JP2023048297A - 電動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータがロック状態であるときに、第1電力ラインの電圧をより十分に低下可能とする。【解決手段】第1電力ラインの電圧指令に基づいてデューティ指令を設定し、デューティ指令と昇圧キャリアとを用いて2つの第2スイッチング素子のPWM信号を生成し、2つの第2スイッチング素子のPWM信号にデッドタイムを付与して2つの第2スイッチング素子を制御する。この場合に、モータがロック状態であるときには、ロック状態でないときに比して低くなるように電圧指令および昇圧キャリアのキャリア周波数を設定する。【選択図】図2
Description
本発明は、電動車に関する。
従来、この種の電動車としては、走行用のモータと、複数の第1スイッチング素子のスイッチングによりモータを駆動するインバータと、蓄電装置と、上アームおよび下アームの2つの第2スイッチング素子とリアクトルとを有すると共にインバータが接続された第1電力ラインと蓄電装置が接続された第2電力ラインとの間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なうコンバータと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電動車では、モータがロック状態であるときには、インバータへの入力が許容される最大電圧よりも低い電圧を上限電圧に設定し、設定した上限電圧で目標電圧を上限ガードして電圧指令を設定してコンバータの2つの第2スイッチング素子を制御することにより、インバータの特定の第1スイッチング素子に発生する発熱を抑制している。
こうした電動車において、コンバータの制御では、基本的に、第1電力ラインの電圧指令に基づいてデューティ指令を設定し、デューティ指令と昇圧キャリア(搬送波)とを用いてコンバータの2つの第2スイッチング素子のPWM信号を生成し、2つの第2スイッチング素子のPWM信号にデッドタイムを付与して2つの第2スイッチング素子を制御する。モータがロック状態であるときに、このデッドタイムの影響によりデューティ指令の許容範囲が制限され、第1電力ラインの電圧を十分に低下させることができない場合が生じる。
本発明の電動車は、モータがロック状態であるときに、第1電力ラインの電圧をより十分に低下可能とすることを主目的とする。
本発明の電動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の電動車は、
走行用のモータと、
複数の第1スイッチング素子のスイッチングにより前記モータを駆動するインバータと、
蓄電装置と、
上アームおよび下アームの2つの第2スイッチング素子とリアクトルとを有し、前記インバータが接続された第1電力ラインと前記蓄電装置が接続された第2電力ラインとの間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なうコンバータと、
前記第1電力ラインの電圧指令に基づいてデューティ指令を設定し、前記デューティ指令と昇圧キャリアとを用いて前記2つの前記第2スイッチング素子のPWM信号を生成し、前記2つの前記第2スイッチング素子の前記PWM信号にデッドタイムを付与して前記2つの前記第2スイッチング素子を制御する制御装置と、
を備える電動車であって、
前記制御装置は、前記モータがロック状態であるときには、前記ロック状態でないときに比して低くなるように前記電圧指令および前記昇圧キャリアのキャリア周波数を設定する、
ことを要旨とする。
走行用のモータと、
複数の第1スイッチング素子のスイッチングにより前記モータを駆動するインバータと、
蓄電装置と、
上アームおよび下アームの2つの第2スイッチング素子とリアクトルとを有し、前記インバータが接続された第1電力ラインと前記蓄電装置が接続された第2電力ラインとの間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なうコンバータと、
前記第1電力ラインの電圧指令に基づいてデューティ指令を設定し、前記デューティ指令と昇圧キャリアとを用いて前記2つの前記第2スイッチング素子のPWM信号を生成し、前記2つの前記第2スイッチング素子の前記PWM信号にデッドタイムを付与して前記2つの前記第2スイッチング素子を制御する制御装置と、
を備える電動車であって、
前記制御装置は、前記モータがロック状態であるときには、前記ロック状態でないときに比して低くなるように前記電圧指令および前記昇圧キャリアのキャリア周波数を設定する、
ことを要旨とする。
本発明の電動車では、第1電力ラインの電圧指令に基づいてデューティ指令を設定し、デューティ指令と昇圧キャリアとを用いて2つの第2スイッチング素子のPWM信号を生成し、2つの第2スイッチング素子のPWM信号にデッドタイムを付与して2つの第2スイッチング素子を制御する。この場合に、モータがロック状態であるときには、ロック状態でないときに比して低くなるように電圧指令および昇圧キャリアのキャリア周波数を設定する。ここで、モータのロック状態は、モータの回転数の絶対値が所定値以下でモータを駆動していることにより、モータの特定の一相に電流が集中して流れている状態を意味する。キャリア周波数を低下させると、キャリア周期が長くなるから、キャリア周期に対するデッドタイムの割合が小さくなる。このため、デューティ指令の許容範囲をより大きくすることができる。これにより、モータがロック状態であるときに、第1電力ラインの電圧をより十分に低下させることができる。この結果、インバータの複数の第1スイッチング素子などの保護をより十分に図ることができる。
ここで、前記上アームの前記第2スイッチング素子は、前記第1電力ラインの正極側ラインに接続され、前記下アームは、前記第1電力ラインおよび前記第2電力ラインの負極側ラインに接続されると共に前記上アームに接続され、前記リアクトルは、前記上アームの前記第2スイッチング素子と前記下アームの前記第2スイッチング素子との接続点に接続されると共に前記第2電力ラインの前記正極側ラインに接続されるものとしてもよい。
本発明の電動車において、前記制御装置は、前記モータが前記ロック状態であるときには、前記ロック状態でないときに比して低くなるように前記第1電力ラインの目標電圧を設定し、前記キャリア周波数が低いときには、高いときに比して低くなるように前記第1電力ラインの許容下限電圧を設定し、前記目標電圧を前記許容下限電圧で下限ガードして前記電圧指令を設定するものとしてもよい。これらのようにして、モータがロック状態であるときに、ロック状態でないときに比して電圧指令を低下させることができる。
本発明の電動車において、前記制御装置は、前記モータがロック状態であるときにおいて、前記第2電力ラインの電圧が第1所定電圧未満であるときおよび前記電圧指令が前記第1所定電圧よりも高い第2所定電圧よりも高いときには、前記第2電力ラインの電圧が前記第1所定電圧以上であり且つ前記電圧指令が前記第2所定電圧以下であるときに比して高くなるように前記キャリア周波数を設定するものとしてもよい。また、前記制御装置は、前記モータがロック状態であるときにおいて、前記電圧指令と前記第2電力ラインの電圧との差分が大きいときには、小さいときに比して高くなるように前記キャリア周波数を設定するものとしてもよい。さらに、前記制御装置は、前記モータがロック状態であるときにおいて、前記第2電力ラインの電圧を前記電圧指令で除した値が小さいときには、大きいときに比して高くなるように前記キャリア周波数を設定するものとしてもよい。これらのようにすれば、キャリア周波数をより適切に設定することができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、モータ32と、インバータ34と、バッテリ(蓄電装置)36と、昇圧コンバータ40と、電子制御ユニット50とを備える。
モータ32は、同期発電電動機として構成されており、回転子コアに永久磁石が埋め込まれた回転子と、固定子コアに三相コイルが巻回された固定子とを有する。このモータ32の回転子は、駆動輪22a,22bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸26に接続されている。
インバータ34は、モータ32の駆動に用いられると共に高電圧側電力ライン(第1電力ライン)42を介して昇圧コンバータ40に接続されている。このインバータ34は、6つのスイッチング素子としてのトランジスタT11~T16と、6つのトランジスタT11~T16のそれぞれに並列に接続された6つのダイオードD11~D16とを有する。トランジスタT11~T16は、それぞれ、高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になるように2個ずつペアで配置されている。また、トランジスタT11~T16の対となる2つのトランジスタの接続点の各々には、モータ32の三相コイル(U相、V相、W相のコイル)の各々が接続されている。したがって、インバータ34に電圧が作用しているときに、電子制御ユニット50によって、対となるトランジスタT11~T16のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータ32が回転駆動される。高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ46が取り付けられている。
バッテリ36は、例えば定格電圧が数百V程度のリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、低電圧側電力ライン(第2電力ライン)44を介して昇圧コンバータ40に接続されている。低電圧側電力ライン44の正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ48が取り付けられている。
昇圧コンバータ40は、高電圧側電力ライン42と低電圧側電力ライン44とに接続されており、2つのスイッチング素子としてのトランジスタT31,T32と、2つのトランジスタT31,T32のそれぞれに並列に接続された2つのダイオードD31,D32と、リアクトルLとを有する。トランジスタT31は、高電圧側電力ライン42の正極側ラインに接続されている。トランジスタT32は、トランジスタT31と、高電圧側電力ライン42および低電圧側電力ライン44の負極側ラインと、に接続されている。リアクトルLは、2つのトランジスタT31,T32の接続点と、低電圧側電力ライン44の正極側ラインと、に接続されている。昇圧コンバータ40は、電子制御ユニット50によって、トランジスタT31,T32のオン時間の割合が調節されることにより、低電圧側電力ライン44の電力を昇圧して高電圧側電力ライン42に供給したり、高電圧側電力ライン42の電力を降圧して低電圧側電力ライン44に供給したりする。以下、トランジスタT31を「上アーム」といい、トランジスタT32を「下アーム」という場合がある。
電子制御ユニット50は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。電子制御ユニット50に入力される信号としては、例えば、モータ32の回転子の回転位置を検出する回転位置センサ(例えばレゾルバ)32aからの回転位置θmや、モータ32の各相の相電流を検出する電流センサ32v,32wからの相電流Iv,Iwを挙げることができる。バッテリ36の端子間に取り付けられた電圧センサ36aからの電圧Vbや、バッテリ36の出力端子に取り付けられた電流センサ36bからの電流Ibも挙げることができる。リアクトルLに直列に取り付けられた電流センサ40aからの電流ILや、高電圧側電力ライン42(コンデンサ46の端子間)に取り付けられた電圧センサ46aからの高電圧側電力ライン42(コンデンサ46)の電圧VH、低電圧側電力ライン44(コンデンサ48の端子間)に取り付けられた電圧センサ48aからの低電圧側電力ライン44(コンデンサ48)の電圧VLも挙げることができる。イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号や、シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSPも挙げることができる。アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ67からの車速Vも挙げることができる。
電子制御ユニット50からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット50から出力される信号としては、例えば、インバータ34のトランジスタT11~T16へのスイッチング制御信号や、昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号を挙げることができる。電子制御ユニット50は、回転位置検出センサ32aからのモータ32の回転子の回転位置θmに基づいてモータ32の電気角θeや回転数Nmを演算したり、電流センサ36bからのバッテリ36の電流Ibの積算値に基づいてバッテリ36の蓄電割合SOCを演算したりしている。蓄電割合SOCは、バッテリ36の全容量に対するバッテリ36の蓄電量(放電可能な電力量)の割合である。また、電子制御ユニット50は、電流センサ32v,32wからのV相、W相の相電流Iv,Iwに基づいてU相の相電流Iuを演算している。
こうして構成された実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット50は、アクセル開度Accおよび車速Vに基づいて駆動軸26に要求される要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*が駆動軸26に出力されるようにモータ32のトルク指令Tm*に設定し、モータ32がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ34のトランジスタT11~T16のスイッチング制御を行なう。
次に、実施例の電気自動車20の動作、特に、昇圧コンバータ40を制御する際の動作について説明する。図2は、電子制御ユニット50により実行される昇圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、繰り返し実行される。
図2の昇圧制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50は、最初に、昇圧コンバータ40のリアクトルLの電流ILや、高電圧側電力ライン42の電圧VH、低電圧側電力ライン44の電圧VL、モータ32の回転数Nmおよびトルク指令Tm*、モータロック状態フラグFmなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、リアクトルLの電流ILは、電流センサ40aにより検出された値が入力される。高電圧側電力ライン42の電圧VHは、電圧センサ46aにより検出された値が入力される。低電圧側電力ライン44の電圧VLは、電圧センサ48aにより検出された値が入力される。モータ32の回転数Nmは、回転位置検出センサ32aからのモータ32の回転子の回転位置θmに基づいて演算された値が入力される。モータ32のトルク指令Tm*は、要求トルクTd*に基づいて設定された値が入力される。モータロック状態フラグFmは、電子制御ユニット50により実行される図示しないモータロック状態判定ルーチンにより設定された値が入力される。モータロック状態判定ルーチンでは、電子制御ユニット50は、モータ32がロック状態(モータ32の特定の一相に電流が集中して流れている状態)であると判定したときには、モータロック状態フラグFmに値1を設定し、モータ32がロック状態でないと判定したときには、モータロック状態フラグFmに値0を設定する。モータ32がロック状態であるか否かの判定は、例えば、モータ32の回転数Nmの絶対値が閾値Nmref以下であり且つモータ32の各相の相電流Iu,Iv,Iwのうちの何れかの絶対値が閾値Iref以上である電流集中状態が所定時間以上に亘って継続しているか否かを判定することにより行なうことができる。
こうしてデータを入力すると、モータ32のトルク指令Tm*および回転数Nmに基づいて、昇圧コンバータ40の目標電圧VHtagの仮値としての仮電圧VHtmpを設定する(ステップS110)。ここで、高電圧側電力ライン42の仮電圧VHtmpは、例えば、モータ32のトルク指令Tm*および回転数Nmと高電圧側電力ライン42の仮電圧VHtmpとの関係として予め定めた仮電圧設定用マップにモータ32のトルク指令Tm*および回転数Nmを適用して設定することができる。高電圧側電力ライン42の仮電圧VHtmpは、モータ32のトルク指令Tm*の絶対値や回転数Nmの絶対値が大きいほど高くなるように設定される。
続いて、モータロック状態フラグFmの値を調べる(ステップS120)。モータロック状態フラグFmが値0である即ちモータ32がロック状態でないときには、高電圧側電力ライン42の仮電圧VHtmpを目標電圧VHtagに設定する(ステップS130)。一方、モータロック状態フラグFmが値1である即ちモータ32がロック状態であるときには、高電圧側電力ライン42の仮電圧VHtmpから電圧ΔVHを減じた電圧を目標電圧VHtagに設定する(ステップS140)。ここで、電圧ΔVHとしては、数十V程度が用いられる。
そして、前回に本ルーチンが実行されたときに昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32のPMW信号の生成に用いた昇圧キャリア(搬送波)のキャリア周波数(前回fc)に基づいて高電圧側電力ライン42の許容下限電圧VHminを設定する(ステップS150)。ここで、高電圧側電力ライン42の許容下限電圧VHminは、例えば、前回のキャリア周波数(前回fc)と高電圧側電力ライン42の許容下限電圧VHminとの関係として予め定めた許容下限電圧設定用マップに前回のキャリア周波数(前回fc)を適用して設定することができる。高電圧側電力ライン42の許容下限電圧VHminは、前回のキャリア周波数(前回fc)が低いほど低くなるように設定される。この理由については後述する。
続いて、高電圧側電力ライン42の目標電圧VHtagを許容下限電圧VHminで下限ガードして高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*を設定し(ステップS160)、式(1)に示すように、高電圧側電力ライン42の電圧VHと電圧指令VH*とを用いて昇圧コンバータ40のリアクトルLの電流指令IL*を設定する(ステップS170)。ここで、式(1)は、高電圧側電力ライン42の電圧VHが電圧指令VH*となるようにするための電圧フィードバック制御における関係式であり、式(1)中、右辺第1項および第2項は、フィードバック項における比例項および積分項であり、「kp1」および「ki1」は、フィードバック項における比例項および積分項のゲインである。
IL*=kp1・(VH*-VH)+ki1・∫(VH*-VH)dt (1)
こうして高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*を設定すると、式(2)に示すように、高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*と低電圧側電力ライン44の電圧VLと昇圧コンバータ40のリアクトルLの電流ILおよび電流指令IL*とを用いて昇圧コンバータ40のデューティ指令D*を設定する(ステップS180)。ここで、式(2)は、昇圧コンバータ40のリアクトルLの電流ILが電流指令IL*となるようにするための電流フィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺1項は、フィードフォワード項であり、右辺第2項および第3項は、フィードバック項における比例項および積分項であり、「kp2」および「ki2」は、フィードバック項における比例項および積分項のゲインである。デューティ指令D*は、トランジスタT31,T32のスイッチング制御におけるデッドタイムを考慮しないときのトランジスタT31(上アーム)のオン時間とオフ時間との和に対するオン時間の割合、言い換えれば、トランジスタT32(下アーム)のオン時間とオフ時間との和に対するオフ時間の割合である。なお、デッドタイムは、トランジスタT31,T32の同時オン(高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとの短絡)を回避するために設けられる。
D*=VL/VH*+kp2・(IL*-IL)+ki2・∫(IL*-IL)dt (2)
続いて、モータロック状態フラグFmの値を調べ(ステップS190)、モータロック状態フラグFmが値0である即ちモータ32がロック状態でないときには、キャリア周波数fcに比較的高い周波数fc1を設定し(ステップS220)、昇圧コンバータ40のデューティ指令D*およびキャリア周波数fcの昇圧キャリア(搬送波)との比較結果に基づいてトランジスタT31,T32のPWM信号を生成して(ステップS250)、本ルーチンを終了する。ここで、周波数fc1としては、トランジスタT31,T32のスイッチングに起因する騒音を運転者に感じさせるのを抑制するために、可聴域の上限よりも高い周波数が用いられる。また、ステップS250の処理では、図3に示すように、昇圧キャリアが増加する増加区間で昇圧キャリアがデューティ指令D*以上に至ったときにトランジスタT31(上アーム)がオンからオフになると共に昇圧キャリアが減少する減少区間で昇圧キャリアがデューティ指令D*未満に至ったときにトランジスタT31がオンからオフになるようにトランジスタT31のPWM信号を生成すると共に、トランジスタT31のPWM信号と背反となるようにトランジスタT32(下アーム)のPWM信号を生成する。したがって、デューティ指令D*が大きいほど、昇圧キャリアの周期であるキャリア周期Tcにおいて、トランジスタT31のオン時間が長くなると共にトランジスタT32のオン時間が短くなる。こうしてトランジスタT31,T32のPWM信号を生成すると、これらのPWM信号にデッドタイムを付与して(オフからオンのタイミングをデッドタイム分だけ遅くして)トランジスタT31,T32のスイッチング制御を行なう。キャリア周期TcにおけるトランジスタT31のオン時間が長いほど、高電圧側電力ライン42の電圧VHを低下させることができる。
ステップS190でモータロック状態フラグFmが値1である即ちモータ32がロック状態であるときには、低電圧側電力ライン44の電圧VLを閾値VLrefと比較すると共に(ステップS200)、高電圧側電力ライン42の電圧VHを閾値VHrefと比較する(ステップS210)。ここで、閾値VLrefおよび閾値VHrefは、低電圧側電力ライン44の電圧VLと高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*とが接近しているか否かを判定するのに用いられる閾値であり、閾値VHrefは、閾値VLrefよりも数十V~100V程度高い電圧が用いられる。
ステップS200で低電圧側電力ライン44の電圧VLが閾値VLref以上であり、且つ、ステップS210で高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*が閾値VHref以下であるときには、低電圧側電力ライン44の電圧VLと高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*とが接近していると判断し、キャリア周波数fcに周波数fc1よりも低い周波数fc2を設定し(ステップS230)、昇圧コンバータ40のデューティ指令D*およびキャリア周波数fcを用いてトランジスタT31,T32のPWM信号を生成して(ステップS250)、本ルーチンを終了する。ここで、周波数fc2としては、例えば、可聴域の上限程度の周波数が用いられる。この場合、キャリア周波数fcを低下させることにより、昇圧キャリアのキャリア周期Tcが長くなり、キャリア周期Tcに対するデッドタイムの割合が小さくなるから、デューティ指令D*の許容上限値Dmaxを大きくすることができる。例えば、キャリア周波数fcが20kHzでデッドタイムが5μsecの場合、キャリア周期50μsecに対してデッドタイムが10%となるため、デューティ指令D*の許容上限値Dmaxは0.9となる。デューティ指令D*を許容上限値Dmaxよりも大きくすると、トランジスタT32(下アーム)のPWM信号におけるオン時間がデッドタイムよりも短くなるためである。これに対して、キャリア周波数fcを15kHzに低下させると、キャリア周期67μsecに対してデッドタイムが7.5%となるため、デューティ指令D*の許容上限値Dmaxを0.925に大きくすることができる。そして、デューティ指令D*を大きくするほど、キャリア周期TcにおけるトランジスタT31(上アーム)のオン時間が長くなるから、高電圧側電力ライン42の電圧VHを低下させることができる。実施例では、デューティ指令D*が許容上限値Dlim以下の値となるように許容下限電圧設定用マップを定めて、前回のキャリア周波数(前回fc)に基づいて高電圧側電力ライン42の許容下限電圧VHminを設定するものとした(ステップS150参照)。このため、上述したように、キャリア周波数fcが低いほど低くなるように高電圧側電力ライン42の許容下限電圧VHminを設定することになり、高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*ひいては電圧VHをより十分に低下させることができる。モータ32がロック状態であるときに、モータ32がロック状態でないときに比して、高電圧側電力ライン42の電圧VHをより十分に低下させることにより、インバータ34のトランジスタT11~T16やダイオードD11~D16の温度上昇をより十分に抑制し、これらの保護をより図ることができる。
ステップS200で低電圧側電力ライン44の電圧VLが閾値VLref未満であるときや、ステップS210で高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*が閾値VHrefよりも高いときには、低電圧側電力ライン44の電圧VLと高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*とが接近していないと判断し、キャリア周波数fcに周波数fc1以下で且つ周波数fc2よりも高い周波数fc3を設定し(ステップS240)、昇圧コンバータ40のデューティ指令D*およびキャリア周波数fcを用いてトランジスタT31,T32のPWM信号を生成して(ステップS250)、本ルーチンを終了する。ここで、周波数fc3としては、例えば、周波数fc1と同一の周波数やそれよりも若干低い周波数が用いられる。低電圧側電力ライン44の電圧VLと高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*とが比較的離間しているときには、上述の式(2)のフィードフォワード項が比較的小さくなり、デューティ指令D*が大きくなりにくいため、高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*をそれほど低くしなくてよいと考えられる。このため、キャリア周波数fcに周波数fc3を設定することにより、周波数fc2を設定する場合に比して、トランジスタT31,T32のスイッチングに起因する騒音を運転者に感じさせるのを抑制することができる。
以上説明した実施例の電気自動車20では、モータ32がロック状態であるときには、ロック状態でないときに比して低くなるように高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*およびキャリア周波数fcを設定する。これにより、モータ32がロック状態であるときに、高電圧側電力ライン42の電圧VHをより低下させることができる。この結果、インバータ34のトランジスタT11~T16やダイオードD11~D16の温度上昇をより十分に抑制し、これらの保護をより十分に図ることができる。
実施例の電気自動車20では、モータ32がロック状態であるときにおいて、低電圧側電力ライン44の電圧VLが閾値VLref以上であり且つ高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*が閾値VHref以下であるときには、キャリア周波数fcに周波数fc2を設定し、低電圧側電力ライン44の電圧VLが閾値VLref未満であるときや高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*が閾値VHrefよりも高いときには、キャリア周波数fcに周波数fc2よりも高い周波数fc3を設定するものとした。しかし、低電圧側電力ライン44の電圧VLと高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*とが接近しているときには、キャリア周波数fcに周波数fc2を設定し、両者が接近していないときには、キャリア周波数fcに周波数fc3を設定するものであればよい。例えば、高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*と低電圧側電力ライン44の電圧VLとの差分として得られる値(VH*-VL)が閾値ΔVref以下であるときには、キャリア周波数fcに周波数fc2を設定し、値(VH*-VL)が閾値ΔVrefよりも大きいときには、キャリア周波数fcに周波数fc3を設定するものとしてもよい。また、低電圧側電力ライン44の電圧VLを高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*で除して得られる値(VL/VH*)が値1未満の閾値Rvref以上であるときには、キャリア周波数fcに周波数fc2を設定し、値(VL/VH*)が閾値Rvref未満であるときには、キャリア周波数fcに周波数fc3を設定するものとしてもよい。これらに代えて、周波数fc1以下の範囲内で、値(VH*-VL)が大きいほど大きくなるようにキャリア周波数fcを設定するものとしてもよいし、値(VL/VH*)が小さいほど大きくなるようにキャリア周波数fcを設定するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20では、モータ32がロック状態であるときにおいて、低電圧側電力ライン44の電圧VLが閾値VLref以上であり且つ高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*が閾値VHref以下であるときには、キャリア周波数fcに周波数fc2を設定し、低電圧側電力ライン44の電圧VLが閾値VLref未満であるときや高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*が閾値VHrefよりも高いときには、キャリア周波数fcに周波数fc2よりも高い周波数fc3を設定するものとした。しかし、モータ32がロック状態であるときには、低電圧側電力ライン44の電圧VLや高電圧側電力ライン42の電圧指令VH*に拘わらずに、キャリア周波数fcに周波数fc2を設定するものとしてもよい。
実施例では、モータ32とインバータ34とバッテリ36と昇圧コンバータ40とを備える電気自動車20の構成とした。しかし、電気自動車20と同様の構成に加えてエンジンを備えるハイブリッド車の構成としたり、電気自動車20と同様の構成に加えて燃料電池を備える燃料電池車の構成としたりしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ32が「モータ」に相当し、インバータ34が「インバータ」に相当し、バッテリ36が「蓄電装置」に相当し、昇圧コンバータ40が「コンバータ」に相当し、電子制御ユニット50が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、電動車の製造産業などに利用可能である。
20 電気自動車、22a,22b 駆動輪、24 デファレンシャルギヤ、26 駆動軸、32 モータ、32a 回転位置検出センサ、32v,32w 電流センサ、34 インバータ、36 バッテリ、36a 電圧センサ、36b 電流センサ、40 昇圧コンバータ、40a 電流センサ、42 高電圧側電力ライン、44 低電圧側電力ライン、46 コンデンサ、46a 電圧センサ、48 コンデンサ、48a 電圧センサ、50 電子制御ユニット、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、D11~D16,D31~D36 ダイオード、L リアクトル、T11~T16,T31,T32 トランジスタ。
Claims (3)
- 走行用のモータと、
複数の第1スイッチング素子のスイッチングにより前記モータを駆動するインバータと、
蓄電装置と、
上アームおよび下アームの2つの第2スイッチング素子とリアクトルとを有し、前記インバータが接続された第1電力ラインと前記蓄電装置が接続された第2電力ラインとの間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なうコンバータと、
前記第1電力ラインの電圧指令に基づいてデューティ指令を設定し、前記デューティ指令と昇圧キャリアとを用いて前記2つの前記第2スイッチング素子のPWM信号を生成し、前記2つの前記第2スイッチング素子の前記PWM信号にデッドタイムを付与して前記2つの前記第2スイッチング素子を制御する制御装置と、
を備える電動車であって、
前記制御装置は、前記モータがロック状態であるときには、前記ロック状態でないときに比して低くなるように前記電圧指令および前記昇圧キャリアのキャリア周波数を設定する、
電動車。 - 請求項1記載の電動車であって、
前記制御装置は、
前記モータが前記ロック状態であるときには、前記ロック状態でないときに比して低くなるように前記第1電力ラインの目標電圧を設定し、
前記キャリア周波数が低いときには、高いときに比して低くなるように前記第1電力ラインの許容下限電圧を設定し、
前記目標電圧を前記許容下限電圧で下限ガードして前記電圧指令を設定する、
電動車。 - 請求項1または2記載の電動車であって、
前記制御装置は、前記モータがロック状態であるときにおいて、前記第2電力ラインの電圧が第1所定電圧未満であるときおよび前記電圧指令が前記第1所定電圧よりも高い第2所定電圧よりも高いときには、前記第2電力ラインの電圧が前記第1所定電圧以上であり且つ前記電圧指令が前記第2所定電圧以下であるときに比して高くなるように前記キャリア周波数を設定する、
電動車。
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-
2021
- 2021-09-28 JP JP2021157519A patent/JP2023048297A/ja active Pending
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