JP2023056514A - 構造物保護シート及び構造物保護シートの施工方法 - Google Patents

構造物保護シート及び構造物保護シートの施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】幅広な構造物保護シートを構造物の表面に貼り付ける場合であってもシワやエアー噛みの発生を抑制し、複数の平行な段差を備えた構造物の表面であってもシワ及び隙間なく、かつ、極めて効率的に施工ができる構造物保護シート、及び、構造物保護シートの施工方法を提供する。【解決手段】離型シート、接着層、ポリマーセメント硬化層及び樹脂層がこの順に設けられ、構造物の表面に貼り合せて用いられる構造物保護シートであって、前記離型シートには、1又は2以上のスリットが形成されていることを特徴とする構造物保護シート。【選択図】図1

Description

本発明は、構造物保護シート及び構造物保護シートの施工方法に関する。さらに詳しくは、幅広な構造物保護シートを構造物の表面に貼り付ける場合であってもシワやエアー噛みの発生を抑制し、平行な段差を複数有する構造物の表面に保護シートを設ける際の工期を大幅に削減できるとともに、シワの発生や構造物の表面との隙間を形成することなく構造物を長期にわたって保護することができる構造物保護シート、及び、その構造物保護シートの施工方法に関する。
一般住宅や商業ビルなどの構造物の屋根は、長期間風雨に曝されることによる劣化や台風等の災害による破損が生じると雨漏りの原因となることがあった。
構造物の屋根の劣化や破損が生じたときには応急処置が必要となるが、現在構造物の屋根の応急処置としては、例えば、図7に示したように、屋根30の破損箇所を被うようにブルーシート31を置き、重りとして複数の土嚢32をブルーシート31の上に配置する方法が一般的である。
また、土嚢32のような重りを用いてブルーシート31を配置する方法以外に、例えば、特許文献1や特許文献2等には、水を入れた袋を用いてブルーシートを固定する方法が提案されている。
実用新案登録第3225057号公報 実用新案登録第3116572号公報
近年、建物の屋根としてスレート屋根が広く普及しているが、スレート屋根は互いに平行な段差が複数設けられた表面を有する非平坦面であり、このような屋根に対し、従来のブルーシートを用いた屋根の補修では、ブルーシートのシワを防ぐことは難しく、また、ブルーシートと屋根との間に隙間が存在し、この隙間からの水の侵入を防止できないという問題があった。
また、段差のない建物の屋根であっても、幅広なブルーシートである場合にシワやエアー噛みを生じさせることなく補修することは難しかった。
また、通常、ブルーシートの耐候性は余り高くないため1年ほどで劣化して張り替えをする必要があった。
本発明は、このような従来の現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、幅広な構造物保護シートを構造物の表面に貼り付ける場合であってもシワやエアー噛みの発生を抑制し、複数の平行な段差を備えた構造物の表面であってもシワ及び隙間なく、かつ、極めて効率的に施工ができる構造物保護シート、及び、構造物保護シートの施工方法を提供することにある。
本発明者らは、構造物の表面に対する補修方法について鋭意検討した結果、構造物の表面にブルーシートに代えて接着層を備えた特定の構成の保護シートを段差に沿って貼り付けることで構造物の表面との間の隙間を無くすことができ、更に該保護シートに構造物の表面の特性に応じた性能を付与すること、具体的には、スレート屋根等に生じたひび割れや膨張に追従できる追従性、水や塩化物イオン等の劣化因子を浸透させない防水性、遮塩性、中性化阻止性、及び、屋根中の水分を水蒸気として排出できる水蒸気透過性等をさらに備えるとともに、保護シート自身の強度を担保する層を設けることを実現した。
しかしながら、接着層を備えた保護シートは、該接着層に離型シートを貼り付けた状態で保存等され、施工時に上記離型シートを剥離して接着層を露出させてから構造物の表面への貼り付けを行うが、幅広の保護シートではシワの発生やエアー噛みの発生を抑制し難く、構造物の表面に凹凸形状、具体的にはスレート屋根のような平行な段差が設けられた形状である場合、段差間の平坦部への貼り付けを行っている際に段差部分や他の平坦部に意図せぬ貼り付きが生じることがあり、保護シートの貼り付けをシワ及び隙間なく効率的に行うことが極めて難しかった。
そこで、更に本発明者らが鋭意検討した結果、構造物の表面に貼り付ける部分毎に区分けしたスリットを離型シートに設け、構造物の表面の貼り付ける部分に相対する離型シートのみを剥離して接着層を露出させることで、幅広の保護シートであってもシワの発生やエアー噛みの発生を防止し、表面に平行な段差が設けられた構造物であっても、極めて効率よくかつシワ及び隙間を生じさせることなく保護シートの貼り付けが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
(1)本発明に係る構造物保護シートは、離型シート、接着層、ポリマーセメント硬化層及び樹脂層がこの順に設けられ、構造物の表面に貼り合せて用いられる構造物保護シートであって、前記離型シートには、1又は2以上のスリットが形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、幅広であっても貼り付ける部分に該当する離型シートのみを剥離して構造物の表面への貼り付けが可能となるためシワの発生やエアー噛みの発生を好適に防止できる。また、段差のある構造物の表面であっても貼り付け対象部分の離型シートのみを剥離して接着層を露出させることで、シワ及び隙間なくかつ効率的に構造物保護シートの施工が可能となる。
また、構造物保護シートは工場の生産ラインでの塗工工程と乾燥工程により量産できるので、低コスト化、現場での作業工期の大幅削減、構造物の長期保護を実現することができる。
更に、予めポリマーセメント硬化層の表面に接着層が形成されているので、作業現場で接着剤を塗布して接着剤層を形成することなく接着層を介した構造物の表面へ構造物保護シートの貼り付けが可能となり、作業効率が極めて優れたものとなる。
(2)本発明は、上記離型シートのスリットが長手方向に形成されている上記(1)に記載の構造物保護シートであることが好ましい。
この発明によると、スレート屋根等の構造物の表面にシワ及び隙間なく、かつ、極めて効率的に施工ができる。
(3)本発明は、上記構造物の表面には直線状の複数の段差が平行に形成されており、上記離型シートに形成されたスリットは、上記段差が形成する角部に相対する箇所に形成されている上記(1)又は(2)に記載の構造物保護シートであることが好ましい。
この発明によると、段差のある構造物の表面であっても貼り付け対象部分の離型シートのみを剥離して接着層を露出させることで、シワ及び隙間なくかつ効率的に構造物保護シートの施工が可能となる。
(4)本発明は、更にメッシュ層を有する上記(1)、(2)又は(3)記載の構造物保護シートであることが好ましい。
この発明によれば、メッシュ層を有しているので強度等にも優れる性能を本発明に係る構造物保護シートに付与できる。
(5)本発明は、上記接着層は、アクリル系粘着剤を主成分として含有する上記(1)、(2)、(3)又は(4)記載の構造物保護シートであることが好ましい。
アクリル系粘着剤は、材料設計の自由度が高く、また、透明性、耐候性及び耐熱性にも優れており、本発明に係る構造物保護シートによる構造物の保護をより好適に行うことができる。
(6)本発明は、上記構造物の表面に接着層を介して貼り付けた時の付着力が0.5N/mm以上である上記(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)記載の構造物保護シートであることが好ましい。
この発明によると、本発明に係る構造物保護シートによる構造物の表面の保護を長期にわたり強力に行うことができる。
(7)本発明は、上記接着層の厚さが50~500μmである上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)記載の構造物保護シートであることが好ましい。
この発明によると、構造物表面へ貼り付けた際の付着力を優れたものにでき、本発明に係る構造物保護シートによる構造物の表面の保護を長期にわたり強力に行うことができる。
(8)本発明は、上記ポリマーセメント硬化層は、セメント成分及び樹脂を含有する層であって、上記樹脂が10重量%以上、40重量%以下含有されている層である上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)又は(7)記載の構造物保護シートであることが好ましい。さらに好ましくは樹脂が20重量%以上、30重量%以下である。
この発明によれば、ポリマーセメント硬化層は追従性に優れた相溶性のよい層であるので、層自体の密着性は優れている。さらに、構造物側のポリマーセメント硬化層が含有するセメント成分はコンクリート等の構造物との密着性を高めるように作用する。
(9)本発明は、上記(3)、(4)、(5)、(6)、(7)又は(8)記載の構造物保護シートの施工方法であって、構造物の角部と離型シートのスリットとが相対するように前記構造物の表面に前記構造物保護シートを配置する工程、前記構造物の角部と相対させたスリットから一方の端部までの前記離型シートを剥離して接着層を露出させる工程と、露出させた前記接着層を前記構造物の表面に貼り付ける工程とを有することを特徴とする。
この発明によると、構造物の表面に構造物保護シートを貼り付ける際、構造物の表面に貼り付ける部分の離型シートのみを剥離して接着層を露出させ、貼り付け対象以外の部分の接着層は離型シートで覆われた状態にできるため、構造物保護シートの施工に際して意図せぬ接着層の貼り付けが起きることがない。その結果、平行な段差を有する平面であってもシワ及び隙間なく、かつ、極めて効率的に構造物保護シートの貼り付けができる。
本発明によれば、幅広な構造物保護シートを構造物の表面に貼り付ける場合であってもシワやエアー噛みの発生を抑制し、段差のある構造物の表面の補修を隙間なく容易に、かつ、長期間可能な構造物保護シートの施工方法を提供することができる。特に、構造物保護シートに構造物の表面の特性に応じた性能を付与し、構造物の表面に生じたひび割れや膨張に追従させること、構造物の表面に水や塩化物イオン等の劣化因子を浸透させないようにすること、構造物中の水分や劣化因子を排出できる透過性を持たせること、強度を向上させること等を実現できる構造物保護シートを用いた施工方法を提供することができる。さらに、施工現場において、雨漏れ修理用の塗料にて、手塗りで層を複数積層する方法と比較して品質の安定性、均一性を改善できる利点を有する。
(A)及び(B)は、本発明に係る構造物保護シートの一例を示す断面構成図である。 (A)及び(B)は、本発明に係る構造物保護シートを構造物に貼り付ける様子を示す模式図である。 本発明の構造物保護シートの一例を模式的に示す平面図である。 (a)~(c)は、本発明の構造物保護シートの施工方法の一例を示す模式図であり、(d)は、断面拡大図である。 (A)及び(B)は、本発明に係る構造物保護シートの別の一例を示す断面構成図である。 (A)及び(B)は、本発明に係る構造物保護シートのメッシュ層の一例を示す模式図である。 従来の屋根の補修方法の説明図である。 (a)、(b)は、実施例に係る構造物保護シートの模式図である。
以下、本発明の構造物保護シート及び該構造物保護シートの施工方法について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有する限り各種の変形が可能であり、以下の説明及び図面の形態に限定されない。
[構造物保護シート]
本発明に係る構造物保護シートは、構造物の表面に貼り合せて用いられるものであり、該構造物に貼り合せた状態で最も外側の面に樹脂層が設けられている。
このような本発明に係る構造物保護シート10は、図1に示すように、接着層15、ポリマーセメント硬化層12及び樹脂層13がこの順に設けられている。このポリマーセメント硬化層12と樹脂層13の両層が、図1(A)に示したように、それぞれ単層で形成されてもよいし、図1(B)に示したように積層として形成されてもよい。また、求められる性能によっては、ポリマーセメント硬化層12と樹脂層13との間に別の層を設けてもよい。
本発明に係る構造物保護シート10は、水蒸気透過率が10~50g/m・dayであることが好ましい。ポリマーセメント硬化層12はセメント成分を含有しているので、一定程度の水蒸気透過率を有することが期待できるが、ポリマーセメント硬化層12上に設けられる樹脂層13は水蒸気透過率が劣る結果になると推測されるところ、本発明においてはこのような問題は起きず、構造物保護シート10全体で水蒸気透過率が所定の範囲にあることで、コンクリート等の構造物に貼り付けた後内部の水蒸気を好適に透過させて外部に排出できるため、膨れの発生を好適に防止でき、更には接着性の低下も防止できる。水蒸気透過率が所定の範囲にあるメリットは、蒸気を逃がしやすい構造ゆえ、構造物中の金属(例えば鉄筋)の腐食の抑制ができる傾向になることが挙げられる。また、雨の日に構造物保護シート10を構造物に施工する場合には、構造物の表面が濡れると共に、構造物自体が水分を含んだ状態での施工となるが、構造物保護シート10が上記水蒸気透過率を有することで、施工後(補強された構造物の製造後)に構造物にしみこんだ水分が外部へと抜けやすくなる。さらに、硬化直後のコンクリートは内部に多くの水分を含むが、このようなコンクリートに対しても本発明に係る構造物保護シート10は好適に使用できる。
本発明に係る構造物保護シート10のもう一つの利点は、その水蒸気透過率を制御できるので、例えば構造物のセメントが硬化していないような状態でも当該構造物の表面に貼り付けることができる点にある。すなわち、セメントを成型して硬化させる際に急激に水分が抜けるとセメントがポーラスになって構造物の強度が落ちる傾向となるが、本発明に係る構造物保護シート10を硬化前のセメントに貼り付けることで、セメントの硬化時の水分除去のスピード等をコントロールでき、上記ポーラス構造になるのを避けやすくなるメリットもある。
上記水蒸気透過率が10g/m・day未満であると、本発明に係る構造物保護シート10が十分に水蒸気を透過させることができず、構造物に貼り付けたあとの膨れ現象等を防止できず接着性が不十分となることがある。50g/m・dayを超えると、セメントの硬化時の水分除去のスピードが過剰に早くなり、セメントの硬化物がポーラスになる不具合が生じる可能性がある。上記水蒸気透過率の好ましい範囲は20~50g/m・dayである。
このような水蒸気透過率を有する本発明に係る構造物保護シート10は、例えば、後述するポリマーセメント硬化層12と、所定の水蒸気透過率を有する樹脂を樹脂層13に用いることにより得ることができる。
本発明における水蒸気透過率は、後述する方法で測定することができる。
また、本発明に係る構造物保護シートは、2層以上重ねた状態で使用されてもよい。本発明に係る構造物保護シートで保護した構造物に対し、更に重ねて保護を行うことができるため、例えば、2枚の本発明に係る構造物保護シートを並べて貼り付けた場合、これらの構造物保護シート同士の境目を覆うように別の本発明に係る構造物保護シートを貼り付けることができる。
本発明に係る構造物保護シート10は、ポリマーセメント硬化層12がセメントと樹脂成分とを含有するものであるため、先に構造物に貼り付けた本発明に係る構造物保護シート10の樹脂層13に対しても好適な接着性を示す。そのため、重ねた状態で本発明に係る構造物保護シート10は好適に使用できる。
本発明に係る構造物保護シート10は、厚さ分布が±100μm以内であることが好ましい。この構造物保護シート10は、厚さ分布が上記範囲内であることで、熟練した作業者でなくても厚さバラツキの小さい層を構造物の表面に安定して設けることができる。また、厚さ分布を上記範囲内に制御することによって、構造物の補強を均一に行いやすくなる。
構造物側に設けられたポリマーセメント硬化層12は、構造物との密着性等に優れ、ポリマーセメント硬化層12上に設けられた樹脂層13は、防水性、遮塩性、中性化阻止性等に優れた性質を容易に付与できる。
また、本発明に係る構造物保護シート10は、工場の生産ラインでの塗工工程と乾燥工程により量産できるので低コスト化、現場での作業工期の大幅削減、構造物の長期保護を実現することができる。
また、本発明に係る構造物保護シート10は、接着層15が設けられているので、作業現場で接着剤を塗布して接着剤層を形成する必要がなく、熟練の職人でなくても均一な厚さの接着層を介して構造物の表面への貼り付けが容易となる。その結果、構造物の表面に貼り合わせる際の工期を大幅に削減できるとともに構造物を長期にわたって保護することができる。
以下、各構成要素の具体例について詳しく説明する。
(構造物)
上記構造物は、構造物保護シート10が適用される相手部材である。
構造物としては、コンクリートからなる構造物を挙げることができる。
上記コンクリートは、一般的には、セメント系無機物質と骨材と混和剤と水とを少なくとも含有するセメント組成物を打設し、養生して得られる。こうしたコンクリートは、道路橋、トンネル、水門等河川管理施設、下水道管渠、港湾岸壁等の土木構造物として広く使用される。本発明では、コンクリートからなる構造物に構造物保護シート10を適用することで、コンクリートに生じたひび割れや膨張に追従でき、コンクリート内に水や塩化物イオン等の劣化因子を浸透させず、コンクリート中の水分を水蒸気として排出できる、という格別の利点がある。
本発明において、構造物は、表面に直線状の複数の段差が平行に形成されていることが好ましい。
このような表面を有する構造物としては、例えば、図4(a)に示したように、第1平坦部2a、第1段差3a、第2平坦部2b、第2段差3b、第3平坦部2cのように平坦部と段差とが繰り返し形成された表面を有するものが挙げられる。このような表面を有する構造物としては特に限定されないが、例えば、スレート屋根、ガルバリウム鋼板(登録商標)、瓦屋根(棟部・平部)等が好適に挙げられる。
(ポリマーセメント硬化層)
ポリマーセメント硬化層12は、構造物側に配置される層である。このポリマーセメント硬化層12は、図1(A)に示したように単層であっても図1(B)に示したように積層であってもよいが、単層とするか積層とするかは、全体厚さ、付与機能(追従性、構造物への接着性等)、工場の製造ライン、生産コスト等を考慮して任意に設定され、例えば製造ラインが短くて単層では所定の厚さにならない場合は、2層以上重ね塗りして形成することができる。なお、例えば2層の重ね塗りは、1層目の層を乾燥した後に2層目の層を形成する。
また、ポリマーセメント硬化層12は、性質の異なるもの同士が積層された構成であってもよい。例えば、樹脂層13側に樹脂成分の割合をより高めた層とすることで、樹脂成分の高い層が樹脂層と接着し、セメント成分の高い層がコンクリート構造物と接着することとなり両者に対する接着性が極めて優れたものとなる。
ポリマーセメント硬化層12は、セメント成分を含有する樹脂(樹脂成分)を塗料状にした、この塗料を塗工して得られる。
上記セメント成分としては、各種のセメント、酸化カルシウムからなる成分を含む石灰石類、二酸化ケイ素を含む粘土類等を挙げることができる。なかでもセメントが好ましく、例えば、ポルトランドセメント、アルミナセメント、早強セメント、フライアッシュセメント等を挙げることができる。いずれのセメントを選択するかは、ポリマーセメント硬化層12が備えるべき特性に応じて選択され、例えば、コンクリート製の構造物への追従性の程度を考慮して選択される。特に、JIS R5210に規定されるポルトランドセメントを好ましく挙げることができる。
上記樹脂成分としては、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂、柔軟エポキシ樹脂系、ポリブタジエンゴム系、ゴム特性を示すアクリル系樹脂(例えばアクリル酸エステルを主成分に持つ合成ゴム)等を挙げることができる。こうした樹脂成分は、後述の樹脂層13を構成する樹脂の成分と同じものであることが、ポリマーセメント硬化層12と樹脂層13との密着性を高める観点から好ましい。
また、上記樹脂成分は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれを使用してもよい。ポリマーセメント硬化層12の「硬化」の文言は、樹脂成分を熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂等、硬化して重合する樹脂に限定されるという意味ではなく、最終的な層となった場合に硬化するような材料を用いればよいという意味で用いている。
上記樹脂成分の含有量としては、使用する材料等に応じて適宜調整されるが、好ましくはセメント成分と樹脂成分との合計量に対して10重量%以上、40重量%以下とする。10重量%未満であると、樹脂層13に対する接着性の低下やポリマーセメント硬化層12を層として維持することが難しくなる傾向となることがあり、40重量%を超えると、構造物に対する接着性が不十分となることがある。上記観点から上記樹脂成分の含有量のより好ましい範囲は15重量%以上、35重量%以下であるが、さらに好ましくは20重量%以上、30重量%以下である。
ポリマーセメント硬化層12を形成するための塗料は、セメント成分と樹脂成分とを溶媒で混合した塗工液である。樹脂成分については、エマルションであることが好ましい。例えば、アクリル系エマルションは、アクリル酸エステル等のモノマーを乳化剤を使用して乳化重合したポリマー微粒子であり、一例としては、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの一種以上を含有する単量体又は単量体混合物を、界面活性剤を配合した水中で重合してなるアクリル酸系重合物エマルジョンを好ましく挙げることができる。
上記アクリル系エマルションを構成するアクリル酸エステル等の含有量は特に限定されないが、20~100質量%の範囲内から選択される。また、界面活性剤も必要に応じた量が配合され量も特に限定されないが、エマルションとなる程度の界面活性剤が配合される。
ポリマーセメント硬化層12は、その塗工液を離型シート上に塗布し、その後に溶媒(好ましくは水)を乾燥除去することで形成される。例えば、セメント成分とアクリル系エマルジョンとの混合組成物を塗工液として使用し、ポリマーセメント硬化層12を形成する。なお、上記離型シート上には、ポリマーセメント硬化層12を形成した後に樹脂層13を形成してもよいが、離型シート上に樹脂層13を形成した後にポリマーセメント硬化層12を形成してもよい。
具体的には、例えば、離型シートとしての工程紙上に樹脂層をコーティングし、乾燥後ポリマーセメント用の塗工液を塗工、乾燥前のウエットの状態でヤング率調整層を貼り合わせた後乾燥させる。
しかる後ヤング率調整層を貼り合わせた面に更にポリマーセメント用の塗工液を塗工し、乾燥させることで本発明に係るポリマーセメント硬化層にヤング率調整層が存在する構造物保護シートを得ることができる。
また、離型シートとしての工程紙上に樹脂層をコーティングし、乾燥後ポリマーセメント用の塗工液を塗工、乾燥前のウエットの状態でヤング率調整層を貼り合わせた後、乾燥させるステップを経ずにヤング率調整層を貼り合わせた面に更にポリマーセメント用の塗工液を塗工し、しかる後全体を乾燥させることでポリマーセメント硬化層にヤング率調整層が存在する構造物保護シートを得ることも可能である。
ポリマーセメント硬化層12の厚さは特に限定されず、構造物の使用形態、経年度合い、形状等によって任意に設定される。具体的なポリマーセメント硬化層12の厚さとしては、例えば、0.5mm~1.5mmの範囲とすることができる。一例として1mmの厚さとした場合は、その厚さバラツキは、±100μm以内となることが好ましい。こうした精度の厚さは、現場での塗工では到底実現できないものであり、工場の製造ラインで安定して塗工されることにより実現することができる。なお、1mmより厚い場合でも、厚さバラツキを±100μm以内とすることができる。また、1mmよりも薄い場合は、厚さバラツキをさらに小さくすることができる。
このポリマーセメント硬化層12は、セメント成分の存在により、後述の樹脂層13に比べて水蒸気が容易に透過する。このときの水蒸気透過率は、例えば20~60g/m・day程度である。さらに、セメント成分は、例えばコンクリートを構成するセメント成分との相溶性がよく、コンクリート表面との密着性に優れたものとすることができる。また、構造物保護シート10は接着層を有するが、セメント成分を含有するポリマーセメント硬化層12が接着層に密着性よく接着する。また、このポリマーセメント硬化層12は、延伸性があるので、構造物にひび割れや膨張が生じた場合であっても、コンクリートの変化に追従することができる。
(メッシュ層)
本発明は、更にメッシュ層を備えることが好ましい。
本発明に係る構造物保護シートがメッシュ層を更に備えることで、本発明に係る構造物保護シートは、十分な強度を備えることができる。
図5(A)に示したように、本発明に係る構造物保護シート10は、付着強度が優れたものとなることからメッシュ層17をポリマーセメント硬化層12と樹脂層13との界面に備えることが好ましい。
上記付着強度とは、本発明に係る構造物保護シート10のポリマーセメント硬化層12側の面をコンクリート表面に接着層15を介して貼り付け、樹脂層13の表面に引張治具を固定して該引張治具をコンクリート側と反対側に1500n/minの速度で引っ張ることで引張り層間剥離が生じる強度を測定することで得られる。
また、メッシュ層17は、図5(B)に示したようにポリマーセメント硬化層12の内部に存在していてもよい。メッシュ層17は、ポリマーセメント硬化層12の樹脂層13と接する面の反対側の面に配設されていてもよいが、メッシュ層17はポリマーセメント硬化層12の内部に埋設されていることが好ましい。メッシュ層17がポリマーセメント硬化層12の内部に埋設されていることで、メッシュ層17とポリマーセメント硬化層12との接触面積が増大し、両者の接着強度が優れたものとしやすくなり、ポリマーセメント硬化層12全体の強度も確保しやすくなる。メッシュ層17がポリマーセメント硬化層12の内部に埋設されていないと、該メッシュ層17とポリマーセメント硬化層12との界面で剥離が生じ易くなる。
また、メッシュ層17がポリマーセメント硬化層12の内部に存在している場合、該メッシュ層17は、ポリマーセメント硬化層12の厚みの半分の位置に存在していればよいが、より樹脂層13側に存在することが望ましい。メッシュ層17がポリマーセメント硬化層12中で樹脂層13側に存在している場合、付着力は平均的に1.3倍向上する。
本発明において、メッシュ層17にポリマーセメント硬化層12を構成する材料(例えばセメント成分又は樹脂成分)が含侵されていることが好ましい。
メッシュ層17にポリマーセメント硬化層12を構成する材料が含侵されている状態とは、メッシュ層17を構成する繊維間にポリマーセメント硬化層12を構成する材料が充填された状態にあることを意味し、このような含侵状態にあることで、メッシュ層17とポリマーセメント硬化層12との接着強度が極めて優れたものとしやすくなる。また、メッシュ層17とポリマーセメント硬化層12の材料との相互作用がより強固となりやすく、構造物保護シート10の強度をより良好にしやすくなる。
メッシュ層17は、図6に示したように、経糸、緯糸の繊維を格子状にした構造が挙げられる。
上記繊維としては、例えば、ポリプロピレン系繊維、ビニロン系繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維及びアクリル繊維からなる群より選択される少なくとも1種の繊維から構成されたものである好ましく、なかでも、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維を好適に使用することができる。
またその形状は、特に限定されず、図6に示したような二軸組布のほか、例えば、三軸組布等任意のメッシュ層17を用いることができる。
メッシュ層17は、線ピッチ50mm~1.2mm(線密度0.2本~8.0本/cm)であることが望ましい。ピッチが1.2mm以下であると、メッシュの上下のポリマーセメント層の結合が不十分になり、構造物保護シート10の表面強度が不十分となることがある。また、線ピッチが50mmを超えると、構造物保護シート10の表面強度に悪影響はないが、引張強度が弱くなることがある。
本発明に係る構造物保護シート10において、引張強度と表面強度はトレードオフの関係にあり、本発明に適用するに適したメッシュ層17は、線ピッチ50mm~1.2mmの範囲にあるものである。
メッシュ層17は、ポリマーセメント硬化層12の上面側から見たときに、ポリマーセメント硬化層12の全面をカバーする大きさであってもよく、ポリマーセメント硬化層12よりも小さくてもよい。
すなわち、メッシュ層17の平面視したときの面積は、ポリマーセメント硬化層12の平面視したときの面積と同じであってもよく、小さくてもよいが、メッシュ層17の平面視面積は、ポリマーセメント硬化層12の平面視面積に対し60%以上、95%以下であることが好ましい。60%未満であると本発明に係る構造物保護シート10の強度が不十分となることがあり、また、強度のバラツキが生じることもある。95%を超えると、メッシュ層17を介してポリマーセメント硬化層12が積層された構成において、ポリマーセメント硬化層12同士の接着強度が劣ることがあり、本発明に係る構造物保護シート10を構造物に施工したときに、ポリマーセメント硬化層12部分に剥離が生じる危険性が高まる。なお、上記メッシュ層17等の平面視面積は、公知の方法で測定できる。
(樹脂層)
樹脂層13は、構造物1とは反対側に配置されて、表面に現れる層である。この樹脂層13は、例えば、図1(A)に示すように単層であってもよいし、図1(B)に示すように少なくとも2層からなる積層であってもよい。単層とするか多層とするかは、全体厚さ、付与機能(防水性、遮塩性、中性化阻止性、水蒸気透過性等)、工場の製造ラインの長さ、生産コスト等を考慮に設定され、例えば製造ラインが短くて単層では所定の厚さにならない場合は、2層以上重ね塗りして形成することができる。なお、重ね塗りは、1層目の層を乾燥した後に2層目の層を塗工する。2層目の層は、その後乾燥される。
樹脂層13は、柔軟性を有し、コンクリートに発生したひび割れや亀裂に追従できるとともに防水性、遮塩性、中性化阻止性及び水蒸気透過性に優れた樹脂層を形成できる塗料を塗工して得られる。樹脂層13を構成する樹脂としては、ゴム特性を示すアクリル系樹脂(例えばアクリル酸エステルを主成分に持つ合成ゴム)、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂、柔軟エポキシ樹脂、ポリブタジエンゴム等を挙げることができる。この樹脂材料は、前記したポリマーセメント硬化層12を構成する樹脂成分と同じものであること好ましい。特にゴム等の弾性膜形成成分を含有する樹脂であることが好ましい。
これらのうち、ゴム特性を示すアクリル系樹脂は、安全性と塗工性に優れている点で、アクリルゴム系共重合体の水性エマルションからなることが好ましい。なお、エマルション中のアクリルゴム系共重合体の割合は例えば30~70質量%である。アクリルゴム系共重合体エマルションは、例えば界面活性剤の存在下で単量体を乳化重合することにより得られる。界面活性剤は、アニオン系、ノニオン系、カチオン系のいずれもが使用できる。
樹脂層13を形成するための塗料は、樹脂組成物と溶媒との混合塗工液を作製し、その塗工液を離型シート上に塗布し、その後に溶媒を乾燥除去することで、樹脂層13を形成する。溶媒は、水又は水系溶媒であってもよいし、キシレン・ミネラルスピリット等の有機系溶媒であってもよい。後述の実施例では、水系溶媒を用いており、アクリル系ゴム組成物で樹脂層13を作製している。なお、離型シート上に形成される層の順番は制限されず、例えば、上記のとおり樹脂層13、ポリマーセメント硬化層12の順番であってもよいし、ポリマーセメント硬化層12、樹脂層13の順番であってもよい。
樹脂層13の厚さは、構造物1の使用形態、経年度合い、形状等によって任意に設定される。一例としては、50~150μmの範囲内のいずれかの厚さとし、その厚さバラツキは、±50μm以内とすることが好ましい。こうした精度の厚さは、現場での塗工ではとうてい実現できないものであり、工場の製造ラインで安定して実現することができる。
この樹脂層13は、高い防水性、遮塩性、中性化阻止性を有するが、水蒸気は透過することが好ましい。このときの水蒸気透過率としては、例えば、10~50g/m・day程度とすることが望ましい。こうすることにより、構造物保護シート10に高い防水性、遮塩性、中性化阻止性と所定の水蒸気透過性を持たせることができる。さらに、ポリマーセメント硬化層12と同種の樹脂成分で構成されることにより、ポリマーセメント硬化層12との相溶性がよく、密着性に優れたものとすることができる。水蒸気透過性は、JIS Z0208「防湿包装材料の透湿度試験方法」に準拠して測定した。
また、樹脂層13は、構造物保護シート10のカラーバリエーションを豊富にできる観点から顔料を含有していてもよい。
また、樹脂層13は、無機物を含有していてもよい。無機物を含有することで樹脂層13に耐擦傷性を付与することができる。上記無機物としては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア等の金属酸化物粒子等従来公知の材料が挙げられる。
更に、樹脂層13は、公知の防汚剤を含有していてもよい。構造物保護シート10は、通常屋外に設置されるコンクリート構造物の補修に用いられるため、樹脂層13は汚染されることが多いが、防汚剤を含有することで構造物保護シート10が汚染されることを好適に防止できる。上記防汚剤としては特に限定されず従来公知の材料が挙げられる。
また、樹脂層13は様々な機能を付与できる添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、セルロールナノファイバー等が挙げられる。
(接着層)
本発明において、構造物保護シート10は、ポリマーセメント硬化層12の樹脂層13と反対側面(構造物1側の面)に接着層15が設けられている。
接着層15がポリマーセメント硬化層12の表面に設けられていることで、構造物保護シート10を構造物に貼り付ける際に、作業現場で接着剤を塗布して接着剤層を形成する必要がないため極めて作業効率に優れ、また、熟練の職人によらずに均一な厚みの接着層15を介して構造物保護シート10を構造物に貼り付けることができる。また、接着層15が設けられていることで、構造物の表面に形成された直線状の段差に粘着層15を沿わせて構造物保護シート10の密着性を高めることができる。
接着層15は、粘着剤を用いてなる粘着層であってもよく、接着剤を用いてなる接着層であってもよいが、接着層15のポットライフを考慮すると粘着層が好ましい。
上記粘着剤としては特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等公知のものが挙げられるが、本発明において接着層15は、アクリル系粘着剤を主成分として含有することが好ましい。アクリル系粘着剤は、構造物に対する粘着力の調整が容易で材料設計の自由度が高く、また、透明性、耐候性及び耐熱性にも優れているため、構造物保護シート10による構造物の保護をより好適に行うことができる。
上記アクリル系粘着剤としては特に限定されず市販品を使用するとことができ、例えば、オリバイン(登録商標)6574(トーヨーケム社製)等が挙げられる。
上記アクリル系粘着剤を主成分として含有する接着層15(以下、粘着層ともいう)の積層量としては、コンクリート等の構造物の表面への十分な付着力を発揮できることから、20g/m以上250g/m以下が好ましい。
また、上記粘着層を介して構造物の表面に貼り付けた時の付着力が0.5N/mm以上あることが好ましい。0.5N/mm未満であると構造物保護シート10の構造物表面に対する密着性が不十分となることがある。
構造物保護シート10における接着層15が接着剤から構成される接着層である場合、上記接着剤としては特に限定されず、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤等公知の接着剤が挙げられる。
このような接着剤としては、例えば、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム特性を示すアクリル系樹脂(例えばアクリル酸エステルを主成分に持つ合成ゴム)を用いた接着剤等が挙げられる。なかでも、構造物保護シート10のポリマーセメント硬化層12を構成する樹脂成分と同種の樹脂成分からなる接着剤は、ポリマーセメント硬化層12との接着強度が高くなるのでより好ましい。
構造物保護シート10において、接着層15は、硬化剤を含むことが好ましい。記硬化剤を含むことで構造物に対するより優れた付着力を有するものとなり、また、構造物保護シート10の押し抜き強度も優れたものとなる。
構造物保護シート10は、JSCE-K-533に規定の押し抜き試験による押し抜き強度が1.5kN以上であることが好ましい。上記押し抜き強度が1.5kN以上であることで、構造物保護シート10により構造物の表面からコンクリート等の剥落といった問題を好適に防止できる。
上記硬化剤としては特に限定されず、イソシアネート系硬化剤、アミン系硬化剤、エポキシ系硬化剤、金属キレート系硬化剤等公知の硬化剤を使用できる。
構造物保護シート10において、構造物に対する付着力及び構造物保護シート10の押し抜き強度に優れることから、接着層15はゲル分率が30%~70%であることが好ましく、より好ましい下限は40%、より好ましい上限は65%である。
構造物保護シート10において、接着層15の厚さとしては50~500μmであることが好ましい。50μm未満であると構造物保護シート10の構造物に対する付着力が不十分となることがあり、500μmを超えると、厚みにバラツキが生じやすく、また、施工時に平滑な施工面を得るためにローラー等で馴らした時に、端部から余分な接着剤がはみ出てしまうことがある。接着層15の厚みのより好ましい下限は90μm、より好ましい上限は200μmである。
(離型シート)
構造物保護シート10は、接着層15の表面保護のために、接着層15のポリマーセメント硬化層12と反対側面に離型シート16が貼り付けられている。このような離型シート16は、図2(A)に示すように構造物21の表面への貼り付けに際して剥離される。そして図2(B)に示したように、接着層を露出させた後構造物保護シート10は、該接着層側から構造物21の表面に貼り付けられる。
このような離型シート16としては特に限定されず、例えば、基材層と離型層とを有するシートが挙げられる。
上記基材層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ナイロン6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、セルロースアセテート等のセルロース樹脂、ポリカーボネートなどの合成樹脂が挙げられる。また、上記基材層は、紙を主成分として形成されてもよい。さらに、上記基材層は、2層以上の積層体であってもよい。
上記離型層を構成する材料としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フッ素化重合体等が挙げられる。上記離型層は、上記離型層を構成する材料及び有機溶剤を含む塗工液を上記基材層上にグラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法等の公知の方法によって塗布し、乾燥及び硬化させる塗工法によって形成することができる。また、上記離型層の形成に当たっては、基材層の積層面にコロナ処理や易接着処理を施してもよい。
本発明において、離型シート16には1又は2以上のスリットが形成されている。
このような本発明に係る構造物保護シートは、幅広であっても貼り付ける部分に該当する離型シートのみを剥離して構造物の表面への貼り付けが可能となるためシワの発生やエアー噛みの発生を好適に防止できる。また、段差のある構造物の表面であっても貼り付け対象部分の離型シートのみを剥離して接着層を露出させることで、シワ及び隙間なくかつ効率的に構造物保護シートの施工が可能となる。
本発明において、上記構造物の表面には直線状の複数の段差が平行に形成されており、上記離型シートに形成されたスリットは、上記段差が形成する角部に相対する箇所に形成されていることが好ましい。
上記「段差が形成する角部」とは、構造物の表面の平坦部と該平坦部に隣接する段差とが形成する角部であり、例えば、図4(a)に示したように、第1段差3aに対して高所に配置された第1平坦部2aとなす角部(凸状角部)、又は、第1段差3aに対して低所に配置された第2平坦部2bとなす角部(凹状角部)が挙げられる。
上記スリットは、本発明に係る構造物保護シート10を離型シート16側から構造物1の表面に重ねた際に、構造物の表面の段差が形成する角部(凸状角部及び/又は凹状角部)に相対する部分に形成されていることが好ましい。
上記スリットが形成された離型シート16は、形成されたスリットにより複数の領域に分けられる。具体的には、例えば、構造物が図4(a)に示したように、第1段差3aに対して高所に配置された第1平坦部2aとなす角部(凸状角部)と、第1段差3aに対して低所に配置された第2平坦部2bとなす角部(凹状角部)とを有し、凸状角部と凹状角部の全てに相対する箇所にスリットが形成されている場合、図3に示したように、一方の長辺側から順にスリット毎に区分けされた領域(1)~(4)が挙げられる。
上記領域(1)は、図4(a)に示すように、構造物1の表面の第1平坦部2aに相対する離型シート16であり、該領域(1)部分の離型シート16を剥離することで第1平坦部2aにのみ構造物保護シート10を貼り付けることができる。同様に、領域(2)は第1段差3aに、領域(3)は第2平坦部2bに、領域(4)は第2段差3bにそれぞれ相対する離型シート16である。
図4に示した構造物1の表面には更に段差と平坦部とが形成されているが、これらの平坦部及び段差に構造物保護シート10を貼り付ける場合、上述した方法を繰り返すことでシワ及び隙間を形成することなく、かつ、効率的に構造物保護シート10の貼り付けができる。なお、上述した貼り付け方法を繰り返す場合、後から貼り付ける構造物保護シートは、先に貼り付けた構造物保護シートと一部重なった状態で貼り付けることが好ましい。構造物保護シート間で隙間が形成されることを防止できるためである。
また、上述した第1段差3aと第1平坦部2aとに対して構造物保護シートを貼り付ける場合、例えば、図8(a)に示したように構造物保護シート10は、離型シート16の第1平坦部2aと第1段差3aとが成す角部(凸状角部)に相対する箇所にスリットを設け、領域(1)部分の離型シート16を剥離することで第1平坦部2aにのみ構造物保護シート10を貼り付け、その後領域(2)部分の離型シート16を剥離することで第1段差3aにのみ構造物保護シート10を貼り付けることができる。
また、例えば、上記凸状角部又は凹状角部のいずれかに相対する位置にのみスリットが形成されている場合、構造物保護シートは、形成されたスリットと、構造物に貼り付ける際に折り曲げられる折り曲げ部とにより複数の領域に分けられる。具体的には、例えば、上記スリットが構造物の表面の上述した凸状角部に相対する箇所に形成されている場合、図8(b)に示したように、領域(1)部分の離型シート16を剥離して第1平坦部2aにのみ構造物保護シート10を貼り付け、その後、領域(2)及び(3)部分の離型シート16を剥離して、第1段差3aに構造物保護シート10を貼り付けるとともに、第1段差3aと第2平坦部2bとの成す角部で折り曲げ部を形成し、第2平端部2bに構造物保護シート10を貼り付けることができる。同様に、領域(4)は第2段差3bに相対する離型シート16である。なお、図8(b)では凸状角部に相対する箇所のスリットを実線で示し、凹状角部に相対する箇所に形成した折り曲げ部を破線で示したが、凸状角部に相対する箇所に折り曲げ部を形成し、凹状角部に相対する箇所にスリットを形成してもよい。
図4に示した構造物1の表面には更に段差と平坦部とが形成されているが、これらの平坦部及び段差に構造物保護シート10を貼り付ける場合、上述した方法を繰り返すことでシワ及び隙間を形成することなく、かつ、効率的に構造物保護シート10の貼り付けができる。なお、上述した貼り付け方法を繰り返す場合、後から貼り付ける構造物保護シートは、先に貼り付けた構造物保護シートと一部重なった状態で貼り付けることが好ましい。構造物保護シート間で隙間が形成されることを防止できるためである。
このような本発明に係る構造物保護シートの施工方法も本発明の一つである。
すなわち、本発明に係る構造物保護シートの施工方法は、構造物の表面には直線状の複数の段差が平行に形成されており、離型シートに形成されたスリットは、前記段差が形成する角部に相対する箇所に形成されており、構造物の角部と離型シートのスリットとが相対するように前記構造物の表面に前記構造物保護シートを配置する工程、前記構造物の角部と相対させたスリットから一方の端部までの前記離型シートを剥離して接着層を露出させる工程と、露出させた前記接着層を前記構造物の表面に貼り付ける工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る構造物保護シートの施工方法は、図3、図4、図8を用いて説明したように、本発明に係る構造物保護シート10が所定のスリットが離型シートに形成されているので、構造物の表面の貼り付け時に必要な部分の離型シートのみを剥離して接着層を露出させて構造物の表面への貼り付けができ、直線状の複数の段差が平行に形成された構造物の表面に隙間及びシワを生じることなく好適に貼り付けることができる。
また、コンクリート等の構造物中の水分も排出でき、コンクリート製の構造物1を長期にわたって保護することができる。特に、構造物保護シート10に構造物1の特性に応じた性能を付与し、構造物1に生じたひび割れや膨張に追従させること、構造物1に水や塩化物イオン等の劣化因子を浸透させないようにすること、構造物1中の劣化因子を排出できる透過性を持たせることもできる。
そして、こうした構造物保護シート10は、工場で製造できるので、特性の安定した高品質のものを量産することができる。その結果、職人の技術に寄らずに施工でき、工期の短縮と労務費の削減を実現できる。
本発明に係る構造物保護シートの施工方法では、構造物の表面には、硬化性樹脂材料を含有するプライマー層が形成されていてもよい。
上記硬化性樹脂材料としては、熱硬化、光硬化その他の方法で硬化して樹脂となるような性質を有する材料であれば特に制限はないが、好ましくは、エポキシ化合物が挙げられる。この場合、上記プライマー層が硬化することで形成される硬化プライマー層は、エポキシ硬化物となる。エポキシ硬化物は、一般には、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を硬化剤により硬化させたものである。以下、エポキシ硬化物をプライマー層に用いる場合を例にとって説明する。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
また、硬化剤としては、多官能フェノール類、アミン類、ポリアミン類、メルカプタン類、イミダゾール類、酸無水物、含リン化合物等が挙げられる。これらのうち、多官能フェノール類としては、単環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、多環二官能フェノールであるビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフタレンジオール類、ビフェノール類、及び、これらのハロゲン化物、アルキル基置換体等が挙げられる。更に、これらのフェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラック、レゾールを用いることができる。アミン類としては、脂肪族又は芳香族の第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム塩及び脂肪族環状アミン類、グアニジン類、尿素誘導体等が挙げられる。
上記例示のうち、プライマー層の材料(硬化性樹脂材料を含む。)としては、エポキシ樹脂系プライマーとして、例えば、ビスフェノールA型エポキシ又はビスフェノールF型エポキシの主剤と、ポリアミン類又はメルカプタン類の硬化剤とを用いるもの等が挙げられる。また、上記エポキシ樹脂系プライマーは、上記主剤と硬化剤以外に、例えば、カップリング剤、粘度調整剤及び硬化促進剤等を含んでもよい。このようなプライマー層として、例えば、東亞合成社製2液反応硬化形水系エポキシ樹脂エマルション「アロンブルコートP-300」(商品名・なお「アロンブルコート」は東亞合成社の登録商標である。)を用いることができる。
上記プライマー層は、一般的には構造物の下塗材として使用される。その塗布は、例えば、下塗材としては溶剤タイプのエポキシ樹脂溶剤溶液、又はエポキシ樹脂エマルション及びその他一般のエマルション、又は、粘着剤等を構造物の表面に塗布すればよい。この場合、下塗材は通常の方法で施工することができ、例えば、劣化防止すべき構造物の表面に、刷毛又はローラー等により塗布したり、又は、スプレーガン等で吹き付ける一般的な方法により塗布し、塗膜を形成させる。
上記プライマー層の厚さは特に限定されないが、好ましくはウエットの状態で50μm以上、300μm以下の範囲内とすることができる。50μm以上とすることでプライマー層の材料のコンクリート等の構造物へのしみ込みを考慮した上でプライマー層の厚さを均一にしやすくなると共に、構造物と構造物保護シートとの接着性を確保しやすくなる。プライマー層の厚さの上限は特に制限はされないが、塗布のしやすさや接着時の両層のずれを最小化する意味、また材料の使用料の最適化から、300μm以下とすることが好ましい。構造物の下塗り層として設けるプライマー層、構造物と構造物保護シートとの相互の密着を高めるように作用するので、プライマー層を上記厚さにすれば、構造物保護シートは長期間安定して構造物を補強し保護しやすくなる。
なお、構造物にひび割れや欠損が生じている場合には、プライマー層を塗布する前に、上記ひび割れや欠損を補修した後にプライマー層を設けることが好ましい。補修の方法は特に限定されないが、通常セメントモルタルやエポキシ樹脂等が使って補修が行われる。
実施例と比較例により本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
PPラミネート紙からなる厚さ130μmの離型シート16上に、アクリル系樹脂を含む樹脂層形成用組成物を塗工し乾燥して単層からなる厚さ100μmの樹脂層13を形成した。その後、その樹脂層13上に、ポリマーセメント硬化層形成用組成物を塗工し乾燥して単層からなる厚さ1.00mmのポリマーセメント硬化層12を形成した。
ポリマーセメント硬化層12の表面に、アクリル系粘着剤(オリバイン(登録商標)6574(トーヨーケム社製))100質量部に対してイソシアネート系硬化剤(BHS8515(トーヨーケム社製))6質量部を混合し、ゲル分率が57%の粘着剤用混合液を調製した。この粘着剤用混合液を樹脂層13の表面に塗布、乾燥させて厚さ200μmの接着層15(粘着層)を形成し、合計厚みが1300μmの構造物保護シート10を製造した。
この構造物保護シート10は、約25℃に管理された工場内で連続生産され、PPラミネート紙離型シートを含んだ態様でロール状に巻き取ることで図1に示した構成とした。
また、図8(a)に示したように離型シート16には予め、一方の長辺側から185mmの位置にスリットを設けて領域(1)を形成し、スリットから他方の長辺側までの15mmを領域(2)とした。
ポリマーセメント硬化層形成用組成物は、セメント混合物を45質量部含む水系のアクリルエマルジョンである。セメント混合物は、ポルトランドセメント70±5質量部、二酸化ケイ素10±5質量部、酸化アルミニウム2±1質量部、酸化チタン1~2質量部を少なくとも含むものであり、アクリルエマルジョンは、アクリル酸エステルモノマーを乳化剤を使用して乳化重合したアクリル酸系重合物53±2質量部、水43±2質量部を少なくとも含むものである。これらを混合したポリマーセメント硬化層形成用組成物を塗布乾燥して得られたポリマーセメント硬化層は、ポルトランドセメントをアクリル樹脂中に50質量%含有する複合層である。一方、樹脂層形成用組成物は、アクリルシリコーン系樹脂である。このアクリルシリコーン系樹脂は、アクリルシリコーン樹脂60質量部と、二酸化チタン25質量部と、酸化第二鉄10質量部と、カーボンブラック5質量部とを含有するエマルジョン組成物である。
[構造物の表面への施工]
実施例1に係る構造物保護シートをスレート屋根に横方向(段差に平行な方向)に接着層側から貼り付けた。
具体的には、まず、スレート屋根の最上部の第1平坦部に構造物保護シートの領域(1)に相対させ、該領域(1)の離型シートを剥離しながら露出させた接着層を第1平坦部に貼り付けた。
次いで、上記領域(2)の離型シートを剥離しながら露出させた接着層を第1段差に貼り付けた。
その結果、スレート屋根の平坦部分と段差とにシワや隙間は形成されず均一な表面を有する構造物保護シートを効率よく施工できた。
(実施例2)
実施例1と同様の層構成の構造物保護シート10を製造した。
この構造物保護シート10は、約25℃に管理された工場内で連続生産され、PPラミネート紙離型シートを含んだ態様でロール状に巻き取ることで図1に示した構成とした。
また、図8(b)に示したように離型シート16には予め、一方の長辺側から185mmの位置に第1のスリットを設けて領域(1)を形成し、第1のスリットから他方の長辺側に15mmの位置に折り曲げ部を設けて領域(2)を形成し、前記折り曲げ部から他方の長辺側に185mmの位置に第2のスリットを設けて領域(3)を形成し、第2のスリットから他方の長辺側までの15mmを領域(4)とした。
[構造物の表面への施工]
実施例2に係る構造物保護シートをスレート屋根に横方向(段差に平行な方向)に接着層側から貼り付けた。
具体的には、まず、スレート屋根の最上部の第1平坦部に構造物保護シートの領域(1)に相対させ、該領域(1)の離型シートを剥離しながら露出させた接着層を第1平坦部に貼り付けた。
次いで、上記領域(2)及び領域(3)の離型シートを剥離しながら露出させた接着層を第1段差及び第2平坦部に貼り付け、領域(4)の離型シートを剥離しながら露出させた接着層を第2段差に貼り付けた。
その結果、スレート屋根の平坦部分と段差とにシワや隙間は形成されず均一な表面を有する構造物保護シートを効率よく施工できた。
(実施例3)
実施例1と同様の層構成の構造物保護シート10を製造した。
離型シート16には予め、一方の長辺側から180mmの位置に第1のスリットを設けて領域(1)を形成し、第1のスリットから15mmの位置に第2のスリットを設けて領域(2)を形成し、第2のスリットから180mmの位置に第3のスリットを設けて領域(3)を形成し、第3のスリットから15mmの位置に第4のスリットを設けて領域(4)を形成してスリット毎に区分けされた領域(1)~(4)を形成した。なお、領域(1)~(4)は、構造物であるスレート屋根に貼り付ける対象となる平坦部及び段差にそれぞれ相対するよう形成した。
その後、スレート屋根の最上部の第1平坦部に構造物保護シートの領域(1)に相対させ、該領域(1)の離型シートを剥離しながら露出させた接着層を第1平坦部に貼り付けた。
次いで、上記第1平坦部に隣接する第1段差に相対する領域(2)の離型シートを剥離しながら露出させた接着層を第1段差に貼り付けた。
次いで、上記第1段差に隣接する第2平坦部に相対する領域(3)の離型シートを剥離しながら露出させた接着層を第2平坦部に貼り付けた。
次いで、上記第2平坦部に隣接する第2段差に相対する領域(4)の離型シートを剥離しながら露出させた接着層を第2段差に貼り付けた。
その結果、スレート屋根の平坦部分と段差とにシワや隙間は形成されず均一な表面を有する構造物保護シートを効率よく施工できた。
(実施例4)
アクリル系粘着剤(オリバイン(登録商標)6574(トーヨーケム社製))100質量部に対してイソシアネート系硬化剤(BHS8515(トーヨーケム社製))3質量部を混合し、ゲル分率が46%の粘着剤用混合液を用いた以外は実施例3と同様にして構造物保護シートを製造した。
その後、実施例3と同様にして構造物の表面への施工を行ったところ、スレート屋根の平坦部分と段差とにシワや隙間は形成されず均一な表面を有する構造物保護シートを効率よく施工できた。
(比較例1)
離型シートにスリットを形成しなかった以外は実施例3と同様にして構造物保護シートを製造した。
その後、離型シートを剥離しつつ実施例3と同様のスレート屋根に対して施工を行ったところ、平坦部と段差とを同時に貼り付けることができず、施工効率が劣りまた貼り付けた構造物保護シートはシワ及び隙間が形成されていた。
1、21 構造物
2a 第1平坦部
2b 第2平坦部
2c 第3平坦部
3a 第1段差
3b 第2段差
10 構造物保護シート
12 ポリマーセメント硬化層
13 樹脂層
15 接着層
16 離型シート
17 メッシュ層
30 屋根
31 ブルーシート
32 土嚢

Claims (9)

  1. 離型シート、接着層、ポリマーセメント硬化層及び樹脂層がこの順に設けられ、構造物の表面に貼り合せて用いられる構造物保護シートであって、
    前記離型シートには、1又は2以上のスリットが形成されている
    ことを特徴とする構造物保護シート。
  2. 前記離型シートのスリットが長手方向に形成されている請求項1記載の構造物保護シート。
  3. 構造物の表面には直線状の複数の段差が平行に形成されており、
    離型シートに形成されたスリットは、前記段差が形成する角部に相対する箇所に形成されている請求項1又は2に記載の構造物保護シート。
  4. 更にメッシュ層を有する請求項1又は2記載の構造物保護シート。
  5. 接着層は、アクリル系粘着剤を主成分として含有する請求項1又は2に記載の構造物保護シート。
  6. 構造物の表面に接着層を介して貼り付けた時の付着力が0.5N/mm以上である請求項1又は2記載の構造物保護シート。
  7. 接着層の厚さが50~500μmである請求項1又は2記載の構造物保護シート。
  8. ポリマーセメント硬化層は、セメント成分及び樹脂を含有する層であって、前記樹脂が10重量%以上、40重量%以下含有されている請求項1又は2記載の構造物保護シート。
  9. 請求項3に記載の構造物保護シートの施工方法であって、
    構造物の角部と離型シートのスリットとが相対するように前記構造物の表面に前記構造物保護シートを配置する工程、
    前記構造物の角部と相対させたスリットから一方の端部までの前記離型シートを剥離して接着層を露出させる工程と、
    露出させた前記接着層を前記構造物の表面に貼り付ける工程とを有する
    ことを特徴とする構造物保護シートの施工方法。
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