JP2023046731A - 加工支援装置および加工用データ補正方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、切削加工を支援するための技術に関し、その中でも特に、切削加工におけるNCデータ等の加工機を制御するための加工用データを補正するための技術に関する。
現在、回転工具を用いた切削加工に関する技術が提案されている。このような切削加工に関する技術では、加工誤差の低減が求められている。この課題を解決し、加工精度を向上するために、特許文献1が提案されている。特許文献1では、工具たわみの変動による被削材の加工精度の低下を抑止するために、以下の構成を提案している。特許文献1は、コンピュータの3次元グラフィック機能を用いて加工中の工具たわみを予測し、工具たわみに基づいてNCデータの工具経路を補正する方法が提示されている。具体的には、コンピュータの3次元グラフィック機能を用いて加工面が創生される時の工具とワークの位置関係を特定し、特定した加工面創生時における工具の形状誤差や撓み量を算出することで加工誤差を予測し、予測した加工誤差に基づいて工具の移動経路を修正する。
特許文献1には、加工面が創生される時の工具たわみを算出し、算出した工具たわみに基づき工具を平行移動させることで工具経路を補正している。一般に、工具たわみは、工具の刃先端付近で最も大きくなり、上方のホルダー側に近づくほど小さくなる。そのため、工具の軸切込みが大きくなると工具たわみ量が変化し、加工面が傾斜することになる。
加工面に傾斜がついている状態で、工具を平行移動させて工具経路を補正した場合、工具先端では加工誤差が小さくなる。しかしながら、元々加工誤差が小さかった工具上方では被削材を削り過ぎてしまうことになる。さらに、表面形状のばらつきにより工具を平行移動させただけでは、加工面の傾斜を低減することができない。
以上のため、従来技術においては、加工面の傾斜を低減することができず、NCデータのような加工用データを補正しても加工精度が十分でないと言う課題が存在する。
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決するためになされたものである。つまり、本発明は、より加工の実態に即して適切に加工用データを補正することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、工具たわみ分布を算出し、これに応じて、加工用データを補正する。より具体的には、被削材の切削加工を行う加工機を制御するための加工用データを補正する加工支援装置において、前記加工用データを用いて、前記切削加工の際における前記加工機の工具の工具軸方向の工具たわみ分布を算出する加工解析部と、前記工具たわみ分布に基づいて、前記加工用データを補正する加工用データ補正部を有する加工支援装置である。
なお、本発明には、加工支援装置を用いた加工用データ補正方法も含まれる。さらに、補正された加工用データを用いた加工を行う加工機や加工方法も含まれる。
本発明によると、より加工の実態に即して適切に加工用データを補正することができ、加工精度および加工能率をより向上することが可能となる。
以下に、本発明の一実施形態を図2~図13を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
また、本実施形態では、金属積層造形法を一例に説明する。近年、付加製造技術の発達により金属積層造形法を用いた金型補修のニーズが高まっている。例えば、摩耗した金型部品に金属材料を積層造形(肉盛造形)することで金型の補修を行うことができる。
しかし、現在の金属積層造形法では、切削加工と同程度の寸法精度を出すことは困難である。このため、金型の加工精度を維持するには積層造形後の肉盛部に対し切削加工を行う必要がある。但し、図1に示すように、被削材の一例である積層造形体(以下、単に造形体と言う。)は、バルク材と異なり肉盛り形状にばらつきがある。このばらつきが生じると、切削加工時の取り代が一定でなくなる。このため、工具に作用する切削力の分布が不均一となり、加工中における工具たわみの傾向が変化する。したがって、このばらつきが大きいほど、加工精度が低下してしまう。
また、肉盛加工のような加熱を伴う加工がされた被削材に対して、切削加工を行うことがある。例えば、造形を行った造形体を被削材として用いられる。この造形体のような加熱された被削材においては、加工の際の熱により被削材表面に硬化層が形成される場合がある。このような硬化層があると、加工負荷が増加し工具欠損や工具たわみの増長による加工精度低下の原因となる。
以上のように、造形体に対する切削加工においては、肉盛り形状の変則的なばらつきや造形時に形成される硬化層の影響を考慮されていなかった。これらの課題を解決するために、本実施形態では、以下で説明する構成を採用した。さらに、本実施形態は、加工に用いられる加工用データの一例として、NCデータ(NC補正前データ)を例示して説明する。なお、本実施形態では、このような肉盛加工を施された被削材に対して、切削加工を行う例を説明する。但し、本実施形態では、肉盛加工を施された被削材以外のばらつきを生じる被削材にも適用できる。なお、以下、加工対象を、被削材ないし造形体を称して説明を行う。
図2は、本実施形態におけるNCデータ補正システム3の機能ブロック図である。このNCデータ補正システム3は、本発明の加工支援装置の1つである加工用データ補正システムの一例である。NCデータ補正システム3は、形状測定部4、データ記憶部5、加工解析部6およびNCデータ補正部7から構成されており、補正されたNCデータを加工機8に転送する。以下、NCデータ補正システム3の各部について、説明する。
形状測定部4は、造形後の被削材の形状を三次元測定し、この結果である被削材の形状を示す加工前の被削材測定形状データ134を特定する。そして、形状測定部4は、加工前の被削材測定形状データ134をデータ記憶部5に格納する(図16参照)。ここで、形状測定部4は、被削材を計測するセンサ20とセンサ20で計測された計測データから加工前の被削材測定形状データ134を生成する測定形状データ生成部として構成してもよい。なお、測定形状データ生成部は、A/D変換を行うA/D変換部として実現できる。また、加工前の被削材測定形状データ134にノイズや不要な点が含まれる場合があるため、形状測定部4もしくは図示しないノイズ処理部などで、これらを除くためのノイズ処理を実施してもよい。
データ記憶部5は、データや情報を記憶、つまり、格納する機能を有する。本実施形態では、データ記憶部5は、加工機データ131、工具データ132、補正前NCデータ133、加工前の被削材測定形状データ134、硬化係数136、加工解析部6から出力された解析データ137など、加工に関するデータが格納されている。なお、データ記憶部5には、補正後NCデータ138も格納することが望ましい。
ここで、これら各データについて説明する。加工機データ131は、加工機8に関するデータであって、本実施形態では加工機8の主軸剛性や加工機8のCNC(コンピュータ数値制御)情報を含む。
また、工具データ132は、加工機8の工具やホルダーに関するデータである。本実施形態では、工具やホルダーの形状、工具の材質、機械特性や切削力係数を含む。工具の機械特性には、ヤング率、ポアソン比、密度などが含まれる。
また、補正前NCデータ133は、本実施形態で施す補正前のNCデータである。ここで、NCデータとは、加工機8を制御するためのデータであり、形状ばらつきを考慮していないNCデータである。その一例は図12を用いて後述する。
また、加工前の被削材測定形状データ134は、加工前の被削材の形状を示すデータであり、上述のように本実施形態では形状測定部4で測定される。より具体的な一例として、加工前の被削材測定形状データ134は、3Dスキャナなどで測定された3Dモデルであり、例えばSTLファイルなどである。
また、硬化係数136は、加工により、加工対象物である造形体に硬化層が形成される場合の硬化係数を示す。なお、硬化層の厚みを示すデータをデータ記憶部5に格納しておいてもよい。なお、硬化係数136の詳細については後述する。また、NCデータを補正する際に使用する寸法公差135を、データ記憶部5に格納することが望ましい。
また、解析データ137は、加工解析部6で算出されるデータであり、本実施形態のNCデータ補正システム3で算出される切削力および工具軸方向における工具たわみ分布を含む。より詳細な内容は、加工解析部6を説明する際に後述する。さらに、補正後NCデータ138は、NCデータ補正部7で、補正前NCデータ133が補正されたデータである。以上で、各データの説明を終わり、各部の説明に戻る。
加工解析部6は、補正前NCデータ133および加工前の被削材測定形状データ134を用いて、工具の進行方向から工具および被削材を見た投影図を作成する。なお、投影図は、前記工具の進行方向に垂直でかつ前記工具の工具軸に平行な投影面に作成される。そして、加工解析部6は、投影図に基づき、工具と被削材の接触状態を特定する。この結果を用いて、加工解析部6は、加工中の切削力および工具軸方向のたわみ分布を算出する。なお、加工解析部6は、算出された切削力および工具たわみ分布を、解析データとしてデータ記憶部5に格納する。
また、NCデータ補正部7は、加工用データを補正する加工用データ補正部の一種であり、解析データに基づき、加工誤差が低減するよう補正前NCデータ133を補正して、補正後NCデータ138を算出する。補正前NCデータ133および補正後NCデータ138には、工具経路が含まれる。以上が、NCデータ補正システム3の機能ブロックである。
加工機8は、NCデータ補正システム3と接続し、NCデータ補正部7で生成された補正後NCデータ138を用いて切削加工を行う。このことで、被削材の実態に即した高精度な切削加工を実現できる。
以上で、本実施形態の機能ブロックの説明を終わる。次に、NCデータ補正システム3を実現するためのハードウエア構成について説明する。なお、本実施形態では、NCデータ補正システム3の機能を、いわゆるNC装置を設けた場合を例に説明するが、NCデータ補正システム3を独立した装置で実現してもよい。図16は、本実施形態におけるNCデータ補正システム3の機能を実現するためのNC装置300のハードウエア構成図である。このNC装置300は、本発明の加工支援装置の一種である。
NC装置300は、通信部301、A/D変換部302、処理部303、入力部304、出力部305、メモリ306および記憶装置307を有し、これらは互いに通信路を介して接続されている。また、NC装置300は、ネットワークを介して、加工機8やセンサ20と接続されるいわゆるクラウドシステムとして構成してもよい。この場合、当該ネットワークには、操作者が利用する端末装置を接続することが望ましい。
なお、センサ20は、上述のように被削材の三次元形状を計測する。なお、センサ20は、加工機8の構成要素として構成してもよい。以下、NC装置300の各構成要素について説明する。
まず、通信部301は、加工機8やセンサ20と通信する機能を有する。つまり、通信部301は、加工機8へ補正後NCデータ138を出力したり、センサ20から計測データを受け付けたりする。また、A/D変換部302は、通信部301が受け付けたアナログ信号の計測データに対して、A/D変換を施して加工前の被削材測定形状データ134を生成する。
また、処理部303は、CPUの如きプロセッサで実現でき、NC装置300の各種機能を、プログラムに従って実現する。本実施形態では、NC装置300は、プログラム、つまり、ソフトウエアに従って各機能を実現するが、専用ハードウエアやFPGA(Field Programmable Gate Array)などで構成してもよい。
また、入力部304は、操作者からのNCデータ等の指示を受け付け、キーボードのような入力デバイスで実現できる。さらに、出力部305は、NCデータなどの各種データを出力し、出力画面で実現できる。なお、入力部304と出力部305は、タッチパネルのように一体で構成してもよい。
また、メモリ306および記憶装置307は、図2に示すデータ記憶部5に該当する。メモリ306は、処理部303での処理に用いる各プログラムやデータが展開される。図16には、各プログラムを記載している。これら各プログラムは、記憶装置307やその他記憶媒体に格納され、利用の際にメモリ306に展開される。
ここで、メモリ306には、各プログラムとして、加工解析プログラム3061、NCデータ補正プログラム3062およびNCデータ設定プログラム3063が記憶される。このうち、加工解析プログラム3061は加工解析部6の機能を実現し、NCデータ補正プログラム3062はNCデータ補正部7の機能を実現する。つまり、処理部303が、加工解析プログラム3061やNCデータ補正プログラム3062に従って、加工解析部6やNCデータ補正部7と同様の機能を実行する。
なお、NCデータ設定プログラム3063は、補正前NCデータ133を設定するために用いられる。つまり、処理部303が、入力部304からの指示に応じて、NCデータ設定プログラム3063での機能により補正前NCデータ133を作成する。そして、記憶装置307が、補正前NCデータ133を記憶する。
また、記憶装置307は、いわゆるHDD(Hard Disk Drive)SSD(Solid State Drive)のようなストレージで実現でき、上述の各データを格納する。
以上で、本実施形態の構成の説明を終了する。なお、本実施形態では、NC装置300と加工機8を別筐体で実現しているが、一体で構成してもよい。また、センサ20を、加工機8と一体で構成してもよい。
次に、本実施形態の処理フローについて説明する。図3は、本実施形態における補正後NCデータ138を生成する処理フローを示すフローチャートである。以下、その詳細を説明するが、本処理フローの主体を、図2に示すNCデータ補正システム3およびこれを構成する各部として説明する。
まず、ステップS1では、形状測定部4において、加工前の被削材形状が得られると、加工解析部6での演算処理が開始される。次に、ステップS2では、加工解析部6が、データ記憶部5から加工前の被削材測定形状データ134および補正前NCデータ133を読み込む。なお、この処理を実現するために、加工前の被削材測定形状データ134および補正前NCデータ133が、データ記憶部5に格納されているものとする。このために、形状測定部4は、造形後の被削材の形状を三次元測定する。そして、形状測定部4は、三次元測定の結果である被削材の形状を示す加工前の被削材測定形状データ134を特定し、データ記憶部5に格納する。また、補正前NCデータ133は、他の装置などから取得可能である。また、図16に示すNC装置300でNCデータ補正システム3を実現する場合、入力部304への操作に応じて、補正前NCデータ133がデータ記憶部5に設定される。
次に、ステップS3では、加工解析部6が、加工機8の各工具位置における工具1と被削材2の接触状態を表した投影図を作成する。このために、加工解析部6は、補正前NCデータ133および加工前の被削材測定形状データ134を用いる。
ここで、この投影図の一例を図4に示す。図4は、造形体の側面加工(ダウンカット)における、工具の進行方向から工具および被削材を見た投影図である。図4に示すように、投影図は、前記工具の進行方向に垂直でかつ前記工具の工具軸に平行な投影面に作成される。投影図は格子上に分割されており、工具1と被削材2が重なっている箇所は工具1と被削材2が接触状態であることを示している。また、投影図の横幅は工具径に対応している。このため、加工解析部6は、図面上横一列に含まれる格子の個数および格子サイズから工具の回転角θを算出することができる。そのため、図4に示した投影図の横軸は、工具回転角θを表しており、縦軸は工具軸方向の高さを表している。例えば、工具径が10mmである場合、図4における工具先端付近の領域Aでは、工具回転角θが約114°のときに工具1が被削材2に接触し始め、工具回転角θが180°のときに工具1は被削材2から離れる。また、工具1が被削材2と接触している間は切削加工が行われるが、加工中に形成された加工面の大部分は次回の加工で除去される。なお、この投影図に投影される被削材の形状は、当該被削材の切削加工前の形状又は切削加工中の形状であることが望ましい。
ここで、切削加工においては、加工誤差が生じる。上述のように本実施形態では、加工誤差を低減するための補正後NCデータ138を算出する。そこで、ここでは、以降のステップの説明のために、この加工誤差について、説明する。
図5は、切削加工の一種である側面加工(ダウンカット)の加工誤差の一例を示す図である。図5において、工具1が被削材2に食いつくときの角度をエンゲージ角θst、工具1が被削材2から離れるときの角度をディスエンゲージ角θedである。ダウンカットにおいては、ディスエンゲージ角θed付近で生成された加工面以外は次回の加工面で除去される。このため、最終的にディスエンゲージ角θed付近に生じた工具たわみが加工誤差となり加工面に残ることとなる。そのため、ダウンカットにおいては、工具1が被削材2から離れるディスエンゲージ角θedであるタイミングでの切削力および工具たわみのみ算出すればよい。
このように切削力および工具たわみの算出範囲を特定することで、計算時間を削減することが可能である。なお、アップカットの場合は、工具が被削材2に食いつくエンゲージ角θstのタイミングにおける切削力および工具たわみを算出すればよい。なお、必ずしもエンゲージ角θstまたはディスエンゲージ角θedのタイミングに限定して切削力を算出する必要はなく、任意の工具回転角の範囲において切削力を算出し、切削力を平均化してもよい。
以上を纏めると、加工誤差は、切削力および工具たわみに基づき特定可能である。また、加工誤差を、工具たわみ、特に工具軸方向の分布を示す工具たわみ分布に基づき算出可能である。またさらに、切削力は、上述したようなタイミングなどの所定タイミングでの瞬間切削力である所望瞬間切削力を用いることが望ましい。なお、瞬間切削力(所望瞬間切削力を含む)の「瞬間」はピンポイントタイミング(上記エンゲージ角θstまたはディスエンゲージ角θedのタイミング)以外の周辺のタイミングを含んでもよい。例えば、解析インターバル単位がΔTだとした場合に、移動平均化処理による平準化を行うために、本来のタイミングに加えて、マイナスΔTだけ減算したタイミングや、プラスΔTだけ加算したタイミングを「瞬間」に含まれるとしてもよい。
図3に戻り、処理フローの説明を続ける。ステップS4では、加工解析部6が、加工機データ131の工具軸方向の各高さにおいて、投影図から加工誤差が残るタイミング(工具1が被削材2から離れるタイミング)の工具回転角(ディスエンゲージ角θed)を算出する。なお、このタイミングは、上述の瞬間であることが望ましい。なお、図4の投影図においては、各高さにおける加工誤差が残るタイミングの工具回転角θedは180°である。
次に、ステップS5では、加工解析部6が、投影図を用いて、ステップS4より算出した工具回転角θedにおける工具切れ刃9と被削材との接触長さ10を算出する。ここで、図4における接触長さ10は、工具軸方向の各高さにおいて工具回転角θが180°の位置を始点aとし、工具切れ刃9に沿って、工具と被削材輪郭形状との交点a’までの距離a-a’が接触長さ10となる。
次に、ステップS6では、加工解析部6が、算出された接触長さ10に基づき、切削力を算出する。より詳細には、加工解析部6は、接触長さ10に渡る切削力を算出する。ここで、一般的に回転工具はねじれ角を有しているため、工具軸方向の高さが高くなるほど切れ刃の回転角は遅れることになる。
そのため、加工解析部6は、接触長さ10上にある格子毎に、ねじれ角から工具の回転角を計算し、工具回転角に応じた切取り厚さと切削力係数を用いて切削力を算出する。その後、加工解析部6が、接触長さ10にわたって各格子の切削力を足し合わせることで、工具軸方向の各高さにおける全切削力を算出することができる。なお、本実施形態では、切削力係数を用いて切削力を算出したが、必ずしも切削力係数を用いる必要はない。
ここで、上述の瞬間切削力の算出は、被削材2から離れるタイミングにおける接触長さ10、もしくは工具が被削材2に食いつくタイミングにおける接触長さ、に基づいて行われることが望ましい。
次に、ステップS7では、加工解析部6が、現在の加工箇所が硬化層であるかを判定する。硬化層の位置としては、被削材の表面から1パス目またはユーザが予め設定した任意の深さまでを硬化層とする。現在の加工位置が硬化層と判断された場合は(Yes)、ステップS8に進む。また、現在の加工箇所が硬化層でないと判定された場合は(No)、ステップS9に進む。
次に、ステップS8では、加工解析部6が、データ記憶部5の硬化係数136を読み出し、算出された切削力に掛けることで、硬化層の影響を考慮した切削力を算出する。なお、被削材の材質によっては硬化層の影響が小さい場合もあり、この場合は硬化係数136を用いなくともよい。このために、加工解析部6は、図示しない被削材の材質データをデータ記憶部5から読み出し、読み出した材質データが、所定の材質を示す場合、加工解析部6が硬化層の影響が小さいと判定する。
ここで、本実施形態におけるステンレスSUS316Lの硬化層および非硬化層の切削力を図6に示す。図6では、工具径が16mmの回転工具を使用し、加工条件は切削速度100mm/min、1刃当たりの送り0.05mm/t、径切込み16mm、軸切込み2mmを示している。
図6に示すように、硬化層は非硬化層よりも切削力が高く、最大で非硬化層の約1.3倍であった。このように、予め硬化層と非硬化層における切削力の比率を入手しておき、その比率を硬化係数136として使用することで、硬化層の影響を考慮した切削力を算出することができる。
図6に示すように、硬化層は非硬化層よりも切削力が高く、最大で非硬化層の約1.3倍であった。このように、予め硬化層と非硬化層における切削力の比率を入手しておき、その比率を硬化係数136として使用することで、硬化層の影響を考慮した切削力を算出することができる。
また、ステップS9では、加工解析部6が、ステップS6またはステップS8で算出した切削力を工具の剛性で割ることで、工具軸方向の工具たわみ分布11を算出する。なお、工具の剛性は、工具データ132に含まれるが、加工機8の剛性を考慮した値を用いてもよい。すなわち、加工解析部6は、加工用データを用いて、切削加工の際における加工機の工具の工具軸方向の工具たわみ分布を算出することになる。
ここで、工具たわみ分布について、説明する。図7は、本実施形態における投影図と工具たわみ分布の関係を示す図である。図7に示すように、工具軸方向の高さが大きくなると、接触長さ10が短くなるため切削力が小さくなる。この結果、工具たわみ11は小さくなる。このように工具軸方向の各高さで工具たわみ分布11が変動することから、側面加工によって形成された加工面には傾斜がつく。特に、軸切込みが大きい場合や、高速度工具鋼(ハイス)やセラミック工具のようにヤング率の低い工具を用いる際は、傾斜が大きくなりやすい。
ここで、工具たわみ分布について説明する。図8は、本実施形態における工具たわみ分布を説明するための図である。このうち、図8(a)は、セラミック工具を用いた側面加工における工具たわみ分布を示す図である。より具体的には、図8(a)では、工具径φ6mmのセラミック工具(刃数4)を用いて、Ni基超耐熱合金718を側面加工した際の工具たわみ分布を示している。図8(a)中、実線がNCデータ補正システム3で算出した工具たわみによる加工誤差の解析値、破線が加工後に加工面を測定して得られた実測値である。
なお、図8(a)に示す例では、加工条件は切削速度300m/min、1刃当たりの送り0.03mm/t、軸切込み4mm、径切込み0.4mmである。図8(a)に示すように、工具のホルダー側の工具たわみ分布の予測値と実測値はよく一致している。また、工具先端では加工誤差が0.04mmほどあるが、工具高さが大きくなると加工誤差が小さくなり加工面に傾斜がついている。
また、図8(b)は、図8(a)と、同一の加工条件で工具を超硬合金(超硬工具)に変更した場合における、工具たわみ分布の解析値との比較を示す図である。ヤング率が高い超硬工具と比べて、ヤング率の低いセラミック工具では工具たわみが大きく、加工面における加工誤差の変動も大きくなっている。
以上で、工具たわみ分布の説明を終わり、図3に戻り、処理フローの説明を続ける。ステップS10では、加工解析部6が、使用する加工機8が5軸加工機であるかを、加工機データ131を用いて、判定する。この結果、使用する加工機8が5軸加工機である場合は(Yes)、ステップS11に進む。他方、使用する加工機が5軸加工機ではない場合は(No)、ステップS13に進む。なお、5軸加工機とは、直行3軸(X,Y,Z軸)および回転2軸(A,C軸またはB,C軸)を有し並行して5軸を制御できるマシニングセンタのことであり、回転軸を有するため工具とワークの相対角度を変更することができる。なお、それぞれA軸はX軸中心、B軸はY軸中心、C軸はZ軸中心とする回転軸である。
次に、ステップS11以降では、NCデータ補正部7が、ステップS9で算出した工具たわみ分布11に基づいて、補正後NCデータ138を算出する。このために、まず、ステップS11では、NCデータ補正部7が、ステップS9で算出した工具たわみ分布11に基づいて、工具と被削材の相対角度12を算出する。このために、本実施形態では、NCデータ補正部7は、図9に示すように、軸切込み全体にわたって工具たわみ分布を線形近似し、得られた近似線とグラフの縦軸から成る角度を相対角度12として算出する。
なお、相対角度12を算出するにあたり、必ずしもこの方法を用いる必要はない。例えば、加工、工具たわみ分布11の傾きが変化する変曲点αから工具先端β点までの工具たわみ分布11を線形近似することで相対角度を求めてもよい。また、NCデータ補正部7は、変曲点αから軸切込みγ点までの工具たわみ分布11を線形近似することで相対角度を求めてもよい。
次に、ステップS12では、工具と被削材の相対角度を変更するため、NCデータ補正部7が、ステップS11で算出した相対角度12に基づき、補正前NCデータ133のA軸指令およびC軸指令、またはB軸指令およびC軸指令を補正する。この結果、補正後NCデータ138が作成されることになる。
ここで、加工機8によって、搭載されている回転軸と回転軸の指令方法は異なるため、データ記憶部5の加工機データ131から使用する加工機8の回転軸およびCNC情報を取得する。本実施形態では、A軸およびC軸を搭載した5軸加工機を対象としており、工具の移動方向に応じて相対角度12を設定する軸はA軸またはC軸、A軸およびC軸となる。ここで、5軸加工機でのNCデータの補正方法について、図10を用いて説明する。なお、このNCデータの補正方法は、加工用データの補正方法の一例である。
10に示すように、工具がX軸方向に移動することで切削加工を行う場合は、X軸を回転軸としたC軸に相対角度12を設定する。C軸中心に相対角度12の分だけワークを回転させることで、工具たわみによる加工誤差の低減を図る。
10に示すように、工具がX軸方向に移動することで切削加工を行う場合は、X軸を回転軸としたC軸に相対角度12を設定する。C軸中心に相対角度12の分だけワークを回転させることで、工具たわみによる加工誤差の低減を図る。
なお、被削材の段取りや工具の移動方向によっては、A軸およびC軸とも指令を変更する必要がある。また、相対角度が大きい場合は、被削材の回転に応じて工具のX座標およびY座標を調整してもよい。
また、ステップS13およびステップS14において、NCデータ補正部7が、3軸加工機を使用する場合のNCデータの補正を行う。ここで、5軸加工機ではなく3軸加工機を使用する場合、工具と被削材の相対角度を変更できない。このため、ステップS13では、NCデータ補正部7が、ステップS9で算出した工具たわみ分布11の範囲内で寸法公差135に収まるように補正量を選択する。この補正量の選択は、ユーザが任意に選定しても良いし、データ記憶部5の寸法公差135に収まるように、NCデータ補正部7が自動で補正量を選定してもよい。なお、選択対象となる補正量を算出するにあたり、工具たわみ分布11を平均化しても良いし、最大たわみ量を用いてもよい。
次に、ステップS14では、NCデータ補正部7が、ステップS13で選択した補正量に基づき、補正前NCデータ133のX座標指令およびY座標指令を補正する。この結果、補正後NCデータ138が作成されることになる。
また、ステップS15では、NCデータ補正部7が、ステップS12またはステップS14で作成された補正後NCデータ138を、加工機8へ出力する。このことで、加工機8では、補正後NCデータ138に基づいた加工を実行することが可能となる。また、NCデータ補正部7は、補正後NCデータ138をデータ記憶部5に格納することが望ましい。
以上で本実施形態の説明を終わり、以下、本実施形態の適用例について、説明する。
<適用例1>
ここで、適用例1について説明する。この適用例1では、NCデータ補正システム3を用いた、5軸加工機を用いたNCデータの補正例である。適用例1で使用した5軸加工機はA軸およびC軸を搭載している例である。また、本適用例では、被削材はNi基超耐熱合金718、工具径が8mmの超硬工具(刃数4)を使用している。本例における加工方法を、図11に示す。また、補正前NCデータ133を図12(a)に、補正後NCデータ138を図12(b)に示す。また、加工条件は、切削速度35m/min、送り速度279mm/min、軸切込み4mm、径切込み0.4mmであり、工具1をX軸のマイナス方向に移動させることで側面加工を行う。
以上で本実施形態の説明を終わり、以下、本実施形態の適用例について、説明する。
<適用例1>
ここで、適用例1について説明する。この適用例1では、NCデータ補正システム3を用いた、5軸加工機を用いたNCデータの補正例である。適用例1で使用した5軸加工機はA軸およびC軸を搭載している例である。また、本適用例では、被削材はNi基超耐熱合金718、工具径が8mmの超硬工具(刃数4)を使用している。本例における加工方法を、図11に示す。また、補正前NCデータ133を図12(a)に、補正後NCデータ138を図12(b)に示す。また、加工条件は、切削速度35m/min、送り速度279mm/min、軸切込み4mm、径切込み0.4mmであり、工具1をX軸のマイナス方向に移動させることで側面加工を行う。
また、ここで、図13を用いて、本実施形態における工具たわみ分布を説明する。図13(a)は、本実施形態において、NCデータ補正システム3で算出された工具たわみ分布の解析値を説明する図である。軸切込み全体にわたって工具たわみ分布11を線形近似したところ、相対角度12は0.762°であった。そのため、図12(b)に示した補正後NCデータ138では、算出された相対角度0.762°が追記部分15に記載されており、相対角度の分だけ被削材の姿勢が変更される。本例では、X軸方向に沿って側面加工を行っているため、X軸を回転軸としたC軸に相対角度が設定されている。補正後NCデータ138において、追記部分15では被削材の姿勢を変更し、追記部分16で被削材の姿勢を元の姿勢に戻している。このようにすることで、加工機8は、被削材の姿勢を変更して切削加工を実行し、加工後にその姿勢を戻すことになる。なお、姿勢を戻す処理は省略してもよい。
なお、図12(b)に示した補正後NCデータ138はあくまでも一例であり、補正前からNCデータのA軸およびC軸が回転している場合や加工機8のCNCが他の例である場合などは、補正後NCデータ138における追記部分の記述方式は異なる。
ここで、補正前後のNCデータを用いた際の加工誤差の実測値を、図13(b)に示す。なお、工具先端付近の加工誤差は、使用した測定機の仕様上測定することができなかったため、破線にて予測値を記載している。補正前NCデータ133を用いた場合は、工具先端付近で最大約0.06mmの加工誤差が生じているが、軸切込み4mm地点においては加工誤差がほぼ0となり、加工誤差の変動がより大きい。一方、補正後NCデータ138を用いた場合は、最大加工誤差は約0.02mmとなり、加工誤差を約67%低減することができた。また、上述の軸切込み4mm地点付近の加工面における加工誤差の変動を低減できている。
ここで、送り速度と工具たわみによる加工誤差の関係を、図14に示す。図14に示した加工誤差は、工具径が6mmのセラミック工具(刃数4)を使用して、Ni基超耐熱合金718を側面加工したときの工具たわみによる加工誤差の解析値である。本例での加工条件は、切削速度300m/min、軸切込み4mm、径切込み0.4mmであり、工具の送り速度Fを673、1273、1910mm/minと変動させた。一般的に、工具の送り速度Fを増加させると加工能率(単位時間当たりの加工除去体積)も向上するが、それに伴い加工誤差も増加するため、加工能率と加工精度を両立することは困難である。しかし、本例では、予め工具たわみによる加工誤差を解析で算出し工具経路を補正することで、様々な送り速度など多様な加工状況それぞれにおける加工誤差の変動を低減でき、加工精度を維持しながら加工能率を向上することができる。
<適用例2>
次に、適用例2として、3軸加工機を用いたNCデータの補正例を以下に示す。使用した被削材は、Ni基超耐熱合金718であり、工具径が10mmの超硬エンドミル(刃数2)を使用した。3軸加工機を使用した場合、回転軸がないため工具と被削材の相対角度を変更することができないため、工具たわみ分布の平均値を補正量とし、補正量に基づいて工具のX座標およびY座標を補正した。加工条件は、切削速度40m/min、軸切込み4mm、径切込み2mmであり、送り速度は加工能率向上のため、従来の100mm/minから220mm/minに変更した。NCデータ補正システム3により生成された補正後NCデータを用いて加工試験を行った結果、送り速度を上げて加工能率を向上させたにも関わらず、加工誤差は約0.01mmとなった。このように、従来の加工誤差と比べて加工誤差を約80%低減できたため、高精度・高能率加工を実現可能なことを確認できた。以上で、各適用例についての説明を終わる。
<適用例2>
次に、適用例2として、3軸加工機を用いたNCデータの補正例を以下に示す。使用した被削材は、Ni基超耐熱合金718であり、工具径が10mmの超硬エンドミル(刃数2)を使用した。3軸加工機を使用した場合、回転軸がないため工具と被削材の相対角度を変更することができないため、工具たわみ分布の平均値を補正量とし、補正量に基づいて工具のX座標およびY座標を補正した。加工条件は、切削速度40m/min、軸切込み4mm、径切込み2mmであり、送り速度は加工能率向上のため、従来の100mm/minから220mm/minに変更した。NCデータ補正システム3により生成された補正後NCデータを用いて加工試験を行った結果、送り速度を上げて加工能率を向上させたにも関わらず、加工誤差は約0.01mmとなった。このように、従来の加工誤差と比べて加工誤差を約80%低減できたため、高精度・高能率加工を実現可能なことを確認できた。以上で、各適用例についての説明を終わる。
次に、本実施形態において、造形の際の熱により造形体表面に硬化層が形成される場合について説明する。硬化層が生成されると、加工負荷が増大し工具欠損や工具たわみの増長により加工精度低下の原因となる。
このため、予め、硬化層と非硬化層の切削力の比率を硬化係数136としてデータ記憶部5に格納しておく。そして、加工解析部6は、硬化層がある被削材表面においては、硬化係数136を用いて切削力を計算することで、硬化層も考慮した加工誤差を算出することが可能である。
このことにより、硬化層が生成された場合でも加工精度を維持および向上することができる。また、硬化層における加工誤差が過大と予想された場合は、予め工具の送り速度を小さくすることで、工具欠損を防ぐことができる。
次に、本実施形態における出力画面について説明する。図15に、NCデータ補正システム3の出力画面130の一例を示す。出力画面130は、図16に示すNC装置300の出力部305に該当する。
出力画面130には、事前に入力が可能な加工機データ131、工具データ132、補正前NCデータ133、加工前の被削材測定形状データ134、寸法公差135の範囲および硬化係数136を設定する領域がある。また、NCデータ補正システム3で生成された解析データ137や補正後NCデータ138の保存先を参照する領域があってもよい。出力画面130のその他の領域では、NCデータの補正処理を開始する補正実行ボタン139や、NCデータの指令毎に工具たわみ分布を表示する領域140があってもよい。以上で、出力画面130の説明を終了する。
以上の実施形態では、加工前の被削材測定形状を用いて、肉盛り形状のばらつきを考慮した工具たわみ分布を算出し、算出した工具たわみ分布に基づいてNCデータを補正する。このため、加工面の傾斜低減および削り過ぎを抑制することができる。また、寸法公差を考慮して補正量を選択できるため、切削加工の高精度化が可能である。特に、高速度工具鋼(ハイス)やセラミック工具のようにヤング率の低い工具を用いて切削加工を行う場合は、工具たわみによる加工誤差が大きいためより大きな効果を得ることができる。さらに、加工能率向上のため工具の送り速度を上げたとしても、送り速度に応じて工具たわみ量を補正することができるため、加工精度を維持したまま加工能率を向上することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態で説明した構成の一部を他の構成に置き換えることが可能である。さらに、本実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。このように、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換することが可能である。
例えば、NCデータ補正システム3は、ネットワークを介して、CAM(Computer Aided Manufacturing)装置と接続してもよい。また、データ記憶部5を外出しして、ネットワークを介してNCデータ補正システム3と接続するデータベースシステムとして構成してもよい。さらに、上述したように、本発明の加工支援装置はNCデータ補正システム3やNC装置300で実現できるが、他の装置やシステムでも実現できる。またさらに、本発明の加工支援装置の機能を、加工機8自体に設けてもよい。またさらに、本発明には、補正された加工用データを用いた加工を行う加工機や加工方法も含まれる。
さらに、本実施形態では、金属積層造形法を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。
1…工具
2…被削材
3…NCデータ補正システム
4…形状測定部
5…データ記憶部
6…加工解析部
7…NCデータ補正部
8…加工機
9…工具切れ刃
10…接触長さ
11…工具たわみ分布
12…相対角度
2…被削材
3…NCデータ補正システム
4…形状測定部
5…データ記憶部
6…加工解析部
7…NCデータ補正部
8…加工機
9…工具切れ刃
10…接触長さ
11…工具たわみ分布
12…相対角度
Claims (16)
- 被削材の切削加工を行う加工機を制御するための加工用データを補正する加工支援装置において、
前記加工用データを用いて、前記切削加工の際における前記加工機の工具の工具軸方向の工具たわみ分布を算出する加工解析部と、
前記工具たわみ分布に基づいて、前記加工用データを補正する加工用データ補正部を有する加工支援装置。 - 請求項1に記載の加工支援装置において、
前記加工解析部は、さらに前記切削加工における切削力を算出し、当該切削力に基づいて、前記工具たわみ分布を算出する加工支援装置。 - 請求項2に記載の加工支援装置において、
前記加工解析部は、前記切削力として、所定タイミングでの瞬間切削力である所望瞬間切削力を算出する加工支援装置。 - 請求項3に記載の加工支援装置において、
前記加工解析部は、
前記工具の進行方向から前記工具および前記被削材を見た投影図を作成し、前記投影図は、前記工具の進行方向に垂直でかつ前記工具の工具軸に平行な投影面に作成され、
前記投影図に基づき、前記工具が前記被削材から離れるタイミングでのディスエンゲージ角、または前記工具が前記被削材に食いつくタイミングでのエンゲージ角における工具回転角を算出し、
前記投影図から、前記工具軸方向の高さごとに、前記工具と前記被削材との接触長さを算出し、
前記所望瞬間切削力の算出は、
前記被削材から離れるタイミングにおける前記接触長さ、もしくは
前記工具が前記被削材に食いつくタイミングにおける前記接触長さ、
に基づいて行われる、
加工支援装置。 - 請求項1に記載の加工支援装置において、
前記加工機は、5軸加工機であって、
前記加工解析部は、
前記工具たわみ分布に基づいて、前記工具と前記被削材の相対角度を算出し、
前記相対角度に基づき、前記加工用データに含まれる前記加工機のA軸指令およびC軸指令またはB軸指令およびC軸指令を補正する加工支援装置。 - 請求項1に記載の加工支援装置において、
前記加工機は、3軸加工機であって、
前記加工解析部は、
前記工具たわみ分布の範囲において、工具たわみによる加工誤差が寸法公差内に収まる補正量を特定し、
前記補正量に基づき、前記加工用データの工具X座標およびY座標指令を補正する加工支援装置。 - 請求項2乃至4の何れかに記載の加工支援装置において、
前記被削材は、当該被削材の表面に硬化層が形成され、
前記加工解析部は、予め設定された硬化係数を用いて、前記切削力を算出する加工支援装置。 - 請求項4に記載の加工支援装置において、
前記投影図に投影される前記被削材の形状は、前記被削材の切削加工前の形状又は切削加工中の形状である、
加工支援装置。 - 加工支援装置を用いて、被削材の切削加工を行う加工機を制御するための加工用データを補正する加工用データ補正方法において、
加工解析部により、前記加工用データを用いて、前記切削加工の際における前記加工機の工具の工具軸方向の工具たわみ分布を算出し、
加工用データ補正部により、前記工具たわみ分布に基づいて、前記加工用データを補正する加工用データ補正方法。 - 請求項9に記載の加工用データ補正方法において、
前記加工解析部により、さらに前記切削加工における切削力を算出し、当該切削力に基づいて、前記工具たわみ分布を算出する加工用データ補正方法。 - 請求項10に記載の加工用データ補正方法において、
前記加工解析部により、前記切削力として、所定タイミングでの瞬間切削力である所望瞬間切削力を算出する加工用データ補正方法。 - 請求項11に記載の加工用データ補正方法において、
前記加工解析部により、
前記工具の進行方向から前記工具および前記被削材を見た投影図を作成し、前記投影図は、前記工具の進行方向に垂直でかつ前記工具の工具軸に平行な投影面に作成され、
前記投影図に基づき、前記工具が前記被削材から離れるタイミングでのディスエンゲージ角、または前記工具が前記被削材に食いつくタイミングでのエンゲージ角における工具回転角を算出し、
前記投影図から、前記工具軸方向の高さごとに、前記工具と前記被削材との接触長さを算出し、
前記所望瞬間切削力の算出は、
前記被削材から離れるタイミングにおける前記接触長さ、もしくは
前記工具が前記被削材に食いつくタイミングにおける前記接触長さ、
に基づいて行われる、
加工用データ補正方法。 - 請求項9に記載の加工用データ補正方法において、
前記加工機は、5軸加工機であって、
前記加工解析部により、
前記工具たわみ分布に基づいて、前記工具と前記被削材の相対角度を算出し、
前記相対角度に基づき、前記加工用データに含まれる前記加工機のA軸指令およびC軸指令またはB軸指令およびC軸指令を補正する加工用データ補正方法。 - 請求項9に記載の加工用データ補正方法において、
前記加工機は、3軸加工機であって、
前記加工解析部により、
前記工具たわみ分布の範囲において、工具たわみによる加工誤差が寸法公差内に収まる補正量を特定し、
前記補正量に基づき、前記加工用データの工具X座標およびY座標指令を補正する加工用データ補正方法。 - 請求項10乃至12の何れかに記載の加工用データ補正方法において、
前記被削材は、当該被削材の表面に硬化層が形成され、
前記加工解析部により、予め設定された硬化係数を用いて、前記切削力を算出する加工用データ補正方法。 - 請求項12に記載の加工用データ補正方法において、
前記投影図に投影される前記被削材の形状は、前記被削材の切削加工前の形状又は切削加工中の形状である、
加工用データ補正方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021155488A JP2023046731A (ja) | 2021-09-24 | 2021-09-24 | 加工支援装置および加工用データ補正方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021155488A JP2023046731A (ja) | 2021-09-24 | 2021-09-24 | 加工支援装置および加工用データ補正方法 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2021155488A Pending JP2023046731A (ja) | 2021-09-24 | 2021-09-24 | 加工支援装置および加工用データ補正方法 |
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