JP2023050103A - 荷重センサ、電動ブレーキシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】荷重を受ける面に偏荷重がかかる場合、荷重を受ける面に直交する方向の荷重を精度良く検出可能な荷重センサを提供すること。【解決手段】荷重を受ける荷重面714aを有し、荷重面が荷重を受けることによって変形する筐体71と、荷重面に受ける荷重によって筐体が変形する際に、筐体における複数の部位の第1方向DRxの歪み量である第1歪み量および筐体における複数の部位の第2方向DRyの歪み量である第2歪み量を検出する歪み検出部72と、歪み検出部が検出する複数の部位の第1歪み量とおよび複数の部位の第2歪み量に基づいて、荷重面が受ける荷重のうち、荷重面に交差する第3方向DRzにかかる面直交荷重Fzを求める荷重演算部722と、を備えた荷重センサ。【選択図】図6

Description

本開示は、荷重センサおよび当該荷重センサを備えた電動ブレーキシステムに関する。
従来、起歪体と、起歪体よりも受圧方向に突出する2つの受圧突起と、それぞれの受圧突起が受ける応力を測定する歪センサとを備える荷重センサおよび当該荷重センサを用いた電動ブレーキが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この電動ブレーキは、外部のコントローラから送信される制御信号に基づいて動作する電動モータ、電動モータの回転運動をピストンの直進運動に変換する直動機構、電動モータからの駆動力によって直進運動するピストン、ブレーキパッド、ディスク等を備える。外部のコントローラは、運転手の操作ペダルの操作量に基づいて電動モータの回転数を算出し、算出した回転数に応じた制御信号を電動モータに送信して電動モータを回転させる。電動ブレーキは、電動モータを駆動源としてピストンを直進させてブレーキパッドをディスクに押し当て、ディスクに必要な制動力を発生させる。
また、この電動ブレーキにおいて、荷重センサは、ブレーキパッドがディスクを押し当てられる際に2つの受圧突起の上面が直動機構に押圧される。これにより、2つの受圧突起それぞれに対応する位置に配置された歪センサが変形する。荷重センサは、2つの歪センサの歪み量に基づいてブレーキパッドがディスクを押圧する際の荷重を検出し、検出した荷重に応じた検出信号を外部のコントローラに送信する。外部のコントローラは、荷重センサから送信される検出信号に基づいて電動ブレーキのフィードバック制御を行う。
特開2020-51817号公報
ところで、特許文献1に記載のような直進するピストンがブレーキパッドを押圧する電動ブレーキシステムにおいて、ブレーキパッドが偏摩耗している場合、ブレーキパッドにおけるディスクを押圧する当接面に偏荷重が生じる。すると、ブレーキパッドがディスクを押圧する荷重には、ピストンが直進する方向の荷重だけでなく、ピストンが直進する方向以外の方向の荷重が含まれることになる。
このため、電動モータを所定の回転数で回転させる際に、ブレーキパッドが偏摩耗している場合と偏摩耗していない場合とでブレーキパッドがディスクを押圧する荷重が異なる。すなわち、電動モータを所定の回転数で回転させても、ブレーキパッドが偏摩耗している場合と偏摩耗していない場合とで電動ブレーキの制動力が変化する。
したがって、電動ブレーキシステムのフィードバック制御を行うにあたり、ブレーキパッドが偏摩耗している場合において、ブレーキパッドがディスクを押圧する際の偏荷重を精度良く検出する必要がある。特に、ブレーキパッドがディスクを押圧する際に発生する偏荷重のうち、ブレーキパッドをディスクに押し当てる方向、すなわち、ピストンが直進する方向の荷重を精度良く検出する必要がある。
これに対して、特許文献1に記載の荷重センサは、2つの受圧突起の上面に偏荷重がかかる場合、2つの歪センサそれぞれの歪量を平均化した値に基づいて当該偏荷重を検出することでブレーキパッドがディスクを押圧する際の偏荷重を検出する。
しかし、発明者の鋭意検討によれば、特許文献1に記載の荷重センサにおいて、2つの歪センサそれぞれの歪量を平均化して偏荷重を求める方法では、荷重センサにかかる偏荷重を精度良く検出することが難しいことが分かった。具体的に、特許文献1に記載の荷重センサでは、荷重を受ける受圧突起の上面に偏荷重が掛かる場合、当該荷重を受ける面に直交する方向の荷重成分を精度良く検出することができない虞があることが分かった。このため、特許文献1に記載の荷重センサを電動ブレーキシステムに用いても、ピストンが直進する方向の荷重を精度良く検出することが難しい。そして、ピストンが直進する方向の荷重を精度良く検出することができない場合、ブレーキパッドがディスクを押圧する際の荷重に対応させて電動ブレーキの制動力を調整することが難しい。
本開示は、荷重を受ける面に偏荷重がかかる場合、荷重を受ける面に直交する方向の荷重を精度良く検出可能な荷重センサおよび当該荷重センサを備えた電動ブレーキシステムを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、
荷重を検出する荷重センサであって、
荷重を受ける荷重面(714a)を有し、荷重面が荷重を受けることによって変形する筐体(71)と、
荷重面に沿う方向を第1方向(DRx)、荷重面に沿う方向、且つ、第1方向に交差する方向を第2方向(DRy)としたとき、荷重面に受ける荷重によって筐体が変形する際に、筐体における複数の部位の第1方向の歪み量である第1歪み量および筐体における複数の部位の第2方向の歪み量である第2歪み量のうち、少なくとも一方の歪み量を検出する歪み検出部(72)と、
歪み検出部が検出する複数の部位の第1歪み量および複数の部位の第2歪み量のうち、複数の部位の少なくとも一方の歪み量に基づいて、荷重面が受ける荷重のうち、荷重面に交差する第3方向(DRz)にかかる面直交荷重(Fz)を求める荷重演算部(722)と、を備えている。
また、請求項2に記載の発明は、
荷重を検出する荷重センサであって、
荷重を受ける荷重面(714a)を有し、荷重面が荷重を受けることによって変形する筐体(71)と、
荷重面に沿う方向を第1方向(DRx)、荷重面に沿う方向、且つ、第1方向に交差する方向を第2方向(DRy)としたとき、荷重面に受ける荷重によって筐体が変形する際に、筐体における複数の部位の第1方向の歪み量である第1歪み量および筐体における複数の部位の第2方向の歪み量である第2歪み量を検出する歪み検出部(72)と、
歪み検出部が検出する複数の部位の第1歪み量および複数の部位の第2歪み量に基づいて、荷重面が受ける荷重のうち、荷重面に交差する第3方向(DRz)にかかる面直交荷重(Fz)を求める荷重演算部(722)と、を備えている。
これによれば、荷重センサは、荷重面に偏荷重が付与される場合であっても、歪み検出部が検出する複数の部位の第1歪み量および複数の部位の第2歪み量のうち、少なくとも一方の歪み量に基づいて、荷重面に直交する面直交荷重を精度良く検出することができる。
また、請求項10に記載の発明は、
請求項1または2に記載の荷重センサと、
ブレーキペダル(P)と、
ブレーキロータ(R)と、
ブレーキロータに制動力を発生させる摩擦材(41、51)と、
摩擦材をブレーキロータに押圧させるピストン(30)と、
回転力を出力する電動モータ(61)と、
電動モータが出力する回転力によって回転軸心(SC)を中心に回転する回転軸(631)を有し、電動モータが出力する回転力を変換して、ピストンが摩擦材を回転軸心の軸心方向に向けてブレーキロータに押圧するための駆動力を出力する運動変換機構(63)と、
ブレーキペダルの開度量に基づいて摩擦材がブレーキロータを押圧する際の目標の荷重である目標ブレーキ荷重を決定するとともに、決定した目標ブレーキ荷重に基づいて電動モータの回転数を制御する制御装置(80)と、を備え、
荷重センサは、第3方向が軸心方向に沿うように運動変換機構に取り付けられており、運動変換機構の駆動力によってピストンが摩擦材を押圧する際に、運動変換機構に発生する反力を荷重面に受けることで、摩擦材がブレーキロータを軸心方向に押圧する際の面直交荷重を求め、
制御装置は、荷重センサが求める面直交荷重が目標ブレーキ荷重に近づくように電動モータの回転数を制御する電動ブレーキシステムである。
これによれば、摩擦材が偏摩耗することによってブレーキ荷重が荷重面に交差する第3方向以外の方向成分の荷重を含む場合であっても、荷重センサによってブレーキ荷重における第3方向に沿う方向の反力である面直交荷重を検出することができる。
したがって、摩擦材の偏摩耗に起因してブレーキ荷重が目標ブレーキ荷重からずれる場合であっても、荷重センサが検出する面直交荷重を用いて電動モータの制御を行うことで、ブレーキ荷重を目標ブレーキ荷重に近付けることができる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係る電動ブレーキシステムの概略構成図である。 第1実施形態に係るキャリパの断面図である。 第1実施形態に係る荷重センサの上面図である。 図3のIV-IV断面図である。 第1実施形態に係る荷重算出部の概略構成図である。 第1実施形態に係る電動ブレーキシステムのシステムブロック図である。 第1実施形態に係る荷重センサに偏荷重が付与された状態を示す図である。 第1実施形態に係る荷重センサに偏荷重を付与した実験における径方向荷重を示す図である。 第1実施形態に係る荷重センサに偏荷重を付与した実験における直交方向荷重を示す図である。 第1実施形態に係る荷重センサに偏荷重を付与した実験における軸方向荷重を示す図である。 比較用荷重センサに係る図3に相当する図である。 比較用荷重センサに偏荷重を付与した実験における径方向荷重を示す図である。 比較用荷重センサに偏荷重を付与した実験における直交方向荷重を示す図である。 比較用荷重センサに偏荷重を付与した実験における軸方向荷重を示す図である。 第1実施形態に係る荷重センサに偏荷重を付与した実験における荷重ベクトルを示す第1の図である。 第1実施形態に係る荷重センサに偏荷重を付与した実験における荷重ベクトルを示す第2の図である。 第1実施形態に係る荷重センサに偏荷重を付与した実験における荷重ベクトルを示す第3の図である。 第1実施形態に係る荷重センサに偏荷重を付与した実験における荷重ベクトルを示す第4の図である。 第1実施形態に係る荷重センサに偏荷重を付与した実験における荷重ベクトルを示す第5の図である。 第1実施形態に係る荷重センサに偏荷重を付与した実験における荷重ベクトルを示す第6の図である。 第1実施形態に係る荷重センサが検出する軸方向荷重と電動モータの回転数との関係を示す図である。 第1実施形態に係る摩擦材が摩耗していない状態の荷重の大きさを示す図である。 第1実施形態に係る摩擦材が偏摩耗している状態の荷重の大きさを示す図である。 第1実施形態に係る制御装置がフィードバック制御を行う際の制御フローを示す図である。 第1実施形態に係る摩擦材の状態に応じて変化する荷重の大きさを示す図である。 第1実施形態に係る摩擦材の摩耗量に応じて変化するモータ回転数と荷重乖離量を示す図である。 第1実施形態に係る摩擦材の摩耗量と荷重乖離量との関係を示す図である。 第1実施形態に係る目標回転数と荷重乖離量との関係を示す図である。 第1実施形態に係る摩擦材の傾きに応じて変化する荷重乖離量を示す図である。 第1実施形態に係る摩擦材の欠損範囲に応じて変化する荷重乖離量を示す図である。 第1実施形態に係る制御装置が摩擦材の摩耗量および摩耗状態の検出を行う際の制御フローを示す図である。 第2実施形態に係る荷重センサの断面図である。 第2実施形態に係る荷重センサが荷重を受けた状態を示す図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
第1実施形態について図1~図31に基づいて説明する。本開示では、荷重センサ70が図1および図2に示す電動ブレーキシステム1に適用される実施形態について説明する。図1および図2に示すように、本実施形態の電動ブレーキシステム1は、ブレーキペダルPと、不図示の車輪と一体に回転する円盤状のブレーキロータRと、ブレーキロータRの一部を跨いで配置されるキャリパ10と、制御装置80と、を備えている。本実施形態の荷重センサ70は、キャリパ10に備えられており、後述する回転軸631が回転軸心SCを中心に回転することによって後述する第1、第2ブレーキパッド40、50がブレーキロータRを押圧する際の荷重を検出する。以下では、ブレーキロータRの板厚方向をブレーキ軸方向DRbと呼ぶ。また、ブレーキ軸方向DRbのうち、一方側に向かう方向を第1ブレーキ方向DRb1、ブレーキ軸方向DRbのうち、他方側に向かう方向を第2ブレーキ方向DRb2とも呼ぶ。なお、ブレーキ軸方向DRbは軸心方向に対応する。
図2に示すように、キャリパ10は、ハウジング20と、ハウジング20に支持されたピストン30と、一対のブレーキパッド40、50と、ピストン30を移動させる移動機構60と、を備えている。
ハウジング20は、キャリパ10における各種構成機器を収容するケース部分である。ハウジング20は、図2に示すように、第1ブレーキ方向DRb1側に設けられる第1ハウジング21と、第2ブレーキ方向DRb2側に設けられる第2ハウジング22およびカバー部23とを有している。
第1ハウジング21は、第2ハウジング22に接続される接続部211と、第1ブレーキ方向DRb1の端部に設けられる爪部212を有する。接続部211は、ブレーキ軸方向DRbに沿って延伸して形成されている。また、接続部211の第1ブレーキ方向DRb1の端部には、爪部212が設けられている。そして、接続部211の第2ブレーキ方向DRb2の端部には、第2ハウジング22が固定されている。
爪部212は、接続部211が延伸する方向に直交する方向に延伸している。また、爪部212は、ブレーキロータRの第1ブレーキ方向DRb1側の面に対向する位置に配置されている。爪部212は、ブレーキロータRより第1ブレーキ方向DRb1側において、ブレーキロータRに対して間隔を空けて配置されている。爪部212には、一対のブレーキパッド40、50のうち、第1ブレーキ方向DRb1側に設けられる第1ブレーキパッド40が固定されている。
第2ハウジング22は、第1ハウジング21の接続部211に固定されたシリンダ221と、シリンダ221から延設された延設板222とを備える。
シリンダ221は、ピストン30を収容するとともに、移動機構60の回転軸631が挿通されるものである。シリンダ221は、第1ブレーキ方向DRb1側が開口し、第2ブレーキ方向DRb2側が閉塞する有底形状に形成されている。具体的に、シリンダ221は、ブレーキ軸方向DRbに沿って延びる円筒形状のシリンダ筒部221aおよびシリンダ筒部221aの第2ブレーキ方向DRb2側に連結されるシリンダ底部221bを有する。
シリンダ筒部221aは、中心軸を有し、当該中心軸が回転軸631の回転軸心SCと重なるように配置されている。すなわち、シリンダ221は、回転軸心SCを軸心とした有底円筒形状である。また、シリンダ筒部221aは、第1ブレーキ方向DRb1の端部がブレーキロータRに対して間隔を空けて配置されている。
シリンダ筒部221aは、開口している第1ブレーキ方向DRb1側からピストン30が嵌められており、ピストン30によって開口側が閉塞されている。また、シリンダ筒部221aの内周部には、ピストン30の後述するキー31eを嵌合するキー溝221cと、シリンダ筒部221aの内周部とピストン30の外周部との間に設けられるOリング223を収容する収容溝221dが形成されている。
キー溝221cは、ブレーキ軸方向DRbに沿って延伸している。キー溝221cのブレーキ軸方向DRbの大きさは、キー31eのブレーキ軸方向DRbの大きさより大きく形成されている。収容溝221dには、Oリング223が封止部材として配置されている。
シリンダ筒部221aの第2ブレーキ方向DRb2側は、シリンダ底部221bによって閉塞されている。シリンダ底部221bの中央には、ブレーキ軸方向DRbに貫通する貫通孔221eが形成されている。当該貫通孔221eには、回転軸631を回転可能且つ、ブレーキ軸方向DRbに移動不能に支持する転がり軸受224が設けられている。そして、貫通孔221eには、当該転がり軸受224によって支持された回転軸631が挿通されている。
延設板222は、移動機構60の後述する電動モータ61を取り付ける部位である。延設板222は、シリンダ底部221bに連結されている。
カバー部23は、移動機構60の後述する減速機構62を収容する収容部である。カバー部23は、第2ハウジング22の第2ブレーキ方向DRb2側の端部に設けられている。
ピストン30は、一対のブレーキパッド40、50のうち、第2ブレーキ方向DRb2側に設けられる第2ブレーキパッド50を第1ブレーキ方向DRb1に押圧するものである。ピストン30は、当該第2ブレーキパッド50を介して、ブレーキロータRの第2ブレーキ方向DRb2側の面に対向する位置に配置されている。
ピストン30は、第2ブレーキ方向DRb2側が開口し、第1ブレーキ方向DRb1側が閉塞する有底形状に形成されている。具体的に、ピストン30は、ブレーキ軸方向DRbに沿って延びる円筒形状のピストン筒部31およびピストン筒部31の第1ブレーキ方向DRb1側に連結されるピストン底部32を有する。ピストン30は、自身の中心軸が回転軸631の回転軸心SCおよびシリンダ221の中心軸に対して同軸上となる位置において、シリンダ筒部221aに収容可能に配置されている。すなわち、ピストン30は、回転軸心SCを軸心とした有底円筒形状である。
ピストン筒部31は、互いの内径が異なる小径部31b、中径部31c、大径部31dによって構成されている。具体的に、ピストン筒部31は、小径部31bと、小径部31bよりも内径が大きい中径部31cと、中径部31cとよりも内径が大きい大径部31dを有し、第2ブレーキ方向DRb2に沿って、この順に連なっている。小径部31b、中径部31c、大径部31dは、一体成型によって形成されている。小径部31b、中径部31c、大径部31dそれぞれの外径は、シリンダ筒部221aの内径に略等しく形成されている。
また、ピストン筒部31は、内部空間31aを有し、当該内部空間31aに、回転軸631の一部および後述するナット部材632が配置されている。小径部31bの第2ブレーキ方向DRb2側の面には、当該ナット部材632が固定されている。
ピストン筒部31の外周部には、シリンダ221のキー溝221cに嵌合するキー31eが形成されている。ピストン30は、当該キー31eがシリンダ221のキー溝221cに嵌合されている。これにより、ピストン30は、回転軸心SCの周方向に回転不能に構成される。
ピストン筒部31の第1ブレーキ方向DRb1側は、ピストン底部32によって閉塞されている。ピストン底部32は、シリンダ221の第1ブレーキ方向DRb1の端部より第1ブレーキ方向DRb1側に突出している。ピストン底部32の第1ブレーキ方向DRb1側の面には、第2ブレーキパッド50が固定されている。
第1ブレーキパッド40は、ブレーキロータRに対向する第1摩擦材41と、第1摩擦材41におけるブレーキロータRに対向する面とは反対側の面に配置された第1裏板42とを有している。第2ブレーキパッド50は、ブレーキロータRに対向する第2摩擦材51と、第2摩擦材51におけるブレーキロータRに対向する面とは反対側の面に配置された第2裏板52とを有している。第1摩擦材41および第2摩擦材51は、ブレーキロータRに接触する際に発生する摩擦によって制動力を発生させる部材である。
第1摩擦材41と第1裏板42とは、ブレーキ軸方向DRbに互いに重ねられてかつ互いに固定されている。第1摩擦材41は、ブレーキロータRに当接することによって制動力を発生させる第1摩擦面411を有する。また、第2摩擦材51と第2裏板52も、ブレーキ軸方向DRbに互いに重ねられてかつ互いに固定されている。第2摩擦材51は、ブレーキロータRに当接することによって制動力を発生させる第2摩擦面511を有する。
移動機構60は、運転者によってブレーキ操作がなされた際にピストン30が移動するための駆動力を出力するものである。移動機構60は、電動モータ61と、減速機構62と、運動変換機構63と、を備えている。
電動モータ61は、延設板222に取り付けられている。電動モータ61は、通電されることにより、運動変換機構63の回転軸631を回転させるための回転力を発生させる駆動発生部である。電動モータ61は、制御装置80から送信される制御信号によって回転数が制御される。電動モータ61は、減速機構62に接続されている。
減速機構62は、電動モータ61の回転速度を減速させる減速部である。減速機構62は、カバー部23に収容されている。減速機構62は、複数の歯車を有し、電動モータ61が発生させる回転力を減速して運動変換機構63に伝達する。
運動変換機構63は、電動モータ61が発生させる回転力によって回転する回転軸631と、回転軸631に取り付けられるナット部材632と、スラスト軸受633と、を有している。そして、運動変換機構63には、後述するように、荷重センサ70が取り付けられている。運動変換機構63は、減速機構62を介して伝達される電動モータ61の回転運動をナット部材632の直進運動に変換する変換機構である。
回転軸631は、第2ブレーキ方向DRb2側の端部がカバー部23内で減速機構62に連結されている。また、回転軸631は、転がり軸受224によって支持された状態でブレーキ軸方向DRbに移動不能且つ、回転軸心SCを中心に回転可能な状態でハウジング20に支持されている。そして、回転軸631は、第1ブレーキ方向DRb1側がシリンダ筒部221aの内部空間31aに収容されている。
また、回転軸631は、外周部におけるピストン30の内部空間31aに収容される部位に、ナット部材632を連結させるための雄ねじ加工が施されている。さらに、回転軸631の外周部には、雄ねじ加工が施されている部位よりも第2ブレーキ方向DRb2側に円盤状の鍔部631aが設けられている。鍔部631aは、回転軸631の外周部から回転軸631の径方向に沿って回転軸心SCから遠ざかる方向に円盤状に延びている。
鍔部631aの第2ブレーキ方向DRb2側の面とシリンダ底部221bの第1ブレーキ方向DRb1側の面との間には、スラスト軸受633および荷重センサ70が、第2ブレーキ方向DRb2に沿って、この順に配置されている。すなわち、荷重センサ70は、スラスト軸受633とシリンダ底部221bとによって挟持されている。なお、スラスト軸受633および荷重センサ70は、第1ブレーキ方向DRb1に沿って、この順に、鍔部631aの第2ブレーキ方向DRb2側の面とシリンダ底部221bの第1ブレーキ方向DRb1側の面との間に配置されてもよい。
スラスト軸受633は、回転軸631が貫通して配置されている。スラスト軸受633は、例えば、スラストニードル軸受によって構成されている。スラスト軸受633は、回転軸631に負荷されるブレーキ軸方向DRbの荷重を支持する。なお、スラスト軸受633は、スラストころ軸受や、スラスト玉軸受で構成されていてもよい。
ナット部材632は、回転軸631の回転によって直進運動を行う直動部材である。ナット部材632は、ブレーキ軸方向DRbにおける両側が開口された中空円筒状に形成されている。ナット部材632は、ピストン30の内部空間31aに収容されている。ナット部材632は、ピストン30によって、回転軸心SCを中心に回転不能に支持されている。ナット部材632の第1ブレーキ方向DRb1側の面は、ピストン筒部31における小径部31bの第2ブレーキ方向DRb2側の面に固定されている。
また、ナット部材632の外周部には、フランジ部632aが設けられている。当該フランジ部632aの外周部は、ピストン筒部31における大径部31dの内周部に当接している。
また、ナット部材632の内周部には、回転軸631の雄ねじ加工に対応する雌ねじ加工が施されている。そして、ナット部材632は、ナット部材632の雌ねじと回転軸631の雄ねじとが嵌め合わされて連結されており、回転軸631が回転することでブレーキ軸方向DRbの一方側および他方側に直進可能に構成されている。
具体的に、ナット部材632は、回転軸631が回転軸心SCを中心とした周方向の一方側に回転すると第1ブレーキ方向DRb1に直進し、回転軸631が当該周方向の他方側に回転すると第2ブレーキ方向DRb2に直進可能に構成されている。以下では、ナット部材632を第1ブレーキ方向DRb1に直進させるための回転軸631の回転方向を正転方向といい、ナット部材632を第2ブレーキ方向DRb2に直進させるための回転軸631の回転方向を逆転方向という。
このように構成されるナット部材632は、回転軸631が正転方向に回転する際に、第1ブレーキ方向DRb1側に直進してピストン30を第1ブレーキ方向DRb1側に移動させる。ピストン30のブレーキ軸方向DRbの移動量は、回転軸631の回転数、すなわち、電動モータ61の回転数によって変化する。換言すれば、ピストン30が第1ブレーキ方向DRb1側に直進する際のピストン30の位置は、電動モータ61の回転数によって決定される。
また、ピストン30が第1ブレーキ方向DRb1側に移動して第2ブレーキパッド50に当接すると、ピストン30は、第2ブレーキパッド50を第1ブレーキ方向DRb1に押圧する。これにより、第2ブレーキパッド50の第2摩擦材51は、第2摩擦面511がブレーキロータRに押し当てられる。
そして、第2ブレーキパッド50の第2摩擦材51がブレーキロータRに押し当てられた際の反作用として、回転軸631が第1ハウジング21を第2ブレーキ方向DRb2側に移動させる。これにより、第1ブレーキパッド40に取り付けられた第1摩擦材41の第1摩擦面411が爪部212によってブレーキロータRに押し当てられる。
このように、運動変換機構63は、電動モータ61が出力する回転力をピストン30が直進する直進力に変換する。そして、運動変換機構63は、第2摩擦材51をブレーキ軸方向DRbに向けてブレーキロータRに押圧するための駆動力を出力する。その結果、第1摩擦材41および第2摩擦材51は、ブレーキロータRに制動力を発生させる。
このとき、回転軸631には、ピストン30およびナット部材632を介して第2ブレーキパッド50がブレーキロータRを押圧する力に対する反力が付与される。さらに、回転軸631には、第1ハウジング21を介して、第1ブレーキパッド40がブレーキロータRを押圧する力に対する反力も付与される。これらの反力は、ピストン30が直進する方向の反対方向、すなわち第2ブレーキ方向DRb2に向けて回転軸631に付与される。そして、回転軸631に付与される第2ブレーキパッド50がブレーキロータRを押圧する力に対する反力および第1ブレーキパッド40がブレーキロータRを押圧する力に対する反力はスラスト軸受633に伝達される。以下、第1ブレーキパッド40および第2ブレーキパッド50がブレーキロータRを押圧する力をブレーキ荷重、ブレーキ荷重に対する反力をブレーキ反力とも呼ぶ。
荷重センサ70は、ブレーキ反力を検出するセンサである。荷重センサ70には、ブレーキ反力が回転軸631からスラスト軸受633を介して伝達される。荷重センサ70は、荷重センサ70に付与されるブレーキ反力に関する検出信号を制御装置80に出力する。荷重センサ70の詳細については後述する。
制御装置80は、CPU、ROMやRAM等の記憶部を含んで構成されるマイクロコンピュータ、およびその周辺回路から構成されている。制御装置80は、入力側に不図示のストロークセンサおよび荷重センサ70が接続されており、出力側に電動モータ61が接続されている。ストロークセンサは、運転者によってブレーキペダルPが操作された際のペダル開度量を検出するものである。
制御装置80は、ストロークセンサから送信される検出信号に基づいて、運転者によってブレーキペダルPが操作された際のペダル開度量を検出し、当該ペダル開度量に基づいて電動モータ61の回転数を制御するものである。また、制御装置80は、ブレーキ反力に関する検出信号を荷重センサ70から受信し、当該検出信号に基づいて電動モータ61のフィードバック制御を行う。
さらに、制御装置80は、荷重センサ70からの検出信号に基づいて、第1摩擦材41および第2摩擦材51の摩耗量と、第1摩擦面411および第2摩擦面511の状態とを検出可能に構成されている。制御装置80の作動の詳細については後述する。なお、制御装置80のROMおよびRAM等の記憶部は、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
続いて、荷重センサ70について図1~図5を参照して説明する。荷重センサ70は、スラスト軸受633を介して伝達される反力によって変形する筐体71および筐体71が変形する際の歪み量を検出し、歪み量に基づいて荷重センサ70に付与される荷重を求める荷重算出部72を有する。
筐体71は、図2および図3に示すように、ブレーキ軸方向DRbに沿って延びる中心軸CLを有する円環形状であって、中心軸CLに沿って形成される貫通穴73を有している。筐体71は、自身の中心軸CLが回転軸631の回転軸心SCおよびピストン30の中心軸に対して同軸上となる位置に配置されており、貫通穴73に回転軸631が挿通されている。
また、筐体71は、図4の断面図に示すように、内部に空間Sを有する中空形状であって、当該空間Sを囲む外壁部711を有する。具体的に、外壁部711は、中心軸CLに対向する内周部712と、内周部712より中心軸CLの径方向外側において、空間Sを囲む外周部713と、を有する。また、外壁部711は、内周部712および外周部713の第1ブレーキ方向DRb1側に連なり、スラスト軸受633に対向する荷重受部714を有する。さらに、外壁部711は、内周部712および外周部713の第2ブレーキ方向DRb2側に連なり、シリンダ底部221bに対向するセンサ底部715を有する。
すなわち、空間Sは、内周部712と、外周部713と、荷重受部714と、センサ底部715とによって囲まれている。内周部712、外周部713、荷重受部714およびセンサ底部715は、一体成型で形成されている。
そして、荷重受部714は、中心軸CLの径方向に沿って平面状に延び、スラスト軸受633に当接する荷重面714aを有する。荷重面714aは、中心軸CLに直交する平面で形成される。荷重面714aは、スラスト軸受633から伝達される荷重、すなわちブレーキ反力を受ける面である。
以下、図3および図4に示すように、荷重センサ70の中心軸CLが延びる方向を荷重軸方向DRz、荷重センサ70の中心軸CLの径方向を荷重径方向DRx、荷重軸方向DRzおよび荷重径方向DRxに直交する方向を荷重直交方向DRyとも呼ぶ。
荷重軸方向DRzは、ブレーキ軸方向DRbに一致する方向であって、荷重面714aに交差する方向である。具体的に、荷重軸方向DRzは、荷重面714aに略直交している。換言すれば、荷重センサ70は、荷重軸方向DRzがブレーキ軸方向DRbに沿うように配置されている。また、荷重径方向DRxは、回転軸心SCの径方向に一致する方向である。
なお、荷重軸方向DRzが荷重面714aに略直交しているとは、厳密な意味で荷重軸方向DRzが荷重面714aに直交している状態を意味するものではなく、製造誤差等によって僅かにずれている状態も含まれる。荷重径方向DRxが第1方向に対応し、荷重直交方向DRyが第2方向に対応し、荷重軸方向DRzが第3方向に対応する。
内周部712および外周部713は、円環状である。内周部712の内径は、外周部713の内径より小さく形成されている。内周部712の荷重径方向DRxの外側の面は、外周部713の荷重径方向DRxの内側の面に囲まれている。また、内周部712および外周部713は、互いの荷重径方向DRxの大きさが同じ大きさで形成されている。すなわち、外周部713および内周部712は、互いの厚みが同じ大きさである。
荷重受部714およびセンサ底部715は、円環平板形状であって、荷重径方向DRxに沿って平面状に延びている。また、荷重受部714およびセンサ底部715は、外径が外周部713の外径に等しく形成されており、荷重軸方向DRzにおいて互いに対向している。すなわち、荷重受部714およびセンサ底部715は、荷重軸方向DRzにおいて互いに重なっている。
また、センサ底部715は、空間S側に向かって窪んで形成されるダイヤフラム部715aを有するとともに、当該ダイヤフラム部715aの周囲に支持部715bを有する。
ダイヤフラム部715aは、後述するホイートストンブリッジ回路721が設けられる部位であって、センサ底部715の荷重径方向DRxにおける略中心において、中心軸CLの周方向に沿ってセンサ底部715の全域に形成されている。また、ダイヤフラム部715aは、荷重軸方向DRzにおける大きさが支持部715bの荷重軸方向DRzにおける大きさに比較して小さく形成されている。具体的に、ダイヤフラム部715aの荷重軸方向DRzにおける大きさは、支持部715bの荷重軸方向DRzにおける大きさの1/2以下の大きさで形成されている。なお、支持部715bは、荷重軸方向DRzの大きさが荷重受部714の荷重軸方向DRzの大きさと略同じ大きさで形成されている。
ダイヤフラム部715aは、荷重軸方向DRzに膜厚方向を有する薄膜円環形状であって、空間Sを囲む側に実装面715cを有する。実装面715cは、荷重軸方向DRzに交差する平面で形成される。すなわち、実装面715cは、荷重軸方向DRzに略直交するとともに、荷重径方向DRxおよび荷重直交方向DRyに延びる平面で形成される。
なお、荷重径方向DRxおよび荷重直交方向DRyに延びる実装面715cとは、実装面715cが荷重径方向DRxおよび荷重直交方向DRyに厳密に平行している状態を意味するものではない。荷重径方向DRxおよび荷重直交方向DRyに延びる実装面715cは、製造誤差等によって荷重径方向DRxおよび荷重直交方向DRyから僅かにずれていてもよい。
このように、ダイヤフラム部715aは、荷重受部714および支持部715bに比較して荷重軸方向DRzの大きさが小さく形成されている。このため、ダイヤフラム部715aは、荷重面714aがブレーキ反力を受けることによって筐体71が変形する際に、荷重受部714および支持部715bに比較して変形し易い。換言すれば、ダイヤフラム部715aは、荷重受部714および支持部715bに比較して剛性が小さくなっている。
さらに、本実施形態のダイヤフラム部715aは、荷重面714aに対して荷重軸方向DRzに重なるセンサ底部715において、中心軸CLの周方向に沿ってセンサ底部715の全域に形成されている。このため、荷重面714aが受けるブレーキ反力に荷重面714aに対して偏りがある場合であっても、ダイヤフラム部715aは、偏りに応じて変形し易い。ダイヤフラム部715aは、低剛性部に対応する。
また、筐体71の空間Sには、荷重算出部72が設けられている。荷重算出部72は、図5に示すように、3つのホイートストンブリッジ回路721および荷重演算部722を有する。3つのホイートストンブリッジ回路721は、荷重演算部722に対して並列接続されている。3つのホイートストンブリッジ回路721は、互いに同じ構成であるため、以下では、3つのホイートストンブリッジ回路721のうち1つのホイートストンブリッジ回路721についてのみ説明する。
ホイートストンブリッジ回路721は、荷重径方向DRxに沿った歪みを検出する第1歪センサ721aと、荷重直交方向DRyに沿った歪みを検出する第2歪センサ721bと、を有する。さらに、ホイートストンブリッジ回路721は、電気抵抗値が固定された第1抵抗部721cおよび第2抵抗部721dを有する。また、ホイートストンブリッジ回路721は、不図示の電源が接続される電源供給部VCCおよびグランド部GNDを含んで構成されている。
ホイートストンブリッジ回路721は、電源供給部VCCとグランド部GNDとの間に、第1歪センサ721aおよび第1抵抗部721cを有する直列回路と、第2歪センサ721bおよび第2抵抗部721dを有する直列回路とで構成されている。ホイートストンブリッジ回路721には、例えば電源供給部VCCに5Vの電圧が印加される。
ホイートストンブリッジ回路721は、不図示の基板上に配置された状態で、図3および図4に示すように、実装面715cに中心軸CLの周方向に沿って等間隔で固定されている。具体的に、ホイートストンブリッジ回路721が配置された不図示の基板が中心軸CLの周方向に沿って120°間隔で実装面715cに、例えば、接着剤等の接合部材を用いて固定されている。ホイートストンブリッジ回路721は、歪み検出部に対応する。
第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bは、検出方向における歪み量の変化を電気抵抗値の変化として検出する素子で構成されている。本実施形態の第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bは、例えば、半導体歪みゲージで構成されている。なお、第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bは、特定の種類の歪みゲージに限定されず、箔歪みゲージや線歪みゲージなど、半導体ひずみゲージとは異なる歪みゲージで構成されてもよい。
第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bは、荷重面714aにブレーキ反力が付与されることによりダイヤフラム部715aが変形する際に、ダイヤフラム部715aと一体となって変形する際の歪み量に応じて自身の電気抵抗値が変化する。
具体的に、第1歪センサ721aは、ブレーキ反力によってダイヤフラム部715aが荷重径方向DRxを含む方向に変形する際の実装面715cにおける荷重径方向DRxの歪み量に応じて自身の電気抵抗値が変化する。すなわち、第1歪センサ721aの電気抵抗値の変化量は、実装面715cにおける荷重径方向DRxの歪み量が反映される。
これに対して、第2歪センサ721bは、ブレーキ反力によってダイヤフラム部715aが荷重直交方向DRyを含む方向に変形する際の実装面715cにおける荷重直交方向DRyの歪み量に応じて自身の電気抵抗値が変化する。すなわち、第2歪センサ721bの電気抵抗値の変化量は、実装面715cにおける荷重直交方向DRyの歪み量が反映される。
荷重演算部722は、ダイヤフラム部715aに生じる歪み量に応じて変化する第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bの電気抵抗値の相対変化を検出することで、荷重面714aに付与される荷重を算出するものである。荷重演算部722は、不図示の信号増幅器および不図示の演算部を有する。信号増幅器および演算部は、ホイートストンブリッジ回路721が配置される基板とは異なる不図示の基板上に設けられて、支持部715bの空間S側の面に固定されている。
信号増幅器は、3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれの第1歪センサ721aおよび第1抵抗部721cの間の第1中間部721eと、第2歪センサ721bおよび第2抵抗部721dの間の第2中間部721fに接続されている。そして、信号増幅器は、第1中間部721eと第2中間部721f間の電圧値を増幅して、増幅した検出信号を演算部に出力する。
演算部は、例えば、CPUと、ROMおよびRAMを含む記憶部とを有し、CPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに読み込んで実行するものである。演算部は、信号増幅器から送信される検出信号に基づいて荷重面714aに付与されるブレーキ反力を求める。具体的に、演算部は、荷重軸方向DRz、荷重径方向DRx、荷重直交方向DRyそれぞれに沿う方向成分の荷重を検出する。荷重センサ70が荷重軸方向DRz、荷重径方向DRx、荷重直交方向DRyそれぞれに沿う方向の荷重を検出する方法の詳細については後述する。演算部は、算出するブレーキ反力の情報を制御装置80に出力する。
続いて、図6~図31を参照して、本実施形態の制御装置80によって制御される電動ブレーキシステム1の作動について説明する。図6に示すように、運転者によってブレーキペダルPが踏込操作されると、制御装置80には、ストロークセンサが検出するペダル開度量の情報が入力される。
制御装置80は、ストロークセンサからペダル開度量の情報が入力されると、キペダル開度量および予め定められた制御マップに基づいて、第1ブレーキパッド40および第2ブレーキパッド50がブレーキロータRを押圧する際の目標ブレーキ荷重Fiを算出する。そして、制御装置80は、算出した目標ブレーキ荷重Fiに基づいて電動モータ61の目標回転数Wiを決定し、電動モータ61を目標回転数Wiだけ回転させるための制御信号を電動モータ61に送信する。
電動モータ61は、制御装置80から送信される制御信号に基づいて回転軸631を正転方向に回転させて、ピストン30を第1ブレーキ方向DRb1側に直進させるとともに、第1ハウジング21を第2ブレーキ方向DRb2側に移動させる。第1ブレーキ方向DRb1に移動するピストン30は、第2ブレーキパッド50を第1ブレーキ方向DRb1に押圧することで第2摩擦材51をブレーキロータRに押し当てる。また、第2ブレーキ方向DRb2側に移動する第1ハウジング21は、第1ブレーキパッド40を第2ブレーキ方向DRb2に押圧することで第1摩擦材41をブレーキロータRに押し当てる。
第1摩擦材41および第2摩擦材51がブレーキロータRに当接すると、ブレーキロータRにはブレーキ荷重が発生する。第1摩擦材41および第2摩擦材51がブレーキロータRに当接することによって発生するブレーキ荷重は、第1摩擦材41および第2摩擦材51がブレーキロータRに当接後、さらに電動モータ61が回転する際の回転数が大きくなるにしたがい大きくなる。
また、ブレーキロータRにブレーキ荷重が発生すると、回転軸631には、ブレーキ反力が発生する。ブレーキ反力は、ブレーキ荷重の変化に応じて変化する。このため、ブレーキ反力は、電動モータ61の回転数が大きくなるにしたがい大きくなる。
荷重センサ70は、ブレーキロータRにブレーキ荷重が発生することによって回転軸631に発生するブレーキ反力を検出する。荷重センサ70は、スラスト軸受633を介して伝達されるブレーキ反力を荷重面714aに受けることによって筐体71が変形すると、筐体71の歪み量に基づいてブレーキ反力を検出する。
ところで、第1摩擦材41および第2摩擦材51がブレーキロータRを押圧することによって回転軸631に発生するブレーキ反力は、ブレーキ軸方向DRb以外の方向成分の荷重を有する場合がある。
例えば、第1摩擦面411がブレーキ軸方向DRbに対して傾くように偏摩耗した第1摩擦材41がブレーキロータRに押し当てられる場合について説明する。この場合、第1摩擦材41がブレーキロータRを押圧する荷重が第1摩擦面411の傾きに応じてブレーキ軸方向DRbに対して傾く。これにより、第1摩擦材41がブレーキロータRを押圧することによって回転軸631に発生するブレーキ反力は、ブレーキ軸方向DRb以外の方向成分の荷重を有することとなる。
また、例えば、第2摩擦面511がブレーキ軸方向DRbに対して傾くように偏摩耗した第2摩擦材51がブレーキロータRに押し当てられる場合について説明する。この場合、第2摩擦材51がブレーキロータRを押圧する荷重が第2摩擦面511の傾きに応じてブレーキ軸方向DRbに対して傾く。これにより、第2摩擦材51がブレーキロータRを押圧することによって回転軸631に発生するブレーキ反力は、ブレーキ軸方向DRb以外の方向成分の荷重を有することとなる。
このように回転軸631に発生するブレーキ反力がブレーキ軸方向DRb以外の方向成分の荷重を有する場合、荷重センサ70の荷重面714aに付与される荷重には、荷重軸方向DRz成分以外の方向成分の荷重が含まれることとなる。すなわち、荷重面714aには、荷重軸方向DRzの荷重に加えて荷重径方向DRx成分の荷重および荷重直交方向DRy成分の荷重のうちの一方の荷重または両方の荷重が付与される。
本実施形態の荷重センサ70は、荷重面714aに荷重軸方向DRz以外の方向の荷重が付与される場合において、荷重軸方向DRz、荷重径方向DRx、荷重直交方向DRyそれぞれに沿う方向成分の荷重を個別に検出することができる。換言すれば、荷重センサ70は、図7に示すように、荷重軸方向DRzに対して傾く偏荷重Fが荷重面714aに付与される場合であっても、荷重軸方向DRz、荷重径方向DRx、荷重直交方向DRyそれぞれに沿う方向の荷重を個別に検出することができる。
荷重面714aに荷重径方向DRxおよび荷重直交方向DRyを含む方向の偏荷重Fが付与される際の、荷重センサ70が荷重軸方向DRz、荷重径方向DRx、荷重直交方向DRyそれぞれに沿う方向の荷重を検出する際の具体的な作動について説明する。
荷重センサ70は、荷重面714aに偏荷重Fが付与されてダイヤフラム部715aが変形すると、実装面715cの荷重径方向DRxにおける歪み量に応じて3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれの第1歪センサ721aの電気抵抗値が変化する。また、荷重センサ70は、ダイヤフラム部715aが変形すると、実装面715cの荷重直交方向DRyにおける歪み量に応じて3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれの第2歪センサ721bの電気抵抗値が変化する。
第1歪センサ721aの電気抵抗値の変化は、実装面715cの荷重径方向DRxの歪み量が大きいほど大きい。すなわち、第1歪センサ721aの電気抵抗値の変化は、荷重センサ70に付与されるブレーキ反力のうち、荷重径方向DRxにおける荷重が大きいほど大きい。また、荷重センサ70に付与されるブレーキ反力が一定であっても、偏荷重Fの荷重軸方向DRzに対する荷重径方向DRxへの傾きが大きいほどブレーキ反力における荷重径方向DRxの荷重が大きくなる。
また、第2歪センサ721bの電気抵抗値の変化は、実装面715cの荷重直交方向DRyの歪み量が大きいほど大きい。すなわち、第2歪センサ721bの電気抵抗値の変化は、荷重センサ70に付与されるブレーキ反力のうち、荷重直交方向DRyにおける荷重が大きいほど大きい。また、荷重センサ70に付与されるブレーキ反力が一定であっても、偏荷重Fの荷重軸方向DRzに対する荷重直交方向DRyへの傾きが大きいほどブレーキ反力における荷重直交方向DRyの荷重が大きくなる。
そして、第1歪センサ721aの電気抵抗値および第2歪センサ721bの電気抵抗値が変化すると、3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれに流れる電流値が変化する。これにより、第1歪センサ721aおよび第1抵抗部721cを有する直列回路と、第2歪センサ721bおよび第2抵抗部721dを有する直列回路それぞれの電圧値が変化するとともに、第1中間部721eと第2中間部721fとの間の電圧値が変化する。荷重演算部722は、第1中間部721eの電圧値および第2中間部721fの電圧値を検出する。
荷重演算部722における信号増幅器は、3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれの第1中間部721eの電圧値および第2中間部721fの電圧値を増幅して、増幅した検出信号を演算部に出力する。荷重演算部722の演算部は、信号増幅器から送信される検出信号に基づいて、3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれが設けられる部位の実装面715cの歪み量を算出する。
具体的に、演算部は、3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれの第1中間部721eの電圧値に基づいて、第1歪センサ721aが歪むことによって変化する第1中間部721eの電圧値の変化量を算出する。また、演算部は、3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれの第2中間部721fの電圧値に基づいて、第2歪センサ721bが歪むことによって変化する第2中間部721fの電圧値の変化量を算出する。さらに、演算部は、3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれの第1中間部721eおよび第2中間部721fの電位差を算出する。
そして、演算部は、算出した第1中間部721eの電圧値の変化量、第2中間部721fの電圧値の変化量、第1中間部721eおよび第2中間部721fの電位差に基づいて、3つのホイートストンブリッジ回路721が設けられる3つの部位の歪み量を算出する。
さらに具体的に、演算部は、上記算出結果に基づいて、3つの第1歪センサ721aが設けられる部位毎の荷重径方向DRxの歪み量および3つの第2歪センサ721bが設けられる3つの部位毎の荷重直交方向DRyの歪み量を算出する。そして、演算部は、算出したホイートストンブリッジ回路721が設けられる部位毎の荷重径方向DRxの歪み量および荷重直交方向DRyの歪み量と、予め定められる筐体71のポアソン比とに基づいて当該3つの部位毎の荷重軸方向DRzの歪み量を算出する。
これにより、3つのホイートストンブリッジ回路721が設けられるそれぞれの部位毎の荷重軸方向DRzの歪み量が算出される。以下、荷重径方向DRxにおける歪み量を第1歪み量、荷重直交方向DRyにおける歪み量を第2歪み量、荷重軸方向DRzにおける歪み量を第3歪み量とも呼ぶ。
演算部は、算出した3つの第1歪み量、3つの第2歪み量、3つの第3歪み量に基づいて荷重面714a全体に付与されるブレーキ反力の荷重径方向DRx、荷重直交方向DRy、荷重軸方向DRzそれぞれに沿う方向の荷重推定値を個別に算出する。そして、演算部は、算出した荷重面714aに付与される荷重径方向DRx、荷重直交方向DRy、荷重軸方向DRzそれぞれに沿う方向の荷重推定値の情報を制御装置80に出力する。
以下、荷重センサ70が算出する荷重径方向DRxに沿う方向の荷重推定値を径方向荷重Fx、荷重直交方向DRyに沿う方向の荷重推定値を直交方向荷重Fy、荷重軸方向DRzに沿う方向の荷重推定値を軸方向荷重Fzとも呼ぶ。径方向荷重Fxのうち、中心軸CLから荷重径方向DRxの外側に向かう方向の荷重を正の値、荷重径方向DRxの外側から中心軸CLに向かう方向の荷重を負の値として説明する。また、直交方向荷重Fyのうち、荷重直交方向DRyの一方側に向かう方向の荷重を正の値、他方側に向かう方向の荷重を負の値として説明する。そして、軸方向荷重Fzのうち、荷重面714aに荷重が付与される方向の反対方向の荷重を正の値、荷重面714aに荷重が付与される方向の荷重を負の値として説明する。なお、径方向荷重Fxが第1荷重に対応し、直交方向荷重Fyが第2荷重に対応し、軸方向荷重Fzが面直交荷重に対応する。
本実施形態の荷重センサ70の検出精度の検証のため、発明者は、荷重センサ70に様々なパターンの大きさの偏荷重Fを付与するとともに、偏荷重Fの荷重方向を変化させて、径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzを検出する実験を行った。実験では、荷重面714aに付与する偏荷重Fの大きさを様々な大きさに設定するとともに、荷重面714aに付与する偏荷重Fの角度を荷重軸方向DRzに対して様々な角度に設定し、径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれを検出した。
図8~図10では、荷重センサ70に付与する偏荷重Fの様々な設定値に対する荷重センサ70の径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれの算出結果を示す。具体的に、実験では、荷重径方向DRxの荷重の設定値を-0.7kN~+0.6kN、荷重直交方向DRyの設定値を-0.7kN~+0.8kN、荷重軸方向DRzの荷重の設定値を-25kN~-1kNでそれぞれの範囲内で変化させた。
図8において、縦軸が荷重面714aに付与した荷重径方向DRxの荷重の設定値を示し、横軸が荷重センサ70が算出した径方向荷重Fxを示す。また、図9において、縦軸が荷重面714aに付与した荷重直交方向DRyの荷重の設定値を示し、横軸が荷重センサ70が算出した直交方向荷重Fyを示す。そして、図10において、縦軸が荷重面714aに付与した荷重軸方向DRzの荷重の設定値を示し、横軸が荷重センサ70が算出した軸方向荷重Fzを示す。
図8に示すように、荷重センサ70が算出する径方向荷重Fxは、荷重径方向DRxの荷重の設定値を-0.7~+0.6kNの範囲内で変化させた場合に、荷重面714aに付与した荷重径方向DRxの荷重それぞれの設定値にほぼ一致した。
また、荷重径方向DRxの荷重の設定値に対する径方向荷重Fxの誤差の標準偏差を径方向標準偏差σx、当該径方向標準偏差σxを三倍した値を径方向偏差3σxとしたとき、径方向偏差3σxは0.01kNであった。そして、当該径方向偏差3σxの値は、荷重径方向DRxの荷重の最大設定値の1.4%であって、一般的なセンサの検出誤差に比較して充分小さい値であった。
また、図9に示すように、荷重センサ70が算出する直交方向荷重Fyは、荷重直交方向DRyの荷重の設定値を-0.7~+0.8kNの範囲内で変化させた場合に、荷重面714aに付与した荷重直交方向DRyの荷重それぞれの設定値にほぼ一致した。
また、荷重直交方向DRyの荷重の設定値に対する直交方向荷重Fyの誤差の標準偏差を直交標準偏差σyとし、当該直交標準偏差σyを三倍した値を直交方向偏差3σyとしたとき、直交方向偏差3σyは、0.014kNであった。そして、当該直交方向偏差3σyの値は、荷重直交方向DRyの荷重の最大設定値の1.9%であって、一般的なセンサの検出誤差に比較して充分小さい値であった。
また、図10に示すように、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzは、荷重軸方向DRzの荷重の設定値を-25~-1kNの範囲内で変化させた場合に、荷重面714aに付与した荷重軸方向DRzの荷重それぞれの設定値にほぼ一致した。
また、荷重軸方向DRzの荷重の設定値に対する軸方向荷重Fzの誤差の標準偏差を軸標準偏差σzとし、当該軸標準偏差σzを三倍した値を軸方向偏差3σzとしたとき、軸方向偏差3σzは、0.03kNであった。そして、当該軸方向偏差3σzの値は、荷重軸方向DRzの荷重の最大設定値の0.14%であって、一般的なセンサの検出誤差に比較して充分小さい値であった。
これらの実験結果に示すように、荷重面714aに付与する偏荷重Fの大きさを様々に変化させた場合において、設定値に対する荷重センサ70が算出する径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれの誤差は、比較的小さい。
ここで、本実施形態の荷重センサ70に対する比較例となる図11に示す比較用荷重センサ90を用いて、図8~図10を得るための実験と同様の実験を行った結果を図12~図14に示す。比較用荷重センサ90は、本実施形態の荷重センサ70と比較してホイートストンブリッジ回路721の構成が異なる。ただし、比較用荷重センサ90は、荷重センサ70と同様に、中心軸CLの周方向に沿って120°間隔に比較用ホイートストンブリッジ回路91を有する。
比較用ホイートストンブリッジ回路91は、荷重径方向DRxおよび荷重直交方向DRyのいずれか一方に沿った歪みを検出する歪みセンサと、電気抵抗値が固定された3つの抵抗部とを含んで構成されている。すなわち、比較用ホイートストンブリッジ回路91は、歪みセンサの数が本実施形態の荷重センサ70のホイートストンブリッジ回路721に比較して少なくなっている。図12~図14に示す実験では、例えば、比較用ホイートストンブリッジ回路91が第1歪センサ721aを有するが、第2歪センサ721bを有さない構成とした。それ以外の構成は、本実施形態の荷重センサ70と同じ構成である。
この場合、図12および図13に示すように、比較用荷重センサ90が算出する径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyは、本実施形態の荷重センサ70が算出する径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyに比較して設定値に対する算出値の誤差が大きい。
また、比較用荷重センサ90が算出する径方向荷重Fxの径方向偏差3σxの値は、0.20kNであって、荷重径方向DRxの荷重の最大設定値の29%であった。また、比較用荷重センサ90が検出する直交方向荷重Fyの直交方向偏差3σyの値は、0.23kNであって、荷重直交方向DRyの荷重の最大設定値の33%であった。そして、比較用荷重センサ90が算出する軸方向荷重Fzの軸方向偏差3σzの値は、0.06kNであって、荷重軸方向DRzの荷重の最大設定値の約0.3%であった。
このように、比較用荷重センサ90が算出する径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzの誤差のバラツキは、本実施形態の荷重センサ70が算出する径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzの誤差のバラツキに比較して大きい。また、比較用荷重センサ90が算出する径方向荷重Fxの径方向偏差3σxの値および直交方向荷重Fyの直交方向偏差3σyの値は、一般的なセンサの検出誤差の偏差を示す3σの値に比較して比較的大きな値であった。
比較用荷重センサ90の実験結果から分かるように、本実施形態の荷重センサ70は、ホイートストンブリッジ回路721において第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bを設けることによって検出精度を向上させることができる。
続いて、図15~図20において、荷重面714aに付与する偏荷重Fの大きさおよび方向を互いに異なる6つのパターンに変化させた場合における荷重センサ70の径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれの算出結果を示す。
具体的に、図15~図20に示す実験では、荷重面714aに付与する偏荷重Fの方向を荷重軸方向DRzに対して荷重径方向DRxへ第1角度θだけ傾けるとともに、荷重直交方向DRyへ第2角度φだけ傾けた。そして、図15~図20に示す6つの算出結果を得るそれぞれの実験では、第1角度θおよび第2角度φそれぞれを互いに異なる角度に設定した。また、図15~図20に示す6つの算出結果を得るそれぞれの実験では、荷重面714aに付与する偏荷重Fにおいて、荷重径方向DRx、荷重直交方向DRy、荷重軸方向DRzそれぞれの荷重を互いに異なる大きさに設定した。
図15~図20において、6つのパターンそれぞれの付与した偏荷重Fにおける荷重径方向DRxの荷重および荷重直交方向DRyの荷重から成る荷重ベクトルを実線で示す。さらに、図15~図20において、偏荷重Fにおける荷重直交方向DRyの荷重および荷重軸方向DRzの荷重から成る荷重ベクトルと、荷重径方向DRxの荷重および荷重軸方向DRzの荷重から成る荷重ベクトルを実線で示す。また、6つのパターンそれぞれの径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyから成る荷重ベクトルと、直交方向荷重Fyおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルと、径方向荷重Fxおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルを破線で示す。
図15に示す実験では、荷重径方向DRxの荷重の大きさを-0.2kN、荷重直交方向DRyの荷重の大きさを0.3kN、荷重軸方向DRzの荷重の大きさを-13kNに設定した。
これらの設定値に対して、荷重センサ70の算出結果は、径方向荷重Fxの誤差が-0.08%、直交方向荷重Fyの誤差が0.5%、軸方向荷重Fzの誤差が-0.01%であった。そして、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyから成る荷重ベクトルと、直交方向荷重Fyおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルと、径方向荷重Fxおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルそれぞれは、設定値にほぼ一致した。また、径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれを合成した合成荷重の誤差が0.001kNだった。
そして、図15に示す実験では、第1角度θの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は-0.23°、第2角度φの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は0.01°であった。
図16に示す実験では、荷重径方向DRxの荷重の大きさを0.1kN、荷重直交方向DRyの荷重の大きさを0.3kN、荷重軸方向DRzの荷重の大きさを-11kNに設定した。
これらの設定値に対して、荷重センサ70の算出結果は、径方向荷重Fxの誤差が0.24%、直交方向荷重Fyの誤差が-0.21%、軸方向荷重Fzの誤差が0.07%であった。そして、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyから成る荷重ベクトルと、直交方向荷重Fyおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルと、径方向荷重Fxおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルそれぞれは、設定値にほぼ一致した。また、径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれを合成した合成荷重の誤差が0.014kNだった。
そして、図16に示す実験では、第1角度θの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は-0.33°、第2角度φの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は0.0°であった。
図17に示す実験では、荷重径方向DRxの荷重の大きさを-0.5kN、荷重直交方向DRyの荷重の大きさを0.45kN、荷重軸方向DRzの荷重の大きさを-23kNに設定した。
これらの設定値に対して、荷重センサ70の算出結果は、径方向荷重Fxの誤差が0.09%、直交方向荷重Fyの誤差が0.32%、軸方向荷重Fzの誤差が0.02%であった。そして、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyから成る荷重ベクトルと、直交方向荷重Fyおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルと、径方向荷重Fxおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルそれぞれは、設定値にほぼ一致した。また、径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれを合成した合成荷重の誤差が0.003kNだった。
そして、図17に示す実験では、第1角度θの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は-0.18°、第2角度φの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は0.0°であった。
図18に示す実験では、荷重径方向DRxの荷重の大きさを0.1kN、荷重直交方向DRyの荷重の大きさを-0.2kN、荷重軸方向DRzの荷重の大きさを-20kNに設定した。
これらの設定値に対して、荷重センサ70の算出結果は、径方向荷重Fxの誤差が0.52%、直交方向荷重Fyの誤差が0.5%、軸方向荷重Fzの誤差が0.02%であった。そして、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyから成る荷重ベクトルと、直交方向荷重Fyおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルと、径方向荷重Fxおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルそれぞれは、設定値にほぼ一致した。また、径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれを合成した合成荷重の誤差が0.005kNだった。
そして、図18に示す実験では、第1角度θの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は1.31°、第2角度φの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は0.0°であった。
図19に示す実験では、荷重径方向DRxの荷重の大きさを0.3kN、荷重直交方向DRyの荷重の大きさを0.25kN、荷重軸方向DRzの荷重の大きさを-21kNに設定した。
これらの設定値に対して、荷重センサ70の算出結果は、径方向荷重Fxの誤差が-0.11%、直交方向荷重Fyの誤差が0.88%、軸方向荷重Fzの誤差が0.08%であった。そして、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyから成る荷重ベクトルと、直交方向荷重Fyおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルと、径方向荷重Fxおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルそれぞれは、設定値にほぼ一致した。また、径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれを合成した合成荷重の誤差が0.017kNだった。
そして、図19に示す実験では、第1角度θの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は0.78°、第2角度φの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は0.01°であった。
図20に示す実験では、荷重径方向DRxの荷重の大きさを-0.5kN、荷重直交方向DRyの荷重の大きさを0.0kN、荷重軸方向DRzの荷重の大きさを-15kNに設定した。
これらの設定値に対して、荷重センサ70の算出結果は、径方向荷重Fxの誤差が-0.05%、直交方向荷重Fyの誤差が-0.06%、軸方向荷重Fzの誤差が0.08%であった。そして、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyから成る荷重ベクトルと、直交方向荷重Fyおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルと、径方向荷重Fxおよび軸方向荷重Fzから成る荷重ベクトルそれぞれは、設定値にほぼ一致した。また、径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれを合成した合成荷重の誤差が0.016kNだった。
そして、図20に示す実験では、第1角度θの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は0.05°、第2角度φの設定値に対して荷重センサ70が算出する角度の誤差は0.0°であった。
これらの実験結果に示すように、偏荷重Fの大きさに対する荷重センサ70が算出する径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれの誤差および偏荷重Fの設定角度に対する荷重センサ70が検出する角度の誤差は、比較的小さい。
荷重センサ70は、このように算出する径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれの情報を含む検出信号を制御装置80に出力する。
制御装置80は、荷重センサ70からの検出信号に基づいて軸方向荷重Fzを検出し、検出した軸方向荷重Fzが目標ブレーキ荷重Fiから乖離している場合、軸方向荷重Fzが目標ブレーキ荷重Fiに近づくように電動モータ61のフィードバック制御を行う。また、制御装置80は、荷重センサ70からの検出信号に基づいて、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量および第1、第2摩擦面411、511の状態を検出する。以下、制御装置80におけるフィードバック制御を行う際の作動と、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量および第1、第2摩擦面411、511の状態を検出する際の作動との詳細について説明する。
まず、制御装置80のフィードバック制御について、図21~図23を参照して説明する。制御装置80がフィードバック制御を行うブレーキ荷重は、電動モータ61の回転数の大きさが大きくなるにしたがい大きくなる。このため、ブレーキ反力における径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれも、電動モータ61の回転数の大きさが大きくなるにしたがい大きくなる。
具体的な軸方向荷重Fzの変化について、図21を参照して説明する。上述したように、ブレーキペダルPが踏込操作されると、制御装置80は、目標ブレーキ荷重Fiに基づいて電動モータ61の目標回転数Wiを決定し、電動モータ61を目標回転数Wiだけ回転させて第1ハウジング21およびピストン30を移動させる。
そして、荷重センサ70は、第1ハウジング21を第2ブレーキ方向DRb2側に移動させる際に発生する反力およびピストン30を第1ブレーキ方向DRb1側に移動させる際に発生する反力を受ける。第1ハウジング21を移動させる際に発生する反力およびピストン30を移動させる際に発生する反力は、第1摩擦面411および第2摩擦面511がブレーキロータRに当接するまで一定の大きさである。このため、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzは、図21に示すように、第1摩擦面411および第2摩擦面511がブレーキロータRに当接するまで一定である。
そして、第1摩擦面411および第2摩擦面511がブレーキロータRに当接後、さらに回転軸631が回転すると、第1摩擦材41および第2摩擦材51が発生させるブレーキ荷重の変化量は、電動モータ61の回転数の変化量に比例する。このため、ブレーキ荷重に対するブレーキ反力の変化量も、電動モータ61の回転数の変化量に比例する。したがって、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzの変化量は、図21に示すように、第1摩擦面411および第2摩擦面511がブレーキロータRに当接した後は、電動モータ61の回転数の変化量に比例する。なお、図21に示す横軸は電動モータ61の回転数を示し、縦軸は軸方向荷重Fzを示す。
しかしながら、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗していない場合と、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗したり、偏摩耗したりしている場合とで、電動モータ61の回転数に変化に対する軸方向荷重Fzの変化の仕方が異なる。また、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損していない場合と、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損している場合とでも、電動モータ61の回転数に変化に対する軸方向荷重Fzの変化の仕方が異なる。
図21では、破線が、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗しておらず、且つ、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損していない場合の軸方向荷重Fzの変化を示す。また、実線が、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損していないが、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗している場合の軸方向荷重Fzの変化を示す。そして、一点鎖線が、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗していないが、第1摩擦面411および第2摩擦面511の一部が欠損している場合の軸方向荷重Fzの変化を示す。
第1摩擦材41が摩耗すると、摩耗していない場合に比較して、第1摩擦材41のブレーキ軸方向DRbの大きさが小さくなる。また、第2摩擦材51が摩耗すると、摩耗していない場合に比較して、第2摩擦材51のブレーキ軸方向DRbの大きさが小さくなる。このため、第1摩擦面411および第2摩擦面511がブレーキロータRに当接までに必要な第1ハウジング21およびピストン30の移動量が摩耗していない場合に比較して大きくなる。すなわち、図21に示すように、第1摩擦面411および第2摩擦面511がブレーキロータRに当接までに必要な電動モータ61の回転数が大きくなる。
また、摩耗した第1摩擦材41および第2摩擦材51がブレーキロータRに当接した後、ブレーキ荷重の変化量は、摩耗していない場合と同様の比例係数で、電動モータ61の回転数の変化量に比例する。したがって、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗すると、電動モータ61を目標回転数Wiだけ回転させた際の第1摩擦材41および第2摩擦材51がブレーキロータRに発生させるブレーキ荷重が、摩耗していない場合に比較して小さくなる。
また、摩耗した第1摩擦材41および第2摩擦材51がブレーキロータRに当接した後のブレーキ荷重に対するブレーキ反力は、ブレーキ荷重と同様に変化する。このため、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗することによって電動モータ61を目標回転数Wiだけ回転させた際のブレーキ荷重が小さくなると、目標回転数Wiだけ回転させた際のブレーキ反力も小さくなる。
そして、ブレーキ反力が小さくなる結果、電動モータ61を目標回転数Wiだけ回転させた際の軸方向荷重Fzは、図21~図23に示すように、目標ブレーキ荷重Fiより小さい不足ブレーキ荷重Foになる。すなわち、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗すると、摩耗していないことを前提して設定された目標回転数Wiだけ電動モータ61を回転させても第1摩擦材41および第2摩擦材51は、ブレーキロータRに目標ブレーキ荷重Fiを付与できない。
なお、第1摩擦材41および第2摩擦材51が偏摩耗している場合、荷重面714aには、図23に示すように、軸方向荷重Fzに加えて径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyが付与される。
また、第1摩擦面411の一部が欠損すると、欠損していない場合に比較して、第1摩擦面411におけるブレーキロータRに当接する面積が小さくなる。同様に、第2摩擦面511の一部が欠損すると、欠損していない場合に比較して、第2摩擦面511におけるブレーキロータRに当接する面積が小さくなる。
このため、第1摩擦材41および第2摩擦材51がブレーキロータRに発生させることができるブレーキ荷重は、電動モータ61の回転数が同様であっても、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損していない場合に比較して小さくなる。すなわち、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損している場合のブレーキ荷重は、第1ハウジング21およびピストン30の移動量が同様であっても、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損していない場合に比較して小さくなる。これにより、第1摩擦面411および第2摩擦面511の一部が欠損すると、ブレーキ荷重に対するブレーキ反力は、欠損していない場合に比較して小さくなる。
また、欠損した第1摩擦面411および第2摩擦面511がブレーキロータRに当接した後における第1摩擦材41および第2摩擦材51が発生させるブレーキ荷重およびブレーキ反力の変化量は、電動モータ61の回転数の変化量に比例する。しかしながら、第1摩擦面411および第2摩擦面511の一部が欠損すると、電動モータ61の回転数の変化量に比例するブレーキ荷重およびブレーキ反力の変化量の比例係数は、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損していない場合より小さくなる。すなわち、電動モータ61の回転数の変化量に比例する軸方向荷重Fzの変化量の比例係数は、図21に示すように、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損していない場合に比較して小さくなる。
したがって、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損すると、電動モータ61を目標回転数Wiだけ回転させた際の第1摩擦材41および第2摩擦材51がブレーキロータRに発生させるブレーキ荷重が、欠損していない場合に比較して小さくなる。そして、ブレーキ荷重が小さくなるのにともなって、目標回転数Wiだけ回転させた際のブレーキ反力も小さくなる。
また、ブレーキ反力が小さくなる結果、電動モータ61を目標回転数Wiだけ回転させた際の軸方向荷重Fzは、図21に示すように、目標ブレーキ荷重Fiより小さい不足ブレーキ荷重Foになる。すなわち、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損している場合、欠損していないことを前提して設定された目標回転数Wiだけ電動モータ61を回転させてもブレーキロータRに目標ブレーキ荷重Fiを付与することができない。
このため、本実施形態の制御装置80は、目標回転数Wiだけ電動モータ61を回転させてもブレーキロータRに目標ブレーキ荷重Fiを付与することができない場合、図24に示す制御処理を行い、軸方向荷重Fzを目標ブレーキ荷重Fiに近づける。
まず、ステップS10において、制御装置80は、電動モータ61を目標回転数Wiまで回転させた場合における荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzの推移を検出する。そして、制御装置80は、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzの推移に基づいて、第1摩擦面411および第2摩擦面511がブレーキロータRに当接した後における電動モータ61の回転数および軸方向荷重Fzの関係式Fz(W)を求める。
第1摩擦面411および第2摩擦面511がブレーキロータRに当接した後における軸方向荷重Fzの変化量は、上述したように電動モータ61の回転数の変化量に比例する。このため、電動モータ61の回転数および軸方向荷重Fzの関係式Fz(W)は、以下の数式1に示す一次関数で表すことができる。
(数1)
Fz(W)=αW+β
ここで、数式1におけるαは一次関数における比例係数である。また、数式1におけるWは電動モータ61の回転数である。そして、数式1におけるβは一次関数における切片である。
第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗した場合の比例係数αは、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗していない場合の比例係数αと略等しい。これに対して、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗した場合の切片βは、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗していない場合の切片βに比較して小さくなる。
また、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損している場合の比例係数αは、第1摩擦面411および第2摩擦面511が欠損していない場合の比例係数αに比較して小さくなる。これに対して、第1摩擦材41および第2摩擦材51が欠損している場合の切片βは、第1摩擦材41および第2摩擦材51が欠損していない場合の切片βと略等しい。
なお、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗および欠損していない場合の比例係数αおよび切片βは、第1、第2ブレーキパッド40、50が新品状態の際に電動モータ61を目標回転数Wiまで回転させた場合の軸方向荷重Fzの推移から検出できる。制御装置80は、第1摩擦材41および第2摩擦材51が摩耗および欠損していない場合の比例係数αおよび切片βを予め検出し、記憶している。
ステップS12において、制御装置80は、関係式Fz(W)および目標ブレーキ荷重Fiに基づいて、電動モータ61の補正後回転数Woを求める。当該補正後回転数Woは、関係式Fz(W)において、目標ブレーキ荷重Fiを得るために必要な電動モータ61の回転数である。
ステップS14において、制御装置80は、目標回転数Wiおよび補正後回転数Woに基づいて、電動モータ61の補正回転数dWを算出する。補正回転数dWは、目標回転数Wiと補正後回転数Woとの差である。
ステップS16において、制御装置80は、電動モータ61の回転数を補正回転数dWだけ変化させるための制御信号を電動モータ61に出力する。
電動モータ61は、制御装置80から制御信号が送信されると、回転軸631を補正回転数dWに応じて回転させる。これにより、第1ハウジング21およびピストン30の位置が変更される。そして、軸方向荷重Fzは、目標ブレーキ荷重Fiに近づく。
続いて、制御装置80における第1、第2摩擦材41、51の摩耗量および第1、第2摩擦面411、511の状態を検出する際の作動との詳細について、図25~図28を参照して説明する。制御装置80は、荷重センサ70が算出する径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzに基づいて第1、第2摩擦材41、51の摩耗量および第1、第2摩擦面411、511の状態を検出する。
これらの検出方法を説明するにあたり、まず、荷重センサ70が算出する径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzが第1、第2摩擦材41、51の摩耗量および第1、第2摩擦面411、511の状態に応じて変化することについて説明する。なお、荷重センサ70が算出する径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzは、第1摩擦材41および第2摩擦材51のうちの少なくとも一方の摩耗量および状態によって変化する。このため、以下においては第1摩擦材41が摩耗したり状態が変化したりした場合についての説明をする。
図25では、第1摩擦材41が摩耗していない場合および第1摩擦材41が摩耗する等によって状態が変化している場合において、荷重センサ70が算出する径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzそれぞれのシミュレーション結果を示す。第1摩擦材41が摩耗していない場合とは、例えば、第1摩擦材41がまだ使用されていない初期状態であることを想定している。また、第1摩擦面411の状態が変化している場合とは、例えば、第1摩擦材41が車両の制動に長期間使用されることによって第1摩擦面411が均一にまたは偏って摩耗した状態や、第1摩擦面411の一部が欠損状態であることを想定している。
なお、図25において、一点鎖線aが、第1摩擦材41が初期状態である場合と、第1摩擦面411が均一に摩耗した状態である場合と、第1摩擦面411の一部が欠損状態である場合と、のそれぞれの径方向荷重Fxを示す。また、一点鎖線bが、第1摩擦面411が偏って摩耗した状態である場合の径方向荷重Fxを示す。
そして、図25において、破線cが、第1摩擦材41が初期状態である場合と、第1摩擦面411が均一に摩耗した状態である場合と、第1摩擦面411の一部が欠損状態である場合と、のそれぞれの直交方向荷重Fyを示す。また、破線dが、第1摩擦面411が偏って摩耗した状態である場合の直交方向荷重Fyを示す。
さらに、図25において、実線eが、第1摩擦材41が初期状態である場合の軸方向荷重Fzを示す。また、実線fが、第1摩擦面411が均一に摩耗した状態である場合の軸方向荷重Fzを示す。そして、実線hが、第1摩擦面411の一部が欠損状態である場合の軸方向荷重Fzを示す。また、実線kが、第1摩擦面411が偏って摩耗した状態である場合の軸方向荷重Fzを示す。
ここで、第1摩擦材41が初期状態である場合において制御装置80が電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた場合に、荷重センサ70が算出する径方向荷重Fxを初期径方向荷重Fx0、直交方向荷重Fyの大きさを初期直交方向荷重Fy0とする。また、第1摩擦材41が初期状態である場合において制御装置80が電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた場合に、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzの大きさを初期軸方向荷重Fz0とする。
なお、第1摩擦材41が初期状態である場合、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させるとブレーキ荷重はブレーキ軸方向DRbに沿って発生し、ブレーキ反力もブレーキ軸方向DRbに沿って発生する。このため、ブレーキ反力は、ブレーキ軸方向DRb以外の方向成分の荷重を含まない。
したがって、第1摩擦材41が初期状態である場合、図25に示すように、初期径方向荷重Fx0および初期直交方向荷重Fy0それぞれの大きさはほぼ0である。すなわち、第1摩擦材41が初期状態である場合、荷重面714aに対して荷重径方向DRxおよび荷重直交方向DRyの荷重が発生しない。そして、第1摩擦材41が初期状態である場合、初期軸方向荷重Fz0は、目標ブレーキ荷重Fiに略等しくなる。
これに対して、第1摩擦材41が摩耗している場合、上述したように、第1摩擦面411がブレーキロータRに当接までに必要な電動モータ61の回転数は、第1摩擦材41が摩耗していない場合に比較して大きくなる。また、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際のブレーキ荷重は、第1摩擦材41が摩耗していない場合に比較して小さくなる。
このため、第1摩擦材41が摩耗している場合に電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際の荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzは、初期軸方向荷重Fz0に比較して小さくなる。すなわち、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzは、目標ブレーキ荷重Fiに比較して小さくなる。
また、第1摩擦面411がブレーキロータRに当接までに必要な電動モータ61の回転数は、図26に示すように、第1摩擦材41の摩耗量が大きいほど大きくなる。このため、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際のブレーキ荷重は、第1摩擦材41の摩耗量が大きいほど小さくなる。
このため、第1摩擦材41が摩耗している場合に電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際の荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzは、第1摩擦材41の摩耗量が大きいほど初期軸方向荷重Fz0に比較して小さくなる。すなわち、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzは、第1摩擦材41の摩耗量が大きいほど初期軸方向荷重Fz0に比較して小さくなる。換言すれば、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzと初期軸方向荷重Fz0との差は、第1摩擦材41の摩耗量が大きいほど大きくなる。
したがって、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzと初期軸方向荷重Fz0との乖離量を軸方向乖離ΔFzとしたとき、軸方向乖離ΔFzの絶対値は、図27に示すように、第1摩擦材41の摩耗量が大きくなるにしたがい大きくなる。なお、図27~図30において、実線が軸方向乖離ΔFzを示す。
また、上述したように、摩耗した第1摩擦材41がブレーキロータRに当接した後のブレーキ荷重の変化量は、摩耗していない場合と同様の比例係数で、電動モータ61の回転数の変化量に比例する。このため、摩耗した第1摩擦材41がブレーキロータRに当接した後の軸方向乖離ΔFzは、図28に示すように、目標回転数Wiに関わらず、一定である。
また、第1摩擦材41が均等に摩耗している場合、ブレーキ反力は、第1摩擦材41が初期状態である場合と同様に、ブレーキ軸方向DRbに沿って発生する。このため、第1摩擦材41が均等に摩耗している場合、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyそれぞれの大きさは、第1摩擦材41の摩耗量に関わらず、初期径方向荷重Fx0および初期直交方向荷重Fy0と同様に、略0である。
ここで、荷重センサ70が算出する径方向荷重Fxと初期径方向荷重Fx0との乖離量を径方向乖離ΔFx、荷重センサ70が算出する直交方向荷重Fyと初期直交方向荷重Fy0との乖離量を直交方向乖離ΔFyとする。第1摩擦材41が均等に摩耗している場合、径方向乖離ΔFxおよび直交方向乖離ΔFyは、図27に示すように、第1摩擦材41の摩耗量に関わらず、略0である。なお、図27~図30において、一点破線が径方向乖離ΔFxを示し、破線が直交方向乖離ΔFyを示す。
これに対して、第1摩擦材41が偏摩耗している場合、ブレーキ反力は、上述したように、第1摩擦材41がブレーキロータRを押圧する荷重がブレーキ軸方向DRbに対して傾くため、ブレーキ軸方向DRb以外の方向成分の荷重を含む。このため、荷重面714aには、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyの少なくともどちらか一方の荷重が付与される。本実施形態の説明では、荷重面714aに、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyの両方の荷重が付与される場合について説明する。
第1摩擦材41が偏摩耗している場合、図25に示すように、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際の径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyそれぞれは、初期径方向荷重Fx0および初期直交方向荷重Fy0より大きくなる。すなわち、第1摩擦材41が偏摩耗している場合、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際の径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyそれぞれは、0から離れた値になる。
そして、第1摩擦材41が偏摩耗している場合、荷重センサ70が算出する径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyは、目標ブレーキ荷重Fiが大きいほど、初期径方向荷重Fx0および初期直交方向荷重Fy0との差が大きくなる。すなわち、径方向乖離ΔFxおよび直交方向乖離ΔFyは、図29に示すように、目標回転数Wiが大きくなるにしたがい大きくなる。そして、径方向乖離ΔFxの変化量および直交方向乖離ΔFyの変化量は、目標回転数Wiに比例して小さくなる。
また、図29に示すように、第1摩擦材41が偏摩耗する際のブレーキ軸方向DRbに対する第1摩擦面411の傾き大きいほど、目標回転数Wiの変化量に対する径方向乖離ΔFxの変化量の比および直交方向乖離ΔFyの変化量の比が大きくなる。換言すれば、第1摩擦面411の傾きが大きいほど、径方向乖離ΔFxと目標回転数Wiとの相関を一次関数で示した際の比例係数である径方向係数kxの絶対値が大きくなる。また、第1摩擦面411の傾きが大きいほど、直交方向乖離ΔFyと目標回転数Wiとの相関を一次関数で示した際の比例係数である直交方向係数kyの絶対値も大きくなる。
このように、第1摩擦材41および第2摩擦材51のうちの少なくとも一方が偏摩耗している場合、第1摩擦面411および第2摩擦面511のうちの偏摩耗している摩擦面の傾きが大きいほど、径方向係数kx、直交方向係数kyそれぞれの絶対値が大きくなる。
また、第1摩擦材41および第2摩擦材51のうちの少なくとも一方が偏摩耗している場合、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際の径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyは、0から離れた値になる。そして、ブレーキ軸方向DRbに対する第1摩擦面411および第2摩擦面511のうちの偏摩耗している摩擦面の傾きが大きいほど、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際の径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyが0からさらに離れる。
また、第1摩擦材41が偏摩耗することによって径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyが発生する場合、軸方向荷重Fzは、初期軸方向荷重Fz0に比較して小さくなる。そして、第1摩擦材41が偏摩耗する場合の軸方向荷重Fzは、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyが大きいほど小さくなる。すなわち、軸方向乖離ΔFzの絶対値は、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyが大きいほど小さくなる。
このため、図29に示すように、軸方向乖離ΔFzの絶対値は、径方向乖離ΔFxおよび直交方向乖離ΔFyの絶対値が大きくなるにしたがい大きくなる。また、第1摩擦面411の傾きが大きいほど、軸方向乖離ΔFzと目標回転数Wiとの相関を一次関数で示した際の比例係数である軸方向係数kzの絶対値が大きくなる。
また、第1摩擦材41がほぼ摩耗していないが、第1摩擦面411の一部が欠損している場合について説明する。第1摩擦材41が摩耗していないが第1摩擦面411の一部が欠損している場合、ブレーキ反力は、第1摩擦材41が略均等に摩耗している場合と同様に、ブレーキ軸方向DRbに沿って発生する。このため、第1摩擦面411の一部が欠損している場合、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際の径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyそれぞれの大きさは、初期径方向荷重Fx0および初期直交方向荷重Fy0と同様に、略0である。
また、第1摩擦面411の一部が欠損している場合、上述したように、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際のブレーキ荷重およびブレーキ反力は、欠損していない場合に比較して小さくなる。このため、図25に示すように、第1摩擦面411の一部が欠損している場合に電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際の荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzは、初期軸方向荷重Fz0に比較して小さくなる。すなわち、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzは、目標ブレーキ荷重Fiに比較して小さくなる。
そして、第1摩擦面411の一部が欠損している場合、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzは、目標ブレーキ荷重Fiが大きいほど、初期軸方向荷重Fz0との差が大きくなる。すなわち、軸方向乖離ΔFzの絶対値は、図30に示すように、目標回転数Wiが大きいほど大きくなる。そして、軸方向乖離ΔFzの絶対値は、目標回転数Wiの変化量に比例して大きくなる。
また、図30に示すように、第1摩擦面411の一部が欠損している際の欠損範囲が大きいほど、目標回転数Wiの変化量に対する軸方向乖離ΔFzの変化量の比が大きくなる。換言すれば、欠損範囲が大きいほど、軸方向係数kzの絶対値が大きくなる。
このように、第1摩擦面411および第2摩擦面511のうちの少なくとも一方が欠損している場合、第1摩擦面411および第2摩擦面511の欠損範囲が大きいほど、軸方向係数kzの絶対値が大きくなる。
以下、径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzが変化する際の第1、第2摩擦材41、51の摩耗量および第1、第2摩擦面411、511の状態を検出する際の作動について、図31に示す制御処理を参照して説明する。
まず、ステップS20において、ステップS10と同様に、制御装置80は、第1摩擦面411および第2摩擦面511がブレーキロータRに当接した後における電動モータ61の回転数および軸方向荷重Fzの関係式Fz(W)を求める。
そして、制御装置80は、求めた関係式Fz(W)に基づいて、第1摩擦材41および第2摩擦材51の少なくとも一方が摩耗しているか否かおよび第1摩擦面411および第2摩擦面511の少なくとも一方が欠損しているか否かを判定する。具体的に、制御装置80は、求めた関係式Fz(W)における切片と、第1、第2摩擦材41、51が初期状態である場合の関係式Fz(W)における切片との差である切片差の絶対値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
そして、制御装置80は、当該切片差の絶対値が所定の閾値以上であると判定した場合、第1摩擦材41および第2摩擦材51の少なくとも一方が摩耗していると判定する。これに対して、制御装置80は、当該切片差の絶対値が所定の閾値以上であると判定しない場合、第1摩擦材41および第2摩擦材51のいずれも摩耗していないと判定する。
また、制御装置80は、求めた関係式Fz(W)における比例係数と、第1、第2摩擦材41、51が初期状態である場合の関係式Fz(W)における比例係数との差である比例係数差の絶対値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
そして、制御装置80は、当該比例係数差の絶対値が所定の閾値以上であると判定した場合、第1摩擦面411および第2摩擦面511の少なくとも一方が欠損していると判定する。これに対して、制御装置80は、当該比例係数差の絶対値が所定の閾値以上であると判定しない場合、第1摩擦面411および第2摩擦面511のいずれもが欠損していないと判定する。
ステップS22において、制御装置80は、目標ブレーキ荷重Fiと、荷重センサ70が算出する径方向荷重Fx、直交方向荷重Fy、軸方向荷重Fzとに基づいて、径方向乖離ΔFx、直交方向乖離ΔFy、軸方向乖離ΔFzを算出する。
ステップS24において、制御装置80は、目標回転数Wiと、算出した径方向乖離ΔFx、直交方向乖離ΔFy、軸方向乖離ΔFzとに基づいて、径方向係数kx、直交方向係数ky、軸方向係数kzを算出する。
ステップS26において、制御装置80は、算出した軸方向乖離ΔFzに基づいて第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を検出する。具体的に、制御装置80は、ステップS20で第1摩擦材41および第2摩擦材51のうちの少なくとも一方が摩耗していると判定した場合、軸方向乖離ΔFzの値および予め定められた判定基準値を参照し、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を算出する。
第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を算出するための判定基準値として、例えば、第1摩耗閾値と、第1摩耗閾値より小さい第2摩耗閾値が定められている。そして、制御装置80は、軸方向乖離ΔFzの絶対値が第1摩耗閾値より小さい場合、摩耗量が比較的少ないと判定し、軸方向乖離ΔFzの絶対値が第1摩耗閾値より大きく、第2摩耗閾値より小さい場合、摩耗量が比較的大きいと判定する。さらに、制御装置80は、軸方向乖離ΔFzの絶対値が第2摩耗閾値より大きい場合、第1、第2ブレーキパッド40、50の交換が必要なほどに第1、第2摩擦材41、51が摩耗していると判定する。
また、ステップS26において、制御装置80は、算出した径方向係数kx、直交方向係数ky、軸方向係数kzに基づいて、第1、第2摩擦面411、511の状態を検出する。具体的に、ステップS20で第1摩擦材41および第2摩擦材51のうちの少なくとも一方が摩耗していると判定した場合、径方向係数kxおよび直交方向係数kyに基づいて第1、第2摩擦面411、511が偏摩耗しているか否かを判定する。
さらに具体的に、制御装置80は、径方向係数kxおよび直交方向係数kyの少なくとも一方が略0ではないと判定した場合、第1摩擦面411および第2摩擦面511のうちの少なくとも一方が偏摩耗していると判定する。これに対して、制御装置80は、径方向係数kxおよび直交方向係数kyのどちらも略0であると判定した場合、第1摩擦面411および第2摩擦面511のいずれも偏摩耗していないと判定する。
そして、制御装置80は、第1摩擦面411および第2摩擦面511のうちの少なくとも一方が偏摩耗していると判定した場合、第1摩擦面411および第2摩擦面511の傾きの大きさを算出する。制御装置80は、径方向係数kxの値、直交方向係数kyの値および予め定められた判定基準値を参照し、ブレーキ軸方向DRbに対する第1摩擦面411および第2摩擦面511の傾きの大きさを算出する。
第1摩擦面411および第2摩擦面511の傾きの大きさを算出するための判定基準値として、例えば、第1傾き閾値と、第1傾き閾値より大きい第2傾き閾値が定められている。そして、制御装置80は、径方向係数kxおよび直交方向係数kyのいずれの絶対値も第1傾き閾値より小さい場合、第1摩擦面411および第2摩擦面511の傾きが比較的少ないと判定する。また、制御装置80は、径方向係数kxおよび直交方向係数kyの絶対値の少なくとも一方が第1傾き閾値より大きく、且ついずれの絶対値も第2傾き閾値より小さい場合、第1、第2摩擦面411、511の傾きが比較的大きいと判定する。さらに、制御装置80は、径方向係数kxおよび直交方向係数kyのいずれの絶対値も第2傾き閾値より大きい場合、第1、第2ブレーキパッド40、50の交換が必要なほどに第1、第2摩擦材41、51の少なくとも一方が偏摩耗していると判定する。
なお、制御装置80は、軸方向係数kzの値および予め定められた判定基準値を参照し、ブレーキ軸方向DRbに対する第1摩擦面411および第2摩擦面511の傾きの大きさを算出してもよい。
また、制御装置80は、ステップS20で第1摩擦面411および第2摩擦面511のうちの少なくとも一方が欠損していると判定した場合、軸方向係数kzの値および予め定められた判定基準値を参照し、欠損範囲の大きさを算出する。
第1摩擦面411および第2摩擦面511の欠損範囲の大きさを算出するための判定基準値として、例えば、第1欠損閾値と、第1欠損閾値より大きい第2摩耗閾値が定められている。そして、制御装置80は、軸方向係数kzが第1欠損閾値より小さい場合、欠損範囲が比較的少ないと判定し、軸方向係数kzが第1欠損範囲閾値より大きく、第2欠損閾値より小さい場合、欠損範囲が比較的大きいと判定する。さらに、制御装置80は、軸方向係数kzが第2欠損閾値より大きい場合、第1、第2ブレーキパッド40、50の交換が必要なほどに第1摩擦面411および第2摩擦面511のすくなくとも一方が欠損していると判定する。
ステップS28において、制御装置80は、検出した第1、第2摩擦材41、51の摩耗量および第1、第2摩擦面411、511の状態を外部へ出力する。例えば、制御装置80は、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量および第1、第2摩擦面411、511の状態に関する判定結果を、車室内に設けられた不図示の表示装置に出力することで、運転手に当該判定結果を通知可能に構成されていてもよい。または、制御装置80は、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量および第1、第2摩擦面411、511の状態に関する判定結果を、車両の外部の不図示のサーバまたはクラウドへ送信可能に構成されていてもよい。
以上の如く、本実施形態の荷重センサ70は、荷重算出部72が検出する3つの部位の第1歪み量および3つの部位の第2歪み量に基づいて、荷重面714aが受ける軸方向荷重Fzを算出する。これにより、荷重面714aに偏荷重Fが付与される場合であっても、荷重軸方向DRzの荷重を精度良く検出することができる。
そして、本実施形態の電動ブレーキシステム1は、当該荷重センサ70が用いられている。このため、第1摩擦材41および第2摩擦材51の少なくとも一方が偏摩耗することによってブレーキ荷重がブレーキ軸方向DRb以外の方向成分の荷重を含む場合であっても、ブレーキ反力における軸方向荷重Fzを精度良く検出することができる。
したがって、第1摩擦材41および第2摩擦材51の偏摩耗に起因して軸方向荷重Fzが目標ブレーキ荷重Fiから乖離する場合でも、軸方向荷重Fzを用いて電動モータ61の制御を行うことで、軸方向荷重Fzを目標ブレーキ荷重Fiに近付けることができる。
さらに、制御装置80は、軸方向荷重Fzが目標ブレーキ荷重Fiに乖離する場合、目標ブレーキ荷重Fiを得るために必要な補正後回転数Woに基づいて電動モータ61の回転数を調整する。このため、ブレーキ荷重が目標ブレーキ荷重Fiに乖離する場合、予め設定された回転数だけ電動モータ61を回転させてブレーキ荷重を調整する方法に比較して、軸方向荷重Fzを目標ブレーキ荷重Fiに速く近付けることができる。
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、荷重算出部72のホイートストンブリッジ回路721は、第1歪み量を検出する第1歪センサ721aと、第2歪み量を検出する第2歪センサ721bと有する。そして、荷重演算部722は、第1歪み量および第2歪み量に基づいて第3歪み量を算出する。このため、荷重算出部72が第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bを有するに加えて第3歪み量を検出する第3の歪センサを備える構成である場合に比較して、荷重算出部72を簡易な構成にすることができる。
(2)上記実施形態では、筐体71は、荷重面714aが荷重を受けることによって筐体71が変形する際に、支持部715bに比較して変形し易いダイヤフラム部715aを有する。そして、第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bは、ダイヤフラム部715aに取り付けられており、ダイヤフラム部715aと一体に歪む際の歪み量に応じて電気抵抗値が変化する。このため、筐体71がダイヤフラム部715aを有さない構成に比較して、第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bが筐体71の歪み量を検出し易くなる。
(3)上記実施形態では、ダイヤフラム部715aは、荷重軸方向DRzにおいて荷重面714aと重なる位置に設けられ、荷重軸方向DRzの大きさが、ダイヤフラム部715aの周囲の支持部715bに比較して小さく形成されている。これによれば、ダイヤフラム部715aを支持部715bに比較して剛性が小さい部材で構成する場合に比較して、簡易な構成で筐体71に変形し易い部位を設けることができる。
(4)上記実施形態では、ダイヤフラム部715aが、荷重面714aが延びる方向に沿って延びる実装面715cを有する。そして、第1歪センサ721aは、実装面715cに設けられており、実装面715cにおける第1歪み量を検出する。また、第2歪センサ721bは、実装面715cに設けられており、実装面715cにおける第2歪み量を検出する。このため、荷重面714aに対して平行に延びるダイヤフラム部715aは、荷重面714aにブレーキ反力が付与される際に、荷重面714aに直交する方向に比較して実装面715cが延びる方向に変形し易い。したがって、ホイートストンブリッジ回路721が荷重面714aに直交する方向の歪み量を検出する歪みセンサを有する構成に比較して、ダイヤフラム部715aの歪み量を検出し易くなる。
(5)上記実施形態では、筐体71は、内部に空間Sを有する中空形状であって、空間Sを囲む外壁部711を有する。そして、ホイートストンブリッジ回路721は、外壁部711における空間Sを囲む側の部位に設けられている。これによれば、ホイートストンブリッジ回路721を筐体71の内部に収容して外壁部711によって保護することができる。
(6)上記実施形態では、荷重演算部722は、3つの部位の第1歪み量および3つの部位の第2歪み量に基づいて、荷重面714aが受ける径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyを算出する。これにより、荷重面714aに偏荷重Fが付与される場合であっても、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyそれぞれの荷重を精度良く検出することができる。
(7)上記実施形態では、制御装置80は、前記ブレーキペダルが操作された際に決定される目標ブレーキ荷重Fiに基づいて電動モータ61の目標回転数Wiを決定する。そして、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際に荷重センサ70が求める軸方向荷重Fzと目標ブレーキ荷重Fiとの差である軸方向乖離ΔFzを算出し、算出した軸方向乖離ΔFzに基づいて第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を算出する。
ところで、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を検出する方法として、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量が所定の閾値となったことを検出する検出センサを荷重センサ70とは別に設ける方法がある。これによれば、例えば、所定の閾値を第1、第2ブレーキパッド40、50の交換が必要となる値に設定することで、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量が所定の閾値となった際に、第1、第2ブレーキパッド40、50の交換を運転者などに促すことができる。
しかしながら、荷重センサ70とは別に第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を検出するための検出センサを荷重センサ70とは別に設ける方法では、電動ブレーキシステム1のコストが上昇する要因となる。また、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量が所定の閾値となったことを検出する方法では、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量が所定の閾値となる前の摩耗量を検出することができない。したがって、当該方法では、第1、第2ブレーキパッド40、50の交換時期を予測するための情報を運転手に通知することが難しい。
これに対して、本実施形態の電動ブレーキシステム1は、ブレーキ荷重を検出する荷重センサ70の検出結果に基づいて第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を算出することができる。このため、荷重センサ70とは別に、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量の検出するための検出センサを設ける構成に比較して、電動ブレーキシステム1のコストを抑制できる。また、例えば、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を運転手に通知することで、運転手が第1、第2ブレーキパッド40、50の交換時期を予め予測することが可能になる。
(8)上記実施形態では、制御装置80は、前記ブレーキペダルが操作された際に決定される目標ブレーキ荷重Fiに基づいて電動モータ61の目標回転数Wiを決定する。そして、電動モータ61を目標回転数Wiで回転させた際に荷重センサ70が求める軸方向荷重Fzと目標ブレーキ荷重Fiとの差である軸方向乖離ΔFzに基づく軸方向係数kzに基づいて第1、第2摩擦面411、511の欠損を検出する。
これによれば、第1、第2摩擦面411、511が欠損する場合において、第1、第2ブレーキパッド40、50を電動ブレーキシステム1から取り外すことなく、第1、第2摩擦面411、511の欠損を検出することができる。
(9)上記実施形態では、第1、第2摩擦材41、51が偏摩耗することによって荷重面714aに受ける反力が偏荷重Fとなる場合、荷重センサ70によって、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyを求める。そして、制御装置80は、荷重センサ70が求める径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyに基づいて摩擦面の荷重軸方向DRzに対する傾きの大きさを算出する。これによれば、第1、第2摩擦材41、51が偏摩耗する場合において、第1、第2ブレーキパッド40、50を電動ブレーキシステム1から取り外すことなく、第1、第2摩擦面411、511の傾き状況を検出することができる。
(10)上記実施形態では、筐体71は、ブレーキ軸方向DRbに沿って延びる貫通穴73を有する円環状である。荷重センサ70は、当該貫通穴73に回転軸631が挿通されている。荷重算出部72は、筐体71のうち、回転軸631の周方向に沿う3つの部位の第1歪み量とおよび3つの第2歪み量を検出する。これによれば、荷重センサ70がこのような構成になっていない場合に比較して、回転軸631の回転によって発生するブレーキ荷重の反力を検出し易くできる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図32を参照して説明する。本実施形態では、荷重センサ70が筐体71および荷重算出部72に加えて変形強調部74を有する点が第1実施形態と相違している。これ以外は、第1実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図32に示すように、荷重センサ70は、ハウジング20における第2ハウジング22のシリンダ221から離隔して配置されている。そして、荷重センサ70は、筐体71とシリンダ221との間に設けられる変形強調部74を有する。換言すれば、本実施形態の荷重センサ70は、筐体71とシリンダ221との間の隙間に変形強調部74が配置されている。図示しないが、筐体71とシリンダ221との間の隙間に変形強調部74が3つ配置されている。変形強調部74は、ブレーキ反力を受けることによってダイヤフラム部715aが変形する際に、当該ダイヤフラム部715aの変形量を増加させるためのものである。
図32に示すように、変形強調部74は、シリンダ221のシリンダ底部221bに固定されている。具体的に、3つの変形強調部74それぞれは、シリンダ底部221bの第1ブレーキ方向DRb1側の内周面において、センサ底部715のダイヤフラム部715aに対向する位置に固定されている。すなわち、3つの変形強調部74それぞれは、ブレーキ軸方向DRbにおいてダイヤフラム部715aと重なる位置であって、ダイヤフラム部715aより第2ブレーキ方向DRb2側に配置されている。本実施形態では、第2ブレーキ方向DRb2が押圧方向に対応し、第1ブレーキ方向DRb1が反力方向に対応する。
さらに具体的に、3つの変形強調部74は、中心軸CLの周方向に沿って120°間隔でシリンダ底部221bに配置されており、ブレーキ軸方向DRbにおいて3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれと重なる位置に配置されている。そして、3つの変形強調部74は、一部がセンサ底部715において空間S側に向かって窪んで形成される窪部715dに挿入されている。
3つの変形強調部74は、互いに同じ構成であるため、以下では、3つの変形強調部74のうち1つの変形強調部74についてのみ詳細を説明し、残り2つの変形強調部74の詳細な説明は省略する。
変形強調部74は、図32に示すように、ブレーキ軸方向DRbにおける第1ブレーキ方向DRb1側に突出する形状であって、筐体71とは別体で構成されている。また、変形強調部74は、土台部741と、押圧部742とを有する。土台部741および押圧部742は、例えば、鉄などの金属によって構成されており、一体に形成されている。ただし、土台部741および押圧部742の材料を限定するものではなく、土台部741および押圧部742は、鉄とは異なる金属(例えばアルミ)で形成されていてもよいし、金属とは異なる材料(例えば、樹脂)で形成されていてもよい。
土台部741は、シリンダ底部221bに固定される部位である。土台部741は、板厚方向がブレーキ軸方向DRbである円盤形状であって、第2ブレーキ方向DRb2側の板面がシリンダ底部221bに固定されている。また、土台部741は、第1ブレーキ方向DRb1側の板面に押圧部742が連なっている。土台部741は、押圧部742を支持する支持部材である。なお、土台部741は、押圧部742を支持可能であれば、円盤形状とは異なる形状(例えば、直方体形状)であってもよい。
押圧部742は、ブレーキ反力を受ける際に、ダイヤフラム部715aを押圧する部材である。押圧部742は、ブレーキ軸方向DRbに沿って延びる円柱形状であって、ブレーキ軸方向DRbに直交する断面形状が略真円となっている。そして、押圧部742は、第2ブレーキ方向DRb2側が土台部741に連なっている。
また、押圧部742は、ブレーキ軸方向DRbの大きさが窪部715dのブレーキ軸方向DRbの大きさ(すなわち、深さ方向の大きさ)より大きく形成されるとともに、外径が窪部715dの内径よりも小さく形成されている。すなわち、押圧部742は、窪部715dに挿入可能な大きさで形成されている。
本実施形態の押圧部742は、一部が窪部715dに挿入されており、第1ブレーキ方向DRb1側の端部がダイヤフラム部715aに対向している。また、押圧部742は、ダイヤフラム部715aに接触しているが、接続はされていない。そして、押圧部742は、荷重センサ70がブレーキ反力を受けていない状態では、ダイヤフラム部715aを押圧していない。
なお、押圧部742の形状は、ブレーキ軸方向DRbに直交する断面形状が略真円の円柱形状に限定されない。例えば、押圧部742の形状は、ブレーキ軸方向DRbに直交する断面形状が楕円の円柱形状であってもよい。また、押圧部742の形状は、ブレーキ軸方向DRbに直交する断面形状が四角形などの多角形である角柱形状であってもよい。また、押圧部742の第1ブレーキ方向DRb1側の端部が第1ブレーキ方向DRb1側へ膨らんだ形状であってもよい。
続いて、図33を参照して、荷重センサ70の作動について説明する。運転者によってブレーキペダルPが踏込操作されると、ブレーキロータRにブレーキ荷重が発生し、回転軸631にブレーキ反力が発生する。そして、発生したブレーキ反力は、スラスト軸受633を介して荷重センサ70に伝達される。荷重センサ70は、スラスト軸受633を介して伝達されるブレーキ反力を検出する。
ここで、荷重センサ70は、荷重面714aがスラスト軸受633によって第2ブレーキ方向DRb2側に押圧されて筐体71が変形するところ、筐体71の歪み量に基づいてブレーキ反力を検出する。具体的に、荷重センサ70は、ブレーキ反力によって筐体71のダイヤフラム部715aが変形する際に、ダイヤフラム部715aに設けられたホイートストンブリッジ回路721の第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bの歪み量の変化を検出する。
ところで、本実施形態の荷重センサ70は、ダイヤフラム部715aに対向する位置に変形強調部74が設けられている。そして、荷重センサ70がスラスト軸受633によって押圧されて第2ブレーキ方向DRb2側に移動すると、ダイヤフラム部715aの第2ブレーキ方向DRb2側が変形強調部74の押圧部742によって第1ブレーキ方向DRb1側へ押圧される。換言すれば、変形強調部74は、筐体71が第2ブレーキ方向DRb2側へ移動する際、荷重面714aが押圧される第2ブレーキ方向DRb2側とは反対側の第1ブレーキ方向DRb1側へダイヤフラム部715aを押圧する。
すると、ダイヤフラム部715aは、図33に示すように、第1ブレーキ方向DRb1側へ膨らむように変形する。そして、ダイヤフラム部715aの変形に伴い、ダイヤフラム部715aに設けられた第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bも変化する。これにより、第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bの電気抵抗値が変化する。
ここで、荷重センサ70が変形強調部74を備える場合と備えない場合とでダイヤフラム部715aの変形量の違いについて説明する。荷重センサ70に変形強調部74が設けられていない場合、荷重面714aがブレーキ反力によって押圧されると、荷重センサ70は、筐体71が第2ブレーキ方向DRb2側へ移動しつつ筐体71全体が変形する。この際、ブレーキ反力は、筐体71全体に影響を与え、筐体71全体を変形させる。
これに対して、荷重センサ70に変形強調部74が設けられている場合、荷重面714aがブレーキ反力によって押圧されると、荷重センサ70は、筐体71におけるダイヤフラム部715aを除く部分が第2ブレーキ方向DRb2側へ移動する。しかし、ダイヤフラム部715aは、筐体71におけるダイヤフラム部715aを除く部分が第2ブレーキ方向DRb2側へ移動することで、変形強調部74によって第1ブレーキ方向DRb1側へ押圧される。
このため、ブレーキ反力は、筐体71のうち、ダイヤフラム部715aに集中し、ダイヤフラム部715aを他の部分よりも大きく変形させる。すなわち、変形強調部74は、荷重センサ70が変形強調部74を備えていない場合に比較してダイヤフラム部715aの変形量を大きくすることができる。
したがって、荷重演算部722がダイヤフラム部715aに生じる歪み量に応じて変化する第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bの電気抵抗値の相対変化を検出する際、電気抵抗値の相対変化を検出し易くできる。これによれば、荷重センサ70が荷重面714aに付与される荷重を検出する際の検出感度を向上させることができる。
(第2実施形態の第1の変形例)
上述の第2実施形態では、変形強調部74が筐体71とは別体で構成されており、押圧部742がダイヤフラム部715aに接続されていない例について説明したが、これに限定されない。例えば、変形強調部74は、筐体71と一体に構成されていてもよい。また、変形強調部74は、押圧部742とダイヤフラム部715aとが溶接、接着などの手法によって接続されていてもよい。
(第2実施形態の第2の変形例)
上述の第2実施形態では、3つの変形強調部74がブレーキ軸方向DRbにおいて3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれと重なる位置に配置されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、変形強調部74は、荷重センサ70に3つより少ない数だけ設けられていてもよいし、3つより多い数だけ設けられていてもよい。また、変形強調部74は、ブレーキ軸方向DRbにおいて3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれと重ならない位置に配置されていてもよい。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、荷重算出部72のホイートストンブリッジ回路721が第1歪み量を検出する第1歪センサ721aと、第2歪み量を検出する第2歪センサ721bを有する。そして、荷重演算部722が、第1歪センサ721aが検出する第1歪み量および第2歪センサ721bが検出する第2歪み量に基づいて、第3歪み量を算出する例について説明したが、これに限定されない。
例えば、荷重算出部72は、第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bを有するホイートストンブリッジ回路721に加えて第3歪み量を検出する歪みセンサを有する構成であってもよい。
上述の実施形態では、荷重算出部72が、3つのホイートストンブリッジ回路721および荷重演算部722を有する。また、3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれが荷重径方向DRxの歪みを検出する第1歪センサ721aと、荷重直交方向DRyの歪みを検出する第2歪センサ721bと、第1抵抗部721cと、第2抵抗部721d、と有する。そして、荷重演算部722が、3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれの電圧値に基づいて、荷重径方向DRx、荷重直交方向DRy、荷重軸方向DRzそれぞれの歪み量を算出する例について説明したが、これに限定されない。
例えば、荷重算出部72は、6つのホイートストンブリッジ回路721および荷重演算部722を有する構成でもよい。この場合、6つのホイートストンブリッジ回路721のうち、3つのホイートストンブリッジ回路721は、荷重径方向DRxの歪みを検出する第1歪センサ721aおよび3つの抵抗部を有する構成であってもよい。そして、6つのホイートストンブリッジ回路721のうち、残り3つのホイートストンブリッジ回路721は、荷重直交方向DRyの歪みを検出する第2歪センサ721bおよび3つの抵抗部を有する構成であってもよい。そして、荷重演算部722は、6つのホイートストンブリッジ回路721それぞれの電圧値に基づいて、荷重径方向DRx、荷重直交方向DRy、荷重軸方向DRzそれぞれの歪み量を算出してもよい。
上述の実施形態では、3つのホイートストンブリッジ回路721それぞれが荷重径方向DRxの歪み量を検出する第1歪センサ721aおよび荷重直交方向DRyの歪み量を検出する第2歪センサ721bを有する例について説明したが、これに限定されない。複数の部位の荷重径方向DRxの歪み量および荷重直交方向DRyの歪み量を検出可能であれば、ホイートストンブリッジ回路721は、荷重径方向DRxおよび荷重直交方向DRyのいずれか一方の歪み量のみを検出する構成であってもよい。例えば、荷重算出部72は、第1歪センサ721aのみを有する2つ以上のホイートストンブリッジ回路721と、第2歪センサ721bのみを有する2つ以上のホイートストンブリッジ回路721を備える構成であってもよい。
上述の実施形態では、荷重算出部72は、ホイートストンブリッジ回路721を3つ有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、荷重算出部72は、ホイートストンブリッジ回路721を2つ有する構成であってもよいし、ホイートストンブリッジ回路721を4つ以上有する構成であってもよい。ホイートストンブリッジ回路721を2つ有する構成である場合、ホイートストンブリッジ回路721を3つ有する構成である場合に比較して荷重センサ70のコストを抑制できる。また、ホイートストンブリッジ回路721を4つ以上有する構成である場合、ホイートストンブリッジ回路721の数量を増やすほど、荷重センサ70の検出精度を向上させることができる。
上述の実施形態では、実装面715cに第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bが設けられている例について説明したが、これに限定されない。第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bは、荷重受部714に設けられてもよいし、支持部715bに設けられてもよい。
上述の実施形態では、荷重算出部72が空間Sを囲む外壁部711における空間S側の部位に設けられる例について説明したが、これに限定されない。例えば、荷重算出部72は、外壁部711における空間S側とは反対側の部位に設けられてもよい。
上述の実施形態では、筐体71が変形し易いダイヤフラム部715aを有し、第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bがダイヤフラム部715aに取り付けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、筐体71は、ダイヤフラム部715aを有さない構成であってもよい。この場合、第1歪センサ721aおよび第2歪センサ721bは、例えば、支持部715bに取り付けられてもよい。
上述の実施形態では、荷重センサ70の筐体71が円環中空形状である例について説明したが、これに限定されない。荷重センサ70の筐体71の形状は、設置場所や検出する荷重に合わせて適宜設計することが可能である。
上述の実施形態では、ダイヤフラム部715aがダイヤフラム部715aの周囲の支持部715bに比較しての荷重軸方向DRzの大きさが小さく形成され、支持部715bに比較して変形し易くなっている例について説明したが、これに限定されない。例えば、ダイヤフラム部715aが支持部715b比較して剛性が小さい部材によって構成されることで、支持部715bよりも変形し易く構成されていてもよい。
上述の実施形態では、制御装置80が、軸方向乖離ΔFzを算出し、算出した軸方向乖離ΔFzに基づいて第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を算出する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御装置80は、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を算出しない構成でもよい。
上述の実施形態では、制御装置80が、径方向荷重Fxおよび直交方向荷重Fyに基づいて第1、第2摩擦面411、511のブレーキ軸方向DRbに対する傾きの大きさを算出する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御装置80は、第1、第2摩擦面411、511のブレーキ軸方向DRbに対する傾きの大きさを算出しない構成でもよい。
上述の実施形態では、制御装置80が、軸方向係数kzを算出し、算出した軸方向係数kzに基づいて第1、第2摩擦材41、51の欠損を検出する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御装置80は、第1、第2摩擦材41、51の欠損を算出しない構成でもよい。
上述の実施形態では、制御装置80がフィードバック制御を行う際に、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzの推移に基づいて、関係式Fz(W)を求める。そして、制御装置80が、関係式Fz(W)および目標ブレーキ荷重Fiに基づいて算出した補正回転数dWだけ電動モータ61を回転させて、ブレーキ荷重が目標ブレーキ荷重Fiに近づくように制御する例について説明したが、これに限定されない。
例えば、制御装置80は、荷重センサ70が算出する軸方向荷重Fzが目標ブレーキ荷重Fiに乖離する場合、予め設定された回転数だけ電動モータ61を回転させてブレーキ荷重が目標ブレーキ荷重Fiに近づくように制御してもよい。
上述の実施形態では、制御装置80が、軸方向係数kzの値および予め定められた判定基準値としての第1摩耗閾値および第2摩耗閾値を参照し、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を判定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御装置80は、軸方向係数kzの値および予め定められた1つの判定基準値または3つ以上の判断基準値を参照して、第1、第2摩擦材41、51の摩耗量を判定してもよい。または、制御装置80は、軸方向係数kzの値および予め実験等によって得られた制御マップを参照して、第1、第2摩擦材41、51の具体的な摩耗量の値を算出してもよい。
上述の実施形態では、制御装置80が、軸方向係数kzの値および予め定められた判定基準値としての第1欠損閾値および第2欠損閾値を参照し、第1、第2摩擦面411、511の欠損範囲の大きさを判定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御装置80は、軸方向係数kzの値および予め定められた1つの判定基準値または3つ以上の判断基準値を参照して、第1、第2摩擦面411、511の欠損範囲の大きさを判定してもよい。または、制御装置80は、軸方向係数kzの値および予め実験等によって得られた制御マップを参照して、第1、第2摩擦面411、511の具体的な欠損範囲の大きさを算出してもよい。
上述の実施形態では、制御装置80が、径方向係数kxの値、直交方向係数kyの値および判定基準値としての第1傾き閾値および第2傾き閾値を参照し、第1、第2摩擦面411、511の傾きの大きさを判定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御装置80は、径方向係数kxの値、直交方向係数kyの値および予め定められた1つの判定基準値または3つ以上の判断基準値を参照して、第1、第2摩擦面411、511の傾きの大きさを判定してもよい。または、制御装置80は、径方向係数kxの値、直交方向係数kyの値および予め実験等によって得られた制御マップを参照して、第1、第2摩擦面411、511の具体的な傾きの大きさを算出してもよい。
上述の実施形態では、荷重算出部72のホイートストンブリッジ回路721が第1歪み量を検出する第1歪センサ721aと、第2歪み量を検出する第2歪センサ721bを有する。そして、荷重演算部722が、第1歪センサ721aが検出する第1歪み量および第2歪センサ721bが検出する第2歪み量に基づいて、第3歪み量を算出する例について説明したが、これに限定されない。
例えば、荷重算出部72のホイートストンブリッジ回路721は、第1歪み量を検出する第1歪センサ721aおよび第2歪み量を検出する第2歪センサ721bのうち、どちらか一方のみの歪センサを有する構成であってもよい。この場合、荷重演算部722は、第1歪センサ721aが検出する第1歪み量および第2歪センサ721bが検出する第2歪み量のうち、どちらか一方のみの歪み量に基づいて、第3歪み量を算出してもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(本発明の特徴)
[請求項1]
荷重を検出する荷重センサであって、
荷重を受ける荷重面(714a)を有し、前記荷重面が荷重を受けることによって変形する筐体(71)と、
前記荷重面に沿う方向を第1方向(DRx)、前記荷重面に沿う方向、且つ、前記第1方向に交差する方向を第2方向(DRy)としたとき、前記荷重面に受ける荷重によって前記筐体が変形する際に、前記筐体における複数の部位の前記第1方向の歪み量である第1歪み量および前記筐体における複数の部位の前記第2方向の歪み量である第2歪み量のうち、少なくとも一方の歪み量を検出する歪み検出部(72)と、
前記歪み検出部が検出する前記複数の部位の前記第1歪み量および前記複数の部位の前記第2歪み量のうち、前記複数の部位の少なくとも一方の歪み量に基づいて、前記荷重面が受ける荷重のうち、前記荷重面に交差する第3方向(DRz)にかかる面直交荷重(Fz)を求める荷重演算部(722)と、を備えた荷重センサ。
[請求項2]
荷重を検出する荷重センサであって、
荷重を受ける荷重面(714a)を有し、前記荷重面が荷重を受けることによって変形する筐体(71)と、
前記荷重面に沿う方向を第1方向(DRx)、前記荷重面に沿う方向、且つ、前記第1方向に交差する方向を第2方向(DRy)としたとき、前記荷重面に受ける荷重によって前記筐体が変形する際に、前記筐体における複数の部位の前記第1方向の歪み量である第1歪み量および前記筐体における複数の部位の前記第2方向の歪み量である第2歪み量を検出する歪み検出部(72)と、
前記歪み検出部が検出する前記複数の部位の前記第1歪み量および前記複数の部位の前記第2歪み量に基づいて、前記荷重面が受ける荷重のうち、前記荷重面に交差する第3方向(DRz)にかかる面直交荷重(Fz)を求める荷重演算部(722)と、を備えた荷重センサ。
[請求項3]
前記歪み検出部は、前記複数の部位の前記第1歪み量を検出する複数の第1歪センサ(721a)および前記複数の部位の前記第2歪み量を検出する複数の第2歪センサ(721b)を有し、
前記荷重演算部は、前記複数の第1歪センサが検出する前記複数の部位の前記第1歪み量および前記複数の第2歪センサが検出する前記複数の部位の前記第2歪み量に基づいて、前記筐体における複数の部位の前記第3方向の歪み量である第3歪み量を算出し、算出した複数の部位の前記第3歪み量に基づいて前記面直交荷重を求める請求項2に記載の荷重センサ。
[請求項4]
前記筐体は、前記荷重面が荷重を受けることによって変形する際に、自身の周囲の部位に比較して変形し易い低剛性部(715a)を有し、
前記複数の第1歪センサおよび前記複数の第2歪センサは、前記低剛性部に取り付けられており、前記低剛性部と一体に歪む際の歪み量に応じて電気抵抗値が変化する請求項3に記載の荷重センサ。
[請求項5]
前記低剛性部は、前記第3方向において前記荷重面と重なる位置に設けられ、前記第3方向の大きさが、前記低剛性部の周囲の部位に比較して小さく形成されている請求項4に記載の荷重センサ。
[請求項6]
前記低剛性部は、前記荷重面が延びる方向に沿って延びる実装面(715c)を有し、
前記複数の第1歪センサは、前記実装面に設けられており、前記実装面における前記第1歪み量を検出し、
前記複数の第2歪センサは、前記実装面に設けられており、前記実装面における前記第2歪み量を検出する請求項5に記載の荷重センサ。
[請求項7]
前記低剛性部が変形する際の変形量を増加させる変形強調部(74)を備え、
前記変形強調部は、前記第3方向における前記荷重面が押圧される方向を押圧方向とし、前記押圧方向に反対する方向を反力方向としたとき、前記第3方向において前記低剛性部と重なる位置であって、前記低剛性部より前記押圧方向側に設けられ、前記荷重面が荷重を受けることによって前記筐体が前記押圧方向側へ移動する際、前記低剛性部を前記反力方向側へ押圧する請求項4ないし6のいずれか1つに記載の荷重センサ。
[請求項8]
前記筐体は、内部に空間(S)を有する中空形状であって、前記空間を囲む外壁部(711)を有し、
前記歪み検出部は、前記外壁部における前記空間を囲む側の部位に設けられている請求項2ないし7のいずれか1つに記載の荷重センサ。
[請求項9]
前記荷重演算部は、前記歪み検出部が検出する前記複数の部位の前記第1歪み量および前記複数の部位の前記第2歪み量に基づいて、前記荷重面が受ける荷重のうち、前記第1方向にかかる第1荷重(Fx)および前記第2方向にかかる第2荷重(Fy)を算出する請求項2ないし8のいずれか1つに記載の荷重センサ。
[請求項10]
請求項1ないし9のいずれか1つに記載の荷重センサと、
ブレーキペダル(P)と、
ブレーキロータ(R)と、
前記ブレーキロータに制動力を発生させる摩擦材(41、51)と、
前記摩擦材を前記ブレーキロータに押圧させるピストン(30)と、
回転力を出力する電動モータ(61)と、
前記電動モータが出力する回転力によって回転軸心(SC)を中心に回転する回転軸(631)を有し、前記電動モータが出力する回転力を変換して、前記ピストンが前記摩擦材を前記回転軸心の軸心方向に向けて前記ブレーキロータに押圧するための駆動力を出力する運動変換機構(63)と、
前記ブレーキペダルの開度量に基づいて前記摩擦材が前記ブレーキロータを押圧する際の目標の荷重である目標ブレーキ荷重を決定するとともに、決定した前記目標ブレーキ荷重に基づいて前記電動モータの回転数を制御する制御装置(80)と、を備え、
前記荷重センサは、前記第3方向が前記軸心方向に沿うように前記運動変換機構に取り付けられており、前記運動変換機構の駆動力によって前記ピストンが前記摩擦材を押圧する際に、前記運動変換機構に発生する反力を前記荷重面に受けることで、前記摩擦材が前記ブレーキロータを前記軸心方向に押圧する際の前記面直交荷重を求め、
前記制御装置は、前記荷重センサが求める前記面直交荷重が前記目標ブレーキ荷重に近づくように前記電動モータの回転数を制御する電動ブレーキシステム。
[請求項11]
前記制御装置は、前記ブレーキペダルが操作された際に決定される前記目標ブレーキ荷重に基づいて前記電動モータの目標回転数を決定するとともに、前記電動モータを前記目標回転数で回転させた際に前記荷重センサが求める前記面直交荷重と前記目標ブレーキ荷重との差を算出し、算出した前記荷重センサが求める前記面直交荷重と前記目標ブレーキ荷重との差に基づいて前記摩擦材の摩耗量を算出する請求項10に記載の電動ブレーキシステム。
[請求項12]
前記制御装置は、前記ブレーキペダルが操作された際に決定される前記目標ブレーキ荷重に基づいて前記電動モータの目標回転数を決定するとともに、前記電動モータを前記目標回転数で回転させた際に前記荷重センサが求める前記面直交荷重と前記目標ブレーキ荷重との差を算出し、算出した前記荷重センサが求める前記面直交荷重と前記目標ブレーキ荷重との差に基づいて前記摩擦材の欠損を検出する請求項10または11に記載の電動ブレーキシステム。
[請求項13]
前記荷重センサは、前記摩擦材が偏摩耗することによって前記荷重面が受ける反力が偏荷重となる場合、前記第1方向にかかる荷重および前記第2方向にかかる荷重を求め、
前記制御装置は、前記荷重センサが求める前記第1方向にかかる荷重および前記第2方向にかかる荷重に基づいて前記摩擦材における前記ブレーキロータに当接する面の軸心方向に対する傾きの大きさを算出する請求項9ないし12のいずれか1つに記載の電動ブレーキシステム。
[請求項14]
前記筐体は、前記第3方向に沿って延びる貫通穴(73)を有する円環状であって、
前記荷重センサは、前記貫通穴に前記回転軸が挿通されており、
前記歪み検出部は、前記筐体のうち、前記回転軸の周方向に沿う複数の部位の前記第1歪み量および複数の部位の前記第2歪み量を検出する請求項9ないし13のいずれか1つに記載の電動ブレーキシステム。
71 筐体
72 歪み検出部
722 荷重演算部
714a 荷重面
DRx 第1方向
DRy 第2方向
Fz 面直交荷重

Claims (14)

  1. 荷重を検出する荷重センサであって、
    荷重を受ける荷重面(714a)を有し、前記荷重面が荷重を受けることによって変形する筐体(71)と、
    前記荷重面に沿う方向を第1方向(DRx)、前記荷重面に沿う方向、且つ、前記第1方向に交差する方向を第2方向(DRy)としたとき、前記荷重面に受ける荷重によって前記筐体が変形する際に、前記筐体における複数の部位の前記第1方向の歪み量である第1歪み量および前記筐体における複数の部位の前記第2方向の歪み量である第2歪み量のうち、少なくとも一方の歪み量を検出する歪み検出部(72)と、
    前記歪み検出部が検出する前記複数の部位の前記第1歪み量および前記複数の部位の前記第2歪み量のうち、前記複数の部位の少なくとも一方の歪み量に基づいて、前記荷重面が受ける荷重のうち、前記荷重面に交差する第3方向(DRz)にかかる面直交荷重(Fz)を求める荷重演算部(722)と、を備えた荷重センサ。
  2. 荷重を検出する荷重センサであって、
    荷重を受ける荷重面(714a)を有し、前記荷重面が荷重を受けることによって変形する筐体(71)と、
    前記荷重面に沿う方向を第1方向(DRx)、前記荷重面に沿う方向、且つ、前記第1方向に交差する方向を第2方向(DRy)としたとき、前記荷重面に受ける荷重によって前記筐体が変形する際に、前記筐体における複数の部位の前記第1方向の歪み量である第1歪み量および前記筐体における複数の部位の前記第2方向の歪み量である第2歪み量を検出する歪み検出部(72)と、
    前記歪み検出部が検出する前記複数の部位の前記第1歪み量および前記複数の部位の前記第2歪み量に基づいて、前記荷重面が受ける荷重のうち、前記荷重面に交差する第3方向(DRz)にかかる面直交荷重(Fz)を求める荷重演算部(722)と、を備えた荷重センサ。
  3. 前記歪み検出部は、前記複数の部位の前記第1歪み量を検出する複数の第1歪センサ(721a)および前記複数の部位の前記第2歪み量を検出する複数の第2歪センサ(721b)を有し、
    前記荷重演算部は、前記複数の第1歪センサが検出する前記複数の部位の前記第1歪み量および前記複数の第2歪センサが検出する前記複数の部位の前記第2歪み量に基づいて、前記筐体における複数の部位の前記第3方向の歪み量である第3歪み量を算出し、算出した複数の部位の前記第3歪み量に基づいて前記面直交荷重を求める請求項2に記載の荷重センサ。
  4. 前記筐体は、前記荷重面が荷重を受けることによって変形する際に、自身の周囲の部位に比較して変形し易い低剛性部(715a)を有し、
    前記複数の第1歪センサおよび前記複数の第2歪センサは、前記低剛性部に取り付けられており、前記低剛性部と一体に歪む際の歪み量に応じて電気抵抗値が変化する請求項3に記載の荷重センサ。
  5. 前記低剛性部は、前記第3方向において前記荷重面と重なる位置に設けられ、前記第3方向の大きさが、前記低剛性部の周囲の部位に比較して小さく形成されている請求項4に記載の荷重センサ。
  6. 前記低剛性部は、前記荷重面が延びる方向に沿って延びる実装面(715c)を有し、
    前記複数の第1歪センサは、前記実装面に設けられており、前記実装面における前記第1歪み量を検出し、
    前記複数の第2歪センサは、前記実装面に設けられており、前記実装面における前記第2歪み量を検出する請求項5に記載の荷重センサ。
  7. 前記低剛性部が変形する際の変形量を増加させる変形強調部(74)を備え、
    前記変形強調部は、前記第3方向における前記荷重面が押圧される方向を押圧方向とし、前記押圧方向に反対する方向を反力方向としたとき、前記第3方向において前記低剛性部と重なる位置であって、前記低剛性部より前記押圧方向側に設けられ、前記荷重面が荷重を受けることによって前記筐体が前記押圧方向側へ移動する際、前記低剛性部を前記反力方向側へ押圧する請求項4ないし6のいずれか1つに記載の荷重センサ。
  8. 前記筐体は、内部に空間(S)を有する中空形状であって、前記空間を囲む外壁部(711)を有し、
    前記歪み検出部は、前記外壁部における前記空間を囲む側の部位に設けられている請求項2ないし6のいずれか1つに記載の荷重センサ。
  9. 前記荷重演算部は、前記歪み検出部が検出する前記複数の部位の前記第1歪み量および前記複数の部位の前記第2歪み量に基づいて、前記荷重面が受ける荷重のうち、前記第1方向にかかる第1荷重(Fx)および前記第2方向にかかる第2荷重(Fy)を算出する請求項2ないし6のいずれか1つに記載の荷重センサ。
  10. 請求項1または2に記載の荷重センサと、
    ブレーキペダル(P)と、
    ブレーキロータ(R)と、
    前記ブレーキロータに制動力を発生させる摩擦材(41、51)と、
    前記摩擦材を前記ブレーキロータに押圧させるピストン(30)と、
    回転力を出力する電動モータ(61)と、
    前記電動モータが出力する回転力によって回転軸心(SC)を中心に回転する回転軸(631)を有し、前記電動モータが出力する回転力を変換して、前記ピストンが前記摩擦材を前記回転軸心の軸心方向に向けて前記ブレーキロータに押圧するための駆動力を出力する運動変換機構(63)と、
    前記ブレーキペダルの開度量に基づいて前記摩擦材が前記ブレーキロータを押圧する際の目標の荷重である目標ブレーキ荷重を決定するとともに、決定した前記目標ブレーキ荷重に基づいて前記電動モータの回転数を制御する制御装置(80)と、を備え、
    前記荷重センサは、前記第3方向が前記軸心方向に沿うように前記運動変換機構に取り付けられており、前記運動変換機構の駆動力によって前記ピストンが前記摩擦材を押圧する際に、前記運動変換機構に発生する反力を前記荷重面に受けることで、前記摩擦材が前記ブレーキロータを前記軸心方向に押圧する際の前記面直交荷重を求め、
    前記制御装置は、前記荷重センサが求める前記面直交荷重が前記目標ブレーキ荷重に近づくように前記電動モータの回転数を制御する電動ブレーキシステム。
  11. 前記制御装置は、前記ブレーキペダルが操作された際に決定される前記目標ブレーキ荷重に基づいて前記電動モータの目標回転数を決定するとともに、前記電動モータを前記目標回転数で回転させた際に前記荷重センサが求める前記面直交荷重と前記目標ブレーキ荷重との差を算出し、算出した前記荷重センサが求める前記面直交荷重と前記目標ブレーキ荷重との差に基づいて前記摩擦材の摩耗量を算出する請求項10に記載の電動ブレーキシステム。
  12. 前記制御装置は、前記ブレーキペダルが操作された際に決定される前記目標ブレーキ荷重に基づいて前記電動モータの目標回転数を決定するとともに、前記電動モータを前記目標回転数で回転させた際に前記荷重センサが求める前記面直交荷重と前記目標ブレーキ荷重との差を算出し、算出した前記荷重センサが求める前記面直交荷重と前記目標ブレーキ荷重との差に基づいて前記摩擦材の欠損を検出する請求項10に記載の電動ブレーキシステム。
  13. 前記荷重センサは、前記摩擦材が偏摩耗することによって前記荷重面が受ける反力が偏荷重となる場合、前記第1方向にかかる荷重および前記第2方向にかかる荷重を求め、
    前記制御装置は、前記荷重センサが求める前記第1方向にかかる荷重および前記第2方向にかかる荷重に基づいて前記摩擦材における前記ブレーキロータに当接する面の軸心方向に対する傾きの大きさを算出する請求項10に記載の電動ブレーキシステム。
  14. 前記筐体は、前記第3方向に沿って延びる貫通穴(73)を有する円環状であって、
    前記荷重センサは、前記貫通穴に前記回転軸が挿通されており、
    前記歪み検出部は、前記筐体のうち、前記回転軸の周方向に沿う複数の部位の前記第1歪み量および複数の部位の前記第2歪み量を検出する請求項10に記載の電動ブレーキシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN118405112A (zh) * 2024-07-02 2024-07-30 比亚迪股份有限公司 Epb电机异常诊断方法及存储介质、控制器、车辆

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