアブラケット94H側のストッパ116Hとが当接する際の衝撃を緩和することができる。そして、これにより、これらストッパ機構420を構成する第1及び第2の当接部421,422の当接時、その衝撃により生ずるドア5の揺れや振動を抑えて、高い質感を確保することができる。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記各実施形態では、連結長可変機構35は、第1の回動連結点X1を有した車体側リンク91と第2の回動連結点X2を有したドア側リンク92とを回動可能に連結してなる関節リンク機構100としての構成を有することとした。しかし、これに限らず、連結長可変機構35の構成については、任意に変更してもよい。
例えば、図42及び図43に示すような直動式の伸縮リンク機構200を、その連結長可変機構35として、第2のリンクアーム12Dに設けてもよい。即ち、この別例に示す第2のリンクアーム12Dは、同心状に配置されたアウタチューブ201及びインナチューブ202を備えている。具体的には、アウタチューブ201は、車体2に対する第1の回動連結点X1を第1端部201a側に有するとともに、第2端部201b側に開口部201xを有している。また、インナチューブ202は、ドア5に対する第2の回動連結点X2を第2端部202b側に有するとともに、第1端部202a側に開口部202xを有している。更に、アウタチューブ201の内径は、インナチューブ202の外径よりも大きな値に設定されている。そして、第2のリンクアーム12Dは、そのアウタチューブ201の筒内に、第2端部201b側からインナチューブ202の第1端部202a側を挿入することで、これらのアウタチューブ201及びインナチューブ202を同心状に配置する構成となっている。
即ち、この別例に示す第2のリンクアーム12Dにおいては、そのアウタチューブ201が車体側リンク91Dを構成し、そのインナチューブ202がドア側リンク92Dを構成する。そして、これらのアウタチューブ201及びインナチューブ202が軸線方向に相対変位することで、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが変化する。
具体的には、アウタチューブ201の筒内からインナチューブ202が引き出される方向に相対変位することで、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが延長される。そして、インナチューブ202がアウタチューブ201の筒内に没入する方向に相対変位することで、その第1及び第2の回動連結点X1,X2の間の連結長Lが短縮される。
また、この別例に示す第2のリンクアーム12Dには、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを短縮する方向の引張力を付与する付勢部材205が設けられている。尚、この付勢部材205には、例えば、引っ張りバネ206等を用いることができる。そして、この付勢部材205の発生する付勢力Fを利用して、ドア5の開閉動作時、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを保持する構成となっている。このような構成を採用しても上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
・また、この別例では、同心状に配置された長尺筒状のアウタチューブ201及びインナチューブ202を、車体側リンク91D及びドア側リンク92Dとして、その伸縮リンク機構200が形成されることとした。しかし、これに限らず、車体側リンク91D及びドア側リンク92Dは、必ずしも同心配置された筒形状を有していなくともよい。これら車体側リンク91D及びドア側リンク92Dが軸線方向に沿って相対変位可能に配置された構成であれば、その形状は、任意に変更してもよい。
・上記各実施形態では、メインリンク21としての構成を有する第1のリンクアーム11を、サブリンク22としての構成を有した第2のリンクアーム12よりも上方に配置する。そして、第2のリンクアーム12を、第1のリンクアーム11よりもドア5の閉側端部33に近い位置に配置することとした。しかし、これに限らず、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12の配置については、任意に変更してもよい。
・上記各実施形態では、第2のリンクアーム12に連結長可変機構35が設けられることとしたが、第1のリンクアーム11に連結長可変機構35を設けてもよい。また、第1及び第2のリンクアーム11,12の両方に連結長可変機構35を設けてもよい。そして、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12、並びに連結長可変機構35の配置によっては、ドア5が全閉位置P0に閉動作する際、連結長可変機構35の作動により、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが縮む構成であってもよい。
・更に、連結長可変機構35の付勢部材115,205は、任意に変更してもよい。例えば、圧縮バネ等のようなその他の弾性部材、或いはガス式や電磁式等の付勢部材を用いてもよい。また、その連結長可変機構35の配置によっては、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを伸ばす方向の付勢力を発生する構成であってもよい。そして、その連結長可変機構35に付勢部材が設けられていない構成であってもよい。
・上記各実施形態では、アクチュエータ25は、第1のリンクアーム11を駆動することとしたが、第2のリンクアーム12を駆動する構成であってもよい。また、第1及び第2のリンクアーム11,12の両方を駆動する構成としてもよい。即ち、アクチュエータ25の数や配置は、任意に変更してもよい。また、例えば、ドア5側にアクチュエータ25を設けてもよい。更に、そのリンクアームにアクチュエータ25を内蔵する構成であってもよい。そして、アクチュエータ25の構成についてもまた、任意に変更してもよい。
・上記各実施形態では、車両1のドア5が車両後方側に開動作する構成に適用したが、ドア5が車両前方側に開動作する構成に適用してもよい。そして、アクチュエータ25のような駆動源を有しない手動式のドア装置に適用してもよい。
・上記各実施形態では、支軸47に軸支されたローラ48によって、その軸状係合部41が形成されることとしたが、必ずしも、軸状係合部41は回転しなくともよい。そして、ガイド溝42内に配置された状態で、そのドア5の開閉動作が案内されるガイド係合部として機能する形状であれば、必ずしも軸形状を有していなくともよい。
・上記各実施形態では、ドア側係合部31が軸状係合部41を有し、車体側係合部32がガイド溝42を有することとした。しかし、これに限らず、ドア側係合部31がガイド溝42を有し、車体側係合部32が軸状係合部41を有する構成であってもよい。
・また、ドア側係合部31及び車体側係合部32の数及び配置は、任意に変更してもよい。更に、ガイド溝42を形成するガイド部材50の形状、及び、その固定構造は任意に変更してもよい。例えば、固定ブラケット53を用いることなく、直接的に、そのガイド部材50を設置面52に固定する構造であってもよい。また、ガイド部材50が緩衝部材80を有しない構成であってもよい。そして、例えば、第1及び第2のガイド部材71,72が同一の構成を有していてもよい。
・上記各実施形態では、連結長可変機構35としての関節リンク機構100を構成する車体側リンク91及びドア側リンク92は、そのドア側リンク92が、車体側リンク91よりも短い所謂ミニアームとしての構成を有することとした。しかし、これら車体側リンク91及びドア側リンク92の長さは、任意に変更してもよい。例えば、車体側リンク91よりもドア側リンク92の方が長い構成であってもよい。
・また、車体側リンク91及びドア側リンク92の形状は、それぞれ、任意に変更してもよい。例えば、上記各実施形態では、ドア側リンク92は、両者の間に車体側リンク91を挟み込む状態で車体側リンク91に連結されるとともに、それぞれ独立にドア5に対して連結される一対の挟持部107,107を備えることとした。しかし、これに限らず、ドア側リンク92もまた、車体側リンク91と同様に軸状の外形を有する構成であってもよい。車体側リンク91についてもまた、例えば、クランク状の折曲形状部106を有しなくともよい。そして、車体側リンク91が、板状やフレーム状等の外形を有していてもよい。
・上記各実施形態では、カム部材123は、ドア側リンク92が連結されることにより第2の回動連結点X2を形成するドアブラケット94と一体に設けられることとしたが、このカム部材123が独立して、そのドア5に設けられた構成であってもよい。
・上記各実施形態では、連結長可変機構35と組み合わせて第2のリンクアーム12に設けられた係合突部121が、ドア5に設けられたカム部材123のカム溝122内を移動することにより、そのドア5の開閉動作軌跡Rが規定されることとした。しかし、これに限らず、上記別例のように、第1のリンクアーム11に連結長可変機構35が設けられている場合には、その第1のリンクアーム11に係合突部121が設けられた構成であってもよい。そして、第1及び第2のリンクアーム11,12の両方に連結長可変機構35が設けられている場合には、これらの両方に、その係合突部121が設けられた構成であってもよい。
・上記各実施形態では、係合突部121には、カム溝122に摺接するローラ125が設けられることとした。しかし、これに限らず、例えば、このようなローラ125を有しない軸状部材を用いる等、係合突部121の形状は、任意に変更してもよい。
・また、上記各実施形態では、係合突部121は、車体側リンク91に設けられることとしたが、この係合突部121がドア側リンク92に設けられた構成であってもよい。
・また、カム部材123が車体2側に設けられる構成であってもよい。尚、このような構成は、例えば、上記別例のように、その車体側リンク91がドア側リンク92よりも短い所謂ミニアームとしての構成を有する場合に適用するとよい。そして、上記別例のように、その連結長可変機構35が伸縮リンク機構200としての構成を有する場合についても同様に、このような係合突部121及びカム部材123を設けてもよい。
・上記各実施形態では、ドア5が全開位置P1にある場合に、第2のリンクアーム12に設けられた緩衝部材131が、その第2のリンクアーム12と車体2との間に挟み込まれることとした。しかし、これに限らず、車体2に設けられた緩衝部材131が、第2のリンクアーム12の回動によって、この第2のリンクアーム12と車体2との間に挟み込まれる構成であってもよい。また、同じくドア5が全開位置P1にある場合に、第1のリンクアーム11と車体2との間に挟み込まれるような緩衝部材131を有していてもよい。尚、この場合もまた、その緩衝部材131は、第1のリンクアーム11に設けられていても、車体2に設けられていてもよい。そして、第1及び第2のリンクアーム11,12の両方について、このような車体2との間に挟み込まれる緩衝部材131を有する構成であってもよい。
・上記各実施形態では、第2のリンクアーム12の車体2に対する第1の回動連結点X1は、板状連結部136に設けられた貫通孔135に筒状緩衝部材137を嵌着するとともに、この筒状緩衝部材137を介して支軸133を挿通することにより形成される。そして、第2のリンクアーム12に設けられた関節リンク機構100の中間連結点X3、及び第1のリンクアーム11における第1の回動連結点X1についてもまた、同様の回動連結構造を有することとした。しかし、これに限らず、第1及び第2のリンクアーム11,12のドア5に対する第2の回動連結点X2,X2についてもまた、このような回動連結構造を適用してもよい。そして、このような回動連結構造の設定箇所は、任意に変更してもよい。即ち、第1及び第2のリンクアーム11,12における回動連結点の少なくとも何れかが、このような回動連結構造を有するとよい。そして、これにより、その連結自由度を高めることで、製造及び組付公差等を吸収して組付性の向上を図ることができる。
・上記各実施形態では、第1のリンクアーム11のドア5に対する第2の回動連結点X2を形成する第1及び第2の回動連結部171,172間にフリクション部材175を介在させることにより摺動抵抗を付与することとした。しかし、これに限らず、第2のリンクアーム12における第2の回動連結点X2について、このようなフリクション部材175を用いた摺動抵抗の付与構造を設けてもよい。そして、第1及び第2のリンクアーム11,12の車体2に対する第1の回動連結点X1,X1や、関節リンク機構100の中間連結点X3についてもまた、同様のフリクション部材175を用いた摺動抵抗の付与構造を設けてもよい。そして、このようなフリクション部材175を用いた摺動抵抗の付与構造は、任意の回動連結点に設定してもよい。即ち、第1及び第2のリンクアーム11,12における回動連結点の少なくとも何れかが、このような回動連結構造を有するとよい。そして、これにより、ドア5に生じた揺れや振動を減衰することで、その開閉動作姿勢を安定的に保持することができる。
・また、上記各実施形態では、フリクション部材175は、樹脂材を用いて形成されることとしたが、その材質については、任意に変更してもよい。例えば、金属材料を用いて形成してもよい。そして、その摩擦抵抗を増加させる表面処理の有無についてもまた、任意である。
・上記各実施形態では、第1のリンクアーム11は、上下に並んで配置される一対のパイプフレーム151,151の基端部分及び先端部分を、それぞれ、基端ブラケット153及び先端ブラケット154により接続した構成を有することとした。しかし、これに限らず、第1のリンクアーム11の構成は、任意に変更してもよい。
・上記第2及び第3の実施形態では、ドア側リンク92B,92Cに設けられた係合突部311がドア側リンク92B,92C側の第1係合部材301を構成する。そして、ドアブラケット94Bに設けられたフックレバー310,310Cが、そのドア5側の第2係合部材302を構成することとした。しかし、これに限らず、互いの係合力に基づき連結長Lを固定可能であれば、第1係合部材301及び第2係合部材302の構成は任意に変更してもよい。例えば、必ずしもフックレバー310のような回動式のレバー部材を用いなくともよく、直動式のレバー部材等を用いてもよい。更に、例えば、ドア5側に係合突部311を設け、ドア側リンク92B側にフックレバー310を設ける等、その第1係合部材301及び第2係合部材302の構成を入れ替えてもよい。そして、これらの第1係合部材301及び第2係合部材302の係合形状、及び、その係脱態様についてもまた、任意に変更してもよい。
・上記第2及び第3の実施形態では、連結長固定機構300,300Cは、ドア側リンク92B,92Cをドア5に固定する。そして、これにより、ドア5に対するドア側リンク92B,92Cの相対回動を規制することで、その連結長Lを固定することとした。しかし、これに限らず、中間連結点X3を有して回動自在に連結された車体側リンク91とドア側リンク92との挟み角を固定することにより、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを固定する構成を採用してもよい。
・また、上記別例のような直動式の伸縮リンク機構200を連結長可変機構35に用いる構成について、このような連結長固定機構300を設ける構成としてもよい。即ち、この場合、その伸縮リンク機構200を構成するアウタチューブ201及びインナチューブ202の軸方向における相対変位を規制することにより、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを固定することができる。そして、このような構成を採用しても、上記第2及び第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
・また、例えば、図54に示す連結長固定機構300Eのように、ドア側係合部31及び車体側係合部32の係脱状態を検出する係脱センサ371と、図示しないモータ等の駆動源を有してフックレバー310Eを駆動するアクチュエータ372と、を設ける。そして、その係脱センサ371がタイミング生成部321Eを構成し、アクチュエータ372が係脱駆動部322Eを構成するようにしてもよい。即ち、タイミング生成部321Eにより生成された係脱タイミングが、電気信号として係脱駆動部322Eに伝達される構成としてもよい。このような構成を採用することで、設計自由度の向上を図ることができる。
尚、この例においては、係脱センサ371の出力する係脱検出信号Sdが制御装置375に入力される。そして、その係脱検出信号Sdに基づいて、この制御装置375がアクチュエータ372の制御信号Sxを出力する構成となっている。しかし、これに限らず、制御装置375を介することなく、その係脱センサ371の出力する係脱検出信号Sdに基づいて、直接的に、そのアクチュエータ372が作動する構成であってもよい。そして、このアクチュエータ372の駆動源についてもまた、モータの他、ソレノイド等、任意に変更してもよい。
・上記第2及び第3の実施形態では、連結長固定機構300の作動による連結長Lの固定、及び、その固定の解除は、ガイド機構330を構成するドア側係合部31及び車体側係合部32の係脱タイミングに合わせて設定されることとした。しかし、これに限らず、連結長Lの固定するタイミング、及び、その固定を解除するタイミングは、任意に設定してもよい。そして、その係脱タイミングがドア5の開閉動作と同期しない構成であってもよい。
・上記第1及び第4の実施形態のような車体側リンク91及びドア側リンク92を中間連結点X3周りに回動付勢する付勢部材115と、上記第2及び第3の実施形態のような連結長固定機構300,300Cとを併用する構成であってもよい。
・上記各実施形態では、連結長可変機構35の動作に基づいたドア5の開閉動作軌跡Rを、「円弧状のグライド軌跡Rg」「直線的なスライド軌跡Rs」と表現したが、このような円弧状軌跡及び直線状軌跡の呼称については任意である。
・また、必ずしも円弧状軌跡が真円軌跡でなくともよく、直線状軌跡が完全な直線軌跡でなくともよい。例えば、上記各実施形態における直線状軌跡としてのスライド軌跡Rsは、ドア開口部3の開口幅方向、車両前後方向に沿ってスライド動作するドア5の軌跡、詳しくは、その閉側端部33の軌跡を示すものとなっている。
・上記第4の実施形態では、ドア側リンク92Hの接続部408及びドアブラケット94H側のストッパ116Hを、その第1及び第2の当接部421,422として、ストッパ機構420が形成されることとした。しかし、これに限らず、ストッパ機構420の構成は、任意に変更してもよい。例えば、ストッパ116Hに対するドア側リンク92Hの当接位置は、必ずしも接続部408でなくともよい。
・また、第1及び第2の当接部421,422が当接することにより、その連結長Lの変更を規制可能であれば、第1及び第2の当接部421,422の配置についてもまた、任意に設定してもよい。例えば、車体側リンク91H及びドア側リンク92Hに第1及び第2の当接部421,422を設ける構成でもよい。即ち、この場合、これら第1及び第2の当接部421,422の当接により、車体側リンク91Hとドア側リンク92Hとの間の挟み角について、その変更を規制する。そして、これにより、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを一定に保持する構成であってもよい。
・上記別例のような直動式の伸縮リンク機構200を連結長可変機構35に用いる構成においてもまた、そのカム溝122Hが円弧形状部126と直線形状部127との間を連続的に接続する湾曲形状を有した湾曲接続部430を有する構成とするとよい。そして、この場合についてもまた、そのストッパ機構420の構成については、任意に変更してもよい。
次に、上記各実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記連結長可変機構は、前記第1の回動連結点を有したドア側リンクと前記第2の回動連結点を有した車体側リンクとを軸線方向に沿って相対変位可能に配置してなる直動式の伸縮リンク機構であること、を特徴とする。
上記構成によれば、車体側リンクとドア側リンクとの相対変位に基づいて、その連結長を変更することができる。
(ロ)前記カム部材は、前記ドアに固定された状態で前記第2の回動連結点を形成するドアブラケットと一体に設けられること、を特徴とする。これにより、構成の簡素化と省スペース化を図ることができる。
(ハ)前記連結長可変機構の動作に基づき接離する第1及び第2の当接部を有したストッパ機構を備え、前記第1及び第2の当接部が当接して前記連結長の変更が規制されることにより、前記ドアの開閉動作軌跡が前記直線状軌跡から前記円弧状軌跡に移行すること、を特徴とする。
上記構成によれば、ストッパ機構の機能に基づいて、その第1及び第2の回動連結点間の連結長が安定的に保持される。そして、これにより、安定的なドアの開閉動作を実現することができる。
(ニ)前記連結長可変機構は、前記第1の回動連結点を有した車体側リンクと前記第2の回動連結点を有したドア側リンクとを回動可能に連結してなる関節リンク機構であって、前記第1及び第2の当接部は、前記ドア側リンクと、前記ドアに固定された状態で前記ドア側リンクが回動可能に連結されることにより前記第2の回動連結点を構成するドアブラケットと、に設けられること、を特徴とする。
即ち、関節リンク機構を連結長可変機構に用いる構成では、ドア側リンクがドアと一体化した状態となることで、このドア側リンクと車体側リンクとの中間連結点が、そのドアに対する新たな第2の回動連結点となる。つまりは、その連結長が、車体側リンクの長さに基づいた一定の値となる。そして、上記構成によれば、そのストッパ機構の機能に基づいて、安定的に、その第1及び第2の回動連結点間の連結長を保持することができる。
(ホ)前記カム溝は、前記円弧状軌跡に対応する円弧形状部と、前記直線状軌跡に対応する直線形状部と、前記円弧形状部と直線形状部とを連続的に接続する湾曲形状を有した湾曲接続部と、を備えること、を特徴とする。
上記構成によれば、安定的なドアの円弧状軌跡及び直線状軌跡を規定することができる。
1…車両
2…車体
5…ドア
11…第1のリンクアーム
12…第2のリンクアーム
15…リンク機構
20…車両用ドア装置
35…連結長可変機構
X1…第1の回動連結点
X2…第2の回動連結点
L…連結長
R…開閉動作軌跡

Claims (20)

  1. 車体に対する第1の回動連結点と車両のドアに対する第2の回動連結点とを有する第1及び第2のリンクアームと、
    前記第1及び第2のリンクアームの少なくとも何れかに設けられて前記第1及び第2の回動連結点間の連結長を変更可能とする連結長可変機構と、を備え、
    前記第1及び第2のリンクアームが形成するリンク機構の動作に基づき前記ドアが開閉動作するとともに、
    前記連結長可変機構の動作に基づいて、前記ドアの開閉動作軌跡が円弧状軌跡と直線状軌跡とで変化するように構成された車両用ドア装置。
  2. 請求項1に記載の車両用ドア装置において、
    前記連結長可変機構は、
    前記第1の回動連結点を有した車体側リンクと前記第2の回動連結点を有したドア側リンクとを回動可能に連結してなる関節リンク機構であること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
  3. 請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記ドア側リンクは、前記車体側リンクを挟み込む状態で該車体側リンクに対して回動可能に連結されるとともに上下方向に離間した位置において前記ドアに対して回動可能に連結される一対の挟持部を備えてなること、を特徴とする車両用ドア装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の車両用ドア装置において、
    前記車体側リンク及び前記ドア側リンクを相対回動させる付勢力を発生する付勢部材を備えること、を特徴とする車両用ドア装置。
  5. 請求項4に記載の車両用ドア装置において、
    前記関節リンク機構は、前記ドアが全閉位置から開動作することにより、前記車体側リンク及び前記ドア側リンクの相対回動に基づいて、連結長方向に沿った前記付勢力の分力が、前記全閉位置よりも強くなるように構成されること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記連結長可変機構と組み合わせて前記第1及び第2のリンクアームの少なくとも何れかに設けられた係合突部と、
    前記係合突部が係合するカム溝を有して前記ドア又は前記車体に設けられたカム部材と、を備え、
    前記ドアの開閉動作に基づき前記カム溝内を前記係合突部が移動することにより、前記ドアの開閉動作軌跡が規定されること、を特徴とする車両用ドア装置。
  7. 請求項6に記載の車両用ドア装置において、
    前記カム溝は、該カム溝内における前記係合突部の係合位置に基づいて、前記連結長を規定するように構成されること、を特徴とする車両用ドア装置。
  8. 請求項6に記載の車両用ドア装置において、
    前記カム部材は、前記ドアに設けられるとともに、
    前記カム溝は、該カム溝内における前記係合突部の係合位置に応じて、前記第2の回動連結点周りに前記ドアの回動を規制するように構成されること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
  9. 請求項6に記載の車両用ドア装置において、
    前記連結長可変機構の動作に基づき接離する第1及び第2の当接部を有したストッパ機構を備え、
    前記第1及び第2の当接部が当接して前記連結長の変更が規制されることにより、前記ドアの開閉動作軌跡が前記直線状軌跡から前記円弧状軌跡に移行するとともに、
    前記カム溝は、
    前記円弧状軌跡に対応する円弧形状部と、
    前記直線状軌跡に対応する直線形状部と、
    前記円弧形状部と前記直線形状部との間を連続的に接続する湾曲形状を有した湾曲接続部と、を備え、
    前記カム溝内の前記係合突部が前記直線形状部から前記円弧形状部に移動する際には、前記湾曲接続部に前記係合突部が摺接する状態で、前記直線形状部から前記円弧形状部に向かう前記係合突部の移動が案内されること、を特徴とする車両用ドア装置。
  10. 請求項1又は請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記ドアが全開位置にある場合に前記第1及び第2のリンクアームの少なくとも何れかと前記車体との間に挟み込まれる緩衝部材を備えること、を特徴とする車両用ドア装置。
  11. 請求項1又は請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記第1及び第2のリンクアームにおける回動連結点の少なくとも何れかは、
    板状連結部と、
    前記板状連結部を厚み方向に貫通する貫通孔と、
    前記貫通孔に嵌着される筒状緩衝部材と、
    前記筒状緩衝部材を介して前記貫通孔に挿通される支軸と、
    を備えてなること、を特徴とする車両用ドア装置。
  12. 請求項1又は請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記第1及び第2のリンクアームにおける回動連結点の少なくとも何れかは、相対回動可能に連結された第1及び第2の回動連結部を備えてなるとともに、
    前記第1及び第2の回動連結部間に介在されて該第1及び第2の回動連結部に摺接することにより摺動抵抗を付与するフリクション部材を備えること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
  13. 請求項1又は請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記リンク機構の動作に基づき前記車両のドア開口部を開閉する前記ドアの閉側端部に設けられたドア側係合部と、
    前記ドアの開閉動作に基づいて該ドアの前記閉側端部が接離する前記ドア開口部の閉側端部に設けられた車体側係合部と、を備え、
    前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の一方側は、前記車両の上下方向に延びる軸状係合部を備え、
    前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の他方側は、車幅方向に対向する一対の側壁部を有して前記ドアの開閉動作方向に延在するガイド溝を備えてなり、
    前記ドア側係合部と前記車体側係合部とが係合する前記ドアの全閉位置近傍の開閉動作位置においては、前記ガイド溝内に前記軸状係合部が配置される車両用ドア装置。
  14. 請求項1又は請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記リンク機構に駆動力を付与して前記ドアを開閉動作させるアクチュエータを備えること、を特徴とする車両用ドア装置。
  15. 請求項1に記載の車両用ドア装置において、
    前記連結長を固定可能とする連結長固定機構を備えること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
  16. 請求項15に記載の車両用ドア装置において、
    前記連結長可変機構は、
    前記第1の回動連結点を有した車体側リンクと前記第2の回動連結点を有したドア側リンクとを回動可能に連結してなる関節リンク機構であって、
    前記連結長固定機構は、
    前記ドア側リンクに設けられた第1係合部材と、
    前記ドアに設けられた第2係合部材と、を備え、
    前記ドアの開閉動作に基づいて、
    前記第1係合部材と前記第2係合部材とが係合することにより、前記ドア側リンクを前記ドアに固定して該ドアに対する前記ドア側リンクの相対回動を規制することにより前記連結長を固定するとともに、
    前記第1係合部材と前記第2係合部材とが脱離することにより、前記連結長の固定を解除するように構成されること、を特徴とする車両用ドア装置。
  17. 請求項16に記載の車両用ドア装置において、
    前記連結長固定機構は、
    前記ドアの開閉動作に基づき前記第1係合部材及び前記第2係合部材の係脱タイミングを生成するタイミング生成部と、
    前記生成された前記係脱タイミングに基づき前記第1係合部材及び前記第2係合部材を係脱させる係脱駆動部と、を備えること、を特徴とする車両用ドア装置。
  18. 請求項17に記載の車両用ドア装置において、
    前記第1係合部材は、前記ドア側リンクに設けられた係合突部であり、
    前記第2係合部材は、前記ドアに設けられた支軸周りに回動することにより前記係合突部に対して係脱するフックレバーであるとともに、
    前記連結長固定機構は、
    前記車体側リンクに設けられた押圧突部と、
    前記フックレバーに設けられたフックカムと、を備え、
    前記タイミング生成部及び前記係脱駆動部は、
    前記ドアの開閉動作に基づき前記車体側リンクが回動することにより前記フックカムと前記押圧突部とが相対変位するとともに、該相対変位に基づき前記フックカムと前記押圧突部とが係脱することにより前記フックレバーが回動するように構成されること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
  19. 請求項17に記載の車両用ドア装置において、
    前記第1係合部材は、前記ドア側リンクに設けられた係合突部であり、
    前記第2係合部材は、前記ドアに設けられた支軸周りに回動することにより前記係合突部に対して係脱するフックレバーであるとともに、
    前記連結長固定機構は、
    前記リンク機構の動作に基づき前記車両のドア開口部を開閉する前記ドアの閉側端部に設けられたドアレバーと、
    前記ドアの開閉動作に基づいて該ドアの前記閉側端部が接離する前記ドア開口部の閉側端部に設けられた車体カムと、
    前記ドアレバーと前記フックレバーとを接続する接続部材と、を備え、
    前記ドアの開閉動作に基づき前記ドアレバーと前記車体カムとが係脱することにより前記タイミング生成部が形成されるとともに、
    前記接続部材を介して前記ドアレバーの動作が前記フックレバーに伝達されることにより前記係脱駆動部が形成されること、を特徴とする車両用ドア装置。
  20. 請求項15~請求項19の何れか一項に記載の車両用ドア装置において、
    前記リンク機構の動作に基づき前記車両のドア開口部を開閉する前記ドアの閉側端部に設けられたドア側係合部と、
    前記ドアの開閉動作に基づいて該ドアの前記閉側端部が接離する前記ドア開口部の閉側端部に設けられた車体側係合部と、を備えるとともに、
    前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の一方側は、ガイド係合部を備え、
    前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の他方側は、互いに対向する一対の側壁部を有して前記ドアの開閉動作方向に延在するガイド溝を備えてなり、
    前記ドア側係合部と前記車体側係合部とが係合する前記ドアの全閉位置近傍においては、前記ガイド溝内に前記ガイド係合部が配置された状態で、前記ドアの開閉動作が案内されるものであって、
    前記連結長固定機構は、
    前記全閉位置から移動する前記ドアの開動作に基づいて、前記ドア側係合部と前記車体側係合部との係合が解除されるタイミングで前記連結長を固定するとともに、
    前記全閉位置に移動する前記ドアの閉動作に基づいて、前記ドア側係合部と前記車体側係合部とが係合するタイミングで前記連結長の固定を解除するように構成されること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
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