JP2023066505A - 強化繊維束の幅制御方法 - Google Patents

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【課題】連続走行する強化繊維束を高速に所望の矩形断面に整え、かつ、該強化繊維束に付着したサイジング剤の剥落・拡散を最小限に抑え、高速かつ高品位に強化繊維束を整形する幅制御方法を提供する。【解決手段】連続的に走行する、サイジング剤が付着した強化繊維束を、所望の幅に制御する方法であって、前記強化繊維束に対して5重量%~25重量%の、常圧下において前記サイジング剤の熱分解温度未満の沸点を有する液体を付与した状態で該強化繊維束を押圧する押圧工程を含む、強化繊維束の幅制御方法。【選択図】図3

Description

本発明は、繊維強化プラスチックの製造に供する、強化繊維束の幅制御方法に関する。
繊維強化プラスチックは、ガラス繊維や炭素繊維といった強化繊維に対し、熱可塑もしくは熱硬化性のポリマ、および硬化剤等からなるマトリクス樹脂を含浸させ、該マトリクス樹脂を硬化させることによって製造できる。該繊維強化プラスチックの製造にあたり、前記強化繊維の単糸を多数引揃えてなる強化繊維束に対し、前記マトリクス樹脂もしくは成形時の機械的特性を向上させる強化樹脂を予め付与した、強化繊維中間基材が用いられることがある。該強化繊維中間基材の例としては、強化繊維束の内部に予めマトリクス樹脂を含浸させた、所謂プリプレグと呼ばれるものや、強化繊維束の表面にバインダを付与することで形態を固定化し、後の成形工程においてマトリクス樹脂を注入して強化繊維束内部に含浸させる、RTM(=Resin Transfer Molding;樹脂注入)成形用基材などが挙げられる。
繊維強化プラスチックの機械的特性や生産性を向上させるため、中間基材は、その長手方向に直行する断面が、所望の幅と厚みを有した矩形に整えられていることが好ましく、すなわち、中間基材の製造に用いられる強化繊維束もその長手方向断面において、所望の幅に引揃えられていることが求められる。一方で、通常の強化繊維束においては、搬送時の毛羽立ちを抑え、かつ、形態安定性を高めるために、サイジング材と呼ばれる油剤が、強化繊維束の表面および単糸間に付着しており、これによって、強化繊維束の幅制御を試みた際に、これを阻害し元の形態に復元する力が働く。強化繊維束の幅制御を行うためには、従来は、バー部材を用いたしごきや、空気噴流を用いる方法が一般的であったが、この強化繊維側の復元力のために、これらの方法では十分な幅制御効果が得られないか、もしくは、強化繊維単糸が損傷し歩留まりを悪化させる、という問題があった。したがって、強化繊維束を所望の幅に制御するには、拡幅もしくは狭幅制御する前段階として、サイジング材による強化繊維単糸どうしの拘束を解放する技術が重要である。
サイジング剤による強化繊維単糸の拘束を解放する手段としては、一般に、加熱によるものと浴浸漬によるものとが知られている。加熱による拘束解除は、強化繊維束を加熱することでサイジング剤を軟化させ、流動状態にすることで、強化繊維単糸の拘束を解除する方法であり、加熱された強化繊維束を所望の幅となるよう処理した後、冷却することで再び強化繊維単糸を拘束する。また、浴浸漬による拘束解除は、例えば、水の浴中に強化繊維束を浸漬させ、強化繊維単糸間に水が含浸することで、水の潤滑作用により強化繊維単糸の拘束を解除する方法であり、水が強化繊維束に含浸している状態で強化繊維束を所望の幅となるよう処理した後、乾燥させることで再び強化繊維単糸を拘束する。
しかしながら、上述の方法にはそれぞれ下記の問題によって、強化繊維中間基材を製造する際の生産性の低下や、品質の不安定化を引き起こし、以って、繊維強化プラスチックの性能低下および製造コスト増大を引き起こしていた。
すなわち、上述の加熱による方法では、サイジング剤が十分な流動性を得るまでに必要な昇温量が大きく、走行する強化繊維束に対し連続処理を行うにあたり、強化繊維束の加熱に長時間を要する。したがって、加熱時間を確保するため、強化繊維束の搬送速度を低下させる、もしくは、強化繊維束を加熱する領域を大きく取る必要があった。そのため、強化繊維束の搬送速度低下に伴う生産効率の低下、または、長大な加熱領域を設けることによる製造機器費の増大を引き起こし、強化繊維中間基材の製造コスト増大につながるという問題があった。
また、浴浸漬による方法では、強化繊維束内に浴液が含浸した時点で解繊効果が発現するため、前記加熱による解繊方法に比べ、高速に解繊効果を得ることができる。一方で、幅処理後に強化繊維単糸どうしを再拘束するために、強化繊維束を乾燥させ、含浸した浴液を除去する必要がある。したがって、強化繊維束の乾燥の加熱に要する昇温量によって、上述の加熱による解繊と同じく、強化繊維中間基材の製造コスト増大につながっていた。
こうした問題を解消しうる技術として、特許文献1には、走行する強化繊維束に過熱水蒸気を曝露させることにより、サイジング剤を除去し、強化繊維単糸間の拘束を解放する方法が開示されている。特許文献1によると、本手法により、溶剤等を使用することなく、高速に強化繊維単糸間の拘束を解放し、以って効率的に強化繊維束の開繊が行えると記載されている。
特許第5912809号
前述の浴浸漬による方法では、強化繊維束に付着したサイジング剤が、浴中へ拡散する恐れがあり、それによって、処理後の強化繊維束に付着しているサイジング剤の量を管理し難いという問題もある。これにより、幅制御処理後の強化繊維束の品質が不安定となり、搬送時の毛羽立ち量の増大や、後工程で付与するマトリクス樹脂の付着性悪化といった、品質の不安定化を引き起こす恐れがある。該拡散を防止するための方法には、サイジング剤と同組成の浴液に浸漬するという方法もあるが、浴液の成分管理の工程が新たに必要となるほか、浴液成分の揮発による作業環境悪化も懸念される。特許文献1に記載の方法は、過熱水蒸気への曝露によって、強化繊維束中のサイジング剤を熱分解温度以上に加熱・除去するとあるが、該方法によって、サイジング剤を除去することで、強化繊維束とマトリクス樹脂との付着性を制御するために必要なサイジング剤を、新たに付与する必要があり、後工程にて、サイジング剤を付与する処理が必要となるほか、さらに、強化繊維束内部のサイジング剤までを完全に除去しない限り、熱変性したサイジング剤が強化繊維束に残留することとなり、前記熱変性したサイジング剤によって、幅制御処理後の強化繊維束の品質が不安定となるため、上述した幅制御処理後の強化繊維束の品質管理が困難であるという問題は解消されていなかった。
本発明における課題は、連続走行する強化繊維束を高速に所望の矩形断面に整え、かつ、該強化繊維束に付着したサイジング剤の剥落・拡散を最小限に抑える、すなわち、高速かつ高品位に強化繊維束を整形する幅制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る強化繊維束の幅制御方法は以下の(1)~(12)からなる。
(1)連続的に走行する、サイジング剤が付着した強化繊維束を、所望の幅に制御する方法であって、前記強化繊維束に対して5重量%~25重量%の、常圧下において前記サイジング剤の熱分解温度未満の沸点を有する液体を付与した状態で該強化繊維束を押圧する押圧工程を含む、強化繊維束の幅制御方法。
(2)(1)に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記強化繊維束を、前記液体の常圧下における沸点±25℃の範囲、かつ前記サイジング剤の熱分解温度未満に加熱した状態で前記押圧を行う、強化繊維束の幅制御方法。
(3)(1)または(2)に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記強化繊維束を霧状の前記液体に曝露することにより前記液体の付与を行う、強化繊維束の幅制御方法。
(4)(3)に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記強化繊維束を霧状の前記液体を充満させた空間を通過させることにより前記液体への曝露を行う、強化繊維束の幅制御方法。
(5)(4)に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記霧状の液体を充満させた空間内で前記押圧を行う、強化繊維束の幅制御方法。
(6)(5)に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、強化繊維束を前記霧状の液体を充満させた空間内に設置された擦過バーを通過させることにより前記押圧を行う、強化繊維束の幅制御方法。
(7)(3)~(6)のいずれかに記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記液体を加熱することにより霧状の前記液体を生成する、強化繊維束の幅制御方法。
(8)(1)~(7)のいずれかに記載の強化繊維束の幅制御方法であって、さらに、強化繊維束に付与した前記液体を除去する乾燥工程を有する、強化繊維束の幅制御方法。
(9)(8)に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、液体の沸点以上に昇温された加熱部材に強化繊維束を接触させることにより前記乾燥工程における乾燥を行う、強化繊維束の幅制御方法。
(10)(1)~(9)のいずれかに記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記液体が水を主成分とする液体である、強化繊維束の幅制御方法。
(11)(10)に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記強化繊維束を、75℃~125℃に加熱して霧状にした前記水を主成分とする液体に曝露することにより前記液体の付与を行う、強化繊維束の幅制御方法。
(12)(1)~(11)のいずれかに記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記強化繊維束を構成する強化繊維が炭素繊維である、強化繊維束の幅制御方法。
(13)(1)~(12)のいずれかに記載の強化繊維束の幅制御方法を用いる工程を含む、強化繊維中間基材の製造方法。
(14)前記強化繊維束の幅制御方法を用いる工程の直後に、強化繊維束にバインダを付与し、その形状を固定する工程を有する、(13)に記載の強化繊維中間基材の製造方法。
(15)強化繊維束の表面が支持体に接触しながら走行している状態で前記バインダの付与を行う、(14)に記載の強化繊維中間基材の製造方法。
(16)前記バインダが熱可塑性樹脂の粒子または布帛である、(14)または(15)に記載の強化繊維中間基材の製造方法
(17)前記強化繊維束の幅制御方法を用いて複数の強化繊維束の幅を制御し、かつ、前記複数の強化繊維束をその幅方向に一定の間隙を有するよう配列した状態とし、その直後に、隣接する強化繊維束同士を前記の付与により結合することで、前記複数の強化繊維束それぞれの幅を固定すると同時に、前記複数の強化繊維束同士の間隙を一定に保った強化繊維中間基材を得る、(14)~(16)のいずれかに記載の強化繊維中間基材の製造方法。
本開示に係る強化繊維束の幅制御方法を用いれば、連続走行する強化繊維束を高速に所望の矩形断面に整え、かつ、該強化繊維束に付着したサイジング剤の剥落・拡散を最小限に抑えることにより、高速かつ高品位に連続強化繊維束を整形することができる。
幅制御前の強化繊維束の長手方向断面の模式図 曝露槽の透視模式図 本発明に係る強化繊維束の幅制御工程の一実施形態を示す模式図 本発明に係る強化繊維束の幅制御工程を用いた、バインダ付与基材製造工程の一実施形態を示す模式図 本発明に係る強化繊維束の幅制御工程を用いた、バインダ付与基材製造工程の一実施形態を示す模式図 本発明に係る強化繊維束の幅制御工程を活用して製造する、間隙シート基材の一実施形態の模式図
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の理解を容易にするためのものであって、本開示を何ら限定するものではない。ただし、当業者には容易に理解されるよう、個々の実施形態における好ましい態様やバリエーションについての言及は、同時に本開示の上位概念としての強化繊維束の幅制御方法の説明と解釈し得るものである。また、本明細書において、「~」はその上限および下限の値を含む範囲を表すものとする。
図1Aに、幅制御前の強化繊維束の長手方向断面の模式図を示す。強化繊維束10aは、複数の強化繊維単糸11と、前記強化繊維単糸11の表面に付着したサイジング剤12から構成される。サイジング剤12は、強化繊維単糸11同士を結着することで、強化繊維束10aの束形状を保持している。ここで、強化繊維束10aのある長手方向断面に存在するサイジング剤12が、当該断面に存在する全ての強化繊維単糸11を結着および保持している必要はなく、強化繊維単糸11の長手方向どこかで隣接する強化繊維単糸11同士がサイジング剤12によって保持されていれば、強化繊維束10aの束形態を巨視的に保持することができる。
ここで、本開示に係る強化繊維束の幅制御方法は、強化繊維束に対して5重量%~25重量%の液体を付与した状態で強化繊維束を押圧する押圧工程を含むことを特徴とする。図1Bに、前記重量%範囲の液体を付与した場合の、強化繊維束の長手方向断面に係る模式図を示す。強化繊維束10bは、強化繊維束10bの全体に対し、5重量%~25重量%の液体13を付与したものである。液体13が、強化繊維単糸11同士が配列された際の間隙に入り込み、潤滑剤として機能することによって、サイジング剤12による強化繊維束の形態保持力が低減される。すなわち、強化繊維束10bは強化繊維束10aに比して、強化繊維単糸11の拘束が解放された、束としての幅を制御しやすい状態となる。前記強化繊維束10bに対し、押圧を与えることで、強化繊維束10b内の強化繊維単糸11が容易に再配列および整列せしめられ、強化繊維束10bの幅を容易に制御することが可能となる。
ここで、強化繊維束に付与する液体の量が5重量%よりも少ない場合、液体が強化繊維単糸に及ぼす潤滑効果が十分に得られず、強化繊維束の幅を制御することができない。一方で、25重量%を超える液体を強化繊維束に付与した場合においては、図1Cに示すように、付与した液体13が強化繊維束10cの内部だけでなく、表面にも染み出し、液体13の表面張力が強化繊維束10cを収縮するように作用するため、押圧工程で所望の幅に制御した強化繊維束の形態を維持できなくなり、やはり、強化繊維束の幅を制御できない。同時に、多量の液体13を強化繊維束10cに付与した場合、強化繊維束10cが付与した液体13を保持しきることができず、液体13とサイジング剤12とが混在した、溶出液14が放出され、強化繊維束10cの外部に溶出する。したがって、強化繊維束内の強化繊維単糸間に潤滑効果をもたらし、かつ、強化繊維束の表面に染み出さないため、前記液体13を付与する際の重量範囲は、5重量%~25重量%が好適である。
本開示における幅制御方法は、従来の幅制御方法に対して、高速性と品位および品質安定性に優れるという特徴がある。例えば、加熱による方法では、上述の通り、強化繊維束中のサイジング剤が軟化するまでに要する時間によって、幅制御に要する時間が増大していたが、本開示に係る幅制御方法では、液体13による潤滑によって、サイジング剤12の加熱・軟化を待つことなく、強化繊維束10bの幅制御が可能な状態とできる。また、浴浸漬による方法では、強化繊維束に多量の液体が付与されるため、上述した、液体の表面張力による強化繊維束の収縮や、強化繊維束から液体が放出されることによるサイジング剤の漏出が生じ、幅制御の品位が低下してしまう。さらに、引用文献1に示される、過熱水蒸気による方法においては、強化繊維束をサイジング剤の熱分解温度以上に加熱されるため、サイジング剤の除去による幅制御処理後の形態保持性の低下が生じるほか、サイジング剤の熱変性物、もしくは、サイジング剤が熱分解した際に生じた残留物が、強化繊維束中に生じることによって、幅制御処理後の強化繊維束の品位の低下、および、品質の不安定化を引き起こす。
ここで、本開示において、強化繊維束に付与する液体の常圧下における沸点±25℃、かつ、サイジング剤12の熱分解温度未満に加熱した状態で、前記押圧工程を行うことで、前記液体による強化繊維単糸の潤滑効果と、加熱によるサイジング剤の軟化効果を同時に得ることができ、より好適である。常圧環境下において前記液体を沸点以上に加熱すると、前記液体が沸騰し気化するが、沸点+25℃以下であれば、強化繊維束に触れた際に、強化繊維束への放熱により温度が低下するとともに、強化繊維束と接触および通過しようとする際の背圧により蒸気圧が当該温度における飽和蒸気圧以下となることで、気化状態から凝縮して液体に戻るため、常圧下における沸点以上の温度であっても、液体による強化繊維単糸の潤滑効果を得ることができる。一方で、加熱によって前記サイジング剤の熱分解温度を越えてしまうと、強化繊維束からサイジング剤が失われてしまい、成形時の物性に影響を及ぼす恐れがあるため、加熱する際の温度は、前記サイジング剤の熱分解温度未満とすることが好ましい。
また、本開示において、強化繊維束に液体を付与する際、強化繊維束を霧状の前記液体に曝露することで、強化繊維束の断面内に均一に液体を分散させることができ、液体による強化繊維単糸の潤滑効果を高めることができるため、より好適である。ここで、霧状とは、完全に沸騰し気化した状態でなく、粒径200μm未満の液滴が強化繊維束の周囲雰囲気中に分散している状態を指し、完全に気化しない範囲においては、前記液体の粒径は小さい方が強化繊維単糸により均一に付与できるため、さらに好ましい。
このような霧状の液体を得るための手段には、前記液体に超音波等の高速な微振動を与える方法や、前記液体を一旦加熱して蒸気とした後に凝集させる方法などがあるが、上述の加熱によるサイジング剤の軟化効果を併せて得ることができるため、液体の加熱によって霧状の液体を生成する方法がより好ましい。
図2は、霧状の液体13bを内部の空間に充満させ、強化繊維束がその中を通過するよう搬送することによって強化繊維束に前記液体13を付与するための曝露槽21の透視模式図である。このような曝露槽を用いて霧状の液体を曝露することで、霧状の液体を容易に管理することができ、品質安定性の面からさらに好適である。
ここで、図2に示す曝露槽21は、強化繊維束が進入および脱出するためのスリット部22と、液体13を供給するための供給口23と、液体13を加熱し霧状の液体13bを生成する霧発生部24とを備えている。曝露槽は、このようなスリット部を備え、かつ、霧状の液体を充満させるための構造を有していれば、その他の形状や構造について特に限定されるものではないが、前記液体の使用量を最小限に抑えるために、曝露槽のサイズは可能な限り小さいことが好ましい。
ここで、使用する強化繊維束と曝露槽21との擦過によって強化繊維束10が損傷しないよう、前記スリット部22の開口形状は、強化繊維束の長手方向断面形状よりも大きいことが好ましく、一方で、前記霧状の液体13bが槽外に漏出する量を最少化するため、スリット部22の形状は小さいことが好ましい。具体的には、通過する強化繊維束の幅に対して0.1~3.0mm程度大きく、同じく、強化繊維束の厚みに対して、0.1~1mm程度大きいことが好ましい。
さらに、確実に強化繊維単糸の拘束が解放された状態で幅制御を行うため、前記曝露槽内で液体を付与された強化繊維束に対し、同じく曝露槽内、すなわち液体を充満させた空間内で押圧工程を実施することがより好ましく、前記曝露槽内に押圧工程を行う押圧部材が備わっていることが好ましい。前記押圧部材は、強化繊維束に対して押圧を付与することで、強化繊維束内の強化繊維単糸の再整列を促し、所望の幅に整形することができれば、その方式や構成について特に限定されるものではなく、例えば、強化繊維束に接触した状態で押圧部材が振動することで押圧を行うものであっても良く、強化繊維束に対して噴流を与えることで、気流による押圧解繊を行うものであっても良い。
一方で、上述したように、前記曝露槽のサイズは可能な限り小さいことが、液体の使用量削減の観点から好ましく、したがって、前記押圧部材も可能な限り小さく簡素な構成であることが好ましい。
上述の要求を満たすための押圧部材としては、図2に示す擦過バー31が挙げられる。擦過バー31は、曝露槽21の内部かつ、強化繊維束が通過するパスライン上に設置され、かつ、押圧部32を有し、強化繊維束と押圧部32とが接触するよう構成される。前記押圧部32は、所望の強化繊維束に合わせた幅と一定の曲率半径を有する一様な円筒接触面33と、処理する強化繊維束の厚みよりも大きい立ち壁34からなる。該構成において、曝露槽21に侵入した強化繊維束10は、内部に充満した霧状の液体13bを付与された後、パスライン上に突出した擦過バー31に接触し、強化繊維束に付与されている搬送張力によって押し付けられつつ擦過バー31を通過する。擦過バー31に押し付けられた強化繊維束10は、受ける押圧を最少化するため、含有する強化繊維単糸が円筒接触面33の幅方向に均一分散するよう、開繊し、結果として所望の幅に制御される。
ここで、擦過バー31の材質は特に限定されるものではなく、金属や合成樹脂などから自由に選択することができるが、霧状の液体13bが充満した槽内に設置されることから、該液体に対する耐腐食性に優れた材質が好ましく、同時に、強化繊維束が押し付けられ擦過されることから、耐摩耗性に優れた材質であることが好ましい。具体的には、ステンレス鋼に硬質クロムメッキ等の硬質化表面処理を施したものや、超硬合金、セラミック等が好ましい。
また、曝露槽21の容積、幅制御する強化繊維束10bの耐擦過性および目標の搬送張力、目標とする幅寸法から円筒接触面33の寸法や構成諸元を決定することが好ましく、条件によって擦過バー31を複数配列しても良いが、その際は、擦過バー31同士を近接させることで強化繊維束が自由になる区間を最少化させるため、隣接する擦過バー31同士で接触円筒面の凸方向が逆となるよう千鳥状に配列されることがより好ましい。円筒接触面33の幾何的な円弧中心から見た、強化繊維束と円筒接触面33が接触する領域の円弧角度、所謂抱き角θと、円筒接触面33に接触する時点の強化繊維束10bの搬送張力T0と、円筒接触面と強化繊維束との摩擦係数μによって、円筒接触面33から離れた時点の搬送張力T1は、オイラーのベルト理論に従って下式(1)で表される。T1=T0×e^(μ×θ) ・・・(1)(eはネイピア数)
また、強化繊維束10bの幅Wと、円筒接触面33の曲率半径rと、上式(1)の張力T1により、強化繊維束10bが円筒接触面33へ押し付けられる際の押圧pは、下式(2)で表される。p=T1/(r×W) ・・・(2)
さらに、強化繊維束10bの搬送速度Vと、上式(1)および(2)で用いた曲率半径rと抱き角θにより、強化繊維束10bと円筒接触面33とが接触している時間tは下式(3)で表される。t=(r×θ)/V ・・・(3)
ここで、強化繊維束の幅制御において、強化繊維単糸が再配列される時間、すなわち、上式(3)の接触時間tを確保することが重要であり、また、強化繊維単糸が再配列される速度は上式(2)の押圧pに依存する。したがって、強化繊維束の幅制御を高速化するためには、接触時間tと押圧pをそれぞれ十分な値確保することが重要であり、そのためには、上式(1)~(3)より、抱き角θを大きくとることが重要である。
一方で、円筒接触面33と接触している時間、すなわち、強化繊維束10bの幅を整えている時間を確保し、かつ、曝露槽21を小型化するため、円筒接触面33の曲率半径は、5mm~50mmの範囲であることが好ましい。さらに、強化繊維束10の幅を制御する時間を確保するために、強化繊維束10と円筒接触面33とが接する時間は、少なくとも2秒以上確保されることが好ましい。
さらに、幅制御した強化繊維束を、その断面形状を固定し、任意の後工程に活用するため、上述の押圧工程の後に、強化繊維束から付与した液体を除去する、乾燥工程があることが好ましい。前記乾燥工程により、強化繊維束に付与された液体が除去されることで、強化繊維単糸間の潤滑作用が失われ、同時に、サイジング剤によって強化繊維単糸同士が決着されることで、強化繊維束の形態が保持されるようになり、後工程での取扱性を向上させることができる。ここで、乾燥工程における液体の除去については、強化繊維束中に含まれる前記液体の量が、強化繊維束に対して5重量%を下回ることが必要であり、強化繊維束の形態保持能力を高めるためにも、1重量%未満であることが好ましく、0.1重量%未満であることがより好ましい。乾燥工程の手段については特に限定されるものではなく、例えば、加熱による方法や、真空乾燥による方法、温風吹付による方法などから自由に選択および組み合わせることができる。
一方で、前記押圧工程にて所望の値に制御した強化繊維束の幅を、より確実に維持して乾燥させるため、液体の沸点以上に昇温された加熱部材に強化繊維束を接触させることにより前記乾燥工程を行うことがより好ましい。乾燥工程において、強化繊維束から前記液体が順次蒸発していく際、強化繊維束内で液体の蒸発が均一に生じたならば、強化繊維束はその断面形状を保持したまま乾燥されるが、実際には、強化繊維束内での乾燥速度に斑があり、束表面は内部に対してより早く乾燥し、また、束の端部は中央部に対してより早く乾燥する。この乾燥速度の斑に起因する液体の凝集によって、乾燥工程中の強化繊維束は、幅方向に収縮され、すなわち、押圧工程で制御した強化繊維束の幅よりも、乾燥工程後の強化繊維束の幅は小さく変化する。この変化を抑制するためには、乾燥工程中の強化繊維束を、摩擦等で保持しておくことが有効であり、その手段として、加熱乾燥バーに接触させながら乾燥する方法が好適である。
加熱乾燥バーは、押圧工程の下流に設置され、強化繊維と接触する乾燥面と、強化繊維束の端部と接し、かつ、強化繊維束の厚みよりも大きい立壁を有し、また、強化繊維束に付与された液体の沸点以上に加熱される。加熱乾燥バーの乾燥面は、所望の強化繊維束の幅で、一定の曲率を有する円筒面からなり、また、前記乾燥面は強化繊維束のパスライン上に前記円筒面の凸部が向くよう設置される。加熱乾燥バーに接触した強化繊維束は、前記乾燥面に沿って進行し、強化繊維束と乾燥面との接触箇所にて、強化繊維束に付与された液体の沸点以上に加熱される。このとき、加熱乾燥バーと強化繊維束の表面との間には摩擦力が生じており、この摩擦力が、上述した強化繊維束に生じる収縮力に対する抗力として働くため、乾燥工程における強化繊維束の収縮を抑制することができる。
ここで、加熱乾燥バーの材質は、特に限定されるものではないが、強化繊維束との接触および擦過が生じた際に摩耗しないよう、高硬度の表面を有していることが好ましく、また、より高速に強化繊維束を乾燥できるよう、多孔質体であることがより好ましい。さらに、乾燥バーの乾燥面形状は、特に限定されるものではなく、平面でも曲面でも良いが、確実に強化繊維束と接触できるよう、一律な曲率を有する円筒面であることが好ましい。また、乾燥工程における強化繊維束の損傷、および、工程張力の過大な上昇を抑制するため、前記乾燥面の円弧角度は小さい方が好ましい一方で、乾燥時間中に強化繊維束と接触し続けるため、前記乾燥面の円弧長は長い方が好ましい。したがって、上述の条件を満たすため、前記乾燥面の曲率半径は大きいことが好ましく、具体的には、半径50mm以上が好ましく、半径100mm以上であることがより好ましい。
ここで、強化繊維束に付与する液体は、常温環境下にて液体であり、かつ、常圧下において強化繊維束に含まれるサイジング剤の熱分解温度未満の沸点を有するものであれば、特に限定されず、水や油、有機溶剤などから自由に選択でき、単体の物質であっても混合物であっても良いが、入手コストや使用時の安全性を鑑みて、水を主成分とする液体であることが好ましく、具体的には、液体の99重量%以上が水であることが好ましい。また、水を主成分とした液体を強化繊維束に付与する際には、槽内で75℃~125℃の範囲に加熱し、霧状の、いわゆる湯気の状態としたうえで、強化繊維束に曝露させることがより好ましい。
また、本開示に係る幅制御方法に用いる強化繊維は、サイジング剤が付与された束状の連続繊維であれば特に限定されるものでなく、ガラス繊維や炭素繊維などの他、アラミド繊維や金属繊維、天然繊維などを使用することもできるが、液体を吸収し難く、かつ、中間基材としての需要が高いガラス繊維や炭素繊維が好適であり、さらに、薄物の中間基材に適する炭素繊維がより好適である。
図3に、本開示に係る強化繊維束の幅制御方法を用いた幅制御工程を含む、強化繊維中間基材製造工程100の一実施形態を示す。強化繊維束10は、紙管上にボビン形態で蓄えられ、該紙管はボビン巻出部101に取付けられる。前記ボビン巻出部101によって紙管上にブレーキ力が付与されることで、強化繊維束10は一定の解舒張力を付与された状態で巻き出される。巻き出された強化繊維束10は、複数のパスローラ102を介して、スリット部22aから曝露槽21へと進入する。曝露槽21は、スリット部22aおよび22bと、水供給口23、霧生成部24と、複数の擦過バー31を有する。前記供給口23は、供給配管103を通じてタンク104およびポンプ105に接続され、前記タンク104に貯留された水13cは、ポンプ105と液体供給配管103、および液体供給口23を介して霧発生部24内へと進入する。霧発生部24は、加熱部25と、前記加熱部25の上部に設けられた霧供給口26からなり、液体供給口23から供給された水13cを、前記加熱部25によって加熱することで、水13cを霧13dへと変化させ、その後、霧13dは、霧供給口26を介して曝露槽21内に充填される。曝露槽21へと進入した強化繊維束10は、前記曝露槽21内に充満した霧13dに曝露されることで、強化繊維束10の単位長さあたり5~25重量%の水13cを付与されると同時に、霧13dが保有していた熱によって75~125℃まで加熱される。その後、強化繊維束10は、擦過バー31へ繰返し接触し押し当てられることで、所望の幅へと制御された後、スリット部22bを通じで曝露槽21外へと脱出する。さらにその後、強化繊維束10は、曝露槽21の直後に設けられた加熱乾燥バー41の乾燥面42と接触する。前記加熱乾燥バー41は、一定の曲率を有する円筒状の乾燥面42と、加熱部43からなり、前記加熱部43が前記乾燥面42を加熱することにより、乾燥面42の表面は、100℃以上(より好ましくは160℃以上)に保たれる。前記乾燥面42に接触した強化繊維束10は、乾燥面42からの熱伝導によって100℃以上に加熱されることで、付与された水13cを乾燥および除去される。加熱乾燥バー41から離れた後の強化繊維10は、駆動装置106を通じて一定速度で搬送され、ボビン巻取部107にて再び紙管に巻き取られる。ここで、前記ボビン巻出部101、ポンプ105、霧発生部24、加熱乾燥バー41、駆動装置106、ボビン巻取部107は、制御部108と接続されており、使用する強化繊維束10に合わせ、それぞれ、強化繊維束10の巻出張力、水13cの送液流量、霧13dの加熱温度、乾燥面42の温度、強化繊維束10の搬送速度、強化繊維束10の巻取張力を制御される。
さらに、前記幅制御工程100において、前記加熱乾燥バー41と前記巻取装置106との間には、製造する強化繊維中間基材の形態に合わせて、図示しない所望の工程を追加しても良い。
例えば、前記巻出部101より巻き出された一糸条の強化繊維束10に対して、マトリクス樹脂を塗布および含浸させる工程を追加することで、強化繊維束10ごとにマトリクス樹脂を付与された、所謂トウプリプレグという強化繊維中間基材を製造することができる。
また、別の例として、幅制御された強化繊維束に対し、強化繊維束が元々有していたサイジング剤とは別に、バインダを付与し、それを加熱することによって前記強化繊維束に結着させてその形状を固定する、バインダ付与工程を追加することで、前記バインダによって強化繊維束の形態が固定化された、強化繊維中間基材(以下、バインダ付与基材)を製造することができる。前記バインダ付与基材の製造において、制御された強化繊維束の幅をそのままバインダにて固定することが、後工程での工程通過性を向上させるうえで重要であり、したがって、幅制御された強化繊維束が、周囲環境の温湿度や突発的な外力といった外乱影響によって形態を崩されないよう、前述の幅制御工程の直後にバインダの付与工程を行うことが好ましく、さらに、強化繊維束の表面が支持体に接触しながら走行している状態、すなわち、強化繊維束と支持体との間の摩擦力によって、強化繊維束の幅が保持されている状態でバインダを付与することがより好ましい。
ここで、“幅制御工程の直後”とは、幅制御工程が完了した状態から、時間的にも空間的にも間隔が最少な状況という意味であり、幅制御工程とバインダ付与工程が重複する状態があっても良く、例えば、図4に示すように、幅制御のための押圧を経て曝露層21から脱出した強化繊維束10から液体を除去するための乾燥面42の上方にバインダ付与機構111を設け、乾燥面42からの加熱によって付与した液体を乾燥除去された強化繊維束10が、未だ乾燥面42上に存在する状態でバインダ112を付与しても良い。上述の乾燥工程とバインダ付与工程とを統合することによって、幅制御された強化繊維束10と乾燥面42との間に摩擦力が働き続けた、すなわち強化繊維束10の形態が確実に保持された状態でバインダを付与することができ、同時に、バインダと強化繊維束とを結着させるための熱量を、加熱機器を別途用意することなく、最少の構成で与えることができ、特に好適である。このとき、加熱により強化繊維束10と結着したバインダ112を迅速に冷却し、バインダ付与基材110の形態を固定化させるため、乾燥面42の後方直後に冷却ローラ113を設けることが好ましく、強化繊維束10のパスラインにおける前記乾燥面42と冷却ローラ113との間隙は、10mm未満であることが好ましい。
また、前記バインダは、熱可塑性の樹脂であり、前記熱可塑性樹脂が加熱融解することによって強化繊維束に結着および/またはわずかに含浸し、室温に冷却されることによりその形状が固定化されるものであれば、その材質は特に限定されるものではなく、用途に応じてその他のものと自由に組み合わせても良い。
同様に、付与する際のバインダの形態についても特に限定されるものではなく、例えば粒子または布帛であることができる。粒子状に微細形成されたものを、図4に示すようなバインダ付与機構111を用いて強化繊維束上に散布するものであっても良く、短繊維または連続繊維からなる不織布、連続繊維からなる織物や編物、フィルムといった布帛状に形成されたものを、図5に示すようなバインダ巻出機構114を用いて、強化繊維束10上に重ねるよう搬送するものであっても良く、さらには、フィルム等の基布の上に付着させたバインダを、前述と同じくバインダ巻出機構114を用いて搬送するものであっても良い。
また、前記強化繊維束の形態を保持するための支持体について、強化繊維束との接触面を有した部材であれば、形態に特に限定はなく、前述の乾燥面42の様な、強化繊維束の搬送速度に同期して動かない固定面であっても良いし、ローラの様な強化繊維束の搬送速度に追従する回転面であっても良いし、ベルトコンベヤの様な直動面であっても良いが、強化繊維束の形態を保持するためにも、強化繊維束との接触面積を確保できるよう、平滑な表面であることが好ましい。
さらに、本開示に係る強化繊維束の幅制御方法を活用することで、図6Aに示すような、複数の強化繊維束10sのそれぞれの幅を制御し、かつ、その幅方向(すなわち、図6AにおけるZ軸方向)に一定の間隙を有するよう配列した状態で、その直後に、その間隙を維持したまま、隣接する強化繊維束を、その間にわたるバインダ121aを介してつなぎ止めることで、基材の幅方向においては間欠的に、かつ、長手方向においては連続的に強化繊維が配列された状態で固定された、シート形状の強化繊維中間基材(以下、間隙シート基材)120を製造することができる。このような間隙シート基材においては、複数の強化繊維束それぞれの幅が固定され、かつ複数の強化繊維束同士の間隙が一定に保たれている。該間隙シート基材の利点として、例えば、該間隙シート基材を多数積層したプリフォームを製造し、該プリフォームをRTM成形する際に、前記の間隙がRTM成形時におけるマトリクス樹脂の流路として機能するため、RTM成形における繊維強化プラスチックの生産性を向上させることができるほか、前記間隙により間隙シート基材が幅方向の伸縮性と、良好なせん断変形性を有していることから、型材への形状追従性が高く、AFP(Automated Fiber Placement)等の自動積層装置を用いて曲率の小さい部材や複雑な凹凸を有する部材を製造する際においても、積層時の皺等を低減し、より高品質な繊維強化プラスチックを得ることができる。
ここで、バインダ121について、上述したように、間隙シート基材120内の隣接する強化繊維束10sとその間隙にわたる基材幅方向(Z軸方向)の長さを有する形状であればその他の形状は特に限定されるものではなく、図6Aに示す一方向に引き揃えた繊維状バインダ121aであっても良いし、図6Bに示すフィルムの様な一様に連続な布帛状バインダ121bであっても良いし、図6Cに示す不織布や織物、編物の様な微視的には多孔質だが巨視的には連続な布帛状バインダ121cであっても良く、また、図6Dに示す、溶融したバインダ樹脂をメルトスプレー方式などにより強化繊維束10s上に吹付け、結果として間隙シート基材120の幅方向に連続的になるよう形成したものであっても良い。
バインダ121に用いる材質としては、上記の変形性能を考慮して、延伸性を有する材質を用いることが好ましい。具体的な材質としてはゴム、熱可塑エラストマー、またはナイロン・ポリエステル等の未延伸糸などが挙げられるが、適度な延伸性を有するものであればこれらに限らず様々な材質を適用することが出来る。また、延伸性としては当初の長さに対して200%以上、少なくとも150%以上の延伸性を有するものであれば、良好な変形性能を得ることが出来る。
このとき、樹脂流路形成によるRTM成形の増速効果と、成形後の繊維強化プラスチックの物性を鑑みて、前記間隙シート基材における強化繊維束間の間隙は、RTM成形時の工程通過性の観点においては、間隙が大きい程、より大きな樹脂流路を形成できるため、容易に樹脂を流動させることができたり、より高い変形性を持つため、複雑形状の型材にも追従させられたりする一方で、成形後の機械的特性の観点においては、間隙が小さい程、脆弱な樹脂層の割合を低減できることから、目的に応じて両者を鑑みた適切な量の間隙が形成されていることが好ましく、具体的には、各強化繊維束の幅に対し5~20%の大きさの間隙であることが好ましい。
10、10a、10b:強化繊維束
11:強化繊維単糸
12:サイジング剤
13:液体
13b:霧状の液体
13c:水
13d;霧
14:サイジング剤と液体13の懸濁液
21:曝露槽
22、22a、22b:スリット部
23:液体供給口
24:霧発生部
25:加熱部
26:霧供給口
31:擦過バー
32:押圧部
33:円筒接触面
34:立壁
41:加熱乾燥バー
42:乾燥面
43:加熱部
101:ボビン巻出部
102:パスローラ
103:供給配管
104:タンク
105:ポンプ
106:駆動装置
107:ボビン巻取部
108:制御部
110:バインダ付与基材
111:バインダ付与機構
112:バインダ
113:冷却ローラ
114:バインダ巻出機構
120:間隙シート基材
121a:繊維状バインダ
121b、121c:布帛状バインダ
121d:吹付式バインダ

Claims (17)

  1. 連続的に走行する、サイジング剤が付着した強化繊維束を、所望の幅に制御する方法であって、前記強化繊維束に対して5重量%~25重量%の、常圧下において前記サイジング剤の熱分解温度未満の沸点を有する液体を付与した状態で該強化繊維束を押圧する押圧工程を含む、強化繊維束の幅制御方法。
  2. 請求項1に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記強化繊維束を、前記液体の常圧下における沸点±25℃の範囲、かつ前記サイジング剤の熱分解温度未満に加熱した状態で前記押圧を行う、強化繊維束の幅制御方法。
  3. 請求項1または2に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記強化繊維束を霧状の前記液体に曝露することにより前記液体の付与を行う、強化繊維束の幅制御方法。
  4. 請求項3に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記強化繊維束を霧状の前記液体を充満させた空間を通過させることにより前記液体への曝露を行う、強化繊維束の幅制御方法。
  5. 請求項4に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記霧状の液体を充満させた空間内で前記押圧を行う、強化繊維束の幅制御方法。
  6. 請求項5に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、強化繊維束を前記霧状の液体を充満させた空間内に設置された擦過バーを通過させることにより前記押圧を行う、強化繊維束の幅制御方法。
  7. 請求項3~6のいずれかに記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記液体を加熱することにより霧状の前記液体を生成する、強化繊維束の幅制御方法。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の強化繊維束の幅制御方法であって、さらに、強化繊維束に付与した前記液体を除去する乾燥工程を有する、強化繊維束の幅制御方法。
  9. 請求項8に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、液体の沸点以上に昇温された加熱部材に強化繊維束を接触させることにより前記乾燥工程における乾燥を行う、強化繊維束の幅制御方法。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記液体が水を主成分とする液体である、強化繊維束の幅制御方法。
  11. 請求項10に記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記強化繊維束を、75℃~125℃に加熱して霧状にした前記水を主成分とする液体に曝露することにより前記液体の付与を行う、強化繊維束の幅制御方法。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の強化繊維束の幅制御方法であって、前記強化繊維束を構成する強化繊維が炭素繊維である、強化繊維束の幅制御方法。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載の強化繊維束の幅制御方法を用いる工程を含む、強化繊維中間基材の製造方法。
  14. 前記強化繊維束の幅制御方法を用いる工程の直後に、強化繊維束にバインダを付与し、その形状を固定する工程を有する、請求項13に記載の強化繊維中間基材の製造方法。
  15. 強化繊維束の表面が支持体に接触しながら走行している状態で前記バインダの付与を行う、請求項14に記載の強化繊維中間基材の製造方法。
  16. 前記バインダが熱可塑性樹脂の粒子または布帛である、請求項14または15に記載の強化繊維中間基材の製造方法
  17. 前記強化繊維束の幅制御方法を用いて複数の強化繊維束の幅を制御し、かつ、前記複数の強化繊維束をその幅方向に一定の間隙を有するよう配列した状態とし、その直後に、隣接する強化繊維束同士を前記の付与により結合することで、前記複数の強化繊維束それぞれの幅を固定すると同時に、前記複数の強化繊維束同士の間隙を一定に保った強化繊維中間基材を得る、請求項14~16のいずれかに記載の強化繊維中間基材の製造方法。
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