JP2023064367A - 弾性波共振器、フィルタ、およびマルチプレクサ - Google Patents

弾性波共振器、フィルタ、およびマルチプレクサ Download PDF

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Abstract

Figure 2023064367000001
【課題】耐電力性を向上させること。
【解決手段】弾性波共振器は、圧電基板10と、圧電基板10上に設けられ10nmより厚いチタン膜またはチタン合金膜である金属膜50と、金属膜50上に設けられアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜である金属膜54と、金属膜50と金属膜54との間に設けられチタンとアルミニウムの相互拡散を抑制するバリア膜52と、を有する複数の電極指34とを備える。これにより、圧電基板10の変形に伴う応力が金属膜54まで加わり難くなり、かつ、金属膜50と金属膜54との間にチタンとアルミニウムの金属間化合物または合金からなる領域が形成され難くなるため、耐電力性が向上する。
【選択図】図2

Description

本発明は、弾性波共振器、フィルタ、およびマルチプレクサに関する。
携帯電話を代表とする高周波通信用システムにおいて、通信に使用する周波数帯以外の不要な信号を除去するために高周波フィルタが用いられている。高周波フィルタには、例えば弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)共振器が用いられている。弾性表面波共振器においては、タンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板などの圧電基板上に複数の電極指を有するIDT(Interdigital Transducer)が設けられている。電極指として、圧電基板への付着性を高めるためのチタン層と、機械的に安定な窒化チタン層と、アルミニウム層またはアルミニウム合金層と、が順次積層された構造が知られている(例えば特許文献1)。
特表2005-518127号公報
IDTに高周波信号が入力されると、圧電基板に弾性表面波が励振されることによる変形が生じ、この変形に伴う応力が電極指に加わる。これにより、弾性波共振器の耐電力性能が劣化してしまうことがある。特許文献1では、アルミニウム層またはアルミニウム合金層と圧電基板との間に機械的に安定な窒化チタン層を設けることで、耐電力性を向上させている。しかしながら、耐電力性の向上の点で改善の余地が残されている。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、耐電力性を向上させることを目的とする。
本発明は、圧電基板と、前記圧電基板上に設けられ10nmより厚いチタン膜またはチタン合金膜である第1金属膜と、前記第1金属膜上に設けられアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜である第2金属膜と、前記第1金属膜と前記第2金属膜との間に設けられチタンとアルミニウムの相互拡散を抑制するバリア膜と、を有する複数の電極指と、を備える弾性波共振器である。
上記構成において、前記バリア膜は、前記第1金属膜より薄い構成とすることができる。
上記構成において、前記第1金属膜の厚さは、前記複数の電極指の厚さの1/3以下である構成とすることができる。
上記構成において、前記バリア膜は、チタンの融点より高い融点を有する構成とすることができる。
上記構成において、前記バリア膜は、窒化チタン膜、窒化アルミニウム膜、タングステン膜、モリブデン膜、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、タンタル膜、酸化タンタル膜、またはニオブ膜の単層膜もしくは積層膜である構成とすることができる。
上記構成において、前記バリア膜は、導電性を有する構成とすることができる。
上記構成において、前記バリア膜は、酸化タングステン膜、窒化モリブデン膜、シリコン膜、ニッケル膜、ニッケル合金膜、または酸化ニオブ膜の単層膜もしくは積層膜である構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電基板は、タンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である構成とすることができる。
本発明は、上記に記載の弾性波共振器を含むフィルタである。
本発明は、上記に記載のフィルタを含むマルチプレクサである。
本発明によれば、耐電力性を向上させることができる。
図1(a)は、実施例1に係る弾性波共振器の平面図、図1(b)は、図1(a)のA-A断面図である。 図2は、実施例1における電極指付近の断面図である。 図3(a)は、比較例1における電極指付近の断面図であり、図3(b)は、比較例2における電極指付近の断面図である。 図4(a)は、サンプルA、B、Cにおける入力パワーに対する出力パワーを示す図であり、図4(b)は、時間に対する出力パワーの変化量を示す図である。 図5(a)および図5(b)は、サンプルCの電極指の断面SEM(Scanning Electron Microscope)像を模式的に示した断面図である。 図6(a)は、サンプルD、Eにおける入力パワーに対する出力パワーを示す図であり、図6(b)は、時間に対する出力パワーの変化量を示す図である。 図7は、実施例2に係るフィルタの回路図である。 図8は、実施例3に係るデュプレクサのブロック図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
図1(a)は、実施例1に係る弾性波共振器100の平面図、図1(b)は、図1(a)のA-A断面図である。図1(a)および図1(b)に示すように、弾性波共振器100は、圧電基板10上にIDT30と反射器40とが設けられた弾性表面波共振器である。反射器40はIDT30の両側に設けられている。圧電基板10は例えば支持基板20上に接合されている。
IDT30は、対向する一対の櫛型電極32を備える。櫛型電極32は、複数の電極指34と、複数の電極指34が接続されたバスバー36と、を備える。一対の櫛型電極32は、電極指34がほぼ互い違いとなるように、対向して設けられている。
IDT30が励振する弾性波は、主に電極指34の配列方向に伝搬する。電極指34のピッチがほぼ弾性波の波長λとなる。反射器40は弾性波を反射する。弾性波の伝搬方向をX方向、伝搬方向に直交する方向をY方向とする。X方向およびY方向は、圧電基板10の結晶方位のX軸方向およびY軸方向とは必ずしも対応しない。圧電基板10は、例えばタンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である。支持基板20は、例えばサファイア基板、シリコン基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、アルミナ基板、または炭化シリコン基板である。なお、圧電基板10上に、IDT30および反射器40を覆うように絶縁膜からなる保護膜が設けられていてもよい。
図2は、実施例1における電極指34付近の断面図である。図2に示すように、電極指34は、圧電基板10上に設けられた金属膜50と、金属膜50上に設けられたバリア膜52と、バリア膜52上に設けられた金属膜54と、を備える。金属膜50は、チタン膜またはチタン合金膜であり、厚さが10nmより大きい。チタン合金膜は、チタンに銅、アルミニウムなどの材料が添加されているが、その添加量が10wt%(重量パーセント濃度)未満(例えば3wt%以下)である。金属膜54は、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜である。アルミニウム合金膜は、アルミニウムに銅、シリコンなどの材料が添加されているが、その添加量が10wt%未満(例えば3wt%以下)である。圧電基板10とバリア膜52との間にチタン膜またはチタン合金膜である金属膜50が設けられていることで、圧電基板10と電極指34の密着性が向上する。金属膜54は、主に電流が流れる層であることから、電気抵抗率が低いことが好ましい。金属膜54にアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜を用いることで、電気抵抗率が低くなる。
バリア膜52は、金属膜50に含まれるチタンと金属膜54に含まれるアルミニウムとの相互拡散を抑制する膜である。バリア膜52は、例えば窒化チタン(TiN)、窒化アルミニウム(AlN)、タングステン(W)、酸化タングステン(WO)、モリブデン(Mo)、窒化モリブデン(MoN)、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、ニッケル(Ni)、ニッケル合金(例えばニクロム)、酸化アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、酸化タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、または酸化ニオブ(Nb)などにより形成されている。
バリア膜52は、金属膜50および金属膜54より薄く、例えば2nm以上20nm以下である。例えば、バリア膜52の厚さは、金属膜50の厚さの1/3以下であり、1/4以下でもよい。金属膜54は、金属膜50より厚い。例えば、金属膜54の厚さは、金属膜50の厚さの1.3倍以上であり、1.5倍以上でもよい。
[製造方法]
実施例1に係る弾性波共振器100は以下の方法により製造される。まず、表面が平坦な支持基板20を準備する。支持基板20の表面の算術平均粗さRaは例えば1nm以下である。支持基板20の上面に例えば表面活性化法を用いて圧電基板10を接合する。その後、圧電基板10の上面を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて研磨し、圧電基板10を所望の厚さまで薄くする。次いで、圧電基板10上に、例えばスパッタリング法およびエッチング法を用いて、IDT30および反射器40を形成する。IDT30および反射器40は、リフトオフ法により形成してもよい。これにより、実施例1に係る弾性波共振器100が形成される。
[比較例]
図3(a)は、比較例1における電極指34付近の断面図であり、図3(b)は、比較例2における電極指34付近の断面図である。図3(a)に示すように、比較例1における電極指34は、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜である金属膜54のみで構成されている。図3(b)に示すように、比較例2における電極指34は、チタン膜またはチタン合金膜である金属膜50と、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜である金属膜54と、により構成されている。金属膜50は密着膜としての機能を有する。
[実験]
比較例1および比較例2に係る弾性波共振器を用いてフィルタを作製して耐電力試験を行った。試験は、比較例1に係る弾性波共振器を用いて作製したラダー型フィルタ(サンプルA)、比較例2に係る弾性波共振器を用いて作製したラダー型フィルタ(サンプルB、C)に対して行った。
サンプルA
支持基板20:サファイア基板
圧電基板10:タンタル酸リチウム基板
金属膜54:アルミニウム合金(アルミニウムに1.0wt%の銅を添加)膜
サンプルB
支持基板20:サファイア基板
圧電基板10:タンタル酸リチウム基板
金属膜50:厚さが10nmのチタン膜
金属膜54:アルミニウム合金(アルミニウムに1.0wt%の銅を添加)膜
サンプルC
支持基板20:サファイア基板
圧電基板10:タンタル酸リチウム基板
金属膜50:厚さが60nmのチタン膜
金属膜54:アルミニウム合金(アルミニウムに1.0wt%の銅を添加)膜
図4(a)は、サンプルA、B、Cにおける入力パワーに対する出力パワーを示す図であり、図4(b)は、時間に対する出力パワーの変化量を示す図である。図4(a)は、入力パワーを徐々に上げていき、出力パワーが出力されなくなったときの入力パワーを測定するリニアリティ試験の結果である。図4(b)は、入力パワーを固定した状態で放置し、出力パワーの変化量により劣化時間を測定する寿命試験の結果である。図4(a)および図4(b)では、サンプルAの試験結果を点線で示し、サンプルBの試験結果を一点鎖線で示し、サンプルCの試験結果を破線で示している。また、図4(a)においては、サンプルA、Bをそれぞれ2つ作製し、サンプルCを6つ作製し、それぞれの試験結果を示している。
図4(a)に示すように、サンプルAでは、入力パワーがあまり大きくない状態で電極指34に破壊が生じて出力パワーが出力されなくなった。サンプルBでは、サンプルAよりも出力パワーが出力されなくなったときの入力パワーが大きかった。サンプルCでは、本試験の入力パワーの範囲では電極指34に破壊が生じずに出力パワーの出力が維持された。
図4(b)に示すように、サンプルAでは、試験開始からある時間経過したときに出力パワーが大きく変化したのに対し、サンプルB、Cでは、本試験の時間内では出力パワーが大きく変化することはなかった。
図4(a)および図4(b)のように、サンプルBはサンプルAよりも耐電力性が高く、サンプルCはサンプルBよりも耐電力性が高い結果であった。この理由は例えば以下のように考えられる。IDT30に大電力の高周波信号が入力されると、圧電基板10に弾性表面波が励振される。これにより、圧電基板10に振動による変形が生じ、この変形に伴う応力が電極指34に加わる。アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜である金属膜54は、圧電基板10の変形に伴う応力に対する耐性が強くないと考えられる。サンプルAでは、電極指34が金属膜54のみからなることから、耐電力性が低くなったと考えられる。これに対し、サンプルBは、圧電基板10と金属膜54との間に厚さ10nmのチタン膜である金属膜50が設けられている。サンプルCは、圧電基板10と金属膜54との間に厚さ60nmのチタン膜である金属膜50が設けられている。チタンはアルミニウムに比べて硬い為(チタンのヤング率:120GPa、アルミニウムのヤング率:70GPa)、金属膜50は金属膜54に比べて圧電基板10の変形に伴う応力に対する耐性が強いと考えられる。金属膜50が厚くなるほど、圧電基板10の変形に伴う応力が金属膜54まで加わり難くなると考えられるため、サンプルBはサンプルAよりも耐電力性が向上し、サンプルCはサンプルBよりも耐電力性が向上したと考えられる。図4(a)の結果から、耐電力性を向上させるには、金属膜50の厚さは10nmより大きい場合が好ましいことが言える。
しかしながら、金属膜50を10nmより厚いチタン膜またはチタン合金膜とすると、金属膜50に含まれるチタンと金属膜54に含まれるアルミニウムとが相互に熱拡散した拡散領域が大きく形成されてしまうことが分かった。このことについて、図を用いて説明する。図5(a)および図5(b)は、サンプルCの電極指34の断面SEM(Scanning Electron Microscope)像を模式的に示した断面図である。図5(a)は、耐電力試験を行う前の電極指34を示し、図5(b)は、耐電力試験後において電極指34に破壊が生じる直前を示している。
図5(a)に示すように、耐電力試験前においては、電極指34は金属膜50と金属膜54との界面がはっきりとした2層構造となっていた。図5(b)に示すように、耐電力試験後において電極指34に破壊が発生する直前においては、金属膜50と金属膜54との界面がはっきりしなくなり、金属膜50と金属膜54との間に領域56が形成されていた。領域56は、IDT30に大電力の高周波信号が入力されて電極指34が発熱したことにより、金属膜50に含まれるチタンと金属膜54に含まれるアルミニウムとが相互に熱拡散して形成されたチタンとアルミニウムの金属間化合物または合金からなる領域であると考えられる。領域56の厚さは、例えば10nm~15nm程度であった。
金属膜50と金属膜54との間に、チタンとアルミニウムの金属間化合物または合金からなる領域56が形成されると、電極指34の電気抵抗が増大する。例えば、チタンの電気抵抗率は420nΩ・m、アルミニウムの電気抵抗率は28.2nΩ・m、チタンとアルミニウムの金属間化合物または合金の電気抵抗率は58nΩ・m程度である。このため、IDT30に大電力の高周波信号が入力された場合における電極指34の温度上昇が大きくなり、電極指34に変形、および/または溶断などの破壊が生じて、十分な耐電力性を確保できないことがある。近年、弾性波共振器の高周波化に伴い、電極指34の幅が狭くなっている。このため、チタンとアルミニウムの金属間化合物または合金からなる領域56が形成されると、電極指34の温度上昇が更に大きくなる。このように、圧電基板10と金属膜54との間に10nmより厚い金属膜50を設けただけでは、電極指34の耐電力性を十分に確保することは難しいことが分かった。
そこで、実施例1では、金属膜50と金属膜54との間に、チタンとアルミニウムの相互拡散を抑制するバリア膜52を設けている。
[実験]
実施例1および比較例2に係る弾性波共振器を用いてフィルタを作製して耐電力試験を行った。試験は、実施例1に係る弾性波共振器を用いて作製したラダー型フィルタ(サンプルD)、比較例2に係る弾性波共振器を用いて作製したラダー型フィルタ(サンプルE)に対して行った。
サンプルD
支持基板20:サファイア基板
圧電基板10:タンタル酸リチウム基板
金属膜50:厚さが50nmのチタン膜
バリア膜52:厚さが10nmの窒化チタン膜
金属膜54:アルミニウム合金(アルミニウムに1.0wt%の銅を添加)膜
サンプルE
支持基板20:サファイア基板
圧電基板10:タンタル酸リチウム基板
金属膜50:厚さが60nmのチタン膜
金属膜54:アルミニウム合金(アルミニウムに1.0wt%の銅を添加)膜
図6(a)は、サンプルD、Eにおける入力パワーに対する出力パワーを示す図であり、図6(b)は、時間に対する出力パワーの変化量を示す図である。図6(a)は、入力パワーを徐々に上げていき、出力パワーが出力されなくなったときの入力パワーを測定するリニアリティ試験の結果である。図6(b)は、入力パワーを固定した状態で放置し、出力パワーの変化量により劣化時間を測定する寿命試験の結果である。図6(a)および図6(b)では、サンプルDの試験結果を実線で示し、サンプルEの試験結果を破線で示している。また、図6(a)においては、サンプルD、Eをそれぞれ2つ作製し、それぞれの試験結果を示している。なお、図6(a)および図6(b)は、図4(a)および図4(b)と比べて、横軸および縦軸のスケールが異なっている。
図6(a)に示すように、サンプルDは、サンプルEに比べて、出力パワーが出力されなくなったときの入力パワーが大きかった。図6(b)に示すように、サンプルDは、サンプルEに比べて、出力パワーが大きく変化するまでの時間が長かった。
図6(a)および図6(b)の試験結果から、サンプルDはサンプルEよりも耐電力性が高いことが分かる。サンプルDの耐電力性が向上した理由は例えば以下のように考えられる。サンプルDでは、金属膜50と金属膜54との間にバリア膜52が設けられている。このため、金属膜50に含まれるチタンと金属膜54に含まれるアルミニウムとの相互熱拡散が抑制され、金属膜50と金属膜54との間にチタンとアルミニウムの金属間化合物または合金からなる領域の形成が抑制されると考えられる。これにより、電極指34の電気抵抗の増大が抑制され、IDT30に大電力の高周波信号が入力された場合でも電極指34の温度上昇が抑制されるため、耐電力性が向上したと考えられる。
以上のように、実施例1によれば、電極指34は、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜である金属膜54(第2金属膜)と圧電基板10との間に、10nmより厚いチタン膜またはチタン合金膜である金属膜50(第1金属膜)を備える。これにより、圧電基板10の変形に伴う応力が金属膜54まで加わり難くなるため、耐電力性を向上させることができる。また、電極指34は、金属膜50と金属膜54との間に、チタンとアルミニウムの相互拡散を抑制するバリア膜52を備える。これにより、金属膜50と金属膜54との間にチタンとアルミニウムの金属間化合物または合金からなる領域の形成が抑制されるため、電極指34の電気抵抗の増大に伴う破壊が抑制される。よって、耐電力性を向上させることができる。
圧電基板10の変形に伴う応力が金属膜54まで加わり難くなるよう、金属膜50の厚さは、20nm以上の場合が好ましく、30nm以上の場合がより好ましく、40nm以上の場合が更に好ましい。
アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜である金属膜54は、チタン膜またはチタン合金膜である金属膜50より厚い。金属膜54は、主に電流が流れる層であることから、金属膜54が厚いことで、電極指34の電気抵抗の増大を抑制することができる。金属膜54は、電極指34の電気抵抗の増大を抑制する観点から、金属膜50の1.5倍以上の厚さである場合が好ましく、2.0倍以上の厚さである場合がより好ましく、2.5倍以上の厚さである場合が更に好ましい。
バリア膜52は、金属膜50より薄い。これによっても、金属膜54を厚くできるため、電極指34の電気抵抗の増大を抑制することができる。また、バリア膜52が金属膜50より薄いことで、反対に金属膜50がバリア膜52より薄い場合に比べて、電極指34の抵抗を小さくする効果が得られる。バリア膜52は、電極指34の電気抵抗の増大を抑制する観点から、金属膜50の1/3以下の厚さである場合が好ましく、1/4以下の厚さである場合がより好ましく、1/5以下の厚さである場合が更に好ましい。バリア膜52は、チタンとアルミニウムの相互拡散を抑制する観点から、2nm以上の厚さである場合が好ましく、5nm以上の厚さである場合がより好ましく、10nm以上の厚さである場合が更に好ましい。
チタン膜またはチタン合金膜である金属膜50を厚くするほど、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜である金属膜54は、圧電基板10の変形に伴う応力の影響を受け難くなる。しかしながら、金属膜50が厚くなるほど、相対的に金属膜54は薄くなるため、電極指34の電気抵抗が増大して特性が劣化してしまう。したがって、金属膜50の厚さは、電極指34の厚さの1/3以下が好ましく、1/4以下がより好ましく、1/5以下が更に好ましい。例えば、金属膜50の厚さは、80nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、60nm以下が更に好ましい。
バリア膜52は、チタンの融点(1668℃)より高い融点を有する場合が好ましい。融点の高い材料は、原子同士の結合エネルギーが高く熱力学的に安定になり、相互拡散のバリア性が高くなると考えられる。よって、バリア膜52がチタンの融点より高い融点を有することで、金属膜50のチタンと金属膜54のアルミニウムとの相互拡散を効果的に抑制することができる。チタンの融点よりも高い融点を有し、バリア膜52として用いることができる材料として、窒化チタン(融点:2930℃)、窒化アルミニウム(融点:2200℃)、タングステン(融点:3422℃)、モリブデン(融点:2623℃)、酸化シリコン(融点:1710℃)、窒化シリコン(融点:1900℃)、酸化アルミニウム(融点:2072℃)、タンタル(融点:3017℃)、酸化タンタル(融点:1872℃)、およびニオブ(融点:2477℃)が挙げられる。したがって、バリア膜52は、これらの単層膜または積層膜の場合でもよい。これらの膜は、数wt%程度の不純物が含まれていてもよい。なお、アルミニウムの融点は660.3℃である。
また、バリア膜52は、絶縁性を有する場合でもよいが、導電性を有する場合が好ましい。これにより、電極指34の電気抵抗の増大を抑制することができ、特性の劣化を抑制できる。導電性を有し、バリア膜52として用いることができる材料として、上記の窒化チタン、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブの他に、ニッケル(融点:1455℃)が挙げられる。したがって、バリア膜52は、これらの単層膜または積層膜の場合でもよい。これらの膜は、数wt%程度の不純物が含まれていてもよい。
バリア膜52は、チタンとアルミニウムの相互拡散を抑制する性質を有すればよいことから、上記の他に、例えば、酸化タングステン膜、窒化モリブデン膜、シリコン膜、酸化ニオブ膜、またはニクロムなどのニッケル合金膜を用いてもよい。これらの膜は、数wt%程度の不純物が含まれていてもよい。
なお、実施例1では、圧電基板10が支持基板20に接合されている場合を示したが、支持基板20に接合されてなく、圧電基板10単体の場合でもよい。また、圧電基板10と支持基板20との間に酸化シリコン、酸化アルミニウム、および/または窒化アルミニウムなどの絶縁層が設けられていてもよい。
図7は、実施例2に係るフィルタ200の回路図である。図7に示すように、フィルタ200は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続され、1または複数の並列共振器P1からP3が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4、および、1または複数の並列共振器P1からP3の少なくとも1つの共振器に実施例1に係る弾性波共振器100を用いることができる。ラダー型フィルタの共振器の個数などは適宜設定できる。
図8は、実施例3に係るデュプレクサ300のブロック図である。図8に示すように、デュプレクサ300は、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ60が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ62が接続されている。送信フィルタ60は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ62は、共通端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ60および受信フィルタ62の少なくとも一方を実施例2に係るフィルタ200とすることができる。
実施例3では、マルチプレクサとしてデュプレクサを例に示したが、トリプレクサまたはクワッドプレクサの場合でもよい。
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 圧電基板
20 支持基板
30 IDT
32 櫛型電極
34 電極指
36 バスバー
40 反射器
50 金属膜
52 バリア膜
54 金属膜
56 領域
60 送信フィルタ
62 受信フィルタ
100 弾性波共振器
200 フィルタ
300 デュプレクサ

Claims (10)

  1. 圧電基板と、
    前記圧電基板上に設けられ10nmより厚いチタン膜またはチタン合金膜である第1金属膜と、前記第1金属膜上に設けられアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜である第2金属膜と、前記第1金属膜と前記第2金属膜との間に設けられチタンとアルミニウムの相互拡散を抑制するバリア膜と、を有する複数の電極指と、を備える弾性波共振器。
  2. 前記バリア膜は、前記第1金属膜より薄い、請求項1に記載の弾性波共振器。
  3. 前記第1金属膜の厚さは、前記複数の電極指の厚さの1/3以下である、請求項1または2に記載の弾性波共振器。
  4. 前記バリア膜は、チタンの融点より高い融点を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波共振器。
  5. 前記バリア膜は、窒化チタン膜、窒化アルミニウム膜、タングステン膜、モリブデン膜、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、タンタル膜、酸化タンタル膜、またはニオブ膜の単層膜もしくは積層膜である、請求項1から4のいずれか一項に記載の弾性波共振器。
  6. 前記バリア膜は、導電性を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の弾性波共振器。
  7. 前記バリア膜は、酸化タングステン膜、窒化モリブデン膜、シリコン膜、ニッケル膜、ニッケル合金膜、または酸化ニオブ膜の単層膜もしくは積層膜である、請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波共振器。
  8. 前記圧電基板は、タンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である、請求項1から7のいずれか一項に記載の弾性波共振器。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の弾性波共振器を含むフィルタ。
  10. 請求項9に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
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