JP2022188479A - インク組成物、インクセット、記録物、記録方法、及び記録物の製造方法 - Google Patents

インク組成物、インクセット、記録物、記録方法、及び記録物の製造方法 Download PDF

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圭士郎 吉森
Keishiro Yoshimori
由佳 折笠
Yuka Origasa
貴生 松本
Takao Matsumoto
公淳 宇高
Koujun Uko
充功 田村
Mitsuisa Tamura
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Abstract

【課題】インクジェット記録装置に備えられるプラスチック部材と接触し、インクジェット記録装置によりインクジェット吐出されるインク組成物であっても、吐出安定性の高いインク組成物を提供する。【解決手段】インクジェット記録装置に備えられるプラスチック部材と接触し、インクジェット記録装置によりインクジェット吐出されるインク組成物であって、有機溶剤を含有し、前記有機溶剤は、下記有機溶剤Aを含有するインク組成物である。有機溶剤A:アルキルアミド系溶剤と環状アミド系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1つ【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物、インクセット、記録物、記録方法、及び記録物の製造方法に関する。
インク組成物として、水、又は水と有機溶剤との混合液に色材を溶解又は分散させた水性インク組成物や水を意図的に含有しない有機溶剤に色材を溶解又は分散させた非水性インク組成物が広く用いられている。なお、水を意図的に含有しないとは、大気中の水分や、添加物等に由来するような不可逆的に含まれる水は含まれてもよいことを意味する。
例えば、特許文献1には、色材と、環状エステルと、グリコールエーテル系溶剤と、を含有するインクジェット記録用インク組成物が記載されている。特許文献1には、このインクジェット記録用インク組成物は、記録される画像の耐擦性に優れ、かつ、記録される画像の乾燥性と画質を向上させることができることが記載されている。
特開2014-237803号公報
さて、インクジェット記録用インク組成物は、インクジェット記録装置内のプラスチック収容体やプラスチック供給体内で長期間充填されたままになることがある。すると、インク組成物に含まれる成分等によって固形物が発生することが本発明者らの研究により明らかとなった。
このようなインク組成物は、プラスチック収容体やプラスチック供給体内で粘度が増加することや、プラスチック供給体内で固形分が析出することとなって、装置内の流路で詰まりが発生し、インク組成物の吐出安定性が低下することがある。
本発明は、インクジェット記録装置に備えられるプラスチック部材と接触し、インクジェット記録装置によりインクジェット吐出されるインク組成物であっても、吐出安定性の高いインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、所定の有機溶剤を含有するインク組成物であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)インクジェット記録装置に備えられるプラスチック部材と接触し、該インクジェット記録装置によりインクジェット吐出されるインク組成物であって、有機溶剤を含有し、
前記有機溶剤は、下記有機溶剤Aを含有するインク組成物。
有機溶剤A:アルキルアミド系溶剤(a1)と環状アミド系溶剤(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1つ
(2)前記プラスチック部材はインク組成物を収容するプラスチック収容容器を含み、
インクジェット記録装置によりインクジェット吐出される(1)に記載のインク組成物。
(3)前記プラスチック部材はインク組成物が流通するプラスチック供給路を含み、
インクジェット記録装置によりインクジェット吐出される(1)又は(2)に記載のインク組成物。
(4)前記有機溶剤Aはアルキルアミド系溶剤(a1)を含有する(1)から(3)のいずれかに記載のインク組成物。
(5)前記アルキルアミド系溶剤(a1)は、下記式(1)で表される(4)に記載のインク組成物。
Figure 2022188479000001
(式(1)中、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、Rは、それぞれ独立して、水素もしくは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)
(6)前記アルキルアミド系溶剤(a1)は、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルプロパンアミド及びN,N-ジエチルアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1つを含有する、(5)に記載のインク組成物。
(7)前記有機溶剤Aは環状アミド系溶剤(a2)を含有する(1)から(3)のいずれかに記載のインク組成物。
(8)前記環状アミド系溶剤(a2)は、下記式(2)で表される(7)に記載のインク組成物。
Figure 2022188479000002
(式(2)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基、または不飽和炭化水素基を表す。)
(9)前記環状アミド系溶剤(a2)は、ε-カプロラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタム、及びN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される少なくとも1つを含有する、(8)に記載のインク組成物。
(10)前記有機溶剤Aの含有量はインク組成物全量中1質量%以上90質量%以下の範囲である(1)から(9)のいずれかに記載のインク組成物。
(11)前記有機溶剤はさらに引火点が80℃以下の有機溶剤をインク組成物全量中50質量%以上95質量%以下の範囲で含有する(1)から(10)のいずれかに記載のインク組成物。
(12)インク組成物に含まれるナトリウム、カリウム、及びカルシウムのうち最も含有量の多い金属の含有量がインク組成物全量中50ppm以下である(1)から(11)のいずれかに記載のインク組成物。
(13)イオン性塩素の含有量が500ppm以下である(1)から(12)のいずれかに記載のインク組成物。
(14)(1)から(13)のいずれかに記載のインク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する、記録方法。
(15)(1)から(13)のいずれかに記載のインク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する、記録物の製造方法。
(16)(1)から(13)のいずれかに記載のインク組成物の記録層が基材の表面に形成された記録物。
本発明のインク組成物は、吐出安定性に優れる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。また、本明細書において、「~」との表記は、「以上」「以下」を意味する。
≪1.インク組成物≫
本実施の形態に係るインク組成物は、インクジェット記録装置に備えられるプラスチック部材と接触し、インクジェット記録装置によりインクジェット吐出されるインク組成物である。そして、有機溶剤を含有するインク組成物であって、有機溶剤は、下記有機溶剤Aを含有する。
有機溶剤A:アルキルアミド系溶剤(a1)、及び環状アミド系溶剤(a2)からなる群より選択される少なくとも1つ
このようなインク組成物であれば、インクジェット記録装置に備えられるプラスチック部材と接触し、インクジェット記録装置によりインクジェット吐出されるインク組成物であっても、インク組成物の粘度の増加や固形分が析出することを効果的に抑制できるので、吐出安定性を向上させることができる。
なお、本発明のインク組成物は、色材(有色の色材やブラックホワイトの色材を含む。)を含有する着色インク組成物であってもよく、記録物(被体)をメタリック調にするための光輝性顔料(鱗片状金属粒子)を含むインク組成物であってもよく、色材を含有しないクリアインク組成物であってもよい。色材を含有しないクリアインクである場合には、所望の機能を有する層を形成するためのインクが挙げられる。このようなインクとしては、例えば、記録物(被体)を保護するオーバーコート層を形成するためのオーバーコートインク組成物や記録物(被体)の艶を消す艶消しインク組成物や耐候層を形成するための紫外線吸収剤や光安定化剤等を含むインク等が挙げられる。
なお、本発明のインク組成物は、水、又は水と有機溶剤との混合液に色材を溶解又は分散させた水性インク組成物や水を意図的に含有しない有機溶剤に色材を溶解又は分散させた非水性インク組成物であってもよいが、非水性インク組成物であることが好ましい。インクジェット記録装置に備えられるプラスチック部材と非水性インク組成物が接触すると、インク組成物の吐出安定性が低下するという問題がより顕著に発生する。有機溶剤Aを含有する非水性インク組成物であれば、このような吐出安定性が低下するという問題がより顕著に発生する非水性インク組成物であっても、非水性インク組成物の粘度の増加や固形分が析出することを効果的に抑制することが可能となり、吐出安定性を向上させることができる。
以下、本実施の形態に係るインク組成物に含まれる各成分について説明する。
[有機溶剤]
有機溶剤は、本実施の形態に係るインク組成物に含有される各成分を分散又は溶解することができるものである。有機溶剤は、有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤(a1)、及び環状アミド系溶剤(a2)からなる群より選択される少なくとも1つ)を含有する。
(1)アルキルアミド系溶剤(a1)
アルキルアミド系溶剤(a1)とは、アルキル基(C2n+1-)と-C(=O)-N-基(アミド結合)を有する化合物であって、水素若しくはアルキル基と-C(=O)-N-基から構成された化合物からなる有機溶剤である。
アルキルアミド系溶剤(a1)は、プラスチックチューブ内での密閉された空間内での揮発率が低いにも関わらず、開放された空間内での揮発率が高い。このため、有機溶剤Aとしてアルキルアミド系溶剤(a1)を使用することで、固形分の発生を効果的に抑制しつつ、記録乾燥性の高い記録物が得られ、かつ印字の滲みが少なくなる。また、アルキルアミド系溶剤(a1)を含有するインク組成物は、インクジェット記録装置への部材適性も良好となる。なお、後述する環状アミド系溶剤についても同様である。
アルキルアミド系溶剤(a1)は、例えばアルコキシ基を含まないような、水素若しくはアルキル基と-C(=O)-N-基のみから構成された有機溶剤であることが好ましく、例えば、以下の構造を有するものを好ましく用いることができる。
Figure 2022188479000003
(式(1)中、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R、Rは、それぞれ独立して水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。
なお、式(1)中のR及びRは、炭素数1以上4以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数2以上4以下のアルキル基であることがより好ましい。
アルキルアミド系溶剤(a1)としては、具体的には、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N,N-ジエチルプロパンアミド、N,N-ジプロピルプロパンアミド、N-エチルホルムアミド、N-エチルアセトアミド等が挙げられる。この中でも、本発明の効果を特に奏するという観点から、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルプロパンアミド及びN,N-ジエチルアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1つを含有することが好ましい。
アルキルアミド系溶剤(a1)の含有量は、特に限定されないが、アルキルアミド系溶剤(a1)の含有量の下限は、インク組成物全量中1質量%以上の範囲であることが好ましく、5質量%以上の範囲であることがより好ましく、8質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。
アルキルアミド系溶剤(a1)の含有量の上限は、インク組成物全量中90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、75質量%以下であることがさらに好ましい。
(2)環状アミド系溶剤(a2)
環状アミド系溶剤(a2)とは、環状構造を有し、その環状構造に-C(=O)-N-基を有する溶剤である。環状アミド系溶剤(a2)は、例えば以下の構造を有するものを好ましく用いることができる。
Figure 2022188479000004
(式(2)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基または不飽和炭化水素基を表す。)
不飽和炭化水素基とは、ビニル基などの少なくとも1つ以上の多重結合を含む炭化水素基を意味する。
なお、Rは、水素若しくは炭素数1以上3以下のアルキル基または不飽和炭化水素基であることが好ましく、水素若しくは炭素数1以上2以下のアルキル基または不飽和炭化水素基であることが好ましい。
環状アミド系溶剤(a2)としては、具体的には、N-メチルカプロラクタム、N-アセチルカプロラクタム、ε-カプロラクタム、N-ビニルカプロラクタム、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-プロピル-2-ピロリドン、N-エチル-ε-カプロラクタム、N-プロピル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタム等が挙げられる。この中でも、ε-カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、及びN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される少なくとも1つを含有することが好ましい。
環状アミド系溶剤(a2)の含有量は、特に限定されないが、環状アミド系溶剤(a2)の含有量の下限は、インク組成物全量中1質量%以上の範囲であることが好ましく、3質量%以上の範囲であることがより好ましく、10質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。
環状アミド系溶剤(a2)の含有量の上限は、インク組成物全量中90質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
有機溶剤Aの中でも、「アルキルアミド系溶剤(a1)を含むもの」がより好ましい。アルキルアミド系溶剤(a1)は乾燥しやすいので、「アルキルアミド系溶剤(a1)を含むもの」であれば、基材(記録媒体)上に着弾したインク組成物の乾燥性を高くすることができ、得られる記録物における印字の滲みを効果的に抑制することができるものとなる。
有機溶剤Aは、アルキルアミド系溶剤(a1)、環状アミド系溶剤(a2)のうち少なくとも1種類を含むことにより十分本発明の効果を発揮するものであるが、有機溶剤Aの溶剤の中から2種類以上を混合してもよい。2種類以上混合することによって、吐出安定性と得られる記録物の表面乾燥性とのバランスを任意のものとすることができる。有機溶剤Aの溶剤を2種類以上混合する場合は、有機溶剤Aの合計含有量の下限は、インク組成物全量中1質量%以上の範囲であることが好ましく、5質量%以上の範囲であることがより好ましく、10質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。有機溶剤Aの合計含有量の上限は、インク組成物全量中90質量%以下であることが好ましい。
[その他の有機溶剤]
有機溶媒には、上記の有機溶剤A以外のその他の有機溶剤を含有していてもよい。具体的には、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-イソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-イソブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーエル(又はエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル)、等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル-2-エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールメチルプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルブチルエーテル、プロピレングリコールメチル-2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルメチルエーテル等の多価アルコールのジアルキルエーテル類、γーブチロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ヘキサラクトン、γ-ヘプタラクトン、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、δ-ヘプタラクトン、δ-オクタラクトン、δ-ノナラクトン、δ-デカラクトン、δ-ウンデカラクトン等のラクトン類、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類、3-メチル-2-オキサゾリジノン、3-エチル-2-オキサゾリジノン、N-ビニルメチルオキサゾリジノン等のオキサゾリジノン系溶剤、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテ-ト、2-メチルブチルアセテート、3-メトキシブチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート等のアセテート系溶剤、3-メトキシプロパンアミド、3-ブトキシプロパンアミド、N,N-ジメチル-3-メトキシプロパンアミド、N,N-ジブチル-3-メトキシプロパンアミド、N,N-ジブチル-3-ブトキシプロパンアミド、N,N-ジメチル-3-ブトキシプロパンアミド等のアミド系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ペンタノール等の炭素数1~5のアルキルアルコール類、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-n-ブタノール等の1価のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、エチル-n-プロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル-n-ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジ-n-プロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン、アセチルケトン等のケトン又はケトアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、イソブチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール等のトリオール類;メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル等の酢酸エステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、乳酸エチルヘキシル、乳酸アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル類、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチルなどの二塩基酸エステル類、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ノナン、イソノナン、ドデカン、イソドデカン等の飽和炭水素類、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等の不飽和炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等の環状飽和炭化水素類、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,1,3,5,7-シクロオクタテトラエン、シクロドデセン等の環状不飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-ホルミルモルホリンなどのモルホリン類、テルペン系溶剤など、一般的な有機溶剤であって、有機溶剤Aに該当しないものを挙げることができる。組み合わせる樹脂や分散剤などに応じて、適切なHLB値の溶剤を選択することが好ましい。
この中でもジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテルジアルキルは、特にプラスチック部材に対して溶解性が高い。このため、グリコールエーテルジアルキルを含有するインク組成物であると、グリコールエーテルジアルキルを含有しないインク組成物と比べるとインクジェット記録装置に備えられるプラスチック部材と接触することでプラスチック部材が溶出させる可能性が高くなり、それによりインク組成物の粘度の増加やインク組成物内での固形分が析出する課題がより顕著に発生することとなる。有機溶剤Aを含有するインク組成物であれば、グリコールエーテルジアルキルを含有することにより顕著となる本発明の課題を効果的に解決することが可能となる。
また、有機溶剤(有機溶剤Aであってもその他の有機溶剤であってもよい。)は、引火点が80℃以下の有機溶剤を含有してもよい。これにより、より記録乾燥性の高い記録物が得られ、かつ印字の滲みが少なくなる。さらに、低引火点の有機溶剤を含有すると、一般的には、インクジェット記録装置内のプラスチック収容体やプラスチック供給体内でインク組成物中の低引火点の有機溶剤が揮発することで、有機溶剤の含有量が減少する場合がある。すると、インク組成物の粘度の増加やインク組成物内での固形分が析出する課題がより顕著に発生することとなる。有機溶剤Aを含有するインク組成物であれば、低引火点の有機溶剤を含有することにより顕著となる本発明の課題を効果的に解決することが可能となる。
引火点が80℃以下の有機溶剤の含有量はインク組成物全量中50質量%以上であることが好ましく、53質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましい。これにより、より記録乾燥性の高い記録物が得られ、かつ印字の滲みが少なくなる。
引火点が80℃以下の有機溶剤の含有量はインク組成物全量中95質量%以下であることが好ましく、92質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、インクジェット記録装置内でインク組成物中の低引火点の有機溶剤が揮発することが抑制されるので、吐出安定性をさらに向上させることが可能となる。
[樹脂]
本実施の形態に係るインク組成物は樹脂を含有しなくともよいが、樹脂を含有していてもよい。樹脂を含有することにより、インク組成物により形成される記録層の定着性、耐水性並びに延伸性を向上させることができる。
インク組成物に樹脂を含有させると、インク組成物に含まれる固形分の含有量が増加するため、インク組成物に含まれる固形分の一部が析出しやすくなる。すると、インク組成物の粘度の増加やインク組成物内での固形分が析出するという本発明の課題がより顕著に発生することとなる。有機溶剤Aを含有するインク組成物であれば、樹脂を含有することにより顕著となる本発明の課題を効果的に解決することが可能となる。
樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステ系ル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニルトルエン-α-メチルスチレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル系共重合体、セルロース系樹脂、シリコーン(シリコン)樹脂、アクリルアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂や混合物を用いることができる。この中でも、アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂を含むものが好ましい。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成するモノマーの主成分として含むものであれば特に限定されるものではない。アクリル樹脂は、1種のラジカル重合性モノマーの単独重合体であってもよいし、ラジカル重合性モノマーを2種以上選択して用いた共重合体のいずれであってもよく、特に、本実施の形態に係る油性インク組成物として好ましいアクリル樹脂は、メタクリル酸メチル単独の重合体、或いは、メタクリル酸メチルと、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エトキシエチル、及びメタクリル酸ベンジルよりなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の化合物との共重合体である。又、市販の(メタ)アクリル樹脂としては、例えばロームアンドハース社の「パラロイドB99N」「パラロイドB60」「パラロイドB66」「パラロイドB82」等が例示される。
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーからなる単独重合体であっても重合性モノマーを2種以上選択して用いた共重合体のいずれであってもよい。塩化ビニル系樹脂の共重合体としては、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂が挙げられる。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂は、塩化ビニル単量体及び酢酸ビニル単量体の重合物である。塩化ビニル酢酸ビニル系共重合樹脂としては、例えば、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体など、及びそれらの混合物が挙げられる。上記の塩化ビニル酢酸ビニル系共重合樹脂としては、日信化学工業(株)社から「ソルバインC」、「ソルバインCL」、「ソルバインCNL」、「ソルバインCLL」、「ソルバインCLL2」、「ソルバインC5R」、「ソルバインTA2」、「ソルバインTA3」、「ソルバインA」、「ソルバインAL」、「ソルバインTA5R」、「ソルバインM5」等の商品名で入手して本発明で使用することができる。
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂は塩化ビニル単量体及び酢酸ビニル単量体の重合することにより得ることができる。重合する方法は、従来公知の重合方法であればよい。重合する方法は、乳化重合または懸濁重合であることが好ましく、懸濁重合であることがより好ましい。
セルロース系樹脂とは、セルロースを原料として生物的または化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する樹脂である。例えば、セルロース系樹脂としては、例えばセルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートプロピオネートブチレート樹脂などのセルロースアセテートアルキレート樹脂、セルロースアセテート樹脂、ニトロセルロース樹脂及びそれらの混合物が挙げられる。上記セルロース樹脂としてはEASTMAN社の「CAB551-0.01」「CAB551-0.2」「CAB553-0.4」「CAB531-1」「CAB381-0.1」「CAB381-0.5」「CAB381-2」「CAB381-20」「CAP504「CAP482-0.5」の商品名で入手して使用することができる。
ポリエステル系樹脂とは、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる構成単位を少なくとも含むものである。ポリエステル系樹脂は、変性されたポリエステル系樹脂を含んでもよい。上記のポリエステル系樹脂としては、東洋紡社の「VYLON226」、「VYLON270」、「VYLON560」、「VYLON600」、「VYLON630」、「VYLON660」、「VYLON885」、「VYLONGK250」、「VYLONGK810」、「VYLON GK890」等やユニチカ社の「elitleUE-3200」「elitleUE-3285」、「elitleUE-3320」、「elitleUE-9800」、「elitleUE-9885」等の商品名で入手して使用することができる。
ポリウレタン系樹脂とは、アルコール成分とイソシアネート成分を共重合させて得られる構成単位を少なくとも含むものである。ポリウレタン系樹脂は、ポリエステルやポリエーテルやカプロラクトンにより変性されたポリウレタン系樹脂を含んでもよい。上記のポリウレタン系樹脂としては、荒川化学工業社の「ユリアーノKL-424」、「ユリアーノKL-564」、「ユリアーノKL-593」、「ユリアーノ3262」等やDIC社の「パンデックス372E」、「パンデックス390E」、「パンデックス394E」、「パンデックス304」、「パンデックス305E」、「パンデックスP-870」、「パンデックスP-910」、「パンデックスP-895」、「パンデックス4030」、「パンデックス4110」等の商品名で入手して使用することができる。
また、これらのアクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリウレタン系樹脂は、単独で使用してもよいが、2種を混合して使用することが好ましく、アクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂と、を混合した樹脂を使用することがより好ましい。アクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂との含有比率により、インク組成物に要求される発色、乾燥性、塗膜物性、印字適性などの要求を満たすように制御することができる。アクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂と、を混合する場合、混合比は特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。
樹脂の重量平均分子量(相対分子質量)は、特に限定されるものではないが、5000以上であることが好ましく、15000以上であることがより好ましい。重量平均分子量(相対分子質量)は、100000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましい。樹脂の相対分子量は、通常のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
インク組成物に含有される樹脂は、インク組成物に含有される他の成分にもよるが、インク組成物全量中0.05質量%以上の範囲で含有することが好ましく、0.1質量%以上の範囲で含有することがより好ましく、0.5質量%以上の範囲で含有することがさらに好ましい。インク組成物に含有される樹脂は、インク組成物全量中20.0質量%以下の範囲で含有することが好ましく、15.0質量%以下の範囲で含有することがより好ましく、10.0質量%以下の範囲で含有することがさらに好ましい。
[色材]
本実施の形態に係るインク組成物は、色材を含有してもよい。色材は、特に限定されるものではなく、染料系であってもよいし、顔料系であってもよいが、記録物の耐水性や耐光性等の耐性が良好であるという観点から顔料(顔料系色材)を使用することが好ましい。実施の形態に係るインク組成物において、用いることのできる顔料は特に限定されず、従来のインク組成物に使用されている有機顔料又は無機顔料等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本実施の形態に係るインク組成物は、色材を含有しなくともよい。
本実施の形態に係るインク組成物において顔料を用いる場合には、後述する分散剤や分散助剤(顔料誘導体)を使用することで、顔料の分散安定性を向上させることができる。
具体的な有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、染料からの誘導体、フタロシアニン系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、ペリレン系有機顔料、ペリノン系有機顔料、アゾメチン系有機顔料、アントラキノン系有機顔料(アントロン系有機顔料)、キサンテン系有機顔料、ジケトピロロピロール系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、ニッケルアゾ系顔料、イソインドリノン系有機顔料、ピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料、キナクリドン系固溶体顔料、ペリレン系固溶体顔料等の有機固溶体顔料、その他の顔料として、レーキ顔料やカーボンブラック等が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、213、214、C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48、49、52、53、57:1、97、112、122、123、146、149、150、168、177、180、184、192、202、206、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、269、291、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、64、71、73、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63、C.I.ピグメントブラウン23、25、26、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本実施の形態に係るインク組成物において、用いることのできる染料の具体例としては、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴイド等のインジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、及びアズレン系染料が挙げられる。
本実施の形態に係るインク組成物において、用いることのできる無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、合成マイカ、アルミナ、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、アルミニウム、チタン、インジウム、合成鉄黒、無機固溶体顔料等を挙げることができる。
本実施の形態に係るインク組成物において、含有することのできる顔料の平均分散粒径は、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されない。用いる顔料の種類によっても異なるが、顔料の分散性及び分散安定性が良好で、充分な着色力を得る点から、体積平均粒子径が5nm以上の範囲内であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましい。体積平均粒子径が上記の下限値以上であることで、インク組成物の耐光性を向上させることができる。体積平均粒子径が300nm以下の範囲内であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが更に好ましい。本実施の形態に係るインク組成物は、有機溶剤Aを含有することで固形分の析出を効果的に抑制できるものであり、さらに顔料の体積平均粒子径が上記の上限値以下であることで、インクジェットの吐出安定性を極めて高いものにすることができる。
なお、本実施形態において、顔料の体積平均粒子径は、粒子径分布測定装置(マイクロトラックベル(株)製粒度分析計NANOTRACWAVE)を用いて25℃の条件下で測定した体積平均粒子径(D50)である。
また、本実施の形態に係る複数のインク組成物を含むインクセットにおいて、それぞれのインク組成物に含まれる顔料の体積平均粒子径は同一であってもいいし、異なる関係であってもよい。例えば、本実施の形態に係るインク組成物のシアンインクとマゼンタインクを含むインクセットである場合、シアンインクに含まれる顔料の体積平均粒子径と、マゼンタインクに含まれる顔料の体積平均粒子径と、が同一であってもよく、異なるものであってもよい。
本実施の形態に係るインク組成物において、顔料の含有量としては、所望の画像を形成可能であれば特に限定されるものではなく適宜調整されるものである。具体的には、顔料の種類によっても異なるが、インク組成物全量中0.05質量%以上の範囲であることが好ましく、0.1質量%以上の範囲であることがより好ましい。インク組成物全量中20質量%以下の範囲であることが好ましく、10質量%以下の範囲であることがより好ましい。顔料の含有量が0.05質量%以上の範囲、又は20質量%以下の範囲内であることにより、顔料の分散安定性と着色力のバランスに優れたものとすることができる。特に、本実施の形態に係るインク組成物は、有機溶剤Aを含有することで固形物の発生を効果的に抑制できるものであり、さらに顔料の含有量を上記の範囲とすることで、色材の析出を極めて効果的に抑制することができて、インクジェットの吐出安定性を極めて高いものにすることができる。
また、本実施の形態に係るインク組成物は記録(印刷)する色は特に制限はされず、目的に色に応じて色材を選択し、組み合わせて使用してもよい。色は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各色のインクや、ライトマゼンタ、ライトシアン、ライトブラック、オレンジ、グリーン、レッド、ホワイトなどにも使用することができる。この際、本実施の形態に係るインク組成物を含むインクセットにおいて、同一種類の色の色材を選択してもよい。
[分散剤]
本実施の形態に係るインク組成物において必要に応じて分散剤を用いてもよい。分散剤としては、インク組成物において用いられている任意の分散剤を用いることができる。分散剤としては、高分子分散剤を用いるとよい。こうした分散剤としては、主鎖がポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリカプロラクトン系などからなり、側鎖としてアミノ基、カルボキシル基、スルホン基、ヒドロキシル基などの極性基を有するものである。ポリアクリル系分散剤では、例えば、Disperbyk-2000、2001、2008、2009、2010、2020、2020N、2022、2025、2050、2070、2095、2150、2151、2155、2163、2164、BYKJET-9130、9131,9132,9133,9151(ビック・ケミー社製)、EfkaPX4310、PX4320、PX4330、PA4401、4402、PA4403、4570、7411、7477、PX4700、PX4701(BASF社製)、TREPLUS D-1200、D-1410、D-1420、MD-1000(大塚化学社製)、フローレンDOPA-15BHFS、17HF、22、G-700、900、NC-500、GW-1500(共栄社化学(株)製)、などが用いられる。ポリカプロラクトン系分散剤では、例えば、アジスパーPB821、PB822、PB881(味の素ファインテクノ(株)製)、ヒノアクトKF-1000、T-6000、T-7000、T-8000、T-8000E、T-9050(川研ファインケミカル(株)製)、Solsperse20000、24000、32000、32500、32550、32600、33000、33500、34000、35200、36000、37500、39000、71000、76400、76500、86000、88000、J180、J200(ルーブリゾール社製)、TEGO Dispers652、655、685、688、690(エボニック・ジャパン社製)などが用いられる。好ましい分散剤としては、BYKJET-9130、9131,9132,9133,9151、EfkaPX4310、PX4320、PX4330、PX4700、PX4701、Solsperse20000、24000、32000、33000、33500、34000、35200、39000、71000、76500、86000、88000、J180、J200、TEGO Dispers655、685、688、690などが用いられる。これらの単独、又はそれらの混合物を用いることができる。
上記の分散剤の中でもポリカプロラクトン系分散剤を使用することが好ましい。有機溶剤Aを含むインク組成物中での顔料の分散性を効果的に向上させることが可能となって、インク組成物に固形物が発生することを効果的に抑制することができる。
分散剤の含有量は、特に制限されないが、分散剤の含有量の下限は、インク組成物全量中0.1質量%以上の範囲であることが好ましく、0.5質量%以上の範囲であることがより好ましく、0.8質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。分散剤の含有量は、特に制限されないが、分散剤の含有量の下限は、インク組成物全量中5.0質量%以上の範囲であることが好ましく、4.0質量%以上の範囲であることがより好ましく、3.0質量%以上の範囲であることがさらに好ましい。これにより、インク組成物中での顔料の分散性を効果的に分散させることが可能となって、インク組成物に固形物が発生することを効果的に抑制することができる。
[分散助剤]
本実施の形態に係るインク組成物において必要に応じて分散助剤を用いてもよい。分散助剤は色材(顔料)の表面に吸着し、官能基がインク組成物中の有機溶剤や分散剤との親和力を高め、分散安定性を向上させる。分散助剤としては、有機顔料残基に酸性基、塩基性基、中性基などの官能基を有する公知の顔料誘導体を用いることができる。
[界面活性剤]
本実施の形態に係るインク組成物においては、ノズル部やチューブ内等の機器内でのインク組成物の揮発抑制、固化防止、又、固化した際の再溶解性を目的として、又、表面張力を低下させ記録媒体(基材)との濡れ性を向上させる目的で、界面活性剤を添加してもよい。例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類であるノニオンP-208、P-210、P-213、E-202S、E-205S、E-215、K-204、K-220、S-207、S-215、A-10R、A-13P、NC-203、NC-207(日本油脂(株)製)、エマルゲン106、108、707、709、A-90、A-60(花王(株)製)、フローレンG-70、D-90、TG-740W(共栄社化学(株)製)、ポエムJ-0081HV(理研ビタミン(株)製)、アデカトールNP-620、NP-650、NP-660、NP-675、NP-683、NP-686、アデカコールCS-141E、TS-230E((株)アデカ製)等、ソルゲン30V、40、TW-20、TW-80、ノイゲンCX-100(第一工業製薬(株)製)等、フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-340(ビックケミー・ジャパン社製)等、シリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-313、315N、322、326、331、347、348、BYK-UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)等、アセチレングリコール系界面活性剤としては、具体例として、サーフィノール(登録商標)82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン社製)、オルフィン(登録商標)STG、E1010(いずれも日信化学株式会社製)等が例示される。
界面活性剤としては、上記に限られずアニオン系、カチオン系、両性又は非イオン系のいずれの界面活性剤も用いることができ、添加目的に合わせて適宜選択されればよい。
[その他の成分]
本実施の形態に係るインク組成物は、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、エポキシ化物等、多価カルボン酸、表面調整剤、スリップ剤、レベリング剤(アクリル系やシリコン系等)、消泡剤、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤、防臭剤、電荷調整剤、湿潤剤等の公知の添加剤を任意成分として含んでもよい。酸化防止剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられる。具体的には、BHA(2,3-ブチル-4-オキシアニソール)、BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)等が例示される。また、紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物、又はベンゾトリアゾール系化合物を用いることができる。また、エポキシ化物の具体例としては、エポキシグリセリド、エポキシ脂肪酸モノエステル、およびエポキシヘキサヒドロフタレートなどが例示され、具体的にはアデカサイザーO-130P、アデカサイザーO-180A(ADEKA社製)等が例示される。多価カルボン酸の具体例としては、クエン酸、マレイン酸などが例示される。
また、インク組成物は、その含有成分に由来する金属(金属イオン)が含まれることがある。すると、プラスチック収容体やプラスチック供給体内で金属を含有する固形分が析出しやすくなり、インク組成物の吐出安定性が低下することがある。特にプラスチックチューブなどのプラスチック供給体内でこのような固形分が析出しやすく、プラスチック供給体を通過した水分によりインク組成物の水分量が高くなると、金属を含有する固形物がさらに析出しやすくなる。このため、インク組成物中の金属の含有量は少ないことが好ましい。なお、含有成分に由来する金属(金属イオン)とは、特に限定されないが、例えば含有成分の原料や製造工程中で混入する不純物として含有される金属分に由来する金属イオンや金属塩等の電解成分としてインク組成物に含まれる金属である。
インク組成物に含まれる金属としては、特に限定されず、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を挙げることができる。
具体的に、インク組成物に含まれるナトリウム、カリウム、及びカルシウムのうち最も含有量の多い金属の含有量がインク組成物全量中50ppm以下であることが好ましく、45ppm以下であることが好ましく、40ppm以下であることがさらに好ましい。金属の含有量の下限は、インク組成物全量中0.1ppm以上であることが好ましい。なお、本明細書において、「金属の含有量」とは、金属原子及び金属イオンの両方を含めた合計量のことをいう。
インク組成物に含まれる金属の含有量は、ICP発光分析装置(ICP-AES)を用いて測定することができる。ICP発光分析装置としては、例えば株式会社島津製作所製の型式「ICPS-8000」等を使用することができ、必要に応じ、測定前に有機溶媒の除去や有機化合物の分解などの前処理を行う。
また、インク組成物は、その含有成分に由来するイオン性塩素が含まれることがある。すると、インク組成物に含まれる金属(金属イオン)と結び付くことにより、結晶析出化することがある。すると、プラスチック収容体やプラスチック供給体内で固形分が析出しやすくなり、インク組成物の吐出安定性が低下することがある。このため、イオン性塩素の含有量は少ないことが好ましい。なお、含有成分に由来するイオン性塩素とは、含有成分の原料や製造工程中で混入する不純物として含有されるイオン性塩素に由来するものである。イオン性塩素とは、塩素イオンや塩化物塩等の電解成分としてインク組成物に含まれる塩素である。
具体的に、インク組成物に含まれるイオン性塩素の含有量がインク組成物全量中500ppm以下であることが好ましく、450ppm以下であることが好ましく、400ppm以下であることがさらに好ましい。
インク組成物に含まれるイオン性塩素の含有量は、イオンクロマト装置を用いて測定することができる。イオンクロマト装置としては、例えば株式会社島津製作所製の型式「PS3500DD」等を使用することができ、必要に応じ、測定前に希釈、固相抽出除去、液液抽出などの前処理を行う。
≪2.インク組成物の製造方法≫
本実施の形態に係るインク組成物は、有機溶剤Aを含有する有機溶剤と、各種成分(例えば樹脂や色材等)をペイントシェイカーを用いて混合することにより製造することができる。この際、ジルコニアビーズにて各成分を分散させてもよい。また、必要に応じて、特定の溶媒に色材が分散された分散体を調整した後、他成分を加えてインク組成物を調整してもよい。なお、本実施の形態に係るインク組成物は、必要に応じて脱気処理するなどして所望の溶存酸素量や溶存窒素量に調整してもよい。
また、有機溶剤を予め乾燥させておくことが好ましい。有機溶剤を予め乾燥させておくことで、インク組成物に含まれる水分量を軽減することができる。有機溶剤を乾燥させる方法としては、例えば窒素等の不活性ガス雰囲気下で乾燥させた不活性ガス(例えば、窒素ガス)を所定時間吹き付ける方法や、有機溶剤を蒸留精製する方法や、水を選択的に透過する半透過膜に有機溶剤を透過させる方法や、水を吸着する水吸着剤に有機溶剤に混入した水を選択的に吸着させる方法等を挙げることができる。
≪3.インク組成物を用いた記録方法≫
本実施の形態に係る記録方法は、上記のインク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する記録方法である。上記のインク組成物は、固形物の発生を効果的に抑制できるものであり、本実施の形態に係る記録方法においても、プラスチック供給体内や接液部内等で固形物が発生することにより吐出安定性が低下するという問題を効果的に解決することができる。インクジェット法により吐出する方式は、圧電素子を用いたピエゾ方式であっても、発熱体を用いたサーマル方式であってもよく、特に限定されない。
そして、インクジェット記録装置に備えられる加温機構によって基材(記録媒体)に着弾したインク組成物を加温することが好ましい。これにより、基材(記録媒体)に着弾したインク組成物を乾燥させることで、記録物の表面乾燥性を向上させることが可能となる。特に有機溶剤AとしてN,N-ジエチルホルムアミド等のアルキルアミド系溶剤を使用した場合には、表面乾燥性が優れた記録物が得られるので、基材(記録媒体)に着弾したインク組成物を加温機構によって乾燥させることで、インク組成物に含有される有機溶剤の乾燥速度がより高くなって、さらに記録物の製造速度を向上させることが可能となる。後述する印刷物の製造方法においても同様である。
≪4.記録物の製造方法≫
上記のインク組成物を用いた記録方法は、記録物の製造方法と定義することもできる。本実施の形態に係る記録物の製造方法においてもプラスチック供給体内や接液部内等で固形物が発生することにより吐出安定性が低下するという問題を効果的に解決することができる。
≪5.記録物≫
上述した実施形態の記録物の製造方法により製造された記録物を構成する各層について説明する。
[媒体(記録媒体)]
本実施の形態に係る記録方法に使用することのできる基材(記録媒体)としては、特に限定はされず、樹脂基材(表面が主として樹脂からなるものを含む。)、金属板ガラスなどの非吸収性基材であっても、紙や布帛などの吸収性基材であっても、受容層を備える基材のような表面塗工が施された基材であってもよく、種々の基材を使用することができる。
なかでも、表面が主として樹脂からなるものが好ましい。特に、上記のインク組成物は、樹脂基材に対して浸透性を示す有機溶剤Aを含んでいるため、表面が樹脂からなる媒体(記録媒体)での印字の滲みが少なくなり印字が鮮明となる。樹脂としては、ポリ塩化ビニル系重合体やアクリル、PET、ポリカーボネート、PE、PP等が挙げられる。また、記録物の記録表面に対してフィルムを張り合わせことを前提とするような樹脂基材(いわゆるラミネート用の樹脂基材)に用いられてもよい。特に、表面が硬質又は軟質ポリ塩化ビニル系重合体からなる基材(記録媒体)が好ましい。表面がポリ塩化ビニル重合体からなる基材(記録媒体)としては、ポリ塩化ビニル基材(フィルム又はシート)等が例示できる。
[記録層]
記録層とは、上記のインク組成物に含まれる溶媒が揮発することにより形成される層であり、所望の画像を形成する層である。有機溶剤Aを含有するインク組成物をインクジェット吐出することで、プラスチック収容体やプラスチック供給体内での粘度の増加や固形分が析出することを効果的に抑制できるので、吐出安定性を向上させることができる。
なお、上記のインク組成物に含まれる溶媒が揮発することにより形成される層は、複数の層から形成されていてもよく、例えば、上記のインク組成物のホワイトインクの層上に上記のインク組成物のカラーインク(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の層が形成されていてもよい。
[その他の層]
本実施の形態に係る記録物は、さらに、記録層の上表面に所望の機能を有する層を備えてもよい。例えば、記録物に耐擦性や光沢性をさらに付与する目的で、樹脂、ワックスの少なくとも1つを含有するオーバーコート層が形成されていてもよい。また、フィラーを含有させ、又は膜厚をピクセル単位で変化させること等により、表面に凹凸感(マット面)を表現された層が形成されていてもよい。また、記録物に耐候性を付与するために、紫外線吸収剤や光安定化剤等を含む耐候層や光輝性顔料を含む光輝性層等が形成されていてもよい。
なお、本実施の形態に係る記録物においては、上記のインク組成物により形成された記録層を含む記録物を説明したが、例えば、従来公知のインク組成物により形成された記録層上に、上記のインク組成物を吐出して所望の機能を有する層を形成してもよい。また、上記のインク組成物により形成された記録層上に、上記のインク組成物を吐出して所望の機能を有する層を形成してもよい。
≪6.インクジェット記録装置≫
上記のインク組成物をインクジェット法により吐出するインクジェット記録装置は、従来公知のものを使用することができる。例えば、VersaArt RE-640、ローランドDG(株)製のようなインクジェットプリンターなどを使用することができる。
インクジェット記録装置の構成の一例として、オンキャリッジタイプであってシリアルプリンタータイプのインクジェット記録装置を説明するが、本実施の形態に係る記録方法を実施することのできるインクジェット記録装置は、インクカートリッジが外部に固定されたオフキャリッジタイプのインクジェット記録装置であってもよく、インクジェットヘッドヘッドが移動せずに記録媒体(基材)上にインク組成物を吐出するラインプリンタータイプのインクジェット記録装置であってもよい。
また、インクジェット記録装置は、加温機構と、基材を固定する固定機構と、を備えていることが好ましい。インクジェット記録装置に備えられる加温機構によって基材表面温度を制御して、基材(記録媒体)に着弾したインク組成物を乾燥させることで、インク組成物に含有される有機溶剤を揮発させることが可能となって、表面乾燥性が向上する。
さらに、基材を固定する固定機構によって、基材(記録媒体)を固定した状態でインク組成物を乾燥させることが可能となり、加温により基材がたわむことにより熱のかかり方が不均一になることを抑制できる。これにより、基材(記録媒体)に着弾したインク組成物を効果的に乾燥させることが可能となる。
インクジェット記録装置に備えられる加温機構は、プレヒーター、プラテンヒーター、アフターヒーター等であってもよく、記録物に温風を送風する機構であっても、赤外線などにより記録物を加熱する機構であってもよい。また、これらの加温機構を複数組み合わせるものであってもよい。
加温機構により加温される基材の表面温度としては、インク組成物に含まれる有機溶剤を揮発させることができれば特に制限はされず、基材の表面温度の下限は、20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることがさらに好ましい。基材の表面温度の上限は、70℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましく、50℃以下であることがさらに好ましい。
基材を固定する固定機構としては、基材を所定の治具により固定する固定機構であっても、負圧により基材を吸引して吸着する固定機構であってもよく特に制限されない。
上記のインク組成物を吐出するインクジェットヘッドは、圧電素子を用いたピエゾ方式のインクジェットヘッドであっても、発熱体を用いたサーマル方式のインクジェットヘッドであってもよく、特に制限はされない。
また、インクジェット記録装置は、上記のインク組成物を貯蔵するプラスチック収容容器(インクカートリッジやボトル等)と上記のインク組成物を吐出するインクジェットヘッドとを接続するプラスチック供給路(プラスチックチューブ)を備え、上記のインク組成物がこのプラスチック供給路(プラスチックチューブ)を通じてインクジェット法によって吐出されるように構成されていてもよい。上記のインク組成物は、有機溶剤Aを含有することで固形物の発生を効果的に抑制できるものであり、このようなプラスチック収容体及び/又はプラスチック供給体を備えるインクジェット記録装置において好適に使用することができる。
特に、アルキルアミド系溶剤は、基材上での揮発性が高いにも関わらず、プラスチックチューブなどのプラスチック供給路内に存在した場合の揮発量は少ない。プラスチック供給路内での有機溶剤の揮発量は、一般的には有機溶剤の沸点や引火点、蒸発エンタルピーなどの有機溶剤自体の揮発性のパラメータに起因するものである。しかしながら、プラスチックチューブなどのプラスチック供給路内での揮発量は、これらの有機溶剤自体の揮発性のパラメータに加えて、プラスチックに対する透過性にも影響がある。なお、プラスチックに対する透過性は、有機溶剤の化学構造、分子量、相溶性等に起因する。
アルキルアミド系溶剤は、基材上での揮発性が高いにも関わらず、プラスチック供給路内での揮発量が少ない溶剤であるため、アルキルアミド系溶剤を含有するインク組成物であれば、インク組成物に含有される有機溶剤の成分量を保持した状態でインクジェット吐出することが可能となる。このため、アルキルアミド系溶剤を含有するインク組成物であれば、吐出安定性を極めて高いものにすることが可能となる。アルキルアミド系溶剤がプラスチック供給路内での揮発量が少ない溶剤である理由は必ずしも明らかではないが、アルキルアミド系溶剤のアルキル基(C2n+1-)や-C(=O)-N-基(アミド結合)を有する分子構造によりプラスチックに対する透過性が抑制できるものであると考えられる。
プラスチック供給路内での有機溶剤の揮発量は、低密度ポリエチレンチューブ(アズワン社製のポリエチレンチューブホース(型番:6-608-03 内径3mm、外径5mmの低密度ポリエチレン(PE-LD))を12センチに切断したチューブ)に有機溶剤を充填して密閉し、50℃、1週間保管し、保管後の揮発量を測定することにより求めることができる。例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテルの揮発量は68質量%、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルは58質量%、ジエチレングリコールジエチルエーテルは54質量%、ジプロピレングリコールジメチルエーテルは59質量%であるのに対し、N,N-ジエチルホルムアミドは11質量%、N,N-ジエチルプロパンアミドは12質量%、N,N-ジエチルアセトアミドは13質量%であり、アルキルアミド系溶剤はプラスチックチューブ内での揮発量が少ない溶剤であることが分かる。
プラスチック部材を構成する材質としては、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ナイロン、ポリウレタン、PTFEなど等が挙げられ、ポリエチレン樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を使用することが好ましく、この中でも低密度ポチエチレンゴムを使用することが特に好ましい。また、プラスチック部材がインク組成物を収容するプラスチック収容容器である場合、これらの材質からなる層の間に金属層を備えるような金属パウチ等であってもよい。
また、プラスチック収容容器は、インク組成物を収容する容器であれば特に限定されず、インクカートリッジ、ボトルやサブタンク等のインク貯蔵機構の他、インクジェットヘッド内のインク組成物にかかる圧力変動を吸収するダンパー機構やインクジェット記録装置内で循環させるインク循環機構等であってもよい。
プラスチック供給路は、プラスチックチューブやインクジェット吐出する吐出口等を含む。
なお、インクジェット記録装置が複数のインク組成物を吐出できる装置である場合、これらの貯蔵機構、プラスチックチューブ、インク循環機構は、複数のインク組成物を吐出する全ての機構に備えていなくてもよく、少なくとも1つのインク組成に対して備わっていればよい。
また、本実施の形態に係るインク組成物は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各色のインクや、ライトマゼンタ、ライトシアン、ライトブラック、オレンジ、グリーン、レッド、ホワイトなどにも使用することができ、印刷する色の順序やヘッドの位置や構成は特に制限されない。また、インクジェットプリンターは、記録媒体(基材)の巻き取り機構や基材表面を乾燥させる乾燥機構、インク循環機構を備えていても備えていなくともよい。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
1.樹脂の作製
(1)アクリル系樹脂
100℃に保たれたジエチレングリコールジエチルエーテル300g中に、メタクリル酸メチル150g及びメタクリル酸ブチル50gと所定量のt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)との混合物を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で2時間反応させた後冷却して、無色透明のメタクリル酸メチルの重合体溶液を得た。その後、この重合体溶液から溶媒を十分に留去して、メタクリル酸メチルの重合体を得た。このとき重合開始剤であるt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートの量を変更して、メタクリル酸メチル(アクリル系樹脂)の重合平均分子量10000~105000になるように制御した(このとき使用した重合開始剤の質量を下記表1に記載した。表1中「開始剤量」と表記した。)。
(2)塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂
撹拌装置を備えたオートクレーブに、窒素置換後、脱イオン水100質量部、メタノール40質量部、塩化ビニル32質量部、酢酸ビニル5質量部、グリシジルメタクリレート0.2質量部、ヒドロキシプロピルアクリレート3.55質量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(懸濁剤)を0.1質量部、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(重合開始剤)を0.026質量部、ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイド(重合開始剤)を所定量仕込み、窒素ガス雰囲気下に撹拌しながら63℃に昇温し、63℃に到達直後に塩化ビニル48質量部を6時間で、グリシジルメタクリレート0.6質量部、ヒドロキシプロピルアクリレート10.65部を混合したものを5.4時間で連続圧入し、共重合反応させた。オートクレーブ内圧が0.3MPaになった時点で残圧を抜き、冷却して樹脂スラリーを取り出し、ろ過、乾燥して塩化ビニル系共重合樹脂を得た。このとき重合開始剤であるジ-3,5,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイドの量を変更して、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂の重合平均分子量を40000~90000になるように制御した(このとき使用した重合開始剤の質量を下記表1に記載した。表1中「開始剤量」と表記した。)。
Figure 2022188479000005
2.インク組成物の製造
それぞれの有機溶剤、樹脂、分散剤、顔料を下記表の割合になるように各成分のように実施例及び比較例のインク組成物を作製した。具体的には、ペイントシェイカーを用いてジルコニアビーズにて各成分を分散させてインク組成物を調製した。単位は質量%である。
3.評価1
(吐出安定性)
実施例および比較例のインク組成物について吐出安定性を評価した。具体的には、インクジェット記録装置(商品名 VersaArt RE-640、ローランドDG(株)製)にインク組成物を充填して、記録媒体(糊付きポリ塩化ビニルフィルム(IMAGin JT5829R:MACtac社製))に双方向の高速印刷モード(360x720dpi)、基材表面温度40℃にて連続印刷でベタ及び細線を印刷し、ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛び散りの有無を目視により観察し、発生回数を計測した。(表中、「吐出安定性」と表記)。
評価5:細線が正しく再現できている。
評価4:細線がおおむね正しく再現できている。
評価3:わずかに細線に曲がりがみられる。
評価2:着弾位置がずれており、曲がりが見られる。
評価1:着弾位置のずれが酷く、細線を再現できない。
(表面乾燥性)
実施例及び比較例のインク組成物について表面乾燥性を評価した。具体的には、上記吐出安定性評価と同様にして記録媒体(糊付きポリ塩化ビニルフィルム(IMAGin JT5829R:MACtac社製))に高品質印刷モード(1440x720dpi)でベタ画像の印刷を行い、基材表面温度40℃で乾燥するまでの時間を計測した(表中、「表面乾燥性」と表記)。
評価基準
評価5:2分未満で乾燥する。
評価4:2分以上4分未満で乾燥する。
評価3:4分以上6分未満で乾燥する。
評価2:6分以上8分未満で乾燥する。
評価1:8分以上で乾燥する。
(異物)
実施例及び比較例のインク組成物について異物の発生の有無を評価した。具体的には、インク組成物を密閉容器に入れて、60℃の環境下で1週間放置した。放置後、室温にて1日間放置し、孔径が10μmの金属フィルター上に10ccろ集した。フィルター上をマイクロスコープVHX-900(キーエンス株式会社製)を用いて、ろ集物の内容を確認し、下記基準に基づき判定をした。
評価5:異物の発生が認められず、問題なく通液する。
評価4:わずかに異物の発生が認められるが、問題なく通液する。
評価3:異物の発生が認められるが、問題なく通液する。
評価2:異物の発生が認められ、やや詰まりが見られる。
評価1:通液には関係なく、多量に異物の発生が認められる。
(チューブ揮発性)
実施例及び比較例のインク組成物について、チューブ揮発性を評価した。具体的には、アズワン社製のポリエチレンチューブホース(型番:6-608-03 内径3mm、外径5mmの低密度ポリエチレン(PE-LD))を12センチに切断したチューブに実施例及び比較例のインク組成物を充填し、チューブの両端1センチのところでピンチコックホフマン式クランプで栓をして内径3mmφ×10センチの容量になる様に密閉し、50℃、1週間保管して、試験後のサンプルの状態を目視で確認した(表中、「チューブ揮発性」と表記)。
評価基準
評価5:顕著な増粘は見られない
評価4:明らかに増粘が確認できる
評価3:一部にゲル状物の発生が確認できる
評価2:大部分にゲル状物が発生している
評価1:一部もしくは全体に固化物が発生している
(滲み性)
実施例及び比較例のインク組成物について滲み性を評価した。具体的には、上記吐出安定性評価と同様にして記録媒体(糊付きポリ塩化ビニルフィルム(IMAGin JT5829R:MACtac社製))に高品質印刷モード(1440x720dpi)、基材表面温度40℃で各色のベタ部中にベタ部と異なる色の6ptの文字がある画像を印刷し、60℃オーブンで5分乾燥させた後、当該印字物の滲みを目視・ルーペ(x10)で観察した(表中、「滲み性」と表記)。
評価基準
評価5:ルーペの観察でインクの滲みが観察されない。
評価4:目視でインクの滲みが観察されず、6ptの文字が鮮明である。
評価3:目視でインクの滲みがわずかに観察されたが、意匠性は損なわれない。
評価2:目視でインクの滲みが観察されたが、6ptの文字は識別可能である。
評価1:目視でインクの滲みが顕著に観察され、6ptの文字は視認できなかった。
(部材適性)
実施例及び比較例のインク組成物について部材適性(インクジェットヘッドの部材適性)を評価した。具体的には、インクジェットヘッドの部材に使用されるエポキシ接着剤(2液硬化型エポキシ接着剤「1500」、セメダイン(株)製)を60℃1日乾燥させた硬化物、0.2gを、実施例及び比較例のインク組成物に浸漬して、60℃で1週間放置して、浸漬試験を行い、硬化物の重量変化を測定した(表中、「部材適性」と表記)。
評価基準
評価5:重量変化率が3%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価4:重量変化率が3%以上5%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価3:重量変化率が5%以上10%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価2:重量変化率が10%以上15%未満で、エポキシ接着剤の材質の劣化がない。
評価1:重量変化率が15%以上及び/又は、エポキシ接着剤の材質の劣化がある。
Figure 2022188479000006
Figure 2022188479000007
Figure 2022188479000008
Figure 2022188479000009
Figure 2022188479000010
Figure 2022188479000011
Figure 2022188479000012
Figure 2022188479000013
表中「DEF」とは「N,N-ジエチルホルムアミド」を意味する。
表中「DEPA」とは「N,N-ジエチルプロパンアミド」を意味する。
表中「DEAA」とは「N,N-ジエチルアセトアミド」を意味する。
表中「DMF」とは「N,N-ジメチルホルムアミド」を意味する。
表中「EC」とは「ε-カプロラクタム」を意味する。
表中「MEC」とは「N-メチル-ε-カプロラクタム」を意味する。
表中「NVC」とは「N-ビニルカプロラクタム」を意味する。
表中「NMP」とは「N-メチル-2-ピロリドン」を意味する。
表中「DBDG」とは「ジエチレングリコールジブチルエーテル」を意味する。
表中「MEDG」とは「ジエチレングリコールメチルエチルエーテル」を意味する。
表中「DEDG」とは「ジエチレングリコールジエチルエーテル」を意味する。
表中「DMFDG」とは「ジプロピレングリコールジメチルエーテル」を意味する。
表中「BTG」とは「トリエチレングリコールモノnブチルエーテル」を意味する。
表中「MFTG」とは「トリプロピレングリコールモノメチルエーテル」を意味する。
表中「MFDG」とは「ジプロピレングリコールモノメチルエーテル」を意味する。
表中「GBL」とは「γーブチロラクトン」を意味する。
表中「DVL」とは「δーバレロラクトン」を意味する。
表中「ECL」とは「εーカプロラクトン」を意味する。
表中「PC」とは「プロピレンカーボネート」を意味する。
表中「DEGmEEA」とは「ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート」を意味する。
表中「EL」とは「乳酸エチル」を意味する。
上記表から分かるように、有機溶剤A(アルキルアミド系溶剤(a1)、及び環状アミド系溶剤(a2)からなる群より選択される少なくとも1つ)を含有する実施例のインク組成物であれば、プラスチック収容体やプラスチック供給体内での粘度の増加や固形分が析出することを効果的に抑制できるので、吐出安定性を向上させることができることが分かる。
特に、有機溶剤Aの含有量の質量比を変更した実施例1~9のインク組成物において、有機溶剤Aの含有量はインク組成物全量中1質量%以上90質量%以下の範囲である実施例2~8のインク組成物は、実施例1,9のインク組成物と比較しても吐出安定性が良好なものであった。
また、有機溶剤Aの種類を変更した実施例5、13、15~20のインク組成物やその他の有機溶剤の種類を変更した実施例65~73のインク組成物は、いずれも本発明の効果を奏するものであった。なかでもアルキルアミド系溶剤(a1)を用いた実施例5、15、16では吐出安定性に加え、異物や部材適性も良好であった。一方で実施例17、68、69は吐出安定性は良好であるものの部材適性が相対的に劣る結果となった。
また、金属の含有量がインク組成物全量中50ppm以下である実施例4のインク組成物は、実施例27,29,30のインク組成物と比較しても吐出安定性が良好なものであった。さらに、イオン性塩素の含有量がインク組成物全量中500ppm以下である実施例4のインク組成物は、実施例28、29のインク組成物と比較しても吐出安定性が良好なものであった。
一方、有機溶剤Aを含有しない比較例1、2のインク組成物は吐出安定性や部材適性が低下しており、本発明の効果を奏するものとなっていない。
4.評価2
上記の実施例4及び比較例1のインク組成物を使用して、インクジェット記録装置のプラスチック供給体の材質を変更して吐出安定性を評価した。具体的には、インクジェットプリンター(商品名 VersaArt RE-640、ローランドDG(株)製)に実施例4及び比較例1のインク組成物を充填して、室温25℃湿度60%にて1カ月放置後にノズルクリーニングを実施した後、記録媒体(糊付きポリ塩化ビニルフィルム(IMAGin JT5829R:MACtac社製))に双方向の高速印刷モード(360x720dpi)、基材表面温度40℃にて連続印刷でベタ及び細線を印刷し、ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛び散りの有無を目視により観察し、発生回数を計測した。このとき、インクジェット記録装置のプラスチック収容体及びプラスチック供給体の材質は下記表の材質に変更して試験を行った。
評価基準
評価5:細線が正しく再現できている。
評価4:細線がおおむね正しく再現できている。
評価3:わずかに細線に曲がりがみられる。
評価2:着弾位置がずれており、曲がりが見られる。
評価1:着弾位置のずれが酷く、細線を再現できない。
Figure 2022188479000014
表中、PEとはポリエチレン樹脂であり、PPとはポリプロピレン樹脂であり、EPDMとは、エチレンプロピレンジエンゴムである。なお、「アルミパック(内面PE)」とは、インク組成物と直接接触するアルミパックの内面がポリエチレン樹脂であることを意味する。
上記表から分かるように、本発明のインク組成物は、プラスチック収容体やプラスチック供給路(プラスチックチューブ)の材質を変更しても吐出安定性は高く、この中でも、プラスチック供給路(プラスチックチューブ)の材質としてEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)を使用することで、特に吐出安定性が高くなった。

Claims (16)

  1. インクジェット記録装置に備えられるプラスチック部材と接触し、該インクジェット記録装置によりインクジェット吐出されるインク組成物であって、
    有機溶剤を含有し、
    前記有機溶剤は、下記有機溶剤Aを含有する
    インク組成物。
    有機溶剤A:アルキルアミド系溶剤(a1)と環状アミド系溶剤(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1つ
  2. 前記プラスチック部材はインク組成物を収容するプラスチック収容容器を含み、
    インクジェット記録装置によりインクジェット吐出される
    請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記プラスチック部材はインク組成物が流通するプラスチック供給路を含み、
    インクジェット記録装置によりインクジェット吐出される
    請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記有機溶剤Aはアルキルアミド系溶剤(a1)を含有する
    請求項1から3のいずれかに記載のインク組成物。
  5. 前記アルキルアミド系溶剤(a1)は、下記式(1)で表される
    請求項4に記載のインク組成物。
    Figure 2022188479000015
    (式(1)中、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、Rは、それぞれ独立して、水素もしくは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)
  6. 前記アルキルアミド系溶剤(a1)は、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルプロパンアミド及びN,N-ジエチルアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1つを含有する、
    請求項5に記載のインク組成物。
  7. 前記有機溶剤Aは環状アミド系溶剤(a2)を含有する
    請求項1から3のいずれかに記載のインク組成物。
  8. 前記環状アミド系溶剤(a2)は、下記式(2)で表される
    請求項7に記載のインク組成物。
    Figure 2022188479000016
    (式(2)中、Rは、炭素数3以上5以下のアルキレン基であり、Rは、水素若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基または不飽和炭化水素基を表す。)
  9. 前記環状アミド系溶剤(a2)は、ε-カプロラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタム、及びN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される少なくとも1つを含有する、
    請求項8に記載のインク組成物。
  10. 前記有機溶剤Aの含有量はインク組成物全量中1質量%以上90質量%以下の範囲である
    請求項1から9のいずれかに記載のインク組成物。
  11. 前記有機溶剤はさらに引火点が80℃以下の有機溶剤をインク組成物全量中50質量%以上95質量%以下の範囲で含有する
    請求項1から10のいずれかに記載のインク組成物。
  12. インク組成物に含まれるナトリウム、カリウム、及びカルシウムのうち最も含有量の多い金属の含有量がインク組成物全量中50ppm以下である
    請求項1から11のいずれかに記載のインク組成物。
  13. イオン性塩素の含有量が500ppm以下である
    請求項1から12のいずれかに記載のインク組成物。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載のインク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する、
    記録方法。
  15. 請求項1から13のいずれかに記載のインク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する、
    記録物の製造方法。
  16. 請求項1から13のいずれかに記載のインク組成物の記録層が基材の表面に形成された
    記録物。
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