JP2023055301A - 原子間力顕微鏡、及び試料の測定方法 - Google Patents

原子間力顕微鏡、及び試料の測定方法 Download PDF

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Takao Okada
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Yoshimasa Tanaka
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Abstract

【課題】動きのある微細な試料を高精度かつ多数測定することが可能な原子間力顕微鏡、及び試料の測定方法を提供する。【解決手段】試料12とカンチレバー11の、Z方向の距離が一定になるように、試料台13とカンチレバー11の相対位置を微細に変位させるZピエゾ15aと、XY方向に、試料台13とカンチレバー11との相対位置を変位させて、試料12の検出領域を走査するXYピエゾ15bと、Z方向に向けて試料台13とカンチレバー11との相対位置を、Zピエゾ15aよりも粗い変位量で変位させる粗動アクチュエータ54を有する。試料12の検出領域を、XY平面上で複数に分割した分割領域D1~D9を設定し、分割領域D1~D9ごとに、粗動アクチュエータ54を変位させて、カンチレバー11のZ方向の位置を校正する退避制御部216と、分割領域D1~D9ごとに、Zピエゾ15aの変位量に基づいて試料12を画像化する画像処理回路31を備える。【選択図】 図2

Description

本発明は、原子間力顕微鏡、及び試料の測定方法に関する。
ナノメートルオーダーの微細な試料を観察するために、従来より原子間力顕微鏡(AFM;Atomic Force Microscope)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。また、直径が1マイクロメートル未満の大きさを有するウルトラファインバブルなどの、動きを有する試料を観察する際には、動きの影響を軽減するために試料を高速で画像化する必要があり、高速での画像化が可能な高速AFMが提案されている。
高速AFMを用いて動きのある試料を高精度に画像化する際には、試料の動きの影響を回避するために、観察視野を狭く設定する必要がある。このため、一度に広範囲に亘って試料を画像化することが難しい。
特開2019-117110号公報
上述したように、従来における高速AFMでは、狭い視野に存在するウルトラファインバブルなどの動きを有する微小な試料の数が少ないため、多くの個数観察することが難しいという問題があった。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、動きのある微細な試料を高精度かつ多数測定することが可能な原子間力顕微鏡、及び試料の測定方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る原子間力顕微鏡は、カンチレバーを用いて試料台に載置された試料の形状を測定する原子間力顕微鏡であって、前記試料と前記カンチレバーの、第1の方向の距離が一定になるように、前記試料台と前記カンチレバーの相対位置を微細に変位させる微動変位部と、前記第1の方向に直交する平面上に定められる二次元方向に、前記試料台と前記カンチレバーとの相対位置を変位させて、前記試料の検出領域を走査する平面変位部と、前記第1の方向に向けて前記試料台と前記カンチレバーとの相対位置を、前記微動変位部よりも粗い変位量で変位させる粗動変位部と、前記試料の検出領域を、前記平面上で複数に分割した分割領域を設定し、前記分割領域ごとに、前記粗動変位部を変位させて、前記カンチレバーの前記第1の方向の位置を校正する退避制御部と、前記分割領域ごとに、前記微動変位部の変位量に基づいて前記試料の形状を測定する測定部と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係る試料の測定方法は、原子間力顕微鏡に設けられたカンチレバーを用いて、試料台に載置された試料の形状を測定する測定方法であって、前記試料の検出領域を複数の分割領域に分割し、分割領域ごとに、前記試料台と直交する第1の方向に粗動アクチュエータを変位させて、前記カンチレバーと前記試料との間の退避距離を設定するステップと、前記カンチレバーと前記試料との距離が一定になるように、前記第1の方向の距離を微細に変位させるステップと、前記第1の方向に直交する平面上に定められる二次元方向に、前記試料台と前記カンチレバーとの相対位置を変位させて、各分割領域における試料を走査するステップと、前記分割領域ごとに、前記第1の方向の変位量に基づいて試料の形状を測定するステップと、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、動きのある微細な試料を高精度かつ多数測定することが可能になる。
図1は、実施形態に係る原子間力顕微鏡の構成を模式的に示す説明図である。 図2は、実施形態に係る原子間力顕微鏡の電気的な構成を示すブロック図である。 図3は、フォトダイオードの構成を示す説明図であり、(a)はレーザ光の中心がフォトダイオードの中心とほぼ一致する場合、(b)はレーザ光の中心がフォトダイオードの中心から外れている場合を示す。 図4は、試料の検出領域を9個の分割領域に分割する例を示す説明図である。 図5Aは、検出領域を複数の分割領域に分割しない状態で、傾斜を有する試料を走査するときの、試料とカンチレバーとの位置関係を示す説明図である。 図5Bは、検出領域を複数の分割領域に分割しない状態で、凹凸を有する試料を走査するときの、試料とカンチレバーとの位置関係を示す説明図である。 図5Cは、分割領域ごとにカンチレバーの退避距離を校正したときの、試料とカンチレバーとの位置関係を示す説明図である。 図6は、分割領域ごとの退避距離を算出する手順を示す説明図である。 図7は、分割領域に設定した3つの測定点を示す説明図である。 図8は、実施形態に係る原子間力顕微鏡の処理手順を示すフローチャートである。 図9は、動的光錯乱法(DLS法)を用いて試料に含まれる気泡を画像化したときの、気泡径と数密度の関係を示すグラフである。 図10は、実施形態に係る原子間力顕微鏡を用いて測定される試料に含まれる気泡の気泡径と気泡の数を示すグラフである。 図11は、ピエゾ素子に印加する電圧と、ピエゾ素子の変位量の関係を示すグラフである。 図12は、各分割領域の走査を開始する際にカンチレバーの自由振幅を調整する処理を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る原子間力顕微鏡100の構成を模式的に示す説明図である。図2は、本実施形態に係る原子間力顕微鏡100の電気的な構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る原子間力顕微鏡100は、下部固定台51と、上部固定台52を備えている。上部固定台52は、下部固定台51の上方に、下部固定台51に対して略平行に配置されている。
本実施形態では、上部固定台52及び下部固定台51の平面に対して直交する方向を鉛直方向に設定する。本実施形態では、一例として鉛直方向をZ方向(第1の方向)とする。また、Z方向に直交する平面、即ち、第1の方向に直交する平面をXY平面とする。
図1に示すように、下部固定台51の一方の端部には上部固定台52を支持する支柱53が設けられている。下部固定台51の他方の端部には、Z方向に変位可能に上部固定台52を支持する粗動アクチュエータ54(粗動変位部)が設けられている。粗動アクチュエータ54は、支柱53と略同一の高さを有している。
粗動アクチュエータ54はモータ16を搭載しており、該モータ16を制御することにより、粗動アクチュエータ54をZ方向に変位させることができる。モータ16を制御することにより、上部固定台52に搭載されている試料台13(詳細は後述)をZ方向に変位させることが可能である。即ち、粗動アクチュエータ54は、Z方向に向けて試料台13とカンチレバー11との相対位置を、後述するZピエゾ15a(微動変位部)よりも粗い変位量で変位させる。
上部固定台52の下面側には、スキャナ15及び試料台13が設けられている。試料台13は、試料12を載置する。図1に示すように、試料12には例えばウルトラファインバブル、がん細胞が放出した細胞外小胞などのナノメートルオーダーの粒子12aが含まれている。なお、試料12は平坦であるとは限らず、傾斜を有していることや凹凸を有していることがある。
図1、及び後述する図5A、図5B、図5C、図6、図12では、試料台13に対して試料12が傾斜を有する、或いは凹凸を有する例を示している。図1、図5A、図5B、図5C、図6、図12では、理解を促進するために、試料12の傾斜角度或いは試料12の凹凸状態を誇張して示している。
図1、図2に示すようにスキャナ15は、試料台13をZ方向に微細に変位させるピエゾアクチュエータ(微動変位部、以下、「Zピエゾ15a」という)を備えている。即ち、Zピエゾ15aは、試料台13とカンチレバー11の、Z方向(第1の方向)の相対位置を微細に変位させる。
スキャナ15は、Z方向に直交するXY平面方向に試料台13を変位させるピエゾアクチュエータ(平面変位部、以下、「XYピエゾ15b」という)を備えている。XYピエゾ15bは、XY平面上に定められる二次元方向に、試料台13とカンチレバー11との相対位置を変位させて、試料12の検出領域を走査する。
下部固定台51の上面には、支持部材55が設けられ、該支持部材55には、片持ちバネ構造を有するカンチレバー11が搭載されている。カンチレバー11の先端部には、試料台13に載置される試料12に接近して該カンチレバー11に撓みを発生させる探針11aが設けられている。カンチレバー11の後端は、支持部材55にて支持されている。
カンチレバー11には、該カンチレバー11に正弦波の振動を印加するピエゾアクチュエータ(以下、「励振ピエゾ14」という)が設けられている。本実施形態に係る原子間力顕微鏡100は、励振ピエゾ14を励振させることにより、カンチレバー11を所定の周波数で振動させた状態で測定対象となる試料12を走査する、所謂タッピングモードにより試料の凹凸を計測し、試料の表面形状を画像化する。
また、本実施形態ではカンチレバー11の探針11aが上方を向き、試料台13の下面側に載置された試料12の形状を測定する例について説明するが、カンチレバー11と試料台13の上下が反対であってもよい。
原子間力顕微鏡100はまた、図2に示すように、レーザダイオード17(図では「LD」と表記)と、フォトダイオード18(図では「PD」と表記)と、差動増幅器19と、振幅計測装置20と、フィードバック回路22と、制御部21と、画像処理回路31(測定部)、を備えている。
レーザダイオード17は、例えば半導体レーザであり、カンチレバー11の探針11aの背面にレーザ光を照射する。フォトダイオード18は、カンチレバー11で反射したレーザ光を受光する。なお、レーザダイオード17とカンチレバー11の間、及びカンチレバー11とフォトダイオード18の間には、レーザ光を反射するミラーやビームスプリッタなどが設けられるが、図2では記載を省略している。
図3は、フォトダイオード18の構成の一例を示す説明図である。フォトダイオード18は、図3(a)に示すように2ブロックに分割されたフォトディテクタ18a、18bを有している。なお、フォトディテクタは、2分割に限定されず、4分割のフォトディテクタを用いることもできる。
図2に示す差動増幅器19は、各フォトディテクタ18a、18bで検出された信号の差分信号を検出して、振幅計測装置20に出力する。
例えば、図3(a)に示すように、点線で示すレーザ光Q1の中心がフォトダイオード18の中心N1とほぼ一致する場合には、フォトディテクタ18aの検出信号Saとフォトディテクタ18bの検出信号Sbの差分信号はほぼゼロとなる。即ち、差分信号は小さい数値となる。一方、図3(b)に示すように、レーザ光Q1の中心がフォトダイオード18の中心N1から外れている場合には、検出信号SaとSbの差分信号が大きくなる。従って、差分信号は大きくなる。
カンチレバー11が正弦波で振動している場合には、差動増幅器19の出力も同様に正弦波で振動する。従って、差動増幅器19の出力は正弦波となる。
振幅計測装置20は、差動増幅器19より出力される正弦波の振幅の包絡線を、振幅値に変換する。振幅値は、フォトダイオード18の中心N1に対するレーザ光照射位置のずれ量を示す指標となる。振幅計測装置20で変換された振幅値は、フィードバック回路22、及び画像処理回路31に出力される。
フィードバック回路22は、振幅計測装置20で算出された振幅値を目標値とする制御信号を生成し、この制御信号を画像処理回路31、及びZピエゾ制御回路211に出力する。
画像処理回路31は、フィードバック回路22より出力された制御信号を取得し、この制御信号に基づいて試料12の表面形状を画像化する。即ち、画像処理回路31は、Zピエゾ15a(微動変位部)の変位量に基づいて、試料12の形状を測定する測定部としての機能を備えている。
即ち、上述したようにカンチレバー11に正弦波の励振信号を与えて振動させ、カンチレバー11の変位量が一定になるようにZピエゾ15aに制御電圧を与えて探針11aと試料12との間の距離を制御する。更に、XYピエゾ15bをXY平面上で平面走査する。具体的には、X方向の走査をジグザグに往復させることにより、XY平面全体を走査する。
その結果、スキャナ15のZ方向の変位量が試料12のZ方向の大きさ、即ち、試料12の凹凸を示すことになり、XY平面上での試料12の凹凸データが得られる。画像処理回路31は、この凹凸データに基づき、コントラストを付与して試料12の表面形状を画像化する。
制御部21は、駆動信号発生部210と、Zピエゾ制御回路211と、XYピエゾ制御回路212と、モータ制御回路213と、正弦波出力回路214(周期波形出力回路)と、分割領域設定部215と、退避制御部216と、を備えている。
なお、制御部21は、例えば、CPU、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコントローラ等で構成することができる。
駆動信号発生部210は、試料12に設定されている検出領域をカンチレバー11で走査するための駆動指令信号をXYピエゾ制御回路212に出力する。
Zピエゾ制御回路211は、フィードバック回路22から出力される駆動指令信号に基づきZピエゾ15aに制御信号を出力する。
XYピエゾ制御回路212は、駆動信号発生部210から出力される駆動指令信号に基づきXYピエゾ15bに制御信号を出力する。
正弦波出力回路214は、励振ピエゾ14に正弦波の励振信号を出力する。なお、本実施形態では、周期波形の一例として正弦波を例に挙げるが、正弦波以外の周期波形とすることも可能である。
Zピエゾ15a、及びXYピエゾ15bに制御信号を与えることにより、試料台13をZ方向及びXY平面方向に向けて、ナノメートル(nm)のオーダーで微細に変位させることができる。励振ピエゾ14に正弦波の励振信号を出力することにより、カンチレバー11に正弦波の振動を与えることができる。
モータ制御回路213は、退避制御部216から出力される退避距離の指令値に基づき、モータ16に制御信号を出力する。モータ制御回路213は、モータ16の駆動を制御することにより、図1に示した粗動アクチュエータ54をZ方向(上下方向)に変位させる。
粗動アクチュエータ54を上方に変位させることにより、上部固定台52と下部固定台51の間の距離を長くし、試料台13をカンチレバー11から遠ざけることができる。粗動アクチュエータ54を下方に変位させることにより、上部固定台52と下部固定台51の間の距離を短くし、試料台13をカンチレバー11に近づけることができる。
分割領域設定部215は、測定対象となる試料の検出領域を複数に分割した分割領域を設定する。分割領域設定部215は、ユーザによる操作入力により例えば図4(a)に示すように、試料全体の検出領域R1を縦3列、横3列に分割し、合計9個の分割領域D1~D9を設定する。分割領域D1~D9は例えば、一辺が2マイクロメートル(μm)の正方形である。
なお、本実施形態では、検出領域R1を9個の分割領域D1~D9に分割する例について説明するが、本発明は9個に限定されるものではなく、9個以外の複数の分割領域に分割してもよい。また、縦と横の分割数は、同一でなくてもよい。また、分割領域の形状は正方形、長方形、或いはその他の形状とすることができる。
本実施形態では、検出領域R1を複数の分割領域D1~D9に分割し、分割領域D1~D9ごとに区分して試料12を走査し、試料12の形状を画像化する。例えば、試料12に含まれる粒子12aを画像化する。このため、各分割領域D1~D9を高速で走査することができ、ウルトラファインバブルなどの、微細で動きの有る試料であっても高精度な画像化が可能である。
また、上述したように、試料12は試料台13に対して常に平行であるとは限らず、傾斜角度を有することや凹凸を有することがある。本実施形態では、分割領域D1~D9ごとに校正処理を行うことにより、傾斜や凹凸による影響を回避する。
退避制御部216は、カンチレバー11による走査を開始するとき、或いは走査する領域が変更されるときに、試料台13とカンチレバー11との間の距離(以下、「退避距離」という)の校正処理を行う。校正処理とは、カンチレバー11の探針11aを試料12から一定距離だけ遠ざけ、その後、試料12がカンチレバー11に対して適正な距離となるように、粗動アクチュエータ54を制御する処理である。例えば、分割領域D1の走査が終了して分割領域D2の走査に移行するときに、退避距離の校正処理を行う。
具体的には、図4(b)に示すように、分割領域D1→D2→・・→D8→D9の順に走査を行う場合には、各分割領域D1~D9の境界位置において、退避距離の校正処理を行う。
即ち、退避制御部216は、試料12の検出領域を、XY平面上で複数に分割した分割領域D1~D9を設定し、分割領域D1~D9ごとに、モータ制御回路213に制御信号を出力し、粗動アクチュエータ54を変位させて、カンチレバー11のZ方向の位置を校正する。以下、退避制御部216による退避距離の校正処理について詳細に説明する。
[退避距離の校正処理]
図5Aは、校正処理を行わない場合の、カンチレバー11と傾斜を有する試料12との位置関係を示す説明図である。図5Bは、校正処理を行わない場合の、カンチレバー11と凹凸を有する試料12との位置関係を示す説明図である。図5Cは、校正処理を行った場合のカンチレバー11と試料12との位置関係を示す説明図である。なお、図5A、図5B、図5C及び後述する図6、図12では、理解促進のため図1、図2と対比して、試料台13とカンチレバー11の上下を反対に記載している。
図5A(a)は、試料12の検出領域中の測定点p10に探針11aを接近させて検出領域の走査を開始する例を示している。試料12に傾斜が生じていると、例えば図5A(b)に示す測定点p11において、Zピエゾ15aの最大変位量z1に達する。その後更に走査が進むと、図5A(c)に示すように、測定点p12において、探針11aが試料12に接してしまい、試料12及び探針11aを損傷する恐れがある。
また、図5Bに示すように、Zピエゾ15aの最大変位量z1以上の凸部が存在すると、やはり探針11aが試料12に接してしまい、試料12及び探針11aを損傷する恐れがある。
本実施形態では、図5Cに示すように、分割領域の境界位置で退避距離の校正処理を行うことにより、試料12と探針11aとの接触を回避する。即ち、図5C(a)に示すように、測定点p10において試料12と探針11aとの距離が適正になるように、粗動アクチュエータ54を制御する。
その後、図5C(b)に示すように、探針11aが分割領域D1とD2の境界の測定点p13に達した際に、退避距離を校正して図5C(c)に示すように、例えば試料台13を探針11aからZ方向の距離z2だけ遠ざける処理を行う。その結果、図5C(d)に示すように、分割領域D2において、探針11aが試料12に接することを回避する。以下、校正処理について具体的に説明する。
図6、図7は、退避制御部216による校正処理の手順を示す説明図である。本実施形態では図7に示すように、任意の分割領域、例えば分割領域D1の3つの隅部に測定点p1、p2、p3を設定する。なお、測定点の個数は3点に限定されず、2点、或いは4点以上であってもよい。また、3つの測定点は、分割領域の隅部に限定されず、分割領域中の任意の3点とすることができる。この場合に、任意の3点は一つの直線上に存在しないことが望ましい。
退避制御部216は、図6(a)に示すように、分割領域D1の測定点p1のZ方向の位置にカンチレバー11の探針11aを移動させる。このときの粗動アクチュエータ54のZ方向の位置をL0とする。この状態で粗動アクチュエータ54を作動させて図6(b)に示すように探針11aを試料12に接近させる。退避制御部216は、探針11aが試料12に接したときの高さL1を記録する。
その後、退避制御部216は、図6(c)に示すように、測定点p2のZ方向の位置にカンチレバー11の探針11aを移動させる。この状態で粗動アクチュエータ54を作動させて図6(d)に示すように探針11aを試料12に接近させる。退避制御部216は、探針11aが試料12に接したときの高さL2を記録し、更に、高さL1とL2との差分z2を算出する。
図6では記載を省略しているが、図7に記載した測定点p3についても同様の処理を実行する。退避制御部216は、高さの差分の最大値を算出し、この最大値となる距離をカンチレバー11の退避距離として設定する。例えば、図6(d)に示した差分z2が最大値である場合には、この差分z2を退避距離として設定する。
つまり、カンチレバー11の探針11aが前述した図5C(a)の測定点p10から、図5C(b)の測定点p13に移動した際には、その後、試料台13を図6に示す差分z2だけZ方向の下方に変位させることにより該試料台13を退避させ、図5B(c)に示すように、試料12と探針11aとの間の距離を広げる。
また、図5Bに示したように、試料12に凹凸が生じている場合には、測定点の数を増やすことにより、探針11aが試料12中の突起している部位に接触することを回避するように、退避距離を設定すればよい。
[本実施形態の動作]
次に、本実施形態に係る原子間力顕微鏡100の動作を、図8に示すフローチャートを参照して説明する。本実施形態では、図4(a)、(b)に示したように、試料12の検出領域R1を9個の分割領域D1~D9に分割し、分割領域D1~D9ごとにカンチレバー11と試料台13との間の距離を校正して、各分割領域D1~D9の試料12に含まれる粒子12aを画像化する。
初めに、図8のステップS11において、退避制御部216は、図4(a)に示す分割領域D1に設定した3つの測定点p1~p3(図7参照)のうち、一つ目の測定点p1のZ方向の位置にカンチレバー11の探針11aが位置するように、XYピエゾ15bを制御する。具体的には、図6(a)に示したように、測定点p1のZ方向に探針11aが位置するように設定する。
ステップS12において、退避制御部216は、粗動アクチュエータ54を制御して、探針11aが測定点p1に接するまで試料台13をZ方向に変位させる。
ステップS13において、退避制御部216は、測定点p1のZ方向の位置を記録する。具体的には、図6(b)に示したように、探針11aが測定点p1に接したときの高さL1を記録する。その後、ステップS11~S13の処理を繰り返して、図7に示した各測定点p1、p2、p3における高さを記録する。
ステップS14において、退避制御部216は、各測定点p1、p2、p3における高さの差分を算出し、更に最大となる差分を求める。例えば、図6(d)に示す測定点p2の高さL2と、図6(b)に示す測定点p1の高さL1の差分z2を算出する。
ステップS15において、退避制御部216は、差分の最大値を算出する。具体的には、図7に示した測定点p1とp2の高さの差分、測定点p1とp3の高さの差分、及び、測定点p2とp3の高さの差分のうちの最大値を、カンチレバー11の退避距離に設定する。
ステップS16において、全ての分割領域D1~D9において、ステップS11~S15の処理を実施する。
ステップS17において、制御部21は、分割領域D1~D9ごとに退避距離を設定して、試料12を走査する。具体的には、前述したように一の分割領域において、カンチレバー11に正弦波の励振信号を与えて振動させる。カンチレバー11の変位量が一定になるようにZピエゾ15aに制御電圧を与えて探針11aと試料12との間の距離を制御する。更に、XYピエゾ15bをXY平面上で平面走査する。
ステップS18において、画像処理回路31は、スキャナ15のZ方向の変位量に基づいて、各分割領域D1~D9の試料12に含まれる粒子12aの画像を生成し、画面表示する。こうして、検出領域R1全体を高速且つ高精度に走査して、画像を形成することができる。
[本実施形態の効果]
このように、本実施形態に係る原子間力顕微鏡100では、試料12の検出領域R1を複数の分割領域D1~D9に分割し、分割領域D1~D9ごとに試料12を走査して、試料12に含まれる粒子12aを画像化する。従って、ウルトラファインバブルなどの動きのある微細な試料、或いはがん細胞表面などの微細で種々の形状を有する試料を、高速且つ高精度に画像化することが可能になる。
図9は、従来における動的光錯乱法(DLS法)を用いて、試料12に含まれる気泡の直径(気泡径)[nm]と試料1[mL]中に含まれる気泡の数(即ち、数密度[個/mL])を示すグラフである。図9のグラフから理解されるように、従来のDSL法を用いて試料12中に含まれる気泡を測定すると、60[nm]以下の気泡を測定することがほとんどできていない。
図10は、本実施形態に係る原子間力顕微鏡100を用いて測定される試料12に含まれる気泡の直径(気泡径)と気泡の数を示すグラフである。図10のグラフから理解されるように、本実施形態に係る原子間力顕微鏡100では、60[nm]以下の気泡が検出されている。即ち、本実施形態に係る原子間力顕微鏡100では、従来のDLS法では測定が困難であった動きを有する60[nm]以下の気泡を高速且つ高精度に検出することが可能になる。
更に本実施形態では、分割領域D1~D9ごとにカンチレバー11のZ方向の位置を校正して試料12を走査する。従って、試料12が傾斜を有する場合、或いは凹凸を有する場合であっても、カンチレバー11の探針11aが試料台13に接することを防止でき、探針11aや試料12が損傷するというトラブルの発生を回避することが可能になる。
本実施形態では、各分割領域D1~D9にて、図7に示したように、3つの測定点p1~p3を設定し、各測定点p1~p3におけるZ方向の位置を測定することにより、各分割領域D1~D9におけるカンチレバー11の退避距離を設定している。従って、各分割領域D1~D9において、最適な退避距離を設定することができ、高精度な試料12の画像化が可能になる。
本実施形態では、図4(a)に示したように、検出領域R1を同一サイズの矩形状を有する分割領域D1~D9に分割するので、退避距離を容易に校正することが可能になる。
本実施形態では、試料12全体の検出領域R1を複数の分割領域D1~D9に分割することにより、クローズドループ制御を行う必要がない。従来のように、検出領域R1全体を一括して走査する場合には、Zピエゾ制御回路211のヒステリシスを補正するために、高価なクローズドループ制御が必要になる。しかし、本実施形態では、検出領域R1をより小さい領域である分割領域D1~D9に分割して試料12を走査するので、クローズドループ制御が不要となる。
詳細に説明すると、スキャナ15に設けられるZピエゾ15a、及びXYピエゾ15bは、印加する電圧と変位が一次関数的に対応していない。このため、例えばZピエゾ15aに図11に示すS1のように直線的に変化する電圧を印加すると、Zピエゾ15aには、曲線S2に示すように曲線的な変位量が発生する。このため、検出領域R1全体で試料12を走査する場合には、直線S1と曲線S2との間の補正を行うためにクローズドループ制御が必要になる。一方で、小さい領域を走査する場合には、曲線S2と直線S1はほぼ同じ値になる。
本実施形態では、検出領域R1全体をより小さい領域である分割領域D1~D9に分割することにより、図11に示す曲線S2を直線S1で置き換えても大きな誤差は生じない。従って、クローズドループ制御が不要になり、ひいては装置全体のコストダウンを図ることが可能になる。
[変形例の説明]
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。変形例では、カンチレバー11に発生させる自由振幅を、各分割領域D1~D9の境界において振幅パラメータを調整し、自由振幅が一定になるように制御する。
カンチレバー11に正弦波を印加して該カンチレバーに自由振幅を発生させ、試料12の走査を実施すると、時間経過に伴って自由振幅が変化する。自由振幅の変化に起因して試料12に加えられる力も変化し、一定の条件下での画像化ができなくなる。変形例では、走査対象となる分割領域が変更されるごとに、自由振幅が一定になるように制御することにより、安定的な画質の画像を取得する。
具体的には、初期的な自由振幅をA0としたとき、図12(a)に示すように、分割領域D1の走査の終了時において振幅がA1に減衰したものとする。その後、図12(b)に示すように、分割領域D2の走査開始時において自由振幅がA0よりも小さいA2に低下する場合がある。変形例では、図12(c)に示すように、分割領域D2の走査を開始する前に、正弦波出力回路214により自由振幅がA0になるように調整する。
こうすることにより、各分割領域D1~D9の 走査を開始する時点において、カンチレバー11に発生する自由振幅を常にA0に設定することができ、各分割領域D1~D9において、自由振幅の変動の影響を受けることなく、試料12を高精度に画像化することが可能になる。
なお、上述した実施形態及び変形例では、Zピエゾ15aが変位する方向(第1の方向)が鉛直方向である例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の方向を鉛直方向以外の方向としてもよい。
以上、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
11 カンチレバー
11a 探針
12 試料
12a 粒子
13 試料台
14 励振ピエゾ
15 スキャナ
15a Zピエゾ(微細変位部)
15b XYピエゾ
16 モータ
17 レーザダイオード(LD)
18 フォトダイオード(PD)
19 差動増幅器
20 振幅計測装置
21 制御部
22 フィードバック回路
31 画像処理回路
51 下部固定台
52 上部固定台
53 支柱
54 粗動アクチュエータ
55 支持部材
100 原子間力顕微鏡
210 駆動信号発生部
211 Zピエゾ制御回路
212 XYピエゾ制御回路
213 モータ制御回路
214 正弦波出力回路(周期波形出力回路)
215 分割領域設定部
216 退避制御部

Claims (6)

  1. カンチレバーを用いて試料台に載置された試料の形状を測定する原子間力顕微鏡であって、
    前記試料と前記カンチレバーの、第1の方向の距離が一定になるように、前記試料台と前記カンチレバーの相対位置を微細に変位させる微動変位部と、
    前記第1の方向に直交する平面上に定められる二次元方向に、前記試料台と前記カンチレバーとの相対位置を変位させて、前記試料の検出領域を走査する平面変位部と、
    前記第1の方向に向けて前記試料台と前記カンチレバーとの相対位置を、前記微動変位部よりも粗い変位量で変位させる粗動変位部と、
    前記試料の検出領域を、前記平面上で複数に分割した分割領域を設定し、前記分割領域ごとに、前記粗動変位部を変位させて、前記カンチレバーの前記第1の方向の位置を校正する退避制御部と、
    前記分割領域ごとに、前記微動変位部の変位量に基づいて前記試料の形状を測定する測定部と、
    を備えたことを特徴とする原子間力顕微鏡。
  2. 前記退避制御部は、前記複数の分割領域に任意に設定した測定点において、前記試料台から前記カンチレバーまでの退避距離が一定になるように、前記粗動変位部を制御すること
    を特徴とする請求項1に記載の原子間力顕微鏡。
  3. 前記退避制御部は、前記複数の分割領域に3つの測定点を設定し、各測定点における前記試料台から前記カンチレバーまでの距離に基づいて、前記退避距離を設定すること
    を特徴とする請求項2に記載の原子間力顕微鏡。
  4. 前記分割領域は、同一の大きさを有する矩形状であること
    を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の原子間力顕微鏡。
  5. 前記カンチレバーに周期波形を出力する周期波形出力回路、を更に備え、
    前記周期波形出力回路は、各分割領域における走査を実施する際に、前記周期波形による自由振幅が一定になるように調整すること
    を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の原子間力顕微鏡。
  6. 原子間力顕微鏡に設けられたカンチレバーを用いて、試料台に載置された試料の形状を測定する測定方法であって、
    前記試料の検出領域を複数の分割領域に分割し、分割領域ごとに、前記試料台と直交する第1の方向に粗動アクチュエータを変位させて、前記カンチレバーと前記試料との間の退避距離を設定するステップと、
    前記カンチレバーと前記試料との距離が一定になるように、前記第1の方向の距離を微細に変位させるステップと、
    前記第1の方向に直交する平面上に定められる二次元方向に、前記試料台と前記カンチレバーとの相対位置を変位させて、各分割領域における試料を走査するステップと、
    前記分割領域ごとに、前記第1の方向の変位量に基づいて試料の形状を測定するステップと、
    を備えたことを特徴とする試料の測定方法。
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