JP2023045048A - A/fセンサのヒータ通電制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】A/Fセンサが低温状態にある場合の電源系統への負荷を低減しつつ、複数のA/Fセンサが活性化温度に到達するまでの時間を短縮する。【解決手段】ヒータ通電制御装置11において、マイコン12は、温度検出部18(1)、18(2)により検出されるA/Fセンサ1(1)、1(2)の温度のうち少なくとも1つが所定値以下であれば、ヒータ4(1)、4(2)に1つずつに通電を行うことで、A/Fセンサ1(1)、1(2)の活性化を並行的に図るように通電スイッチ14(1)、14(2)を制御する初期通電制御を行なう。【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の排気ガスに含まれる気体の状態を検出するもので、活性化用のヒータを備えた複数のA/Fセンサの前記ヒータに通電を行う装置に関する。
従来、内燃機関の排気経路に配置される複数のヒータ内蔵型空燃比(A/F:Air By Fuel)センサに対し、前記ヒータの通電制御を行う装置として、例えば特許文献1に開示されているものがある。車両を始動した直後のA/Fセンサ及びそのヒータが低温状態にある際には、A/Fセンサの温度を上昇させて活性化させるため、ヒータへの通電に大電流が必要となる。
そこで、特許文献1では、先に排気経路の上流側に配置されたA/Fセンサのヒータに通電を開始し、その後、同下流側に配置されたA/Fセンサのヒータへ通電を行っている。これにより、ヒータへの通電電流を制限し、A/Fセンサ及びそのヒータが低温の状態にある時に、バッテリやヒータの給電系統にかかる負荷を軽減している。
しかしながら、上記の従来技術では、ヒータへの通電開始を遅らせた方のA/Fセンサは、活性化温度に達するまでの時間が長くなり空燃比の検出開始が遅くなる。その結果、内燃機関の空燃比制御の開始が遅れ、車両の排気ガス中の有害物質排出量が増加してしまうという問題が生じる。
また、通電を遅らせている間のヒータの加熱には、内燃機関からの排気ガスのみが寄与するため内燃機関のコンディションに依存し、内蔵されたヒータによるA/Fセンサの加熱と比較して、加熱効率にばらつきが生じる。例えば、寒冷地でのエンジン始動時は、A/Fセンサとそのヒータも温度が低いことに加え、内燃機関の暖気や排気ガス温度の上昇にも時間がかかるため、センサの活性化温度到達までの時間が長くなる可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、A/Fセンサが低温状態にある場合の電源系統への負荷を低減しつつ、複数のA/Fセンサが活性化温度に到達するまでの時間を短縮できるA/Fセンサのヒータ通電制御装置を提供することにある。
請求項1記載のA/Fセンサのヒータ通電制御装置によれば、通電制御部は、複数の温度検出部により検出される、活性化用のヒータを備える複数のA/Fセンサの温度のうち少なくとも1つが所定値以下であれば、複数のヒータのうち1つずつに通電を行うことで、2つ以上のA/Fセンサの活性化を並行的に図るように複数の通電スイッチを制御する初期通電制御を行なう。
このように構成すれば、初期通電制御において2つ以上のA/Fセンサの活性化を並行的に図る際に、複数のヒータのうち1つずつに通電が行われるので、A/Fセンサが低温状態にある場合の電源系統の負荷を低減しつつ、複数のA/Fセンサが活性化温度に到達するまでの時間を短縮できる。
請求項2記載のA/Fセンサのヒータ通電制御装置によれば、通電制御部は、活性化の対象としたA/Fセンサの温度が所定値を超えると、複数のヒータのうち2つ以上に重畳的に通電する通常通電制御を行う。すなわち、通電制御部は、対象としたA/Fセンサ温度が所定値を超えたことを確認すると、初期通電制御から通常通電制御に移行する。したがって、電源系統に係る負荷が低減された状態になった時点で、通常通電制御に移行できる。
請求項3記載のA/Fセンサのヒータ通電制御装置によれば、通電制御部は、ヒータに通電された電流が所定値以下になった際にも通常通電制御に移行する。これにより、電源系統に係る負荷がより確実に低減された状態になった時点で通常通電制御に移行できる。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態のA/Fセンサ1(1)及び1(2)は、図示しない車両用の内燃機関が排出する排気ガスを検出ガスとし、この排気ガスに含まれる気体の状態、例えば排気中の空燃比を特定するものである。A/Fセンサ1は、前記内燃機関の排気通路に配置されている。A/Fセンサ1(1)及び1(2)の周辺構成は対称であるから、以下では両者を特に区別する必要が無い限り、符号に(1)、(2)を付さずに説明する。
図1に示すように、本実施形態のA/Fセンサ1(1)及び1(2)は、図示しない車両用の内燃機関が排出する排気ガスを検出ガスとし、この排気ガスに含まれる気体の状態、例えば排気中の空燃比を特定するものである。A/Fセンサ1は、前記内燃機関の排気通路に配置されている。A/Fセンサ1(1)及び1(2)の周辺構成は対称であるから、以下では両者を特に区別する必要が無い限り、符号に(1)、(2)を付さずに説明する。
A/Fセンサ1は、センサ素子3、及びセンサ素子3を加熱して活性化させるためのヒータ4を備えている。ヒータ4には、ヒータ給電系統部5より給電が行われる。ヒータ給電系統部5は、電源6からの電力を、ワイヤハーネス7及びヒューズ8を介してヒータ4に給電する。その給電は、ヒータ通電制御装置11により制御される。
ヒータ通電制御装置11は、マイクロコンピュータ;マイコン12及びヒータ駆動制御IC13を備えている。ヒータ4の低電位側端子は、ヒータ通電制御装置11の内部で、例えばNチャネルMOSFETなどの通電スイッチ14及び抵抗素子15を介してグランドに接続されている。
抵抗素子15の両端は、ヒータ駆動制御IC13に内蔵されたアンプ16の入力端子に接続されており、アンプ16の出力信号は、制御IC13とマイコン12との間を接続する通信線17を介してマイコン12に入力される。
A/Fセンサ1が備えるセンサ素子3の両端は、ヒータ駆動制御IC13が備える温度検出部18の入力端子に接続されている。温度検出部18は、センサ素子3に電圧を印加することで得られる当該素子3のインピーダンスの変化に基づいて、センサ素子3の温度を検出する。温度検出部18の出力信号は、通信線17を介してマイコン12に入力される。通電制御部に相当するマイコン12は、ヒータ駆動制御IC13を介して、通電スイッチ14のゲートに駆動信号をPWM(Pulse Width Modulation)信号として出力する。
次に、本実施形態の作用について説明する。図2に示すように、マイコン12は、ヒータ駆動制御IC13を介してA/Fセンサ1(1)及び1(2)の温度を検出すると(S1)、何れか一方のA/Fセンサ1の温度が所定値以下か否かを判断する(S2)。ここで、「所定値」を何度に設定するかは、ヒータ給電系統5の給電能力やヒータ4の特性等によるが、例えば常温とされる25℃程度に設定する。
前記温度が所定値以下であれば(S2;YES)、初期通電制御として交互通電制御を行う(S4)。交互通電制御は、図3の左側に示すように、通電スイッチ14(1)、14(2)のゲートに出力するPWM信号を、デューティ比50%で互いに逆相となる信号とすることで、ヒータ4(1)、4(2)に交互に通電する制御である。
マイコン12は、交互通電制御の実施中に、ヒータ駆動制御IC13を介してヒータ4(1)、4(2)に流れる電流を検出する(S5)。そして、2つの電流値の和が所定値以下となったか否かを判断する(S6)。電流値の和が所定値を超えていれば(NO)ステップS4に戻り、所定値以下になると(YES)通常通電制御に移行する(S3)。通常通電制御は、図3の右側に示すように、通電スイッチ14(1)、14(2)のゲートに出力するPWM信号のデューティ比を、それぞれ100%未満で任意に設定してヒータ4(1)、4(2)に通電する制御である。
すなわち、交互通電制御ではヒータ4(1)、4(2)の何れか一方のみしか通電されず、双方に同時に通電される期間は発生しない。このように、ヒータ4(1)、4(2)に交互に通電を行うことでA/Fセンサ1(1)、1(2)を交互に加熱して、これらの活性化を並行的に行う。一方、通常通電制御では、双方に同時に通電される期間が発生する。尚、双方のA/Fセンサ1の温度が所定値を超えた場合も(S2;NO)ステップS2に移行する。
図4に示す従来技術では、A/Fセンサ1(1)及び1(2)を活性化させる通電制御の開始時において、ヒータ4(1)及び4(2)の双方に重畳的に通電するため、通電電流の和のピーク値が高くなっている。これに対して、図3に示す本実施形態の初期通電制御の開始時には、ヒータ4(1)、4(2)への通電が交互に行われるので、電流の和のピーク値がより低くなる。
通常通電制御においては、図5に示すように、マイコン12は、デューティ比の算出を開始すると(S11)、A/Fセンサ1(1)の温度及びヒータ4(1)の通電電流を検出し(S12)、それらに基づいて通電スイッチ14(1)のゲートに出力するPWM信号のデューティ比を算出する(S13)。
続いて同様に、マイコン12は、A/Fセンサ1(2)の温度及びヒータ4(2)の通電電流を検出し(S14)、それらに基づいて通電スイッチ14(2)のゲートに出力するPWM信号のデューティ比を算出する(S15)。以上でデューティ比の算出を完了すると(S16)、次回の算出周期に到達するまで、つまりPWM制御のキャリア周期が経過するまで待機する(S17)。その時点でヒータ4への通電制御が継続していれば(S18;YES)、ステップS11に戻る。
以上のように本実施形態によれば、ヒータ通電制御装置11において、マイコン12は、温度検出部18(1)、18(2)により検出されるA/Fセンサ1(1)、1(2)の温度のうち少なくとも1つが所定値以下であれば、ヒータ4(1)、4(2)に1つずつに通電を行うことで、A/Fセンサ1(1)、1(2)の活性化を並行的に図るように通電スイッチ14(1)、14(2)を制御する初期通電制御を行なう。
このように構成すれば、初期通電制御においてA/Fセンサ1(1)、1(2)の活性化を並行的に図る際に、ヒータ4(1)、4(2)の1つずつに通電が行われるので、A/Fセンサ1が低温状態にある場合の電源系統5の負荷を低減しつつ、2つのA/Fセンサ1が活性化温度に到達するまでの時間を短縮できる。
また、マイコン12は、活性化の対象としたA/Fセンサ1の温度が所定値を超えるか、又はヒータ4に通電された電流が所定値以下になると、ヒータ4(1)、4(2に重畳的に通電する通常通電制御を行う。すなわち、マイコン12は、電流検出部16を介してヒータ4への電源系統5に流れる電流が所定値以下になったことを確認した段階で、初期通電制御から通常通電制御に移行する。したがって、電源系統5に係る負荷が低減された状態になった時点で、通常通電制御に移行できる。
また、マイコン12は、通電スイッチ14をPWM信号によって制御し、初期通電制御を行う際は、デューティ比の最大値を50%として、互いに逆相となるPWM信号を出力する。そして通常通電制御においては、前記温度又は前記電流に基づいて、PWM信号のデューティ比を一定の制御周期毎に個別に算出し、任意の値に設定する。これにより、初期通電制御では、デューティ比の設定を容易に行うことで交互通電制御を行うことが可能となり、通常通電制御では、PWM信号のデューティ比を温度又は電流に基づいて適切に設定できる。
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図6に示す第2実施形態では、初期通電制御における各デューティ比の設定が第1実施形態とは相違している。第1実施形態では、2つのPWM信号のデューティ比を等しく50%に設定したが、第2実施形態では、一方のデューティ比を50%より大きく設定し、他方のデューティ比を50%より小さく設定する。そして、2つのデューティ比の和が100%となるようにしている。このように制御することで、より早く活性化させる必要があるA/Fセンサを、優先的に活性化させることができる。
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図6に示す第2実施形態では、初期通電制御における各デューティ比の設定が第1実施形態とは相違している。第1実施形態では、2つのPWM信号のデューティ比を等しく50%に設定したが、第2実施形態では、一方のデューティ比を50%より大きく設定し、他方のデューティ比を50%より小さく設定する。そして、2つのデューティ比の和が100%となるようにしている。このように制御することで、より早く活性化させる必要があるA/Fセンサを、優先的に活性化させることができる。
(第3実施形態)
図7に示す第3実施形態のヒータ通電制御装置21は、マイコン22と、ヒータ駆動制御IC13に替わるA/Fセンサ検出IC23とを備えている。A/Fセンサ検出IC23は、温度検出部18のみを備えており、マイコン22の出力ポートは、通電スイッチ14のゲートに直接接続されている。すなわち、マイコン22は、駆動ICを介すことなく通電スイッチ14のゲートを直接駆動する。
図7に示す第3実施形態のヒータ通電制御装置21は、マイコン22と、ヒータ駆動制御IC13に替わるA/Fセンサ検出IC23とを備えている。A/Fセンサ検出IC23は、温度検出部18のみを備えており、マイコン22の出力ポートは、通電スイッチ14のゲートに直接接続されている。すなわち、マイコン22は、駆動ICを介すことなく通電スイッチ14のゲートを直接駆動する。
通電スイッチ14(1)及び14(2)のドレインは何れも、共通の抵抗素子15の上端に接続されている。つまり、マイコン23は、ヒータ4(1)、4(2)に通電される電流を、1つの抵抗素子15及びアンプ16によって検出する。
次に、第3実施形態の作用について説明する。図8に示すように、第3実施形態では、第1実施形態のステップS5、S6に替えてステップS7、S8を実行する。すなわち、ステップS4を実行すると、温度検出部18によりヒータ4の温度を検出する(S7)。そして、2つのヒータ4の温度が何れも所定値を超えているか否かを判断し(S8)、何れも所定値を超えていれば(YES)ステップS3に移行する。
尚、以上の処理では、抵抗素子15及びアンプ16により検出されるヒータ4への通電電流を用いていないが、検出した電流は、例えばA/Fセンサ1の劣化状態を監視する処理等に使用される。
以上のように第3実施形態のヒータ通電制御装置21によれば、第1実施形態のヒータ通電制御装置11に比較して、より小規模に構成することができる。
以上のように第3実施形態のヒータ通電制御装置21によれば、第1実施形態のヒータ通電制御装置11に比較して、より小規模に構成することができる。
(その他の実施形態)
A/Fセンサの数は、「3」以上であっても良い。
第3実施形態の構成を、第1実施形態の制御に適用しても良い。
通電スイッチは、MOSFETに限ることなく、パワートランジスタやIGBT等でも良い。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
A/Fセンサの数は、「3」以上であっても良い。
第3実施形態の構成を、第1実施形態の制御に適用しても良い。
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図面中、1はA/Fセンサ、3はセンサ、4はヒータ、5はヒータ給電系統部、11はヒータ通電制御装置、12はマイクロコンピュータ、13はヒータ駆動制御IC、14は通電スイッチ、15は抵抗素子、16はアンプ、18は温度検出部を示す。
Claims (8)
- 内燃機関の排気ガスに含まれる気体の状態を検出するもので、活性化用のヒータ(4(1)、4(2)を備えた複数のA/F(Air By Fuel)センサ(1(1)、1(2))の前記ヒータに通電を行うもので、
前記複数のA/Fセンサの温度を検出する複数の温度検出部(18(1)、18(2))と、
前記複数のヒータに通電を行う経路にそれぞれ配置される複数の通電スイッチ(14(1)、14(2))と、
これら複数の通電スイッチのオンオフをそれぞれ制御する通電制御部(12,22)とを備え、
前記通電制御部は、前記複数の温度検出部により検出される複数の温度のうち、少なくとも1つが所定値以下であれば、前記複数のヒータのうち1つずつに通電を行うことで、2つ以上のA/Fセンサの活性化を並行的に図るように前記複数の通電スイッチを制御する初期通電制御を行なうA/Fセンサのヒータ通電制御装置。 - 前記通電制御部は、活性化の対象としたA/Fの温度が前記所定値を超えると、前記複数のヒータのうち2つ以上に重畳的に通電する通常通電制御に移行する請求項1記載のA/Fセンサのヒータ通電制御装置。
- 前記ヒータに通電された電流を検出する電流検出部(15,16)を備え、
前記通電制御部は、前記電流が所定値以下になった際にも、前記通常通電制御に移行する請求項2記載のA/Fセンサのヒータ通電制御装置。 - 前記通電制御部は、前記複数の通電スイッチをPWM(Pulse Width Modulation)信号によって制御し、前記温度又は前記電流の少なくとも一方に基づいて、前記PWM信号のデューティ比を算出する請求項2又は3記載のA/Fセンサのヒータ通電制御装置。
- 前記通電制御部は、前記デューティ比を、一定の制御周期毎に個別に算出する請求項4記載のA/Fセンサのヒータ通電制御装置。
- 前記通電制御部は、前記通常通電制御を行う際に、前記複数のPWM信号のデューティ比を、それぞれ任意の値に設定する請求項4又は5記載のA/Fセンサのヒータ通電制御装置。
- 前記A/Fセンサの数が「2」であり、
前記通電制御部は、前記初期通電制御を行う際に、前記デューティ比の最大値を50%として、互いに逆相となるPWM信号を出力する請求項4又は5記載のA/Fセンサのヒータ通電制御装置。 - 前記A/Fセンサの数が「2」であり、
前記通電制御部は、前記初期通電制御を行う際に、2つのPWM信号のデューティ比の和が100%以下となるように設定し、一方のPWM信号を反転して他方のPWM信号を生成する請求項4又は5記載のA/Fセンサのヒータ通電制御装置。
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