JP2023057530A - 測定装置、測定システム及び測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、溶接部の状態を測定する測定装置、測定システム及び測定方法に関する。
特許文献1には、タブ群と導電部材が溶接された溶接部を備える二次電池に対し、溶接部の抵抗値を計測する装置が開示されている。このような装置は、一方の第一プローブから溶接部に電流を印加して、その溶接部の周囲の互いに異なる部位に接触された一対の第二プローブから、その出力信号を検出することによって溶接部の状態を測定する。
上述のような測定装置において、溶接部の測定を行うには電圧を検出するための一対のプローブを溶接部の周囲に間隔を空けて配置させることが必要になる。それゆえ、複数の溶接部が存在する場合、一つ目の溶接部の測定を行った後に別の場所に形成された溶接部の測定を行うときには、別の溶接部の周囲に一対のプローブを配置させることが必要になる。
このように、測定対象となる溶接部ごとに一対のプローブの接触位置を変更して測定を行うことが必要となるため、全ての溶接部を測定するには測定時間が長くなってしまうという問題がある。
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、複数の溶接部の状態を測定するための時間を短くすることを目的とする。
本発明のある態様によれば、測定装置は、被溶接物に溶接物を複数個所溶接したときに形成される複数の溶接部の状態を測定する。そして測定装置は、一又は複数の前記溶接部ごとに排他的に電流を印加する複数の印加回路と、前記電流の印加により前記溶接部ごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成された電圧を検出する検出回路と、前記合成された電圧に基づき前記複数の溶接部の状態を示す情報を出力する処理部と、を含む。
本態様によれば、一又は複数の溶接部の各々に排他的に電流が印加されることにより、溶接部の各々に生じる電圧が合成された電圧は、溶接部の各々の状態に応じて異なる値を示す。それゆえ、その合成された電圧の値を検出することにより、電流が印加されている複数の溶接部の状態が不良であるか否かを判別することが可能となる。
したがって、溶接部ごとに電流を印加し、そのたびに溶接部に生じる電圧を検出する場合に比べて、複数の溶接部の状態を測定するための時間を短くすることができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の各実施形態について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態における溶接部を測定する測定装置の構成を示すブロック図である。
図1は、第一実施形態における溶接部を測定する測定装置の構成を示すブロック図である。
測定装置1は、測定対象物2に形成された複数の溶接部の状態を測定するための状態測定装置である。測定対象となる複数の溶接部のことを以下では溶接部の一群とも称する。
測定対象物2は、被溶接物に溶接物を複数箇所溶接した接合体である。第一実施形態における測定対象物2は、円筒型の二次電池の電極部品であり、被溶接物が電極部品を構成する電極22である。
上述した電極部品は、二次電池の外側に配置される溶接物21を二次電池の電極22に対して四箇所溶接したときに形成された四つの溶接部23a乃至23dを有する。溶接物21の裏面の一部は電極22の外面に溶接され、溶接物21の表面は、電源線等を介して、外部の負荷装置、例えば電動モータ又はインバータ等に接続される。
第一実施形態における測定対象物2は、電動自動車に用いられる電極部品であり、溶接部23a乃至23dには、数百A(アンペア)の電流が流れることがある。このような場合、溶接部23a乃至23dの少なくとも一つが確実に溶接されていない不良状態では、過剰に熱が発生したり、電極22から溶接物21が外れたりすることが懸念される。
この対策として、測定装置1は、測定対象物2の溶接状態が不良であるか否かを判断するために、溶接部23a乃至23dの状態を測定する。測定装置1は、一又は複数の測定機器によって構成される。
測定装置1は、溶接部23a乃至23dの一群のうち一又は複数の溶接部ごとに排他的に電流を印加(供給)する。この状態において測定装置1は、一又は複数の溶接部ごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成された電圧を検出することによって、複数の溶接部23a乃至23dの状態を判定することが可能となる。以下では、溶接部ごとに生じる電圧降下にかかる各電圧が合成された電圧のことを合成電圧と称する。
第一実施形態において、測定装置1は、プローブ群Pと、操作部10と、制御部20と、測定部30と、複数の印加回路40a乃至40dを有する印加部40と、検出回路50と、記憶部60と、表示部70と、通信部80と、を備える。
プローブ群Pは、複数の一対の印加プローブPa1乃至Pa4と、他の一対の検出プローブPdと、を有する。
複数の一対の印加プローブPa1乃至Pa4は、印加回路40a乃至40dの各々の両端に一端がそれぞれ電気的に接続される複数の導線と、その複数の導線の他端がそれぞれ電気的に接続される導電性を有する複数の一対の接触子(第一接触子)とからなる。複数の一対の印加プローブPa1乃至Pa4は、それぞれ複数の溶接部23a乃至23dの近傍における溶接物21及び電極22の双方の部位にそれぞれ接触する。
第一実施形態において、四つの一対の印加プローブPa1乃至Pa4は、それぞれ溶接部23a乃至23dに電流を流すために用いられる。例えば、一対の印加プローブPa1は、一方の印加プローブの接触部と他方の印加プローブの接触部との間を結ぶ直線が溶接部23aを通過するよう配置される。他の一対の印加プローブPa2乃至Pa4についても同様である。
一対の検出プローブPdは、検出回路50の両端に接続される導電性を有する他の一対の接触子(第二接触子)である。一対の検出プローブPdは、溶接部23a乃至23dごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成される合成電圧を検出するために用いられる。
一対の検出プローブPdは、一対の印加プローブPa1乃至Pa4ごとに一対の印加プローブがそれぞれ接触する溶接物21及び電極22の部位よりも複数の溶接部23a乃至23dから離れた溶接物21及び電極22の部位にそれぞれ接触する。
例えば、一対の検出プローブPdは、複数の溶接部23a乃至23dにより形成される多角形の重心からその多角形の各辺の中点を通過する各線のいずれかの線上に位置する溶接物21及び電極22の双方の部位にそれぞれ接触する。
第一実施形態における一対の検出プローブPdは、図1に示すように、溶接部23a乃至23dの各々に対して略等距離に位置する溶接物21及び電極22の双方の部位D1及びD2にそれぞれ接触する。具体的には、一対の検出プローブPdにおいて、一方の検出プローブが、溶接物21の表面の中心に位置する部位に接触し、他方の検出プローブが、電極22の溶接物21から露出した露出面のうち、溶接物21における部位の近傍に位置する部位に接触する。
操作部10は、表示部70を構成する表示画面の周囲に設けられた複数の押しボタン、表示画面内に配置されるタッチセンサ、又は、キーボード及びマウス等によって構成される。操作部10は、測定装置1を利用する利用者の入力操作を受け付け、その受け付けた入力操作の内容を示す操作信号を生成する。
利用者による入力操作としては、例えば、電源ボタンを押下する操作、測定条件を設定する操作、測定処理の実行を指示する操作、測定処理の停止を指示する操作等が挙げられる。
操作部10は、測定条件を設定する入力操作を受け付けると、測定条件を示す操作信号を記憶部60に記録するために、その操作信号を制御部20に出力する。また、操作部10は、測定処理の実行を指示する入力操作を受け付けると、測定処理の実行を示す操作信号を制御部20に出力する。
制御部20は、一又は複数のプロセッサによって構成される。プロセッサとしては、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)等が挙げられる。
制御部20は、測定対象物2の溶接状態を測定するための測定処理を実行する。第一実施形態における制御部20は、溶接部23a乃至23dの各々に電流を印加するための印加指令を測定部30に出す。
測定部30は、印加回路40a乃至40dからそれぞれ溶接部23a乃至23dに同時に電流を印加して溶接物21又は電極22の部位に生じる電圧を測定するよう、印加部40及び検出回路50の動作を制御する。
溶接物21の部位は、溶接部23a乃至23dの近傍に比べて電圧勾配が緩やかな領域内に配置される。同様に、電極22の部位も、溶接部23a乃至23dの近傍に比べて電圧勾配が緩やかな領域内に定められる。
なお、全ての電流を溶接物21から電極22に向かって印加したときの測定対象物2における等電位線の間隔と、全ての電流を電極22から溶接物21に向かって印加したときの測定対象物2における等電位線の間隔とは変わらない。そのため、溶接物21及び電極22の部位は、電流の向きが変わっても、それぞれ同じ領域、すなわち電圧勾配が緩やかな領域に定められる。
上記の溶接物21及び電極22の部位間には、溶接部23a乃至23dの各々に生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成される合成電圧が生じる。例えば、溶接部23a乃至23dの一部が不良である場合、溶接部23a乃至23dの各々に対して同一方向に電流を印加した状態では、不良である溶接部に生じる電圧降下が大きくなるので、溶接物21及び電極22の部位間の合成電圧は大きくなる。
測定部30は、溶接物21の部位と電極22の部位との間の電位差を示す合成電圧を測定する。そして測定部30は、測定した合成電圧に基づき複数の溶接部23a乃至23dの状態を示す測定情報を生成する。測定部30は、測定した合成電圧を示す測定結果を記憶部60に記録するために、その測定結果を制御部20に出力する。
例えば、測定部30は、測定した合成電圧に基づいて、溶接部23a乃至23dの一群の溶接状態が不良であるか否かを判定する。具体例としては、溶接部23a乃至23dの全ての溶接状態が良好であるときの合成電圧の大きさを示す閾値が記憶部60にあらかじめ記憶されており、測定部30は、合成電圧の測定値が閾値を超えるか否かを判断する。
そして、合成電圧の測定値が閾値を超える場合には、測定部30は、全ての溶接部23a乃至23dの一部が不良であると判定し、その旨を示す状態情報を生成する。一方、合成電圧の測定値が閾値を超えない場合には、測定部30は、全ての溶接部23a乃至23dが良好であると判定し、その旨を示す状態情報を生成する。測定部30は、生成した状態情報を上記の測定情報として制御部20に出力する。
第一実施形態において、測定部30は、測定した合成電圧の大きさを示す電圧情報を測定情報として生成する。そして、この電圧情報を利用者に通知することによって、利用者は、電圧情報に示される合成電圧の測定値が既知の閾値を超えていなければ、溶接状態が良好であると判断することが可能となる。
また、測定部30は、印加部40に対し、溶接部23a乃至23dの一群に同時に電流を印加するための印加指令を出すとともに、検出回路50に対し、合成電圧を検出するための検出指令を出す。
印加部40は、複数の印加回路40a乃至40dによって構成される。第一実施形態における印加部40は、四つの印加回路40a乃至40dを有し、一対の印加プローブPa1乃至Pa4を介して、印加回路40a乃至40dからそれぞれ溶接部23a乃至23dの一群に同時に電流を印加する。
例えば、印加部40から溶接部23a乃至23dに印加される電流の各々は、直流の定電流でもよく、交流の定電流であってもよい。ただし、印加電流として交流の定電流を採用する場合は、印加回路40a乃至40dの各々から同位相の電流を出力することが望ましい。
また、溶接部23a乃至23dに印加される電流の各々の大きさは、互いに同等の電流値でもよく、互いに異なる電流値に設定されてもよい。また、印加電流の向きとしては、溶接物21から電極22に電流を流す向き、及び電極22から溶接物21に電流を流す向きの二つがあり、全ての印加電流が同じ向きでもよく、少なくとも一つの印加電流が異なる向きであってもよい。
複数の印加回路40a乃至40dは、溶接物21に形成された溶接部23a乃至23dのうちの一又は複数の溶接部ごとに排他的に電流を印加する。
第一実施形態において、印加回路40a乃至40dは、溶接部23a乃至23dに対して一対一で対応し、異なる領域に同等の定電流を同一方向に印加する。
例えば、印加回路40aは溶接物21から溶接部23aに他の印加電流と同等の直流電流を印加し、印加回路40bは溶接物21から溶接部23bに他の印加電流と同等の直流電流を印加する。また、印加回路40cは溶接物21から溶接部23cに他の印加電流と同等の直流電流を印加し、印加回路40dは溶接物21から溶接部23dに他の印加電流と同様の直流電流を印加する。
検出回路50は、電流の印加により溶接部23a乃至23dごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成された合成電圧を検出する。
第一実施形態において、検出回路50は、一対の検出プローブPdを介して、溶接物21の部位と電極22の部位との間の合成電圧を検出する。検出回路50は、検出した合成電圧の大きさを示す検出信号を測定部30に出力する。測定部30において、上述のとおり検出回路50からの検出信号に基づいて測定情報が生成される。
記憶部60は、RAM及びROMによって構成される。記憶部60は、制御部20により書き込まれた測定情報を記憶する。記憶部60は、複数の溶接部23a乃至23dの状態を判定するための閾値を保持する保持部として用いられてもよい。
また、記憶部60には、制御部20が第一実施形態における測定処理を実行するためのプログラムが記憶されている。すなわち、記憶部60は、測定装置1の各部位を制御するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
表示部70は、画像を表示するためのLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、液晶パネル又はタッチパネル等によって構成される。表示部70は、例えば、制御部20から受け付けた測定情報又は測定条件を表示する。
通信部80は、測定装置1とは異なる外部装置と通信を行う通信回路によって構成される。例えば、通信部80は、外部装置からインターネット網又は電話網等のネットワークを通じて無線又は有線により測定条件を受信して外部装置に測定結果を送信することが可能である。
次に、測定対象物2に形成された溶接部23a乃至23dの一群の溶接状態を測定する手法について図2乃至図4を参照して説明する。
図2Aは、第一実施形態における測定装置1と測定対象物2との接続構成の一例を示す図である。図2Bは、測定対象物2の外観を示す斜視図である。図2A及び図2Bに示すように、溶接部23a乃至23dの一群は、電極22の外面に溶接物21の裏面を四個所溶接したときに形成される。
図2Aに示す例では、印加回路40a乃至40d同士が同等の直流電流を出力する定電流回路によって構成されている。そして四つの印加回路40a乃至40dは、図1に示した一対の印加プローブPa1乃至Pa4を介して、溶接部23a乃至23dの各々の近傍に位置する電極22の部位から、それぞれ排他的に同一方向の定電流を溶接部23a乃至23dに印加している。
溶接部23aに対しては、一対の印加プローブPa1の一方が電極22の露出面のうち溶接部23a近傍の部位に接触されている。そして印加プローブPa1の他方は、溶接物21の表面において電極22の部位から溶接部23aを跨ぐように定められた部位に接触されている。他の溶接部23b乃至23dについても、同様に溶接物21及び電極22の双方の部位がそれぞれの溶接部を跨ぐように定められている。
このような状態において検出回路50は、図1に示した一対の検出プローブPdを介して、溶接部23a乃至23dごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧同士が合成される合成電圧を検出する。
一対の検出プローブPdについては、その双方が四つの溶接部23a乃至23dに対してほぼ同等の距離に位置する部位D1及びD2にそれぞれ接触されている。具体的には、一対の検出プローブPdの一方が、四つの溶接部23a乃至23dに対してほぼ同等距離に位置する溶接物21の部位D1に接触される。そして一対の検出プローブPdの他方が四つの溶接部23a乃至23dに対してほぼ同等距離に位置する電極22の部位D2に接触されている。
次に、溶接物21及び電極22の部位D1及びD2について図3を参照して説明する。
図3は、図2Aに示した印加回路40a乃至40dからそれぞれ溶接物21の溶接部23a乃至23dの近傍に同一方向の定電流を印加したときの測定対象物2における電位分布のシミュレーション結果を示す図である。
図3の破線に示すように、溶接物21では、溶接部23a乃至23dの近傍における等電位線の間隔が密であり、電位勾配が急峻である。それゆえ、この領域においては、検出プローブPdの一方(図2A参照)の接触点の位置ズレによって合成電圧の検出誤差が大きくなる。
一方、溶接部23a乃至23dの各中心点から形成される四角形の重心を起点とし、その四角形の各辺の中点を通過する仮想的な各線の線上又はその近傍は、等電位線の間隔が疎であり、電位勾配が緩やかである。それゆえ、仮に、溶接物21における検出プローブPdの接触点が所望の部位D1から若干ズレたとしても、合成電圧の検出値の変動が抑えられる。したがって、検出回路50により検出される合成電圧の値を精度よく検出することが可能となる。
また、図3の実線に示すように、電極22においては、電流経路が溶接物21よりも広範であり、かつ、溶接物21の表面から直流電流が印加されていることから、溶接物21の電位分布に比べて等電位線の間隔が広い。しかしながら、溶接物21の電位分布と同様、溶接部23a乃至23dの近傍では電位勾配が急であり、上述の仮想的な各線の線上又はその近傍では電位勾配が緩やかである。
このため、溶接物21から溶接部23a乃至23dの各々に電流が印加される場合、少なくとも検出プローブPdの一方を、溶接部23a乃至23dの各々に対して略等距離に位置する溶接物21の部位D1に接触させることが好ましい。
また、電極22においては、溶接物21の電位分布に比べて等電位線の間隔が疎であるものの、検出プローブPdの他方も、同様に溶接部23a乃至23dの各々に対して略等距離に位置する電極22の部位D2に接触させることが望ましい。
第一実施形態では、図2Aの点線及び一点鎖線で示したように一対の検出プローブPdの双方は、溶接部23a乃至23dの各々に対して略等距離に位置する溶接物21及び電極22の部位D1及びD2にそれぞれ接触する。
なお、第一実施形態では印加回路40a乃至40dを用いて溶接物21から溶接部23a乃至23dの各々に電流が印加されたが、これに代えて、電極22から溶接部23a乃至23dの各々に電流が印加されてもよい。
このような場合でも、溶接物21及び電極22の双方における等電位線の間隔は変わらない。そのため、合成電圧の検出精度を高める観点では、少なくとも検出プローブPdの他方を、上述の仮想的な各線のいずれかの線上又はその近傍に位置する電極22の部位D2に接触させることが好ましい。特に、溶接部23a乃至23dの各々に対して略等距離に位置する電極22の部位D2に検出プローブPdの他方を接触させることが好ましい。
続いて、溶接部23a乃至23dの一群の溶接状態と検出回路50で検出される合成電圧の電圧値との関係について図4を参照して説明する。
図4は、溶接部23a乃至23dの一群の溶接状態に応じて合成電圧が変化することを説明するための図である。図4には、一例として、印加回路40a乃至40dの各々から1.0[A]の直流電流が溶接物21の部位に印加された状態での合成電圧の測定結果が示されている。
図4に示すように、全ての溶接部23a乃至23dの溶接状態が良好である場合には、合成電圧が6.7[μV]となり、溶接部23a乃至23dのいずれか一つが不良である場合には、合成電圧が概ね10[μV]となる。
また、二つの溶接部23a及び溶接部23dが不良である場合には、合成電圧が14.4[μV]となり、三つの溶接部23a、溶接部23b及び溶接部23cが不良である場合には、合成電圧が20.8[μV]となる。
それゆえ、測定部30において、溶接部23a乃至23dの溶接状態が全て良好であるか否かを判定する場合は、溶接状態の良否判定するための第一閾値は、測定誤差等を考慮し、例えば7[μV]から9[μV]までの範囲内の値に定められる。このように第一閾値を設定することにより、制御部20は、合成電圧の測定値が第一閾値を上回る場合には、溶接部23a乃至23dの全てが良好であると判定することが可能となる。
同様に、二つの溶接部が不良であるか否かを判定するための第二閾値は、例えば13[μV]から19[μV]までの範囲内の値に定められる。そして制御部20は、合成電圧の測定値が第二閾値を上回る場合には、溶接部23a乃至23dのうちいずれか二つが不良であると判定することが可能となる。さらに、三つの溶接部が不良であるか否かを判定するための第三閾値についても同様に定めることができる。
第一実施形態では、制御部20が表示部70に合成電圧の測定値を表示させる。これにより、利用者は、表示部70に表示された合成電圧の測定値を確認し、その測定値に応じて溶接部23a乃至23dのうち溶接状態が不良である溶接部の個数を把握することができる。
図4に示した例では印加回路40a乃至40dから同等の電流を同一方向に出力する例について説明したが、第一実施形態はこれに限られるものではない。
例えば、印加回路40a乃至40dは互いに異なる大きさの電流を出力するものであってもよい。具体例としては、印加回路40aの出力電流に対して印加回路40b乃至40dの出力電流がそれぞれ二倍、三倍、四倍の電流値に設定される。これにより、溶接部23aのみが不良であるときの合成電圧の電圧値と、溶接部23bのみが不良であるときの合成電圧の電圧値とは、互いに異なる値を示すため、合成電圧の値によって溶接部23a乃至23dのうち溶接状態が不良である溶接部を特定することが可能となる。
また、印加回路40a乃至40dのうち少なくとも一つの出力電力の向きが他の出力電流の向きとは逆方向となるようにプローブ群Pを配置してもよい。例えば、印加回路40a乃至40cの出力電流を溶接物21から電極22へ流し、印加回路40dの出力電流を電極22から溶接物21へ流してもよい。このような場合でも、溶接部23a乃至23dの少なくとも一つが不良である状態では、合成電圧の電圧値が変化するので、一群の溶接状態の良否を判定することが可能となる。
また、合成電圧については、溶接物21の厚さが薄くなるにつれて合成電圧の電圧値が高くなる。それゆえ、溶接物21の厚さが薄くなるほど、溶接状態が不良であるときの合成電圧の電圧値と溶接状態が良好であるときの合成電圧の電圧値との差分が大きくなるので、良否の判定精度を高めることが可能となる。同様に、溶接物21の電流経路が狭くなるにつれて合成電圧の電圧値が高くなるので、判定精度を高めることが可能となる。
続いて、第一実施形態における測定装置1の動作について図5を参照して説明する。
図5は、溶接部23a乃至23dの一群の溶接状態を測定するための測定方法の処理手順例を示すフローチャートである。
ステップS1において測定装置1は、溶接部23a乃至23dのうち互いに異なる所定の溶接部ごとに排他的に電流を印加する。
第一実施形態では、印加回路40a乃至40dと溶接部23a乃至23dとは一対一で対応していることから、測定装置1は、一つの溶接部ごとに、その溶接部の近傍に位置する溶接物21及び電極22の部位間を結んだ仮想的な直線が互いに交差しないよう、異なる領域に電流を印加する。
ステップS2において測定装置1は、溶接部23a乃至23dの各々に生じる電圧を合成した合成電圧を検出する。
第一実施形態では、測定装置1は、図2Aに示したように、溶接部23a乃至23dの各々に対して略等距離に位置する溶接物21及び電極22の部位にそれぞれ接触する。そして測定装置1は、溶接物21及び電極22の部位間の電圧を合成電圧として検出し、検出した合成電圧の値を取得する。
ステップS3において測定装置1は、取得した合成電圧の検出値に基づき溶接部23a乃至23d一群の溶接状態を示す測定情報を生成する。
第一実施形態では、測定装置1は、検出回路50の出力信号に基づいて合成電圧の測定値を算出し、算出した測定値を示す測定情報を生成する。そして測定装置1は、生成した測定情報を表示部70又は通信部80に出力する。これにより、利用者に測定情報が通知されることになるので、利用者は、測定情報に示された合成電圧の電圧値に応じて一群の溶接状態の良否を把握又は推定することが可能となる。
ステップS3の処理が完了すると、図5に示された測定方法の一連の処理が終了する。
次に、第一実施形態の作用効果について説明する。
第一実施形態における測定装置1は、被溶接物に相当する電極22に対して溶接物21を複数個所溶接したときに形成される複数の溶接部23a乃至23dの状態を測定する。この測定装置1は、溶接部23a乃至23dのうちの一の溶接部ごとに排他的に電流を印加する複数の印加回路40a乃至40dを備える。さらに測定装置1は、印加回路40a乃至40dによる電流の印加により一の溶接部ごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成された合成電圧を検出する検出回路50と、検出回路50によって検出される合成電圧に基づき複数の溶接部23a乃至23dの状態を示す情報を出力する制御部20と、を含む。
また、第一実施形態における複数の溶接部23a乃至23dの状態を測定する測定方法は、一の溶接部ごとに排他的に電流を印加する複数の印加ステップ(S1)と、複数の印加ステップでの電流印加により上述の合成電圧を検出する検出ステップ(S2)と、を含む。この測定方法は、さらに、検出ステップにより検出された合成電圧に基づき、複数の溶接部23a乃至23dの状態を示す情報を出力する処理ステップ(S3)を含む。
これらの構成によれば、一つの溶接部ごとに排他的に電流が印加されることによって、溶接部23a乃至23dの各々の電圧降下に伴って生じる合成電圧は、溶接部23a乃至23dの各状態に応じて異なる値を示す。それゆえ、合成電圧を検出することにより、複数の溶接部23a乃至23dが不良であるか否かを判別することが可能となる。
したがって、溶接部23a乃至23dに生じる電圧の各々を、時間をズラして検出する場合に比べて、複数の溶接部23a乃至23dの状態を測定するための時間を短くすることができる。
また、第一実施形態における測定装置1は、印加回路40a乃至40dの各々の両端に接続される複数の一対の接触子を構成する印加プローブPa1乃至Pa4と、検出回路50の両端に接続される他の一対の接触子を構成する検出プローブPdと、を含む。
上述した複数の一対の印加プローブPa1乃至Pa4は、それぞれ複数の溶接部23a乃至23d近傍における溶接物21の部位、又は電極22の部位に接触する。そして、他の一対の検出プローブPdは、複数の一対の印加プローブPa1乃至Pa4がそれぞれ接触する溶接物21の部位又は電極22の部位よりも複数の溶接部23a乃至23dから離れた溶接物21の部位D1又は電極22の部位D2に接触する。
具体的には、一対の検出プローブPdのうち一方は、溶接部ごとに設けられた溶接物21の部位に比べて複数の溶接部23a乃至23dから離れた溶接物21の部位D1に接触してもよい。あるいは、他方が、溶接部ごとに設けられた溶接物21の部位に比べて複数の溶接部23a乃至23dから離れた電極22の部位D2に接触してもよい。
溶接物21及び電極22においては、部位が複数の溶接部23a乃至23dから離れるにつれて部位近傍の電位勾配は緩やかになる。このため、上記構成によれば、一対の検出プローブPdの少なくとも一方を、電位勾配の緩やかな溶接物21又は電極22の部位D1又はD2に接触させる際に、検出プローブPdの位置ズレに起因する合成電圧の測定誤差を抑制することができる。
また、第一実施形態における一対の検出プローブPdは、複数の溶接部23a乃至23dによって形成される多角形の重心を起点としてその多角形の各辺の中点を通過する各線のいずれかの線上又はその近傍に位置する溶接物21の部位D1又は電極22の部位D2に接触する。
図3に示すように、溶接部23a乃至23dによって形成される四角形の重心からその各辺の中点を通過する線上は、溶接部23a乃至23dの近傍に比べて電位勾配が緩やかである。例えば、三角形及び五角形などの多角形を形成する溶接部を有する測定対象物2であっても同様であると考えられる。
したがって、上記構成によれば、多角形の重心から各辺の中点を通過する各線のいずれかの線上又はその近傍に一対の検出プローブPdが配置されるので、一対の検出プローブPdの位置ズレに伴う測定精度の低下を抑制することができる。
また、第一実施形態における一対の検出プローブPdは、図2Aの点線及び一点鎖線で示したように、溶接部23a乃至23dの各々に対して略等距離に位置する溶接物21及び電極22の部位D1及びD2に接触する。具体的には、検出プローブPdの一方は、溶接部23a乃至23dの各々に対して略等距離に位置する溶接物21の部位D1に接触し、検出プローブPdの他方は、溶接部23a乃至23dの各々に対して略等距離に位置する電極22の部位D2に接触する。
図3に示すように、溶接部23a乃至23dの各々に対して略等距離に位置する溶接物21及び電極22の部位D1及びD2は、電位勾配が緩やかな領域である。そのため、上記構成によれば、溶接物21及び電極22の部位間の合成電圧を精度よく測定することができる。
また、測定装置1は、複数の溶接部23a乃至23dの状態を判定するための閾値を保持する保持部として記憶部60を備えるものであってもよい。この場合、制御部20は、検出回路50により検出される合成電圧が上記閾値を超える場合には、複数の溶接部23a乃至23dの状態を示す情報として、複数の溶接部23a乃至23dの状態が良好である旨を示す状態情報を生成する。
この構成によれば、測定装置1において、制御部20が検出回路50により検出される合成電圧に基づいて複数の溶接部23a乃至23dの状態が良好であるか否かを判定する。これにより、利用者による溶接状態の良否判断が不要になるので、利用者は容易に溶接状態を把握することが可能となる。
また、第一実施形態における複数の印加回路40a乃至40dは、それぞれ異なる溶接部、具体的には当該印加回路に対応する溶接部に対し、同じ方向に電流を印加する。
この構成によれば、溶接部23a乃至23dのうち溶接状態が不良である溶接部の個数が増えるにつれて合成電圧が単調に上昇する。そのため、溶接状態が不良である溶接部の個数を容易に判別することができる。
上記実施形態では印加回路40a乃至40dがそれぞれ異なる一つの溶接部に対して電流を印加する例について説明したが、印加回路40a乃至40dがそれぞれ異なる複数の溶接部に電流を印加してもよい。そのため、以下では、印加部40から複数の溶接部ごとに電流を印加する実施形態について説明する。
(第二実施形態)
図6は、第二実施形態における溶接部23a乃至23dの状態を測定する手法を説明するための図である。第一実施形態では、四つの溶接部23a乃至23dに電流を印加するための印加回路の個数が第一実施形態とは異なる。
図6は、第二実施形態における溶接部23a乃至23dの状態を測定する手法を説明するための図である。第一実施形態では、四つの溶接部23a乃至23dに電流を印加するための印加回路の個数が第一実施形態とは異なる。
第一実施形態における測定装置1Aは、図1に示した測定装置1を構成する四つの印加回路40a乃至40dに代えて、二つの印加回路40a及び40bを備えている。検出回路50については、第一実施形態と同じ構成であるため、同一符号を付して重複する説明は省略する。
二つの印加回路40a及び40bは、それぞれ異なる同数の溶接部に対して電流を印加する。第一実施形態では、印加回路40aは、二つの溶接部23a及び23bに電流を印加するとともに、印加回路40bは、溶接部23a及び23bとは異なる二つの溶接部23c及び23dに電流を印加する。
印加回路40aの両端に接続される一対の印加プローブPa1に関しては、一方の印加プローブは、溶接部23b近傍に位置する溶接物21の部位に接触し、他方の印加プローブは、他の溶接部23a近傍に位置する電極22の部位に接触する。
印加回路40bの両端に接続される一対の印加プローブPa2に関しては、一方の印加プローブは、溶接部23cの近傍に位置する溶接物21の部位に接触し、他方の印加プローブは、他の溶接部23dの近傍に位置する電極22の部位に接触する。
このように、一対の印加プローブPa1又はPa2の一方は、2N個(第一実施形態ではN=2)の溶接部23a乃至23dにおける最初のN個の中から排他的に選択されるいずれか一つの溶接部23b又は23cの近傍に位置する部位に接触する。また、一対の印加プローブPa1又はPa2の他方は、2N個の溶接部における残りのN個の中から排他的に選択されるいずれか一つの溶接部23a又は23dの近傍に位置する部位に接触する。なお、第一実施形態ではN=2としたが、Nは3以上の自然数であってもよい。
図7は、第一実施形態における測定装置1Aの機能構成を示すブロック図である。
測定装置1Aは、測定器110及び測定器120を備える。測定器110及び測定器120は、例えば、テスター又は抵抗計などによって構成される。
測定器110は、図6に示した印加回路40aに加え、測定部30A及び本体部100Aを備えている。測定器120は、図6に示した印加回路40b及び検出回路50に加え、測定部30B、温度センサ90及び本体部100Bを備えている。
測定部30A及び測定部30Bは、図1に示した測定部30と同じ機能を有する。本体部100A及び本体部100Bの各々は、第一実施形態では、図1に示した操作部10、制御部20、記憶部60、表示部70及び通信部80によって構成される。
温度センサ90は、溶接部23a乃至23dの少なくとも一つの溶接部の温度又は溶接部の周囲温度を検出する。温度センサ90は、検出した温度の大きさを示す温度信号を生成して測定部30Bに出力する。
測定部30Bは、第一実施形態と同様、検出回路50から出力される検出信号に基づいて溶接部23a乃至23dの各々に生じる電圧降下を示す各電圧の合成電圧を測定する。さらに第一実施形態では、測定部30Bは、温度センサ90からの温度信号に応じて合成電圧の測定値を補正する補正処理を実行する。
具体的には、溶接部の温度と合成電圧の補正量との関係を示す補正テーブルが本体部100Bの記憶部60にあらかじめ記憶されている。補正テーブルにおいては、例えば、溶接部の温度が25℃であるときの補正量がゼロに設定されている。また、溶接部の温度が25℃よりも上昇するにつれて補正量がゼロよりも小さくなり、溶接部の温度が25℃よりも低下するにつれて補正量がゼロよりも大きくなる。
そして、測定部30Bは、温度センサ90から温度信号を取得すると、記憶部60に記憶された補正テーブルを参照し、その温度信号が示す温度に対応する補正量を取得する。測定部30Bは、取得した補正量を、検出信号に示された合成電圧の電圧値に加算することによって合成電圧の測定値を算出する。
このように、測定部30Bは、温度センサ90からの温度信号に応じて合成電圧の測定値を補正する。測定部30Bは、補正した合成電圧の測定値を本体部100Bの制御部20に出力する。
なお、溶接部23a乃至23dの温度変動が小さい場合には、上述の補正処理を省略してもよい。また、この補正処理は、第一実施形態における測定部30において実行されてもよい。
続いて、第一実施形態における溶接部23a乃至23dの溶接状態と合成電圧の電圧値との関係について図8を参照して説明する。
図8は、溶接部23a乃至23dの溶接状態に応じて合成電圧が変化することを説明するための図である。図8には、印加回路40a及び印加回路40bの各々から2.0[A]の直流電流が溶接物21に印加された状態での合成電圧の測定結果が例示されている。
図8に示すように、四つの溶接部23a乃至23d全ての溶接状態が良好である場合には、合成電圧が10.1[μV]となる。そして溶接部23aのみが不良である場合には、合成電圧が11.3[μV]となり、溶接部23bのみが不良である場合には、合成電圧が16.6[μV]となる。また、二つの溶接部23b及び溶接部23dが共に不良である場合には、合成電圧が18.3[μV]となる。
このため、測定部30Bにおいて、溶接部23a乃至23dの溶接状態が全て良好であるか否かを判定する場合には、判定するために用いられる第一閾値は、測定誤差等を考慮し、例えば10.5[μV]に定められる。このように第一閾値を設定することにより、制御部20は、合成電圧の測定値が第一閾値を上回る場合には、溶接部23a乃至23dの全てが良好であると判定することが可能となる。
同様に、二つの溶接部23b及び23dが不良であるか否かを判定するための第二閾値は、例えば17[μV]に定められる。そして制御部20は、合成電圧の測定値が第二閾値を上回る場合には、溶接部23b及び23dが不良であると判定することができる。
このように、実験又はシミュレーションを通じて、溶接部23a乃至23dにおいて起こり得る全ての不良状態での合成電圧の電圧値を取得して各閾値を定めることにより、溶接部23a乃至23dの各々の溶接状態の良否判定を行うことが可能となる。
なお、第二実施形態では印加回路40a及び40bの各々から二つの溶接部ごとに排他的に電流を印加する例について説明したが、第二実施形態はこれに限られるものではない。例えば、一つの印加回路の出力電流によって各溶接部に電圧降下が生じていずれかの溶接部の不良時に合成電圧が変化すればよいので、このような条件を満たすようであれば、一つの印加回路から三つ以上の溶接部に電流が印加されるように構成してもよい。
次に、第二実施形態の作用効果について説明する。
第二実施形態における測定装置1Aは、被溶接物に相当する電極22に対して溶接物21を複数個所溶接したときに形成される複数の溶接部23a乃至23dの状態を測定する。そして測定装置1は、溶接部23a乃至23dのうち、これらの個数よりも少ない複数(例えば二つ)の溶接部ごとに、排他的に電流を印加する複数の印加回路40a及び40bを備える。さらに測定装置1Aは、印加回路40a及び40bによる電流の印加により複数の溶接部ごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成された合成電圧を検出する検出回路50と、検出回路により検出される合成電圧に基づき複数の溶接部23a乃至23dの状態を示す情報を出力する制御部20と、を含む。
また、第二実施形態における複数の溶接部23a乃至23dの状態を測定する測定方法は、複数(例えば二つ)の溶接部ごとに排他的に電流を印加する複数の印加ステップ(S1)と、複数の印加ステップでの電流印加により上述の合成電圧を検出する検出ステップ(S2)と、を含む。この測定方法は、さらに、検出ステップにより検出された合成電圧に基づき、複数の溶接部23a乃至23dの状態を示す情報を出力する処理ステップ(S3)を含む。
これらの構成によれば、複数の溶接部ごとに排他的に電流が印加されるので、各溶接部の電圧降下に伴って生じる合成電圧は、溶接部23a乃至23dの各状態に応じて異なる値を示す。それゆえ、合成電圧を検出することによって複数の溶接部23a乃至23dが不良であるか否かを判別することが可能となる。
したがって、溶接部23a乃至23dに生じる電圧の各々を、時間をズラして検出する場合に比べて、複数の溶接部23a乃至23dの測定時間を短くすることができる。
また、第二実施形態における測定装置1Aは、印加回路40a及び40bの各々の両端に接続される複数の一対の接触子を構成する印加プローブPa1及びPa2と、検出回路50の両端に接続される他の一対の接触子を構成する検出プローブPdと、を含む。
そして、複数の一対の印加プローブPa1及びPa2の各一方は、複数の溶接部23a乃至23dのうち2N個(Nは2以上の自然数)の溶接部における最初のN個の中から排他的に選択されるいずれか一つの溶接部の近傍に位置する部位に接触する。また、複数の一対の印加プローブPa1及びPa2の各他方は、2N個の溶接部における残りのN個の中から排他的に選択されるいずれか一つの溶接部の近傍に位置する部位に接触する。
複数の一対の印加プローブPa1及びPa2の各一方に接触される部位は、溶接物21及び電極22のうち一方の部位であり、複数の一対の印加プローブPa1及びPa2の各他方に接触される部位は、溶接物21及び電極22のうち他方の部位であることが望ましい。この構成により、測定精度を高めることができる。
具体的には、一対の印加プローブPa1の一方の印加プローブは、四つの溶接部23a乃至23dのうち最初の2個の溶接部23b及び23cの中から排他的に選択されるいずれか一つの溶接部23bの近傍に位置する溶接物21の部位に接触する。そして一対の印加プローブPa2の一方の印加プローブは、最初の2個の溶接部23b及び23cの中から排他的に選択されるいずれか一つの溶接部23cの近傍に位置する溶接物21の部位に接触する。
また、一対の印加プローブPa1の他方の印加プローブは、残りの2個の溶接部23a及び23dの中から排他的に選択されるいずれか一つの溶接部23aの近傍に位置する電極22の部位に接触し、一対の印加プローブPa2の他方の印加プローブは、残りの2個の溶接部23a及び23dの中から排他的に選択されるいずれか一つの溶接部23dの近傍に位置する電極22の部位に接触する。
この構成によれば、第一実施形態と同様、溶接部23a乃至23dの各々に電流が流れるので、図8に示すように、複数の溶接部23a乃至23dの各々の溶接状態に応じて合成電圧の電圧値が変化する。このため、検出回路50により検出される合成電圧の大きさに応じて、溶接部23a乃至23dの溶接状態の良否を判別することができる。
その他、第二実施形態において、第一実施形態と同様の構成については第一実施形態と同等の作用効果を奏することができる。
(第三実施形態)
図9は、第三実施形態における測定対象物2の溶接部23a乃至23dを測定する測定システム1Bの構成を示す図である。
図9は、第三実施形態における測定対象物2の溶接部23a乃至23dを測定する測定システム1Bの構成を示す図である。
測定システム1Bは、プローブ群Pと、複数の電流印加装置11a乃至11dと、電圧検出装置12と、情報処理装置13と、を備える。第三実施形態のプローブ群Pについては、第一実施形態と同様、四つの一対の印加プローブPa1乃至Pa4がそれぞれ四つの溶接部23a乃至23dを跨ぐように配置されている。そして一対の検出プローブPdは、それぞれ溶接物21及び電極22における溶接部23a乃至23d間の略等距離の部位D1及びD2に接触するよう配置される。
複数の電流印加装置11a乃至11dは、一又は複数の溶接部ごとに排他的に電流を印加する装置であり、それぞれ第一実施形態における印加回路40a乃至40dとして機能する。
第三実施形態では、電流印加装置11aは、一対の印加プローブPa1を通じて溶接部23aに電流を印加し、電流印加装置11bは、一対の印加プローブPa2を通じて溶接部23bに電流を印加する。さらに、電流印加装置11cは、一対の印加プローブPa3を通じて溶接部23cに電流を印加し、電流印加装置11dは、一対の印加プローブPa4を通じて溶接部23dに電流を印加する。
このように、四つの電流印加装置11a乃至11dは、それぞれ、四つの一対の印加プローブPa1乃至Pa4を介して排他的に溶接部23a乃至23dに電流を印加する。
電圧検出装置12は、電流印加装置11a乃至11dによる電流の印加により溶接部23a乃至23dの各々に生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成された電圧を検出する装置であり、第一実施形態における検出回路50として機能する。第三実施形態の電圧検出装置12は、溶接部23a乃至23dの各々に印加された電流により一対の検出プローブPd間に生じる合成電圧を検出する。
情報処理装置13は、電圧検出装置12により検出される合成電圧に基づき複数の溶接部の状態を示す情報を出力する装置であり、第一実施形態における測定部30として機能する。第三実施形態の情報処理装置13は、第一実施形態と同様、検出した合成電圧に基づいて、複数の溶接部23a乃至23dの状態を示す測定情報を生成する。そして情報処理装置13は、その測定情報を表示したり、外部に送信したり、記憶したりする。
第三実施形態では、四つの電流印加装置11a乃至11dが四つの溶接部23a乃至23dに排他的に電流を印加する例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、電流印加装置11a乃至11dのうち少なくとも一つの電流印加装置が複数の溶接部23a乃至23dに排他的に電流を印加する構成であってもよい。
また、第三実施形態では、電流印加装置11a乃至11dが、四つの溶接部23a乃至23dのうちの一つの溶接部ごとに排他的に電流を印加することにより、溶接部23a乃至23dの状態を示す測定情報を生成する例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、第二実施形態のように、複数の溶接部ごとに排他的に電流を印加して溶接部23a乃至23dの状態を示す測定情報を生成してもよい。
次に、第三実施形態の作用効果について説明する。
第三実施形態における測定システム1Bは、被溶接物に相当する電極22に対して溶接物21を複数個所溶接したときに形成される複数の溶接部23a乃至23dの状態を測定する。測定システム1Bは、四つの溶接部23a乃至23dのうちの一又は複数の溶接部ごとに排他的に電流を印加する一又は複数の電流印加装置11a乃至11dと、一又は複数の電流印加装置11a乃至11dによる電流の印加により溶接部ごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成された電圧を検出する電圧検出装置12と、を備える。さらに測定システム1Bは、溶接部ごとに生じる電圧同士が合成された電圧に基づき複数の溶接部23a乃至23dの状態を示す情報を出力する情報処理装置13を備える。
この構成によれば、第一実施形態及び第二実施形態と同様、一又は複数の溶接部ごとに排他的に電流が印加されることによって、溶接部23a乃至23dの各々の電圧降下に伴って生じる合成電圧が、溶接部23a乃至23dの各状態に応じて異なる値を示す。それゆえ、合成電圧を検出することにより、複数の溶接部23a乃至23dが不良であるか否かを判別することが可能となる。
したがって、溶接部23a乃至23dに生じる電圧の各々を、時間をズラして検出する場合に比べて、複数の溶接部23a乃至23dの状態を測定するための時間を短くすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では四つの溶接部23a乃至23dを測定対象としたが、測定対象は、二つ、三つ、五つ以上の溶接部であってもよい。
例えば、上記実施形態では溶接物21の形状は十字形状であったが、円状、楕円状、又は矩形状であってもよい。
また、上記実施形態における測定装置1及び1Aには操作部10、表示部70及び通信部80が設けられているが、測定装置1及び1Aから操作部10、表示部70及び通信部80の少なくとも一つの機能を省略してもよい。
1、1A 測定装置
1B 測定システム
11a~11d 電流印加装置
12 電圧検出装置
13 情報処理装置
30、30A、30B 測定部(処理部)
40a~40d 印加回路
50 検出回路
Pa1~Pa4 一対の印加プローブ(印加回路の一対の接触子)
Pd 一対の検出プローブ(検出回路の一対の接触子)
1B 測定システム
11a~11d 電流印加装置
12 電圧検出装置
13 情報処理装置
30、30A、30B 測定部(処理部)
40a~40d 印加回路
50 検出回路
Pa1~Pa4 一対の印加プローブ(印加回路の一対の接触子)
Pd 一対の検出プローブ(検出回路の一対の接触子)
Claims (9)
- 被溶接物に溶接物を複数個所溶接したときに形成される複数の溶接部の状態を測定する測定装置であって、
一又は複数の前記溶接部ごとに排他的に電流を印加する複数の印加回路と、
前記電流の印加により前記溶接部ごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成された電圧を検出する検出回路と、
前記合成された電圧に基づき前記複数の溶接部の状態を示す情報を出力する処理部と、
を含む測定装置。 - 請求項1に記載の測定装置であって、
前記印加回路の各々の両端に接続される複数の一対の接触子と、
前記検出回路の両端に接続される他の一対の接触子と、を含み、
前記複数の一対の接触子は、それぞれ前記複数の溶接部の近傍における前記溶接物又は前記被溶接物の部位に接触し、
前記他の一対の接触子は、前記複数の一対の接触子がそれぞれ接触する前記部位よりも前記複数の溶接部から離れた前記溶接物又は前記被溶接物の部位に接触する、
測定装置。 - 請求項2に記載の測定装置であって、
前記他の一対の接触子は、前記複数の溶接部によって形成される多角形の重心から前記多角形の各辺の中点を通過する各線のいずれかの線上又はその近傍に位置する前記溶接物又は前記被溶接物の部位に接触する、
測定装置。 - 請求項2又は請求項3に記載の測定装置であって、
前記他の一対の接触子は、前記溶接部の各々に対して略等距離に位置する前記溶接物及び前記被溶接物の部位に接触する、
測定装置。 - 請求項2又は請求項3に記載の測定装置であって、
前記複数の一対の接触子の各一方は、前記複数の溶接部のうち2N個(Nは2以上の自然数)の溶接部における最初のN個の中から排他的に選択されるいずれか一つの溶接部の近傍に位置する部位に接触し、前記複数の一対の接触子の各他方は、前記2N個の溶接部における残りのN個の中から排他的に選択されるいずれか一つの溶接部の近傍に位置する部位に接触する、
測定装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記状態を判定するための閾値を保持する保持部をさらに含み、
前記処理部は、前記検出回路により検出される電圧が前記閾値を超える場合には、前記情報として前記複数の溶接部の状態が良好である旨を示す状態情報を生成する、
測定装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記複数の印加回路は、それぞれ、異なる前記一又は複数の溶接部に対し、同じ方向に前記電流を印加する、
測定装置。 - 被溶接物に溶接物を複数個所溶接したときに形成される複数の溶接部の状態を測定する測定方法であって、
一又は複数の前記溶接部ごとに排他的に電流を印加する複数の印加ステップと、
前記電流の印加により前記一又は複数の溶接部ごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成された電圧を検出する検出ステップと、
前記合成された電圧に基づき前記複数の溶接部の状態を示す情報を出力する処理ステップと、
を含む測定方法。 - 被溶接物に溶接物を複数個所溶接したときに形成される複数の溶接部の状態を測定する測定システムであって、
一又は複数の前記溶接部ごとに排他的に電流を印加する一又は複数の電流印加装置と、
前記電流の印加により前記溶接部ごとに生じる電圧降下の大きさを示す電圧が合成された電圧を検出する電圧検出装置と、
前記合成された電圧に基づき前記複数の溶接部の状態を示す情報を出力する情報処理装置と、
を備える測定システム。
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2022
- 2022-09-08 JP JP2022143278A patent/JP2023057530A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN117020754A (zh) * | 2023-10-08 | 2023-11-10 | 成都飞机工业(集团)有限责任公司 | 一种柔性生产线数控加工中心几何精度检测工具及方法 |
CN117020754B (zh) * | 2023-10-08 | 2024-02-23 | 成都飞机工业(集团)有限责任公司 | 一种柔性生产线数控加工中心几何精度检测工具及方法 |
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