JP2023045186A - 受信回路 - Google Patents

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Yoshiyuki Sugimoto
啓二 田中
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Abstract

【課題】入力電流が小さい範囲での雑音の劣化を抑制しつつ、差動信号のオフセットの増加を抑制可能な受信回路を提供する。【解決手段】受信回路は、入力電流を受ける入力端子に接続された入力ノードに入力された電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、第1帰還電流に応じて参照電圧を生成する参照電圧回路と、電圧信号と参照電圧との電圧差に応じて差動信号を生成する差動増幅回路と、差動信号のオフセットに応じて第1帰還電流と第2帰還電流とを生成するオフセット制御回路と、を備え、オフセット制御回路は、電圧信号の平均電圧値が参照電圧より大きいとき、差動信号のオフセットが所定の範囲内に入るように第1帰還電流を調整し、電圧信号の平均電圧値が参照電圧より小さいとき、差動信号のオフセットが所定の範囲内に入るように入力電流から第2帰還電流を減算する。【選択図】図1

Description

本開示は、受信回路に関する。
光通信に使用される受信回路は、フォトダイオード等により光信号から変換された電流信号を入力電流として受け、受けた電流信号をトランスインピーダンスアンプにより電圧信号に変換する。また、差動の電圧信号を出力する受信回路は、差動の電圧信号に発生するオフセットを補償する自動オフセット制御回路を有する場合がある。自動オフセット制御回路は、入力電流の一部を引き抜いてオフセットを補償する。例えば、自動オフセット制御回路は、オフセットの大きさが小さくなるように入力電流からの引き抜き量を制御する。
特開2020-5124号公報
例えば、受信可能な範囲の入力電流に対してオフセットを補償するために入力電流がゼロに近いときにも引き抜きを行うと、受信回路の雑音特性が劣化するおそれがある。また、雑音特性の劣化を抑制するために、入力電流値が小さい範囲において入力電流からの引き抜きを停止すると、オフセットを補償できなくなるおそれがある。
そこで、本開示は、入力電流値が小さい範囲での雑音特性の劣化を抑制しつつ、差動信号のオフセットの増加を抑制可能な受信回路を提供することを目的とする。
本開示の受信回路は、入力電流を受ける入力端子と、入力ノードを有し、前記入力ノードに入力された電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、第1帰還電流に応じて参照電圧を生成する参照電圧回路と、前記電圧信号と前記参照電圧との電圧差に応じて差動信号を生成する差動増幅回路と、前記差動信号のオフセットに応じて前記第1帰還電流と第2帰還電流とを生成するオフセット制御回路と、を備え、前記入力ノードは、前記入力端子に電気的に接続され、前記オフセット制御回路は、前記電圧信号の平均電圧値が前記参照電圧より大きいとき、前記差動信号のオフセットが所定の範囲内に入るように前記第1帰還電流を調整し、前記電圧信号の平均電圧値が前記参照電圧より小さいとき、前記差動信号のオフセットが前記所定の範囲内に入るように前記入力電流から前記第2帰還電流を減算する。
本開示によれば、入力電流値が小さい範囲での雑音特性の劣化を抑制しつつ、差動信号のオフセットの増加を抑制可能な受信回路を提供することができる。
図1は、第1の実施形態にかかる受信回路の一例を示すブロック図である。 図2は、図1のトランスインピーダンスアンプ段の一例を示す回路図である。 図3は、図1の自動オフセット制御回路の一例を示す回路図である。 図4は、図3の自動オフセット制御回路のDC伝達特性を示す図である。 図5は、図1の受信回路の動作特性の一例を示す図である。 図6は、図5の出力電圧の拡大図である。 図7は、第2の実施形態にかかる受信回路に搭載される自動オフセット制御回路の一例を示す回路図である。 図8は、他の受信回路の一例を示すブロック図である。 図9は、図8の受信回路の動作特性の一例を示す図である。 図10は、図8の受信回路の動作特性の別の例を示す図である。 図11は、第3の実施形態にかかる受信回路の一例を示すブロック図である。 図12は、図11の自動オフセット制御回路の一例を示す回路図である。 図13は、第4の実施形態にかかる受信回路の一例を示すブロック図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
〔1〕本開示の一態様にかかる受信回路は、入力電流を受ける入力端子と、入力ノードを有し、前記入力ノードに入力された電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、第1帰還電流に応じて参照電圧を生成する参照電圧回路と、前記電圧信号と前記参照電圧との電圧差に応じて差動信号を生成する差動増幅回路と、前記差動信号のオフセットに応じて前記第1帰還電流と第2帰還電流とを生成するオフセット制御回路と、を備え、前記入力ノードは、前記入力端子に電気的に接続され、前記オフセット制御回路は、前記電圧信号の平均電圧値が前記参照電圧より大きいとき、前記差動信号のオフセットが所定の範囲内に入るように前記第1帰還電流を調整し、前記電圧信号の平均電圧値が前記参照電圧より小さいとき、前記差動信号のオフセットが前記所定の範囲内に入るように前記入力電流から前記第2帰還電流を減算する。
この受信回路では、電圧信号の平均電圧値が参照電圧より大きいとき、差動信号のオフセットが所定の範囲内に入るように参照電圧回路に第1帰還電流を流すことで、差動信号のオフセットの増加を抑制することができる。第2帰還電流によらず差動信号のオフセットの増加を抑制できるため、例えば、入力電流値が小さい領域で第2帰還電流をゼロにすることができ、雑音の劣化を抑制することができる。すなわち、入力電流値が小さい範囲での雑音の劣化を抑制しつつ、差動信号のオフセットの増加を抑制することができる。
〔2〕上記〔1〕において、前記トランスインピーダンスアンプは、前記入力ノードに入力された電流信号を中間電圧信号に変換する第1増幅回路と、第1抵抗素子と第1電流源とを備え、前記第1電流源が供給する第1電流が前記第1抵抗素子に流れて生じる電圧降下によって前記中間電圧信号をレベルシフトして前記電圧信号を生成する第1レベルシフト回路と、含んでもよい。第1増幅回路からの中間電圧信号をレベルシフトして差動増幅回路に供給することで、電圧信号の電圧値を、差動増幅回路を適切に動作させるための電圧範囲に設定することができる。この結果、差動増幅回路は、入力電流に応じた適切な差動信号を生成することができる。
〔3〕上記〔2〕において、前記参照電圧回路は、基準電圧を生成する第2増幅回路と、第2抵抗素子と第2電流源とを備え、前記第2電流源が供給する第2電流が前記第2抵抗素子に流れて生じる電圧降下によって前記基準電圧をレベルシフトして前記参照電圧を生成する第2レベルシフト回路と、を含み、前記第1帰還電流は、前記第2電流の流れる向きと同じ向きに前記第2抵抗素子を流れてもよい。オフセット制御回路からの第1帰還電流を第2電流の流れる向きと同じ向きに第2抵抗素子に流すことで、差動増幅回路に与える参照電圧を直接調整して差動信号のオフセットの増加を抑制することができる。
〔4〕上記〔2〕において、前記参照電圧回路は、基準電圧を生成する第2増幅回路と、第2抵抗素子と第2電流源とを備え、前記第2電流源が供給する第2電流が前記第2抵抗素子に流れて生じる電圧降下によって前記基準電圧をレベルシフトして前記参照電圧を生成する第2レベルシフト回路と、を含み、前記オフセット制御回路は、前記第2増幅回路の入力ノードから前記第1帰還電流を引き込んでもよい。オフセット制御回路により第2増幅回路の入力ノードから第1帰還電流を引き込むことで、第2増幅回路の入力電圧の調整により差動増幅回路に与える参照電圧を調整して差動信号のオフセットの増加を抑制することができる。
〔5〕上記〔3〕または〔4〕において、前記第2増幅回路は、前記第1増幅回路と同じ回路要素によって構成されてもよい。これにより、電圧信号の電圧値と参照電圧との間のオフセットの調整を精度よく実施することができる。また、共通の設計データを使用することができるため、受信回路の回路設計を簡易にすることができる。
〔6〕上記〔1〕から〔5〕のいずれかにおいて、前記オフセット制御回路は、前記差動信号のオフセットに応じて制御電圧を生成する差動積分器を含み、前記制御電圧に応じて前記第1帰還電流の大きさと前記第2帰還電流の大きさとの間の大小関係を反転させてもよい。これにより、入力電流に依存して変化する差動信号に応じて差動積分器が生成する制御電圧に基づいて、第1帰還電流および第2帰還電流の生成と切り替えとを制御することができる。
〔7〕上記〔1〕から〔6〕のいずれかにおいて、前記参照電圧の前記第1帰還電流がゼロのときの値は、前記電流信号がゼロのときの前記電圧信号の平均電圧値よりも小さく設定されてもよい。これにより、オフセット制御回路は、入力信号が小さくて電圧信号の平均電圧値が参照電圧よりも大きいときは第1帰還電流を調整し、入力信号が大きくなり電圧信号の平均電圧値が参照電圧よりも小さいときは第2帰還電流を調整して、差動信号のオフセットの増加を抑制する自動オフセット制御を行うことができる。
〔8〕上記〔1〕から〔7〕のいずれかにおいて、前記トランスインピーダンスアンプ、前記参照電圧回路、前記差動増幅回路および前記オフセット制御回路は、1つの半導体集積回路チップに集積されてもよい。これにより、同じ要素を使用して形成される複数の回路間の電気的特性のばらつきを少なくすることができ、オフセット制御回路による差動信号のオフセットの調整の精度を向上することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の受信回路の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、同一の要素または対応する要素には同一の符号を付し、それらについては説明を省略する場合がある。また、端子、信号線およびノードの符号は、信号、電圧または電流を示す符号としても使用される。
〔第1の実施形態〕
〔受信回路の回路構成〕
図1は、第1の実施形態にかかる受信回路の構成の一例を示すブロック図である。例えば、図1に示す受信回路100は、光信号を受信する光受信器等に含まれる。受信回路100は、図示しない受光素子(フォトダイオード等)から入力電流Iinを受ける入力端子Inと、入力電流Iinに応じて生成した電圧信号を差動信号OutN/OutPとして出力する出力端子OutN/OutPとを有する。
受光素子は、受信した光信号に応じて入力電流Iinを生成する。長距離の光ファイバを伝達してきた光信号は微弱となり、入力電流Iinも微弱となる。受信回路100は、入力電流Iinを増幅するとともに電圧信号に変換する。受信回路100は、電圧信号を差動信号OutN/OutPとして出力する。差動信号OutN/OutPは、一対の出力信号OutP、OutNを有する。なお、一対の出力信号の一方OutPは正相信号とも称され、一対の出力信号の他方OutNは逆相信号とも称される。正相信号OutPと逆相信号OutNとは互いに相補信号となっており、正相信号OutPは、逆相信号OutNの位相と180°異なる位相を有する。
例えば、正相信号OutPが増加するとき、逆相信号OutNは減少し、正相信号OutPが減少するとき、逆相信号OutNは増加する。例えば、正相信号OutPがピーク値に達するとき、逆相信号OutNはボトム値に達し、正相信号OutPがボトム値に達するとき、逆相信号OutNはピーク値に達する。例えば、逆相信号OutNは、正相信号OutPの振幅と同じ大きさの振幅を有する。
受信回路100は、オフセットの補償を行わないときには、例えば、入力電流Iinの平均値(DC成分)が増加するとき、出力信号OutPの電圧値(DC成分)を増加させ、出力信号OutNの電圧値(DC成分)を減少させる。受信回路100は、オフセットの補償を行わないときには、入力電流Iinの平均値(DC成分)が減少するとき、出力信号OutPの電圧値(DC成分)を減少させ、出力信号OutNの電圧値(DC成分)を増加させる。
受信回路100は、オフセットの補償を行うことによって、出力信号OutPの電圧値(DC成分)と出力信号OutNの電圧値(DC成分)との間の差を小さくする。オフセットは、出力信号OutPの電圧値(DC成分)と出力信号OutNの電圧値(DC成分)との間の差を表す。すなわち、オフセットの補償は、オフセットをゼロに近づけることを意味する。受信回路100は、入力電流の信号成分(交流成分)を増幅するとともに電圧信号に変換して差動信号OutN/OutPの信号成分(交流成分)として出力する。差動信号OutN/OutPの信号成分の振幅は、正相信号OutPの信号成分と逆相信号OutNの信号成分との差に等しい。例えば、入力電流Iinの信号成分の振幅が大きくなると、差動信号OutN/OutPの信号成分の振幅も大きくなる。出力端子OutN/OutPから出力される差動信号OutN/OutPは、例えば、DSP(Digital Signal Processor)等の信号処理回路に出力されて処理される。
受信回路100は、例えば、トランスインピーダンスアンプ段TIA、レベルシフト回路LS1、ダミートランスインピーダンスアンプ段DTIA、レベルシフト回路LS2、バッファBUFおよび自動オフセット制御回路AOC1を有する。
例えば、受信回路100の各回路は、1つの半導体集積回路チップに集積される。これにより、同じ回路要素を使用して形成される複数の回路間の電気的特性のばらつきを少なくすることができる。例えば、トランスインピーダンスアンプ段TIAおよびダミートランスインピーダンスアンプ段DTIAを互いに類似した回路構成にすることによってそれぞれの電気的特性のばらつきの影響を少なくすることができる。また、レベルシフト回路LS1およびレベルシフト回路LS2を互いに類似した回路構成にすることによってそれぞれの電気的特性のばらつきの影響を少なくすることができる。この結果、自動オフセット制御回路AOC1による差動信号OutP/OutNのオフセットの調整の精度を向上することができる。
なお、トランスインピーダンスアンプ段TIAおよびダミートランスインピーダンスアンプ段DTIAを互いに同じ回路構成にすることで、トランスインピーダンスアンプ段TIAおよびダミートランスインピーダンスアンプ段DTIAの電気的特性が互いに同じになるようにしてもよい。また、レベルシフト回路LS1およびレベルシフト回路LS2を互いに同じ回路構成にすることで、レベルシフト回路LS1およびレベルシフト回路LS2の電気的特性が互いに同じになるようにしてもよい。
トランスインピーダンスアンプ段TIAおよびレベルシフト回路LS1は、トランスインピーダンスアンプの一例である。トランスインピーダンスアンプ段TIAは、第1増幅回路の一例である。ダミートランスインピーダンスアンプ段DTIAおよびレベルシフト回路LS2は、参照電圧回路の一例である。ダミートランスインピーダンスアンプ段DTIAは、基準電圧を生成する第2増幅回路の一例である。バッファBUFは、差動増幅回路の一例である。以下では、トランスインピーダンスアンプ段TIAは、単にTIA段とも称され、ダミートランスインピーダンスアンプ段DTIAは、単にDTIA段とも称される。
TIA段は、インバータアンプINV1および抵抗素子R1を有する。インバータアンプINV1の入力は、TIA段の入力ノードTIAinを介して入力端子Inに電気的に接続される。インバータアンプINV1の出力は、TIA段の出力ノードTIAoutを介してレベルシフト回路LS1に接続される。抵抗素子R1は、入力ノードTIAinと出力ノードTIAoutとの間に接続される。
TIA段は、入力ノードTIAinに入力される入力電流IinをインバータアンプINV1および抵抗素子R1により電圧信号に変換して反転増幅し、反転増幅した電圧信号を出力ノードTIAoutに出力する。インバータアンプINV1は、例えば、反転増幅回路である。例えば、入力電流Iinが大きくなると、出力ノードTIAoutに出力される電圧は小さくなり、入力電流Iinが小さくなると、出力ノードTIAoutに出力される電圧は大きくなる。TIA段の利得は、インピーダンス(抵抗値)として表される。TIA段の利得は、主に抵抗素子R1の抵抗値によって決められる。
レベルシフト回路LS1は、例えば、抵抗素子RLS1、容量素子CLS1および電流源ILS1を有する。抵抗素子RLS1および容量素子CLS1は、TIA段の出力ノードTIAoutと、バッファBUFの一方の入力に接続されたノードVtiaとの間に並列に接続される。電流源ILS1は、電源線VCCとノードVtiaとの間に接続される。電源線VCCは、電源電圧VCCを供給するための電源配線である。
レベルシフト回路LS1は、電流源ILS1が供給する電流が抵抗素子RLS1に流れることで生じる抵抗素子RLS1の電圧降下により、TIA段から出力される電圧信号TIAoutを高電位側にレベルシフトして電圧信号Vtiaを生成する。電圧信号TIAoutは、中間電圧信号の一例である。
容量素子CLS1は、レベルシフト回路LS1に入力された信号の高周波成分を抵抗素子RLS1よりも早く出力に伝達する。例えば、容量素子CLS1によってレベルシフト回路LS1によってレベルシフトされるパルス波の立下りおよび立下りの劣化が抑制される。容量素子CLS1は、いわゆるスピードアップコンデンサである。電流源ILS1は、例えば、pチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタによって構成することができる。なお、供給する電流量を調整するために、電流源ILS1は、pチャネルMOSトランジスタを含むカレントミラー回路によって構成されてもよい。あるいは、電流源ILS1は、pチャネルMOSトランジスタに代えて抵抗素子を使用して構成してもよい。
これにより、レベルシフト回路LS1の出力電圧の平均値を、レベルシフト回路LS1の入力電圧の平均値より大きくすることができる。そして、レベルシフト回路LS1により、バッファBUFに入力される電圧信号Vtiaの電圧値を、バッファBUFを適切に動作させるための電圧範囲に設定することができる。この結果、バッファBUFは、入力電流Iinに応じた適切な差動信号を生成することができる。例えば、入力電流Iinの信号成分に応じて生成された電圧信号Vtiaの信号成分は、電圧信号Vtiaの電圧値(平均値)に重畳されてバッファBUFに入力される。なお、電流源ILS1からの電流はTIA段に流れ込むが、電流源ILS1からTIA段に流れ込む電流分は、TIA段の内部の電流源(図2のITIA)の電流量を増加することで相殺される。
なお、TIA段の内部の電流源の電流量を増加する代わりに、出力ノードTIAoutに接続されるレベルシフト回路LS1の入力ノードとグランド線GNDとの間に電流源を付加し、その電流源に電流源ILS1からの電流を流すようにしてもよい。このときに付加する電流源は、例えば、nチャネルMOSトランジスタによって構成することができる。なお、電流量を調整するために、nチャネルMOSトランジスタを含むカレントミラー回路によって構成されてもよい。あるいは、付加する電流源は、nチャネルMOSトランジスタに代えて抵抗素子を使用して構成してもよい。
DTIA段は、入力端子に入力電流が入力されないことを除き、例えば、TIA段と同じ回路構成を有する。DTIA段をTIA段と同じ回路要素によって構成することで、受信回路100の回路設計を簡易にすることができる。DTIA段は、インバータアンプINV2と、インバータアンプINV2の出力と入力との間に接続された抵抗素子R2とを有する。例えば、インバータアンプINV2の回路構成をインバータアンプINV1の回路構成と同じにし、抵抗素子R2の抵抗値を抵抗素子R1の抵抗値と同じにしてもよい。DTIA段は、所定の参照電圧を生成し、生成した参照電圧をレベルシフト回路LS2に出力する。例えば、DTIA段の参照電圧の電圧値は、後述するように、入力電流IinがゼロのときのTIA段から出力される電圧信号TIAoutの電圧値より小さく設定される(なお、入力電流Iinがゼロのときに引き抜きは行わない)。
レベルシフト回路LS2は、例えば、抵抗素子RLS2、容量素子CLS2および電流源ILS2を有する。抵抗素子RLS2は、DTIA段の出力と、バッファBUFの他方の入力に接続された参照電圧線Vrefとの間に接続される。容量素子CLS2は、参照電圧線Vrefとグランド線GNDとの間に接続される。電流源ILS2は、電源線VCCと参照電圧線Vrefとの間に接続される。
レベルシフト回路LS2は、電流源ILS2が供給する電流が抵抗素子RLS2に流れることで生じる抵抗素子RLS2の電圧降下により、DTIA段から出力される基準電圧を高電位側にレベルシフトして参照電圧線Vrefに参照電圧Vrefを生成する。レベルシフト回路LS1と同様に、レベルシフト回路LS2により、レベルシフト回路LS2の出力電圧の平均値を、レベルシフト回路LS2の入力電圧の平均値より大きくすることができる。
容量素子CLS2は、参照電圧線Vrefに生じたノイズをグランド線GNDに流し、参照電圧線Vrefの電圧(参照電圧Vref)を安定化する。容量素子CLS1は、いわゆるバイパスコンデンサである。電流源ILS2は、例えば、pチャネルMOSトランジスタによって構成することができる。なお、供給する電流量を調整するために、電流源ILS2は、pチャネルMOSトランジスタを含むカレントミラー回路によって構成されてもよい。あるいは、電流源ILS2は、pチャネルMOSトランジスタに代えて抵抗素子を使用して構成してもよい。
なお、例えば、電流源ILS1をpチャネルMOSトランジスタによって構成する場合、電流源ILS2もpチャネルMOSトランジスタによって構成してもよい。その場合、電流源ILS2を構成するpチャネルMOSトランジスタは、電流源ILS1を構成するpチャネルMOSトランジスタと同じ電気的特性を有することが好ましい。ところで、電流源ILS2からの電流はDTIA段に流れ込むが、電流源ILS2からDTIA段に流れ込む電流分は、DTIA段の内部の電流源の電流量を増加することで相殺される。なお、DTIA段の内部の電流源の電流量を増加する代わりに、DTIA段の出力ノードに接続されるレベルシフト回路LS2の入力ノードとグランド線GNDとの間に電流源を付加し、その電流源に電流源ILS2からの電流を流すようにしてもよい。
後述するように、参照電圧Vrefは、自動オフセット制御回路AOC1が動作していない状態(帰還電流Iaoc1=0)において入力電流Iinがゼロのときの電圧値Vtiaの平均値(DC成分)より小さい値に設定される。入力電流Iinが大きくなると、電圧信号Vtiaの電圧値(平均値)は減少し、さらに入力電流Iinが大きくなり続けると、やがて参照電圧Vrefよりも小さくなる。電圧信号Vtiaの電圧値(平均値)が参照電圧Vrefよりも小さいとき、入力端子Inに入力される入力電流Iinから帰還電流Iaoc1を引き抜くことで入力ノードTIAinに入力される電流信号を減少させて電圧信号Vtiaの電圧を上昇させ、参照電圧Vrefに近づけることができる。この結果、オフセット制御回路AOC1は、差動信号OutP/OutNのオフセットの増加を抑制する自動オフセット制御を行うことができる。
バッファBUFは、差動入力と差動出力とを有する。バッファBUFは、差動入力で受ける電圧信号Vtiaの電圧と参照電圧Vrefとの差Vtia-Vrefを差動増幅し、差動信号OutN/OutPとして出力端子OutN/OutPに出力する。このように、参照電圧Vrefを生成することで、単相の入力電流Iinから生成される単相の電圧信号Vtiaを、差動信号OutN/OutPに変換することができる。なお、バッファBUFは、1つの増幅器で構成されてもよく、縦続接続された複数の増幅器で構成されてもよい。
バッファBUFは反転増幅を行う。例えば、バッファBUFの非反転入力端子に電圧信号Vtiaが入力されるとともにバッファBUFの反転入力端子に参照電圧Vrefが入力され、バッファBUFの非反転出力端子が出力端子OutNに接続されるとともにバッファBUFの反転出力端子が出力端子OutPに接続される。これにより、電圧信号Vtiaが増加すると、正相信号OutPは減少し、電圧信号Vtiaが減少すると、正相信号OutPは増加する。
自動オフセット制御回路AOC1は、出力端子OutP/OutNにそれぞれ接続された入力端子InP、InNと、入力端子Inに接続された帰還電流端子Iaoc1と、参照電圧線Vrefに接続された帰還電流端子Iaoc2とを有する。自動オフセット制御回路AOC1は、入力端子InP、InNで受ける差動信号OutP/OutNの電圧差OutP-OutNに応じて、入力端子Inに入力される入力電流Iinから帰還電流Iaoc1を減算し、または、参照電圧線Vrefに帰還電流Iaoc2を出力する。すなわち、自動オフセット制御回路AOC1は、出力信号OutPの平均電圧値と出力信号OutNの平均電圧値との大小関係に応じて、入力端子Inに入力される入力電流Iinから帰還電流Iaoc1を減算し、または、参照電圧線Vrefに帰還電流Iaoc2を出力する。
自動オフセット制御回路AOC1は、入力電流値Iinが所定値より小さいか大きいかに応じて、帰還電流Iaoc1、Iaoc2の変化の特性を切り替える制御を行う。例えば、自動オフセット制御回路AOC1は、入力電流値Iinが所定値より小さいとき、帰還電流Iaoc1を流さず、電流源ILS2が供給する電流に加算する帰還電流Iaoc2を流す制御を行う。ここで、電流の加算は、電流源ILS2が供給する電流の向きと同じ向きの帰還電流Iaoc2を抵抗素子RLS2に流すことで行われる。また、自動オフセット制御回路AOC1は、入力電流Iinが所定値以上のとき、入力電流Iinに応じて帰還電流Iaoc1、Iaoc2を流す制御を行う。帰還電流Iaoc2は、第1帰還電流の一例であり、帰還電流Iaoc1は、第2帰還電流の一例である。
差動信号OutP/OutNは、入力電流Iinに依存して変化する。例えば、帰還電流端子Iaoc1を流さない場合、入力電流Iinが増加すると、電圧信号Vtiaは減少して差動信号OutP/OutNは増加する。また、入力電流Iinが減少すると、電圧信号Vtiaは増加して差動信号OutP/OutNは減少する。したがって、差動信号OutP/OutNは、入力電流Iinの非反転増幅された信号として生成される。
このため、自動オフセット制御回路AOC1は、差動信号OutP/OutNの電圧をモニタすることで、上述の自動オフセット制御を行うことができる。すなわち、自動オフセット制御回路AOC1は、差動信号OutP/OutNのDC(Direct Current)オフセットが許容範囲内に収まるように、帰還電流Iaoc1(0mA以上)および帰還電流Iaoc2(0mA以上)を制御することができる。この結果、入力電流Iinの大きさによらずバッファBUFを適切な動作点で動作させることができ、DCオフセットが抑制された良好な増幅特性を得ることができる。自動オフセット制御回路AOC1の回路構成の例は、図3に示され、自動オフセット制御回路AOC1の動作の例は、図4に示される。
なお、入力電流Iinが所定値より大きいときに、入力電流Iinの増加に対して帰還電流Iaoc1だけでなく帰還電流Iaoc2を流すことで、TIA段の初段のカスコードトランジスタ(図2のQ2)のベース・コレクタ間電圧Vcbを上昇させることができる。より詳細には、帰還電流Iaoc2を流すことで、入力電流Iinの増加に対して参照電圧Vrefは少ずつ大きくなり、参照電圧Vrefに電圧信号Vtiaの平均値(DC成分)を近づけるため、電圧信号Vtiaの電圧値(平均値)は、帰還電流Iaoc2を流さない場合と比べて大きくなる。これにより、入力電流値Iinが大きいときのトランスインピーダンスアンプ(TIA段+LS1)の動作マージンを大きくすることができる。
帰還電流Iaoc1、Iaoc2の変化の特性を切り替える入力電流Iinの電流値は、帰還電流Iaoc2=0mAのときの参照電圧Vrefを調整することで設定可能である。例えば、帰還電流Iaoc2=0mAのときの参照電圧Vrefは、入力電流Iin=0mAのときの電圧信号Vtiaの電圧値(平均値)よりも小さく設定される。参照電圧Vrefの調整は、レベルシフト回路LS2の電流源ILS2の電流値の調整により行われる。例えば、帰還電流Iaoc1、Iaoc2の変化の特性を切り替える入力電流Iinの電流値をIswitchとする。
このとき、参照電圧Vrefが、「Iin=Iswitchのときの電圧信号Vtiaの電圧値(平均値)」と等しくなるように電流源ILS2に流す電流が設定される。例えば、トランスインピーダンスアンプ(TIA段+LS1)および参照電圧回路(DTIA段+LS2)の電気的特性が同じで、抵抗素子RLS1、RLS2の抵抗値が等しいとする。この場合、電流源ILS1の電流値が電流源ILS2の電流値より大きくなるように設定される。
〔トランスインピーダンスアンプ段の回路構成〕
図2は、図1のトランスインピーダンスアンプ段TIAの一例を示す回路図である。なお、図1のDTIA段の回路構成は、入力端子に入力電流が入力されない(入力端子がオープン状態である)ことを除き、図2と同様である。TIA段は、電源線VCCとグランド線GNDとの間に直列に接続された負荷抵抗RLとカスコード接続されたトランジスタQ2、Q1とを有する。また、TIA段は、電源線VCCとグランド線GNDとの間に直列に接続されたトランジスタQ3および電流源ITIAを有する。さらに、TIA段は、入力端子TIAinと出力端子TIAoutとの間に接続された帰還抵抗素子RFを有する。帰還抵抗素子RFは、図1の抵抗素子R1に対応している。
トランジスタQ2は、ベースでバイアス電圧Vcasを受け、カスコードトランジスタとして動作する。トランジスタQ1は、ベースが入力端子TIAinに接続され、入力電流Iinを受ける。トランジスタQ1は、エミッタがグランド線GNDに接地され、コレクタがトランジスタQ2のエミッタに接続され、増幅トランジスタとして動作する。トランジスタQ1のコレクタ電圧は、トランジスタQ1が増幅動作をしてもバイアス電圧Vcasに応じた一定値に保たれるため、トランジスタQ1のベース・コレクタ間容量のミラー効果が抑制される。トランジスタQ1のコレクタ電流は、トランジスタQ2を介して抵抗素子RLに流れて電圧降下を生じさせる。トランジスタQ2のコレクタ電圧は、電源電圧Vccを基準電位として抵抗素子RLの電圧降下に応じた電圧となる。
トランジスタQ3は、ベースがトランジスタQ2のコレクタに接続され、エミッタが出力端子TIAoutに接続され、エミッタフォロワとして動作する。そして、TIA段は、入力端子TIAinで受ける入力電流Iinに対応する電圧を反転増幅した電圧を出力端子TIAoutから出力する反転増幅器として動作する。電流源ITIAは、例えば、nチャネルMOSトランジスタによって構成することができる。なお、電流量を調整するために、nチャネルMOSトランジスタを含むカレントミラー回路によって構成されてもよい。あるいは、電流源ITIAは、nチャネルMOSトランジスタに代えて抵抗素子を使用して構成してもよい。
なお、トランジスタQ2のコレクタは、エミッタフォロワのトランジスタQ3のベースに接続されているため、トランジスタQ2のコレクタ電圧は、出力電圧TIAoutと同じ極性になる。このため、出力電圧TIAoutが下がると、トランジスタQ2のコレクタ電圧も下がり、トランジスタQ2のベース・コレクタ間電圧値Vcbは小さくなる。出力電圧TIAoutが上がると、トランジスタQ2のコレクタ電圧も上がり、トランジスタQ2のベース・コレクタ間電圧値Vcbは大きくなる。ベース・コレクタ間電圧値Vcbが小さくなると、トランジスタQ2の動作マージンが小さくなるため、所定の値以上に保つことが好ましい。
〔自動オフセット制御回路の回路構成〕
図3は、図1の自動オフセット制御回路AOC1の一例を示す回路図である。自動オフセット制御回路AOC1は、差動積分器DI、pチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタPM1、PM2、PM3、PM4、PM5およびnチャネルMOSトランジスタNM1、NM2、NM3、NM4を有する。また、自動オフセット制御回路AOC1は、ダイオードD1、D2および電流源I1、I2を有する。以下では、pチャネルMOSトランジスタPM1-PM5およびnチャネルMOSトランジスタNM1-NM4は、それぞれ、トランジスタPM1-PM5およびトランジスタNM1-NM4と称される。
差動積分器DIは、抵抗素子R31、R32、容量素子C31、C32およびオペアンプOPAを有する。オペアンプOPAの一方の入力(非反転入力端子)は、抵抗素子R31を介して入力端子InPに接続され、オペアンプOPAの他方の入力(反転入力端子)は、抵抗素子R32を介して入力端子InNに接続される。容量素子C31は、オペアンプOPAの一方の入力とオペアンプOPAの他方の出力(反転出力端子)との間に接続される。オペアンプOPAの他方の出力は、制御端子Vaoc1に接続される。容量素子C32は、オペアンプOPAの他方の入力とオペアンプOPAの一方の出力(非反転出力端子)との間に接続される。オペアンプOPAの一方の出力は、制御端子Vaoc2に接続される。
差動積分器DIは、差動信号OutP/OutNの電圧値である入力電圧VInP/VInNに応じて制御電圧Vaoc1、Vaoc2を生成する。そして、自動オフセット制御回路AOC1は、図4に示すように、入力電圧VInP/VInNに応じて帰還電流Iaoc2の大きさと帰還電流Iaoc1の大きさとの間の大小関係を反転させる。
抵抗素子R31および容量素子C31と、抵抗素子R32および容量素子C32とは、それぞれRCフィルタ(ローパスフィルタ)として機能する。そして、差動積分器DIは、入力電圧InP、InNを平滑化する。オペアンプOPAは、抵抗素子R31、R32を介してそれぞれ受ける入力電圧InP、InNを平滑した電圧信号を差動増幅し、制御電圧Vaoc1、Vaoc2として出力する差動積分器として動作する。
例えば、入力電圧InPの平均値が入力電圧InNの平均値より大きい場合、制御電圧値Vaoc1は、制御電圧値Vaoc2より小さくなる。入力電圧InPの平均値が入力電圧InNの平均値より小さい場合、制御電圧値Vaoc1は、制御電圧値Vaoc2より大きくなる。
すなわち、入力電圧InPの平均値と入力電圧InNの平均値との差電圧VInP―VinNが正のとき、オペアンプOPAの非反転増幅動作によって生成される制御電圧値Vaoc2はオペアンプOPAの反転増幅動作によって生成される制御電圧値Vaoc1よりも大きくなる。また、差電圧VInP―VinNが負のとき、オペアンプOPAの非反転増幅動作によって生成される制御電圧値Vaoc2はオペアンプOPAの反転増幅動作によって生成される制御電圧値Vaoc1よりも小さくなる。
制御端子Vaoc1は、ダイオードD1を介してトランジスタNM4のゲートおよび電流源I1に接続される。このため、トランジスタNM4のゲートには、制御電圧Vaoc1からダイオードD1で発生する電圧降下分を引いた電圧が印加される。
制御端子Vaoc2は、ダイオードD2を介してトランジスタNM1のゲートおよび電流源I2に接続される。このため、トランジスタNM1のゲートには、制御電圧Vaoc2からダイオードD2で発生する電圧降下分を引いた電圧が印加される。
トランジスタPM1、NM1は、電源線VCCとグランド線GNDとの間に直列に接続される。トランジスタPM2、NM2は、電源線VCCとグランド線GNDとの間に直列に接続される。トランジスタPM3は、電源線VCCと帰還電流端子Iaoc2との間に接続され、ゲートがトランジスタNM1のドレインに接続される。トランジスタPM4、NM4は、電源線VCCとグランド線GNDとの間に直列に接続される。
より詳細には、トランジスタNM1のソースは、グランド線GNDに接続され、トランジスタNM1のドレインは、トランジスタPM1のドレインに接続され、トランジスタPM1のソースは電源線VCCに接続される。トランジスタPM2、NM2およびトランジスタPM4、NM4は、トランジスタPM1、NM1と同様に接続されるので説明を省略する。
トランジスタPM1、PM2、PM3は、ソースが電源線VCCに共通に接続され、ゲートがトランジスタNM1のドレインに共通に接続され、カレントミラー回路として動作する。トランジスタPM3のドレインは、帰還電流端子Iaoc2に接続される。
トランジスタNM2、NM3は、ソースがグランド線GNDに共通に接続され、ゲートがトランジスタPM2のドレインに共通に接続され、カレントミラー回路として動作する。トランジスタNM3のドレインは、帰還電流端子Iaoc1に接続される。トランジスタPM4、PM5は、ソースが電源線VCCに共通に接続され、ゲートがトランジスタNM4のドレインに共通に接続され、カレントミラー回路として動作する。トランジスタPM5のドレインは、帰還電流端子Iaoc2に接続される。
トランジスタNM1は、制御電圧Vaoc2が所定値以上の場合にオンし、制御電圧Vaoc2が所定値未満の場合にオフする。差動積分器DIの入力に関しては、入力電圧InPの平均値と入力電圧InNの平均値との差電圧VInP―VinNが所定の値を超えると、トランジスタNM1は、オンし、差電圧VInP―VinNが所定の値より小さい場合にトランジスタNM1は、オフする。
トランジスタNM1がオンしている間、トランジスタPM1、PM2、PM3によるカレントミラー回路(第1カンレトミラー回路)に電流が流れ、トランジスタNM2、NM3によるカレントミラー回路(第2カレントミラー回路)に電流が流れる。これにより、帰還電流端子Iaoc2から帰還電流Iaoc2が出力され、帰還電流端子Iaoc1を介して入力端子In(図1)から帰還電流Iaoc1が引き込まれる。
トランジスタNM4は、制御電圧Vaoc1が所定値以上の場合にオンし、制御電圧Vaoc1が所定値未満の場合にオフする。差動積分器DIの入力に関しては、入力電圧InPの平均値と入力電圧InNの平均値との差電圧VInP―VinNが所定の値より小さい場合、トランジスタNM4は、オンし、差電圧VInP―VinN所定の値を超えるとトランジスタNM4は、オフする。トランジスタNM4がオンしている間、トランジスタPM4、PM5によるカレントミラー回路(第3カレントミラー回路)から帰還電流端子Iaoc2を介して参照電圧線Vref(図1)に帰還電流Iaoc1が出力される。
そして、自動オフセット制御回路AOC1は、電流源I1、I2の電流量の調整により、入力電圧InPの平均値が入力電圧InNの平均値より大きいとき、トランジスタNM1がオンし、トランジスタNM4がオフするように構成される。この場合、帰還電流端子Iaoc1、Iaoc2の両方に電流が流れる。また、自動オフセット制御回路AOC1は、電流源I1、I2の電流量が調整されることにより、入力電圧InPの平均値が入力電圧InNの平均値より小さいとき、トランジスタNM1がオフし、トランジスタNM4がオンするように構成される。この場合、帰還電流端子Iaoc2のみに電流が流れる。
なお、入力端子InPは、図1の受信回路100の出力端子OutPに接続される。入力端子InNは、受信回路100の出力端子OutNに接続される。このため、入力電流値Iinが所定値より小さく、出力電圧値OutPの平均値(DC成分)が出力電圧値OutNの平均値(DC成分)より小さいとき、帰還電流端子Iaoc2のみに電流が流れる。入力電流Iinが所定値より大きく、出力電圧値OutPの平均値(DC成分)が出力電圧値OutNの平均値(DC成分)より大きいとき、帰還電流端子Iaoc1、Iaoc2の両方に電流が流れる。
このように、自動オフセット制御回路AOC1は、差動積分器DIの差動出力(Vaoc1-Vaoc2)の極性によって、帰還電流Iaoc1、Iaoc2を発生させるために動作する回路の経路を切り替える。差動積分器DIは、入力電流Iinに応じて変化する差動信号OutP/OutNを入力端子InP/InNで受けて動作する。すなわち、差動積分器DIは、入力電流Iinに応じて制御電圧Vaoc1/Vaoc2を生成する。
このため、自動オフセット制御回路AOC1は、入力電流Iinに応じて差動積分器DIが生成する制御電圧Vaoc1/Vaoc2に応じて、帰還電流Iaoc1、Iaoc2の生成と切り替えとを制御することができる。換言すれば、自動オフセット制御回路AOC1は、制御電圧Vaoc1/Vaoc2に応じて、帰還電流Iaoc1の電流の大きさと帰還電流Iaoc2の大きさとの間の大小関係を反転させることができる。
図4は、図3の自動オフセット制御回路AOC1のDC伝達特性を示す図である。図4は、シミュレーション結果を示しており、横軸が差動入力電圧VInP-VInNを示し、縦軸が帰還電流Iaoc1、Iaoc2を示す。符号VInP、VInNは、それぞれ自動オフセット制御回路AOC1の入力端子InP、InNの電圧を示す。なお、帰還電流Iaoc1、Iaoc2は、図1に示す矢印の向きを正としている。
自動オフセット制御回路AOC1は、差動入力電圧VInP-VInNの値に応じて差動積分器DIが生成する制御電圧Vaoc1、Vaoc2に基づいて、帰還電流Iaoc2の大きさと帰還電流Iaoc1の大きさとの間の大小関係を反転させる。例えば、差動入力電圧VInP-VInNが負のとき、すなわち、出力電圧値OutPの平均値(DC成分)が出力電圧値OutNの平均値(DC成分)より小さいとき、帰還電流Iaoc1は流れず(0mA)、帰還電流Iaoc2のみが流れる。差動入力電圧VInP-VInNが正のとき、すなわち、出力電圧値OutPの平均値(DC成分)が出力電圧値OutNの平均値(DC成分)より大きいとき、帰還電流Iaoc1、Iaoc2の両方が流れる(Iaoc1>Iaoc2)。
なお、差動入力電圧VInP-VInNが0mVの近傍で帰還電流Iaoc1、Iaoc2がともにゼロとなる領域が存在する。この領域は、制御電圧Vaoc2が所定値未満であるとともに制御電圧Vaoc1が所定値未満であることによって生じる。このような帰還電流Iaoc1、Iaoc2がともに確実にゼロとなる領域を設けることによって、帰還電流Iaoc1、Iaoc2の生成と切り替えを安定して行うことができる。
このように、自動オフセット制御回路AOC1は、入力電流Iinに依存して変化する差動信号OutP/OutNに応じて帰還電流Iaoc1、Iaoc2の生成と切り替えとを制御することができる。この結果、図5に示す動作特性を有する受信回路100を構成することができ、入力電流値Iinが小さい領域での雑音を抑制しつつ、差動信号OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。
また、入力電流Iinの増加により帰還電流Iaoc1を流し始めた後にも帰還電流Iaoc2を流し続けることで、トランスインピーダンスアンプ(TIA段+LS1)の動作マージンを大きくすることができる。
〔受信回路の動作特性〕
図5は、図1の受信回路100の動作特性(DC動作特性)の一例を示す図である。図6は、図5の出力電圧OutP、OutNの拡大図である。図5および図6は、シミュレーション結果を示している。図5および図6の横軸は、入力電流Iinを示す。図5の縦軸は、それぞれ出力電圧OutP、OutN、参照電圧Vref、電圧Vtia、ベース・コレクタ間電圧Vcb、帰還電流Iaoc1、Iaoc2を示す。図6の縦軸は、出力電圧OutP、OutNを示す。なお、いずれの値もそれぞれの電圧または電流の平均値(DC成分)を表している。
図6では、入力電流値Iinが0.06mAより小さいとき、出力電圧値OutPが出力電圧値OutNより小さくなり、入力電流値Iinが0.06mAより大きいとき、出力電圧値OutPが出力電圧値OutNより大きくなることが分かる。すなわち、自動オフセット制御回路AOC1は、入力電流値Iin=0.06mAを閾値として帰還電流Iaoc1、Iaoc2の制御を切り替えている。
なお、この入力電流Iinの閾値は、入力電流Iinがゼロのときに、参照電圧Vrefの電圧値を電圧信号Vtiaの電圧値よりもわずかに小さくしておくことによって設定することができる。すなわち、入力電流Iinがゼロからある程度大きくなるまでの間は、電圧信号Vtiaの電圧値が参照電圧Vrefの電圧値よりも大きくなり、バッファBUFの反転増幅動作によって出力電圧値OutPは出力電圧値OutNより小さくなる。また、入力電流Iinがある程度を超えて大きくなると、電圧信号Vtiaの電圧値は参照電圧Vrefの電圧値よりも小さくなり、バッファBUFの反転増幅動作によって出力電圧値OutPは出力電圧値OutNより大きくなる。
図3に示す自動オフセット制御回路AOC1は、入力電流値Iinが小さい領域において、帰還電流Iaoc1を0mAに設定し、帰還電流Iaoc1を流す代わりに参照電圧線Vrefに帰還電流Iaoc2を流す。例えば、図5では、入力電流Iinがほぼ0.06mA以下の領域において、帰還電流Iaoc1は0mAとなっている。これにより、図5に示すように、入力電流Iinによらず電圧Vtia、VrefのDCオフセットを小さくすることができ、出力電圧OutP、OutNのDCオフセットを受信回路100の許容値以下に抑えることができる。
例えば、図6に示すように、出力電圧OutP、OutNのDCオフセットは、入力電流値Iinが0.1mAより小さい領域で9μV以下に抑えられ、入力電流Iinが1.0mAまでの範囲で、21μV以下に抑えられる。
さらに、入力電流値Iinが小さい領域で帰還電流Iaoc1を0mAにすることで、入力電流値Iinが小さい領域での雑音を小さくすることができる。例えば、図5に記載しているように、入力電流Iinが0mAのときの雑音は、9.4pA/rtHzである。したがって、図1に示す受信回路100は、入力電流値Iinが小さい領域での雑音特性の劣化を抑制しつつ、出力電圧OutP、OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。
また、帰還電流Iaoc2は、自動オフセット制御回路AOC1の制御の切り替わり時に0mAまで減少した後、入力電流Iinの増加に応じて、帰還電流Iaoc1とともに増加する。これにより、入力電流値Iinの大きい領域で図2のトランジスタQ2のベース・コレクタ間電圧Vcbを上昇させることができ、トランスインピーダンスアンプ(TIA段+LS1)の動作マージンを大きくすることができる。
より詳細には、帰還電流Iaoc2をレベルシフト回路LS2に流し込むことで参照電圧Vrefの電圧値を大きくし、自動オフセット制御回路AOC1の作用により電圧信号Vtiaの電圧値(平均値)を参照電圧Vrefに近づけるため、電圧信号TIAoutの電圧値(平均値)は上昇してベース・コレクタ間電圧Vcbが上昇する。なお、電圧信号TIAoutの平均値(DC成分)を上昇させるために帰還電流Iaoc1は、帰還電流Iaoc2を流さない場合に比べて少し増加する。
以上、この実施形態では、自動オフセット制御回路AOC1は、入力電流Iin値が小さい領域において、帰還電流Iaoc1を0mAに設定し、帰還電流Iaoc1を流す代わりに参照電圧線Vrefに帰還電流Iaoc2を流す。これより、入力電流値Iinが小さい領域での雑音を抑制しつつ、電圧Vtiaと参照電圧Vrefとの間のDCオフセットおよび差動の出力電圧OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。このとき、帰還電流Iaoc2を抵抗素子RLS2に流すことによって参照電圧Vrefの電圧値を大きくして電圧Vtiaの電圧値に近づけることでDCオフセットの増加が抑制される。
インバータアンプINV1から出力される電圧信号TIAoutをレベルシフト回路LS1によりレベルシフトしてバッファBUFに供給することで、電圧信号TIAoutの電圧値を、バッファBUFを適切に動作させるための電圧範囲に設定することができる。この結果、バッファBUFは、入力電流Iinに応じた適切な差動信号OutP、OutNを生成することができる。
自動オフセット制御回路AOC1からの帰還電流Iaoc2を電流源ILS2からの電流に加算して抵抗素子RLS2に流すことで、参照電圧Vrefを直接調整して差動信号OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。
ダミートランスインピーダンスアンプ段をトランスインピーダンスアンプ段TIAと同じ回路要素によって構成することで、受信回路100の回路設計を簡易にすることができる。
図4に示したように、自動オフセット制御回路AOC1は、制御電圧Vaoc1、Vaoc2に応じて帰還電流Iaoc2の大きさと帰還電流Iaoc1の大きさとの間の大小関係を反転させる。これにより、図5に示す動作特性を有する受信回路100を構成することができる。すなわち、入力電流値Iinが小さい領域での雑音を抑制しつつ、差動信号OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。
入力電流Iinが所定の閾値を超えたときに、参照電圧Vrefが電圧信号Vtiaの電圧値(平均値)より大きくなっていることで、帰還電流Iaoc1の引き抜きに応じて電圧Vtiaを参照電圧Vrefに近づけることができる。この結果、自動オフセット制御回路AOC1は、差動信号OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制する自動オフセット制御を行うことができる。
受信回路100の各回路を1つの半導体集積回路チップに集積することで、TIA段とDTIA段との電気的特性のばらつきを少なくすることができ、あるいは、レベルシフト回路LS1、LS2の電気的特性のばらつきを少なくすることができる。例えば、それぞれ同じ回路要素によって構成することにより、ダミートランスインピーダンスアンプ段の電気的特性の電源電圧依存性(または温度依存性)をトランスインピーダンスアンプ段TIAの電気的特性の電源電圧依存性(または温度依存性)に一致させることができ、電源電圧の変動(または温度の変動)に対して受信回路100をより安定して動作させることができる。この結果、自動オフセット制御回路AOC1による差動信号OutP/OutNのDCオフセットの調整の精度を向上することができる。
〔第2の実施形態〕
〔受信回路に搭載される自動オフセット制御回路の回路構成〕
図7は、第2の実施形態にかかる受信回路に搭載される自動オフセット制御回路AOC2の一例を示す回路図である。図7の自動オフセット制御回路AOC2が搭載される受信回路は、自動オフセット制御回路AOC2の構成を除き、図1に示した受信回路100と同様である。すなわち、この実施形態の受信回路は、光受信器等に含まれ、フォトダイオードから受信する入力電流Iinを増幅するとともに電圧信号に変換して差動信号OutP/OutNを出力する。
図7の自動オフセット制御回路AOC2は、図3の自動オフセット制御回路AOC1からトランジスタPM3を削除して構成される。トランジスタPM3がないため、自動オフセット制御回路AOC2は、入力電圧InPの平均値が入力電圧InNの平均値より大きく、制御電圧値Vaoc1が制御電圧値Vaoc2より小さいとき、帰還電流Iaoc2を流さず、帰還電流Iaoc1のみを流す。自動オフセット制御回路AOC2のその他の動作は、図3の自動オフセット制御回路AOC1の動作と同様である。
すなわち、この実施形態の自動オフセット制御回路AOC2は、入力電流値Iinが所定値より小さいとき帰還電流Iaoc2のみを流し、入力電流Iinが所定値より大きいとき帰還電流Iaoc1のみを流すように回路動作を切り替える。
例えば、入力電流値Iinが大きい側でのトランスインピーダンスアンプ(TIA段+LS1)の動作マージンが十分ある場合、図3の自動オフセット制御回路AOC1からトランジスタPM3を削除して自動オフセット制御回路AOC2を構成可能である。例えば、入力電流値Iinが大きくなると、TIA段から出力される電圧信号TIAoutの電圧値(平均値)は小さくなるが、TIA段がそのような電圧信号TIAoutの電圧値(平均値)の低下に対して所定の増幅動作を行える場合には、入力電流Iinが所定値より大きいとき帰還電流Iaoc1のみを流してもよい。この場合、自動オフセット制御回路AOC2を含む受信回路の回路規模を削減することができる。
以上、この実施形態においても上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、入力電流値Iinが小さい領域での雑音を抑制しつつ、電圧Vtia、VrefのDCオフセットおよび差動信号OutP、OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。
さらに、この実施形態では、入力電流値Iinが大きい側でのトランスインピーダンスアンプ(TIA段+LS1)の動作マージンが十分ある場合、自動オフセット制御回路AOC2を、図3の自動オフセット制御回路AOC1に比べて簡易にすることができる。この結果、自動オフセット制御回路AOC2を含む受信回路の回路規模を削減することができる。
〔他の受信回路の回路構成〕
図8は、他の受信回路の一例を示すブロック図である。図1の受信回路100と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図8の受信回路110は、図1の受信回路100の自動オフセット制御回路AOC1の代わりに自動オフセット制御回路AOC3を有する。
受信回路110のその他の構成は、自動オフセット制御回路AOC3が帰還電流Iaoc2を参照電圧線Vrefに出力する機能を持たないことを除き、図1の受信回路100と同様である。自動オフセット制御回路AOC3は、図1の自動オフセット制御回路AOC1と同様に、差動信号OutP/OutNの電圧差に応じて、入力端子Inから帰還電流Iaoc1を引き抜く機能を有する。
図9は、図8の受信回路110の動作特性(DC動作特性)の一例を示す図である。図9は、シミュレーション結果を示している。図9の横軸は、入力電流Iinを示す。図9の縦軸は、それぞれ差動信号OutP、OutNの電圧、参照電圧Vref、電圧Vtia、ベース・コレクタ間電圧Vcb、帰還電流Iaoc1を示す。なお、いずれの値もそれぞれの電圧または電流の平均値(DC成分)を表している。また、受信回路110は、帰還電流Iaoc2を流さないため、帰還電流Iaoc2(0mA)は参考のために示している。
図9に示すように、自動オフセット制御回路AOC3の動作により、帰還電流Iaoc1は、入力電流Iinの増加に伴って増加する。このため、差動信号OutP/OutNのDCオフセットは、図5に示した受信回路100の動作と同様に、入力電流Iinによらず小さく抑えられる。これによって、バッファ回路BUF内の各段の増幅器は適切な動作点となり、良好な増幅特性を得ることが可能である。しかし、自動オフセット制御回路AOC3による自動オフセット制御を行うためには、Iin=0mAのときにも帰還電流Iaoc1を流す必要があり、これにより雑音特性が劣化する問題がある。
図9に示す例では、入力電流Iin=0mAのときに流れる帰還電流Iaoc1は、15.3μAであり、このときの雑音は、図5で説明した雑音(9.4pA/rtHz)より大きい14.1pA/rtHzである。
図10は、図8の受信回路110の動作特性の別の例を示す図である。図10に示す例では、入力電流値Iinが小さい領域で帰還電流Iaoc1を流さないようにして雑音を低減するために、入力電流Iinが0mAのときの参照電圧Vrefが電圧Vtiaより低くなるように受信回路110の回路特性が設定される。
この場合、入力電流Iin値が小さい領域において、帰還電流Iaoc1は0mAとなっているが、差動信号OutP/OutNに大きなDCオフセットが発生しており、良好な増幅特性が期待できない。自動オフセット制御回路AOC3の動作が開始されて帰還電流Iaoc1が流れ始めるまで、参照電圧Vrefは電圧Vtiaより低くなる。参照電圧Vrefは一定値となっているため、帰還電流Iaoc1が流れ始めてからも電圧Vtiaの平均値(DC成分)は、参照電圧Vrefより小さい値で徐々に低下していき、トランスインピーダンスアンプ段TIAの初段のカスコードトランジスタ(図2)のベース・コレクタ間電圧値Vcbが小さくなる。このため、図5および図9に比べて、入力電流Iinが大きい領域での動作マージンが減少する。
〔第3の実施形態〕
〔受信回路の回路構成〕
図11は、第3の実施形態にかかる受信回路の一例を示すブロック図である。図1の受信回路100と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図11の受信回路102は、自動オフセット制御回路AOC1の代わりに自動オフセット制御回路AOC4を有することを除き、図1の受信回路100と同様の構成を有する。例えば、受信回路102は、各回路要素を1つの半導体集積回路チップに集積することで形成される。
この実施形態では、自動オフセット制御回路AOC4の帰還電流端子Iaoc2は、DTIA段のインバータアンプINV2の入力に接続される。受信回路102は、光受信器等に含まれ、フォトダイオードから受信する入力電流Iinを増幅するとともに電圧信号に変換して差動信号OutP/OutNを出力する。
自動オフセット制御回路AOC4は、DTIA段の入力ノードから帰還電流Iaoc2を引き込む機能を有する点で図1の自動オフセット制御回路AOC1と異なる。受信回路102のその他の構成は、自動オフセット制御回路AOC4の帰還電流端子Iaoc2がDTIA段のインバータアンプINV2の入力に接続されていることを除き、図1の受信回路100と同様である。なお、図1と同様に、帰還電流Iaoc1、Iaoc2は、矢印の向きを正としている。
図12は、図11の自動オフセット制御回路AOC4の一例を示す回路図である。図3の自動オフセット制御回路AOC1と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。自動オフセット制御回路AOC4は、帰還電流Iaoc2をインバータアンプINV2の入力から引き込むために、図3の自動オフセット制御回路AOC1に対して回路が変更されている。具体的には、自動オフセット制御回路AOC4は、図3の自動オフセット制御回路AOC1に対して、トランジスタPM3が削除され、トランジスタNM5、NM6、NM7が追加されている。トランジスタNM5、NM6、NM7は、nチャネルMOSトランジスタである。
トランジスタNM5は、ソースがグランド線GNDに接続され、ドレインが帰還電流端子Iaoc2に接続され、ゲートがトランジスタPM2のドレインに接続される。トランジスタNM6、NM7は、ソースがグランド線GNDに共通に接続され、ゲートがトランジスタPM5のドレインに共通に接続され、カレントミラー回路として動作する。トランジスタNM6のドレインは、トランジスタPM5のドレインに接続される。トランジスタNM7のドレインは、帰還電流端子Iaoc2に接続される。
そして、自動オフセット制御回路AOC4は、入力電圧値InPが入力電圧値InNより高いとき、トランジスタNM1がオンし、トランジスタNM4がオフし、帰還電流端子Iaoc1、Iaoc2の両方に電流が流れるように電流源I1、I2が調整される。また、自動オフセット制御回路AOC4は、入力電圧値InPが入力電圧値InNより低いとき、トランジスタNM1がオフし、トランジスタNM4がオンし、帰還電流端子Iaoc2のみに電流が流れるように電流源I1、I2が調整される。
なお、入力端子InPは、図1の受信回路100の出力端子OutPに接続される。入力端子InNは、図1の受信回路100の出力端子OutNに接続される。このため、出力電圧値OutPが出力電圧値OutNより大きいとき、帰還電流端子Iaoc1、Iaoc2の両方に電流が流れる。出力電圧値OutPが出力電圧値OutNより小さいとき、帰還電流端子Iaoc2のみに電流が流れる。
例えば、図1の受信回路100において、自動オフセット制御回路AOC1は、参照電圧線Vrefを介して帰還電流Iaoc2をレベルシフト回路LS2に流し込むことによって参照電圧Vrefを大きくする。図11の受信回路102において、自動オフセット制御回路AOC4は、帰還電流Iaoc2をDTIA段の入力ノードから引き込む(すなわち、入力電流を小さくする)ことによってDTIA段の出力電圧を大きくし、参照電圧Vrefを大きくする。したがって、差動信号OutP/OutNに応じて自動オフセット制御回路AOC1が帰還電流Iaoc2を流し出すのと同様に、差動信号OutP/OutNに応じて自動オフセット制御回路AOC4が帰還電流Iaoc2を引き込むことで参照電圧Vrefを大きくすることができる。
図11に示す受信回路102の動作特性は、帰還電流Iaoc2の極性が反対になることを除き、図5および図6に示した受信回路100の動作特性と同様である。すなわち、受信回路102は、入力電流値Iinが小さい領域での雑音特性の劣化を抑制しつつ、差動信号OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。
以上、この実施形態においても上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、入力電流値Iinが小さい領域での雑音特性の劣化を抑制しつつ、電圧Vtiaと参照電圧Vrefとの間のDCオフセットおよび差動信号OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。
さらに、この実施形態では、自動オフセット制御回路AOC4によりインバータアンプINV2の入力ノードから帰還電流Iaoc2を引き込む。これにより、インバータアンプINV2の入力電圧の調整によりバッファBUFに与える参照電圧Vrefを調整して差動信号OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。
なお、図12に示す自動オフセット制御回路AOC4からトランジスタNM5を削除し、出力電圧値OutPが出力電圧値OutNより大きいとき、帰還電流端子Iaoc1のみに電流が流れるようにしてもよい。
〔第4の実施形態〕
〔受信回路の回路構成〕
図13は、第4の実施形態にかかる受信回路の一例を示すブロック図である。図1の受信回路100と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図13の受信回路104は、バッファBUFと出力端子OutP/OutNとの間にバッファBUF2が配置され、バッファBUF2の出力と入力とに自動オフセット制御回路AOC5が接続される。例えば、受信回路104は、各回路要素を1つの半導体集積回路チップに集積することで形成される。
この実施形態では、自動オフセット制御回路AOC1の入力端子InP、InNは、ノードVref、Vtiaにそれぞれ接続される。すなわち、自動オフセット制御回路AOC1は、入力端子InP、InNで受けるノードVref、Vtiaの電圧差に応じて、入力電流Iinから帰還電流Iaoc1を減算し、または、参照電圧線Vrefに帰還電流Iaoc2を出力する。そして、自動オフセット制御回路AOC1は、電圧Vtiaと参照電圧Vrefとの間のDCオフセットの増加を抑制する自動オフセット制御を行う。
自動オフセット制御回路AOC5は、差動信号OutP/OutNに応じてバッファBUF2の差動入力に供給される差動信号の電圧値を調整することで差動信号OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制する。例えば、自動オフセット制御回路AOC1が動作していない領域では、電圧Vtiaと参照電圧VrefとにDCオフセットが発生する。しかしながら、自動オフセット制御回路AOC5により、電圧Vtiaと参照電圧Vrefとの間のDCオフセットによって生じる差動信号OutP/OutNのDCオフセットをキャンセルすることができ、差動信号OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。この結果、良好な増幅特性を得ることができる。
以上、この実施形態においても上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、この実施形態では、自動オフセット制御回路AOC1の入力端子InP、InNは、ノードVref、Vtiaの電圧を受けて動作する。この場合にも、受信回路104は、入力電流値Iinが小さい領域での雑音を抑制しつつ、電圧Vtiaと参照電圧Vrefとの間のDCオフセットおよび出力電圧OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制することができる。
また、受信回路104は、バッファBUFと出力端子OutP/OutNとの間に配置されたバッファBUF2の出力と入力とを接続する自動オフセット制御回路AOC5を有する。このため、自動オフセット制御回路AOC1が動作していない領域においても、自動オフセット制御回路AOC5により、差動信号OutP/OutNのDCオフセットの増加を抑制することができ、良好な増幅特性を得ることができる。
なお、受信回路104は、自動オフセット制御回路AOC1の代わりに、図7に示した自動オフセット制御回路AOC2を有してもよい。
以上、本開示の実施形態などについて説明したが、本開示は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範囲内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
100、102、104、110 受信回路
AOC1、AOC2、AOC3、AOC4、AOC5 自動オフセット制御回路
BUF バッファ
CLS1、CLS2 容量素子
DI 差動積分器
DTIA ダミートランスインピーダンスアンプ段
Iaoc1、Iaoc2 帰還電流
Iin 入力電流
ILS1、ILS2 電流源
In 入力端子
InN、InP 入力電圧
INV1、INV2 インバータアンプ
LS1、LS2 レベルシフト回路
OutN、OutP 出力端子
RLS1、RLS2 抵抗素子
TIA トランスインピーダンスアンプ段
TIAin 入力端子
TIAout 出力端子
Vcb ベース・コレクタ間電圧
Vref 参照電圧
Vtia 電圧

Claims (8)

  1. 入力電流を受ける入力端子と、
    入力ノードを有し、前記入力ノードに入力された電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、
    第1帰還電流に応じて参照電圧を生成する参照電圧回路と、
    前記電圧信号と前記参照電圧との電圧差に応じて差動信号を生成する差動増幅回路と、
    前記差動信号のオフセットに応じて前記第1帰還電流と第2帰還電流とを生成するオフセット制御回路と、
    を備え、
    前記入力ノードは、前記入力端子に電気的に接続され、
    前記オフセット制御回路は、前記電圧信号の平均電圧値が前記参照電圧より大きいとき、前記差動信号のオフセットが所定の範囲内に入るように前記第1帰還電流を調整し、前記電圧信号の平均電圧値が前記参照電圧より小さいとき、前記差動信号のオフセットが前記所定の範囲内に入るように前記入力電流から前記第2帰還電流を減算する、
    受信回路。
  2. 前記トランスインピーダンスアンプは、
    前記入力ノードに入力された電流信号を中間電圧信号に変換する第1増幅回路と、
    第1抵抗素子と第1電流源とを備え、前記第1電流源が供給する第1電流が前記第1抵抗素子に流れて生じる電圧降下によって前記中間電圧信号をレベルシフトして前記電圧信号を生成する第1レベルシフト回路と、
    を含む、
    請求項1に記載の受信回路。
  3. 前記参照電圧回路は、
    基準電圧を生成する第2増幅回路と、
    第2抵抗素子と第2電流源とを備え、前記第2電流源が供給する第2電流が前記第2抵抗素子に流れて生じる電圧降下によって前記基準電圧をレベルシフトして前記参照電圧を生成する第2レベルシフト回路と、
    を含み、
    前記第1帰還電流は、前記第2電流の流れる向きと同じ向きに前記第2抵抗素子を流れる、
    請求項2に記載の受信回路。
  4. 前記参照電圧回路は、
    基準電圧を生成する第2増幅回路と、
    第2抵抗素子と第2電流源とを備え、前記第2電流源が供給する第2電流が前記第2抵抗素子に流れて生じる電圧降下によって前記基準電圧をレベルシフトして前記参照電圧を生成する第2レベルシフト回路と、
    を含み、
    前記オフセット制御回路は、前記第2増幅回路の入力ノードから前記第1帰還電流を引き込む、
    請求項2に記載の受信回路。
  5. 前記第2増幅回路は、前記第1増幅回路と同じ回路要素によって構成されている、
    請求項3または請求項4に記載の受信回路。
  6. 前記オフセット制御回路は、
    前記差動信号のオフセットに応じて制御電圧を生成する差動積分器を含み、
    前記制御電圧に応じて前記第1帰還電流の大きさと前記第2帰還電流の大きさとの間の大小関係を反転させる、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の受信回路。
  7. 前記参照電圧の前記第1帰還電流がゼロのときの値は、前記電流信号がゼロのときの前記電圧信号の平均電圧値よりも小さく設定されている、
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の受信回路。
  8. 前記トランスインピーダンスアンプ、前記参照電圧回路、前記差動増幅回路および前記オフセット制御回路は、1つの半導体集積回路チップに集積される、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の受信回路。
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