JP2023050020A - 容器詰タンパク飲料およびその製造方法 - Google Patents

容器詰タンパク飲料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】乳タンパクを含有しながらも、止渇性を備え、かつ乳タンパク由来の収斂味が抑制された容器詰タンパク飲料を提供する。【解決手段】乳タンパクを8000~40000ppm含有し、ポリフェノールを0.5~17ppm含有し、Brixが7.5以下であることを特徴とする容器詰タンパク飲料。当該容器詰タンパク飲料においては、ポリフェノール含有量に対する乳タンパク含有量の比率(乳タンパク/ポリフェノール)が30.0×103以下であることが好ましい。さらに、容器詰タンパク飲料の製造方法、および容器詰タンパク飲料における収斂味の抑制方法も提供される。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 1.ウェブサイトでの公開 https://www.amazon.co.jp/伊藤園-Smarts-Water-ウォーター500ml/dp/B08VT28M25/ 公開者:Amazon ウェブサイトの掲載日:令和3年2月7日 2.ウェブサイトでの公開 https://www.itoen.co.jp/whatsnew/detail.php?id=25683 公開者:株式会社 伊藤園 ウェブサイトの掲載日:令和3年2月9日 3.販売 販売した場所:全国 公開者:株式会社 伊藤園 販売開始日:令和3年2月22日
本発明は、容器詰タンパク飲料に関し、より詳細には、低Brixでありながらタンパク由来の収斂味が抑制された容器詰タンパク飲料に関する。さらに本発明は、容器詰タンパク飲料の製造方法、および容器詰タンパク飲料における収斂味の抑制方法にも関する。
近年消費者の間では健康維持のため、たんぱく質を摂取する傾向にある。特に手軽かつ効率的に摂取できるタンパク飲料は近年市場の伸びが著しく、コンビニエンスストアをはじめとした多くの店頭にて様々な商品が展開されており、また技術的にもいくつかの提案がなされている(例えば、特許文献1~2参照)。これら従来のタンパク飲料は、運動時に筋力の増強を補助する目的での飲用が主体となっている。しかし近年は、社会の高齢化が進む中で、日常生活におけるタンパク質の不足を補う目的での飲用ニーズが広がっている。そのようなニーズに対して、水や茶類のようにゴクゴク飲めるような、止渇性を兼ね備えたタンパク飲料はこれまでほとんど販売されてこなかった。
特開2016-158602号公報 特表2007-525996号公報
特に乳由来のタンパク質を含有する飲料において止渇性を備えるためには、例えば、いわゆるニアウォーターのようにBrixを低く設計することが考えられる。しかし、Brixを低く設計すると、乳タンパクに由来する収斂味が顕著に感じられるようになってしまい、飲料として適当でないものになってしまう。止渇性を備えたタンパク飲料がほとんど販売されてこなかった理由には、このような技術的困難性が挙げられる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、乳タンパクを含有しながらも、止渇性を備え、かつ乳タンパク由来の収斂味が抑制された容器詰タンパク飲料を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者等が鋭意検討したところ、乳タンパク質を含有する飲料において、Brixを低く調整することで止渇性を備えつつ、所定量のポリフェノールを配合することにより、Brixを低く設計したが故に生じやすい乳タンパク由来の収斂味を抑制することを見出し、本発明が完成されるに至った。具体的には、本発明は以下のとおりである。
〔1〕 乳タンパクを8000~40000ppm含有し、
ポリフェノールを0.5~17ppm含有し、
Brixが7.5以下であることを特徴とする容器詰タンパク飲料。
〔2〕 前記ポリフェノール含有量に対する前記乳タンパク含有量の比率(乳タンパク/ポリフェノール)が30×10以下であることを特徴とする〔1〕に記載の容器詰タンパク飲料。
〔3〕 前記ポリフェノールが緑茶、柚子、コーヒー、ぶどう果皮および大豆種皮からなる群より選択される1種又は2種以上に由来するポリフェノールであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の容器詰タンパク飲料。
〔4〕 酸味料を含むことを特徴とする〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の容器詰タンパク飲料。
〔5〕 前記酸味料がリン酸、クエン酸、及び乳酸からなる群から選択される1種又は2種以上である〔4〕に記載の容器詰タンパク飲料。
〔6〕 ショ類を含む〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の容器詰タンパク飲料。
〔7〕 容器詰タンパク飲料の製造方法であって、
乳タンパク質の含有量を8000~40000ppmに調整する工程と、
Brixを7.5以下に調整する工程と、
ポリフェノール含有量を0.5~17ppmに調整する工程と
を含む、容器詰タンパク飲料の製造方法。
〔8〕 容器詰タンパク飲料の収斂味抑制方法であって、
乳タンパク質の含有量を8000~40000ppmに調整する工程と、
Brixを7.5以下に調整する工程と、
ポリフェノール含有量を0.5~17ppmに調整する工程と
を含む、容器詰タンパク飲料の収斂味抑制方法。
本発明の容器詰タンパク飲料は、乳タンパクを含有しながらも、止渇性を備え、かつ乳タンパク由来の収斂味が抑制された、嗜好的に好ましいものとなる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、乳タンパクを含有しつつ低Brixであり、かつポリフェノールを所定量含有するものである。
(乳タンパク)
本実施形態で用いる乳タンパクは、乳に由来するタンパク質のほか、かかるタンパク質を酵素等で処理して得られた各種ペプチドや各種アミノ酸をも含む。乳タンパクが由来する乳は、哺乳類由来の乳であってよく、例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等に由来する乳であってよいが、ウシ由来の乳(すなわち牛乳)が好ましい。
乳タンパクは、カゼインとホエイ(乳清)タンパクとにほぼ大別される。カゼインは、例えば牛乳においては全タンパク質の約80%を占めており、乳に酸を加えて等電点にすると沈殿することが知られている。一方、ホエイ(乳清)タンパク質は、乳からカゼインを除去したホエイ(乳清)中に存在し、牛乳では全タンパク質の約20%を占めている。
本実施形態においては、低pHであっても沈殿しにくいホエイ(乳清)タンパクを用いることが好ましい。ホエイ(乳清)タンパク質としては、イオン交換法により選択的に精製されているものを用いると、低pHであっても透明度の高い飲料とすることができ、止渇性を備えた飲料であることを視覚的にも訴求することができるため、特に好ましい。なお、イオン交換法により選択的に精製されたホエイ(乳清)タンパクとしては、例えばビプロ(商標名,AGROPUR社製)等、市販のものを用いることができる。また、ホエイ(乳清)タンパク質として、膜ろ過法により精製されているものも好ましく用いることができ、例えば、ラクトクリスタルplus(日本新薬社製)、WPC(FONTERRA社製)PROLACTA(LACTALIS INGREDIENTS社製)等、市販のものを用いることができる。
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、乳タンパクを8000ppm(質量/質量)以上含有することが好ましく、10000ppm以上含有することがさらに好ましく、13000ppm以上含有することが特に好ましく、15000ppm以上含有することがとりわけ好ましい。乳タンパク含有量が上記下限値以上であることで、容器詰タンパク飲料を飲用した際に所定量のタンパク質を摂取することが容易となる。
一方、本実施形態に係る容器詰タンパク飲料の乳タンパク含有量は、40000ppm以下であることが好ましく、30000ppm以下であることがさらに好ましく、20000ppm以下であることが特に好ましい。乳タンパク含有量が上記上限値以下であることで、乳タンパク由来の収斂味が抑制されるという本実施形態の効果が発揮されやすくなるとともに、飲用時ののどごしが良好なものとなり、止渇性を備えた嗜好的に好ましい飲料となる。
なお、本実施形態におけるタンパク含有量は、ケルダール法により全窒素を測定し、換算係数6.25を乗じた値である。また、単位(ppm)は、飲料質量に対する成分質量の比率を表す百万分率であり、以下も同様である。
(Brix)
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、Brixが7.5以下であることが好ましく、6.0以下であることがさらに好ましく、4.5以下であることが特に好ましい。容器詰タンパク飲料のBrixが上記上限値以下であれば、飲用時ののどごしが良好なものとなり、止渇性を備えた嗜好的に好ましい飲料となる。なお、従来、このような低Brixの容器詰タンパク飲料においては、タンパクに由来する収斂味が感じられることが多かったが、本実施形態においては、後述するようにポリフェノールを含有させることで、乳タンパクに由来する収斂味が抑制され、飲用しやすい飲料とすることができる。
上記Brixの下限値は特に限定されないが、0.6以上であってよく、1.2以上であってよい。
なお、本実施形態におけるBrixは光学屈折率計を用いて測定した値である。容器詰タンパク飲料のBrixは、上記乳タンパクや後述する糖類などの含有量により調整することができる。
(乳タンパク/Brix)
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料において、乳タンパク含有量(単位:ppm)をBrix値で除して無次元数とした値(乳タンパク/Brix)は、0.06×10以上であることが好ましく、0.16×10以上であることがさらに好ましく、0.25×10以上であることが特に好ましい。乳タンパク/Brixが上記範囲にある容器詰タンパク飲料は、前述した乳タンパク含有量およびBrixの範囲と相俟って、止渇性を備えつつ乳タンパクを効果的に摂取することのできる飲料としやすくなる。
(ポリフェノール)
本実施形態においてポリフェノールとは、植物に由来する物質(フィトケミカル:phytochemical)の1種であり、1分子中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の総称である。ポリフェノールは、分子量が500以下の低分子ポリフェノールと、分子量が500超の高分子ポリフェノールとに大別される。高分子ポリフェノールは一般にタンニンとも称される。代表的な低分子ポリフェノールとしては、フラボノイド類(フラボノイド類には、フラボン、フラバノン、カテキン、アントシアニジン、イソフラボノイド、ネオフラボノイド等を基本骨格とする化合物が含まれる)、クロロゲン酸、没食子酸、エラグ酸などがある。一方、高分子ポリフェノールは、低分子ポリフェノール同士が炭素-炭素結合により重合した縮合型タンニンと、糖類と没食子酸やその縮合物がエステル結合により重合した加水分解型タンニンとに大別され、それぞれ代表的なポリフェノールとして縮合型タンニンとしてはプロアントシアニジン類、加水分解型タンニンとしてはガロタンニン、エラグタンニンが挙げられる。各ポリフェノールは単体以外にも、当該ポリフェノールの生理活性機能を失わない範囲であれば、例えば、重合体、配糖体等の所定の化合物状態であっても良い。ポリフェノールは重合度や結合位置で様々な種類のものが存在するが、極めて強い抗酸化作用を示す。
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、ポリフェノールを含有することで、乳タンパクを高濃度に含有しつつも、乳タンパクに由来する収斂味が抑制され、嗜好的に好ましいものとなる。
本実施形態で用いることのできるポリフェノールは特に限定されず、様々な植物に由来するものを用いることができる。ポリフェノールを含有する植物としては、例えば、ユズ、グレープフルーツ、オレンジ、シークヮーサー、ミカン、ポンカン、イヨカン、日向夏、柚子、カボス、スダチ、レモン、ライム等の柑橘類;ブドウ、マスカット、白ブドウ、ヤマブドウ等のブドウ科植物;リンゴ、ウメ、モモ、イチゴ、ナシ、ビワ、カリン等のバラ科植物;大豆、黒大豆、ピーナッツ等の豆類;茶、コーヒー、カカオ等;が例示される。抽出部位は、果実、果皮、種子、花、根、茎、葉等を適宜選択することができる。
これらの中でも、柚子、緑茶、ぶどう果皮、コーヒー、大豆種皮等に由来するポリフェノールを用いることが好ましい。
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、上記ポリフェノールを0.5ppm以上含有することが好ましく、0.8ppm以上含有することがさらに好ましく、1ppm以上含有することが特に好ましい。容器詰タンパク飲料におけるポリフェノール含有量が上記下限値以上であることで、乳タンパク由来の収斂味を抑制するとの本実施形態の効果が効果的に発揮される。
一方、上記ポリフェノール含有量は、17ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましく、4ppm以下であることが特に好ましい。ポリフェノール含有量が多くなる場合、乳タンパクの収斂味抑制効果に影響はないものの、後述する糖類を配合した飲料においては経時による飲料の褐変化が生じることがある。しかし、ポリフェノール含有量が上記上限値以下であると、経時による褐変化を抑制することができ、容器詰タンパク飲料として好適なものとなる。
なお、本実施形態におけるポリフェノール含有量は、タンニン酸を標準物質としてフォーリン・デニス法を用いて求められる量である。
(乳タンパク/ポリフェノール)
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料において、ポリフェノール含有量に対する乳タンパク含有量の比率(乳タンパク/ポリフェノール)は、30×10以下であることが好ましく、25×10以下であることがさらに好ましく、20×10以下であることが特に好ましく、15×10以下であることがとりわけ好ましい。乳タンパク/ポリフェノールの比率が上記上限値以下であることで、乳タンパク由来の収斂味を抑制するとの本実施形態の効果が効果的に発揮される。
(甘味付与剤)
甘味付与剤としては、糖類または甘味料を使用することができ、糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等が挙げられる。甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料が挙げられる。また、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコールを含んでいてもよいし、シュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料等を含んでいてもよい。これらの糖類または甘味料は、目的に応じて単独で、又は複数を組み合わせて使用することが出来る。
糖類を用いる場合は、前述した中でもショ類を用いると、経時による飲料の褐変化を抑制できることから、特に好ましい。
(酸味料)
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、酸味料を含むことが好ましい。容器詰タンパク飲料が酸味料を含有することで、飲用したときに酸味が良好に感じられるものとなり(特に、甘味付与剤を使用している場合は甘味と酸味のバランスが良好になり)、嗜好的に極めて好ましい飲料とすることができる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、またはこれらの塩類が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、リン酸、クエン酸および乳酸が好ましい。また、これらを併用する場合は、リン酸と、クエン酸および/または乳酸との組み合わせが特に好ましい。
容器詰タンパク飲料における酸味料の配合量は、0.05質量%以上であることが好ましく、0.08質量%以上であることがさらに好ましく、0.12質量%以上であることが特に好ましい。また、酸味料の配合量は、0.4質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがさらに好ましく、0.25質量%以下であることが特に好ましい。酸味料の配合量が上記範囲にある容器詰タンパク飲料は、程よい酸味のキレが得られ、嗜好的に好ましいものとなる。
酸味料として、リン酸と、クエン酸および/または乳酸とを併用する場合、その配合比率は、リン酸配合量を1としたときに、クエン酸と乳酸との合計配合量を0.1~1とすることが好ましく、0.2~0.5とすることが特に好ましい。
(その他の成分)
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料には、処方上添加して良い成分として、酸化防止剤、香料、着色料(色素)、乳化剤、保存料、調味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等があげられる。これらを単独、又は併用して配合してもよい。
(水)
本実施形態に適した水としては、例えば、天然水、市水、井水、イオン交換水、脱気水等が挙げられるが、これらのうちイオン交換水または脱気水を用いるのが好ましく、特にイオン交換した脱気水を用いるのが好ましい。脱気水を用いることで、タンパク飲料の経時による品質の劣化や液色の褐変等の色調変化をより効果的に抑制することができる。なお、脱気水を用いる場合、飲用に適した水の一部または全てを脱気水とすることができる。
(明度)
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、明度(L)が70以上であることが好ましく、80以上であることがさらに好ましく、90以上であることが特に好ましい。明度が上記下限値以上にある容器詰タンパク飲料は、止渇性を備えたニアウォーター系の飲料であることを視覚的にも訴求することができるため、特に好ましい。なお、本実施形態における明度(L)は、Hunter色空間の明度(L)であり、本明細書ではこれを単にLまたはL値ということがある。
(pH)
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、pHが2.6~3.8であることが好ましく、3.0~3.6であることがさらに好ましく、3.4~3.6であることが特に好ましい。pHが上記範囲にあることで、容器詰タンパク飲料は濁りや沈殿を生じにくく、透明度の高い外見を有することができる。
(酸度)
また、本実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、酸度が0.11~0.30であることが好ましく、0.14~0.24であることがさらに好ましく、0.17~0.21であることが特に好ましい。なお、本実施形態における酸度は、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を使用した電位差滴定法に基づいて測定し、クエン酸換算で算出した値である。酸度が上記範囲であることで、飲用したときに爽快感を得やすくなり、止渇性を備えた飲料とすることがより容易になる。
(容器)
本実施形態に係る容器詰タンパク含有飲料は、容器に充填された形で提供される。本実施形態において使用される容器は特に限定されず、PETボトル、金属缶、瓶、紙容器(プラスチックフィルムと複合されているものを含む)など、通常用いられる飲料用容器であればよい。なお、本実施形態の特に好ましい態様においては、L値が高く、止渇性を備えた飲料であることが視覚的にも訴求しやすい飲料とすることができるが、かかる飲料においては、容器の少なくとも一部分が透光性を有する容器を好適に用いることができる。かかる観点において、PETボトルは本実施形態における好適な容器の一つである。
なお、本実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、通常は希釈せずにそのまま飲用できるものであるが、これに限定されるものではない。
(製造方法)
本実施形態に係る容器詰タンパク飲料は、乳タンパク質の含有量、Brix、およびポリフェノールの含有量が所定範囲となるように調整する以外、従来公知の方法により製造することができる。例えば、水に、乳タンパクおよびポリフェノールを添加し、所望のBrixとなるよう必要に応じて糖類などを添加するとともに、さらに所望により、酸味料をはじめとする他の成分を添加して攪拌し、必要に応じてpHを調整して調合液を調製する。
その後、容器への充填および加熱殺菌を行う。これらの工程は、当業界で公知の手法により行うことができる。例えば、プレート式ヒーターやチューブ式ヒーター等の加熱殺菌装置を用い、80~150℃の温度下に10~120秒間保持する等して加熱殺菌を行い、その後、常法に従って容器に充填する。
このようにして容器詰タンパク飲料を得ることができる。
以上の容器詰タンパク飲料は、乳タンパクを含有しながらも、乳タンパク由来の収斂味が抑制されたものとなる(本発明に係る収斂味抑制方法に該当)。また、以上述べた容器詰タンパク飲料は、乳タンパク由来の収斂味が抑制されているとともに、止渇性を備えており、嗜好的に好ましいものとなる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、製造例、試験例等を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の製造例、試験例等に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕容器詰タンパク飲料の製造
水に、容器詰タンパク飲料における最終濃度が表1に示す濃度になるように、以下に示す原材料を配合し、調合液を調製した。その後、UHT殺菌機で殺菌(106℃30秒間)し、200ml容PETボトルに充填し、30秒間の転倒殺菌後、流水中で冷却し、容器詰タンパク飲料を得た(試料1~8)。
(原材料)
・ショ糖
・乳ホエイタンパク-1(製品名「ビプロ9500」,AGROPUR社製,タンパク含量:90.8質量%)
・茶ポリフェノール-1((製品名「テアフラン30A」(伊藤園社製,ポリフェノール含量:39.5質量%)を純水にて0.75質量%に希釈したもの)
・ゆずポリフェノール(東洋精糖社製,ポリフェノール含量:15.7質量%)
・リン酸(75質量%,表中の値はリン酸含有量を記載)
・クエン酸
なお、上記原材料中のポリフェノール含有量は、タンニン酸を標準物質としてフォーリン・デニス法を用いて求められる量をポリフェノール含有量とした。
<試験例1>物性等の測定
製造例1で得られた容器詰タンパク飲料(試料)について、以下のようにして物性等を測定した。
pHは、堀場製作所社製F-52型・卓上pHメーターを用い、品温20℃にて測定した。
Brix(Bx)は、光学屈折率計(アタゴ社製,Digital Refractometers,RX5000α-Bev)を用い、品温20℃にて測定した。
酸度(Ac)は、自動滴定装置(平沼産業社製,COM-1750)を用い、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を使用した電位差滴定法に基づいて測定し、クエン酸換算で算出した。
明度(L)は、分光色差計(日本電色工業社製,測色色差計ZE-2000)を用いて測定した。
結果を表1に示す。
<試験例2>官能評価試験
製造例1で得られた各容器詰タンパク飲料(試料)について、官能評価試験を行った。かかる官能評価試験は、飲料の開発を担当する訓練された5人のパネラーにより、5℃に冷却したサンプル200mLを試飲することにより行った。収斂味、のどごしの良さの2項目に関し、それぞれ示す対照および評価基準にて、5段階にて評価した。評価人数の多かった点数を評点として採用し、評価人数が同数の場合はパネラー間の協議により評点を決定した。結果を表1に示す。
=収斂味=
陽性対照:蒸留水
陰性対照:乳ホエイタンパク-1(ビプロ9500)配合量を7質量%に変更した以外は試料1と同じ配合の試料
評価基準:
5:ほとんど収斂味が感じられず(陽性対照と同程度)、極めて良好である
4:陽性対照と比較してわずかに収斂味が感じられるが、良好である
3:陽性対照と比較して収斂味が感じられるが陰性対照より弱く、飲用可能な範囲である
2:陰性対照に近い収斂味がかなり感じられ、飲用限界である
1:収斂味が強く(陰性対照と同程度)、飲用には適さない
=のどごしの良さ=
陽性対照:市販のニアウォーター(伊藤園社製「輪切りレモンのレモン水」,Bx:1.7,タンパク含量:0質量%,ポリフェノール:0質量%)
陰性対照:市販の牛乳(明治社製「おいしい牛乳」,Bx:13,タンパク含量:3.3質量%,ポリフェノール:0質量%)
評価基準:
5:陽性対照と同等ののどごしの良さがあり、極めて良好。
4:陽性対照に近いのどごしであり、良好。
3:陽性対照とはやや異なるが、抵抗なく飲用することができる。許容範囲。
2:陰性対照に近いのどごしであり、飲用時にやや喉への抵抗を感じる。
1:陰性対照と同等ののどごしであり、喉にかかる抵抗がある。
<試験例3>長期保管試験
製造例1で得られた容器詰タンパク飲料(試料)について、25℃・暗所にて9ヶ月保管した後、下記基準にて目視にて液色の評価を行った。
(目視評価)
陽性対照:各試料を5℃・暗所にて9ヶ月保管したもの
評価基準:
3:陽性対照と同等であり褐変がなく極めて良好。
2:陽性対照と比較して褐変があるが、同一の飲料と認識でできる程度である。
1:陽性対照と比較して明らかに褐変しており、異なる飲料と認識される程度である。
Figure 2023050020000001
表1に示すように、本発明の要件を満たす容器詰タンパク飲料(試料)は、後味がのどごしが良いものであるとともに、乳タンパク由来の収斂味が抑制されたものであった。さらに、本発明の要件を満たす容器詰タンパク飲料(試料)は、長期保管後の褐変も抑制されていた。
〔製造例2〕容器詰タンパク飲料の製造
乳タンパクとして、乳ホエイタンパク-2(製品名「ラクトクリスタルplus」,日本新薬社製,乳タンパク含量:87.7質量%)をさらに用いた以外は、製造例1と同様に製造し、容器詰タンパク飲料を得た(試料9~15)。
得られた容器詰タンパク飲料(試料9~15)について、試験例1と同様にして物性等を測定し、試験例2と同様にして官能評価試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2023050020000002
表2に示すように、本発明の要件を満たす本容器詰タンパク飲料は所定量のタンパク質が摂取可能であり、のどごしが良く止渇性に優れ、かつ乳タンパク由来の収斂味が抑制されていた。また、乳たんぱくの種類を変えた場合であっても、同様の傾向が認められた。
〔製造例3〕容器詰タンパク飲料の製造
原材料のうち糖類として、ショ糖または果糖ぶどう糖液糖を用い、配合量が表3に示す値になるように変更した以外は、製造例1と同様に製造し、容器詰タンパク飲料を得た(試料16~25)。
得られた容器詰タンパク飲料(試料16~25)について、試験例1~2と同様に、物性等の測定および官能評価試験を行った。さらに、試料16~24については、試験例3と同様にして長期保管試験を行った。結果を表3に示す。なお、比較のため、製造例1で得られた試料3の結果も表3に再掲した。
Figure 2023050020000003
表3に示すように、本発明の要件を満たす容器詰タンパク飲料は、のどごしが良く、かつ乳タンパク由来の収斂味が抑制されていた。また、糖類としてショ糖を用いることで、長期保管後の目視評価についてより良好な評価が得られた。
〔製造例4〕容器詰タンパク飲料の製造
原材料のうちポリフェノールとして、緑茶ポリフェノール-1およびゆずポリフェノールのほかに以下に示すものを用い、配合量が表4に示す値になるように変更した以外は、製造例1と同様に製造し、容器詰タンパク飲料を得た(試料26~31)。
・ぶどう果皮ポリフェノール(製品名「レスベラトロールWSP0.5」,オリザ油化社製,ポリフェノール含量:4.0質量%)
・コーヒーポリフェノール(製品名「生コーヒー豆エキス-P」,オリザ油化社製,ポリフェノール含量:36.5質量%)
・黒大豆ポリフェノール(製品名「クロノケアSP-60」,フジッコ社製,ポリフェノール含量:45.9質量%)
・茶ポリフェノール-2((製品名「Nテアフラン90S」,伊藤園社製,ポリフェノール含量:83.9質量%)を純水にて1.0質量%に希釈したもの)
得られた容器詰タンパク飲料(試料26~31)について、試験例1と同様にして物性等を測定し、試験例2と同様にして官能評価を行った。さらに、以下に示す試験例4により、凝集沈殿物の評価を行った。結果を表4に示す。なお、比較のため、製造例1で得られた試料1についても同様に評価した。
<試験例4>凝集沈殿物の評価
製造例3で得られた容器詰タンパク飲料(試料)について、転倒殺菌して流水中で冷却し、直ちに(製造直後)、凝集沈殿物の有無について以下に示す基準で評価した。
=凝集沈殿物の評価=
陰性対照:ポリフェノールを黒大豆ポリフェノール(製品名「クロノケアSP-60」)0.01質量%に変更した以外は試料1と同じ配合の試料
評価基準:
3:凝集沈殿物がなく、良好。
2:凝集沈殿物がわずかにあるが、良好。
1:凝集沈殿物が多く、(陰性対照と同等)飲料には適さない。
Figure 2023050020000004
表4に示すように、他のポリフェノールを用いた場合であっても、乳タンパク由来の収斂味が抑制されていた。
〔製造例5〕容器詰タンパク飲料の製造
原材料のうち酸味料として、上述したクエン酸および/またはリン酸のほかに乳酸(50質量%,表中の値は乳酸含有量を記載)用い、配合量が表5に示す値になるように変更した以外は、製造例1と同様に製造し、容器詰タンパク飲料を得た(試料32~41)。
得られた容器詰タンパク飲料(試料32~41)について、試験例1と同様にして物性等を測定した。また、官能評価において、上記試験例2と同じ2項目に加えて、香味についても、以下に示す対照および評価基準にて、5段階にて評価した。パネラー数、飲用方法、評点の決定方法は試験例2と同様とした。結果を表5に示す。
=甘みと酸味のバランスの良さ=
陽性対照:試料3
陰性対照a:酸味料を配合しない以外は試料3と同じ配合の試料
陰性対照b:酸味料をクエン酸0.5質量%に変更した以外は試料3と同じ配合の試料
評価基準:
5 :甘味と酸味のバランスが良く(陽性対照と同等)、極めて良好。
4a:陽性対照よりやや酸味感が弱いが、良好。
4b:陽性対照よりやや酸味感が強いが、良好。
3a:甘味と酸味のバランスが陽性対照と陰性対照aとの間であり、糖による甘みがやや舌に残る。
3b:甘味と酸味のバランスが陽性対照と陰性対照bとの間であり、やや強い酸味感が残る。
2a:陰性対照aほどではないものの糖による甘みが舌に残る。
2b:陰性対照bほどではないものの強い酸味感が残る。
1a:糖による甘みが舌に強く残る(陰性対照aと同等)。
1b:酸味が強すぎる(陰性対照bと同等)。
Figure 2023050020000005
表5に示すように、所定の酸味料を用いることで甘味と酸味のバランスが特に良好なものとなった。
本発明の容器詰タンパク飲料は、乳タンパクを含有しながらも、止渇性を備え、かつ乳タンパク由来の収斂味が抑制された、嗜好的に好ましいものとなり、日常的にタンパク質が不足しがちな高齢者や、水分補給と併せてタンパク質の積極的な摂取が望まれるスポーツ時など幅広い飲用シーンにおいて極めて有益である。

Claims (8)

  1. 乳タンパクを8000~40000ppm含有し、
    ポリフェノールを0.5~17ppm含有し、
    Brixが7.5以下であることを特徴とする容器詰タンパク飲料。
  2. 前記ポリフェノール含有量に対する前記乳タンパク含有量の比率(乳タンパク/ポリフェノール)が30×10以下であることを特徴とする請求項1に記載の容器詰タンパク飲料。
  3. 前記ポリフェノールが緑茶、柚子、コーヒー、ぶどう果皮および大豆種皮からなる群より選択される1種又は2種以上に由来するポリフェノールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器詰タンパク飲料。
  4. 酸味料を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の容器詰タンパク飲料。
  5. 前記酸味料がリン酸、クエン酸、及び乳酸からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項4に記載の容器詰タンパク飲料。
  6. ショ類を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の容器詰タンパク飲料。
  7. 容器詰タンパク飲料の製造方法であって、
    乳タンパク質の含有量を8000~40000ppmに調整する工程と、
    Brixを7.5以下に調整する工程と、
    ポリフェノール含有量を0.5~17ppmに調整する工程と
    を含む、容器詰タンパク飲料の製造方法。
  8. 容器詰タンパク飲料の収斂味抑制方法であって、
    乳タンパク質の含有量を8000~40000ppmに調整する工程と、
    Brixを7.5以下に調整する工程と、
    ポリフェノール含有量を0.5~17ppmに調整する工程と
    を含む、容器詰タンパク飲料の収斂味抑制方法。
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