JP2023066534A - 摩擦ローラ減速機およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】外径側トラクション部の面圧が徒に高くなることを防止しつつ、キャリアの剛性や強度を容易に確保することができる構造を実現する。【解決手段】軸方向から見た場合に、摩擦ローラ減速機1の運転時に、揺動ホルダ31に作用するトルク反力の方向に関して、遊星ローラ30の中心軸O30と、揺動ホルダ31の連結部40とを、揺動軸部38の中心軸O38を挟んで互いに反対側に位置させる。【選択図】図3

Description

本発明は、例えば電気自動車の駆動系に組み込んで、電動モータの回転を減速(トルクを増大)させてから、駆動輪にトルクを伝達する、摩擦ローラ減速機の改良に関する。
電気自動車では、駆動源となる電動モータの効率を向上させて充電1回当りの走行可能距離を長くすべく、高速回転する小型の電動モータの出力軸の回転を、減速機により減速してから駆動輪に伝達する。このような減速機としては、摩擦ローラ式の減速機を使用することができる。
摩擦ローラ減速機は、入力軸と一体に備えられた太陽ローラ(サンローラ)と、太陽ローラの周囲に該太陽ローラに対する相対回転を可能に支持された環状ローラ(リングローラ)と、外周面(転動面)を、太陽ローラの外周面(内径側転がり接触面)と環状ローラの内周面(外径側転がり接触面)とに転がり接触させた複数個の中間ローラとを備える。摩擦ローラ減速機には、環状ローラを、入力軸を中心とする回転を可能に支持し、かつ、複数個の中間ローラを、入力軸を中心とする回転(公転)を不能に支持し、環状ローラの回転を出力軸から取り出すリング出力式のものと、環状ローラを、入力軸を中心とする回転を不能に支持し、かつ、複数個の中間ローラ(遊星ローラ)の入力軸を、中心とする回転(公転)を可能に支持し、中間ローラの公転を出力軸から取り出すキャリア出力式(遊星ローラ式)のものとがある。
このうちのキャリア出力式の摩擦ローラ減速機では、中間ローラに、入力軸を中心とする回転運動(公転運動)に伴って加わる遠心力に基づき、キャリアの径方向に関して外側に向いた力が加わる。この結果、中間ローラの転動面と環状ローラの外径側転がり接触面との転がり接触部である外径側トラクション部の面圧が過度に高くなる可能性がある。外径側トラクション部の面圧が高くなると、中間ローラの転動面と環状ローラの外径側転がり接触面との転がり疲れ寿命の確保、および/または、摩擦ローラ減速機の伝達効率の確保が難くなる可能性がある。
特開2012-207778号公報 国際公開第2016/167261号パンフレット
特開2012-207778号公報には、中間ローラを自転および支持フレームに対する揺動を可能に支持するための揺動フレームのうち、揺動軸を挟んで自転軸と反対側に、カウンタウェイト部を設けた構造が記載されている。このようなカウンタウェイト部を有する揺動フレームを、キャリア出力式の摩擦ローラ減速機に適用すれば、中間ローラの公転運動に基づいて該中間ローラに加わる、キャリアの径方向に関して外側に向いた力を低減することができる。この結果、外径側トラクション部の面圧が過度に高くなることを防止できる。
ところで、摩擦ローラ減速機は、中間ローラの転動面と、太陽ローラの内径側転がり接触面および環状ローラの外径側転がり接触面との転がり接触部(トラクション部)の面圧を確保するための押圧装置を備える。
特開2012-207778号公報に記載の摩擦ローラ減速機は、太陽ローラと入力軸との間に押圧装置を備えている。このために、太陽ローラを一対の太陽ローラ素子から構成し、かつ、太陽ローラ素子のそれぞれを、入力軸の周囲に、該入力軸に対する相対回転および軸方向変位を可能に支持している。したがって、入力軸と太陽ローラ素子との同軸度、および/または、太陽ローラ素子の重量バランスが十分でないと、摩擦ローラ減速機の運転時に、騒音や振動が発生する可能性がある。特に摩擦ローラ減速機では、太陽ローラ、環状ローラ、中間ローラおよび支持フレーム(キャリア)のうちの太陽ローラが、最も高速で回転する。このため、太陽ローラを一対の太陽ローラ素子から構成している場合、上述のような問題が顕著になりやすい。
国際公開第2016/167261号パンフレット(特許文献2)に記載の摩擦ローラ減速機は、環状ローラと出力軸との間に押圧装置を備えている。このために、環状ローラを一対の環状ローラ素子から構成している。国際公開第2016/167261号パンフレットに記載の摩擦ローラ減速機では、高速で回転する太陽ローラを、入力軸と一体に構成することができる。要するに、特開2012-207778号公報に記載の構造のように、高速で回転する太陽ローラを一対の太陽ローラ素子から構成し、かつ、前記太陽ローラ素子のそれぞれを、前記入力軸の周囲に、該入力軸に対する相対回転および軸方向変位を可能に支持する必要がない。このため、摩擦ローラ減速機の運転時に、騒音や振動が発生することを防止できる。
しかしながら、国際公開第2016/167261号パンフレットに記載された、環状ローラと出力軸との間に備えられた押圧装置を、キャリア出力式の摩擦ローラ減速機に適用した場合でも、中間ローラには、公転運動に伴って加わる遠心力に基づき、キャリアの径方向に関して外側に向いた力が加わる。この結果、外径側トラクション部の面圧が過度に高くなり、前記中間ローラの転動面および環状ローラの外径側転がり接触面の転がり疲れ寿命が確保し難くなったり、摩擦ローラ減速機の伝達効率を確保し難くなったりする可能性がある。
キャリア出力式の摩擦ローラ減速機に、国際公開第2016/167261号パンフレットに記載の、環状ローラと出力軸との間に備えられた押圧装置を適用するとともに、中間ローラをキャリアに対し支持するための揺動ホルダに、特開2012-207778号公報に記載のカウンタウェイト部を設けることも考えられる。ただし、このような構造を採用した場合であっても、次のような問題を生じる可能性がある。
摩擦ローラ減速機を組み立てる際には、揺動ホルダを揺動させることにより、中間ローラを、キャリアの径方向に関して外側に変位させた状態で、太陽ローラの周囲に配置する。その後、揺動ホルダを揺動させることにより、中間ローラを、キャリアの径方向に関して内側に変位させ、中間ローラの転動面を太陽ローラの内径側転がり接触面に接触させる。
揺動ホルダを揺動させることで、中間ローラを、キャリアの径方向に関して外側に変位させると、揺動軸部を挟んで中間ローラの中心軸と反対側に配置されたカウンタウェイト部は、キャリアの径方向に関して内側に変位する。特に国際公開第2016/167261号パンフレットに記載の摩擦ローラ減速機のように、内径側転がり接触面の母線形状を円弧形とした場合、中間ローラを太陽ローラの周囲に配置する際に、揺動ホルダを大きく揺動させる必要がある。揺動ホルダを大きく揺動させると、カウンタウェイト部の径方向内側への変位量が大きくなる。したがって、カウンタウェイト部の、キャリアの径方向に関する内側への変位を許容するためのスペースを、キャリアの内側に確保する必要がある。しかしながら、このようなスペースを確保すべく、キャリアを構成する複数本の柱部を細くすると、キャリアの剛性や強度が確保しにくくなるといった問題が生じる。
本発明は、上述のような事情に鑑みて、外径側トラクション部の面圧が徒に高くなることを防止しつつ、キャリアの剛性や強度が確保しやすい、摩擦ローラ減速機の構造を実現することを目的としている。
本発明の摩擦ローラ減速機は、太陽ローラと、一対の環状ローラ素子と、キャリアと、複数個の遊星ローラユニットと、押圧装置とを備える。
前記太陽ローラは、外周面に内径側転がり接触面を有する。
前記一対の環状ローラ素子のそれぞれは、内周面に、互いに近づく方向に向かうほど内径寸法が大きくなる方向に傾斜した外径側転がり接触面を有する。
前記キャリアは、前記太陽ローラと同軸に、かつ、前記太陽ローラに対する相対回転を可能に支持されている。
前記複数個の遊星ローラユニットのそれぞれは、遊星ローラと、揺動ホルダと、支持軸受とを含む。
前記遊星ローラは、外周面に、前記内径側転がり接触面と前記外径側転がり接触面とに転がり接触する転動面を有する。
前記揺動ホルダは、前記キャリアに対し揺動可能に支持された揺動軸部を含む一対の側壁部、および、該一対の側壁部同士を連結する連結部を有する。
前記支持軸受は、前記遊星ローラを、前記一対の側壁部のうちで前記太陽ローラを中心とする周方向に関して前記揺動軸部から外れた部分に回転自在に支持する。
前記押圧装置は、前記一対の環状ローラ素子を互いに近づく方向に押圧する。
特に本発明の摩擦ローラ減速機においては、軸方向から見た場合に、前記内径側転がり接触面と前記転動面との転がり接触部(内径側トラクション部)および前記転動面と前記外径側転がり接触面との転がり接触部(外径側トラクション部)でトルクを伝達することに基づき、前記揺動ホルダに作用するトルク反力の方向に関して、前記遊星ローラの中心軸と前記連結部とが、前記揺動軸部の中心軸を挟んで互いに反対側に位置する。
本発明の摩擦ローラ減速機では、軸方向から見た場合に、前記遊星ローラユニットの重心が、前記揺動軸部の中心軸と前記太陽ローラの中心軸とを結んだ直線上に位置することが好ましい。
前記内径側転がり接触面は、少なくとも軸方向両側部分に、互いに離れる方向に向かうほど外径寸法が大きくなる方向に傾斜した傾斜面部を有することができる。具体的には、例えば、前記内径側転がり接触面は、円弧形の母線形状を有することができる。若しくは、前記内径側転がり接触面は、軸方向中間部に配置された円筒面部と、軸方向両側部分に配置された一対の前記傾斜面部とを有することができる。
または、前記内径側転がり接触面は、軸方向に関して外径寸法が変化しない円筒面により確保することもできる。
前記一対の環状ローラ素子のうち、少なくとも一方の環状ローラ素子を、基端面に被駆動側カム面を有し、かつ、使用時にも変位および回転しない固定部分に対して、軸方向変位を可能に、かつ、回転を不能に支持された可動環状ローラ素子により構成することができる。
この場合、前記押圧装置は、前記可動環状ローラ素子と、前記可動環状ローラ素子の基端面に対向する軸方向側面に駆動側カム面を有し、かつ、前記固定部分に対して、軸方向変位を不能に、かつ、回転を可能に支持されたカム板と、前記被駆動側カム面と前記駆動側カム面との間に挟持された複数個の転動体と、前記カム板を回転駆動する駆動手段と、を備えることができる。
本発明の摩擦ローラ減速機の製造方法は、前記揺動ホルダの重量バランスを調整することにより、前記遊星ローラユニットの重心の位置を調整する調整工程を備える。
前記調整工程では、前記連結部の近傍部分の重量を調整する、すなわち前記連結部の近傍部分の重量を増大または減少させることにより、前記遊星ローラユニットの重心の位置を調整することが好ましい。
本発明の摩擦ローラ減速機によれば、外径側トラクション部の面圧が徒に高くなることを防止しつつ、キャリアの剛性や強度を容易に確保することができる。
図1は、本発明の実施の形態の第1例の摩擦ローラ減速機を示す部分切断斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態の第1例の摩擦ローラ減速機を示す断面図である。 図3は、太陽ローラと、一方のキャリア素子と、遊星ローラユニットとを取り出して、軸方向から見た半部側面図である。 図4は、太陽ローラと、環状ローラと、一方のキャリア素子と、遊星ローラユニットとを取り出して、軸方向から見た半部側面図である。 図5は、本発明の実施の形態の第1例の摩擦ローラ減速機から、環状ローラとハウジングとを省略して示す半部断面図である。 図6は、遊星ローラユニットを取り出して示す側面図である。 図7は、図5の要部拡大図である。 図8は、遊星ローラの転動面の形状の別例を示す、図7と同様の図である。 図9は、遊星ローラユニットの重心の位置を調整する方法を説明するための分解斜視図である。 図10は、遊星ローラユニットの重心の位置を調整する方法の別例を示す、図9と同様の図である。 図11は、揺動ホルダの別形状の第1例を示す、図4と同様の図である。 図12は、揺動ホルダの別形状の第2例を示す、図4と同様の図である。
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例について、図1~図10により説明する。摩擦ローラ減速機1は、入力軸2のトルクを増大してから出力軸3に出力する。本例の摩擦ローラ減速機1は、ハウジング4の内側に、太陽ローラ5と、一対の環状ローラ素子6a、6bと、キャリア7と、複数個の遊星ローラユニット8と、押圧装置9とを備える。
以下の説明において、軸方向、径方向および周方向とは、特に断らない限り、入力軸2の軸方向、周方向および径方向をいう。入力軸2の軸方向、径方向および周方向は、出力軸3、太陽ローラ5、環状ローラ素子6a、6bおよびキャリア7の軸方向、径方向および周方向と一致する。
入力軸2は、基端部(軸方向片側(図1および図2の左側)の端部)外周面に雄スプライン部10を有する。雄スプライン部10には、例えば、電動モータなどの駆動源の出力部に備えられた雌スプライン部が、トルクの伝達を可能にスプライン係合される。
出力軸3は、内周面に雌スプライン部11を有する。雌スプライン部11には、駆動輪に繋がるデファレンシャルギヤの入力部に備えられた雄スプライン部が、トルクの伝達を可能にスプライン係合される。
ハウジング4は、略矩形箱形状を有する。本例では、ハウジング4は、軸方向片側(図1および図2の左側)の端部が開口した略矩形箱状の本体部12と、略矩形の外形形状(輪郭形状)を有する蓋体13とを備える。
本体部12は、円筒状の内周面を有する略矩形筒状の筒状部14と、筒状部14の軸方向他側の端部から径方向内側に向けて折れ曲がった側板部15とを備える。筒状部14は、内周面に固定側雌スプライン部16を有する。側板部15は、中心部に、軸方向に貫通する軸受保持孔17を有する。
蓋体13は、中心部に、軸方向に貫通する円孔18を有し、本体部12の軸方向片側の端部に結合固定されている。
太陽ローラ5は、外周面に内径側転がり接触面19を有する。本例では、内径側転がり接触面19は、軸方向に関して外径寸法が変化しない円筒面により構成されている。
本例の太陽ローラ5は、入力軸2と一体に構成されている。換言すれば、本例の入力軸2は、軸方向中間部外周面に、内径側転がり接触面19を有する。ただし、太陽ローラと入力軸とを別体に構成し、かつ、前記太陽ローラを前記入力軸に対し、スプライン係合などにより、トルクの伝達を可能に支持固定することもできる。いずれにしても、駆動源により入力軸2を回転駆動すると、太陽ローラ5が、入力軸2と同方向に同じ速度で回転する。
環状ローラ素子6a、6bのそれぞれは、内周面に、互いに近づく方向に向かうほど内径寸法が大きくなる方向に傾斜した外径側転がり接触面20a、20bを有する。外径側転がり接触面20a、20bは、直線状の母線形状を有する。すなわち、外径側転がり接触面20a、20bは、円すい面により構成されている。
環状ローラ素子6a、6bのそれぞれは、外周面に、ローラ側雄スプライン部21a、21bを有する。環状ローラ素子6a、6bのそれぞれは、ローラ側雄スプライン部21a、21bを、ハウジング4の固定側雌スプライン部16にスプライン係合させることにより、ハウジング4の内側に回転不能に支持されている。
一対の環状ローラ素子6a、6bのうち、軸方向片側の環状ローラ素子6aは、軸方向片側の側面を、蓋体13の軸方向他側の側面に突き当てることにより、軸方向片側への変位を阻止されている。
一対の環状ローラ素子6a、6bのうち、軸方向他側(図1および図2の右側)の環状ローラ素子6bは、ハウジング4に対する軸方向変位が可能となっている。すなわち、本例では、軸方向他側の環状ローラ素子6bは、可動環状ローラ素子を構成している。軸方向他側の環状ローラ素子6bは、軸方向他側面に、軸方向深さが周方向に関して漸次変化する被駆動側カム面22を有する。
キャリア7は、太陽ローラ5と同軸に、かつ、太陽ローラ5に対する相対回転を可能に支持されている。本例では、キャリア7は、それぞれが円輪形状を有し、互いに同軸に、かつ、軸方向に間隔を空けて配置された一対のリム部23a、23bと、複数本の柱部24とを備える。リム部23a、23bのそれぞれは、径方向中間部のうちで周方向に関する位相が一致する周方向複数箇所に、軸方向に貫通する保持孔25を有する。柱部24のそれぞれは、周方向に等間隔に配置され、かつ、一対のリム部23a、23b同士の間にかけ渡されている(一対のリム部23a、23b同士を結合している)。
本例では、キャリア7は、一対のキャリア素子26a、26bを有する。キャリア素子26a、26bのそれぞれは、1個のリム部23a、23bと、リム部23a、23bの互いに対向する軸方向側面の周方向複数箇所から軸方向に関して互いに近づく方向に突出した凸部27とを備える。キャリア7は、一対のキャリア素子26a、26bの凸部27の先端面同士を突き合せ、かつ、一対のキャリア素子26a、26bをボルトなどの結合部材により互いに結合固定してなる。
具体的には、例えば、キャリア7は、凸部27を軸方向に貫通する通孔にボルトを挿通し、さらに、ボルトの先端部にナットを螺合することで、一対のキャリア素子26a、26bを結合固定して構成することができる。あるいは、キャリア7は、一対のキャリア素子26a、26bのうちの一方のキャリア素子26a(または26b)の凸部27に形成されたねじ孔に、他方のキャリア素子26b(または26a)の凸部27を軸方向に貫通する通孔に挿通したボルトを螺合することで、一対のキャリア素子26a、26bを結合固定して構成することもできる。
上述のような本例のキャリア7では、柱部24のそれぞれは、互いの先端面同士を突き合せた一対の凸部27により構成されている。
一対のキャリア素子26a、26bのうちの軸方向片側のキャリア素子26aのリム部23aの内周面と入力軸2の軸方向中間部外周面との間部分にラジアル軸受28aが配置され、かつ、軸方向他側のキャリア素子26bのリム部23bの内周面と入力軸2の軸方向他側の端部外周面との間部分にラジアル軸受28bが配置されている。これにより、キャリア7は、太陽ローラ5と同軸に、かつ、太陽ローラ5に対する相対回転を可能に支持されている。
キャリア7は、出力軸3と同じ方向に同じ速度で回転するように構成されている。本例では、軸方向他側のキャリア素子26bが、出力軸3と一体的に構成されている。換言すれば、軸方向他側のキャリア素子26bは、リム部23bの径方向内側の端部から軸方向他側に向けて突出した円筒部29を有し、かつ、円筒部29の内周面に雌スプライン部11を有する。なお、円筒部29の外周面と、ハウジング4の軸受保持孔17の内周面との間部分には、ラジアル軸受28cが配置されている。
ただし、キャリアと出力軸とを別体に構成し、かつ、前記キャリアと前記出力軸とを結合固定することもできる。
遊星ローラユニット8のそれぞれは、遊星ローラ30と、揺動ホルダ31と、支持軸受32とを備える。
遊星ローラ30は、外周面に、内径側転がり接触面19と外径側転がり接触面20a、20bとに転がり接触する転動面33を有する。本例では、転動面33は、軸方向中間部に円筒面部34を有し、かつ、軸方向両側部分に、互いに離れる方向に向かうほど外径寸法が小さくなる方向に傾斜した一対の傾斜面部35を有する。すなわち、円筒面部34が、太陽ローラ5の内径側転がり接触面19と転がり接触し、かつ、一対の傾斜面部35が、環状ローラ素子6a、6bの外径側転がり接触面20a、20bと転がり接触している。
図5から明らかなように、傾斜面部35のそれぞれは、直線状の母線形状を有する円すい面により構成されている。ただし、傾斜面部を、略円弧形の母線形状を有する凸曲面により構成することもできる。
本例では、遊星ローラ30は、外周面に転動面33を有する略円柱状のローラ本体36と、ローラ本体36の軸方向両側面の中心部から軸方向に突出した円柱状の一対の支持軸部37とを備える。
揺動ホルダ31は、遊星ローラ30を、支持軸受32を介して、遊星ローラ30の中心軸を中心とする回転(自転)を自在に支持し、かつ、遊星ローラ30をキャリア7に対し、径方向に関する変位を可能に支持する。揺動ホルダ31は、キャリア7に対し揺動可能に支持された揺動軸部38をそれぞれ有する一対の側壁部39と、該一対の側壁部39同士を連結する連結部40とを備える。
側壁部39のそれぞれは、平板部41と、揺動軸部38と、支持孔42とを備える。
平板部41は、軸方向から見て略涙滴形の側面形状を有する。
揺動軸部38は、単一円筒面状の外周面を有する。揺動軸部38は、平板部41のうち、幅が広い側(図6の右側)の端部外側面から軸方向に突出している。
支持孔42は、側壁部39(平板部41および揺動軸部38)を軸方向に貫通する円孔により構成されている。支持孔42の中心軸O42と、揺動軸部38の中心軸O38とは、互いに平行かつ非同軸に配置されている。具体的には、平板部41の長さ方向(図6の左右方向)に関して、揺動軸部38の中心軸O38が、支持孔42の中心軸O42に対し、平板部41の幅が狭い側(図6の左側)にオフセットしている。
連結部40は、略台形柱状に構成され、かつ、一対の側壁部39の平板部41のうち、幅が狭い側の端部同士を連結している。
本例では、揺動ホルダ31は、図9および図10に示すように、一対のホルダ素子43a、43bを、ボルト44により結合固定してなる。
ホルダ素子43a、43bのそれぞれは、側壁部39と、側壁部39の平板部41の幅が狭い側の端部内側面から軸方向に突出した凸部45a、45bと、平板部41の幅が狭い側の端部および凸部45a、45bを軸方向に貫通する結合孔46a、46bとを備える。
揺動ホルダ31のそれぞれは、一対のホルダ素子43a、43bを、凸部45a、45bの先端面同士を突き合せた状態で、ボルト44により結合固定してなる。具体的には、一対のホルダ素子43a、43bのうちの一方のホルダ素子43aの結合孔46aを挿通または螺合したボルト44を、他方のホルダ素子43bの結合孔46bに螺合することにより、一対のホルダ素子43a、43bを結合固定することで、揺動ホルダ31を構成している。
上述のような本例の揺動ホルダ31では、連結部40は、互いの先端面同士を突き合せた一対の凸部45a、45bと、ボルト44とにより構成されている。
揺動ホルダ31は、支持孔42の内側に遊星ローラ30の支持軸部37を、支持軸受32を介して回転自在に支持している。すなわち、支持軸受32は、支持孔42の内周面と支持軸部37の外周面との間に配置されている。図示の例では、支持軸受32は、ラジアルニードル軸受により構成されている。ただし、支持軸受を、ラジアル玉軸受やラジアル滑り軸受など、その他のラジアル軸受により構成することもできる。
また、揺動ホルダ31は揺動軸部38を、キャリア7の保持孔25に、該保持孔25の径方向にがたつかない程度に緩く内嵌することにより、キャリア7に対し、揺動軸部38の中心軸O38を中心とする揺動を可能に支持されている。これにより、遊星ローラ30は、キャリア7に対して、径方向に関する変位を可能に支持されている。なお、保持孔25の内周面と、揺動軸部38の外周面との間に、ラジアル軸受を配置することもできる。
本例では、軸方向から見た場合に、揺動ホルダ31の中心軸O38を、太陽ローラ5の内径側転がり接触面19と遊星ローラ30の転動面33との転がり接触部(内径側トラクション部)および遊星ローラ30の転動面33と環状ローラ素子6a、6bの外径側転がり接触面20a、20bとの転がり接触部(外径側トラクション部)でトルクを伝達することに基づき、揺動ホルダ31に作用する力(トルク反力)の作用線上に位置させている。
摩擦ローラ減速機1の運転時には、太陽ローラ5から遊星ローラ30に、内径側トラクション部における転動面33の接線方向に反力Finが加わり、かつ、環状ローラ素子6a、6bから遊星ローラ30に、外径側トラクション部における転動面33の接線方向に反力Foutが加わる。遊星ローラ30に加わった反力Fin、Foutは、支持軸受32を介して、揺動ホルダ31に作用する。このようにして、揺動ホルダ31に作用するトルク反力の作用線は、太陽ローラ5の中心軸Oを中心とする円Cの遊星ローラ30の中心軸における接線αと同一直線上に位置する。要するに、本例では、軸方向から見た場合に、揺動軸部38の中心軸O38を、太陽ローラ5の中心軸Oを中心とし、かつ、遊星ローラ30の中心軸O30を通る円Cの遊星ローラ30の中心軸O30における接線α上に位置させている。
さらに、本例の遊星ローラユニット8では、軸方向から見た場合に、揺動ホルダ31に作用するトルク反力の方向(接線αの方向、図6の左右方向)に関して、遊星ローラ30の中心軸O30と揺動ホルダ31の連結部40とが、揺動軸部38の中心軸O38を挟んで互いに反対側に位置している。
このため、本例では、軸方向から見た場合に、揺動ホルダ31の重心G31は、揺動ホルダ31に作用するトルク反力の方向に関して、遊星ローラユニット8の重心Gよりも連結部40の側に位置している。
さらに、本例では、軸方向から見た場合に、遊星ローラユニット8の重心Gが、太陽ローラ5の中心軸Oと、揺動軸部38の中心軸O38とを結んだ直線β上に位置している。具体的には、本例では、軸方向から見た場合に、遊星ローラユニット8の重心Gと、揺動軸部38の中心軸O38とが一致している。
すなわち、遊星ローラユニット8の重心Gが、太陽ローラ5の中心軸Oと、揺動軸部38の中心軸O38とを結んだ直線β上に位置するように、遊星ローラユニット8を構成する部材の形状や材質などを規制している。
なお、図示の例では、軸方向から見た場合に、遊星ローラ30の中心軸O30と、遊星ローラユニット8の重心Gと、揺動ホルダ31の重心G31と、連結部40を構成するボルト44の中心軸とが、太陽ローラ5の中心軸Oを中心とし、かつ、遊星ローラ30の中心軸O30を通る円Cの遊星ローラ30の中心軸における接線α上に位置しているが、必ずしもこのような配置である必要はない。具体的には、例えば、軸方向から見た場合に、揺動軸部38の中心軸O38を、接線α上から外れた部分に位置させることもできる。
押圧装置9は、一対の環状ローラ素子6a、6bを互いに近づく方向に押圧する。本例の押圧装置9は、可動環状ローラ素子である軸方向他側の環状ローラ素子6bと、カム板47と、複数個の転動体48と、駆動手段49とを備える。
カム板47は、軸方向片側面に、軸方向深さが周方向に関して漸次変化する駆動側カム面50を有し、かつ、外周面にホイール歯51を有する。カム板47は、スラスト軸受52により、ハウジング4の側板部15に対して、軸方向変位を不能に、かつ、回転を可能に支持されている。
転動体48のそれぞれは、被駆動側カム面22と駆動側カム面50との間に転動自在に挟持されている。
駆動手段49は、カム板47のホイール歯51と噛合するウォーム53と、ウォーム53を回転駆動するための押圧力調整モータ54とを備える。
押圧装置9は、押圧力調整モータ54を回転駆動させることにより、カム板47を回転駆動し、転動体48の、駆動側カム面50の底部からの乗り上げ量および被駆動側カム面22の底部からの乗り上げ量を調整することで、環状ローラ素子6bを軸方向に変位させる。環状ローラ素子6bの軸方向変位に伴い、一対の環状ローラ素子6a、6bの外径側転がり接触面20a、20bのうちで、遊星ローラ30の転動面33と転がり接触する部分の外径寸法が変化する。そして、遊星ローラユニット8の揺動ホルダ31が揺動軸部38を中心に揺動し、遊星ローラ30が径方向に変位する。この結果、遊星ローラ30の転動面33と、太陽ローラ5の内径側転がり接触面19および一対の環状ローラ素子6a、6bの外径側転がり接触面20a、20bとのトラクション部の面圧が所望の値に調整される。
摩擦ローラ減速機1の運転時には、電動モータなどの駆動源により、入力軸2を回転駆動することで太陽ローラ5を回転駆動し、かつ、押圧力調整モータ54を回転駆動することに基づいて、各トラクション部の面圧を所望の値に調整する。太陽ローラ5が回転すると、太陽ローラ5の内径側転がり接触面19と遊星ローラ30の転動面33との転がり接触に基づいて、遊星ローラ30が自身の中心軸O30を中心に回転(自転)する。遊星ローラ30の自転運動は、遊星ローラ30の転動面33と環状ローラ素子6a、6bの外径側転がり接触面20a、20bとの転がり接触に基づいて、太陽ローラ5の中心軸Oを中心とする遊星ローラ30の回転(公転)運動に変換される。遊星ローラ30の公転運動に伴い、キャリア7および出力軸3が回転駆動される。このようにして、入力軸2の回転が減速(トルクが増大)されて、出力軸3に伝達される。
本例の摩擦ローラ減速機1では、揺動ホルダ31に作用するトルク反力の方向に関して、遊星ローラ30の中心軸O30と揺動ホルダ31の連結部40とを、揺動軸部38の中心軸O38を挟んで互いに反対側に位置させている。したがって、本例では、摩擦ローラ減速機1の運転時に、キャリア7が回転することに伴って加わる遠心力に基づいて、遊星ローラユニット8のうちの遊星ローラ30および支持軸受32に加わる、揺動軸部38の中心軸O38を中心とするモーメントMの方向(図6の反時計方向)と、同じく揺動ホルダ31に加わる、揺動軸部38の中心軸O38を中心とするモーメントMの方向(図6の時計方向)とが互いに逆になる。このため、摩擦ローラ減速機1の運転時に、遊星ローラ30および支持軸受32に加わるモーメントMと、揺動ホルダ31に加わるモーメントMとが、遊星ローラユニット8内で打ち消し合う(相殺される)。
要するに、摩擦ローラ減速機1の運転時に、遊星ローラ30に加わる、径方向に関する外側向きの力を小さく抑えることができる。したがって、遊星ローラ30の転動面33と環状ローラ素子6a、6bの外径側転がり接触面20a、20bとの転がり接触部である外径側トラクション部の面圧が徒に高くなることを防止できる。
特に本例では、軸方向から見た場合に、遊星ローラユニット8の重心Gが、太陽ローラ5の中心軸Oと、揺動軸部38の中心軸O38とを結んだ直線β上に位置している。具体的には、軸方向から見た場合に、遊星ローラユニット8の重心Gと、揺動軸部38の中心軸O38とが一致している。このため、摩擦ローラ減速機1の運転時に、遊星ローラ30および支持軸受32に加わるモーメントMと、揺動ホルダ31に加わるモーメントMとを、遊星ローラユニット8内でほぼ完全に相殺することができる。このため、摩擦ローラ減速機1の運転時に、キャリア7が回転することに伴って加わる遠心力に基づく、内径側トラクション部の面圧の減少を良好に防止することができる。
また、本例の摩擦ローラ減速機1は、上述のように、外径側トラクション部の面圧が徒に高くなることを防止できる構造を、特開2012-207778号公報に記載の摩擦ローラ減速機のように、カウンタウェイト部を備えることなく実現することができる。したがって、本例では、摩擦ローラ減速機1の組立時、遊星ローラ30を、太陽ローラ5の周囲に配置すべく、径方向に関して外側に変位させることに伴い、カウンタウェイト部が径方向に関して内側に変位することを許容するためのスペースをキャリア7に確保する必要がない。このため、キャリア7の柱部24の太さを十分に確保することができ、キャリア7の剛性や強度の確保が容易となる。
なお、本例では、太陽ローラ5の内径側転がり接触面19を、軸方向に関して外径寸法が変化しない円筒面により構成している。このため、内径側転がり接触面19の加工コストを抑えることができる。
あるいは、内径側転がり接触面の母線形状を、転動面の母線形状に沿った形状とすることもできる。具体的には、例えば、内径側転がり接触面を、軸方向中間部に円筒面部を有し、かつ、軸方向両側部分に、互いに離れる方向に向かうほど外径寸法が大きくなる方向に傾斜した一対の傾斜面部を有する複合面により構成することもできる。または、図8に示すように、太陽ローラ5aの内径側転がり接触面19aを、円弧形の母線形状を有する凹曲面により構成し、かつ、遊星ローラ30aの転動面33aを、円弧形の母線形状を有する凸曲面により構成することもできる。すなわち、内径側転がり接触面19aは、軸方向中央位置の外径寸法が最も小さく、かつ、軸方向中央位置から互い離れる方向に向かうほど外径寸法が大きくなる方向に傾斜している。なお、内径側転がり接触面19aの母線形状の曲率半径は、転動面33aの母線形状の曲率半径と同じか、若しくは、わずかに大きい。いずれにしても、内径側転がり接触面の母線形状を、転動面の母線形状に沿った形状にすれば、内径側転がり接触面と転動面との接触面積を大きくして、面圧を小さく抑えることができる。
内径側転がり接触面が、少なくとも軸方向両側部分に、互いに離れる方向に向かうほど外径寸法が大きくなる方向に傾斜した傾斜面部を有する構造に適用した場合、内径側転がり接触面が円筒状である構造と比較して、摩擦ローラ減速機の組立時、遊星ローラを太陽ローラの周囲に配置する際の、遊星ローラの径方向外側への変位量が大きくなる。したがって、外径側トラクション部の面圧が徒に高くなることを防止できる構造を、カウンタウェイト部を設けることなく実現でき、キャリアの柱部の太さを十分に確保できるため、キャリアの強度および剛性の確保が容易になるといった、本発明による効果を顕著に得られる。
本例では、遊星ローラユニット8の重心Gが、太陽ローラ5の中心軸Oと、揺動軸部38の中心軸O38とを結んだ直線β上に位置するように、遊星ローラユニット8を構成する部材の形状や材質などを規制している。ただし、遊星ローラユニット8を構成する部材の形状を精度よく規制することは、面倒であり、コストが嵩む原因となる。
このような問題を解決すべく、摩擦ローラ減速機1の製造方法は、遊星ローラユニット8を組み立てた後、遊星ローラユニット8の重心Gが直線β上から外れている場合に、揺動ホルダ31の重量バランスを調整することで、重心Gの位置を調整する調整工程を備えることができる。具体的には、例えば、調整工程では、揺動ホルダ31のうち、連結部40の近傍部分の重量を調整することで、遊星ローラユニット8の重心Gの位置を調整することができる。
より具体的には、遊星ローラユニット8の重心Gが直線β上よりも連結部40側にずれている場合には、図9に示すように、ボルト44を長さが短いものや材料密度が小さいものに変更する、ボルト44の頭部と揺動ホルダ31の側壁部39との間に挟持するワッシャ55の枚数を減らしたり厚さを薄くしたりする、および/または、揺動ホルダ31のうち、連結部40の近傍部分の肉を削るなどすることができる。
一方、遊星ローラユニット8の重心Gが直線β上よりも遊星ローラ30の中心軸O30側にずれている場合には、図10に示すように、ボルト44を長さが長いものや材料密度が大きいものに変更する、ボルト44の頭部と揺動ホルダ31の側壁部39との間に挟持するワッシャ55の枚数を増やしたり厚さを厚くしたりする、および/または、揺動ホルダ31のうち、連結部40の近傍部分に、補助ウェイト56を接着などにより固定することができる。
ただし、ボルト44の長さや材料密度を変更することで、重心Gの位置を調整する場合、多くの種類のボルト44を用意しておく必要があり、部品管理が面倒である。ボルト44の頭部と揺動ホルダ31の側壁部39との間に、ワッシャ55を挟持することは、部品点数が増大し、コストの増大の原因となったり、ボルト44が緩みやすくなったりする可能性がある。また、摩擦ローラ減速機1はトラクション油により潤滑されるが、トラクション油による潤滑環境下においても、補助ウェイト56が揺動ホルダ31から剥がれないように、接着により固定することは困難である。
このような問題を解決するため、図9に示すように、揺動ホルダ31のうちの連結部40にバランスウェイト部57を設けておくことができる。これにより、遊星ローラユニット8を組み立てた状態において、必ず、重心Gが直線βよりも連結部40側にずれるようにしておく。そして、バランスウェイト部57を適切な量だけ削ることで、揺動ホルダ31のうち、連結部40の近傍部分の重量を調整し、揺動ホルダ31のうち、連結部40の近傍部分の重量を調整することができる。この方法によれば、上述のような問題を生じない。
[実施の形態の第2例]
図11は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例では、揺動ホルダ31aを構成する一対の側壁部39aの平板部41aを軸方向から見た側面形状が、実施の形態の第1例の平板部41の側面形状と異なる。具体的には、平板部41aの径方向外側の側縁のうち、長さ方向中間部を径方向外側に向けて凸円弧状に膨出させている。これにより、側壁部39aの強度および剛性を向上させつつ、揺動ホルダ31aとキャリア7との干渉を防止している。
なお、本例では、揺動ホルダ31aの重心G31aが、太陽ローラ5の中心軸Oを中心とする円Cの遊星ローラ30の中心軸における接線αよりも、径方向に関して外側に位置する。したがって、遊星ローラユニット8の重心Gは、太陽ローラ5の中心軸Oを中心とする円Cの遊星ローラ30の中心軸における接線αよりも、径方向に関して外側に位置する。
ただし、この場合でも、遊星ローラユニット8の重心Gは、太陽ローラ5の中心軸Oと、揺動軸部38の中心軸O38とを結んだ直線β上に位置している。このような本例の場合にも、摩擦ローラ減速機1の運転時に、遊星ローラ30および支持軸受32に加わるモーメントMと、揺動ホルダ31aに加わるモーメントMとを、遊星ローラユニット8内でほぼ完全に相殺することができる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第3例]
図12は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例では、揺動ホルダ31bの側壁部39bの強度および剛性を向上させつつ、揺動ホルダ31bと環状ローラ素子6a、6bとの干渉を防止すべく、揺動ホルダ31bの平板部41bの形状を工夫している。具体的には、平板部41bの径方向両側の側縁同士がなす角度を、実施の形態の第1例の平板部41の径方向両側の側縁同士がなす角度よりも小さくしている。
なお、本例では、揺動ホルダ31bの重心G31bが、太陽ローラ5の中心軸Oを中心とする円Cの遊星ローラ30の中心軸における接線αよりも、径方向に関して内側に位置する。したがって、遊星ローラユニット8の重心Gは、太陽ローラ5の中心軸Oを中心とする円Cの遊星ローラ30の中心軸における接線αよりも、径方向に関して内側に位置する。
ただし、この場合でも、遊星ローラユニット8の重心Gは、太陽ローラ5の中心軸Oと、揺動軸部38の中心軸O38とを結んだ直線β上に位置している。このような本例の場合にも、摩擦ローラ減速機1の運転時に、遊星ローラ30および支持軸受32に加わるモーメントMと、揺動ホルダ31aに加わるモーメントMとを、遊星ローラユニット8内でほぼ完全に相殺することができる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例および第2例と同様である。
1 摩擦ローラ減速機
2 入力軸
3 出力軸
4 ハウジング
5、5a 太陽ローラ
6a、6b 環状ローラ素子
7 キャリア
8 遊星ローラユニット
9 押圧装置
10 雄スプライン部
11 雌スプライン部
12 本体部
13 蓋体
14 筒状部
15 側板部
16 固定側雌スプライン部
17 軸受保持孔
18 円孔
19、19a 内径側転がり接触面
20a、20b 外径側転がり接触面
21a、21b ローラ側雄スプライン部
22 被駆動側カム面
23a、23b リム部
24 柱部
25 保持孔
26a、26b キャリア素子
27 凸部
28a、28b、28c ラジアル軸受
29 円筒部
30、30a 遊星ローラ
31、31a、31b 揺動ホルダ
32 支持軸受
33、33a 転動面
34 円筒面部
35 傾斜面部
36 ローラ本体
37 支持軸部
38 揺動軸部
39、39a、39b 側壁部
40 連結部
41、41a、41b 平板部
42 支持孔
43a、43b ホルダ素子
44 ボルト
45a、45 凸部
46a、46b 結合孔
47 カム板
48 転動体
49 駆動手段
50 駆動側カム面
51 ホイール歯
52 スラスト軸受
53 ウォーム
54 押圧力調整モータ
55 ワッシャ
56 補助ウェイト
57 バランスウェイト部

Claims (5)

  1. 外周面に内径側転がり接触面を有する太陽ローラと、
    内周面に、互いに近づく方向に向かうほど内径寸法が大きくなる方向に傾斜した外径側転がり接触面を有する一対の環状ローラ素子と、
    前記太陽ローラと同軸に、かつ、前記太陽ローラに対する相対回転を可能に支持されたキャリアと、
    外周面に、前記内径側転がり接触面と前記外径側転がり接触面とに転がり接触する転動面を有する遊星ローラと、前記キャリアに対し揺動可能に支持された揺動軸部を含む一対の側壁部、および、該一対の側壁部同士を連結する連結部を有する揺動ホルダと、前記遊星ローラを、前記一対の側壁部のうちで前記太陽ローラの中心軸を中心とする周方向に関して前記揺動軸部から外れた部分に回転自在に支持する支持軸受と、を含む複数個の遊星ローラユニットと、
    前記一対の環状ローラ素子を互いに近づく方向に押圧する押圧装置と、
    を備え、
    軸方向から見た場合に、前記内径側転がり接触面と前記転動面との転がり接触部および前記転動面と前記外径側転がり接触面との転がり接触部でトルクを伝達することに基づき、前記揺動ホルダに作用するトルク反力の方向に関して、前記遊星ローラの中心軸と前記連結部とが、前記揺動軸部の中心軸を挟んで互いに反対側に位置する、
    摩擦ローラ減速機。
  2. 軸方向から見た場合に、前記遊星ローラユニットの重心が、前記揺動軸部の中心軸と前記太陽ローラの中心軸とを結んだ直線上に位置している、
    請求項1に記載の摩擦ローラ減速機。
  3. 前記一対の環状ローラ素子のうち、少なくとも一方の環状ローラ素子が、基端面に被駆動側カム面を有し、かつ、使用時にも変位および回転しない固定部分に対して、軸方向変位を可能に、かつ、回転を不能に支持された可動環状ローラ素子により構成されており、
    前記押圧装置が、前記可動環状ローラ素子と、前記可動環状ローラ素子の基端面に対向する軸方向側面に駆動側カム面を有し、かつ、前記固定部分に対して、軸方向変位を不能に、かつ、回転を可能に支持されたカム板と、前記被駆動側カム面と前記駆動側カム面との間に挟持された複数個の転動体と、前記カム板を回転駆動する駆動手段と、を備える、
    請求項1または2に記載の摩擦ローラ減速機。
  4. 請求項2または請求項2に従属する請求項3に記載の摩擦ローラ減速機の製造方法であって、
    前記揺動ホルダの重量バランスを調整することにより、前記遊星ローラユニットの重心の位置を調整する調整工程を備える、
    摩擦ローラ減速機の製造方法。
  5. 前記調整工程では、前記連結部の近傍部分の重量を調整することにより、前記遊星ローラユニットの重心の位置を調整する、
    請求項4に記載の摩擦ローラ減速機の製造方法。
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