JP2023128027A - 屋根の棟部の補強方法 - Google Patents

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晃 二宮
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【課題】建物の屋根に設けられた棟部の補強工事を熟練の職人でなくても容易かつ確実に行うことができ、長期にわたって棟部の崩壊を好適に防止できる屋根の棟部の補強方法を提供する。【解決手段】棟部10を介して2つの屋根面を有する建物の棟部10を保護シートで被覆する屋根の棟部10の補強方法であって、一対の下部貫板11aを棟部10に沿って固定する工程、保護シートの原反をカットして棟部用の保護シート12aを作製する工程、棟部用の保護シート12aを一対の下部貫板11a及び棟部10に貼り付ける工程、下部貫板11aの上部に棟部用の保護シート12aを介して上部貫板11bを載置し固定する工程、保護シートの原反をカットして貫板用の保護シート12bを2枚作製する工程、及び、2枚の貫板用の保護シート12bを、一方の積層構造の表面と他方の積層構造の表面とにそれぞれ貼り付ける工程を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、屋根の棟部に保護シートを被覆することで該棟部を補強する方法に関する。さらに詳しくは、屋根の棟部に沿って貫板を固定し、該貫板と棟部とを保護シートで被覆した上で別の貫板で保護シートを挟み込んで固定することで、瓦屋根のような非平坦な屋根であっても棟部の補強を好適にできる屋根の棟部の補強方法に関する。
一般的に瓦屋根の棟部は、熨斗瓦を5~6枚程度重ねた最上部に冠瓦を重ねて構成されており、屋根頂部の屋根面の桟瓦と熨斗瓦との間、各熨斗瓦の間、熨斗瓦と冠瓦の間のような瓦間にモルタルや漆喰等が充填されている。
このような棟部は、各瓦を固定する漆喰等の固化により強度が保たれるが、例えば、冠瓦から屋根面にかけて穴をあけボルト締めすることにより棟部を耐震補強する方法が知られている(例えば、特許文献1、2等)。
しかしながら、穿孔及びボルト締めによる棟部の耐震補強は、熟練の職人による適切な工事でない早期に補強部分に亀裂が生じることがあり、また、熟練の職人による適切な工事であっても劣化した瓦には穿孔及びボルト締め部分に亀裂が生じやすく、このような瓦に生じた亀裂は地震の際に亀裂部が棟部崩壊のきっかけになってしまう恐れがあった。
また、日本屋根の構造に詳しい作業者は減少傾向にあり、将来にわたって棟部の耐震補強工事ができる人材の確保ができるか不透明であるという問題もあった。
特開2006-70562号公報 特開2014-47468号公報
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、建物の屋根に設けられた棟部の補強工事を熟練の職人でなくても容易かつ確実に行うことができ、長期にわたって棟部の崩壊を好適に防止できる屋根の棟部の補強方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、建物の屋根に設けられた棟部の補強方法、特に日本屋根の棟部の補強方法について鋭意検討した結果、棟部を被覆した保護シートを棟部の両側に固定した貫板を用いて固定することで、熟練者によらなくても棟部の補強工事を容易にかつ確実に行うことができ、また、長期にわたって棟部の崩壊を好適に防止できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に係る屋根の棟部の補強方法は、棟部を介して2つの屋根面を有する建物の前記棟部を保護シートで被覆する屋根の棟部の補強方法であって、一対の下部貫板を用意し、一方の前記屋根面の最上部に一方の前記下部貫板を前記棟部に沿って固定するとともに、他方の前記屋根面の最上部に他方の前記下部貫板を前記棟部に沿って固定する工程、一方の前記下部貫板の上面から前記棟部を介して他方の前記下部貫板の上面までを覆う形状に前記保護シートの原反をカットして棟部用の保護シートを作製する工程、一方の前記下部貫板の上面から前記棟部を介して他方の前記下部貫板の上面までを前記棟部用の保護シートで被覆し、前記棟部用の保護シートを前記一対の下部貫板及び棟部に貼り付ける工程、一対の上部貫板を用意し、一方の前記下部貫板の上部に前記棟部用の保護シートを介して一方の前記上部貫板を載置し固定するとともに、他方の前記下部貫板の上部に前記棟部用の保護シートを介して他方の前記上部貫板を載置し固定する工程、一方の前記上部貫板及び一方の下部貫板が前記棟部用の保護シートを介して上下に載置された一方の積層構造の表面と、他方の前記上部貫板及び他方の下部貫板が前記棟部用の保護シートを介して上下に載置された積層構造の表面とを覆う形状に前記保護シートの原反をカットして貫板用の保護シートを2枚作製する工程、及び、2枚の前記貫板用の保護シートを、前記一方の積層構造の表面と前記他方の積層構造の表面とにそれぞれ貼り付ける工程を有することを特徴とする。
この発明によれば、保護シートを用いた屋根の棟部の補強工事に際して、熟練の職人によらなくても棟部全体を覆うように保護シートを被覆及び固定させることが容易にできるため、建物の屋根に設けられた棟部、特に日本屋根の棟部の補強工事を容易にかつ確実に行うことができる。
本発明に係る屋根の棟部の補強方法において、保護シートは、棟部又は下部貫板及び上部貫板に貼り付けられる側の表面に接着層が形成されていることが好ましい。
この発明によれば、棟部の表面に保護シートを被覆させるとともに貼り付けが可能となり、補強工事を効率よく行うことができ、また、熟練工でなくても保護シートの棟部への貼り付けをシワなどの不具合を生じさせることなく実行できる。
本発明に係る屋根の棟部の補強方法において、保護シートは、ポリマーセメント硬化層と、該ポリマーセメント硬化層上に設けられた樹脂層とを少なくとも備えることが好ましい。
この発明によれば、長期に亘って雨漏り等を防止することができ、屋根の棟部を長期にわたって保護することができる。
なお、上記構成の保護シートは、棟部側に設けられるポリマーセメント硬化層と棟部との密着性等に優れ、ポリマーセメント硬化層上に設けられる樹脂層に、防水性、遮塩性、中性化阻止性等に優れる性能を付与できる。
また、上記保護シートは、工場の生産ラインでの塗工工程と乾燥工程により量産できるので、本発明によると、低コスト化、現場での作業工期の大幅削減、構造物の屋根の長期保護を実現することができる。
本発明によれば、高い技量を有していなくても迅速に保護シートの棟部への被覆及び貼り付けが可能となる。特に日本屋根のような凹凸の桟瓦のような表面であっても保護シートの固定を好適にできる。また、棟部を貫通するような穿孔及びボルト締めが不要なため亀裂の発生を好適に防止でき、長期にわたって棟部の崩壊を好適に防止できる。
本発明に係る屋根の棟部の補強方法により補強された棟部の断面を模式的に示した断面図である。 (a)~(d)は、本発明に係る屋根の棟部の補強方法を模式的に示す模式図である。 (A)及び(B)は、保護シートの一例を示す断面構成図である。 (A)及び(B)は、保護シートを棟部に貼り付ける様子を示す模式図である。 (A)及び(B)は、保護シートの別の一例を示す断面構成図である。 (A)及び(B)は、保護シートのメッシュ層の一例を示す模式図である。
以下、本発明に係る屋根の棟部の補強方法(以下、本発明の補強方法ともいう)について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有する限り各種の変形が可能であり、以下の説明及び図面の形態に限定されない。
[屋根の棟部の補強方法]
本発明の補強方法は、棟部を介して2つの屋根面を有する建物の上記棟部を保護シートで被覆する屋根の棟部の補強方法である。具体的には、図1に示したように、本発明の補強方法によると、棟部10が棟部用の保護シート12aで被覆、固定するため棟部の補強工事を熟練の職人によらなくても可能となり、棟部10に穿孔やボルト締めが不要なため亀裂の発生を防止し、長期にわたって棟部の崩壊を防止することができる。
棟部10を被覆した棟部用の保護シート12aは、棟部10の表面に貼り付けられるが、その端部は、棟部10の両側の屋根面の最上部に固定された下部貫板11aと上部貫板11bとの間に挟み込まれることで確実に固定される。
以下、図2を用いて本発明の補強方法を具体的に説明する
なお、図2(a)~(d)では、棟部10の一方の側面側のみを示しているが、棟部10の反対側面も図示した構成と同じ構成となるように処理を行う。
図2(a)に示したように、本発明の補強方法は、一対の下部貫板11aを用意し、一方の屋根面の最上部に一方の下部貫板11aを棟部10に沿って固定するとともに、他方の屋根面の最上部に他方の下部貫板11aを棟部10に沿って固定する工程を有する。
下部貫板11aとしては特に限定されず、例えば、杉板、パイン材等の木の板であってもよく、ポリプロピレンやポリエチレンと木粉とを混合した人工木材、ポリエチレンやポリプロピレン製の樹脂板等、公知のものを用いることができる。
下部貫板11aの大きさとしては特に限定されず、棟部10の大きさに応じて適宜選択すればよい。
下部貫板11aを屋根面の最上部に棟部10に沿って固定する方法としては、例えば、桟瓦14を貫通して野地板13までビスで固定する方法や、公知の接着剤を用いて桟瓦14に固定する方法等が挙げられる。
次いで、本発明の補強方法は、一方の下部貫板11aの上面から棟部10を介して他方の下部貫板11aの上面までを覆う形状に上記保護シートの原反をカットして棟部用の保護シート12aを作製する工程を有する。
具体的には、原反から繰り出した保護シートを、棟部10及び一対の下部貫板11a上を覆うように被せてから凡そ棟部及び一対の下部貫板11aを覆う大きさにカットすればよい。確実に下部貫板11aの上面に棟部用の保護シート12aを貼り付けることができ、余分な棟部用の保護シート12aは、後述する工程でカットすればよい。
次いで、本発明の補強方法は、図2(b)に示したように、一方の下部貫板11aの上面から棟部10を介して他方の下部貫板11aの上面までを棟部用の保護シート12aで被覆し、棟部用の保護シート12aを一対の下部貫板11a及び棟部10に貼り付ける工程を有する。
上記保護シートが離型シートで保護された接着層を有する構造の場合、該離型シートを剥離して接着層を露出させて一方の下部貫板11aの上面、棟部10の表面及び他方の下部貫板11aの上面の順に該接着層を押し付けることで、棟部用の保護シート12aを一方の下部貫板11aの上面及び棟部10の表面に貼り付けることができる。他方の下部貫板11aに対しても同様にして棟部用の保護シート12aを貼り付けることができる。
上記保護シートが接着層を有さない場合、一対の下部貫板11aの上面及び棟部10の表面に接着剤を塗布しつつ棟部用の保護シートを被覆することで、棟部用の保護シート12aを一対の下部貫板11aの上面及び棟部10の表面に貼り付けることができる。
次いで、本発明の補強方法は、図2(c)に示したように、一対の上部貫板11bを用意し、一方の下部貫板11aの上部に棟部用の保護シート12aを介して一方の上部貫板11bを載置し固定するとともに、他方の下部貫板11aの上部に棟部用の保護シート12aを介して他方の上部貫板11bを載置し固定する工程を有する。
上部貫板11bとしては、上述した下部貫板11aと同じ材料からなるものが好ましく、サイズも下部貫板11aと同じであることが好ましい。
一方の下部貫板11a上に棟部用の保護シート12aを介して一方の上部貫板11bを載置し固定する方法としては特に限定されず、例えば、所定の間隔でビス止めする方法や、公知の接着剤を用いて固定する方法等が挙げられる。
ここで、棟部用の保護シート12aが下部貫板11aと上部貫板11bとの間からはみ出ている場合、該はみ出した棟部用の保護シート12aを下部貫板11a及び上部貫板11bの縁に沿ってカットすることが好ましい。
はみ出した棟部用の保護シート12aを切り取ることで、後述する貫板用の保護シート12bをシワなく貼り付けることができ、補強された棟部の外観が優れたものとなる。
次いで、本発明の補強方法は、一方の上部貫板11b及び一方の下部貫板11aが棟部用の保護シート12aを介して上下に載置された一方の積層構造11の表面と、他方の上部貫板及11b及び他方の下部貫板11aが棟部用の保護シート12aを介して上下に載置された積層構造11の表面とを覆う形状に上記保護シートの原反をカットして貫板用の保護シート12bを2枚作製する工程を有する。
積層構造11の表面とは、具体的には、下部貫板11aの長辺側の側面、上部貫板11bの上面及び長辺側の側面、及び、下部貫板11aと上部貫板11bとの間の棟部用の保護シート12aの断面であり、このような積層構造11の表面を被覆できる大きさに原反から繰り出した保護シートをカットし、2枚の貫板用の保護シート12bを作製する。
次いで、本発明の補強方法は、図2(d)に示したように、2枚の貫板用の保護シート12bを、上記一方の積層構造11の表面と上記他方の積層構造11の表面とにそれぞれ貼り付ける工程を有する。
上記保護シートが離型シートで保護された接着層を有する構造の場合、該離型シートを剥離して接着層を露出させて一方の積層構造11の表面に該接着層を押し付けることで、貫板用の保護シート12bを一方の積層構造11の表面に貼り付けることができる。他方の積層構造11に対しても同様にして貫板用の保護シート12bを貼り付けることができる。
上記保護シートが接着層を有さない場合、一対の積層構造11のそれぞれの表面に接着剤を塗布しつつ貫板用の保護シート12bを被覆することで、貫板用の保護シート12bを一対の積層構造11の表面に貼り付けることができる。
[保護シート]
本発明の補強方法で使用する保護シートは、棟部の補強が可能な強度と伸度とを備えたシートであれば特に限定されず、従来から屋根の破損個所の補修に用いられている樹脂シート等公知の保護シートを用いることができる。
上記保護シートは、棟部又は下部貫板及び上部貫板に貼り付けられる側の表面に接着層が形成されていることが好ましい。上記接着層が保護シートに形成されていることで、上述した棟部用の保護シートを一対の下部貫板及び棟部に貼り付ける工程において、作業現場で接着剤を塗布して接着剤層を形成する必要がないため極めて作業効率に優れ、また、熟練の職人によらずに均一な厚みの接着層を介して保護シートを棟部の表面等に貼り付けることができる。また、接着層が設けられていることで、表面に凹凸が形成された棟部の表面であっても凹みに接着層を埋め込んで棟部用の保護シートの密着性を高めることができる。
上記接着層は、粘着剤を用いてなる粘着層であってもよく、接着剤を用いてなる接着層であってもよいが、上記接着層のポットライフを考慮すると粘着層が好ましい。
上記粘着剤としては特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等公知のものが挙げられるが、本発明において接着層は、アクリル系粘着剤から構成されていることが好ましい。アクリル系粘着剤は、棟部や貫板に対する粘着力の調整が容易で材料設計の自由度が高く、また、透明性、耐候性及び耐熱性にも優れているため、保護シートによる棟部の補強をより好適に行うことができる。
上記アクリル系粘着剤としては特に限定されず市販品を使用するとことができ、例えば、オリバイン(登録商標)6574(トーヨーケム社製)等が挙げられる。
上記アクリル系粘着剤からなる接着層(以下、粘着層ともいう)の積層量としては、棟部表面への十分な付着力を発揮できることから、20g/m以上250g/m以下が好ましい。
また、上記粘着層を介して棟部の表面や貫板の表面に貼り付けた時の付着力が0.5N/mm以上あることが好ましい。0.5N/mm未満であると保護シートの棟部の表面等に対する密着性が不十分となることがある。
上記保護シートに形成された接着層が接着剤から構成される接着層である場合、上記接着剤としては特に限定されず、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤等公知の接着剤が挙げられる。
このような接着剤としては、例えば、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム特性を示すアクリル系樹脂(例えばアクリル酸エステルを主成分に持つ合成ゴム)を用いた接着剤等が挙げられる。なかでも、保護シートが後述するポリマーセメント硬化層を有する構成の場合、該ポリマーセメント硬化層を構成する樹脂成分と同種の樹脂成分からなる接着剤は、ポリマーセメント硬化層との接着強度が高くなるのでより好ましい。
上記保護シートにおいて、接着層は硬化剤を含むことが好ましい。上記硬化剤を含むことで棟部の表面等に対するより優れた付着力を有するものとなり、また、上記保護シートの押し抜き強度も優れたものとなる。
本発明において、上記保護シートは、JSCE-K-533に規定の押し抜き試験による押し抜き強度が1.5kN以上であることが好ましい。上記押し抜き強度が1.5kN以上であることで、上記保護シートにより補強された棟部の崩壊をより好適に防止できる。
上記硬化剤としては特に限定されず、イソシアネート系硬化剤、アミン系硬化剤、エポキシ系硬化剤、金属キレート系硬化剤等公知の硬化剤を使用できる。
上記保護シートにおいて、棟部の表面等に対する付着力及び押し抜き強度に優れることから、上記接着層はゲル分率が30%~70%であることが好ましく、より好ましい下限は40%、より好ましい上限は65%である。
上記保護シートにおいて、上記接着層の厚さとしては50~500μmであることが好ましい。50μm未満であると上記保護シートの棟部の表面等に対する付着力が不十分となることがあり、500μmを超えると、厚みにバラツキが生じやすく、また、施工時に平滑な施工面を得るためにローラー等で馴らした時に、端部から余分な接着剤がはみ出てしまうことがある。上記接着層の厚みのより好ましい下限は90μm、より好ましい上限は200μmである。
上記保護シートは、上記接着層の表面保護のために、該接着層の表面に離型フィルムが貼り付けられていることが好ましい。上記離型フィルムとしては特に限定されず、例えば、基材層と離型層とを有するフィルムが挙げられる。
上記基材層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ナイロン6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、セルロースアセテート等のセルロース樹脂、ポリカーボネートなどの合成樹脂が挙げられる。また、上記基材層は、紙を主成分として形成されてもよい。さらに、上記基材層は、2層以上の積層体であってもよい。
上記離型層を構成する材料としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フッ素化重合体等が挙げられる。上記離型層は、上記離型層を構成する材料及び有機溶剤を含む塗工液を上記基材層上にグラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法等の公知の方法によって塗布し、乾燥及び硬化させる塗工法によって形成することができる。また、上記離型層の形成に当たっては、基材層の積層面にコロナ処理や易接着処理を施してもよい。
上記保護シートは、図3に示す保護シート1のように、ポリマーセメント硬化層2と、ポリマーセメント硬化層2上に設けられた樹脂層3とを少なくとも備えたものであることが好ましい。このポリマーセメント硬化層2と樹脂層3の両層が、図3(A)に示したように、それぞれ単層で形成されてもよいし、図3(B)に示したように積層として形成されてもよい。また、求められる性能によっては、ポリマーセメント硬化層2と樹脂層3との間に別の層を設けてもよい。
また、本発明においては、図3に示したように、ポリマーセメント硬化層2の樹脂層3側と反対側面に上述した構成の接着層5及び離型フィルム6が形成されていることが好ましい。
このような構成の保護シート1は、長期に亘って雨漏り等を防止することができ、屋根の棟部を長期にわたって保護することができる。また、ポリマーセメント硬化層2上に設けられる樹脂層3に、防水性、遮塩性、中性化阻止性等に優れる性能を付与できる。
また、上記保護シート1は、工場の生産ラインでの塗工工程と乾燥工程により量産できるので、低コスト化、現場での作業工期の大幅削減、構造物の屋根の長期保護を実現することができる。
保護シート1は、水蒸気透過率が10~50g/m.dayであることが好ましい。ポリマーセメント硬化層2はセメント成分を含有しているので、一定程度の水蒸気透過率を有することが期待できるが、ポリマーセメント硬化層2上に設けられる樹脂層3は水蒸気透過率が劣る結果になると推測されるところ、保護シート1全体で水蒸気透過率が所定の範囲にあることで、棟部の表面等に貼り付けた後内部の水蒸気を好適に透過させて外部に排出できるため、膨れの発生を好適に防止しやすくなり、更には接着性の低下も防止しやすくなる。水蒸気透過率が所定の範囲にある他のメリットは、蒸気を逃がしやすい構造ゆえ、棟部中の金属の腐食を抑制できる傾向になる点を挙げることができる。また、雨の日に保護シート1を棟部に施工する場合には、棟部の表面が濡れると共に、屋根自体が水分を含んだ状態での施工となるが、保護シート1が上記水蒸気透過率を有することで、施工後(補強された棟部の製造後)に棟部に浸み込んだ水分が外部へと抜けやすくなる。
上記保護シート1のもう一つの利点は、その水蒸気透過率を制御できるので、例えば棟部内の漆喰が硬化していないような状態でも当該棟部の表面に貼り付けることができる点にある。すなわち、漆喰を硬化させる際に急激に水分が抜けると漆喰がポーラスになって棟部の強度が落ちる傾向となるが、上記保護シート1を硬化前の漆喰を有する棟部に貼り付けることで、漆喰の硬化時の水分除去のスピード等をコントロールできるメリットもある。
上記水蒸気透過率が10g/m.day未満であると、上記保護シート1が十分に水蒸気を透過させることができず、棟部の表面に貼り付けた後の膨れ現象等を防止できず接着性が不十分となる可能性がある。50g/m.dayを超えると、漆喰の硬化時の水分除去のスピードのコントロールが困難となる可能性がある。上記水蒸気透過率の好ましい範囲は20~50g/m.dayである。
このような水蒸気透過率を有する保護シート1は、例えば、後述するポリマーセメント硬化層2と、所定の水蒸気透過率を有する樹脂を樹脂層3に用いることとにより得ることができる。
上記水蒸気透過性は、JIS Z0208「防湿包装材料の透湿度試験方法」に準拠して測定できる。
保護シート1は、2層以上重ねた状態で使用されてもよい。保護シート1で補強した棟部等の表面に対し、更に重ねて補強を行うことができるため、例えば、2枚の保護シートを並べて貼り付けた場合、これらの保護シート同士の境目を覆うように別の保護シートを貼り付けることができる。
上記保護シート1のポリマーセメント硬化層2がセメントと樹脂とを含有するものであることで、先に棟部の表面等に貼り付けた保護シートの樹脂層に対しても好適な接着性を示す。そのため、重ねた状態で保護シートは好適に使用できる。
(ポリマーセメント硬化層)
ポリマーセメント硬化層2は、図4に示すように、棟部10側に配置される層である。このポリマーセメント硬化層2は、例えば、図3(A)に示すように重ね塗りしない単層であってもよいし、図3(B)に示すように重ね塗りした積層であってもよい。単層とするか積層とするかは、全体厚さ、付与機能(追従性、棟部への接着性等)、工場の製造ライン、生産コスト等を考慮して任意に設定され、例えば製造ラインが短くて単層では所定の厚さにならない場合は、2層以上重ね塗りして形成することができる。なお、例えば2層の重ね塗りは、1層目の層を乾燥した後に2層目の層を形成する。
また、ポリマーセメント硬化層2は、性質の異なるもの同士が積層された構成であってもよい。例えば、樹脂層3側に樹脂成分の割合をより高めた層とすることで、樹脂成分の高い層が樹脂層と接着し、セメント成分の高い層が棟部等と接着することとなり両者に対する接着性が優れたものとなりやすい。
ポリマーセメント硬化層2は、セメント成分を含有する樹脂(樹脂成分)を塗料状にした、この塗料を塗工して得られる。
上記セメント成分としては、各種のセメント、酸化カルシウムからなる成分を含む石灰石類、二酸化ケイ素を含む粘度類等を挙げることができる。なかでもセメントが好ましく、例えば、ポルトランドセメント、アルミナセメント、早強セメント、フライアッシュセメント等を挙げることができる。いずれのセメントを選択するかは、ポリマーセメント硬化層2が備えるべき特性に応じて選択され、例えば、棟部10への追従性の程度を考慮して選択される。特に、JIS R5210に規定されるポルトランドセメントを好ましく挙げることができる。また、ポルトランドセメントの施工性もしくは施工後の物性を調整するために、ポルトランドセメントに、更に二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等が加えられた公知の組成も使用可能である。
上記樹脂成分としては、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂、柔軟エポキシ樹脂系、ポリブタジエンゴム系、ゴム特性を示すアクリル系樹脂(例えばアクリル酸エステルを主成分に持つ合成ゴム)等を挙げることができる。こうした樹脂成分は、後述の樹脂層3を構成する樹脂成分と同じものであってもよい。
また、上記樹脂成分は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれを使用してもよい。ポリマーセメント硬化層2の「硬化」の文言は、樹脂成分を熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂等、硬化して重合する樹脂に限定されるという意味ではなく、最終的な層となった場合に硬化する(層として固まる)ような材料を用いればよいという意味で用いている。
上記ポリマーセメント硬化層2は、セメント成分及び樹脂を含有する層であって、樹脂が10重量%以上、40重量%以下含有されていることが好ましい。上記樹脂の含有量が10重量%未満であると、樹脂層に対する接着性の低下やポリマーセメント硬化層を層として維持することが難しくなる傾向となることがあり、40重量%を超えると、棟部の表面等に対する接着性が不十分となることがある。上記観点から上記樹脂の含有量のより好ましい範囲は15重量%以上、35重量%以下であるが、さらに好ましくは20重量%以上、30重量%以下である。
ポリマーセメント硬化層2を形成するための塗料は、セメント成分と樹脂成分とを溶媒で混合した塗工液である。樹脂成分については、エマルションであることが好ましい。例えば、アクリル系エマルションは、アクリル酸エステル等のモノマーを、乳化剤を使用して乳化重合したポリマー微粒子であり、一例としては、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの一種以上を含有する単量体又は単量体混合物を、界面活性剤を配合した水中で重合してなるアクリル酸系重合物エマルションを好ましく挙げることができる。
上記アクリル系エマルションを構成するアクリル酸エステル等の含有量は特に限定されないが、20~100質量%の範囲内から選択される。また、界面活性剤も必要に応じた量が配合され量も特に限定されないが、エマルジョンとなる程度の界面活性剤が配合される。
ポリマーセメント硬化層2は、その塗工液を離型シート又は図3に示すように離型シート4上に形成された後述する樹脂層3上に塗布し、その後に溶媒(好ましくは水)を乾燥除去することで形成される。例えば、セメント成分とアクリル系エマルションとの混合組成物を塗工液として使用し、ポリマーセメント硬化層2を形成する。なお、上記離型シート上には、ポリマーセメント硬化層2を形成した後に樹脂層を形成してもよいが、図3に示すように離型シート4上に樹脂層3を形成した後にポリマーセメント硬化層2を形成してもよい。本発明においては、例えば、離型シートにエンボス加工又はマット加工(凹凸形状の付与)をした上で、この上に樹脂層3(単層であっても2層以上の複層であってもよい。)、ポリマーセメント硬化層2(単層であっても2層以上の複層であってもよい。)の順番で形成し、樹脂層3に意匠性を付与するという方法を用いて保護シート1を製造してもよい。
本発明では強度に優れる性能を付与できることからポリマーセメント硬化層2が後述するメッシュ層を有していてもよい。
メッシュ層を有する場合、例えば、離型シート上に樹脂層3をコーティングし、乾燥後ポリマーセメント用の塗工液を塗工、乾燥前のウエットの状態でメッシュ層を貼り合わせた後乾燥させる。
しかる後メッシュ層を貼り合わせた面に更にポリマーセメント用の塗工液を塗工し、乾燥させることでポリマーセメント硬化層2にメッシュ層が存在する保護シート1を得ることができる。
また、離型シート上に樹脂層3をコーティングし、乾燥後ポリマーセメント用の塗工液を塗工、乾燥前のウエットの状態でメッシュ層を貼り合わせた後、乾燥させるステップを経ずにメッシュ層を貼り合わせた面に更にポリマーセメント用の塗工液を塗工し、しかる後全体を乾燥させることでポリマーセメント硬化層2にメッシュ層が存在する保護シート1を得ることも可能である。
ポリマーセメント硬化層2の厚さは特に限定されないが、棟部10の大きさ、経年度合い、形状等によって任意に設定される。具体的なポリマーセメント硬化層2の厚さとしては、例えば0.5mm~1.5mmの範囲とすることができる。一例として1mmの厚さとした場合は、その厚さバラツキは、±100μm以内となることが好ましい。こうした精度の厚さは、現場での塗工では到底実現できないものであり、工場の製造ラインで安定して塗工されることにより実現することができる。なお、1mmより厚い場合でも、厚さバラツキを±100μm以内とすることができる。また、1mmよりも薄い場合は、厚さバラツキをさらに小さくすることができる。
このポリマーセメント硬化層2は、セメント成分の存在により、後述の樹脂層3に比べて水蒸気が容易に透過する。このときの水蒸気透過率は、例えば10~50g/m.day程度である。さらに、セメント成分は、例えばコンクリートを構成するセメント成分との相溶性がよく、コンクリート表面との密着性に優れたものとすることができる。また、このポリマーセメント硬化層は延伸性を付与できるので、棟部10の表面にひび割れや膨張が生じた場合であっても、棟部10の表面の変化に追従することができる。
(メッシュ層)
メッシュ層は、図3(A)に示したように、保護シート1は、付着強度が優れたものとなることからメッシュ層7をポリマーセメント硬化層2と樹脂層3との界面に備えることが好ましい。
上記付着強度とは、保護シート1のポリマーセメント硬化層2側の面をコンクリート表面に接着層5を介して貼り付け、樹脂層3の表面に引張治具を固定して該引張治具をコンクリート側と反対側に1500n/minの速度で引っ張ることで引張り層間剥離が生じる強度を測定することで得られる。
また、メッシュ層7は、図5(B)に示したようにポリマーセメント硬化層2の内部に存在していてもよい。メッシュ層7は、ポリマーセメント硬化層2の樹脂層3と接する面の反対側の面に配設されていてもよいが、メッシュ層7はポリマーセメント硬化層2の内部に埋設されていることが好ましい。メッシュ層7がポリマーセメント硬化層2の内部に埋設されていることで、メッシュ層7とポリマーセメント硬化層2との接触面積が増大し、両者の接着強度が優れたものとしやすくなり、ポリマーセメント硬化層2全体の強度も確保しやすくなる。メッシュ層7がポリマーセメント硬化層2の内部に埋設されていないと、該メッシュ層7とポリマーセメント硬化層2との界面で剥離が生じ易くなる。
また、メッシュ層7がポリマーセメント硬化層2の内部に存在している場合、該メッシュ層7は、ポリマーセメント硬化層2の厚みの半分の位置に存在していればよいが、より樹脂層3側に存在することが望ましい。メッシュ層7がポリマーセメント硬化層2中で樹脂層3側に存在している場合、付着力は平均的に1.3倍向上する。
本発明において、メッシュ層7にポリマーセメント硬化層2を構成する材料(例えばセメント成分又は樹脂成分)が含侵されていることが好ましい。
メッシュ層7にポリマーセメント硬化層2を構成する材料が含侵されている状態とは、メッシュ層7を構成する繊維間にポリマーセメント硬化層2を構成する材料が充填された状態にあることを意味し、このような含侵状態にあることで、メッシュ層7とポリマーセメント硬化層2との接着強度が極めて優れたものとしやすくなる。また、メッシュ層7とポリマーセメント硬化層2の材料との相互作用がより強固となりやすく、保護シート1の強度をより良好にしやすくなる。
メッシュ層7は、図6に示したように、経糸、緯糸の繊維を格子状にした構造が挙げられる。
上記繊維としては、例えば、ポリプロピレン系繊維、ビニロン系繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維及びアクリル繊維からなる群より選択される少なくとも1種の繊維から構成されたものである好ましく、なかでも、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維を好適に使用することができる。
またその形状は、特に限定されず、図6に示したような二軸組布のほか、例えば、三軸組布等任意のメッシュ層7を用いることができる。
メッシュ層7は、線ピッチ50mm~1.2mm(線密度0.2本~8.0本/cm)であることが望ましい。ピッチが1.2mm以下であると、メッシュの上下のポリマーセメント層の結合が不十分になり、保護シート1の表面強度が不十分となることがある。また、線ピッチが50mmを超えると、保護シート1の表面強度に悪影響はないが、引張強度が弱くなることがある。
本発明において、保護シート1の引張強度と表面強度はトレードオフの関係にあり、本発明に適用するに適したメッシュ層7は、線ピッチ50mm~1.2mmの範囲にあるものである。
メッシュ層7は、ポリマーセメント硬化層2の上面側から見たときに、ポリマーセメント硬化層2の全面をカバーする大きさであってもよく、ポリマーセメント硬化層2よりも小さくてもよい。
すなわち、メッシュ層7の平面視したときの面積は、ポリマーセメント硬化層2の平面視したときの面積と同じであってもよく、小さくてもよいが、メッシュ層7の平面視面積は、ポリマーセメント硬化層2の平面視面積に対し60%以上、95%以下であることが好ましい。60%未満であると保護シート1の強度が不十分となることがあり、また、強度のバラツキが生じることもある。95%を超えると、メッシュ層7を介してポリマーセメント硬化層2が積層された構成において、ポリマーセメント硬化層2同士の接着強度が劣ることがあり、本発明に係る構造物保護シートを構造物に施工したときに、ポリマーセメント硬化層2部分に剥離が生じる危険性が高まる。なお、上記メッシュ層7等の平面視面積は、公知の方法で測定できる。
(樹脂層)
樹脂層3は、棟部10とは反対側に配置されて、表面に現れる層である。この樹脂層3は、例えば、図3(A)に示すように単層であってもよいし、図3(B)に示すように少なくとも2層からなる積層であってもよい。単層とするか積層とするかは、全体厚さ、付与機能(防水性、遮塩性、中性化阻止性、水蒸気透過性等)、工場の製造ラインの長さ、生産コスト等を考慮に設定され、例えば製造ラインが短くて単層では所定の厚さにならない場合は、2層以上重ね塗りして形成することができる。なお、重ね塗りは、1層目の層を乾燥した後に2層目の層を塗工する。2層目の層は、その後乾燥される。
樹脂層3は、柔軟性を有し、棟部に発生したひび割れや亀裂に追従できるとともに防水性、遮塩性、中性化阻止性及び水蒸気透過性に優れた樹脂層を形成できる塗料を塗工して得られる。樹脂層3を構成する樹脂としては、ゴム特性を示すアクリル系樹脂(例えばアクリル酸エステルを主成分に持つ合成ゴム)、アクリルウレタン樹脂、アクリリコーン樹脂、フッ素樹脂、柔軟エポキシ樹脂、ポリブタジエンゴム等を挙げることができる。この樹脂材料は、上述したポリマーセメント硬化層2を構成する樹脂成分と同じものであること好ましい。特にゴム等の弾性膜形成成分を含有す樹脂であることが好ましい。
これらのうち、ゴム特性を示すアクリル系樹脂は、安全性と塗工性に優れている点で、アクリルゴム系共重合体の水性エマルションからなることが好ましい。なお、エマルション中のアクリルゴム系共重合体の割合は例えば30~70質量%である。アクリルゴム系共重合体エマルションは、例えば界面活性剤の存在下で単量体を乳化重合することにより得られる。界面活性剤は、アニオン系、ノニオン系、カチオン系のいずれもが使用できる。
上記保護シート1において、樹脂層3は優れた水蒸気透過率を示す樹脂から構成されることが好ましい。これらの樹脂からなる樹脂層3を備えることで、上記保護シート1の水蒸気透過率を上述した範囲にすることができる。
樹脂層3を形成するための塗料は、樹脂組成物と溶媒との混合塗工液を作製し、その塗工液を離型シート上に塗布し、その後に溶媒を乾燥除去することで、樹脂層3を形成できる。溶媒は、水又は水系溶媒であってもよいし、キシレン・ミネラルスピリット等の有機系溶媒であってもよい。なお、離型シート上に形成される層の順番は制限されず、例えば、上記のとおり樹脂層3、ポリマーセメント硬化層2の順番であってもよいし、ポリマーセメント硬化層2、樹脂層3の順番であってもよい。
樹脂層3の厚さは、棟部10の大きさ、経年度合い、形状等によって任意に設定される。一例としては、50~150μmの範囲内のいずれかの厚さとし、その厚さバラツキは、±50μm以内とすることが好ましい。こうした精度の厚さは、現場での塗工では到底実現できないものであり、工場の製造ラインで安定して実現することができる。
この樹脂層3は、高い防水性、遮塩性、中性化阻止性を有するが、水蒸気は透過することが好ましい。このときの水蒸気透過率としては、例えば、保護シート1の水蒸気透過率が10~50g/m.dayとなるように適宜調整することが望ましい。こうすることにより、保護シート1に高い防水性、遮塩性、中性化阻止性と所定の水蒸気透過性を持たせることができる。さらに、ポリマーセメント硬化層2と同種の樹脂成分で構成されることにより、ポリマーセメント硬化層2との相溶性がよく、密着性に優れたものとすることができる。水蒸気透過性は、JIS Z0208「防湿包装材料の透湿度試験方法」に準拠して測定した。
また、樹脂層3は、保護シート1のカラーバリエーションを豊富にできる観点から顔料を含有していてもよい。
また、樹脂層3は、無機物を含有していてもよい。無機物を含有することで樹脂層3に耐擦傷性を付与することができる。上記無機物としては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア等の金属酸化物粒子等従来公知の材料が挙げられる。
また、保護シート1は、樹脂層3のポリマーセメント硬化層2側と反対側の表面をカーボン粒子含有オイルで汚染した後垂直に設置し、2メートル程度離れた位置から汚染された面に水道水を、ホースを用いてほぼ水平に勢いよくかけることで清掃したときの汚染物の除去率が95%以上であることが好ましい。樹脂層3の表面の清掃性が優れたものとなる。上記汚染物の除去率が95%未満の場合、防汚性が不十分となることがあり、感覚的にも『汚れている』という印象を受けやすくなる。他方、汚染物の除去率は高ければ高い方がよいが、通常は98%以下となる。
なお、このような汚染物の除去率を有する保護シート1は、例えば、樹脂層の樹脂として、アクリルシリコーン樹脂等の汚染物の除去をしやすい材料を選択するか、樹脂層にシリコン樹脂又はシリコン微粒子等の汚染物の除去をしやすい材料(防汚剤)を含有させる等によって得ることができる。
本発明における汚染性の評価は、後述する実施例の方法で実施することができる。
また、樹脂層3は様々な機能を付与できる添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、セルロールナノファイバー等が挙げられる。
1 保護シート
2 ポリマーセメント硬化層
3 樹脂層
4 離型シート
5 接着層
6 離型フィルム
7 メッシュ層
10 棟部
11 積層構造
11a 下部貫板
11b 上部貫板
12a 棟部用の保護シート
12b 貫板用の保護シート
13 野地板
14 桟瓦

Claims (3)

  1. 棟部を介して2つの屋根面を有する建物の前記棟部を保護シートで被覆する屋根の棟部の補強方法であって、
    一対の下部貫板を用意し、一方の前記屋根面の最上部に一方の前記下部貫板を前記棟部に沿って固定するとともに、他方の前記屋根面の最上部に他方の前記下部貫板を前記棟部に沿って固定する工程、
    一方の前記下部貫板の上面から前記棟部を介して他方の前記下部貫板の上面までを覆う形状に前記保護シートの原反をカットして棟部用の保護シートを作製する工程、
    一方の前記下部貫板の上面から前記棟部を介して他方の前記下部貫板の上面までを前記棟部用の保護シートで被覆し、前記棟部用の保護シートを前記一対の下部貫板及び棟部に貼り付ける工程、
    一対の上部貫板を用意し、一方の前記下部貫板の上部に前記棟部用の保護シートを介して一方の前記上部貫板を載置し固定するとともに、他方の前記下部貫板の上部に前記棟部用の保護シートを介して他方の前記上部貫板を載置し固定する工程、
    一方の前記上部貫板及び一方の下部貫板が前記棟部用の保護シートを介して上下に載置された一方の積層構造の表面と、他方の前記上部貫板及び他方の下部貫板が前記棟部用の保護シートを介して上下に載置された積層構造の表面とを覆う形状に前記保護シートの原反をカットして貫板用の保護シートを2枚作製する工程、及び、
    2枚の前記貫板用の保護シートを、前記一方の積層構造の表面と前記他方の積層構造の表面とにそれぞれ貼り付ける工程
    を有することを特徴とする屋根の棟部の補強方法。
  2. 保護シートは、棟部又は下部貫板及び上部貫板に貼り付けられる側の表面に接着層が形成されている請求項1記載の屋根の棟部の補強方法。
  3. 保護シートは、ポリマーセメント硬化層と、該ポリマーセメント硬化層上に設けられた樹脂層とを少なくとも備える請求項1又は2記載の屋根の棟部の補強方法。

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