JP2023062474A - シリコン単結晶引き上げ装置、およびシリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、上記した真空排気の際にプルチャンバの内圧が急激に減少すると、内壁に付着していたアモルファス由来のパーティクルが舞い上がり、舞い上がったパーティクルが引き上げ中のシリコン単結晶に付着するなどして単結晶の有転位化発生率が高くなってしまう課題がある。
-9.8kPa/秒 ≦ DS ≦ 0kPa/秒
本発明は、坩堝内のシリコン融液に揮発性ドーパントが添加された後のガス置換工程に適用する。シリコン融液の表面から蒸発した揮発性ドーパント、あるいはドーパント供給装置から蒸発した揮発性ドーパントがアモルファスとなってプルチャンバの内壁に付着している可能性が高いからである。特に、揮発性ドーパント供給工程とガス置換工程とを複数回繰り返すシリコン単結晶製造に本発明は好適である。例えば、1つの坩堝から複数本のシリコン単結晶を製造するマルチプリング法、あるいはシリコン単結晶の引き上げ中に有転位化が発生した場合に行う揮発性ドーパントの再添加等において好適に用いることができる。
図1は、本発明に係るシリコン単結晶引き上げ装置1の一実施形態の概略構成を示す縦断面図である。シリコン単結晶引き上げ装置1は、CZ法を用いてシリコン単結晶SMを製造する装置である。
図1に示されるように、シリコン単結晶引き上げ装置1は、チャンバ2と、坩堝3と、ヒーター4と、引き上げ部5と、熱遮蔽体6と、断熱材7と、坩堝軸8と、排気装置9とを備えている。
また、メインチャンバ10とプルチャンバ11の間には、メインチャンバ10とプルチャンバ11との間を遮断するゲートバルブ12が設けられている。
プルチャンバ11には、アルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスをチャンバ2内に導入するガス導入口13が設けられている。メインチャンバ10の下部には、真空ポンプ(図示せず)の駆動により、メインチャンバ10内のガスを排出するガス排気口14が設けられている。
ヒーター4は、坩堝3の外側に所定間隔を隔てて配置され、坩堝3内のシリコン融液Mを加熱する。
引き上げ部5は、一端に種結晶SCまたはドーパント供給装置50(図2参照)が取り付けられるケーブル15と、ケーブル15を昇降及び回転させる引き上げ駆動部16とを備えている。
坩堝軸8は、坩堝3を下方から支持する支持軸であり、坩堝3を所定の速度で回転及び昇降させる駆動装置(図示せず)に接続されている。
配管22は、プルチャンバ11からガスを排気する際のプルチャンバ11の減圧速度(排気速度)を調整する減圧速度調整部21を備える。
ここで、プルチャンバ11の減圧速度を「調整する」とは、プルチャンバ11の減圧速度を特定の範囲内に収めることを意味する。この「特定の範囲」としては、減圧速度をDSとすると、少なくとも大気圧から90kPaに低下するまでの減圧速度DSの範囲として、以下の数式(1)の範囲を挙げることができる。
-9.8kPa/秒 ≦ DS ≦ 0kPa/秒 ・・・(1)
流量調整バルブ25は、開閉度を変更することで配管22を流れるガスの流量を調整するバルブである。本実施形態の流量調整バルブ25は、バタフライバルブである。なお、流量調整バルブ25は、配管22を流れるガスの流量を調整できればよく、バタフライバルブに限らず、ニードルバルブ、ゲートバルブ、グローブバルブ、ボールバルブなどのバルブを採用することができる。
流量調整バルブ25は、減圧速度調整部21として機能する。
なお、減圧速度調整部21としての機能とは、プルチャンバ11内のガスを排気する際にプルチャンバ11の減圧速度を特定の範囲内に収めることが出来れば足り、必ずしも減圧速度を様々な値に変更する機能を含む必要はない。
第二配管24の長さは、例えば1500mmである。第二配管24は、両端部から中央に向かうに従って漸次内径が小さくなるテーパ形状の一対の縮径部24aと、両端部より内径が小さく形成されている本体部24bとを有する。
第二配管24は、第二配管24の全長の70%以上90%以下が本体部24bとなるように形成されている。なお、「第二配管24の内径」は「第二配管24の本体部24bの内径」と同意である。
なお、一般的には、排気ポンプ20の負荷を軽減するためにプルチャンバ11と排気ポンプ20を結ぶ配管22の内径を大きくし配管抵抗を小さくする。排気ポンプ20の負荷が小さければ、効率的に排気できる、あるいは、より小型の排気ポンプを用いることができるからである。
1/5 ≦ D2/D1 ≦ 3/5 ・・・ (2)
本発明は、電気抵抗率が非常に低いn型シリコン単結晶の製造に好適であり、n型ドーパント(揮発性ドーパント)がヒ素(As)である場合は1.0mΩ・cm以上25mΩ・cm以下、n型ドーパントがリン(P)である場合は0.5mΩ・cm以上25mΩ・cm以下、n型ドーパントがアンチモン(Sb)である場合は8mΩ・cm以上40mΩ・cm以下の電気抵抗率のn型シリコン単結晶の製造に好適である。
以下、揮発性ドーパントを追加する方法について説明する。揮発性ドーパントを追加する方法は、ゲートバルブ遮断工程と、ドーパント供給装置取り付け工程と、ガス置換工程と、揮発性ドーパント供給工程と、を有する。
図2に示されるように、ドーパント供給装置50は、下方が開放された有底円筒形状のアウター容器51と、アウター容器51の内側に配置され、上方が開放された有底円筒形状のインナー容器52と、を備えている。アウター容器51とインナー容器52とは、周方向の複数箇所で接続部53を介して接続されている。アウター容器51およびインナー容器52は、例えば、透明石英によって形成することができる。
揮発性ドーパントDは、インナー容器52の内部に収納される。なお、ドーパント供給装置50の構成は、上記した構成に限ることはない。
ガス置換工程では、まず、プルチャンバ11の単結晶取り出し用ドアを閉じ、遮断バルブ26を閉じた状態で排気ポンプ20を起動する。
次いで、流量調整バルブ25の開度を75%以下に設定した後、遮断バルブ26を開けて真空排気を行い、不活性ガス雰囲気に置換する。流量調整バルブ25の開度は75%以下の一定値に維持する。
また、配管22が、第一配管23と、流量調整バルブ25が設けられた第二配管24と、を有し、第二配管24の内径が第一配管23の内径よりも小さいことによって、流量調整バルブ25の開度によらず、減圧速度を低減させることができる。
具体的には、ゲートバルブ12によってメインチャンバ10と遮断されたプルチャンバ11からガスを排気する際に、プルチャンバ11の内圧が、少なくとも排気開始の大気圧から90kPa(第一圧力値)に減圧する際の減圧速度を調整すればよい。例えば、排気開始後(遮断バルブ26を開けた後)、流量調整バルブ25を漸次開けてプルチャンバ11の内圧が90kPaになった所定のタイミングで流量調整バルブ25の開度を100%にしてもよい。
このように、排気開始後の所定のタイミングで流量調整バルブ25を開けることによって、排気開始直後の減圧速度を低減しながら排気完了までの所要時間を短縮することができる。
また、配管22に流量調整バルブ25を設ければ、必ずしも配管22の一部の内径を他部の内径よりも小さくする必要はない。すなわち、減圧速度調整部21を、内径が一定の配管22と流量調整バルブ25とからなるものとしてもよい。
また、配管22の一部の内径を他部の内径よりも小さくすれば、必ずしも流量調整バルブ25を設ける必要はない。すなわち、減圧速度調整部21を、配管22の一部の内径が他部の内径よりも小さい配管22のみとしてもよい。
また、上記実施形態では、第二配管24を直線状としているが、これに限ることはなく、第二配管24の本体部24bはベンドした形状であってよい。
実施例および比較例では、第二配管24の内径および流量調整バルブ25の開度を変更し、プルチャンバ11の内圧の変化、パーティクルの最大個数(個/秒)、および単結晶の有転位化発生回数(回/バッチ)を比較した。
パーティクルの個数は、リアルタイムパーティクルカウンターを用いて、粒径が0.1μm以上のパーティクルの個数を1秒毎に測定した。
有転位化発生回数は、バッチ毎の有転位化発生回数をカウントした。
リアルタイムパーティクルカウンターは、ゲートバルブ12によってメインチャンバ10から遮断されたプルチャンバ11の底部に設置し、プルチャンバ11からガスを排気する際のプルチャンバ11内のパーティクルの個数を計測した。
図4は、実施例および比較例のプルチャンバ11の内圧の変化を示すグラフである。図4の横軸は時間(秒)、縦軸はプルチャンバ11の内圧(kPa)である。
一方、第二配管24の内径を80mm、流量調整バルブ25を設けなかった比較例1では、減圧速度が-13.7kPa/秒となった。
一方、比較例1と比べて第二配管24の内径を小さくし、減圧速度が-9.8kPa/秒であった実施例1では、パーティクルの最大個数が93個/秒で、有転位化発生回数は3.0回/バッチとなり、有転位化発生回数3.0回/バッチ以下の目標を達成できた。
さらに、第二配管24の内径を25mmとし、流量調整バルブ25の開度を50%とした実施例3では、パーティクルの最大個数が11個/秒で、有転位化発生回数は2.1回/バッチとなりさらに良好な結果となった。
-9.8kPa/秒 ≦ DS ≦ 0kPa/秒 ・・・ (3)
-5.4kPa/秒 ≦ DS ≦ 0kPa/秒 ・・・ (4)
Claims (6)
- 揮発性ドーパントが添加されたシリコン融液からチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶引き上げ装置であって、
前記シリコン融液が貯留された坩堝が格納されているメインチャンバと、
前記メインチャンバの上方に接続され、前記シリコン単結晶を取り出すためのプルチャンバと、
前記メインチャンバと前記プルチャンバとの間を遮断するゲートバルブと、
前記プルチャンバ内のガスを排気する排気ポンプと、
前記プルチャンバと前記排気ポンプとを接続する配管と、を備え、
前記配管は、前記ガスを排気する際の前記プルチャンバの減圧速度を調整する減圧速度調整部を有するシリコン単結晶引き上げ装置。 - 請求項1に記載のシリコン単結晶引き上げ装置において、
前記配管の一部の内径は、他部の内径よりも小さく、
前記一部が前記減圧速度調整部として機能する、シリコン単結晶引き上げ装置。 - 請求項2に記載のシリコン単結晶引き上げ装置において、
前記配管は、前記プルチャンバに接続された第一配管と、前記第一配管と接続される第二配管と、を有し、
前記一部は、前記第二配管であるシリコン単結晶引き上げ装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶引き上げ装置において、
前記配管は、開閉度を変更することで前記ガスの流量を調整可能な流量調整バルブを備え、前記流量調整バルブが前記減圧速度調整部として機能する、シリコン単結晶引き上げ装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶引き上げ装置を用いた、シリコン単結晶の製造方法であって、
前記ゲートバルブによって前記メインチャンバと遮断された前記プルチャンバからガスを排気する際に、
前記プルチャンバの内圧が、少なくとも排気開始から前記プルチャンバの内圧が第一圧力値に低下するまでの減圧速度を調整するシリコン単結晶の製造方法。 - 請求項5に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
少なくとも大気圧から90kPaに低下するまでの減圧速度DSは以下の範囲内である、シリコン単結晶の製造方法。
-9.8kPa/秒 ≦ DS ≦ 0kPa/秒
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