JP2023066709A - 微細セルロース繊維の製造方法及び微細セルロース繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】次亜リン酸で変性された微細セルロース繊維の製造方法及び微細セルロース繊維を提供する。【解決手段】リン酸又は次亜リン酸金属塩類の少なくとも一種の化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)とする工程と、セルロース繊維に、前記中和化合物(A1)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)を含む添加剤を添加し、加熱及び洗浄する工程と、その後に、解繊する工程と、を含む。【選択図】なし
Description
本発明は、次亜リン酸微細セルロース繊維の製造方法及び次亜リン酸微細セルロース繊維に関するものである。
近年、物質をナノメートルレベルまで微細化し、物質が持つ従来の性状とは異なる新たな物性を得ることを目的としたナノテクノロジーが注目されている。
例えば、化学処理、粉砕処理等によりセルロース系原料であるパルプから製造される微細セルロース繊維は、強度、弾性、熱安定性等に優れているため、ろ過材、ろ過助剤、イオン交換体の基材、クロマトグラフィー分析機器の充填材、樹脂及びゴムの配合用充填剤等としての工業上の用途や、口紅、粉末化粧料、乳化化粧料等の化粧品の配合剤の用途に用いられることが期待されている。
また、微細セルロース繊維は、水系分散性に優れているため、食品、化粧品、塗料等の粘度の保持剤又は調整剤、食品原料生地の強化剤、水分保持剤、食品安定化剤、低カロリー化合物、乳化安定化助剤などの多くの用途における利用が期待されている。
微細セルロース繊維としては、カルボキシル基を有する微細セルロース繊維のほか、セルロースのヒドロキシ基の一部がリンオキソ酸基で置換されたものも知られている(特許文献1)。
しかるに、特許文献1を含めた先行技術においては、後述する次亜リン酸で変性された微細セルロース繊維について開示されていない。
したがって、本発明の課題は、次亜リン酸で変性された微細セルロース繊維の製造方法及び微細セルロース繊維を提供することにある。
前記課題を解決するための態様を次記に示す。
(第1の態様)
次亜リン酸又は次亜リン酸金属塩類の少なくとも一種の化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)とする工程と、
セルロース繊維に、前記中和化合物(A1)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)を含む添加剤を添加し、加熱及び洗浄する工程と、
その後に、解繊する工程と、
を含むことを特徴とする微細セルロース繊維の製造方法。
(第2の態様)
平均繊維径が1~100nmの微細セルロース繊維を有し、
前記微細セルロース繊維の一部は、セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が次亜リン酸基で置換されている、
ことを特徴とする微細セルロース繊維。
(第1の態様)
次亜リン酸又は次亜リン酸金属塩類の少なくとも一種の化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)とする工程と、
セルロース繊維に、前記中和化合物(A1)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)を含む添加剤を添加し、加熱及び洗浄する工程と、
その後に、解繊する工程と、
を含むことを特徴とする微細セルロース繊維の製造方法。
(第2の態様)
平均繊維径が1~100nmの微細セルロース繊維を有し、
前記微細セルロース繊維の一部は、セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が次亜リン酸基で置換されている、
ことを特徴とする微細セルロース繊維。
本発明によれは、次亜リン酸で変性された微細セルロース繊維の製造方法及び微細セルロース繊維を提供することができる。
本発明を実施するための形態を次記に説明する。なお、以下の実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の説明に限定されずに、請求項の記載のみに依拠する。
(微細セルロース繊維の製造方法の概要)
本発明に係る微細セルロース繊維の製造方法は、
次亜リン酸又は次亜リン酸金属塩類の少なくとも一種の化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)とする工程と、
セルロース繊維に、前記中和化合物(A1)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)を含む添加剤を添加し、加熱及び洗浄する工程と、
その後に、解繊する工程と、
を含む。
本発明に係る微細セルロース繊維の製造方法は、
次亜リン酸又は次亜リン酸金属塩類の少なくとも一種の化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)とする工程と、
セルロース繊維に、前記中和化合物(A1)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)を含む添加剤を添加し、加熱及び洗浄する工程と、
その後に、解繊する工程と、
を含む。
仮に、次亜リン酸をそのまま化合物(B)を含む添加剤とともに、例えば100℃以上で加熱処理すると、ホスフィン(リン化水素)が形成され爆発する危険性がある。
これに対し、亜リン酸やリン酸の場合には、ホスフィンが形成されず爆発の危険性はなく対照的である。
したがって、次亜リン酸又は次亜リン酸金属塩類の少なくとも一種の化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)とする必要がある。
なお、化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)とする場合(工程)としては、予め化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)を得ておく場合と、化合物(B)とともに化合物(A)に対してアルカリを添加し中和して中和化合物(A1)とする場合との両者のケースを含むものである。
これに対し、亜リン酸やリン酸の場合には、ホスフィンが形成されず爆発の危険性はなく対照的である。
したがって、次亜リン酸又は次亜リン酸金属塩類の少なくとも一種の化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)とする必要がある。
なお、化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)とする場合(工程)としては、予め化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)を得ておく場合と、化合物(B)とともに化合物(A)に対してアルカリを添加し中和して中和化合物(A1)とする場合との両者のケースを含むものである。
次亜リン酸金属塩類としては、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウムなどを使用できる。ナトリウム塩が望ましい。
中和に使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを使用できる。
中和はpH6~8が望ましい。
中和はpH6~8が望ましい。
微細セルロース繊維のヒドロキシ基の一部を次亜リン酸で置換する場合、反応が十分でないことがある。
そこで、セルロース繊維に、次亜リン酸又は次亜リン酸金属塩類(化合物(A))とともに、尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)も添加して、加熱して反応させることが好ましい。これによって、微細セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、カルバメート基で置換されて、カルバメートが導入される。
そこで、セルロース繊維に、次亜リン酸又は次亜リン酸金属塩類(化合物(A))とともに、尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)も添加して、加熱して反応させることが好ましい。これによって、微細セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、カルバメート基で置換されて、カルバメートが導入される。
本発明者は、尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)を添加しない場合、反応効率が低いことを知見している。
この点は後に実例を示す。
この点は後に実例を示す。
加熱を、水分率が10%以下となるまで行うのが望ましい。次亜リン酸のセルロースへの導入がエステル化反応によるため、水分率が高いと、好ましくない。必要ならば、乾燥機、特に減圧乾燥機により水分率を低くできる。
前記化合物(A)の添加量を前記セルロース繊維1kgに対して1~10,000g、特に100~2,000gとし、前記化合物(B)の添加量を前記化合物(A)1molに対して0.01~1000mol、特に0.1~100molとするのが望ましい。
加熱温度を100~210℃、特に130~170℃で行うのが好適である。過度に高いと酸化して亜リン酸やリン酸となる可能性がある。加熱温度が低いと反応性が十分でなくなる。
ただし、次亜リン酸の一部が亜リン酸に酸化しても良い。次亜リン酸の方が酸性での粘度低下が良好であるが、次亜リン酸の一部が亜リン酸に酸化しても酸性下での粘度低下は十分である。
ただし、次亜リン酸の一部が亜リン酸に酸化しても良い。次亜リン酸の方が酸性での粘度低下が良好であるが、次亜リン酸の一部が亜リン酸に酸化しても酸性下での粘度低下は十分である。
(原料繊維)
微細セルロース繊維の原料となる繊維としては、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
実施の形態では、植物繊維であるパルプ繊維を使用するのが好ましい。原料繊維がパルプ繊維(特に木材パルプ)であると、安価であり、また、環境負荷が少ないものとなる。
微細セルロース繊維の原料となる繊維としては、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
実施の形態では、植物繊維であるパルプ繊維を使用するのが好ましい。原料繊維がパルプ繊維(特に木材パルプ)であると、安価であり、また、環境負荷が少ないものとなる。
微細セルロース繊維の原料パルプとしては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ・バガス・綿・麻・じん皮繊維等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。なお、以上の各種原料は、例えば、セルロース系パウダーなどと言われる粉砕物の状態等であってもよい。
古紙以外の植物由来の広葉樹や針葉樹を原料とする木材パルプが適しており、木材パルプとして広葉樹由来または針葉樹由来のものが好適である。
古紙以外の植物由来の広葉樹や針葉樹を原料とする木材パルプが適しており、木材パルプとして広葉樹由来または針葉樹由来のものが好適である。
木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ等(DP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。特に、セルロース成分を高める木材パルプである、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプが好ましく、漂白されたパルプである広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)であれば好適である。
機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
(前処理)
セルロース繊維に次亜リン酸のエステル等を導入するに先立って、及び/又は次亜リン酸のエステル等を導入した後において、セルロース繊維には、必要により、前処理を施すことができる。セルロース繊維の解繊に先立って当該パルプ繊維に前処理を施しておくことで、解繊の回数を大幅に減らすことができ、解繊のエネルギーを削減することができる。
セルロース繊維に次亜リン酸のエステル等を導入するに先立って、及び/又は次亜リン酸のエステル等を導入した後において、セルロース繊維には、必要により、前処理を施すことができる。セルロース繊維の解繊に先立って当該パルプ繊維に前処理を施しておくことで、解繊の回数を大幅に減らすことができ、解繊のエネルギーを削減することができる。
セルロース繊維の前処理は、物理的手法又は化学的手法、好ましくは物理的手法及び化学的手法によることができる。物理的手法による前処理及び化学的手法による前処理は、同時に行うことも、別々に行うこともできる。
化学的手法としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)、TEMPO触媒による酸化(酸化処理)、酸によるエステル化(化学的処理)等がある。
本実施の形態においては、次亜リン酸(以下「化合物A」ともいう。)によるセルロース繊維のヒドロキシ基に対するエステル化処理を行うものである。
本実施の形態においては、次亜リン酸(以下「化合物A」ともいう。)によるセルロース繊維のヒドロキシ基に対するエステル化処理を行うものである。
解繊に先立つ化学的処理は、叩解処理の回数を大幅に減らすことができ、叩解処理のエネルギーを大幅に削減することができるほか、セルロース繊維の均質性を高くすることに寄与する。
原料パルプを化学的処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解され、結果、微細化処理のエネルギーを低減することができ、セルロース繊維の均一性や分散性を向上することができる。
なお、化学的処理は、微細セルロース繊維のアスペクト比を低下させるため、過度の前処理は避けるのが好ましい。
原料パルプを化学的処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解され、結果、微細化処理のエネルギーを低減することができ、セルロース繊維の均一性や分散性を向上することができる。
なお、化学的処理は、微細セルロース繊維のアスペクト比を低下させるため、過度の前処理は避けるのが好ましい。
(尿素及びその誘導体)
化合物(B)として使用する尿素及びその誘導体としては、例えば、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。実施の形態においては、尿素を使用するのが好ましい。
化合物(B)として使用する尿素及びその誘導体としては、例えば、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。実施の形態においては、尿素を使用するのが好ましい。
(叩解処理工程)
化学的処理の後、必要により、ろ過脱水したり、例えばイオン交換洗浄水により洗浄する操作を行った後に、叩解(解繊)処理を行うことができる。
化学的処理の後、必要により、ろ過脱水したり、例えばイオン交換洗浄水により洗浄する操作を行った後に、叩解(解繊)処理を行うことができる。
洗浄が十分に行われたかどうかは、濾液中の窒素濃度や透明度を測定したりして、確認することができる。
洗浄の尺度として次記で定義される「置換洗浄率」をもって評価することができる。
・置換洗浄率D0(初段)=(A0)/(X0+Y0)
X0:脱水前のパルプ中に含まれる水量=脱水前のパルプ水分散液量-脱水前のパルプ濃度×脱水前のパルプ水分散液量
Y0:脱水後のパルプ中に含まれる水量=脱水後のパルプ水分散液量-脱水後のパルプ濃度×脱水後のパルプ水分散液量
A0:脱水後の濾液量
・置換洗浄率Dn(2段目以降)=Dn-1+An×(1-Dn-1)/(Xn+Yn)
Dn-1:前段の置換洗浄率
Xn:脱水前のパルプ中に含まれる水量=脱水前のパルプ水分散液量-脱水前のパルプ濃度×脱水前のパルプ水分散液量
Yn:脱水後のパルプ中に含まれる水量=脱水後のパルプ水分散液量-脱水後のパルプ濃度×脱水後のパルプ水分散液量
An:脱水後の濾液量
置換洗浄率は80%以上となることが好ましい。一回の脱水洗浄では洗浄率が80%以上とすることが難しい場合は、80%以上となるまで数回繰り返し、希釈脱水洗浄を行うことが好ましい。
洗浄の尺度として次記で定義される「置換洗浄率」をもって評価することができる。
・置換洗浄率D0(初段)=(A0)/(X0+Y0)
X0:脱水前のパルプ中に含まれる水量=脱水前のパルプ水分散液量-脱水前のパルプ濃度×脱水前のパルプ水分散液量
Y0:脱水後のパルプ中に含まれる水量=脱水後のパルプ水分散液量-脱水後のパルプ濃度×脱水後のパルプ水分散液量
A0:脱水後の濾液量
・置換洗浄率Dn(2段目以降)=Dn-1+An×(1-Dn-1)/(Xn+Yn)
Dn-1:前段の置換洗浄率
Xn:脱水前のパルプ中に含まれる水量=脱水前のパルプ水分散液量-脱水前のパルプ濃度×脱水前のパルプ水分散液量
Yn:脱水後のパルプ中に含まれる水量=脱水後のパルプ水分散液量-脱水後のパルプ濃度×脱水後のパルプ水分散液量
An:脱水後の濾液量
置換洗浄率は80%以上となることが好ましい。一回の脱水洗浄では洗浄率が80%以上とすることが難しい場合は、80%以上となるまで数回繰り返し、希釈脱水洗浄を行うことが好ましい。
叩解処理は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー等を使用して行うことができ、リファイナーを使用して行うことが好ましい。
原料パルプの解繊は、得られる微細セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長、擬似粒度分布のピーク値、B型粘度などが、所望の値となるように行うのが好ましい。
微細セルロース繊維の平均繊維径(平均繊維幅。単繊維の直径平均)が好ましくは3~100nm、より好ましくは4~90nm、特に好ましくは4~80nmであるとよい。特に微細セルロース繊維の平均繊維径が3nm以上だと、セルロース結晶部分が残るため、微細セルロース繊維相互の三次元ネットワーク構造の強度が保たれ易くなる。また、100nmを超えると、アスペクト比にもよるが、繊維の水分散体の粘度、繊維のガスバリア性等が損なわれるおそれがある。
微細セルロース繊維の平均繊維径は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によっても調整することができる。
(微細セルロース繊維)
本発明に係る微細セルロース繊維は、平均繊維径が1~100nmの微細セルロース繊維を有し、その微細セルロース繊維の一部は、セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が次亜リン酸基で置換されている。
本発明に係る微細セルロース繊維は、平均繊維径が1~100nmの微細セルロース繊維を有し、その微細セルロース繊維の一部は、セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が次亜リン酸基で置換されている。
次亜リン酸の化学式を式1に、その次亜リン酸のセルロースへの導入構造例を図1に示す。
セルロース繊維に対する次亜リン酸基の導入量は、好ましくは0.1~4.5mmol/g、より好ましくは0.3~4.0mmol/g、特に好ましくは0.5~3.5mmol/gである。導入量が0.1mmol/g未満であると、セルロース繊維の特性が、未変性の場合とほぼ変わらなくなる。他方、導入量が4.5mmol/gを超えると、セルロース繊維が分子レベルまでばらばらになってしまい、微細繊維としての特性が失われてしまう可能性がある。次亜リン酸の導入量は、元素分析に基づいて評価した値である。この元素分析には、堀場製作所製X-Max50001を使用する。
前記微細セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、カルバメート基で置換されて、カルバメートが導入されているのが好適である。
カルバメートが導入されていると、水系の微細セルロース繊維と油性系材料との親和性が高まり、分散性が良好となる。
カルバメートが導入されていると、水系の微細セルロース繊維と油性系材料との親和性が高まり、分散性が良好となる。
セルロース繊維に対するカルバメート基の導入量は、好ましくは0.05~1.5mmol/g、より好ましくは0.1~1.3mmol/g、特に好ましくは0.2~1.2mmol/gである。導入量が0.05mmol/g未満であると、次亜リン酸の導入量が低くなるおそれがある。他方、導入量が1.5mmol/gを超えると、過分な尿素が黄変化を生じさせてしまう可能性がある。なお、カルバメートの導入量の算出方法は、ケルダール法により行った。
微細セルロース繊維の用途として、先に説明した用途を挙げることができる。
微細セルロース繊維の前記平均繊維径の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%の微細セルロース繊維の水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3,000倍~30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%の微細セルロース繊維の水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3,000倍~30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
微細セルロース繊維の平均繊維長(単繊維の長さ)は、好ましくは0.01~1000μm、より好ましくは0.1~500μm、特に好ましくは0.5~300μmである。微細セルロース繊維の平均繊維長が0.01μmを下回ると、繊維のネットワーク構造が形成しにくくなる。
微細セルロース繊維の平均繊維長は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
微細セルロース繊維の平均繊維長の測定方法は、平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
微細セルロース繊維の軸比(繊維長/繊維幅)は、好ましくは10~1000000、より好ましくは20~500000、特に好ましくは30~100000である。軸比が10未満であるとセルロース分はほぼ粒子形状であり、三次元ネットワークを構築できなくなる。
他方、軸比が1000000を超えると繊維同士の凝集が起こりやすく、三次元ネットワーク形成の阻害につながるため、当該ネットワーク形成を利用する用途には不向きなものとなる。
他方、軸比が1000000を超えると繊維同士の凝集が起こりやすく、三次元ネットワーク形成の阻害につながるため、当該ネットワーク形成を利用する用途には不向きなものとなる。
微細セルロース繊維の結晶化度は、50~100、より好ましくは60~90、特に好ましくは65~85である。
結晶化度は、JIS-K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。なお、微細セルロース繊維は、非晶質部分と結晶質部分とを有しており、結晶化度は微細セルロース繊維全体における結晶質部分の割合を意味する。
結晶化度は、JIS-K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。なお、微細セルロース繊維は、非晶質部分と結晶質部分とを有しており、結晶化度は微細セルロース繊維全体における結晶質部分の割合を意味する。
微細セルロース繊維の光透過率(固形分基準0.2%水分散液)は、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。光透過率が40%未満であると、他の成分と混合して組成物を形成した際に、微細セルロース繊維以外の組成物の色調が隠蔽されてしまうおそれがある。特に、当該組成物に透明性が求められる場合には、光透過率は高いことが好ましい。
光透過率は、0.2%(w/v)の微細セルロース繊維水分散液の透明度(350~880nm光の透過率)をSpectrophotometer U-2910(日立製作所)を用いて測定した値である。なお、分散媒は精製水である。
[実施例1:次亜リン酸]
次亜リン酸30%水溶液79.2gに水酸化ナトリウム50%水溶液をpH=7になるように添加し、尿素86.4gと水40gを混合し、試薬Aを作製した。
作製した試薬Aと原料パルプ(NBKP:水分98.0質量%)乾燥重量10gを混合し、105℃で乾燥した。
乾燥したパルプを160℃、2時間反応させ、水洗とろ過を2回繰返し、次亜リン酸変性パルプを得た。
次亜リン酸変性パルプを固形分濃度1%に調整し、高圧ホモジナイザーを用いた解繊処理を3回施した後、濃度1.0質量%の微細セルロース繊維の水分散液を得た。
次亜リン酸30%水溶液79.2gに水酸化ナトリウム50%水溶液をpH=7になるように添加し、尿素86.4gと水40gを混合し、試薬Aを作製した。
作製した試薬Aと原料パルプ(NBKP:水分98.0質量%)乾燥重量10gを混合し、105℃で乾燥した。
乾燥したパルプを160℃、2時間反応させ、水洗とろ過を2回繰返し、次亜リン酸変性パルプを得た。
次亜リン酸変性パルプを固形分濃度1%に調整し、高圧ホモジナイザーを用いた解繊処理を3回施した後、濃度1.0質量%の微細セルロース繊維の水分散液を得た。
[実施例及び対照例]
次亜リン酸変性パルプを得る反応にあたり、尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)を添加することが望ましいことは前述した。
この点について、尿素の添加量及び次亜リン酸の添加量を変化させて次亜リン酸導入量の変化を調べたところ、表1に示すとおりであった。
尿素の添加量に応じて次亜リン酸導入量が高まることが分かる。
次亜リン酸変性パルプを得る反応にあたり、尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)を添加することが望ましいことは前述した。
この点について、尿素の添加量及び次亜リン酸の添加量を変化させて次亜リン酸導入量の変化を調べたところ、表1に示すとおりであった。
このようにして得られる次亜リン酸変性微細セルロース繊維は、置換基にイオン性を有しないために、アニオン性基を有する他の変性微細セルロース繊維よりも、樹脂との相溶性が高く、透明性が高い複合樹脂を得ることができる。
また、イオン性がないために、廃液等の凝集剤として使用できる。さらに、還元性が高いので、無電解ニッケルメッキ浴の還元剤などとしても使用できる。
また、イオン性がないために、廃液等の凝集剤として使用できる。さらに、還元性が高いので、無電解ニッケルメッキ浴の還元剤などとしても使用できる。
本発明の微細セルロース繊維は、複合樹脂や、還元剤などに利用可能である。
Claims (6)
- 次亜リン酸又は次亜リン酸金属塩類の少なくとも一種の化合物(A)をアルカリにより中和して中和化合物(A1)とする工程と、
セルロース繊維に、前記中和化合物(A1)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる化合物(B)を含む添加剤を添加し、加熱及び洗浄する工程と、
その後に、解繊する工程と、
を含むことを特徴とする微細セルロース繊維の製造方法。 - 前記加熱を、水分率が10%以下となるまで行う請求項1に記載の微細セルロースの製造方法。
- 前記中和化合物(A1)の添加量を前記セルロース繊維1kgに対して1~10,000gとし、前記化合物(B)の添加量を前記化合物(A1)1molに対して0.01~1000molとする請求項1又は2記載の微細セルロースの製造方法。
- 前記加熱を100~210℃で行う請求項1又は2記載の次微細セルロースの製造方法。
- 平均繊維径が1~100nmの微細セルロース繊維を有し、
前記微細セルロース繊維の一部は、セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が次亜リン酸基で置換されている、
ことを特徴とする微細セルロース繊維。 - 前記微細セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、カルバメート基で置換されて、カルバメートが導入されている請求項5記載の微細セルロース繊維。
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