JP2022157934A - 非水性インク組成物、インクジェット記録方法及び印刷物の製造方法 - Google Patents

非水性インク組成物、インクジェット記録方法及び印刷物の製造方法 Download PDF

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由佳 折笠
Yuka Origasa
圭士郎 吉森
Keishiro Yoshimori
貴生 松本
Takao Matsumoto
公淳 宇高
Koujun Uko
充功 田村
Mitsuisa Tamura
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Abstract

【課題】良好な保存安定性を有する非水性インク組成物を提供する。【解決手段】有機溶剤と、樹脂と、を含有するインクジェット法によって吐出される非水性インク組成物であって、有機溶剤は、下記有機溶剤Aを含有し、樹脂は、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂が樹脂全量中10質量%以下の範囲である、非水性インク組成物である。有機溶剤A:アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ【選択図】なし

Description

本発明は、非水性インク組成物、インクジェット記録方法及び印刷物の製造方法に関する。
インク組成物として、各種の色材を有機溶剤との混合液に溶解又は分散させた非水性インク組成物が広く用いられている。このインク組成物をインクジェット方式等により紙等の基材に直接又は他の層を介して塗布し、付着させて非水性インク組成物が乾燥することにより文字や画像を得ることができる。
例えば、特許文献1には、樹脂を含む着色樹脂粒子と、ノニオン性界面活性剤と、非水系溶剤とを含むインクジェットインクに関する技術が開示されている。この特許文献1には、印刷物の耐擦過性及び発色性に優れ、分散体の収容容器内で異物の発生を防止できることが記載されている。
このように非水性インク組成物に樹脂を含有させることは従来から行われている。
特開2019-006886号公報
さて、非水性インク組成物をインクジェット法によって吐出するに際して、インクジェットヘッドを通じて非水性インク組成物は吐出される。すると、非水性インク組成物に含まれる樹脂等の固形成分によりインクジェットヘッドでのノズル内に詰まりが発生することがある。
そこで、インクジェット記録装置には、このようなインクジェットヘッドでのノズルの詰まりを解消するクリーニング回復機能が備わっている。
このようなクリーニング回復機能によりインクジェットヘッドでのノズルの詰まりを解消するクリーニング回復性は、インクジェットヘッド内での非水性インク組成物の揮発量に依存し、揮発性の低い非水性インク組成物であればインクジェットヘッドのノズル内での樹脂等の固形成分の詰まりを解消できることが本発明者らの研究で明らかとなった。
しかしながら、クリーニング回復性を向上させるために非水性インク組成物の揮発を抑制しようとして沸点の高い有機溶剤を含有させると、得られる記録物の表面乾燥性が低下してしまう。このような表面乾燥性の低下は得られる記録物の製造速度を低下させてしまう。
本発明は、樹脂を含む非水性インク組成物であっても、高いクリーニング回復性と基材上での表面乾燥性を両立できる非水性インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、所定の固有粘度を示す樹脂の含有量を制御しつつ、特定の有機溶剤を含有することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のものを提供する。
(1)有機溶剤と、樹脂と、を含有するインクジェット法によって吐出される非水性インク組成物であって、前記有機溶剤は、下記有機溶剤Aを含有し、前記樹脂は、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂が樹脂全量中10質量%以下の範囲である、非水性インク組成物。
有機溶剤A:アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ
(2)前記有機溶剤Aの含有量は、非水性インク組成物全量中1%質量%以上90質量%以下の範囲である、(1)に記載の非水性インク組成物。
(3)前記樹脂の含有量は、非水性インク組成物全量中1.0%質量%以上20.0質量%以下の範囲である、(1)又は(2)に記載の非水性インク組成物。
(4)さらに色材を含有し、
前記色材の含有量は、非水性インク組成物全量中0.1質量%以上10質量%以下の範囲である、(1)から(3)のいずれかに記載の非水性インク組成物。
(5)前記有機溶剤Aは、アルキルアミド系溶剤(a1)を含有する、(1)から(4)のいずれかに記載の非水性インク組成物。
(6)前記アルキルアミド系溶剤(a1)は、下記一般式(1)で表される(5)に記載の非水性インク組成物。
Figure 2022157934000001
・・・(1)
(式(1)中、R1は、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R2、R3は、それぞれ独立して炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。
(7)前記アルキルアミド系溶剤(a1)は、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-えド、及びN,N-ジエチルアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1つを含有する(6)に記載の非水性インク組成物。
(8)前記有機溶剤は、環状アミド系溶剤(a2)を含有する、(1)から(4)のいずれかに記載の非水性インク組成物。
(9)前記環状アミド系溶剤(a2)は、下記一般式(2)で表される(8)に記載の非水性インク組成物。
Figure 2022157934000002
・・・(2)
(式(2)中、R4は、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、R5は、水素若しくは炭素数1以上2以下のアルキル基を表す。)
(10)前記環状アミド系溶剤(a2)は、ε-カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、及びN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される少なくとも1つを含有する(9)に記載の非水性インク組成物。
(11)前記有機溶剤は、ラクトン系溶剤(a3)を含有する、(1)から(4)のいずれかに記載の非水性インク組成物。
(12)前記ラクトン系溶剤(a3)は、下記一般式(3)で表される(11)に記載の非水性インク組成物。
Figure 2022157934000003
(式(3)中、R6は、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、R7は、水素若しくは炭素数1以上2以下のアルキル基を表す。)
(13)前記ラクトン系溶剤(a3)は、γ―ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、及びε-カプロラクトンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する
(12)に記載の非水性インク組成物。
(14)前記有機溶剤は、さらにグリコールエーテル系溶剤を含有する、(1)から(13)に記載の非水性インク組成物。
(15)前記樹脂は、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上を含有する、(1)から(14)のいずれかに記載の非水性インク組成物。
(16)(1)から(15)のいずれかに記載の非水性インク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する、記録方法。
(17)(1)から(15)のいずれかに記載の非水性インク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する、記録物の製造方法。
(18)(1)から(15)のいずれかに記載のインク組成物の記録層が基材の表面に形成された記録物。
本発明の非水性インク組成物は、樹脂を含む非水性インク組成物であっても、高いクリーニング回復性と基材上での表面乾燥性とを両立させることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。また、本明細書において、「~」との表記は、「以上」「以下」を意味し、「X:Y~A:B」との表記は「X:Y」及び「A:B」そのものを含み、「X:Y」と「A:B」との間の範囲を意味する。
≪1.非水性インク組成物≫
本実施の形態に係る非水性インク組成物は、有機溶剤と、樹脂と、を含有するインクジェット法によって吐出される非水性インク組成物である。ここで、非水性インク組成物とは、水を主成分とする水性インク組成物とは異なり、水を意図的に含有させずに製造された有機溶剤を含むインク組成物であることを意味する。なお、本明細書において、「水を含有しない」との文言は、大気中の水分や、添加物等に由来するような不可避的に含まれる水は考慮しない。
そして、本実施の形態に係る非水性インク組成物は、有機溶剤は、下記有機溶剤Aを含有し、樹脂は、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂が樹脂全量中10質量%以下の範囲であることを特徴としている。
有機溶剤A:アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ
非水性インク組成物に含有される樹脂が複数の固有粘度を示す樹脂を含んでおり、その固有粘度が90mL/g以上の樹脂を樹脂全量中10質量%超の割合で含むことによって、インクジェットヘッドのノズル内での樹脂等の固形成分の詰まりを解消しづらくなって、クリーニング回復性が低下することが本発明者らの研究により見出された。
そこで、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の含有量が樹脂全量中10質量%以下になるように制御し、さらに、有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ)を含むことで、インクジェットヘッドのノズル内での詰まりを効果的に解消して、非水性インク組成物のクリーニング回復性を向上させることが可能となる。
本実施の形態に係る非水性インク組成物における水分の含有量は、非水性インク組成物全量中1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量以下であることがより好ましい。原料に由来する水分や製造過程で大気中等の水分が混入すると、非水性インク組成物の保存安定性や吐出安定性が悪化することや非水性インク組成物に含まれる成分等によって固形物が発生することがある。非水性インク組成物中に水分の含有量を低減してできるだけ水分を含まないようにすること(水分を意図的に含まないようにすること)で、保存安定性、クリーニング回復性等をより効果的に向上させることが可能となる。
また、本発明者らの見解によれば有機溶剤Aは、基材面上の乾燥性が高いにも関わらず、プラスティック供給体(例えば、プラスティックチューブ)内での揮発性が低いものである。このため、有機溶剤Aを含有する非水性インク組成物は、クリーニング回復性を維持しつつ、表面乾燥性に優れた記録物を得ることができる。有機溶剤Aが基材面上の乾燥性が高く、プラスティック供給体内での揮発性が低い理由は、有機溶剤Aがプラスティックに対する透過性が低いものであり、有機溶剤自体の沸点と、プラスティック供給体内での揮発性と、が必ずしも相関しないものであるためである。
なお、本実施の形態に係る非水性インク組成物は、色材(有色の色材やブラックホワイトの色材を含む。)を含有する着色インクであってもよく、記録物(被体)をメタリック調にするための光輝性顔料(鱗片状金属粒子)を含むインクであってもよく、色材を含有しないクリアインクであってもよい。色材を含有しないクリアインクである場合には、所望の機能を有する層を形成するためのインクが挙げられる。このようなインクとしては、例えば、記録物(被体)を保護するオーバーコート層を形成するためのオーバーコートインク組成物や記録物(被体)の艶を消す艶消しインク組成物や耐候層を形成するための紫外線吸収剤や光安定化剤等を含むインク等が挙げられる。
以下、本実施の形態に係る非水性インク組成物に含有される各成分について説明する。
[樹脂]
本実施の形態に係る非水性インク組成物は樹脂を含有する。非水性インク組成物に樹脂を含有することで非水性インク組成物により形成される記録層の定着性、耐水性並びに延伸性を向上させることができる。さらに、得られる記録物の光沢性を向上させることができる。
そして、本実施の形態に係る非水性インク組成物に含有される樹脂は、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂が樹脂全量中10質量%以下の範囲である。25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂が樹脂全量中10質量%以下の範囲にあり、かつ後述する有機溶剤Aを含有することにより、非水性インク組成物の高いクリーニング回復性と基材上での表面乾燥性とを両立することができる。
ここで、本明細書における固有粘度とは、対象となる樹脂を展開溶媒に分散させGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)における粒状ゲルを充填したカラムにより樹脂に含まれる分子を分離した後の比粘度〔ηSP〕((η-η0)/η0(η0:溶媒粘度、η:溶液粘度))及び濃度Cを求め、式Lim(〔ηSP〕/C)において、濃度Cを0に外挿(C→0)することにより求めることができる。なお、展開溶媒は特に限定されるものではないが、例えばテトラヒドロフランを使用することができる。
なお、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂が樹脂全量中10質量%以下の範囲の樹脂は、重合時に重合開始剤の量を所定量に制御することで製造することができる。また、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂が樹脂全量中10質量%を超える樹脂を従来公知の方法で精製することでも製造することができる。
なお、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の含有量は樹脂全量中10.0質量%以下の範囲であることが好ましく、8.0質量%以下の範囲であることがより好ましく、5.0質量%以下の範囲であることがより好ましい。
また、非水性インク組成物に含有される固有粘度が90mL/g以上の樹脂の含有量の下限は特に制限はされるものでもなく、例えば樹脂全量中0質量%であってもよいが、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の含有量が樹脂全量中0.1質量%以上であれば、インクジェット方式で吐出された非水性インク組成物のインク滴にサテライト滴が発生して画像を印字する際のベタ埋まりが良好となる。
なお、非水性インク組成物に複数の種類の樹脂を含有する場合には、それぞれの樹脂に含まれる90mL/g以上の樹脂の含有量を足し合わすことで求めることができる。
非水性インク組成物に含有される樹脂の含有量の下限は、非水性インク組成物全量中1.0質量%以上の範囲で含有することが好ましく、1.5質量%以上の範囲で含有することがより好ましく、2.0質量%以上の範囲で含有することがさらに好ましい。これにより、得られる記録物の表面乾燥性をさらに向上させることができる。樹脂の含有量の上限は、非水性インク組成物全量中20.0質量%以下の範囲で含有することが好ましく、15.0質量%以下の範囲で含有することがより好ましく、10.0質量%以下の範囲で含有することがさらに好ましい。これにより、インクジェットヘッドのノズル内での詰まりをより効果的に解消し、非水性インク組成物の保存安定性を向上させることができる。
樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニルトルエン-α-メチルスチレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル系共重合体、セルロース系樹脂、シリコーン(シリコン)系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂や混合物を用いることができる。この中でも、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリウレタン系樹脂を含むものが好ましい。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成するモノマーの主成分として含むものであれば特に限定されるものではない。アクリル樹脂は、1種のラジカル重合性モノマーの単独重合体であってもよいし、ラジカル重合性モノマーを2種以上選択して用いた共重合体のいずれであってもよく、特に、本実施の形態に係る油性インク組成物として好ましいアクリル樹脂は、メタクリル酸メチル単独の重合体、或いは、メタクリル酸メチルと、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エトキシエチル、及びメタクリル酸ベンジルよりなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の化合物との共重合体である。又、市販の(メタ)アクリル樹脂としては、例えばロームアンドハース社の「パラロイドB99N」「パラロイドB60」「パラロイドB66」「パラロイドB82」等が例示される。
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーからなる単独重合体であっても重合性モノマーを2種以上選択して用いた共重合体のいずれであってもよい。塩化ビニル系樹脂の共重合体としては、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂が挙げられる。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂は、塩化ビニル単量体及び酢酸ビニル単量体の重合物である。塩化ビニル酢酸ビニル系共重合樹脂としては、例えば、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体など、及びそれらの混合物が挙げられる。上記の塩化ビニル酢酸ビニル系共重合樹脂としては、日信化学工業(株)社から「ソルバインC、CL、CNL、CLL、CLL2、C5R、TA2、TA3、A、AL、TA5R、M5」等の商品名で入手して使用することができる。
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂は塩化ビニル単量体及び酢酸ビニル単量体の重合することにより得ることができる。重合する方法は、従来公知の重合方法であればよい。重合する方法は、乳化重合または懸濁重合であることが好ましく、懸濁重合であることがより好ましい。
セルロース系樹脂とは、セルロースを原料として生物的または化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する樹脂である。例えば、セルロース系樹脂としては、例えばセルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートプロピオネートブチレート樹脂などのセルロースアセテートアルキレート樹脂、セルロースアセテート樹脂、ニトロセルロース樹脂及びそれらの混合物が挙げられる。上記セルロース樹脂としてはEASTMAN社の「CAB551-0.01」、「CAB551-0.2」、「CAB553-0.4」、「CAB531-1」、「CAB381-0.1」、「CAB381-0.5」、「CAB381-2」、「CAB381-20」「CAP504「CAP482-0.5」等の商品名で入手して使用することができる。
ポリエステル系樹脂とは、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる構成単位を少なくとも含むものである。ポリエステル系樹脂は、変性されたポリエステル系樹脂を含んでもよい。上記のポリエステル系樹脂としては、東洋紡社の「VYLON226」、「VYLON270」、「VYLON560」、「VYLON600」、「VYLON630」、「VYLON660」、「VYLON885」、「VYLONGK250」、「VYLONGK810」、「VYLON GK890」等やユニチカ社の「elitleUE-3200」「elitleUE-3285」、「elitleUE-3320」、「elitleUE-9800」、「elitleUE-9885」等の商品名で入手して使用することができる。
ポリウレタン系樹脂とは、アルコール成分とイソシアネート成分を共重合させて得られる構成単位を少なくとも含むものである。ポリウレタン系樹脂は、ポリエステルやポリエーテルやカプロラクトンにより変性されたポリウレタン系樹脂を含んでもよい。上記のポリウレタン系樹脂としては、荒川化学工業社の「ユリアーノKL-424」、「ユリアーノKL-564」、「ユリアーノKL-593」、「ユリアーノ3262」等やDIC社の「パンデックス372E」、「パンデックス390E」、「パンデックス394E」、「パンデックス304」、「パンデックス305E」、「パンデックスP-870」、「パンデックスP-910」、「パンデックスP-895」、「パンデックス4030」、「パンデックス4110」等の商品名で入手して使用することができる。
また、これらのアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリウレタン系樹脂は、単独で使用してもよいが、2種を混合して使用することが好ましく、アクリル系樹脂と塩化ビニル系樹脂と、を混合した樹脂を使用することがより好ましい。アクリル系樹脂と塩化ビニル系樹脂との含有比率により、非水性インクに要求される発色、乾燥性、塗膜物性、印字適性などの要求を満たすように制御することができる。アクリル系樹脂と塩化ビニル系樹脂と、を混合する場合、混合比は特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、アクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂と、を混合する場合、アクリル系樹脂の含有量:塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂の含有量=100:0~10:90が好ましく、90:10~10:90がより好ましく、80:20~40:60がより好ましい。
樹脂の重量平均分子量(相対分子質量)は、5000以上であることが好ましく、15000以上であることがより好ましい。重量平均分子量(相対分子質量)は、100000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましい。樹脂の相対分子量は、通常のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
[有機溶剤]
有機溶剤は、本実施の形態に係る非水性インク組成物に含有される各成分を分散又は溶解することができるものである。有機溶剤は、有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ)を含有する。
以下、有機溶剤Aに含有されるアルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)についてそれぞれ説明する。
(1)アルキルアミド系溶剤(a1)
アルキルアミド系溶剤とは、アルキル基(C2n+1-)と-C(=O)-N-基(アミド結合)を有する化合物であって、水素若しくはアルキル基と-C(=O)-N-基から構成された化合物からなる有機溶剤である。
25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の含有量が樹脂全量中10質量%以下の樹脂とともにアルキルアミド系溶剤(a1)を含有することにより、高いクリーニング回復性と基材上での表面乾燥性とを両立させることができる。さらに、非水性インク組成物の保存安定性が良好となって、インクジェット記録装置における部材適性も良好となる。
アルキルアミド系溶剤は、例えばアルコキシ基を含まないような、水素若しくはアルキル基と-C(=O)-N-基のみから構成された有機溶剤であることが好ましく、例えば、以下の構造を有するものを好ましく用いることができる。
Figure 2022157934000004
・・・(1)
(式(1)中、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、Rは、それぞれ独立して、水素もしくは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)
なお、式(1)中のR及びRは、炭素数1以上4以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数2以上4以下のアルキル基であることがより好ましい。
アルキルアミド系溶剤としては、具体的には、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N,N-ジエチルプロパンアミド、N,N-ジプロピルプロパンアミド、N-エチルホルムアミド、N-エチルアセトアミド等が挙げられる。この中でも、本発明の効果を特に奏するという観点から、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルプロパンアミド及びN,N-ジエチルアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1つを含有することが好ましく、この中でもN,N-ジエチルホルムアミドを含有することが特に好ましい。
アルキルアミド系溶剤(a1)の含有量は、特に限定されないが、アルキルアミド系溶剤(a)の含有量の下限は、非水性インク組成物全量中1質量%以上の範囲であることが好ましく、5質量%以上の範囲であることがより好ましく、8質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。
アルキルアミド系溶剤(a1)の含有量の上限は、非水性インク組成物全量中90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、75質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以下であることがさらになお好ましい。
(2)環状アミド系溶剤(a2)
環状アミド系溶剤(a2)とは、環状構造を有し、その環状構造に-C(=O)-N-基を有する溶剤である。
25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の含有量が樹脂全量中10質量%以下の樹脂とともに環状アミド系溶剤(a2)を含有することにより、高いクリーニング回復性と基材上での表面乾燥性とを両立させることができる。さらに、非水性インク組成物の保存安定性が良好となって、インクジェット記録装置における部材適性も良好となる。
環状アミド系溶剤は、例えば以下の構造を有するものを好ましく用いることができる。
Figure 2022157934000005
・・・(2)
(式(2)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上2以下のアルキル基を表す。)
環状アミド系溶剤(a2)としては、具体的には、N-メチルεカプロラクタム、N-アセチルカプロラクタム、ε-カプロラクタム、N-ビニルカプロラクタム、2-ピロリドン、N-メチル2-ピロリドン、N-エチル2-ピロリドン、N-プロピル2-ピロリドン、N-エチルεカプロラクタム、N-プロピルεカプロラクタム、N-メチルεカプロラクタム等が挙げられる。その中でも、ε-カプロラクタム、N-メチルεカプロラクタム、及びN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される少なくとも1つを含有することが好ましい。
環状アミド系溶剤(a2)の含有量は、特に限定されないが、環状アミド系溶剤(a2)の含有量の下限は、非水性インク組成物全量中1質量%以上の範囲であることが好ましく、5質量%以上の範囲であることがより好ましく、8質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。
環状アミド系溶剤(a2)の含有量の上限は、非水性インク組成物全量中90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、75質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以下であることがさらになお好ましい。
(3)ラクトン系溶剤(a3)
ラクトン系溶剤とは、環状エステル構造を有する溶剤である。
25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の含有量が樹脂全量中10質量%以下の樹脂とともにラクトン系溶剤(a3)を含有することにより、高いクリーニング回復性と基材上での表面乾燥性とを両立させることができる。さらに非水性インク組成物の保存安定性を向上させることができる。
ラクトン系溶剤(a3)は、例えば以下の構造を有するものを好ましく用いることができる。
Figure 2022157934000006
・・・(3)
(式(3)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上2以下のアルキル基を表す。)
なお、式(3)中のRは、炭素数4以上5以下のアルキレン基であることが好ましく、炭素数5のアルキレン基であることがより好ましい。
ラクトン系溶剤(a3)としては、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ヘキサラクトン、γ-ヘプタラクトン、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサラクトン、δ-ヘプタラクトン、δ-オクタラクトン、δ-ノナラクトン、δ-デカラクトン、δ-ウンデカラクトン等が挙げられる。この中でもγ―ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、及びε-カプロラクトンからなる群より選択される少なくとも1つを含有することが好ましく、ε-カプロラクトンを含有することが特に好ましい。
ラクトン系溶剤(a3)の含有量は、特に限定されないが、ラクトン系溶剤(a3)の含有量の下限は、非水性インク組成物全量中1質量%以上の範囲であることが好ましく、5質量%以上の範囲であることがより好ましく、8質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。
ラクトン系溶剤(a3)の含有量の上限は、非水性インク組成物全量中90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下あることがさらに好ましく、30質量%以下であることがさらになお好ましい。
有機溶剤Aの中でも、「アルキルアミド系溶剤(a1)を含むもの」又は「環状アミド系溶剤(a2)を含むもの」であることが好ましく、その中でも「アルキルアミド系溶剤(a1)を含むもの」がより好ましい。「アルキルアミド系溶剤(a1)を含むもの」又は「環状アミド系溶剤(a2)を含むもの」(より好ましくは「アルキルアミド系溶剤(a1)を含むもの」)であれば、クリーニング回復性と基材上での表面乾燥性とを両立させるものとなり、さらにインクジェット記録装置の部材適性が良好となる。
有機溶剤Aは、アルキルアミド系溶剤(a1)環状アミド系溶剤(a2)ラクトン系溶剤(a3)のうち少なくとも1種類を含むことにより、十分本発明の効果を発揮するものであるが、有機溶剤Aの溶剤の中から2種類以上を混合してもよい。2種類以上混合することによって、保存安定性、部材適正、表面乾燥性、クリーニング回復性のバランスを任意のものとすることができる。有機溶剤Aの溶剤を2種類以上混合する場合は、有機溶剤Aの合計含有量の下限は、非水性インク組成物全量中1質量%以上の範囲であることが好ましく、5質量%以上の範囲であることがより好ましく、10質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。有機溶剤Aの合計含有量の上限は、非水性インク組成物全量中90質量%以下であることが好ましい。
(4)その他の有機溶剤
本実施の形態に係る非水性インク組成物は、上記の有機溶剤A以外の有機溶剤を含有していてもよい。具体的には、グリコールエーテル系溶剤や炭酸エステルなどが挙げられる。これらの中でもグリコールエーテル系溶剤を含有することが好ましい。
グリコールエーテル系溶剤は、グリコールの両末端のOH基がアルキル置換されたグリコールエーテルジアルキルやグリコールの片方のOH基がアルキル置換されたグリコールエーテルモノアルキルを挙げられる。グリコールエーテル系溶剤は、例えば、下記式(4)で表されるグリコールエーテルジアルキル、およびグリコールエーテルモノアルキル少なくとも一つ以上を含むものを挙げることができる。
Figure 2022157934000007

(式(4)中、R、Rは、それぞれ独立して、水素または炭素数1以上8以下の分岐しても良いアルキル基であり、Rは炭素数1以上4以下の分岐しても良いアルキレン基を表す。nは1以上5以下の整数を表す。)
このようなグリコールエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-イソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-イソブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーエル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル)、等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル-2-エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールメチルプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルブチルエーテル、プロピレングリコールメチル-2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルメチルエーテル等の多価アルコールのジアルキルエーテル類が挙げられる。
この中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル-2-エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールメチルプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルブチルエーテル、プロピレングリコールメチル-2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルメチルエーテル等が、好ましいものとして挙げられる。
また、これらのグリコールエーテル系溶剤のうち引火点が異なる2種類以上のグリコールエーテル系溶剤を組み合わせることが好ましい。引火点の高い(例えば引火点が70℃以上)のグリコールエーテル系溶剤を含有させることにより、高いクリーニング回復性を有する非水性インク組成物となる。引火点の低い(例えば引火点が70℃未満)グリコールエーテル系溶剤を含有させることにより、基材上での表面乾燥性の高い非水性インク組成物となる。引火点が70℃以上のグリコールエーテル系溶剤と引火点が70℃未満のグリコールエーテル系溶剤を含有することにより、高いクリーニング回復性と基材上での表面乾燥性とを両立させることが可能となり、本発明の効果を特に効果的に奏する非水性インク組成物となる。
また、グリコールエーテル系溶剤以外のその他の溶剤を含有してもよい。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステルや、3-メチル-2-オキサゾリジノン、3-エチル-2-オキサゾリジノン、N-ビニルメチルオキサゾリジノン等のオキサゾリジノン系溶剤やトリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテ-ト等のアセテート系溶剤や3-メトキシプロパンアミド、3-ブトキシプロパンアミド、N,N-ジメチル-3-メトキシプロパンアミド、N,N-ジブチル-3-メトキシプロパンアミド、N,N-ジブチル-3-ブトキシプロパンアミド、N,N-ジメチル-3-ブトキシプロパンアミド等のアルキルアミド系溶剤(a1)や環状アミド系溶剤(a2)とは異なるアミド系溶剤やメチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ペンタノール等の炭素数1~5のアルキルアルコール類;3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-n-ブタノール等の1価のアルコール系溶剤やアセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、イソブチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール等のトリオール類:メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。組み合わせる樹脂や分散剤などに応じて、適切なHLB値の溶剤を選択することが好ましい。
その他の有機溶剤の含有量は、特に制限はされないが、その他の有機溶剤の含有量の下限は、10質量%以上の範囲であることが好ましく、20質量%以上の範囲であることがより好ましく、30質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。その他の有機溶剤の含有量の上限は、85質量%以下の範囲であることが好ましく、80質量%以下の範囲であることがより好ましく、75質量%以下の範囲であることがさらに好ましい。
[色材]
本実施の形態に係るの非水性インク組成物は、色材を含有してもよい。本実施の形態に係るの非水性インク組成物は色材を含有することは必須ではないが、色材を含有することで所望の画像を形成可能な非水性インク組成物となる。また、本実施の形態に係るの非水性インク組成物は、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の含有量が樹脂全量中10質量%以下の樹脂を含有していることから、色材を含有することで良好な発色性を有する記録層を形成可能となり、ベタ埋まりも良好となる。なお、本実施の形態に係るの非水性インク組成物は、色材を含有しなくともよい。
色材は、特に限定されるものではなく、染料系であってもよいし、顔料系であってもよいが、記録物の耐水性や耐光性等の耐性が良好であるという観点から顔料(顔料系色材)を使用することが好ましい。本実施の形態に係る非水性インク組成物において、用いることのできる顔料は特に限定されず、従来のインク組成物に使用されている有機顔料又は無機顔料等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態に係る非水性インク組成物において顔料を用いる場合には、後述する分散剤や分散助剤(顔料誘導体)を使用することで、顔料の分散安定性を向上させることができる。
具体的な有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、染料からの誘導体、フタロシアニン系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、ペリレン系有機顔料、ペリノン系有機顔料、アゾメチン系有機顔料、アントラキノン系有機顔料(アントロン系有機顔料)、キサンテン系有機顔料、ジケトピロロピロール系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、ニッケルアゾ系顔料、イソインドリノン系有機顔料、ピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料、キナクリドン系固溶体顔料、ペリレン系固溶体顔料等の有機固溶体顔料、その他の顔料として、レーキ顔料やカーボンブラック等が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、213、214、C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48、49、52、53、57:1、97、112、122、123、146、149、150、168、177、180、184、192、202、206、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、269、291、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、64、71、73、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63、C.I.ピグメントブラウン23、25、26、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本実施の形態に係る非水性インク組成物において、用いることのできる染料の具体例としては、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴイド等のインジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、及びアズレン系染料が挙げられる。
本実施の形態に係る非水性インク組成物において、用いることのできる無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、合成マイカ、アルミナ、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、アルミニウム、チタン、インジウム、合成鉄黒、無機固溶体顔料等を挙げることができる。
本実施の形態に係る非水性インク組成物において、用いることのできる光輝性顔料(鱗片状金属粒子)としては、雲母、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス、二酸化ケイ素、金属酸化物、およびそれらの積層等の真珠光沢や干渉光沢を有するパール顔料やアルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等の単体金属;金属化合物;合金およびそれら混合物の少なくとも1種の金属含有光輝性顔料が挙げられる。光輝性顔料の形状は、鱗片状(板状)であることが好ましい。
本実施の形態に係る非水性インク組成物において、含有することのできる顔料の平均分散粒径は、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されない。用いる顔料の種類によっても異なるが、顔料の分散性及び分散安定性が良好で、充分な着色力を得る点から、体積平均粒子径が5nm以上の範囲内であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましい。体積平均粒子径が上記の下限値以上であることで、非水性インク組成物の耐光性を向上させることができる。体積平均粒子径が300nm以下の範囲内であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが更に好ましい。体積平均粒子径が上記の上限値以下であることで、非水性インク組成物がインクジェット方式にて基材の表面に吐出する非水性インクジェットインク組成物である場合に、インクジェットの吐出安定性を向上させることができる。なお、本実施形態において、顔料の体積平均粒子径は、粒子径分布測定装置(マイクロトラックベル(株)製粒度分析計NANOTRACWAVE)を用いて25℃の条件下で測定した体積平均粒子径(D50)である。
また、本実施の形態に係る複数の非水性インク組成物を含むインクセットにおいて、それぞれの非水性インク組成物に含まれる顔料の体積平均粒子径は同一であってもいいし、異なる関係であってもよい。
本実施の形態に係る非水性インク組成物において、顔料の含有量としては、所望の画像を形成可能であれば特に限定されるものではなく適宜調整されるものである。具体的には、顔料の種類によっても異なるが、非水性インク組成物全量中0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。非水性インク組成物全量中20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。顔料の含有量が0.05質量%以上、又は20質量%以下の範囲内であることにより、顔料の分散安定性と着色力のバランスに優れたものとすることができる。
また、本実施の形態に係る非水性インク組成物は記録(印刷)する色は特に制限はされず、目的に色に応じて色材を選択し、組み合わせて使用してもよい。色は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各色のインクや、ライトマゼンタ、ライトシアン、ライトブラック、オレンジ、グリーン、レッド、ホワイトなどにも使用することができる。この際、同一種類の色の色材を選択してもよい。
[分散剤]
本実施の形態に係る非水性インク組成物において必要に応じて分散剤を用いてもよい。分散剤としては、非水性インク組成物において用いられている任意の分散剤を用いることができる。分散剤としては、高分子分散剤を用いるとよい。こうした分散剤としては、主鎖がポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリカプロラクトン系などからなり、側鎖としてアミノ基、カルボキシル基、スルホン基、ヒドロキシル基などの極性基を有するものである。ポリアクリル系分散剤では、例えば、Disperbyk-2000、2001、2008、2009、2010、2020、2020N、2022、2025、2050、2070、2095、2150、2151、2155、2163、2164、BYKJET-9130、9131,9132,9133,9151(ビック・ケミー社製)、EfkaPX4310、PX4320、PX4330、PA4401、4402、PA4403、4570、7411、7477、PX4700、PX4701(BASF社製)、TREPLUS D-1200、D-1410、D-1420、MD-1000(大塚化学社製)、フローレンDOPA-15BHFS、17HF、22、G-700、900、NC-500、GW-1500(共栄社化学(株)製)、などが用いられる。ポリカプロラクトン系分散剤では、例えば、アジスパーPB821、PB822、PB881(味の素ファインテクノ(株)製)、ヒノアクトKF-1000、T-6000、T-7000、T-8000、T-8000E、T-9050(川研ファインケミカル(株)製)、Solsperse20000、24000、32000、32500、32550、32600、33000、33500、34000、35200、36000、37500、39000、71000、76400、76500、86000、88000、J180、J200(ルーブリゾール社製)、TEGO Dispers652、655、685、688、690(エボニック・ジャパン社製)などが用いられる。好ましい分散剤としては、BYKJET-9130、9131,9132,9133,9151、EfkaPX4310、PX4320、PX4330、PX4700、PX4701、Solsperse20000、24000、32000、33000、33500、34000、35200、39000、71000、76500、86000、88000、J180、J200、TEGO Dispers655、685、688、690などが用いられる。これらの単独、又はそれらの混合物を用いることができる。
[分散助剤]
本実施の形態に係る非水性インク組成物において必要に応じて分散助剤を用いてもよい。分散助剤は色材(顔料)の表面に吸着し、官能基が非水性インク組成物中の有機溶剤や分散剤との親和力を高め、分散安定性を向上させる。分散助剤としては、有機顔料残基に酸性基、塩基性基、中性基などの官能基を有する公知の顔料誘導体を用いることができる。
[界面活性剤]
本実施の形態に係る非水性インク組成物においては、ノズル部やチューブ内等の機器内での非水性インク組成物の揮発抑制、固化防止、又、固化した際の再溶解性を目的として、又、表面張力を低下させ記録媒体(基材)との濡れ性を向上させる目的で、また、インク組成物の基材上でのにじみ抑制を目的として、また、塗膜の耐擦性向上を目的として、界面活性剤を添加してもよい。例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類であるノニオンP-208、P-210、P-213、E-202S、E-205S、E-215、K-204、K-220、S-207、S-215、A-10R、A-13P、NC-203、NC-207(日本油脂(株)製)、エマルゲン106、108、707、709、A-90、A-60(花王(株)製)、フローレンG-70、D-90、TG-740W(共栄社化学(株)製)、ポエムJ-0081HV(理研ビタミン(株)製)、アデカトールNP-620、NP-650、NP-660、NP-675、NP-683、NP-686、アデカコールCS-141E、TS-230E((株)アデカ製)等、ソルゲン30V、40、TW-20、TW-80、ノイゲンCX-100(第一工業製薬(株)製)等、フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-340(ビックケミー・ジャパン社製)等、シリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-313、315N、322、326、331、347、348、BYK-UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)等、アセチレングリコール系界面活性剤としては、具体例として、サーフィノール(登録商標)82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン社製)、オルフィン(登録商標)STG、E1010(いずれも日信化学株式会社製)等が例示される。
界面活性剤としては、上記に限られずアニオン系、カチオン系、両性又は非イオン系のいずれの界面活性剤も用いることができ、添加目的に合わせて適宜選択されればよい。シリコン系界面活性剤がにじみ抑制と耐擦性向上の観点から特に望ましい。
[その他の成分]
本実施の形態に係る非水性インク組成物は、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の光安定剤、エポキシ化物等、多価カルボン酸、表面調整剤、スリップ剤、レベリング剤(アクリル系やシリコン系等)、消泡剤、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤、防臭剤、電荷調整剤、湿潤剤等の公知の添加剤を任意成分として含んでもよい。酸化防止剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられる。具体的には、BHA(2,3-ブチル-4-オキシアニソール)、BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)等が例示される。また、紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物、又はベンゾトリアゾール系化合物を用いることができる。また、エポキシ化物の具体例としては、エポキシグリセリド、エポキシ脂肪酸モノエステル、およびエポキシヘキサヒドロフタレートなどが例示され、具体的にはアデカサイザーO-130P、アデカサイザーO-180A(ADEKA社製)等が例示される。多価カルボン酸の具体例としては、クエン酸、マレイン酸などが例示される。
≪2.インク組成物の製造方法≫
本実施の形態に係るインク組成物の製造方法は、有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ)と、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂が樹脂全量中10質量%以下の範囲である樹脂と必要に応じてその他の成分(例えば色材等)をペイントシェイカーを用いて混合することにより製造することができる。この際、ジルコニアビーズにて各成分を分散させてもよい。また、得られた非水性インク組成物は、必要に応じて脱気処理するなどして所望の溶存酸素量や溶存窒素量に調整してもよい。
この際、有機溶剤を予め乾燥させておくことが好ましい。有機溶剤を予め乾燥させておくことで、非水性インク組成物に含まれる水分量を軽減することができる。有機溶剤を乾燥させる方法としては、例えば窒素等の不活性ガス雰囲気下で乾燥させた不活性ガス(例えば、窒素ガス)を所定時間吹き付ける方法や、有機溶剤を蒸留精製する方法や、水を選択的に透過する半透過膜に有機溶剤を透過させる方法や、水を吸着する水吸着剤に有機溶剤に混入した水を選択的に吸着させる方法等を挙げることができる。
≪3.インク組成物を用いた記録方法≫
本実施の形態に係る記録方法は、上記の非水性インク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する記録方法である。上記の非水性インク組成物は、高いクリーニング回復性と基材上での表面乾燥性とを両立させることができるものであり、本実施の形態に係る記録方法においても記録物の表面乾燥性に優れた記録物を得ることができる。
特に、上記の非水性インク組成物は、表面乾燥性に極めて優れたものであり、高速で基材(記録媒体)を搬送してインクジェット方式で基材の表面に吐出することが可能となり、印刷物の製造速度を向上させることが可能となる。後述する印刷物の製造方法においても同様である。
具体的には、本実施の形態に係る記録方法における記録速度(基材の搬送速度)は、基材の種類にもよるが、10m/h以上であることが好ましく、20m/h以上であることがより好ましく、30m/h以上であることがさらに好ましい。
上記の非水性インク組成物をインクジェット法により吐出するインクジェット記録装置は、従来公知のものを使用することができる。例えば、VersaArt RE-640、ローランドDG(株)製のようなインクジェットプリンターなどを使用することができる。
インクジェット記録装置の構成の一例として、オンキャリッジタイプであってシリアルプリンタータイプのインクジェット記録装置を説明するが、本実施の形態に係る記録方法を実施することのできるインクジェット記録装置は、インクカートリッジが外部に固定されたオフキャリッジタイプのインクジェット記録装置であってもよく、インクジェットヘッドヘッドが移動せずに記録媒体(基材)上にインク組成物を吐出するラインプリンタータイプのインクジェット記録装置であってもよい。
また、インクジェット記録装置は、加温機構と、基材を固定する固定機構と、を備えていることが好ましい。インクジェット記録装置に備えられる加温機構によって基材表面温度を制御して、基材(記録媒体)に着弾した非水性インク組成物を乾燥させることで、非水性インク組成物に含有される有機溶剤を揮発させることが可能となる。
さらに、基材を固定する固定機構によって、基材(記録媒体)を固定した状態で非水性インク組成物を乾燥させることが可能となり、加温により基材がたわむことにより熱のかかり方が不均一になることを抑制できる。これにより、基材(記録媒体)に着弾した非水性インク組成物を効果的に乾燥させることが可能となる。このような乾燥機構や固定機構は、特に高速で基材(記録媒体)を搬送して印刷物の製造速度を向上させるときに特に有効である。
インクジェット記録装置に備えられる加温機構は、プレヒーター、プラテンヒーター、アフターヒーター等であってもよく、記録物に温風を送風する機構であってもよい。また、これらの加温機構を複数組み合わせるものであってもよい。
加温機構により加温される基材の表面温度としては、非水性インク組成物に含まれる有機溶剤を揮発させることができれば特に制限はされず、基材の表面温度の下限は、20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることがさらに好ましい。基材の表面温度の上限は、70℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましく、50℃以下であることがさらに好ましい。
インクジェット法により吐出する方式は、圧電素子を用いたピエゾ方式であっても、発熱体を用いたサーマル方式であってもよく、特に限定されない。
なお、上記の非水性インク組成物は乾燥性が高いことから、このような機構は本実施の形態に係るインクジェット記録装置において必須の構成ではない。例えば、インクジェット記録装置において加温機構を設けずに装置を小型にして、搬送部全体を短くするように構成することにより印刷物の製造速度を向上させてもよい。
また、インクジェット記録装置は、上記の非水性インク組成物を貯蔵する容器(インクカートリッジやボトル等)と上記の非水性インク組成物を吐出するインクジェットヘッドとを接続するプラスティックチューブを備え、上記の非水性インク組成物がこのプラスティックチューブを通じてインクジェットヘッドに供給され、インクジェット法によって吐出されるように構成されていてもよい。
上記の非水性インク組成物に含有される有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ)は、プラスティックチューブを存在してもその揮発量は他の有機溶剤と比較して相対的に少ないことから、非水性インク組成物に含有される有機溶剤の成分量を保持した状態でインクジェット吐出することが可能となる。これにより、インクジェットヘッドのノズル内での詰まりを効果的に解消して、非水性インク組成物のクリーニング回復性を向上させることが可能となる。
プラスティックチューブの材質としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム、ナイロン、ポリウレタン、PTFE等が挙げられる。この中でも、ポリエチレン系樹脂及びエチレンプロピレンジエンゴムであることが好ましい。
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置は、上述したようにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各色のインクや、ライトマゼンタ、ライトシアン、ライトブラック、オレンジ、グリーン、レッド、ホワイトなどにも使用することができ、印刷する色の順序やヘッドの位置や構成は特に制限されない。また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置は、記録媒体(基材)の巻き取り機構や基材表面を乾燥させる乾燥機構、インクの循環機構を備えていても備えていなくともよい。
≪4.記録物の製造方法≫
上記のインク組成物を用いた記録方法は、記録物の製造方法と定義することもできる。上記の非水性インク組成物は、高いクリーニング回復性と基材上での表面乾燥性とを両立させることができるものであり、本実施の形態に係る記録物の製造方法においても記録物の表面乾燥性に優れた記録物を得ることができる。
≪5.記録物≫
上述した実施形態の記録物の製造方法により製造された記録物を構成する各層について説明する。なおこの実施形態における記録物は、上記の非水性インク組成物を記録層が基材の表面に形成された記録物ではあるが、上記の非水性インク組成物は記録層の形成に用いられるものに限定されるものではなく、例えば、記録物(被体)をメタリック調にするための光輝性顔料(鱗片状金属粒子)を含むインクであってもよく、記録物(被体)を保護するオーバーコート層を形成するためのオーバーコートインク組成物であってもよく、記録物(被体)の艶を消す艶消しインク組成物であってもよく、耐候層を形成するための紫外線吸収剤や光安定化剤等を含むインク等であってもよい。
[媒体(記録媒体)]
本実施の形態に係る記録方法に使用することのできる基材(記録媒体)としては、特に限定はされず、樹脂基材、金属板ガラスなどの非吸収性基材であっても、紙や布帛などの吸収性基材であっても、受容層を備える基材のような表面塗工が施された基材であってもよく、種々の基材を使用することができる。
これらの中でも、上記の非水性インク組成物は、水を含有しない非水性インク組成物であるため、表面が主として樹脂からなるものが好ましい。特に、上記の非水性インク組成物は、樹脂基材に対して浸透性を示す有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ)を含んでいるため、表面が樹脂からなる媒体(記録媒体)での印字の滲みが少なくなり印字が鮮明となる。樹脂としては、ポリ塩化ビニル系重合体やアクリル、PET、ポリカーボネート、PE、PP等が挙げられる。また、 記録物の記録表面に対してフィルムを張り合わせことを前提とするような樹脂基材(いわゆるラミネート用の樹脂基材)に用いられてもよい。特に、表面が硬質又は軟質ポリ塩化ビニル系重合体からなる基材(記録媒体)が好ましい。表面がポリ塩化ビニル重合体からなる基材(記録媒体)としては、ポリ塩化ビニル基材(フィルム又はシート)等が例示できる。
[記録層]
記録層とは、上記の非水性インク組成物に含まれる溶媒が揮発することにより形成される層である。上記の非水性インク組成物は保存安定性が高いものであるので、長期間保存された非水性インク組成物であっても所望の画像等を形成することが可能である。
なお、上記の非水性インク組成物に含まれる溶媒が揮発することにより形成される層は、複数の層から形成されていてもよく、例えば、上記の非水性インク組成物のホワイトインクの層上に上記の非水性インク組成物のカラーインク(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の層が形成されていてもよい。
[その他の層]
本実施の形態に係る記録物は、さらに、加飾層の上表面に所望の機能を有する層を備えてもよい。 例えば、記録物に耐擦性や光沢性をさらに付与する目的で、樹脂、ワックスの少なくとも1つを含有するオーバーコート層が形成されていてもよい。また、フィラーを含有させ、又は膜厚をピクセル単位で変化させること等により、表面に凹凸感(マット面)を表現された層が形成されていてもよい。また、記録物に耐候性を付与するために、紫外線吸収剤や光安定化剤等を含む耐候層や光輝性顔料を含む光輝性層等が形成されていてもよい。
なお、本実施の形態に係る記録物においては、上記の非水性インク組成物により形成された記録層を含む記録物を説明したが、例えば、従来公知のインク組成物により形成された記録層(加飾層)上に、上記の非水性インク組成物を吐出して所望の機能を有する層を形成してもよい。また、上記の非水性インク組成物により形成された記録層(加飾層)上に、上記の非水性インク組成物を吐出して所望の機能を有する層を形成してもよい。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
1.樹脂の作製
(1)アクリル系樹脂
100℃に保たれたジエチレングリコールジエチルエーテル300g中に、メタクリル酸メチル150g及びメタクリル酸ブチル50gと所定量のt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)との混合物を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で2時間反応させた後冷却して、無色透明のメタクリル酸メチルの重合体溶液を得た。その後、この重合体溶液から溶媒を十分に留去して、メタクリル酸メチルの重合体を得た。このとき重合開始剤であるt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートの量を変更して、メタクリル酸メチル(アクリル系樹脂)の重合平均分子量を30000~120000になるように制御した(このとき使用した重合開始剤の質量を下記表1に記載した。表1中「開始剤量」と表記した。)。
(2)塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂
撹拌装置を備えたオートクレーブに、窒素置換後、脱イオン水100質量部、メタノール40質量部、塩化ビニル32質量部、酢酸ビニル5質量部、グリシジルメタクリレート0.2質量部、ヒドロキシプロピルアクリレート3.55質量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(懸濁剤)を0.1質量部、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(重合開始剤)を0.026質量部、ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイド(重合開始剤)を所定量仕込み、窒素ガス雰囲気下に撹拌しながら63℃に昇温し、63℃に到達直後に塩化ビニル48部を6時間で、グリシジルメタクリレート0.6質量部、ヒドロキシプロピルアクリレート10.65部を混合したものを5.4時間で連続圧入し、共重合反応させた。オートクレーブ内圧が0.3MPaになった時点で残圧を抜き、冷却して樹脂スラリーを取り出し、ろ過、乾燥して塩化ビニル系共重合樹脂を得た。このとき重合開始剤であるジ-3,5,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイドの量を変更して、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂の重合平均分子量を40000~75000になるように制御した(このとき使用した重合開始剤の質量を下記表1に記載した。表1中「開始剤量」と表記した。)。
(3)セルロース系樹脂
市販品のセルロース系樹脂(EASTMAN CHEMICAL社のCAB551-0.01、CAB553-0.4、CAB-482-0.5)を用いた。
(4)ポリエステル系樹脂
テレフタル酸104質量部、イソフタル酸104質量部、エチレングリコール79質量部、ネオペンチルグリコール89質量部、テトラブチルチタネート0.1質量部を丸底フラスコに仕込み、4時間かけて240℃まで徐々に昇温し、留出物を系外に除きながらエステル化反応を行った。エステル化反応終了後30分かけて10mmHgまで減圧、温度を250℃まで昇温し初期重合を行った。その後1mmHg以下で1時間後期重合を行い、ポリエステル系樹脂を得た。
(5)ポリウレタン系樹脂
ポリカーボネートジオール(プラクセルCD-220:ダイセル製)192.5質量部とイソホロンジイソシアネート(IPDI:エボニック製)41.6質量部、N,N-ジエチルホルムアミド(DEF)100質量部を丸底フラスコに入れ均一に混合後、T100BHJ(触媒)0.01質量部とN,N-ジエチルホルムアミド(DEF)0.09質量部の混合液を入れ75℃で3時間反応させて末端にイソシアネート基をもつプレポリマーを得た。これにN,N-ジエチルホルムアミド(DEF)を250質量部投入し均一に溶解後、3アミノメチル3,5,5トリメチルシクロヘキシルアミン(IPD:エボニック製)12質量部をN,N-ジエチルホルムアミド(DEF)100質量部に溶解した鎖伸長剤溶液を添加し60℃でさらに40分撹拌した。その後モノイソプロパノールアミン(MIPA:ダイセル製)3.8質量部をN,N-ジエチルホルムアミド50質量部に溶解した反応停止剤を添加し、最後にN,N-ジエチルホルムアミド(DEF)を250質量部添加して固形分25.0%のポリウレタン溶液を得た。
表1に各樹脂(アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂)の重量平均分子量(相対分子質量)、並びに25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の割合を示す。なお、重量平均分子量(相対分子質量)はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定した。また、固有粘度が90mL/g以上の樹脂の割合は、島津製作所SEC(GPC)システムに粘度検出器(WYATT社製ViscoStarIII)と屈折率検出器(WYATT社製Optilab T-rEX)を接続し、展開溶媒にテトラヒドロフランを用いて、まず島津製作所SEC(GPC)システムでは試料を40℃に加温したカラムを通過させ、その後25℃に冷却した通過物を粘度検出器により比粘度〔ηSP〕を求め、屈折率検出器により濃度Cを求めLim(〔ηSP〕/C)において、濃度Cを0に外挿することにより固有粘度を求めた。
Figure 2022157934000008
2.非水性インク組成物の製造
それぞれの有機溶剤、樹脂、分散剤、顔料を下記表の割合になるように各成分のように実施例及び比較例の非水性インク組成物を作製した。具体的には、ペイントシェイカーを用いてジルコニアビーズにて各成分を分散させて非水性インク組成物を調製した。単位は質量%である。
3.非水性インク組成物の評価
(保存安定性)
実施例及び比較例の非水性インク組成物について保存安定性を評価した。具体的には、非水性インク組成物を60℃で1ヶ月間保存し、試験前後の粘度及び顔料の体積平均粒子径(D50)の変化を観察し、下記の基準で、保存安定性を評価した。なお、インクの粘度は、落球式粘度計(アントンパール社製AMVn)を用いて、20℃の条件下で測定され、顔料の体積平均粒子径は、粒子径分布測定装置(マイクロトラックベル(株)製粒度分析計NANOTRACWAVE)を用いて25℃の条件下で体積平均粒子径(D50)を測定した。なお、下記の評価は「粘度」及び「顔料の体積平均粒子径」のうち、変化率が大きかった方をその非水性インク組成物の評価とした。
評価基準
評価5:粘度及び顔料の体積平均粒子径の変化率がいずれも3%未満である。
評価4:粘度及び顔料の体積平均粒子径の変化率がいずれかが3%以上5%未満である。
評価3:粘度及び顔料の体積平均粒子径の変化率がいずれかが5%以上8%未満である。
評価2:粘度及び顔料の体積平均粒子径の変化率がいずれかが8%以上10%未満である。
評価1:粘度及び顔料の体積平均粒子径の変化率がいずれかが10%以上である。"
(部材適性)
実施例及び比較例の非水性インク組成物について部材適性(インクジェットヘッドの部材適性)を評価した。具体的には、インクジェットヘッドの部材に使用されるエポキシ接着剤(2液硬化型エポキシ接着剤「1500」、セメダイン(株)製)を60℃1日乾燥させた硬化物、0.2gを、実施例及び比較例のインク組成物に浸漬して、60℃で1週間放置して、浸漬試験を行い、硬化物の重量変化を測定した(表中、「部材適性」と表記)。
評価基準
評価5:重量変化率が3%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価4:重量変化率が3%以上5%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価3:重量変化率が5%以上10%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価2:重量変化率が10%以上15%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価1:重量変化率が15%以上及び/又は、エポキシ接着剤の材質の劣化がある。
(表面乾燥性)
実施例及び比較例の非水性インク組成物について表面乾燥性を評価した。具体的には、実施例及び比較例の非水性インク組成物をインクジェットプリンター(商品名 VersaArt RE-640、ローランドDG(株)製を使用)を用いたインクジェット方式にて記録媒体(糊付きポリ塩化ビニルフィルム(IMAGin JT5829R:MACtac社製))に高品質印刷モード(1440x720dpi)でベタ画像の印刷を行い、40℃で乾燥するまでの時間を計測した(表中、「表面乾燥性」と表記)。
評価基準
評価5:2分未満で乾燥する。
評価4:2分以上4分未満で乾燥する。
評価3:4分以上6分未満で乾燥する。
評価2:6分以上8分未満で乾燥する。
評価1:8分以上で乾燥する。
(クリーニング回復性)
実施例及び比較例の非水性インク組成物について、ヘッドでのノズル詰まりが発生した際に、プリンターのクリーニング動作によりノズル詰まりの解消が行えるかを評価した。具体的には、クリーニングシステムを備えた上記インクジェットプリンター(商品名 VersaArt RE-640、ローランドDG(株)製を使用)を用いて、実施例及び比較例のインク組成物を充填して高品質印刷モード(1440x720dpi)で1.80mのベタ画像を印刷後、室温25℃にて1週間放置し、その後ノズルチェックパターンを印刷し、抜けが無くなるまでクリーニングを行った(表中、「クリーニング回復性」と表記)。
評価基準
評価5:抜けがない
評価4:クリーニング1回でノズル詰まりを解消する。
評価3:クリーニング2~3回でノズル詰まりを解消する。
評価2:クリーニング4~5回でノズル詰まりを解消する。
評価1:クリーニング6回でもノズル詰まりを解消しない。
(ベタ埋まり)
実施例及び比較例の非水性インク組成物についてベタ埋まりを評価した。具体的には、上記インクジェットプリンター(商品名 VersaArt RE-640、ローランドDG(株)製を使用)にて、記録媒体(糊付きポリ塩化ビニルフィルム(IMAGin JT5829R:MACtac社製))に双方向の高速印刷モード(360x720dpi)、基材表面温度40℃にて印刷を実施し、ベタ印字を行った部分の埋まり(白抜け)を確認した(表中、「ベタ埋まり」と表記)。
評価基準
評価5:均一なベタが形成できている
評価4:目視で白抜けは確認できないが、わずかに色ムラが確認できるが意匠性は損なわれていない
評価3:目視で白抜けは確認できないが、色ムラが確認できる
評価2:白抜けが確認できる
評価1:顕著に白抜けが確認でき、濃度感の低下がみられる。"
Figure 2022157934000009
Figure 2022157934000010
Figure 2022157934000011
Figure 2022157934000012
Figure 2022157934000013
Figure 2022157934000014
Figure 2022157934000015
Figure 2022157934000016
表2~9から分かるように、有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ
)を含有し、樹脂は、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂が樹脂全量中10質量%以下の範囲である実施例の非水性インク組成物であれば、保存安定性及びクリーニング回復性も高く、部材適性も良好であり、表面乾燥性に優れた記録物を得ることができることが分かる。
特に、有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤)含有量を変更した実施例9~15の非水性インク組成物において、アルキルアミド系溶剤(a1)の含有量が8質量%以上80質量%以下の範囲である実施例11~14は実施例9、10、15と比較しても特に保存安定性及びクリーニング回復性も高く、部材適性も良好であり、表面乾燥性に優れた記録物を得られた。
また、有機溶剤Aの種類をアルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)それぞれに変更した実施例16~25の非水性インク組成物は、いずれも本発明の効果を奏するものであった。
また、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の含有量を変更した実施例26~47の非水性インク組成物において、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の割合が少ない非水性インク組成物ほど本発明の効果をより効果的に奏するものであった。この中でも25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の割合がインク組成物全量中0.1質量%以上である実施例26~28の非水性インク組成物は実施例25の非水性インク組成物と比べてベタ埋まりが良好となっていた。
また、樹脂の含有量を変更した実施例48~51の実施例において、非水性インク組成物全量中1%質量%以上20質量%以下の範囲である実施例49~51の実施例の非水性インク組成物は、実施例48の非水性インク組成物と比較しても特に部材適性も良好であり、表面乾燥性に優れた記録物を得られた。
また、色材の種類を変更した実施例52~62の非水性インク組成物においてもいずれも本発明の効果を奏するものであった。なお、色材を含有しない実施例63のインク組成物においても同様の効果を奏するものであった。
また、色材の含有量を変更した実施例64~66の非水性インク組成物においてもいずれも本発明の効果を奏するものであった。
一方、有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ)を含有しない比較例1~3の非水性インク組成物では、本発明の効果を奏するものとはなっていない。
また、有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤(a1))を含有しても、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂の含有量が樹脂全量中10質量%を超える比較例4~9の非水性インク組成物では、本発明の効果を奏するものとはなっていない。

Claims (18)

  1. 有機溶剤と、樹脂と、を含有するインクジェット法によって吐出される非水性インク組成物であって、
    前記有機溶剤は、下記有機溶剤Aを含有し、
    前記樹脂は、25℃における固有粘度が90mL/g以上の樹脂が樹脂全量中10質量%以下の範囲である、
    非水性インク組成物。
    有機溶剤A:アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)、及びラクトン系溶剤(a3)からなる群より選択される少なくとも1つ
  2. 前記有機溶剤Aの含有量は、非水性インク組成物全量中1%質量%以上90質量%以下の範囲である、
    請求項1に記載の非水性インク組成物。
  3. 前記樹脂の含有量は、非水性インク組成物全量中1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲である、
    請求項1又は2に記載の非水性インク組成物。
  4. さらに色材を含有し、
    前記色材の含有量は、非水性インク組成物全量中0.1質量%以上10質量%以下の範囲である、
    請求項1から3のいずれかに記載の非水性インク組成物。
  5. 前記有機溶剤Aは、アルキルアミド系溶剤(a1)を含有する、
    請求項1から4のいずれかに記載の非水性インク組成物。
  6. 前記アルキルアミド系溶剤(a1)は、下記一般式(1)で表される
    請求項5に記載の非水性インク組成物。
    Figure 2022157934000017
    ・・・(1)
    (式(1)中、R1は、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R2、R3は、それぞれ独立して炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。
  7. 前記アルキルアミド系溶剤(a1)は、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルプロパンアミド、及びN,N-ジエチルアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1つを含有する
    請求項6に記載の非水性インク組成物。
  8. 前記有機溶剤は、環状アミド系溶剤(a2)を含有する、
    請求項1から4のいずれかに記載の非水性インク組成物。
  9. 前記環状アミド系溶剤(a2)は、下記一般式(2)で表される
    請求項8に記載の非水性インク組成物。
    Figure 2022157934000018
    ・・・(2)
    (式(2)中、R4は、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、R5は、水素若しくは炭素数1以上2以下のアルキル基を表す。)
  10. 前記環状アミド系溶剤(a2)は、ε-カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、及びN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される少なくとも1つを含有する
    請求項9に記載の非水性インク組成物。
  11. 前記有機溶剤は、ラクトン系溶剤(a3)を含有する、
    請求項1から4のいずれかに記載の非水性インク組成物。
  12. 前記ラクトン系溶剤(a3)は、下記一般式(3)で表される
    請求項11に記載の非水性インク組成物。
    Figure 2022157934000019

    (式(3)中、R6は、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、R7は、水素若しくは炭素数1以上2以下のアルキル基を表す。)
  13. 前記ラクトン系溶剤(a3)は、γ―ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、及びε-カプロラクトンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する
    請求項12に記載の非水性インク組成物。
  14. 前記有機溶剤は、さらにグリコールエーテル系溶剤を含有する、
    請求項1から13に記載の非水性インク組成物。
  15. 前記樹脂は、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上を含有する、
    請求項1から14のいずれかに記載の非水性インク組成物。
  16. 請求項1から15のいずれかに記載の非水性インク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する、
    記録方法。
  17. 請求項1から15のいずれかに記載の非水性インク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する、
    記録物の製造方法。
  18. 請求項1から15のいずれかに記載の非水性インク組成物の記録層が基材の表面に形成された
    記録物。

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