JP2023061163A - 基板、発光素子、及び基板の製造方法 - Google Patents

基板、発光素子、及び基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶性に優れた窒化アルミニウム層(AlN層)を含む基板の提供。【解決手段】基板10は、窒化アルミニウムの単結晶からなるAlN層L1と、α‐アルミナの単結晶からなるサファイア層L2と、を含む。複数の突起2が、サファイア層L2の表面SL2に形成されている。複数の突起2は、α‐アルミナの(0001)面に略平行な方向において略等間隔で並んでいる。複数の突起2は、α‐アルミナの単結晶の一部である。AlN層L1は、複数の突起2が形成されたサファイア層L2の表面SL2を覆っている。窒化アルミニウムの(0001)面は、α‐アルミナの(0001)面に略平行である。窒化アルミニウムの単結晶は、希土類元素、アルカリ土類元素及びアルカリ金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加元素を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、基板、発光素子、及び基板の製造方法に関する。
窒化アルミニウム等の第13族元素の窒化物は半導体である。第13族元素の窒化物の結晶は、青色帯から紫外帯にわたる短波長光を発する発光素子、又はパワートランジスタの材料として注目されている。
例えば、深紫外線発光ダイオード(UVC‐LED)は、窒化アルミニウム(AlN)からなる結晶質のバッファー層(AlN層)を含む。AlN層は、有機金属化学蒸着法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition; MOCVD)、有機金属物理蒸着法(Metal Organic Physical Vapor Deposition; MOPVD)、スパッタリング、及び分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy; MBE)等の気相成長法により、サファイア基板(サファイア層)の表面に形成される。そして、n型半導体層、発光層及びp型半導体層等の複数の化合物半導体層をAlN層の表面に順次積層することにより、UVC‐LEDが製造される。
例えば、UVC‐LEDに含まれるn型半導体層は、n型の窒化アルミニウムガリウム(n‐AlGaN)を含む。例えば、UVC‐LEDに含まれるp型半導体層は、p型の窒化ガリウム(p‐GaN)を含む。発光層で発生する光(深紫外線)は、n‐AlGaNを含むn型半導体層を透過するが、p‐GaNを含むp型半導体層に吸収される。したがって、発光層で発生する光がn型半導体層、AlN層及びサファイア層を透過することにより、光がUVC‐LED外へ取り出される。つまり、光がサファイア層を透過し易いほど、UVC‐LEDの発光効率が増加する。
従来のUVC‐LEDにおけるAlN層(バッファー層)及びサファイア基板其々の厚みは略均一である。つまり、AlN層及びサファイア基板其々の表面は平坦であり、AlN層及びサファイア基板の間の界面は平面である。その結果、発光層において生じた光の一部が、AlN層に接するサファイア基板の表面において反射され易い。つまり、AlN層及びサファイア基板の間の平坦な界面に因り、光の内部全反射(Total Internal Reflection; TIR)が起き易い。光の内部全反射に因り、光の内部損失(UVC‐LEDにおける発熱量)が増加し、UVC‐LEDの発光効率が低下してしまう。
UVC‐LEDにおける光の内部全反射は、AlN層をパターン化サファイア基板(Patterned Sapphire Substrate; PSS)の表面に形成することによって抑制される。PSSの表面には、寸法及び形状において等しい複数の突起(パターン)が等間隔で形成されている。したがって、AlN層及びPSSの間の界面は平面でない。AlN層及びPSSの間の界面に位置する複数の突起に因り、光子が適度に拡散され、光のエスケープコーンが拡張する。その結果、光がPSSを容易に透過する。つまり、AlN層がPSSの表面に形成されたUVC‐LEDに依れば、光の内部全反射が抑制され、光取り出し効率(Light Extraction Efficiency)が増加する。
例えば、下記特許文献1は、有機金属気相エピタキシー(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy;MOVPE)によってPSSの表面に形成されたAlN層を開示している。MOVPEは、上記のMOCVDと同義である。下記特許文献1は、AlN層が、多結晶からなる第一AlN結晶を含むことも開示している。さらに下記特許文献1は、多結晶からなる第一AlN結晶が、PSSの複数の突起を覆っていることも開示している。
特開2017-137201号公報
PSSの表面に形成された各突起の側面においては、特定の面方位の結晶面が露出していない。したがって、AlN層の成長の始点となる核が各突起の側面において生成し難く、AlN層の結晶の方位が、PSSの結晶の方位と一致し難い。その結果、MOCVD等の気相成長法によってPSSの表面に直接形成されたAlN層は、UVC‐LEDの発光効率が高まる程度に優れた結晶性を有し難い。例えば、上記特許文献1に記載の通り、気相成長法によってPSSの表面に直接形成されたAlN層は多結晶を含む。AlN層の結晶性の劣化に因り、AlN層上に積層される各半導体層(発光層等)の結晶性が劣化する。例えば、多数の格子欠陥(例えば貫通転位)がn型半導体層内に形成され易い。各半導体層の結晶性の劣化は、UVC‐LEDの発光効率の低下、UVC‐LEDの生産コストの増加及びUVC‐LEDの短寿命化を引き起こす。気相成長法によってPSSの表面に形成されたAlN層の結晶性を向上させるためには、AlN層を厚くする必要がある。例えば、気相成長法によってPSSの表面に形成されたAlN層が十分な結晶性を有するためには、AlN層の厚みが10μm以上であることが望ましい。しかし、AlN層の厚みの増加に伴い、AlN層の形成に要する時間が増加し、UVC‐LEDの生産性が低下する。さらに、AlN層の厚みの増加に伴い、AlN層及びPSSの界面近傍に作用する応力が増加し、AlN層及びPSSの界面近傍において亀裂(crack)が形成され易い。AlN層の厚みの増加に因りAlN層の結晶性が向上する場合であっても、AlN層及びPSSの界面近傍におけるAlN層の結晶性を向上させることは困難である。
本発明の一側面の目的は、結晶性に優れた窒化アルミニウム層(AlN層)を含む基板、当該基板を含む発光素子、及び基板の製造方法を提供することである。
本発明の一側面に係る基板は、窒化アルミニウムの単結晶からなるAlN層と、α‐アルミナの単結晶からなるサファイア層と、を含む。複数の突起が、サファイア層の表面に形成されている。複数の突起は、α‐アルミナの(0001)面に略平行な方向において略等間隔で並んでいる。複数の突起は、α‐アルミナの単結晶の一部である。AlN層は、複数の突起が形成されたサファイア層の表面を覆っている。窒化アルミニウムの(0001)面は、α‐アルミナの(0001)面に略平行である。窒化アルミニウムの単結晶は、希土類元素、アルカリ土類元素及びアルカリ金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加元素を含む。
AlN層の厚みは、10nm以上1000nm以下であってよい。
AlN層の表面の面内(In‐Plane)方向において測定される窒化アルミニウムの(1-100)面のロッキングカーブ(rocking curve)の半値全幅(Full Width at Half Maximum; FWHM)は、0°以上0.4°以下であってよい。
複数の突起其々は、錐体であってよく、錐体の側面と錐体の底面との間の角度は、0°より大きく53°以下であってよい。
AlN層の表面において複数の突起に重なる部分が、突出していてよい。
本発明の一側面に係る基板は、発光素子に用いられてよい。
本発明の一側面に係る発光素子は、上記の基板を含む。
本発明の一側面に係る発光素子は、基板と、AlN層に重なるn型半導体層と、n型半導体層に重なる発光層と、発光層に重なるp型半導体層と、を含んでよい。
本発明の一側面に係る基板の製造方法は、上記の基板を製造する方法である。本発明の一側面に係る基板の製造方法は、酸化アルミニウムを含む酸化物層を、α‐アルミナの単結晶からなるサファイア基板の表面に形成する工程と、添加元素を酸化物層に付着させる工程と、添加元素が付着された酸化物層を還元窒化する工程と、を含む。複数の突起が、サファイア基板の表面に形成されている。複数の突起は、α‐アルミナの(0001)面に略平行な方向において略等間隔で並んでいる。複数の突起は、α‐アルミナの単結晶の一部である。添加元素は、希土類元素、アルカリ土類元素及びアルカリ金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。
本発明の一側面によれば、結晶性に優れた窒化アルミニウム層(AlN層)を含む基板、当該基板を含む発光素子、及び基板の製造方法が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板の模式的な断面図である。 図2は、窒化アルミニウムの結晶構造の斜視図である。 図3は、窒化アルミニウムの結晶構造の単位胞(unit cell)における基本ベクトル、結晶方位及び結晶面を示す模式図である。 図4は、α‐アルミナの結晶構造の斜視図及び上面図である。 図5は、α‐アルミナの結晶構造の単位胞における基本ベクトル、結晶方位及び結晶面を示す模式図である。 図6は、サファイア層の表面に形成された複数の突起のうちの一つの斜視図である。 図7は、複数の突起が形成されたサファイア層の表面の模式的な正面図である。 図8は、面内方向におけるロッキングカーブの測定方法を示す模式図である。 図9は、AlN層の表面の面内方向において測定される窒化アルミニウムの(1-100)面のロッキングカーブの一例である。 図10は、本発明の一実施形態に係る基板を含む発光素子の模式的な断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態が説明される。図面において、同等の構成要素には同等の符号が付される。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。図1、図7、図8及び図10に示されるX,Y及びZは、互いに直交する3つの座標軸を意味する。各座標軸が示す方向は、図1、図7、図8及び図10に共通する。
(基板、及び基板の製造方法)
図1は、AlN層L1の表面SL1及びサファイア層L2の表面SL2に略垂直な方向における基板10の断面を示す。本実施形態に係る基板10は、AlN層L1と、サファイア層L2と、を含む。AlN層L1は、サファイア層L2の表面SL2に直接積層されている。基板10は、AlN層L1及びサファイア層L2のみからなっていてよい。
図1及び図7に示されるように、複数の突起2が、サファイア層L2の表面SL2の少なくとも一部又は全体に形成されている。複数の突起2は、寸法及び形状において互いに略等しくてよい。複数の突起2は、サファイア層L2を構成するα‐アルミナの(0001)面に略平行な方向(X軸方向及びY軸方向)において略等間隔で並んでいる。
図1に示される基板10のように、AlN層L1の表面SL1において複数の突起2に重なる部分1が、複数の突起2に沿って突出していてよい。AlN層L1の表面SL1とは、AlN層L1の表面のうちサファイア層L2に接する表面の裏面である。図10に示される基板10のように、AlN層L1の表面SL1の全体が平坦であってもよい。複数の突起2の高さは、サファイア層L2の厚みに比べて著しく小さいので、肉眼によって観察されるサファイア層L2の表面SL2は略平坦である。肉眼によって観察されるAlN層L1の表面SL1も略平坦である。
AlN層L1は、窒化アルミニウム(AlN)の単結晶(のみ)からなる。つまり、AlN層のL1の全体が、窒化アルミニウムの一つの単結晶(のみ)からなっている。サファイア層L2は、α‐アルミナ(α‐Al)の単結晶(のみ)からなる。サファイア層L2の表面SL2に形成された複数の突起2は、サファイア層L2を構成するα‐アルミナの単結晶の一部である。つまり、複数の突起2はサファイア層L2の一部であり、複数の突起2を含むサファイア層L2の全体が、α‐アルミナの一つの単結晶(のみ)からなっている。
AlN層L1は、複数の突起2が形成されたサファイア層L2の表面SL2の少なくとも一部又は全体を直接覆っている。つまり、複数の突起2其々が、AlN層L1を構成するAlNの単結晶に接している。サファイア層L2の表面SL2のうち隣り合う一対の突起2の間に位置する部分(例えば、平面)も、AlN層L1を構成するAlNの単結晶に接している。
AlN層L1を構成する窒化アルミニウムの結晶構造は、六方晶系のウルツ鉱(wurtzite)型構造である。窒化アルミニウムのウルツ鉱型構造は、図2に示される。ウルツ鉱型構造の単位胞は、図3に示される。基本ベクトル、結晶方位及び結晶面の表記のために、図3中の原子は省略されているが、ウルツ鉱型構造の単位胞uc1(正六角柱)の12個の頂点其々には、アルミニウムが配置される。図3中のa、a2、及びcは、ウルツ鉱型構造の単位胞uc1を構成する基本ベクトル(結晶軸)である。aの方位は[1000]である。aの方位は[0100]である。aの方位は[0010]である。cの方位は[0001]である。a、a及びa其々の長さは、互いに等しい。a、a及びaのいずれもcに垂直である。a、a及びaが互いになす角度は、120°である。
サファイア層L2を構成するα‐アルミナの結晶構造は、コランダム(corundum)型構造である。コランダム型構造は、正確には菱面体晶(rhombohedral crystal)であるが、コランダム型構造は六方晶で近似されてよい。α‐アルミナのコランダム型構造は、図4に示される。図4に示される六角形の図形は、c軸方向からみられるコランダム型構造(正六角柱)におけるアルミニウム原子及び酸素原子の配置を示している。コランダム型構造の単位胞は、図5に示される。基本ベクトル、結晶方位及び結晶面の表記のために、図5中の原子は省略されているが、コランダム型構造の単位胞uc2(正六角柱)の12個の頂点其々には、酸素が配置される。図5中のa、a2、及びcは、コランダム型構造の単位胞uc2を構成する基本ベクトル(結晶軸)である。aの方位は[1000]である。aの方位は[0100]である。aの方位は[0010]である。cの方位は[0001]である。a、a及びa其々の長さは、互いに略等しい。a、a及びaのいずれもcに略垂直である。a、a及びaが互いになす角度は、略120度である。α‐アルミナの(0001)面は、α‐アルミナのc面と言い換えられてよい。
AlN層L1を構成する窒化アルミニウムの単結晶の(0001)面は、サファイア層L2を構成するα‐アルミナの単結晶の(0001)面に略平行である。例えば、図3中の窒化アルミニウムの単結晶の(0001)面は、図1及び図7中のX軸及びY軸に略平行であり、図5中のα‐アルミナの単結晶の(0001)面も、図1及び図7中のX軸及びY軸に略平行である。複数の突起2は、サファイア層L2を構成するα‐アルミナの単結晶の一部であるので、AlN層L1を構成する窒化アルミニウムの単結晶の(0001)面は、複数の突起2其々を構成するα‐アルミナの単結晶の(0001)面に略平行である。複数の突起2其々は、サファイア層L2を構成するα‐アルミナの単結晶の(0001)面に略垂直な方向(図1及び図7中のZ軸方向)において延びている。換言すれば、複数の突起2其々は、AlN層L1を構成する窒化アルミニウムの単結晶の(0001)面に略垂直な方向において延びている。
以下に記載の「AlN層L1の(0001)面」とは、AlN層L1を構成する窒化アルミニウムの単結晶の(0001)面を意味する。以下に記載の「サファイア層L2の(0001)面」とは、サファイア層L2を構成するα‐アルミナの単結晶の(0001)面を意味する。
AlN層L1を構成する窒化アルミニウムの単結晶は、希土類元素、アルカリ土類元素及びアルカリ金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加元素Mを含む。希土類元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であってよい。アルカリ土類元素は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であってよい。アルカリ金属元素は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びラジウム(Ra)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であってよい。
本実施形態に係る基板10の製造方法は、酸化アルミニウム(Al)を含む酸化物層を、α‐アルミナの単結晶からなるサファイア基板(PSS)の表面に形成する工程と、添加元素Mを酸化物層に付着させる工程と、添加元素Mが付着された酸化物層を還元窒化する工程と、を含む。複数の突起が、サファイア基板の表面に形成されている。複数の突起は、サファイア基板を構成するα‐アルミナの(0001)面に略平行な方向において略等間隔で並んでいる。複数の突起は、サファイア基板を構成するα‐アルミナの単結晶の一部である。
サファイア基板(PSS)は、基板10を構成するサファイア層L2に対応する。酸化物層が形成されるサファイア基板の表面は、基板10を構成するサファイア層L2の表面SL2に対応する。サファイア基板の表面に形成された複数の突起は、基板10を構成するサファイア層L2の表面SL2に形成された複数の突起2に対応する。
酸化物層はサファイア基板の表面に新たに形成される層であり、酸化物層はサファイア基板の表面自体とは異なる。添加元素Mが付着された酸化物層の還元窒化によって、添加元素Mを含むAlN層L1がサファイア基板(サファイア層L2)の表面(表面SL2)に形成される。酸化物層が形成されていないサファイア基板の表面は直接還元窒化されない。
酸化物層は、サファイア基板の表面に形成された複数の突起其々の表面に直接形成される。その結果、酸化物層に含まれる酸化アルミニウムの結晶構造は、複数の突起其々を構成するα‐アルミナの結晶構造と連続し易く、酸化物層に含まれる酸化アルミニウムの(0001)面は、複数の突起其々を構成するα‐アルミナの(0001)面と略平行になり易い。したがって、酸化物層(酸化アルミニウム)の還元窒化によって形成されるAlN層L1の(0001)面も、複数の突起其々を構成するα‐アルミナの(0001)面と略平行になり易い。
酸化物層の還元窒化の過程において、添加元素Mは酸化物層の還元窒化を促進する。例えば、添加元素Mが酸化物層からの酸素の除去と酸化物層への窒素の導入を促進する。その結果、結晶性に優れたAlN層L1が形成され易い。つまり、添加元素Mが付着された酸化物層の還元窒化によって形成されたAlN層L1は、添加元素Mが付着されていない酸化物層の還元窒化によって形成されたAlN層よりも結晶性に優れている。
上記のメカニズムに因り、添加元素Mを含むAlN層L1はサファイア基板(サファイア層L2)の高い結晶性を引き継ぐことができる。つまりサファイア層L2の表面SL2に形成されたAlN層L1は、サファイア層L2と同様に優れた結晶性を有し、AlN層L1の(0001)面の方位が、サファイア層L2の(0001)面の方位と略一致する。例えば、サファイア層L2の(0001)面と略平行な(0001)面を有する窒化アルミニウムの単結晶が、サファイア層L2の一部である複数の突起2其々の表面に直接形成されていてよい。
AlN層L1が添加元素Mを含むことにより、AlN層L1の表面SL1が平滑になり易い。AlN層L1の優れた結晶性と表面の平滑性に因り、AlN層L1の表面SL1に形成される窒化物半導体層(例えばn型AlGaN層)における結晶欠陥が抑制され易く、窒化物半導体層の結晶性が向上し、窒化物半導体層の平滑な表面が形成され易い。
酸化物層の還元窒化が促進され易く、AlN層L1の結晶性が向上し易いことから、AlN層L1は、添加元素Mとして、Eu及びCaのうち少なくとも一種の元素を含むことが好ましい。
本実施形態によれば、AlN層L1が薄い場合であっても、AlN層L1は結晶性に優れ、AlN層L1の(0001)面の方位が、サファイア層L2の(0001)面の方位と略一致する。例えば、AlN層L1の厚みTは、10nm以上1000nm以下であってよい。AlN層L1の厚みTは略均一であってよい。AlN層L1の厚みTは不均一であってもよい。AlN層L1の厚みTは、AlN層L1の(0001)面に略垂直な方向(図1中のZ軸方向)におけるAlN層L1の幅と言い換えられてよい。AlN層L1の厚みTは、サファイア層L2の(0001)面に略垂直な方向(図1中のZ軸方向)におけるAlN層L1の幅と言い換えられてよい。
AlN層L1の厚みTが10nm以上である場合、複数の突起2を含むサファイア層L2の表面SL2の全体が均一且つ確実にAlN層L1で覆われ易い。AlN層L1の厚みTが1000nmよりも大きい場合、酸化物層の形成、及び添加元素Mが付着された酸化物層の還元窒化に要する時間が過度に増加し、基板10の生産性が低下する。AlN層L1の厚みTが1000nm以下である場合、AlN層L1及びサファイア層L2の界面近傍に作用する応力が抑制され易く、AlN層L1及びサファイア層L2の界面近傍における亀裂が抑制され易く、AlN層L1の結晶性が向上し易い。
AlN層L1の結晶性は、AlN層L1の表面SL1の面内方向において測定される窒化アルミニウムの(1-100)面のロッキングカーブの半値全幅に基づいて評価される。(1-100)面のロッキングカーブの半値全幅は小さいことが好ましい。AlN層L1中の格子欠陥(転位等)が少ないほど、(1-100)面のロッキングカーブの半値全幅は小さい。(1-100)面のロッキングカーブの半値全幅が小さいほど、AlN層L1の(1-100)面の配向度が高く、AlN層L1は結晶性に優れている。
AlN層L1の表面SL1の面内方向は、AlN層L1の(0001)面に略平行である面内方向と言い換えられてよい。AlN層L1の表面SL1の面内方向は、サファイア層L2の(0001)面に略平行である面内方向と言い換えられてもよい。
以下に記載の「RC(1-100)」は、AlN層L1の表面SL1の面内方向において測定される窒化アルミニウムの(1-100)面のロッキングカーブを意味する。
例えば、RC(1-100)の半値全幅は、0°以上0.40°以下、0°以上0.30°以下、0°以上0.24°以下、0°以上0.21°以下、0°以上0.19°以下、0.15°以上0.40°以下、0.15°以上0.30°以下、0.15°以上0.24°以下、0.15°以上0.21°以下、又は0.15°以上0.19°以下であってよい。RC(1-100)の半値全幅が0.40°以下である場合、AlN層L2に直接又は間接的に積層される窒化物半導体層中の格子欠陥(例えば転位)が抑制される。つまりRC(1-100)の半値全幅が0.40°以下である場合、AlN層L1の表面SL1に直接又は間接的に重なる窒化物半導体層は、サファイア層L2及びAlN層L1と同様に、優れた結晶性を有することができる。その結果、基板10及び窒化物半導体層を含む発光素子の発光効率が高まる。
RC(1-100)は、AlN層L1の表面SL1におけるφスキャンによって測定される。φスキャンの概要は、図8に示される。φスキャンは、In Plane測定の一種である。説明の便宜上、基板10は円盤(ウェハー)であり、AlN層L1の表面SL1の形状は、円である。φスキャンでは、基板10がAlN層L1の表面SL1の中心に対して回転する。つまり、AlN層L1の表面SL1の中心は基板10の回転中心であり、φは基板10の回転角である。φの単位は、°(degree)である。φスキャンでは、入射X線がX線源XRからAlN層L1の表面SL1の中心へ照射される。方向d1は、入射X線の方向である。φスキャンに用いる入射X線は、AlN層L1の表面SL1に略平行である。入射X線は、窒化アルミニウムの(1-100)面において回折され、回折X線として検出器Dによって検出される。φスキャンによって測定される回折X線は、AlN層L1の表面SL1に略平行である。基準点が、AlN層L1の表面SL1において入射X線が照射される位置(つまり表面SL1の中心)と定義される場合、方向d2は、基準点から検出器Dへ向かう方向である。つまり方向d2は、入射X線が照射される位置に対する検出器Dの方向である。2θは、窒化アルミニウムの(1-100)面に由来する回折X線の回折角である。φスキャンとは、方向d1と方向d2との間の角度を回折角2θに固定し、窒化アルミニウムの(1-100)面に由来する回折X線の強度を、φの変化に伴って連続的に測定する方法である。窒化アルミニウムの(1-100)面のロッキングカーブは、窒化アルミニウムの(1-100)面に由来する回折X線の強度のツイスト(twist)分布と言い換えられてよい。回折X線の強度の単位は、例えば、任意単位(arbitrary unit)又はcps(cоunts per secоnd)であってよい。
図9は、AlN層L1の表面SL1の面内方向において測定される窒化アルミニウムの(1-100)面のロッキングカーブの一例である。ロッキングカーブの横軸はΔφである。ロッキングカーブの縦軸は、回折X線の強度である。ロッキングカーブの横軸における原点は、窒化アルミニウムの(1-100)面に由来する回折X線の強度が最大であるφに対応する。φが、窒化アルミニウムの(1-100)面に由来する回折X線の強度が最大であるφと定義される場合、窒化アルミニウムの(1-100)面のロッキングカーブは、φが(φ-Δφ)以上(φ+Δφ)以下である範囲における(1-100)面の回折X線の強度の分布である。入射X線は、銅(Cu)の特性X線(CuKα線)であってよい。窒化アルミニウムの(1-100)面に由来する回折X線の回折角2θは、約33.22°であってよい。
図6に示されるように、複数の突起2其々は、錐体(例えば円錐)であってよい。突起2(錐体)の側面と突起2(錐体)の底面との間の角度αは、0°より大きく53.0°以下、0°より大きく52.4°以下、30.0°以上53.0°以下、30.0°以上52.4°以下、30.5°以上53.0°以下、30.5°以上52.4°以下、45.0°以上53.0°以下、又は45.0°以上52.4°以下であってよい。
複数の突起2が存在するためには、当然に角度αは0°より大きい。角度αが30.0°以上(より好ましくは45°以上)である場合、基板10を含む発光素子(例えば、UVC‐LED)における光の内部全反射が抑制され易い。角度αが53.0°以下である場合、サファイア層L2の(0001)面に略平行な(0001)面を有する窒化アルミニウムの単結晶からなるAlN層L1が形成され易い。換言すれば、角度αが53.0°以下である場合、サファイア層L2の(0001)面に略平行な(11-20)面を有する窒化アルミニウムの結晶がAlN層L1中に形成され難い。その結果、結晶方位において異なる二種類の窒化アルミニウムの結晶の間の界面(粒界)における光の反射及び散乱が抑制され、発光素子の発光効率が高まる。
突起2(錐体)の高さhは限定されない。例えば、突起2(錐体)の高さhは、500nm以上700nm以下であってよい。
突起2(錐体)の底面の最大幅d(例えば、円の直径)は限定されない。例えば、突起2(錐体)の底面の最大幅dは、1000nm以上1700nm以下であってよい。
図7に示されるように、サファイア層L2の(0001)面に略平行な方向(X軸方向及びY軸方向)において、正三角形の3つの頂点其々が一つの突起2の重心と一致するように、複数の突起2が略等間隔で並進対称的にサファイア層L2の表面SL2に並んでいてよい。突起2の重心は、突起2の頂点、又は突起2の幾何中心と言い換えられてよい。
サファイア層L2の(0001)面に略平行な方向において隣り合う一対の突起2の重心の間隔iは、限定されない。例えば、突起2(錐体)の底面の最大幅がdと表される場合、隣り合う一対の突起2の重心の間隔iは、d以上2d未満であってよい。
酸化物層及びAlN層L1の形成の前後において、サファイア層L2(PSS)の表面SL2に形成された複数の突起2其々の寸法、形状及び位置は、略一定であってよい。AlN層L1の前駆体である酸化物層が形成される前に、複数の突起2其々の寸法、形状及び位置が、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定されてよい。AlN層L1及びサファイア層L2の積層方向(図1中のZ軸方向)に略平行である基板10の断面において、複数の突起2其々の寸法、形状及び位置が透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定されてもよい。
例えば、複数の突起2を含むサファイア層L2の厚みは、約50μm以上3000μm以下であってよい。サファイア層L2の厚みは、略均一であってよい。例えば、α‐アルミナの(0001)面に略平行な方向におけるサファイア層L2(又は基板10)の縦幅は、50mm以上300mm以下であってよい。例えば、α‐アルミナの(0001)面に略平行な方向におけるサファイア層L2(又は基板10)の横幅は、50mm以上300mm以下であってよい。サファイア層L2(又は基板10)は、円盤(ウェハー)であってよい。サファイア層L2(又は基板10)の形状は、矩形であってもよい。
AlN層L1は、添加元素Mの濃度の合計が1原子ppm以上1000原子ppm以下である領域を含んでよい。添加元素Mの濃度の合計が1原子ppm以上1000原子ppm以下である領域は、「M含有領域」と表記される。M含有領域における添加元素Mの濃度の合計の最小値が1原子ppmであってよく、M含有領域における添加元素Mの濃度の合計の最大値が1000原子ppmであってよい。AlN層L1のうちM含有領域を除く領域も、添加元素Mを含んでよい。AlN層L1のうちM含有領域を除く領域は、添加元素Mを含まなくてもよい。AlN層L1のうちM含有領域を除く領域における添加元素Mの濃度の合計は、0原子ppm以上1原子ppm未満であってよい。M含有領域における添加元素Mの濃度の合計は、還元窒化前の酸化物層の表面に付着する添加元素Mの質量又は物質量に基づいて制御されてよい。
AlN層L1中に残存する添加元素Mの濃度の合計を1原子ppm以上に制御することにより、酸化物層(AlN層L1の前駆体)を構成する酸素の殆どは還元窒化によって除去され、AlN層L1中に残存しない。その結果、結晶性に優れたAlN層L1が形成され易く、RC(1-100)の半値全幅が0°以上0.40°以下になり易い。酸化物層からの酸素の除去に伴って添加元素Mは窒化されてよく、添加元素Mは窒化物としてAlN層L1中に残存してよい。AlN層L1中に残存する添加元素Mの濃度の合計を1000原子ppm以下に制御することにより、添加元素Mに由来する化合物(例えばMの窒化物)に因るAlN層L1の結晶性の劣化が抑制され易い。還元窒化前の酸化物層の表面に付着する添加元素Mの大部分は、酸化物層の還元窒化の過程において気化してよく、AlN層L1中に残存しなくてよい。AlN層L1における添加元素Mの濃度の合計は、AlN層L1の表面SL1からサファイア層L2の表面SL2に向かう方向に沿って増加してよい。
AlN層L1の結晶性が向上し易いことから、AlN層L1の全体における添加元素Mの濃度の合計が、1原子ppm以上1000原子ppm以下であってもよい。
添加元素Mは、AlN層L1とサファイア層L2との間の境界近傍に存在してよい。例えば、AlN層L1のうちAlN層L1及びサファイア層L2の境界に沿う境界領域が、上記の添加元素Mを含んでよい。つまり、境界領域が、添加元素Mの濃度の合計が1原子ppm以上1000原子ppm以下である領域(M含有領域)であってよい。境界領域が添加元素Mを含む場合、境界領域に応力が集中し易く、AlN層L1全体の反りが抑制され易い。反りが抑制されたAlN層L1を含む基板10は、発光素子の製造に適している。特に、Al、N及びOに比べてイオン半径が大きい添加元素Mが境界領域に含まれる場合、境界領域に応力が集中し易い。境界領域に含まれる添加元素Mの少なくとも一部は、Eu及びCaのうち少なくとも一種であってよい。境界領域が、Eu及びCaのうち少なくとも一種を含むことにより、境界領域に起因する上記の効果が得られ易い。
上記の境界領域は、AlN層L1のうちサファイア層L2の表面SL2からの距離が1000nm以下、500nm以下、200nm以下、100nm以下、又は50nm以下である領域であってよい。境界領域は、Al、N及び添加元素Mのみから構成されてよい。境界領域は、Al、N、添加元素M及びOのみから構成されてよい。境界領域におけるNの含有量は、AlN層L1の表面SL1からサファイア層L2の表面SL2に向かう方向に沿って減少してよい。一方、境界領域におけるOの含有量は、AlN層L1の表面SL1からサファイア層L2の表面SL2に向かう方向に沿って増加してよい。
窒化アルミニウムの結晶性が損なわれない限りにおいて、AlN層L1は、Al、N及び添加元素Mに加えて、他の元素(不純物等)を含んでよい。例えば、AlN層L1のうちAlN層L1及びサファイア層L2の境界に沿う境界領域が、Al、N及び添加元素Mに加えて、微量の酸素(O)を含んでよい。つまり、AlN層L1においてサファイア層L2に面する領域は、微量の酸素を含んでよい。
サファイア層L2は、Al及びOに加えて、他の元素(不純物等)を含んでよい。例えば、サファイア層L2はのうちAlN層L1及びサファイア層L2の境界に沿う境界領域が、微量の窒素(N)を含んでよい。つまり、サファイア層L2においてAlN層L1に面する領域は、微量の窒素を含んでよい。
AlN層L1及びサファイア層L2は組成及び結晶構造において異なる。したがって、AlN層L1及びサファイア層L2の積層方向に略平行である基板10の断面の画像内において、AlN層L1及びサファイア層L2はコントラストに基づいて識別可能である。AlN層L1及びサファイア層L2の間の界面(境界)は、基板10の断面の画像において特定可能である。したがって、AlN層L1の厚みTは、基板10の断面の画像において測定されてよい。基板10の断面の画像は、TEM又はSEMを用いて撮影されてよい。
AlN層L1の結晶性が損なわれない限りにおいて、AlN層L1は、微量の酸窒化アルミニウムを含んでもよい。例えば、AlN層L1のうち上記の境界領域が、微量の酸窒化アルミニウムを含んでもよい。ただし、酸窒化アルミニウムは、AlN層L1の結晶性を損ない易い。また酸窒化アルミニウムは、光の反射の一因であり、基板10を含む発光素子の発光能を損ない易い。したがって、AlN層L1は酸窒化アルミニウムを含まないことが好ましい。酸窒化アルミニウムの具体的組成は限定されないが、例えば、酸窒化アルミニウムは下記化学式1で表されてよい。下記化学式1中のVpは、陽イオンの空孔であり、下記化学式1中のxは、2より大きく6未満である。
Al(64+x)/3Vp(8-x)/332-x (1)
(基板の製造方法の詳細)
上述の通り、基板10の製造方法は、酸化アルミニウムを含む酸化物層を、寸法及び形状において等しい複数の突起が略等間隔で形成されたパターン化サファイア基板(PSS)の表面に形成する工程(被覆工程)と、添加元素Mを酸化物層に付着させる工程(付着工程)と、添加元素Mが付着された酸化物層を還元窒化する工程(還元窒化工程)と、を含む。各工程の詳細は以下の通りである。
被覆工程では、酸化物層が、PSSの一方の表面に形成される。酸化物層に含まれる酸化アルミニウムは、α‐アルミナであってよい。酸化物層は、酸化アルミニウムのみからなっていてよい。酸化物層はAlN層L1の前駆体である。酸化物層は、PSSの一方の表面の一部又は全体に直接重なる。酸化物層は、有機金属分解(Metal Organic Decomposition: MOD)法によって形成されてよい。有機金属分解法では、Alの有機化合物を含む原料溶液が調整される。原料溶液はPSSの表面に塗布される。PSSの表面に塗布された原料溶液を乾燥することにより、Alを含む膜(未酸化膜)がPSSの表面に形成される。未酸化膜を大気中で加熱することにより、未酸化膜中の有機化合物が分解及び除去され、未酸化膜中のAlが酸化される。その結果、未酸化膜から酸化物層が形成される。原料溶液中のAlの濃度(単位:モル/リットル)、及びPSSの表面に塗布される原料溶液の体積又は質量に基づいて、酸化物層の厚みが調整されてよい。原料溶液の塗布及び乾燥による未酸化膜の形成、並びに大気中での未酸化膜の加熱(酸化)を交互に繰り返すことにより、酸化物層の厚みを増加させてよい。酸化物層の厚みは、AlN層L1の厚みと略同じであってよい。したがって、酸化物層の厚みに基づいてAlN層L1の厚みが制御されてよい。酸化物層の厚みは、例えば、10nm以上1000nm以下であってよい。酸化物層の厚みは、酸化物層が形成されたPSSの断面においてTEM又はSEMを用いて測定されてよい。
被覆工程に用いるPSSは、基板10を構成するサファイア層L2に相当する。酸化物層が形成されるPSSの表面の結晶方位は、PSSを構成するα‐アルミナの単結晶の[0001]である。換言すれば、複数の突起が、α‐アルミナの単結晶の(0001)面に略平行な方向において、PSSの表面に略等間隔に並んでいる。PSSの寸法及び形状は、特に限定されない。PSSの厚みは、例えば、50μm以上3000μm以下であってよい。PSSは、ウェハーであってよい。ウェハーの直径は、例えば、50mm以上300mm以下であってよい。PSSの形状は、矩形であってもよい。例えば、PSSの製造方法は、複数の突起の寸法、形状及び位置に対応するフォトレジストマスクを平坦なサファイア基板上に形成する工程と、誘導結合プラズマ(ICP)ドライエッチング等のエッチングにより、フォトレジストマスクが形成されたサファイア基板の表面を処理する工程と、を含む。市販のPSSが被覆工程に用いられてよい。
還元窒化工程では、酸化物層が還元窒化される。例えば還元窒化工程では、酸化物層が形成されたサファイア基板が窒素ガス中で加熱される。その結果、酸化物層中の酸素が窒素で置換され、酸化物層がAlN層L1になる。還元窒化工程では、酸化物層の全体がAlN層L1になってよい。つまり、還元窒化工程後、酸化物層は残存しなくてよい。
還元窒化工程では、酸化物層が、1450℃以上1700℃以下である還元窒化温度で還元窒化されてよい。例えば、窒素ガス中で加熱されるサファイア基板の温度が、1450℃以上1700℃以下であってよい。
酸化層を1450℃以上である高温で還元窒化することに因り、窒化アルミニウムの結晶化が促進され、またAlN層L1とサファイア基板(サファイア層L2)との界面における格子欠陥が抑制され易い。その結果、RC(1-100)の半値全幅が0°以上0.4°以下であるAlN層L1が形成され易い。
還元窒化温度が1600℃以上である場合、AlN層L1中及びサファイア層L2中の酸窒化アルミニウムの生成が抑制され易く、酸窒化アルミニウムに因るAlN層L1の結晶性の劣化が抑制され易い。その結果、RC(1-100)の半値全幅が0°以上0.4°以下であるAlN層L1が形成され易い。
仮に還元窒化温度が1450℃未満である場合、窒素が酸化物層内へ十分に拡散せず、窒化アルミニウムの結晶化が促進され難い。その結果、RC(1-100)の半値全幅が0.4°を超え易い。
仮にAlN層L1が従来の気相成長法(例えばMOCVD)によってPSSの表面に直接形成される場合、AlN層L1とPSS(サファイア層)との界面における格子欠陥(格子不整合)に因り、AlN層L1の結晶性が損なわれ易い。その結果、RC(1-100)の半値全幅が0.4°を超え易い。
仮にAlN層L1が従来の気相成長法で形成された後、AlN層L1が1450℃以上1700℃以下で加熱される場合、AlN層L1とPSS(サファイア層)との間の熱膨張率の差に因り、応力がAlN層L1において生じ易い。応力に因りAlN層L1が割れ易い。その結果、RC(1-100)の半値全幅が0.4°を超え易い。
仮に、酸化物層が形成されていないサファイア基板の表面の直接還元窒化することによってAlN層L1が形成された場合、RC(1-100)の半値全幅は、0.40°よりも大きい傾向がある。
還元窒化工程前に実施される付着工程では、上述の添加元素Mが、酸化物層の表面の一部又は全体に付着される。つまり、還元窒化工程では、添加元素Mが表面に付着した酸化物層が還元窒化される。例えば、添加元素Mを含む有機金属化合物の溶液が、酸化物層の表面に塗布されてよい。さらに、添加元素Mを含む溶液が塗布された酸化物層を大気中で加熱することにより、有機成分のみが分解及び焼失されてよい。添加元素Mを含む有機金属化合物の溶液として、有機金属分解(MOD)法に用いられる有機金属化合物の溶液が用いられてよい。
還元窒化工程において、添加元素Mは、酸化物層の還元窒化を促進する。つまり、添加元素Mが付着した酸化物層が窒素ガス中で加熱される場合、添加元素Mが酸化物層の表面から酸素(O2-)を引き抜き、酸素欠陥が酸化物層の表面に形成される。窒素は酸素欠陥へ導入され、酸素欠陥を通じて酸化物層の表面から酸化物層の内部へ熱拡散し易い。その結果、高い結晶性を有するAlN層L1が酸化物層から形成され易い。還元窒化工程では、添加元素Mが窒素ガスと反応して添加元素Mの窒化物が生成してよい。Mの窒化物が酸化物中の酸素と反応して、添加元素Mの酸化物と窒化アルミニウムが生成してもよい。添加元素MはAlN層L1中に残存する。少なくとも一部の添加元素Mは、添加元素Mの酸化物として、AlN層L1から離脱してもよい。仮に付着工程が実施されず、添加元素Mが表面に付着していない酸化物層が還元窒化される場合、酸化物層が十分に還元窒化されず、非常に薄いAlN層L1が形成され易い。
酸化物層の表面に付着する少なくとも一部の添加元素Mは、Eu及びCaのうち少なくとも一種の元素であることが好ましい。Eu又はCaは、上述の添加元素の中でも電気陰性度が比較的小さい元素である。したがって、Eu又はCaは酸化物層の表面から酸素を引き抜き易く、酸素欠陥が酸化物層の表面に形成され易い。その結果、窒素が酸素欠陥を介して酸化物層内へ拡散し易い。また、Eu又はCaは、添加元素Mの中でも比較的融点が低い元素である。したがって、Eu又はCaは、低温においても、半ば液相として酸化物層の表面全体へ拡散し易い。その結果、AlN層L1の結晶性が高まり易い。
上述の通り、Eu及びCaは、比較的低温においても、酸化物の表面全体へ十分に拡散し易く、酸化物の還元窒化を促進することができる。したがって、窒素ガス中で加熱されるPSSの温度が、窒化アルミニウムが生成し難い低温であっても、Eu及びCaのうち少なくとも一方を用いることにより、高い結晶性を有するAlN層L1が形成され易い。窒化アルミニウムが生成し難い低温とは、例えば、1630℃未満である。しかし、Eu及びCaのうち少なくとも一方を用いることにより、1450℃以上1630℃未満である還元窒化温度で、酸窒化アルミニウムの生成を抑制しながら、高い結晶性を有するAlN層L1を形成することができる。
Eu及びCaよりも融点が高い添加元素Mを用いた場合、添加元素Mを酸化物層の表面全体へ拡散させるために、還元窒化温度は、Eu又はCaを用いる場合よりも高温でなければならない。しかし、還元窒化温度が高いほど、酸窒化アルミニウムがサファイア基板中に生成し易い。仮に還元窒化温度が1700℃より高い場合、AlN層L1の一部で酸窒化アルミニウムが形成され易いため、RC(1-100)の半値全幅が0.4°を超え易く、AlN層L1は単結晶層ではなくなる傾向がある。
還元窒化の継続時間、添加元素Mの使用量、及び窒素ガスの分圧又は供給量は、酸化物層の厚みに応じて調整されてよい。還元窒化の継続時間が長いほど、酸化物層の還元窒化が促進される。酸化物層の表面に付着する添加元素Mが多いほど、酸化物層の還元窒化が促進される。窒素ガスの分圧又は供給量が大きいほど、酸化物層の還元窒化が促進される。
窒素ガス中での酸化物層の還元窒化は、炭素粉末の存在下で実施されてよい。酸化物層から脱離した酸素が、雰囲気中の炭素と反応して一酸化炭素が生成してよい。
以上の方法により、サファイア層L2の表面SL2を直接覆うAlN層L1が形成され、基板10が完成される。
還元窒化工程に続く気相成長法により、AlN層L1を更に成長させてもよい。例えば、図1に示されるように、還元窒化工程によって形成されたAlN層L1の表面SL1において複数の突起2に重なる部分1が、複数の突起2に沿って突出している場合、還元窒化工程に続くMOCVDによってAlN層L1の厚みを増加させてよい。その結果、図10に示されるように、AlN層L1の表面SL1の全体が平坦になってよい。MOCVDにおいて用いられるAlN層L1の原料は、例えば、トリメチルアルミニウム(C18Al)及びアンモニア(NH)であってよい。還元窒化工程に続く気相成長法は、発光素子の製造過程において実施されてよい。
(発光素子)
本実施形態に係る基板10は、発光素子に用いられてよい。つまり本実施形態に係る発光素子は、上記の基板10を含む。例えば、本実施形態に係る発光素子は発光ダイオードであってよい。発光ダイオードは、例えば、UVC LED又はDUV LED等の深紫外線発光ダイオードであってよい。以下では、基板10を含む発光素子の一例として、図10に示される発光ダイオード100が説明される。ただし、本実施形態に係る発光ダイオードの構造は、図10に示される積層構造に限定されない。発光素子の製造過程において、基板10を含む積層体が、複数のチップ型発光素子に分割されてよい。
本実施形態に係る発光ダイオード100は、基板10と、基板10を構成するAlN層L1(バッファー層)に重なるn型半導体層40と、n型半導体層40に重なる発光層42と、発光層42に重なるp型半導体層44と、n型半導体層40の表面に設置された第一電極48と、p型半導体層44の表面に設置された第二電極46と、を含む。障壁層(電子ブロック層)が発光層42とp型半導体層44との間に介在していてもよい。n型半導体層40、発光層42、p型半導体層44、第一電極48及び第二電極46其々は、スパッタリング、MOCVD又はMOPVD等の気相成長法によって形成されてよい。
AlN層L1(バッファー層)がサファイア層L2とn型半導体層40との間に配置されることにより、サファイア層L2とn型半導体層40との間の格子不整合が抑制され、基板10に積層される各半導体層の結晶欠陥が抑制され易い。
例えば、n型半導体層40は、n型の窒化ガリウム(n‐GaN)又はn型の窒化アルミニウムガリウム(n‐AlGaN)を含んでよい。n型半導体層40は、n‐GaN又はn‐AlGaNに加えて、珪素(Si)、炭素(C)及びチタン(Ti)等の4価元素を含んでよい。n型半導体層40は、複数の層から構成されていてよい。
例えば、発光層42は、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)又は窒化インジウムガリウム(InGaN)を含んでよい。発光層42は、複数の層から構成されていてよい。例えば、発光層42は、障壁層と井戸層とを含む多重量子井戸構造を有してよい。
例えば、p型半導体層44は、p型の窒化ガリウム(p‐GaN)又はp型の窒化アルミニウムガリウム(p‐AlGaN)を含んでよい。p型半導体層44は、更にマグネシウム(Mg)を含んでよい。p型半導体層44は、複数の層から構成されていてよい。例えば、p型半導体層44は、発光層42に重なるp型クラッド層と、p型クラッド層に重なるp型コンタクト層とを有してよい。
例えば、n型半導体層40に設置された第一電極48は、インジウム(In)を含んでよい。
例えば、p型半導体層44に設置された第二電極46は、ニッケル(Ni)及び金(Au)のうち少なくともいずれかを含んでよい。
発光ダイオード100が基板10を含むことにより、光の内部全反射が抑制され、光取り出し効率が増加する。発光ダイオード100が基板10を含むことにより、基板10(AlN層L1)の表面に直接又は間接的に積層される各半導体層(n型半導体層40、発光層42及びp型半導体層44)の結晶性が向上する。これらの理由に因り、発光ダイオード100の発光効率が高まり、光(例えば深紫外線)の強度が増加する。
以上、本発明の一実施形態が説明されたが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
例えば、サファイア層L2の表面SL2に形成された複数の突起2其々は、六角錐等の角錐、又は半球であってもよい。正方形の4つの頂点其々が一つの突起2の重心と一致するように、複数の突起2が略等間隔で並進対称的にサファイア層L2の表面SL2に並んでいてよい。AlN層L1で覆われたサファイア層L2の表面SL2の裏面においても、寸法及び形状において等しい複数の突起2が略等間隔で並んでいてよい。
本実施形態に係る基板10の用途は、発光ダイオードに限定されない。本実施形態に係る基板10は、紫外線レーザー等の半導体レーザー発振器に備わる基板であってもよい。つまり、本実施形態に係る発光素子は半導体レーザー発振器であってもよい。本実施形態に係る基板10は、パワートランジスタに用いられてもよい。本実施形態に係る基板10は、多様な半導体素子の基板に用いられてもよい。基板10を半導体素子の基板に用いることにより、半導体素子のパワーの損失が低減される。基板10は、圧電素子(例えば圧電薄膜素子)に用いられてよい。基板10を圧電素子に用いることにより、圧電素子の圧電特性が向上する。
以下では実施例及び比較例により本発明がさらに詳細に説明されるが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<基板の作製>
酸化物層用の原料溶液(第一溶液)として、Alの有機化合物を含むMOD用溶液が調製された。第一溶液中のAlの濃度は、0.4mоl/Lであった。
スピンコートにより、第一溶液がパターン化サファイア基板(PSS)の表面全体に塗布された。
PSSは、α‐アルミナの単結晶からなっていた。第一溶液が塗布されたPSSの表面は、α‐アルミナの(0001)面(c面)に平行であった。PSSは、ウェハーであった。PSSの直径は2インチであった。PSSの厚みは、0.45mmであった。PSSの厚みは、略均一であった。
寸法及び形状において等しい複数の円錐(突起)が、第一溶液が塗布されたPSSの表面全体において等間隔で並んでいた。各円錐の高さhは、下記表1に示される。各円錐の底面(円)の最大幅d(直径)は、下記表1に示される。各円錐における側面と底面との間の角度αは、下記表1に示される。
スピンコートは、2000rpmで20秒間実施された。PSSの表面に塗布された第一溶液を150℃で乾燥することにより、Alを含む膜(未酸化膜)がPSSの表面に形成された。未酸化膜を大気中において600℃で2時間加熱することにより、酸化アルミニウムからなる酸化物層がPSSの表面に形成された。
第一溶液の塗布及び乾燥による未酸化膜の形成、並びに大気中での未酸化膜の加熱(酸化)からなる一連の工程が、5回繰り返された。酸化物層の厚みは略均一であった。
スピンコートにより、Caの有機化合物を含むMOD用溶液(第二溶液)が酸化物層の表面全体に塗布された。第二溶液に含まれるCaは、添加元素Mの一種である。第二溶液におけるCaの有機化合物の濃度は、0.001mоl/Lであった。第二溶液を用いたスピンコートは、2000rpmで20秒間実施された。第二溶液の塗布後、PSSが150℃のホットプレート上で10分間乾燥された。PSSの乾燥後、PSSが空気中において600℃で2時間加熱された。
上記の工程を経たPSSがアルミナ板上に載せられた。5mgのカーボンの粉末(計20mgのカーボン)がPSSの周囲の4か所其々に配置された。Caを含む第二溶液が塗布されたPSSの表面は、アルミナ板に接することなく露出していた。アルミナ板の寸法は、縦100mm×横100mmであった。続いて、PSSの全体をアルミナ匣鉢(Saggar)で覆った後、PSSが窒化処理炉内の試料設置台に設置された。アルミナ匣鉢の寸法は縦75mm×横75mm×高さ70mmであった。窒化処理炉としては、カーボンをヒーターとする抵抗加熱型の電気炉が用いられた。窒化処理炉内でPSSを加熱する前に、回転ポンプと拡散ポンプを用いて0.03Paまで炉内が脱気された。次いで、炉内の気圧が100kPa(大気圧)になるまで、窒素ガスを炉内へ流した後、窒素ガスの供給が停止された。炉内への窒素ガスの供給後、炉内のPSSを還元窒化温度TRNで還元窒化時間tRNにわたって加熱することにより、PSSの表面に形成された酸化物層が還元窒化された。つまり、酸化物層の還元窒化により、AlN層がPSSの表面に形成された。実施例1の還元窒化温度TRNは、下記表1に示される。実施例1の還元窒化時間tRNは、下記表1に示される。炉内の昇降温速度は600℃/時間に調整された。還元窒化を経たPSSを室温まで冷却した後、PSSが炉外へ取り出された。
以上の手順で実施例1の基板が作製された。下記の分析及び測定のために、実施例1の基板として、複数の同じ基板が作製された。
<基板の分析>
以下のX線回折(XRD)法では、入射X線としてCuの特性X線(CuKα線)が用いられた。
AlN層の表面のOut‐оf‐Plane方向におけるθ‐2θスキャンによって、XRDパターンが測定された。実施例1のXRDパターンは、窒化アルミニウムのウルツ鉱型構造の(0002)面に由来する回折線のピークを有していた。窒化アルミニウムの(1-102)面の極図がXRD法で測定された。極図は、6回の回転対称性を示す6つのピークを有していた。XRDパターンは、窒化アルミニウム及びα‐アルミナ以外の結晶相に由来する回折線ピークを有していなかった。例えば、XRDパターンは、酸窒化アルミニウム(AlON)の結晶相に由来するピークを有していなかった。
上記の測定結果は、窒化アルミニウムの単結晶からなるAlN層が、α‐アルミナの単結晶からなるサファイア層(PSS)の表面に直接重なっていることを示していた。また上記の測定結果は、AlN層の(0001)面が、サファイア層の(0001)面に平行であることを示していた。
φスキャンにより、AlN層の表面の面内方向における窒化アルミニウムの(1-100)面のロッキングカーブRC(1-100)が測定された。実施例1のRC(1-100)の半値全幅FWHMは、下記表1に示される。
AlN層及びサファイア層の積層方向に略平行である基板の断面が、TEMによって観察された。基板の断面においてAlN層の厚みTが測定された。実施例1のAlN層の厚みTは、不均一であった。実施例1のAlN層の厚みTは、下記表1に示される範囲内であった。つまり、実施例1のAlN層の厚みTの最小値は150nmであり、実施例1のAlN層の厚みTの最大値は210nmであった。
実施例1の基板の表面をスパッタリングで徐々に掘りながら、AlN層の表面からの深さ方向に沿って、基板の組成が分析された。深さ方向とは、AlN層の表面に垂直であり、AlN層の表面からサファイア層の表面へ向かう方向である。組成の分析には、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)及びSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)が用いられた。深さ方向に沿った分析では、Al、N及び添加元素M(Ca)を含み、且つOを含まない部分(AlN層)が検出された後、Al及びOを含み、且つNを含まない部分(サファイア層)が検出された。
(実施例2~9及び比較例1)
実施例2~9及び比較例1其々のPSSの表面に形成された各円錐の高さhは、下記表1に示される。実施例2~9及び比較例1其々の円錐の底面(円)の最大幅d(直径)は、下記表1に示される。実施例2~9及び比較例1其々の円錐における側面と底面との間の角度αは、下記表1に示される。
実施例2~9其々の還元窒化温度TRN及び還元窒化時間tRNは、下記表1に示される。
実施例5の場合、酸化物層の形成から酸化物層の還元窒化までの一連の工程が、2回実施された。つまり実施例5の場合、酸化物層の形成から酸化物層の還元窒化までの一連の工程によってAlN層が形成された後、AlN層の表面における酸化物層の形成、第二溶液の酸化物層への塗布、酸化物層の加熱、及び酸化物層の還元窒化が実施された。実施例5の場合、1回目の還元窒化時間tRNは35時間であり、2回目の還元窒化時間tRNも35時間であった。
実施例9では、酸化物層の表面に塗布される第二溶液として、Euの有機化合物を含むMOD用溶液が用いられた。第二溶液におけるEuの有機化合物の濃度は、0.001mоl/Lであった。
比較例1の場合、一般的なMOCVDによってAlN層がPSSの表面に直接形成された。つまり比較例1の場合、酸化物層の形成から酸化物層の還元窒化までの一連の工程は実施されなかった。
上記の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2~9及び比較例1其々の基板が作製された。実施例1と同様の方法で、実施例2~9及び比較例1其々の基板が分析された。分析の結果は、以下の通りであった。
実施例2~9及び比較例1のいずれの場合も、窒化アルミニウムの単結晶からなるAlN層が、α‐アルミナの単結晶からなるサファイア層(PSS)の表面に直接重なっていた。実施例2~9及び比較例1のいずれの場合も、AlN層の(0001)面が、サファイア層の(0001)面に平行であった。
実施例2~9其々のAlN層は、下記表1に示される添加元素Mを含んでいた。比較例1のAlN層は、添加元素Mを含んでいなかった。
実施例2~9及び比較例1其々のRC(1-100)の半値全幅FWHMは、下記表1に示される。
実施例2~9のいずれの場合も、AlN層の厚みTは不均一であった。実施例2~9其々のAlN層の厚みTは、下記表1に示される範囲内であった。比較例1のAlN層の厚みTは略均一であった。比較例1のAlN層の厚みTは、下記表1に示される。
実施例1~9及び比較例1のいずれの場合も、AlN層の表面において複数の円錐(突起)に重なる部分が突出していた。
Figure 2023061163000002
本発明の一側面に係る基板は、例えば、深紫外線発光ダイオードの基板に用いられる。
L1…AlN層、L2…サファイア層、SL1…AlN層の表面、SL2…サファイア層の表面、2…突起、10…基板、40…n型半導体層、42…発光層、44…p型半導体層、46…第二電極、48…第一電極、100…発光ダイオード(発光素子)。

Claims (9)

  1. 窒化アルミニウムの単結晶からなるAlN層と、
    α‐アルミナの単結晶からなるサファイア層と、
    を備え、
    複数の突起が、前記サファイア層の表面に形成されており、
    前記複数の突起が、前記α‐アルミナの(0001)面に略平行な方向において略等間隔で並んでおり、
    前記複数の突起が、前記α‐アルミナの単結晶の一部であり、
    前記AlN層が、前記複数の突起が形成された前記サファイア層の前記表面を覆っており、
    前記窒化アルミニウムの(0001)面が、前記α‐アルミナの(0001)面に略平行であり、
    前記窒化アルミニウムの単結晶が、希土類元素、アルカリ土類元素及びアルカリ金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加元素を含む、
    基板。
  2. 前記AlN層の厚みが、10nm以上1000nm以下である、
    請求項1に記載の基板。
  3. 前記AlN層の表面の面内方向において測定される前記窒化アルミニウムの(1-100)面のロッキングカーブの半値全幅が、0°以上0.4°以下である、
    請求項1又は2に記載の基板。
  4. 前記複数の突起其々が、錐体であり、
    前記錐体の側面と前記錐体の底面との間の角度が、0°より大きく53°以下である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の基板。
  5. 前記AlN層の表面において前記複数の突起に重なる部分が突出している、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の基板。
  6. 発光素子に用いられる、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の基板。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の基板を備える、
    発光素子。
  8. 前記基板と、
    前記AlN層に重なるn型半導体層と、
    前記n型半導体層に重なる発光層と、
    前記発光層に重なるp型半導体層と、
    を備える、
    請求項7に記載の発光素子。
  9. 請求項1~6のいずれか一項に記載の基板を製造する方法であって、
    酸化アルミニウムを含む酸化物層を、α‐アルミナの単結晶からなるサファイア基板の表面に形成する工程と、
    添加元素を前記酸化物層に付着させる工程と、
    前記添加元素が付着された前記酸化物層を還元窒化する工程と、
    を備え、
    複数の突起が、前記サファイア基板の前記表面に形成されており、
    前記複数の突起が、前記α‐アルミナの(0001)面に略平行な方向において略等間隔で並んでおり、
    前記複数の突起が、前記α‐アルミナの単結晶の一部であり、
    前記添加元素が、希土類元素、アルカリ土類元素及びアルカリ金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である、
    基板の製造方法。

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