JP2023049227A - ポリエステルエラストマー成形体およびポリエステルエラストマー成形体の製造方法 - Google Patents

ポリエステルエラストマー成形体およびポリエステルエラストマー成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023049227A
JP2023049227A JP2021158844A JP2021158844A JP2023049227A JP 2023049227 A JP2023049227 A JP 2023049227A JP 2021158844 A JP2021158844 A JP 2021158844A JP 2021158844 A JP2021158844 A JP 2021158844A JP 2023049227 A JP2023049227 A JP 2023049227A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
polyester elastomer
mass
block copolymer
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021158844A
Other languages
English (en)
Inventor
健一 奥長
Kenichi Okunaga
圭伍 村上
Keigo Murakami
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Celanese Co Ltd
Original Assignee
Toray Celanese Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Celanese Co Ltd filed Critical Toray Celanese Co Ltd
Priority to JP2021158844A priority Critical patent/JP2023049227A/ja
Publication of JP2023049227A publication Critical patent/JP2023049227A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、すぐれた機械特性と柔軟性を有し、高温環境下における短期的および長期的な耐熱性を両立させることができる熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物およびその成形品を提供することを課題とする。【解決手段】脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位、ならびに結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするポリエステルエラストマー成形体であって、JIS K7215に準拠した表面硬度がHDD25以上、HDD45以下であり、試験規格JIS K7244に準拠した動的粘弾性測定および下記式(1)によって得られるΔtanδが0.5以下であることを特徴とするポリエステルエラストマー成形体。Δtanδ=tanδ1-tanδ2…(1)ここに、tanδ1:200℃における損失係数tanδ2:23℃における損失係数【選択図】なし

Description

本発明はポリエステルエラストマー成形体および熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を成形してなるポリエステルエラストマー成形体の製造方法に関するものである。
結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとして、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位および/またはポリラクトンのような脂肪族ポリエステル単位をソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体から構成される熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂は、強度、耐衝撃性、弾性回復性などの機械特性について、高温から低温の広範囲にわたって優れた特性を示すことに加え、溶融時の良加工性に優れ、さらにはエラストマーとしての柔軟性、耐屈曲疲労性を兼ね備えた特性を有することから、機械駆動部品や電気・電子部品、自動車部品、家電製品部品、日常生活用品や産業用資材など様々な用途に対して用いられている。
しかしながら、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂は、他のポリエステル樹脂と比較して高温環境下において軟化して寸法形状が変化しやすく、熱劣化により機械強度が低下しやすいことから、高温時における耐熱性が求められるような用途においては、架橋ゴムなどに代替することができず、特に柔軟なポリエステルエラストマー樹脂は耐熱性の要求が低い用途への適用に限られるのが現状となっている。周辺環境に熱源を伴う機械部品や電気電子部品、自動車部品などの部材として、特に柔軟性が要求される用途において用いるためには、高温環境下における短期的な耐熱性だけでなく長期的な耐熱性も求められている。
昨今の環境問題への配慮から、自動車部品や産業用資材などにおいては金属や架橋ゴム代替による軽量化のために柔軟性と耐熱性を両立させた熱可塑性エラストマー樹脂が求められており、耐熱性の向上させた熱可塑性エラストマーの開発が進められている。
高温環境下における耐熱性を向上させる方法としては、例えば特許文献1には熱可塑性ポリエステル樹脂に、共有結合性架橋アクリルゴムを多官能性化合物で動的架橋させた熱可塑性エラストマー成形体が開示されており、特許文献2には特定のハード/ソフト比を持つ熱可塑性コポリエステルエラストマーとアクリル酸とアルキルエステル部分を含有するアクリルゴムまたはエチレン成分含有ゴムとを公知の架橋剤の存在下で動的架橋させた熱可塑性エラストマー成形体が開示されている。
特許文献3には、ポリエステル樹脂でモールドするケーブルに対し、被覆層の最外層に熱可塑性ポリウレタンとポリエステルエラストマーで押出成形し、その成形体を電子線架橋させる方法が開示されている。また、特許文献4には、ポリエステルを含む熱可塑性樹脂に対し、架橋形成可能な架橋剤により架橋構造を形成させる方法。特許文献5においては、硬質セグメントと軟質セグメントを有するコポリエステルから選択される熱可塑性エラストマーおよび架橋剤を含む混合物から製造される蛇腹型成形体に対し、その成形体を電離放射線にばく露させる工程を含む方法が開示されている。
特開平1-306447号公報 特開2000-351889号公報 特許第3663275号 特開2014-196501号公報 国際公開2019/137753号
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されている熱可塑性エラストマー成形体は、ホースやチューブ、ダクトといった用途に必要な強度や剛性に加えて、柔軟性と耐熱性とを両立させることは困難であった。
特許文献3および特許文献4に開示されている方法では、高温環境下における短期的な耐熱性向上効果が得られているが、長期的な耐熱性の向上効果については言及されておらず、さらには耐熱性と柔軟性の両立については十分であるとは言えなかった。
特許文献5に開示されている方法では、電離放射線の照射と電離放射線反応性架橋剤を混合させる技術を組み合わせることで、高温環境下に対する耐屈曲疲労性の向上効果が得られているが、電離放射線の照射線量が多く、さらには耐熱性と柔軟性との両立については言及されていない。
本発明は、すぐれた機械特性と柔軟性を有し、高温環境下における短期的および長期的な耐熱性を両立させることができるポリエステルエラストマー成形体およびポリエステルエラストマー成形体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ポリエステルエラストマー成形体の柔軟性および機械特性等を大きく損なうことなしに、短期的および長期的な耐熱性を両立させようと鋭意努力を重ねた。その結果、特定の構成要件を満たす熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物に電子線を照射することによって、ポリエステルエラストマー成形体が、柔軟性と機械特性に加えて、短期から長期にわたる耐熱性を両立することを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明のポリエステルエラストマー成形体は以下の構成を有する。
脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位、ならびに結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするポリエステルエラストマー成形体であって、JIS K7215に準拠した表面硬度がHDD25以上、HDD45以下であり、試験規格JIS K7244に準拠した動的粘弾性測定および下記式(1)によって得られるΔtanδが0.5以下であることを特徴とするポリエステルエラストマー成形体。
Δtanδ=tanδ-tanδ …(1)
ここに、
tanδ:200℃における損失係数
tanδ:23℃における損失係数。
本発明のポリエステルエラストマー成形体の別の態様は、以下の構成を有する。
脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位、ならびに2種以上の酸成分と1種以上のグリコール成分とを含む結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするポリエステルエラストマー成形体であって、JIS K7215に準拠した表面硬度がHDD25以上、HDD45以下であり、試験規格JIS K7244に準拠した動的粘弾性測定および下記式(1)によって得られるΔtanδが0.5以下であることを特徴とするポリエステルエラストマー成形体。
Δtanδ=tanδ-tanδ …(1)
ここに、
tanδ:200℃における損失係数
tanδ:23℃における損失係数。
本発明のポリエステルエラストマー成形体の製造方法は、以下の構成を有する。
熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物からポリエステルエラストマー成形体を製造する方法であって、
前記成形の前および/または後に電子線を照射する工程を有し、
前記熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物が、
結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするハードセグメント20~60質量%と、
脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を主な構成単位とするソフトセグメントを合計で40~80質量%とを構成成分とする
ポリエステルブロック共重合体(A1)を含む、ポリエステルエラストマー成形体の製造方法。
本発明のポリエステルエラストマー成形体の製造方法の別の態様は、以下の構成を有する。
熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物からポリエステルエラストマー成形体を製造する方法であって、
前記成形の前および/または後に電子線を照射する工程を有し、
前記熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物が、
結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とし、かつ2種以上の酸成分と1種以上のグリコール成分とから構成されるハードセグメント40~85質量%と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を主な構成単位とするソフトセグメント15~60質量%とを構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A2)を含む、ポリエステルエラストマー成形体の製造方法。
本発明によれば、優れた機械特性と柔軟性を有しつつ、短期から長期にわたる優れた耐熱性を両立することができるポリエステルエラストマー成形体の提供が可能となり、自動車部品、電気電子部品、工業用材料など、特に柔軟性と耐熱性が必要な製品に好適に使用することができ、高い耐熱寿命が求められる部位に対して従来材を代替することにより、軽量化と柔軟性を兼ね備えた特性を付与することが可能となる。
次に、本発明のポリエステルエラストマー成形体について詳細を記述する。
本発明のポリエステルエラストマー成形体は、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位、ならびに結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするポリエステルエラストマー成形体であって、JIS K7215に準拠した表面硬度がHDD25以上、HDD45以下であり、試験規格JIS K7244に準拠した動的粘弾性測定および下記式(1)によって得られるΔtanδが0.5以下であることを特徴とするポリエステルエラストマー成形体である。
Δtanδ=tanδ-tanδ …(1)
ここに、
tanδ:200℃における損失係数
tanδ:23℃における損失係数。
また、本発明のポリエステルエラストマー成形体の別の態様としては、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位、ならびに2種以上の酸成分と1種以上のグリコール成分とを含む結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするポリエステルエラストマー成形体であって、JIS K7215に準拠した表面硬度がHDD25以上、HDD45以下であり、試験規格JIS K7244に準拠した動的粘弾性測定および上記式(1)によって得られるΔtanδが0.5以下であることを特徴とするポリエステルエラストマー成形体である。 本発明のポリエステルエラストマー成形体のΔtanδは0.5以下であり、好ましくは0.3以下である。
本発明のポリエステルエラストマー成形体のJIS K7215に準拠した表面硬度はHDD25以上、HDD45以下であり、好ましくはHDD30以上、HDD40以下である。
表面硬度がHDD25以上、HDD45以下でありつつ、Δtanδが0.5以下であることによって、本発明の成形体はポリエステルエラストマーの特性である柔軟性を損なうことなく、短期および長期にわたる耐熱性を両立する成形体を構成することができる。
本発明における熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物の一の態様は、結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(H1)20~60質量%と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメント(L1)40~80質量%とを構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A1)からなる。
また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物の別の態様は、結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(H2)40~85質量%と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメント(L1)15~60質量%とを構成成分とし、かつ該ハードセグメント(H2)が2種以上の酸成分と1種以上のグリコール成分とから構成される、ポリエステルブロック共重合体(A2)からなる。
本発明のポリエステルブロック共重合体は、結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメントと脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメントを構成成分とする
ハードセグメントは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(以下、「酸成分」という場合がある)とジオールまたはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジオール成分」という場合がある)から形成されるポリエステルである。前記芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェニル-4,4' -ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4' -ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸、および3-スルホイソフタル酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明においては、前記芳香族ジカルボン酸を主として用いるが、この芳香族ジカルボン酸の一部を、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4' -ジシクロヘキシルジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸や、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、およびダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いてもよい。さらにジカルボン酸のエステル形成性誘導体、たとえば低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、および酸ハロゲン化物なども同等に用いることができる。
次に、前記ジオールの具体例としては、分子量400以下のジオール、例えば1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、およびキシリレングリコール、ビス(p-ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p-ヒドロキシ)ジフェニルプロパン、2,2' -ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、1,1-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4' -ジヒドロキシ-p-ターフェニル、および4,4' -ジヒドロキシ-p-クオーターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましく、かかるジオールは、エステル形成性誘導体、例えばアセチル体、アルカリ金属塩などの形でも用いることができる。
本発明に用いられるソフトセグメントは、脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルである。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(トリメチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。これらのなかでも、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールおよび/またはポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物および/またはエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体が好ましく用いられる。
また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルのうち、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性の観点から、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコール、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが好ましく、これらの中でも特にポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールの使用が好ましい。また、これらのソフトセグメントの数平均分子量としては共重合された状態において300~6000であることが好ましく、1000~3000であることがより好ましく、1000~2000であることがよりいっそう好ましい。
ポリエステルブロック共重合体(A1)は、結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(H1)と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメント(L1)とを構成成分とする。
ポリエステルブロック共重合体(A1)は、ハードセグメント(H1)が上記酸成分から選択される1種と、上記ジオール成分から選択される1種以上とから構成される。ハードセグメント(H1)の好ましい例としては、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートと1,4-ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位である。
ソフトセグメント(L1)としては、上記脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルから選択される。
ポリエステルブロック共重合体(A1)は、ハードセグメント(H1)が20~60質量%、ソフトセグメント(L1)が40~80質量%、好ましくはハードセグメント(H1)が20~50質量%、ソフトセグメント(L1)が50~80質量%、さらに好ましくはハードセグメント(H1)が20~40質量%、ソフトセグメント(L1)が60~80質量%である。
ポリエステルブロック共重合体(A1)の融点は好ましくは140℃~200℃、さらに好ましくは150~180℃ある。
ポリエステルブロック共重合体(A1)の融点が200℃より高い温度である場合は、得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの柔軟性が不十分であり、融点が140℃より低い温度である場合は、得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの強度および弾性率が不足し、これに伴って耐熱性が不足するため好ましくない。
ポリエステルブロック共重合体(A2)は、結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(H2)と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメント(L2)とを構成成分とする。
ポリエステルブロック共重合体(A2)は、ハードセグメント(H2)が、上記酸成分から選択される2種以上と、上記ジオール成分から選択される1種以上とから構成される。例えばテレフタル酸とイソフタル酸、テレフタル酸とドデカンジオン酸、テレフタル酸とダイマー酸などの組み合わせが挙げられる。
2種以上の酸成分を使用するポリエステルブロック共重合体(A2)を用いることにより、得られるポリエステルエラストマー樹脂組成物の耐熱性と柔軟性を両立させることができる。
ハードセグメント(H2)の好ましい例としては、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位と、イソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4-ブタンジオールから誘導されるポリブチレンイソフタレート単位とからなるものが用いられる。
ソフトセグメント(L2)は、上記脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルから選択される。
ポリエステルブロック共重合体(A2)は、ハードセグメント(H2)が40~85質量%、ソフトセグメント(L2)が15~60質量%、好ましくはハードセグメント(H2)が40~65質量%、ソフトセグメント(L2)が35~60質量%、さらに好ましくはハードセグメント(H2)が40~55質量%、ソフトセグメント(L2)が45~60質量%である。
得られるポリエステルブロック共重合体(A2)の融点は好ましくは130℃~180℃であり、より好ましくは145~165℃である。
本発明のポリエステルブロック共重合体(A1)とポリエステルブロック共重合体(A2)とは配合して用いてもよく、ポリエステルブロック共重合体(A1)50~99質量部、ポリエステルブロック共重合体(A2)1~50質量部、好ましくはポリエステルブロック共重合体(A1)60~95質量部、ポリエステルブロック共重合体(A2)5~40質量部、さらに好ましくはポリエステルブロック共重合体(A1)70~95質量部、ポリエステルブロック共重合体(A2)5~30質量部である。
本発明のポリエステルブロック共重合体(A1)とポリエステルブロック共重合体(A2)とを配合して用いる場合においては、ポリエステルブロック共重合体(A1)が50質量部未満(ポリエステルブロック共重合体(A2)が50質量部より多い場合)では得られるポリエステルエラストマー樹脂組成物の圧縮時の永久ひずみが増加し、ヘタリ性が劣るため好ましくない。
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A1)およびポリエステルブロック共重合体(A2)は、公知の方法で製造することができる。その具体例としては、ジカルボン酸の低級アルコールジエステルと、過剰量の低分子量グリコールおよびソフトセグメント成分を触媒の存在下でエステル交換反応させ、得られる反応生成物を重縮合する方法、ならびにジカルボン酸と過剰量のグリコールおよびソフトセグメント成分を触媒の存在下でエステル化反応させ、得られる反応生成物を重縮合する方法などが挙げられ、これらいずれの方法をとってもよい。
[ポリエステルエラストマー成形体]
本発明において、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を用いることにより、射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形、押出成膜、Tダイ成膜、カレンダー成膜などの一般的に用いられる成形機を使用してポリエステルエラストマー成形体とする。ポリエステルエラストマー成形体の形状は特に限定されないが、成形方法などに応じて選択でき、一次元的形態(例えば、線状、棒状等)、二次元的形態(例えば、シート状、フィルム状等)、三次元的形態(例えば、凹部、凸部、凹凸部を有する形態、チューブ形状、ホース形状等)のいずれであってもよい。
ポリエステルエラストマー成形体は、熱可塑性エラストマー樹脂組成物のみの成形体であってもよいし、熱可塑性エラストマー樹脂組成物で形成された部材(以下、単に「部材1」ということがある)と、他樹脂で形成された部材(以下、単に「部材2」ということがある)とが接着(又は接合)した複合成形体であってもよい。複合成形体において、部材1と部材2は、接着剤層を介することなく直接接着されていてもよい。
成形体の用途としては、特に限定されないが、例えば、自動車、電子機器、電気機器、精密機器、一般消費材(又はこれら部品)が挙げられる。
[ポリアミドコポリマー(C)]
本発明に用いられるポリアミドコポリマー(C)は、分子鎖中にアミド結合を有する高分子化合物であり、ラクタムからの重合体や、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などと、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどとの反応により得られる塩の重合体、または、ω-アミノカルボン酸からの重合体などが挙げられる。これらのポリアミド樹脂は共重合体でも良いし、異なる重合体を2種類以上組み合わせて使用してもよい。例えば、ポリアミド6/ポリアミド610、ポリアミド6/ポリアミド610/ポリアミド12、ポリアミド6/ポリアミド12、ポリアミド6/ポリアミド66/ポリアミド12、ポリアミド6/ポリアミド66/ポリアミド610などの共重合体などが例示できる。ポリアミド樹脂の中で、ポリアミド6および/または二元あるいは三元以上の共重合ポリアミド樹脂を用いた場合にさらに高い効果が得られ、なかでも特にポリアミド6/ポリアミド66/ポリアミド610の三元共重合体が好ましく用いることができる。
ポリアミドコポリマー(C)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A1)および/またはポリエステルブロック共重合体(A2)100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~7質量部、さらに好ましくは1.5~5質量部である。ポリアミドコポリマー(C)の配合量が0.5質量部未満では、目的とする改良効果の得られる度合いが小さく、また15質量部を超えると、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物の本来有している柔軟性や耐屈曲疲労性などが損なわれることになるため好ましくない。
[酸化防止剤(D)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、さらに酸化防止剤(D)を添加することにより耐熱性を向上させることができる。
本発明に用いられる酸化防止剤(D)としては、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤からなる群より選ばれた1種、または2種以上を併用することが挙げられる。
芳香族アミン系酸化防止剤の具体例としては、フェニルナフチルアミン、4,4’-ジメトキシジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、および4-イソプロポキシジフェニルアミンなどが挙げられるが、これらの中でもジフェニルアミン系化合物の使用が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ヒドロキシメチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、2,5-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、4,4’-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-4-メチル-6-t-ブチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルベンジル)スルフィド、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ビス(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸のジエチルエステル、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチル-ジフェニルメタン、α-オクタデシル-3(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6-(ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチル-チオ-1,3,5-トリアジン、ヘキサメチレングリコール-ビス[β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレン-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2-チオ[ジエチル-ビス-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンホスホン酸のジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ジ-t-ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス[β-(3,5-ジ-t-ブチル-4ヒドロキシフェニル)プロピオニル-オキシエチル]イソシアヌレートなどが挙げられる。これらの中でも特にテトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものの使用が好ましい。
イオウ系酸化防止剤とは、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、およびチオジプロピオンエステル系などのイオウを含む化合物である。これらの中でも、特にチオジプロピオンエステル系化合物の使用が好ましい。
リン系酸化防止剤とは、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸誘導体、フェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、およびジアルキルビスフェノールAジホスファイトなどのリンを含む化合物である。これらの中でも、分子中にリン原子とともにイオウ原子も有する化合物、あるいは分子中に2つ以上のリン原子を有する化合物の使用が好ましい。
これらの酸化防止剤(D)の合計配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A1)および/またはポリエステルブロック共重合体(A2)100質量部に対して、好ましくは0.05~5質量部、より好ましくは0.1~4質量部、さらに好ましくは0.3~3質量部である。
酸化防止剤(D)の合計配合量が0.05質量部以上とすることで、耐熱性が向上する。また、配合量を5質量部以下とすることで、本発明のポリエステルエラストマー成形体からのブルーミングを生じにくくするために好ましく、本発明のポリエステルエラストマー成形体の機械的強度および耐熱性の低下を抑制する観点より好ましい。
[グリシジル基変性ポリオレフィン(E)]
本発明に用いられるグリシジル基変性ポリオレフィン樹脂(E)は、α-オレフィンとα,β-不飽和カルボン酸のグリシジルエステルの共重合体、またはα-オレフィン、α,β-不飽和カルボン酸アルキルエステルおよびα,β-不飽和カルボン酸のグリシジルエステルからなる3元共重合体が好ましく、α-オレフィン、α,β-不飽和カルボン酸アルキルエステルおよびα,β-不飽和カルボン酸のグリシジルエステルからなる3元共重合体が特に好ましい。α-オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、ブテン-1などが挙げられるが、なかでもエチレンが最も好ましい。
α,β-不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどが挙げられるが、なかでもメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。α, β-不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、アクリル酸やメタクリル酸と炭素数1~8の1価のアルコールとのエステルが好ましく、なかでもメチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートが好ましく、さらにメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートが特に好ましい。
グリシジル基変性ポリオレフィン樹脂(E)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A1)および/またはポリエステルブロック共重合体(A2)100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、より好ましくは1~10質量部である。0.1質量部未満では目的とする効果の改善度合いが小さく、20質量部より増加すると、押出成形時の溶融滞留中に溶融粘度が増粘し、ゲル化が進行することで成形性が悪化する。
[エポキシ基含有樹脂および/またはカルボジイミド化合物(F)]
本発明において、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物に対して、エポキシ基含有樹脂および/またはカルボジイミド化合物を配合して用いることができる。
エポキシ基含有樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のほか、フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの重縮合物であるグリシジルエーテル系エポキシ化合物、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ化合物、N,N’-メチレンビス(N-グリシジルアニリン)等のグリシジルアミン系エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニレンノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多官能ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、イミド環含有ビスフェノール型エポキシ樹脂などが例示される。これらを2種以上配合してもよい。
本発明に用いられるカルボジイミド化合物は、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートやこれらの混合物を重合して得られる化合物から選択できる。カルボジイミド化合物の具体例としては、ポリ(1,6-ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3-シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルベンゼン及び1,5-ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)などのポリカルボジイミド化合物を挙げることができる。中でも耐熱性の観点から芳香族ポリカルボジイミド化合物であることが好ましい。
エポキシ基含有樹脂および/またはカルボジイミド化合物の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A1)および/またはポリエステルブロック共重合体(A2)100質量部に対して、0.05~10質量部が好ましく、より好ましくは1~10質量部である。0.1質量部未満であると、十分な効果が得られず、また20質量部を超えると著しい粘度上昇により成形性が悪化する。
溶融加工時の分解を抑えられることと、ポリエステルエラストマー樹脂への相溶性の観点からグリシジルエーテル系エポキシ化合物が好ましく、耐熱性を向上させることができることから、ビスフェノールA型エポキシ化合物が好ましい。さらにビスフェノールA型エポキシ化合物の中でも、エポキシ価500~5000g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ価が500g/eq以下の場合、溶融加工時の急激な増粘の可能性が高くなることから好ましくない。エポキシ価が5000g/eq以上となる場合、耐熱性および耐加水分解性向上の観点から好ましくない。
溶融時の加工性を損なわず、耐熱性の長期的な改良の観点から、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂、中でもジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。多官能性のフェノールノボラック型、ジシクロペンタジエン型のエポキシ樹脂のエポキシ価は150~300g/eqが好ましい。
多官能性のフェノールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ価が100g/eq以下の場合、高温環境下における架橋密度が高くなるため、ポリエステルエラストマーの靭性を損なうことから好ましくない。エポキシ価が300g/eq以上の場合、高温環境下における反応性の低下により架橋密度が低下し、耐熱性向上効果が低下することから好ましくない。
[熱可塑性樹脂(G)]
次に、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂に対して、ポリエステルエラストマー以外の他の熱可塑性樹脂(G)を用いてもよい。例えば、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
前記オレフィン系樹脂の具体例としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン-ブテン-1共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ブテン-1/無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
前記ビニル系樹脂の具体例としては、メチルメタクリレート/スチレン樹脂(MS樹脂)、メタクリル酸メチル/アクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS樹脂)、スチレン/ブタジエン樹脂などのビニル系共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/メタクリル酸メチル/スチレン樹脂(MABS樹脂)、スチレン/ブタジエン/スチレン樹脂、スチレン/イソプレン/スチレン樹脂、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン樹脂などのブロック共重合体;および、ジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル重合体(コア層)とメタクリル酸メチル重合体(シェル層) 多層構造体、ジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル重合体(コア層)とアクリロニトリル/スチレン共重合体(シェル層)多層構造体、ブタンジエン/スチレン重合体(コア層)とメタクリル酸メチル重合体(シェル層)の多層構造体、ブタンジエン/ スチレン重合体(コア層)とアクリロニトリル/スチレン共重合体(シェル層)のコアシェルゴム;水素添加されたブロック共重合体として、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)などが挙げられる。これらは単独であっても、2種類以上の混合物であってもよい。
前記ポリアミド樹脂の具体例としては、ポリアミドコポリマー(C)の項にて記載のポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド410、ポリアミド46などを併用してもよい。
ポリエステルエラストマー以外の他の熱可塑性樹脂を含める目的として、成形性および寸法精度、成形収縮性の改善、溶融加工性や流動性の調整、後述する各種添加剤の分散性や相溶性の改善、柔軟性および弾性率の調整、耐熱性および耐熱老化性の改善、耐薬品性の向上などを目的として用いることができる。
ポリエステルエラストマー以外の熱可塑性樹脂(G)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A1)および/またはポリエステルブロック共重合体(A2)100質量部に対して、1~100質量部が好ましく、より好ましくは5~20質量部である。1質量部未満であると併用した熱可塑性樹脂(G)に併用効果が限定的となり、また100質量部を超えるとポリエステルエラストマーと熱可塑性樹脂(G)との分散性が低下し、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物が本来有する柔軟性や機械特性、成形性などを損なうため好ましくない。
[その他の添加剤]
さらに、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物には、目的を損なわない範囲で必要に応じて、酸化防止剤(ホスホナイト化合物、亜リン酸化合物、次亜リン酸化合物、ヒンダードフェノール系化合物、チオエーテル系化合物など)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系など)、光安定剤(HALS:ヒンダードアミン系化合物など)、帯電防止剤(ポリエーテルエステルアミドなど)、滑剤(ステアリルアルコール、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸アミド、ステアリン酸グリセリドなど)、染料(ニグロシンなどの有機染料)、顔料(カーボンブラック、二酸化チタンなど)、可塑剤(フタル酸系、アジピン酸系、トリメリット酸系など)、離型剤(パラフィンワックス、飽和脂肪酸エステル系、不飽和脂肪酸エステル系など)、難燃剤(ホスフィン酸アルミ、ホスフィン酸亜鉛、メラミンシアヌレート、トリアジン環含有N-アルコキシヒンダードアミン化合物、有機縮合リン酸エステル類など)、エステル交換防止剤などの添加剤を配合したものであってもよい。
[繊維強化材]
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物には、柔軟性を損なわない範囲において繊維強化材を含有することができる。繊維強化材を配合することによって、機械強度と耐熱性をさらに向上させることができる。
繊維強化材としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、セルロースナノファイバー、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などが例示でき、好ましくはガラス繊維やアラミド繊維を用いることができる。
ガラス繊維としては、チョップドストランドタイプやロービングタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。アミノシラン化合物やエポキシシラン化合物などのシランカップリング剤および/またはウレタン、アクリル酸/スチレン共重合体などのアクリル酸からなる共重合体、アクリル酸メチル/メタクリル酸メチル/無水マレイン酸共重合体などの無水マレイン酸からなる共重合体、酢酸ビニル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやノボラック系エポキシ化合物などの一種以上のエポキシ化合物などを含有した集束剤で処理されたガラス繊維も用いることができる。無水マレイン酸からなる共重合体を含有した収束剤で処理されたガラス繊維が、耐熱性をより向上できることから好ましい。繊維強化材の繊維径は、1~30μmの範囲が好ましい。繊維強化材の樹脂中の分散性の観点から、その下限値は好ましくは5μmである。機械強度の観点からその上限値は好ましくは15μmである。また、繊維断面は通常円形状であるが、任意の縦横比の楕円形ガラス繊維、扁平ガラス繊維およびまゆ型形状(HIS)ガラス繊維など任意な断面を持つ繊維強化材を用いることもでき、射出成形時の流動性向上と、ソリの少ない成形品が得られる効果がある。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物には、柔軟性を損なわない範囲において繊維強化材以外の強化材を含有することができる。繊維強化材以外の強化材を配合することで、成形体の結晶化特性を向上させるほか、成形品の異方性、耐熱性、熱変形温度、機械強度、難燃性などの一部特性を改良することができる。
[電子線照射]
本発明のポリエステルエラストマー成形体の短期耐熱性および長期耐熱性を向上させるために架橋構造を形成させることが好ましい。
架橋構造を形成させる方法として、電子線を照射することで熱可塑性ポリエステルエラストマー分子鎖を架橋させる方法が例示できる。すなわち、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を成形してポリエステルエラストマー成形体を製造する方法において、成形の前および/または後に電子線を照射する工程を有することが好ましい。
すなわち、本発明のポリエステルエラストマー成形体の製造方法の好ましい態様は、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を成形してポリエステルエラストマー成形体を製造する方法であって、前記成形の前および/または後に電子線を照射する工程を有し、前記熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物が、結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするハードセグメント20~60質量%と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を主な構成単位とするソフトセグメントを合計で40~80質量%とを構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A1)を含む、ポリエステルエラストマー成形体の製造方法である。
また、本発明のポリエステルエラストマー成形体の製造方法の別の好ましい態様は、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を成形してポリエステルエラストマー成形体を製造する方法であって、前記成形の前および/または後に電子線を照射する工程を有し、前記熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物が、結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とし、かつ2種以上の酸成分と1種以上のグリコール成分とから構成されるハードセグメント40~85質量%と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を主な構成単位とするソフトセグメントを合計で15~60質量%とを構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A2)を含む、ポリエステルエラストマー成形体の製造方法である。
電子線の照射は公知の電子線照射装置を用いて行うことができる。電子線の照射条件は、電子線照射方向に対する未架橋成形体の厚みにより好ましい条件は異なるが、以下に例示できる条件が好ましく用いられる。
電子線照射時の加速電圧は10kV以上が好ましく、10MV以下となる範囲が好ましい。熱可塑性ポリエステルエラストマーを使用したフィルムなどは50kV~
300kVが好ましく、より好ましくは100kV~250kVである。厚みのある成形品の場合、150kV~10MVが好ましく、500kV~5.0MVがより好ましい。電子線の加速電圧が10kV未満となる場合、電子線照射方向に対して平行となる成形品の厚み方向への電子線透過能力が小さくなるため、成形体のごく表面での反応に限られる結果、得られる架橋形成効果が限定的となる。また、加速電圧が5.0MVより大きい場合、照射装置の規模が必要以上に大きくなり、製造費用の観点から好ましくなく、さらにはポリエステルエラストマー成形体の分解反応が促進されるため好ましくない。
ポリエステルエラストマー分子鎖を架橋させるために放射する電子線照射量は、電子線照射線量で記載して10kGy以上が好ましく、50kGy以下が好ましい。より好ましくは20kGy以上、40kGy以下となることが好ましい。また、前記電子線照射量を基にした電子線総放射線量(成形体の吸収線量)は20kGy以上、500kGy未満とすることが好ましい。より好ましくは30kGy~400kGyであり、さらに好ましくは50kGy~300kGyである。電子線照射線量が20kGy未満となる場合、熱可塑性ポリエステルエラストマー主鎖に対する架橋形成効果が不十分となりポリエステルエラストマー成形体の耐熱性が十分に得られない。また。電子線照射線量が500kGy以上となり照射量が大きい場合は、熱可塑性ポリエステルエラストマーの主鎖分解反応の影響が大きくなり、耐熱性および柔軟性が損なわれ、ポリエステルエラストマー成形体表面の黄変などが生じるおそれがある。
上記製造方法によって得られた本発明のポリエステルエラストマー成形品は、高い耐熱性を有するとともに、ポリエステルエラストマー由来の柔軟性および靭性を損なわず、反発弾性および耐圧縮永久歪み特性を向上させることができ、種々の高温環境下、柔軟性が要求される用途において用いることができる。
[架橋助剤]
架橋を促進させるための架橋助剤として、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメチルアリルシアヌレート、トリメチルアリルイソシアヌレート、トリアリルフェニルシアヌレートなどを例として配合して用いることができ、ポリエステルエラストマーの架橋形成を促進させることができる。しかしながら、高温環境下における架橋助剤のブリードアウトが生じることがあり、成形体表面の外観を損い、他の樹脂成形品との接着強度の維持を阻害すること、さらには成形体の柔軟性および伸度保持の観点から、架橋助剤は含まないことが好ましい。すなわち、ポリエステルエラストマー中に形成する架橋構造がポリエステルエラストマー由来の構造であり、架橋助剤由来の構造を含まないことが好ましい。
以下に示す実施例によって本発明の効果を説明する。本発明は、この発明の要旨の範囲内で適宜変更して実施することができる。なお、実施例中の%表記および部数表記は、ことわりのない場合は全て質量基準である。また、実施例中に示される物性は次の測定方法により測定したものである。
実施例および比較例において、次に記載する測定方法によって特性の評価を行った。
[融点測定]
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC-7型を用い、試料10mgを昇温速度10℃/分にて測定し得られる融解吸熱曲線の極値を与える温度を融点とした。
[表面硬度(HDD:デュロメーターDによる硬度)]
JIS K7215に記載された方法に従い、23℃、50%RH温調環境下で成形体の表面硬度を測定した。
[機械的特性(引張破断強度、引張破断伸び)]
日精樹脂工業社製射出成形機NEX1000を用いて、本発明のポリエステルエラストマー樹脂組成物で融点が180℃以下の組成の場合は、成形温度200℃、金型温度40℃の温度条件で、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂を含む場合は、成形温度が融点+20℃、金型温度は同様に40℃とし、射出時間と保圧時間の合計を10秒、冷却時間20秒の成形サイクルにて射出成形を行い、JIS2号試験片を得た。
得られた物性評価用JIS2号試験片を用い、JIS K7161(2014年)に準じて引張破断時強度および引張破断時伸度を測定した。引張速度は200mm/分とした。用いた熱可塑性ポリエステルエラストマーの種類によって得られる引張破断伸度は異なるが、JIS2号試験片を成形した状態において得られる引張破断伸度は100%以上となることが好ましい。
[電子線照射量]
上記射出成形により得られたJIS2号試験片に対し、加速電圧4.5MV、電子線照射線量20kGyにて、所定の吸収線量となるよう電子線照射を行った。また、電子線照射を行う前に、線量計の照射前吸光度測定を行い、試験片の上下面に線量計を装着した。照射後、照射前の吸光度の差から線量値を算出した。
[動的粘弾性(DMA)]
動的粘弾性測定装置TA Instruments社製RSAIIIを用い、試験規格JIS K7244に準拠し、次の条件にて引張モードでの動的粘弾性を測定し、得られた貯蔵弾性率E’および損失弾性率E’’の値を用いてtanδの値を評価した。
tanδ=損失弾性率E’’/貯蔵弾性率E’
測定温度範囲:-100℃~200℃
昇温速度:10℃/min
測定周波数:10Hz
[tanδ]
上記動的粘弾性測定において、200℃における損失係数tanδをtanδ、23℃における損失係数tanδをtanδとして、下記式(1)によってΔtanδを求めた。
Δtanδ=tanδ-tanδ …(1)
なお、特に融点以上の高温域において貯蔵弾性率E’が大きく低下し、tanδの値が非常に大きい数値を示した場合の結果については、実施例中において“発散”と表記した。
[短期耐熱性]
実施例に記載した熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物のペレットについて90℃で3時間以上熱風乾燥し、射出成形機(日精工業社製NEX-1000)を用いて前述のシリンダー温度と金型温度の成形条件にて成形した電子線照射前のJIS 2号試験片および電子線照射後のJIS 2号試験片について、150℃に設定した恒温槽内にて治具に固定してから10分間経過した後、JIS K7161に従って測定し、高温下における短期耐熱性として、引張破断伸度(%)および引張破断強度(MPa)を評価した。
[長期耐熱性]
実施例に記載した熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物のペレットについて90℃で3時間以上熱風乾燥し、射出成形機(日精工業社製NEX-1000)を用いて前述のシリンダー温度と金型温度の成形条件にて成形した電子線照射前のJIS 2号試験片および電子線照射後のJIS 2号試験片について、150℃に設定した熱風オーブンにて300時間静置させた後に取り出し、JIS K7161に従って測定し、引張破断伸度(%)および破断強度(MPa)を得た。また、引張破断伸度保持率(%)および引張破断強度保持率(%)として、以下の値により評価した。
引張破断伸度保持率(%)=(加熱後の破断伸度)/(加熱前の破断伸度)×100
引張破断強度保持率(%)=(加熱後の破断強度)/(加熱前の破断強度)×100
[耐薬品性]
JIS K7114:2001に準じ、耐膨潤性および耐薬品性評価の指標として、作動油ISOVG32に対する膨潤性を評価した。前述の方法により成形して得られた電子線照射前のJIS2号試験片および電子線照射後のJIS2号試験片について、TRUSCO社製油圧作動オイルVG32とともに、オートクレーブ中に窒素置換をせずにJIS2号試験片が浸かる程度に加え、100℃に設定した熱風オーブン中で1000時間静置させた。1000時間連続処理後、ガーゼを用いて表面のオイルを拭き取り、JIS K7161に従って引張破断伸度の保持率を評価した。
[ポリエステルブロック共重合体(A1-1)の製造方法]
結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(H1)25質量%と、脂肪族ポリエーテル単位からなるソフトセグメント(L1)75質量%とを構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A1-1)を製造した。
結晶性芳香族ポリエステルからなる高融点結晶性重合体セグメントとなるテレフタル酸270部、脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメントとなる数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール686部、さらに1,4-ブタンジオール311部、チタンテトラブトキシド1.8部を、ヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190~225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行なった。反応混合物に”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒンダ-ドフェノ-ル系酸化防止剤)0.5部を添加した後、243℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間45分重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行ってペレットとした。この熱可塑性ポリエステルエラストマー融点は、160℃であった。
[ポリエステルブロック共重合体(A2-1)の製造方法]
結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(H1)50質量%と、脂肪族ポリエーテル単位からなるソフトセグメント(L2)50質量%とを構成成分とし、ハードセグメント(H2)が、2種の酸成分と、ジオール成分とから構成される、ポリエステルブロック共重合体(A2-1)を製造した。
テレフタル酸33.0部、イソフタル酸10.0部、1,4-ブタンジオール40.3部、および数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール46.5部を、チタンテトラブトキシド0.04部とモノ-n-ブチル-モノヒドロキシスズオキサイド0.02部を共にヘリカルリボン型攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、190~220℃で3時間加熱し、反応水を系外に流出させながらエステル化反応を行った。反応混合物にテトラ-n-ブチルチタネート0.15部を追添加し、”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.05部を添加した後、245℃に昇温し、次いで、50分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で1時間50分重合を行った。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレットとした。この熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点は、162℃であった。
[ポリエステルブロック共重合体(A2-2)の製造方法]
結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(H2)40質量%と、脂肪族ポリエーテル単位からなるソフトセグメント(L2)60質量%とを構成成分とし、ハードセグメント(H2)が、2種の酸成分と、ジオール成分とから構成される、ポリエステルブロック共重合体(A2-2)を製造した。
結晶性芳香族ポリエステルからなる高融点結晶性重合体セグメントとなるテレフタル酸ジメチル312部およびイソフタル酸ジメチル91部、脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメントとなる数平均分子量約1000のポリ(エイチレンオキサイド)プロピレングリコール537部、さらに1,4-ブタンジオール167部、チタンテトラブトキシド4部を、ヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190~225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行なった。反応混合物に”イルガノックス”1098および1019(チバガイギー社製ヒンダ-ドフェノ-ル系酸化防止剤)各2部を添加した後、243℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で3時間重合を行った。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行ってペレットとした。この熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点は、154℃であった。
[ポリエステルブロック共重合体(A3)の製造方法]
結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(H1)62質量%と、脂肪族ポリエーテル単位からなるソフトセグメント(L1)38質量%とを構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A3)を製造した。
テレフタル酸50.5部、1,4-ブタンジオール43.8部および数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール35.4部を、チタンテトラブトキシド0.04部とモノ-n-ブチル-モノヒドロキシスズオキサイド0.02部を共にヘリカルリボン型攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、190~225℃で3時間加熱し、反応水を系外に流出させながらエステル化反応を行った。反応混合物にテトラ-n-ブチルチタネート0.2部を追添加し、”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.05部を添加した後、245℃に昇温し、次いで、50分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で1時間50分重合を行った。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレットとした。この熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点は、210℃であった。
[ポリアミドコポリマー(C)]
ポリアミドコポリマー(C)として、東レ株式会社製アミランCM4000(ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミドの3元共重合体)を使用した。
[酸化防止剤(D)]
酸化防止剤として(D-1)に、ビス[4-(1-フェニル-1-メチルエチル)フェニル]アミンを用いた。
(D-2)には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](アデカスタブAO-60)を用いた。
(D-3)には、スルフィド系酸化防止剤であるジドデシル3,3’-チオジプロピオネート(IRGANOXPS800)を用いた。
[グリシジル基変性コポリマー(E)]
グリシジル基変性コポリマー(E)として、ダウ・ケミカル社製ELVALOY4170(エチレン/n-ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート系ターポリマー)を使用した。
[エポキシ基含有樹脂、カルボジイミド化合物(F)]
二官能性エポキシ樹脂(F-1)として、三菱化学株式会社製jER1009を使用した。
多官能性エポキシ樹脂(F-2)として、日本化薬株式会社製ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂XD-1000Hを使用した。
カルボジイミド化合物(F-3)として、日清紡ケミカル株式会社製カルボジライトHMV-15CAを使用した
[熱可塑性ポリエステルエラストマー以外の熱可塑性樹脂(G)]
熱可塑性ポリエステルエラストマー以外の熱可塑性樹脂(G)として、東レ株式会社製ポリブチレンテレフタレート(PBT)1100Sを使用した。
[実施例1~27]、[比較例1~6]
実施例および比較例におけるポリエステルエラストマー樹脂組成物は、表1、表2、表3、表4に示す比率でドライブレンドし、45mmφで3条ネジタイプのスクリューを有する2軸押出機を用いて、融点が180℃以下の熱可塑性エラストマー組成物の場合は200℃にて、融点が200℃を超える熱可塑性樹脂を含む場合は、熱可塑性樹脂の融点+20℃の温度設定で溶融混練した後、ストランド状に吐出し、続いてペレタイザーにてφ3mm、長さ3mmにペレット化した。
得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物(A)および/または熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物(AA)のペレットを用い、下記の表に記載の評価項目である、Δtanδ、150℃における短期耐熱性および長期耐熱性、柔軟性、耐薬品性を評価した。
Figure 2023049227000001
Figure 2023049227000002
Figure 2023049227000003
Figure 2023049227000004
実施例および比較例から明らかなように、本発明のポリエステルエラストマー成形体のΔtanδは0.5以下となることから、ポリエステルエラストマーとしての柔軟性を保ちつつ、耐熱性として短期・長期ともに優れる耐久性を有するとともに、優れた耐薬品性も兼ね備えることがわかった。一方、比較例に示したポリエステルエラストマー成形体はこれらを全て満足することはない。
実施例1、2と比較例1、2との比較、実施例7と比較例3においては、特に短期耐熱性が大きく改善しており、融点付近の温度にて顕著となる軟化を大幅に抑制した結果、長期的な耐熱性向上している。
また、実施例22と比較例4において、他の熱可塑性樹脂を併用して剛性を向上させているが、柔軟性は損なっておらず、短期耐熱性の向上に加えて、長期耐熱性も向上している。
さらに実施例7と、Δtanδが0.5より大きい値となる比較例5および6との比較では、柔軟性を維持しつつ、短期および長期耐熱性との両立ができているだけでなく、耐薬品性も向上していることがわかる。
実施例7~9と比較例7において、より剛性の高い熱可塑性エラストマーとした成形品と比較した結果、耐薬品性および短期耐熱性は向上だけでなく、柔軟性に優れており、さらに十分な長期耐熱性も両立した結果となった。
本発明によれば、優れた機械特性と柔軟性を有しつつ、短期から長期にわたる優れた耐熱性を両立することができるポリエステルエラストマー成形品の提供が可能となり、自動車部品、電気電子部品、工業用材料などの特に柔軟性と耐熱性が必要な製品に好適に使用することができ、高い耐熱寿命が求められる部位に対して従来材を代替することにより、軽量化と柔軟性を兼ね備えた特性を付与することが可能となる。

Claims (10)

  1. 脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位、ならびに結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするポリエステルエラストマー成形体であって、JIS K7215に準拠した表面硬度がHDD25以上、HDD45以下であり、試験規格JIS K7244に準拠した動的粘弾性測定および下記式(1)によって得られるΔtanδが0.5以下であることを特徴とするポリエステルエラストマー成形体。
    Δtanδ=tanδ-tanδ …(1)
    ここに、
    tanδ:200℃における損失係数
    tanδ:23℃における損失係数
  2. 脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位、ならびに2種以上の酸成分と1種以上のグリコール成分とを含む結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするポリエステルエラストマー成形体であって、JIS K7215に準拠した表面硬度がHDD25以上、HDD45以下であり、試験規格JIS K7244に準拠した動的粘弾性測定および下記式(1)によって得られるΔtanδが0.5以下であることを特徴とするポリエステルエラストマー成形体。
    Δtanδ=tanδ-tanδ …(1)
    ここに、
    tanδ:200℃における損失係数
    tanδ:23℃における損失係数
  3. 前記Δtanδが0.3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルエラストマー成形体。
  4. 熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を成形してポリエステルエラストマー成形体を製造する方法であって、前記成形の前および/または後に電子線を照射する工程を有し、前記熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物が、結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするハードセグメント20~60質量%と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を主な構成単位とするソフトセグメントを合計で40~80質量%とを構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A1)を含む、ポリエステルエラストマー成形体の製造方法。
  5. 熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を成形してポリエステルエラストマー成形体を製造する方法であって、前記成形の前および/または後に電子線を照射する工程を有し、前記熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物が、結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とし、かつ2種以上の酸成分と1種以上のグリコール成分とから構成されるハードセグメント40~85質量%と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を主な構成単位とするソフトセグメントを合計で15~60質量%とを構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A2)を含む、ポリエステルエラストマー成形体の製造方法。
  6. ポリエステルブロック共重合体(A1)および/またはポリエステルブロック共重合体(A2)の合計100質量部に対し、ポリアミドコポリマー(C)を0.5~10質量部含有することを特徴とする請求項4または5に記載のポリエステルエラストマー成形体の製造方法。
  7. ポリエステルブロック共重合体(A1)および/またはポリエステルブロック共重合体(A2)の合計100質量部に対し、酸化防止剤(D)を0.05~5質量部含有することを特徴とする請求項4~6のいずれかに記載のポリエステルエラストマー成形体の製造方法。
  8. ポリエステルブロック共重合体(A1)および/またはポリエステルブロック共重合体(A2)の合計100質量部に対し、グリシジル基変性ポリオレフィン樹脂(E)を0.1~20質量部含有することを特徴とする請求項4~7のいずれかに記載のポリエステルエラストマー成形体の製造方法。
  9. ポリエステルブロック共重合体(A1)および/またはポリエステルブロック共重合体(A2)の合計100質量部に対し、エポキシ基含有樹脂および/またはカルボジイミド化合物(F)から選ばれる少なくとも一種以上を合計で0.05~10質量部配合してなることを特徴とする請求項4~8のいずれかに記載のポリエステルエラストマー成形体の製造方法。
  10. ポリエステルブロック共重合体(A1)および/またはポリエステルブロック共重合体(A2)の合計100質量部に対し、ポリエステルエラストマー以外の熱可塑性樹脂(G)を少なくとも一種類以上を合計で1~100質量部含有することを特徴とする請求項4~9のいずれかに記載のポリエステルエラストマー成形体の製造方法。
JP2021158844A 2021-09-29 2021-09-29 ポリエステルエラストマー成形体およびポリエステルエラストマー成形体の製造方法 Pending JP2023049227A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021158844A JP2023049227A (ja) 2021-09-29 2021-09-29 ポリエステルエラストマー成形体およびポリエステルエラストマー成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021158844A JP2023049227A (ja) 2021-09-29 2021-09-29 ポリエステルエラストマー成形体およびポリエステルエラストマー成形体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023049227A true JP2023049227A (ja) 2023-04-10

Family

ID=85801780

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021158844A Pending JP2023049227A (ja) 2021-09-29 2021-09-29 ポリエステルエラストマー成形体およびポリエステルエラストマー成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023049227A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101558874B1 (ko) 난연성 폴리에스테르 조성물, 제조방법, 및 그의 물품
US8080599B2 (en) Thermoplastic polyester compositions, methods of manufacture, and articles thereof
WO2009110230A1 (ja) 難燃性樹脂組成物及び被覆電線
JP6874257B2 (ja) 耐熱熱可塑性エラストマー樹脂組成物
JP6052547B2 (ja) 耐熱熱可塑性エラストマー樹脂組成物
JP2010229390A (ja) 難燃性熱可塑性エラストマー樹脂組成物およびその用途
JP2007045952A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いた被覆電線
JP5865133B2 (ja) 耐熱熱可塑性エラストマー樹脂組成物
JP2009204097A (ja) 熱収縮チューブ成形体
JPH06200132A (ja) ランプリフレクター用樹脂組成物
JP7088915B2 (ja) 樹脂ベルト材料用熱可塑性ポリエステルエラストマ樹脂組成物および樹脂ベルト成形体
JP2001002768A (ja) ポリエステルエラストマ樹脂および樹脂組成物
JP6806596B2 (ja) 樹脂ベルト材料用熱可塑性ポリエステルエラストマ樹脂組成物および樹脂ベルト成形体
JP2012211275A (ja) 耐熱熱可塑性エラストマー樹脂組成物
JP2023049227A (ja) ポリエステルエラストマー成形体およびポリエステルエラストマー成形体の製造方法
JPWO2011132655A1 (ja) ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及びポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法
JP5791032B2 (ja) 耐熱熱可塑性エラストマ樹脂組成物
JP2020084037A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び成形体
JPH11323109A (ja) ポリエステルエラストマ樹脂組成物
JP5413162B2 (ja) 耐熱熱可塑性エラストマー樹脂組成物
JP3761598B2 (ja) ポリブチレンテレフタレート樹脂製成形品
JP2021105161A (ja) 熱可塑性エラストマー樹脂組成物
JP2009029990A (ja) 耐熱熱可塑性エラストマー樹脂組成物および成形体
JP2002060596A (ja) 難燃性のポリエステルエラストマ樹脂組成物
JP2013249356A (ja) 放熱性を有する熱可塑性エラストマー樹脂組成物及び成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20230118

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240626