JP2023054929A - 回転ガントリーの監視装置、回転ガントリーの監視方法および粒子線治療システム - Google Patents

回転ガントリーの監視装置、回転ガントリーの監視方法および粒子線治療システム Download PDF

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Kazuhito Tomita
康弘 湯口
Yasuhiro Yuguchi
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真人 三澤
Masato Misawa
希代彦 北川
Kiyohiko Kitagawa
慶重 信岡
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Abstract

【課題】ケーブルの整線状態を監視することができる回転ガントリーの監視技術を提供する。【解決手段】回転ガントリー5の監視装置50は、粒子線ビーム7を照射する照射ノズル13と照射ノズル13に粒子線ビーム7を輸送する輸送部14とを支持して水平方向を向く水平軸9を中心に回転する回転ガントリー5と、一端が回転ガントリー5に接続されて他端が静止している装置30に接続されている複数のケーブル22と、回転ガントリー5に設けられ、ケーブル22の巻き取りまたは繰り出しを行うスプール23と、スプール23におけるケーブル22の状態を監視する監視部51とを備える。【選択図】図4

Description

本発明の実施形態は、回転ガントリーの監視技術に関する。
粒子線治療システムにおいて、回転ガントリーの治療台を採用すると、患者が静止した状態で粒子線を照射できるため、固定治療台に比べて患者の負担が軽減される。しかし、回転ガントリーには多くの機器が組み込まれ、これらの機器は回転ガントリーと一緒に回転する。そこで、電源、制御、通信のために必要な多くのケーブルを、回転ガントリーと静止している外部の機器との間で接続する必要がある。回転ガントリーでは、その回転の度にスプールに対するケーブルの巻き取りまたは繰り出しが行われる。
しかし、多くのケーブルが設けられていると、乱巻き状態になる場合がある。乱巻き状態になるとケーブルに外力が加わり、ケーブルの損傷または破断などが生じ、治療の中断または機器の破損などが生じるおそれがある。
特開2014-147451号公報 特開平10-330037号公報 特開2014-158971号公報 特開2001-251748号公報 特開2008-67908号公報
本発明が解決しようとする課題は、ケーブルの整線状態を監視することができる回転ガントリーの監視技術を提供することである。
本発明の実施形態に係る回転ガントリーの監視装置は、粒子線ビームを照射する照射ノズルと前記照射ノズルに前記粒子線ビームを輸送する輸送部とを支持して水平方向を向く水平軸を中心に回転する回転ガントリーと、一端が前記回転ガントリーに接続されて他端が静止している装置に接続されている複数のケーブルと、前記回転ガントリーに設けられ、前記ケーブルの巻き取りまたは繰り出しを行うスプールと、前記スプールにおける前記ケーブルの状態を監視する監視部と、を備える。
本発明の実施形態により、ケーブルの整線状態を監視することができる回転ガントリーの監視技術が提供される。
第1実施形態の粒子線治療システムの全体構成を示す平面図。 回転ガントリーを示す側面図。 回転ガントリーのスプールを示す側面図。 図3のIV-IV断面に対応する回転ガントリーの背面図。 整線板を示す斜視図。 整線ワイヤーと整線板を示す平面図。 ツバリングを示す側面図。 回転ガントリーのスプールを示す平面図。 第1実施形態の監視装置のシステム構成を示すブロック図。 回転ガントリーの監視方法を示すフローチャート。 第2実施形態の回転ガントリーの背面図。 リミットスイッチが設けられたツバリングを示す平面図。 第2実施形態の監視装置のシステム構成を示すブロック図。 第3実施形態の回転ガントリーの背面図。 第3実施形態の監視装置のシステム構成を示すブロック図。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、粒子線治療システムおよび回転ガントリーの実施形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態について図1から図10を用いて説明する。なお、図2、図3、図6から図8の紙面左側を回転ガントリーの正面側(前方側)とし、紙面右側を回転ガントリーの背面側(後方側)として説明する。図面では、直交座標系において、回転ガントリーの軸方向をZ方向とした場合に、これに直交する垂直方向(上下方向)をY方向とし、これらに直交する水平方向をX方向として図示している。なお、X方向およびY方向を回転ガントリーの径方向と称する場合がある。さらに、回転ガントリーの外周面に沿って軸回りに回転する方向を周方向と称する場合がある。
図1の符号1は、本実施形態の粒子線治療システムである。この粒子線治療システム1では、炭素イオンなどの粒子線ビームを被検体としての患者の病巣組織(がん)に照射して治療を行う。
粒子線治療システム1を用いた放射線治療技術は、重粒子線がん治療技術などとも称される。この技術は、がん病巣(患部)を炭素イオンがピンポイントで狙い撃ちし、がん病巣にダメージを与えながら、正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能とされる。なお、粒子線とは、放射線のなかでも電子より重いものと定義され、陽子線、重粒子線などが含まれる。このうち重粒子線は、ヘリウム原子より重いものと定義される。
重粒子線を用いるがん治療では、従来のエックス線、ガンマ線、陽子線を用いたがん治療と比較してがん病巣を殺傷する能力が高く、患者の体の表面では放射線量が弱く、がん病巣において放射線量がピークになる特性を有している。そのため、照射回数と副作用を少なくすることができ、治療期間をより短くすることができる。
図1に示すように、粒子線治療システム1は、ビーム発生器2と円形加速器3とビーム輸送ライン4と回転ガントリー5とを備える。
ビーム発生器2は、荷電粒子である炭素イオンのイオン源を有し、この炭素イオンによって粒子線ビーム7(図2)を生成する。円形加速器3は、平面視でリング状を成し、ビーム発生器2で生成された粒子線ビーム7を加速する。ビーム輸送ライン4は、円形加速器3で加速された粒子線ビーム7を回転ガントリー5に輸送する。回転ガントリー5には、粒子線ビーム7が照射される患者8(図2)が配置される。
この粒子線治療システム1では、まず、ビーム発生器2で生成された炭素イオンの粒子線ビーム7が、ビーム発生器2から円形加速器3に入射される。この粒子線ビーム7は、円形加速器3を約百万回周回する間に光速の約70%まで加速される。そして、この粒子線ビーム7がビーム輸送ライン4を介して回転ガントリー5まで導かれる。
ビーム発生器2と円形加速器3とビーム輸送ライン4は、内部が真空にされる真空ダクト6(ビームパイプ)を備える。この真空ダクト6の内部を粒子線ビーム7が進行する。ビーム発生器2と円形加速器3とビーム輸送ライン4が有する真空ダクト6が一体となり、粒子線ビーム7を回転ガントリー5まで導く輸送経路が形成される。つまり、真空ダクト6は、粒子線ビーム7を通過させるために、充分な真空度を有する密閉された連続空間である。
図2の断面図に示すように、回転ガントリー5は、円筒形状を成す大型の装置である。この回転ガントリー5は、その円筒の軸9が水平方向を向くように設置される。この水平軸9を中心として回転ガントリー5が回転可能となっている。
回転ガントリー5は、粒子線治療システム1が設けられている治療施設を構成する建屋の躯体10に支持されている。例えば、この回転ガントリー5の本体部の前部と後部には、エンドリング11が固定されている。これらのエンドリング11の下方位置には、エンドリング11を回転可能な状態で支持し、かつ駆動モータを備える回転駆動部12が設けられている。これらの回転駆動部12は、躯体10に支持されている。回転駆動部12の駆動力は、エンドリング11を介して回転ガントリー5に与えられ、回転ガントリー5が水平軸9周りに回転される。
回転ガントリー5には、ビーム輸送ライン4(図1)から延びる真空ダクト6が設けられている。真空ダクト6は、まず、回転ガントリー5の後方側からその水平軸9に沿って内部に導かれる。そして、真空ダクト6は、回転ガントリー5の外周面よりも外側に向けて一旦延びた後、再び回転ガントリー5の内側に向けて延びる。この真空ダクト6の先端部は、患者8に近接する位置まで延びる。
なお、特に図示はしないが、真空ダクト6において、回転ガントリー5の水平軸9に沿う部分には、所定の回転機構が設けられている。真空ダクト6は、この回転機構よりも外側の部分が静止した状態であり、この回転機構よりも内側の部分が回転ガントリー5の回転とともに回転するようになっている。
また、回転ガントリー5には、粒子線ビーム7を患者8に向けて照射する照射ノズル13と、この照射ノズル13に粒子線ビーム7を輸送する輸送部14とが設けられている。つまり、照射ノズル13と輸送部14は、回転ガントリー5に支持されている。
さらに、輸送部14は、粒子線ビーム7を輸送する経路を形成する磁場を発生させる超電導電磁石15を備えている。これらの超電導電磁石15は、例えば、真空ダクト6に沿って粒子線ビーム7の進行方向を変更する偏向電磁石、または、粒子線ビーム7の収束および発散を制御する四極電磁石などである。
照射ノズル13は、真空ダクト6の先端部に設けられ、輸送部14により導かれた粒子線ビーム7を患者8に向けて照射する。この照射ノズル13は、回転ガントリー5の内周面に固定されている。なお、粒子線ビーム7は、照射ノズル13から水平軸9に対して直交する方向に照射される。
回転ガントリー5の内部には、粒子線治療を行う治療空間16が設けられる。患者8は、この治療空間16に設けられた治療台17に載置される。この治療台17は、患者8を載置した状態で移動可能となっている。この治療台17の移動によって患者8を粒子線ビーム7の照射位置に移動させて位置合わせを行うことができる。そのため、患者8の病巣組織など、適切な部位に粒子線ビーム7を照射することができる。
患者8は水平軸9の位置に配置され、回転ガントリー5を回転させることで、静止している患者8を中心として照射ノズル13を回転させることができる。例えば、患者8(水平軸9)を中心として照射ノズル13を、背面視で時計回り(右回り)または反時計回り(左回り)に185度ずつ回転させることができる。そして、患者8の周囲のいずれの方向からも粒子線ビーム7を照射させることができる。つまり、回転ガントリー5は、ビーム輸送ライン4により導かれた粒子線ビーム7の患者8に対する照射方向を変更可能な装置である。そのため、患者8の負担を軽減しつつ、適切な方向から粒子線ビーム7をより高い精度で患部に照射することができる。
粒子線ビーム7は、患者8の体内を通過する際に運動エネルギーを失って速度が低下するとともに、速度の二乗にほぼ反比例する抵抗を受け、ある一定の速度まで低下すると急激に停止する。この粒子線ビーム7の停止点はブラッグピークと呼ばれ、高エネルギーが放出される。粒子線治療システム1は、このブラッグピークを患者8の病巣組織(患部)の位置に合わせることにより、正常組織のダメージを抑えつつ、病巣組織のみを死滅させることができる。
回転ガントリー5の内部に設けられた治療空間16は、回転ガントリー5の正面側にある治療室18と一体を成すように形成されている。なお、治療台17は、静止している治療室18の床19に固定されている。つまり、回転ガントリー5および照射ノズル13が回転されても、治療台17の位置は変化しないようになっている。
回転ガントリー5の外周面において、輸送部14が設けられた部分の反対側には、カウンターウエイト20が固定されている。このカウンターウエイト20は、回転ガントリー5と中心として輸送部14とのバランスをとるために設けられている。つまり、カウンターウエイト20の重量は、輸送部14の重量に対応して設定されている。また、回転ガントリー5の下方位置には、躯体10に凹状に形成され、回転ガントリー5の回転とともに、カウンターウエイト20が通過可能なウエイトピット21が設けられている。
さらに、回転ガントリー5には、外部から複数のケーブル22が導かれている。これらのケーブル22は、例えば、給電ケーブル、信号線、冷却材用フレキシブルホースなどであり、回転ガントリー5に設けられた所定の機器に対して電力を供給したり、制御信号を伝達したりするために設けられている。これらのケーブル22には、輸送部14が有する超電導電磁石15に冷却材を供給するフレキシブルホースが含まれている。
回転ガントリー5の後部には、回転ガントリー5の回転とともに、ケーブル22の巻き取りまたは繰り出しを行うスプール23が設けられている。なお、スプール23の軸は、回転ガントリー5の水平軸9と一致している。
スプール23の下方位置には、躯体10に凹状に形成され、スプール23から垂れ下がるケーブル22を配置可能なケーブルピット24が設けられている。ケーブルピット24のX方向の幅寸法は、スプール23の直径よりも大きくなるように設定される。
図3の断面図に示すように、スプール23は、回転ガントリー5の後部から後方に向かって突出して設けられている。このスプール23は、円筒形状を成す部分であり、回転ガントリー5の本体部の直径よりも小径を成すように形成されている。このスプール23は、円盤状を成す1枚のフランジ25と、円盤状を成す複数のツバリング26と、ケーブル22を保持する凹状を成す複数のレーン27(図7)とを備える。
フランジ25は、スプール23の後端部に設けられている。複数のツバリング26は、フランジ25と回転ガントリー5との間で軸方向(Z方向)に並んで配置されている。これらのツバリング26は、フランジ25の直径よりも小径を成すように形成されている。また、最もフランジ25に近接している後側のツバリング26は、フランジ25から離間された位置に設けられている。複数のレーン27(図7)は、それぞれのツバリング26の間に形成されている。
図7の断面図に示すように、それぞれのレーン27には、複数のケーブル22が収容される。例えば、1つのレーン27に対して、2~3本のケーブル22が収容されている。なお、1つのレーン27に対して、4本以上のケーブル22が収容されても良い。
スプール23の周方向にケーブル22が巻き回された場合には、ツバリング26およびレーン27の配置に合わせて、複数のケーブル22が、スプール23の軸方向(Z方向)に並んで配置されるとともに、スプール23の径方向(X方向およびY方向)に並んで配置される。また、スプール23からケーブル22が垂れ下がる場合には、複数のケーブル22が、スプール23の軸方向(Z方向)に並んで配置されるとともに、水平方向(X方向)に並んで配置される(図6)。
なお、それぞれのレーン27の幅は、収容されるケーブル22の本数または太さに応じて、それぞれ異なっていても良い。また、1つのレーン27に対して、種類または太さが異なる複数のケーブル22が収容されても良い。
それぞれのツバリング26の周面28において、その両角部が切り欠かれて面取部29(ベベル)が形成されている。つまり、ツバリング26の周縁に面取りされた面取部29が形成されている。このようにすれば、ケーブル22がレーン27に収容されるときに、ケーブル22がツバリング26に引っ掛かり難くなり、ツバリング26への引っ掛かりによって生じるケーブル22への摩擦または張力を低減させることができ、乱巻きを抑制することができる。
例えば、面取部29は、ツバリング26の突出方向に対して約45°の傾きを有する傾斜面となっている。これらの面取部29が設けられることで、レーン27の間口が広がるようになり、ケーブル22がスムーズにレーン27に収容されるようになる。
なお、面取部29が設けられる場合でも、ツバリング26の周面28の一部は残されている。例えば、ツバリング26の先端の周面28が残されている。このようにすれば、仮に、ケーブル22がツバリング26に引っ掛かった場合でも、ケーブル22が切断されたり、ケーブル22が摩耗したりすることを抑制できる。
図4に示すように、それぞれのケーブル22は、一端が回転ガントリー5のスプール23に接続されて他端が静止している固定装置30に接続されている。固定装置30は、例えば、躯体10に固定されている。複数のケーブル22は、例えば、電力を供給する電力線、制御信号を伝達する信号線、冷却材を供給するフレキシブルホースなどで構成されている。固定装置30は、例えば、電源、ターミナルブロック、冷却材供給用ポンプなどで構成されている。なお、図4は回転ガントリー5の背面図であるが、理解を助けるために、回転ガントリー5の本体部、回転駆動部12、輸送部14などの図示を省略している。
ケーブル22の一端は、スプール23に形成された貫通部31を介して回転ガントリー5の内部に導入される。そして、ケーブル22は、回転ガントリー5に設けられた超電導電磁石15(図2)などの機器に接続される。なお、ケーブル22の一端は、貫通部31の部分に固定されている。それぞれのケーブル22は、固定された貫通部31の部分からスプール23の外周に沿って周方向に巻き回される。
本実施形態では、ケーブル22としてフレキシブルホースを例示して説明する。フレキシブルホースは、内部が中空であり(図7)、液体ヘリウムまたは液体窒素などの冷却材を超電導電磁石15(図2)に供給するために設けられている。このフレキシブルホースは、金属製のワイヤーが編み込まれて耐圧性を高めた耐圧ホースとなっており、所定の圧力で冷却材を供給することができる。
図3および図4に示すように、複数のケーブル22は、第1群G1と第2群G2とに分けられている。第1群G1と第2群G2とは、ケーブル22の種類毎に分けても良いし、ケーブル22の接続先となる機器毎に分けても良い。これに合わせて、第1群G1の複数のケーブル22が巻き回される複数のツバリング26と、第2群G2の複数のケーブル22が巻き回される複数のツバリング26とが設けられている。
第1群G1のケーブル22と第2群G2のケーブル22とは、スプール23に巻き回される方向が異なっている。例えば、背面視において、回転ガントリー5が反時計回りに回転した場合に、第1群G1のケーブル22がスプール23に巻き取られ、第2群G2のケーブル22がスプール23から繰り出される。一方、回転ガントリー5が時計回りに回転した場合に、第1群G1のケーブル22がスプール23から繰り出され、第2群G2のケーブル22がスプール23に巻き取られる。
なお、図4では、理解を助けるために、第1群G1のケーブル22のみを図示し、第2群G2のケーブル22の図示を省略している。実際の背面視では、スプール23から垂れ下がる第1群G1のケーブル22と第2群G2のケーブル22とがケーブルピット24で交差して見える。
本実施形態の粒子線治療システム1には、回転ガントリー5の整線装置40が設けられている。この整線装置40は、複数の整線ワイヤー41と複数の整線板42とを備える。ここで、整線ワイヤー41同士の間および整線板42同士の間をケーブル22が通過する。この整線装置40は、複数のケーブル22を整線し、ケーブル22の乱巻き状態を抑制しつつ、ケーブル22の摩耗を抑制するために設けられている。
整線ワイヤー41および整線板42は、第1群G1のケーブル22を整線するためのものと、第2群G2のケーブル22を整線するためのものとが設けられている。なお、図4では、理解を助けるために、第1群G1の整線ワイヤー41および整線板42のみを図示し、第2群G2の整線ワイヤー41および整線板42の図示を省略している。整線ワイヤー41および整線板42は、第1群G1のものと第2群G2のものとで同一構成であり、回転ガントリー5を中心として左右対称の配置となっている。例えば、実際の背面視では、第1群G1と第2群G2の整線ワイヤー41がX字状に交差して張られているように見える。
複数の整線ワイヤー41は、スプール23の下方位置で横方向に掛け渡され、かつ静止した状態で設けられている。これらの整線ワイヤー41は、スプール23から垂れ下がる複数のケーブル22を仕切るために設けられている。このようにすれば、ケーブル22の乱巻き状態を抑制し、かつケーブル22の摩耗を抑制することができる。例えば、整線ワイヤー41が撓るため、ケーブル22の摩耗を抑制することができる。
それぞれの整線ワイヤー41は、それぞれのツバリング26に対応する位置に設けられ、かつツバリング26が並ぶ方向に配列されている。このようにすれば、軸方向に並ぶ複数のケーブル22を仕切ることができる。
例えば、図6に示すように、複数の整線ワイヤー41は、互いに平行を成すように張られている。それぞれの整線ワイヤー41の間にケーブル22が配置される。それぞれの整線ワイヤー41の配置は、ツバリング26の配置に合わせて設定される。つまり、整線ワイヤー41同士の間に配置されるケーブル22の束は、レーン27に収容されるケーブル22の束に対応している。ケーブル22の巻き取りまたは繰り出しを行う際には、ケーブル22が整線ワイヤー41に沿って仕切られる。ここで、ケーブル22同士の接触が抑制され、接触によって生じるケーブル22への摩擦または張力が軽減され、ケーブル22の揺れが抑制され、乱巻きが抑制される。
図4に示すように、ケーブルピット24が形成されている躯体10には、ケーブルピット24の底面から上方に延びるワイヤー用架台43が固定されている。例えば、1本の整線ワイヤー41に対してX方向に離間された左右一対のワイヤー用架台43が設けられる。これらのワイヤー用架台43に整線ワイヤー41の一端と他端が固定される。
整線ワイヤー41は、水平方向に対して傾いた状態で張られている。このようにすれば、垂直方向に垂れ下がるケーブル22に対して斜めに整線ワイヤー41が接触されるため、整線ワイヤー41がケーブル22に擦れるときの抵抗を低減させることができる。これによりケーブル22の摩耗または乱巻きが生じることを低減させることができる。
また、スプール23をケーブル22が垂れ下がる側の半円と反対側の半円とに分けたときに、整線ワイヤー41は、ケーブル22が垂れ下がる側が高く、他の側が低くなるように傾いている。このようにすれば、ケーブル22が整線ワイヤー41に接触するときの角度が小さくなり、ケーブル22が整線ワイヤー41に緩やかに接触するようになり、整線ワイヤー41がケーブル22に擦れるときの抵抗を低減させることができる。
さらに、整線ワイヤー41は、ツバリング26に近接する位置に設けられ、かつツバリング26の周縁の接線方向に延びている。このようにすれば、ケーブル22がツバリング26による保持を失う部分で、整線ワイヤー41によりケーブル22を案内することができる。そのため、ケーブル22に想定以上の摩擦または張力が作用するようなことがなく、乱巻きを抑制することができる。
複数の整線板42は、スプール23に近接する位置に静止した状態で並列に設けられている。これらの整線板42は、スプール23の下方位置で、軸方向(Z方向)に並ぶ複数のケーブル22を仕切るために設けられている。このようにすれば、整線板42によりケーブル22が軸方向に個別に仕切られるため、ケーブル22の乱巻き状態を抑制することができる。
それぞれの整線板42は、それぞれのツバリング26に対応する位置に設けられ、かつツバリング26が並ぶ方向に配列されている。このようにすれば、軸方向に並ぶ複数のケーブル22を仕切ることができる。
例えば、図6に示すように、複数の整線板42は、互いに平行を成すように配置されている。それぞれの整線板42の間にケーブル22が配置される。それぞれの整線板42の配置は、ツバリング26の配置に合わせて設定される。つまり、整線板42同士の間に配置されるケーブル22の束は、レーン27に収容されるケーブル22の束に対応している。ケーブル22の巻き取りまたは繰り出しを行う際には、ケーブル22が整線板42に沿って仕切られる。そのため、意図しないケーブル22同士の接触が抑制され、乱巻きが抑制される。
図4に示すように、本実施形態では、ケーブル22がスプール23から垂れ下がる特定範囲Rが予め設定される。例えば、スプール23におけるX方向の端部からケーブル22が垂れ下がる。この部分を含む所定の範囲が特定範囲Rとして設定される。この特定範囲Rは、ケーブル22が自重によりほぼ垂直を成して垂れ下がる範囲である。複数の整線板42は、この特定範囲Rに配置されている。
図5および図6に示すように、それぞれの整線板42は、背面視で三日月形状を成す板状の部材である。それぞれの整線板42は、互いに離間された状態で連結部材44により連結されている。連結部材44は、例えば、軸方向(Z方向)に延びる棒状を成す部材であり、軸方向(Z方向)における特定範囲R(図4)の一端側と他端側で整線板42を連結している。このようにすれば、連結部材44によりケーブル22の水平方向(X方向)の移動範囲が規制されるため、スプール23から垂れ下がるケーブル22が特定範囲Rに納まるようになり、ケーブル22が特定範囲Rの一端側と他端側の間で揺れ動いても、乱巻きが発生しないようになる。
それぞれの整線板42は、ツバリング26の周端縁に沿って湾曲される湾曲縁45を有している。これらの湾曲縁45は、整線ワイヤー41よりもツバリング26に近接する位置に設けられている。このようにすれば、ケーブル22がツバリング26の間のレーン27(図7)に対して出入りする位置では、ケーブル22が剛性を有する整線板42に案内される。そのため、意図しないケーブル22同士の接触が抑制され、かつケーブル22の揺れが抑制され、乱巻きの発生を抑えることができる。
図4に示すように、ケーブルピット24が形成されている躯体10には、ケーブルピット24の底面から上方に延びる板用架台46が固定されている。例えば、X方向に離間された複数の板用架台46が設けられる。これらの板用架台46に連結部材44が固定される。そして、連結部材44に対して整線板42が固定される。
なお、図6に示すように、本実施形態では、整線板42が設けられる特定範囲R(図4)に重複して整線ワイヤー41も設けられている。つまり、平面視では、軸方向(Z方向)に、整線板42と整線ワイヤー41とが交互に配置されている。例えば、1本のケーブル22は、1枚の整線板42と1本の整線ワイヤー41の間に配置される。そして、軸方向に並ぶ複数のケーブル22は、整線板42と整線ワイヤー41で仕切られる。
なお、本実施形態では、整線ワイヤー41が設けられた範囲に重複して整線板42が設けられているが、その他の態様であっても良い。例えば、軸方向(Z方向)において、整線ワイヤー41が設けられる範囲と整線板42が設けられる範囲とを互いに異ならせても良い。そして、軸方向に並んでいる一部のケーブル22を整線板42で仕切るとともに、他のケーブル22を整線ワイヤー41で仕切るようにしても良い。
なお、本実施形態では、整線板42が設けられた高さ位置に重複して整線ワイヤー41が設けられているが、その他の態様であっても良い。例えば、整線板42と整線ワイヤー41とが設けられる高さ位置(Y方向の位置)を互いに異ならせても良い。特に、整線板42をツバリング26に近接する位置に設けるようにし、その下方位置に整線ワイヤー41を張るようにしても良い。
図9に示すように、本実施形態の粒子線治療システム1には、回転ガントリー5の監視装置50が設けられている。この監視装置50は、ケーブル22の整線状態を監視するために設けられている。
本実施形態の回転ガントリー5の監視装置50は、プロセッサおよびメモリなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータを含む。さらに、本実施形態の監視方法は、各種プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
回転ガントリー5の監視装置50のシステム構成を図9に示すブロック図を参照して説明する。第1実施形態の監視装置50は、レーザーセンサー51とリレー52とインターロック部53とメイン制御部54とを備える。なお、レーザーセンサー51は、スプール23におけるケーブル22の状態を監視する第1実施形態の監視部を構成する。
メイン制御部54は、回転ガントリー5および粒子線治療システム1を統括的に制御するコンピュータである。例えば、メイン制御部54は、回転ガントリー5の回転の制御と、粒子線治療システム1における粒子線ビーム7の照射の制御とを行う。
レーザーセンサー51の検出信号は、リレー52を介してインターロック部53に入力される。そして、スプール23におけるケーブル22の状態が異常である場合には、インターロック部53からメイン制御部54に停止信号を入力し、回転ガントリー5および粒子線治療システム1の動作を停止させる。
つまり、インターロック部53は、レーザーセンサー51(監視部)による監視に基づいて、ケーブル22の異常が検出されたときに、回転ガントリー5の駆動を停止させる。このようにすれば、ケーブル22が乱巻き状態となった異常時に回転ガントリー5の駆動を自動的に停止させることができる。
例えば、粒子線治療システム1では、照射許可フラグがセットされている場合にのみ、粒子線ビーム7が照射可能である。インターロックが解除されている状態とは、照射許可フラグがセットされている状態である。インターロックが作動している状態とは、照射許可フラグがセットされていない状態である。インターロック部53からメイン制御部54に停止信号が入力されると、インターロックが作動し、照射許可フラグがクリアされ、照射許可フラグがセットされていない状態に切り換わる。そして、粒子線ビーム7が照射不能となる。
図4に示すように、レーザーセンサー51は、整線板42を支持する板用架台46に固定されている。つまり、レーザーセンサー51は、回転ガントリー5およびスプール23の回転の影響を受けず、静止した状態で設けられている。
例えば、第1群G1のケーブル22の乱巻き状態を検出するために2つのレーザーセンサー51が設けられている。なお、図4では図示を省略しているが、第2群G2のケーブル22の乱巻き状態を検出するために、さらに2つのレーザーセンサー51が設けられている。つまり、第1実施形態の監視装置50は、合計4つのレーザーセンサー51を備える。なお、スプール23の周方向に沿って並ぶ、5つ以上のレーザーセンサー51を設けるようにしても良い。
第1群G1のケーブル22の乱巻き状態を検出するための2つのレーザーセンサー51(監視部)は、X方向における特定範囲Rの一端(左端)と他端(右端)に対応して配置されている。これらのレーザーセンサー51は、スプール23の周方向における整線板42に対応する位置に設けられている。このようにすれば、整線板42の部分でケーブル22の乱巻きが発生した場合に、乱巻きの初期段階でケーブル22の突出を検出することができる。
図8に示すように、レーザーセンサー51は、回転ガントリー5の後部に近接する位置、つまり、スプール23の前端側に静止した状態で配置されている。そして、レーザーセンサー51は、後方に向かってレーザー55を照射する。ケーブル22の乱巻きは、スプール23の後端側(フランジ25側)で発生することが多く、その場合に、スプール23から突出するケーブル22がレーザーセンサー51に干渉しないようにできる。
なお、レーザーセンサー51は、反射型レーザーセンサー51である。つまり、1つのレーザーセンサー51は、レーザー55を照射する照射部と、所定の物体に当たって反射されたレーザー55を検出する検出部(受光部)とを含む。この反射されたレーザー55に基づいて、レーザーセンサー51から物体までの距離を検出することができる。この検出される距離に基づいて、スプール23で乱巻きが生じているか否かを把握することができる。
スプール23に異常が無い場合には、レーザーセンサー51から照射されるレーザー55は、フランジ25で反射されてレーザーセンサー51で検出される。なお、レーザーセンサー51の検出距離を、予めレーザーセンサー51からフランジ25までの距離以下に設定しても良い。この場合には、フランジ25の表面に微小な凹凸があることを考慮して、レーザーセンサー51からフランジ25までの距離よりも若干短い距離を、検出距離として設定する。
一方、スプール23で乱巻きが発生し、ケーブル22がツバリング26から突出している場合には、レーザーセンサー51から照射されるレーザー55は、ケーブル22で反射されてレーザーセンサー51で検出される。つまり、レーザーセンサー51は、ケーブル22に照射したレーザー55の反射に基づいて、ツバリング26から突出するケーブル22を検出する。このようにすれば、レーザーセンサー51をスプール23の一方の端部に設けるだけで済む。また、乱巻きによりスプール23から突出するケーブル22が、レーザーセンサー51に衝突してしまうことを抑制できる。
レーザーセンサー51は、ツバリング26の周縁に沿って軸方向(Z方向)にレーザー55を照射し、ツバリング26から突出するケーブル22を検出するようにしている。このようにすれば、複数のケーブル22が設けられていても、それぞれのケーブル22の突出状態を少なくとも1つのレーザーセンサー51で行うことができるため、レーザーセンサー51の設置数を低減させることができる。
図9に示すように、レーザーセンサー51は、リレー52を介してインターロック部53に接続されている。ここで、リレー52の動作時間を所定の期間に設定する。例えば、リレー52の動作時間を20~200ミリ秒の範囲に設定する。ここで、レーザーセンサー51による検出時間が、リレー52の動作時間以上であれば、リレー52が動作し、レーザーセンサー51の検出信号がインターロック部53に入力される。一方、レーザーセンサー51による検出時間が、リレー52の動作時間未満であれば、リレー52が動作されず、レーザーセンサー51の検出信号がインターロック部53に入力されない。このようにすれば、例えば、レーザー55の照射範囲をケーブル22が一時的に素早く通過した場合に、インターロックを作動させないで済むようになる。つまり、ケーブル22の動作が正常である場合に、インターロックを誤作動させないで済むようになる。
次に、回転ガントリー5の監視装置50が実行する回転ガントリー5の監視方法(監視処理)について図10のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。この処理は、回転ガントリー5および粒子線治療システム1が動作中であるときに、常時実行される処理である。この処理が繰り返されることで、監視装置50で監視方法が実行される。
まず、ステップS1において、レーザーセンサー51によりスプール23におけるケーブル22の状態を監視する。平常時には、回転ガントリー5が回転し、この回転とともにスプール23が複数のケーブル22の巻き取りまたは繰り出しを行う。そして、メイン制御部54は、インターロック部53から停止信号が入力されたか否かを判定する。つまり、ケーブル22の異常が検出されたか否かを判定する。ここで、ケーブル22に異常がない場合(ステップS1でNOの場合)は、処理を終了する。一方、ケーブル22に異常がある場合(ステップS1でYESの場合)は、ステップS2に進む。
ステップS2において、メイン制御部54は、インターロックを作動させる。ここで、粒子線治療システム1による粒子線ビーム7の照射を停止する。
次のステップS3において、メイン制御部54は、回転ガントリー5を停止させる。つまり、第1実施形態のインターロック部53は、レーザーセンサー51(監視部)による監視に基づいて、ケーブル22の異常が検出されたときに、メイン制御部54を介して回転ガントリー5の駆動を停止させる。
次のステップS4において、メイン制御部54は、アラームを発報する。このアラームの発報により、管理者が異常の発生を把握することができる。
次のステップS5において、メイン制御部54は、異常除外操作を受け付けたか否かを判定する。ここで、異常除外操作を受け付けていない場合(ステップS5でNOの場合)は、ステップS4に戻る。一方、異常除外操作を受け付けた場合(ステップS5でYESの場合)は、ステップS6に進む。例えば、管理者またはメンテナンスの作業者は、アラームを停止させるために所定のスイッチを押下する操作(異常除外操作)を行う。この操作により、アラームが停止されるとともに、メンテナンスのために回転ガントリー5を回転させる操作を行えるようになる。
ステップS6において、メイン制御部54は、異常を除外する作業であるメンテナンス作業が完了するまで待機する待機処理を実行する。ここで、作業者は、回転ガントリー5を回転させてケーブル22の乱巻きを除外する作業などを行う。
次のステップS7において、メイン制御部54は、リセット操作を受け付けたか否かを判定する。例えば、管理者またはメンテナンスの作業者は、メンテナンス作業が完了したときに、リセットスイッチを押下する操作(リセット操作)を行う。ここで、リセット操作を受け付けていない場合(ステップS7でNOの場合)は、ステップS6に戻る。一方、リセット操作を受け付けた場合(ステップS7でYESの場合)は、ステップS8に進む。
ステップS8において、メイン制御部54は、インターロック部53から停止信号が入力されたか否かを判定する。つまり、ケーブル22の異常が検出されたか否かを判定する。ここで、ケーブル22に異常がある場合(ステップS8でYESの場合)は、ステップS3に戻る。一方、ケーブル22に異常がない場合(ステップS8でNOの場合)は、ステップS9に進む。
ステップS9において、メイン制御部54は、インターロックを解除する。ここで、粒子線治療システム1による粒子線ビーム7の照射を再開できるようになる。
そして、処理を終了する。なお、以上のステップは、監視方法に含まれる少なくとも一部の処理であり、他のステップが監視方法に含まれていても良い。
第1実施形態では、レーザーセンサー51でケーブル22の整線状態を監視することができる。例えば、ケーブル22として、冷却材を供給するために中空なフレキシブルホースを用いた場合において、このフレキシブルホースが乱巻きで捩じれてしまうと、超電導電磁石15に対する冷却材の供給が滞ることなる。そこで、第1実施形態では、冷却材の供給が滞る前に監視装置50により乱巻き状態を把握し、その対応を行うことができる。
なお、第1実施形態では、メイン制御部54が監視装置50の構成の一部であるものとしているが、その他の態様であっても良い。例えば、メイン制御部54が監視装置50に含まれていなくても良い。その場合には、インターロック部53が各種の判定またはインターロックの制御を行う。
なお、第1実施形態では、照射部と検出部(受光部)とが一体化された反射型レーザーセンサー51が用いられているが、その他の態様であっても良い。例えば、照射部と検出部とが別体とされた透過型レーザーセンサーを用いても良い。
なお、第1実施形態では、整線装置40が整線ワイヤー41と整線板42との両方を備える構成となっているが、その他の態様であっても良い。例えば、整線装置40が整線ワイヤー41と整線板42とのいずれか一方を備える構成でも良い。つまり、整線装置40が整線ワイヤー41のみを備え、整線板42の構成を省略しても良い。または、整線装置40が整線板42のみを備え、整線ワイヤー41の構成を省略しても良い。
なお、ケーブル22がスプール23から突出する部分(範囲)にのみ、整線ワイヤー41または整線板42を設けるようにしても良い。また、整線装置40によって、ケーブル22の径毎にまとめても良いし、ケーブル22の種類毎にまとめても良い。なお、フレキシブルホースと電力線は、互いに曲がり具合が異なるため、それぞれの種類に分けてまとめるようにする。
なお、整線ワイヤー41を設置する方が、整線板42を設置するよりも施工が簡単であるため、施工の期間の短縮およびコストダウンを図ることができる。また、整線ワイヤー41の一方の端部をケーブルピット24の底部に固定するようにしても良い。
粒子線治療システム1では、超電導電磁石15を用いることで回転ガントリー5を小型化することができるが、超電導電磁石15の冷却に用いる液体ヘリウムを流すためのホースも必要になる。そのため、ケーブル22の本数が増加するだけでなく、それぞれの種類毎にケーブル22の太さと剛性も異なるようになり、ケーブル22の整線を行う場合の難易度が高まる。第1実施形態では、ケーブル22の種類毎に適切な態様で整線ワイヤー41または整線板42を設けることができるため、整線を行い易くなる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図11から図13を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
図13に示すように、第2実施形態の回転ガントリー5の監視装置50Aは、リミットスイッチ56とインターロック部53とメイン制御部54とを備える。なお、リミットスイッチ56は、スプール23におけるケーブル22の状態を監視する第2実施形態の監視部を構成する。
図11に示すように、リミットスイッチ56は、整線板42を支持する板用架台46に固定されている。つまり、リミットスイッチ56は、回転ガントリー5およびスプール23の回転の影響を受けず、静止した状態で設けられている。
図12に示すように、例えば、ケーブル22の乱巻き状態を検出するために、それぞれのレーン27に対応してリミットスイッチ56が設けられている。例えば、ツバリング26の間であって、それぞれのレーン27の間口にリミットスイッチ56が設けられている。つまり、レーン27の本数と同じ設置数のリミットスイッチ56が設けられている。スプール23で乱巻きが発生し、レーン27に保持されたケーブル22が、レーン27から突出されている場合には、その突出状態をリミットスイッチ56で検出することができる。
図13に示すように、リミットスイッチ56の検出信号は、インターロック部53に入力される。そして、スプール23におけるケーブル22の状態が異常である場合には、インターロック部53からメイン制御部54に停止信号を入力し、回転ガントリー5および粒子線治療システム1の動作を停止させる。
第2実施形態では、リミットスイッチ56でケーブル22の整線状態を監視することができる。このようにすれば、リミットスイッチ56に対するケーブル22の接触によりその突出状態を検出するため、誤検出が生じ難くなる。また、ケーブル22が突出されているレーン27を正確に特定することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図14から図15を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
図15に示すように、第3実施形態の回転ガントリー5の監視装置50Bは、カメラ57とインターロック部53とメイン制御部54とを備える。なお、カメラ57は、スプール23におけるケーブル22の状態を監視する第3実施形態の監視部を構成する。
図14に示すように、建屋の躯体10には、上方に延びるカメラ用架台58が固定されている。例えば、スプール23の両側方に、X方向に離間された複数のカメラ用架台58が設けられる。これらのカメラ用架台58に複数のカメラ57が固定される。そして、カメラ57は、側方からスプール23を撮影する。なお、カメラ57は、上方または下方からスプール23を撮影しても良い。また、背面側からスプール23を撮影しても良い。
図15に示すように、カメラ57で撮影されたスプール23の画像は、インターロック部53に入力される。そして、この画像に基づいて、インターロック部53が、ケーブル22の乱巻きが生じているか否かを判定する。そして、乱巻きが生じている場合には、インターロック部53からメイン制御部54に停止信号を入力し、回転ガントリー5および粒子線治療システム1の動作を停止させる。
第3実施形態のインターロック部53は、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。
また、インターロック部53は、機械学習部59を備える。つまり、インターロック部53には、機械学習を行う人工知能(AI:Artificial Intelligence)を備えるコンピュータが含まれる。また、機械学習部59には、深層学習に基づいて、複数のパターンから特定のパターンを抽出する深層学習部が含まれても良い。なお、機械学習部59は、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
第3実施形態では、予めスプール23の画像を用いて機械学習を行う。学習に用いられるスプール23の画像は、カメラ57で実際に撮影された画像でも良いし、カメラ57により得られる画像を模して、コンピュータグラフィックス(CG)を用いて生成されるCG画像でも良い。また、カメラ57により得られる画像を人手または自動的に編集して多種多様な学習用画像を生成しても良い。
このようにして、乱巻きが発生していない正常時のスプール23の学習用画像と、乱巻きが発生している異常時のスプール23の学習用画像とに基づいて、乱巻きの発生の有無を判定可能な識別器としての機械学習部59を構築する。そして、回転ガントリー5が動作する実際の治療時には、カメラ57で撮影した判定用画像を機械学習部59に入力し、乱巻きの発生の有無を判定する。
なお、第3実施形態のコンピュータを用いた解析には、人工知能の学習に基づく解析技術を用いることができる。例えば、ニューラルネットワークによる機械学習により生成された学習モデル、その他の機械学習により生成された学習モデル、深層学習アルゴリズム、回帰分析などの数学的アルゴリズムを用いることができる。また、機械学習の形態には、クラスタリング、深層学習などの形態が含まれる。
インターロック部53は、例えば、ニューラルネットワークを備える1台のコンピュータで構成しても良いし、ニューラルネットワークを備える複数台のコンピュータで構成しても良い。
ここで、ニューラルネットワークとは、脳機能の特性をコンピュータによるシミュレーションによって表現した数学モデルである。例えば、シナプスの結合によりネットワークを形成した人工ニューロン(ノード)が、学習によってシナプスの結合強度を変化させ、問題解決能力を持つようになるモデルを示す。さらに、ニューラルネットワークは、深層学習(Deep Learning)により問題解決能力を取得する。
例えば、ニューラルネットワークには、6層のレイヤーを有する中間層が設けられる。この中間層の各レイヤーは、300個のユニットで構成されている。また、多層のニューラルネットワークに学習用データを用いて予め学ばせておくことで、回路またはシステムの状態の変化のパターンの中にある特徴量を自動で抽出することができる。なお、多層のニューラルネットワークは、ユーザインターフェース上で、任意の中間層数、任意のユニット数、任意の学習率、任意の学習回数、任意の活性化関数を設定することができる。
なお、学習対象となる各種情報項目に報酬関数が設定されるとともに、報酬関数に基づいて価値が最も高い情報項目が抽出される深層強化学習をニューラルネットワークに用いても良い。
例えば、画像認識で実績のあるCNN(Convolution Neural Network)を用いる。このCNNでは、中間層が畳み込み層とプーリング層で構成される。畳み込み層は、前の層で近くにあるノードにフィルタ処理を施すことで特徴マップを取得する。プーリング層は、畳込み層から出力された特徴マップを、さらに縮小して新たな特徴マップとする。この際に特徴マップにおいて着目する領域に含まれる画素の最大値を得ることで、特徴量の位置の多少のずれも吸収することができる。
畳み込み層は、画像の局所的な特徴を抽出し、プーリング層は、局所的な特徴をまとめる処理を行う。これらの処理では、入力画像の特徴を維持しながら画像を縮小処理する。つまり、CNNでは、画像の持つ情報量を大幅に圧縮(抽象化)することができる。そして、ニューラルネットワークに記憶された抽象化された画像イメージを用いて、入力される画像を認識し、画像の分類を行うことができる。
なお、深層学習には、オートエンコーダ、RNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short-Term Memory)、GAN(Generative Adversarial Network)などの各種手法がある。これらの手法を第3実施形態の深層学習に適用しても良い。
第3実施形態では、カメラ57でケーブル22の整線状態を監視することができる。このようにすれば、スプール23の状態を画像として取得できるため、乱巻きが生じているか否かを把握し易くなる。
なお、カメラ57で撮影されたスプール23の画像に基づいて、管理者が、ケーブル22の乱巻きが生じているか否かを把握することができる。そして、管理者が緊急停止ボタンを押下し、回転ガントリー5および粒子線治療システム1の動作を停止させるようにしても良い。
回転ガントリーの監視装置を第1実施形態から第3実施形態に基づいて説明したが、いずれか1の実施形態において適用された構成を他の実施形態に適用しても良いし、各実施形態において適用された構成を組み合わせても良い。
なお、前述の実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
前述の実施形態の監視装置は、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスまたはキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。このシステムは、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
なお、前述の実施形態の監視装置で実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
また、この監視装置で実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、この監視装置は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
なお、前述の実施形態では、重粒子線がん治療を行う施設を例示しているが、その他の施設にも前述の実施形態を適用できる。例えば、陽子線がん治療を行う施設に前述の実施形態を適用しても良い。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、スプールにおけるケーブルの状態を監視する監視部を備えることにより、ケーブルの整線状態を監視することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…粒子線治療システム、2…ビーム発生器、3…円形加速器、4…ビーム輸送ライン、5…回転ガントリー、6…真空ダクト、7…粒子線ビーム、8…患者、9…水平軸、10…躯体、11…エンドリング、12…回転駆動部、13…照射ノズル、14…輸送部、15…超電導電磁石、16…治療空間、17…治療台、18…治療室、19…床、20…カウンターウエイト、21…ウエイトピット、22…ケーブル、23…スプール、24…ケーブルピット、25…フランジ、26…ツバリング、27…レーン、28…周面、29…面取部、30…固定装置、31…貫通部、40…整線装置、41…整線ワイヤー、42…整線板、43…ワイヤー用架台、44…連結部材、45…湾曲縁、46…板用架台、50(50A,50B)…監視装置、51…レーザーセンサー、52…リレー、53…インターロック部、54…メイン制御部、55…レーザー、56…リミットスイッチ、57…カメラ、58…カメラ用架台、59…機械学習部、G1…第1群、G2…第2群、R…特定範囲。

Claims (12)

  1. 粒子線ビームを照射する照射ノズルと前記照射ノズルに前記粒子線ビームを輸送する輸送部とを支持して水平方向を向く水平軸を中心に回転する回転ガントリーと、
    一端が前記回転ガントリーに接続されて他端が静止している装置に接続されている複数のケーブルと、
    前記回転ガントリーに設けられ、前記ケーブルの巻き取りまたは繰り出しを行うスプールと、
    前記スプールにおける前記ケーブルの状態を監視する監視部と、
    を備える、
    回転ガントリーの監視装置。
  2. 前記監視部による監視に基づいて、前記ケーブルの異常が検出されたときに、前記回転ガントリーの駆動を停止させるインターロック部を備える、
    請求項1に記載の回転ガントリーの監視装置。
  3. 前記スプールは、円盤状を成す複数のツバリングと前記ツバリングの間で前記ケーブルを保持する凹状を成す複数のレーンとを備え、
    前記監視部は、前記ツバリングの周端縁に沿って軸方向にレーザーを照射し、前記ツバリングから突出する前記ケーブルを検出するレーザーセンサーである、
    請求項1または請求項2に記載の回転ガントリーの監視装置。
  4. 前記スプールは、前記回転ガントリーの後部から後方に向かって突出して設けられており、
    前記レーザーセンサーは、前記回転ガントリーの後部に近接する位置から後方に向かって前記レーザーを照射する、
    請求項3に記載の回転ガントリーの監視装置。
  5. 前記レーザーセンサーは、前記ケーブルに照射した前記レーザーの反射に基づいて、前記ツバリングから突出する前記ケーブルを検出する反射型レーザーセンサーである、
    請求項3または請求項4に記載の回転ガントリーの監視装置。
  6. 軸方向に並ぶ複数の前記ケーブルを仕切り、前記スプールに近接する位置に静止した状態で並列に設けられた複数の整線板を備え、
    前記レーザーセンサーは、前記スプールの周方向における前記整線板に対応する位置に設けられている、
    請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の回転ガントリーの監視装置。
  7. 前記スプールは、円盤状を成す複数のツバリングと前記ツバリングの間で前記ケーブルを保持する凹状を成す複数のレーンとを備え、
    前記監視部は、前記レーンに保持された前記ケーブルの突出状態を検出するリミットスイッチである、
    請求項1または請求項2に記載の回転ガントリーの監視装置。
  8. 前記監視部は、前記スプールを撮影するカメラである、
    請求項1または請求項2に記載の回転ガントリーの監視装置。
  9. 前記輸送部は、前記粒子線ビームを輸送する経路を形成する磁場を発生させる超電導電磁石を備え、
    少なくとも1本の前記ケーブルは、前記超電導電磁石に冷却材を供給するフレキシブルホースである、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回転ガントリーの監視装置。
  10. 粒子線ビームを照射する照射ノズルと前記照射ノズルに前記粒子線ビームを輸送する輸送部とを支持する回転ガントリーが、水平方向を向く水平軸を中心に回転するステップと、
    前記回転ガントリーに設けられたスプールが、一端が前記回転ガントリーに接続されて他端が静止している装置に接続されている複数のケーブルの巻き取りまたは繰り出しを行うステップと、
    監視部が、前記スプールにおける前記ケーブルの状態を監視するステップと、
    を含む、
    回転ガントリーの監視方法。
  11. 前記監視部による監視に基づいて、前記ケーブルの異常が検出されたときに、インターロック部が、前記回転ガントリーの駆動を停止させるステップを含む、
    請求項10に記載の回転ガントリーの監視方法。
  12. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の前記回転ガントリーの監視装置と、
    前記輸送部により前記水平軸に対して直交する方向に導かれる前記粒子線ビームの照射位置に患者を移動して位置合わせを行う治療台と、
    前記粒子線ビームを生成するビーム発生器と、
    前記粒子線ビームを加速する加速器と、
    を備える、
    粒子線治療システム。
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