JP2023068579A - 車両用ドア装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】開閉駆動時の揺れを抑制する。【解決手段】車両用ドア装置20は、車体2に対する第1の回動連結点X1と車両のドア5に対する第2の回動連結点X2とを有する第1及び第2のリンクアーム11,12を備える。そして、車両用ドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15を駆動してドア5を開閉動作させるアクチュエータ25を備える。また、車両用ドア装置20は、第2のリンクアーム12に設けられて、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長を変更可能とする連結長可変機構35を備える。更に、車両用ドア装置20は、この連結長可変機構35の動作に基づきドア5の開閉動作軌跡が変化する。そして、アクチュエータ25は、その連結長可変機構35が設けられていない第1のリンクアーム11に駆動力を付与する。【選択図】図24
Description
本発明は、車両用ドア装置に関するものである。
従来、車体に対する第1の回動連結点と車両のドアに対する第2の回動連結点とを有した第1及び第2のリンクアームを備える車両用ドア装置がある。このような車両用ドア装置は、第1及び第2のリンクアームが形成するリンク機構の動作に基づいて、そのドア開口部に設けられたドアが開閉動作する。また、例えば、特許文献1には、リンク機構を形成する各リンクアームを、ドアが閉状態にある場合に、車体側部の端末部に装着されるドアオープニングの外側、且つドアの車内側に装着されるウェザストリップの内側となる位置に格納する構成が記載されている。そして、例えば、特許文献2には、このような各リンクアームが形成するリンク機構を、車体側のガイドレールとドア側のガイドローラユニットとが係合する構造に組み合わせる構成が開示されている。
しかしながら、上記のようなリンク機構を介して車体にドアを支持する構成においては、そのリンク機構を構成する第1及び第2のリンクアームに生じた振動がドアの揺れとなりやすい。そして、アクチュエータの駆動力に基づきドアを開閉動作させるパワードア装置においては、これにより、その質感を含めた操作フィーリングが低下するおそれがある。
上記課題を解決する車両用ドア装置は、車体に対する第1の回動連結点と車両のドアに対する第2の回動連結点とを有する第1及び第2のリンクアームと、前記第1及び第2のリンクアームが形成するリンク機構を駆動して前記ドアを開閉動作させるアクチュエータと、前記第1及び第2のリンクアームの一方に設けられて前記第1及び第2の回動連結点間の連結長を変更可能とする連結長可変機構と、を備え、前記連結長可変機構の動作に基づき前記ドアの開閉動作軌跡が変化するとともに、前記アクチュエータは、前記連結長可変機構が設けられていない前記第1及び第2のリンクアームの他方側に駆動力を付与することが好ましい。
上記構成によれば、アクチュエータの駆動力に基づくドアの開閉操作時、連結長可変機構を有する方のリンクアームには、そのアクチュエータの駆動力に基づく振動が生じ難い。即ち、連結長可変機構を有する方のリンクアームに対して駆動力を付与した場合には、ドアの慣性、或いは、摩擦力等の動作抵抗により、例えばドアの開閉動作に先んじて連結長が延びる等、そのアクチュエータの駆動力に基づいて連結長可変機構が作動してしまう可能性がある。そして、これにより、その連結長可変機構が設けられたリンクアームに生ずる振動がドアの揺れになるおそれがある。しかしながら、連結長可変機構を有していない方のリンクアームについては、このような問題が生じない。そして、これにより、アクチュエータの駆動力に基づく開閉動作時、そのドアの揺れを抑制することができる。
上記課題を解決する車両用ドア装置において、前記アクチュエータは、前記第1のリンクアームに設けられるとともに、前記第1のリンクアームは、前記第2のリンクアームよりも前記ドアの重心に近い位置において該ドアに連結される前記第2の回動連結点を有することが好ましい。
上記構成によれば、第1のリンクアームによって、安定的にドアを支持することができる。そして、この第1のリンクアームにアクチュエータの駆動力を付与することで、ドアの揺れを抑えて、安定的に、このドアを開閉駆動することができる。
上記課題を解決する車両用ドア装置において、前記アクチュエータは、前記第1の回動連結点の形成部位に設けられることが好ましい。
上記構成によれば、リンクアームの基端側にアクチュエータを設けることで、そのリンクアームの支持荷重を軽減することができる。更に、ドア側にアクチュエータを配置した場合との比較において、比較的大きな配置スペースを確保することができる。そして、第1の回動連結点の形成部位と一体化することで、装置のコンパクト化を図ることができる。
上記構成によれば、リンクアームの基端側にアクチュエータを設けることで、そのリンクアームの支持荷重を軽減することができる。更に、ドア側にアクチュエータを配置した場合との比較において、比較的大きな配置スペースを確保することができる。そして、第1の回動連結点の形成部位と一体化することで、装置のコンパクト化を図ることができる。
上記課題を解決する車両用ドア装置において、前記第1の回動連結点は、上下方向に離間して設けられた上側連結点及び下側連結点を有し、前記アクチュエータは、前記上側連結点と前記下側連結点との間の位置に設けられることが好ましい。
上記構成によれば、安定的に、その車体に対してリンクアームの基端側を支持することができる。更に、簡素な構成にて、そのアクチュエータを第1の回動連結点の形成部位内に配置することができる。そして、これにより、これらのアクチュエータ及び第1の回動連結点を一体的に構成することができる。
上記課題を解決する車両用ドア装置において、前記連結長可変機構は、前記第1の回動連結点を有した車体側リンクと前記第2の回動連結点を有したドア側リンクとを回動可能に連結してなる関節リンク機構であることが好ましい。
上記構成によれば、車体側リンク及びドア側リンクが形成する関節リンク機構の中間連結点を頂点とする三角形の底辺が、その第1及び第2の回動連結点間の連結長となる。そして、これにより、車体側リンクとドア側リンクとの相対回動に基づいて、その連結長を変更することができる。
また、このような関節リンク機構には、例えば、埃やゴミ等の異物、或いは凍結等、使用環境の影響を受け難いという特徴がある。そして、これにより、高い信頼性及び耐久性を確保することができる。
更に、関節リンク機構には、その車体側リンク及びドア側リンクの形状自由度が高いという利点がある。例えば、車体側リンクを折曲形状として、ドア開口部との干渉を回避する。そして、これにより、そのドアの全開動作時、より大きなドア開口量を確保することができる。
上記課題を解決する車両用ドア装置は、前記リンク機構の動作に基づき前記車両のドア開口部を開閉する前記ドアの閉側端部に設けられたドア側係合部と、前記ドアの開閉動作に基づいて該ドアの前記閉側端部が接離する前記ドア開口部の閉側端部に設けられた車体側係合部と、を備え、前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の一方側は、前記車両の上下方向に延びる軸状係合部を備え、前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の他方側は、車幅方向に対向する一対の側壁部を有して前記ドアの開閉動作方向に延在するガイド溝を備えてなり、前記ドア側係合部と前記車体側係合部とが係合する前記ドアの全閉位置近傍の開閉動作位置においては、前記ガイド溝内に前記軸状係合部が配置されることが好ましい。
上記構成によれば、ガイド溝内に軸状係合部が配置されることにより、その車幅方向におけるの変位が規制される。そして、これにより、第1及び第2のリンクアームの距離が近づいて直線的に並んだ状態になりやすい全閉位置近傍の開閉動作位置においても、そのドアを安定的に支持することができる。
更に、ドア側係合部と車体側係合部とが係合した状態においては、連結長可変機構の動作に基づいて、そのドアの開閉動作軌跡が円弧状のグライド軌跡から直線状のスライド軌跡に変化する。そして、これにより、円滑に、そのドアを全閉位置に閉動作させ、及び全閉位置から開動作させることができる。
本発明によれば、開閉駆動時の揺れを抑制することができる。
以下、車両用ドア装置を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の車両1は、車体2の側面に設けられたドア開口部3を備えている。そして、そのドア開口部3には、このドア開口部3に車両1のドア5を支持する第1のリンクアーム11及び第2のリンクアーム12が設けられている。
図1及び図2に示すように、本実施形態の車両1は、車体2の側面に設けられたドア開口部3を備えている。そして、そのドア開口部3には、このドア開口部3に車両1のドア5を支持する第1のリンクアーム11及び第2のリンクアーム12が設けられている。
詳述すると、本実施形態の車両1において、これら第1及び第2のリンクアーム11,12は、それぞれ、車体2に対する第1の回動連結点X1と、ドア5に対する第2の回動連結点X2と、を有している。具体的には、第1のリンクアーム11は、上下方向(各図中、上下方向)に延びる支軸N1aに軸支された状態で車体2に連結されるとともに、上下方向に延びる支軸N1bに軸支された状態でドア5に連結されている。そして、第2のリンクアーム12もまた、上下方向に延びる支軸N2aに軸支された状態で車体2に連結されるとともに、上下方向に延びる支軸N2bに軸支された状態でドア5に連結されている。
即ち、図3~図6に示すように、本実施形態の車両1においては、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12が四節リンクとしての構成を有したリンク機構15を形成する。そして、本実施形態の車両1は、このリンク機構15の動作に基づいて、そのドア開口部3に支持されたドア5が開閉動作する構成になっている。
さらに詳述すると、図1及び図2に示すように、本実施形態の車両1は、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12を用いて、そのドア5を車両後方側(図1中、左側、図2中、右側)のドア開口部3に支持する。本実施形態の車両1において、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12は、それぞれ、ドア開口部3の後縁部3r近傍において、その車体2に対して回動可能に連結された第1の回動連結点X1を有している。そして、本実施形態の車両1においては、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12が上下方向に離間して配置されている。
本実施形態の車両1においては、第1のリンクアーム11の方が、第2のリンクアーム12よりも上方に設けられている。また、第1のリンクアーム11は、ドア5の前後方向略中央位置において、このドア5に対して回動可能に連結された第2の回動連結点X2を有している。一方、第2のリンクアーム12は、ドア5の前端部5f近傍において、このドア5に連結された第2の回動連結点X2を有している。そして、本実施形態の車両1においては、これにより、その第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づいて、そのドア5が開閉動作するような車両用ドア装置20が形成されている。
具体的には、図3~図6に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5の開動作時、第1及び第2のリンクアーム11,12が、それぞれ、その第1の回動連結点X1周りに、各図中、反時計回り方向に回動する。そして、これにより、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12に支持された車両1のドア5が、車両後方側(各図中、左側)に開動作する。
また、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5の閉動作時、第1及び第2のリンクアーム11,12が、それぞれ、その第1の回動連結点X1周りに、各図中、時計回り方向に回動する。そして、これにより、これら第1及び第2のリンクアーム11,12に支持された車両1のドア5が、車両前方側(各図中、右側)に閉動作する構成になっている。
更に、本実施形態の車両用ドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づいて、円弧状のグライド軌跡Rgを描くように、そのドア5の開閉動作軌跡Rが規定される。即ち、図5に示すように、第1及び第2のリンクアーム11,12が車幅方向(図3~図6中、上下方向)に延在する状態となる中間位置においては、車両前後方向への移動成分が大きくなる。そして、図3及び図4に示すように、ドア5の開閉動作位置が全閉位置P0に近いほど、第1及び第2のリンクアーム11,12が車両前後方向(図3~図6中、左右方向)に延在する状態となることで、その車幅方向への移動成分が大きくなる。
また、本実施形態の車両用ドア装置20においては、第2のリンクアーム12よりも第1のリンクアーム11の方が、より重心Gに近い位置に、そのドア5に対する第2の回動連結点X2を有している。即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより、この第1のリンクアーム11が、より大きなドア荷重を支えるメインリンク21に位置付けられている。そして、第2のリンクアーム12は、その作用するドア荷重が比較的小さいサブリンク22に位置付けられている。
尚、本実施形態の車両用ドア装置20においては、第1のリンクアーム11の方が、第2のリンクアーム12よりも大きな外形を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、そのメインリンク21に位置付けられた第1のリンクアーム11に高い支持剛性を付与する構成となっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20は、モータ25mを駆動源として、その第1のリンクアーム11を回転駆動するアクチュエータ25を備えている。本実施形態の車両用ドア装置20において、このアクチュエータ25は、第1のリンクアーム11の基端部分に設けられている。即ち、本実施形態のアクチュエータ25は、第1のリンクアーム11を回動させるかたちで、この第1のリンクアーム11及び第2のリンクアーム12が形成するリンク機構15を駆動する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、このアクチュエータ25の駆動力に基づいて、そのドア5を開閉動作させることができるパワードア装置30としての構成を有している。
また、図3~図7に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5の前端部5fに設けられたドア側係合部31と、ドア開口部3の前縁部3fに設けられた車体側係合部32と、を備えている。即ち、本実施形態の車両1において、ドア側係合部31は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づき車両1のドア開口部3を開閉するドア5の閉動作側に位置する閉側端部33に設けられている。更に、車体側係合部32は、その車両前後方向に移動するドア5の開閉動作に基づいて、このドア5の閉側端部33が接離、即ち接近又は離間するドア開口部3の閉側端部34に設けられている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5が全閉位置P0近傍にある状態において、これらのドア側係合部31及び車体側係合部32が互いに係合する構成になっている。
具体的には、図8及び図9に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、上下方向に離間した二位置において、そのドア5の前端部5fに設けられたドア側係合部31,31を備えている。更に、この車両用ドア装置20は、同じく上下方向に離間した二位置において、そのドア開口部3の前縁部3fに設けられた車体側係合部32,32を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これらのドア側係合部31,31及び車体側係合部32,32が互いに係合する状態で、そのドア5を全閉位置P0に保持する構成になっている。
また、図3~図6に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、サブリンク22としての位置付けを有する第2のリンクアーム12には、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを変更可能とする連結長可変機構35が設けられている。更に、この連結長可変機構35は、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の長さ、つまりは、この連結長可変機構35が設けられた第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lを短縮する方向に付勢されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、その第2のリンクアーム12による連結長Lが短縮された状態でドア5が開閉動作する構成になっている。
更に、図3、図4、及び図7に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20においては、第2のリンクアーム12に設けられた連結長可変機構35の動作に基づいて、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合した状態でのドア5の開閉動作が許容される。即ち、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する全閉位置P0近傍においては、第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lが変化することで、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15に支持されたドア5の姿勢が変化する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、そのドア側係合部31が設けられたドア5の前端部5f側が車両前後方向に移動するとともに、その後端部5r側が車幅方向に移動する態様で、このドア5が開閉動作する構成になっている。
具体的には、例えば、全閉位置P0に向かうドア5の閉動作時、ドア5は、その前端部5f側よりも後端部5r側が車幅方向外側(各図中、上側)に突出した傾斜姿勢となっている。また、このとき、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する状態で、そのドア5が閉動作する方向にアクチュエータ25の駆動力又は手動による操作力が付与される。更に、このドア5を閉動作させる力に基づき第2のリンクアーム12に設けられた連結長可変機構35が動作することより、ドア側係合部31と車体側係合部32との係合状態に基づいて、その第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lが延長される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、車幅方向内側に向かう後端部5r側の移動を伴いながら前端部5f側が直線的なスライド軌跡Rsを描く態様で、そのリンク機構15に支持されたドア5が全閉動作する構成になっている。
また、ドア5が全閉位置P0にある状態からの開動作時にも、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する状態で、そのドア5が開動作する方向にアクチュエータ25の駆動力又は手動による操作力が付与される。更に、このドア5を開動作させる力に基づき連結長可変機構35が動作することより、ドア側係合部31と車体側係合部32との係合状態に基づいて、その第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lが短縮される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、車幅方向外側に向かう後端部5r側の移動を伴いながら前端部5f側が直線的なスライド軌跡Rsを描く態様で、そのリンク機構15に支持されたドア5が開動作する構成になっている。
(ドア側係合部及び車体側係合部)
次に、本実施形態の車両用ドア装置20におけるドア側係合部31及び車体側係合部32の構成について説明する。
次に、本実施形態の車両用ドア装置20におけるドア側係合部31及び車体側係合部32の構成について説明する。
図7、図9~図14に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、ドア側係合部31は、車両1の上下方向(図7及び図12中、紙面に直交する方向、図11及び13中、上下方向)に延びる軸状係合部41を備えている。また、車体側係合部32は、車幅方向(図7及び図12中、上下方向、図13中、左右方向)に対向する一対の側壁部42a,42bを有してドア5の開閉動作方向に延在するガイド溝42を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5が全閉位置P0近傍にある場合には、このガイド溝42内に軸状係合部41を配置する状態で、これらのドア側係合部31及び車体側係合部32が互いに係合する構成になっている。
即ち、図7及び図12に示すように、車幅方向に対向する一対の側壁部42a,42b間に挟み込まれる状態で、車体側係合部32のガイド溝42内にドア側係合部31の軸状係合部41が配置されることにより、その車幅方向におけるドア5の変位が規制される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、第1及び第2のリンクアーム11,12が並んだ状態になりやすい全閉位置P0近傍の開閉動作位置においても、ドア5を安定的に支持することが可能になっている(図3及び図4参照)。
更に、この状態でドア5が開閉動作することにより、連結長可変機構35の動作に基づいた連結長Lの変更を伴いながら、見かけ上、そのガイド溝42の延在方向に沿って軸状係合部41が相対変位する。そして、これにより、そのドア5の開閉動作軌跡Rが変化、つまりは、そのリンク機構15の動作に基づいた円弧状のグライド軌跡Rgが直線的なスライド軌跡Rsに変化する構成となっている。
詳述すると、図10~図16に示すように、本実施形態のドア側係合部31は、ドア5の閉側端部33に設定された設置面43(図7参照)に固定される支持ブラケット44を備えている。具体的には、この支持ブラケット44は、上下方向(図15及び図16中、上下方向)に対向する一対の支持壁45,45と、これら各支持壁45,45の基端部に設けられた一対のフランジ部46,46と、を備えている。尚、本実施形態の車両用ドア装置20において、これらの各支持壁45,45及び各フランジ部46,46は、金属製の板材を折曲加工することにより一体に形成されている。また、この支持ブラケット44が固定されるドア5側の設置面43は、そのドア5が閉動作する方向、つまりは車両前方側に臨む位置において、その閉側端部33となるドア5の前端部5fに設定されている。そして、本実施形態の支持ブラケット44は、このドア5側の設置面43に対し、その一対のフランジ部46,46が締結される構成となっている。
また、本実施形態のドア側係合部31は、その支持ブラケット44を構成する一対の支持壁45,45間に架け渡された支軸47を備えている。本実施形態の支持ブラケット44において、この支軸47は、その前端部5fに設定されたドア5側の設置面43から車両前方側に突出する支持壁45,45の先端部分に設けられている。更に、ドア側係合部31は、この支軸47により回転自在に軸支されたローラ48を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、このローラ48が、その回転自在に軸支されたドア側係合部31の軸状係合部41として機能する構成になっている。
一方、図10~図14に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、車体側係合部32は、ガイド溝42を形成するガイド部材50を備えている。そして、本実施形態の車体側係合部32は、このガイド部材50を、そのドア開口部3の閉側端部34に設定された設置面52に固定する固定ブラケット53を備えている。
詳述すると、本実施形態の車両1において、これらのガイド部材50及び固定ブラケット53が固定される車体2側の設置面52は、車幅方向外側(図12中、下側、図13中、左側)に臨む位置において、そのドア開口部3の前縁部3fに設定されている。そして、本実施形態の固定ブラケット53は、この車体2側の設置面52との間に、そのガイド部材50に設けられたガイド溝42の形成部位を挟み込む状態で、このガイド部材50を固定する構成となっている。
具体的には、本実施形態のガイド部材50は、車体2側の設置面52に対する固定面54と、このガイド部材50が設置面52に固定された状態で車幅方向外側に臨む第1対向面55と、を有している。即ち、本実施形態のガイド部材50において、これらの固定面54及び第1対向面55は、互いに相反する方向に面している。更に、このガイド部材50は、その第1対向面55に対向する第2対向面56を有した係合片57を備えている。そして、本実施形態のガイド部材50は、これらの第1対向面55及び第2対向面56を車幅方向に対向する一対の側壁部42a,42bとして、そのガイド溝42を形成する構成となっている。
即ち、本実施形態のガイド部材50において、係合片57は、ガイド部材50が設置面52に固定された状態で、その車両前方側に配置されるガイド部材50の前端部50fから車両後方側(図12中、左側から右側)に突出する略板状の外形を有している。そして、本実施形態のガイド部材50は、これにより、車両1の上下方向及び車両後方に開口するガイド溝42を形成する構成となっている。
また、本実施形態の固定ブラケット53は、このガイド溝42を形成するガイド部材50の前端部50fを覆う断面略コ字状の外形を有している。具体的には、この固定ブラケット53は、そのガイド部材50の前端部50fに設けられた上記係合片57に対して車幅方向外側から当接する規制壁61を備えている。更に、この固定ブラケット53は、その規制壁61に連続する状態でガイド部材50の上下方向を覆う一対の側壁部62,62を備えている。そして、この固定ブラケット53は、これら各側壁部62,62の基端部に設けられた一対のフランジ部63,63を備えている。
尚、本実施形態の固定ブラケット53は、金属製の板材を折曲加工することにより、その規制壁61、各側壁部62,62、及びフランジ部63,63が一体に形成されている。更に、この固定ブラケット53は、その一対のフランジ部63,63が車体2側の設置面52に締結される。そして、本実施形態の固定ブラケット53は、これにより、その規制壁61と車体2側の設置面52との間に、上記係合片57を含むガイド部材50の前端部50f側、つまりはガイド溝42の形成部位を挟み込む構成となっている。
また、図9~図14、図17及び図18~図20に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20においては、上下方向に離間して設けられた2つの車体側係合部32,32を構成する各ガイド部材50の形状に違いが設けられている。
詳述すると、本実施形態のガイド部材50は、そのガイド溝42に連続する案内面65を備えている。具体的には、この案内面65は、ガイド部材50が設置面52に固定された状態で、その車両後方側に配置されるガイド部材50の後端部50rに設けられている。更に、この案内面65は、車幅方向外側に臨む状態で、そのガイド部材50の上記第1対向面55、つまりはガイド溝42を構成する一方の側壁部42aに連続して設けられている。即ち、ドア5の開閉動作に基づきガイド部材50のガイド溝42に係脱する軸状係合部41は、この案内面65に当接することにより、そのガイド溝42内に進入する方向、及びそのガイド溝42から離脱する方向に案内される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、この案内面65の形成部位について、その上方の車体側係合部32aを構成する第1のガイド部材71と、下方の車体側係合部32bを構成する第2のガイド部材72とに形状の差異が設定されている。
さらに詳述すると、図12及び図14に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のガイド部材71には、この第1のガイド部材71が設置面52に固定された状態において、その車幅方向外側に突出する案内突部73が設けられている。即ち、この案内突部73は、ドア5の開閉動作に基づいた軸状係合部41の接離方向に突出して設けられている。具体的には、この案内突部73は、ガイド部材50としての前端部50f側から後端部50r側に向かって徐々に、その突出量αが大きくなるような略三角板状の外形を有している。そして、第1のガイド部材71は、これにより、この案内突部73が形成する車幅方向外側に臨む傾斜面74を、その案内面65とする構成になっている。
即ち、このような傾斜面74をガイド部材50の案内面65とすることで、ドア側係合部31の軸状係合部41が当接する際、その案内面65に対する軸状係合部41の当接角度が浅くなる。そして、第1のガイド部材71は、これにより、その軸状係合部41の当接時に作用する衝撃を緩和する構成になっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20において、この案内面65を形成する案内突部73の傾斜面74は、ガイド溝42に近い位置ほど、その傾斜が緩くなるような略一定の曲率を有した湾曲面となっている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、例えば、公差等を要因として、ドア5の閉動作時、その第1のガイド部材71に対する軸状係合部41の当接位置がズレた場合であっても、好適に、この当接による衝撃を緩和することが可能になっている。
一方、図18~図20に示すように、下方の車体側係合部32bを構成する第2のガイド部材72には、上記のような案内突部73が設けられていない。そして、第2のガイド部材72は、これにより、略平坦な案内面65を有する構成となっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15によって、そのドア5を開閉可能に支持する。このため、第1及び第2のリンクアーム11,12の距離が近づいて直線的に並んだ状態になる全閉位置P0近傍の開閉動作位置においては、そのドア5の姿勢が変化しやすい。そして、これにより、その上方の車体側係合部32aと車体側係合部32bとの間で、そのガイド溝42に対する軸状係合部41の係脱姿勢に差異が生ずる可能性がある。
特に、図8及び図9に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20においては、上方の車体側係合部32aは、メインリンク21に位置付けられた第1のリンクアーム11に対応する第1の上下方向位置Y1に設けられている。また、下方の車体側係合部32bは、サブリンク22としての位置付けを有する第2のリンクアーム12に対応する第2の上下方向位置Y2に設けられている。そして、これにより、上記のような係脱姿勢の差異が顕著になりやすい傾向がある。
具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のリンクアーム11に対応する第1の上下方向位置Y1は、第2のリンクアーム12によるドア5の支持位置よりも、第1のリンクアーム11によるドア5の支持位置に近い上下方向位置に設定される。そして、第2のリンクアーム12に対応する第2の上下方向位置Y2は、第1のリンクアーム11によるドア5の支持位置よりも、その第2のリンクアーム12によるドア5の支持位置に近い上下方向位置に設定される。
即ち、上記のように、第1のリンクアーム11は、第2のリンクアーム12よりもドア5の重心Gに近い位置において、そのドア5に対する第2の回動連結点X2を有している。更に、第2のリンクアーム12には、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを変更可能とする連結長可変機構35が設けられている。このため、本実施形態の車両用ドア装置20においては、第2のリンクアーム12に支持されたドア5の下方側ほど、そのドア5の姿勢変化が大きくなっている。そして、これにより、下方の車体側係合部32bの方が、上方の車体側係合部32aよりも、そのガイド溝42に対する軸状係合部41の係脱姿勢が変化しやすくなっている。
この点を踏まえ、本実施形態の車両用ドア装置20においては、上方の車体側係合部32aを構成する第1のガイド部材71については、上記案内突部73が形成する案内面65によって、この第1のガイド部材71に対する軸状係合部41の係脱軌跡を規定する。一方、下方の車体側係合部32bを構成する第2のガイド部材72については、このような案内突部73を設けないことで、この第2のガイド部材72に対する軸状係合部41の係脱自由度が高くなっている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、第1及び第2のガイド部材71,72に対して、その対応する各軸状係合部41,41が係脱する際、これらの各軸状係合部41,41が引っ掛かり難い構成となっている。
尚、このような上下方向に離間して設けられた第1及び第2のガイド部材71,72と各軸状係合部41,41とが引っ掛かる現象は、例えば、全閉位置P0からドア5を開作動させる場合等に生じやすく、これによりドア5が揺動するおそれがある。しかしながら、本実施形態の車両用ドア装置20においては、このような引っ掛かりの発生を要因とするドア5の揺れが抑制される。そして、車両用ドア装置20は、これにより、その優れたドア5の操作フィーリングを確保する構成となっている。
また、図12、図14、図17、及び図21に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のガイド部材71は、ドア5の開閉動作に基づき相対移動する軸状係合部41が当接した際の衝撃を緩和する弾力性を有した緩衝部材80を備えている。
詳述すると、第1のガイド部材71において、緩衝部材80は、その案内突部73が形成する案内面65、及びガイド溝42の側壁部42aを構成する第1対向面55に設けられている。つまり、この緩衝部材80は、ドア5の開閉動作に基づき相対移動するドア側係合部31の軸状係合部41が、その第1のガイド部材71に対して当接する位置に設けられている。また、緩衝部材80は、車体2側の設置面52に対する固定面54に設けられている。即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、ドア5の開閉動作に基づいて、そのドア側係合部31の軸状係合部41が第1のガイド部材71に対して接離する方向の延長線上に、この緩衝部材80及び設置面52が位置している。更に、この緩衝部材80は、車体2側の設置面52に当接する複数の突起部80xを有している。そして、第1のガイド部材71は、これらの各突起部80xが押し潰された状態で、その車体2側の設置面52に固定される構成となっている。
さらに詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のガイド部材71は、ガイド溝42を有するベース部材81と、このベース部材81を被覆する被覆体82と、を備えている。そして、第1のガイド部材71は、これにより、その被覆体82が緩衝部材80として機能する構成となっている。
具体的には、ベース部材81には、例えば、繊維強化プラスチック等、比較的硬質な素材が用いられる。また、被覆体82には、例えば、ゴムやエラストマ等の弾力素材が用いられる。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、インサート成形によって、そのベース部材81と、その緩衝部材80を構成する被覆体82とが一体に形成される構成となっている。
また、図12、図14、及び図17~図20に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、ガイド部材50及び固定ブラケット53に貫設される連結軸83を備えている。具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20において、ガイド部材50の後端部50rには、このガイド部材50が車体2側の設置面52に固定された状態で、上下方向に延在する挿通孔84が設けられている。また、固定ブラケット53の各側壁部62,62は、それぞれ、この挿通孔84に対応する位置に設けられた貫通孔85,85を有している。そして、本実施形態の連結軸83は、これらの挿通孔84、及び貫通孔85,85に挿通されることにより、ガイド部材50及び固定ブラケット53を車両1の上下に貫通する状態で、これらのガイド部材50及び固定ブラケット53を連結する構成となっている。
詳述すると、図12及び図20に示すように、この連結軸83は、車体2側の設置面52及び該設置面52との間にガイド部材50を挟み込む固定ブラケット53の規制壁61に並行する状態でガイド部材50及び固定ブラケット53に貫設されている。そして、本実施形態の連結軸83は、これにより、そのガイド溝42が延在する車両前後方向に対して交差する方向に延在する構成となっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20は、ガイド部材50に対してドア側係合部31の軸状係合部41が当接した際、この連結軸83を支軸として、そのガイド部材50が変位しようとする方向を規定する。具体的には、ガイド部材50は、軸状係合部41の当接によって、その連結軸83周りに回動しようとする。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、このガイド部材50の動きを、その回動方向に位置する車体2側の設置面52又は固定ブラケット53の規制壁61が規制する構成となっている。
例えば、ドア5の閉動作に基づきガイド溝42に係合しようとする軸状係合部41がガイド部材50に当接した場合、このガイド部材50は、連結軸83周りに回動する態様で(各図中、時計回り方向)、車幅方向内側(各図中、上側)に変位しようとする。そして、この場合、その回動方向に位置する設置面52にガイド部材50の前端部50f側が当接することで、その軸状係合部41の押圧力に基づいたガイド部材50の変位が規制される。
一方、ドア5の開動作に基づきガイド溝42から脱離しようとする軸状係合部41がガイド部材50に当接した場合にも、このガイド部材50は、連結軸83周りに回動する態様で(各図中、反時計回り方向)、車幅方向外側(各図中、下側)に変位しようとする。そして、この場合には、その回動方向に位置する固定ブラケット53の規制壁61にガイド部材50の前端部50f側が当接することで、その軸状係合部41の押圧力に基づいたガイド部材50の変位が規制される構成となっている。
また、図12、図14、図17~図20に示すように、本実施形態のガイド部材50は、ガイド溝42の入り口となる位置に配置される枠状部86を有している。具体的には、この枠状部86は、車両後方側に開口する略四角枠状の外形を有している。更に、この枠状部86は、ガイド溝42の形成部位となる上記係合片57の先端57aとガイド部材50の後端部50rとを接続する態様で設けられている。そして、本実施形態のガイド部材50は、この枠状部86を入り口として、そのガイド溝42内に軸状係合部41が進入する構成となっている。
更に、本実施形態の車両用ドア装置20において、この枠状部86は、固定ブラケット53の後端面53x、詳しくは規制壁61及び各側壁部62,62が形成する断面略コ字形状の後端部分(各図中、右側の端部)を覆う位置に配置される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、その固定ブラケット53の後端面53xが、例えば、利用者等に接触しないように保護する構成となっている。
(第2のリンクアーム及び連結長可変機構)
次に、サブリンク22としての構成を有する第2のリンクアーム12、及び、この第2のリンクアーム12に設けられた連結長可変機構35の構成について説明する。
次に、サブリンク22としての構成を有する第2のリンクアーム12、及び、この第2のリンクアーム12に設けられた連結長可変機構35の構成について説明する。
図22~図25に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、第2のリンクアーム12は、車体2に対する第1の回動連結点X1を有した車体側リンク91と、ドア5に対する第2の回動連結点X2を有したドア側リンク92とを有している。具体的には、車体側リンク91は、ドア開口部3の後縁部3r近傍に設けられた車体ブラケット93を介して車体2に連結されている。また、ドア側リンク92は、ドア5の内側面5sに固定されたドアブラケット94を介してドア5に連結されている。更に、第2のリンクアーム12は、これらの車体側リンク91とドア側リンク92とを回動可能に連結した構成を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより形成される関節リンク機構100が、その連結長可変機構35を構成する。
詳述すると、図22及び図23に示すように、本実施形態のドア側リンク92は、車体側リンク91との比較において、その軸方向長さの短い所謂ミニアームとしての構成を有している。また、車体側リンク91は、その長手方向の一端側に、車体2に対する車体側連結部101を有している。更に、ドア側リンク92もまた、その長手方向の一端側に、ドア5に対するドア側連結部102を有している。そして、これらの車体側リンク91及びドア側リンク92は、それぞれ、長手方向の他端側に、その互いに連結される中間連結部103,104を有している。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これらの中間連結部103,104が、その第2のリンクアーム12に設けられた関節リンク機構100の中間連結点X3を形成する。また、第2のリンクアーム12は、この中間連結点X3を頂点として、その車体側リンク91及びドア側リンク92が三角形を形成する。そして、これにより、これらの車体側リンク91及びドア側リンク92が相対回動することで、上記三角形の底辺となる第1及び第2の回動連結点X1,X2を結ぶ直線の長さ、つまりは、その連結長Lが変化する構成となっている。
具体的には、図22、図23、図26及び図27に示すように、本実施形態において、車体側リンク91とドア側リンク92との中間連結点X3は、ドア5に対する第2の回動連結点X2よりも、そのドア5の内側面5sに近い位置に配置されている。尚、本実施形態のドア5には、その内側面5sに、中間連結点X3を構成する車体側リンク91及びドア側リンク92の中間連結部103,104との接触を回避するための凹部105が形成されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、ドア5の開閉動作に基づいて、見かけ上、第2の回動連結点X2周りに中間連結点X3が回動する態様で、第2のリンクアーム12による車体2とドア5との連結長Lが変化する構成になっている。
さらに詳述すると、図26~図29に示すように、本実施形態の車体側リンク91は、長尺略軸状の外形を有している。更に、この車体側リンク91は、クランク状の折曲形状部106を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、第2のリンクアーム12とドア開口部3の後縁部3rとの干渉を回避して、そのドア5の全開動作時、より大きなドア開口量を確保する構成となっている。
また、図28~図30に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、ドア側リンク92は、車体側リンク91の中間連結部103を挟み込む状態で、この中間連結部103に対して回動可能に連結される一対の挟持部107,107を有している。
具体的には、これらの挟持部107,107は、その長手方向の一端側にドア5に対するドア側連結部102を有するとともに、その長手方向の他端側にドア側リンク92に対する中間連結部104を有している。また、本実施形態のドア側リンク92は、金属製の板材を折曲加工することにより、その中間連結部104に接続部108を有して、これらの挟持部107,107が一体に形成されている。更に、本実施形態の車両用ドア装置20においては、車体側リンク91の中間連結部103もまた、略平板状の外形を有している。そして、第2のリンクアーム12は、これにより、その折曲板状をなす一対の挟持部107,107が形成するドア側リンク92の中間連結部104,104間に、車体側リンク91の中間連結部103を挟み込む構成となっている。
また、本実施形態のドア側リンク92において、各挟持部107,107は、そのドア側連結部102を構成する長手方向の他端側が互いに離間するような折曲板状の断面形状を有している。そして、本実施形態のドア側リンク92は、これにより、これらの各挟持部107,107が、上下方向に離間した位置において、そのドア5に対して回動可能に連結される構成となっている。
さらに詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、ドア5の内側面5sに固定されたドアブラケット94は、略平板状の外形を有して上下方向に対向する一対の連結壁110,110を備えている。そして、ドア側リンク92は、これらの各連結壁110,110に対して、その一対の挟持部107,107が形成する上下方向に離間したドア側連結部102,102が、それぞれ連結されている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20は、これらドア側リンク92のドア側連結部102,102及びドアブラケット94の各連結壁110,110が形成する第2の回動連結点X2と同軸位置に設けられた一対の支軸112,112を備えている。本実施形態のドアブラケット94において、これら各支軸112,112の一方は、その上方の連結壁110から上側に突出する状態で立設されている。また、各支軸112,112の他方は、その下方の連結壁110から下側に突出する状態で立設されている。更に、これらの各支軸112,112には、それぞれ、捩りコイルバネ113,113が嵌装されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これらの捩りコイルバネ113,113を付勢部材115として、そのドア側リンク92が回動付勢される構成となっている。
即ち、図31及び図32に示すように、これらの捩りコイルバネ113,113は、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが短くなる方向に、その車体側リンク91及びドア側リンク92を相対回動させる付勢力Fを発生する。また、これにより、第2のリンクアーム12においては、そのドア5の開動作に基づいて、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが、全閉位置P0よりも短くなる(図22及び図23参照)。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、この第2のリンクアーム12における第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが短縮した状態で、そのドア5が開閉動作する構成となっている(図3~図6参照)。
尚、図28、及び図30~図32に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、ドアブラケット94には、ストッパ116が設けられている。具体的には、このストッパ116は、ドア5が全閉位置P0から開動作する際、見かけ上、その第2の回動連結点X2周りに車体側リンク91及びドア側リンク92の中間連結点X3が回動することにより、そのドア側リンク92の接続部108に当接する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、その第2のリンクアーム12に支持されたドア5の安定的な開閉動作姿勢を確保する構成となっている。
また、図31及び図32に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、関節リンク機構100を構成する車体側リンク91及びドア側リンク92の相対回動に基づいて、その付勢部材115の付勢力Fが変化するように構成されている。詳しくは、全閉位置P0からドア5が開動作することにより、その第2のリンクアーム12における連結長方向に沿った付勢力Fの分力F´が全閉位置P0よりも強くなるように構成されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、ドア5が全閉状態にある場合における連結長方向に沿った付勢力Fの分力F´を小さくすることで、良好なドア5の建て付け性を確保する構成となっている。
さらに詳述すると、図28~図34に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、車体側リンク91に設けられた係合突部121と、この係合突部121が係合するカム溝122を有してドア5に設けられたカム部材123とを備えている。
具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20において、車体側リンク91は、ドア側リンク92との中間連結部103近傍に設けられた上方に突出する支軸124と、この支軸124によって回転自在に軸支されたローラ125とを有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、このローラ125が、その係合突部121として機能する構成になっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20において、カム部材123は、そのドア側リンク92が連結されたドアブラケット94における上側の連結壁110aと一体に設けられている。即ち、このカム部材123は、略平板状の外形を有している。更に、このカム部材123は、その中間連結部103,104の上方を覆う態様で、その車体側リンク91及びドア側リンク92の上方に配置される。そして、本実施形態のカム部材123は、このカム部材123を上下方向に貫通する態様で設けられたカム溝122を備えている。
具体的には、本実施形態のカム溝122は、ドアブラケット94と一体に形成されたカム部材123がドア5の内側面5sに固定された状態で車幅方向内側(図31~図34中、下側)に凸となる円弧形状部126を有している。また、カム溝122は、この円弧形状部126に連続して車両後方側に延びる直線形状部127を有している。更に、本実施形態の車両用ドア装置20は、このカム溝122内に、その係合突部121となるローラ125が配置される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5の開閉動作に基づいて、そのカム溝122に摺接する状態で、このカム溝122内をローラ125が移動する構成となっている。
即ち、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合することにより、そのドア5の前端部5fが直線的なスライド軌跡Rsを描く全閉位置P0近傍の開閉動作位置においては、そのローラ125がカム溝122の直線形状部127内を移動する。また、ドア側係合部31と車体側係合部32とが脱離することにより、そのドア5の前端部5fが円弧状のグライド軌跡Rgを描いて開閉動作する範囲においては、そのローラ125がカム溝122の円弧形状部126内を移動する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、そのドア5の開閉動作軌跡Rが規定される構成となっている。
具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20においては、そのカム溝122内におけるローラ125の係合位置に応じて、車体側リンク91とドア側リンク92との相対回動が制限される。つまりは、これらの車体側リンク91及びドア側リンク92が形成する連結長可変機構35の動作に基づいた第1及び第2の回動連結点X1,X2の連結長Lが規定される。また、同じくカム溝122内におけるローラ125の係合位置に基づいて、そのドア側リンク92が形成する第2の回動連結点X2周りにドア5の回動が規制される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、そのドア5の開閉動作軌跡Rが規定される構成となっている。
また、図35に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア5が全開位置P1にある場合に、ストッパとして、その車体2と第2のリンクアーム12との間に介在される緩衝部材131を備えている。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、この緩衝部材131は、例えば、ゴム材やエラストマ等、比較的軟質の弾力部材を用いて構成される。また、この緩衝部材131は、車体2に対する第1の回動連結点X1を有した車体側リンク91に設けられている。具体的には、この緩衝部材131は、車体側リンク91に設けられたクランク状の折曲形状部106に固定されている。そして、本実施形態の緩衝部材131は、これにより、第1の回動連結点X1周りに第2のリンクアーム12が回動し、ドア5が全開位置P1に到達することにより、その車体側リンク91とドア開口部3の後縁部3rとの間に挟み込まれる構成になっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20において、この緩衝部材131は、車体側リンク91とドア開口部3の後縁部3rとの間に押し潰された状態で、その全開位置P1に到達したドア5を車体2に支持する。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、ドア5の揺れを抑えて安定的に、その全開位置P1に保持する構成となっている。
また、図29、図35及び図36に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、その車体側リンク91に設けられた車体側連結部101は、略平板状の外形を有している。更に、この車体側リンク91を車体2に支持する車体ブラケット93は、その車体側連結部101を上下方向に挟んで配置される一対の連結壁132,132を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これら車体側リンク91の車体側連結部101及び車体ブラケット93の両連結壁132,132を上下方向に貫通する支軸133周りに、その車体2に対する車体側リンク91の回動軸が形成される。つまりは、その支軸133をドア5に対する第2のリンクアーム12の支軸N2aとして、第1の回動連結点X1が形成される構成となっている。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、車体ブラケット93は、その両連結壁132,132を含め、金属製の板材を折曲加工することにより形成されている。また、この車体ブラケット93の両連結壁132,132及び車体側リンク91の車体側連結部101には、それぞれ、その略平板状を厚み方向に貫通する貫通孔134,134及び貫通孔135が設けられている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、その板状連結部136としての構成を有する車体側連結部101の貫通孔135に嵌着された筒状緩衝部材137としてのブッシュ138を備えている。
具体的には、このブッシュ138は、ゴム材やエラストマ等、比較的軟質の弾力部材を用いて構成されている。また、上記支軸133は、このブッシュ138を介して車体側リンク91の車体側連結部101に設けられた貫通孔135に挿通される。そして、この支軸133は、その軸方向両端部が車体ブラケット93の両連結壁132,132に設けられた貫通孔134,134に挿通されることにより、上下方向に延在する状態で車体ブラケット93に支持される構成となっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、この支軸133周りに車体側リンク91が回動することにより、第2のリンクアーム12の車体2に対する第1の回動連結点X1が形成される。尚、本実施形態の車両用ドア装置20において、車体側リンク91の車体側連結部101と、この車体側連結部101を上下方向に挟む車体ブラケット93の両連結壁132,132との間には隙間が設定されている。更に、本実施形態の車両用ドア装置20においては、筒状緩衝部材137としてのブッシュ138が弾性変形することで、その板状連結部136としての構成を有する車体側連結部101の変位が許容される。つまりは、その支軸N2aに対する傾動を含めた第2のリンクアーム12の上下方向変位が許容される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、その車体2に対する第2のリンクアーム12の連結自由度を高める構成となっている。
尚、図30に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20においては、車体側リンク91及びドア側リンク92の中間連結部103,104が形成する中間連結点X3もまた、同様の連結構造を有している。
即ち、車体側リンク91の中間連結部103、及び、この中間連結部103を上下方向に挟んで配置されるドア側リンク92の両中間連結部104,104もまた、略平板状の外形を有している。また、これらの中間連結部103,104,104には、それぞれ、その略平板状を厚み方向に貫通する貫通孔143及び貫通孔144,144が設けられている。そして、上記車体側リンク91の車体側連結部101と同様、板状連結部136としての構成を有する車体側リンク91の中間連結部103に設けられた貫通孔143には、筒状緩衝部材137としてのブッシュ138が嵌着されている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20は、このブッシュ138を介して車体側リンク91の中間連結部103に設けられた貫通孔143に挿通される支軸149を有している。更に、この支軸149は、その軸方向両側部がドア側リンク92の両中間連結部104,104に設けられた貫通孔144,144に挿通されている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、この支軸149周りに、その第2のリンクアーム12を構成する車体側リンク91及び車体側リンク91が相対回動することにより、その中間連結点X3が形成される構成になっている。
更に、この中間連結点X3においてもまた、筒状緩衝部材137としてのブッシュ138が弾性変形することで、その板状連結部136としての構成を有した車体側リンク91の中間連結部103の支軸149に対する傾動が許容される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより、その中間連結点X3における車体側リンク91とドア側リンク92との連結自由度が高められている。
(第1のリンクアーム)
次に、メインリンク21としての構成を有する第1のリンクアーム11の構成について説明する。
次に、メインリンク21としての構成を有する第1のリンクアーム11の構成について説明する。
図24、及び図37~図39に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のリンクアーム11は、上下に並んで配置される一対のパイプフレーム151,151を備えている。そして、第1のリンクアーム11は、これら両パイプフレーム151,151の基端部分を接続する基端ブラケット153と、これら両パイプフレーム151,151の先端部分を接続する先端ブラケット154と、を備えている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20は、ドア開口部3の後縁部3r近傍に固定された状態で、その第1のリンクアーム11を構成する基端ブラケット153が回動可能に連結される車体ブラケット155を備えている。更に、車両用ドア装置20は、ドア5の内側面5sに固定された状態で、同じく第1のリンクアーム11を構成する先端ブラケット154が回動可能に連結されるドアブラケット156を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより、その第1のリンクアーム11における第1及び第2の回動連結点X1,X2が形成されている。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のリンクアーム11の基端部11aを構成する基端ブラケット153は、上下方向に延在する状態で、その一対のパイプフレーム151,151を連結する基部160を備えている。また、基端ブラケット153は、その基部160の上端及び下端から、この基部160に連結された両パイプフレーム151,151の延伸方向とは逆向きに延びる一対の連結部161,161を備えている。更に、車体ブラケット155には、これらの各連結部161,161が、それぞれ独立に連結される一対の連結部162,162が設けられている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これら基端ブラケット153の各連結部161,161と車体ブラケット155の各連結部162,162とが、それぞれ独立に、その上下方向に延在する支軸163,163周りに回動可能に連結されている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより、上下方向に離間した二位置において、その第1のリンクアーム11の基端部11aが車体2に対して回動可能に連結されている。そして、これにより、その支軸163,163を車体2に対する第1のリンクアーム11の支軸N1aとして、第1の回動連結点X1が形成されている。
尚、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これらの各支軸163,163もまた、略平板状をなす基端ブラケット153の各連結部161,161に嵌着された筒状緩衝部材137としてのブッシュ138に挿通される態様で貫設されている。即ち、この第1のリンクアーム11における第1の回動連結点X1についても、第2のリンクアーム12の場合と同様、ブッシュ138が弾性変形することで、板状連結部136として基端ブラケット153の各連結部161,161の変位が許容される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、支軸N1aに対する傾動を含めた第2のリンクアーム12の上下方向変位を許容することで、その車体2に対する第1のリンクアーム11の連結自由度を高める構成となっている。
一方、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のリンクアーム11の先端部11bを構成する先端ブラケット154は、その一対のパイプフレーム151,151の先端側を覆うカバー状の外形を有している。具体的には、この先端ブラケット154は、パイプフレーム151,151よりも車幅方向内側に配置された状態で、その先端側を覆うカバー部164を有している。尚、車両用ドア装置20においては、例えば溶接等により、その各パイプフレーム151,151が、それぞれ、このカバー部164の裏面に固定される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これにより、これら第1のリンクアーム11を構成するパイプフレーム151,151の先端部分が、その先端ブラケット154によって接続される構成となっている。
また、本実施形態の車両用ドア装置20において、この先端ブラケット154は、上下方向に対向する一対の連結フランジ167,167を備えている。更に、ドア5の内側面5sに固定されるドアブラケット156もまた、上下方向に対向する一対の連結フランジ168,168を備えている。そして、これら先端ブラケット154の各連結フランジ167,167とドアブラケット156の各連結フランジ168,168とが回動可能に連結されることにより、その第1のリンクアーム11における第2の回動連結点X2が形成されている。
具体的には、本実施形態の車両用ドア装置20は、これら先端ブラケット154の各連結フランジ167,167及びドアブラケット156の各連結フランジ168,168を上下方向に貫通する支軸170を備えている。そして、この支軸170周りに、その先端ブラケット154の各連結フランジ167,167とドアブラケット156の各連結フランジ168,168とが相対回動する構成となっている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、これらの各連結フランジ167,167及び各連結フランジ168,168を第1及び第2の回動連結部171,172として、その第2の回動連結点X2が形成される。更に、本実施形態の車両用ドア装置20は、第1及び第2の回動連結部171,172間に介在されて、これらの第1及び第2の回動連結部171,172に摺接するフリクション部材175を備えている。具体的には、このフリクション部材175は、例えば、ナイロン等、比較的摩擦抵抗の大きな樹脂素材を用いて形成されている。更に、このフリクション部材175には、その摩擦抵抗が増加するような表面処理が施されている。そして、これにより、その第2の回動連結点X2を形成する第1及び第2の回動連結部171,172が相対回動する際に摺動抵抗を付与する構成となっている。
詳述すると、本実施形態の車両用ドア装置20においては、ドアブラケット156の各連結フランジ168,168が、その上下方向に離間した先端ブラケット154の各連結フランジ167,167の内側に配置される構成になっている。
即ち、図40に示すように、下方側の連結フランジ167a及び連結フランジ168aにおいては、そのドアブラケット156の連結フランジ168aの方が、先端ブラケット154の連結フランジ167aよりも上方に配置されている。また、本実施形態のフリクション部材175は、支軸170に嵌装される環状のプレート形状を有している。そして、本実施形態の車両用ドア装置20において、このフリクション部材175は、その上下方向に重なる先端ブラケット154の連結フランジ167aとドアブラケット156の連結フランジ168aとの間に挟み込まれる状態で設けられている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、フリクション部材175の上方に位置するドアブラケット156の連結フランジ168aを介して、そのドア5の荷重がフリクション部材175に印加される。また、これにより、そのフリクション部材175と、このフリクション部材175を挟み込む先端ブラケット154の連結フランジ167a及びドアブラケット156の連結フランジ168aとの間に摩擦力が発生する。更に、その支軸170周りに先端ブラケット154の連結フランジ167aとドアブラケット156の連結フランジ168aとが相対回動することにより摺動抵抗が付与される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、これら第1及び第2の回動連結部171,172が形成する第2の回動連結点X2周りに回動するドア5の動作抵抗を増加させることで、このドア5に生じた揺れや振動を減衰する構成となっている。
(アクチュエータ)
次に、本実施形態の車両用ドア装置20におけるアクチュエータ25の構成について説明する。
次に、本実施形態の車両用ドア装置20におけるアクチュエータ25の構成について説明する。
上記のように、本実施形態の車両用ドア装置20において、ドア5を開閉動作させるための駆動力を発生するアクチュエータ25は、第1のリンクアーム11の基端部11aに設けられている。更に、このアクチュエータ25は、モータ25mを駆動源として、その第1のリンクアーム11を回転駆動する。そして、車両用ドア装置20は、これにより、この第1のリンクアーム11及び第2のリンクアーム12が形成するリンク機構15の動作に基づいて、このリンク機構15を介して車体2に支持されたドア5を開閉動作させる構成となっている(図3~図6参照)。
詳述すると、図37~図39、及び図41に示すように、本実施形態の車両用ドア装置20においては、第1のリンクアーム11における車体2に対する第1の回動連結点X1の形成部位180に、そのアクチュエータ25が配置されている。
具体的には、上記のように、第1のリンクアーム11は、上下方向に離間した二位置において、その基端部11aが車体2に設けられた車体ブラケット155に対して回動可能に連結されている。そして、本実施形態のアクチュエータ25は、その上下方向に離間した二位置で、それぞれ回動可能に連結された第1のリンクアーム11側の両連結部161,161及び車体ブラケット155側の両連結部162,162の間の上下方向位置に配置されている。
即ち、本実施形態の車両用ドア装置20においては、略コ字状の外形を有した基端ブラケット153が、その第1のリンクアーム11の基端部11aを構成する。更に、車体ブラケット155もまた、その上下方向に離間した両連結部162,162を有する部分が略コ字形状をなす。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これら2つのコ字形状部材を相対回動可能に連結してなる第1の回動連結点X1の形成部位180内に、そのアクチュエータ25を配置する構成となっている。
換言すると、本実施形態の車両用ドア装置20において、第1のリンクアーム11の車体2に対する第1の回動連結点X1は、上下方向に離間して設けられた上側連結点181及び下側連結点182を有している。そして、アクチュエータ25は、第1の回動連結点X1の形成部位180において、その上側連結点181と下側連結点182との間の位置に設けられている。
さらに詳述すると、本実施形態のアクチュエータ25においては、駆動源となるモータ25mは、減速機付きのギヤードモータ183としての構成を有している。また、本実施形態のアクチュエータ25は、このモータ25mの回転を更に減速する減速機構184を備えている。更に、本実施形態の車両用ドア装置20は、第1のリンクアーム11の基端部11aを構成する基端ブラケット153の基部160から突出して、その両連結部161,161の間の位置に配置されるセクターギヤ185を備えている。そして、本実施形態の車両用ドア装置20においては、このセクターギヤ185に対して、その減速機構184のピニオンギヤ186が噛合することにより、そのアクチュエータ25の駆動力が第1のリンクアーム11に伝達される構成となっている。
尚、本実施形態のアクチュエータ25は、固定ブラケット187を用いて車体ブラケット155に固定される。また、本実施形態の車両用ドア装置20は、断面略コ字状の外形を有したカバー部材188を備えている。更に、本実施形態の車両用ドア装置20において、このカバー部材188は、そのコ字状をなすカバー部188xの両端に設けられたフランジ部189,189が、上下方向に離間して設けられた車体ブラケット155側の両連結部162,162に固定される。そして、本実施形態の車両用ドア装置20は、これにより、このカバー部材188が、その第1の回動連結点X1の形成部位180内に配置されたアクチュエータ25の側方を覆う構成になっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
即ち、アクチュエータ25の駆動力に基づいて、このアクチュエータ25が設けられた車体2に対する第1の回動連結点X1に周りにメインリンク21としての構成を有する第1のリンクアーム11が回動する。更に、この第1のリンクアーム11に連動してサブリンク22としての構成を有する第2のリンクアーム12が、同じく、その車体2に対する第1の回動連結点X1に周りに回動する。そして、これにより、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15に支持されたドア5が開閉動作する。
即ち、アクチュエータ25の駆動力に基づいて、このアクチュエータ25が設けられた車体2に対する第1の回動連結点X1に周りにメインリンク21としての構成を有する第1のリンクアーム11が回動する。更に、この第1のリンクアーム11に連動してサブリンク22としての構成を有する第2のリンクアーム12が、同じく、その車体2に対する第1の回動連結点X1に周りに回動する。そして、これにより、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15に支持されたドア5が開閉動作する。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)車両用ドア装置20は、車体2に対する第1の回動連結点X1と車両1のドア5に対する第2の回動連結点X2とを有する第1及び第2のリンクアーム11,12を備える。そして、車両用ドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15を駆動してドア5を開閉動作させるアクチュエータ25を備える。また、車両用ドア装置20は、サブリンク22としての構成を有する第2のリンクアーム12に設けられて、その第1及び第2の回動連結点X,X2間の連結長Lを変更可能とする連結長可変機構35を備える。更に、車両用ドア装置20は、この連結長可変機構35の動作に基づきドア5の開閉動作軌跡Rが変化する。そして、アクチュエータ25は、その連結長可変機構35が設けられていないメインリンク21としての構成を有した第1のリンクアーム11に駆動力を付与する。
(1)車両用ドア装置20は、車体2に対する第1の回動連結点X1と車両1のドア5に対する第2の回動連結点X2とを有する第1及び第2のリンクアーム11,12を備える。そして、車両用ドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15を駆動してドア5を開閉動作させるアクチュエータ25を備える。また、車両用ドア装置20は、サブリンク22としての構成を有する第2のリンクアーム12に設けられて、その第1及び第2の回動連結点X,X2間の連結長Lを変更可能とする連結長可変機構35を備える。更に、車両用ドア装置20は、この連結長可変機構35の動作に基づきドア5の開閉動作軌跡Rが変化する。そして、アクチュエータ25は、その連結長可変機構35が設けられていないメインリンク21としての構成を有した第1のリンクアーム11に駆動力を付与する。
上記構成によれば、第2のリンクアーム12に設けられた連結長可変機構35の動作に基づいて開閉動作の自由度を高めることができる。更に、ドア5の開閉駆動時、アクチュエータ25が第1のリンクアーム11に駆動力を付与することで、この駆動力に基づく振動が、その連結長可変機構35を有した第2のリンクアーム12に生じ難い。即ち、第2のリンクアーム12に駆動力を付与した場合、ドア5の慣性、或いは摩擦力等の動作抵抗により、例えばドア5の開閉動作に先んじて連結長Lが延びる等、そのアクチュエータ25の駆動力に基づいて連結長可変機構35が作動してしまう可能性がある。そして、これにより第2のリンクアーム12に生ずる振動がドア5の揺れになるおそれがある。しかしながら、連結長可変機構35を有していない第1のリンクアーム11については、このような問題が生じない。そして、これにより、アクチュエータ25の駆動力に基づいたドア5の開閉動作時、そのドア5の揺れを抑制することができる。その結果、そのドア5の揺れ対策を講ずることにより生ずる構成の複雑化や重量増を回避することができる。
(2)第1のリンクアーム11は、第2のリンクアーム12よりもドア5の重心Gに近い位置において、このドア5に連結される第2の回動連結点X2を有する。
上記構成によれば、より大きな荷重を支えるメインリンク21に位置付けられた第1のリンクアーム11によって、安定的にドア5を支持することができる。そして、この第1のリンクアーム11にアクチュエータ25の駆動力を付与することで、ドア5の揺れを抑えて、安定的に、このドア5を開閉駆動することができる。
上記構成によれば、より大きな荷重を支えるメインリンク21に位置付けられた第1のリンクアーム11によって、安定的にドア5を支持することができる。そして、この第1のリンクアーム11にアクチュエータ25の駆動力を付与することで、ドア5の揺れを抑えて、安定的に、このドア5を開閉駆動することができる。
(3)アクチュエータ25は、第1の回動連結点X1の形成部位180に設けられる。
即ち、第1のリンクアーム11の基端部11a側にアクチュエータ25を設けることで、その支持荷重を軽減することができる。更に、そのドア5側に配置した場合との比較において、比較的大きな配置スペースを確保することができる。そして、その第1の回動連結点X1の形成部位180と一体化することで、装置のコンパクト化を図ることができる。
即ち、第1のリンクアーム11の基端部11a側にアクチュエータ25を設けることで、その支持荷重を軽減することができる。更に、そのドア5側に配置した場合との比較において、比較的大きな配置スペースを確保することができる。そして、その第1の回動連結点X1の形成部位180と一体化することで、装置のコンパクト化を図ることができる。
(4)第1のリンクアーム11における第1の回動連結点X1は、上下方向に離間して設けられた上側連結点181及び下側連結点182を有する。そして、アクチュエータ25は、その上側連結点181と下側連結点182との間の位置に設けられる。
上記構成によれば、安定的に、その車体2に対して第1のリンクアーム11の基端部11aを支持することができる。更に、簡素な構成にて、そのアクチュエータ25を第1の回動連結点X1の形成部位180内に配置することができる。そして、これにより、これらのアクチュエータ25及び第1の回動連結点X1を一体的に構成することができる。
(5)連結長可変機構35は、第1の回動連結点X1を有した車体側リンク91と第2の回動連結点X2を有したドア側リンク92とを回動可能に連結してなる関節リンク機構100としての構成を有する。
上記構成によれば、車体側リンク91及びドア側リンク92が形成する関節リンク機構100の中間連結点X3を頂点とする三角形の底辺が、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lとなる。そして、これにより、車体側リンク91とドア側リンク92との相対回動に基づいて、その連結長Lを変更することができる。
また、このような関節リンク機構100には、例えば、埃やゴミ等の異物、或いは凍結等、使用環境の影響を受け難いという特徴がある。そして、これにより、高い信頼性及び耐久性を確保することができる。
更に、関節リンク機構100には、その車体側リンク91及びドア側リンク92の形状自由度が高いという利点がある。例えば、車体側リンク91を折曲形状として、ドア開口部3との干渉を回避する。そして、これにより、そのドア5の全開動作時、より大きなドア開口量を確保することができる。
(6)車両用ドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づき車両1のドア開口部3を開閉するドア5の閉側端部33に設けられたドア側係合部31を備える。更に、車両用ドア装置20は、ドア5の開閉動作に基づいて、このドア5の閉側端部33が接離、即ち接近又は離間するドア開口部3の閉側端部34に設けられた車体側係合部32を備える。ドア側係合部31は、車両1の上下方向に延びる軸状係合部41を備え、車体側係合部32は、車幅方向に対向する一対の側壁部42a,42bを有してドア5の開閉動作方向に延在するガイド溝42を備えてなる。そして、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合するドア5の全閉位置P0近傍の開閉動作位置においては、そのガイド溝42内に軸状係合部41が配置される。
上記構成によれば、ガイド溝42内に軸状係合部41が配置されることにより、その車幅方向におけるドア5の変位が規制される。そして、これにより、第1及び第2のリンクアーム11,12の距離が近づいて直線的に並んだ状態になりやすい全閉位置P0近傍の開閉動作位置においても、そのドア5を安定的に支持することができる。
更に、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合した状態においては、連結長可変機構35の動作に基づいて、そのドア5の開閉動作軌跡Rが円弧状のグライド軌跡Rgから直線状のスライド軌跡Rsに変化する。そして、これにより、円滑に、そのドア5を全閉位置P0に閉動作させ、及び全閉位置P0から開動作させることができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、連結長可変機構35は、第1の回動連結点X1を有した車体側リンク91と第2の回動連結点X2を有したドア側リンク92とを回動可能に連結してなる関節リンク機構100としての構成を有することとした。しかし、これに限らず、連結長可変機構35の構成については、任意に変更してもよい。
例えば、図42及び図43に示すような直動式の伸縮リンク機構200を、その連結長可変機構35として、第2のリンクアーム12Dに設けてもよい。即ち、この別例に示す第2のリンクアーム12Dは、同心状に配置されたアウタチューブ201及びインナチューブ202を備えている。具体的には、アウタチューブ201は、車体2に対する第1の回動連結点X1を第1端部201a側に有するとともに、第2端部201b側に開口部201xを有している。また、インナチューブ202は、ドア5に対する第2の回動連結点X2を第2端部202b側に有するとともに、第1端部202a側に開口部202xを有している。更に、アウタチューブ201の内径は、インナチューブ202の外径よりも大きな値に設定されている。そして、第2のリンクアーム12Dは、そのアウタチューブ201の筒内に、第2端部201b側からインナチューブ202の第1端部202a側を挿入することで、これらのアウタチューブ201及びインナチューブ202を同心状に配置する構成となっている。
即ち、この別例に示す第2のリンクアーム12Dにおいては、そのアウタチューブ201が車体側リンク91Dを構成し、そのインナチューブ202がドア側リンク92Dを構成する。そして、これらのアウタチューブ201及びインナチューブ202が軸線方向に相対変位することで、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが変化する。
具体的には、アウタチューブ201の筒内からインナチューブ202が引き出される方向に相対変位することで、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが延長される。そして、インナチューブ202がアウタチューブ201の筒内に没入する方向に相対変位することで、その第1及び第2の回動連結点X1,X2の間の連結長Lが短縮される。
また、この別例に示す第2のリンクアーム12Dには、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを短縮する方向の引張力を付与する付勢部材205が設けられている。尚、この付勢部材205には、例えば、引っ張りバネ206等を用いることができる。そして、この付勢部材205の発生する付勢力Fを利用して、ドア5の開閉動作時、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを保持する構成となっている。このような構成を採用しても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・また、この別例では、同心状に配置された長尺筒状のアウタチューブ201及びインナチューブ202を、車体側リンク91D及びドア側リンク92Dとして、その伸縮リンク機構200が形成されることとした。しかし、これに限らず、車体側リンク91D及びドア側リンク92Dは、必ずしも同心配置された筒形状を有していなくともよい。これら車体側リンク91D及びドア側リンク92Dが軸線方向に沿って相対変位可能に配置された構成であれば、その形状は、任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、メインリンク21としての構成を有する第1のリンクアーム11を、サブリンク22としての構成を有した第2のリンクアーム12よりも上方に配置する。そして、第2のリンクアーム12を、第1のリンクアーム11よりもドア5の閉側端部33に近い位置に配置することとした。しかし、これに限らず、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12の配置については、任意に変更してもよい。
・また、第1及び第2のリンクアーム11,12、並びに連結長可変機構35の配置によっては、ドア5が全閉位置P0に閉動作する際、連結長可変機構35の作動により、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lが伸びる構成であってもよい。
・また、連結長可変機構35の付勢部材115,205は、任意に変更してもよい。例えば、圧縮バネ等のようなその他の弾性部材、或いはガス式や電磁式等の付勢部材を用いてもよい。更に、その連結長可変機構35の配置によっては、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを伸ばす方向の付勢力を発生する構成であってもよい。そして、その連結長可変機構35に付勢部材が設けられていない構成であってもよい。
・上記実施形態では、支軸47に軸支されたローラ48によって、その軸状係合部41が形成されることとしたが、必ずしも、軸状係合部41は回転しなくともよい。
・上記実施形態では、ドア側係合部31が軸状係合部41を有し、車体側係合部32がガイド溝42を有することとした。しかし、これに限らず、ドア側係合部31がガイド溝42を有し、車体側係合部32が軸状係合部41を有する構成であってもよい。
・上記実施形態では、ドア側係合部31が軸状係合部41を有し、車体側係合部32がガイド溝42を有することとした。しかし、これに限らず、ドア側係合部31がガイド溝42を有し、車体側係合部32が軸状係合部41を有する構成であってもよい。
・また、ドア側係合部31及び車体側係合部32の数及び配置は、任意に変更してもよい。更に、ガイド溝42を形成するガイド部材50の形状、及び、その固定構造は任意に変更してもよい。例えば、固定ブラケット53を用いることなく、直接的に、そのガイド部材50を設置面52に固定する構造であってもよい。また、ガイド部材50が緩衝部材80を有しない構成であってもよい。そして、例えば、第1及び第2のガイド部材71,72が同一の構成を有していてもよい。
・上記実施形態では、連結長可変機構35としての関節リンク機構100を構成する車体側リンク91及びドア側リンク92は、そのドア側リンク92が、車体側リンク91よりも短い所謂ミニアームとしての構成を有することとした。しかし、これら車体側リンク91及びドア側リンク92の長さは、任意に変更してもよい。例えば、車体側リンク91よりもドア側リンク92の方が長い構成であってもよい。
・また、車体側リンク91及びドア側リンク92の形状は、それぞれ、任意に変更してもよい。例えば、上記実施形態では、ドア側リンク92は、両者の間に車体側リンク91を挟み込む状態で車体側リンク91に連結されるとともに、それぞれ独立にドア5に対して連結される一対の挟持部107,107を備えることとした。しかし、これに限らず、ドア側リンク92もまた、車体側リンク91と同様に軸状の外形を有する構成であってもよい。車体側リンク91についてもまた、例えば、クランク状の折曲形状部106を有しなくともよい。そして、車体側リンク91が、板状やフレーム状等の外形を有していてもよい。
・上記実施形態では、第1のリンクアーム11における第1の回動連結点X1は、上下方向に離間して設けられた上側連結点181及び下側連結点182を有する。更に、アクチュエータ25は、その上側連結点181と下側連結点182との間の位置に配置された状態で、固定ブラケット187を用いて車体ブラケット155に固定される。そして、これにより、アクチュエータ25は、その第1のリンクアーム11の車体2に対する第1の回動連結点X1の形成部位180に設けられることとした。
しかし、これに限らず、第1の回動連結点X1の形成部位180となる第1のリンクアーム11の基端部11a及び車体2側の構成については、任意に変更してもよい。即ち、第1のリンクアーム11の基端部11aを構成する基端ブラケット153や、車体2側に設けられた車体ブラケット155の形状は任意に変更してもよい。例えば、必ずしも、上記のような上側連結点181及び下側連結点182を形成しなくともよい。また、アクチュエータ25の構成や固定構造についてもまた、任意に変更してもよい。そして、第1の回動連結点X1の形成部位180外、例えば、その下方或いは上方にアクチュエータ25を配置する構成であってもよい。但し、装置のコンパクト化を図る観点では、その第1の回動連結点X1内にアクチュエータ25を配置することが好ましい。
・また、必ずしも、そのアクチュエータ25が車体2に保持される構成でなくともよく、例えば、第1のリンクアーム11の基端部11aにアクチュエータ25を保持する構成であってもよい。更に、ドア5側にアクチュエータ25を配置する構成であってもよい。そして、この場合についてもまた、そのアクチュエータ25がドア5に保持される構成に限らず、第1のリンクアーム11の先端部11bに、そのアクチュエータ25を保持する構成であってもよい。
・また、上記実施形態では、第1のリンクアーム11は、上下に並んで配置される一対のパイプフレーム151,151の基端部分及び先端部分を、それぞれ、基端ブラケット153及び先端ブラケット154により接続した構成を有することとした。しかし、これに限らず、第1のリンクアーム11の構成は、任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、第2のリンクアーム12に連結長可変機構35が設けられる。そして、連結長可変機構35が設けられていない第1のリンクアーム11に対して、そのアクチュエータ25の駆動力が付与されることとした。しかし、これに限らず、第1のリンクアーム11に連結長可変機構35が設けられるとともに、連結長可変機構35が設けられていない第2のリンクアーム12に対して、そのアクチュエータ25の駆動力が付与される構成としてもよい。
・上記実施形態では、車両1のドア5が車両後方側に開動作する構成に適用したが、ドア5が車両前方側に開動作する構成に適用してもよい。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記連結長可変機構は、前記第1の回動連結点を有したドア側リンクと前記第2の回動連結点を有した車体側リンクとを軸線方向に沿って相対変位可能に配置してなる直動式の伸縮リンク機構であること、を特徴とする。
上記構成によれば、車体側リンクとドア側リンクとの相対変位に基づいて、その連結長を変更することができる。
2…車体
5…ドア
11…第1のリンクアーム
12…第2のリンクアーム
15…リンク機構
20…車両用ドア装置
25…アクチュエータ
35…連結長可変機構
X1…第1の回動連結点
X2…第2の回動連結点
L…連結長
R…開閉動作軌跡
5…ドア
11…第1のリンクアーム
12…第2のリンクアーム
15…リンク機構
20…車両用ドア装置
25…アクチュエータ
35…連結長可変機構
X1…第1の回動連結点
X2…第2の回動連結点
L…連結長
R…開閉動作軌跡
Claims (6)
- 車体に対する第1の回動連結点と車両のドアに対する第2の回動連結点とを有する第1及び第2のリンクアームと、
前記第1及び第2のリンクアームが形成するリンク機構を駆動して前記ドアを開閉動作させるアクチュエータと、
前記第1及び第2のリンクアームの一方に設けられて前記第1及び第2の回動連結点間の連結長を変更可能とする連結長可変機構と、を備え、
前記連結長可変機構の動作に基づき前記ドアの開閉動作軌跡が変化するとともに、
前記アクチュエータは、前記連結長可変機構が設けられていない前記第1及び第2のリンクアームの他方側に駆動力を付与する車両用ドア装置。 - 請求項1に記載の車両用ドア装置において、
前記アクチュエータは、前記第1のリンクアームに設けられるとともに、
前記第1のリンクアームは、前記第2のリンクアームよりも前記ドアの重心に近い位置において該ドアに連結される前記第2の回動連結点を有すること、
を特徴とする車両用ドア装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両用ドア装置において、
前記アクチュエータは、前記第1の回動連結点の形成部位に設けられること、
を特徴とする車両用ドア装置。 - 請求項3に記載の車両用ドア装置において、
前記第1の回動連結点は、上下方向に離間して設けられた上側連結点及び下側連結点を有し、
前記アクチュエータは、前記上側連結点と前記下側連結点との間の位置に設けられること、を特徴とする車両用ドア装置。 - 請求項1~請求項4の何れか一項に記載の車両用ドア装置において、
前記連結長可変機構は、
前記第1の回動連結点を有した車体側リンクと前記第2の回動連結点を有したドア側リンクとを回動可能に連結してなる関節リンク機構であること、
を特徴とする車両用ドア装置。 - 請求項1~請求項5の何れか一項に記載の車両用ドア装置において、
前記リンク機構の動作に基づき前記車両のドア開口部を開閉する前記ドアの閉側端部に設けられたドア側係合部と、
前記ドアの開閉動作に基づいて該ドアの前記閉側端部が接離する前記ドア開口部の閉側端部に設けられた車体側係合部と、を備え、
前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の一方側は、前記車両の上下方向に延びる軸状係合部を備え、
前記ドア側係合部及び前記車体側係合部の他方側は、車幅方向に対向する一対の側壁部を有して前記ドアの開閉動作方向に延在するガイド溝を備えてなり、
前記ドア側係合部と前記車体側係合部とが係合する前記ドアの全閉位置近傍の開閉動作位置においては、前記ガイド溝内に前記軸状係合部が配置される車両用ドア装置。
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- 2021-11-02 JP JP2021179837A patent/JP2023068579A/ja active Pending
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