JP2023062679A - インク組成物、インクセット、記録方法、記録物の製造方法、及び記録物 - Google Patents

インク組成物、インクセット、記録方法、記録物の製造方法、及び記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間保管された場合であっても、吐出安定性に優れ、かつ部材適性に優れるインクジェット用のインク組成物を提供する。【解決手段】樹脂と、有機溶剤と、を含み、インクジェット法によって吐出されるインク組成物であって、樹脂に由来する残留モノマーの含有量はインク組成物全量中2000ppm以下であるインク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物、インクセット、記録方法、記録物の製造方法、及び記録物に関する。
インク組成物として、各種の色材や樹脂を有機溶剤との混合液に溶解又は分散させた非水系インク組成物が広く用いられている。このインク組成物をインクジェット方式等のノズルより紙等の基材に直接又は他の層を介して吐出し、付着させて非水系インク組成物が乾燥することにより文字や画像を得ることができる。
例えば、特許文献1には、グリコールエーテルジアルキルエーテル類を主溶剤とする油性インク組成物中に、グリコールエーテルジアルキルエーテル類溶剤中でラジカル重合開始剤を用いて溶液重合したアクリル系樹脂を含有するインクジェット記録用油性インク組成物が開示されている。特許文献1には、この組成物は、従来は溶解させることが困難であったアクリル系樹脂を可溶化させて使用することにより、良好な印字乾燥性と耐擦過性と再溶解性を得ることができると記載されている。
特開2007-169492号公報
さて、近年のインクジェット技術の進歩により、インクジェットヘッドのノズル及び内部構造の高密度化、超微細化が更に進み、より高精細な画像をより高速で印刷するために、インクジェットインクへの要求が更に厳しくなっている。
また、このようなインクジェット用のインク組成物は、例えばインクカートリッジ内に長期間保管されることがあり、低温または高温環境下で長期間保管された場合であっても、吐出性に変化がないことが求められる。
さらに、インク組成物をインクジェット法によって吐出するに際して、インクジェットヘッドを通じてインク組成物は吐出されるため、インクジェットヘッドを構成する部材に対する部材適性も要求される。
ところが、樹脂を含有するインク組成物である場合には、このような要求を必ずしも満たさないことがあることが本発明者らの研究により明らかとなった。
本発明は、長期間保管された場合であっても、吐出安定性に優れ、かつ部材適性に優れるインクジェット用のインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、樹脂に由来する残留モノマーの含有量を制御したインク組成物であることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のものを提供する。
(1)樹脂と、有機溶剤と、を含み、インクジェット法によって吐出されるインク組成物であって、前記樹脂に由来する残留モノマーの含有量はインク組成物全量中2000ppm以下であるインク組成物。
(2)前記樹脂は、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリウレタン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つ以上の重合体又は共重合体を含む(1)に記載のインク組成物。
(3)前記樹脂は、アクリル系樹脂、又は塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂の少なくとも1つ以上を含有する(2)に記載のインク組成物。
(4)前記樹脂は、アクリル系樹脂を含有する(3)に記載のインク組成物。
(5)前記樹脂は、さらに、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリウレタン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つ以上の重合体又は共重合体を含む(4)に記載のインク組成物。
(6)前記アクリル系樹脂の含有量は、前記インク組成物に含まれる樹脂全量中30質量%以上100質量%以下の範囲である(4)又は(5)に記載のインク組成物。
(7)前記樹脂の含有量は、インク組成物全量中1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲である(1)から(6)のいずれかに記載のインク組成物。
(8)前記樹脂の重量平均分子量Mwは、10000以上60000以下の範囲である(1)から(7)のいずれかに記載のインク組成物。
(9)前記有機溶剤は、下記式(1)で表されるグリコールエーテル系溶剤を含有する(1)から(8)のいずれかに記載のインク組成物。
-(-O-R-O-R・・・(1)
(式(1)中、R、Rは、それぞれ独立して、水素または炭素数1以上8以下の分岐しても良いアルキル基であり、Rは炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキレン基を表す。nは1以上6以下の整数を表す。)
(10)前記グリコールエーテル系溶剤は、下記式(2)で表されるグリコールエーテルモノアルキルを含有する(9)に記載のインク組成物。
-(-O-R-O-H・・・(2)
(式(2)中、R、は、炭素数1以上8以下の分岐しても良いアルキル基であり、Rは炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキレン基を表す。nは1以上6以下の整数を表す。)
(11)前記グリコールエーテル系溶剤は、下記式(3)で表されるグリコールエーテルジアルキルを含有する(9)又は(10)に記載のインク組成物。
-(-O-R-O-R・・・(3)
(式(3)中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1以上8以下の分岐しても良いアルキル基であり、Rは炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキレン基を表す。nは1以上6以下の整数を表す。)
(12)前記有機溶剤は一般式(4)で表される溶剤を含有する(1)から(11)のいずれかに記載のインク組成物。
Figure 2023062679000001
(式(4)中、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R、Rは、それぞれ独立して水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。
(13)前記有機溶剤は一般式(5)で表される系溶剤を含有する(1)から(12)のいずれかに記載のインク組成物。
Figure 2023062679000002
(式(5)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基または不飽和炭化水素基を表す。)
(14)前記有機溶剤は一般式(6)で表される溶剤を含有する(1)から(13)のいずれかに記載のインク組成物。
Figure 2023062679000003
(式(6)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)
(15)前記有機溶剤は一般式(7)で表される溶剤を含有する(1)から(14)のいずれかに記載のインク組成物。
Figure 2023062679000004
(式(7)中、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、Rは、炭素数1以上3以下のアルキレン基を表す。)
(16)前記有機溶剤は一般式(8)で表される溶剤を含有する(1)から(15)のいずれかに記載のインク組成物。
Figure 2023062679000005
(式(8)中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R13は、炭素数1以上4以下のアルキレン基を表す。)
(17)(1)から(16)のいずれかに記載のインク組成物を含むインクセット。
(18)(1)から(16)のいずれかに記載のインク組成物を基材上に吐出する記録方法。
(19)(1)から(16)のいずれかに記載のインク組成物を基材上に吐出する工程を含む記録物の製造方法。
(20)(1)から(16)のいずれかに記載のインク組成物を基材上に吐出する装置。
(21)基材と、前記基材上に形成されたインク組成物の層と、を備え、前記インク組成物の層は、樹脂を含有し、前記樹脂に由来する残留モノマーの含有量は樹脂100質量部に対して4.0質量部以下である記録物。
本発明のインク組成物は、樹脂を含有するインク組成物であっても、吐出安定性に優れ、かつ部材適性に優れる
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。また、本明細書において、「~」との表記は、「以上」「以下」を意味し、「X:Y~A:B」との表記は「X:Y」及び「A:B」そのものを含み、「X:Y」と「A:B」との間の範囲を意味する。
≪1.本発明の概要≫
本発明のインク組成物は、有機溶剤と、樹脂と、を含有するインクジェット法によって吐出されるインク組成物である。
そして、本発明のインク組成物は樹脂に由来する残留モノマーの含有量はインク組成物全量中2000ppm以下であることを特徴としている。
樹脂に由来する残留モノマーとは、樹脂の重合時の原料であるモノマーの未反応物である。樹脂中にこのような残留モノマーが所定量以上存在していると、インク組成物中に樹脂に由来する残留モノマーが溶解又は分散されることとなる。すると、インク組成物が長期間保管された場合に吐出安定性が低下し、かつインクジェットヘッドを構成する部材に対する部材適性も悪化することがあることが本発明者らの研究により明らかとなった。特に、樹脂が1種の重合性モノマーから構成された単独重合体である場合には、共重合体と比較しても残留モノマーが多くなる傾向があり、樹脂として単独重合体を含有するインク組成物は、吐出安定性が低下し、部材適性が悪化する傾向が顕著となる。
そこで、樹脂に由来する残留モノマーの含有量を2000ppm以下と制御したインク組成物であることにより、インク組成物が長期間保管された場合であっても吐出安定性の低下を抑制することが可能となって、かつインクジェットヘッドを構成する部材に対する部材適性も優れたものとなる。なお、本明細書において「ppm」は、質量比を意味するものである。
樹脂に由来する残留モノマーの含有量をインク組成物全量中2000ppm以下とする方法は、例えば、合成過程で重合開始剤を追添加する方法や、合成時間を延長させる方法や、合成過程で得られた重合体溶液を貧溶媒中に滴下して樹脂を沈殿させる再沈殿法を使用する方法や、合成過程で得られた重合体を溶剤中に溶解させ、撹拌時間を延長する方法等が挙げられる。
樹脂に由来する残留モノマーによりインク組成物の吐出安定性が低下し、インクジェットヘッドを構成する部材に対する部材適性も悪化することは知られておらず、少なくとも残留モノマーの含有量を制御されたインク組成物は新規のインク組成物である。
なお、樹脂に由来する残留モノマーの含有量は、インク組成物全量中2000ppm以下であることが好ましく、インク組成物全量中1000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましい。また、樹脂に由来する残留モノマーの含有量は、1ppm以上であることが好ましく、5ppm以上であることがより好ましく、10ppm以上であることがさらに好ましい。1ppm以上とすることにより、樹脂について再沈殿等の精製による製造コストが大幅に増加することを抑制することが可能となる。そのため、実使用上問題ない程度の良好な物性のインク組成物の生産が低コストの範囲で可能となる。
樹脂に由来する残留モノマーの含有量の測定方法は、ガスクロマトグラフィーを使用して絶対検量線法により測定することができる。ガスクロマトグラフィーでの測定装置としては、例えば、NEXIS GC―2030(島津製作所社製)を用い、ガスクロマトグラフ用検出器としては、水素炎イオン化検出器(FID)を用い、ガラスカラムに、充填剤としてポリエチレングリコール系の吸着剤を、キャリヤーガスとして窒素を使用することができる。
なお、本発明のインク組成物は、色材(有色の色材やブラックホワイトの色材を含む。)を含有する着色インク組成物であってもよく、記録物(被体)をメタリック調にするための光輝性顔料(鱗片状金属粒子)を含むインク組成物であってもよく、色材を含有しないクリアインク組成物であってもよい。色材を含有しないクリアインクである場合には、所望の機能を有する層を形成するためのインクが挙げられる。このようなインクとしては、例えば、記録物(被体)を保護するオーバーコート層を形成するためのオーバーコートインク組成物や記録物(被体)の艶を消す艶消しインク組成物や耐候層を形成するための紫外線吸収剤や光安定化剤等を含むインク組成物、または接着性を有し、例えば基材と、箔などと、を接着させるためのインク組成物等が挙げられる。
≪2.インク組成物≫
以下では、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)を説明する。
本実施の形態に係るインク組成物は、水を意図的に含有させない非水系インク組成物である。非水系インク組成物とは、大気中の水分や、添加物等に由来するような不可避的に含まれる水を除き、水を意図的に含有させず、有機溶剤を含有するインク組成物(油性インク組成物)であることを意味し、水、又は水と有機溶剤との混合液に色材を溶解又は分散させた水性インク組成物とは異なる。非水系インク組成物であることで、速乾性が高く、樹脂基材や金属基材等の非吸収性基材に対して印字(記録)が容易となる。
なお、本発明のインク組成物は、水性インク組成物であっても非水系インク組成物であってもよい。一方、樹脂に由来する残留モノマーは、アクリル系樹脂や塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂を構成するモノマー等の有機物である。このため、樹脂に由来する残留モノマー(特に、アクリル系樹脂や塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂を構成するモノマー)は、主成分として有機溶剤を含有する非水系インク組成物中に溶解しやすい。また、一般的には、非水系インク組成物に含まれる樹脂は、例えば水性インク組成物に含まれる樹脂エマルジョンを構成する樹脂とは異なり、非水系インク組成物中に溶解して存在する。このため、樹脂を含有する非水系インク組成物は、水性インク組成物と比較しても、樹脂に由来する残留モノマーが非水系インク組成物中に流出しやすく、残留モノマーの含有量はより多くなる傾向がある。このため、樹脂を含有する非水系インク組成物は、樹脂に由来する残留モノマーが溶解又は分散されることによる吐出安定性の低下やインクジェットヘッドを構成する部材に対する部材適性の悪化という問題がより顕著に発生する傾向がある。樹脂に由来する残留モノマーの含有量を2000ppm以下と制御した非水系インク組成物であれば、樹脂を含有する非水系インク組成物においてより顕著に発生しやすい上記課題をより効果的に解決することができる。
なお、本実施の形態に係るインク組成物における水分の含有量は、インク組成物全量中5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量以下であることがさらになお好ましい。原料に由来する水分や製造過程で大気中等の水分が混入すると、インク組成物の保存安定性が悪化することやインク組成物に含まれる成分等によって固形物が発生することがある。インク組成物中に水分の含有量を低減してできるだけ水分を含まないようにすること(水分を意図的に含まないようにすること)で、保存安定性等をより効果的に向上させることが可能となる。
また、本実施の形態に係るインク組成物は、有機溶剤が乾燥(揮発)することで記録物を得ることのできるインク組成物である。具体的には、インク組成物に含まれる有機溶剤等の揮発成分が乾燥(揮発)することでその残留物が基材の表面に堆積して、記録物を形成する。本実施の形態に係るインク組成物は、紫外線等の活性エネルギー線により基材上で重合して硬化する活性エネルギー線硬化型のインク組成物とは異なる。活性エネルギー線硬化型のインク組成物は、重合性化合物を含むが、本実施の形態に係るインク組成物は、有機溶剤を含有するが、重合性化合物を含有することを必須の構成とはしておらず、重合性化合物を含有しても、重合性化合物を含有していなくともよい。
以下、本実施の形態に係るインク組成物に含まれる各成分について説明する。
[樹脂]
本実施の形態に係るインク組成物は樹脂を含有する。樹脂は、記録層(記録物)に耐擦性を付与する。インク組成物は、水を意図的に含有させず、有機溶剤を含有するインク組成物であるので、この樹脂は、主に有機溶剤に溶解する形でインク組成物に含まれることになり、水中に分散する形で含まれる樹脂エマルジョンとは異なる。なお、本明細書において「樹脂」とは、主に記録層(記録物)に耐擦性を付与するバインダー樹脂を意味し、後述する色材(顔料)を含有させる分散剤(高分子分散剤)やシロキサン骨格を有する界面活性剤等の高分子の界面活性剤等とは異なるものである。
樹脂の種類としては特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系樹脂(スチレン-アクリル系樹脂等のような共重合体も含む)、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニルトルエン-α-メチルスチレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル系共重合体、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シリコーン(シリコン)系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂を挙げることができる。
これらの樹脂のなかでも樹脂はアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂を含有するものが好ましく、これらのなかでもアクリル系樹脂、又は塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂からなる群より選択される少なくとも1つ以上を含むことがより好ましく、アクリル系樹脂を含有することが特に好ましい。
アクリル系樹脂を含有する場合、アクリル系樹脂の含有量は、インク組成物に含まれる樹脂全量中30質量%以上100質量%以下の範囲であることが好ましい。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成するモノマーの主成分として含むものであれば特に限定されるものではない。アクリル系樹脂は、1種のラジカル重合性モノマーの単独重合体であってもよいし、ラジカル重合性モノマーを2種以上選択して用いた共重合体のいずれであってもよく、特に、本実施の形態に係るインク組成物として好ましいアクリル系樹脂は、メタクリル酸メチル単独の重合体、或いは、メタクリル酸メチルと、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エトキシエチル、及びメタクリル酸ベンジルよりなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の化合物との共重合体である。また、アクリル系樹脂は合成したものであっても市販品を用いてもよい。市販の(メタ)アクリル系樹脂としては、例えばロームアンドハース社のパラロイドB99N」「パラロイドB60」「パラロイドB66」「パラロイドB82」等の商品名のうち残留モノマーの含有量が少ないもの(例えば、樹脂全量中4.0質量%以下)を使用することができる。また、これらの樹脂のうち残留モノマーの含有量が多い樹脂(例えば、樹脂全量中4.0質量%超)について上述した方法等により残留モノマーの含有量が少なくなるように精製してもよい。
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーからなる単独重合体であっても重合性モノマーを2種以上選択して用いた共重合体のいずれであってもよい。塩化ビニル系樹脂の共重合体としては、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂が挙げられる。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂は、塩化ビニル単量体及び酢酸ビニル単量体の重合物である。塩化ビニル酢酸ビニル系共重合樹脂としては、例えば、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体等、及びそれらの混合物を挙げることができる。また、塩化ビニル系樹脂は合成したものであっても市販品を用いてもよい。市販の塩化ビニル酢酸ビニル系共重合樹脂としては、日信化学工業(株)社から「ソルバインC」、「ソルバインCL」、「ソルバインCNL」、「ソルバインCLL」、「ソルバインCLL2」、「ソルバインC5R」、「ソルバインTA2」、「ソルバインTA3」、「ソルバインA」、「ソルバインAL」、「ソルバインTA5R」、「ソルバインM5」等の商品名のうち残留モノマーの含有量が少ないもの(例えば、樹脂100質量部中4.0質量部以下)を使用することができる。また、これらの樹脂のうち残留モノマーの含有量が多い樹脂(例えば、樹脂100質量部中4.0質量部超)について上述した方法等により残留モノマーの含有量が少なくなるように精製してもよい。
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂は塩化ビニル単量体及び酢酸ビニル単量体の重合することにより得ることができる。重合する方法は、従来公知の重合方法であればよい。重合する方法は、乳化重合または懸濁重合であることが好ましく、懸濁重合であることがより好ましい。
ポリエステル系樹脂とは、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる構成単位を少なくとも含むものである。ポリエステル系樹脂は、変性されたポリエステル系樹脂を含んでもよい。ポリエステル樹脂は合成したものであっても市販品を用いてもよく、市販のポリエステル系樹脂としては、東洋紡社の「VYLON226」、「VYLON270」、「VYLON560」、「VYLON600」、「VYLON630、「VYLON660」、「VYLON885」、「VYLONGK250」、「VYLONGK810」、「VYLON GK890」等やユニチカ社の「elitleUE-3200」「elitleUE-3285」、「elitleUE-3320」、「elitleUE-9800」、「elitleUE-9885」等の商品名のうち残留モノマーの含有量が少ないもの(例えば、樹脂100質量部中4.0質量部以下)を使用することができる。また、これらの樹脂のうち残留モノマーの含有量が多い樹脂(例えば、樹脂100質量部中4.0質量部超)について上述した方法等により残留モノマーの含有量が少なくなるように精製してもよい。
ポリウレタン系樹脂とは、アルコール成分とイソシアネート成分を共重合させて得られる構成単位を少なくとも含むものである。ポリウレタン系樹脂は、ポリエステルやポリエーテルやカプロラクトンにより変性されたポリウレタン系樹脂を含んでもよい。ポリウレタン樹脂は合成したものであっても市販品を用いてもよく、市販のポリウレタン系樹脂としては、荒川化学工業社の「ユリアーノKL-424」、「ユリアーノKL-564」、「ユリアーノKL-593」、「ユリアーノ3262」等やDIC社の「パンデックス372E」、「パンデックス390E」、「パンデックス394E」、「パンデックス304」、「パンデックス305E」、「パンデックスP-870」、「パンデックスP-910」、「パンデックスP-895」、「パンデックス4030」、「パンデックス4110」等の商品名のうち残留モノマーの含有量が少ないもの(例えば、樹脂100質量部中4.0質量部以下)を使用することができる。また、これらの樹脂のうち残留モノマーの含有量が多い樹脂(例えば、樹脂100質量部中4.0質量部超)について上述した方法等により残留モノマーの含有量が少なくなるように精製してもよい。
また、これらのアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリウレタン系樹脂は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。
樹脂の重量平均分子量(相対分子質量)は、特に限定されるものではないが、10000以上であることが好ましく、15000以上であることがより好ましい。重量平均分子量(相対分子質量)は、60000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましい。樹脂の相対分子量は、通常のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
樹脂に由来する残留モノマーの含有量は、インク組成物に含有される樹脂の含有量にもよるが、樹脂100質量部中4.0質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以下であることがより好ましく、1.0質量部以下であることがさらに好ましく、0.5質量部以下であることがさらになお好ましい。
インク組成物に含有される樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂の含有量の下限は、インク組成物全量中1.0質量%以上の範囲で含有することが好ましく、2.0質量%以上の範囲で含有することがより好ましく、3.0質量%以上の範囲で含有することがさらに好ましく、4.0質量%以上の範囲で含有することがさらになお好ましい。これにより、記録層(記録物)の耐擦性を向上させることができる。特に樹脂の含有量が1.0質量%以上であって樹脂に由来する残留モノマーの含有量が2000ppm以下であることで、本発明の効果を奏するインク組成物であって、記録層(記録物)の耐擦性を向上させることが可能となる。
インク組成物に含有される樹脂の含有量の上限は、特に限定されないが、インク組成物全量中20.0質量%以下の範囲で含有することが好ましく、15.0質量%以下の範囲で含有することがより好ましく、12.0質量%以下の範囲で含有することがさらに好ましい。これにより、インク組成物の吐出性が向上する。また、インク組成物に含有する樹脂に由来する残留モノマーの含有量を低減できるようになり、本発明の効果を効果的に奏するインク組成物となる。
[有機溶剤]
本実施の形態に係るインク組成物は、有機溶剤を含有する。有機溶剤は、インク組成物の液体の媒体であり、樹脂等の各成分を溶解(または分散)させる機能を有する。
有機溶剤としては、下記式(1)で表されるグリコールエーテル系溶剤を含有することが望ましい。
-(-O-R-O-R・・・(1)
(式(1)中、R、Rは、それぞれ独立して、水素または炭素数1以上8以下の分岐しても良いアルキル基であり、Rは炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキレン基を表す。nは1以上6以下の整数を表す。)
グリコールエーテル系溶剤は、下記式(2)で表されるグリコールエーテルモノアルキルや下記式(3)で表されるグリコールエーテルジアルキルが挙げられる。
-(-O-R-O-H・・・(2)
(式(2)中、R、は、炭素数1以上8以下の分岐しても良いアルキル基であり、Rは炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキレン基を表す。nは1以上6以下の整数を表す。)
-(-O-R-O-R・・・(3)
(式(3)中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1以上8以下の分岐しても良いアルキル基であり、Rは炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキレン基を表す。nは1以上6以下の整数を表す。)
特にアクリル系樹脂は、グリコールエーテル系溶剤に溶解しやすく、所定量のグリコールエーテル系溶剤を含有させることにより、インクヘッドノズルからの吐出安定性を効果的に向上させることが可能となる。
グリコールエーテルモノアルキルとしては、例えば、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-イソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-イソブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーエル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル)等が挙げられる。
この中でも、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等が、好ましいものとして挙げられる。
グリコールエーテルジアルキルとしては、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル-2-エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールメチルプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルブチルエーテル、プロピレングリコールメチル-2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルメチルエーテル等が挙げられる。
この中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル-2-エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールメチルプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルブチルエーテル、プロピレングリコールメチル-2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルメチルエーテル等が、好ましいものとして挙げられる。
式(1)で表されるグリコールエーテル系溶剤の好ましい含有量は、インク組成物全量中20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
式(1)で表されるグリコールエーテル系溶剤の好ましい含有量は、インク組成物全量中95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
式(2)で表されるグリコールエーテルモノアルキルの好ましい含有量は、インク組成物全量中1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。
式(2)で表されるグリコールエーテルモノアルキルの好ましい含有量は、インク組成物全量中30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
式(3)で表されるグリコールエーテルジアルキルの好ましい含有量は、インク組成物全量中40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
式(3)で表されるグリコールエーテルジアルキルの好ましい含有量は、インク組成物全量中95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
また、上記のグリコールエーテル系溶剤の代わりに、または上記のグリコールエーテル系溶剤とともに、一般式(4)で表される溶剤、一般式(5)で表される溶剤、及び一般式(6)で表される溶剤からなる群より選択される少なくとも1つ以上を含有することが好ましい。
Figure 2023062679000006
(式(4)中、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R、Rは、それぞれ独立して水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。
なお、式(4)中のR及びRは、炭素数1以上4以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数2以上4以下のアルキル基であることがより好ましい。
Figure 2023062679000007
(式(5)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基または不飽和炭化水素基を表す。)
不飽和炭化水素基とは、ビニル基などの少なくとも1つ以上の多重結合を含む炭化水素基を意味する。
なお、式(5)中のRは、水素若しくは炭素数1以上3以下のアルキル基または不飽和炭化水素基であることが好ましく、水素若しくは炭素数1以上2以下のアルキル基または不飽和炭化水素基であることが好ましい。
Figure 2023062679000008
(式(6)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)
この中でも、Rは、3以上4以下のアルキレン基であることが好ましく、3であることがさらに好ましい。また、Rは、水素若しくは炭素数1のアルキル基であることが好ましく、水素であることがさらに好ましい。
さらに本実施の形態に係るインクジェット用のインク組成物は、これらのアルキルアミド系溶剤、環状アミド系溶剤、ラクトン系溶剤を含有することによりインクジェットヘッドのノズル内での詰まりを効果的に解消して、インクヘッドノズルからの吐出安定性を効果的に向上させることが可能となる。
式(4)で表される溶剤としては、具体的には、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N,N-ジエチルプロパンアミド、N,N-ジプロピルプロパンアミド、N-エチルホルムアミド、N-エチルアセトアミド等のアルキルアミド系溶剤が挙げられる。この中でも、本発明の効果を特に奏するという観点から、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルプロパンアミド及びN,N-ジエチルアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1つを含有することが好ましい。
式(5)で表される溶剤としては、具体的には、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-プロピル-2-ピロリドン、N-ブチル-2-ピロリドン、ε-カプロラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタム、N-ビニルカプロラクタム、N-エチル-ε-カプロラクタム、N-プロピル-ε-カプロラクタム、N-ブチル-ε-カプロラクタム、N-アセチルカプロラクタム等の環状アミド系溶剤が挙げられる。これらの中でも、ε-カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、及びN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される少なくとも1つを含有することが好ましい。
式(6)で表される溶剤としては、具体的には、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ヘキサノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-ヘプタノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-ノナラクトン、δ-デカラクトン、δ-ウンデカラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトン系溶剤が挙げられる。これらの中でも、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、及びε-カプロラクトンからなる群より選択される少なくとも1つを含有することが好ましい。
式(4)で表される溶剤の含有量は、とくに限定されないが、式(4)で表される溶剤の含有量の下限は、インク組成物全量中1.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましく、8.0質量%以上であることがさらに好ましい。
式(4)で表される溶剤の含有量の上限は、インク組成物全量中90.0質量%以下であることが好ましく、80.0質量%以下であることがより好ましく、75.0質量%以下であることがさらに好ましい。
式(5)で表される溶剤の含有量は、とくに限定されないが、式(5)で表される溶剤の含有量の下限は、インク組成物全量中1.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましく、8.0質量%以上であることがさらに好ましい。
式(5)で表される溶剤の含有量の上限は、インク組成物全量中90.0質量%以下であることが好ましく、80.0質量%以下であることがより好ましく、75.0質量%以下であることがさらに好ましい。
式(6)で表される溶剤の含有量は、とくに限定されないが、式(6)で表される溶剤の含有量の下限は、インク組成物全量中1.0質量%以上であることが好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましく、5.0質量%以上であることがさらに好ましい。
式(6)で表される溶剤の含有量の上限は、インク組成物全量中70.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20.0質量%以下であることがさらになお好ましい。
また、一般式(4)で表される溶剤、一般式(5)で表される溶剤、及び一般式(6)で表される溶剤の代わりに、またはこれらの溶剤とともに、一般式(7)で表される溶剤や、一般式(8)で表される溶剤や、一般式(9)で表される溶剤や、一般式(10)で表される溶剤や、一般式(11)で表される溶剤からなる群より選択される少なくとも1つ以上を含有することが好ましい。これにより、上記の効果を効果的に奏するインク組成物となる。
Figure 2023062679000009
(式(7)中、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、Rは、炭素数1以上3以下のアルキレン基を表す。)
Figure 2023062679000010
(式(8)中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R13は、炭素数1以上4以下のアルキレン基を表す。)
Figure 2023062679000011
(式(9)中、R14は炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキル基or不飽和炭化水素基であり、R15は炭素数1以上4以下のアルキレン基を表す。)
Figure 2023062679000012
(式(10)中、R16、R17はそれぞれ独立して、炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキル基でありR18は炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。
式(7)で表される溶剤としては、具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステルを挙げることができる。
式(8)で表される溶剤としては、具体的には、3-メトキシプロパンアミド、3-ブトキシプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジブチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジブチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチル-3-メトキシプロパンアミド、N,N-ジブチル-3-メトキシプロパンアミド、N,N-ジブチル-3-ブトキシプロパンアミド、N,N-ジメチル-3-ブトキシプロパンアミド等のアルコキシアルキルアミド系溶剤を挙げることができる。
式(9)で表される溶剤としては、具体的には、3-メチル-2-オキサゾリジノン、3-エチル-2-オキサゾリジノン、N-ビニルメチルオキサゾリジノン等のオキサゾリジノン系溶剤を挙げることができる。
式(10)で表される溶剤としては、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン系溶剤を挙げることができる。
式(7)で表される溶剤の含有量は、とくに限定されないが、式(7)で表される溶剤の含有量の下限は、インク組成物全量中1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。
式(7)で表される溶剤の含有量の上限は、インク組成物全量中70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらになお好ましい。
式(8)で表される溶剤の含有量は、とくに限定されないが、式(8)で表される溶剤の含有量の下限は、インク組成物全量中1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。
式(8)で表される溶剤の含有量の上限は、インク組成物全量中70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらになお好ましい。
式(9)で表される溶剤の含有量は、とくに限定されないが、式(9)で表される溶剤の含有量の下限は、インク組成物全量中1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。
式(9)で表される溶剤の含有量の上限は、インク組成物全量中70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらになお好ましい。
式(10)で表される溶剤の含有量は、とくに限定されないが、式(10)で表される溶剤の含有量の下限は、インク組成物全量中1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。
式(10)で表される溶剤の含有量の上限は、インク組成物全量中70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらになお好ましい。
式(4)で表される溶剤、式(5)で表される溶剤、式(6)で表される溶剤、式(7)で表される溶剤、式(8)で表される溶剤、式(9)で表される溶剤、又は式(10)で表される溶剤の中でも「式(4)で表される溶剤、式(5)で表される溶剤、式(6)で表される溶剤、式(7)で表される溶剤、又は式(8)で表される溶剤を含むもの」が好ましく、「式(4)で表される溶剤、式(5)で表される溶剤、又は式(6)で表される溶剤を含むもの」がより好ましい。これにより、上記の効果をさらに効果的に奏するインク組成物となる。なお、これらの有機溶剤を2種類以上混合してもよい。
本実施の形態に係るインク組成物は、上記のグリコールエーテル系溶剤や式(4)で表される溶剤、式(5)で表される溶剤、式(6)で表される溶剤、式(7)で表される溶剤、式(8)で表される溶剤、式(9)で表される溶剤、式(10)で表される溶剤以外の有機溶剤を含有していてもよい。具体的には、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテ-ト、3-メトキシブチルアセテート、2-メチルブチルアセテート、3-メトキシブチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート等のアセテート系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ペンタノール等の炭素数1~5のアルキルアルコール類;3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-n-ブタノール等の1価のアルコール系溶剤;アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、エチル-n-プロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル-n-ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジ-n-プロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン、アセチルケトン等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、イソブチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール等のトリオール類:メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル等の酢酸エステル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、乳酸エチルヘキシル、乳酸アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル類;n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ノナン、イソノナン、ドデカン、イソドデカン等の飽和炭水素類、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等の不飽和炭化水素類;シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,1,3,5,7-シクロオクタテトラエン、シクロドデセン等の環状不飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-ホルミルモルホリン等のモルホリン類、テルペン系溶剤;シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル等の二塩基酸エステル類、等が挙げられる。組み合わせる樹脂や分散剤等に応じて、適切なHLB値の溶剤を選択することが好ましい。
その他の有機溶剤の含有量は、特に制限はされないが、その他の有機溶剤の含有量の下限は、インク組成物全量中10質量%以上の範囲であることが好ましく、20質量%以上の範囲であることがより好ましく、30質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。その他の有機溶剤の含有量の上限は、インク組成物全量中85質量%以下の範囲であることが好ましく、80質量%以下の範囲であることがより好ましく、75質量%以下の範囲であることがさらに好ましい。
[界面活性剤]
本実施の形態に係るインク組成物においては、ノズル部やチューブ内等の機器内でのインク組成物の揮発抑制、固化防止、又、固化した際の再溶解性を目的として、又、表面張力を低下させ記録媒体(基材)との濡れ性を向上させる目的で、また、塗膜の耐擦性向上を目的として、界面活性剤を含有させてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類であるノニオンP-208、P-210、P-213、E-202S、E-205S、E-215、K-204、K-220、S-207、S-215、A-10R、A-13P、NC-203、NC-207(日本油脂(株)製)、エマルゲン106、108、707、709、A-90、A-60(花王(株)製)、フローレンG-70、D-90、TG-740W(共栄社化学(株)製)、ポエムJ-0081HV(理研ビタミン(株)製)、脂肪族リン酸エステル類としては、アデカトールNP-620、NP-650、NP-660、NP-675、NP-683、NP-686、アデカコールCS-141E、TS-230E((株)アデカ製)等、ソルゲン30V、40、TW-20、TW-80、ノイゲンCX-100(第一工業製薬(株)製)等、フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-340(ビックケミー・ジャパン社製)等、シロキサン骨格を有するシリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-313、315N、322、326、331、347、348、3753、BYK-UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)等、アセチレングリコール系界面活性剤としては、具体例として、サーフィノール(登録商標)82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン社製)、オルフィン(登録商標)STG、E1010(いずれも日信化学株式会社製)等が例示される。界面活性剤としては、上記に限られずアニオン系、カチオン系、両性又は非イオン系のいずれの界面活性剤も用いることができる。
この中でも界面活性剤は、シロキサン骨格を有する界面活性剤を含有することが好ましい。本実施の形態に係るインク組成物においてシロキサン骨格を有する界面活性剤を含有することで、得られる記録物の光沢性を向上させることができる。また、印字の際の滲みが少なくなり、耐擦性が向上した記録物が得られる。
シロキサン骨格を有する界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-313、315N、322、326、331、347、348、3753、BYK-UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)等を使用することができる。
本実施の形態に係るインク組成物は、シロキサン骨格を有する界面活性剤とともにシロキサン骨格を有する界面活性剤とは異なる界面活性剤を含有してもよい。
本実施の形態に係るインク組成物において、界面活性剤を含有させる場合、界面活性剤の含有量としては、特に限定されないが、界面活性剤の含有量の下限としては、インク組成物全量中0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。界面活性剤の含有量の上限としては、インク組成物全量中1.0質量%以下であることが好ましく、0.9質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以下であることがさらに好ましい。
[色材]
本実施の形態に係るインク組成物は、色材(有色の色材やブラックホワイトの色材を含む。)を含有する着色インクであってもよく、記録物(被体)をメタリック調にするための光輝性顔料(鱗片状金属粒子)を含むインクであってもよく、色材を含有しないクリアインクであってもよい。色材を含有しないクリアインクである場合には、所望の機能を有する層を形成するためのインクが挙げられる。このようなインクとしては、例えば、記録物(被体)を保護するオーバーコート層を形成するためのオーバーコートインク組成物や記録物(被体)の艶を消す艶消しインク組成物や耐候層を形成するための紫外線吸収剤や光安定化剤等を含むインク組成物、または接着性を有し、例えば基材と、箔などと、を接着させるためのインク組成物等が挙げられる。なお、これらのインク組成物は、色材を含有してもしていなくても良い。
色材は、特に限定されるものではなく、染料系であってもよいし、顔料系であってもよいが、記録物の耐水性や耐光性等の耐性が良好であるという観点から顔料(顔料系色材)を使用することが好ましい。本実施の形態に係るインク組成物において、用いることのできる顔料は特に限定されず、従来のインク組成物に使用されている有機顔料又は無機顔料等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態に係るインク組成物において顔料を用いる場合には、後述する分散剤や分散助剤(顔料誘導体)を使用することで、顔料の分散安定性を向上させることができる。
具体的な有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、染料からの誘導体、フタロシアニン系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、ペリレン系有機顔料、ペリノン系有機顔料、アゾメチン系有機顔料、アントラキノン系有機顔料(アントロン系有機顔料)、キサンテン系有機顔料、ジケトピロロピロール系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、ニッケルアゾ系顔料、イソインドリノン系有機顔料、ピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料、キナクリドン系固溶体顔料、ペリレン系固溶体顔料等の有機固溶体顔料、その他の顔料として、レーキ顔料やカーボンブラック等が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、213、214、C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48、49、52、53、57:1、97、112、122、123、146、149、150、168、177、180、184、192、202、206、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、269、291、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、64、71、73、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63、C.I.ピグメントブラウン23、25、26、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本実施の形態に係るインク組成物において、用いることのできる染料の具体例としては、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴイド等のインジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、及びアズレン系染料が挙げられる。
本実施の形態に係るインク組成物において、用いることのできる無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、合成マイカ、アルミナ、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、アルミニウム、チタン、インジウム、合成鉄黒、無機固溶体顔料等を挙げることができる。
本実施の形態に係るインク組成物において、含有することのできる顔料の平均分散粒径は、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されない。用いる顔料の種類によっても異なるが、顔料の分散性及び分散安定性が良好で、充分な着色力を得る点から、体積平均粒子径が5nm以上の範囲内であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましい。体積平均粒子径が上記の下限値以上であることで、インク組成物の耐光性を向上させることができる。体積平均粒子径が300nm以下の範囲内であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが更に好ましい。体積平均粒子径が上記の上限値以下であることで、インク組成物がインクジェット方式にて基材の表面に吐出するインクジェットインク組成物である場合に、インクジェットの吐出安定性を向上させることができる。なお、本実施形態において、顔料の体積平均粒子径は、粒子径分布測定装置(マイクロトラックベル(株)製粒度分析計NANOTRACWAVE)を用いて25℃の条件下で測定した体積基準累積50%粒子径(D50)である。なお、本明細書において「体積基準累積50%粒子径(D50)」とは、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を意味する。「体積基準累積50%粒子径(D50)」は、「体積平均粒子径D50」または「メジアン(メディアン)径」ともいう場合がある。
本実施の形態に係るインク組成物に含まれる顔料の含有量としては、所望の画像を形成可能であれば特に限定されるものではなく適宜調整されるものである。具体的には、顔料の種類によっても異なるが、インク組成物全量中0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。インク組成物全量中20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。顔料の含有量が0.05質量%以上、又は20質量%以下の範囲内であることにより、顔料の分散安定性と着色力のバランスに優れたものとすることができる。
また、本実施の形態に係るインク組成物は記録(印刷)する色は特に制限はされず、目的に色に応じて色材を選択し、組み合わせて使用してもよい。色は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各色のインクや、ライトマゼンタ、ライトシアン、ライトブラック、オレンジ、グリーン、レッド、ホワイトなどにも使用することができる。この際、同一種類の色の色材を選択してもよい。
[分散剤]
本実施の形態に係るインク組成物において色材(顔料)を含有させる場合、必要に応じて分散剤を用いてもよい。分散剤としては、インク組成物において用いられている任意の分散剤を用いることができる。分散剤としては、高分子分散剤を用いるとよい。こうした分散剤としては、主鎖がポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリカプロラクトン系などからなり、側鎖としてアミノ基、カルボキシル基、スルホン基、ヒドロキシル基などの極性基を有するものである。ポリアクリル系分散剤では、例えば、Disperbyk-2000、2001、2008、2009、2010、2020、2020N、2022、2025、2050、2070、2095、2150、2151、2155、2163、2164、BYKJET-9130、9131,9132,9133,9151(ビック・ケミー社製)、EfkaPX4310、PX4320、PX4330、PA4401、4402、PA4403、4570、7411、7477、PX4700、PX4701(BASF社製)、TREPLUS D-1200、D-1410、D-1420、MD-1000(大塚化学社製)、フローレンDOPA-15BHFS、17HF、22、G-700、900、NC-500、GW-1500(共栄社化学(株)製)、などが用いられる。ポリカプロラクトン系分散剤では、例えば、アジスパーPB821、PB822、PB881(味の素ファインテクノ(株)製)、ヒノアクトKF-1000、T-6000、T-7000、T-8000、T-8000E、T-9050(川研ファインケミカル(株)製)、Solsperse20000、24000、32000、32500、32550、32600、33000、33500、34000、35200、36000、37500、39000、71000、76400、76500、86000、88000、J180、J200(ルーブリゾール社製)、TEGO Dispers652、655、685、688、690(エボニック・ジャパン社製)などが用いられる。好ましい分散剤としては、BYKJET-9130、9131,9132,9133,9151、EfkaPX4310、PX4320、PX4330、PX4700、PX4701、Solsperse20000、24000、32000、33000、33500、34000、35200、39000、71000、76500、86000、88000、J180、J200、TEGO Dispers655、685、688、690などが用いられる。これらの単独、又はそれらの混合物を用いることができる。
分散剤の含有量は、特に制限されないが、分散剤の含有量の下限は、インク組成物中の顔料100質量部に対して5質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましい。分散剤の含有量の上限は、インク組成物中の顔料100質量部に対して150質量部以下であることが好ましく、125質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることがさらに好ましい。
[分散助剤]
本実施の形態に係るインク組成物において必要に応じて分散助剤を用いてもよい。分散助剤は色材(顔料)の表面に吸着し、官能基がインク組成物中の有機溶剤や分散剤との親和力を高め、分散安定性を向上させる。分散助剤としては、有機顔料残基に酸性基、塩基性基、中性基などの官能基を有する公知の顔料誘導体を用いることができる。
[その他の成分]
本実施の形態に係るインク組成物は、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、エポキシ化物等、多価カルボン酸、表面調整剤、スリップ剤、レベリング剤(アクリル系やシリコン系等)、消泡剤、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤、防臭剤、電荷調整剤、湿潤剤等の公知の添加剤を任意成分として含んでもよい。酸化防止剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられる。具体的には、BHA(2,3-ブチル-4-オキシアニソール)、BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)等が例示される。また、紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物、又はベンゾトリアゾール系化合物を用いることができる。また、エポキシ化物の具体例としては、エポキシグリセリド、エポキシ脂肪酸モノエステル、およびエポキシヘキサヒドロフタレートなどが例示され、具体的にはアデカサイザーO-130P、アデカサイザーO-180A(ADEKA社製)等が例示される。多価カルボン酸の具体例としては、クエン酸、マレイン酸などが例示される。
≪3.インク組成物の粘度及び表面張力≫
本実施の形態に係るインク組成物の粘度は、とくに限定されない。例えば、インクジェット吐出性、吐出安定性の点から、25℃での粘度が15.0mPa・s以下であることが好ましく、13.0mPa・sであることがより好ましく、10.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。又、本実施の形態に係るインク組成物の粘度は、1.0mPa・s以上であることが好ましく、2.0mPa・s以上であることがより好ましく、3.0mPa・s以上であることがさらに好ましい。
また、本実施の形態に係るインク組成物の表面張力は、とくに限定されず、限定されない。例えば、インクジェットの吐出性、吐出安定性、基材へのレベリング性の点から、25℃での表面張力が20mN/m以上であることが好ましく、22mN/m以上であることがより好ましく、24mN/m以上あることがさらに好ましい。又、本実施の形態に係るインク組成物の表面張力は、40mN/m以下であることが好ましく、37mN/m以下であることがより好ましく、35mN/m以下であることがさらに好ましい。
≪4.インク組成物の製造方法≫
本実施の形態に係るインク組成物の製造方法は、有機溶剤と、樹脂と、各種成分(例えば樹脂や色材等)とをペイントシェイカーを用いて混合することにより製造することができる。この際、ジルコニアビーズにて各成分を溶解又は分散させてもよい。なお必要に応じて、特定の溶媒に色材が分散された分散体を調整した後、他成分を加えてインク組成物を調整してもよい。なお、本実施の形態に係るインク組成物は、必要に応じて脱気処理するなどして所望の溶存酸素量や溶存窒素量に調整してもよい。
また、非水系インク組成物を製造する場合には、有機溶剤を予め乾燥させておくことが好ましい。有機溶剤を予め乾燥させておくことで、非水系インク組成物に含まれる水分量を軽減することができる。有機溶剤を乾燥させる方法としては、例えば窒素等の不活性ガス雰囲気下で乾燥させた不活性ガス(例えば、窒素ガス)を所定時間吹き付ける方法や、有機溶剤を蒸留精製する方法や、水を選択的に透過する半透過膜に有機溶剤を透過させる方法や、水を吸着する水吸着剤に有機溶剤に混入した水を選択的に吸着させる方法等を挙げることができる。
また、樹脂としてアクリル系樹脂を含有させる場合、残留モノマーの含有量が少ないアクリル系樹脂を予め式(1)で表されるグリコールエーテル系溶剤、式(4)で表されるアルキルアミド系溶剤、及び式(5)で表される環状アミド系溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤に溶解または分散させ、その後、他の含有成分を溶解または分散させることにより、粘度安定性や吐出安定性に極めて優れるインク組成物を製造することができる。
また、樹脂として塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂を含有させる場合、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂を予め式(4)で表されるアルキルアミド系溶剤、式(5)で表される環状アミド系溶剤。及び式(6)で表されるラクトン系溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤に溶解または分散させ、その後、他の含有成分を溶解または分散させることにより、粘度安定性や吐出安定性に極めて優れるインク組成物を製造することができる。
≪5.インクセット≫
本実施の形態に係るインクセットは、上記のインク組成物を含むインクセットである。上記のインク組成物は、樹脂に由来する残留モノマーの含有量を2000ppm以下であることで、吐出安定性の低下を抑制し、かつインクジェットヘッドを構成する部材に対する部材適性も良好であることから、本実施の形態に係るインクセットにおいても吐出安定性の低下を抑制し部材適性も良好となる。
≪6.インク組成物を用いた記録方法≫
本実施の形態に係る記録方法は、上記のインク組成物を、基材の表面に塗布する記録方法である。上記のインク組成物は、樹脂に由来する残留モノマーの含有量を2000ppm以下であることで、吐出安定性の低下を抑制し、かつインクジェットヘッドを構成する部材に対する部材適性も良好であることから、本実施の形態に係るインク組成物を用いた記録方法においても吐出安定性の低下を抑制し部材適性も良好となって、画像再現性の高い記録物が得られる。
インクジェット法により吐出する方式は、圧電素子を用いたピエゾ方式であっても、発熱体を用いたサーマル方式であってもよく、特に限定されない。
≪7.記録物の製造方法≫
本実施の形態に係る記録物の製造方法は、上記のインク組成物を、基材の表面に塗布する記録方法である。上記のインク組成物は、樹脂に由来する残留モノマーの含有量を2000ppm以下であることで、吐出安定性の低下を抑制し、かつインクジェットヘッドを構成する部材に対する部材適性も良好であることから、本実施の形態に係る記録物の製造方法においても吐出安定性の低下を抑制し部材適性も良好となって、画像再現性の高い記録物が得られる。
≪8.記録物≫
本実施の形態に係る記録物は、基材と、基材上に形成されたインク組成物の層と、を備える。そして、インク組成物の層は、樹脂を含有し、樹脂に由来する残留モノマーの含有量は樹脂100質量部に対して4.0質量部以下であることを特徴とする。この記録物は、上記のインク組成物を、基材の表面にインクジェット吐出することで得られるものであり、上記のインク組成物は、吐出安定性の低下を抑制し部材適性も良好であるものであることから、本実施の形態に係る記録物においても画像再現性の高い記録物となる。
なお、樹脂に由来する残留モノマーの含有量は樹脂100質量部に対して2.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以下であることがさらに好ましい。
以下、本実施の形態に係る記録物を構成する各層について説明する。
[媒体(記録媒体)]
本実施の形態に係る記録方法に使用することのできる基材(記録媒体)としては、特に限定はされず、樹脂基材、金属板ガラスなどの非吸収性基材であっても、紙や布帛などの吸収性基材であっても、受容層を備える基材のような表面塗工が施された基材であってもよく、種々の基材を使用することができる。
非吸収性基材としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系合成紙、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基材や、金属、金属箔コート紙、ガラス、合成ゴム、天然ゴム等を挙げることができる。
吸収性基材としては、更紙、中質紙、上質紙、合成紙、綿、化繊織物、絹、麻、布帛、不織布、皮革等を挙げることができる。
表面塗工が施された基材としてはコート紙、アート紙、キャスト紙、軽量コート紙、微塗工紙等を挙げることができる。
そのなかでも、特に、水を意図的に含有させない非水系インク組成物を使用する場合、表面が主として樹脂からなるものが好ましい。樹脂としては、ポリ塩化ビニル系重合体やアクリル、PET、ポリカーボネート、PE、PP等が挙げられる。また、記録物の記録表面に対してフィルムを張り合わせことを前提とするような樹脂基材(いわゆるラミネート用の樹脂基材)に用いられてもよい。特に、表面が硬質又は軟質ポリ塩化ビニル系重合体からなる基材(記録媒体)が好ましい。表面がポリ塩化ビニル重合体からなる基材(記録媒体)としては、ポリ塩化ビニル基材(フィルム又はシート)等が例示できる。
[インク組成物の層]
記録層とは、上記のインク組成物に含まれる溶媒が揮発することにより形成される層であり、主に所望の画像を形成する層である。上記のインク組成物は、樹脂に由来する残留モノマーの含有量を2000ppm以下であることで、吐出安定性の低下を抑制し、かつインクジェットヘッドを構成する部材に対する部材適性も良好であることから、上記のインク組成物に含まれる溶媒が揮発することにより形成される記録層は、画像再現性の高い記録物が得られる。
なお、上記のインク組成物に含まれる溶媒が揮発することにより形成される層は、複数の層から形成されていてもよく、例えば、上記のインク組成物のホワイトインクの層上に上記のインク組成物のカラーインク(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の層が形成されていてもよい。
[その他の層]
本実施の形態に係る記録物は、さらに、インク組成物の層の上表面に所望の機能を有する層を備えてもよい。例えば、記録物に耐擦性や光沢性をさらに付与する目的で、樹脂、ワックスの少なくとも1つを含有するオーバーコート層が形成されていてもよい。また、フィラーを含有させ、又は膜厚をピクセル単位で変化させること等により、表面に凹凸感(マット面)を表現された層が形成されていてもよい。また、記録物に耐候性を付与するために、紫外線吸収剤や光安定化剤等を含む耐候層や光輝性顔料を含む光輝性層等が形成されていてもよい。
なお、本実施の形態に係る記録物においては、上記のインク組成物により形成された記録層を含む記録物を説明したが、例えば、従来公知のインク組成物により形成された記録層上に、上記のインク組成物を吐出して所望の機能を有する層を形成してもよい。また、上記のインク組成物により形成された記録層上に、上記のインク組成物を吐出して所望の機能を有する層を形成してもよい。
≪9.装置≫
本実施の形態に係る装置は、上記のインク組成物を備えたインク吐出部を備え、上記のインク組成物を基材上に吐出する。この装置は、上記のインク組成物を、基材の表面に吐出することで記録物を製造する装置であり、上記のインク組成物は、吐出安定性の低下を抑制し部材適性も良好であるものであることから、本実施の形態に係る装置においても画像再現性の高い記録物が製造可能な装置となる。
装置としては、上記のインク組成物を基材上にインクジェット吐出することのできるインクジェット記録装置であることが好ましい。上記のインク組成物をインクジェット法により吐出するインクジェット記録装置は、従来公知のものを使用することができる。例えば、VersaArt RE-640、VersaCAMM VS300i(いずれもローランドDG(株)製)のようなインクジェットプリンターなどを使用することができる。
インクジェット記録装置の構成の一例として、オンキャリッジタイプであってシリアルプリンタータイプのインクジェット記録装置であっても、インクカートリッジが外部に固定されたオフキャリッジタイプのインクジェット記録装置であってもよく、インクジェットヘッドヘッドが移動せずに記録媒体(基材)上にインク組成物を吐出するラインプリンタータイプのインクジェット記録装置であってもよい。
また、インクジェット記録装置は、加温機構と、基材を固定する固定機構と、を備えていることが好ましい。インクジェット記録装置に備えられる加温機構によって基材表面温度を制御して、基材(記録媒体)に着弾したインク組成物を乾燥させることで、インク組成物に含有される溶媒を揮発させることが可能となる。
さらに、基材を固定する固定機構によって、基材(記録媒体)を固定した状態でインク組成物を乾燥させることが可能となり、加温により基材がたわむことにより熱のかかり方が不均一になることを抑制できる。
インクジェット記録装置に備えられる加温機構は、プレヒーター、プラテンヒーター、アフターヒーター等であってもよく、記録物に温風を送風する機構であっても、赤外線などにより記録物を加熱する機構であってもよい。また、これらの加温機構を複数組み合わせるものであってもよい。
基材を固定する固定機構としては、基材を所定の治具により固定する固定機構であっても、負圧により基材を吸引して吸着する固定機構であってもよく特に制限されない。
上記のインク組成物を吐出するインクジェットヘッドは、圧電素子を用いたピエゾ方式のインクジェットヘッドであっても、発熱体を用いたサーマル方式のインクジェットヘッドであってもよく、特に制限はされない。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
1.樹脂の作製
(1)アクリル系樹脂
100℃に保たれたジエチレングリコールメチルエチルエーテル300g中に、メタクリル酸メチル150g及びメタクリル酸ブチル50gと所定量(表1に記載の量)のt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)との混合物を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、合成樹脂[1]~[4]、[6]、[7]においてはt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.5gを表1に記載の回数追添加し、100℃で表1に記載した時間反応させた後冷却して、無色透明のメタクリル酸メチルの重合体溶液を得た。その後、合成樹脂[2]~[7]においては、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルを追加して固形分35%のアクリル樹脂溶液を得た。一方で合成樹脂[1]においてはこの重合体溶液をヘキサン中に滴下し再沈殿、乾燥させることで、アクリル樹脂を得た。このアクリル樹脂を再度ジエチレングリコールメチルエチルエーテルに溶解し、固形分35%のアクリル樹脂溶液を得た。
合成樹脂[2]において、メタクリル酸メチル150g及びメタクリル酸ブチル50gをメタクリル酸メチル200gに変更したものを合成樹脂[15]とした。
合成樹脂[2]において、メタクリル酸メチル150g及びメタクリル酸ブチル50gをメタクリル酸ブチル200gに変更したものを合成樹脂[16]とした。
合成樹脂[2]において、メタクリル酸メチル150g及びメタクリル酸ブチル50gをメタクリル酸メチル100gおよびアクリル酸シクロヘキシル100gに変更したものを合成樹脂[17]とした。
Figure 2023062679000013
(2)塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂
撹拌装置を備えたオートクレーブに、窒素置換後、脱イオン水100質量部、メタノール40質量部、塩化ビニル32質量部、酢酸ビニル5質量部、グリシジルメタクリレート0.2質量部、ヒドロキシプロピルアクリレート3.55質量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(懸濁剤)を0.1質量部、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(重合開始剤)を0.026質量部、ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイド(重合開始剤)0.58gを仕込み、窒素ガス雰囲気下に撹拌しながら63℃に昇温し、63℃に到達直後に塩化ビニル48質量部を6時間で、グリシジルメタクリレート0.6質量部、ヒドロキシプロピルアクリレート10.65部を混合したものを5.4時間で連続圧入し、共重合反応させた。オートクレーブ内圧が0.3MPaになった時点で残圧を抜き、冷却して樹脂スラリーを取り出し、ろ過、乾燥して塩化ビニル系共重合樹脂を得た。得られた樹脂をインク組成と同比率の混合溶剤中に溶解させ(固形分20%)、60℃で表2に記載された時間撹拌を続けた。
Figure 2023062679000014
表2中の「塩酢ビ樹脂」は「塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂」を意味する。
(3)ポリエステル系樹脂
テレフタル酸104質量部、イソフタル酸104質量部、エチレングリコール79質量部、ネオペンチルグリコール89質量部、テトラブチルチタネート0.1質量部を丸底フラスコに仕込み、4時間かけて240℃まで徐々に昇温し、留出物を系外に除きながらエステル化反応を行った。エステル化反応終了後30分かけて10mmHgまで減圧、温度を250℃まで昇温し初期重合を行った。その後1mmHg以下で1時間後期重合を行い、ポリエステル系樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂にジエチレングリコールメチルエチルエーテルを追加して固形分35%のポリエステル樹脂溶液を得た。
Figure 2023062679000015
(4)ポリウレタン系樹脂
ポリカーボネートジオール(プラクセルCD-220:ダイセル製)192.5質量部とイソホロンジイソシアネート(IPDI:エボニック製)41.6質量部、γ-ブチロラクトン(GBL)100質量部を丸底フラスコに入れ均一に混合後、T100BHJ(触媒)0.01質量部とγ-ブチロラクトン(GBL)0.09質量部の混合液を入れ75℃で3時間反応させて末端にイソシアネート基をもつプレポリマーを得た。これにγ-ブチロラクトン(GBL)を250質量部投入し均一に溶解後、3アミノメチル3,5,5トリメチルシクロヘキシルアミン(IPD:エボニック製)12質量部をγ-ブチロラクトン(GBL)100質量部に溶解した鎖伸長剤溶液を添加し60℃でさらに40分撹拌した。その後モノイソプロパノールアミン(MIPA:ダイセル製)3.8質量部をγ-ブチロラクトン(GBL)50質量部に溶解した反応停止剤を添加し、最後にγ-ブチロラクトン(GBL)を250質量部添加して固形分25.0%のポリウレタン溶液を得た。
Figure 2023062679000016
そして、得られた樹脂溶液について、ガスクロマトグラフィーにより樹脂に由来する残留モノマーの含有量を測定した。ガスクロマトグラフィーでの測定装置としては、NEXIS GC―2030(島津製作所社製)を用い、ガスクロマトグラフ用検出器としては、水素炎イオン化検出器(FID)を用い、ガラスカラムに、充填剤としてポリエチレングリコール系の吸着剤を、キャリヤーガスとして窒素を使用した。測定サンプルは、試料0.5gをMEKで10mLに希釈したものを使用した。モノマーの定量は絶対検量線法によって行い、標準サンプルには各合成樹脂の合成に使用した全てのモノマーを使用した。測定値から樹脂(固形分100%中)の残留モノマーの含有量を算出し、表1~表4に記載した。
2.インク組成物の調製
それぞれの有機溶剤、樹脂、表面調整剤(界面活性剤)、分散剤、顔料を下記表の割合になるように実施例及び比較例のインク組成物を作製した。具体的には、ペイントシェイカーを用いてジルコニアビーズにて顔料および分散剤を有機溶剤中に分散させた顔料分散体を作製し、各成分が下記表の割合になるようにインク組成物を調製した。単位は質量%である。
3.評価
(1)粘度安定性(加温保管)
実施例及び比較例のインク組成物について粘度安定性(加温保管)を評価した。具体的には、まず実施例及び比較例のインク組成物について初期粘度(Va)を測定した。その後、およそ25mlを容量30mlの褐色ガラスびんへ入れ密栓した試料を、60℃、保管期間を42日とし、保管試験後の実施例及び比較例のインク組成物について再度同様の条件で保管後粘度(Vb)を測定した。そして、初期粘度(Va)及び保管後粘度(Vb)から、(Vb-Va)/Va×100(単位は%)を計算し、粘度変化率を求めた。なお、インク組成物の粘度は、落球式粘度計(アントンパール社製AMVn)を用いて、25℃の条件下で測定した。(表中、「粘度安定性(加温保管)」と表記)。
評価基準
評価5:粘度変化率が3%未満である。
評価4:粘度変化率が3%以上5%未満である。
評価3:粘度変化率が5%以上8%未満である。
評価2:粘度変化率が8%以上10%未満である。
評価1:粘度変化率が10%以上である。
(2)粘度安定性(ヒートサイクル)
実施例及び比較例のインク組成物について粘度安定性(加温保管)を評価した。具体的には、上記の「粘度安定性(加温保管)」において、保管条件を常温から5℃/min.の昇温速度で60℃まで昇温させて、保管試験を60℃3日で行った後、-5℃/min.の降温速度で-20℃まで降温させて-20℃3日間保管を行い、再び5℃/min.の昇温速度で常温まで昇温する内容を1サイクルとしたものを4サイクルに変更させて行ったこと以外同様に初期粘度(Va)及び保管後粘度(Vb)を求め、(Vb-Va)/Va×100(単位は%)を計算し、粘度変化率を求めた。評価基準は、上記「粘度安定性(加温保管)」と同様の基準で評価した。(表中、「粘度安定性(ヒートサイクル)」と表記)。
(3)吐出安定性(加温保管)
実施例及び比較例のインク組成物について吐出安定性を評価した。実施例及び比較例のインク組成物について吐出安定性を評価した。具体的には、インクジェットプリンター(VersaCAMM VS300i、ローランドDG(株)製)に加温保管(60℃、42日保管)後の実施例及び比較例のインク組成物を充填して、双方向の高速印刷モード(360x360dpi)、基材表面温度40℃で、記録媒体(糊付きポリ塩化ビニルフィルム(IMAGin JT5829R:MACtac社製)に細線を印刷し、ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛び散りの有無を目視およびルーペ(×25)で確認して評価した(表中、「吐出安定性(加温保管)」と表記)。
評価基準
評価5:目視およびルーペで確認した際、細線が正しく再現できている。
評価4:目視で細線が正しく再現できている。
評価3:わずかに細線に曲がりが見られる。
評価2:着弾位置がずれており、曲がりが見られる。
評価1:着弾位置のずれが酷く、細線を表現できない。
(4)吐出安定性(ヒートサイクル)
実施例及び比較例のインク組成物について吐出安定性を評価した。具体的には、具体的には、上記の「吐出安定性(加温保管)」において、保管条件を常温から5℃/min.の昇温速度で60℃まで昇温させて、保管試験を60℃3日で行った後、-5℃/min.の降温速度で-20℃まで降温させて-20℃3日間保管を行い、再び5℃/min.の昇温速度で常温まで昇温する内容を1サイクルとしたものを4サイクルに変更させて行ったこと以外同様の条件、評価基準で吐出安定性の評価を行った。(表中、「吐出安定性(ヒートサイクル)」と表記)。
(5)プリンター部材適性試験1
実施例及び比較例のインク組成物について部材適性(接着剤の硬化物)を評価した。具体的には、インクジェットヘッドの部材に使用されるエポキシ接着剤(2液硬化型エポキシ接着剤「1500」、セメダイン(株)製)を60℃1日乾燥させた硬化物、0.2gを、実施例及び比較例のインク組成物に浸漬して、60℃で1週間放置して、浸漬試験を行い、硬化物の重量変化を測定した(表中、「プリンター部材適性試験1」と表記)。
評価基準
評価5:重量変化率が3%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価4:重量変化率が3%以上5%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価3:重量変化率が5%以上10%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価2:重量変化率が10%以上15%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価1:重量変化率が15%以上及び/又は、エポキシ接着剤の材質の劣化がある。
(6)プリンター部材適性試験2
実施例及び比較例のインク組成物について部材適性(ヘッドキャップ部材)を評価した。具体的には、インクジェットヘッドの部材に使用されるシリコン系樹脂(一液型液状ゴム「KE1831」、信越化学社製)を120℃10分乾燥させた硬化物、0.2gを、実施例及び比較例のインク組成物に浸漬して、60℃で1週間放置して、浸漬試験を行い、硬化物の重量変化を測定した(表中、「プリンター部材適性試験2」と表記)。
評価基準
評価5:重量変化率が5%未満で、シリコン系樹脂の材質の劣化がない。
評価4:重量変化率が5%以上10%未満で、シリコン系樹脂の材質の劣化がない。
評価3:重量変化率が10%以上15%未満で、シリコン系樹脂の材質の劣化がない。
評価2:重量変化率が15%以上20%未満で、シリコン系樹脂の材質の劣化がない。
評価1:重量変化率が20%以上及び/又は、シリコン系樹脂の材質の劣化がある。
Figure 2023062679000017
Figure 2023062679000018
Figure 2023062679000019
Figure 2023062679000020
Figure 2023062679000021
Figure 2023062679000022
Figure 2023062679000023
上記表から分かるように、樹脂に由来する残留モノマーの含有量をインク組成物全量中2000ppm以下の範囲にしたインク組成物であれば、加温保管およびヒートサイクル保管条件後の吐出安定性に優れ、かつ部材適性に優れるものであることが分かる。
特に、樹脂に由来する残留モノマーの含有量を変化させた実施例1~11において、樹脂に由来する残留モノマーの含有量をインク組成物全量中1000ppm以下の範囲である実施例1~7のインク組成物は、実施例8~10のインク組成物と比較しても加温保管およびヒートサイクル保管条件後の吐出安定性にさらに優れ、かつ部材適性にさらに優れるものであった。
さらに、γ-ブチロラクトンを含有する実施例1においてγ-ブチロラクトンの代わりにアルキルアミド系溶剤や環状アミド系溶剤に変更した実施例23~27やγ-ブチロラクトンとは異なるラクトン系溶剤に変更した実施例28、29においても同様に加温保管およびヒートサイクル保管条件後の吐出安定性にさらに優れ、かつ部材適性にさらに優れるものであった。また、γ-ブチロラクトンを含有する実施例1においてγ-ブチロラクトンの含有量を変化させた実施例52~54、並びにN,N-ジエチルホルムアミドを含有する実施例23においてN,N-ジエチルホルムアミドの含有量を変化させた実施例55、56においても同様に加温保管およびヒートサイクル保管条件後の吐出安定性に優れ、かつ部材適性に優れるものであった。
さらに、C.I.ピグメントブルー15:4を含有する実施例1において他の顔料に変更した実施例35~45においても同様に吐出安定性にさらに優れ、かつ部材適性にさらに優れるものであった。
さらに、アクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂とを含み、これらの含有量比の異なる実施例1~7、47~51において、アクリル系樹脂の含有量は、インク組成物に含まれる樹脂全量中30質量%以上100質量%以下の範囲である実施例1~7、46~49は、実施例50と比較しても加温保管およびヒートサイクル保管条件後の吐出安定性にさらに優れるものであった。
また、アクリル系樹脂を含まず、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む実施例58~61であっても、樹脂に由来する残留モノマーの含有量をインク組成物全量中2000ppm以下の範囲にすることで、加温保管およびヒートサイクル保管条件後の吐出安定性に優れ、かつ部材適性に優れるものであった。
一方、樹脂に由来する残留モノマーの含有量をインク組成物全量中2000ppm超の範囲にした比較例1~7は加温保管およびヒートサイクル保管条件後の吐出安定性が劣っており、かつ部材適性が優れたものではなかった。

Claims (18)

  1. 樹脂と、有機溶剤と、を含み、インクジェット法によって吐出されるインク組成物であって、
    前記樹脂は、アクリル系樹脂、又は塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂の少なくとも1つ以上を含有し、
    前記樹脂に由来する残留モノマーの含有量はインク組成物全量中2000ppm以下である
    インク組成物。
  2. 前記樹脂は、さらに、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリウレタン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つ以上の重合体又は共重合体を含む
    請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記樹脂は、アクリル系樹脂を含有し、
    前記アクリル系樹脂の含有量は、前記インク組成物に含まれる樹脂全量中30質量%以上100質量%以下の範囲である
    請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記樹脂の含有量は、インク組成物全量中1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲である
    請求項1又は2に記載のインク組成物。
  5. 前記樹脂の重量平均分子量Mwは、10000以上60000以下の範囲である
    請求項1又は2に記載のインク組成物。
  6. 前記有機溶剤は、下記式(1)で表されるグリコールエーテル系溶剤を含有する
    請求項1又は2に記載のインク組成物。
    -(-O-R-O-R・・・(1)
    (式(1)中、R、Rは、それぞれ独立して、水素または炭素数1以上8以下の分岐しても良いアルキル基であり、Rは炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキレン基を表す。nは1以上6以下の整数を表す。)
  7. 前記グリコールエーテル系溶剤は、下記式(2)で表されるグリコールエーテルモノアルキルを含有する
    請求項6に記載のインク組成物。
    -(-O-R-O-H・・・(2)
    (式(2)中、R、は、炭素数1以上8以下の分岐しても良いアルキル基であり、Rは炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキレン基を表す。nは1以上6以下の整数を表す。)
  8. 前記グリコールエーテル系溶剤は、下記式(3)で表されるグリコールエーテルジアルキルを含有する
    請求項6に記載のインク組成物。
    -(-O-R-O-R・・・(3)
    (式(3)中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1以上8以下の分岐しても良いアルキル基であり、Rは炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキレン基を表す。nは1以上6以下の整数を表す。)
  9. 前記有機溶剤は一般式(4)で表される溶剤を含有する
    請求項1又は2に記載のインク組成物。
    Figure 2023062679000024
    (式(4)中、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R、Rは、それぞれ独立して水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。
  10. 前記有機溶剤は一般式(5)で表される溶剤を含有する
    請求項1又は2に記載のインク組成物。
    Figure 2023062679000025
    (式(5)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基または不飽和炭化水素基を表す。)
  11. 前記有機溶剤は一般式(6)で表される溶剤を含有する
    請求項1又は2に記載のインク組成物。
    Figure 2023062679000026
    (式(6)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)
  12. 前記有機溶剤は一般式(7)で表される溶剤を含有する
    請求項1又は2に記載のインク組成物。
    Figure 2023062679000027
    (式(7)中、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、Rは、炭素数1以上3以下のアルキレン基を表す。)
  13. 前記有機溶剤は一般式(8)で表される溶剤を含有する
    請求項1又は2に記載のインク組成物。
    Figure 2023062679000028
    (式(8)中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R13は、炭素数1以上4以下のアルキレン基を表す。)
  14. 請求項1又は2に記載のインク組成物を含む
    インクセット。
  15. 請求項1又は2に記載のインク組成物を基材上に吐出する
    記録方法。
  16. 請求項1又は2に記載のインク組成物を基材上に吐出する工程を含む
    記録物の製造方法。
  17. 請求項1又は2に記載のインク組成物を備えたインク吐出部を備え、
    請求項1又は2に記載のインク組成物を基材上に吐出する
    装置。
  18. 基材と、
    前記基材上に形成されたインク組成物の層と、
    を備え、
    前記インク組成物の層は、樹脂を含有し、
    前記樹脂は、アクリル系樹脂、又は塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂の少なくとも1つ以上を含有し、
    前記樹脂に由来する残留モノマーの含有量は樹脂100質量部に対して4.0質量部以下である
    記録物。
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