JP2023062913A - ウイルス不活化組成物 - Google Patents

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浩二 大崎
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Abstract

【課題】環境中に存在するウイルスの不活化を可能とする、ウイルス不活化組成物を提供する。【解決手段】エチルジグリコールを10~60質量%含有するウイルス不活化組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ウイルスを不活化するウイルス不活化組成物に関する。
ウイルス感染症は、感冒症状を始め、肺炎、肝炎、脳炎等の重篤な症状を引き起こす疾患であり、人類にとって永遠の脅威となっている。近年では、インフルエンザウイルスが世界的に猛威を振るい、時には、抗原性が変化した新型インフルエンザの発現によってパンデミックを起こす場合もある。また、2019年には、SARSコロナウイルス-2(SARS-CoV-2)が出現し、パンデミックを引き起こして、生命や健康のみならず、経済活動、社会機能にまで影響を及ぼしている。
このような事態に対応するために、ワクチンや抗ウイルス剤の開発があるが、ワクチンや治療薬の開発には時間が掛かり、また必ずしも成功するとは言えない。
ウイルスは、感染者によって生活空間へ持ち込まれた場合に、患者から直接、あるいは衣服、各種器具・部材、壁やエアコンなどの設備を含む環境を介して、感染が拡大する。したがって、ウイルスが付着し得る手指、衣服、各種器具・部材を洗浄・消毒することによる除ウイルスやウイルス不活化を図ることや、生活空間に飛沫したウイルス及びエアロゾルとして空間中に漂うウイルスを不活化することが感染拡大を防ぐために有効であると考えられている。
従来、エタノール、次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素、グルタルアルデヒド等が、ウイルスを不活化することを目的として使用されている。しかし、これら一般的な消毒剤は、粘膜や皮膚への刺激性が高いため、安全上の問題から使用用途が限られる。また、空間に存在するウイルスを化学的に不活化する方法として、二酸化塩素を散布することも考案されているが、その効果は確かなものではない。
エチルジグリコールは、香料、塗料、樹脂溶剤等として様々な製品に配合されている。これまでに、ウイルスに対して抗ウイルス活性を有する精油や香料化合物が数多く存在することが知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。しかしながら、エチルジグリコールのウイルス不活化作用を利用したウイルス不活化組成物は知られていない。
特開平5-306217号公報
Swamy et al., Evid Based Complement Alternat Med. 2016:3012462. Hayashi K, et al., Planta Medica, 01 Jun 1995, 61(3):237-241
本発明は、環境中に存在するウイルスの不活化を可能とする、ウイルス不活化組成物を提供することに関する。
本発明者らは、エチルジグリコールにインフルエンザウイルスを不活化する効果があり、エチルジグリコールを所定濃度含む組成物はウイルスの不活化に有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)~2)に係るものである。
1)エチルジグリコールを10~60質量%含有するウイルス不活化組成物。
2)エチルジグリコールを10~60質量%含有する組成物をウイルス汚染が懸念される無生物対象物の硬質若しくは軟質表面又は廃棄物に適用する、ウイルス不活化方法。
本発明のウイルス不活化組成物によれば、生活環境中の硬質・軟質表面に付着したウイルス、生活空間に飛沫したウイルス、エアロゾルとして空間中に漂うウイルス等を不活化でき、当該ウイルスによる感染の拡大を防止又は低減することができる。
本発明のエチルジグリコールは、香料、塗料、樹脂溶剤等として用いられている化合物であり、例えば、以下のとおり市販されている。
・エチルジグリコール(別名:2-(2-エトキシエトキシ)エタノール):Sigma-Aldrich社
エチルジグリコールは、液相状態でも気相状態でも使用できる。
本発明のウイルス不活化組成物の対象となるウイルスは、核酸の種類(RNA、DNA)及びエンベロープの有無を問わず、すべての種類のウイルスが含まれる。
エンベロープを有するウイルスとしては、核酸としてRNAを有する、インフルエンザウイルス;コロナウイルス;SARSコロナウイルス;SARSコロナウイルス-2;RSウイルス;ムンプスウイルス;ラッサウイルス;デングウイルス;風疹ウイルス;ヒト免疫不全ウイルス、核酸としてDNAを有する、ヒトヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;B型肝炎ウイルス等が挙げられる。
また、エンベロープを有さないウイルスとしては、核酸としてRNAを有する、ノロウイルス;ポリオウイルス;エコーウイルス;A型肝炎ウイルス;E型肝炎ウイルス;ライノウイルス;アストロウイルス;ロタウイルス;コクサッキーウイルス;エンテロウイルス;サポウイルス、核酸としてDNAを有する、アデノウイルス;B19ウイルス;パポバウイルス;ヒトパピローマウイルス等が挙げられる。
このうち、エンベロープを有するウイルスが好ましく、エンベロープを有し核酸としてRNAを有するウイルスがより好ましく、インフルエンザウイルス、ヒトコロナウイルス、SARSコロナウイルス、SARSコロナウイルス-2がより好ましい。
なお、SARSコロナウイルス-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2,;SARS-CoV-2)は、急性呼吸器疾患(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。
本発明において、ウイルスの不活化とは、ウイルスの活性を低減又は消失し、宿主細胞への感染力を消失させる作用を意味する。
なお、ウイルスの不活化作用は、例えば、試験品とウイルスを接触させた後、ウイルスを宿主細胞に感染させ、そのウイルス感染価を測定すること等により確認することができる。ここで、宿主細胞としては、対象となるウイルスが増殖可能な細胞であればよく、インフルエンザウイルスであれば、例えばイヌ腎臓細胞(MDCK)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero)、アヒル胚性幹細胞由来株化細胞(EB66)、ヒトコロナウイルスであれば、例えばヒト回盲腺癌細胞(HCT-8)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(VeroE6)、ヒト肝臓がん由来株化細胞(Huh7)を用いることができる。
後述する実施例に示すように、エチルジグリコールを所定濃度含む組成物をインフルエンザウイルスと接触させると、当該ウイルスを不活化することができる。
したがって、エチルジグリコールは、ウイルス不活化の有効成分となり得、また、ウイルス不活化効果を発揮するウイルス不活化組成物を製造するために使用することができる。
また、エチルジグリコールを10~60質量%含有する組成物をウイルス汚染が懸念される対象に噴霧すれば、当該対象における当該ウイルスの不活化が可能である。
本発明のウイルス不活化組成物中のエチルジグリコールの含有量は、ウイルス不活化能を高める観点から、10質量%以上であって、好ましくは20質量%以上、より好ましくは45質量%以上であり、また、使用時の機材(組成物を充填する装置等)の損傷を防ぐ観点から、60質量%以下であって、好ましくは50質量%以下である。
本発明のウイルス不活化組成物は、ウイルス不活化能を補完的に高める観点から、さらに1,2-プロパンジオールを含有することが好ましい。
ウイルス不活化組成物中の1,2-プロパンジオールの含有量は、ウイルス不活化能を補完的に高める観点から、10質量%以上とすることが好ましく、40質量%以上とすることがより好ましく、一方、組成物の粘性を低下させ、組成物をウイルス汚染が懸念される対象に適用しやすくする観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
本発明のウイルス不活化組成物中のエチルジグリコール及び1,2-プロパンジオールの合計含有量は、ウイルス不活化能を高める観点から、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上とすることが好ましく、また、適用のしやすさの観点から、60質量%以下が好ましい。
本発明のウイルス不活化組成物において、エチルジグリコール及び1,2-プロパンジオールの合計含有量に対するエチルジグリコールの質量比[エチルジグリコール/(エチルジグリコール+1,2-プロパンジオール)]は、ウイルス不活化能を高める観点から、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.8以上である。
さらに、本発明のウイルス不活化組成物は、組成物の粘性を低下させ、特に組成物を空間中に霧状に散布して用いる場合において、ウイルス汚染が懸念される対象への適用のしやすさの観点から、水を含有することが好ましい。
ウイルス不活化組成物中の水の含有量は、組成物の粘性を低下させ、特に組成物を空間中に霧状に散布して用いる場合において、ウイルス汚染が懸念される対象への適用のしやすさの観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、また、組成物のウイルス不活化能を高める観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
本発明のウイルス不活化組成物は、液相又は気相の状態で使用されるものを包含する。液相状態で使用されるウイルス不活化組成物は、エチルジグリコール、1,2-プロパンジオール、水の他、次亜塩素酸、過酸化水素、銀イオン化合等の抗菌性物質や、カチオン性抗菌剤(塩化ベンゼトニウム等)、殺菌剤(トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等)、エタノール、界面活性剤等を含んでいてもよく、キレート剤、保湿剤、潤滑剤、ビルダー、緩衝剤、研磨剤、電解質、漂白剤、香料、染料、発泡制御剤、腐食防止剤、精油、増粘剤、顔料、光沢向上剤、酵素、洗剤、溶媒、希釈剤、分散剤、pH調整剤、乳化剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、ポリマー、シリコーン、向水性物質等の添加剤を適宜組み合わせて含有させることができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができるが、ウイルス不活化組成物中のエチルジグリコール及び1,2-プロパンジオールの合計含有量が、ウイルス不活化能を高める観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上となるようにすることが好ましい。
また、エタノールを含有する場合は、特に空間中に霧状に散布して用いる場合において、引火を防ぐ観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。
本発明のウイルス不活化組成物の形態としては、液状、乳液状、クリーム状、ローション状、ペースト状、ジェル状、シート状(基材担持)、オイル状等の形態であり得るが、これらに限定されない。
当該ウイルス不活化組成物は、そのまま使用することができるし、各種洗浄剤(衣料用洗浄剤、住居用洗浄剤、食器用洗浄剤、洗髪剤、手指洗浄剤、全身用洗浄剤、洗顔料等)、消毒剤、衛生用品(ローション、クリーム、入浴剤、フォーム、制汗剤、消臭剤、腋臭防止剤、口腔衛生用品(例えば、洗口液、歯磨、口中清涼剤、うがい薬)等)等に適宜配合して使用することができる。
気相状態で使用されるウイルス不活化組成物(例えば、空間除ウイルス用組成物)は、液状又はゲル状等が挙げられるが、液状であるのが好ましい。当該組成物は、エチルジグリコール、1,2-プロパンジオール、水の他、基材(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ジメチルエーテル、液体プロパン、ワセリン、ラノリン、ヒマシ油、パラフィン系炭化水素(例えば、流動パラフィン)等)及び各種添加剤(界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止、防腐剤、消臭剤、天然抽出物、シリコーン、増粘剤、染料、顔料、色素、油剤、香料等)を適宜組み合わせて含有させることができる。添加剤の含有量については上述したとおりである。
なお、ゲル状製剤とする場合は、例えば、カラギーナン、ジェランガム等の水溶性ゲル化剤、金属石鹸、オクチル酸アルミニウム等の油溶性ゲル化剤等、天然ゲル化剤又は合成ゲル化剤を従来公知の方法に従って、適宜添加することにより調製できる。
ウイルス汚染が懸念される対象としては、ウイルスが付着する動物の皮膚若しくは粘膜、無生物対象物の硬質若しくは軟質表面、廃棄物等の物体や、ウイルスが飛沫する若しくは浮遊する空間が挙げられる。ここで、無生物対象物の表面としては、例えば、家庭や事業施設における、カウンタ、シンク、化粧室、トイレ、浴槽、シャワー台、床、窓、ドアノブ、壁、下水口、パイプ等の硬質表面;キッチン用品、家具、電話、玩具等の各種器具、道具、雑貨等の硬質表面;繊維製品(カーペット、エリアラグ、カーテン、布製家具、衣類、マスク等)等の軟質表面が挙げられる。
廃棄物としては、一般廃棄物(食材残渣、ティッシュペーパー、マスク等の家庭廃棄物)、産業廃棄物(汚泥、糞尿、医療廃棄物等)が挙げられる。廃棄物が袋に内包されている場合、袋表面を対象としても良い。
また、空間としては、ダイニングキッチン室、寝室、子供室、浴室、トイレ等の一般家庭内;販売店、食堂、旅館、病院、作業場、工場、福祉施設、教育施設、映画館、博物館、カラオケボックス等の施設内;自動車(塵芥車、バス等)、電車、航空機等の乗り物内;準密閉空間(ロッカー、物置、押入れ等;収納箱(おもちゃ用、カラオケ用マイク用、食器用、調味料用、筆記具用、文房具用))等が挙げられる。
本発明のウイルス不活化組成物は、ウイルス汚染が懸念される対象に適用されるが、その態様は特に限定されず、エチルジグリコールを液相又は気相でウイルスと接触又は反応させればよい。
エチルジグリコールを液相でウイルスと接触させる方法としては、本発明のウイルス不活化組成物を処理対象にそのまま塗布する方法、本発明のウイルス不活化組成物を揮発させて処理対象に溶解させる方法、或いは、本発明のウイルス不活化組成物を含浸させたシート、ガーゼ、タオル、おしぼり、ティッシュ、ウエットティッシュ等で対象表面を拭き取る方法等、の何れでもよい。
エチルジグリコールを気相でウイルスと接触又は反応させる方法としては、エチルジグリコールを自然揮散させる形態或いは強制揮散させる形態の何れの態様であってもよい。エチルジグリコールを自然揮散させる形態であれば、生活空間内に放置するだけで空間に存在するウイルスを不活化でき、簡便に空間のウイルス除去(除ウイルス)が行える。
エチルジグリコールを、自然揮散させる場合、例えば、本発明のウイルス不活化組成物を芯棒、濾紙等に染み込ませて揮散させる方法や透過膜を用いて揮散させる方法等の従来公知の方法が適用できる。また、樹脂に本発明のウイルス不活化組成物を混練して使用することもできる。混練しうる樹脂としては、天然系、石油系、合成系のワックス、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル系樹脂等が挙げられる。上記の混練物は、そのまま用いることもできるし、多孔質担体に担持させたり、シート状にしたり、該シート状物を積層体にして用いることもできる。多孔質担体としては、例えば、セルロース、キトサン等の天然高分子、上記の合成樹脂、ケイ酸カルシウム等の無機多孔性物質等を、粒状、シート状等の任意の形状にしたものが挙げられる。上記の混練物や積層体は、例えば、空調設備、トイレ、浴室、居間、病室、病院の待合室、ダストボックス等に設置して、本発明の化合物を徐々に揮散させながら利用することもできる。また、本発明のウイルス不活化組成物を紙や不織布等からなる製品(空気清浄器のフィルター等)に担持させて使用することもできる。
エチルジグリコールを強制揮散させる場合、斯かる手段としては、例えば、ファン等を用いて揮散させる方法、ヒーター等を用いた加熱揮散方法、超音波によって揮散させる方法等が挙げられる。
本発明においては、ウイルス不活化能を高める観点と、既存の抗ウイルス成分が噴霧によりウイルスを不活化する用途には向いていない現状を考慮して、ウイルス不活化組成物を噴霧することによりウイルス汚染が懸念される対象に適用させることが好ましい。本発明のウイルス不活化組成物であれば噴霧に適する。
本発明のウイルス不活化組成物を噴霧する方法としては、例えば、トリガースプレー容器(直圧又は蓄圧型)やディスペンサータイプのポンプスプレー容器、耐圧容器を具備したエアゾールスプレー容器等の公知のスプレー容器に充填し、噴霧量を適宜調整して噴霧する方法が挙げられる。また、加圧空気霧化噴霧装置、ネブライザー、ディフューザー等の霧化装置、ウオッシャーノズルやミスト機等の拡散装置に充填し、ウイルスが存在する空間中に噴霧する方法が挙げられる。
また、ウイルス汚染が懸念される対象物をあまり濡れた状態にしたくない時は、当該対象物とウイルス不活化組成物を一時的に受け止める担体を、密閉可能な空間にいれ、ウイルス不活化組成物を担体に一旦噴霧し、そこからエチルジグリコールを気化させて容器内に充満させたエチルジグリコールによって間接的に対象物を処理することもできる。
担体及び対象物をそれぞれ密閉可能な空間に入れるタイミング、担体にウイルス不活化組成物を噴霧するタイミングは、任意に設定できる。担体としては、エチルジグリコールの気化が容易におこるように、発泡のスポンジや不織布、紙等の表面積の大きいものが好ましい。
本発明においては、ウイルス汚染が懸念される物体表面や空間へ適切にウイルス不活化組成物を届ける、言い換えれば、届く手前でエチルジグリコールが気化してしまうロスを防ぐ観点から、ウイルス不活化組成物を加熱しない状態(非加熱の状態)で噴霧することが好ましい。非加熱の状態で噴霧する方式としては、前述したようなトリガー式スプレーヤー、ネブライザー、ミスト機、ウオッシャーノズル等を用いた噴霧方法が挙げられる。噴霧する際のウイルス不活化組成物の温度は、好ましくは20~40℃である。
ウイルス不活化組成物を非加熱の状態で物体に噴霧する際、ウイルス不活化組成物を噴射する噴射部と物体との距離は、ウイルス不活化組成物を物体に効率よく届けウイルス不活化を最大にする観点から、好ましくは3m以内、更に好ましくは1m以内である。特に、エチルジグリコールを担体に噴霧したのち気化させてウイルスを不活化する場合は、ウイルス不活化組成物が周囲に付着するのを防ぐ観点から、好ましくは50cm以内、より好ましくは30cm以内で担体に噴霧することが好ましい。
ウイルス不活化組成物を噴霧した後は、エチルジグリコールとウイルスとを接触させてウイルス不活化効果を十分発揮させる観点から、30分以上放置することが好ましい。
なお、本発明において、空間除ウイルス処理を行う場合、エチルジグリコールの使用量は、処理の態様、気温・湿度等の空間環境、エチルジグリコールの蒸気圧等によって適宜調整できるが、ウイルス不活化の観点から、対象空間におけるエチルジグリコールの濃度が、例えば0.05ppmv以上、好ましくは0.5ppmv以上、より好ましくは5ppmv以上、更に好ましくは50ppmv以上であり、且つ各化合物の空間における飽和濃度以下、好ましくは1000ppmv以下、より好ましくは100ppmv以下で揮散するように使用することが挙げられる。
以下、塵芥車を例として本発明のウイルス不活化組成物及び、該組成物を用いたウイルス不活化方法の実施方法を説明する。具体的には、組成物をウイルス汚染が懸念される対象に向けて噴霧する態様について説明する。
塵芥車は、回収した廃棄物を投入する投入口及び投入された廃棄物を収納する荷箱を備える。
作業員が廃棄物を投入箱に投入する際や、投入された廃棄物を荷箱に収容させるための掻き込み又は押し込み操作の際に、廃棄物を内包する袋が破れる場合がある。このとき、破れた袋に内包された廃棄物がウイルスに汚染されていると、ウイルスが投入口付近の空間中へ拡散し、塵芥車の作業員へのウイルス曝露が懸念される。
塵芥車の作業員がウイルスに曝される可能性を低下させる観点からは、本発明のウイルス不活化組成物を投入箱に向けて噴射することが好ましい。
また、噴霧する方向は、ウイルス汚染が懸念される対象に満遍なく噴霧する観点から、投入口上部から投入口の下部及び/又は側面内部に向けて噴霧することが好ましい。
さらに噴霧するタイミングは、掻き込み装置または押し込み装置の駆動に対応して噴霧することが好ましい。
実施例1~7 液相でのインフルエンザウイルスの不活化
1.方法
インフルエンザウイルスA型(A/Puerto Rico/8/1934,H1N1)株を試験ウイルス株として用いた。終濃度(質量%)が下記表1の通りになるようにサンプル溶液を調製した。Hybridoma-SFM培地(Thermo Fisher Scientific)を溶媒としたインフルエンザウイルス溶液(6.0×105FFU)5μLとサンプル溶液45μLを室温(約23℃)で5分間反応させた。反応後、培地でウイルスを希釈し、あらかじめ12穴プレートで培養していたMDCK細胞(イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来)に接種し、37℃、5%CO2条件下で約18時間培養後、形成されたフォーカス数を測定し、抗ウイルス効果を測定した。水と反応させた際の感染力価を対照とし、各サンプル溶液のウイルス不活化活性を下記式(1)より算出した。試験は3回行った。
抗ウイルス効果=-Log[サンプル溶液の感染力価/対照の感染力価] (1)
Figure 2023062913000001
2.結果
3回の平均値を有効数字二桁で示す。表1に示すとおり、エチルジグリコールを所定濃度含む組成物はウイルス不活化効果を示した。

Claims (7)

  1. エチルジグリコールを10~60質量%含有するウイルス不活化組成物。
  2. 更に水を10~90質量%含有する請求項1記載のウイルス不活化組成物。
  3. 更に1,2-プロパンジオールを10~60質量%含有する請求項1又は2記載のウイルス不活化組成物。
  4. ウイルスがエンベロープを有するRNAウイルスである、請求項1~3のいずれか1項記載のウイルス不活化組成物。
  5. ウイルスがインフルエンザウイルス又はコロナウイルスである、請求項1~3のいずれか1項記載のウイルス不活化組成物。
  6. エチルジグリコールを10~60質量%含有する組成物をウイルス汚染が懸念される無生物対象物の硬質若しくは軟質表面又は廃棄物に適用する、ウイルス不活化方法。
  7. 適用手段が噴霧である請求項6記載のウイルス不活化方法。
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