JP2023063142A - ウイルス不活化剤 - Google Patents

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結衣 平間
Yui Hirama
慎太郎 大西
Shintaro Onishi
卓也 森
Takuya Mori
浩二 大崎
Koji Osaki
哲 大野
Satoru Ono
浩彦 石田
Hirohiko Ishida
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Abstract

【課題】環境中に存在するウイルスの不活化を可能とする、ウイルス不活化剤を提供する。【解決手段】ギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール及び3-フェニルプロピオンアルデヒドから選ばれる1種以上の化合物を有効成分とするウイルス不活化剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ウイルスを不活化するウイルス不活化剤に関する。
ウイルス感染症は、感冒症状を始め、肺炎、肝炎、脳炎等の重篤な症状を引き起こす疾患であり、人類にとって永遠の脅威となっている。近年では、インフルエンザウイルスが世界的に猛威を振るい、時には、抗原性が変化した新型インフルエンザの発現によってパンデミックを起こす場合もある。また、2019年には、SARSコロナウイルス-2(SARS-CoV-2)が出現し、パンデミックを引き起こして、生命や健康のみならず、経済活動、社会機能にまで影響を及ぼしている。
このような事態に対応するために、ワクチンや抗ウイルス剤の開発があるが、ワクチンや治療薬の開発には時間が掛かり、また必ずしも成功するとは言えない。
ウイルスは、感染者によって生活空間へ持ち込まれた場合に、患者から直接、あるいは衣服、各種器具・部材、壁やエアコンなどの設備を含む環境を介して、感染が拡大する。したがって、ウイルスが付着し得る手指、衣服、各種器具・部材を洗浄・消毒することによる除ウイルスやウイルス不活化を図ることや、生活空間に飛沫したウイルス及びエアロゾルとして空間中に漂うウイルスを不活化することが感染拡大を防ぐために有効であると考えられている。
従来、エタノール、次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素、グルタルアルデヒド等が、ウイルスを不活化することを目的として使用されている。しかし、これら一般的な消毒剤は、粘膜や皮膚への刺激性が高いため、安全上の問題から使用用途が限られる。また、空間に存在するウイルスを化学的に不活化する方法として、二酸化塩素を散布することも考案されているが、その効果は確かなものではない。
精油やそれに含まれる香気成分は、香料として化粧品を始め、様々な製品に配合されるが、特定の生理作用を発揮する精油や香料化合物があることもよく知られている。例えば、ウイルスに対して抗ウイルス活性を有する精油や香料化合物が数多く存在する(例えば、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。
特開平5-306217号公報
Swamy et al., Evid Based Complement Alternat Med. 2016:3012462. Hayashi K, et al., Planta Medica, 01 Jun 1995, 61(3):237-241
本発明は、環境中に存在するウイルスの不活化を可能とする、ウイルス不活化剤を提供することに関する。
本発明者らは、特定の香料化合物にインフルエンザウイルスを不活化する効果があり、これらがウイルス不活化剤として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)~2)に係るものである。
1)ギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール及び3-フェニルプロピオンアルデヒドから選ばれる1種以上の化合物を有効成分とするウイルス不活化剤。
2)ギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール及び3-フェニルプロピオンアルデヒドから選ばれる1種以上の化合物又はこれを含有する組成物をウイルス汚染が懸念される対象に適用する、ウイルス不活化方法。
本発明のウイルス不活化剤によれば、生活環境中の硬質・軟質表面に付着したウイルス、生活空間に飛沫したウイルス、エアロゾルとして空間中に漂うウイルス等を不活化でき、当該ウイルスによる感染の拡大を防止又は低減することができる。
インフルエンザウイルス不活化効果(気相)。 インフルエンザウイルス不活化効果(液相)。
本発明のギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール及び3-フェニルプロピオンアルデヒド(以下「本発明の化合物」とも称する)は、何れも香料として用いられている化合物であり、以下のとおり市販されている。
・ギ酸2-フェニルエチル(別名:ギ酸2-フェニルエチル):Sigma-Aldrich社、東京化成工業社
・酢酸ベンジル:東京化成工業社、Sigma-Aldrich社
・メトキシシトロネラール(別名:7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール):富士フイルム和光純薬
・シンナミルアルコール(別名:3-フェニル-2-プロペン-1-オール):富士フイルム和光純薬社、Sigma-Aldrich社
・ヒドラトロピックアルコール(別名:2-フェニルプロパン-1-オール):東京化成工業社、Sigma-Aldrich社
・ジメチルベンジルカルビノール(別名:2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール):Sigma-Aldrich社、東京化成工業社
・trans-2-ヘキセン-1-オール(別名:(E)-2-ヘキセン-1-オール):Sigma-Aldrich社、東京化成工業社
・trans-3-ヘキセノール(別名:(E)-3-ヘキセン-1-オール):Sigma-Aldrich社
・cis-3-ヘキセノール(別名:(Z)-3-ヘキセン-1-オール):Sigma-Aldrich社、東京化成工業社
・3-フェニルプロピオンアルデヒド(別名:3-フェニルプロパナール):東京化成工業社
斯かる化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の化合物のうち、好適なものとして、ウイルス不活化効果の点からは、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール、3-フェニルプロピオンアルデヒド、香りの強度や質、揮発性の観点からはヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、総合的にはギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノールが挙げられる。
本発明の化合物は、液相状態でも気相状態でも使用できるが、ウイルス不活化効果の点から、気相状態で使用するのが好ましい。
本発明のウイルス不活化剤の対象となるウイルスは、核酸の種類(RNA、DNA)およびエンベロープの有無を問わず、すべての種類のウイルスが含まれる。
エンベロープを有するウイルスとしては、核酸としてRNAを有する、インフルエンザウイルス;コロナウイルス;SARSコロナウイルス;SARSコロナウイルス-2;RSウイルス;ムンプスウイルス;ラッサウイルス;デングウイルス;風疹ウイルス;ヒト免疫不全ウイルス、核酸としてDNAを有する、ヒトヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;B型肝炎ウイルス等が挙げられる。
また、エンベロープを有さないウイルスとしては、核酸としてRNAを有する、ノロウイルス;ポリオウイルス;エコーウイルス;A型肝炎ウイルス;E型肝炎ウイルス;ライノウイルス;アストロウイルス;ロタウイルス;コクサッキーウイルス;エンテロウイルス;サポウイルス、核酸としてDNAを有する、アデノウイルス;B19ウイルス;パポバウイルス;ヒトパピローマウイルス等が挙げられる。
このうち、エンベロープを有するウイルスが好ましく、エンベロープを有し核酸としてRNAを有するウイルスがより好ましく、インフルエンザウイルス、ヒトコロナウイルス、SARSコロナウイルス、SARSコロナウイルス-2がより好ましく、インフルエンザウイルスがさらに好ましい。
なお、SARSコロナウイルス-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2,;SARS-CoV-2)は、急性呼吸器疾患(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。
本発明において、ウイルスの不活化とは、ウイルスの活性を低減又は消失し、宿主細胞への感染力を消失させる作用を意味する。
なお、ウイルスの不活化作用は、例えば、試験品とウイルスを接触させた後、ウイルスを宿主細胞に感染させ、そのウイルス感染価を測定すること等により確認することができる。ここで、宿主細胞としては、対象となるウイルスが増殖可能な細胞であればよく、インフルエンザウイルスであれば、例えばイヌ腎臓細胞(MDCK)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero)、アヒル胚性幹細胞由来株化細胞(EB66)、ヒトコロナウイルスであれば、例えばヒト回盲腺癌細胞(HCT-8)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(VeroE6)、ヒト肝臓がん由来株化細胞(Huh7)を用いることができる。
後述する実施例に示すように、綿球にしみこませた本発明の化合物をガラス瓶に入れて充満させた後に、乾燥させたインフルエンザウイルスを入れて、室温で当該化合物とウイルスを気相中で接触させると、ウイルス感染力価が99.7%以上減少する。
したがって、本発明の化合物は、ウイルス不活化剤、好ましくは気相においてウイルスを不活化するウイルス不活化剤となり得る。或いは、本発明の化合物は、ウイルス不活化剤、好ましくは気相においてウイルスを不活化するウイルス不活化剤を製造するために使用することができる。
また、本発明の化合物は、ウイルスを不活化するために、好ましくは気相においてウイルスを不活化するために使用することができる。
本発明のウイルス不活化剤は、本発明の化合物を単独で使用する形態であってもよく、またこれを含む組成物(例えば、抗ウイルス組成物、衛生用品組成物等)の形態であってもよい。すなわち、本発明のウイルス不活化剤は、ウイルス不活化効果を発揮する抗ウイルス組成物や抗ウイルス効果を発揮する衛生用品組成物となり、或いはこれらへ配合するための素材又は製剤となり得る。
上記抗ウイルス組成物は、液相又は気相の状態で使用されるものを包含する。液相状態で使用される抗ウイルス組成物は、本発明の化合物の他、次亜塩素酸、過酸化水素、銀イオン化合等の抗菌性物質や、カチオン性抗菌剤(塩化ベンゼトニウム等)、殺菌剤(トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等)、エタノール、界面活性剤等を含んでいてもよく、キレート剤、保湿剤、潤滑剤、ビルダー、緩衝剤、研磨剤、電解質、漂白剤、香料、染料、発泡制御剤、腐食防止剤、精油、増粘剤、顔料、光沢向上剤、酵素、洗剤、溶媒、分散剤、ポリマー、シリコーン、向水性物質等の添加剤を適宜配合することにより調製される。斯かる組成物の形態としては、液状、乳液状、クリーム状、ローション状、ペースト状、ジェル状、シート状(基材担持)、オイル状等の形態であり得るが、これらに限定されない。
当該抗ウイルス組成物は、各種洗浄剤(衣料用洗浄剤、住居用洗浄剤、食器用洗浄剤、洗髪剤、手指洗浄剤、全身用洗浄剤等)、消毒剤等に適宜配合して使用することができる。
気相状態で使用される抗ウイルス組成物(例えば、空間除ウイルス用組成物)は、液状又はゲル状等が挙げられるが、液状であるのが好ましい。当該組成物は、本発明の化合物の他、基材及び各種添加剤(ポリオール類(ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等)、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止、防腐剤、消臭剤、天然抽出物、シリコーン、増粘剤、染料、顔料、色素、油剤、香料等)を配合することにより調製できる。ここで、基剤としては、油性又は水性の別を問わず、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ジメチルエーテル、液体プロパン、ワセリン、ラノリン、ヒマシ油、パラフィン系炭化水素(例えば、流動パラフィン等)等の従来公知のものが挙げられ、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、ゲル状製剤とする場合は、例えば、カラギーナン、ジェランガム等の水溶性ゲル化剤、金属石鹸、オクチル酸アルミニウム等の油溶性ゲル化剤等、天然ゲル化剤又は合成ゲル化剤を従来公知の方法に従って、適宜添加することにより調製できる。
上記衛生用品組成物としては、例えばローション、クリーム、シャンプー、ヘアコンディショナー、ハンドソープ、シャンプー、ボディシャンプー、洗顔料、入浴剤、フォーム、制汗剤、消臭剤、腋臭防止剤、口腔衛生用品(洗口液、歯磨、口中清涼剤、うがい薬等)等が挙げられる。
当該組成物は、化粧料等として許容される担体(例えば、希釈剤、分散剤、緩衝剤、pH調整剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、保湿剤、増粘剤、殺菌剤、香料等)を適宜組み合わせて常法により調製することができる。
本発明のウイルス不活化剤を組成物として使用する態様における前記有効成分の含有量は、組成物の形態に応じて適宜決定できる。例えば、組成物の総量に対する本発明の化合物の含有量は0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、99.999質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、0.001~99.999質量%が好ましく、0.01~50質量%がより好ましく、0.1~10質量%がさらに好ましい。
本発明のウイルス不活化剤によれば、ウイルスで汚染された動物の皮膚若しくは粘膜や無生物対象物の硬質又は軟質表面に付着した当該ウイルスの不活化や生活空間に飛沫したウイルスの不活化が可能となる。ここで、無生物対象物の表面としては、例えば、家庭や事業施設における、カウンタ、シンク、化粧室、トイレ、浴槽、シャワー台、床、窓、ドアノブ、壁、下水口、パイプ等の硬質表面;キッチン用品、家具、電話、玩具等の各種器具、道具、雑貨等の硬質表面;繊維製品(カーペット、エリアラグ、カーテン、布製家具、衣類等)等の軟質表面が挙げられる。また、生活空間としては、ダイニングキッチン室、寝室、子供室、浴室、トイレ等の一般家庭内、販売店、食堂、旅館、病院、作業場、工場等の施設内、自動車、電車、航空機等の乗り物内、準密閉空間(ロッカー、物置、押入れ等)等が挙げられる。
本発明のウイルス不活化剤において、本発明の化合物又はこれを含有する組成物は、ウイルス汚染が懸念される対象に適用されるが、その態様は特に限定されず、本発明の化合物を気相又は液相でウイルスと接触又は反応させればよい。本発明の化合物を液相でウイルスと接触させる方法としては、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を処理対象にそのまま塗布する方法、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を拡散させて処理対象に振りかける方法、或いは、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を含浸させたシート、ガーゼ、タオル、おしぼり、ティッシュ、ウエットティッシュ等で対象表面を拭き取る方法等、の何れでもよい。
また、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を、例えば、加圧液噴霧スプレー、加圧空気霧化噴霧装置、ディフューザー、ネブライザー等の霧化又は拡散のための容器若しくは装置に充填し、ウイルス存在する空間中に霧状に散布して用いることによって、揮散速度を速めることができ、迅速にウイルス不活化効果を発揮させることができる。また、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を、エアゾール、ミストスプレー等の状態で使用しても同様の効果が得られる。
本発明の化合物又はこれを含有する組成物を気相でウイルスと接触又は反応させる方法としては、本発明の化合物を自然揮散させる形態或いは強制揮散させる形態の何れの態様であってもよい。本発明の化合物を自然揮散させる形態であれば、生活空間内に放置するだけで空間に存在するウイルスを不活化でき、簡便に空間のウイルス除去(除ウイルス)が行える。
本発明のウイルス不活化剤を、自然揮散を目的として使用する場合、例えば、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を芯棒、濾紙等に染み込ませて揮散させる方法や透過膜を用いて揮散させる方法等の従来公知の方法が適用できる。また、樹脂に本発明の化合物又はこれを含有する組成物を混練して使用することもできる。混練しうる樹脂としては、天然系、石油系、合成系のワックス、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル系樹脂等が挙げられる。上記の混練物は、そのまま用いることもできるし、多孔質担体に担持させたり、シート状にしたり、該シート状物を積層体にして用いることもできる。多孔質担体としては、例えば、セルロース、キトサン等の天然高分子、上記の合成樹脂、ケイ酸カルシウム等の無機多孔性物質等を、粒状、シート状等の任意の形状にしたものが挙げられる。上記の混練物や積層体は、例えば、空調設備、トイレ、浴室、居間、病室、病院の待合室、ダストボックス等に設置して、本発明の化合物を徐々に揮散させながら利用することもできる。また、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を紙や不織布等からなる製品(空気清浄器のフィルター等)に担持させて使用することもできる。
本発明の化合物を強制揮散させて用いる場合、斯かる手段としては、例えば、ファン等を用いて揮散させる方法、ヒーター等を用いた加熱揮散方法、超音波によって揮散させる方法等が挙げられる。
なお、空間除ウイルス処理を行う場合、本発明の化合物又はこれを含有する組成物の使用量は、処理の態様、気温・湿度等の空間環境、各化合物の蒸気圧等によって適宜調整でき、各化合物の空間における飽和濃度以上とすることも可能であるが、例えば、対象空間における本発明の化合物の濃度が、当該化合物の空間における飽和濃度の0.1%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上であり、好ましくは100%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは25%以下で揮散するように使用することが挙げられる。
対象空間における本発明の化合物の濃度は、空間より採取した気体中の化合物濃度を測定することで検出でき、揮発性有機化合物濃度測定器(VOC測定器、ニオイセンサー等)を用いる方法、ガス捕集管などを併用してガスクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー/質量分析を用いて求める方法が挙げられる。
上述した実施形態に関し、本発明においては更に以下の態様が開示される。
<1>ギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール及び3-フェニルプロピオンアルデヒドから選ばれる1種以上の化合物を有効成分とするウイルス不活化剤。
<2>ウイルス不活化剤を製造するための、ギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール及び3-フェニルプロピオンアルデヒドから選ばれる1種以上の化合物の使用。
<3>ウイルスを不活化するための、ギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール及び3-フェニルプロピオンアルデヒドから選ばれる1種以上の化合物又はこれを含有する組成物の使用。
<4>ギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール及び3-フェニルプロピオンアルデヒドから選ばれる1種以上の化合物又はこれを含有する組成物をウイルス汚染が懸念される対象に適用する、ウイルス不活化方法。
<5><1>~<4>において、ウイルスは好ましくはエンベロープを有するRNAウイルスである。
<6><1>~<4>において、ウイルスは好ましくはインフルエンザウイルス又はコロナウイルスである。
<7><1>~<6>において、ウイルスの不活化は、好ましくは気相におけるウイルスの不活化である。
<8><1>~<7>において、前記化合物を含有する組成物中の当該組成物の総量に対する当該化合物の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、且つ好ましくは99.999質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であるか、又は好ましくは0.001~99.999質量%、より好ましくは0.01~50質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%である。
<9>前記化合物又はこれを含有する組成物を、対象空間における前記化合物の濃度が、当該化合物の空間における飽和濃度の0.1%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上であり、好ましくは100%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは25%以下で揮散するように使用する、<4>の方法。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1 香料化合物による気相でのインフルエンザウイルスの不活化
1.方法
インフルエンザウイルスA型(A/Puerto Rico/8/1934,H1N1)株を試験ウイルス株として用いた。下記の表1に示す化合物又はミネラルオイル75μLを綿球にしみこませて15mLのガラス瓶(株式会社マルエム)の蓋部分に両面テープで接着して密閉し、30分間充満させた。インフルエンザウイルス1.5μL(8.3×10FFU)をクライオバイアル(サーモフィッシャーサイエンティフィック)の蓋の上で30分乾燥させた。ウイルスを付着させたバイアルの蓋をガラス瓶に入れ、室温(約23℃)で30分間化合物とウイルスを反応させた。その際、化合物は瓶の蓋部分に、ウイルスは瓶の底部分に置き、化合物とウイルスが直接的には接触しない状態を維持した。反応後、Hybridoma-SFM培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック)でウイルスを回収し、あらかじめ12穴プレートで培養していたMDCK細胞(イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来)に接種し、37℃、5%CO条件下で約18時間培養後、形成されたフォーカス数を測定し、ウイルス感染力価を測定した。対照のミネラルオイルと反応させた際の感染力価を100%とし、各化合物のウイルス不活化活性を算出した。試験は3回行った。
Figure 2023063142000001
2.結果
図1に示すとおり、対照のミネラルオイルに比べ、化合物1~10はそれぞれ、検出されるウイルス量を0.001%以下、0.001%以下、0.13%、0.16%、0.26%、0.30%、0.001%以下、0.001%以下、0.001%以下、0.07%まで低下させた。
実施例2 香料化合物による液相でのインフルエンザウイルスの不活化
1.方法
インフルエンザウイルスA型(A/Puerto Rico/8/1934,H1N1)株を試験ウイルス株として用いた。前記表1に示す化合物をウイルスと反応する際の終濃度が0.1%(v/v)になるように1%(v/v)のジプロピレングリコールを溶剤として含むHybridoma-SFM培地(Thermo Fisher Scientific)に溶解した。化合物溶液又は1%(v/v)ジプロピレングリコール溶液と、培地を溶媒としたインフルエンザウイルス溶液(8.3×10FFU)各60μLを96穴プレートに添加し、室温(約23℃)で30分間反応させた。反応後、培地でウイルスを希釈し、あらかじめ48穴プレートで培養していたMDCK細胞(イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来)に接種し、37℃、5%CO条件下で約18時間培養後、形成されたフォーカス数を測定し、ウイルス感染力価を測定した。対照の1%(v/v)ジプロピレングリコール溶液と反応させた際の感染力価を100%とし、各化合物のウイルス感染力価を算出した。試験は3回行った。
2.結果
図2に示すとおり、対照の1%ジプロピレングリコール溶液に比べ、化合物1~10はそれぞれ、検出されるウイルス量を68.9%、71.5%、65.6%、67.1%、68.0%、59.7%、67.1%、79.5%、80.3%、57.2%、まで低下させた。

Claims (5)

  1. ギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール及び3-フェニルプロピオンアルデヒドから選ばれる1種以上の化合物を有効成分とするウイルス不活化剤。
  2. ウイルスがエンベロープを有するRNAウイルスである、請求項1に記載のウイルス不活化剤。
  3. ウイルスがインフルエンザウイルス又はコロナウイルスである、請求項1又は2に記載のウイルス不活化剤。
  4. 気相においてウイルスを不活化する、請求項1~3のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤。
  5. ギ酸2-フェニルエチル、酢酸ベンジル、メトキシシトロネラール、シンナミルアルコール、ヒドラトロピックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、trans-2-ヘキセン-1-オール、trans-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール及び3-フェニルプロピオンアルデヒドから選ばれる1種以上の化合物又はこれを含有する組成物をウイルス汚染が懸念される対象に適用する、ウイルス不活化方法。
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