JP2023066884A - 車両用駆動伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転電機のロータと一体的に回転するロータ軸と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、ロータ軸に連結された差動歯車機構とを備えた車両用駆動伝達装置を、より小型に構成する。【解決手段】差動歯車機構3は、第1回転要素E1、第2回転要素E2、第3回転要素E3を備えた遊星歯車機構であり、中空筒状のロータ軸10に対して、径方向内側R1であって、径方向視でロータ81と重複する位置に配置されている。3つの回転要素のうち、1つはサンギヤS31、1つはキャリヤC3、残り1つはサンギヤS31とは別のサンギヤS32又はキャリヤC3とは別のキャリヤである。【選択図】図1
Description
本発明は、回転電機のロータと一体的に回転するロータ軸と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、ロータ軸に連結された差動歯車機構とを備えた車両用駆動伝達装置に関する。
特開2020-67183号公報には、モータの中空筒状のロータシャフト(103)内に、傘歯車を用いて構成された差動歯車機構(101)が組み込まれた車両用駆動伝達装置(100)が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。差動歯車機構(101)は、一対の車輪に駆動連結された一対の出力部材に、駆動力を分配している。この出力部材は、それぞれの車輪の側において軸受を介してケースに対して回転可能に支持されている。
上記の車両用駆動伝達装置における差動歯車機構は傘歯車機構であり、差動歯車機構の出力ギヤの回転軸心の周囲に複数のピニオンギヤが配置されるために径方向の寸法の小型化には限界がある。また、差動歯車機構の出力ギヤと車輪とを駆動連結するための部材の軸受を配置するための場所を確保する必要があるなどロータシャフトの軸方向の寸法の小型化にも限界がある。
上記背景に鑑みて、回転電機のロータと一体的に回転するロータ軸と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、ロータ軸に連結された差動歯車機構とを備えた車両用駆動伝達装置を、より小型に構成する技術の提供が望まれる。
上記に鑑みた車両用駆動伝達装置は、ロータを備える回転電機と、前記ロータと一体的に回転するロータ軸と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、前記ロータ軸と一体的に回転するように連結された入力要素、前記第1出力部材に駆動連結される第1出力要素、及び、前記第2出力部材に駆動連結される第2出力要素を備え、前記ロータ軸から前記入力要素に伝達されたトルクを前記第1出力要素と前記第2出力要素とに分配する差動歯車機構と、を備えた車両用駆動伝達装置であって、前記差動歯車機構は、第1回転要素、第2回転要素、及び第3回転要素を備え、前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素の回転速度の順が記載の順となるように構成された遊星歯車機構であって、前記第1回転要素が前記第1出力要素であり、前記第2回転要素が前記入力要素であり、前記第3回転要素が前記第2出力要素であり、前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素のうち、1つはサンギヤ、1つはキャリヤ、残り1つは前記サンギヤとは別のサンギヤ又は前記キャリヤとは別のキャリヤであり、前記ロータ軸は、中空筒状に形成され、前記第1出力要素及び前記第2出力要素の回転軸心に沿う方向を軸方向とし、前記軸方向に直交する方向を径方向として、前記差動歯車機構は、前記ロータ軸に対して前記径方向の内側であって、前記径方向に沿う径方向視で前記ロータと重複する位置に配置されている。
この構成によれば、中空筒状のロータ軸に対して径方向の内側であって径方向視でロータと重複する位置に差動歯車機構を配置しているため、車両用駆動伝達装置の軸方向寸法を小型化し易い。また、差動歯車機構は、リングギヤを備えない遊星歯車機構であるため、径方向にも小型化し易い構成である。よって、差動歯車機構を、中空筒状のロータ軸に対して径方向の内側に配置し易い。このように、本構成によれば、回転電機のロータと一体的に回転するロータ軸と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、ロータ軸に連結された差動歯車機構とを備えた車両用駆動伝達装置を、より小型に構成することができる。
車両用駆動伝達装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
以下、車両用駆動伝達装置の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明における各部材についての方向は、車両用駆動伝達装置100が車両に組み付けられた状態(車両搭載状態)での方向を表す。また、各部材についての寸法、配置方向、配置位置等に関する用語は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態を含む概念である。車両用駆動伝達装置100の構造については後述するが、車両用駆動伝達装置100は入力要素E30、第1出力要素E31及び前記第2出力要素E32を有する差動歯車機構3を備えており、第1出力要素E31及び第2出力要素E32の回転軸心Xに沿う方向を軸方向Lとする。そして、軸方向Lの一方側を軸方向第1側L1とし、軸方向Lの他方側を軸方向第2側L2とし、軸方向Lに直交する方向を径方向Rとする。さらに、径方向Rにおいて回転軸心Xの側を径方向内側R1、その反対側を径方向外側R2と称する。
また、本明細書では、2つの部材の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線に直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの部材の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを意味する。また、本明細書では、2つの部材の配置に関して、「軸方向における配置領域が重複する」とは、一方の部材の軸方向における配置領域内に、他方の部材の軸方向における配置領域の少なくとも一部が含まれることを意味する。
また、本明細書では、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力(トルクと同義)を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材(軸、ギヤなど)を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。尚、伝導部材には、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置(例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等)が含まれていてもよい。
また、以下の説明において、ギヤやスプライン等において「直径」という場合には、歯の根元を結んだ円の直径である歯底円直径や、歯の先端を結んだ円の直径である歯先円直径ではなく、ピッチ点を結んだ円の直径であるピッチ円直径(基準円直径)を示している。
図1の軸方向断面図、図3のスケルトン図に示すように、車両用駆動伝達装置100は、駆動力源8に駆動連結される入力部材1と、第1車輪W1に駆動連結される第1出力部材91と、第2車輪W2に駆動連結される第2出力部材92と、駆動力源8からのトルクを第1出力部材91及び第2出力部材92へと分配する差動歯車機構3と、差動歯車機構3からの回転を減速して第1出力部材91に伝達する第1減速機51と、差動歯車機構3からの回転を減速して第2出力部材92に伝達する第2減速機52とを備えている。差動歯車機構3は、入力部材1と一体的に回転するように連結された入力要素E30、第1出力要素E31、及び、第2出力要素E32を備えており、入力部材1から入力要素E30に伝達されたトルクを第1出力要素E31と第2出力要素E32とに分配する。第1減速機51は、第1出力要素E31の回転を減速して第1出力部材91に伝達する。第2減速機52は、第2出力要素E32の回転を減速して第2出力部材92に伝達する。
尚、本実施形態では、駆動力源8がロータ81を備える回転電機80であり、入力部材1がロータ81と一体的に回転するロータ軸10である形態を例として説明する。しかし、駆動力源8は内燃機関など他の形態であってもよく、入力部材1も内燃機関に駆動連結された回転部材であってもよい。本実施形態では、差動歯車機構3の入力要素E30は、ロータ軸10と一体的に回転するように連結されている。また、後述するように、本実施形態では、第1減速機51及び第2減速機52は同一構成であり、両者を区別しない場合には、単に減速機5と称して説明する。同様に、第1出力部材91及び第2出力部材92を区別しない場合には出力部材9と総称し、第1車輪W1と第2車輪W2とを区別しない場合には車輪Wと総称する。
また、本実施形態では、入力部材1、差動歯車機構3、減速機5、出力部材9の順に動力伝達経路が形成されている車両用駆動伝達装置100を例示して説明する。しかし、減速機5を備えることなく、車両用駆動伝達装置100が構成されていることを妨げるものではない。例えば、出力部材9と車輪Wとの間に車両用駆動伝達装置100とは別に減速機が設けられていてもよい。即ち、差動歯車機構3は、ロータ軸10と一体的に回転するように連結された入力要素E30、第1出力部材91に駆動連結される第1出力要素E31、及び、第2出力部材92に駆動連結される第2出力要素E32を備え、ロータ軸10から入力要素E30に伝達されたトルクを第1出力要素E31と第2出力要素E32とに分配するものであってもよい。
尚、上述したように、「駆動連結」は、2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態に限らず、当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材(軸、ギヤなど)を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。従って、当然ながら、第1出力部材91と第1出力要素E31とは、一体的に回転するように連結された状態に限らず、第1減速機51を介して連結されていてもよい。また、第2出力部材92と第2出力要素E32とは、一体的に回転するように連結された状態に限らず、第2減速機52を介して連結されていてもよい。
上述したように、本実施形態において駆動力源8は回転電機80である。回転電機80は、インナーロータ型の回転電機であり、非回転部材としてのケース6に固定されたステータ82と、ステータ82の径方向内側R1に回転可能に支持されたロータ81とを有する。ステータ82は、ステータコアとステータコアに巻き回されたステータコイルとを含み、ロータ81は、ロータコアとロータコアに配置された永久磁石とを含む。ロータ81は、ロータ81と常時一体的に回転するロータ軸10(入力部材1)に連結されている。図1に示すように、ロータ軸10は、中空筒状に形成されており、ロータ軸10の外周面1bがロータ81(ロータコア)に当接する状態で、ロータ軸10はロータ81に連結されている。即ち、本実施形態において、入力部材1は、ロータ81と一体的に回転するように連結された筒状のロータ軸10である。ロータ軸10は、一対のロータ軸受B1を介してケース6の内側に配置された支持部材63に回転可能に支持されている。本実施形態では、ロータ軸10は、一対のロータ軸受B1により径方向内側R1から支持されている。
このように、中空筒状のロータ軸10に対して径方向内側R1であって径方向視でロータ81と重複する位置に差動歯車機構3を配置していることで、車両用駆動伝達装置100の軸方向寸法を小型化し易い。
ケース6は、回転電機80、差動歯車機構3、第1減速機51、第2減速機52を収容する円筒状のケース本体部61と、これらを収容したケース本体部61を軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2から覆うカバー部材としての一対のケースカバー部62と、ケース本体部61に固定された一対の支持部材63とを備えている。支持部材63は、ケース本体部61の内側において、径方向R及び周方向に延在するように形成され、回転電機80及び差動歯車機構3と第1減速機51との軸方向Lの間、及び、回転電機80及び差動歯車機構3と第2減速機52との軸方向Lの間をそれぞれ区画するように設けられている。それぞれの支持部材63は、ロータ軸10よりも径方向内側R1において、軸方向Lにロータ軸10の側へ向けて屈曲しており、この屈曲した部分の外周面においてロータ軸受B1を支持している。
本実施形態では、差動歯車機構3は、ロータ軸10に対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視でロータ81と重複する位置に配置されている。また、第1減速機51は、ロータ81及びロータ軸10に対して軸方向第1側L1に配置され、第2減速機52は、ロータ81及びロータ軸10に対して軸方向第2側L2に配置されている。
差動歯車機構3は、第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3を備え、第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3の回転速度の順が記載の順となるように構成された遊星歯車機構である(図9の速度線図参照)。上述したように、差動歯車機構3は、入力要素E30、第1出力要素E31、及び第2出力要素E32を備えている。ここで、第1回転要素E1が第1出力要素E31であり、第2回転要素E2が入力要素E30であり、第3回転要素E3が第2出力要素E32である。
本実施形態では、第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3のうち、1つはサンギヤ(後述する差動第1サンギヤS31)、1つはキャリヤ(後述する差動キャリヤC3)、残り1つは前述のサンギヤ(差動第1サンギヤS31)とは別のサンギヤ(後述する差動第2サンギヤS32)である。即ち、遊星歯車機構により構成された差動歯車機構3は、回転要素としてリングギヤを有していない。尚、図示及び詳細な説明は省略するが、第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3のうち、1つはサンギヤ、1つはキャリヤ、残り1つは前述のキャリヤとは別のキャリヤであってもよい。この場合も、回転要素としてリングギヤを有していない遊星歯車機構により差動歯車機構3を構成することができる。即ち、差動歯車機構3における、第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3のうち、1つはサンギヤ、1つはキャリヤ、残り1つは前述のサンギヤとは別のサンギヤ又は前述のキャリヤとは別のキャリヤであるとよい。
このように、差動歯車機構3は、リングギヤを備えない遊星歯車機構であるため、径方向Rにも小型化し易い構成である。よって、差動歯車機構3を、中空筒状のロータ軸10に対して径方向内側R1に配置し易い。
本実施形態では、図1から図3等に示すように、第1回転要素E1が差動第1サンギヤS31(第1サンギヤ)であり、第2回転要素E2が差動キャリヤC3(キャリヤ)であり、第3回転要素E3が差動第2サンギヤS32(第2サンギヤ)である。そして、さらに図3から図6に示すように、差動キャリヤC3は、差動第1ピニオンギヤP31(第1ピニオンギヤ)及び差動第2ピニオンギヤP32(第2ピニオンギヤ)をそれぞれ回転自在に支持している。差動第1ピニオンギヤP31は、差動第1サンギヤS31及び差動第2ピニオンギヤP32に噛み合っており、差動第2ピニオンギヤP32は、差動第1ピニオンギヤP31及び差動第2サンギヤS32に噛み合っている。
このように、本実施形態では、リングギヤを備えることなく、遊星歯車機構による差動歯車機構3を適切に構成することができる。リングギヤを備えないため、差動歯車機構3の径方向Rの寸法を小さく抑えやすく、車両用駆動伝達装置100の小型化を図れると共に、中空筒状のロータ軸10の径方向内側R1に適切に差動歯車機構3を収納することができる。
また、本実施形態では、差動キャリヤC3は、ロータ軸10の内周面1aから径方向内側R1に突出するように、ロータ軸10に固定されている。このように構成することで、第2回転要素E2としての差動キャリヤC3をロータ軸10と一体的に回転するように適切に連結することができる。差動キャリヤC3がロータ軸10の径方向内側R1に固定されるため、差動歯車機構3を小型化し易い。尚、差動キャリヤC3は、ロータ軸10の内周面1aから径方向内側R1に突出することなく、例えばロータ軸10がピニオンギヤを収容可能な肉厚を有した筒状に形成され、ロータ軸10の径方向内側R1にロータ軸10と一体的に形成されている形態を妨げるものではない。
図1及び図2に示すように、差動第1ピニオンギヤP31は、第1ギヤ部P31aと第2ギヤ部P31bとを有している。そして、図3から図6に示すように、第1ギヤ部P31aは、差動第1サンギヤS31に噛み合っており、第2ギヤ部P31bは、差動第2ピニオンギヤP32に噛み合っている。従って、第1ギヤ部P31aと第2ギヤ部P31bとを有する差動第1ピニオンギヤP31は、差動第1サンギヤS31及び差動第2ピニオンギヤP32に噛み合っている。差動第2ピニオンギヤP32は、差動第2サンギヤS32に噛み合っている。差動第2ピニオンギヤP32は、差動第1ピニオンギヤP31と差動第2サンギヤS32との間において回転方向を反転させるアイドラギヤとして機能している。図1、図2、図4等に示すように、軸方向Lにおける差動第1サンギヤS31と差動第2サンギヤS32との間には、仕切り部材73が配置されている。
図5及び図6に示すように、差動第1ピニオンギヤP31の第1ギヤ部P31aは、差動キャリヤC3を形成するキャリヤ部材30に形成された第1ギヤ収納部31に収納されている。また、差動第1ピニオンギヤP31の第2ギヤ部P31bは、キャリヤ部材30に形成された第2ギヤ収納部32に収納されている。第1ギヤ部P31a及び第2ギヤ部P31bは、差動第1ピニオンギヤP31として一体的に回転する。差動第1ピニオンギヤP31は、第1ギヤ部P31aの外周面が第1ギヤ収納部31の内周面31aに対して摺動し、第2ギヤ部P31bの外周面が第2ギヤ収納部32の内周面32aに対して摺動する状態でキャリヤ部材30(差動キャリヤC3)に支持されている。また、差動第2ピニオンギヤP32は、キャリヤ部材30に形成された差動第2ピニオンギヤ収納部33に収納されている。そして、差動第2ピニオンギヤP32は、その外周面が差動第2ピニオンギヤ収納部33の内周面33aに対して摺動する状態でキャリヤ部材30(差動キャリヤC3)に支持されている。
このように、差動第1ピニオンギヤP31及び差動第2ピニオンギヤP32が、差動キャリヤC3の内周面に対して摺動する状態で差動キャリヤC3に支持されることで、差動歯車機構3はリミテッド・スリップ・デファレンシャル(差動制限機能付きの差動歯車機構)としての効果を得ることができる。即ち、車両の旋回中や悪路を走行中等の場面において、第1車輪W1及び第2車輪W2の内の一方の車輪Wが空転或いは空転に近い状態になった場合であっても、差動機能を残しつつ、他方の車輪Wに駆動力を伝達することができる。
差動サンギヤS1(差動第1サンギヤS31、差動第2サンギヤS32)は、キャリヤ部材30の径方向内側R1に配置されている。差動第1ピニオンギヤP31及び差動第2ピニオンギヤP32とは異なり、差動サンギヤS1は、キャリヤ部材30の内周面30aに接することなく回転可能なように、当該内周面30aと隙間を有して配置されている。
上述したように、ロータ軸10は、一対のロータ軸受B1(支持軸受)により径方向内側R1から支持されている。これにより、ロータ軸10は、ケース6に対して回転可能となっている。一対のロータ軸受B1は、差動歯車機構3に対して軸方向Lの両側に分かれて配置されている。このように、ロータ軸受B1が差動歯車機構3に対して軸方向Lの両側に配置されることで、ロータ軸10に対して径方向内側R1に差動歯車機構3が配置されていても、ロータ軸10及び差動歯車機構3を回転可能に支持することができる。また、ロータ軸受B1は、ロータ軸10の径方向内側R1からロータ軸10を支持しているため、軸受を配置するために軸方向寸法を長くする必要がなく、車両用駆動伝達装置100の軸方向Lの寸法を短くし易い。当然ながら、ロータ軸10は上記とは異なる位置で軸受によって支持されていてもよい。例えば、ロータ軸10は、一対のロータ軸受B1(支持軸受)により径方向外側R2から支持されていても良い。
上述したように、車両用駆動伝達装置100は、第1出力要素E31の回転を減速して第1出力部材91に伝達する第1減速機51と、第2出力要素E32の回転を減速して第2出力部材92に伝達する第2減速機52とを備えている。第1減速機51は、ロータ81及びロータ軸10に対して軸方向第1側L1に配置され、第2減速機52は、ロータ81及びロータ軸10に対して軸方向第2側L2に配置されている。尚、本実施形態では、下記において詳細に説明するように、遊星歯車式の減速機5を備える構成を例示している。しかし、例えば平行歯車式の減速機など、他の構造の減速機5であってもよい。また、遊星歯車式の減速機5を備える場合であっても、下記にて例示するようなダブルピニオン式に限らず、シングルピニオン式など他の構成の遊星歯車機構であってもよい。
径方向視でロータ81と重複する位置に配置された差動歯車機構3において回転電機80のトルクが軸方向第1側L1と軸方向第2側L2とに分配される。そして、分配された回転が、それぞれ第1減速機51又は第2減速機52により減速されるので、これらの減速機5によって増幅されたトルクを一対の出力部材の9それぞれに適切に伝達することができる。従って、必要なトルクを車輪Wに伝達できるように構成しつつ、比較的小型の回転電機80を用いて軸方向L及び径方向Rの寸法を小さく抑えた電動車両用の駆動伝達装置を実現することができる。
以下、本実施形態の減速機5について説明する。第1減速機51は、減速第1サンギヤS51(第1サンギヤ)、減速第1キャリヤC51(第1キャリヤ)、及び減速第1リングギヤR51(第1リングギヤ)を備えた遊星歯車機構である。減速第1サンギヤS51は、第1出力要素E31と一体的に回転するように連結されている。そして、本実施形態では、減速第1キャリヤC51が、第1出力部材91と一体的に回転するように連結され、減速第1リングギヤR51が、非回転部材としてのケース6に連結されている。尚、減速第1リングギヤR51が、第1出力部材91と一体的に回転するように連結され、減速第1キャリヤC51が、ケース6に連結されていてもよい。即ち、第1減速機51は、減速第1キャリヤC51及び減速第1リングギヤR51のいずれか一方が、第1出力部材91と一体的に回転するように連結され、減速第1キャリヤC51及び減速第1リングギヤR51のいずれか他方が、非回転部材としてのケース6に連結されていれば良い。
第2減速機52は、減速第2サンギヤS52(第2サンギヤ)、減速第2キャリヤC52(第2キャリヤ)、及び減速第2リングギヤR52(第2リングギヤ)を備えた遊星歯車機構である。減速第2サンギヤS52は、第2出力要素E32と一体的に回転するように連結されている。そして、本実施形態では、減速第2キャリヤC52が、第2出力部材92と一体的に回転するように連結され、減速第2リングギヤR52が、非回転部材としてのケース6に連結されている。尚、減速第2リングギヤR52が、第2出力部材92と一体的に回転するように連結され、減速第2キャリヤC52が、ケース6に連結されていてもよい。即ち、第2減速機52は、減速第2キャリヤC52及び減速第2リングギヤR52のいずれか一方が、第2出力部材92と一体的に回転するように連結され、減速第2キャリヤC52及び減速第2リングギヤR52のいずれか他方が、非回転部材としてのケース6に連結されていれば良い。
尚、以下においては、減速第1サンギヤS51、複数の減速第1ピニオンギヤP51、減速第1リングギヤR51、減速第2サンギヤS52、複数の減速第2ピニオンギヤP52、及び、減速第2リングギヤR52が、斜歯歯車である場合を例示して、車両用駆動伝達装置100における特徴を説明する場合がある。しかし、減速機5の単体構造については、これらが斜歯歯車であることには限定されず、これらが例えば平歯車であっても良い。
本実施形態では、減速第1キャリヤC51が、第1出力部材91と一体的に回転するように連結され、減速第1リングギヤR51が、ケース6に連結されている。また、減速第2キャリヤC52が、第2出力部材92と一体的に回転するように連結され、減速第2リングギヤR52が、ケース6に連結されている。減速第1キャリヤC51は、第1ピニオンギヤ組P51cに対して軸方向Lの両側に分かれて配置された一対の第1出力軸受B51(軸受)によって支持されている。また、減速第2キャリヤC52は、第2ピニオンギヤ組P52cに対して軸方向Lの両側に分かれて配置された一対の第2出力軸受B52(第3軸受、軸受)によって支持されている。即ち、出力部材9に連結された回転要素である減速第1キャリヤC51及び減速第2キャリヤC52が、一対の軸受(出力軸受B5)によって適切に回転可能に支持される。従って、小型化を図りつつ、回転要素を適切に支持した車両用駆動伝達装置100を実現することができる。
尚、減速第1キャリヤC51を支持する第1出力軸受B51が、第1ピニオンギヤ組P51cに対して軸方向Lの片側に配置されるなど、減速第1キャリヤC51の支持構造は、本実施形態に限定されるものではない。同様に、減速第2キャリヤC52を支持する第2出力軸受B52が、第2ピニオンギヤ組P52cに対して軸方向Lの片側に配置されるなど、減速第2キャリヤC52の支持構造も、本実施形態に限定されるものではない。
第1減速機51及び第2減速機52を区別せず、減速機5と総称する場合、減速機5は、減速サンギヤS5、減速キャリヤC5、及び減速リングギヤR5を備えた遊星歯車機構である。減速サンギヤS5は、差動歯車機構3の出力要素(第1出力要素E31又は第2出力要素E32)と一体的に回転するように連結されている。そして、本実施形態では、減速キャリヤC5が、出力部材9と一体的に回転するように連結され、減速リングギヤR5が、非回転部材としてのケース6に連結されている。上述したように、減速機5は、減速キャリヤC5及び減速リングギヤR5のいずれか一方が、出力部材9と一体的に回転するように連結され、減速キャリヤC5及び減速リングギヤR5のいずれか他方が、非回転部材としてのケース6に連結されていればよい。
尚、本実施形態では、出力部材9が減速機5の減速キャリヤC5に連結されている形態を例示している。しかし、減速キャリヤC5がケース6等の非回転部材に固定され、出力部材9は、減速リングギヤR5に連結されていてもよい。また、本実施形態では、第1減速機51と第2減速機52とが同一構成である形態を例示しているが、両者は異なる構成の減速機5であってもよい。
詳細は後述するが、図7に示すように、減速キャリヤC5は、内側ピニオンギヤP5a及び外側ピニオンギヤP5bからなるピニオンギヤ組P5cを複数組支持している。内側ピニオンギヤP5aは減速サンギヤS5及び外側ピニオンギヤP5bに噛み合い、外側ピニオンギヤP5bは内側ピニオンギヤP5a及び減速リングギヤR5に噛み合っている。複数のピニオンギヤ組P5cのそれぞれにおいて、内側ピニオンギヤP5aの回転軸心と外側ピニオンギヤP5bの回転軸心とは、径方向Rに沿って並ぶように配置されている。
即ち、第1減速機51においては、減速第1キャリヤC51は、第1内側ピニオンギヤP51a及び第1外側ピニオンギヤP51bからなる第1ピニオンギヤ組P51cを複数組支持している。第1内側ピニオンギヤP51aは減速第1サンギヤS51及び第1外側ピニオンギヤP51bに噛み合い、第1外側ピニオンギヤP51bは第1内側ピニオンギヤP51a及び減速第1リングギヤR51に噛み合っている。複数の第1ピニオンギヤ組P51cのそれぞれにおいて、第1内側ピニオンギヤP51aの回転軸心と第1外側ピニオンギヤP51bの回転軸心とは、径方向Rに沿って並ぶように配置されている。
同様に、第2減速機52においては、減速第2キャリヤC52は、第2内側ピニオンギヤP52a及び第2外側ピニオンギヤP52bからなる第2ピニオンギヤ組P52cを複数組支持している。第2内側ピニオンギヤP52aは減速第2サンギヤS52及び第2外側ピニオンギヤP52bに噛み合い、第2外側ピニオンギヤP52bは第2内側ピニオンギヤP52a及び減速第2リングギヤR52に噛み合っている。複数の第2ピニオンギヤ組P52cのそれぞれにおいて、第2内側ピニオンギヤP52aの回転軸心と第2外側ピニオンギヤP52bの回転軸心とは、径方向Rに沿って並ぶように配置されている。
シングルピニオン式の遊星歯車機構では、サンギヤとリングギヤとの径の差を大きくすること、そのためにピニオンギヤの径を大きくすることに限界があり、サンギヤとリングギヤとの歯数比を大きくすることが困難である。本実施形態では、第1減速機51及び第2減速機52がダブルピニオン式の遊星歯車機構によって構成されているため、ピニオンギヤ(内側ピニオンギヤP5a及び外側ピニオンギヤP5b)の径に対して、サンギヤ(減速サンギヤS5)とリングギヤ(減速リングギヤR5)との径の差を大きくし易く、サンギヤとリングギヤとの歯数比を大きくし易い。よって、第1減速機51及び第2減速機52の減速比も大きくし易い。
仮に、シングルピニオン型の遊星歯車機構によって同じ歯数比を得ようとすると、ピニオンギヤの径が大きくなるため、減速機5の重量が大きくなり易く、また、隣接するピニオンギヤ同士の干渉も生じやすい。しかし、図7に例示する本実施形態のように、減速サンギヤS5を径方向Rに適切に支持するために、内側ピニオンギヤP5a及び外側ピニオンギヤP5bからなるピニオンギヤ組P5cを3組以上備える場合であっても、隣接するピニオンギヤ組同士が干渉することのない範囲で、サンギヤとリングギヤとの歯数比を大きく設定することができる。また、ピニオンギヤ組P5cを3組以上備える構成とし易いため、各ピニオンギヤに作用する荷重も小さく抑え易く、各ピニオンギヤの支持構造を簡略化し易い。よって、減速機5並びに車両用駆動伝達装置100の軽量化も図り易い。
尚、このような減速機5は、本実施形態のようにダブルピニオン型遊星歯車式の差動歯車機構3を介して入力部材1に駆動連結される形態には限らない。差動歯車機構3は、シングルピニオン型の遊星歯車機構であってもよいし、例えば傘歯車式であってもよい。また、本実施形態では、入力部材1としてロータ軸10を例示しているが、このような構造の減速機5を備える車両用駆動伝達装置100の駆動力源8は回転電機80に限らず内燃機関等でもよい。そして、入力部材1は、ロータ軸10に限られず、各種ギヤ機構や変速機等を介して駆動力源8に連結される部材であってよい。当然ながら、本実施形態のように、駆動力源8は入力部材1と同軸配置されていなくてもよい。例えば、ギヤやチェーン等の伝動部材を介して駆動力源8と入力部材1とが駆動連結されていてもよい。また、駆動力源8が回転電機80であり、入力部材1がロータ軸10である場合であっても、差動歯車機構3が中空筒状のロータ軸10の径方向内側R1に配置されている必要はない。
図7に示すように、軸方向Lに沿う軸方向視で、複数のピニオンギヤ組P5cのそれぞれにおける内側ピニオンギヤP5aの回転軸心と外側ピニオンギヤP5bの回転軸心と減速サンギヤS5の回転軸心とは、径方向Rに沿う直線上に配置されている。本実施形態では、第1減速機51及び第2減速機52は同一構成である。従って、第1減速機51においては、軸方向Lに沿う軸方向視で、複数の第1ピニオンギヤ組P51cのそれぞれにおける第1内側ピニオンギヤP51aの回転軸心と第1外側ピニオンギヤP51bの回転軸心と減速第1サンギヤS51の回転軸心とが、径方向Rに沿う直線上に配置されている。また、第2減速機52においては、軸方向視で、複数の第2ピニオンギヤ組P52cのそれぞれにおける第2内側ピニオンギヤP52aの回転軸心と第2外側ピニオンギヤP52bの回転軸心と減速第2サンギヤS52の回転軸心とが、径方向Rに沿う直線上に配置されている。
内側ピニオンギヤP5aと外側ピニオンギヤP5bと減速サンギヤS5とが、このように配置されると、内側ピニオンギヤP5a及び外側ピニオンギヤP5bの径に対して、サンギヤ(減速サンギヤS5)とリングギヤ(減速リングギヤR5)との歯数比を最も大きくすることができる。従って、減速機5の重量増加を抑制しつつ、より大きな減速比を有する減速機5を構成し易い。
尚、本実施形態では、内側ピニオンギヤP5aの回転軸心と外側ピニオンギヤP5bの回転軸心と減速サンギヤS5の回転軸心とが、径方向Rに沿う直線上に配置されている形態を例示している。しかし、これらが、同一直線状に配置されていない形態を妨げるものではない。例えば、概ね回転軸心Xを中心とした5~10度程度の扇型で規定される範囲内に、それぞれのギヤの中心が配置されているような形態であってもよい。
ここで、減速サンギヤS5の直径φ50は、内側ピニオンギヤP5aの直径φ5aよりも小さい。このため、サンギヤ(減速サンギヤS5)とリングギヤ(減速リングギヤR5)との歯数比を、より大きく設定することができている。本実施形態では、第1減速機51及び第2減速機52は同一構成である。従って、減速第1サンギヤS51の直径φ51は、第1内側ピニオンギヤP51aの直径φ51aより小さい。同様に、減速第2サンギヤS52の直径φ52は、第2内側ピニオンギヤP52aの直径φ52aより小さい。
尚、本実施形態では、複数のピニオンギヤ組P5cのそれぞれにおいて、外側ピニオンギヤP5bの直径φ5bと、内側ピニオンギヤP5aの直径φ5aとが等しい。即ち、第1減速機51においては、複数の第1ピニオンギヤ組P51cのそれぞれにおいて、第1外側ピニオンギヤP51bの直径φ51bと、第1内側ピニオンギヤP51aの直径φ51aとが等しい。また、第2減速機52においては、複数の第2ピニオンギヤ組P52cのそれぞれにおいて、第2外側ピニオンギヤP52bの直径φ52bと、第2内側ピニオンギヤP52aの直径φ52aとが等しい。
本実施形態では、このように減速サンギヤS5の直径φ50が、内側ピニオンギヤP5aの直径φ5aよりも小さい形態を例示している。しかし、これには限定されず、減速サンギヤS5の直径φ50が、内側ピニオンギヤP5aの直径φ5a以上、且つ、外側ピニオンギヤP5bの直径φ5b以上であってもよい。また、後述するように、外側ピニオンギヤP5bの直径φ5bが内側ピニオンギヤP5aの直径φ5aよりも大きい場合には、減速サンギヤS5の直径φ50が、内側ピニオンギヤP5aの直径φ5a以上、外側ピニオンギヤP5bの直径φ5b以下であってもよい。
また、本実施形態では、複数のピニオンギヤ組P5cのそれぞれにおいて、外側ピニオンギヤP5bの直径φ5bと内側ピニオンギヤP5aの直径φ5aとが等しい。同じ構造のギヤを外側ピニオンギヤP5b及び内側ピニオンギヤP5aとして用いることができるため、減速機5並びに車両用駆動伝達装置100のコストを低減することができる。
しかし、複数のピニオンギヤ組P5cのそれぞれにおいて、外側ピニオンギヤP5bの直径φ5bが内側ピニオンギヤP5aの直径φ5aよりも大きい構成とすることも好適である。即ち、第1減速機51においては、複数の第1ピニオンギヤ組P51cのそれぞれにおいて、第1外側ピニオンギヤP51bの直径φ51bが、第1内側ピニオンギヤP51aの直径φ51aより大きいことも好適である。同様に、第2減速機52においては、複数の第2ピニオンギヤ組P52cのそれぞれにおいて、第2外側ピニオンギヤP52bの直径φ52bが、第2内側ピニオンギヤP52aの直径φ52aより大きいことも好適である。
外側ピニオンギヤP5bの直径φ5bが内側ピニオンギヤP5aの直径φ5aよりも大きいと、内側ピニオンギヤP5aの直径φ5aと外側ピニオンギヤP5bの直径φ5bとが同じである場合に比べて、内側ピニオンギヤP5a及び外側ピニオンギヤP5bからなるピニオンギヤ組P5cを3組以上備える場合であっても、隣接するピニオンギヤ組同士が干渉することのない範囲で、サンギヤ(減速サンギヤS5)とリングギヤ(減速リングギヤR5)との歯数比を大きく設定することができる。従って、より大きな減速比を有する減速機5を構成し易い。
ところで、上述したように、本実施形態では、減速キャリヤC5が、減速サンギヤS5及び減速リングギヤR5に噛み合うピニオンギヤ組P5cを複数組支持している。即ち、減速機5がダブルピニオン式の遊星歯車機構により構成されている形態を例示している。しかし、減速機5はシングルピニオン式の遊星歯車機構により構成されていてもよい。つまり、減速キャリヤC5は、減速サンギヤS5及び減速リングギヤR5に噛み合うピニオンギヤを複数個支持している形態であってもよい。ダブルピニオン式の遊星歯車機構においてピニオンギヤ組P5cを構成する内側ピニオンギヤP5a及び外側ピニオンギヤP5bのそれぞれも1つのピニオンギヤであるため、ダブルピニオン式であってもシングルピニオン式であっても、減速キャリヤC5は、減速サンギヤS5及び減速リングギヤR5に噛み合うピニオンギヤを複数個支持しているということができる。ダブルピニオン式であるか、シングルピニオン式であるかに拘わらず、減速機5は、減速サンギヤS5、複数のピニオンギヤを回転自在に支持する減速キャリヤC5、及び減速リングギヤR5を備えた遊星歯車機構であるということができる。
即ち、第1減速機51は、減速第1サンギヤS51、複数の減速第1ピニオンギヤP51(第1ピニオンギヤ)を回転自在に支持する減速第1キャリヤC51、及び減速第1リングギヤR51を備えた遊星歯車機構ということができる。また、第2減速機52は、減速第2サンギヤS52、複数の減速第2ピニオンギヤP52(第2ピニオンギヤ)を回転自在に支持する減速第2キャリヤC52、及び減速第2リングギヤR52を備えた遊星歯車機構ということができる。そして、減速第1サンギヤS51、複数の減速第1ピニオンギヤP51、及び、減速第1リングギヤR51は、斜歯歯車である。また、減速第2サンギヤS52、複数の減速第2ピニオンギヤP52、及び、減速第2リングギヤR52も、斜歯歯車である。
図1、図2、図8等に示すように、第1出力要素E31と減速第1サンギヤS51とは、同軸上に配置されていると共に第1連結機構41により連結されている。また、第2出力要素E32と減速第2サンギヤS52とは、同軸上に配置されていると共に第2連結機構42により連結されている。詳細は、後述するが、第1連結機構41は、第1出力要素E31と減速第1サンギヤS51との間で伝達されるトルクに応じて、減速第1サンギヤS51と複数の減速第1ピニオンギヤP51との噛み合いにより減速第1サンギヤS51に作用するスラスト力と反対向きのスラスト力を生じさせる第1スラスト力生成部43を備えている。同様に、第2連結機構42は、第2出力要素E32と減速第2サンギヤS52との間で伝達されるトルクに応じて、減速第2サンギヤS52と複数の減速第2ピニオンギヤP52との噛み合いにより減速第2サンギヤS52に作用するスラスト力と反対向きのスラスト力を生じさせる第2スラスト力生成部44を備えている。
具体的な構造は、後述するが、本実施形態では、第1連結機構41は、同軸上に配置されている第1出力要素E31と減速第1サンギヤS51とが一体的に回転するように、これらを連結している。また、第2連結機構42は、同軸上に配置されている第2出力要素E32と減速第2サンギヤS52とが一体的に回転するように、これらを連結している。第1出力要素E31と減速第1サンギヤS51とが同軸上に配置されていることにより、同軸上でスラスト力を減殺させることができる。同様に、第2出力要素E32と減速第2サンギヤS52とが同軸上に配置されていることにより、同軸上でスラスト力を減殺させることができる。
原理については図8等を参照して後述するが、第1スラスト力生成部43を備えることによって、減速第1サンギヤS51と減速第1ピニオンギヤP51との噛み合いにより減速第1サンギヤS51に作用するスラスト力を第1スラスト力生成部43により生成されるスラスト力によって減殺することができる。同様に、第2スラスト力生成部44を備えることによって、減速第2サンギヤS52と複数の減速第2ピニオンギヤP52との噛み合いにより減速第2サンギヤS52に作用するスラスト力を第2スラスト力生成部44により生成されるスラスト力によって減殺することができる。このため、減速第1サンギヤS51及び減速第2サンギヤS52を軸方向Lに支持するためのスラスト軸受やスラストワッシャ等を無くしたり、簡略化したりすることができる。
尚、本実施形態では、入力部材1としてロータ軸10を例示しているが、このように差動歯車機構3と減速機5との間でのスラスト力を減殺する構成が適用される車両用駆動伝達装置100の駆動力源8は回転電機80に限らず内燃機関等でもよい。そして、入力部材1は、ロータ軸10に限られず、各種ギヤ機構や変速機等を介して駆動力源8に連結される部材であってよい。当然ながら、本実施形態のように、駆動力源8は入力部材1と同軸配置されていなくてもよい。例えば、ギヤやチェーン等の伝動部材を介して駆動力源8と入力部材1とが駆動連結されていてもよい。また、駆動力源8が回転電機80であり、入力部材1がロータ軸10である場合であっても、差動歯車機構3が中空筒状のロータ軸10の径方向内側R1に配置されている必要はなく、差動歯車機構3の構造もダブルピニオン型の遊星歯車機構には限定されない。差動歯車機構3は、シングルピニオン型の遊星歯車機構であってもよいし、例えば傘歯車式であってもよい。
また、本実施形態では、駆動力源8として回転電機80を備え、差動歯車機構3は、ロータ軸10に対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視でロータ81と重複する位置に配置されている。また、第1減速機51は、ロータ81及びロータ軸10に対して軸方向第1側L1に配置され、第2減速機52は、ロータ81及びロータ軸10に対して軸方向第2側L2に配置されている。即ち、本実施形態では、駆動力源として回転電機80を用いる電動車両の車両用駆動伝達装置100を、より小型に実現することができる形態を例示している。しかし、上述したように、差動歯車機構3の構造や配置場所、駆動力源8の種類についてはこの形態に限定されるものではない。上述したように、本実施形態では、減速機5が比較的大きな減速比を設定可能な構造を備えている。このように減速機の減速比を大きくすると、スラスト力が大きくなる傾向がある。しかし、本実施形態のようにスラスト力を減殺することができると、減速機5に大きな減速比を設定し易くなり、車両用駆動伝達装置100を小型化し易い。
図2及び図8に示すように、第1連結機構41は、第1出力要素E31と一体的に形成された第1部材11と、減速第1サンギヤS51と一体的に形成された第2部材12とを備えている。そして、第1部材11は、軸方向Lに沿う軸心周りの螺旋状の噛み合い溝で構成された第1係合部21を備えている。また、第2部材12は、軸方向Lに沿う軸心周りの螺旋状の噛み合い溝で構成された第2係合部22を備えている。これら第1係合部21と第2係合部22とは噛み合い係合している。上述したように、減速第1サンギヤS51は斜歯歯車である。噛み合い係合する第1係合部21及び第2係合部22のねじれの向きは、下記のように設定されている。即ち、第1出力要素E31と減速第1サンギヤS51との間で伝達されるトルクに応じて、第1係合部21と第2係合部22との噛み合いにより第2部材12に作用するスラスト力の向きが、減速第1サンギヤS51と複数の減速第1ピニオンギヤP51との噛み合いにより減速第1サンギヤS51に作用するスラスト力の向きと反対向きとなるように、第1係合部21及び第2係合部22のねじれの向きが設定されている。
また、第2連結機構42は、第2出力要素E32と一体的に形成された第3部材13と、減速第2サンギヤS52と一体的に形成された第4部材14とを備えている。そして、第3部材13は、軸方向Lに沿う軸心周りの螺旋状の噛み合い溝で構成された第3係合部23を備えている。また、第4部材14は、軸方向Lに沿う軸心周りの螺旋状の噛み合い溝で構成された第4係合部24を備えている。第1係合部21及び第2係合部22と同様に、これら第3係合部23と第4係合部24とは、噛み合い係合している。上述したように、減速第2サンギヤS52は斜歯歯車である。噛み合い係合する第3係合部23及び第4係合部24のねじれの向きは、下記のように設定されている。第2出力要素E32と減速第2サンギヤS52との間で伝達されるトルクに応じて、第3係合部23と第4係合部24との噛み合いにより第4部材14に作用するスラスト力の向きが、減速第2サンギヤS52と複数の減速第2ピニオンギヤP52との噛み合いにより減速第2サンギヤS52に作用するスラスト力の向きと反対向きとなるように、第3係合部23及び第4係合部24のねじれの向きが設定されている。詳細な構造は、後述するが、このように、本実施形態では、第1スラスト力生成部43及び第2スラスト力生成部44を比較的簡易な構成により実現することができる。
尚、上述した螺旋状の噛み合い溝とは、螺旋状の凹溝と凸条とが周方向に交互に配置された構成を示す。例えば、ヘリカルスプラインやヘリカルギヤ(斜歯歯車)に形成された噛み合い溝である。
また、第1部材11は筒状に形成された第1筒状部15を備えている。そして、第1筒状部15の内周面15aには第1係合部21が形成されている。尚、第1筒状部15の外周面15bには、差動第1サンギヤS31が形成されている。また、第2部材12は軸状に形成された第1軸状部16を備えている。そして、第1軸状部16の外周面16bには第2係合部22が形成されている。減速第1サンギヤS51は、第1軸状部16の外周面16bにおける、第2係合部22とは軸方向Lの異なる位置に設けられている。そして、第2係合部22は、その直径φ22が減速第1サンギヤS51の直径φ51と同じであって、減速第1サンギヤS51を構成する斜歯歯車と同じねじれ角である。
また、第3部材13は筒状に形成された第2筒状部17を備えている。そして、第2筒状部17の内周面17aには第3係合部23が形成されている。尚、第2筒状部17の外周面17bには、差動第2サンギヤS32が形成されている。また、第4部材14は軸状に形成された第2軸状部18を備えている。そして、第2軸状部18の外周面18bには第4係合部24が形成されている。減速第2サンギヤS52は、第2軸状部18の外周面18bにおける、第4係合部24とは軸方向Lの異なる位置に設けられている。そして、第4係合部24は、その直径φ24が減速第2サンギヤS52の直径φ52と同じであって、減速第2サンギヤS52を構成する斜歯歯車と同じねじれ角である。
尚、差動歯車機構3の出力要素(第1出力要素E31、第2出力要素E32)における第1係合部21及び第3係合部23が同一の構造である場合、第2係合部22及び第4係合部24も同一の構造となる。この場合、第1軸状部16及び第2軸状部18は同一の構造となり、第1軸状部16の外周面16bにおける第2係合部22の直径φ22と、第2軸状部18の外周面18bにおける第4係合部24の直径φ24とは、同一径(φ20)となる。
第1係合部21と第2係合部22との噛み合いにより第2部材12に作用するスラスト力は、第1スラスト力生成部43により生成されるスラスト力であり、第3係合部23と第4係合部24との噛み合いにより第4部材14に作用するスラスト力は、第2スラスト力生成部44により生成されるスラスト力である。従って、減速第1サンギヤS51と複数の減速第1ピニオンギヤP51との噛み合いにより減速第1サンギヤS51に作用するスラスト力と、第1スラスト力生成部43により生成されるスラスト力とを同等にすることができる。そして、これにより、減速第1サンギヤS51に作用するスラスト力を適切に相殺することができる。同様に、減速第2サンギヤS52と複数の減速第2ピニオンギヤP52との噛み合いにより減速第2サンギヤS52に作用するスラスト力と、第2スラスト力生成部44により生成されるスラスト力とを同等にすることができる。そして、これにより、減速第2サンギヤS52に作用するスラスト力を適切に相殺することができる。
尚、ここでは、第1筒状部15の内周面15aに形成された第1係合部21が径方向外側R2に配置され、第1軸状部16の外周面16bに形成された第2係合部22が径方向内側R1に配置されて、第1係合部21と第2係合部22とが噛み合い係合する形態を示した。また、第2筒状部17の内周面17aに形成された第3係合部23が径方向外側R2に配置され、第2軸状部18の外周面18bに形成された第4係合部24が径方向内側R1に配置されて、第3係合部23と第4係合部24とが噛み合い係合する形態を示した。しかし、第1係合部21と第2係合部22との径方向Rにおける内外の関係はこれとは逆であってもよい。その場合、例えば、第1筒状部15の外周面15bにおける、差動第1サンギヤS31よりも軸方向第1側L1に第1係合部21が形成され、第1軸状部16における少なくとも軸方向第2側L2の端部が筒状に形成され、その内周面に第2係合部22が形成されると良い。同様に、第3係合部23と第4係合部24との径方向Rにおける内外の関係もこれとは逆であってもよい。その場合、例えば、第2筒状部17の外周面17bにおける、差動第2サンギヤS32よりも軸方向第2側L2に第3係合部23が形成され、第2軸状部18における少なくとも軸方向第1側L1の端部が筒状に形成され、その内周面に第4係合部24が形成されると良い。
上述したように、入力部材1としてのロータ軸10は、ロータ軸受B1(第1軸受)によって、軸方向L及び径方向Rに支持されている。また、減速第1キャリヤC51は、第1出力軸受B51(第2軸受)によって、軸方向L及び径方向Rに支持されている。また、減速第2キャリヤC52は、第2出力軸受B52によって、軸方向L及び径方向Rに支持されている。しかし、本実施形態では、減速第1サンギヤS51及び第2部材12を軸方向L及び径方向Rに支持する軸受が設けられていない。同様に、減速第2サンギヤS52及び第4部材14を軸方向L及び径方向Rに支持する軸受も設けられていない。即ち、減速第1サンギヤS51及び減速第2サンギヤS52はいわゆるフローティング状態で配置されている。このように、減速第1サンギヤS51及び減速第2サンギヤS52を軸方向L及び径方向Rに支持するための軸受を備えていないため、これらの支持構造を簡略化することができる。
尚、本実施形態では、減速第1サンギヤS51及び第2部材12を軸方向L及び径方向Rに支持する軸受が設けられていないだけではなく、差動歯車機構3の第1出力要素E31(ここでは差動第1サンギヤS31)及び第1部材11を軸方向L及び径方向Rに支持する軸受も設けられていない。同様に、減速第2サンギヤS52及び第4部材14を軸方向L及び径方向Rに支持する軸受が設けられていないだけではなく、差動歯車機構3の第2出力要素E32(ここでは差動第2サンギヤS32)及び第2部材12を軸方向L及び径方向Rに支持する軸受も設けられていない。即ち、差動歯車機構3の差動第1サンギヤS31及び差動第2サンギヤS32は、いわゆるフローティング状態で配置されている。
第1部材11及び第2部材12は、第1連結部材71に設けられ、第3部材13及び第4部材14は、第2連結部材72に設けられている。従って、第1連結部材71及び第2連結部材72を軸方向L及び径方向Rに支持する軸受は設けられておらず、第1連結部材71及び第2連結部材72は、いわゆるフローティング状態で配置されている。第1連結部材71及び第2連結部材72は、それぞれ第1連結機構41及び第2連結機構42の中核となる部材であり、それぞれ第1スラスト力生成部43及び第2スラスト力生成部44を構成している。第1スラスト力生成部43及び第2スラスト力生成部44がこのようにフローティング状態で配置される部材を用いて構成されていることで、適切にスラスト力を相殺させることができる。
尚、本実施形態では、このように第1スラスト力生成部43及び第2スラスト力生成部44がフローティング状態で配置される部材を用いて構成されている形態を例示した。しかし、当然ながら、フローティング状態での配置に限らず、第1スラスト力生成部43及び第2スラスト力生成部44を実現する部材が、少なくとも1つの軸受により支持されていても良い。但し、このような軸受は、第1スラスト力生成部43及び第2スラスト力生成部44を実現する部材を径方向Rに支持するのみであって、軸方向Lには支持しないものとする必要がある。
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
上記においては、図1から図3、図6等を参照して、第1回転要素E1が差動第1サンギヤS31であり、第2回転要素E2が差動キャリヤC3であり、第3回転要素E3が差動第2サンギヤS32であり、差動キャリヤC3が、差動第1ピニオンギヤP31及び差動第2ピニオンギヤP32をそれぞれ回転自在に支持している差動歯車機構3を例示して説明した。この形態では、リングギヤを有さず、差動第1ピニオンギヤP31が、差動第1サンギヤS31及び差動第2ピニオンギヤP32に噛み合い、差動第2ピニオンギヤP32が、差動第1ピニオンギヤP31及び差動第2サンギヤS32に噛み合っている。
しかし、リングギヤを有さない遊星歯車式の差動歯車機構3は、この構成には限られない。差動歯車機構3は、例えば、図10及び図11に示す第2差動歯車機構3Bのように構成されていてもよい。この差動歯車機構3においても、第1回転要素E1が差動第1サンギヤS31であり、第2回転要素E2が差動キャリヤC3であり、第3回転要素E3が差動第2サンギヤS32であり、差動キャリヤC3が、差動第1ピニオンギヤP31及び差動第2ピニオンギヤP32をそれぞれ回転自在に支持している。但し、この形態では、2つのピニオンギヤは互いに噛み合わず、2つのピニオンギヤがそれぞれ異なるサンギヤが噛み合っている。具体的には、差動第1ピニオンギヤP31は、差動第1サンギヤS31に噛み合い、差動第2ピニオンギヤP32は、差動第2サンギヤS32に噛み合っている。差動第1ピニオンギヤP31及び差動第2ピニオンギヤP32は、同径、同歯数のギヤであり、差動第1サンギヤS31及び差動第2サンギヤS32は、同径、同歯数のギヤである。
また、遊星歯車式の差動歯車機構3として、リングギヤを備えた構成としても良い。例えば、図12及び図13に示す第3差動歯車機構3Cのような構成とすることができる。第3差動歯車機構3Cでは、第1回転要素E1が差動サンギヤS3であり、第2回転要素E2が差動リングギヤR3であり、第3回転要素E3が差動キャリヤC3であり、差動キャリヤC3が、差動第1ピニオンギヤP31及び差動第2ピニオンギヤP32をそれぞれ回転自在に支持している。差動第1ピニオンギヤP31と差動第2ピニオンギヤP32とは同径、同歯数のギヤであり、互いに噛み合っている。そして、差動第1ピニオンギヤP31は、差動サンギヤS3に噛み合い、差動第2ピニオンギヤP32は、差動リングギヤR3に噛み合っている。
1a:ロータ軸の内周面、3:差動歯車機構、5:減速機、6:ケース(非回転部材)、9:出力部材、10:ロータ軸、15a:内周面、17a:内周面、51:第1減速機、52:第2減速機、80:回転電機、81:ロータ、91:第1出力部材、92:第2出力部材、100:車両用駆動伝達装置、B1:ロータ軸受(支持軸受)、C3:差動キャリヤ(キャリヤ)、E1:第1回転要素、E2:第2回転要素、E3:第3回転要素、E30:入力要素、E31:第1出力要素、E32:第2出力要素、L:軸方向、L1:軸方向第1側、L2:軸方向第2側、P31:差動第1ピニオンギヤ(第1ピニオンギヤ)、P32:差動第2ピニオンギヤ(第2ピニオンギヤ)、R:径方向、R1:径方向内側(径方向の内側)、R2:径方向外側(径方向の外側)、S31:差動第1サンギヤ(第1サンギヤ)、S32:差動第2サンギヤ(第2サンギヤ)、W1:第1車輪、W2:第2車輪、X:回転軸心
Claims (5)
- ロータを備える回転電機と、
前記ロータと一体的に回転するロータ軸と、
第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、
第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、
前記ロータ軸と一体的に回転するように連結された入力要素、前記第1出力部材に駆動連結される第1出力要素、及び、前記第2出力部材に駆動連結される第2出力要素を備え、前記ロータ軸から前記入力要素に伝達されたトルクを前記第1出力要素と前記第2出力要素とに分配する差動歯車機構と、を備えた車両用駆動伝達装置であって、
前記差動歯車機構は、第1回転要素、第2回転要素、及び第3回転要素を備え、前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素の回転速度の順が記載の順となるように構成された遊星歯車機構であって、
前記第1回転要素が前記第1出力要素であり、
前記第2回転要素が前記入力要素であり、
前記第3回転要素が前記第2出力要素であり、
前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素のうち、1つはサンギヤ、1つはキャリヤ、残り1つは前記サンギヤとは別のサンギヤ又は前記キャリヤとは別のキャリヤであり、
前記ロータ軸は、中空筒状に形成され、
前記第1出力要素及び前記第2出力要素の回転軸心に沿う方向を軸方向とし、前記軸方向に直交する方向を径方向として、
前記差動歯車機構は、前記ロータ軸に対して前記径方向の内側であって、前記径方向に沿う径方向視で前記ロータと重複する位置に配置されている、車両用駆動伝達装置。 - 前記差動歯車機構は、前記第1回転要素としての第1サンギヤ、前記第2回転要素としてのキャリヤ、及び、前記第3回転要素としての第2サンギヤを備え、
前記キャリヤは、第1ピニオンギヤ及び第2ピニオンギヤをそれぞれ回転自在に支持し、
前記第1ピニオンギヤは、前記第1サンギヤ及び前記第2ピニオンギヤに噛み合い、
前記第2ピニオンギヤは、前記第1ピニオンギヤ及び前記第2サンギヤに噛み合っている、請求項1に記載の車両用駆動伝達装置。 - 前記キャリヤが、前記ロータ軸の内周面から前記径方向の内側に突出するように、前記ロータ軸に固定されている、請求項2に記載の車両用駆動伝達装置。
- 前記ロータ軸を前記径方向の内側から支持する一対の支持軸受を更に備え、
一対の前記支持軸受は、前記差動歯車機構に対して前記軸方向の両側に分かれて配置されている、請求項1から3の何れか一項に記載の車両用駆動伝達装置。 - 前記軸方向の一方側を軸方向第1側とし、前記軸方向の他方側を軸方向第2側として、
前記第1出力要素の回転を減速して前記第1出力部材に伝達する第1減速機と、前記第2出力要素の回転を減速して前記第2出力部材に伝達する第2減速機と、を更に備え、
前記第1減速機は、前記ロータ及び前記ロータ軸に対して前記軸方向第1側に配置され、
前記第2減速機は、前記ロータ及び前記ロータ軸に対して前記軸方向第2側に配置されている、請求項1から4の何れか一項に記載の車両用駆動伝達装置。
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JP2021177732A JP2023066884A (ja) | 2021-10-29 | 2021-10-29 | 車両用駆動伝達装置 |
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Family Applications (1)
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JP2021177732A Pending JP2023066884A (ja) | 2021-10-29 | 2021-10-29 | 車両用駆動伝達装置 |
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Country | Link |
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-
2021
- 2021-10-29 JP JP2021177732A patent/JP2023066884A/ja active Pending
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