JP2023061463A - セルロースナノクリスタル及びその水分散体組成物 - Google Patents

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Yoshitake Yamada
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Abstract

【課題】本発明によれば、優れた物性バランスを有するセルロースナノクリスタルを提供することを課題とする。【解決手段】体積平均粒子径(D50)が11.0~16.0μmの範囲にある微細セルロース繊維の、解繊状物であることを特徴とするセルロースナノクリスタルであり、さらに該微細セルロース繊維が、下記条件(A)及び/または下記条件(B)を満たすことが好ましいセルロースナノクリスタル。条件(A):体積平均粒子径(D50)と積算体積10%粒径(D10)とが、D10/D50×100≦40%の関係式を満たすこと。条件(B):体積平均粒子径(D50)と積算体積90%粒径(D90)とが、D90/D50×100≧250%の関係式を満たすこと。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノクリスタル及びその水分散体組成物に関する。
セルロース繊維は主に木材を原料とする繊維であり製紙用途などで使用されているが、高機能化すること等により製紙以外の種々の分野での応用が期待されている。一般的に、製紙用途で使用されるパルプはセルロース繊維からなり、叩解などの機械的な処理により繊維表面の微細繊維化(フィブリル化)を促進させてから使用される。フィブリルは紙をはじめとする基材中での水素結合点を増やすことができ基材に強度を付与する。
近年、セルロース繊維の新素材としてセルロースナノファイバーや、セルロースナノクリスタルが注目を集めている。セルロースナノファイバーは、化学的処理等を施したセルロース繊維を機械的処理により微細化して得られるものであり、比較的製造にかかるエネルギーは低く抑えることができる。しかしながら、このようにして得られるセルロースナノファイバーは、セルロースの非晶質領域を多数含んだ状態であり、樹脂複合体や塗料などに使用する際には高温処理時に非晶質領域に由来する熱分解物が揮発性有機化合物(VOC)として発生することが懸念される。
そのため、このような懸念の低い新素材として、セルロースナノクリスタルが注目されている。セルロースナノクリスタルは、工業的にはセルロース繊維を硫酸や塩酸などで加水分解処理を行うことで非晶質領域を加水分解した微細セルロース繊維状物を得た後に、解繊処理を行うことでさらに微細化を行って得ることができる(特許文献1)。
特許第6856176号公報
このようなセルロースナノクリスタルは、加水分解処理物である微細セルロース繊維状物を、さらに解繊処理する工程を有するため、中間体である微細セルロース繊維状物の性状が、セルロースナノクリスタルの各種物性(粘度や透明度、繊維径等)にも大きく影響を及ぼすために重要である。
そこで本発明では、特定の微細セルロース繊維状物を用いることで、優れた物性バランスを有するセルロースナノクリスタルを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意努力の結果、以下の構成において課題を解決できることを見出した。
[1]体積平均粒子径(D50)が11.0~16.0μmの範囲にある微細セルロース繊維の、解繊状物であることを特徴とするセルロースナノクリスタル。
[2]前記微細セルロース繊維が、下記条件(A)を満たすことを特徴とする[1]に記載のセルロースナノクリスタル。
条件(A):体積平均粒子径(D50)と積算体積10%粒径(D10)とが、
D10/D50×100≦40%の関係式を満たすこと。
[3]前記微細セルロース繊維が、下記条件(B)を満たすことを特徴とする[1]~[2]いずれかに記載のセルロースナノクリスタル。
条件(B):体積平均粒子径(D50)と積算体積90%粒径(D90)とが、
D90/D50×100≧250%の関係式を満たすこと。
[4]固形分濃度4質量%の水分散体のTi値が5以上であることを特徴とする、[1]~[3]いずれかに記載のセルロースナノクリスタル。
[5]固形分濃度1質量%の水分散体の透明度が50%以上であることを特徴とする、請求項1~4いずれかに記載のセルロースナノクリスタル。
[6]セルロースI型の結晶化度が80%以上であることを特徴とする、[1]~[5]いずれかに記載のセルロースナノクリスタル。
[7][1]~[6]いずれかに記載のセルロースナノクリスタルを含む水分散体組成物。
本発明によれば、特定の微細セルロース繊維を用いることで、優れた物性バランスを有するセルロースナノクリスタルを提供する。
すなわち本発明は、体積平均粒子径(D50)が11.0~16.0μmの範囲にある微細セルロース繊維の、解繊状物であることを特徴とするセルロースナノクリスタルである。
<微細セルロース繊維>
本発明の微細セルロース繊維は、パルプなどのセルロース系原料を、硫酸などで加水分解処理することにより得られる。
(セルロース系原料)
セルロース系原料は、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物に由来するものが挙げられる。植物由来のものとしては、例えば、木材、綿花、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、針葉樹溶解パルプ、広葉樹溶解パルプ、再生パルプ、古紙等)が挙げられる。また、上述のセルロース系原料を粉砕処理したセルロースパウダーを使用してもよい。本発明で用いるセルロース原料は、これらのいずれかまたは組合せであってもよいが、好ましくは植物または微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維であり、さらに好ましくは木質系パルプ又は綿花系パルプである。
パルプの調製方法においては、パルプ化法(蒸解法)に加え、さらに漂白処理を行うことが好ましい。これにより、白色度のより高いパルプが得られる。漂白処理方法としては、例えば、任意に通常の方法で脱リグニンしたパルプに対し、塩素処理(C)、二酸化塩素漂白(D)、アルカリ抽出(E)、次亜塩素酸塩漂白(H)、過酸化水素漂白(P)、アルカリ性過酸化水素処理段(Ep)、アルカリ性過酸化水素・酸素処理段(Eop)、オゾン処理(Z)、キレート処理(Q)、及びこれらの2以上の処理の組み合わせを施す方法が挙げられる。2以上の処理の組み合わせ(シーケンス)としては、例えば、D-E/P-D、C/D-E-H-D、Z-E-D-PZ/D-Ep-D、Z/D-Ep-D-P、D-Ep-D、D-Ep-D-P、D-Ep-P-D、Z-Eop-D-D、Z/D-Eop-D、Z/D-Eop-D-E-D(シーケンス中の「/」は、「/」の前後の処理を洗浄なしで連続して行なうことを意味する)が挙げられる。漂白処理は、上記の例に限定されることなく、一般的に使用される方法でもよい。漂白処理を経たパルプは、通常は流動状態(流動パルプ)である。パルプの白色度は、ISO 2470に基づいて、80%以上が好ましい。
(酸加水分解)
酸加水分解処理に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が挙げられるが、硫酸を用いることが好ましい。硫酸を用いることで、微細セルロース繊維は硫酸基及び/またはスルホ基を含有することができるようになるため、樹脂複合体等にした際に架橋作用により強固な構造体を形成しやすい。
酸濃度としては、非晶質領域が十分に減少する条件であれば特に限定されないが、通常2.5N~15N、好ましくは4.0~10.0N、より好ましくは4.5N~8.0Nの範囲であることが好ましい。酸濃度が2.5N未満であると、非晶領域の除去が不完全のため結晶性が低下するため好ましくない。酸濃度が15N超であると、セルロース繊維の結晶領域にも酸が侵食しはじめるため、その後の解繊処理時に繊維が短繊維化しすぎてしまうため好ましくない。そのような酸加水分解処理の反応条件は非晶質領域が除去され結晶性が高まる条件となれば特に限定されないが、例えば反応温度は通常50~100℃、好ましくは80~100℃、より好ましくは85~100℃である。反応時間は通常30分~180分の範囲、好ましくは60~180分の範囲、より好ましくは90~150分の範囲で実施すればよい。
酸加水分解処理に先立ち、セルロース原料について前処理を行ってもよい。例えば、セルロース原料のスラリー化(分散液の調製)、セルロース原料濃度の調整が挙げられる。セルロース原料の濃度は、通常、分散液に対し3~10重量%(固形分換算)である。セルロース原料が漂白処理を経た流動パルプの場合、通常、加水分解前にパルプ濃度を高める処理を行うことが多い。セルロース原料濃度の調整(濃縮)には、スクリュープレス、ベルトフィルター等の脱水機を用いてもよい。酸加水分解処理は、セルロース原料のスラリーに対して行われてもよいが、シート状のセルロース原料に対し行われてもよい。セルロース原料がパルプのドライシートの場合、通常、パルプをほぐしてから酸加水分解処理を行う。パルプをほぐす際には、ロールクラッシャー等の解砕機を用いてもよい。
(中和・洗浄・(乾燥))
加水分解処理後、得られる処理物は、解繊処理の前に適宜前処理を経る。前処理としては例えば、中和、洗浄、脱液、および必要に応じて乾燥処理が挙げられ、洗浄、中和、洗浄、(乾燥処理)をこの順に行うことが好ましい。加水分解後にろ過などで脱液し得られた処理物は、強酸が付着している状態のため、中和処理前に水で十分に洗浄を行うことが好ましい。その後、濾過などで脱液し集めた洗浄した処理物を、再度水で希釈分散した分散液に、アルカリ剤を添加して中和処理を行うことができる。中和後の処理物は、再度ろ過などで脱液し集められ、さらに水で洗浄することが好ましい。
さらに処理物は、乾燥(脱水)処理を経てもよい。これにより、固形分濃度を調整でき、粉末状セルロースの物性値の制御が容易にできる。固形分濃度は、通常、15%以上、好ましくは20%以上に調整される。
(微細セルロース繊維)
本発明において、そのようにして得られる微細セルロース繊維は体積蓄積分布の積算値が10%、50%、90%となるときの粒子径分布(10%径、50%径(体積平均粒子径)、90%径、それぞれ、D10、D50、D90という)が重要な意味を持つ。
後述するように本発明のセルロースナノクリスタルを得るためには、微細セルロース繊維を解繊処理する必要があるが、微細セルロース繊維の粒度分布が特定の範囲のものを使用することで、優れた物性バランスのセルロースナノクリスタルを得ることができることを初めて見出したものである。
そのような微細セルロース繊維の粒度分布としては、体積平均粒子径(D50)が11.0~16.0μmの範囲にあることが重要である。D50が11.0μm未満であると、解繊処理した際にセルロースナノクリスタルの微細化による水素結合点の増加が進行しすぎて繊維同士の凝集が生じたり、保水性が高まるため各種素材との分散性が低下するため、樹脂や塗料等の工業添加剤用途に不適である。D50が16μm以上であると、解繊処理した際に微細化が均一に進行しにくくなるため、セルロースナノクリスタルの水分散体とした際の透明性や粘度のバランスが崩れるため好ましくない。
さらに微細セルロース繊維は、体積平均粒子径(D50)と積算体積10%粒径(D10)とが、D10/D50×100≦40%の関係式を満たすことが好ましい(条件(A))。D10/D50×100>40%であると、微細な粒度の存在比が高いため、解繊処理した際にセルロースナノクリスタルの微細化による水素結合点の増加が進行しすぎて繊維同士の凝集が生じたり、保水性が高まるため各種素材との分散性が低下するため、樹脂や塗料等の工業添加剤用途に不適である。
また微細セルロース繊維は、体積平均粒子径(D50)と積算体積90%粒径(D90)とが、D90/D50×100≧250%の関係式を満たすことが好ましい(条件(B))。D90/D50×100<250%であると、粗大な粒度の存在比が低いため、解繊処理した際にセルロースナノクリスタルの微細化による水素結合点の増加が進行しすぎて繊維同士の凝集が生じたり、保水性が高まるため各種素材との均一な分散性が低下するため、樹脂や塗料等の工業添加剤用途に不適である。
なおD10/D50/D90は、微細セルロース繊維を濃度0.5量%に調整した後、レーザー散乱法の原理であるレーザー回析式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000、スペクトリス社マルバーンパナリティカル事業部)などを用いて測定することができる。
微細セルロース繊維の灰分は0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましい。微細セルロース繊維の灰分が本範囲であると後述する解繊時に均一に解繊されやすくなり好ましい。そのような灰分にするためには、前述する処理物の洗浄工程において、複数回繰り返しよく洗浄することで調整することができる。
なお、微細セルロース繊維の灰分は、未乾燥試料5gを105℃で3時間乾燥させ乾燥重量Aを測定したのち、該試料を525℃/2時間処理し、灰化重量Bを得た。灰化重量B/乾燥重量A×100から灰分を得た。
<セルロースナノクリスタル>
本発明のセルロースナノクリスタルは、前述の微細セルロース繊維をさらに解繊処理した解繊状物である。
(解繊)
解繊に用いる装置は特に限定されないが例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、微細セルロース繊維(通常は分散液)に強力なせん断力を印加できることが好ましい。装置が印加できる圧力は、50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。装置は、微細セルロース繊維(通常は分散液)に上記圧力を印加でき、かつ強力なせん断力を印加できる、湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーが好ましい。これにより、解繊を効率的に行うことができる。解繊装置での処理(パス)回数は、1回でもよいし2回以上でもよく、3回以上が好ましい。上限としては特にないが、20回以下が好ましく、15回以下がより好ましく、12回以下がさらに好ましい。
分散処理においては通常、溶媒に微細セルロース繊維を分散する。溶媒は、微細セルロース繊維を分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等の親水性の有機溶媒)、それらの混合溶媒が挙げられる。微細セルロース繊維が親水性であることから、溶媒は水であることが好ましい。
分散体中の微細セルロース繊維の固形分濃度は、通常は0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1.0重量%以上である。これにより、微細セルロース繊維の量に対する液量が適量となり効率的である。上限は、通常10重量%以下、好ましくは6重量%以下である。これにより流動性を保持することができる。
解繊処理と分散処理の順序は特に限定されず、どちらを先に行ってもよいし同時に行ってもよいが、分散処理後に解繊処理を行うことが好ましい。各処理の組み合わせを少なく
とも1回行えばよく、2回以上繰り返してもよい。
(セルロースナノクリスタル)
そのようにして得られる本発明のセルロースナノクリスタルは、平均繊維径が4nm以上50nm以下、好ましくは10nm以上30nm以下、より好ましくは10~15nm範囲であり、平均繊維長が200nm~1000nm、好ましくは300nm~800nm、より好ましくは350nm~600nmの範囲であることが好ましい。
平均繊維径及び平均繊維長の測定は、例えば、セルロースナノクリスタルの0.001重量%水分散液を調製し、この希釈分散液をマイカ製試料台に薄く延ばし、50℃で加熱乾燥させて観察用試料を作成し、原子間力顕微鏡(AFM)にて観察した形状像の断面高さを計測することにより、長さ平均繊維径あるいは繊維長として算出することができる。
また本発明のセルロースナノクリスタルは、セルロースI型の結晶化度が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。結晶化度が80%以上であると、非晶領域が少ないため解繊処理した際に均一に解繊が進みやすく、適度にナノ化されたセルロースナノクリスタルを得られるため好ましい。
セルロースナノクリスタルのセルロースI型の結晶化度の測定方法は、以下の通りである:
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD-6000、島津製作所製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°~30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度。
そのようなセルロースナノクリスタルは、固形分濃度4質量%の水分散体の、B型粘度計(60rpm、20℃)で得られる粘度Va(mPa・s)と、B型粘度計(6rpm、20℃)で得られる粘度Vb(mPa/s)とから、Vb/VaであらわされるTi値(チキソトロピックインデックス)が、5以上であることが好ましく、6.5以上であることがより好ましく、8以上であることがさらに好ましい。Ti値が本範囲であることで、微細セルロース繊維が適度にナノ化されていることの指標となることができ、本発明の効果を良好に得ることができるため好ましい。上限としては特に制限されないが、前述する効果を適切に発揮するために50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下がさらに好ましく、20以下、15以下が特に好ましい。
なお、粘度の測定方法は、以下の通りである:
セルロースナノクリスタルを、ポリプロピレン製容器に量りとり、イオン交換水160mlに分散し、固形分4質量%となるように水分散体を調製する。水分散体を20℃に調整する。その後、JIS-Z-8803の方法に準じて、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、回転数60rpm(Va)と6rpm(Vb)で3分後の粘度を測定する。
さらに本発明のセルロースナノクリスタルは、固形分濃度1質量%とした際の水分散体の透明度が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。透明度が50%未満であると、均一にナノ化されていない可能性があり、バランスの優れたセルロースナノクリスタルを得るという本発明の目的からは好ましくない。
なお透明度は、セルロースナノクリスタルの水分散体(固形分約1%(w/v))の660nm光の透過率を、UV-VIS分光光度計UV-265FS(島津製作所社製)を用いて測定し、透明度とすることができる。
そのようにして得られる本発明のセルロースナノクリスタルは、加熱乾燥や凍結乾燥、噴霧式乾燥などで乾燥粉末化しても良いし、前述する分散処理を行った分散体をそのまま水分散体組成物として使用しても良く、再分散性の容易さから水分散体組成物として使用することが好ましい。
(用途)
本発明のセルロースナノクリスタル(及びその水分散体)は、一般的に添加剤が用いられる様々な分野、例えば、食品、飲料、化粧品、医薬、各種化学用品、製紙、土木、塗料、インキ、農薬、建築、防疫薬剤、電子材料、難燃剤、家庭雑貨、洗浄剤等で使用することが出来る。具体的には、増粘剤、ゲル化剤、糊剤、食品添加剤、賦形剤、ゴム・プラスチック用配合材料、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、製紙用添加剤、研磨剤、保水剤、保形剤、泥水調整剤、ろ過助剤及び溢泥防止剤等として使用することができ、それらを構成成分として含むゴム・プラスチック材料、塗料、接着剤、コート紙用塗剤、コート紙、バインダー、化粧品、潤滑用組成物、研磨用組成物、衣料用しわ低減剤、アイロンがけ用滑り剤等に応用できる。特に、優れた物性バランスを得られるため、塗料用添加剤やゴム・プラスチック用配合材料に好適である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、上記に記載した測定方法である。
(実施例1)
リンターパルプ(銀鷹社製)85g(乾燥重量)を裁断したのち、6N硫酸1500mlを入れた三口セパラブルフラスコ(3L)に添加した。三口セパラブルフラスコの下部がオイルに漬かるようにオイルバスに設置し、攪拌しながら昇温させ、95℃で120分間保持した。その後、三口セパラブルフラスコをオイルバスから取り出し、内容物をブフナー漏斗で濾過し、濾過残渣を純水1000mlで洗浄した。
洗浄後の濾過残渣をビーカーに入れた純水2.5Lに添加し、攪拌しながらpH6.5となるように水酸化ナトリウム水溶液で中和し、ブフナー漏斗で濾過したのち、中和後の濾過残渣を回収し、微細セルロース繊維1を得た。
得られた微細セルロース繊維1は、濃度0.5重量%となるように水分散体としたのちレーザー回析式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000、スペクトリス社マルバーンパナリティカル事業部)にて測定したD10=3.52、D50=12.2、D90=39.1であり、灰分は0.08%であった。
得られた微細セルロース繊維にイオン交換水を加え、4質量%に調整し、高圧ホモジナイザーを用いて、解繊処理を140MPaで5回実施して、粘度Va=830mPa/s、粘度Vb=8700mPa/s、Ti値=10.5、透明度=74.4%のセルロースナノクリスタル1の水分散液を得た。またセルロースナノクリスタル1の平均繊維径は14.1nm、平均繊維長は528.0nm、結晶化度は93.2%であった。
(実施例2)
95℃で150分間保持した以外は実施例1と同様にして微細セルロース繊維2を得た。
得られた微細セルロース繊維2は、濃度0.5重量%となるように水分散体としたのちレーザー回析式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000、スペクトリス社マルバーンパナリティカル事業部)にて測定したD10=3.4、D50=11.4、D90=36.4であり、灰分は0.17%であった。
微細セルロース繊維2を実施例1と同様に解繊し、粘度Va=1150mPa/s、粘度Vb=10500mPa/s、Ti値=9.1、透明度=67.6%のセルロースナノクリスタル2の水分散液を得た。
(実施例3)
リンターパルプの代わりに広葉樹晒クラフトパルプ(日本製紙社製)を用いた以外は実施例1と同様にして微細セルロース繊維3を得た。
得られた微細セルロース繊維3は、濃度0.5重量%となるように水分散体としたのちレーザー回析式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000、スペクトリス社マルバーンパナリティカル事業部)にて測定したD10=3.9、D50=15.3、D90=45.0であり、灰分は0.1%であった。
微細セルロース繊維3を実施例1と同様に解繊し、粘度Va=1340mPa/s、粘度Vb=12100mPa/s、Ti値=9.0、透明度=62.3%のセルロースナノクリスタル3の水分散液を得た。
(実施例4)
リンターパルプの代わりに広葉樹晒クラフトパルプ(日本製紙社製)を用いた以外は実施例2と同様にして微細セルロース繊維4を得た。
得られた微細セルロース繊維4は、濃度0.5重量%となるように水分散体としたのちレーザー回析式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000、スペクトリス社マルバーンパナリティカル事業部)にて測定したD10=3.7、D50=13.2、D90=42.5であり、灰分は0.26%であった。
微細セルロース繊維4を実施例1と同様に解繊し、粘度Va=1020mPa/s、粘度Vb=9700mPa/s、Ti値=9.5、透明度=65.8%のセルロースナノクリスタル4の水分散液を得た。
(比較例1)
4N硫酸を用いた以外は、実施例1と同様にして微細セルロース繊維5を得た。
得られた微細セルロース繊維5は、濃度0.5重量%となるように水分散体としたのちレーザー回析式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000、スペクトリス社マルバーンパナリティカル事業部)にて測定したD10=4.1、D50=16.3、D90=39.6であり、灰分は0.86%であった。
微細セルロース繊維4を実施例1と同様に解繊し、粘度Va=3540mPa/s、粘度Vb=16200mPa/s、Ti値=4.6、透明度=50.2%のセルロースナノクリスタル5の水分散液を得た。
(比較例2)
リンターパルプの代わりに広葉樹晒クラフトパルプ(日本製紙社製)を用い、2.5N硫酸を用いた以外は、実施例1と同様にして微細セルロース繊維6を得た。
得られた微細セルロース繊維6は、濃度0.5重量%となるように水分散体としたのちレーザー回析式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000、スペクトリス社マルバーンパナリティカル事業部)にて測定したD10=4.6、D50=23.1、D90=55.7であり、灰分は1.9%であった。
微細セルロース繊維4を実施例1と同様に解繊し、粘度Va=1400mPa/s、粘度Vb=4400mPa/s、Ti値=3.1、透明度=18.2%のセルロースナノクリスタル6の水分散液を得た。
実施例1~4のセルロースナノクリスタルは、D50が11~16μmの範囲である微細セルロース繊維を用いているため、Ti値や透明度に優れており、物性バランスが良好である。一方で、比較例1~2のセルロースナノクリスタルはD50が該当範囲外のものであるため、Ti値や透明度に劣ることが確認される。

Claims (7)

  1. 体積平均粒子径(D50)が11.0~16.0μmの範囲にある微細セルロース繊維の、解繊状物であることを特徴とするセルロースナノクリスタル。
  2. 前記微細セルロース繊維が、下記条件(A)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のセルロースナノクリスタル。
    条件(A):体積平均粒子径(D50)と積算体積10%粒径(D10)とが、
    D10/D50×100≦40%の関係式を満たすこと。
  3. 前記微細セルロース繊維が、下記条件(B)を満たすことを特徴とする請求項1~2いずれかに記載のセルロースナノクリスタル。
    条件(B):体積平均粒子径(D50)と積算体積90%粒径(D90)とが、
    D90/D50×100≧250%の関係式を満たすこと。
  4. 固形分濃度4質量%の水分散体のTi値が5以上であることを特徴とする、請求項1~3いずれかに記載のセルロースナノクリスタル。
  5. 固形分濃度1質量%の水分散体の透明度が50%以上であることを特徴とする、請求項1~4いずれかに記載のセルロースナノクリスタル。
  6. セルロースI型の結晶化度が80%以上であることを特徴とする、請求項1~5いずれかに記載のセルロースナノクリスタル。
  7. 請求項1~6いずれかに記載のセルロースナノクリスタルを含む水分散体組成物。
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