JP2023049001A - 時計用の安全な制御部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】時計用の制御部材に関する。【解決手段】時計用の制御部材は、チューブ2と、時計機構を作動できるようチューブの内側に収容された回転可能な長手方向伝達部材14と、チューブと伝達部材との間に配置された少なくとも1つのシール24と、非作動位置と作動位置との間で並進移動可能なクラウン52であり、作動位置で、伝達部材を駆動できるクラウンと、クラウンに作用して、クラウンをチューブから離れさせようとするために配置された弾性復帰部材と、を含む、時計用の制御部材であって、伝達部材は固定された長手方向位置を有し、クラウンは、非作動位置で、伝達部材に対して回転自在であり、作動位置で、伝達部材と一緒に回転するよう拘束された第2の連結部材に係合される第1の回転連結部材38を担持する。【選択図】図2

Description

本発明は、時計用の制御部材であって、
軸線Xを有し、時計ケースに固定されるものとされたチューブと、
チューブの内部に部分的に収容され、また、軸線Xを中心に回転駆動されることによって時計の時計機構を作動できるものとされた長手方向伝達部材と、
チューブと伝達部材との間に配置された少なくとも1つの環状シールと、
軸線Xに沿って非作動位置と作動位置との間を並進移動するように適合化されたクラウンであり、作動位置で、該クラウンは、前記伝達部材と少なくとも間接的に協働し、ユーザの適切な動作に応答して前記伝達部材を回転駆動する、該クラウンと、
クラウンに作用し、クラウンをチューブから離れさせるように配置された弾性復帰部材と、を含む、時計用の制御部材に関する。
また本発明は、時計ケース及びこの種の制御部材を含む時計、好ましくは潜水時計に関する。
上記の特徴を有する制御部材は、特許文献1(欧州特許第0556155号)に記載されている。
この特許文献1は、ロック可能なクラウンを含む制御部材を記載及び図示しており、この制御部材の構造及び動作の一般原理は、防水時計、特に潜水時計の分野でよく知られている。
より正確には、この制御部材は、時計の中間部に固定されるチューブを含み、チューブを通って伝達部材が配置され、チューブと伝達部材の間に環状シールが配置される。伝達部材は、クラウンに固定された筒体の形をとり、ケース内に位置する筒体の端部は、時計ケース内に配置されたロッドと協働して、ロッドを軸線方向に動かし且つ回転させるように適合化された連結部材を備える。さらに、チューブは中間部の外側にねじ山を含み、このねじ山及びクラウンの内側に形成されているねじ山は、クラウンが使用されていないときにクラウンを元に戻すようにねじ込むことによって、クラウンをロックするように協働することができる。クラウンの底部は、クラウンがチューブにねじ込まれたときに圧縮されるように配置された追加のシールを収容する。さらに、時計ケース内に配置されているロッドとクラウンとの間には、クラウンに作用して、クラウンを時計ケースの中央から離れさせようとするものとして、ばねが配置されている。
作動の観点から、クラウンがねじ戻されるとき、ばねは、第1の作動位置に向けてクラウンを押すように、クラウンに作用する。また、この移動の過程で、クラウンに固定されている筒体も、ケース内に配置されているロッドに対して軸線方向に動かされ、筒体の連結部材は、ロッドの適切なセクションと相互に係合されるように位置合わせされ、クラウンを回転させることによってロッドを回転駆動することを可能にする。クラウンの回転により、少なくとも1つの追加の時計機能を作動させるための少なくとも1つの追加の引き出し位置を提供することが可能であり、クラウンがそのロック解除位置から引き出し位置に移動すると、筒体はロッドを並進運動で駆動する。
特に上記特許の図面において、チューブと筒体の間に配置されているシールは、筒体の直径のために大きな直径を有していなければならないことが分かる。さらにこのシールも、クラウンの操作中の変形を制限するために、大きな断面を有していなければならない。実際、シールの内壁は筒体と接触しており、シールの外壁は、クラウンがねじ戻されたときに筒体のみが回転している間、チューブと接触しており、シールが受ける第1の種類の応力を生じさせる。クラウンを放すと、クラウンは中間部から離れ、筒体を中間部に引き寄せる。したがって、チューブが固定されたままの状態における筒体の軸線方向の動きが、シールに対する第2の種類の応力を生じさせる。クラウンがユーザによって回されて対応する時計機能を作動させるとき、第1の種類の応力がさらにシールに加わるが、このとき、この応力は2つの逆方向に作用する。
シールは、上記の応力のうちの1つにさらされるたびに受ける変形を最小限にするために、十分に堅牢でなければならない。
さらに、これらのねじ作用式クラウンロック機構は、時間が経つにつれて特定の問題を引き起こす可能性がある。ユーザがクラウンに過度のトルクを加え、それにより、チューブ上のねじ山及び/又はクラウンに損傷を引き起こすことが起こり得る。また、クラウンを使用せずに長時間ねじ込んだままにしておくと、時間が経つにつれて緊結が発生し、チューブやクラウンを破損させる恐れがある。
また、潜水時計の場合、より具体的な問題が発生する可能性があることにも留意されたい。すなわち、一般的に、潜水中はケースに水が浸入するおそれなしにクラウンをねじ戻すことができるが、その後、潜水の終了前にホーム状態にねじ込むことは推奨されない。実際、クラウン及びクラウンの筒体がケースの内部に向かって軸線方向に動くと、ケース内への水の侵入を促進するシールの変形を引き起こすことがあり、これは、クラウンとケースの間に位置する水の圧力によって強められる。典型的に、この種のねじ込み式クラウンを潜水時計に採用することで、ケース内に配置され且つ潜水の持続時間を表示するものとされたカラーを制御することができる。この場合、潜水中にクラウンを再ロックできないと、クラウンの回転が適時でない事態が生じて、カラーによって提供される表示の調整が不適切になる可能性があるので、このことは問題となる可能性がある。
したがって、操作及び密閉の点で安全で、人間工学的かつコンパクトな時計用クラウンを備える制御部材を配置できるようにすることの必要性が依然として存在することは、上記から明らかである。
欧州特許第0556155号明細書
本発明の主な目的は、適性能なしでも中立状態にするよう操作することが極めて容易で、その審美的外観及び嵩に著しい影響を及ぼし、且つそれが関連するケースのシールを損なわない、時計用の安全な制御部材の代替構造を提案することである。
この目的のために、本発明は、より具体的には上述したタイプの制御部材に関し、この制御部材は、
伝達部材が、チューブに対して固定された所定長手方向位置を有し、
クラウンの非作動位置は、弾性復帰部材の作用によってクラウンがチューブから離れた位置に対応し、クラウンは、非作動位置で、伝達部材に対して回転自在であり、また
クラウンは、作動位置で、伝達部材と一緒に回転するように拘束された第2の連結部材に係合される第1の回転連結部材を担持することを特徴とする。
これらの特徴のおかげで、特に、伝達部材がチューブに対して固定された長手方向位置を有するおかげで、ケースのシールがクラウンの操作によって損なわれることはなくなる。さらに、クラウンは、非作動位置にあるときにはケースから離されているので、ねじ込み式クラウンで起こりやすい緊結は、本発明による構造では起こり得ない。同様に、この構造は、ねじ込み式クラウンに関連付けられている操作モードとは異なる操作モードをもたらし、ユーザによる損傷を与えるトルク印加のリスクは、この場合でも生じ得ない。最後に、本発明による構造のこれらの利点が得られないと、対応する制御部材の高レベルな安全性を毀損することが強調されるべきであり、なぜなら、制御部材に関連付けられている時計機構を作動するには、クラウンを回転させる前に、ユーザがクラウンに圧力をかけることが必要だからである。したがって、関連する時計機構が適時でない時に作動するリスクは、全て回避される。
伝達部材は、好ましくは環状シールのためのハウジングを画定する少なくとも1つの環状溝が形成されたロッドの形をとってもよい。
この場合、伝達部材は、伝達部材とチューブとの間のシールを補強する第2の環状シールのためのハウジングを画定する少なくとも1つの第2の環状溝も含んでもよく、好ましくは、少なくとも第2及び第3の環状溝を含み、第2及び第3の環状溝はそれぞれ、伝達部材とチューブとの間のシールを補強する追加の環状シールのためのハウジングを画定する。
一般的に言えば、伝達部材は、クラウンに固定されている静止面と協働してクラウンの非作動位置を画定するように適合化された衝合面を装備してもよい。
この静止面は、特にクラウンの内側に配置された環状リング上に画定され、また好ましくは、クラウンに環状リング打ち込む、接着する、溶接する、又はろう付けすることによって、クラウンに固定される。
この場合、第1の連結部材は、有利には環状リングに形成されてもよい。
より一般的には、第2の連結部材は多角形状の中央孔に特徴があるリングを備えてもよく、この中央孔は、リングの任意な回転が、伝達部材を対応して回転駆動するように、伝達部材における相補的形状の連結セクションと協働する。
さらに、第1及び第2の連結部材はそれぞれ、他方の連結部材と協働するように適合化された歯又は刻み目に特徴があり、また他方の連結部材は、相補的な歯又は刻み目に特徴があるものとし得る。
一般的に言えば、伝達部材は、ケースの内側に位置決めされるものとされた伝達部材の端部で、時計機構と協働するものとされた第3の連結部材を装備してもよく、第3の連結部材は、好ましくは、軸線Xとともに歯を備える。
好ましい実施形態によれば、
第3の連結部材は、チューブと協働して伝達部材がケースの外側方向に軸線方向移動することを防ぐ、伝達部材の軸線方向衝合部を画定してもよく、また
伝達部材はさらに、チューブと少なくとも間接的に協働して伝達部材がケースの内側方向に軸線方向移動することを防ぐように適合化された肩部を装備してもよい。
一般的に言えば、弾性復帰部材は、コイルばねであって、コイルばねの第1の端部が、チューブに当接するように配置され、コイルばねの第2の端部が、クラウンに当接するように配置された、コイルばねであってもよい。
また本発明は、まさにこれまで開示してきた特徴のうち幾つか又は全部を有する制御部材を含む時計ケース及び時計に関する。
好ましい実施形態によれば、時計、好ましくは、潜水時計は、伝達部材との運動学的連結部が設けられている回転カラーを含んでもよい。
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として提示される添付の図面を参照して与えられる2つの好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことで、よりはっきりと明らかになるであろう。
本発明の第1の好ましい実施形態による、時計用の安全な制御部材の簡略化された分解斜視図を表す。 図2aは、図1からの制御部材の長手方向断面における同じ簡略図を異なる形態で表す。図2bは、図1からの制御部材の長手方向断面における同じ簡略図を異なる形態で表す。 図3aは、図1からの制御部材の同じ簡略化された部分斜視図を図2aの形態で表す。図3bは、図1からの制御部材の同じ簡略化された部分斜視図を図2bの形態で表す。 本発明の第2の好ましい実施形態による時計用の安全な制御部材の簡略化された分解斜視図を表す。 図5a~図5bは、図4からの制御部材の簡略化された長手方向断面における同じ図を異なる形態で表す。
図1は、本発明の第1の好ましい実施形態による潜水時計用の制御部材1の簡略化された分解斜視図を表す。図2a及び図2bは、制御部材1の長手方向断面における同じ簡略図を2つの異なる形態で表し、図1に示される構成要素がどのように互いに協働するのか良く理解できるようにする。
制御部材1は、従来の方法で時計ケース(図示せず)に固定されるものとされたチューブ2を含む。非限定的な例として、チューブ2は、時計の中間部に打ち込まれ、ねじ込まれ、又は溶接されてもよく、場合によってはチューブ2と時計の中間部の間にシールがあってもよい。
チューブ2は、軸線Xを有する円筒形の全体的な形状を有し、3つの連続するセクション、すなわち、時計の中間部に収容されるものとされた小径の第1のセクション4と、中間部の外壁に対して位置決めされるものとされ、第1のセクション4よりも大径である第2のセクション6と、及び環状シール10を収容するものとされた環状溝が形成されている、中間の直径の第3のセクション8とを有する。
チューブ2は、長手方向伝達部材14用の通路を画定する中央孔12を含む。
時計ケースに収容されるものとされた伝達部材14の第1の端部16から、ケースの外側にあるものとされた伝達部材14の第2の端部18に向けて、伝達部材14は、円筒形の第1のセクション20と、4つの環状溝が設けられ、各環状溝に環状シール24が収容される、中央の第2のセクション22と、円筒形の第3のセクション26と、多角形状の外輪郭を有する、短い第4のセクション28と、第4のセクション28よりもわずかに大きい直径の円筒形の第5のセクション30とを有する。
また、第1の端部16も多角形状の外輪郭を有し、また雌ねじ山付き中央孔32を含む。
第2の端部18は、肩部を画定するように、第5のセクション30の直径よりも大きい直径を有する。
伝達部材14は、チューブ2を通り、それらの間で、ケースの外側に位置決めされるものとされている側で、第1の環状リング34に係合され、また次いで環状シール10に当接するものとされた追加のリング36に係合される。
環状リング34は、制御部材1の軸線方向に配置され、また第1の連結部材38を画定する、凹凸部を有し、第1の連結部材38は、リング36に形成された相補的な歯の形をとる第2の連結部材40と協働するように適合されている。第2の連結部材40は、伝達部材14の第4のセクション28に面して位置決めされるものとされており、また、伝達部材14及びリング36が拘束されて一緒に回転するように、第4のセクション28の形状と相補的な形状の中央孔42を含む。
また、伝達部材14の第2の端部18が、中間部から離れる方向に向かう環状リング34の運動の振幅を制限できるように、環状リング34は、第2の端部18と協働するものとされた内側肩部44を含む。
さらに、第3の連結部材46が伝達部材14の第1の端部16に係合され、本明細書において第3の連結部材は設定ホイールの形をとり、その中心孔8は、伝達部材14自体が回転駆動されたときに伝達部材14が第3の連結部材46を回転駆動できるように、多角形状である。
最後に、ねじ50が伝達部材14の雌ねじ山付き中央孔32にねじ込まれることで、第3の連結部材46を伝達部材14に組み付け、また、チューブ2の内部で第3の連結部材を保持することが保証される。
図2a及び図2bを調べると、チューブ2に対するねじ50の固定された軸線方向位置は、第3の連結部材46の厚さによって画定され、ねじ50の締め込みは、伝達部材14をケースの内部に向けて動かそうとする牽引力が伝達部材14に及ぶことが分かる。この動きは、伝達部材14の第5の部分30がリング36に作用することを通じて、環状シール10をわずかに圧縮する。またこの構造により、伝達部材14がチューブ2に対して固定された軸線方向位置を有することが保証される。
さらに、制御部材1はクラウン52を含み、その外周壁は、クラウン52の操作を容易にするために、有利には(任意の好ましい方法で)円錐状になっており、また刻み目が付けられている。クラウン52は中空であり、好ましくはクラウン52の中に打ち込む、接着する、溶接する、又はろう付けすることによってクラウン52に固定される環状リング34のためのハウジング54を画定する。
また、本明細書ではコイルばねの形をとる弾性復帰部材56もクラウン52内に配置され、図2aに示されるように、弾性復帰部材56は、クラウン52をチューブ2から、したがって時計ケースから離れさせようとする力をクラウン52に及ぼすように、チューブ2の第2のセクション6に当接するよう位置決めされる一方の端部を有する。
また図2aから分かるように、環状リング34の内側肩部44は、伝達部材14の第2の端部18と協働することで、環状リング34が、したがってクラウン52がチューブ2から離れることを防ぐ休止面を画定している。
さらに、図2a及び2bから同様に明らかなように、伝達部材14の第5のセクション30に面するように位置決めされた内側肩部44は、第5のセクション30の高さよりも低い高さを有し、これにより、クラウン52と伝達部材14との間で軸線方向に相対的に動くことが可能になり、より正確には、クラウン52に圧力を加えることによって、クラウン52を図2aに示された形態から図2bに示された形態に移行させることが可能になる。クラウン52に対して時計ケースの方向に圧力を加えることを止めると、弾性復帰部材56は再びその作用を発揮し、クラウン52を図2aに示す位置に押しやることができる。
図3a及び3bは、図2a及び2bからの2つの形態それぞれにおける制御部材1の同じ簡略化された部分斜視図を表す。
これらの図から明らかなように、時計ケースの方向に押すことができるようになる前に、該当する場合は、クラウン52を回転させて、リング36の歯を分離する空間に対面するよう環状リング34の凹凸部を位置決めしなければならない。この状況を図3aに示す。クラウン52が適切に配向されていると、クラウン52は、弾性復帰部材56によって及ぼされる作用によって押し付けられて、図3bに示すように、凹凸部をリング36の歯内に貫入させることができる。
図3bに示す形態では、クラウン52をいずれかの方向に回転させれば、リング36が、したがって伝達部材14が、これらの2つの構成要素を互いに連結する多角形状連結部を介して回転する。次いで、第3の連結部材46も、クラウン52と同じ方向に駆動され、したがって、適切な運動学的連結部を有する時計機構を作動させることができる。
本明細書では、第3の連結部材46は設定ホイールの形をとり、例えば、時計ムーブメントの歯付きリング(図示せず)と直接相互係合するように配置することができる。好ましい実施形態によれば、例えば、この種の歯付きリングは、時計の文字盤の周囲に配置され、潜水の持続時間を示すカラーに固定されてもよい。この場合、潜水の開始前に、既知の方法で、指示部が潜水の開始に対応する現在の分を表示する手に面するように位置決めするように、カラーの方位を調整してもよい。
もちろん、本発明の実施形態は、第3の連結部材46用に設定ホイールを使用することに限定されず、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、自身の要件に適した第3の連結部材の任意な他の形状、例えば、正方形又は六角形の軸線方向孔を有する円筒形部品を使用する際に、特に困難に直面することはないであろう。
代替的に、所定の回転方向へのクラウン52の回転のみが第3の連結部材46に伝達され、逆方向へのクラウン52の回転が効果を有さないように適合された第1及び第2の連結部材を提供することも同様に可能である。この場合、例えば、第1及び第2の連結部材は、手動巻き戻し機構における摺動ピニオン及びその相補的な歯のように、鋸歯状の歯を備えてもよい。
上記から明らかなように、図2a及び図3aに示すようにクラウン52が非作動位置にあるときは、クラウン52を回転しても作用しないままなので、制御部材1は安全である。クラウン52は、非作動位置から作動位置に動かすために、最初にユーザによって押されなければならず、作動位置では、第1及び第2の連結部材が相互係合されてから、クラウン52の回転が対応する時計機構を作動させることができる。クラウン52の軸線方向運動におけるこの動作の間、従来技術の制御部材で起こることとは対照的に、制御部材1のいずれのシールもいかなる特定の応力を受けない。この結果、クラウン52が作動位置にあるときにクラウン52を回転すると、制御部材1の全てのシールは、伝達部材14とチューブ2との相対回転中に、1タイプの応力のみを受ける。本明細書で使用されるシールの形状は、このタイプの応力に完全に適合されているので、したがって、シールの望ましくない変形によって生じる可能性のある摩耗に関して特定の問題を引き起こすことはない。さらに、本発明による制御部材1の構築、より具体的には、その伝達部材14の形状及び直径の小ささにより、直径のみならず断面も小さい環状シールを使用できることも分かる。この種の利点により、制御部材1の全体的なサイズを制限し、且つ/又は、対応する時計ケースのシールを可能な限り補強するために、本明細書に示されるようなシールの数を増やして使用することができる。
図4は、本発明の第2の好ましい実施形態による潜水時計用の制御部材100の簡略化された分解斜視図を表す。図5a及び図5bは、制御部材100の長手方向断面における同じ簡略図を2つの異なる形態で表し、図4に示される構成要素がどのように互いに協働するのか良く理解することを可能にする。
制御部材100は第1の実施形態のチューブ2と同様のチューブ102を含み、このチューブ102も時計の中間部に打ち込まれ又は溶接されてもよく、時計中央とチューブ102の間に金属シールが配置されてもよい。
チューブ102は、軸線Xを有する円筒形の一般的な形状を有し、3つの連続するセクション、すなわち、時計の中間部に収容されるものとされた小径の第1のセクション104と、中間部の外壁に対して位置決めされるものとされ、第1のセクション104よりも大径の第2のセクション106と、環状シール110を収容するものとされた環状溝が形成されている、中間の直径の第3のセクション108とを有する。
チューブ102は、長手方向伝達部材114用の通路を画定する中央孔112を有する。
時計ケースに収容されるものとされた伝達部材114の第1の端部116から、ケースの外側に位置決めされるものとされた伝達部材114の第2の端部118に向けて、伝達部材114は、4つの環状溝が設けられ、各環状溝に環状シール124が収容される第1のセクション122と、円筒形の第2のセクション126と、第2のセクション126の直径よりもわずかに小さい直径を有し、且つ多角形状の外輪郭を有する、短い第3のセクション128と、第3のセクション128の直径よりもわずかに小さい直径を有する円筒形の第4のセクション130とを有する。
第2の端部118は雌ねじ山付き中央孔132を含む。
第1の端部116は、衝合部を画定するように、チューブ102の直径よりも大きい直径を有する。
伝達部材114はチューブ102を通り、また、ケースの外側に位置決めされるものとされている側で、第1の環状リング134、及び、環状シール110に当接するものとされた追加のリング136を通る。
環状リング134は、制御部材110の軸線方向にあり、またリング136上に配置された相補的な歯の形をとる第2の連結部材140と協働するように適合された第1の連結部材138を画定する、凹凸部を有する。第2の連結部材140は、伝達部材114の第3のセクション128に対面して位置決めされるものとされており、また、伝達部材114及びリング136が拘束されて一緒に回転するように、第3のセクション128と相補的な形状の中央孔142を含む。
第3の連結部材は、伝達部材114の第1の端部116に直接且つ一体ピースとなるように形成され、第1の実施形態と同様の設定ホイールの形をとる。
ねじ150が伝達部材114の雌ねじ山付き中央孔132にねじ込まれると、伝達部材114をチューブ2の内部に保持する。
ブッシュ151は、リング136とねじ150の頭部との間に配置される。
図5a及び図5bを調べると、ねじ150を締め込むことが、伝達部材114をケースの外部に向けて動かそうとする牽引力を伝達部材114に加え、また、ブッシュ151及びリング136を介して環状シール110のわずかな圧縮を生ぜしめることが分かる。またこの構造により、伝達部材114がチューブ102に対して固定された軸線方向位置を有し、伝達部材114の第1の端部116がチューブ102に直接衝合して配置されることが保証される。
さらに、制御部材100はクラウン152を含み、その外周壁は、クラウン152の操作を容易にするために、有利には(任意の好ましい方法で)円錐状になっている。クラウン152は中空であり、好ましくはクラウン152の中に打ち込む、接着する、溶接する、又はろう付けすることによってクラウン152に固定される環状リング134のためのハウジング154を画定する。さらに、クラウン152は、ねじ150がクラウン152内に完全に収容されるように適合されるよう、ネジ150の頭部と相補的な形状の中央孔155を含む。
また、本明細書ではコイルばねの形をとる弾性復帰部材156もクラウン152内に配置され、図5aに示されるように、弾性復帰部材156は、クラウン152をチューブ102から、したがって時計ケースから離れさせようとする力をクラウン152に及ぼすように、チューブ102の第2のセクション106に当接するよう配置された一方の端部を有する。この位置では、有利には、ねじ150の頭部がクラウン152の表面と同一平面上にある。
また図5a及び図5bから分かるように、弾性復帰部材156の作用によってクラウン152がチューブ102から離されたときにクラウン152の並進運動の振幅を制限するために、環状リング134の中心孔は、環状リング134が、ねじ150の頭部と協働する衝合部を画定するように、クラウン152の中心孔155の直径よりも僅かに小さい直径を有する。
ブッシュ151は、環状リング134の中央孔の直径よりもわずかに小さい直径を有し、これにより、クラウン152の並進運動中に環状リング134を長手方向に案内することができる。
制御部材100の動作は第1の実施形態による制御部材1と同様であるため、詳細な説明は省略する。ユーザが視認できる唯一の違いは、クラウン152を押してクラウン152をその作動位置に動かしたとき、チューブ102に固定されたねじ150の頭部がクラウン152の外側に部分的に位置することである。
第2の好ましい実施形態による制御部材100は、上述の第1の実施形態と同一の利点を有する。
上記の説明に基づいて、適時でない操作に対して安全な防水制御部材を製造することが可能であり、そのシールは、水中で、特に潜水中に操作されたときに損なわれるおそれがなく、比較的単純で比較的コンパクトな構造を有する。
本発明の実施形態は、具体的に記載及び/又は図示された特定の特徴、特に、クラウン、3つの連結部材若しくは弾性復帰部材の形状、又はやはり、図示及び記載された2つの好ましい実施形態で使用されているシールの数等に限定されない。実際、当業者は、本発明による制御部材の製造に本教示を適合させる際に特に困難に遭うこともない。すなわち、クラウンは、初期設定では対応する時計ケースから離れた位置に維持されるものとされ、非作動位置から離されており、また、伝達部材とチューブの間に配置され、中間部に固定されるものとされたシールは、クラウンがその非作動位置とその作動位置との間で動かされるときに、いかなる動的応力も受けない。

Claims (14)

  1. 時計用の制御部材(1)であり、
    軸線Xを有し、時計ケースに固定されるものとされたチューブ(2)と、
    前記チューブ(2)の内部に部分的に収容され、前記軸線Xを中心に回転駆動されることによって前記時計の時計機構を作動できるものとされた長手方向伝達部材(14)と、
    前記チューブ(2)と前記伝達部材(14)との間に配置された少なくとも1つの環状シール(24)と、
    前記軸線Xに沿って非作動位置と作動位置との間を並進移動するように適合化されたクラウン(52)であり、前記作動位置で、該クラウン(52)は、前記伝達部材(14)と少なくとも間接的に協働し、ユーザの適切な動作に応答して前記伝達部材を回転駆動する、該クラウン(52)と、
    前記クラウン(52)に作用し、前記クラウン(52)を前記チューブ(2)から離れさせようとするものとして配置された弾性復帰部材(56)と、
    を含む、時計用の制御部材(1)であって、
    前記伝達部材(14)は、前記チューブ(2)に対して固定された所定長手方向位置を有し、
    前記クラウン(52)の前記非作動位置は、前記弾性復帰部材(56)の作用によって前記クラウン(52)が前記チューブ(2)から離れた位置に対応し、前記クラウン(52)は、前記非作動位置で、前記伝達部材(14)に対して回転自在であり、また
    前記クラウン(52)は、前記作動位置で、前記伝達部材(14)と一緒に回転するように拘束された第2の連結部材(40)に係合される第1の回転連結部材(38)を担持する
    ことを特徴とする、制御部材(1)。
  2. 請求項1に記載の制御部材(1)であって、前記伝達部材(14)は、前記環状シール(24)のためのハウジングを画定する少なくとも1つの環状溝(22)が形成されたロッドの形をとることを特徴とする、制御部材(1)。
  3. 請求項2に記載の制御部材(1)であって、前記伝達部材(14)は、前記伝達部材(14)と前記チューブ(2)との間のシールを補強する第2の環状シール(24)のためのハウジングを画定する、少なくとも1つの第2の環状溝(22)を含み、好ましくは、前記伝達部材(14)は、少なくとも第2及び第3の環状溝(22)を含み、前記第2及び第3の環状溝(22)はそれぞれ、前記伝達部材(14)と前記チューブ(2)との間のシールを補強する追加の環状シール(24)のためのハウジングを画定することを特徴とする、制御部材(1)。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の制御部材(1)であって、前記伝達部材(14)は、前記クラウン(52)に固定されている休止面と協働して前記クラウンの非作動位置を画定するように適合化された衝合面を装備することを特徴とする、制御部材(1)。
  5. 請求項4に記載の制御部材(1)であって、前記休止面は、前記クラウン(52)の内側に配置された環状リング(34)上に画定され、また好ましくは、前記クラウンに前記環状リング(34)を打ち込む、接着する、溶接する、又はろう付けすることによって、前記クラウン(52)に固定されることを特徴とする、制御部材(1)。
  6. 請求項5に記載の制御部材(1)であって、前記連結部材(38)も前記環状リング(34)に形成されることを特徴とする、制御部材(1)。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の制御部材(1)であって、前記第2の連結部材(40)は、多角形状の中央孔(42)に特徴があるリング(36)によって担持され、前記中央孔(42)は、前記リング(36)の任意な回転が、前記伝達部材(14)を対応して回転駆動するように、前記伝達部材(14)における相補的形状の連結セクション(28)と協働することを特徴とする、制御部材(1)。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の制御部材(1)であって、前記第1及び第2の連結部材(38,40)はそれぞれ、他方の連結部材と協働するように適合化された歯又は刻み目に特徴があり、また前記他方の連結部材は、相補的な歯又は刻み目に特徴があることを特徴とする、制御部材(1)。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の制御部材(1)であって、前記伝達部材(14)は、前記ケースの内側に位置決めされるものとされた前記伝達部材(14)の端部(16)で、時計機構と協働するものとされた第3の連結部材(46)を装備し、前記第3の連結部材(46)は、好ましくは、軸線Xとともに歯を備えることを特徴とする、制御部材(1)。
  10. 請求項9に記載の制御部材(1)であって、前記第3の連結部材(46)は、前記チューブ(2)と協働して前記伝達部材(14)が前記ケースの外側方向に軸線方向移動することを防ぐ、前記伝達部材(14)の軸線方向衝合部を画定し、また
    前記伝達部材(14)はさらに、前記チューブ(2)と少なくとも間接的に協働して前記伝達部材(14)が前記ケースの内側方向に軸線方向移動することを防ぐように適合化された肩部を装備することを特徴とする、制御部材(1)。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の制御部材(1)であって、前記弾性復帰部材(56)はコイルばねであり、前記コイルばねの第1の端部は、前記チューブ(2)に当接するように配置され、前記コイルばねの第2の端部は、前記クラウン(52)に当接するように配置されることを特徴とする、制御部材(1)。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の制御部材(1)を含む時計ケース。
  13. 請求項1~11のいずれか一項に記載の制御部材(1)を含む時計。
  14. 請求項13に記載の時計であって、前記伝達部材(14)との運動学的連結部が設けられている回転カラーを含むことを特徴とする、時計。
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