JP2023059538A - 球状酸化マグネシウム、その製造方法、樹脂フィラー及び樹脂組成物 - Google Patents

球状酸化マグネシウム、その製造方法、樹脂フィラー及び樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、真球度が高く、耐湿性及び樹脂への充填性に優れる球状酸化マグネシウム及びその製造方法の提供である。【解決手段】本発明は、炭酸マグネシウムを焼成して得た酸化マグネシウムであって、レーザー回折散乱式粒度分布測定による体積基準の累積50%粒子径(D50)が1~200μmの範囲で、SEM写真から読み取れる真球度が1.00~1.20であることを特徴とする球状酸化マグネシウムである。【選択図】図1

Description

本発明は真球度が高く、耐湿性に優れる球状酸化マグネシウム及びその製造方法並びに前記球状酸化マグネシウムを含有する樹脂フィラー及びそれを含有する樹脂組成物に関する。
酸化マグネシウムは、電気絶縁性、熱伝導性、耐熱性などに優れており、耐火物原料、ヒーター用絶縁材、研磨材、ゴムの加硫促進剤、塗料・インキ用顔料等の工業用材料として様々な用途に使用されている。また、樹脂に耐熱性等の特性を付与することを目的に樹脂フィラーとしても使用されている。特許文献1には、食品などの包装用途に使用する樹脂フィルムにガスバリア性を付与する目的で酸化マグネシウムが使用されている。特許文献2には、樹脂に添加する白色顔料として酸化マグネシウムが使用されている。特許文献3には、樹脂の耐光性を改善する目的で酸化マグネシウムが使用されている。特許文献4には、エポキシ樹脂の熱伝導性を向上させる目的で酸化マグネシウムが使用されている。しかしながら、樹脂に配合した際、酸化マグネシウムは吸湿性が高く、大気中の水分と水和することでフィラーの体積膨張によるクラックが発生したりする等の問題が発生することから、長期間の使用でも上記の問題が生じない耐湿性に優れる酸化マグネシウムが望まれている。また、酸化マグネシウムを樹脂フィラーとして使用する場合、優れた性能を得るために、樹脂組成物への高い充填性も求められている。
酸化マグネシウムを樹脂フィラーとして使用する場合、充填性と耐湿性が必要である。特許文献5には、リチウム含有量が一定範囲の水酸化マグネシウムを噴霧乾燥して造粒したものを焼成することにより真球度が高く充填性に優れる球状酸化マグネシウムを製造する方法が提案されている。特許文献6には、ホウ素と鉄の含有量を一定の範囲に調整した酸化マグネシウムの分散液を噴霧乾燥して造粒したものを焼成することにより真球度が高く、充填性及び耐湿性に優れる球状酸化マグネシウムを製造する方法が提案されている。
特開2015-131494号公報 特開2015-101614号公報 特開2009-227725号公報 特開2017-186578号公報 特開2016-088838号公報 特開2018-131378号公報
しかしながら、上述した方法は、耐湿性や樹脂への充填性が高い球状酸化マグネシウムが得られるものの、噴霧乾燥のような特別な造粒工程が必要であり、製造工程が多段階となることからコストアップの要因となる。また、噴霧乾燥で粒子径の小さい造粒体を作製する場合には、ノズル等の目詰まりが起きやすくなるとともに、噴霧乾燥時に造粒体が装置の配管などへ付着しやすくなるため、歩留まりが悪くなるといった課題があった。そこで、本発明は、必ずしも噴霧乾燥のような造粒工程を必要としない製造方法を開発し、これにより、真球度が高く、耐湿性及び樹脂への充填性が優れる球状酸化マグネシウムを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、球状酸化マグネシウムの製造方法について種々検討を重ねた結果、酸化マグネシウムの前駆体として、炭酸マグネシウムを用いた場合には、必ずしも噴霧乾燥のような特別な造粒工程を必要とせずに球状とすることができ、真球度が高く、耐湿性及び樹脂への充填性に優れる球状酸化マグネシウムが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、球状を有する炭酸マグネシウムを焼成して得た酸化マグネシウムであって、レーザー回折散乱式粒度分布測定による体積基準の累積50%粒子径(D50)が1~200μmの範囲で、SEM写真から読み取れる真球度が1.00~1.20であることを特徴とする球状酸化マグネシウムにある。
また、本発明は、上記球状酸化マグネシウムを含有する樹脂フィラーにある。
また、本発明は、上記樹脂フィラーを含有する樹脂組成物にある。
また、本発明は、球状炭酸マグネシウム粒子を焼成して、球状酸化マグネシウムを得る工程を含むことを特徴とする、球状酸化マグネシウムの製造方法にある。
本発明によれば、必ずしも噴霧乾燥のような造粒工程を必要としない製造方法により、真球度が高く、耐湿性及び樹脂への充填性が優れる球状酸化マグネシウムを提供することができる。
実施例1の球状酸化マグネシウムのSEM写真を示す。 比較例1の球状酸化マグネシウムのSEM写真を示す。
本発明の球状酸化マグネシウムは、球状を有する炭酸マグネシウムを焼成して得た酸化マグネシウムであって、レーザー回折散乱式粒度分布測定による体積基準の累積50%粒子径(D50)が1~200μmの範囲で、SEM写真から読み取れる真球度が1.00~1.20である。
本発明の酸化マグネシウムにおいて、レーザー回折散乱式粒度分布測定による体積基準の累積50%粒子径(D50)は、1~200μmの範囲であり、好ましくは5~100μm、より好ましくは10~50μmとすることができる。
本発明の酸化マグネシウムにおいて、耐湿性及び樹脂への充填性に影響を与えるSEM写真から読み取れる真球度は、1.00~1.20であり、好ましくは1.00~1.15、より好ましくは1.00~1.10とすることができる。なお、本発明においては、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した電子顕微鏡写真の100個の粒子について、粒子の中心を通る長径と短径の長さを計測し、長径/短径の比を求め、その平均値を真球度としている。
本発明の酸化マグネシウムにおいて、BET比表面積は、例えば0.01~1.00m/gであり、好ましくは0.05~0.80m/g、より好ましくは0.10~0.60m/gである。
本発明において、酸化マグネシウムのホウ素含有量は、特に制限されないが、例えば、10ppm未満であり、好ましくは9ppm未満、より好ましくは8ppm未満である。ホウ素含有量が低い場合、酸化マグネシウムの特性の低下が抑制され、樹脂へ配合した際に高い特性を付与することができる。なお、明細書中ppmとは、特に断りのない限り、質量ppmを意味する。
本発明において、酸化マグネシウムのリチウム含有量は、特に制限されないが、例えば、15ppm未満であり、好ましくは10ppm未満、より好ましくは5ppm未満である。リチウム含有量が低い場合、酸化マグネシウムの絶縁性低下が抑制される。また、樹脂への溶出が低減されるため、最終製品の性能低下を防ぐことができる。
本発明において、酸化マグネシウムのカルシウムの含有量は、特に制限されないが、例えば真球度及び耐湿性の観点から、700ppm未満が好ましく、600ppm未満がより好ましく、500ppm未満が特に好ましい。
本発明において、酸化マグネシウムのケイ素、アルミニウム、リン、塩素、臭素、チタン及び鉄の合計含有量は、特に制限されないが、真球度の観点から、例えば、500~12,000ppmが好ましく、500~10,000ppmがより好ましく、500~8,000ppmが特に好ましい。
本発明の球状酸化マグネシウムは、球状を有する炭酸マグネシウムを焼成することで得られる球状酸化マグネシウムであり、球状を有する炭酸マグネシウムを焼成すること以外は任意の工程を採用して製造してもよく、例えば、以下の製造方法を一例として参照できる。
1)マグネシウム源と炭酸源とを反応させて炭酸マグネシウムスラリーを得、
2)前記炭酸マグネシウムスラリーから球状炭酸マグネシウム粒子を得、
3)前記球状炭酸マグネシウム粒子を焼成して、目的の球状酸化マグネシウムを得る。
この製造方法は、酸化マグネシウムの前駆体として、炭酸マグネシウムを用いる。炭酸マグネシウムスラリーは、適切な温度条件で保持することで容易に凝集させることができることから、必ずしも噴霧乾燥法によらず、球状炭酸マグネシウム粒子を得ることができて好ましい。これを焼成することで目的の球状酸化マグネシウムを得ることができる。
上記マグネシウム源には、例えば、マグネシウム塩水溶液、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム等を用いることができる。これらの中でもマグネシウム塩水溶液を用いることが好ましい。マグネシウム塩水溶液におけるマグネシウム塩としては特に限定されないが、例えば、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム及び酢酸マグネシウム並びにこれらの組合せから選択して用いることができる。
上記炭酸源には、例えば、炭酸塩水溶液や炭酸ガス等を用いることができる。これらの中でも炭酸塩水溶液を用いることが好ましい。炭酸塩水溶液における炭酸塩としては特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸アンモニウム並びにこれらの組合せから選択して用いることができる。
例えば、炭酸マグネシウムを生成させるために、マグネシウム源としてマグネシウム塩水溶液を使用し、炭酸源として炭酸塩水溶液を使用する場合、マグネシウム塩水溶液のマグネシウム塩濃度は、1~30質量%であることが好ましく、炭酸塩水溶液の炭酸塩濃度は、1~30質量%であることが好ましい。マグネシウム塩水溶液と炭酸塩水溶液との反応は、例えば、溶液中の[Mg2+]:[CO 2-]のイオン濃度比が1.2:1~1:1.5となる条件で行うことができる。
マグネシウム源と炭酸源を反応させた後、得られた炭酸マグネシウムスラリーから球状炭酸マグネシウム粒子を得る。炭酸マグネシウムスラリーから球状炭酸マグネシウム粒子を得る方法は特に限定されず、噴霧乾燥等の一般的な方法によって炭酸マグネシウムスラリーから球状炭酸マグネシウム粒子とすることができるが、例えば、炭酸マグネシウムスラリーにおいて炭酸マグネシウムを球状に凝集させ、これを濾過、水洗及び乾燥することが好ましい。
具体的には、マグネシウム源と炭酸源を反応させて得た炭酸マグネシウムを、例えば60~100℃の温度に加温し、0.1~5時間保持することで、レーザー回折散乱式粒度分布測定による体積基準の累積50%粒子径(D50)が例えば1~200μm、5~120μm、10~70μm、真球度が例えば1.00~1.30、1.00~1.25、1.00~1.20の球状に凝集させることができる。そして、球状に凝集した炭酸マグネシウムスラリーを、当該技術分野における一般的な方法によって、球状炭酸マグネシウム粒子とする。球状炭酸マグネシウムスラリーから球状炭酸マグネシウム粒子を得る方法は特に限定されないが、例えば、球状炭酸マグネシウムスラリーを濾過、水洗及び乾燥して球状炭酸マグネシウム粒子を得ることができ、また噴霧乾燥法を用いても球状炭酸マグネシウム粒子を得ることができる。
上記製造方法において得られる炭酸マグネシウム粒子は、無水炭酸マグネシウム、正炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムのいずれであってもよいが、塩基性炭酸マグネシウムであることが好ましい。
得られた球状炭酸マグネシウム粒子は、大気雰囲気中で焼成して酸化マグネシウムとする。炭酸マグネシウム粒子の焼成条件は炭酸マグネシウムが酸化マグネシウムに熱分解する範囲であれば特に限定されないが、例えば、温度を1000℃~1800℃とするのが好ましく、1100℃~1700℃とするのがより好ましく、1200℃~1600℃とするのが特に好ましい。焼成時間は焼成温度によるが、例えば0.5~10時間であることが好ましい。焼成温度1000℃に満たないと、十分に焼結せず、1800℃を超えると、粒子同士が焼結し粗大な凝集体を形成するから上記の範囲に調整する。
また、上記製造方法において、炭酸マグネシウムにケイ素化合物、アルミニウム化合物、ホウ素化合物、リン化合物、ハロゲン化合物、チタン化合物及び鉄化合物からなる群より選択される少なくとも一種以上を加え、混合して焼成することで、耐湿性に優れ、球状形状を保持し、真球度を高め、かつ表面が平滑である球状酸化マグネシウムを安定して得ることができる。上記化合物を添加するタイミングは、球状炭酸マグネシウム粒子の焼成前であればよく、具体的には、例えば、a)マグネシウム源(例えばマグネシウム塩水溶液)及び/又は炭酸源(例えば炭酸塩水溶液)に添加する、b)炭酸マグネシウムスラリー(球状炭酸マグネシウムスラリーも含む)に添加する、c)球状炭酸マグネシウム粒子に添加することができる。添加後は、これらを十分に混合する。
上記化合物の添加量の合計は、焼成直前の球状炭酸マグネシウム粒子に含まれる化合物の量として、焼成直前の球状炭酸マグネシウム粒子(上記化合物を含まない)に対して、0.01~5.0質量%となるように決定することが好ましく、0.05~3.0質量%であることがより好ましく、0.1~3.0質量%であることが特に好ましい。したがって、焼成直前の球状炭酸マグネシウム粒子に含まれる化合物の量が、上記範囲となるように実際の添加量が決められる。
上記化合物の中でも、ケイ素化合物、アルミニウム化合物、ホウ素化合物、リン化合物、ハロゲン化合物及びチタン化合物からなる群から選択される少なくとも一種以上であることが好ましい。また、ケイ素化合物、アルミニウム化合物、ホウ素化合物及びチタン化合物からなる群より選択される少なくとも一種以上であることがより好ましい。また、ケイ素化合物、アルミニウム化合物及びチタン化合物からなる群より選択される少なくとも一種以上であることも好ましい。
ケイ素化合物としては、例えば、酸化ケイ素、ケイ酸塩等が使用できる。酸化ケイ素としては、例えば、結晶性シリカ、非晶質ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、例えば、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等が使用できる。
ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、酸化ホウ素、水酸化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ酸アンモニウム等が使用できる。
リン化合物としては、例えば、リン酸、リン酸塩等が使用できる。リン酸塩としては、例えば、リン酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム等が挙げられる。
ハロゲン化合物としては、例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物が使用できる。塩化物としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、酸化チタン(アナターゼ型、ルチル型)、塩化チタン、水酸化チタン、臭化チタン、フッ化チタン、チタン酸マグネシウム等が挙げられる。
鉄化合物としては、例えば、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、四三酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、窒化鉄、臭化鉄、フッ化鉄等が挙げられる。
また、例えば、最終焼成後の球状酸化マグネシウムのホウ素含有量を10ppm未満、リチウム含有量を15ppm未満、カルシウム含有量を700ppm未満になるよう制御することも好ましい。
ホウ素含有量、リチウム含有量及びカルシウム含有量を低減させる方法は、特に限定されないが、例えば、前駆体炭酸マグネシウムケーキの再スラリー化とろ過後水洗を繰り返すリパルプ洗浄、マグネシウム塩水溶液の吸着剤による前処理の実施、焼成時の昇温プロファイル調整など、既知のプロセスを用いることができ、またはそれらを組み合わせて用いることができる。また、これら元素を含まない原材料を選択し、製造工程での含有可能性を適切に管理することでも、上記各元素の含有量を低く制御することができる。
なお、本発明の製造方法において、前述のようにホウ素を添加した場合であっても、ホウ素は上記の添加量の範囲であれば大部分が焼成により揮発することから、原材料、製造工程等の適切な管理をすれば、最終焼成後の球状酸化マグネシウムのホウ素含有量を前述のとおり低く制御することができる。
本発明の球状酸化マグネシウムは、表面処理を行わずとも十分な耐湿性を有するのを特徴とするが、さらに耐湿性を改善する目的で公知の方法を用いて表面処理を施すこともできる。本発明の球状酸化マグネシウムに表面処理を施すにあたり、使用する表面処理剤は特に限定されないが、例えば、コロイダルシリカ、シラン系カップリング剤、チタニアゾル、チタネート系カップリング剤、リン化合物、アルミナゾル、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等を用いることができる。
シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリアルコキシシラン、グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジアルコキシシラン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、テトラステアリルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート等が挙げられる。
リン化合物としては、例えば、酸化マグネシウムと反応してリン酸マグネシウム系化合物を形成し得る化合物であれば特に限定されないが、例えば、リン酸、リン酸塩、酸性リン酸エステルが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。酸性リン酸エステルとしては、例えば、イソプロピルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノsec-ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec-ブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート等が挙げられる。
ジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等が挙げられる。
本発明の球状酸化マグネシウムは、真球度が高く、耐湿性に優れ、樹脂への充填性も優れるため、好適に充填材として樹脂に配合することができ、樹脂フィラーとして有用である。例えば、熱伝導性フィラー、耐熱性フィラー、ガスバリア性フィラー、耐光性フィラー等として好適に使用でき、中でも熱伝導性フィラーとして優れる。
本発明で使用可能な樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、又はシリコーン樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂、又は液晶ポリマーが挙げられる。
本発明の樹脂組成物における球状酸化マグネシウムの配合量は、樹脂組成物に求められる特性に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。しかし、一例として樹脂100質量部に対し、球状酸化マグネシウム0.1~100質量部の範囲で使用すればよい。
本発明の球状酸化マグネシウムを含む樹脂組成物は、その樹脂の特性に応じて種々の分野で利用することができる。
下記の実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は本発明をいかなる意味においても制限するものではない。
<測定方法・評価方法>
(1)元素含有量の測定方法
元素含有量の測定は、ICP発光分光分析により行った。測定試料を、酸に加えて完全に溶解させた後、ICP測定装置(PS3520 VDD、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて各元素の含有量を測定した。なお、下記表1では、各元素の含有量が検出限界を下回る場合、痕跡量として<1ppmと表記した。
(2)BET比表面積の測定方法
比表面積測定装置(Macsorb、Mountech Co.Ltd.製)を使用して、窒素ガスを用いたガス吸着法(BET法)によりBET比表面積を測定した。
(3)体積基準の累積50%粒子径(D50
測定試料0.1×10-3kgを精密に秤量し、40mLのメタノールで分散し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(MT3300 日機装株式会社製)を用いて測定した。
(4)SEM写真から読み取れる真球度及び表面の平滑性
走査型電子顕微鏡(SEM)(JSM6510LA 日本電子株式会社製)を用いた。撮影した電子顕微鏡写真の100個の粒子について、粒子の中心を通る長径と短径の長さを計測し、長径/短径の比を求め、その平均値を真球度とした。また、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した電子顕微鏡写真の球状酸化マグネシウムの表面状態について、球状酸化マグネシウム表面に微細粒子がほとんど存在せず表面が平滑になっているものを○、球状酸化マグネシウム表面に微細粒子が複数存在するが、表面が平滑になっているもの又は表面に微細粒子がほとんど存在しないが表面が凸凹しており平滑でないものを△、球状酸化マグネシウム表面に微細粒子が複数存在し、表面が凸凹しており平滑でないものを×、として評価を行った。
(5)恒温恒湿試験による耐湿性評価
球状酸化マグネシウムの耐湿性は、恒温恒湿試験による質量増加率によって評価した。
恒温恒湿機はアドバンテック東洋株式会社製THN040FAを使用した。球状酸化マグネシウム10gを、恒温恒湿機を用いて85℃85%RHの環境下に168時間曝露した後の質量増加率を求めた。
<実施例1>
硝酸マグネシウム六水和物(関東化学社製 特級)をイオン交換水に溶解して、約20質量%の硝酸マグネシウム水溶液を調製した。炭酸カリウム(関東化学社製 特級)をイオン交換水に溶解して、約15質量%の炭酸カリウム水溶液を調整した。[Mg2+]:[CO 2-]のイオン濃度比が1:1となるよう、硝酸マグネシウム水溶液と炭酸カリウム水溶液を反応させて炭酸マグネシウムを合成した。反応後、炭酸マグネシウムスラリーを90℃まで加熱し、1時間保持することで、球状炭酸マグネシウムのスラリーを準備した。その後、二酸化ケイ素(関東化学社製 特級)を炭酸マグネシウムに対して、0.5質量%添加、混合した。その後濾過、水洗、乾燥し、球状炭酸マグネシウム粒子を得た。得られた球状炭酸マグネシウム粒子を、電気炉を用いて1500℃で1時間焼成し、球状酸化マグネシウム粒子を得た。なお、焼成前の球状炭酸マグネシウム粒子の粒子径(D50)は21.3μm、真球度は1.10であった。
<実施例2>
二酸化ケイ素の添加量を炭酸マグネシウムに対して、1.0質量%としたほかは、実施例1と同様の方法により、球状酸化マグネシウムを得た。なお、焼成前の球状炭酸マグネシウム粒子の粒子径(D50)は21.5μm、真球度は1.11であった。
<実施例3>
二酸化ケイ素の添加に代えて、酸化アルミニウム(関東化学社製 鹿特級)を炭酸マグネシウムに対して、0.5質量%添加したほかは、実施例1と同様の方法により、球状酸化マグネシウムを得た。なお、焼成前の球状炭酸マグネシウム粒子の粒子径(D50)は20.5μm、真球度は1.10であった。
<実施例4>
二酸化ケイ素の添加に代えて、ホウ酸(関東化学社製 特級)を炭酸マグネシウムに対して、0.5質量%添加したほかは、実施例1と同様の方法により、球状酸化マグネシウムを得た。なお、焼成前の球状炭酸マグネシウム粒子の粒子径(D50)は22.0μm、真球度は1.10であった。
<実施例5>
二酸化ケイ素に代えて、酸化チタン(関東化学社製 アナターゼ型 鹿1級)を炭酸マグネシウムに対して、0.5質量%添加したほかは、実施例1と同様の方法により、球状酸化マグネシウムを得た。なお、焼成前の球状炭酸マグネシウム粒子の粒子径(D50)は21.8μm、真球度は1.11であった。
<比較例1>
二酸化ケイ素の添加を行わなかったほかは、実施例1と同様の方法により酸化マグネシウム粒子を得た。なお、焼成前の球状炭酸マグネシウム粒子の粒子径(D50)は21.3μm、真球度は1.11であった。
<結果>
実施例1~5および比較例1の球状酸化マグネシウムについて、上記の測定及び評価を行った。結果を以下の表1に示す。
Figure 2023059538000002
表1から明らかなように、実施例1~5の球状酸化マグネシウムは、真球度が高く、耐湿性にも優れていた。
これより、本発明の球状酸化マグネシウムは、真球度が高く、耐湿性に優れることがわかった。よって、本発明の球状酸化マグネシウムは、優れた樹脂フィラーとして有用であることがわかった。
本発明の球状酸化マグネシウムは、真球度が高く、耐湿性に優れることから、優れた樹脂フィラーとして有用である。

Claims (11)

  1. 球状を有する炭酸マグネシウムを焼成して得た酸化マグネシウムであって、レーザー回折散乱式粒度分布測定による体積基準の累積50%粒子径(D50)が1~200μmの範囲で、SEM写真から読み取れる真球度が1.00~1.20であることを特徴とする球状酸化マグネシウム。
  2. ホウ素含有量が10ppm未満である、請求項1に記載の球状酸化マグネシウム。
  3. リチウム含有量が15ppm未満である、請求項1または2に記載の球状酸化マグネシウム。
  4. 累積50%粒子径(D50)が5~100μmの範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の球状酸化マグネシウム。
  5. BET比表面積が0.01~1.00m/gである、請求項1から4のいずれか一項に記載の球状酸化マグネシウム。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の球状酸化マグネシウムを含有する樹脂フィラー。
  7. 請求項6に記載の樹脂フィラーを含有する樹脂組成物。
  8. 球状炭酸マグネシウム粒子を焼成して、球状酸化マグネシウムを得る工程を含むことを特徴とする、球状酸化マグネシウムの製造方法。
  9. ケイ素化合物、アルミニウム化合物、ホウ素化合物、リン化合物、ハロゲン化合物、チタン化合物及び鉄化合物からなる群より選択される少なくとも一種以上を焼成までに添加する、請求項8に記載の球状酸化マグネシウムの製造方法。
  10. ケイ素化合物、アルミニウム化合物、ホウ素化合物、リン化合物、ハロゲン化合物、チタン化合物及び鉄化合物の添加量の合計が、焼成直前の球状炭酸マグネシウム粒子に対して0.01~5.0質量%である、請求項9に記載の球状酸化マグネシウムの製造方法。
  11. マグネシウム源と炭酸源とを反応させて炭酸マグネシウムスラリーを得る工程と、
    前記炭酸マグネシウムスラリーから球状炭酸マグネシウム粒子を得る工程と、
    をさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の球状酸化マグネシウムの製造方法。
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