JP2023057246A - 回路部品及び回路部品の製造方法 - Google Patents

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敦 遊佐
Atsushi Yusa
浩明 上野
Hiroaki Ueno
建輝 鈴木
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Abstract

【課題】伸縮可能であり、延伸時においても回路配線が高い導電性を有し、更に、回路配線の基材に対する密着強度が高い回路部品及び回路部品の製造方法を提供する。【解決手段】回路部品100は、伸縮性基材10と、伸縮性基材10の表面に形成されており、金属を含む粒子Pにより構成された粒子層21を含む回路配線20と、を含む。伸縮性基材10の表面の回路配線20が形成されている領域に、複数の凹部11が形成されており、凹部11には粒子Pが充填されている。【選択図】図1

Description

本発明は、回路部品及び回路部品の製造方法に関する。
近年、可撓性、伸縮性を有するフレキシブルな配線基板等(回路部品)が提案されており、ウェアラブル機器、ヘルスケア関連機器等への応用が期待されている(例えば、特許文献1)。
特開2019-160965号公報
ウェアラブル機器等に用いられる回路部品は、身体の凹凸や曲面に追従して伸縮可能であることが求められ、そこに形成される回路配線は延伸時においても十分な導電性を有する必要がある。また、伸縮を繰り返しても断線等が生じ難いように、回路配線の基材に対する密着強度が高いことも求められる。
本発明は、これらの課題を解決するものであり、伸縮可能であり、延伸時においても回路配線が高い導電性を有し、更に、回路配線の基材に対する密着強度が高い回路部品を提供する。
本発明の第1に態様に従えば、回路部品であって、伸縮性基材と、前記伸縮性基材の表面に形成されている、金属を含む粒子により構成された粒子層を含む回路配線と、を含み、前記伸縮性基材の表面の前記回路配線が形成されている領域に、複数の凹部が形成されており、前記凹部には前記粒子が充填されている回路部品が提供される。
前記伸縮性基材は、シリコーンゴムであってもよい。前記粒子に含まれる金属が、ニッケル及び銅の少なくとも一方であってもよい。
前記複数の凹部の深さの平均値が、0.1μm~40μmであってもよい。前記凹部は前記伸縮性基材の表面から内部へ向かって延びる非貫通孔であり、前記複数の凹部の延びる方向がランダムであってもよい。前記伸縮性基材の表面に形成された前記凹部の開口よりも、前記凹部の内部が広がっていてもよい。前記回路配線が形成されている前記表面に沿って前記伸縮性基材を延伸させたとき、延伸させていない状態と比較して、前記伸縮性基材に形成されている前記複数の凹部の形状及び前記粒子層の形状が変形してもよい。前記回路配線が形成されている前記表面に沿って前記伸縮性基材を延伸させたとき、延伸させていない状態と比較して、前記粒子層の厚さが薄くなってもよい。
前記回路配線が、下記式で表される条件を満たしてもよい。

(Ra-Rb)/Rb×100≦100

式(I)において、
Raは、延伸させていない状態の前記伸縮性基材の前記回路配線が形成されている前記表面上の所定の長さを有する直線が、10%長くなるように前記表面に沿って前記伸縮性基材を延伸させた状態における、前記回路配線の電気抵抗値(Ω)であり、
Rbは、延伸させていない状態の前記伸縮性基材における、前記回路配線の電気抵抗値(Ω)である。
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の回路部品の製造方法であって、前記伸縮性基材を用意することと、前記伸縮性基材を延伸させることと、前記伸縮性基材の表面に前記レーザー光を照射して、前記複数の凹部を形成することと、延伸させた状態の前記伸縮性基材の前記表面に、無電解メッキにより、前記粒子層を形成すること、とを含む回路部品の製造方法が提供される。
前記伸縮性基材の延伸において、前記表面に沿って前記伸縮性基材を延伸させてもよい。前記伸縮性基材の延伸において、延伸させていない状態の前記伸縮性基材の前記表面上の所定の長さを有する直線が、1%~100%長くなるように前記表面に沿って前記伸縮性基材を延伸させてもよい。前記複数の凹部の形成の前に、前記伸縮性基材の延伸を行い、前記複数の凹部の形成において、延伸させた状態の前記伸縮性基材の前記表面にレーザー光を照射してもよい。または、前記複数の凹部の形成の後に、前記伸縮性基材の延伸を行ってもよい。前記複数の凹部の形成において、前記伸縮性基材の前記表面に対する照射角度を1回以上変化させて前記レーザー光を照射してもよい。
本発明の回路部品は、伸縮可能であり、延伸時においても回路配線が高い導電性を有し、更に、回路配線の基材に対する密着強度が高い。
図1(a)及び(b)は、実施形態の回路部品における、回路配線近傍の断面拡大図である。図1(a)は、伸縮性基材を延伸させていない状態の図であり、図1(b)は、伸縮性基材を延伸させた状態の図である。 図2は、実施形態の回路部品の製造方法を説明するフローチャートである。 図3(a)~(d)は、実施形態の回路部品の製造方法を説明する図である。 図4(a)及び(b)は、変形例の回路部品における、回路配線近傍の断面拡大図である。図4(a)は、伸縮性基材を延伸させていない状態の図であり、図4(b)は、伸縮性基材を延伸させた状態の図である。 図5(a)及び(b)は、実施例1で作製した回路部品の回路配線近傍の断面SEM写真である。図5(a)は、伸縮性基材を延伸させていない状態の写真であり、図5(b)は、伸縮性基材を延伸させた状態の写真である。 図6は、実施例1で作製した回路部品の表面における回路配線近傍のSEM写真であり、伸縮性基材を延伸させていない状態の写真である。 図7は、実施例において、密着性試験用サンプルとして作製した試料の上面図である。
[回路部品100]
本実施形態の回路部品100について説明する。図1(a)に示すように、回路部品100は、伸縮性基材10と、伸縮性基材10の表面10aに形成されている回路配線20を含む。回路配線20は、金属を含む粒子Pで構成された粒子層21を含む。粒子層21は、粒子Pの集合体である。伸縮性基材10の表面10aにおける、回路配線20が形成されている領域(以下、適宜、「配線領域」と記載する)には、複数の凹部11が形成されている。複数の凹部11には、粒子層21を構成している粒子Pが充填されている。
伸縮性基材10は、ゴム等の伸縮性を有するポリマーを含む。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、硫化ゴム、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ブチルゴム等が挙げられる。中でも、耐熱性、環境適合性の観点から、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムは、広い温度域において機械的性質を安定に保持可能である。これらのゴムは、1種類を単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
ゴムは、伸縮性基材10の主成分であってもよい。即ち、伸縮性基材10中のゴムの配合量は、例えば、50~100重量%であってよい。伸縮性基材10中のゴムの配合量が上記範囲内であれば、伸縮性基材10は、例えば、ウェアラブル機器に求められる十分な伸縮性を実現できる。
伸縮性基材10は、ゴムのみにより構成されていてもよいし、ゴム以外の成分を含有してもよい。例えば、伸縮性基材10は、粒子層21の密着強度を向上させる機能を有するフィラー、例えば、酸化チタン粉末、アルミナ粉末等を含有してもよい。また、本実施形態の回路部品100の奏する効果を阻害しない範囲において、伸縮性基材10は、必要に応じて更に汎用の添加剤を含有してもよい。
伸縮性基材10は、十分な伸長性を得られるように高柔軟なものが好ましい。伸縮性基材10の伸長性の程度は、特に限定されないが、例えば、引っ張り方向において、伸長性が50%以上(引っ張り方向おける1.5倍以上の伸長性)であることが好ましく、100%以上(同2倍以上の伸長性)であることが更に好ましい。引っ張り方向における50%、100%の伸長性とは、それぞれ、引っ張り方向において、所定の長さを有する直線が50%、100%長くなるように伸縮性基材10を延伸させても、伸縮性基材10の破断が生じないことを意味する。
伸縮性基材10の形状、大きさは、特に限定されず、回路部品100の用途に合わせて適宜設計できる。例えば、伸縮性基材10は板状体であってもよい。回路配線20は、板状体の対向する2つの主面の一方、又は両方に形成されていてもよい。回路部品100のウェアラブル機器等への応用を想定した場合、身体の凹凸や曲面に追従し易いように、板状体の厚さ(対向する2つの主面間の距離)は、例えば、3mm未満、又は0.1~2mmであってもよい。
伸縮性基材10の表面10a上の配線領域には、複数の凹部11が形成されている。凹部11は、伸縮性基材10の表面10aから内部へ向かって延びる非貫通孔である。凹部11は、配線領域のみに形成されていてよい。凹部11は、配線領域に規則的に、例えば、等間隔(等ピッチ)で配置されていてもよいし、不規則に(ランダムに)配置されていてもよい。
凹部11の深さの平均値は、好ましくは、0.1~40μm、0.5~30μm、又は10~15μmである。凹部11の深さの平均値が、この範囲内であれば、その上に形成される粒子層21の密着強度を更に高められる。凹部11の深さの平均値は、例えば、レーザー顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製、カラー3Dレーザ顕微鏡VK-9710)で測定した、凹部11の最大谷深さRvの平均値として求められる。
伸縮性基材10に形成された複数の凹部11は、粒子層21を構成している金属を含む粒子Pが充填されている。粒子Pは、凹部11の内部を充填し、更に連続して伸縮性基材10の表面10a上に広がり、粒子層21を構成している。これにより、粒子層21は伸縮性基材10に対して高い密着強度を有する。また、粒子Pは導電性を有する。粒子層21において、隣接する粒子P同士は結合及び/又は接触して導電パスを形成している。これにより、粒子層21は導電性を有し、回路配線20として機能する。
図1(a)は、伸縮性基材10に外力を加えていない状態、即ち、伸縮性基材10を延伸させていない状態を示す。この状態において、一部の粒子Pは、隣接する他の粒子Pと連結しておらず、接触しているだけの状態にある。図1(b)は、伸縮性基材10に外力を加え、回路配線20が形成されている表面10aに沿って伸縮性基材10を弾性領域で延伸させた状態を示す。伸縮性基材10は、例えば、表面10aに沿って延伸させることができる。伸縮性基材10は、表面10aに沿って複数の方向(例えば、2方向)に延伸させてもよいし、等方的に延伸させてもよい。伸縮性基材10を延伸させると、表面10aに形成した凹部11は延伸させた方向(表面10aと平行な方向)に広がり、その形状が変形する。この凹部11の変形(拡大)に追随して、単に接触していただけの粒子P同士が離間し、粒子層21の形状が変形する。例えば、延伸させていない状態と比較して、粒子層21の厚さが薄くなる。即ち、図1(a)に示す、延伸させていない伸縮性基材10上の粒子層21の厚さ21d1と比較して、図1(b)に示す、延伸させた伸縮性基材10上の粒子層21の厚さ21d2は薄くなる。そして、伸縮性基材10に加えた外力を開放すると、伸縮性基材10は元の大きさに縮み、凹部11の形状及び粒子層21は、図1(a)の状態に戻る。
このように、本実施形態では、伸縮性基材10の伸縮に伴う表面10aの変形(凹部11の変形)に追随して、粒子層21の形状が変化する。これにより、伸縮性基材10が延伸しても、粒子層21が剥がれ落ちたり、粒子層21に亀裂が入ったりしし難くい。また、伸縮性基材10の延伸により、一部の粒子Pは隣接する他の粒子Pと離間するが、粒子層21全体で見れば、十分な導電パスが維持されている。したがって、粒子層21を有する回路配線20は、伸縮性基材10の延伸時においても断線し難く、高い導電性を有する。
回路配線20は、下記式(I)で表される条件を満たすことが好ましい。

(Ra-Rb)/Rb×100≦200・・・(I)

式(I)において、Raは、延伸させていない状態の伸縮性基材10の回路配線20が形成されている表面10a上の所定の長さLを有する直線が、10%長くなるように表面10aに沿って伸縮性基材10を延伸させた状態における、回路配線20の電気抵抗値(Ω)である。即ち、Raは、長さLの直線が、長さ1.1Lの直線となるまで伸縮性基材10を延伸させたときの回路配線20の電気抵抗値(Ω)である。Rbは、延伸させていない状態の伸縮性基材10における、回路配線20の電気抵抗値(Ω)である。電気抵抗値Ra,Rbは、例えば、後述する実施例で説明する方法により測定できる。
式(I)の左辺は、伸縮性基材10を10%延伸させた場合における、回路配線20の電気抵抗値(Ω)の変化率(%)を示す。即ち、式(I)で表される条件は、伸縮性基材10を10%延伸させた場合における、回路配線20の電気抵抗値(Ω)の変化率(上昇率)が200%以下であることを意味する。伸縮性基材10を延伸すると回路配線20(粒子層21)の厚さが薄くなり、導電性が低下する(電気抵抗値が上昇する)傾向がある。しかし、式(I)で表される条件を満たす回路部品100は、伸縮性基材10の延伸時においても、回路配線20の電気抵抗値の変化は小さい。
伸縮性基材10を10%延伸させた場合における、回路配線20の電気抵抗値(Ω)の変化率(上昇率)は、100%以下であることがより好ましい。即ち、回路配線20は、下記式(II)で表される条件を満たすことがより好ましい。

(Ra-Rb)/Rb×100≦100・・・(II)

式(II)において、Ra及びRbは、上記式(I)と同様の回路配線20の電気抵抗値(Ω)を示す。
伸縮性基材10を10%延伸させた状態の回路配線20の電気抵抗値Ra(Ω)、伸縮性基材10を延伸させていない状態の回路配線20の電気抵抗値Rb(Ω)は、共に低い方が好ましい。電気抵抗値Ra,Rbは、共に、1MΩ以下が好ましく、200Ω以下がより好ましい。
粒子Pを構成する材料は、金属を含み、導電性を有するものであれば特に限定されない。粒子Pは、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、又はニッケル及び銅の両方を含んでもよい。粒子Pは、金属の粒子、金属化合物の粒子、又は、金属の粒子と金属化合物の粒子との混合物であってもよい。詳細は後述するが、粒子Pは無電解メッキにより形成することができ、粒子層21の密着強度、粒子Pの析出性、及び無電解メッキ液の安定性の観点から、粒子Pは、例えば、ニッケルリンの粒子、銅ニッケルの粒子、銅ニッケルリンの粒子、又はこれらの混合物が好ましい。
伸縮性基材10を延伸させていない状態の粒子層21の厚さ21d1は、例えば、0.1~20μm、又は0.2~15μmであってよい。厚さ21d1が上記範囲内であれば、十分な導電性を確保できる。
回路配線20は、粒子層21のみから構成されてもよし、本実施形態の回路部品100の奏する効果を阻害しない範囲において、粒子層21以外の構成物を含んでもよい。例えば、回路配線20は、粒子層21(粒子P)の上に形成される、Cu、Au膜等の他のメッキ膜を含んでもよい。粒子P上に形成されるメッキ膜は、上述した粒子層21の形状が伸縮性基材10の伸縮に伴って変形することを妨げない。一方、粒子Pを結着させることを目的とするバインダ樹脂は不要であり、回路配線20はバインダ樹脂を含む必要はない。
以上説明した本実施形態の回路部品100は、回路配線20が粒子層21を含むため、伸縮性基材10の延伸時においても断線し難く、高い導電性を有する。また、粒子Pは、凹部11の内部を充填し、更に連続して伸縮性基材10の表面10a上に広がり、粒子層21を形成している。これにより、粒子層21は伸縮性基材10に対して高い密着強度を有する。
[回路部品100の製造方法]
回路部品100の製造方法は限定されないが、例えば、以下に説明する方法により製造することができる。
(1)伸縮性基材10の用意
まず、伸縮性基材10を用意する(図2のステップS1、図3(a))。伸縮性基材10は市販品でもよいし、ゴム等の材料(樹脂材料)を任意の形状に成形して用意してもよい。成形方法は特に限定されず、汎用の射出成形、押出成形、圧縮成形(コンプレッション成形)等を用いることができる。
(2)伸縮性基材10の延伸
次に、伸縮性基材10を延伸させる(図2のステップS2)。例えば、伸縮性基材10は、延伸させた状態のまま、所定の治具に固定してもよい。これにより、伸縮性基材10を延伸させた状態のまま保持できる。伸縮性基材10は、回路配線20が形成される予定の表面10aに沿って延伸させることが好ましい。また、伸縮性基材10は、表面10aに沿って複数の方向(例えば、2方向)に延伸させてもよいし、等方的に延伸させてもよい。伸縮性基材10の延伸は、伸縮性基材10の表面10a上の所定の長さを有する直線が、延伸させていない状態と比較して、1%~100%又は、5%~50%長くなるように行うことが好ましい。
(3)凹部11の形成、及び無電解メッキ
伸縮性基材10を延伸させた状態のまま、表面10aにレーザー光を照射して複数の凹部11を形成する(図2のステップS3、図3(b))。そして、伸縮性基材10を延伸させた状態のまま無電解メッキを行い、表面10aの配線領域に粒子層21(回路配線20)を形成する(図2のステップS4、図3(c))。本実施形態では、無電解メッキにより、膜状の金属(無電解メッキ膜)が析出するのではなく、それに代わって、金属を含む粒子Pが析出し、その集合体である粒子層21(回路配線20)が形成される。粒子Pは、凹部11内部にも析出して凹部11を充填して、更に表面10上に成長する。回路配線20の形成後、固定されている治具から伸縮性基材10を開放して、回路部品100が得られる(図3(d))。
本実施形態において、無電解メッキにより、メッキ膜ではなく、粒子層21が形成されるメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。伸縮性基材10を延伸させた状態のまま無電解メッキを行うことにより、まず、無電解メッキ触媒(例えば、Pdイオン)が、凹部11が形成されている配線領域に拡散する(表面拡散)。次に、表面拡散した無電解メッキ触媒が凝集し、その凝集に伴って、無電解メッキ液から微細な結晶(粒子状のメッキ)が析出して、粒子層21が形成される。これらの現象は、触媒液中、及び無電解メッキ液中において、延伸させた伸縮性基材10が振動することによって促進されると推測される。尚、上述のメカニズムは推測であり、本発明を何ら限定するものではない。
また、本実施形態では、伸縮性基材10を延伸させた状態のまま、粒子層21を形成するため、その後、伸縮性基材10を延伸から開放したとき、粒子P同士の接点が増加する。これにより、伸縮性基材10が延伸していない状態の回路配線20の導電性を高められる。
表面10aの配線領域に選択的に回路配線20を形成する方法は、特に限定されず、汎用の方法を用いることができる。例えば、凹部11の形成後に表面10a全体に無電解メッキにより粒子層21を形成し、フォトレジストでパターニングし、エッチングにより回路配線以外の領域の粒子層21を除去する方法が挙げられる。または、配線領域にレーザー光を照射して粗化し、無電解メッキ触媒を付着し易くする。これにより配線領域の無電解メッキ反応性を高め、配線領域のみ(レーザー光照射部分のみ)に粒子層21を形成する方法等が挙げられる。
本実施形態では、例えば、国際公開第2018/131492号に開示されている以下の方法により、凹部11と回路配線20とを形成する。まず、(1)延伸させた状態の表面10aに、触媒活性妨害層を形成する。次に、(2)触媒活性妨害層が形成された表面10aの配線領域にレーザー光を照射し、配線領域の触媒活性妨害層を除去する。このとき、触媒活性妨害層を除去すると共に、レーザー光を用いて配線領域に凹部11を形成する。次に、(3)レーザー光を照射した配線領域に無電解触媒を付与し、そして、無電解メッキ液を接触させる。触媒活性妨害層は、その上に付与される無電解メッキ触媒の触媒活性を妨げる(妨害する)。このため、触媒活性妨害層上では、粒子層21の生成が抑制される。一方、配線領域は、触媒活性妨害層が除去されているため、粒子層21が生成する。これにより、配線領域に選択的に回路配線20が形成される。本実施形態の方法では、触媒活性妨害層を用いることで、配線領域以外でのメッキ反応を強く抑制でき、粒子層21生成の選択性を高められる。また、配線領域はレーザー光照射により触媒活性妨害層が除去されると共に、その表面が粗化される。表面が粗化されることによってメッキ反応性が高まり、結果として、粒子層21がより選択的に形成し易くなる。また、同時に、そこに形成される粒子層21の密着強度も高まる。
触媒活性妨害層は、無電解メッキ触媒の触媒活性を妨げる(妨害する)触媒活性妨害剤(触媒失活剤)を含む。触媒活性妨害剤(触媒失活剤)は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2018/131492号に開示されているデンドリマー、ハイパーブランチポリマー等のデンドリティックポリマーが好ましい。これらは、触媒失活能力に優れ、また、ポリマーであるので、バインダ樹脂を用いずに、触媒活性妨害層を形成できる。
無電解メッキ触媒は、特に限定されず、汎用のものを適宜選択して用いることができ、例えば、塩化パラジウム等の金属塩を含むメッキ触媒液を用いてもよい。また、無電解メッキ液は、特に限定されず、汎用のものを用いることができるが、例えば、次亜リン酸カルシウムを還元剤として用いたニッケルリン無電解メッキ液、銅ニッケル無電解メッキ液が好ましい。これらの無電解メッキ液は、粒子Pの析出性、無電解メッキ液の安定性が高い。また、粒子Pとして、ニッケルリン無電解メッキ液からはニッケルリン粒子が析出し、銅ニッケル無電解メッキ液からは、銅ニッケル粒子、銅ニッケルリン粒子が析出する。これらの粒子Pから構成される粒子層21は密着強度が高い。更に、必要に応じて、粒子層21の上に、無電解メッキ又は電解メッキにより、Au膜等の他のメッキ膜を形成してもよい。例えば、回路配線20は、複数層から構成されてよい。メッキ膜は、基材上に形成される無電解メッキ膜(粒子層21、下地メッキ膜)と、無電解メッキ膜上に形成される複数の電解メッキ膜を含んでよい。
尚、以上説明した回路部品100の製造方法では、凹部11の形成の前に、伸縮性基材10の延伸を行い、延伸させた状態の伸縮性基材10の表面10aにレーザー光を照射して、凹部11を形成する。即ち、図2に示すフローチャートのステップS2、ステップS3をこの順に実施する。伸縮性基材10を延伸させた状態で形成した凹部11は、延伸を解除した後に縮小するため、その上に形成されている回路配線20(粒子層20)の密着強度をより高められる。しかし、回路部品100の製造方法は、これに限定されない。伸縮性基材10を延伸させない状態で凹部11を形成し、凹部11の形成の後に伸縮性基材の延伸を行ってもよい。即ち、図2に示すフローチャートのステップS2とステップS3の順序を入れ替えて、ステップS3、ステップS2の順に実施してもよい。後者の方法(ステップS3、S2の順に実施)であっても、凹部11の存在により、その上に形成されている回路配線20(粒子層20)は十分な密着強度を有する。
[変形例]
上述した図1に示す回路部品100の凹部11は、図1(a)に示すように、伸縮性基材10の表面10aにおける開口11aよりも、凹部11の内部が狭い。即ち、開口11aの面積よりも、表面10aと平行な凹部11の断面11bの断面積が小さい。凹部11においては、開口11aよりも大きい断面積を有する、表面10aと平行な断面11bは存在しない。しかし、本実施形態は、これに限定されない。
例えば、図4(a)に示す回路部品200の凹部111のように、伸縮性基材10の表面10aにおける開口111aよりも、凹部111の内部が広くてもよい。即ち、開口111aの面積よりも、表面10aと平行な凹部111の断面111bの断面積が大きくてもよい。凹部111は、開口111aの面積よりも大きい断面積を有する、表面10aと平行な断面111bが存在する。開口111aよりも凹部111の内部が広いと、その上に形成される粒子層21の密着強度を更に高めることができる。
回路部品200は、凹部111の形状以外の構成は、回路部品100と同様であり、上述の回路部品100と同様の方法により製造できる。但し、凹部111は、延伸させた状態の伸縮性基材10の表面10aにレーザー光を照射して形成することで、より容易に形成できる。図4(b)に示すように、伸縮性基材10を表面10aに沿って延伸させると、凹部111は、ストレートな内壁面を有する円柱状の非貫通孔となる。これから理解できるように、延伸させた状態の伸縮性基材10において、形成が容易な円柱状の非貫通孔を形成し、その後、伸縮性基材10の延伸を解除することで、開口111aよりも内部が広い凹部111を容易に形成できる。
また、上述した図1に示す回路部品100の凹部11は、図1(a)に示すように、伸縮性基材10の表面10aから内部へ向かって延びる非貫通孔であり、その延びる方向は、表面10aに略垂直な方向である。そして、全ての複数の凹部11の延びる方向は、ほぼ一定(ほぼ同一の方向)である。したがって、凹部11は、レーザー光を表面10aに略直交する方向から照射して形成できる。複数の凹部11の形成において、表面10aに対するレーザー光の照射角度を変える必要はない。レーザー光の照射角度を変えずに複数の凹部11を形成できるため、製造時間の短縮が図れる。しかし、本実施形態は、これに限定されない。
例えば、複数の凹部11の延びる方向は一定ではなく、異なっていてよく、複数の方向(例えば、2方向)でもよいし、ランダムであってもよい。複数の凹部11の延びる方向が複数の方向、又はランダムであると、その上に形成される粒子層21の密着強度を更に高めることができる。このような複数の凹部11は、例えば、レーザー光を表面10aに対して複数の方向、ランダムな方向から照射して形成する。例えば、複数の凹部11の形成において、表面10aに対するレーザー光の照射角度を1回以上変化させてレーザー光を照射する。これにより、それぞれのレーザー光の照射角度(照射方向)に沿って延びる複数の凹部11を形成できる。
以上説明した実施形態及び複数の変形例は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例及び比較例により制限されない。
[実施例1]
本実施例では、図1に示す回路部品100を作製した。
(1)伸縮性基材10の成形
シリコーン樹脂(シリコーンゴム)(信越化学工業株式会社製、品名:KJR632)を圧縮成形(コンプレッション成形)により平板に成形し、伸縮性基材10を得た(金型温度:170℃)。
(2)伸縮性基材10の延伸
伸縮性基材10(平板)の四隅に4個の貫通孔をそれぞれ形成した。より詳細には、伸縮性基材10の表面10aにおいて、20mm×20mm角の四角形の各頂点に貫通孔を形成した。次に、延伸用の治具として、平面上の30mm×30mm角の四角形の各頂点に突起が設けられた治具を用意した。伸縮性基材10を表面10aに沿って延伸させ、伸縮性基材10の各貫通孔に治具の各突起を係合させた。これにより、長さ20mmの直線が30mmとなるまで伸縮性基材10を延伸した状態、即ち、50%延伸した状態の伸縮性基材10を治具に固定した。
(3)凹部11、及び回路配線20の形成
本実施例では、以下に説明する方法により、凹部11及び回路配線20(粒子層21)を形成した。
(a)触媒活性妨害層の形成
延伸された状態の伸縮性基材10の表面10aに、触媒失活剤である下記式(1)で表されるハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層を形成した。式(1)で表されるハイパーブランチポリマーは、国際公開第2018/131492号に開示される方法により合成した。式(1)において、Rはビニル基又はエチル基である。
Figure 2023057246000002
合成したハイパーブランチポリマーの分子量をGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定した。分子量は、数平均分子量(Mn)=9,946、重量平均分子量(Mw)=24,792であり、ハイパーブランチ構造独特の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)とが大きく異なった値であった。
合成した式(1)で表されるポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:10.4)に溶解して、ポリマー濃度0.5重量%のポリマー溶液を調製した。室温のポリマー溶液に、伸縮性基材10を5秒間浸漬し、その後、100℃乾燥機中で10分間乾燥した。これにより、伸縮性基材10の表面に触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層の厚さは、100nmであった。
(b)レーザー描画、凹部11の形成
伸縮性基材10の表面10aの回路配線20を形成する予定の領域(配線領域、配線パターン)にレーザー光を照射(レーザー描画)した。詳細には、UVレーザー(株式会社キーエンス製、3-Axis UV レーザマーカMD-U1000C)を用い、パワー80%、速度1000mm/s、周波数40kHzのレーザー描画条件で、配線領域を20μmピッチで斜線状に描画した。レーザー光を照射した領域は、触媒活性妨害層80が除去されると共に粗化された。
触媒活性妨害層を除去すると共に、レーザー光を用いて配線領域に複数の凹部11を形成した。レーザー光は、表面10aに略直交する方向から照射し、照射角度を変えずに全ての凹部11を形成した。この結果、形成された全ての凹部11の、表面10aから内部へ向かって延びる方向は同一であり、表面10aに略垂直な方向であった。凹部11の深さの平均値を株式会社キーエンス製、カラー3Dレーザ顕微鏡VK-9710で測定した。凹部11の深さの平均値(最大谷深さRvの平均値)は、10μmであった。
(c)粒子層21の形成
30℃に調整した市販の塩化パラジウム(PdCl)水溶液(奥野製薬工業製、アクチベータ)に伸縮性基材10を5分間浸漬した。その後、伸縮性基材10を塩化パラジウム水溶液から取り出し、水洗した。
60℃に調整した無電解ニッケルリンメッキ液(奥野製薬工業製、トップニコロンLPH-L、pH6.5)に、伸縮性基材10を10分間浸漬した。伸縮性基材10上のレーザー描画部分(配線領域)に粒子層21(無電解ニッケルリン粒子の集合体)が約1μm成長した。
次に、電解銅メッキを行い、粒子層21(粒子P)上に5μmの銅メッキ膜を積層し、回路配線20を形成した。これにより、本実施例の回路部品100を得た。
[実施例2]
伸縮性基材10の延伸工程において、伸縮性基材10を20%延伸させたこと以外は、実施例1と同様の方法で回路部品100を作製した。
[実施例3]
(1)伸縮性基材10の成形
シリコーンゴムに代えてクロロプレンゴム(CR)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により平板状の伸縮性基材10を形成した。
(2)伸縮性基材10の延伸
伸縮性基材10を20%延伸させたこと以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性基材10を延伸させて治具に固定した。
(3)凹部11、及び回路配線20の形成
凹部11の形成において、レーザー光の照射方向の変更を1回行った。詳細には、レーザー光を表面10aに略直交する方向から照射して凹部11を複数個形成し、次に、レーザー光を表面10aに対して45°傾いた方向から照射して更に複数個の凹部11を形成した。この結果、形成された凹部11の、表面10aから内部へ向かって延びる方向は、表面10aに略垂直な方向と、表面10aに対して45°傾いた方向との2方向となった。また、本実施例では、凹部11の深さの平均値が12μmとなるようにレーザー光照射条件を調節した。
上述の凹部11の形成方法以外は、実施例1と同様の方法により、回路配線20を形成した。これにより、本実施例の回路部品100を得た。
[実施例4]
(1)伸縮性基材10の成形
シリコーンゴムに代えてアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により平板状の伸縮性基材10を形成した。
(2)伸縮性基材10の延伸
伸縮性基材10を10%延伸させたこと以外は、実施例1と同様の方法で伸縮性基材10を延伸させて治具に固定した。
(3)凹部11、及び回路配線20の形成
凹部11の形成において、凹部11の深さの平均値が15μmとなるようにレーザー光照射条件を調節した以外は、実施例1と同様の方法により、回路配線20を形成した。これにより、本実施例の回路部品100を得た。
[比較例]
本比較例では、レーザー光照射により触媒活性妨害層の除去を行ったが、凹部11は形成しなかった。これ以外は、実施例1と同様の方法により、本比較例の回路部品を作製した。
[回路部品の評価]
実施例1~4及び比較例で作製した回路部品について、以下の評価を行った。
(1)回路部品のSEM観察
実施例1で作製した回路部品100について、回路配線近傍の表面及び断面のSEM観察を行った。図5(a)は、伸縮性基材10を延伸させていない状態の断面SEM写真であり、図5(b)は、伸縮性基材10を延伸させた状態の断面SEM写真である。図6は、伸縮性基材10を延伸させていない状態の回路配線近傍の表面のSEM写真である。
図5(a),(b)及び図6に示されるように、回路配線20は膜状の金属(メッキ膜)ではなく、粒子Pで構成された粒子層21を含んでおり、凹部11には粒子Pが充填されていた。また、図5(a)に示す、延伸させていない伸縮性基材10上の粒子層21と比較して、図5(b)に示す、延伸させた伸縮性基材10上の粒子層21の厚さは薄くなっていることが確認できた。即ち、伸縮性基材10の伸縮に伴う表面の変形(凹部11の変形)に追随して、粒子層21の形状が変化していた。
(2)密着性試験
(a)剥離試験
実施例1~4及び比較例の密着性試験用サンプルとして、図7に示す、伸縮性基材10上に十字型に回路配線20が形成された試料Sをそれぞれ作製した。それぞれの試料Sにおいて、伸縮性基材10から剥離角度90度でテープ(寺岡製作所製、ポリエステルフィルム粘着テープ631S#25)を5N/cmの強度で剥離する剥離試験を行い、以下の評価基準に従って評価した。剥離試験は、回路配線20上の直交する2方向においてそれぞれ行った(合計2回)。評価結果を表1に示す。
<剥離試験の評価基準>
〇:剥離試験により、メッキ膜の剥離が生じなかった。
×:剥離試験により、メッキ膜の剥離が生じた。
(b)密着性試験後の電気抵抗値
実施例1~4及び比較例の試料Sにおいて、上述の密着性試験を行った後、電気抵抗値を測定し、以下の評価基準に従って評価した。測定には、デジタルマルチメーター(株式会社TFFフルーク社製、FLUKE-177)を使用した。評価結果を表1に示す。
<密着性試験後の電気抵抗値の評価基準>
〇:密着性試験後の電気抵抗値が、1MΩ以下である。
×:密着性試験後の電気抵抗値が、1MΩを超えている。
(3)回路配線の電気抵抗値
実施例1、2及び比較例で作製した回路部品100において、延伸させていない状態(通常時)の電気抵抗値Rbと、延伸させた状態の電気抵抗値Raを測定した。電気抵抗値Raは、上述した回路部品100の作製時において伸縮性基材10を延伸させた方法と同様の延伸方法により、表面10aの配線領域における所定の長さLを有する直線が10%長くなるように、表面10aに沿って伸縮性基材10を延伸させた状態で測定した。電気抵抗値の測定は、上述した密着性試験後の電気抵抗値の測定と同様の方法により行った。測定した電気抵抗値Ra,Rbのそれぞれを以下の評価基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。尚、下記評価基準において、評価結果がA又はBであれば、回路配線20の抵抗は十分に低く、高い導電性を示すと判断できる。
<回路配線の電気抵抗値の評価基準>
A:電気抵抗値Ra,Rbが200Ω以下である。
B:電気抵抗値Ra,Rbが200Ωより大きく、且つ1MΩ以下である。
C:電気抵抗値Ra,Rbが1MΩより大きい。
(4)回路配線の電気抵抗値の変化率
電気抵抗値Ra,Rbを測定した、実施例1、2及び比較例の回路部品100について、下記式(III)により、伸縮性基材10を10%延伸させた場合における、回路配線20の電気抵抗値(Ω)の変化率Rc(%)を求めた。変化率Rc(%)は、上述した式(I)及び(II)の左辺である。

Rc=(Ra-Rb)/Rb×100・・・(III)

式(III)において、Ra及びRbは、上記式(I)と同様の回路配線20の電気抵抗値(Ω)を示す。Rcは、伸縮性基材10を10%延伸させた場合における、回路配線20の電気抵抗値(Ω)の変化率(%)である。
求めた変化率Rcのそれぞれを以下の評価基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
<回路配線の電気抵抗値の変化率の評価基準>
A:変化率Rcが100%以下である。即ち、式(II)の条件を満たす。
B:変化率Rcが100%を超えて、且つ200%以下である。即ち、式(II)の条件は満たさないが、式(I)の条件を満たす。
C:変化率Rcが200%を超える。即ち、式(I)及び式(II)の条件を満たさない。
Figure 2023057246000003
表1に示すように、実施例1~4で作製した回路部品は、剥離試験において剥離が認められず、剥離試験後の電気抵抗値も比較例と比較して低かった。この結果から、実施例1~4で作製した回路部品においては、回路配線20が高い密着性を有していることが確認できた。また、実施例1及び2で作製した回路部品では、延伸させていない状態の電気抵抗値Rb、延伸させた状態の電気抵抗値Raは、共に十分に低かった。更に、実施例1及び2で作製した回路部品では、回路配線の電気抵抗値の変化率Rcも低く、式(I)又は式(II)で表される条件を満たしていた。この結果から、実施例1及び2で作製した回路部品100は、伸縮性基材10の延伸時においても断線し難く、高い導電性を有することが確認できた。
一方、凹部11か伸縮性基材10の配線領域に形成されていない比較例の回路部品は、剥離試験において剥離が生じ、剥離試験後の電気抵抗値も高かった。即ち、比較例の回路配線20の密着性は低かった。また、比較例では、伸縮性基材10を延伸させた状態の電気抵抗値Raが高かった。その結果、回路配線の電気抵抗値の変化率Rcも高く、式(I)及び(II)で表される条件を満たさなかった。即ち、比較例で作製した回路部品は、伸縮性基材10の延伸時において導電性が低かった。
本発明の回路部品は、伸縮可能であり、延伸時においても回路配線が高い導電性を有し、更に、回路配線の基材に対する密着強度が高い。このため、本発明の回路部品は、ウェアラブル機器、ヘルスケア関連機器に応用可能である。
10 伸縮性基材
11,111 凹部
20 回路配線
21 粒子層
100,200 回路部品
P 粒子

Claims (15)

  1. 回路部品であって、
    伸縮性基材と、
    前記伸縮性基材の表面に形成されている、金属を含む粒子により構成された粒子層を含む回路配線と、を含み、
    前記伸縮性基材の表面の前記回路配線が形成されている領域に、複数の凹部が形成されており、
    前記凹部には前記粒子が充填されている回路部品。
  2. 前記伸縮性基材が、シリコーンゴムを含む請求項1に記載の回路部品。
  3. 前記粒子に含まれる金属が、ニッケル及び銅の少なくとも一方である請求項1又は2に記載の回路部品
  4. 前記複数の凹部の深さの平均値が、0.1μm~40μmである請求項1~3のいずれか一項に記載の回路部品。
  5. 前記凹部は前記伸縮性基材の表面から内部へ向かって延びる非貫通孔であり、前記複数の凹部の延びる方向がランダムである請求項1~4のいずれか一項に記載の回路部品。
  6. 前記伸縮性基材の表面に形成された前記凹部の開口よりも、前記凹部の内部が広がっている請求項1~5のいずれか一項に記載の回路部品。
  7. 前記回路配線が形成されている前記表面に沿って前記伸縮性基材を延伸させたとき、
    延伸させていない状態と比較して、前記伸縮性基材に形成されている前記複数の凹部の形状及び前記粒子層の形状が変形する請求項1~6のいずれか一項に記載の回路部品。
  8. 前記回路配線が形成されている前記表面に沿って前記伸縮性基材を延伸させたとき、
    延伸させていない状態と比較して、前記粒子層の厚さが薄くなる請求項7に記載の回路部品。
  9. 前記回路配線が、下記式で表される条件を満たす、請求項1~8のいずれか一項に記載の回路部品。

    (Ra-Rb)/Rb×100≦100

    上記式において、
    Raは、延伸させていない状態の前記伸縮性基材の前記回路配線が形成されている前記表面上の所定の長さを有する直線が、10%長くなるように前記表面に沿って前記伸縮性基材を延伸させた状態における、前記回路配線の電気抵抗値(Ω)であり、
    Rbは、延伸させていない状態の前記伸縮性基材における、前記回路配線の電気抵抗値(Ω)である。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の前記回路部品の製造方法であって、
    前記伸縮性基材を用意することと、
    前記伸縮性基材を延伸させることと、
    前記伸縮性基材の表面にレーザー光を照射して、前記複数の凹部を形成することと、
    延伸させた状態の前記伸縮性基材の前記表面に、無電解メッキにより、前記粒子層を形成すること、とを含む回路部品の製造方法。
  11. 前記伸縮性基材の延伸において、前記表面に沿って前記伸縮性基材を延伸させる請求項10に記載の回路部品の製造方法。
  12. 前記伸縮性基材の延伸において、延伸させていない状態の前記伸縮性基材の前記表面上の所定の長さを有する直線が、1%~100%長くなるように前記表面に沿って前記伸縮性基材を延伸させる請求項10又は11に記載の回路部品の製造方法。
  13. 前記複数の凹部の形成の前に、前記伸縮性基材の延伸を行い、
    前記複数の凹部の形成において、延伸させた状態の前記伸縮性基材の前記表面に前記レーザー光を照射する、請求項10~12のいずれか一項に記載の回路部品の製造方法。
  14. 前記複数の凹部の形成の後に、前記伸縮性基材の延伸を行う請求項10~12のいずれか一項に記載の回路部品の製造方法。
  15. 前記複数の凹部の形成において、前記伸縮性基材の前記表面に対する照射角度を1回以上変化させて前記レーザー光を照射する請求項10~14のいずれか一項に記載の回路部品の製造方法。
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