JP2023051233A - 操舵システムおよびこれを備えた車両 - Google Patents

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Kanta Kimura
教雄 石原
Norio Ishihara
貴志 伊東
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Abstract

【課題】燃費の改善および走行安定性の向上を図ることができる操舵システムおよびこれを備えた車両を提供する。【解決手段】操舵システムは、ハブユニット本体、前記ハブユニット本体を転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材、および前記ハブユニット本体を回転駆動させる操舵用アクチュエータを有する操舵機能付ハブユニットを備え、前記操舵用アクチュエータは、モータと、直動機構とを有し、前記ハブユニット本体が回転駆動される、操舵システムであって、三相の電源線を経由して前記操舵用アクチュエータの前記モータが、入力された電流指令信号に応じた電流を出力するように、前記モータを駆動制御するアクチュエータ駆動制御部と、前記電源線の三相のうちの少なくともいずれか二相を短絡させるリレー回路を備え、前記操舵用アクチュエータの前記モータの異常発生時に、前記リレー回路を動作させる。【選択図】図10

Description

本発明は、操舵システムおよびこれを備えた車両に関し、走行状況に合わせ車輪を適切な操舵角に制御する技術に関する。
一般的な自動車等の車両は、ハンドルとステアリング装置(または操舵装置)が機械的に接続され、また、ステアリング装置の両端はタイロッドによってそれぞれの左右輪に繋がっている。そのため、ハンドルの動きによる左右輪の切れ角度は初期の設定によって決まる。車両のジオメトリには、(1) 左右輪の切れ角度が同じである「パラレルジオメトリ」、(2) 車両の旋回中心を1か所にするために旋回内輪車輪角度を旋回外輪車輪角度よりも大きく切る「アッカーマンジオメトリ」が知られている。
アッカーマンジオメトリは、車両に作用する遠心力を無視できるような低速域での旋回において、車両をスムーズに旋回させるために、各輪が共通の一点を中心として旋回するように左右輪の舵角差を設定している。しかし、遠心力を無視できない高速域の旋回においては、車輪は遠心力とつり合う方向にコーナリングフォースを発生させることが望ましいため、アッカーマンジオメトリよりもパラレルジオメトリとすることが好ましい。
前述したように一般的な車両の操舵装置は機械的に車輪と接続されているため、一般的には固定された単一のステアリングジオメトリしか取ることができず、アッカーマンジオメトリとパラレルジオメトリとの中間的なジオメトリに設定されることが多い。しかし、この場合、低速域では左右輪の舵角差が不足して外輪の舵角が過大となり、高速域では内輪の舵角が過大となる。このように内外輪の車輪横力配分に不要な偏りがあると、走行抵抗の悪化による燃費悪化及びタイヤの早期摩耗の原因となり、また内外輪を効率的に利用できないので、コーナリングのスムーズさが損なわれるといった課題がある。
そこで、車速や旋回Gに応じて車輪の切れ角を変更し、低速域ではアッカーマンジオメトリを、高速域ではパラレルジオメトリと任意に選択することで、走行抵抗を増大させることがなく、また低速でのスムーズな旋回性と高速でのコーナリング性能とを両立させることを可能とする技術が提案されている。
独国特許出願公開第102012206337号明細書 特開2014-061744号公報
特許文献1では、モータを2個使ってタイヤのトー角とキャンバー角を複雑に制御している。特許文献2は、転舵軸に対しハブベアリングを片持ち支持しているため、剛性が低下し、過大な走行Gの発生によってステアリングジオメトリが変化してしまう可能性がある。また、転舵軸上に減速機を設けた場合、モータを含めてサイズが大きくなる。モータ等のサイズが大きくなると車輪の内周部に全体を配置することが困難となる。また、減速比の大きい減速機を設けた場合、応答性が悪化する。
上記のように従来の操舵機能を備えた機構は、車両において車輪のトー角またはキャンバー角を任意に変更することを目的としているため、モータおよび減速機構が複数必要になり複雑な構成となっている。また、剛性を確保することが困難となり、剛性を確保するためには大型化する必要があり重くなる。また、キングピン軸と、操舵機能を備えた機構の転舵軸が一致する場合は、構成要素部品がハブユニットの後方(車体内側)に配置されるために全体のサイズが大きくなり重くなる。
加えて、走行中の車両において、操舵機能付ハブユニットのシステム異常のうちの、例えばセンサの異常、制御装置の異常、またはモータの異常等によって、操舵用アクチュエータのモータを停止させるためにモータの電流を遮断した場合、モータが惰性で回転してしまい、操舵用アクチュエータ中の直動機構が台形ねじのストロークエンドまで移動してしまい破損する恐れがある。モータの惰性回転を瞬時に停止するには、例えば転舵用アクチュエータのモータの入力側に接続したブリッジ回路のスイッチング素子を、Low側のUVW相全てオン(導通状態)、High側のUVW相全てオフにして三相短絡させ、ブレーキを作動させる必要がある。しかし、モータ回転中に電源が失陥した場合(システム異常に含む)、スイッチング素子を駆動させる電力を供給できなくなり、このブレーキ作動ができない。
したがって、本発明の目的は、上述のような点を改善することで、燃費の改善および走行安定性の向上を図ることができる操舵システムおよびこれを備えた車両を提供することである。
この発明の操舵システムは、
車輪を回転支持するハブベアリングを有するハブユニット本体、懸架装置の足回りフレーム部品に設けられ前記ハブユニット本体を上下方向に延びる転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材、および前記ハブユニット本体を前記転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータを有する操舵機能付ハブユニットを備え、
前記操舵用アクチュエータは、モータと、このモータの回転出力を出力ロッドの直進運動に変換する直動機構とを有し、前記出力ロッドが進退することで、前記ハブユニット本体が前記転舵軸心回りに回転駆動される、
操舵システムであって、
三相の電源線を経由して前記操舵用アクチュエータの前記モータが、入力された電流指令信号に応じた電流を出力するように、前記モータを駆動制御するアクチュエータ駆動制御部と、
前記電源線の三相のうちの少なくともいずれか二相を短絡させるリレー回路を備え、
前記操舵用アクチュエータの前記モータの異常発生時に、前記リレー回路を動作させる。
この構成によると、前記操舵機能付ハブユニット内の前記転舵軸心で前記ハブユニット本体は回転自在に保持されている。また、前記操舵機能付ハブユニット内に配置される前記操舵用アクチュエータのモータの回転により直動機構の出力ロッドが進退することで、前記ハブユニット本体が転舵軸心回りに回転駆動されることにより操舵される。このとき車両の挙動を制御するためには、正確に車輪の舵角を制御する必要があると共に、異常時には車輪の角度を初期状態に戻して、制御を停止させる必要がある。しかし上記構成により、簡単な構造でハブユニットに取り付けられた車輪のトー角度を任意に変更すること等が可能となる。例えば、車両の走行条件に応じて、左右の車輪を独立して角度を任意に変更することができるため、車両の運動性能を向上させ、安定に走行することが可能となる。また、適切な車輪角度を設定することで燃費を改善することも可能となる。以上により、燃費の改善および走行安定性の向上を図ることができる。
加えて、この構成によると、前記アクチュエータ駆動制御部が前記モータを駆動制御するのに使用する三相の電源線において、予期しない電源欠陥等による前記操舵用アクチュエータの前記モータの異常発生時に、前記リレー回路の種類によっては、前記リレー回路を動作させて前記電源線の三相のうちの少なくともいずれか二相を短絡させうる(短絡ブレーキ)。当該リレー回路の短絡を用いた短絡ブレーキを採用することで、予期しない電源失陥時等による前記モータの異常発生時にモータの惰性回転によるオーバーシュートを抑えることで、機械の可動範囲を超えて動作することによる破損を防ぐことができる。
前記リレー回路に半導体素子を含むリレーが使用されてもよい。これにより、高速にリレー回路のオンオフ動作が可能となる。また、前記リレー回路のリレーが1つのコイルと、2つの接点を有してもよい。これにより、複数のリレーを1つの部品とすることができ、小型化できる。
前記アクチュエータ駆動制御部は、複数のスイッチング素子を有し、該複数のスイッチング素子のオンオフ動作により、前記操舵用アクチュエータの前記モータを駆動制御し、
前記操舵用アクチュエータの前記モータの異常発生時に、電源を失陥した場合には、前記リレー回路を動作させ、電源を失陥していない場合には、前記複数のスイッチング素子のうちのLow側をすべてオン動作させ、High側をすべてオフ動作させてもよい。これにより、電源失陥以外の時は前記複数のスイッチング素子のうちのLow側をすべてオン動作させ、High側をすべてオフ動作させ、電源失陥時は上記リレー回路により短絡ブレーキを発生させることで、短絡ブレーキを各々発生できる。
前記制御装置は、前記操舵機能付ハブユニットの前記操舵用アクチュエータを制御する制御装置を備え、前記制御装置は、与えられた操舵角指令信号に応じた電流指令信号を出力する操舵制御部と、この操舵制御部から入力された前記電流指令信号に応じた電流を出力して前記操舵用アクチュエータを駆動制御する前記アクチュエータ駆動制御部とを有してもよい。この構成によると、操舵機能付ハブユニットの操舵用アクチュエータを簡単な構成で制御することができる。
この発明の車両は、この発明の上記いずれかの構成の操舵システムを備えた車両であり、前記操舵機能付ハブユニットを用いて前輪および後輪のいずれか一方または両方が支持されている。そのため、この発明の操舵システムにつき前述した各効果が得られる。前輪は一般的に操舵輪とされるが、操舵輪に操舵機能付ハブユニットを適用した場合は、走行中におけるトー角調整に効果的である。また、後輪は一般的に非操舵輪とされるが、非操舵輪に適用した場合は、非操舵輪の若干の操舵によって低速走行時における最小回転半径の低減を図ることができる。
この発明の操舵システムは、車輪を回転支持するハブベアリングを有するハブユニット本体、懸架装置の足回りフレーム部品に設けられ前記ハブユニット本体を上下方向に延びる転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材、および前記ハブユニット本体を前記転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータを有する操舵機能付ハブユニットを備え、前記操舵用アクチュエータは、モータと、このモータの回転出力を出力ロッドの直進運動に変換する直動機構とを有し、前記出力ロッドが進退することで、前記ハブユニット本体が前記転舵軸心回りに回転駆動される、操舵システムであって、三相の電源線を経由して前記操舵用アクチュエータの前記モータが、入力された電流指令信号に応じた電流を出力するように、前記モータを駆動制御するアクチュエータ駆動制御部と、前記電源線の三相のうちの少なくともいずれか二相を短絡させるリレー回路とを備え、前記操舵用アクチュエータの前記モータの異常発生時に、前記リレー回路を動作させる。これにより、燃費の改善および走行安定性の向上を図ることができる。
この発明の車両は、この発明の上記いずれかの構成の操舵システムを備えた車両であり、前記操舵機能付ハブユニットを用いて前輪および後輪のいずれか一方または両方が支持されたため、燃費の改善および走行安定性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る操舵システムの操舵機能付ハブユニットおよびその周辺の構成を示す縦断面図である。 同操舵機能付ハブユニットの水平断面図および制御系のブロック図である。 同操舵機能付ハブユニットの外観を示す斜視図である。 同操舵機能付ハブユニットの側面図である。 同操舵機能付ハブユニットの平面図である。 図4のVI-VI線断面図である。 同操舵システムを備えた車両の一例の模式平面図である。 いずれかの操舵システムを備えた車両の他の例の模式平面図である。 いずれかの操舵システムを備えた車両のさらに他の例の模式平面図である。 同操舵システムの短絡ブレーキを用いたモータの入力側を示す電源線の結線図である。 同操舵システムのモータの制御を示すフローチャートである。 同操舵システムの電源失陥時の動作を説明する波形図である。
本発明の一実施形態に係る操舵システムを図を参照して説明する。この操舵システムは、操舵機能付ハブユニットと、この操舵機能付ハブユニットの操舵用アクチュエータを制御する後述する制御装置とを備える。この操舵システムは車両に搭載される。
<操舵機能付ハブユニットの概略構造>
図1に示すように、この操舵機能付ハブユニット1は、ハブユニット本体2と、ユニット支持部材3と、操舵用アクチュエータ5とを備える。足回りフレーム部品であるナックル6に一体にユニット支持部材3が設けられている。このユニット支持部材3のインボード側に、操舵用アクチュエータ5が設けられ、ユニット支持部材3のアウトボード側に、ハブユニット本体2が設けられる。操舵機能付ハブユニット1を車両に搭載した状態で、車両の車幅方向外側をアウトボード側といい、車両の車幅方向中央側をインボード側という。なお、操舵機能付ハブユニット1を単に、ハブユニット1と言う場合がある。
図2および図3に示すように、ハブユニット本体2と操舵用アクチュエータ5とはジョイント部8により連結されている。通常、このジョイント部8は、防水、防塵のために図示外のブーツが取り付けられている。
図1に示すように、ハブユニット本体2は、上下方向に延びる転舵軸心A回りに回転(回転)自在なように、上下二箇所で回転許容支持部品4,4を介してユニット支持部材3に支持されている。すなわち、転舵軸心Aは、ハブユニット本体2側に存在し、車輪9の回転軸心Oとは異なる軸心であり、主な操舵を行うキングピン軸とも異なっている。通常の車両は、車両走行の直進安定性の向上を目的としてキングピン角度が10~20度で設定されているが、この実施形態の操舵機能付ハブユニット1は、前記キングピン角度とは別の角度(軸)の転舵軸を有する。車輪9は、ホイール9aとタイヤ9bとを備える。
<操舵機能付ハブユニット1の設置箇所>
この操舵機能付ハブユニット1は、この実施形態では操舵輪、具体的には図7に示すように、車両10の前輪9Fのステアリング装置11による操舵に付加して左右輪個別に微小な角度(約±5deg)を操舵させる機構として、懸架装置12のナックル6に一体に設けられる。但し、操舵輪の操舵機能付ハブユニット1において、車両制御の要求によっては、前記微小な角度に限らず例えば10°~20°等の比較的大きな角度を左右輪個別に採ることもある。これは、後述する図8、図9に示す操舵機能付ハブユニット1についても同様である。
図7に示すように、ステアリング装置11は、車体に取り付けられ、運転者のハンドル11aの操作、または図示外の自動運転装置、運転支援装置の指令等によって動作し、その進退するタイロッド14が、図2のユニット支持部材3のステアリング結合部6d(後述する)に連結されている。ステアリング装置11は、ラック・ピニオン式等とされるが、どのタイプのステアリング装置でも構わない。また、タイロッド14が連結する位置は、車軸よりも前方(前引き)、車軸よりも後方(後引き)等、いずれであってもよい。懸架装置12は、例えば、ショックアブソーバをナックル6に直接固定するストラット式サスペンション機構を適用しているが、ダブルウィッシュボーン式サスペンション機構、マルチリンク式サスペンション機構、その他のサスペンション機構を適用してもよい。
<ハブユニット本体2について>
図1に示すように、ハブユニット本体2は、車輪9の支持用のハブベアリング15と、転舵軸部付き円環部であるアウターリング16と、操舵力受け部であるアーム部17(図3)とを備える。図1のハブベアリング15は、内輪18と、外輪19と、これら内外輪18,19間に介在したボール等の転動体20とを有し、車体側の部材と車輪9とを繋ぐ役目をしている。
このハブベアリング15は、図示の例では、外輪19が固定輪、内輪18が回転輪となり、転動体20が複列とされたアンギュラ玉軸受とされている。内輪18は、図6に示すハブフランジ18aaを有しアウトボード側の軌道面を構成するハブ輪部18aと、インボード側の軌道面を構成する内輪部18bとを有する。図1に示すように、ハブフランジ18aaに、車輪9のホイール9aがブレーキロータ21aと重なり状態でボルト固定されている。内輪18は、回転軸心O回りに回転する。
図6に示すように、アウターリング(転舵軸部付き円環部)16は、外輪19の外周面に嵌合された円環部16aと、この円環部16aの外周から上下に突出して設けられたトラニオン軸状の転舵軸部16b,16bとを有する。上下の取付軸部である各転舵軸部16bは、転舵軸心Aに同軸に設けられる。
図2に示すように、ブレーキ21は、ブレーキロータ21aと、ブレーキキャリパ21bとを有する。ブレーキキャリパ21bは、外輪19に一体にアーム状に突出して形成された上下二箇所のブレーキキャリパ取付部22(図4)に取付けられる。
<回転許容支持部品およびユニット支持部材について>
図6に示すように、各回転許容支持部品4は転がり軸受から成る。この例では、転がり軸受として、円すいころ軸受が適用されている。転がり軸受は、転舵軸部16bの外周に嵌合された内輪4aと、ユニット支持部材3に嵌合された外輪4bと、内外輪4a,4b間に介在する複数の転動体4cとを有する。
ユニット支持部材3は、図3に示すようなユニット支持部材本体3Aと、ユニット支持部材結合体3Bとを有する。ユニット支持部材本体3Aのアウトボード側端に、略リング形状のユニット支持部材結合体3Bが着脱自在に固定されている。ユニット支持部材結合体3Bのインボード側側面のうち上下の部分には、図6に示すような、部分的な凹球面状の嵌合孔形成部3Baがそれぞれ形成されている。
図5および図6に示すように、ユニット支持部材本体3Aのアウトボード側端のうち上下の部分には、部分的な凹球面状の嵌合孔形成部3Aaがそれぞれ形成されている。ユニット支持部材本体3Aのアウトボード側端にユニット支持部材結合体3Bが固定され、各上下の部分につき、嵌合孔形成部3Aa,3Baが互いに組み合わされることにより、全周に連なる嵌合孔が形成される。この嵌合孔に外輪4bが嵌合されている。なお図3において、ユニット支持部材3を一点鎖線の網掛けで表す。
図6に示すように、各転舵軸部16bは、中空軸とされて内周孔内に雌ねじ部が径方向に延びるように形成され、この雌ねじ部に螺合するボルト23が設けられている。内輪4aの端面に円板状の押圧部材24を介在させ、前記雌ねじ部に螺合するボルト23の締付けにより、内輪4aの端面に押圧力を付与することで、各回転許容支持部品4にそれぞれ予圧を与えている。すなわち、車両の重量などの外力がハブユニットに作用した場合でも予圧が抜けないように初期予圧が設定されている。これにより各回転許容支持部品4の剛性を高め得る。なお、回転許容支持部品4の転がり軸受は、最大負荷等の条件によっては円すいころ軸受に代えてアンギュラ玉軸受または四点接触玉軸受を用いてもよい。その場合も、上記と同様に予圧を与えることができる。
図1に示すように、上下の転舵軸部16b,16bは、それぞれ回転許容支持部品4,4を介してユニット支持部材3に支持され、各回転許容支持部品4が車輪9のホイール9a内に位置する。この例では、各回転許容支持部品4が、ホイール9a内でこのホイール9aの幅方向中間付近に配置される。
図2に示すように、アーム部17は、ハブベアリング15の外輪19に補助的な操舵力を与える作用点となる部位であり、アウターリング16または外輪19の外周の一部に一体に突出する。アーム部17は、ジョイント部8を介して、操舵用アクチュエータ5の直動出力部となる出力ロッド25aに回転自在に連結されている。これにより、操舵用アクチュエータ5の出力ロッド25aが進退(直進運動)することで、ハブユニット本体2が転舵軸心A回りに回転(回転)、例えば補助操舵させられる。
<操舵用アクチュエータ5>
図2および図3に示すように、操舵用アクチュエータ5は、ハブユニット本体2を転舵軸心A(図1)回りに回転(回転)駆動させる回転駆動源としてのモータ26と、このモータ26の回転を減速する減速機27と、この減速機27の正逆の回転出力を出力ロッド25aの往復直線動作(直進運動)に変換する直動機構25とを備える。モータ26は、例えば永久磁石型同期モータとされるが、直流モータであっても、誘導モータであってもよい。
<減速機27>
減速機27は、ベルト伝達機構等の巻き掛け式伝達機構またはギヤ列等を用いることができ、図2の例ではベルト伝達機構が用いられている。減速機27は、ドライブプーリ27a,ドリブンプーリ27bと、ベルト27cとを有する。モータ26のロータ軸26bにドライブプーリ27aが結合され、直動機構25の回転自在なナット部35に、ドリブンプーリ27bが設けられている。このドリブンプーリ27bは、前記ロータ軸26bに平行に配置されている。モータ26の駆動力は、ドライブプーリ27aからベルト27cを介してドリブンプーリ27bに伝達される。前記各ドライブプーリ27a,ドリブンプーリ27bとベルト27cとで、巻き掛け式の減速機27が構成される。
<直動機構25について>
図2に示す直動機構25は、台形ねじまたは三角ねじ等の滑りねじ式の送りねじ機構を用いることができ、本実施形態では台形ねじの滑りねじを用いた送りねじ機構33が用いられている。前記滑りねじの内部には、グリースが封入されている。この直動機構25は、送りねじ機構33、回転支持軸受28と、回り止め部品43、およびこれらの構成部品を覆うアクチュエータケース34を有する。
送りねじ機構33は、ナット部35と、ねじ軸である前記出力ロッド25aと、すべり軸受37とを有する。出力ロッド25aは、回り止め部品43によってユニット支持部材3に対して回り止めされている。ナット部35は、この外周部の軸方向中間部にドリブンプーリ27bが設けられて軸方向両側の回転支持軸受28,28によりユニット支持部材3に回転自在に支持されている。このナット部35の内周に雌ねじ部(不図示)が設けられている。出力ロッド25aの外周には、ナット部35の前記雌ねじ部に噛み合う雄ねじ部(不図示)が設けられている。
ナット部35の軸方向両端には、出力ロッド25aが摺動可能に貫通するすべり軸受37,37が設けられている。各すべり軸受37は、出力ロッド25aの軸方向の移動をガイドすると共に、タイヤ側からの外力が出力ロッド25aに入力された場合、出力ロッド25aにラジアル方向の力が負荷されることを防止する。
回転支持軸受28として、この例では、二個の円すいころ軸受が、ドリブンプーリ27bを介して、正面合わせで組み合わされている。これらの回転支持軸受28,28の配置は、背面合わせ、正面合わせのどちらでもよいが、組付け性やシム等による予圧調整の容易さより、正面合わせの配置が好ましい。なお、回転支持軸受28をアンギュラ玉軸受としてもよい。この場合にも、回転支持軸受28,28の配置は、背面合わせ、正面合わせのどちらでもよい。
また図2に示すように、回り止め部品43は、出力ロッド25aの後端部であるインボード側端部に設けられた軸状部材である。この回り止め部品43は、出力ロッド25aのインボード側端部において、例えば、上下方向および出力ロッド25aの軸方向にそれぞれ直交する方向に延びるように、出力ロッド25aに貫通状に嵌合固定されている。回り止め部品43の外周における軸方向両端部には、環状のすべり軸受(不図示)が嵌合されている。
直動機構25は、前記台形ねじの滑りねじを用いた送りねじ機構を備えるため、タイヤ9bからの逆入力の防止効果を高め得る。モータ26、減速機27および直動機構25を備えた操舵用アクチュエータ5は、サブアセンブリとして組み立てられてケース6bにボルト等により着脱自在に取り付けられる。本実施形態の操舵用アクチュエータ5は、モータ26、減速機27および直動機構25を備えているが、減速機が省略される場合もある。つまりモータ26の駆動力を、減速機を介さず直接に直動機構25へ伝達する機構も可能である。また、直動機構25には、本実施形態に示す台形ねじの他、ボールねじまたはラックアンドピニオン機構等、回転運動を直動運動に変換可能な機構が使用できる。
車輪9の角度をより正確に制御するためには、モータ26の回転角度と直動機構25の位置を把握することが求められる。そこでこの操舵機能付ハブユニット1には、以下の位置センサ、角度センサが設けられている。
<位置センサ>
図2に示すように、前記アクチュエータケース34には、直動機構25の位置を検出する位置センサ44が設けられている。位置センサ44は、出力ロッド25aの軸方向の移動量を検出(監視)し位置センサ値として出力可能である。位置センサ44は、磁気式、光学式、静電容量式等の各種のセンサを用いることができるが、この実施形態では、磁気センサが用いられている。アクチュエータケース34内に固定された基板(不図示)に、位置センサ44が固定される。したがって、位置センサ44は、出力ロッド25aの進退に伴う前記永久磁石の磁場の変化を読み取り、出力ロッド25aの進退位置を検出する。なお前記ボルトを省略して回り止め部品43に直接永久磁石を固定してもよい。
<角度センサ>
図2に示すように、モータ26のモータケース26aには、前記モータ26の回転角度を検出し二以上の角度センサ値を出力可能な角度センサ54が設けられている。角度センサ54は、基板(不図示)を介してモータケース26aに固定されている。モータ26のロータ軸26bのインボード側端部には、このロータ軸26bと一体で回転する角度センサ用測定ターゲットとなる永久磁石が固定されている。角度センサ54と永久磁石とは所定のアキシアルギャップを隔てて互いに対向する。磁気センサである角度センサ54は、前記ロータ軸26bの回転に伴う前記永久磁石の磁場の変化を読み取り、モータ26の回転角度を検出する。なお角度センサ54は、前述のアキシアルギャップ型の磁気センサに限定されるものではなく、いわゆるラジアルギャップ型の磁気センサを適用することも可能である。
<その他の機構的構成>
図2に示すように、ケース6bは、ユニット支持部材3の一部として、ユニット支持部材本体3Aに一体に形成されている。ケース6bは、有底筒状に形成され、モータ26を支持するモータ収容部と、直動機構25を支持する直動機構収容部が設けられている。前記モータ収容部には、モータ26をケース内所定位置に支持する嵌合孔が形成されている。前記直動機構収容部には、直動機構25をケース内所定位置に支持する嵌合孔、および出力ロッド25aの進退を許す貫通孔等が形成されている。
図3に示すように、ユニット支持部材本体3Aは、前記ケース6b、ショックアブソーバの取り付け部となるショックアブソーバ取り付け部6c、およびステアリング装置11(図2)の結合部となるステアリング装置結合部6dを有する。これらショックアブソーバ取り付け部6cおよびステアリング装置結合部6dも、ユニット支持部材本体3Aに一体に形成されている。ユニット支持部材本体3Aの外表面部における上部に、ショックアブソーバ取り付け部6cが突出するように形成されている。ユニット支持部材本体3Aの外表面部における側面部には、ステアリング装置結合部6dが突出するように形成されている。
<制御系について>
図2に示すように、操舵機能付ハブユニット1の操舵用アクチュエータ5を制御する前出の制御装置29は、操舵制御部30と、アクチュエータ駆動制御部31とを有する。操舵制御部30は、上位制御部32から与えられた補助操舵角指令信号(操舵角指令信号)に応じた電流指令信号を出力する。上位制御部32は操舵制御部30の上位の制御手段であり、この上位制御部32として、例えば、車両全般を制御する電気制御ユニット(Vehicle Control Unit,略称VCU)が適用される。アクチュエータ駆動制御部31は、例えば後述の三相の電源線を経由して、操舵制御部30から入力された電流指令信号に応じた電流を出力し、操舵用アクチュエータ5を駆動制御する。すなわちアクチュエータ駆動制御部31は、モータ26のコイルに供給する電力を制御する。このアクチュエータ駆動制御部31は、例えば、スイッチング素子を用いたブリッジ回路(図10)を構成し、前記スイッチング素子のON-OFFデューティ比によりモータ印加電圧を決定するPWM制御を行う。これにより、運転者のハンドル操作による操舵に付加して、車輪9を微小に角度変化することができる。直線走行時にも、それぞれの場面に合わせてトー角の量を調整し得る。よって、運動性能および燃費向上を達成しうる。なお操舵システムは、運転者のハンドル操作に代えて、図示外の自動運転装置、運転支援装置の指令等によって操舵用アクチュエータ5,5を動作させてもよい。
図10に、三相の電源線PWaにより操舵用アクチュエータ5のモータ26を駆動制御するアクチュエータ駆動制御部31を示す。具体的には、電源線PWaに短絡ブレーキを用いた本実施形態のモータ26の入力側を示す結線図である。モータ26の入力側には、6個のスイッチング素子で構成されているブリッジ回路(インバータ回路)INVが接続されている。ブリッジ回路INVは、直流電源Eから見て、+側(High側)の電線Hiに接続されたスイッチング素子Q1,Q2,Q3と、-側(Low側)の電線Loに接続されたスイッチング素子Q4,Q5,Q6とを含む。なお、スイッチング素子Q1,Q4は、U相の電源線PWuに、スイッチング素子Q2,Q5は、V相の電源線PWvに、スイッチング素子Q3,Q6は、W相の電源線PWwに接続されている。
また、本実施形態のモータ26の入力側のU相とV相との間、および、V相とW相との間には、各々、コイルCol1、Col2を有してコイル印加電圧が印加されとき接点Cnt1,Cnt2を開く(オフ状態)b接点方式のリレー1REL1、およびリレー2REL2が各々接続されている。よって、通常時(正常時)は、リレー1REL1、リレー2REL2の各コイルCol1、Col2には、電源Eから電力供給されているため、接点Cnt1,Cnt2はオフ状態である。モータの異常発生時、特に、電源Eを失陥した場合には、リレー1REL1、リレー2REL2の各コイルCol1、Col2への電源からの電力供給が失われるため、接点Cnt1,Cnt2はオン状態(接点閉状態または導通状態)となり、モータ26に上記短絡ブレーキが発生する。なお、電源失陥した場合でなくても、電源Eからの電力供給を停止することで、接点Cnt1,Cnt2をオン状態とでき、モータ26に上記短絡ブレーキを発生しうる。リレー1REL1とリレー2REL2とで、リレー回路RELAを構成する。なおリレー1REL1、およびリレー2REL2は、各々半導体素子を含むリレーであってもよい。またリレー1REL1およびリレー2REL2は、1つのコイルと2つの接点を有する1つの部品で構成されていてもよい。本実施形態では、U-V間とV-W間にリレーを設けているが、V-W間とW-U間、W-U間とU-V間にリレーを設けてもよい。また本実施形態では、リレー回路RELAが動作するとは、リレー1REL1およびリレー2REL2が各々、接点Cnt1,Cnt2においてオン状態となることである。
図11に、本発明のリレー回路RELAの動作を含めたモータ26における短絡ブレーキ作動までのフローチャートを示す。車両の走行中、電源が正常であるか否か判断される(S1)。 電源が正常である場合(S1でYes)に例えばセンサの異常、制御装置の異常、またはモータの異常等のシステム異常が発生すると(S2でYes)、High側のスイッチング素子Q1~Q3を全てオフとし、Low側のQ4~Q6を全てオンにする(S3)。これにより、U相、V相、W相の相間が(Low側で)短絡され(S6)、発電作用によってモータ26の回転を妨げる方向にモータへトルクがかかり、短絡ブレーキが作動する(S7)。なお、High側のスイッチング素子Q1~Q3を全てオンとし、Low側のQ4~Q6を全てオフとしてもよいが、感電等の面からLow側を全てオンとする短絡が好ましい。
一方で、上記モータ異常のシステム異常等の原因で電源失陥した場合(電源異常。S1でNo)、モータ入力側のU-V相間、およびV-W相間に接続した各リレーREl1、REL2のコイルへの電力供給が断たれ(S4)、b接点方式のリレー1REL1、およびリレー2REL2の接点がオンする(S5)。これによって、UVWの三相間が短絡され(S6)、発電作用によってモータ26の回転を妨げる方向にモータへトルクがかかり、短絡ブレーキが作動する(S7)。なお、リレー1REL1、リレー2REL2は、電源が復帰した場合にオフとなりUVWの三相間短絡が解除される。また、High側のスイッチング素子Q1~Q3がオフ状態、Low側のQ4~Q6がオン状態となっている場合は、システム復帰時にリセット信号により解消され、UVWの三相間短絡が解除される。
図12に本実施形態の電源失陥時の動作を示す。タイヤ角度が指令位置(指令角度)へ遷移している場合に(a)、時刻Tbに上記モータ異常のシステム異常等により電源が失陥した場合(b)、モータの回転を停止する側に促進する外力を発生させる電流が流れず、本実施形態の短絡ブレーキが適用されていない場合、モータは惰性で回転してしまい、異常発生角度(b)から(c)で示す波形の角度まで大きくオーバーシュートする。一方、本実施形態の短絡ブレーキが適用されている場合、b接点方式のリレー1REL1、およびリレー2REL2の接点がオンすることでUVWの三相間が短絡された結果モータ26の回転を妨げる方向にモータへトルクがかかり、モータが電気的に停止する(短絡ブレーキ作動)。これにより、異常発生角度(b)から(d)で示す波形の角度で停止することができる。
なお、上記モータ異常のシステム異常等が発生したが、電源失陥しなかった場合も、High側のスイッチング素子Q1~Q3を全てオフとし、Low側のQ4~Q6を全てオンにすることで、U相、V相、W相の相間が(Low側で)短絡されるので、図12と同様の効果を奏することができる。この様に、システム異常の際、スイッチング素子およびリレーの両方を採用する短絡ブレーキ作動を行うことで、予期しない電源欠陥時にも短絡ブレーキを作動することが可能となる。
<作用効果>
本実施形態の操舵システムでは、操舵機能付ハブユニット1は、車輪を回転支持するハブベアリング15を有するハブユニット本体2とユニット支持部材3と操舵用アクチュエータ5を備え、前記ハブユニット本体2は、上下方向に延びる転舵軸の軸心回りに回転自在に回転許容支持部品を介して前記ユニット支持部材3に支持され、操舵用アクチュエータ5の駆動により前記転舵軸の軸心回りに回転(回転)させられる。この構成を前輪に適用した場合、ステアリング装置により運転者のハンドル操作で、車輪はナックルおよびユニット支持部材3とともに操舵されるが、この操舵に付加する形で転舵軸の軸心A回りに僅かな角度等の所定角度の転舵を車輪毎に独立して行える。また、この構成を後輪に適用した場合は、転舵機能により、前輪と同様に僅かな角度の転舵を車輪毎に独立して行える。後輪に適用した場合は、舵角を前輪と同じ位相にすると、転舵時に発生するヨーを抑え、車両の安定性を高めることができる。さらに、直線走行時にも左右独立でトー角度を調整することで、走行安定性を確保することができる。
上述のように、前記操舵用アクチュエータ5により、ハブユニット本体2を転舵軸の軸心A回りに一定の範囲で自由に回転させることができ、車両の走行状況に応じて、例えば車輪のトー角を任意に変更することができる。また、旋回走行時に、走行速度に応じて左右輪の操舵角の舵角差を変えることができる。例えば、高速域の旋回走行においてはパラレルジオメトリとし、低速域の旋回走行においてはアッカーマンジオメトリとする等、走行中にステアリングジオメトリを変化させることができる。このように走行中に車輪角度を自由に変更することができるため、車両の運動性能を向上させ、安定に走行することが可能となる。さらに、左右の操舵輪の操舵角度を適切に変えることで、旋回走行における車両の旋回半径を小さくし、小回り性能を向上させることもできる。さらに直線走行時にも、それぞれの場面に合わせてトー角度の量を調整することで、低速時にはタイヤをまっすぐに向け抵抗を小さくし燃費を悪化させることなく、高速時にはタイヤ角度をトーインとし走行安定性を確保するなど調整が可能である。
また本実施形態では、操舵用アクチュエータ5のモータ26に、ブリッジ回路(インバータ回路)を構成するスイッチング素子のHigh側またはLow側の全てをオンまたはオフとする短絡ブレーキ、またリレーの短絡による短絡ブレーキを採用する。本実施形態の短絡ブレーキを採用することで、操舵機能付ハブユニット1は、システム異常時にモータを停止させた際に、モータ回転の自然停止では車輪が機械の可動範囲を超えて動作してしまう場合に、これによる破損を防ぐことが可能になる。
<非操舵輪への適用について>
操舵機能付ハブユニット1は、非操舵輪に対して用いてもよい。例えば、図8に示すように、前輪操舵の車両において、後輪9Rを支持する懸架装置12Rの車輪用軸受設置部となる足回りフレーム部品6Rに設定し、後輪操舵に用いてもよい。非操舵輪の操舵機能付ハブユニット1において、車両制御の要求によっては、前述の微小な操舵角度に限らず例えば10°~20°等の比較的大きな角度を左右輪個別に採ることもある。その他図9に示すように、操舵機能付ハブユニット1を、操舵輪である左右の前輪9F,9Fおよび非操舵輪である左右の後輪9R,9Rにそれぞれ用いてもよい。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…操舵機能付ハブユニット、2…ハブユニット本体、3…ユニット支持部材、5…操舵用アクチュエータ、6…ナックル(足回りフレーム部品)、9…車輪、9F…前輪、9R…後輪、15…ハブベアリング、25…直動機構、25a…出力ロッド、26…モータ、29…制御装置、30…操舵制御部、31…アクチュエータ駆動制御部、32…上位制御部、44…位置センサ、54…角度センサ、INV…ブリッジ回路(インバータ回路)、PWa…三相の電源線、Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6…スイッチング素子、REL1、REL2…リレー、RELA…リレー回路

Claims (6)

  1. 車輪を回転支持するハブベアリングを有するハブユニット本体、懸架装置の足回りフレーム部品に設けられ前記ハブユニット本体を上下方向に延びる転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材、および前記ハブユニット本体を前記転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータを有する操舵機能付ハブユニットを備え、
    前記操舵用アクチュエータは、モータと、このモータの回転出力を出力ロッドの直進運動に変換する直動機構とを有し、前記出力ロッドが進退することで、前記ハブユニット本体が前記転舵軸心回りに回転駆動される、
    操舵システムであって、
    三相の電源線を経由して前記操舵用アクチュエータの前記モータが、入力された電流指令信号に応じた電流を出力するように、前記モータを駆動制御するアクチュエータ駆動制御部と、
    前記電源線の三相のうちの少なくともいずれか二相を短絡させるリレー回路を備え、
    前記操舵用アクチュエータの前記モータの異常発生時に、前記リレー回路を動作させる、操舵システム。
  2. 請求項1に記載の操舵システムにおいて、前記リレー回路に半導体素子を含むリレーが使用される、操舵システム。
  3. 請求項1に記載の操舵システムにおいて、前記リレー回路のリレーが1つのコイルと、2つの接点を有する、操舵システム。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の操舵システムにおいて、
    前記アクチュエータ駆動制御部は、複数のスイッチング素子を有し、該複数のスイッチング素子のオンオフ動作により、前記操舵用アクチュエータの前記モータを駆動制御し、
    前記操舵用アクチュエータの前記モータの異常発生時に、電源を失陥した場合には、前記リレー回路を動作させ、電源を失陥していない場合には、前記複数のスイッチング素子のうちのLow側をすべてオン動作させ、High側をすべてオフ動作させる、操舵システム。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の操舵システムにおいて、前記操舵機能付ハブユニットの前記操舵用アクチュエータを制御する制御装置を備え、前記制御装置は、与えられた操舵角指令信号に応じた電流指令信号を出力する操舵制御部と、この操舵制御部から入力された前記電流指令信号に応じた電流を出力して前記操舵用アクチュエータを駆動制御する前記アクチュエータ駆動制御部とを有する、操舵システム。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の操舵システムを備えた車両であり、前記操舵機能付ハブユニットを用いて前輪および後輪のいずれか一方または両方が支持された、車両。
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