JP2023046730A - トルク脈動抑制システム - Google Patents

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Hiroshi Sugimura
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Abstract

【課題】トルクの脈動の抑制効果を十分に得ることができるトルク脈動抑制システムを提供する。【解決手段】エンジン始動時のクランクシャフト上のトルク脈動を計測し、該トルク脈動からトルク脈動テーブルを生成し、該トルク脈動テーブルに制振制御ゲインを乗算して制振トルクを求めるようにしたトルク脈動抑制システムに対し、トルク脈動テーブル(基準トルク脈動テーブル)にローパスフィルタをかけることによって、共振周波数よりも高い所定周波数であるカットオフ周波数以上の成分を除外し(ST5)、そのカットオフ周波数以上の成分が除外されたトルク脈動テーブルを使用して制振トルクを求める。これにより、モータ制御に使用されるモータトルク指令値に高周波数成分が含まれないことになり、モータトルク指令値に応じたモータ制御を行うことが可能になる。【選択図】図4

Description

本発明はトルク脈動抑制システムに係る。特に、本発明は、動力源から出力されるトルクに起因するトルク脈動を抑制する効果を高めるための改良に関する。
従来より、動力源から出力されるトルクに起因する動力伝達系でのトルクの脈動(以下、単にトルク脈動という場合もある)を抑制するシステムとして特許文献1に開示されているものが知られている。この特許文献1は、電動機から出力されるトルクの脈動を抑制するためのシステムであって、トルク脈動抑制手段とトルク脈動補償電流学習手段とを搭載し、電動機のトルク脈動周波数成分を軸トルク検出器から抽出してトルク脈動を抑制するための補償電流を学習で求め、この補償電流をインバータの電流制御指令に重畳させ、周波数成分毎のトルク脈動を抑制するようにしている。また、このトルク脈動抑制のための補償電流の学習を複数の異なる動作点で自動的に繰り返すことにより、この学習から補償電流テーブルを生成する補償電流テーブル生成手段を備えた構成となっている。
また、トルク脈動を抑制する技術はハイブリッド車両においても使用されている。例えば駆動用バッテリの充電開始時やエンジンの暖機運転開始時等といった乗員が予期しないタイミングでのエンジンの始動に伴うトルク脈動に起因する振動(車体振動)を抑制することを目的として使用される。具体的には、電動モータ(モータジェネレータ)によるクランキングによってエンジンを始動させる際、エンジンから出力されるトルクの変動によって発生する車体振動を低減するために、エンジン始動時に電動モータが出力するエンジン始動トルクに制振トルクを含ませる制御を行っている。つまり、電動モータによって前記トルク脈動とは逆相のトルクを発生させるようにしている。具体的には、エンジンを始動させるために必要となる電動モータのベースクランキングトルクに対して、エンジンの気筒内での圧縮膨張反力を打ち消す制振トルクを足し合わせる。この制振トルクは、エンジンの各クランク角に対して実験的に算出したトルク脈動のテーブル(気筒内混合気の圧縮膨張反力によって生じるトルク脈動のテーブルであってトルク脈動マップとも呼ばれる)に対して、各エンジン回転数毎のゲイン(制振制御ゲイン)を掛け合わせることで生成される。
特開2011-50119号公報
ところが、実験的に算出される前記トルク脈動のテーブル(以下、単にトルク脈動テーブルという場合もある)には高周波数成分が含まれている。このため、それに基づいて算出される制振トルクにも高周波数成分が含まれており、モータ制御に使用されるモータトルク指令値にも高周波数成分が含まれることになる。しかしながら、実際のモータ制御にあっては、この高周波数成分を有するモータトルク指令値に制御が追い付くことができず、モータトルク指令値と実効値との間に差分が生じ、モータトルクに位相遅れや狙いに対する周波数のズレが発生してしまう場合がある。図9は、このモータトルクに位相遅れや周波数のズレが発生している状態を示す波形図であり、図中の破線はモータトルク指令値であり、実線はモータ制御の実効値である。このように、高周波数成分を有するモータトルク指令値にモータ制御が追い付くことができず、モータトルク指令値と実効値との間に差分Δtが生じている。このような状況では、制振トルクによるトルク脈動の抑制効果を十分に得ることが難しい。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、トルク脈動の抑制効果を十分に得ることができるトルク脈動抑制システムを提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、動力源から出力されるトルクに起因するトルク脈動に対して、動力伝達系に繋がる電動機から出力されるトルクに制振トルクを含ませることにより、前記トルク脈動を抑制するようにしたトルク脈動抑制システムを前提とする。そして、このトルク脈動抑制システムは、前記制振トルクの算出に用いられるトルク脈動テーブルにローパスフィルタまたはバンドパスフィルタをかけることによって、前記動力伝達系の共振周波数よりも高い所定周波数以上の成分を除外する信号フィルタ部を備えていることを特徴とする。
この特定事項により、制振トルクの算出に用いられるトルク脈動テーブルには高周波数成分が含まれないことになり、電動機の制御(モータ制御)に使用されるモータトルク指令値にも高周波数成分が含まれないことになる。このため、モータ制御にあっては、高周波数成分を有するモータトルク指令値に制御が追い付くことができないことに起因するモータトルクの位相遅れや周波数のズレを抑制することができ、モータトルク指令値に応じた制御が行われて、モータトルク指令値と実効値との間に差分が生じないか、または、差分を大幅に小さくできる。このため、トルク脈動の抑制効果を十分に得ることができる。
本発明では、制振トルクの算出に用いられるトルク脈動テーブルにローパスフィルタまたはバンドパスフィルタをかけることによって、動力伝達系の共振周波数よりも高い所定周波数以上の成分を除外するようにしている。このため、モータ制御に使用されるモータトルク指令値に高周波数成分が含まれないことになり、モータトルク指令値に応じたモータ制御を行うことが可能になる。その結果、トルク脈動の抑制効果を十分に得ることができる。
実施形態に係るハイブリッド車両を示す概略構成図である。 トルク脈動抑制システムの制御系を示すブロック図である。 図3(a)は動力伝達系での共振周波数帯と既存の制振トルクとの関係をウェーブレット解析した結果の一例を示す概略図であり、図3(b)は動力伝達系における共振周波数帯を説明するための図である。 トルク脈動抑制システムにおけるトルク脈動テーブルの算出処理の手順を示すフローチャート図である。 基準トルク脈動テーブルの一例を示す図である。 エンジン始動時におけるエンジン回転数と車体振動との関係の一例を示す図である。 高周波数成分が除外される前後の各トルク脈動テーブルの一例を示す図である。 本発明の効果を確認するために行った実験結果を示す図である。 従来技術においてモータトルクに位相遅れや周波数のズレが発生している状態を示す波形図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、2つのモータジェネレータを備えたハイブリッド車両に本発明を適用した場合について説明する。
図1は、本実施形態に係るハイブリッド車両HEV(以下、車両HEVという場合もある)を示す概略構成図である。この図1に示すように、車両HEVは、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式の車両であって、エンジン(内燃機関)1、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2を駆動力源とする車両である。車両HEVは、エンジン1、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、ダンパ2、入力軸3、動力分割機構として機能する遊星歯車機構4、ギヤ機構5、デファレンシャル装置6、ドライブシャフト61、駆動輪(前輪)7、従動輪(後輪:図示せず)、および、ECU(Electronic Control Unit)100等を備えている。
本実施形態に係る車両HEVにあっては、第1モータジェネレータMG1の回転軸と第2モータジェネレータMG2の回転軸とが異なる軸上に配置されている。
ECU100は、例えば、HEV(ハイブリッド)ECU、エンジンECU、MG_ECU、バッテリECU等によって構成されており、これらのECUが互いに通信可能に接続されている。
次に、エンジン1、モータジェネレータMG1,MG2、遊星歯車機構4、および、ECU100等の各部について説明する。
-エンジン-
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等といった燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置(動力源)であって、例えば、ガソリンエンジンにおいては、吸気通路に設けられたスロットルバルブのスロットル開度(吸入空気量)、燃料噴射量、点火時期等の運転状態を制御できるように構成されている。エンジン1の運転状態はECU100によって制御される。ECU100は、吸入空気量制御、燃料噴射量制御、および、点火時期制御等を含むエンジン1の各種制御を実行する。
エンジン1には、クランクシャフト1aの回転数(回転速度)を検出するクランクポジションセンサ101が配置されている。クランクポジションセンサ101の出力信号はECU100に入力される。クランクポジションセンサ101の出力信号からクランク角度およびエンジン回転数(エンジン回転速度)を得ることができる。
そして、エンジン1の出力は、クランクシャフト1aおよびダンパ2を介して入力軸3に伝達される。
-モータジェネレータ-
第1モータジェネレータMG1は、入力軸3に対して相対回転自在に支持された永久磁石からなるロータMG1Rと、3相巻線が巻回されたステータMG1Sとを備えた交流同期発電機であって、発電機として機能するとともにモータ(エンジン始動用のトルクを発生する駆動力源)としても機能する。また、第2モータジェネレータMG2も同様に、永久磁石からなるロータMG2Rと3相巻線が巻回されたステータMG2Sとを備えた交流同期発電機であって、モータ(走行用の駆動力を発生する駆動力源)として機能するとともに発電機としても機能する。
第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2には、それぞれ、ロータの回転角度を検出するMG1回転数センサおよびMG2回転数センサが設けられている。これら回転数センサの各出力信号(回転角度検出値)は、ECU100に入力され、各モータジェネレータMG1,MG2の駆動制御等に用いられる。
尚、図示はしないが、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2は、それぞれ、インバータを介してバッテリ(蓄電装置)に接続されている。インバータはECU100によって制御され、そのインバータの制御により各モータジェネレータMG1,MG2の回生または力行が設定される。その際の回生電力はインバータを介してバッテリに充電される。また、各モータジェネレータMG1,MG2の駆動用電力はバッテリからインバータを介して供給される。
-遊星歯車機構-
遊星歯車機構4は、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤS4と、サンギヤS4に外接しながらその周辺を自転しつつ公転する外歯歯車のピニオンギヤP4と、ピニオンギヤP4と噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤR4と、ピニオンギヤP4を支持するとともに、このピニオンギヤP4の公転を通じて自転するキャリアCA4とを有する。
キャリアCA4は入力軸3に一体回転可能に連結されている。サンギヤS4は、第1モータジェネレータMG1のロータMG1Rに一体回転可能に連結されている。リングギヤR4にはカウンタドライブギヤ41が一体回転可能に連結されている。カウンタドライブギヤ41は、ギヤ機構5のカウンタドリブンギヤ51、カウンタシャフト52、ファイナルギヤ53、およびデファレンシャル装置6を介してドライブシャフト61(駆動輪7)に連結されている。また、カウンタドライブギヤ41は、ギヤ機構5のリダクションギヤ54を介して第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rに連結されている。
そして、このような構成の遊星歯車機構4において、キャリアCA4に入力されるエンジン1の出力トルクに対して、第1モータジェネレータMG1による反力トルクがサンギヤS4に入力されると、出力要素であるリングギヤR4には、エンジン1から入力されたトルクより大きいトルクが現れる。この場合、第1モータジェネレータMG1は発電機として機能する。第1モータジェネレータMG1が発電機として機能するときには、キャリアCA4から入力されるエンジン1の駆動力が、サンギヤS4側とリングギヤR4側とにそのギヤ比に応じて分配される。
一方、エンジン1の始動時にあっては、第1モータジェネレータMG1が電動機(スタータモータ)として機能し、この第1モータジェネレータMG1の駆動力がサンギヤS4およびキャリアCA4を介してクランクシャフト1aに与えられてエンジン1がクランキングされる。エンジン始動時の制御の詳細については後述する。
また、車両の走行中にあっては、遊星歯車機構4において、リングギヤR4の回転速度(出力軸回転速度)が一定であるときに、第1モータジェネレータMG1の回転速度を上下に変化させることにより、エンジン1の回転数を連続的に(無段階に)変化させることができる。つまり、遊星歯車機構4が変速部として機能する。
以上のモータジェネレータMG1,MG2、遊星歯車機構4およびギヤ機構5等によってトランスアクスル(動力伝達装置)が構成され、このトランスアクスルおよびエンジン1を含んでパワープラントが構成されている。
-ECU-
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAM等を備えている。
ROMには、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるテーブル等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやテーブル等に基づいて演算処理を実行する。また、RAMはCPUでの演算結果や各種センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMはエンジン1の停止時等において保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
ECU100には、前記クランクポジションセンサ101の他に、図示しないアクセル開度センサ、エンジン1のスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ、エンジン冷却水温を検出する水温センサ、吸入空気量を検出するエアフロメータ、車速センサ、ブレーキペダルセンサ等の各種のセンサが接続されており、これらのセンサ(スイッチ類も含む)からの信号がECU100に入力される。
そして、ECU100は、前述した各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットルバルブの開度制御(吸入空気量制御)、燃料噴射量制御(インジェクタの開閉制御)、点火時期制御(点火プラグの駆動制御)等を含むエンジン1の各種制御を実行する。
また、ECU100は、後述する走行制御およびエンジン始動制御(エンジン始動時の制振制御(モータトルク指令値の算出処理等)も含む)を実行する。
-走行制御-
次に、車両HEVの走行制御の一例について説明する。
例えば、ECU100は、発進時および低車速の軽負荷走行時等において、エンジン1の運転を停止(エンジン1の燃料供給を停止)し、第2モータジェネレータMG2を力行制御して走行を行う。また、定常走行時等においては、エンジン1を主動力源として走行を行い、第1モータジェネレータMG1を発電制御するとともに、その発電制御で得られた電気エネルギによって第2モータジェネレータMG2を補助的に力行制御する。
また、ECU100は、加速時等において、エンジン1を駆動するとともに、第1モータジェネレータMG1を発電制御して得られた電気エネルギおよびバッテリ(図示せず)の電気エネルギによって第2モータジェネレータMG2を力行制御して走行を行う。
また、ECU100は、減速時(アクセルオフ時)等において、第2モータジェネレータMG2を回生制御することにより、制動トルクを付与するとともに、エネルギ回収を行ってバッテリの充電を行う。
-エンジン始動-
次に、車両HEVのエンジン始動について説明する。
本実施形態の車両HEVにあっては、エンジン始動条件(例えば車速や駆動力の上昇要求時、バッテリの充電要求時、エンジン暖機要求時等)が成立したときに、第1モータジェネレータMG1の動力によりエンジン1を回転駆動(クランキング)することでエンジン回転数を上昇させてエンジン1を始動する。
具体的に、ECU100は、エンジン1の回転数を引き上げるためのクランキングトルクを第1モータジェネレータMG1から出力させる。この第1モータジェネレータMG1によるクランキングによりエンジン1の回転数が上昇し、そのエンジン回転数が、エンジン1が自立運転可能ないしは完爆可能な回転数以上に上昇した状態で、エンジン1への燃料噴射を行うとともにエンジン1の点火を行ってエンジン1を始動する。
ここで、エンジン1のクランキングに必要なクランキングトルク(ベースクランキングトルク)はクランキングトルク設定テーブルを参照して設定される。クランキングトルク設定テーブルは、縦軸にベースクランキングトルク、横軸に経過時間(エンジン始動時点を基準とする経過時間)を表したテーブルであって、エンジンフリクション、目標とする回転上昇率、ギヤのガタ(遊び)、ダンパ2の捩れ剛性等を考慮してベースクランキングトルクが設定されている。
-エンジン始動トルク-
前述したように、本実施形態の車両HEVにあっては、エンジン始動条件が成立した場合に、第1モータジェネレータMG1からクランキングトルクを出力することによりエンジン1をクランキングする。この際、エンジン始動時のエンジントルク変動(トルク脈動)により発生する振動を低減するために、前記ベースクランキングトルクに制振トルクを加えたトルク(エンジン始動トルク)を第1モータジェネレータMG1から出力するようにしている。
このエンジン始動トルク(モータトルク指令値に従うエンジン始動トルク)の算出手法の概略について説明する。前述したように、エンジン始動トルクは、第1モータジェネレータMG1によるクランキングによってエンジン1を始動させる際、エンジン1から出力されるトルクの変動(トルク脈動)によって発生する振動(車体振動)を低減するために、第1モータジェネレータMG1が出力するエンジン始動トルクに制振トルクを含ませたものとして算出される。つまり、第1モータジェネレータMG1によってトルク脈動とは逆相のトルクを発生させるようにしている。
具体的には、エンジン1を始動させるために必要となる第1モータジェネレータMG1のベースクランキングトルクに対して、エンジン1の気筒内での圧縮膨張反力を打ち消す制振トルクを足し合わせる。
この制振トルクは、エンジン1の各クランク角に対して実験的に算出したトルク脈動テーブル(気筒内混合気の圧縮膨張反力によって生じるトルク脈動テーブル)に対して、各エンジン回転数毎のゲイン(制振制御ゲイン)を掛け合わせることで生成される。この制振制御ゲインは、ECU100のROMに予め記憶されたゲインテーブルを参照して算出される。ゲインテーブルは、エンジン回転数と制振制御ゲインとの関係を規定するテーブルであって、実験またはシミュレーションによって予め設定されている。ECU100は、エンジン始動時にクランクポジションセンサ101の出力信号から得られるエンジン回転数に基づいてゲインテーブルを参照して制振制御ゲインを算出することになる。トルク脈動テーブルは、クランク角度とエンジントルク変動との関係を規定するテーブルであって、実験またはシミュレーションによって予め設定されたものである。
ところが、従来技術にあっては、実験的に算出される前記トルク脈動テーブルには高周波数成分が含まれている。このため、それに基づいて算出される制振トルクにも高周波数成分が含まれており、第1モータジェネレータMG1の制御(モータ制御)に使用されるモータトルク指令値にも高周波数成分が含まれることになる。しかしながら、実際のモータ制御にあっては、この高周波数成分を有するモータトルク指令値に制御が追い付くことができず、モータトルク指令値と実効値との間に差分が生じ、モータトルクに位相遅れや狙いに対する周波数のズレが発生してしまう場合がある。このような状況では、制振トルクによるトルク脈動の抑制効果を十分に得ることが難しく、車体振動が大きくなってしまう虞があった。尚、エンジン始動時における車体振動は、第1モータジェネレータMG1からのトルクとエンジン1の気筒内混合気の圧縮膨張反力とを強制力とし、駆動系および懸架系を伝達経路として車体(ボデー)へ伝わる。その際、パワープラントのロール共振(懸架系共振)やドライブシャフト61およびダンパ2の捩れ共振(駆動系共振)といった共振周波数を増幅系として振幅が増幅することになる。
本実施形態では、この点に鑑み、ECU100によって構築されるシステム(制御システム)としてトルク脈動抑制システム110を設け(図2を参照)、このトルク脈動抑制システム110での処理によって、モータ制御に使用されるモータトルク指令値に高周波数成分が含まれないようにすることで、モータトルク指令値に応じたモータ制御を行うことを可能にして、トルク脈動の抑制効果を十分に得ることができるようにしている。そのために、本実施形態におけるトルク脈動抑制システム110では、制振トルクの算出に用いられるトルク脈動テーブルにローパスフィルタをかけることによって(トルク脈動テーブルのデータをローパスフィルタに通すことによって)動力伝達系の共振周波数よりも高い所定周波数以上の成分を除外して新たなトルク脈動テーブルを算出し、この算出されたトルク脈動テーブルを使用することで、モータ制御に使用されるモータトルク指令値に高周波数成分が含まれないようにしている。以下、具体的に説明する。
図2は、トルク脈動抑制システム110の制御系を示すブロック図である。この図に示すように、トルク脈動抑制システム110は、前記制御プログラムによって実現される機能部として、基準トルク脈動テーブル生成部111、クランク角/時間変換処理部112、信号フィルタ部113、時間/クランク角変換処理部114、トルク脈動テーブル出力部115を備えている。
基準トルク脈動テーブル生成部111は、過去のエンジン1の始動時においてクランクシャフト1aに発生していたトルク脈動を計測し、そのクランク角の推移に伴うトルク変動をトルク脈動テーブル(以下、基準トルク脈動テーブルという)として生成する。具体的には、前記クランクポジションセンサ101によって検出されたエンジン回転数の変動に基づいてトルク脈動を計測することによって基準トルク脈動テーブルを生成する。また、クランクシャフト1aにトルクセンサを設けておき、このトルクセンサによってトルク脈動を計測するようになっていてもよい。
クランク角/時間変換処理部112は、エンジン1の始動時における車体振動の振幅が最大となるエンジン回転数での前記基準トルク脈動テーブルの横軸であるクランク角を時間に変換する。このクランク角を時間に変換する変換式は以下の式(1)である。
Figure 2023046730000002
ここで、Neはエンジン1の始動時における車体振動の振幅が最大となるエンジン回転数であり、Nはエンジン1の気筒数である。
信号フィルタ部113は、前記基準トルク脈動テーブル生成部111によって生成された基準トルク脈動テーブルに対して、クランク角/時間変換処理部112によって基準トルク脈動テーブルの横軸が時間に変換されたデータを対象として、予め車体毎に設定されている共振周波数よりも高い所定周波数をカットオフ周波数とし該カットオフ周波数以上の周波数帯を除外するローパスフィルタを用いることによって、このカットオフ周波数未満の周波数帯における信号のみを抽出する。
図3(a)は動力伝達系での各共振周波数と既存の制振トルクとの関係をウェーブレット解析した結果の一例を示す概略図である。図3(b)は動力伝達系における共振周波数の周波数帯を説明するための図である。これらの図に示すように、駆動系および懸架系の共振配置が特定の周波数未満に集中しているのに対し、既存の制振トルクとしては共振の無い領域(非共振領域である高い周波数帯の領域)の成分も多く含まれている。本発明の発明者らは、このように高い周波数帯の領域の成分が多く含まれていることが、前述したモータトルク指令値に高周波数成分が含まれてしまうことに起因するモータトルクに位相遅れや狙いに対する周波数のズレの発生に繋がる原因となっていることを新たな知見として得た。このため、信号フィルタ部113では、共振領域よりも高い周波数帯のもの(図3(a)および図3(b)における破線よりも高周波数成分である非共振領域のもの)を除外するようにローパスフィルタをかけるようにしている。
より具体的に説明すると、動力伝達系における共振周波数としては、ドライブシャフト61の捩れ、パワープラントのロール、ダンパ2の捩れといった複数の共振周波数帯が存在している。図3(b)中における□がドライブシャフト61の捩れに関連する共振周波数帯であり、○がパワープラントのロールに関連する共振周波数帯であり、△がダンパ2の捩れに関連する共振周波数帯である。図3(b)に示すものでは、ドライブシャフト61の捩れに関連する共振周波数帯よりもパワープラントのロールに関連する共振周波数帯の方が高い周波数帯にあり、パワープラントのロールに関連する共振周波数帯よりもダンパ2の捩れに関連する共振周波数帯の方が高い周波数帯にある場合を示している。本実施形態では、これらの共振周波数帯よりも高い周波数(ダンパ2の捩れに関連する共振周波数帯よりも所定量だけ高い周波数)をカットオフ周波数CFとして設定し、ローパスフィルタを用いることによって、このカットオフ周波数CF未満の周波数帯における信号のみを抽出するようにしている。
時間/クランク角変換処理部114は、前記信号フィルタ部113によって抽出されたカットオフ周波数CF未満の周波数帯における信号に対し、エンジン1の始動時における車体振動の振幅が最大となるエンジン回転数での前記トルク脈動テーブル(高周波数成分が含まれないトルク脈動テーブル)の横軸である時間をクランク角に変換する。これによって、制振トルクの算出に用いられるトルク脈動テーブルとして、高周波数成分(カットオフ周波数CF以上の周波数帯の成分)が含まれないものを算出できる。
トルク脈動テーブル出力部115は、この算出されたトルク脈動テーブル(高周波数成分が含まれないトルク脈動テーブル)を、図示しない制振トルク算出部に出力し、制振トルク算出部における制振トルクの算出のために利用されるトルク脈動テーブルを提供する。
-トルク脈動テーブルの算出処理-
次に、前述したトルク脈動抑制システム110によって実施される処理動作のうちトルク脈動テーブルの算出処理について説明する。図4は、トルク脈動テーブルの算出処理の手順を示すフローチャートである。
このトルク脈動テーブルの算出処理では、先ず、ステップST1において、エンジン1の始動時におけるクランクシャフト1aに発生しているトルク脈動を計測する。そして、ステップST2において、この計測されたトルク脈動に基づいて基準トルク脈動テーブルを生成する(基準トルク脈動テーブル生成部111による基準トルク脈動テーブルの生成動作)。図5は、このステップST2で生成された基準トルク脈動テーブルの一例を示す図である。この図5に示すように、基準トルク脈動テーブルにあっては、エンジン1の気筒内での圧縮膨張反力等に起因して大きなトルク変動が生じた状態にある。
その後、ステップST3において、前述の式(1)を使用して、エンジン1の始動時における車体振動の振幅が最大となるエンジン回転数での前記基準トルク脈動テーブルの横軸であるクランク角を時間に変換する(クランク角/時間変換処理部112による変換動作)。図6は、エンジン始動時におけるエンジン回転数と車体振動との関係の一例を示す図である。この図6におけるCA1の時点におけるエンジン回転数が、車体振動の振幅が最大となるエンジン回転数Ne1となる。
ステップST4では、エンジン1、トランスミッション(遊星歯車機構4、ギヤ機構5、デファレンシャル装置6等)、ドライブシャフト61の各諸元から振動の共振周波数を算出する。この共振周波数は、車両の車種によって異なるため、車両製造時に予め算出しておいた共振周波数をデータベースとして前記ROMに記憶されている。
ステップST5では、前記基準トルク脈動テーブル(横軸が時間に変換された基準トルク脈動テーブル)に対し、前記共振周波数よりも高い所定周波数をカットオフ周波数CFとするローパスフィルタを用いることによって、このカットオフ周波数CF未満の周波数帯における信号のみを抽出する(信号フィルタ部113による信号の抽出動作)。
そして、ステップST6では、抽出されたカットオフ周波数CF未満の周波数帯における信号に対し、エンジン1の始動時における車体振動の振幅が最大となるエンジン回転数での前記トルク脈動テーブルの横軸である時間をクランク角に変換する。(時間/クランク角変換処理部114による変換動作)。これによって、制振トルクの算出に用いられるトルク脈動テーブルとして、高周波数成分(カットオフ周波数CF以上の周波数帯の成分)が含まれないものが算出される。図7は、高周波数成分が除外される前後の各トルク脈動テーブルの一例を示す図である。この図7における破線は、高周波数成分が除外される前の基準トルク脈動テーブルの一例を示しており、図7における実線は、高周波数成分が除外された後のトルク脈動テーブルの一例を示している。このように、高周波数成分が除外された後のトルク脈動テーブルにあってはトルク変動が低減されたものとして得られている。
このようにして算出されたトルク脈動テーブルの情報は、トルク脈動テーブル出力部115から制振トルク算出部に出力される。つまり、制振トルク算出部における制振トルクの算出のためにトルク脈動テーブルが提供されることになる。この制振トルク算出部では、前述したように、トルク脈動テーブルに対して、各エンジン回転数毎の制振制御ゲインを掛け合わせることで制振トルクを算出し、この制振トルクをベースクランキングトルクに加えたトルクをエンジン始動トルクとするようにモータトルク指令値が算出され、このモータトルク指令値がモータ制御に使用されることになる。つまり、次回以降のエンジン始動時にあっては、このモータトルク指令値がモータ制御に使用されることになる。
-実施形態の効果-
以上説明したように、本実施形態にあっては、制振トルクの算出に用いられるトルク脈動テーブルにローパスフィルタをかけることによって、動力伝達系の共振周波数よりも高い所定周波数(カットオフ周波数)CF以上の成分を除外するようにしている。このため、トルク脈動テーブルには高周波数成分が含まれないことになり、モータ制御に使用されるモータトルク指令値にも高周波数成分が含まれないことになる。従って、モータ制御にあっては、高周波数成分を有するモータトルク指令値に制御が追い付くことができないことに起因するモータトルクの位相遅れや周波数のズレを抑制することができ、モータトルク指令値に応じた制御が行われて、モータトルク指令値と実効値との間に差分が生じないか、または、差分を大幅に小さくできる。その結果、トルクの脈動の抑制効果を十分に得ることができる。
図8は、本発明の効果を確認するために行った実験結果を示す図である。この実験では従来技術に係るトルク脈動抑制システムを搭載した車両のエンジン始動時における車体振動と、本発明に係るトルク脈動抑制システム110を搭載した車両HEVのエンジン始動時における車体振動とを比較することにより行った。図8における破線は、従来技術における車体振動の波形を示しており、実線は、本発明における車体振動の波形を示している。この図8から明らかなように、本発明における車体振動の振幅は従来技術における車体振動の振幅よりも小さくなっており、トルクの脈動の抑制効果が十分に得られていることが確認できた。
-他の実施形態-
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
例えば、前記実施形態では、2つのモータジェネレータMG1,MG2を備えたハイブリッド車両HEVに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、種々のタイプのハイブリッド車両やプラグインハイブリッド車両にも適用可能である。また、動力源をエンジン1とした場合について説明したが、その他の動力源を対象としたトルク脈動抑制システムとして適用することも可能である。
また、前記実施形態では、信号フィルタ部113での処理として共振周波数よりも高い所定周波数をカットオフ周波数CFとするローパスフィルタを用いていた。本発明はこれに限らず、共振周波数よりも高い所定周波数をカットオフ周波数とすると共に特定の周波数以下の周波数帯についてもカットするバンドパスフィルタを用いるようにしてもよい。
本発明は、エンジン始動時において動力伝達系に出力されるトルクの脈動を抑制するトルク脈動抑制システムに適用可能である。
1 エンジン(動力源)
1a クランクシャフト
100 ECU
110 トルク脈動抑制システム
113 信号フィルタ部
MG1 第1モータジェネレータ(電動機)

Claims (1)

  1. 動力源から出力されるトルクに起因するトルク脈動に対して、動力伝達系に繋がる電動機から出力されるトルクに制振トルクを含ませることにより、前記トルク脈動を抑制するようにしたトルク脈動抑制システムにおいて、
    前記制振トルクの算出に用いられるトルク脈動テーブルにローパスフィルタまたはバンドパスフィルタをかけることによって、前記動力伝達系の共振周波数よりも高い所定周波数以上の成分を除外する信号フィルタ部を備えていることを特徴とするトルク脈動抑制システム。
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