JP2023066503A - 検査路の手すりパイプの補修方法及び補修構造 - Google Patents

検査路の手すりパイプの補修方法及び補修構造 Download PDF

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Abstract

【課題】検査路の手すりパイプの健全性(耐衝撃性)を回復する補修作業を低コストかつ簡易な方法で実現する。【解決手段】検査路に設けられるガラス繊維強化樹脂製の手すりパイプの補修方法であって、前記手すりパイプの補修個所を少なくとも覆う位置に、強化繊維を含む第1の繊維シートを、繊維の配向方向が前記手すりパイプの軸方向に沿った方向となるように貼り付ける第1ステップと、前記第1の繊維シートの上から強化繊維を含む第2の繊維シートを、繊維の配向方向が前記手すりパイプの周方向に沿った方向となるように貼り付ける第2ステップと、を有することを特徴とする補修方法。【選択図】図1

Description

本発明は、検査路の手すりパイプの補修に関する技術である。
橋梁、トンネル等には、検査路が並設されており、5年に1度の近接目視による定期点検が実施されている。検査路として、鋼製の検査路、GFRP(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)製の検査路が知られている。鋼製の検査路の場合、山間部における重機の搬入が困難であったり、塩害や融雪剤の散布による腐食劣化が問題となっている。
一方、GFRP製検査路は軽量で耐腐食性、電気絶縁性、断熱性、衝撃吸収性に優れることから、重機の搬入が困難な狭小山間部や塩害地域において幅広く用いられている。
ここで、作業者の転落防護対策として、検査路の手すりパイプに安全帯を掛けるとともに、この安全帯と作業者を紐状のランヤードで結ぶことにより、定期点検は実施される。作業者が誤って検査路から転落した場合、ランヤード及び安全帯を介して手すりパイプに衝撃荷重が働くため、検査路の手すりパイプには耐衝撃性が求められる。したがって、検査路の手すりパイプに損傷が確認された場合、速やかに補修作業行い、手すりパイプの健全性(耐衝撃性)を回復させる必要がある。
従来、検査路の手すりパイプに損傷が確認された場合、繊維の連続性を確保するために長スパンの部材取り換えが実施されており、コストや手間がかかることから、改善が求められていた。
特許文献1にはアラミド繊維などの繊維シートを軸方向及び周方向に配して金属管柱を補強する技術、特許文献2にはアラミド繊維などからなるストランドシートを鋼製煙突の軸方向に配して補強する技術、特許文献3には補強繊維シートをコンクリート、鋼等からなる柱状体の周方向に配して補強する技術が開示されている。これら特許文献1乃至3は、補強方法に関する技術を開示しており、耐衝撃性を考慮した補修方法については開示がない。さらに、特許文献2及び3は、軸方向及び周方向のうち一方向を補強する技術を開示しており、軸方向及び周方向の双方を補強する技術については開示がない。
特許文献4は、強化繊維からなる繊維束に熱可塑性樹脂を含浸した繊維強化樹脂テープを用いて欠損部位を覆い、その上から強化繊維シートを接着剤を用いて全体を覆うように接着する中空構造物の補修方法を開示する。この特許文献4は、接着強度及び外観を考慮した補修方法を開示しており、耐衝撃性を考慮した補修方法については開示がない。
特開2001-303715号公報 特開2018-9334号公報 特開2013ー185366号公報 特開2015ー151836号公報
本発明は、検査路の手すりパイプの健全性(耐衝撃性)を回復する補修作業を低コストかつ簡易な方法で実現することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る補修方法は、(1)検査路に設けられるガラス繊維強化樹脂製の手すりパイプの補修方法であって、前記手すりパイプの補修個所を少なくとも覆う位置に、強化繊維を含む第1の繊維シートを、繊維の配向方向が前記手すりパイプの軸方向に沿った方向となるように貼り付ける第1ステップと、前記第1の繊維シートの上から強化繊維を含む第2の繊維シートを、繊維の配向方向が前記手すりパイプの周方向に沿った方向となるように貼り付ける第2ステップと、を有することを特徴とする。
(2)前記第1の繊維シートは、強化繊維からなる連続繊維を束ねた繊維束が樹脂で硬化された棒状のストランドを一方向に配列させてスダレ状に引き揃えたストランドシート、又は、強化繊維を一方向に配列させた強化繊維シートであり、前記第2の繊維シートは、前記強化繊維シートであることを特徴とする上記(1)に記載の補修方法。
(3)前記ストランドシートにおける前記ストランドは、互いに横糸で連結されていることを特徴とする上記(2)に記載の補修方法。
(4)前記第1及び第2の繊維シートに含まれる強化繊維は、アラミドであることを特徴とする上記(1)乃至(3)のうちいずれか一つに記載の補修方法。
(5)前記第2の繊維シートの上から、更に、仕上げ塗装を行う第3ステップを有することを特徴とする上記(1)乃至(4)のうちいずれか一つに記載の補修方法。
上記課題を解決するために、本発明に係る補修構造は、(6)検査路に設けられるガラス繊維強化樹脂製の手すりパイプの補修構造であって、前記手すりパイプの補修個所を少なくとも覆うように配された、強化繊維を含む第1の繊維シートと、前記第1の繊維シートに積層された強化繊維を含む第2の繊維シートと、を有し、前記第1の繊維シートにおける強化繊維は、前記手すりパイプの軸方向に沿った方向に配向されており、前記第2の繊維シートにおける強化繊維は、前記手すりパイプの周方向に沿った方向に配向されていることを特徴とする。
本発明によれば、検査路の手すりパイプの健全性(耐衝撃性)を回復する補修作業を低コストかつ簡易な方法で実現することができる。
検査路の手すりパイプの一部における正面図である。 手すりパイプの断面図である。 3点曲げ試験の説明図である。 3点曲げ試験の試験結果であり、荷重と鉛直変位との関係を示すグラフである。
図1は、検査路の手すりパイプの一部における正面図(径方向から視た外観図)であり、補修シートで覆われた箇所を透視して図示する。図2は、図1のA-A´に沿って手すりパイプを切断したA-A´断面図である。これらの図を参照して、手すりパイプ1は、橋梁、トンネル等に設置された検査路に沿って設けられたGFRP製のパイプである。手すりパイプ1の一部に欠損等の補修個所1aが確認された場合、第1の繊維シート11及び第2の繊維シート12を用いて、補修作業が実施される。なお、図1では、第1の繊維シート11及び第2の繊維シート12を纏めて補修シート2としている。
第1の繊維シート11は、強化繊維を含んでおり、補修個所1aを少なくとも覆う位置に貼り付けられている。第1の繊維シート11に含まれる強化繊維は、手すりパイプ1の軸方向に沿った方向に配向されている。本明細書では、強化繊維が軸方向に沿った方向となるように第1の繊維シート11を貼り付けることを、第1の繊維シート11を軸方向に貼り付けると言い換えることがある。
第1の繊維シート11の定着長さ(手すりパイプ1の軸方向における長さ)は、所望の耐衝撃性を満足し得る適宜の長さに設定されていればよく、例えば補修個所1aから200mm前後の定着長さが確保されていればよい。
第2の繊維シート12は、強化繊維を含んでおり、第1の繊維シート11の上から貼り付けられている。第2の繊維シート12に含まれる強化繊維は、手すりパイプ1の周方向に沿った方向に配向されている。本明細書では、強化繊維が周方向に沿った方向となるように第2の繊維シート12を貼り付けることを、第2の繊維シート12を周方向に貼り付けると言い換えることがある。
第1の繊維シート11には、好ましくはストランドシート又は強化繊維シートが用いられ、より好ましくはストランドシートが用いられる。ストランドシートを用いることによって、より効果的に手すりパイプ1の健全性(耐衝撃性)を回復することができる。
(ストランドシートについて)
ストランドシートとは、予め所定の強化繊維からなる連続繊維を束ねた繊維束を樹脂で含浸硬化させた棒状のストランドを一方向に配列させ、長手方向にスダレ状に引き揃えてシート状に加工したものである。強化繊維には、炭素繊維、金属繊維、セラミックス繊維、有機繊維、ガラス繊維を用いることができる。金属繊維には、例えばチタン繊維、スチール繊維等を用いることができる。セラミックス繊維については、バサルト繊維等を用いることができる。有機繊維には、例えばアラミド、ナイロン、ビニロン等を用いることができる。これらの繊維は、単独であってもよいし、複数種を混入したハイブリッド繊維であってもよい。これらの繊維の中で、アラミドは、特に耐衝撃性に優れていることから、本発明の補修方法に好適に用いることができる。
含浸硬化される樹脂には、常温硬化型或いは熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、又は、ナイロン、ビニロン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。樹脂含浸量は、ストランドシート100質量%に対して、例えば30~70質量%に設定することができる。
ストランドは、互いに横糸を用いて連結することができる。横糸は、例えば直径2~50μmのガラス繊維或いは有機繊維を複数本束ねることによって構成することができる。横糸に用いられる有機繊維として、ナイロン、ビニロン等を好適に用いることができる。横糸の打ち込み間隔(シートの長手方向における打ち込み間隔)は、ストランドシートの取り扱い性を考慮して、例えば6~10cmの範囲で適宜選定することができる。
ストランドシートを第1の繊維シート11として用いることにより、作業現場で強化繊維間に樹脂を含浸させる必要がなくなるため、含浸不良による曲げ剛性及び曲げ強度の低下などを抑制できる。
強化繊維の目付量は、好ましくは600g/m以上であり、より好ましくは800g/m以上である。繊維の目付量は、1mのストランドシートに使用される強化繊維繊維束数から算定される。強化繊維の目付量を増大することにより、手すりパイプ1の剛性を効果的に回復させることができる。
ストランドシートは、例えば、常温硬化型のエポキシ樹脂などを用いて手すりパイプ1の外周面に貼り付けることができる。すなわち、常温硬化型のエポキシ樹脂などからなるパテ状の樹脂を手すりパイプ1の外周面に塗布し、この塗布した樹脂にストランドシートを埋め込むことにより、ストランドシートを第1の繊維シート11として貼り付けることができる。
ストランドシートの貼り付け状態において、棒状の各ストランドは、手すりパイプ1の軸方向に沿って延びている。つまり、複数のストランドが、手すりパイプ1の軸方向に沿って配列された補修構造を呈している。
(強化繊維シートについて)
強化繊維シートは、強化繊維を一方向に配列させた強化繊維層を有する。強化繊維には、炭素繊維、金属繊維、セラミックス繊維、有機繊維、ガラス繊維を用いることができる。各強化繊維の詳細は、ストランドシートと同様であるから、詳細な説明を省略する。強化繊維シートは、軽量で高剛性・高強度であるため補強による死荷重増加が少なく、当て板工法に比べ手すりパイプ1の母材に与えるダメージが少ないことや、施工後に腐食しにくい等のメリットがあり、雨風に曝される検査路に適している。なお、強化繊維として、アラミドを好適に用いることができる。
強化繊維層を構成する強化繊維のバラケを防止するために、強化繊維層を樹脂透過性シートで挟んで保持させてもよい。樹脂透過性シートは、例えば直径2~50μmのガラス繊維或いは有機繊維で構成された2軸又は3軸等のメッシュ状体或いはクロスとすることができる。メッシュを構成する縦糸及び横糸の間隔は、好ましくは1~10mmであり、より好ましくは2~50mmである。メッシュ状に形成された2軸の樹脂透過性シートを用いて強化繊維層を保持する方法としては、例えば、樹脂透過性シートの縦糸及び横糸の表面に低融点タイプの熱可塑性樹脂を予め含浸させておき、当該樹脂透過性シートを強化繊維層の両面に積層して加熱圧縮し、樹脂透過性シートの縦糸及び横糸の部分を強化繊維層に融着する方法を用いることができる。
強化繊維シートは、例えば、手すりパイプ1の表面に常温硬化型のエポキシ樹脂を塗布して、貼り付けることができる。強化繊維シートを塗布面に貼り付けた後、含浸用ローラによりシート内部への樹脂の含性を促すことにより、樹脂の一部がシートの表面ににじみ出る。その上に、更に含浸接着樹脂を補充し、再度樹脂の含浸を促すとともに内部に気泡が残存しないように、脱泡処理を施す。以上の処理によって、強化繊維シートを手すりパイプ1の表面に含浸接着させることができる。
強化繊維シートの目付量は、好ましくは600g/m以上であり、より好ましくは800g/m以上である。繊維の目付量は、1mの強化繊維シートに使用される強化繊維繊維束数から算定される。強化繊維の目付量を増大することにより、手すりパイプ1の剛性を効果的に回復させることができる。
強化繊維シートの貼り付け状態において、各強化繊維は、手すりパイプ1の軸方向に沿って延びている。つまり、手すりパイプ1に貼り付けられた第1の繊維シート11は、複数の強化繊維が手すりパイプ1の軸方向に沿って配列された補修構造を呈している。
上述した通り、第1の繊維シート11を手すりパイプ1の軸方向に配設する、言い換えると、強化繊維の配向方向が手すりパイプ1の軸方向に沿った方向となるように第1の繊維シート11を配設することにより、手すりパイプ1の剛性を回復することができる。
第2の繊維シート12は、第1の繊維シート11の上から手すりパイプ1の周方向に沿って巻き付けられる。第2の繊維シート12の手すりパイプ1の軸方向における端部は、第1の繊維シート11と面一か、或いは第1の繊維シート11から若干はみ出していてもよい。つまり、手すりパイプ1の軸方向における第2の繊維シート12の長さは、第1の繊維シート11と同じか、或いはそれ以上である。
第2の繊維シート12は、繊維方向を手すりパイプ1の周方向に沿って曲げる必要があるため、既述の強化繊維シートが用いられる。強化繊維シートの詳細については、説明を繰り返さない。また、強化繊維シートを含浸接着させる方法は、既述の通りであるから、説明を繰り返さない。なお、第1の繊維シート11及び第2の繊維シート12が共に強化繊維シートである場合、繊維の性状や物性、目付量などは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第2の繊維シート12の強化繊維の目付量は、好ましくは200g/m以上500g/m以下であり、より好ましくは200g/m以上300g/m以下である。強化繊維の目付量が過度に大きくなる(過剰補修と言い換えることができる)と、衝撃荷重が働いたときの撓み量が小さくなり、落下エネルギーを手すりパイプ1で吸収できなくなるため、補修個所以外が破損するおそれがあるほか、コスト的にも好ましくない。強化繊維の目付量が過度に小さくなると、第1の繊維シート11の割れを抑制する効果を十分に発現させることができない。なお、繊維の目付量は、JISR 7602に準ずる。
第2の繊維シート12の貼り付け状態において、各強化繊維は、手すりパイプ1の周方向に沿って延びている。つまり、手すりパイプ1に巻き付けられた第2の繊維シート12は、複数の強化繊維が手すりパイプ1の周方向に沿って配列された補修構造を呈している。
第2の繊維シート12を第1の繊維シート11の上から巻き付けることにより、第1の繊維シート11に対する拘束効果が発現するため、手すりパイプ1に曲げ荷重が働いたときに、第1の繊維シート11に割れが発生することを抑制できる。すなわち、第1の繊維シート11がストランドシートである場合、ストランドシートの貼り付けに利用された樹脂の割れが抑制され、第1の繊維シート11が強化繊維シートである場合、強化繊維シートの含浸接着に利用された樹脂の割れが抑制される。
また、第1の繊維シート11及び第2の繊維シート12が協働することにより、手すりパイプ1の健全性(耐衝撃性)を、より効果的に回復させることができる。
なお、変形例として、第2の繊維シート12の上から、更に、仕上げ塗装を行ってもよい。これにより、第2の繊維シート12の表面の凹凸が目立ちにくくなり、平滑になるほか、日光や湿気、排気ガスなどの影響を低減出来て好ましい。このとき、第2の繊維シート12の更にその上から離型フィルムを巻き付けておき、接着樹脂の硬化後に離型フィルムを剥がすことが望ましい。これにより、繊維シート12の巻き付け箇所の表面平滑性が向上する。
本実施形態によれば、検査路の手すりパイプ1に損傷が確認された場合、第1の繊維シート11を手すりパイプ1の軸方向に沿って貼り付けるとともに、第1の繊維シート11の上から第2の繊維シート12を手すりパイプ1の周方向に沿って巻き付けて含浸接着させるだけで主要な補修作業が完了する。従来の補修作業のように、長スパンの部材を取り換える必要がなくなるため、補修作業の簡素化と低コスト化を図ることができる。
なお、繊維シートとして、強化繊維が一方向に配向した層を有する連続繊維シートの他に強化繊維を織った織布を使用することもできるが、織布であるがゆえに所望の方向に配向する強化繊維量が小さくなるために巻き付け量が多くなり、接着材の含浸も困難となるため適さない。
次に、実施例を示して本発明について具体的に説明する。GFRP製パイプを準備し、検査路の手すりパイプの損傷を模擬するために、ディスクサンダーによりGFRP製パイプを周方向に切断した。切断部X(図3参照)に対して、第1の繊維シートを手すりパイプの軸方向に沿って貼り付けた後、第1の繊維シートの上から第2の繊維シートを手すりパイプの周方向に沿って巻き付け、含浸接着させることにより補修を模擬した。補修後に、3点曲げ試験及び衝撃載荷試験を実施することにより、補修効果を評価した。
第1の繊維シート及び第2の繊維シートの定着長は、切断部Xから左右両側にそれぞれ200mmとした。なお、図3では3点曲げ試験における支持点を三角で示している。3点曲げ試験のスパンは、12000mmとした。5mm/minの変位制御で荷重Pを制御し、荷重Pの最大値を曲げ荷重として記録した。
衝撃載荷試験は、NEXCO試験方法 第4編 構造関係試験方法(令和2年7月)に掲載されている試験法440―2017 FRP製及びアルミニウム合金製検査路に関する試験方法の試験項目「手摺りの衝撃載荷試験」に基づいて実施した。支持台にGFRP製検査路を固定し、上段の手すりパイプを周方向に切断し、3点曲げ試験と同様の方法で第1の繊維シート及び第2の繊維シートによる補修を行った。互いにランヤードで連結された安全帯とダミーウェイトを準備し、安全帯を上段の手すりパイプに掛けるとともに、ダミーウェイトを上段の手すりパイプの高さから自由落下させた。評価については、手すりパイプの破断が確認されず、検査路の損傷もなかった場合には、補修効果が極めて高いとしてAAで評価し、手すりパイプの破断は確認されなかったものの検査路の損傷が確認(ただし、ダミーウェイトの落下無し)された場合には、補修効果が高いとしてAで評価した。手すりパイプが破断して、ダミーウェイトが落下した場合には、補修効果が低いとしてBで評価した。ダミーウェイトの重さは85kg、ランヤードの長さは1700mmとした。
Figure 2023066503000002
実施例1では、第1の繊維シート(軸方向の補修シート)としてアラミド繊維からなるストランドシート(日鉄ケミカル&マテリアル製の品番:FSS-AK-120、繊維目付830g/m)を使用し、第2の繊維シート(周方向の補修シート)としてアラミド繊維からなる強化繊維シート(日鉄ケミカル&マテリアル製の品番:FTS-AK-40、繊維目付280g/m)を使用した。巻き数は第1及び第2の繊維シートともに1層とした。実施例2では、第1の繊維シートとして実施例1のストランドシートを使用し、第2の繊維シートとして実施例1の品番:FTS-AK-40よりも繊維の目付量が多いアラミド繊維からなる強化繊維シート(日鉄ケミカル&マテリアル製の品番:FTS-AK-60、繊維目付415g/m)を使用した。比較例1では、第1の繊維シートとして実施例1のストランドシートを使用し、周方向には第2の繊維シートを巻き付けなかった。なお、参考例1は、切断部Xがない健全なGFRP製パイプとした。
各供試体(参考例1、実施例1~2、比較例1)の3点曲げ試験の結果を図4に示した。図4は、荷重Pと荷重点の鉛直変位との関係を記録したグラフであり、縦軸が荷重P(N)、横軸が変位量(mm)である。
実施例1,2と比較例1とを比較して、第1の繊維シート及び第2の繊維シートを用いてGFRP製のパイプを補修することにより、耐衝撃性が高められることがわかった(表1参照)。実施例2は、実施例1に対して第2の繊維シートの目付量を増大させた結果、衝撃載荷試験で手摺りパイプは破損しなかったものの、吸収しきれなかった衝撃で検査路(手摺り構造体取り付け基部)に損傷を生じる過剰補修となり、耐衝撃性が低下した(表1参照)。
3点曲げ試験では、全ての供試体が終局状態において圧縮破壊した。図4を参照して、補修をした実施例1,2及び比較例1について、健全状態である参考例1の曲げ剛性及び耐荷重を上回る補修効果が得られた。また、軸方向及び周方向の補強を行った実施例1及び2は、軸方向のみの補強を行った(周方向の補強なし)比較例1よりも最大荷重に達した後の荷重低下が緩和されることがわかった。これは、第2の繊維シートを周方向に貼り付けて第1の繊維シートを拘束することにより、接着樹脂の割れが抑制されたためだと考えられる。
1 手すりパイプ 1a 補修個所 2 補修シート
11 第1の繊維シート 12 第2の繊維シート

Claims (6)

  1. 検査路に設けられるガラス繊維強化樹脂製の手すりパイプの補修方法であって、
    前記手すりパイプの補修個所を少なくとも覆う位置に、強化繊維を含む第1の繊維シートを、繊維の配向方向が前記手すりパイプの軸方向に沿った方向となるように貼り付ける第1ステップと、
    前記第1の繊維シートの上から強化繊維を含む第2の繊維シートを、繊維の配向方向が前記手すりパイプの周方向に沿った方向となるように貼り付ける第2ステップと、
    を有することを特徴とする補修方法。
  2. 前記第1の繊維シートは、強化繊維からなる連続繊維を束ねた繊維束が樹脂で硬化された棒状のストランドを一方向に配列させてスダレ状に引き揃えたストランドシート、又は、強化繊維を一方向に配列させた強化繊維シートであり、
    前記第2の繊維シートは、前記強化繊維シートであることを特徴とする請求項1に記載の補修方法。
  3. 前記ストランドシートにおける前記ストランドは、互いに横糸で連結されていることを特徴とする請求項2に記載の補修方法。
  4. 前記第1及び第2の繊維シートに含まれる強化繊維は、アラミドであることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の補修方法。
  5. 前記第2の繊維シートの上から、更に、仕上げ塗装を行う第3ステップを有することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の補修方法。
  6. 検査路に設けられるガラス繊維強化樹脂製の手すりパイプの補修構造であって、
    前記手すりパイプの補修個所を少なくとも覆うように配された、強化繊維を含む第1の繊維シートと、
    前記第1の繊維シートに積層された強化繊維を含む第2の繊維シートと、を有し、
    前記第1の繊維シートにおける強化繊維は、前記手すりパイプの軸方向に沿った方向に配向されており、
    前記第2の繊維シートにおける強化繊維は、前記手すりパイプの周方向に沿った方向に配向されていることを特徴とする補修構造。

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