JP2023162973A - ウイルス不活化剤 - Google Patents

ウイルス不活化剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2023162973A
JP2023162973A JP2022073723A JP2022073723A JP2023162973A JP 2023162973 A JP2023162973 A JP 2023162973A JP 2022073723 A JP2022073723 A JP 2022073723A JP 2022073723 A JP2022073723 A JP 2022073723A JP 2023162973 A JP2023162973 A JP 2023162973A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dimethyl
virus
methoxy
heptyn
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022073723A
Other languages
English (en)
Inventor
捷瑩 胡
Jieying Hu
結衣 平間
Yui Hirama
慎太郎 大西
Shintaro Onishi
領市 松井
Ryoichi Matsui
佑紀 柏木
Yuki Kashiwagi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2022073723A priority Critical patent/JP2023162973A/ja
Publication of JP2023162973A publication Critical patent/JP2023162973A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

【課題】環境中に存在するウイルスの不活化を可能とする、ウイルス不活化剤を提供する。【解決手段】1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール、4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オール、5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オール、2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オール、ジメチルジスルフィド、γ-ヘキサノラクトン及び4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノールから選ばれる1種以上の化合物を有効成分とするウイルス不活化剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ウイルスを不活化するウイルス不活化剤に関する。
ウイルス感染症は、感冒症状を始め、肺炎、肝炎、脳炎等の重篤な症状を引き起こす疾患であり、人類にとって永遠の脅威となっている。近年では、インフルエンザウイルスが世界的に猛威を振るい、時には、抗原性が変化した新型インフルエンザの発現によってパンデミックを起こす場合もある。また、2019年には、SARSコロナウイルス-2(SARS-CoV-2)が出現し、パンデミックを引き起こして、生命や健康のみならず、経済活動、社会機能にまで影響を及ぼしている。
このような事態に対応するために、ワクチンや抗ウイルス剤の開発があるが、ワクチンや治療薬の開発には時間が掛かり、また必ずしも成功するとは言えない。
ウイルスは、感染者によって生活空間へ持ち込まれた場合に、患者から直接、あるいは衣服、各種器具・部材、壁やエアコン等の設備を含む環境を介して、感染が拡大する。したがって、ウイルスが付着し得る手指、衣服、各種器具・部材を洗浄・消毒することによる除ウイルスやウイルス不活化を図ることや、生活空間に飛沫したウイルス及びエアロゾルとして空間中に漂うウイルスを不活化することが感染拡大を防ぐために有効であると考えられている。
従来、エタノール、次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素、グルタルアルデヒド等が、ウイルスを不活化することを目的として使用されている(例えば、特許文献1)。しかし、これら一般的な消毒剤は、粘膜や皮膚への刺激性が高いため、安全上の問題から使用用途が限られる。また、空間に存在するウイルスを化学的に不活化する方法として、二酸化塩素を散布することも考案されているが、その効果は確かなものではない。
4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オール、5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オール、2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オール、ジメチルジスルフィド及びγ-ヘキサノラクトンは既知化合物であり、例えば、2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オール及びγ-ヘキサノラクトンは香料として様々な製品に活用されている。
しかしながら、これらの化合物に、ウイルス不活化作用があることは全く知られていない。
特表平4-502616号公報
本発明は、環境中に存在するウイルスの不活化を可能とする、ウイルス不活化剤を提供することに関する。
本発明者らは、下記に示す特定の10化合物にインフルエンザウイルスを不活化する効果があり、これらがウイルス不活化剤として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)~3)に係るものである。
1)1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール、4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オール、5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オール、2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オール、ジメチルジスルフィド、γ-ヘキサノラクトン及び4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノールから選ばれる1種以上の化合物を有効成分とするウイルス不活化剤。
2)1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール、4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オール、5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オール、2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オール、ジメチルジスルフィド、γ-ヘキサノラクトン及び4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノールから選ばれる1種以上の化合物又はこれを含有する組成物をウイルス汚染が懸念される対象に適用する、ウイルス不活化方法。
3)1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール又は4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノール。
本発明のウイルス不活化剤によれば、生活環境中の硬質・軟質表面に付着したウイルス、生活空間に飛沫したウイルス、エアロゾルとして空間中に漂うウイルス等を不活化でき、当該ウイルスによる感染の拡大を防止又は低減することができる。
インフルエンザウイルス不活化効果(気相)。 インフルエンザウイルス不活化効果(液相)。
本発明では、1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール、4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オール、5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オール、2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オール、ジメチルジスルフィド、γ-ヘキサノラクトン及び4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノールから選ばれる1種以上の化合物をウイルス不活化のための有効成分として使用する。このうち、1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール及び4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノールは、これまでに単離又は合成されたことのない新規化合物である。
本発明の1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オールは、次の化学式(1)で表される化合物である。
Figure 2023162973000001
1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール(以下、化合物1と称する場合がある。)は、後記製造例に示すとおり、例えば、下記の反応スキームに従って合成することができる。
Figure 2023162973000002
6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オールは、次の化学式(2)で表される化合物である。
Figure 2023162973000003
6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール(以下、化合物2と称する場合がある。)は、後記製造例に示すとおり、例えば、下記の反応スキームに従って合成することができる。
Figure 2023162973000004
6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オールは、次の化学式(3)で表される化合物である。
Figure 2023162973000005
6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール(以下、化合物3と称する場合がある。)は、後記製造例に示すとおり、例えば、下記の反応スキームに従って合成することができる。
6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オールは、次の化学式(4)で表される化合物である。
6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール(以下、化合物4と称する場合がある。)は、後記製造例に示すとおり、例えば、化合物3の製造方法に引き続いて下記の反応スキームに従って合成することができる。
4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オールは、次の化学式(5)で表される化合物(CAS登録番号:105598-38-7)である。
4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オール(以下、化合物5と称する場合がある。)は、市販のものを購入することができる。或いは、化学合成によって(例えば、J.Am.Chem.Soc.2009.131.14190-14191)、当該化合物又はそれを含む組成物を製造することが可能である。
5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オールは、次の化学式(6)で表される化合物(CAS登録番号:4121-97-5)である。
5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オール(以下、化合物6と称する場合がある。)は、市販のものを購入することができる。或いは、後記製造例に示すとおり、例えば、水素化ナトリウムとヨウ化メチルを用いて2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオールをメチルエステル化することにより、当該化合物又はそれを含む組成物を製造することが可能である。
2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オールは、次の化学式(7)で表される化合物(CAS登録番号:53965-16-5)である。
2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オール(以下、化合物7と称する場合がある。)は、市販のものを購入することができる。或いは、化学合成によって(例えば、Organometallics 2014,33,796-803)、当該化合物又はそれを含む組成物を製造することが可能である。
ジメチルジスルフィドは、次の化学式(8)で表される化合物(CAS登録番号:624-92-0)である。
ジメチルジスルフィド(以下、化合物8と称する場合がある。)は、市販のものを購入することができる。例えば、「ジメチルジスルフィド」として東京化成工業株式会社より入手できる。
γ-ヘキサノラクトンは、次の化学式(9)で表される化合物(CAS登録番号:695-06-7)である。
γ-ヘキサノラクトン(以下、化合物9と称する場合がある。)は、市販のものを購入することができる。例えば、曽田香料株式会社より「GAMMA HEXALACTONE」として入手可能である。
4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノールは、次の化学式(10)で表される化合物である。
4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノール(以下、化合物10と称する場合がある。)は、後記製造例に示すとおり、例えば、1,1-ジメチル-3-メチル-3-ヒドロキシプロパノールに3-メチル-2-ブテンクロリドを作用させたのち、Raneyニッケルを用いて還元することで合成することができる。
本発明の化合物1~10は、塩や溶媒和物であってもよく、いずれも包含される。また、これらは各々単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、香りの質やウイルス不活化効果の点から、1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール、4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オール、5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オール、γ-ヘキサノラクトンを用いることが好ましい。
また、上記化合物1~10に光学異性体が存在する場合は、純粋な異性体又はそれらの混合物を用いることができる。
本発明の化合物1~10は、液相状態でも気相状態でも使用できるが、ウイルス不活化効果の点から、気相状態で使用するのが好ましい。
本発明のウイルス不活化剤の対象となるウイルスは、核酸の種類(RNA、DNA)及びエンベロープの有無を問わず、すべての種類のウイルスが含まれる。
エンベロープを有するウイルスとしては、核酸としてRNAを有する、インフルエンザウイルス;コロナウイルス;SARSコロナウイルス;SARSコロナウイルス-2;RSウイルス;ムンプスウイルス;ラッサウイルス;デングウイルス;風疹ウイルス;ヒト免疫不全ウイルス、核酸としてDNAを有する、ヒトヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;B型肝炎ウイルス等が挙げられる。
また、エンベロープを有さないウイルスとしては、核酸としてRNAを有する、ノロウイルス;ポリオウイルス;エコーウイルス;A型肝炎ウイルス;E型肝炎ウイルス;ライノウイルス;アストロウイルス;ロタウイルス;コクサッキーウイルス;エンテロウイルス;サポウイルス、核酸としてDNAを有する、アデノウイルス;B19ウイルス;パポバウイルス;ヒトパピローマウイルス等が挙げられる。
このうち、エンベロープを有するウイルスが好ましく、エンベロープを有し核酸としてRNAを有するウイルスがより好ましく、インフルエンザウイルス、ヒトコロナウイルス、SARSコロナウイルス、SARSコロナウイルス-2がより好ましい。
なお、SARSコロナウイルス-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2,;SARS-CoV-2)は、急性呼吸器疾患(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。
本発明において、ウイルスの不活化とは、ウイルスの活性を低減又は消失し、宿主細胞への感染力を消失させる作用を意味する。
なお、ウイルスの不活化作用は、例えば、試験品とウイルスを接触させた後、ウイルスを宿主細胞に感染させ、そのウイルス感染価を測定すること等により確認することができる。ここで、宿主細胞としては、対象となるウイルスが増殖可能な細胞であればよく、インフルエンザウイルスであれば、例えばイヌ腎臓細胞(MDCK)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero)、アヒル胚性幹細胞由来株化細胞(EB66)、ヒトコロナウイルスであれば、例えばヒト回盲腺癌細胞(HCT-8)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(VeroE6)、ヒト肝臓がん由来株化細胞(Huh7)を用いることができる。
後述する実施例に示すように、化合物1~10は、インフルエンザウイルスに対して優れたウイルス不活化効果を示す。
したがって、化合物1~10は、ウイルス不活化剤、好ましくは気相においてウイルスを不活化するウイルス不活化剤となり得る。或いは、化合物1~10は、ウイルス不活化剤、好ましくは気相においてウイルスを不活化するウイルス不活化剤を製造するために使用することができる。
また、化合物1~10は、ウイルスを不活化するために、好ましくは気相においてウイルスを不活化するために使用することができる。
本発明のウイルス不活化剤は、化合物1~10から選ばれる少なくとも1種を使用する形態であってもよく、またこれを含む組成物(例えば、抗ウイルス組成物、衛生用品組成物等)の形態であってもよい。すなわち、本発明のウイルス不活化剤は、ウイルス不活化効果を発揮する抗ウイルス組成物や抗ウイルス効果を発揮する衛生用品組成物となり、或いはこれらへ配合するための素材又は製剤となり得る。
上記抗ウイルス組成物は、液相又は気相の状態で使用されるものを包含する。
液相状態で使用される抗ウイルス組成物は、化合物1~10から選ばれる少なくとも1種の他、基剤、次亜塩素酸、過酸化水素、銀イオン化合物等の抗菌性物質や、カチオン性抗菌剤(塩化ベンゼトニウム等)、殺菌剤(トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等)、界面活性剤等を含んでいてもよい。また、抗ウイルス組成物は、キレート剤、保湿剤、潤滑剤、ビルダー、緩衝剤、研磨剤、電解質、漂白剤、香料、染料、発泡制御剤、腐食防止剤、精油、増粘剤、顔料、光沢向上剤、酵素、洗剤、溶媒、分散剤、ポリマー、シリコーン、向水性物質等の添加剤を適宜配合することにより調製される。斯かる組成物の形態としては、液状、乳液状、クリーム状、ローション状、ペースト状、ジェル状、シート状(基剤担持)、オイル状等の形態であり得るが、これらに限定されない。
当該抗ウイルス組成物は、各種洗浄剤(衣料用洗浄剤、住居用洗浄剤、食器用洗浄剤、洗髪剤、手指洗浄剤、全身用洗浄剤等)、消毒剤等に適宜配合して使用することができる。
気相状態で使用される抗ウイルス組成物(例えば、空間除ウイルス用組成物)は、化合物1~10の他、基剤及び各種添加剤(界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、消臭剤、天然抽出物、シリコーン、増粘剤、染料、顔料、色素、油剤、香料等)を配合することにより調製できる。斯かる組成物の形態としては、液状又はゲル状等が挙げられるが、液状であるのが好ましい。
本明細書において、基剤としては、油性又は水性の別を問わず、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルエーテル、液体プロパン、ワセリン、ラノリン、ヒマシ油、パラフィン系炭化水素(例えば、流動パラフィン等)等の従来公知のものが挙げられる。これら基剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、抗ウイルス組成物をゲル状製剤とする場合は、例えば、カラギーナン、ジェランガム等の水溶性ゲル化剤、金属石鹸、オクチル酸アルミニウム等の油溶性ゲル化剤等、天然ゲル化剤又は合成ゲル化剤を従来公知の方法に従って、適宜添加することにより調製できる。
上記衛生用品組成物としては、例えばローション、クリーム、シャンプー、ヘアコンディショナー、ハンドソープ、ボディシャンプー、洗顔料、入浴剤、フォーム、制汗剤、消臭剤、腋臭防止剤、口腔衛生用品(洗口液、歯磨、口中清涼剤、うがい薬等)等が挙げられる。
当該組成物は、化粧料等として許容される担体(例えば、希釈剤、分散剤、緩衝剤、pH調整剤、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、保湿剤、増粘剤、殺菌剤、香料等)を適宜組み合わせて常法により調製することができる。
本発明のウイルス不活化剤を組成物として使用する態様における前記有効成分の含有量は、組成物の形態に応じて適宜決定できる。例えば、組成物の総量に対する化合物1~10から選ばれる少なくとも1種の含有量は、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、99.999質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、0.001~99.999質量%が好ましく、0.01~50質量%がより好ましく、0.1~10質量%がさらに好ましい。
本発明のウイルス不活化剤によれば、ウイルスで汚染された動物の皮膚若しくは粘膜や無生物対象物の硬質又は軟質表面、廃棄物等の物体に付着した当該ウイルスの不活化や生活空間に飛沫したウイルスの不活化が可能となる。ここで、無生物対象物の表面としては、例えば、家庭や事業施設における、カウンタ、シンク、化粧室、トイレ、浴槽、シャワー台、床、窓、ドアノブ、壁、下水口、パイプ等の硬質表面;キッチン用品、家具、電話、玩具等の各種器具、道具、雑貨等の硬質表面;繊維製品(カーペット、エリアラグ、カーテン、布製家具、衣類等)等の軟質表面が挙げられる。
廃棄物としては、一般廃棄物(食材残渣、ティッシュペーパー、マスク等の家庭廃棄物)、産業廃棄物(汚泥、糞尿、医療廃棄物等)が挙げられる。廃棄物が袋に内包されている場合、袋表面を対象としても良い。
また、生活空間としては、ダイニングキッチン室、寝室、子供室、浴室、トイレ等の一般家庭内、販売店、食堂、旅館、病院、作業場、工場等の施設内、自動車、電車、航空機等の乗り物内、準密閉空間(ロッカー、物置、押入れ等;収納箱(おもちゃ用、カラオケ用マイク用、食器用、調味料用、筆記具用、文房具用))等が挙げられる。
本発明のウイルス不活化剤において、化合物1~10又はこれを含有する組成物は、ウイルス汚染が懸念される対象に適用されるが、その態様は特に限定されず、化合物1~10を液相又は気相でウイルスと接触又は反応させればよい。
化合物1~10を液相でウイルスと接触させる方法としては、化合物1~10又はこれを含有する組成物を処理対象にそのまま塗布する方法、化合物1~10又はこれを含有する組成物を拡散させて処理対象に振りかける方法、或いは、化合物1~10又はこれを含有する組成物を含浸させたシート、ガーゼ、タオル、おしぼり、ティッシュ、ウエットティッシュ等で対象表面を拭き取る方法等、の何れでもよい。
また、化合物1~10又はこれを含有する組成物を、例えば、トリガースプレー容器(直圧又は蓄圧型)やディスペンサータイプのポンプスプレー容器、耐圧容器を具備したエアゾールスプレー容器等の公知のスプレー容器に充填し、噴霧量を適宜調整して処理対象に噴霧する方法が挙げられる。また、加圧空気霧化噴霧装置、ネブライザー、ディフューザー等の霧化装置、ウオッシャーノズルやミスト機等の拡散装置に充填し、ウイルスが存在する空間中に噴霧する方法が挙げられる。ウイルス存在する空間中に霧状に散布して用いることによって、揮散速度を速めることができ、迅速にウイルス不活化効果を発揮させることができる。
化合物1~10を気相でウイルスと接触又は反応させる方法としては、例えば、化合物1~10を自然揮散させる形態或いは強制揮散させる形態が挙げられる。これにより、生活空間に存在するウイルスを不活化でき、簡便に空間のウイルス除去(除ウイルス)が行える。
本発明のウイルス不活化剤を、自然揮散を目的として使用する場合、例えば、化合物1~10又はこれを含有する組成物を芯棒、濾紙等に染み込ませて揮散させる方法や透過膜を用いて揮散させる方法等の従来公知の方法が適用できる。また、樹脂に化合物1~10又はこれを含有する組成物を混練して使用することもできる。混練しうる樹脂としては、天然系、石油系、合成系のワックス、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル系樹脂等が挙げられる。上記の混練物は、そのまま用いることもできるし、多孔質担体に担持させたり、シート状にしたり、該シート状物を積層体にして用いることもできる。多孔質担体としては、例えば、セルロース、キトサン等の天然高分子、上記の合成樹脂、ケイ酸カルシウム等の無機多孔性物質等を、粒状、シート状等の任意の形状にしたものが挙げられる。上記の混練物や積層体は、例えば、空調設備、トイレ、浴室、居間、病室、病院の待合室、ダストボックス等に設置して、化合物1~10を徐々に揮散させながら利用することもできる。また、化合物1~10又はこれを含有する組成物を紙や不織布等からなる製品(空気清浄器のフィルター等)に担持させて使用することもできる。
化合物1~10を強制揮散させて用いる場合、斯かる手段としては、例えば、ファン等を用いて揮散させる方法、ヒーター等を用いた加熱揮散方法、超音波によって揮散させる方法等が挙げられる。
なお、空間除ウイルス処理を行う場合、化合物1~10又はこれを含有する組成物の使用量は、処理の態様、気温・湿度等の空間環境、各化合物の蒸気圧等によって適宜調整でき、各化合物の空間における飽和濃度以上とすることも可能であるが、例えば、対象空間における化合物1~10の濃度が、当該化合物の空間における飽和濃度の0.1%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上であり、好ましくは100%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは25%以下で揮散するように使用することが挙げられる。
対象空間における化合物1~10の濃度は、空間より採取した気体中の化合物濃度を測定することで検出でき、揮発性有機化合物濃度測定器(VOC測定器、ニオイセンサー等)を用いる方法、ガス捕集管等を併用してガスクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー/質量分析を用いて求める方法が挙げられる。
製造例1 1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール(1)の製造
(i)反応中間体Xの合成
THF100mL、60%水酸化カリウム水溶液41.3g(442mmоl)、1,2-プロパンジオール16.8g(221mmol)を室温下混合し、3-クロロ-2-メチルプロペン20g(221mmоl)を滴下した。70℃で1時間攪拌後冷却し、下層を除去した後イオン交換水30mLで水洗した。得られた油層を硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を留去し、反応中間体Xを含む混合物30gを得た。
(ii)反応中間体XXの合成
60%水素化ナトリウム7.0g(105mmol)を無水テトラヒドロフラン100mLに分散させ、反応中間体Xを含む混合物15g(うち反応中間体X100mmol)およびヨウ化メチル40mLを加え、室温で24時間攪拌した。氷冷下に水を加えたのちジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を留去し得られた残油をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)し反応中間体XXを14.0g得た。収率95%。
(iii)1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オールの合成
5gの60%硫酸を0℃に冷却し、反応中間体XXを3.0g(21mmol)加え、1.5時間室温下攪拌した。二層分離し、下層をジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和重曹水で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を留去し得られた残油をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)し、1-(メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オールを1.6g得た。収率47%。
1H-NMR(CDCl3、400MHz、δppm): 1.11-1.28(m、9H)、3.27-3.58(m、8H)
13C-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):16.2(CH3)、25.9(CH3)、56.7(CH3)、70.6(C)、75.5(CH2)、76.2(CH)、80.0(CH2)
製造例2 6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール(2)の製造
(i)メチルエーテル体の合成
60%水素化ナトリウム60g(1.5mol)を無水ジメチルホルムアミド(DMF)500mLに分散させた。この分散液を10℃に冷却し、アセチレンアルコール84g(1mol)をDMF100mLに溶解した溶液を2.5時間にわたり滴下した。1時間攪拌した後、ジメチル硫酸190g(1.5mol)を10℃以下で3.5時間にわたり滴下した。得られた混合液を室温まで昇温し2時間攪拌した後0℃に冷却し、残存する水素化ナトリウムを酢酸で分解した後常圧下で蒸留した。沸点74℃の留分を回収し102g(純度80%)のメチルエーテル体を得た。収率83%。得られた留分をスピニングバンド式蒸留装置で精留し、次の反応に用いた。
(ii)6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オールの合成
1.6Mのn-ブチルリチウム62.5mL(0.1mol)を-78℃に冷却し、メチルエーテル体8.4g(86mmol)を加えた。無水ジメチルスルホキシド(DMSO)25mLを5℃以下で加え、イソブチレンオキシド10mL(0.12mol)を一度に加えた。水浴で冷却しながら24時間攪拌した後氷冷し、100mLの氷水を加えて二層に分離した。水層をジエチルエーテルで抽出した後、有機層を飽和塩化アンモニア水溶液で洗浄し、乾燥した。溶媒を留去したのちスピニングバンド式蒸留装置(沸点82℃、6torr)で精製し、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オールを11.1g得た。収率76%。
1H-NMR(CDCl3、400MHz、δppm): 1.31(s、6H)、1.45(s、6H)、2.41(s、2H)、3.36(s、3H)
13C-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):27.5(CH3)、28.5(CH3)、28.6(CH2)、34.3(CH3)、70.1(C)、70.7(C)、80.8(C)、85.1(C)
製造例3 6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール(3)の製造
(i)THP保護体の合成
2-メチル3-ブチン-2-オール20g(0.24mol)および3,4-ジヒドロピラン48g(0.57mmol)を200mLのジクロロエタンに溶解し、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩1g(4.0mmol)を加え室温下で終夜攪拌した。分液処理後溶媒を留去した後、得られた混合物をスピニングバンド式蒸留装置(76℃、13torr)で精製し、THP保護体42.2gを得た。収率89%。
(ii)6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オールの合成
上記方法で得られた2-メチル3-ブチン-2-オールのTHP保護体36.1g(0.214mol)を脱水テトラヒドロフラン100mLに溶解した。この溶液を-78℃に冷却し、脱水テトラヒドロフラン150mLに溶解したn―ブチルリチウム0.24molを滴下漏斗で滴下した。溶液を攪拌しながら0℃まで昇温し、脱水ジメチルスルホキシド50mLを加えたのち、イソブチルアルコール24.3mLを加え、水浴下で終夜攪拌した。反応混合物にヨウ化メチル80g(0.57mol)を加え、さらに終夜攪拌した。得られた反応混合物に水400mLを加え分液・乾燥処理後、溶媒を留去し、混合物のまま次の反応に供した。
上記方法で得られた混合物46.6gを酢酸/テトラヒドロフラン/水(4:2:1)混合溶媒280mLに溶解し、室温で終夜攪拌した。得られた反応混合物に飽和塩化ナトリウム水溶液を加え、分液・乾燥処理後溶媒を留去した。得られた油層をシリカゲルカラムにより精製し(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オールを15.3gを得た。収率45%。
1H-NMR(CDCl3、400MHz、δppm): 1.25(s、6H)、1.51(s、6H)、2.36(s、2H)、3.23(s、3H)
13C-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):24.5(CH3)、30.5(CH3)、31.6(CH2)、49.7(CH3)、65.2(C)、74.6(C)、79.2(C)、87.1(C)
製造例4 6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール(4)の製造
脱水テトラヒドロフラン25mLに水素化リチウムアルミニウム1.5gを分散し、脱水テトラヒドロフラン25mLに溶解した6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール(3)3.4g(20mmol)を室温で加え、攪拌下4時間還流した。反応液を0℃に冷却した後、28%アンモニア水6mLを徐々に加えたのち、ジエチルエーテルを添加し室温で攪拌した。セライトを用いて固形分を除去したのち、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた反応混合物を中圧カラムを用いて精製し、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オールを1.91g得た。収率55%。
1H-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):1.08(s、6H)、1.15(s、6H)、1.85(s、1H)、2.20(d、2H)、3.10(s、3H)、5.58-5.69(m、2H)
13C-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):24.8(CH3)、29.7(CH3)、42.5(CH2)、49.2(CH3)、70.6(C)、74.7(C)、122.6(CH)、141.0(CH)
製造例5 4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オール(5)の製造
60%水素化ナトリウム13.8g(346mmol)を無水テトラヒドロフラン100mLに分散させた。cis-2-ブテン-1,4-ジオール35g(346mmol)およびヨウ化メチル40mLを加え、室温で24時間攪拌した。氷冷下に水を加えたのちジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を留去し得られた残油をシリカゲルカラムで精製し(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)、4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オールを22g得た。収率50%。
1H-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):3.99(dd、2H)、4.06(d、2H)、4.20(d、2H)、5.21(dd、1H)、5.29(dd、1H)、5.67-5.74(m、1H)、5.78-5.85(m、1H)、5.86―5.97(m、1H)
13C-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):58.6(CH2)、65.6(CH2)、71.4(CH2)、117.5(CH2)、128.2(CH)、132.3(CH)、134.4(CH)
製造例6 5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オール(6)の製造
60%水素化ナトリウム8.8g(220mmol)を無水テトラヒドロフラン100mLに分散させ、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール25g(176mmol)およびヨウ化メチル40mLを加え、室温で24時間攪拌した。氷冷下に水を加えたのちジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を留去し得られた残油をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル:ヘキサン=1:5から1:3にグラジエント)し、5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オールを8.6g得た。収率31%。
1H-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):1.45(s、12H)、3.35(s、3H)
13C-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):28.4(CH3)、51.5(CH3)、70.5(C)、85.9(C)
製造例7 2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オールの製造
冷却管、温度計、および滴下漏斗を装着した300mLの4つ口フラスコに、トルエン40mL、水酸化ナトリウム18g(0.46mol)、テトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)2.3g(6.2mmol)、イオン交換水20mLを加え55℃まで昇温した。イソブチルアルデヒド30g(0.42mol)と塩化プレニル57g(純度90%、51g、0.49mmol)を混合し、1.5時間にわたり滴下した。70℃で1時間攪拌後冷却し、下層を除去した後イオン交換水30mLで水洗した。得られた油層を硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を留去し、中間体混合物47g(うち付加体62%、29g、0.21mol)を得た。収率56%。
冷却管、温度計、および滴下漏斗を装着した200mLの4つ口フラスコに、メタノール30g、イオン交換水11g、50%水酸化ナトリウム0.32g、水素化ホウ素ナトリウム3.2g(0.09mol)を加え氷浴下で攪拌した。この溶液に対し、滴下漏斗を用いて上記中間体混合物35g(うち付加体22g、0.16mol)を2時間にわたり滴下した。滴下後表浴を外し1.5時間室温で攪拌したのち、6N硫酸(3mol/L)を加えpHを4以下に下げ、その後50%水酸化ナトリウムでpH6~7に収まるよう中和した。その後メタノールを常圧・130℃雰囲気下で蒸発させ、上層を取り乾燥、濾過後に溶媒を留去して2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オールを含む混合物を27g得た。収率85%。その後蒸留(トップ温度96℃、減圧度5kPa)により留分を得、さらに中圧カラム(ハイフラッシュカラム大使用、展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=98:2)により精製し、2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オールを8.0g得た。純度99%。
1H-NMR(CDCl3、400MHz、δppm): 0.87(s、6H)、1.62(s、3H)、1.72(s、3H)、1.94(d、2H)、3.32(s、2H)、5.20(tt、1H)
13C-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):17.8(CH3)、23.9(CH3)、26.1(CH3)、36.3(CH2)、37.0(C)、72.0(CH2)、120.7(CH)、133.4(C)
製造例8 4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノール(10)の製造
(i)1,1-ジメチル-3-メチル-3-(3-メチル-2-ブテンオキシ)プロパノールの合成
1,1-ジメチル-3-メチル-3-ヒドロキシプロパノール20.8g(0.20mоl)および60%水酸化カリウム水溶液48.0gをテトラヒドロフラン(THF)100mLに溶解し、3-メチル-2-ブテンクロリド22.0g(0.21mol)を室温で加えた。終夜攪拌後、2%硫酸水に反応混合物を加え反応を停止した。酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニア水および飽和食塩水を用いて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥し、無機塩を濾過した。溶媒を留去し、クーゲルロール蒸留器で減圧蒸留を行い1,1-ジメチル-3-メチル-3-(3-メチル-2-ブテンオキシ)プロパノールを31.7g得た。収率92%。
(ii)4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノールの合成
Raneyニッケル4.3g、1,1-ジメチル-3-メチル-3-(3-メチル-2-ブテンオキシ)プロパノール4.7g、イソプロパノール50mLを100mLの高圧反応容器に入れ、容器内を水素置換した。水素圧力4.2kgf/cm2、70℃で一晩攪拌した。Raneyニッケルを濾過除去後、溶媒を留去した。クーゲルロール蒸留器で減圧蒸留を行い4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノールを4.0g得た。収率100%。
1H-NMR(CDCl3、400MHz、δppm): 0.90(d、6H)、1.24(s、6H)、1.47(td、2H)、1.68(tq、1H)、1.76(t、2H)、3.46(t、2H)、3.67(t、2H)
13C-NMR(CDCl3、400MHz、δppm):22.6(CH3)、25.1(CH3)、29.3(C)、38.5(CH2)、41.3(CH2)、68.4(CH2)、69.9(CH2)、70.6(C)
実施例1 気相でのインフルエンザウイルスの不活化
1.方法
インフルエンザウイルスA型(A/Puerto Rico/8/1934,H1N1)株を試験ウイルス株として用いた。試験化合物は、上記製造例で調製した化合物1~7及び10と、化合物8(ジメチルジスルフィド)及び化合物9(γ-ヘキサノラクトン)(いずれも東京化成工業(株)製)を用いた。
化合物1~10又はミネラルオイル75μLを綿球にしみこませて15mLのガラス瓶(株式会社マルエム)の蓋部分に両面テープで接着して密閉し、30分間充満させた。インフルエンザウイルス1.5μL(8.3×105FFU)をクライオバイアル(サーモフィッシャーサイエンティフィック)の蓋の上で30分乾燥させた。ウイルスを付着させたバイアルの蓋をガラス瓶に入れ、室温(約23℃)で30分間化合物とウイルスを反応させた。その際、化合物は瓶の蓋部分に、ウイルスは瓶の底部分に置き、化合物とウイルスが直接的には接触しない状態を維持した。反応後、Hybridoma-SFM培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック)でウイルスを回収し、あらかじめ12穴プレートで培養していたMDCK細胞(イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来)に接種し、37℃、5%CO2条件下で約18時間培養後、形成されたフォーカス数を測定し、ウイルス感染力価を測定した。対照のミネラルオイルと反応させた際の感染力価を対照とし、下記式より各化合物のウイルス不活化効果を算出した。対照を100%とし、値が小さい方が不活化効果は高いことを示す。
ウイルス不活化効果(%)=試験化合物反応条件の感染力価/対照の感染力価×100
2.結果
結果を図1に示す。
図1に示すとおり、対照のミネラルオイルに比べ、化合物1~10はそれぞれ、検出されるウイルス量を0.005%以下、0.005%以下、0.005%、0.6%、0.005%以下、0.005%以下、0.4%以下、0.3%、0.005%以下、21.3%まで低下させた。
実施例2 液相でのインフルエンザウイルスの不活化
1.方法
方法インフルエンザウイルスA型(A/Puerto Rico/8/1934,H1N1)株を試験ウイルス株として用いた。試験化合物は、上記製造例で調製した化合物5~7と化合物9(γ-ヘキサノラクトン)(東京化成工業(株)製)を用いた。
各化合物の反応時の終濃度(v/v%)が5v/v%または10v/v%になるようにHybridoma-SFM(SFM;サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で段階希釈した溶液を96穴のプロテオセーブプレート(住友ベークライト社製)に60μL添加し、そこにウイルス液60μL(7.8×105FFU)を添加し、室温(約23℃)で30分間反応させた。反応後、SFMでウイルス溶液を希釈し、あらかじめ12穴プレートで培養していたMDCK細胞(イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来)に感染させ、Focus Forming Assayでウイルス力価を測定した。具体的には37℃、5%CO2条件下で約18時間培養後、形成されたフォーカス数を測定し、ウイルス感染力価を測定した。試験化合物を添加しない条件の感染力価を対照とし、下記式より各化合物のウイルス不活化効果を算出した。対照を100%とし、値が小さい方が不活化効果は高いことを示す。
ウイルス不活化効果(%)=試験化合物反応条件の感染力価/対照の感染力価×100
2.結果
結果を図2に示す。
図2に示すとおり、対照に比べ、化合物5~7(5v/v%)はそれぞれ、検出されるウイルス量を0.004%以下、0.004%以下、0.08%まで低下させた。また、化合物9(10v/v%)は検出されるウイルス量を10.4%まで低下させた。

Claims (6)

  1. 1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール、4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オール、5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オール、2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オール、ジメチルジスルフィド、γ-ヘキサノラクトン及び4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノールから選ばれる1種以上の化合物を有効成分とするウイルス不活化剤。
  2. ウイルスがエンベロープを有するRNAウイルスである、請求項1に記載のウイルス不活化剤。
  3. ウイルスがインフルエンザウイルスである、請求項1又は2に記載のウイルス不活化剤。
  4. 気相においてウイルスを不活化する、請求項1~3のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤。
  5. 1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール、4-アリルオキシ-2-ブテン-1-オール、5-メトキシ-2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2-オール、2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オール、ジメチルジスルフィド、γ-ヘキサノラクトン及び4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノールから選ばれる1種以上の化合物又はこれを含有する組成物をウイルス汚染が懸念される対象に適用する、ウイルス不活化方法。
  6. 1-(2-メトキシプロポキシ)-2-メチルプロパン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-4-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプチン-2-オール、6-メトキシ-2,6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オール又は4-(イソペンチルオキシ)-2-メチル-2-ブタノール。
JP2022073723A 2022-04-27 2022-04-27 ウイルス不活化剤 Pending JP2023162973A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022073723A JP2023162973A (ja) 2022-04-27 2022-04-27 ウイルス不活化剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022073723A JP2023162973A (ja) 2022-04-27 2022-04-27 ウイルス不活化剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023162973A true JP2023162973A (ja) 2023-11-09

Family

ID=88651006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022073723A Pending JP2023162973A (ja) 2022-04-27 2022-04-27 ウイルス不活化剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023162973A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2112144A1 (en) Novel pyran derivatives, their preparation and use thereof in perfumery
US5086038A (en) Aromatic aldehydes, their derivatives and their utilization as perfuming ingredients
CN102197122B (zh) 花香和/或茴香型加香成分
US7402551B2 (en) Organoleptic compounds and their use in perfume compositions
EP2200701B1 (en) Dimethylcyclohexyl derivatives as malodor neutralizers
CA1108648A (en) Malodor counteractants
US7015189B2 (en) Oxime methyl ethers
JP2023162973A (ja) ウイルス不活化剤
US9181514B2 (en) Octahydro-benzofurans and their uses in perfume compositions
JP4069031B2 (ja) 2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールのエーテル及び該エーテルを含む芳香組成物
JP2024112042A (ja) ウイルス不活化剤
JP2023063148A (ja) ウイルス不活化剤
JP2024150308A (ja) ウイルス不活化剤
JP2024150307A (ja) ウイルス不活化剤
JP2023063141A (ja) ウイルス不活化剤
JP2024150309A (ja) ウイルス不活化剤
JP2023063143A (ja) ウイルス不活化剤
JP2023063144A (ja) ウイルス不活化剤
JP2023063146A (ja) ウイルス不活化剤
JP2023063145A (ja) ウイルス不活化剤
JP2023054677A (ja) ウイルス不活化剤
JP2023063142A (ja) ウイルス不活化剤
JP2024031837A (ja) ウイルス不活化剤
CA1102349A (en) Cyclohexyl alkyl ketones
JP2023063212A (ja) ウイルス不活化剤