JP2018135976A - 差動装置 - Google Patents

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方偉 林
慎弥 松岡
Shinya Matsuoka
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Abstract

【課題】第1ケース側壁及び入力板にそれぞれ要求される特性を個別に付与し得るようにして,差動装置の軽量化及び低廉化を図る。【解決手段】第1及び第2ケース側壁2a,2bを有すると共に,リングギヤ4が結合されるデフケース2内には,入力板17と,主軸線X1上に配置される第1及び第2出力軸19,20と,リングギヤ4から入力板17に入力される回転動力を第1及び第2出力軸19,20に分配する遊星式の差動機構21とが収容される。リングギヤ4には,第1ケース側壁2aの外周端部が固着されると共に,入力板17の外周端部が第1ケース側壁2aとは分離して嵌合連結される。これにより,リングギヤ4から入力板17に伝達されるトルクが第1ケース側壁2aには作用し難くなり,第1ケース側壁2aの薄肉,軽量化が可能となる。【選択図】 図1

Description

本発明は,デフケース内に遊星式の差動機構を収めた差動装置に関する。
本出願人は,かゝる差動装置として,下記特許文献1に開示されるように,主軸線上でミッションケースに回転可能に支持される第1及び第2筒軸をそれぞれ中心部に形成した第1及び第2ケース側壁を有するデフケースと,該デフケースに結合されて外部から回転動力を入力されるリングギヤと,前記デフケース及びリングギヤと一体回転する入力板と,前記デフケース内で前記主軸線上に配置される第1及び第2出力軸と,前記デフケースに収容され,前記リングギヤから前記入力板に伝達される回転動力を前記第1及び第2出力軸に分配する遊星式の差動機構とを備え,前記第1出力軸には,前記第1筒軸に支持される第1ドライブ軸が,また前記第2出力軸には,前記第2筒軸に支持される第2ドライブ軸がそれぞれ連結されるものを既に提案している。
WO2016/013315A1公報
上記差動装置では,デフケースの第1ケース側壁と入力板とが一体に成形されて,単一部品とされ,この単一部品の外周部に第2ケース側壁とリングギヤとがボルト結合されている。こうしたものでは,第1ケース側壁及び入力板の単一部品化により,部品点数が削減され,構造の簡素化を図ることができる利点があるが,その反面,上記単一部品において,入力板部に必要なトルクに対する剛性及び耐摩耗性(硬度)を付与する場合,入力板部以外の部分にも同様な剛性及び耐摩耗性が過剰に与えられることになり,それは差動装置の軽量化及び低廉化の観点からは不利である。
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,第1ケース側壁及び入力板にそれぞれ要求される特性を個別に付与し得るようにして,前記差動装置の軽量化及び低廉化を図ることを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明では,主軸線上でミッションケースに回転可能に支持される第1及び第2筒軸をそれぞれ中心部に形成した第1及び第2ケース側壁を有するデフケースと,該デフケースに結合されて外部から回転動力を入力されるリングギヤと,前記デフケース及びリングギヤと一体回転する入力板と,前記デフケース内で前記主軸線上に配置される第1及び第2出力軸と,前記デフケースに収容され,前記リングギヤから前記入力板に伝達される回転動力を前記第1及び第2出力軸に分配する遊星式の差動機構とを備え,前記第1出力軸には,前記第1筒軸に支持される第1ドライブ軸が,また前記第2出力軸には,前記第2筒軸に支持される第2ドライブ軸がそれぞれ連結される差動装置であって,前記リングギヤには,前記第1ケース側壁の外周端部が固着されると共に,前記入力板の外周端部が前記第1ケース側壁とは分離して嵌合連結されることを第1の特徴とする。
また本発明では,第1の特徴に加えて,前記差動機構の軸方向両端部が前記リングギヤ及び前記第2ケース側壁により支承されることを第2の特徴とする。
さらに本発明では,第1又は第2の特徴に加えて,前記リングギヤは,外周に歯部を形成したリム部と,該リム部から半径方向内方に延びるウェブ部とを有し,該ウェブ部の内周端部に,前記第1ケース側壁の外周端部が固着されると共に,前記入力板の外周端部が嵌合連結されることを第3の特徴とする。
さらにまた本発明では,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,前記リングギヤ及び前記入力板の嵌合連結がスプライン嵌合であることを第4の特徴とする。
さらにまた本発明では,第1〜第4の特徴の何れかに加えて,前記第1ケース側壁及び前記入力板間に設けられるスペースには,前記差動機構における偏心回転体と逆位相で前記第1出力軸に固設されるカウンタウエイトが配置されることを第5の特徴とする。
さらにまた本発明では,第1〜第5の特徴の何れかに加えて,前記差動機構は,前記第1出力軸に一体的に連設されて,前記主軸線から偏心した偏心軸線上に配置される偏心軸と,該偏心軸に回転可能に支持されて前記入力板に対向する遊星板と,前記遊星板に前記入力板とは反対側で対向し,前記第2出力軸と連結されながら軸方向の動きを前記第2ケース側壁により規制される出力板と,前記入力板の,前記遊星板に対向する一側面に設けられ,波数を8とする波形の第1伝動溝と,前記遊星板の,前記入力板に対向する一側面に設けられ,波数を6とする波形の第2伝動溝と,前記第1及び第2伝動溝の交差部で該両伝動溝に転動可能に係合される複数の第1伝動ボールと,前記遊星板の,前記出力板に対向する他側面に設けられ,波数を6とする波形の第3伝動溝と,前記出力板の,前記遊星板に対向する一側面に設けられ,波数を4とする波形の第4伝動溝と,前記第3及び第4伝動溝の交差部で該両伝動溝に転動可能に係合される複数の第2伝動ボールとを備え,前記入力板の外周端部外側面を支承する第1スラスト受け面が前記リングギヤに設けられる一方,前記出力板の内周端部外側面を支承する第2スラスト受け面が前記第2ケース側壁に設けられることを第6の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば,リングギヤには,前記第1ケース側壁の外周端部が固着されると共に,前記入力板の外周端部が前記第1ケース側壁とは分離して嵌合連結されることで,リングギヤから入力板に伝達されるトルクが第1ケース側壁には作用し難くなり,第1ケース側壁に求められる強度が軽減される。したがって第1ケース側壁の薄肉,軽量化が可能となり,延いては差動装置の軽量化及び低廉化に寄与し得る。
本発明の第2の特徴によれば,差動機構の軸方向両端部がリングギヤ及び第2ケース側壁により支承されることで,差動機構で発生するスラスト荷重が第1ケース側壁には作用し難くなり,第1ケース側壁の薄肉,軽量化を一層図ることができる。
本発明の第3の特徴によれば,リングギヤは,外周に歯部を形成したリム部と,該リム部から半径方向内方に延びるウェブ部とを有し,該ウェブ部の内周端部に,第1ケース側壁の外周端部が固着されると共に,入力板の外周端部が嵌合連結されるので,リム部からウェブ部を半径方向内方に延長させた分,入力板を必要最小限に小径化して,入力板の剛性強化を図ることができると共に,ウェブ部及び入力板の嵌合連結部の小径化により,それらの加工が容易となる。
本発明の第4の特徴によれば,リングギヤ及び入力板の嵌合連結がスプライン嵌合であるので,リングギヤから入力板へのトルク伝達を確実に行うことができると共に,スプライン嵌合部に存在する隙間により,差動機構の作動に伴なう入力板の半径方向の振動が吸収される。
本発明の第5の特徴によれば,第1ケース側壁及び入力板間のスペースを利用してカウンタウエイトの設置が可能となり,カウンタウエイト付きの差動装置のコンパクト化を図ることができる。
本発明の第6の特徴によれば,入力板の外周端部外側面を支承する第1スラスト受け面がリングギヤに設けられる一方,出力板の内周端部外側面を支承する第2スラスト受け面が第2ケース側壁に設けられることで,入力板及び出力板は,第1及び第2伝動ボールの移動軌跡の外周側及び内周側において第1及び第2スラスト受け面により安定的に支承されることになり,これにより第1及び第2伝動ボールの移動に伴ない発生するスラスト荷重による入力板,遊星板及び出力板の傾きや暴れを効果的に抑えて,差動機構のスムーズな作動を確保することができる。
本発明の実施例に係る差動装置の縦断正面図。 図1の2−2線断面図。 図1の3−3線断面図。 図1の4−4線断面図。 図1の5−5線断面図。
本発明の実施形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
図1において,差動装置Dは,自動車のミッションケース1内に変速装置と共に収容され,変速装置から出力される回転動力を,自動車の左右の駆動輪に連結される第1及び第2ドライブ軸S1,S2に分配することに供される。
この差動装置Dのデフケース2は,間隔を開けて互いに対向する左右一対の第1及び第2ケース側壁2a,2bと,これら第1及び第2ケース側壁2a,2bの外周端部間を連結するリングギヤ4とで構成される。したがって,リングギヤ4は,デフケース2の一構成要素となる。このリングギヤ4は,前記変速装置の出力ギヤ3と噛合して変速装置の出力を受けるようになっている。
第1及び第2ケース側壁2a,2bは,それぞれの外側方に突出して主軸線X1上に並ぶ第1及び第2筒軸5,6を一体に有しており,これら第1及び第2筒軸5,6が前記ミッションケース1に第1及び第2ボールベアリング7,8を介して回転自在に支持される。またこれら第1及び第2筒軸5,6により前記第1及び第2ドライブ軸S1,S2がそれぞれ回転自在に支持される。またミッションケース1には,第1及び第2ボールベアリング7,8の外側において第1及び第2ドライブ軸S1,S2の外周にそれぞれシールリップを密接させる第1及び第2オイルシール10,11が装着される。
リングギヤ4は,外周に歯部を形成したリム部4aと,このリム部4aの一端部から半径方向内方に延びる環状のウェブ部4bとよりなっており,ウェブ部4bの内周には,ウェブ部4bと一体の環状隔壁12を挟んで,ウェブ部4b外側に開口する第1嵌合孔13とウェブ部4b内側に開口する第1スプライン孔14とが設けられる。またリム部4aの他端部内周面には,有底の第2嵌合孔15が設けられる。そして第1嵌合孔13には第1ケース側壁2aの外周端部が,また第2嵌合孔15には第2ケース側壁2bの外周端部がそれぞれ嵌合され,各嵌合部が溶接される。こうしてデフケース2は構成される。
第1スプライン孔14には,環状の入力板17の外周に形成された第1雄スプライン18が嵌合される。即ち,入力板17は,第1ケース側壁2aとは分離してリングギヤ4に嵌合連結され,リングギヤ4から入力板17に回転動力が入力されるようになっている。
デフケース2には,上記入力板17と,第1ドライブ軸S1にスプライン嵌合して主軸線X1上に配置される第1出力軸19と,第2ドライブ軸S2にスプライン嵌合して主軸線X1上に配置される第2出力軸20と,入力板17に入力される回転動力を第1及び第2出力軸20に分配する遊星式の差動機構21とが収容される。
この差動機構21は,第1出力軸19に一体的に連設されて主軸線X1から所定距離e偏心した偏心軸線X2上に配置される偏心軸23と,この偏心軸23にベアリング9を介して回転自在に支持されて入力板17に対向する環状の遊星板24と,これら入力板17及び遊星板24間に介装される第1変速機構26と,遊星板24に,入力板とは反対側で対向する環状の出力板25と,これら遊星板24及び出力板25間に介装される第2変速機構27とを備えており,前記リングギヤ4の環状隔壁12の内側面が,入力板17の外周端部外側面を支承する第1スラスト受け面28となっている。
一方,出力板25の内周端部には,その外側方に開口する有底の第2スプライン孔30が設けられる。また第2出力軸20は,その内端部にフランジ20aを一体に有しており,このフランジ20aの外周に形成される第2雄スプライン31が上記第2スプライン孔30に嵌合される。こうして出力板25は主軸線X1上で第2出力軸20と連結される。
またフランジ20aの外側面は,環状のスラストワッシャ32を介して第2ケース側壁2bに形成される環状の第2スラスト受け面29に相対回転自在に当接する。これにより,出力板25の内周端部外側面は,フランジ20a及びスラストワッシャ32を介して第2スラスト受け面29に支承されることになる。
上記スラストワッシャ32は,第1スラスト受け面28及び入力板17の当接状態において,第2スラスト受け面29及びフランジ20a間の間隙を適正に調整するシムの役割をも果たす。
前記第1変速機構26は,図1及び図2に示すように,入力板17の,遊星板24に対向する側面に形成され,複数の波数を持つ波形で無端の第1伝動溝33と,遊星板24の,入力板17に対向する一側面に形成され,波数が第1伝動溝33より少ない複数の波数を持つ波形で無端の第2伝動溝34と,第1及び第2伝動溝33,34の重なり部においてその両伝動溝33,34に転動自在に介装されて等間隔に並ぶ複数の第1伝動ボール37と,入力板17及び遊星板24間に回転自在に介装されて第1伝動ボール37を保持する環状の第1リテーナ板39とで構成される。この第1リテーナ板39は,第1伝動ボール37と同数で同一円周上に等間隔に並ぶ保持孔39aを有しており,これら保持孔39aで第1伝動ボール37を回転自在に保持するようになっている。
また前記第2変速機構27は,図1,図3及び図4に示すように,遊星板24の,出力板25に対向する他側面に形成され,複数の波数を持つ波形で無端の第3伝動溝35と,出力板25の,遊星板24に対向する側面に形成され,波数が第3伝動溝35より少ない複数の波数を持つ波形で無端の第4伝動溝36と,第3及び第4伝動溝35,36の重なり部においてその両伝動溝35,36に転動自在に介装されて等間隔に並ぶ複数の第2伝動ボール38と,遊星板24及び出力板25間に回転自在に介装されて第2伝動ボール38を保持する環状の第2リテーナ板40とで構成される。この第2リテーナ板40は,第2伝動ボール38と同数で同一円周上に等間隔に並ぶ保持孔40aを有しており,これら保持孔40aで第1伝動ボール37を回転自在に保持するようになっている。
図示例では,第1伝動溝33及び第3伝動溝35は,無端のハイポサイクロイド曲線又はハイポトロコイド曲線に沿って形成され,第2伝動溝34及び第4伝動溝36は,無端のエピサイクロイド曲線又はエピトロコイド曲線に沿って形成される。そして第1伝動溝33及び第4伝動溝36は主軸線X1上に中心を置き,第2伝動溝34及び第3伝動溝35は偏心軸線X2上に中心を置いている。
以上において,第1伝動溝33の波数をZ1,第2伝動溝34の波数をZ2,第3伝動溝35の波数をZ3,第4伝動溝36の波数をZ4としたとき,第1〜第4伝動溝33〜36は下記(1)〜(3)式を満足させるように形成される。
(Z1/Z2)×(Z3/Z4)=2・・・・・(1)
Z1−Z2=2・・・・・・・・・・・・・・(2)
Z3−Z4=2・・・・・・・・・・・・・・(3)
したがって,具体的には,図示例のようにZ1=8,Z2=6,Z3=6,Z4=4とするか,Z1=6,Z2=4,Z3=8,Z4=6とすればよい。
而して,図示例では,8波の第1伝動溝33と6波の第2伝動溝34とは7箇所で重なり,この7箇所の重なり部においてその両伝動溝33,34に7個の第1伝動ボール37が介装され,また6波の第3伝動溝35と4波の第4伝動溝36とは5箇所で重なり,この5箇所の重なり部においてその両伝動溝35,36に5個の第2伝動ボール38が介装される。
次に図5において,前記第1ケース側壁2aの中間部を軸方向に膨出させることにより,第1ケース側壁2a及び入力板17間に環状のスペース42が設けられ,このスペース42に,第1出力軸19に固着されるカウンタウエイト43が収容される。このカウンタウエイト43は,第1出力軸19の回転時,カウンタウエイト43の重心G2に働く遠心力と,偏心軸23及び遊星板24を含む偏心回転体の重心G1に働く遠心力とが釣り合うように,主軸線X1を挟んで偏心軸23とは逆位相に配置される。このカウンタウエイト43は,第1出力軸19に嵌合,固着される薄肉のアーム部43aと,このアーム部43aの先端部に連設される厚肉のウエイト部43bとよりなっている。第1出力軸19及びアーム部43aの嵌合部には,相互の位置決め及び回転止めのための1又は複数の欠円部44が設けられる。また第1出力軸19には,アーム部43aの嵌合深さを規制する環状段部45が設けられる。そして第1出力軸19上でのアーム部43aの固着には溶接,サークリップ等が用いられる。
次に,この実施例の作用について説明する。
第1ドライブ軸S1を固定することで,第1出力軸19を不動状態にしておき,変速機の出力ギヤ3からリングギヤ4に回転動力が入力された場合を想定する。
出力ギヤ3からの入力によりリングギヤ4が回転すると,その回転は,互いに嵌合する第1スプライン孔14及び第1雄スプライン18を介して入力板17に伝達し,入力板17は主軸線X1周りに回転する。この入力板17の回転により,入力板17の8波の第1伝動溝33が遊星板24の6波の第2伝動溝34を第1伝動ボール37を介して駆動するので,入力板17は,8/6の増速比をもって遊星板24を偏心軸線X2周りに回転させる。この遊星板24の回転によれば,遊星板24の6波の第3伝動溝35が出力板25の第4伝動溝36を第2伝動ボール38を介して駆動するので,遊星板24は,6/4の増速比をもって出力板25を回転させる。結局,入力板17は,(Z1/Z2)×(Z3/Z4)=(8/6)×(6/4)=2の増速比をもって出力板25,したがって第2出力軸20を回転させることになる。
また,第2ドライブ軸S2を固定することで,第2出力軸20を不動状態にしておき,変速機の出力ギヤ3からリングギヤ4に回転動力が入力された場合を想定する。
リングギヤ4からの入力により入力板17が回転すると,入力板17の遊星板24に対する駆動と,遊星板24の,不動の出力板25に対する駆動反力とにより,遊星板24は,偏心軸23周りに自転しながら,主軸線X1周りに公転することにより,偏心軸23を主軸線X1周りに回転駆動する。その結果,入力板17は,2倍の増速比をもって第1出力軸19を回転させることになる。
これらのことは,差動機構21が,入力板17の回転数と,第1及び第2出力軸19,20の回転数の平均値とを常に等しくさせるという,差動機能を発揮し得ることを意味する。これにより差動機構21は,入力板17の回転動力を,第1及び第2出力軸19,20に,それらの負荷に応じて分配することができる。
この間,入力板17の回転トルクは,第1伝動溝33,複数の第1伝動ボール37及び第2伝動溝34を介して遊星板24に,また遊星板24の回転トルクは,第3伝動溝35,複数の第2伝動ボール38及び第4伝動溝36を介して出力板25にそれぞれ伝達されるので,入力板17と遊星板24,遊星板24と出力板25の各間では,トルク伝達が第1及び第2伝動ボール37,38が存在する複数箇所に分散して行われることになり,差動機構21の耐久性の向上と共にその軽量化を図ることができ,小型でありながら高負荷に耐え得る差動装置Dの提供に寄与し得る。
また,第1及び第2リテーナ板39,40は,複数の第1及び第2伝動ボール37,38を保持してそれらの等間隔配列を規制する他,トルク伝達中,一部の第1伝動ボール37又は第2伝動ボール38に暴れが生じたとき,他の複数の第1伝動ボール37又は第2伝動ボール38と協働して,上記一部の伝動ボールの暴れを抑制する役割を果たし,第1及び第2伝動ボール37,38によるスムーズなトルク伝達が確保される。
このような差動装置Dにおいて,リングギヤ4には,第1ケース側壁2aの外周端部が固着されると共に,入力板17の外周端部が第1ケース側壁2aとは分離して嵌合連結されるので,差動装置Dの作動中,リングギヤ4から入力板17に伝達されるトルクは第1ケース側壁2aには殆ど作用せず,第1ケース側壁2aに求められる強度が軽減される。したがって第1ケース側壁2aの薄肉,軽量化が可能となる。しかもリングギヤ4に嵌合連結される入力板17には,その単体状態において,リングギヤ4及び第1ケース側壁2a等に干渉されることなく,所望の剛性及び耐摩耗を自由に付与することが可能となる。これらにより差動装置Dの軽量化及び低廉化を図ることができる。
また,差動機構21の軸方向両端部がリングギヤ4の第1スラスト受け面28と,第2ケース側壁2bの第2スラスト受け面29とで支承されるので,差動機構21で発生するスラスト荷重は第1ケース側壁2aには殆ど作用せず,第1ケース側壁2aの薄肉,軽量化を一層図ることができる。
さらに,リングギヤ4において,歯部を有するリム部4aから半径方向内方に延びるウェブ部4bの内周端部に,第1ケース側壁2aの外周端部が固着されると共に,入力板17の外周端部が嵌合連結されるので,リム部4aからウェブ部4bを半径方向内方に延長させた分,入力板17を必要最小限に小径化して,入力板17の剛性強化を図ることができると共に,ウェブ部4b及び入力板17の嵌合連結部の小径化により,それらの加工が容易となる。
さらにまた,リングギヤ4及び入力板17の嵌合連結が図示例のように,前者の第1スプライン孔14と後者の第1雄スプライン18との嵌合により実施される場合には,リングギヤ4から入力板17へのトルク伝達を確実に行うことができると共に,第1スプライン孔14及び第1雄スプライン18間に存在する隙間に,差動機構21の作動に伴なう入力板17の半径方向の振動を吸収させ得る利点がある。
また,出力板25と第2出力軸20とは,前者の第2スプライン孔30と後者の第2雄スプライン31との嵌合により連結されるので,出力板25から第2出力軸20へのトルク伝達を確実に行うことができると共に,第2スプライン孔30及び第2雄スプライン31間に存在する隙間に,差動機構21の作動に伴なう出力板25の半径方向の振動を吸収させることができる。
さらにまた,第1ケース側壁2a及び入力板17間に設けられる環状のスペース42には,偏心軸23及び遊星板24を含む偏心回転体の回転アンバランスと釣り合わせるべく,もしくはその回転アンバランスを抑制すべく,第1出力軸19に固着されるカウンタウエイト43が収容されるので,第1ケース側壁2a及び入力板17間のスペース42を利用してカウンタウエイト43の設置が可能となり,カウンタウエイト43付きの差動装置Dのコンパクト化を図ることができる。
さらにまた,差動機構21において,図示例のように,入力板17の,遊星板24に対向する一側面に設けられ,波数を8とする波形の第1伝動溝33と,遊星板24の,入力板17に対向する一側面に設けられ,波数を6とする波形の第2伝動溝34と,第1及び第2伝動溝33,34の交差部でその両伝動溝33,34に転動可能に係合される複数の第1伝動ボール37と,遊星板24の,出力板25に対向する他側面に設けられ,波数を6とする波形の第3伝動溝35と,出力板25の,遊星板24に対向する一側面に設けられ,波数を4とする波形の第4伝動溝36と,第3及び第4伝動溝35,36の交差部でその両伝動溝35,36に転動可能に係合される複数の第2伝動ボール38とを採用する場合には,入力板17,遊星板24及び出力板25において,入力板17を最大径,出力板25を最小径に設定することができる。
そこで,最大径の入力板17の外周端部外側面が,リングギヤ4の第1スラスト受け面28で支承される一方,最小径の出力板25の内周端部外側面が第2出力軸20のフランジ20a及びスラストワッシャ32を介して第2ケース側壁2bの第2スラスト受け面29で支承されるので,入力板17及び出力板25は,第1及び第2伝動ボール37,38の移動軌跡の外周側及び内周側において第1及び第2スラスト受け面28,29により安定的に支承されることになり,これにより第1及び第2伝動ボール37,38の移動に伴ない発生するスラスト荷重による入力板17,遊星板24及び出力板25の傾きや暴れを効果的に抑えて,差動機構21のスムーズな作動を確保することができる。
次に,潤滑系について説明する。
第1及び第2ケース側壁2a,2bには,デフケース2及びミッションケース1間で潤滑オイルを流通させる第1及び第2オイル孔47,48が設けられる。一方,第1及び第2筒軸5,6の,第1及び第2ドライブ軸S1,S2がそれぞれ回転接触する内周面には,その軸方向全長にわたり複数条の第1及び第2螺旋溝49,50が形成される。これら第1及び第2螺旋溝49,50は,図示例では捩れ方向が互いに逆に設定されているが,同方向に設定してもよい。
而して,自動車の旋回走行時,デフケース2と第1及び第2出力軸19,20との各間に回転差が生じると,デフケース2の第1筒軸5と第1ドライブ軸S1,第2筒軸6と第2ドライブ軸S2の各間に相対回転が生じることで,第1及び第2筒軸5,6の内周面の第1及び第2螺旋溝49,50が,ねじポンプ作用を発揮する。したがって,第1ドライブ軸S1又は第2ドライブ軸S2の正転時には,ミッションケース1内から第1ボールベアリング7又は第2ボールベアリング8を潤滑しながら通過したオイルが第1螺旋溝49又は第2螺旋溝50により第1筒軸5又は第2筒軸6内側方,即ちデフケース2内に移送され,差動機構21の各部を潤滑する。デフケース2内に一定量以上のオイルが溜まれば,第1及び第2ケース側壁2a,2bの第1及び第2オイル孔47,48からミッションケース1へと溢れ出る。またミッションケース1内で発生する飛沫オイルが第1及び第2オイル孔47,48を通してデフケース2内に入り,差動機構21の各部を潤滑することもある。
一方,第1ドライブ軸S1又は第2ドライブ軸S2の逆転時には,デフケース2内のオイルが第1螺旋溝49又は第2螺旋溝50により第1筒軸5又は第2筒軸6の外側方に移送され,第1ボールベアリング7又は第2ボールベアリング8の潤滑に供される。
尚,本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば,第1及び第2ケース側壁2a,2bのリングギヤ4への固着にはボルトを用いることもできる。また出力板25は,第2出力軸20と一体化することもできる。この場合は,出力板25の内周端部外側面は,スラストワッシャ32のみを介して第2ケース側壁2bの第2スラスト受け面29に支承されることになる。
また差動装置Dは,前,後輪駆動車両における前,後輪駆動用の中央差動装置(センタデフ)に適用することもできる。
D・・差動装置,S1・・第1ドライブ軸,S2・・第2ドライブ軸,X1・・主軸線,X2・・偏心軸線,1・・ミッションケース,2・・デフケース,2a・・第1ケース側壁,2b・・第2ケース側壁,4・・リングギヤ,5・・第1筒軸,6・・第2筒軸,17・・入力板,19・・第1出力軸,20・・第2出力軸,21・・差動機構,23・・偏心軸,24・・遊星板,25・・出力板,28・・第1スラスト受け面,29・・第2スラスト受け面,33・・第1伝動溝,34・・第2伝動溝,35・・第3伝動溝,36・・第4伝動溝,37・・第1伝動ボール,38・・第2伝動ボール,42・・スペース,43・・カウンタウエイト

Claims (6)

  1. 主軸線上でミッションケースに回転可能に支持される第1及び第2筒軸をそれぞれ中心部に形成した第1及び第2ケース側壁を有するデフケースと,該デフケースに結合されて外部から回転動力を入力されるリングギヤと,前記デフケース及びリングギヤと一体回転する入力板と,前記デフケース内で前記主軸線上に配置される第1及び第2出力軸と,前記デフケースに収容され,前記リングギヤから前記入力板に伝達される回転動力を前記第1及び第2出力軸に分配する遊星式の差動機構とを備え,前記第1出力軸には,前記第1筒軸に支持される第1ドライブ軸が,また前記第2出力軸には,前記第2筒軸に支持される第2ドライブ軸がそれぞれ連結される差動装置であって,
    前記リングギヤには,前記第1ケース側壁の外周端部が固着されると共に,前記入力板の外周端部が前記第1ケース側壁とは分離して嵌合連結されることを特徴とする差動装置。
  2. 請求項1項に記載の差動装置であって,
    前記差動機構の軸方向両端部が前記リングギヤ及び前記第2ケース側壁により支承されることを特徴とする差動装置。
  3. 請求項1又は2に記載の差動装置であって,
    前記リングギヤは,外周に歯部を形成したリム部と,該リム部から半径方向内方に延びるウェブ部とを有し,該ウェブ部の内周端部に,前記第1ケース側壁の外周端部が固着されると共に,前記入力板の外周端部が嵌合連結されることを特徴とする差動装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の差動装置であって,
    前記リングギヤ及び前記入力板の嵌合連結がスプライン嵌合であることを特徴とする差動装置。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の差動装置であって,
    前記第1ケース側壁及び前記入力板間に設けられるスペースには,前記差動機構における偏心回転体と逆位相で前記第1出力軸に固設されるカウンタウエイトが配置されることを特徴とする差動装置。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の差動装置であって,
    前記差動機構は,前記第1出力軸に一体的に連設されて,前記主軸線から偏心した偏心軸線上に配置される偏心軸と,該偏心軸に回転可能に支持されて前記入力板に対向する遊星板と,前記遊星板に前記入力板とは反対側で対向し,前記第2出力軸と連結されながら軸方向の動きを前記第2ケース側壁により規制される出力板と,前記入力板の,前記遊星板に対向する一側面に設けられ,波数を8とする波形の第1伝動溝と,前記遊星板の,前記入力板に対向する一側面に設けられ,波数を6とする波形の第2伝動溝と,前記第1及び第2伝動溝の交差部で該両伝動溝に転動可能に係合される複数の第1伝動ボールと,前記遊星板の,前記出力板に対向する他側面に設けられ,波数を6とする波形の第3伝動溝と,前記出力板の,前記遊星板に対向する一側面に設けられ,波数を4とする波形の第4伝動溝と,前記第3及び第4伝動溝の交差部で該両伝動溝に転動可能に係合される複数の第2伝動ボールとを備え,
    前記入力板の外周端部外側面を支承する第1スラスト受け面が前記リングギヤに設けられる一方,前記出力板の内周端部外側面を支承する第2スラスト受け面が前記第2ケース側壁に設けられることを特徴とする差動装置。
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