JP2023124497A - SARS-CoV-2不活化剤 - Google Patents

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慎太郎 大西
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浩彦 石田
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Abstract

【課題】優れたSARS-CoV-2不活化効果を示すSARS-CoV-2不活化剤の提供。【解決手段】プロピレングリコールを有効成分とするSARS-CoV-2不活化剤。【選択図】なし

Description

本発明は、SARS-CoV-2不活化剤に関する。
SARSコロナウイルス-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2,;SARS-CoV-2)は、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)やMERSコロナウイルス(MERS-CoV)と同様ベータコロナウイルス属に属し、急性呼吸器疾患(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。SARS-CoV-2は2019年に中国湖北省武漢市付近で発生が初めて確認され、その後、COVID-19の世界的流行(パンデミック)を引き起こしている。
ウイルスは、手指や各種器具・部材を介した接触感染、咳やくしゃみ、会話によって発生した飛沫を直接吸入することによる飛沫感染、或いは空気中を浮遊する飛沫核を吸入することによる空気感染によって感染が拡大する。したがって、ウイルスが付着し得る対象物を洗浄・消毒することによる除ウイルスやウイルス不活化を図ること、空間に飛沫した又は浮遊するウイルスを不活化することが感染拡大を防ぐために有効であると考えられている。
従来、SARS-CoV-2の感染拡大に対応し、SARS-CoV-2に対して抗ウイルス効果が期待される物質が検証され、一定濃度以上のエタノールを始め、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の特定の界面活性剤がSARS-CoV-2に対して有効であることが報告されている。
プロピレングリコールは、多価アルコールの一種で、溶剤・不凍液・潤滑油・医薬品等に用いられている。例えば、特許文献1には、グルタルアルデヒドと、その臭気軽減のためのプロピレングリコール等のグリコールを約10~20重量%含む殺ウイルス性液体組成物が開示されている。特許文献1に記載されているように、プロピレングリコールは、インフルエンザウイルス等に対して不活化作用を有することが報告されている。また、特許文献2では、約52.5重量%のトリエチレングリコールと約1重量%のプロピレングリコールを含む組成物を空間に噴霧することによりヒトコロナウイルスを不活化できることが報告されている。
しかしながら、プロピレングリコールにSARS-CoV-2不活化作用があることは明らかになっていない。
特表平4-502616号公報 国際公開第2021/226232号
本発明は、優れたSARS-CoV-2不活化効果を示すSARS-CoV-2不活化剤を提供することに関する。
本発明者らは、プロピレングリコールにSARS-CoV-2を不活化する効果があり、これがSARS-CoV-2に対する不活化剤として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)~3)に係るものである。
1)プロピレングリコールを有効成分とするSARS-CoV-2不活化剤。
2)プロピレングリコールを有効成分とするSARS-CoV-2感染症の予防剤。
3)プロピレングリコール又はこれを含有する組成物をSARS-CoV-2汚染が懸念される対象に適用する、SARS-CoV-2不活化方法。
本発明のSARS-CoV-2不活化剤によれば、生活環境中の硬質・軟質表面に付着したSARS-CoV-2、生活空間に飛沫したSARS-CoV-2、或いはエアロゾルとして空間中に漂うSARS-CoV-2を不活化でき、当該SARS-CoV-2による感染の拡大を防止又は低減することができる。
本発明において、プロピレングリコールは、1,2-プロパンジオールとも称される分子式C382で表される化合物である。プロピレングリコールには、2種の光学異性体が存在し、本発明では、純粋な異性体又はそれらの混合物を用いることができる。
プロピレングリコールは、市販のものを購入することができる。例えば、富士フイルム和光純薬株式会社、東京化成工業株式会社等から入手することが可能である。或いは、化学合成によって、該市販品と同一物質又はそれを含む組成物を製造することが可能である。
本発明のプロピレングリコールは、液相状態でも気相状態でも使用できる。
本明細書において、SARS-CoV-2は、急性呼吸器疾患(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。
SARS-CoV-2は、そのウイルスゲノムは29,903塩基程度で、一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。また、ウイルス粒子(ビリオン)は、50~200nmほどの大きさである。一般的なコロナウイルスと同様に、スパイクタンパク質、ヌクレオタンパク質、内在性膜タンパク質、エンベロープタンパク質として知られる4つのタンパク質と、RNAより構成されている。このうちヌクレオタンパク質がRNAと結合してヌクレオカプシドを形成し、脂質と結合したスパイクタンパク質、内在性膜タンパク質、エンベロープタンパク質がその周りを取り囲んでエンベロープを形成する(A pneumonia outbreak associated with a new coronavirus of probable bat origin. Nature. 2020 Mar;579(7798):270-273.、A new coronavirus associated with human respiratory disease in China. Nature. 2020 Mar;579(7798):265-269.)。
スパイクタンパク質は、2つのサブユニット、S1及びS2からなる大きなI型膜貫通型タンパク質で、S1は主に、細胞表面の受容体を認識する受容体結合ドメイン(RBD)が、S2には膜融合に必要な要素が含まれている。S1に結合する既知の受容体には、ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)、DPP4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)、APN(アミノペプチダーゼN)、CEACAM(癌胎児性抗原関連細胞接着分子1)、O-ac Sia(O-アセチル化シアル酸)があり、SARS-CoV-2は、ヒトACE2を介してヒト呼吸上皮細胞に感染することが報告されている(Structure, Function, and Antigenicity of the SARS-CoV-2 Spike Glycoprotein Cell. Volume 181, Issue 2, 16 April 2020, Pages 281-292.e6)。
本発明において、SARS-CoV-2の不活化とは、当該ウイルスの活性を低減又は消失し、宿主細胞への感染力を消失させる作用を意味する。
なお、SARS-CoV-2の不活化作用は、例えば、試験品と当該ウイルスを接触させた後、ウイルスを宿主細胞に感染させ、そのウイルス感染価を測定すること等により確認することができる。ここで、宿主細胞としては、アフリカミドリザル由来ベロ細胞(例えば、Vero C1008又はE6/TMPRSS2細胞)、ヒトやコウモリ由来の腸オルガノイド等が挙げられる。
後述する実施例に示すように、プロピレングリコールは、SARS-CoV-2に対して優れたウイルス不活化効果を示す。
したがって、プロピレングリコールは、SARS-CoV-2不活化剤となり得、SARS-CoV-2を不活化するために使用することができる。また、SARS-CoV-2不活化剤を製造するために使用することができる。SARS-CoV-2不活化により、当該ウイルス感染を阻止し、SARS-CoV-2感染症を予防することができる。
ここで、「使用」は、生体(ヒト又は非ヒト動物)における使用である場合、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
本明細書において、SARS-CoV-2感染症とは、SARS-CoV-2に感染することによって発症する急性呼吸器疾患(COVID-19)を指す。その症状は特異的ではなく、症状のないもの(無症候性)から重症の肺炎まで幅広い。典型的な症状・徴候としては発熱、空咳、疲労、喀痰、息切れ、咽頭痛、頭痛、下痢、嗅覚異常等があるが、本発明においては、斯かる症状に限定されるものではない。
また、「予防」とは、個体におけるSARS-CoV-2感染の防止、抑制又は遅延、或いは発症の危険性を低下させることをいう。
本発明のSARS-CoV-2不活化剤、又はSARS-CoV-2感染症の予防剤(以下、「SARS-CoV-2不活化剤等」とも称す)は、プロピレングリコールを単独で使用する形態であってもよく、またこれを含む組成物(例えば、抗ウイルス組成物、衛生用品組成物等)の形態であってもよい。すなわち、本発明のSARS-CoV-2不活化剤等は、SARS-CoV-2不活化効果、或いはSARS-CoV-2感染症の予防効果を発揮する抗ウイルス組成物や衛生用品組成物となり、或いはこれらへ配合するための素材又は製剤となり得る。
上記抗ウイルス組成物は、液相又は気相の状態で使用されるものを包含する。
液相状態で使用される抗ウイルス組成物は、プロピレングリコールの他、基剤、次亜塩素酸、過酸化水素、銀イオン化合物等の抗菌性物質や、カチオン性抗菌剤(塩化ベンゼトニウム等)、殺菌剤(トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等)、界面活性剤等を含んでいてもよい。また、抗ウイルス組成物は、キレート剤、保湿剤、潤滑剤、ビルダー、緩衝剤、研磨剤、電解質、漂白剤、香料、染料、発泡制御剤、腐食防止剤、精油、増粘剤、顔料、光沢向上剤、酵素、洗剤、溶媒、分散剤、ポリマー、シリコーン、向水性物質等の添加剤を適宜配合することにより調製される。斯かる組成物の形態としては、液状、乳液状、クリーム状、ローション状、ペースト状、ジェル状、シート状(基剤担持)、オイル状等の形態であり得るが、これらに限定されない。
当該抗ウイルス組成物は、各種洗浄剤(衣料用洗浄剤、住居用洗浄剤、食器用洗浄剤、洗髪剤、手指洗浄剤、全身用洗浄剤等)、消毒剤等に適宜配合して使用することができる。
気相状態で使用される抗ウイルス組成物(例えば、空間除ウイルス用組成物)は、プロピレングリコールの他、基剤及び各種添加剤(ポリオール類(ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール等)、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、消臭剤、天然抽出物、シリコーン、増粘剤、染料、顔料、色素、油剤、香料等)を配合することにより調製できる。斯かる組成物の形態としては、液状又はゲル状等が挙げられるが、液状であるのが好ましい。
本明細書において、上記基剤としては、油性又は水性の別を問わず、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジメチルエーテル、液体プロパン、ワセリン、ラノリン、ヒマシ油、パラフィン系炭化水素(例えば、流動パラフィン等)等の従来公知のものが挙げられる。これら基剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、香料としては、例えば、炭化水素類、アルデヒド類、ケトン類、アルコール類、フェノール類、ラクトン類、エステル類、エーテル類、チオール類等が挙げられる。
なお、抗ウイルス組成物をゲル状製剤とする場合は、例えば、カラギーナン、ジェランガム等の水溶性ゲル化剤、金属石鹸、オクチル酸アルミニウム等の油溶性ゲル化剤等、天然ゲル化剤又は合成ゲル化剤を従来公知の方法に従って、適宜添加することにより調製できる。
上記衛生用品組成物としては、例えばローション、クリーム、シャンプー、ヘアコンディショナー、ハンドソープ、シャンプー、ボディシャンプー、洗顔料、入浴剤、フォーム、制汗剤、消臭剤、腋臭防止剤、口腔衛生用品(洗口液、歯磨、口中清涼剤、うがい薬等)等が挙げられる。
当該組成物は、化粧料等として許容される担体(例えば、希釈剤、分散剤、緩衝剤、pH調整剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、保湿剤、増粘剤、殺菌剤、香料等)を適宜組み合わせて常法により調製することができる。
本発明のSARS-CoV-2不活化剤等を組成物として使用する態様における前記有効成分の含有量は、組成物の形態に応じて適宜決定できる。例えば、希釈を想定しない組成物においては、組成物の総量に対するプロピレングリコールの含有量は、30v/v%以上が好ましく、40v/v%以上がより好ましく、50v/v%以上がさらに好ましい。また、99.999v/v%以下が好ましく、95v/v%以下がより好ましく、90v/v%以下がさらに好ましい。また、30~99.999v/v%が好ましく、40~95v/v%がより好ましく、50~90v/v%がさらに好ましい。
本発明のSARS-CoV-2不活化剤等によれば、SARS-CoV-2で汚染された動物の皮膚若しくは粘膜や無生物対象物の硬質又は軟質表面、廃棄物等の物体に付着した当該ウイルスの不活化や生活空間に飛沫した当該ウイルスの不活化が可能となる。ここで、無生物対象物の表面としては、例えば、家庭や事業施設における、カウンタ、シンク、化粧室、トイレ、浴槽、シャワー台、床、窓、ドアノブ、壁、下水口、パイプ等の硬質表面;キッチン用品、家具、電話、玩具等の各種器具、道具、雑貨等の硬質表面;繊維製品(カーペット、エリアラグ、カーテン、布製家具、衣類等)等の軟質表面が挙げられる。
廃棄物としては、一般廃棄物(食材残渣、ティッシュペーパー、マスク等の家庭廃棄物)、産業廃棄物(汚泥、糞尿、医療廃棄物等)が挙げられる。廃棄物が袋に内包されている場合、袋表面を対象としても良い。
また、生活空間としては、ダイニングキッチン室、寝室、子供室、浴室、トイレ等の一般家庭内、販売店、食堂、旅館、病院、作業場、工場等の施設内、自動車、電車、航空機等の乗り物内、準密閉空間(ロッカー、物置、押入れ等;収納箱(おもちゃ用、カラオケ用マイク用、食器用、調味料用、筆記具用、文房具用))等が挙げられる。
また、本発明のSARS-CoV-2不活化剤等は、SARS-CoV-2に感染した宿主が立ち入る場所の感染リスク低減のために使用することができる。例えば、畜舎や食肉加工場、市場、ペットショップ等、SARS-CoV-2の宿主となりうる動物を扱う場所での使用が挙げられる。
本発明のSARS-CoV-2不活化剤等において、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物は、SARS-CoV-2汚染が懸念される対象に適用されるが、その態様は特に限定されず、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を液相又は気相で当該ウイルスと接触又は反応させればよい。
SARS-CoV-2汚染が懸念される対象に適用する際のプロピレングリコールの濃度は、SARS-CoV-2不活化の点から、好ましくは30v/v%以上、より好ましくは40v/v以上、さらに好ましくは50v/v%以上である。上限は特に限定されない。
プロピレングリコールを液相でSARS-CoV-2と接触させる方法としては、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を処理対象にそのまま塗布する方法、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を拡散させて処理対象に振りかける方法、或いは、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を含浸させたシート、ガーゼ、タオル、おしぼり、ティッシュ、ウエットティッシュ等で対象表面を拭き取る方法等、の何れでもよい。
また、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を、例えば、トリガースプレー容器(直圧又は蓄圧型)やディスペンサータイプのポンプスプレー容器、耐圧容器を具備したエアゾールスプレー容器等の公知のスプレー容器に充填し、噴霧量を適宜調整して処理対象に噴霧する方法が挙げられる。また、加圧空気霧化噴霧装置、ネブライザー、ディフューザー等の霧化装置、ウオッシャーノズルやミスト機等の拡散装置に充填し、ウイルスが存在する空間中に噴霧する方法が挙げられる。ウイルス存在する空間中に霧状に散布して用いることによって、揮散速度を速めることができ、迅速にウイルス不活化効果を発揮させることができる。本発明においては、ウイルス汚染が懸念される対象へ適切にプロピレングリコール又はこれを含有する組成物を届ける観点から、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を加熱しない状態(非加熱の状態)で噴霧することが好ましい。
プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を、非加熱の状態で物体に噴霧する際、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を噴射する噴射部と物体との距離は、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を物体に効率よく届けウイルス不活化を最大にする観点から、好ましくは3m以内、更に好ましくは1m以内である。
プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を気相でSARS-CoV-2と接触又は反応させる方法としては、プロピレングリコールを自然揮散させる形態或いは強制揮散させる形態の何れの態様であってもよい。プロピレングリコールを自然揮散させる形態であれば、生活空間内に放置するだけで空間に存在するウイルスを不活化でき、簡便に空間のウイルス除去(除ウイルス)が行える。
本発明のSARS-CoV-2不活化剤等を、自然揮散を目的として使用する場合、例えば、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を芯棒、濾紙等に染み込ませて揮散させる方法や透過膜を用いて揮散させる方法等の従来公知の方法が適用できる。また、樹脂にプロピレングリコール又はこれを含有する組成物を混練して使用することもできる。混練しうる樹脂としては、天然系、石油系、合成系のワックス、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル系樹脂等が挙げられる。上記の混練物は、そのまま用いることもできるし、多孔質担体に担持させたり、シート状にしたり、該シート状物を積層体にして用いることもできる。多孔質担体としては、例えば、セルロース、キトサン等の天然高分子、上記の合成樹脂、ケイ酸カルシウム等の無機多孔性物質等を、粒状、シート状等の任意の形状にしたものが挙げられる。上記の混練物や積層体は、例えば、空調設備、トイレ、浴室、居間、病室、病院の待合室、ダストボックス等に設置して、プロピレングリコールを徐々に揮散させながら利用することもできる。また、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物を紙や不織布等からなる製品(空気清浄器のフィルター等)に担持させて使用することもできる。
プロピレングリコールを強制揮散させて用いる場合、斯かる手段としては、例えば、ファン等を用いて揮散させる方法、ヒーター等を用いた加熱揮散方法、超音波によって揮散させる方法等が挙げられる。
なお、空間除ウイルス処理を行う場合、プロピレングリコール又はこれを含有する組成物の使用量は、処理の態様、気温・湿度等の空間環境、プロピレングリコールの蒸気圧等によって適宜調整できる。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1 プロピレングリコールによるSARS-CoV-2の不活化
1.方法
SARS-CoV-2 JPN/Kanagawa/KUH003を試験ウイルス株として用いた。反応時に表1に示した終濃度(v/v%)となるようにあらかじめ調製したプロピレングリコール(PG、富士フイルム和光純薬株式会社製)溶液27μLにウイルス浮遊液3μLを添加して混合した。室温で5分間反応させ、5分後に細胞維持培地(ダルベッコ変法イーグル培地(ナカライテスク株式会社)に牛胎児血清 2%、ペニシリン 100U/mL、ストレプトマイシン 100μg/mL、ジェネティシンG418 1mg/mLを加えたもの)を用いて10倍に希釈し細胞維持培地を用いて3倍ずつ段階希釈した。あらかじめ96穴プレートで培養していたVeroE6/TMPRSS2細胞に、1穴あたり希釈した反応液100μLを接種し、37℃、5%CO2条件下で約1時間感染させた。感染後、希釈液をすべて除去し、細胞維持培地を用いて2回洗浄し、新たな細胞維持培地を入れ3日間培養した。培養後、倒立位相差顕微鏡を用いて細胞の形態変化(細胞変性効果:CPE)の有無を観察し、Behrens-Karber法により50%組織培養感染量(TCID50)を算出して反応液 1mL当たりのウイルス感染価に換算した。水と反応させた際の感染力価を対照とし、各プロピレングリコール溶液のウイルス不活化活性を下記式より算出した。試験は4重測定で実施してTCID50を算出し、それぞれの試験条件について結果の整合性を確かめるために2重測定で再度、試験を実施しTCID50を算出し2回の測定結果が一致することを確認した。
ウイルス不活化効果(log減少値)=対照のlogTCID50/mL-反応液のlogTCID50/mL
2.結果
結果を表1に示す。測定上限は3.46である。
Figure 2023124497000001
表1に示すとおり、プロピレングリコールにSARS-CoV-2不活化効果が認められた。

Claims (5)

  1. プロピレングリコールを有効成分とするSARS-CoV-2不活化剤。
  2. プロピレングリコールを有効成分とするSARS-CoV-2感染症の予防剤。
  3. 抗ウイルス組成物又は衛生用品組成物である請求項1記載のSARS-CoV-2不活化剤又は請求項2記載のSARS-CoV-2感染症の予防剤。
  4. 処理対象に対して、プロピレングリコールが30質量%以上の濃度で使用される請求項1記載のSARS-CoV-2不活化剤又は請求項2記載のSARS-CoV-2感染症の予防剤。
  5. プロピレングリコール又はこれを含有する組成物をSARS-CoV-2汚染が懸念される対象に適用する、SARS-CoV-2不活化方法。
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