JP2023048883A - 複合ケーブル - Google Patents

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良和 早川
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敬浩 二ツ森
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Abstract

【課題】第2撚線をバランスよく撚ることが可能な複合ケーブルを提供する。【解決手段】複合ケーブル1は、複数の電力線2と、複数の信号線31が撚り合わされた第1撚線3と、電力線2を挟んで第1撚線3と反対側に配されるとともに、アース線41を含む複数の電線が撚り合された第2撚線4と、複数の電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4を被覆するシース6と、を備える。第2撚線4を構成する複数の電線のそれぞれは、導体411と、導体411を被覆する絶縁体412とを有する被覆電線である。【選択図】図1

Description

本発明は、複合ケーブルに関する。
特許文献1には、自動車の電動ブレーキに用いられる複合ケーブルが開示されている。特許文献1に記載の複合ケーブルは、電力束と、電力束を被覆する外層シースとを備える。電力束は、2本の電力線と、2本の電力線を挟んで互いに反対側に配された第1撚線(特許文献1に記載のツイストペア電線)及び第2撚線(特許文献1に記載の撚線)とからなる。第1撚線は、2本の信号線を撚り合わせてなる。第2撚線は、導体及び絶縁体を備えた被覆電線からなるアース線と、高分子を線状に形成してなる線状介在物とを撚り合わせてなる。
国際公開第2020/111162号
しかしながら、特許文献1に記載の複合ケーブルにおいて、第2撚線を構成するアース線と線状介在物とは、被覆電線からなる線と高分子からなる線であるため、互いに剛性が異なり、互いにバランスよく撚ることが難しくなる場合がある。この場合、第2撚線の外形が歪な形状となるところ、複合ケーブルが、歪な形状の第2撚線を含んでいる場合、複合ケーブル全体において、特定の方向にのみ曲がりやすくなる曲がり癖がつくおそれがある。
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、第2撚線をバランスよく撚ることが可能な複合ケーブルを提供することを目的とする。
本発明は、前記の目的を達成するため、複数の電力線と、複数の信号線が撚り合わされた第1撚線と、前記電力線を挟んで前記第1撚線と反対側に配されるとともに、アース線を含む複数の電線が撚り合された第2撚線と、前記複数の電力線、前記第1撚線、及び前記第2撚線を被覆するシースと、を備え、前記第2撚線を構成する前記複数の電線のそれぞれは、導体と、前記導体を被覆する絶縁体とを有する被覆電線である、複合ケーブルを提供する。
本発明によれば、第2撚線をバランスよく撚ることが可能な複合ケーブルを提供することが可能となる。
第1の実施の形態における、複合ケーブルの断面図である。 第1の実施の形態における、複合ケーブルを用いた電気機械式ブレーキの構成を説明するための模式図である。 第2の実施の形態における、複合ケーブルの断面図である。 第3の実施の形態における、複合ケーブルの断面図である。 第4の実施の形態における、複合ケーブルの断面図である。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図2を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
(複合ケーブル1)
図1は、本形態における、複合ケーブル1の断面図である。以後、複合ケーブル1の長手方向を、単に長手方向という。また、複合ケーブル1又は複合ケーブル1の各部について、断面といったときは、特に断らない限り、長手方向に直交する断面を意味するものとする。また、単に周方向といったときは、特に断らない限り、複合ケーブル1の周方向を意味するものとする。
複合ケーブル1は、2本の電力線2と、1本の第1撚線3と、1本の第2撚線4と、セパレータ5と、シース6とを備える。第1撚線3は、2本の信号線31が撚り合わされてなる。第2撚線4は、アース線41を含む2本の電線が撚り合わせされてなる。2本の電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4は、互いに撚り合されている。セパレータ5は、撚り合わされた2本の電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4を囲んでいる。シース6は、セパレータ5を外周側から被覆している。
電力線2は、断面円形の電線である。電力線2は、銅等の良導電性の素線を撚り合わせてなる電力線導体21と、電力線導体21を被覆する電力線絶縁体22とを有する被覆電線である。電力線絶縁体22は、例えば架橋ポリエチレン等の絶縁性の樹脂からなる。本形態において、2本の電力線2は、互いに同じ構成を有する。すなわち、2本の電力線2は、互いに同等の外径を有し、かつ、互いに電力線導体21の外径が同等である。なお、複数の寸法について同等といったときは、当該複数の寸法が完全に一致する場合を含む他、当該複数の寸法が製造誤差等によって僅かに異なる場合も含むものとする。例えば、複数の寸法のうちの最大値と最小値との差が、最大値の20%以内であれば、複数の寸法は同等であるといえる。また、本形態において、電力線導体21は撚線からなるが、電力線導体21等の撚線の外径は、撚線の断面形状に外接する仮想外接円の直径とすることができる。また、2本の電力線2は、互いに電力線導体21を構成する材料が同じであるとともに、互いに電力線絶縁体22を構成する材料が同じである。
2本の電力線2は、互いに接するよう配されている。そして、2本の電力線2の両脇のそれぞれに入り込むように、第1撚線3と第2撚線4とが配されている。第1撚線3と第2撚線4とは、2本の電力線2を挟んで互いに反対側に配されている。ここで、アース線41は周囲にノイズを発しやすいところ、アース線41から発されたノイズが信号線31に影響を及ぼすと、信号線31による信号の伝達が阻害されるおそれがある。そこで、2本の信号線31からなる第1撚線3を、電力線2を挟んで、アース線41を有する第2撚線4と反対側に配することにより、第2撚線4を構成するアース線41から発されるノイズが第1撚線3を構成する信号線31に影響を及ぼすことを抑制することができる。特に、本形態においては2本の電力線2が接しているため、第1撚線3と第2撚線4とを互いに接触しないように配することができるとともに、第1撚線3と第2撚線4とを一層離隔させることができる。なお、2本の電力線2は、互いに接していなくてもよいが、複合ケーブル1の断面において、2本の電力線2の間の最短距離は、第1撚線3と第2撚線4との間の最短距離よりも小さいことが好ましい。
第1撚線3は、2本の電力線2の双方に接するよう配されている。本形態において、第1撚線3は、電力線2よりも外径が小さい。第1撚線3を構成する信号線31は、断面円形の電線である。信号線31は、銅等の良導電性の素線を撚り合わせた信号線導体311と、信号線導体311を被覆する信号線絶縁体312とを有する被覆電線である。信号線絶縁体312は、例えば架橋ポリエチレン等の絶縁性の樹脂からなる。本形態において、2本の信号線31は、互いに同じ構成を有する。すなわち、2本の信号線31は、互いに同等の外径を有し、かつ、互いに信号線導体311の外径が同等である。さらに、2本の信号線31は、互いに信号線導体311を構成する材料が同じであるとともに、互いに信号線絶縁体312を構成する材料が同じである。
本形態において、第2撚線4を構成する2本の電線は、いずれも接地されるアース線41である。なお、第2撚線4を構成する2本の電線は、少なくとも1本、アース線41が含まれていれば、アース線41以外の電線を含んでいてもよい。例えば、第2撚線4を構成する電線を、アース線41と、通電されない被覆電線とすることもできる。また、例えば、第2撚線4を構成する複数の電線を、アース線41と断線検知線とすることも可能である。本形態において、第2撚線4を構成する電線の本数は、第1撚線3を構成する電線の本数と同じである。
第2撚線4は、2本の電力線2に接するよう配されている。本形態において、第2撚線4は、電力線2よりも外径が小さい。第2撚線4を構成するアース線41は、断面円形の電線である。アース線41は、銅等の良導電性の素線を撚り合わせた導体411と、導体411を被覆する絶縁体412とを有する被覆電線である。絶縁体412は、例えば架橋ポリエチレン等の絶縁性の樹脂からなる。このように、アース線41を含む第2撚線4を構成する電線のすべてを被覆電線にて構成することにより、第2撚線4をバランスよく撚ることが可能となる。
ここで、例えば国際公開第2020/111162号(前述の特許文献1)に記載の構成においては、本形態とは異なり、絶縁被覆からなるアース線と、高分子からなる線状介在物とを撚り合わせて撚線が構成されている。このように、構成が異なる複数の線材を撚り合わせた場合、例えば剛性が比較的強い方の線材に剛性が比較的弱い方の線材が巻き付くよう撚り合わされるため、撚線をバランスよく撚ることが難しくなり、完成した撚線が歪な形状となる。
そこで本形態においては、第2撚線4を構成する、アース線41を含む複数の電線を、いずれも導体411及び絶縁体412を有する被覆電線から構成している。それゆえ、第2撚線4を構成する複数の電線において、剛性を近付けることができ、第2撚線4をバランスよく撚ることが可能となる。
本形態において、第2撚線4を構成する2本のアース線41は、互いに同じ構成を有する。すなわち、2本のアース線41は、互いに同等の外径を有し、かつ、互いに導体411の外径が同等である。さらに、2本のアース線41は、互いに導体411を構成する材料が同じであるとともに、互いに絶縁体412を構成する材料が同じである。そのため、第2撚線4を一層バランスよく撚ることができる。
また、第2撚線4を構成する2本のアース線41は、第1撚線3を構成する2本の信号線31と同じ構成の電線とすることができる。すなわち、信号線31とアース線41とは互いに同等の外径を有し、かつ、信号線導体311と導体411とは互いに同等の外径を有する。さらに、信号線導体311と導体411とは互いに同じ材料からなり、信号線絶縁体312と絶縁体412とは互いに同じ材料からなる。なお、これに限られず、第1撚線3を構成する2本の信号線31と第2撚線4を構成する2本のアース線41とは、互いに異なる構成の被覆電線であってもよい。また、本形態において、第1撚線3及び第2撚線4のそれぞれの外形は、電力線2の外形よりも小さい。
第1撚線3の撚り方向と、第2撚線4の撚り方向とは、互いに同じ方向である。そして、2本の電力線2、1本の第1撚線3、及び1本の第2撚線4の全体の撚り方向は、第1撚線3及び第2撚線4のそれぞれの撚り方向とは反対方向である。そして、互いに撚られた2本の電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4は、セパレータ5により囲われている。
セパレータ5は、例えば紙、不織布、樹脂テープ等からなり、互いに撚り合わされた2本の電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4の外周部に螺旋状に巻き付けられている。セパレータ5は、2本の電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4をシース6から隔てさせることで、シース6が2本の電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4に密着して複合ケーブル1の端末加工が難しくなることを抑制している。また、セパレータ5は、2本の電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4の撚りが解けることを抑制する役割も有する。セパレータ5は、シース6にて外周側から覆われている。
シース6は、電気的絶縁性を有する樹脂等からなる。本形態において、シース6は、1層からなり、柔軟性及び耐久性に優れた熱可塑性ウレタンからなる。シース6は、セパレータ5の外周側に押出成形によって形成され得る。シース6は、その外周面61の断面形状が、略円形となるよう形成されている。
(複合ケーブル1の使用例)
複合ケーブル1の使用例として、本形態の複合ケーブル1を、車両10の電気機械式ブレーキ7(EMB:Electro Mechanical Brake)に用いた例を図2に示す。電気機械式ブレーキ7(以下、EMB7という。)は、EMB用電気モータ71とEMB制御装置72とEMB制御部73とを備える。
EMB用電気モータ71とEMB制御装置72とは、車両10の車輪101に搭載されている。また、EMB制御部73は、車両10の電子制御ユニット102(ECU:Electronic Control Unit)に搭載されている。電子制御ユニット102(以後ECU102という。)は、車両10の車体103に搭載され、車両10において各種の制御を行うものである。なお、EMB制御部73は、ECU102以外のコントロールユニットに搭載されていてもよく、専用のハードウェアユニットに搭載されていてもよい。
図示は省略するが、EMB用電気モータ71には、ブレーキパッドが取り付けられたピストンが設けられている。そして、EMB用電気モータ71は、EMB用電気モータ71の回転駆動によりピストンを移動させ、ブレーキパッドを車輪101のディスクロータに押し付けることで、制動力を発生させるように構成されている。
EMB制御装置72は、ECU102のEMB制御部73からの制御信号に応じてEMB用電気モータ71を制御する。また、EMB制御装置72は、EMB用電気モータ71の故障検出等も行う。EMB制御装置72とEMB制御部73とは、CAN(Controller Area Network)により接続されており、互いに通信を行うように構成されている。
EMB制御部73は、車両10のブレーキペダルの操作量(踏力又は変位量)を検出するブレーキペダルセンサ104からの出力信号に応じて、EMB制御装置72を介してEMB用電気モータ71の回転駆動力を制御する。これにより、運転者の意図する制動力が車輪101に発生する。
複合ケーブル1は、車輪101側の端部が、EMB用電気モータ71及びEMB制御装置72に接続され、車輪101側と反対側の端部が、車体103に設けられた中継ボックス105に接続されている。複合ケーブル1の2本の電力線2における車輪101側の端部は、EMB用電気モータ71に接続されている。2本の電力線2は、EMB用電気モータ71に駆動電流を供給するために用いられている。また、複合ケーブル1の2本の信号線31における車輪101側の端部は、EMB制御装置72に接続されている。2本の信号線31は、CANケーブルとして用いられている。さらに、複合ケーブル1の2本のアース線41における車輪101側の端部は、EMB制御装置72の信号グラウンドに並列接続されている。なお、アース線41は、例えばEMB用電気モータ71やEMB制御装置72の筐体等に接続されていてもよい。
複合ケーブル1における車輪101側と反対側の端部は、車体103に設けられた中継ボックス105に接続されている。2本の電力線2は、中継ボックス105を介して車両10に搭載されたバッテリ106に接続され、2本の信号線31は、中継ボックス105を介してECU102に接続され、2本のアース線41は、中継ボックス105を介して車体103等に接地されている。
図2では、簡略化のために1つの車輪101のみを示しているが、EMB用電気モータ71及びEMB制御装置72は、車両10の各車輪に搭載されていてもよいし、車両10の前輪のみ又は後輪のみに搭載されていてもよい。また、本形態においては、複合ケーブル1をEMB7用としたが、複合ケーブル1の用途はこれに限られない。例えば、複合ケーブル1を電動パーキングブレーキ(EPB:Electric Parking Brake)用とすることも可能である。この場合、2本の電力線2がEPB用電気モータに接続され、2本の信号線31がABSセンサに接続され、2本のアース線41がEPB用電気モータの筐体等に接続された構成を採用することができる。また、複合ケーブル1は、その他の用途、例えば車両用以外の用途等にも用いることができる。
(第1の実施の形態の作用及び効果)
本形態において、アース線41を含む第2撚線4を構成する複数の電線のそれぞれは、導体411と、導体411を被覆する絶縁体412とを有する被覆電線である。それゆえ、第2撚線4を構成する複数の電線の剛性を近付けることができ、第2撚線4をバランスよく撚ることが可能となる。そのため、第2撚線4の外形が歪な形状となることを抑制することができる。
ここで、第2撚線4がバランスよく撚られておらず、歪な形状を有する場合、複合ケーブル1全体において、特定の方向に曲がりやすくなる曲がり癖がつくおそれがある。例えば本形態においては、第2撚線4が歪な形状を有する場合、第2撚線4を囲む電線束を囲むセパレータ5の断面形状が円形からずれた歪な形状となりやすく、セパレータ5を覆っているシース6の厚みが周方向の位置によって大きく変動することが考えられる。そうなると、シース6が特に厚みの薄い部位において屈曲しやすくなり、複合ケーブル1に曲がり癖がつく。複合ケーブル1に曲がり癖がつくと、複合ケーブル1の同じ箇所に、繰返し、曲げによる応力が生じ、複合ケーブル1を構成する電線の断線を早めることが懸念される。一方、本形態においては、前述のごとく第2撚線4をバランスよく撚ることができるため、複合ケーブル1に曲がり癖がつくことを抑制することが可能となり、複合ケーブル1の長寿命化を図ることができる。
また、第2撚線4を構成する複数の電線は、互いに外径が同等である。それゆえ、第2撚線4を一層バランスよく撚ることが可能となる。
また、第2撚線4を構成する複数の電線は、互いに外径が同等であることに加え、互いに導体411の外径が同等である。つまり、第2撚線4を構成する複数の電線は、互いに導体411の形状が近い形状であり、互いに絶縁体412の形状が近い形状である。これにより、第2撚線4を構成する複数の電線の剛性を互いに近付けることができ、第2撚線4を一層バランスよく撚ることが可能となる。
また、第1撚線3を構成する複数の信号線31と第2撚線4を構成する複数の電線とは、互いに外径が同等である。さらに、信号線導体311と導体411とは、互いに外径が同等である。それゆえ、第1撚線3と第2撚線4との形状及び剛性を近付けることができ、2本の電力線2、第1撚線3及び第2撚線4の全体をバランスよく撚ることが可能となる。そのため、セパレータ5の断面形状を円形に近付けることができる結果、シース6の厚みを周方向に均一化することができ、複合ケーブル1に曲がり癖がつくことを一層抑制することが可能となる。
また、第2撚線4を構成する複数の電線は、互いに導体411を構成する材料が同じであるとともに、互いに絶縁体412を構成する材料が同じである。これによっても、第2撚線4を構成する複数の電線の剛性を互いに近付けることができ、第2撚線4を一層バランスよく撚ることが可能となる。
また、第1撚線3を構成する複数の信号線31、及び第2撚線4を構成する複数の電線は、互いに信号線導体311及び導体411を構成する材料が同じであるとともに、互いに信号線絶縁体312及び絶縁体412を構成する材料が同じである。これにより、第1撚線3の剛性と第2撚線4の剛性とを近付けることができ、2本の電力線2、第1撚線3及び第2撚線4の全体をバランスよく撚ることが可能となる。これにより、セパレータ5の断面形状を円形に近付けることができるとともに、セパレータ5を被覆するシース6の厚みを周方向に均一化することができ、その結果、複合ケーブル1に曲がり癖がつくことを一層抑制することが可能となる。
また、第2撚線4は、複数のアース線41を含む。このように、同種の電線にて第2撚線4を構成することにより、当該同種の電線については例えば色分け等によって区別する必要がない。また、複数のアース線41が同一の接続先(本形態においてはEMB制御装置72)に接続された場合は、接続先を複数のアース線41で分配して接地することができ、接地時のインピーダンスを低減できる。
また、シース6は、セパレータ5を外周側から被覆しているとともに1層からなる。そのため、複合ケーブル1の製造工程を容易にしたり、複合ケーブル1の軽量化を図ったりすることができる反面、複合ケーブル1の曲がり癖が発生するという課題が顕著となる。すなわち、例えばシース6の外側にさらに別の外部シースが存在する場合は、内部のシース6の曲がり癖が外部シースの存在によって緩和され得るが、本形態のようにセパレータ5の外周側のシース6が1層の場合は、複合ケーブル1に曲がり癖がより発生しやすい。このような複合ケーブル1においては、本形態の作用効果の1つである、複合ケーブル1に曲がり癖が生じることを抑制できることのメリットが大きい。
以上のごとく、本形態によれば、第2撚線をバランスよく撚ることが可能となる複合ケーブル1を提供することができる。
[第2の実施の形態]
図3は、本形態における複合ケーブル1の断面図である。
本形態は、第1の実施の形態に対し、第1撚線3を4本の信号線31で構成するとともに、第2撚線4を4本の電線で構成した形態である。
第1撚線3は、互いに同じ構成の4本の信号線31を撚り合わせてなる。また、第2撚線4は、互いに同じ構成の4本の被覆電線を撚り合わせてなる。第2撚線4の4本の被覆電線は、少なくとも1本のアース線41を備えていればよい。例えば、第2撚線4を、2本のアース線41と、2本の通電されない被覆電線とによって構成してもよいし、4本のアース線41にて構成してもよい。図3においては、第2撚線4を構成する4本の被覆電線のすべてがアース線41である例を示している。また、第2撚線4を構成する4本の被覆電線は、互いに構成が同じでなくてもよい。
本形態のその他の構成は、第1の実施の形態の構成と同様である。
なお、第2の実施の形態以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
(第2の実施の形態の作用及び効果)
本形態においても、第1の実施の形態と同様の作用効果を有する。
[第3の実施の形態]
図4は、本形態における複合ケーブル1の断面図である。
本形態は、第1の実施の形態に対し、第1撚線3及び第2撚線4を、それぞれ2本ずつ設けた形態である。
2本の第1撚線3のそれぞれの構成は、第1の実施の形態における第1撚線3の構成と同様である。2本の第1撚線3は、2本の電力線2に対して同じ側に配されている。また、2本の第2撚線4のそれぞれの構成は、第1の実施の形態における第2撚線4の構成と同様である。2本の第2撚線4は、2本の電力線2に対して、2本の第1撚線3が配された側と反対側に配されている。これにより、2本の第1撚線3と2本の第2撚線4とは、互いに2本の電力線2を挟んだ状態で隔てられている。なお、図4においては、2本の第2撚線4を構成する被覆電線のすべてが、アース線41である例を示しているが、これに限られず、2本の第2撚線4を構成する4本の被覆電線のうちの少なくとも1つがアース線41であればよい。
その他は、第1の実施の形態と同様である。
(第3の実施の形態の作用及び効果)
本形態においても、第1の実施の形態と同様の作用効果を有する。
[第4の実施の形態]
図5は、本形態における複合ケーブル1の断面図である。
本形態は、第1の実施の形態に対し、シース6の構成を変更した形態である。
本形態において、シース6は、2本の電力線2、1本の第1撚線3、及び1本の第2撚線4を直接覆っている。シース6は、例えば互いに撚られた2本の電力線2、1本の第1撚線3、及び1本の第2撚線4の外周部に押出成形することにより形成され得る。
その他は、第1の実施の形態と同様である。
(第4の実施の形態の作用及び効果)
本形態のように、電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4を直接シース6にて覆っている構成においても、第2撚線4がバランスよく撚られず歪に形成された場合、複合ケーブル1に曲がり癖がつくおそれがある。すなわち、第2撚線4がバランスよく撚られておらず歪な形状となっている場合、電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4をバランスよく撚ることが難しくなり、撚られた電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4の全体も歪な形状となり得る。この場合、電力線2、第1撚線3、及び第2撚線4を直接覆うシース6の厚みが、周方向においてばらつく結果、シース6が、その厚みの薄い部位において屈曲しやすくなり、複合ケーブル1に曲がり癖がつく。そこで、本形態においても、第1の実施の形態と同様、アース線41を含む第2撚線4を構成する複数の電線のそれぞれを、導体411と、導体411を被覆する絶縁体412とによって構成することにより、第2撚線4をバランスよく撚ることが可能となり、複合ケーブル1に曲がり癖がつくことを抑制できる。
その他、本形態においても、第1の実施の形態と同様の作用効果を有する。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]複数の電力線(2)と、複数の信号線(31)が撚り合わされた第1撚線(3)と、前記電力線(2)を挟んで前記第1撚線(3)と反対側に配されるとともに、アース線(41)を含む複数の電線が撚り合された第2撚線(4)と、前記複数の電力線(2)、前記第1撚線(3)、及び前記第2撚線(4)を被覆するシース(6)と、を備え、前記第2撚線(4)を構成する前記複数の電線のそれぞれは、導体(411)と、前記導体(411)を被覆する絶縁体(412)とを有する被覆電線である、複合ケーブル(1)。
[2]前記第2撚線(4)を構成する前記複数の電線は、互いに外径が同等である、[1]に記載の複合ケーブル(1)。
[3]前記第2撚線(4)を構成する前記複数の電線は、互いに前記導体(411)の外径が同等である、[2]に記載の複合ケーブル(1)。
[4]前記複数の信号線(31)のそれぞれは、信号線導体(311)と、前記信号線導体(311)を被覆する信号線絶縁体(312)とを備え、前記第1撚線(3)を構成する前記複数の信号線(31)と前記第2撚線(4)を構成する前記複数の電線とは、互いに外径が同等であり、前記第1撚線(3)を構成する前記複数の信号線(31)の前記信号線導体(311)と、前記第2撚線(4)を構成する前記複数の電線の前記導体(411)とは、互いに外径が同等である、[3]に記載の複合ケーブル(1)。
[5]前記第2撚線(4)を構成する前記複数の電線は、互いに前記導体(411)を構成する材料が同じであるとともに、互いに前記絶縁体(412)を構成する材料が同じである、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の複合ケーブル(1)。
[6]前記複数の信号線(31)のそれぞれは、信号線導体(311)と、前記信号線導体(311)を被覆する信号線絶縁体(312)とを備え、前記第1撚線(3)を構成する前記複数の信号線(31)、及び前記第2撚線(4)を構成する前記複数の電線は、互いに前記信号線導体(311)及び前記導体(411)を構成する材料が同じであるとともに、互いに前記信号線絶縁体(312)及び前記絶縁体(412)を構成する材料が同じである、[5]に記載の複合ケーブル(1)。
[7]前記第2撚線(4)は、複数の前記アース線(41)を含む、[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の複合ケーブル(1)。
[8]前記複数の電力線(2)、前記第1撚線(3)、及び前記第2撚線(4)を囲むセパレータ(5)をさらに備え、前記シース(6)は、前記セパレータ(5)を外周側から被覆しているとともに、1層からなる、[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の複合ケーブル(1)。
(付記)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、前述した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
1…複合ケーブル
2…電力線
3…第1撚線
31…信号線
311…信号線導体
312…信号線絶縁体
4…第2撚線
41…アース線
411…導体
412…絶縁体
5…セパレータ
6…シース

Claims (8)

  1. 複数の電力線と、
    複数の信号線が撚り合わされた第1撚線と、
    前記電力線を挟んで前記第1撚線と反対側に配されるとともに、アース線を含む複数の電線が撚り合された第2撚線と、
    前記複数の電力線、前記第1撚線、及び前記第2撚線を被覆するシースと、を備え、
    前記第2撚線を構成する前記複数の電線のそれぞれは、導体と、前記導体を被覆する絶縁体とを有する被覆電線である、
    複合ケーブル。
  2. 前記第2撚線を構成する前記複数の電線は、互いに外径が同等である、
    請求項1に記載の複合ケーブル。
  3. 前記第2撚線を構成する前記複数の電線は、互いに前記導体の外径が同等である、
    請求項2に記載の複合ケーブル。
  4. 前記複数の信号線のそれぞれは、信号線導体と、前記信号線導体を被覆する信号線絶縁体とを備え、
    前記第1撚線を構成する前記複数の信号線と前記第2撚線を構成する前記複数の電線とは、互いに外径が同等であり、
    前記第1撚線を構成する前記複数の信号線の前記信号線導体と、前記第2撚線を構成する前記複数の電線の前記導体とは、互いに外径が同等である、
    請求項3に記載の複合ケーブル。
  5. 前記第2撚線を構成する前記複数の電線は、互いに前記導体を構成する材料が同じであるとともに、互いに前記絶縁体を構成する材料が同じである、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
  6. 前記複数の信号線のそれぞれは、信号線導体と、前記信号線導体を被覆する信号線絶縁体とを備え、
    前記第1撚線を構成する前記複数の信号線、及び前記第2撚線を構成する前記複数の電線は、互いに前記信号線導体及び前記導体を構成する材料が同じであるとともに、互いに前記信号線絶縁体及び前記絶縁体を構成する材料が同じである、
    請求項5に記載の複合ケーブル。
  7. 前記第2撚線は、複数の前記アース線を含む、
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
  8. 前記複数の電力線、前記第1撚線、及び前記第2撚線を囲むセパレータをさらに備え、
    前記シースは、前記セパレータを外周側から被覆しているとともに、1層からなる、
    請求項1乃至7のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
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