JP2023044663A - マットレス - Google Patents

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Abstract

【課題】安眠に適したマットレスを提供する。【解決手段】マットレスMtは一部が隆起した隆起部Mt(Bgy)を有している。隆起部Mt(Bgy)は、最も好ましくは第1部位Mt(Bgy-th)、第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)を有している。第1部位Mt(Bgy-th)は、大腿部から下腿部のふくらはぎまでの下肢に対応した位置に位置して下肢を支える。第2部位Mt(Bgy-sh)は肩から肘までの上腕に対応して位置して上腕を支える。第3部位Mt(Bgy-hdn)頭頸部に対応して位置して、後頭部を持ち上げる。【選択図】 図1

Description

本発明はマットレスに関する。
本明細書にいう「マットレス」は、スプリングを備えていない寝具用のマットレスであり、典型的にはポリウレタンフォームで構成された寝具用のマットレスを意味し、一般用、介護用マットレスを含み、また、エアマットレスや寝床の上に追加的に敷く上敷きマットレスを含む。
従来の多くの寝具用のマットレスは、「起立時の脊柱のS字カーブを仰臥位でも保つ。」ことを基本的な設計思想としており、この基本思想の下で体圧分散性などの向上を目指して開発が進められている。
特許文献1、2は、軟質ウレタンフォームで構成された寝具用のマットレスを開示している。ここに、軟質ウレタンフォームは、弾性と粘性を併せもつ素材である。特許文献1、2に開示のマットレスは、人体の頭部に対応する頭部領域、胸部に対応する胸部領域、腰部に対応する腰部領域、脚部に対応する脚部領域の4つの領域に区分し、これら4つの領域での沈み込みが一様になるように、各領域の特性を調整する点で共通している。具体的に説明すると、仰臥した人体の各部が同じ程度に沈み込んだ状態となるように、マットレスの頭部領域、胸部領域などの4つの領域の特性を、仰臥位の人体の各部の重量比に基づいて調整する。これが、特許文献1、2のマットレスの共通の技術的思想である。ここに、仰臥位の人体の各部の重量比は、頭部の重量比が約8%であり、胸部の重量比が約33%、腰部の重量比が約44%、脚部の重量比が約15%であると言われている。
特許文献1は、頭部領域、胸部領域、腰部領域、脚部領域の4つの領域毎に異なる特性の独立した素材を用いたマットレスを提案している。頭部領域に適用される第1素材、胸部領域に適用される第2素材、腰部領域に適用される第3素材、脚部領域に適用される第4素材は、夫々の柔らかさが上記の重量比に基づいて調整される。特許文献1に開示の第1ないし第4素材の相対的な柔らかさは次の通りである。腰部領域の第3素材は相対的に最も硬い素材が選択される。胸部領域の第2素材は次に硬い素材が選択される。脚部領域の第4素材は相対的に柔らかい素材が選択される。頭部領域の第1素材は最も柔らかい素材が選択される。
特許文献2のマットレスは、弾性素材として、通気性及び通水性に優れた無膜ポリウレタンフォームを使用することを前提としている。この無膜ポリウレタンフォームは、軟質ポリウレタンフォーム(PUF)の一種である。なお、特許文献2は、提案する無膜ポリウレタンフォームにおいて、8kgに近い数値の硬度のマットレスが介護用マットレスに好適に利用可能であると記述している。
特許文献2は第1実施例、第2実施例の2種類のマットレスを開示している。第1実施例のマットレスは、マットレスの長手方向と直交する横方向に延びる複数の横溝を含み、各横溝はマットレスの表面に開放した縦断面矩形の形状を有している。第2実施例は、複数の縦溝と複数の上記横溝とで格子状の表面を備えたマットレスを開示している。ここに、縦溝はマットレスの表面に開放した断面矩形の形状を有し、マットレスの長手方向に延びている。第1実施例、第2実施例共に、4つの領域に対応して、隣接する2つの横溝間の間隔を狭くする又は広くすることで、4つの領域の適度な柔らかさ、あるいは硬さを調整できる。このことに加えて、特許文献2は腰部領域の厚さ寸法を他の領域よりも厚くすることを提案している。この提案は、人体の各部の重量比に基づいて横溝間の間隔を調整するだけでは、全身を一様に沈み込ませることが実際上不可能である、との気付きに基づいている。
特許文献1、2のマットレスとは別に、寝具用のマットレスは、特性の異なる素材を上下に積層した多層構造のマットレスが知られている。例えば上下3層構造のマットレスが周知である。この上下3層構造のマットレスの効能は次のように表現されている。上層の特性は「ふわっとした柔らかさ」と表現され、中層の特性は「もちっとした弾力性」と表現され、下層の特性は「しっかりと支持する」と表現されている。
マットレスの全ての表面領域が同じ硬さを有していた場合、相対的に重い部位が局部的にマットレスの中に深く沈み込む現象が発生し、この深く沈み込んだ部分に体圧が集中してしまう。その結果、マットレスを使用している者は局部的に圧迫感を感じて頻繁に寝返りする等、安眠できない状態に陥る。換言すれば、就寝中、深く沈み込んだ部分がその周辺部分を下方に引っ張り込む。この結果、使用者の荷重がマットレスに均等に加わらず、マットレスの撓み量、つまり沈み込み量が大きい部分に体圧つまり荷重が大きく作用してしまう現象が発生する。
この問題に対して特許文献3は、マットレスの表面の全域に格子状に配置した縦溝、横溝で複数のタイル状のブロックに区画したマットレスを提案している。具体的に説明すると、マットレスの長手方向に互いに平行に延びる複数の縦溝と、長手方向と直交する横方向に延び且つ互いに平行に延びる複数の横溝とで平面視四角形の複数のブロックが形成されている。この複数のブロックは大きさ(縦90mm×横90mm)が同じであり、また、各ブロックの構造も全て同じである。
上記ブロックを具体的に説明すると、各ブロックは上層部、中層部、下層部を有し、上層部は、上方に向けて先細りの複数の山形突起が等間隔に配置されている。中層部は、横断面正方形の柱状であり、その下端の側面を切り欠いた形状の凹所有している。下層部は、マットレスのベースとなる支持層であり、いわゆる「底付き」を阻止する層である。
特許文献3は、マットレスの表面の全域に格子状の溝を配することで、局部的な荷重が作用して一部のブロックが深く沈み込んだとしても、各ブロックが、縦、横の溝によって、その周辺部分から独立しているため、この周辺部分を共連れして下方に引っ張り込むのを防止することができる。特許文献3のマットレスは次の構成と実質的に等価である。すなわち、特許文献3のマットレスは、マットレス全域に等間隔に同じスプリングを配置すると共に、マットレスの表面を各スプリング毎に区画して、各スプリングが位置する領域を他の領域から独立させる構成と等価である。この等価性を裏付けるのが、特許文献3の次の記述である。
『マットレスの表面を上述した複数のブロックで構成することで、横臥ないし仰臥する人体によって局部的に深く押し込まれる部分と、あまり押し込まれない部分とを複数のブロックで独立させることができる。これにより横臥ないし仰臥する人体にフィットした沈み込み現象を作ることができる。』
特開平11-113688号公報 特開平11-318646号公報 2002-159375号公報
特許文献1、2の発明は、仰臥位の人体の頭部、胸部、腰部、脚部の各部の重量比に基づいて、マットレスの頭部領域、胸部領域などを「面」として捉えて、各領域の柔らかさを調整することで、人体の全身の沈み込み量を一様にするという発明を開示している、と言うことができる。しかし、前述したように、重量比に基づいて各領域の柔らかさを調整するだけでは、人体の全体の沈み込み量を一様にできないため、特許文献2の発明が教示するように、マットレスの腰部領域の厚み寸法を相対的に厚くすることが求められる。
次に、特許文献3のマットレスの問題点を次のように指摘することができる。すなわち、マットレス全域を格子状の溝で区画してブロック化した場合、このマットレス全域の柔らかさ、つまりマットレスの基本特性を柔らかめに設定するのか、硬めに設定するのかによって寝心地の快適性が変わる。例えば柔らかめに設定した場合、後頭部が過度に沈み込んで、後頭部の高さ位置が低くなり過ぎる現象が現れる可能性がある。この現象が現れると、顎が上がった「顎上がり」姿勢になってしまい、呼吸や嚥下に問題を引き起こす。また、臀部の重量が全身で最も大きい。例えば柔らかめに設定した場合、臀部が過度に沈み込んで「底付き」や腰が曲がってしまう「骨盤後傾」の現象が現れてしまう可能性がある。「底付き」や「骨盤後傾」は寝心地が悪化する。
本願発明者は、特許文献1、2の発明が重視する重量比について検討を加えた。特許文献1、2の発明は、仰臥した人体の重量は、頭部は人体の体重の約8%、胸部が約33%、腰部が約44%、脚部が約15%であることを前提としている。これに対して、人体の解剖学的重量比は、頭部が約8%、両上肢約16%、両下肢約30%で、胴体(胸部+腰部)は約46%である。この違いは、仰臥したときに、各部の解剖学的重量がマットレスの表面に作用していないことに起因する。本願発明者がマットレスに加わる人体各部の荷重を体圧分布センサーで計測すると、驚くことに両下肢の重量の約半分がマットレスに作用するだけで、約半分はマットレスに作用していないことが分かった。また、両上肢の殆どの重量はマットレスに作用していないことが分かった。また、頸部は後頭部にかけてアーチ状に湾曲しているため、マットレスの表面との間に隙間が発生して、頸部の重量が頭部に加わってしまい、局所的にマットが沈み込んで、顎上がり姿勢になり易くなることも分かった。
周知なように、仙骨、踵などの骨突出部には、局所的に重量が集中する。このことから、頭部、胸部、腰部、脚部を大きな領域(面)に分けてその柔らかさを調整するだけでは、局所にかかる圧迫を軽減できない。その結果、特に自分で体位を変えることのできない要介護者等では、仙骨や踵などが床ずれの好発部位となることは周知のとおりである。
解剖学的重量比とマットレスに作用する重量比が異なる理由は、仰臥位では上下肢の付け根にあたる肩関節や股関節、下肢の中央部にある膝関節は、マットレスに接触している背中や腰部、踵より高い位置にあるため、各関節に近い上腕や大腿部、下腿部が浮いた状態となり、マットレスとの間に隙間が発生する。その結果、上腕の重さは肘に、大腿の重さは腰部に、下腿の重さは踵に流れ込み、また、上述した頸部とマットレスとの間の隙間によって頸部の重さが頭部に流れ込む。この結果、頭部、腰部、胸部は、その重量比以上に、マットレスの頭部領域、胸部領域、腰部領域、踵領域に荷重が作用すると考えられる。
本願発明者は、上述した現状分析の結果を背景にした上記の考察が快適な寝具を提供する上で重要である、との気づきを得た。この観点に立脚したときに、身体の各部位の重量比だけに依拠した領域分けに対して検討を加える余地がある。また、区分けした領域の細部において局所的な体圧分散の向上に対して検討を加える余地がある。
従来のマットレスの基本思想の骨格をなす「起立時のS字カーブを仰臥位で作る。」ことの意義を検討すると、起立時には、頭上から作用する重力に抗してこの起立姿勢を保持するために広背筋、脊柱起立筋群、大殿筋、腹筋筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋などが無意識に緊張して頸椎や腰椎にS字カーブが作られて、重い頭部や体幹を効率的に支える姿勢になる。しかし、就寝時は、重力に抗して姿勢を保持する必要はない。仰臥位をとると、起立時に働く抗重力筋群の筋緊張が低下してS字カーブが緩やかになり、膝関節や足関節は立位時よりも屈曲して全身がリラックスした姿勢になる。
本願発明者は、この全身がリラックスした姿勢のアライメントに着目した。そして、快適な寝具に必要不可欠な条件は、安眠に適した身体各部のアライメントを適切に保つことであると定義した。このコンセプトに基づくマットレスであれば、「S字カーブが緩やかになり、膝関節や足関節は立位時よりも屈曲して全身がリラックスした姿勢」を保持できる寝具を提供することができる。
マットレスに横になって折角、全身がリラックスした姿勢になろうとしているのに、従来の設計思想に基づくマットレス、つまり上述した「立位時のS字カーブを保持する」マットレスでは必要以上に反り腰姿勢になって緊張が強いられてしまう。仰臥位では、重力が身体の前面に垂直に作用する。このことから、マットレスに仰臥すると、安眠に適した身体各部のアライメントを保持することが重力の作用によって難しくなる。軽く屈曲した例えば膝関節の部位はマットレスとの間に隙間があるため、左右の下肢のアライメントが安定せず、下肢が外転する、横や内側に倒れるなど不安定な状態になり、その結果、下肢に連動して骨盤が捻れて上半身のアライメントが崩れ、それを戻そうとするため無用の緊張状態が作られてしまう。また、肩関節を含む上腕から肘にかけての隙間は、上腕の重さで大胸筋が下方に引っ張られて呼吸しにくさや肘への圧迫の原因となる。
本発明の目的は安眠に適したマットレスを提供することにある。
本願発明者は、仰臥位のリラックス姿勢つまり安眠に最適なアライメントを保持する機能をマットレスに付加すれば良いとの着想の下で、このリラックス姿勢と、平らなマットレスとの間に生まれる隙間に着目した。隙間は、仰臥位でのリラックス姿勢のときに軽く屈曲する下肢の下、肩関節を含む上腕の下、頸椎の下に発生する。頸部に発生する隙間は睡眠時に一般的に使用する枕によって埋められる。このことから、マットレスを局部的に盛り上げて隆起部を形成し、この隆起部で基本的には下肢に関連した部位を積極的に支持する、好ましくは、これだけでなく、上腕に関連した部位を積極的に支持することで、安眠に適したアライメントを保持することができる。
本発明は、
弾性素材で構成されたマットレスであって、
該マットレスの一部が隆起した隆起部を有し、
該隆起部は、
仰臥位において軽く屈曲した膝関節に連なる大腿部から下腿部のふくらはぎまでの下肢に対応して位置する第1部位を有し、
該第1部位の隆起によって前記下肢に接触して該下肢を支持することを特徴とするマットレスを提案する。
本発明の好ましい態様では、前記隆起部は、上記第1部位に加えて、肩関節から肘までの上腕に対応して位置する第2部位を有し、
該第2部位の隆起によって前記上腕に接触して該上腕を支持する。
本発明のマットレスによれば、マットレスの局部的に盛り上った第1部位の隆起によって、仰臥位において軽く屈曲した下肢を積極的に支持することで安眠に適した基本的なアライメントを保持することができ、これにより、下肢の外転や横倒れを防止できる。また、下肢がマットレスによって支持されるため、仰臥位の人体の接触面積が拡大して下肢の荷重を分散できる。これに加えて、上記第1部位の隆起の存在によって骨盤を位置決めすることができる。これにより、仰臥位の人体のアライメントを保つ基本姿勢を作ることができる。
また、この骨盤の位置決めによって、本発明のマットレスの設計において、骨盤の位置を基準に第2部位の隆起位置や踵の位置を決めることができる。このことは、マットレスの各部の設定において、日本人の平均身長に基づいて設計するよりも各部の位置設定が容易となる。例えば150cm身長の人と170cm身長の人とでは20cmの違いがある。本発明のマットレスによれば、骨盤を基準に設計できるので、踵の位置の違いは、半分の10cmになる。また肩の位置は、それよりも小さな違いになる。したがって、第2部位や踵位置の設定が比較的容易である。また、例えば三種類のマットレスを用意して、Sタイプは比較的背丈の低い人向け、Mタイプは標準身長向け、Lタイプは比較的背丈が高い人向けに設計すれば、大多数の人にフィットするマットレスを提供することできる。
本発明の最も好ましい実施形態によれば、上記の第1部位の隆起による下肢の積極的な支持だけでなく、第2部位の隆起によって、上腕を積極的に支持することで、安眠に適したアライメントを保持することができ、また、仰臥位の人体の接触面積が拡大して上腕の荷重を分散できる。
上述したように、睡眠時に筋緊張が緩んだ状態であっても、仰臥位のリラックス姿勢を保持するための要所をマットレスの局部的な隆起によって積極的に支えることで、安眠に適したリラックス姿勢の下で深い呼吸や全身の体圧分散性、下肢の血液還流を高めて浮腫を防止するなど、疲れにくい安眠姿勢を提供できる。
実施例のマットレスの斜視図である。 第1部位の隆起による作用効果を説明するための図であり、(I)は、マットレスの表面が平面の従来のマットレスに関する図であり、(II)は、第1部位の隆起を備えた実施例のマットレス関する図である。 肩関節が重力によって押し下げられる弊害を説明するための図である。 第2部位の隆起による作用効果を説明するための図であり、(I)は、マットレスの表面が平面の従来のマットレスに関する図であり、(II)は、第2部位の隆起を備えた実施例のマットレス関する図である。 第2部位の隆起を備えた実施例のマットレスの部分平面図である。 第3部位の隆起による作用効果を説明するための図である。 第1部位ないし第3部位を備えたマットレスを介護用電動ベッドに適用し、介護用ベッドを背上げしたときの状態を説明するための図である。 従来のマットレスを介護用電動ベッドに適用し、介護用ベッドを背上げしたときの要介護者にとって快適な寝姿勢を作るためにクッション類を使用している現状を説明するための図である。 マットレスの長手方向と、長手方向と直交する横方向を説明するための図である。 突起を備えた実施例のマットレスにおいて、突起の一例を説明するための断面図である。 レール状の複数の突起を備えた実施例のマットレスにおいて、一つのレール状突起を説明するための斜視図である。 平面視矩形の複数の突起を備えた実施例のマットレスにおいて、一つの平面視矩形の突起の一例を説明するための斜視図である。 図12に図示の平面視矩形の突起の変形例を説明するための斜視図である。 第1の例のマットレス本体に関する図であり、(I)は平面図であり、(II)は側面図である。 第2の例のマットレス本体に関する図であり、(I)は平面図であり、(II)は側面図である。 第3の例のマットレス本体の平面図である。 レール状または平面視矩形の突起を備えた実施例のマットレスにおいて、突起の作用を説明するための図であり、(I)から(IV)は時系列に作用を図示している。 マットレスの踵領域の作用を説明するための図である。 第1、第2の例のマットレス本体の腰・胸・頭部領域の断面図である。 第1、第2の例のマットレス本体の脚・臀部領域の断面図である。 第1、第2の例のマットレス本体の踵領域の断面図である。 第1、第2の例のマットレス本体の面としての作用を説明するための図である。 表皮層を備えたマットレス本体を説明するための分解斜視図である。 表皮層の具体的な作り方を説明するための分解斜視図である。 介護者が要介護者を位置決めするときの目印を設置した介護用マットレスを説明するための図である。 第4の例のマットレス本体を説明するための図である。 プロファイル加工機によって作られた第5の例のマットレス本体の斜視図である。 第5の例のマットレス本体に隆起部を形成するための一つの手法を説明するための図である。 図27に図示の第5の例のマットレス本体においてプロファイル突起の高さ及び特性が異なる領域を説明するための図であり、(I)は平面図、(II)は一方の側面図、(III)は他方の側面図、(IV)は一方の端面図、(V)は他方の端面図である。 図29に図示の第5の例のマットレス本体の底面図である。 図29に図示の第5の例のマットレス本体の平面図に複数の切断線を加入した図である。 図31のA-A線に沿った断面図である。 図31のB-B線に沿った断面図である。 図31のC-C線に沿った断面図である。 図31のD-D線に沿った断面図である。 プロファイル加工機によって第5の例のマットレス本体を製造する方法を説明するための図である。 硬度の異なる複数の素材を横並びに且つ互いに接着したワークピースの断面図である。 図37に図示のワークピースをプロファイル加工することで作った高さ及び特性の異なるプロファイル突起を説明するための断面図である。 硬度の異なる複数の素材を横並びに且つ互いに接着したワークピースに対して、この領域分けとは別の領域分けで成形型部材を設置することで高さ及び特性の異なるプロファイル突起を作ることを説明するための図である。 多層構造のワークピースに成形型部材を設置して高さ及び特性の異なるプロファイル突起を作ることを説明するための図である。 図40に図示のワークピースから作ったプロファイル突起の断面図である。 成形型部材を構造材の一部に組み込んだ実施例のマットレスの部分断面図である。 プロファイル突起の高さ及び特性の違いによって領域分けされたマットレス本体の平面図である。 マットレス本体にポケットを設け、このポケットに隆起形成部材を挿入することで、部分的に隆起したマットレスを作る一つの方法を説明するための図である。 エアバッグで構成された隆起形成部材の斜視図である。 プロファイル突起を備えたマットレス本体を2枚貼り合わせることで、部分的に隆起したマットレスを作る方法を説明すうための図である。 プロファイル突起を備えた硬度の異なるマットレス本体を2枚貼り合わせることで、部分的に隆起したマットレスを作る方法を説明すうための図である。 プロファイル加工機によって領域によって厚さの異なるマットレス本体を形成する準備工程を説明するための図である。 図48と共に準備工程を説明するための図であり、図48と図示のワークピースを上下反転させた状態を示す。 (I)は、プロファイル加工機によって領域によって厚さの異なるマットレス本体を示し、(II)は、領域によって厚さの異なるマットレス本体の平らな面に接着する追加の層を示し、この追加の層をマットレス本体に接着することによりマットレスを作ることを説明するための図である。 プロファイル加工機によって領域によって厚さの異なるマットレス本体を2枚貼り合わせることでマットレスを作ることを説明するための図である。 プロファイル加工機によって作られた第6の例のマットレス本体の斜視図である。 図52に図示のマットレス本体の平面図である。 図53のA-A切断線に沿って切断した断面図である。 図53のB-B切断線に沿って切断した断面図である。 図52に図示の第6の例のマットレス本体の変形例を説明するための図であり、図54に対応した断面図である。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
図1などを参照して、実施例の寝具用のマットレスの基本的な概念を説明する。比較例として、例えば低反発ポリウレタンで作られたマットレス(「低反発マットレス」)は、仰臥位の人体が全体的に沈み込み、その結果マットレスとの接触面積が大きい。しかし、接触面積が大きいということと、快適性との関係は一義ではないことが知られている。前述したように、深く沈み込んだ部分に体圧が集中するという問題がある。このことから分かるように、低反発マットレスで、身体全体を柔らかく沈み込ませて全面接触状態を作っても、その寝姿が快適とは言えない場合が多い。
本発明に従う実施例は、仰臥位の人体の前述した最適なアライメントを作るのに、身体の要所があるとの観点に立脚している。低反発マットレスでは人体の一部である要所を支えることができない。つまりマットレスの開発において、「荷重を支持していない接触」と「荷重を受けて支持する接触」とは異なる意義がある。
主要な要所は、リラックス姿勢の仰臥位において軽く屈曲する膝に連なる大腿部であり、より詳しくは、「大腿部の付け根」よりやや下方つまり足先側の部位、すなわち「座骨結節の直前」の部位である。好ましくは、「結節直前から膝の真下までは達しない大腿部」の部位であり、更に好ましくは「大腿部から下腿部のふくらはぎまでの下肢」である。これに対応する部位つまり「大腿部の付け根」よりやや下方つまり足先側の部位、すなわち「座骨結節の直前」の部位、好ましくは「座骨結節から膝の真下までは達しない大腿部」の部位、更に好ましくは、「大腿部から下腿部のふくらはぎまでの下肢」の部位に隆起部を設け、この隆起で下肢に直接接触するだけでなく、下肢の重量を直接的に受けてこれを支持することで体圧分散できる。そして、これによりリラックスした安眠に適した基本的なアライメントを作ることができる。すなわち、これによって下肢の外転や横倒れによる骨盤や体幹のねじれを防止できる。また、S字カーブを緩めることができる。また、大腿部の重量が臀部や仙骨部に流れ込むのを防止できる。次の要所は肩部、好ましくは「肩から肘までの上腕」の部位である。肩関節の部位が重力の作用で下がって上腕の重量が大胸筋を引っ張って深い呼吸を妨げるのを防止する必要がある。下肢と同様に、この問題は上腕の部位に対応した隆起部を設けることで解消できる。
上述したように、就寝時に一般的に使用される枕によって、頸部の下の第3隙間に起因する問題つまり後頭部が沈み込んで、就寝時に顎上げ状態になる問題は解消される。本発明に従うマットレスは、好ましくは、頭頸部の部位に隆起部を設けてもよい。頭頸部の領域に第3部位の隆起部を設けて頭頸部を適度に持ち上げることで就寝時に口を閉じることができ鼻呼吸を促すことができる。
図1は、実施例のマットレスMtを示す。マットレスMtは、一部が隆起した隆起部Mt(Bgy)を含む。隆起部Mt(Bgy)は、適度な硬度を有し且つ厚さを有する例えばポリウレタンフォームからなる隆起形成部材Fpをマットレス本体Mt(Bd)に例えば接着してマットレス本体Mt(Bd)と一体化することで形成できる。隆起部Mt(Bgy)は、最も好ましくは、図1に示すように、第1部位Mt(Bgy-th)、第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)で構成される。隆起部Mt(Bgy)は少なくとも第1部位Mt(Bgy-th)だけで構成されていてもよい。図1から分かるように、第1部位Mt(Bgy-th)は、仰臥位の人体の大腿部から下腿部のふくらはぎまでの下肢に対応して位置している。また、後に説明するように、第1部位Mt(Bgy-th)は大腿部から踵に亘って延びる長さを有していてもよい。上述したように、第1部位Mt(Bgy-th)の隆起の存在によって骨盤を位置決めすることができる。これにより、安眠に適したアライメントを保つ第1義の基本姿勢を作ることができる。
隆起部Mt(Bgy)は、第1部位Mt(Bgy-th)に加えて第2部位Mt(Bgy-sh)を含んで構成してもよい。マットレスの表面に局部的に隆起する第2部位Mt(Bgy-sh)は、仰臥位の人体の少なくとも肩から肘までの上腕の部位に対応して位置している。この第2部位Mt(Bgy-sh)の隆起によって上腕の重量を直接的に受けて支持する。
隆起部Mt(Bgy)は、第1部位Mt(Bgy-th)に加えて第3部位Mt(Bgy-hdn)を含んで構成してもよい。また、隆起部Mt(Bgy)は、最も好ましくは、図1に図示のように、第1部位Mt(Bgy-th)、第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)を含んで構成される。第3部位Mt(Bgy-hdn)は、仰臥姿勢の人体の頭頸部に対応して位置して適度に後頭部を持ち上げる。これにより就寝時に口を閉じることができ鼻呼吸を促すことができる
第1部位Mt(Bgy-th)、第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)の隆起は隆起形成部材Fpによって形成される。図1に図示の例では、隆起形成部材Fpは2つの部材Fp(1)、Fp(2)で構成されている。第1隆起形成部材Fp(1)によって第1部位Mt(Bgy-th)が作られている。第2隆起形成部材Fp(2)によって第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)が作られている。変形例として、隆起形成部材Fpを3つの部材で構成し、第1ないし第3の部材で、第1部位Mt(Bgy-th)、第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)の各々を作るようにしてもよい。
隆起形成部材Fpを構成する各部材は、同じ硬度の例えばポリウレタンフォーム素材で作られていてもよいし、異なる硬度の素材で作られていてもよい。また、後に説明するように、隆起形成部材Fpはエアバッグで構成されていてもよい。
マットレス本体Mt(Bd)は、従来から知られている略直方体の形状を有し、典型的にはポリウレタンフォーム製である。マットレス本体Mt(Bd)は、全領域に亘って同じ硬度を有する材料から作られていてもよいが、前述した特許文献1に記載のように、複数の領域、例えば頭部領域、胸部領域、腰部領域、脚部領域毎に異なる硬度を有していてもよい。マットレス本体Mt(Bd)の領域分け及び各領域の硬度は任意である。また、マットレス本体Mt(Bd)は異なる特性の材料を積層した多層構造を有していてもよい。
図1は、隆起部Mt(Bgy)の存在を視覚的に明らかにするために、隆起形成部材Fpがマットレス本体Mt(Bd)の上に位置した状態で図示してある。図1に図示の状態で使用してもよいが、これを上下反転して、隆起形成部材Fpがマットレス本体Mt(Bd)の下に位置した状態で使用してもよい。この場合、下に位置する隆起形成部材Fpによって、マットレスの表面に、部分的に隆起する第1部位Mt(Bgy-th)、第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)が形成される。隆起形成部材Fpが下に位置するようにマットレス本体Mt(Bd)を使用すると、マットレス本体Mt(Bd)の表面の隆起部Mt(Bgy)は、隆起形成部材Fpの端部つまり隆起していない部分との境界部分がラウンドした三次元形状となり、人体の当該部位のフォルムに沿った形状となる。すなわち、隆起形成部材Fpが下に位置する使用形態では、隆起部Mt(Bgy)のフォルムが、仰臥した体のフォルムに馴染み易い形態になる、という利点がある。
第1部位Mt(Bgy-th)の隆起による作用効果を図2に基づいて説明する。図中、参照符号56は臀部(仙骨)を示し、57は膝を示し、58は踵を示し、59は大腿部を示し、60は下腿部のふくらはぎを示す。図2の(I)は、マットレスの表面が平面で構成された従来のマットレスを示す。図2の(I)を参照して、リラックスした仰臥位姿勢では、膝57が浮いて支えの無い状態になるため、下肢がふらついて外転や横倒れすることでアライメントが崩れて安眠に支障がでる。さらに、臀部(仙骨)56と踵58に大腿部と下腿部の重量が流れ込んで臀部(仙骨)56と踵58に圧力が集中する状態になる。特に、屈曲した状態で固まってしまっている要介護者の場合は仙骨56、踵58に重量が集中してしまう。このような状態を長時間放置すると床ずれ発生リスクが高まる。図2の(II)は、第1部位Mt(Bgy-th)の隆起を備えた実施例のマットレスMtを示す。第1部位Mt(Bgy-th)の隆起によって大腿部59、ふくらはぎ60が支えられ、また、第1部位Mt(Bgy-th)の隆起の存在によって骨盤位置を位置決めすることができる。これにより、就寝に最適な基本的なアライメントを作ることができる。そして、大腿部59、ふくらはぎ60の重量を第1部位Mt(Bgy-th)で受け止めて体圧分散できる。その結果、下肢の重量が臀部56及び踵58に集中するのを防止できる。要介護者の場合、介護用電動ベッドを背上げしたとき、第1部位Mt(Bgy-th)の隆起がストッパーとなって、座骨結節の滑り出しが阻止され、要介護者が前方に滑り出した「滑り座り」を防止して安定した座位姿勢を提供できる。
第2部位Mt(Bgy-sh)の隆起による作用効果を図3ないし図5に基づいて説明する。図3及び図4の(1)は、従来のマットレスつまり仰臥した人体と接する面が平面のマットレスを示す。前述したように、仰臥位では、肩関節50が重力によって押し下げられる。肩関節50が下方に押し下げられると、肩関節50に付着している舌骨下筋群52が下方に引き下げられ舌骨上筋群53の収縮を妨げて唾液が飲み込みにくいなどの現象が現れる(図3)。特に要介護者は、飲み込みにくいため誤嚥リスクが高まる。
図4の(II)は、第2部位Mt(Bgy-sh)の隆起を備えた実施例のマットレスMtを示す。図5から分かるように、第2部位Mt(Bgy-sh)の隆起は、少なくとも肩から肘に亘って延びる長さを有している。この隆起は肩や上腕に接し、そして肩や上腕を支えて下がるのを防止する。これにより、肩や上腕の体圧分散ができる。更に、就寝時の誤飲を防止して深い呼吸が可能になる。
図6は、第3部位Mt(Bgy-hdn)の隆起を備えた実施例のマットレスMtを示す。第3部位Mt(Bgy-hdn)の隆起によって後頭部が適度に持ち上げられて頭頸部が軽度の前屈位となる。これにより就寝時の開口を防止して鼻呼吸を促すことができる。この第3部位Mt(Bgy-hdn)を備えたマットレスMtを要介護者に適用した場合、隆起した第3部位Mt(Bgy-hdn)によって、顎が上がって頸部が伸展するのを防止することができ、唾液等の誤嚥を防止できる。
第1部位Mt(Bgy-th)、第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)の隆起を備えたマットレスMtを要介護者に適用した場合、介護用電動ベッドを背上げしたときの利点を図7に基づいて説明する。要介護者は、第1部位Mt(Bgy-th)の隆起によって座骨結節の滑り出しが阻止され、前方に滑り出した滑り座りを防止して安定した座位姿勢を提供できる。さらに、要介護者の下肢全体の重量が第1部位Mt(Bgy-th)の隆起によって支えられるため、仙骨56や踵58への重量集中を阻止できる。また、背上げ姿勢の要介護者は、第3部位Mt(Bgy-hdn)の隆起によって後頭部が押上げられて、頭頚部を軽度前屈位した姿勢になる。また、第2部位Mt(Bgy-sh)の隆起によって肩や上腕が下がるのを防止しつつ、要介護者の身体を両サイドから支えて横倒れを阻止できる。これらのことによって要介護者にリラックスした安楽で快適な座位姿勢を提供できる。
参考として、図8を参照して、従来の介護用電動ベッド及びマットレスでの問題点を説明する。従来は、身の回りにある複数のクッション類90を使って、自力で体位変換ができない要介護者とマットレスの表面との間に、要介護者の要請に応じて、あるいは介護者の意図する箇所にクッション類90を挿入して要介護者の床ずれ防止や当該要介護者にとって快適な寝姿勢を作るための労力が介護者に求められている。どこに、どのようなクッション類90を挿入するのが適切かは介護者の能力に依存し、また、そのための作業つまり介護者が中腰でクッション類90を挿入する作業は、介護者に大きな身体的負担を強いる。また、要介護者が食事や尿漏れでクッション類を汚すと、これらの洗濯や掃除に要する労力が介護者に付加される。また、クッション類が乾燥するまで、要介護者がクッション類を利用できない状態が続くことも問題視されている。
図7から分かるように、実施例のマットレスMtは、要介護者に対して、床ずれ防止と快適でリラックスした最適なアライメントを約束することができ、また、介護者にとってもクッション類の設置作業が無くなるため介護者の労力を軽減することができる。
図9を参照して、マットレス本体Mt(Bd)は、仰臥位の人体と接する表面が平面で構成されている。通気性などを念頭に置くと、各人の好みであるが、マットレス本体Mt(Bd)は、特許文献3に見られるように、複数の突起で構成された凹凸性状の表面で構成されているのを好む人がいる。この観点に立脚したときに、突起の形状及び特性に関して検討を加えた。
好ましい突起について、図10ないし図16を参照して説明する。図10において、参照符号10は突起を示す。図10は突起10の断面形状を説明するための図であり、マットレス本体Mt(Bd)の長手方向(図9のD1方向)に沿って突起10を切断した断面図である。突起10は、上下方向に延びる断面矩形の本体部12を有し、突起本体部12の平らな頂面12aによって人体の重量が直接的に受け止められる。突起10は、本体部12の下端に連なるサスペンション部14を有する。サスペンション部14は本体部12よりも幅狭である。
図10において、突起本体部12の幅を「W1」で表し、サスペンション部14の幅を「W2」で表す。ここに、突起本体部12及びサスペンション部14の幅W1、W2は、共にマットレス本体Mt(Bd)の長手方向D1(図9)に沿って延びる幅を意味する。突起本体部12の高さを「H1」で表し、サスペンション部14の高さを「H2」で表す。
図10を参照して説明した突起10の断面形状は、例えば次の突起10の全体形状によって実現できる。
(1)突起10の第1の例が長尺のレール状の形状である(図11)。この長尺の突起10はマットレス本体Mt(Bd)の表面領域に複数の横溝を形成することで作ることができる。このレール状突起を識別するために、図11に図示の長尺の突起10に参照符号(A)を付加してある。前述した図10は、図11のX-X線に沿った断面である。
(2)突起10は、第2の例として、平面視例えば矩形の形状であってもよい(図12)。この平面視矩形の突起10はマットレス本体Mt(Bd)の表面領域に複数の横溝及び縦溝を形成することで作ることができる。平面視矩形の突起を識別するために、突起10に参照符号(B)を付加してある。前述した図10の断面は、図12のX-X線に沿った断面でもある。
サスペンション部14は、互いに対向する面を切り欠いた形状の凹所16によって構成される。図11のレール状突起10(A)では、長手方向D1(図9)に延び且つ互いに対向する第1、第2の面10a、10bに凹所16が設けられる。図12の平面視矩形の突起10(B)では、2組の互いに対向する面のうち、一組の長手方向D1において互いに対向する面10a(1)、10b(1)に凹所16を設けられている。変形例として、2組の互いに対向する面10a(1)と10b(1)及び10a(2)、10b(2)の2つの組の各々に凹所16を設けてもよい(図13)。
図11に図示のレール状突起10(A)は、マットレス本体Mt(Bd)の長手方向D1と直交する横方向D2(図9)に延びている。レール状突起10(A)は、カッティング技術で形成した横溝18(図14、図15)によって形成することができ、マットレス本体Mt(Bd)の横方向D2に沿って複数の横溝18が互いに平行に形成される。
図12、図13の平面視矩形の突起10(B)は、カッティング技術を用いて、マットレス本体Mt(Bd)の長手方向D1に延び且つ互いに平行に延びる複数の縦溝21と、横方向D2に延び且つ互いに平行に延びる複数の横溝18とを所望の特定の領域に格子状に配置することで形成することができる(図16)。
図10を参照して、突起10の下端は支持層19に連なっている。支持層19は「底付き」を阻止できる高さH3を有するのが好ましい。突起10の特性は、突起10に関連した下記の要素によって調整可能である。
(a)突起本体部12の幅W1。
(b)サスペンション部14の幅W2。
(c)突起本体部12の高さH1。
(d)サスペンション部14の高さH2。
(e)突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2の比(W1/W2)。
(f)突起本体部12の高さH1とサスペンション部14の高さH2の比(H1/H2)。
ここに、突起本体部12及びサスペンション部14の幅W1、W2は、前述したように、共にマットレスの長手方向に沿って延びる幅を意味する。
図17を参照して、上記のW1、W2、H1、H2の作用を説明すると、突起本体部12の幅W1は、局所的な重量から受ける圧力に関連している。幅W1が小さければ小さい程、これを受けることのできる局所的な重量を限定することができる。サスペンション部14の幅W2は、突起10による柔らかさの付与に関連している。
同一のウレタン素材のみでシームレスな硬度調整を実現するメカニズムを、図17を参照して説明する。図17は、突起10に関連した作用を時系列で図示している。突起10が荷重Fを受けると(図17の(I))、サスペンション部14が圧縮されて、突起10の高さが低くなる(図17の(II))。突起10は、また、突起本体部12の圧縮をも伴って突起10の高さが更に低くなる(図17の(III))。突起10は、更に、突起本体部12及びサスペンション部14が圧縮される。この突起10の圧縮に対して、突起10は、その下の支持層19によって支えられ、底付きが阻止される。図17から分かるように、突起本体部12、サスペンション部14を含む突起10が、まず「ふわっと」沈み込む。これが第1段の作用である。次に「粘って沈み込む」第2段の作用が続く。そして、この突起10の第1段、第2段の沈み込みを支持層19が「しっかり」と支える。この3つの作用は、実質的に3層構造のマットレスと同等の機能を局部的に発揮することを意味する。
マットレス本体Mt(Bd)は、好ましくは、110N~150N、好ましくは120N~150Nの硬度を有する高反発ポリウレタンフォームが用いられている。ここにウレタン硬度は、JISにおいて、40%圧縮率での応力と定義されている。
マットレス本体Mt(Bd)は、幅W1が25mm以上50mm以下の突起本体部12を備えた複数のレール状突起10(A)で構成された特定領域を有し、この特定領域は、人体の踵58に対応した踵領域である。突起本体部12の幅W1を25mm以上50mm以下に設定することによって、図18から分かるように、踵58の重量をピンポイントで受け止めることができる。そして、踵58の重量が作用した突起10は、その突起本体部12、サスペンション部14の圧縮変形を伴う突起本体部12の傾倒動によって、踵58を柔らかく受け止めることができる。図10を参照して説明した突起本体部12の高さH1は、図17の(III)で図示する第2段目の沈み込みに関連している。サスペンション部14の高さH2(図10)は、図17の(II)を参照して前述した第1段目の沈み込みに関連している。
第1の例のマットレス本体
上記の突起10を適用したマットレス本体Mt(Bd)の第1の例を図14に示す。この第1の例に参照符号Mt(Bd-1)を付してある。第1の例のマットレス本体Mt(Bd-1)は、長手方向D1に区分された3つの領域Ar1ないしAr3を有する。
図14において、(I)はマットレス本体Mt(Bd-1)の平面図であり、(II)はマットレス本体Mt(Bd-1)を長手方向D1に沿って切断した断面図である。第1の領域Ar1は、人体の腰部、胸部、頭部を受ける腰・胸・頭部領域である。第2の領域Ar2は、人体の脚部、臀部を受ける脚・臀部領域である。第3の領域Ar3は、人体の踵58を受ける踵領域である。マットレス本体Mt(Bd-1)は、寝返りが容易という観点に基づいて110N~150N、好ましくは120N~150Nの硬度を有する高反発ポリウレタンフォームを用いて作られる。
図19は、腰・胸・頭部領域Ar1の断面図である。図20は、脚・臀部領域Ar2の断面図である。図21は、踵領域Ar3の断面図である。図19ないし図21において、各領域の突起10(A)に関連した具体的な寸法は次の通りである。
腰・胸・頭部領域Ar1(図19)
(a)突起本体部12の高さH1:20mm
(b)突起本体部12の幅W1:48mm
(c)サスペンション部14の高さH2:20mm
(d)サスペンション部14の幅W2:25mm
(e)突起本体部12の高さH1とサスペンション部14の高さH2との比(H1/H2):20/20=1
(f)突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2との比(W1/W2):48/25=約1.92
(g)隣接する2つのレール状突起10(A)間のピッチ(横溝18の幅)Pi:2mm
脚・臀部領域Ar2(図20)
(a)突起本体部12の高さH1:20mm
(b)突起本体部12の幅W1:53mm
(c)サスペンション部14の高さH2:20mm
(d)サスペンション部14の幅W2:27mm
(e)突起本体部12の高さH1とサスペンション部14の高さH2との比(H1/H2):20/20=1
(f)突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2との比(W1/W2):53/27=約1.96
(g)隣接する2つのレール状突起10(A)間のピッチ(横溝18の幅)Pi:2mm
踵領域Ar3(図21)
(a)突起本体部12の高さH1:20mm
(b)突起本体部12の幅W1:38mm
(c)サスペンション部14の高さH2:20mm
(d)サスペンション部14の幅W2:22mm
(e)突起本体部12の高さH1とサスペンション部14の高さH2との比(H1/H2):20/20=1
(f)突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2との比(W1/W2):38/22=約1.72
(g)隣接する2つのレール状突起10(A)間のピッチ(横溝18の幅)Pi:2mm
突起10に関連した本体部12の高さH1や幅W1、サスペンション部14の高さH2や幅W2などの具体的数値は、使用する高反発ウレタンフォームの特性に基づいて最適化した数値である。したがって、使用する高反発ウレタンフォームの特性が異なれば、突起10に関連した数値が異なると理解されたい。
マットレス本体Mt(Bd-1)において、項目(f)の「突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2との比」は、大きい順から、脚・臀部領域Ar2(図20)、腰・胸・頭部領域Ar1(図19)、踵領域Ar3(図21)である。また、サスペンション部14の幅W2は、脚・臀部領域Ar2、腰・胸・頭部領域Ar1、踵領域Ar3の順に小さい。これにより、各領域の特性は、脚・臀部領域Ar(2)、腰・胸・頭部領域Ar1、踵領域Ar3の順に柔らかくなる。
第1の例の本体Mt(Bd-1)では、上記の要素(a)ないし(f)のうち、3つの要素(b)、(d)、(f)を異ならせることで各領域の高ウレタンフォームの特性を領域Ar1ないしAr3毎に調整したが、異ならせる要素(項目(a)ないし(f))の選定は任意であり、また、各領域の高ウレタンフォームの特性を調整するための複数の要素(項目(a)ないし(f))の組み合わせも任意である。
第2の例のマットレス本体およびその変型例
前述した図15は、第2の例のマットレス本体Mt(Bd-2)を示す。第2の例のマットレス本体Mt(Bd-2)は介護用として設計されている。第2の例のマットレス本体Mt(Bd-2)は、長手方向D1に区分された5つの領域Ar01ないしAr05を有する。
図15の(I)は第2の例の介護用のマットレス本体Mt(Bd-2)の平面図であり、(II)はマットレス本体Mt(Bd-2)を長手方向D1に沿って切断した断面図である。マットレス本体Mt(Bd-2)は、その両側縁に沿って延びるカット無し領域20を有し、左右のカット無し領域20に挟まれた中央部分が複数の領域に区分されている。中央部分の第1の領域Ar01は、人体の頭頚部を受ける領域である。第2の領域Ar02は腰・胸部を受ける領域である。第3の領域Ar03は、人体の臀部を受ける臀部領域である。第4の領域Ar04は、人体の脚部を受ける脚部領域である。第5の領域Ar05は、人体の踵58を受ける踵領域である。
第2の例のマットレス本体Mt(Bd-2)は、第1の例と同様に、110N~150N、好ましくは120N~150Nの硬度の硬度を有する高反発ポリウレタンフォームを用いて作られる。
第1ないし第5の領域Ar01~05の断面形状は、前述した第1の例で説明した構造と実質的に同じであることから、図示を省略する。各領域Ar01~05の突起10(A)に関連した具体的な寸法は次の通りである。
頭頚部領域Ar01
(a)突起本体部12の高さH1:20mm
(b)突起本体部12の幅W1:48mm
(c)サスペンション部14の高さH2:20mm
(d)サスペンション部14の幅W2:25mm
(e)突起本体部12の高さH1とサスペンション部14の高さH2との比(H1/H2):20/20=1
(f)突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2との比(W1/W2):
48/25=1.92
(g)隣接する2つのレール状突起10(A)間のピッチ(横溝18の幅)Pi:2mm
腰・胸部領域Ar02
(a)突起本体部12の高さH1:20mm
(b)突起本体部12の幅W1:53mm
(c)サスペンション部14の高さH2:20mm
(d)サスペンション部14の幅W2:27mm
(e)突起本体部12の高さH1とサスペンション部14の高さH2との比(H1/H2):20/20=1
(f)突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2との比(W1/W2):
53/27=1.96
(g)隣接する2つのレール状突起10(A)間のピッチ(横溝18の幅)Pi:2mm
臀部領域Ar03
(a)突起本体部12の高さH1:20mm
(b)突起本体部12の幅W1:58mm
(c)サスペンション部14の高さH2:20mm
(d)サスペンション部14の幅W2:29mm
(e)突起本体部12の高さH1とサスペンション部14の高さH2との比(H1/H2):20/20=1
(f)突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2との比(W1/W2):
58/29=2
(g)隣接する2つのレール状突起10(A)間のピッチ(横溝18の幅)Pi:2mm
脚部領域Ar04
(a)突起本体部12の高さH1:20mm
(b)突起本体部12の幅W1:48mm
(c)サスペンション部14の高さH2:20mm
(d)サスペンション部14の幅W2:25mm
(e)突起本体部12の高さH1とサスペンション部14の高さH2との比(H1/H2):20/20=1
(f)突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2との比(W1/W2):
48/ 25=1.92
(g)隣接する2つのレール状突起10(A)間のピッチ(横溝18の幅)Pi:2mm
踵領域Ar05:
(a)突起本体部12の高さH1:20mm
(b)突起本体部12の幅W1:38mm
(c)サスペンション部14の高さH2:20mm
(d)サスペンション部14の幅W2:22mm
(e)突起本体部12の高さH1とサスペンション部14の高さH2との比(H1/H2):20/20=1
(f)突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2との比(W1/W2):
38/22=1.72
(g)隣接する2つのレール状突起10(A)間のピッチ(横溝18の幅)Pi:2mm
突起10がレール状突起10(A)であることを前提として、各領域Ar01ないしAr05の幅W1などの上記の数値は次の考察や実験に基づいて設定されている。なお、下記の考察は突起10が平面視矩形の突起10(B)である場合にも、ほぼ同様に適用できると考えられるが、平面視矩形の突起10(B)の方が、レール状の突起10(A)よりも柔らかくなるのは敢えて説明を要するまでもなく自明であることから、平面視矩形の突起10(B)においては、このことを念頭に置いて、W1、W2、W1/W2、H1、H2、H1/H2の値を設定すればよい。
(1)隣接する2つのレール状突起10(A)間のピッチ(横溝18の幅)Piは1~3mmの範囲で極力狭く設定するのが良い。Piの数値が大きすぎると、介護用電動ベッドの背上げ動作時や足上げ動作時に突起10が弾性変形を越えてなぎ倒されてしまう現象(不可逆的な変形)が現れる。
(2)突起本体部12の幅W1とサスペンション部14の幅W2との関係を考察した。突起本体部12の幅W1は、25mm以上85mm以下、好ましくは、30mm以上80mm以下であるのが良く、サスペンション部14の幅W2は、突起本体部12の幅W1の50%~70%の範囲(好ましくは15mm~56mm)に設定するのがよい。これにより、例えば硬度130Nのポリウレタンフォームの見かけ上の硬度を65N~91Nまで柔らかくすることができる。
(3)突起本体部12の高さH1とサスペンション部14の高さH2は、次の式に従うことで、突起10の不可逆的な変形を防止できる。
H1+H2≦W1
(4)突起本体部12の高さH1は、17mm以上32mm以下、好ましくは20mm以上30mm以下であるのが良い。サスペンション部14の高さH2は、突起本体部12の高さH1の100%~150%の範囲に設定するのが良い。
次に領域別の硬度調整について検討した。
(a)踵領域Ar05
人体の踵58をピンポイントで受ける踵領域Ar05は、突起本体部12の幅W1を25mm以上50mm以下、好ましくは25mm以上45mm以下、最も好ましくは30mm以上40mm以下であるのが良い。突起本体部12の幅W1をこのように限定的な値に設定することで、複数のレール状突起10(A)で踵58をピンポイントで受け止めて、柔らかく沈み込ませことができる(図18)。図18から分かるように、突起本体部12やサスペンション部14の圧縮変形及び突起10の首振り動作によって、踵58の形状に沿って体圧分散できるため、踵部の床ずれを防止できる。
(b)脚部領域Ar04
人体の脚部に対応する脚部領域Ar04は、突起本体部12の幅W1を、45mm~75mm、好ましくは50mm~70mm、最も好ましくは50mm~65mmに設定して、浮き上がった下肢や大腿部59の重量をしっかり受けられるよう踵領域より硬めに設定するのが良い。
(c)臀部領域Ar03
人体の臀部は、人体の体重の44%以上の大きな重量を占める。この大きな重量を受けるために、臀部領域Ar03では臀部の沈み込みによって底付きしないように、突起本体部12の幅W1を相対的に大きな値である50mm以上85mm以下、好ましくは55mm以上80mm以下に設定するのが良い。
(d)腰・胸部領域Ar02
臀部に次いで人体の重量を多く受ける腰・胸部領域Ar02は、人体の背中が反り腰にならず骨ばった肩甲骨が圧迫を受けないよう、臀部領域より柔らかめに設定するのが良い。具体的には、突起本体部12の幅W1を典型的には45~65mmに設定するのが良い。
(e)頭頚部領域Ar01
頭部や頸部の重量を受ける頭頸部領域Ar01は、頭部の重量で局所圧がかかって頭部が沈み込んで顎が上がらないよう脚部領域と同程度か、踵領域より硬めに設定するのが良い。具体的には、突起本体部12の幅W1を典型的には45~60mmに設定するのが良い。
上記の各領域Ar01ないしAr05の特性は、臀部領域Ar03、腰・胸部領域Ar02、脚部領域Ar04≒頭頸部領域Ar01(脚部領域Ar04と頭頸部領域Ar01とは同程度の柔らかさ)、踵領域Ar05の順に柔らかくなるように突起10の特性が調整される。上記の各領域Ar01ないしAr05の特性を、人体の各部の重量を受ける圧力に応じた細やかな硬度調整を行うことで、人体の各部を受ける「面」として適度な硬度を提供すると共に、突起本体部12の幅W1を限定的にすることで、図18を参照して前述したように「点」として適度な硬度を提供することができる。
「面」としての作用を図22に基づいて説明すると、図22の(I)に図示の突起本体部12の幅W1(1)は、図22の(II)に図示の突起本体部12の幅W1(2)に比べて大きい(W1(1)>幅W1(2))。突起本体部12の幅W1が大きいと一つの突起10が受ける荷重F1は大きく、突起本体部12の幅W1が小さいと一つの突起10が受ける荷重F2は小さくなるが、円形で図示した人体の部分PAr全体から受ける荷重Fは同じである。
第2の例のマットレス本体Mt(Bd-2)においても、第1の例(図14)と同様に、上記の要素(a)ないし(f)のうち、3つの要素(b)、(d)、(f)を異ならせることで各領域の高反発ウレタンフォームの特性を領域Ar01ないしAr05毎に調整したが、異ならせる要素(項目(a)ないし(f))の選定は任意であり、また、各領域の高反発ウレタンフォームの特性を調整するための複数の要素(項目(a)ないし(f))の組み合わせも任意である。
第2の例のマットレス本体Mt(Bd-2)つまり介護用のマットレス本体は、人体の各部(とくに上肢と下肢、頭頚部)の各重量が、しっかりとマットレスの表面に作用するように、その形態を、上述した隆起形成部材Fpによって三次元形状(コンター形状)にすることで、領域毎の硬度調整と体圧分散性のみならず、呼吸、嚥下に配慮したマットレスを提供することができる。
前述した図16は、第2の例のマットレス本体Mt(Bd-2)の変形例のマットレス本体Mt(Bd-3)を示す。図15の第2の例のマットレス本体Mt(Bd-2)では、互いに平行に延びる複数の横溝18で形成された複数のレール状突起10(A)(図11)で突起10が構成されていたが、図16に図示のマットレス本体Mt(Bd-3)は、格子状に配置した縦溝21、横溝18で形成された複数の平面視矩形の突起10(B)(図12又は図13)で突起10が構成されている。
第2の例のマットレス本体Mt(Bd-2)又は変形例のマットレス本体Mt(Bd-3)の使用態様において、就寝中、仰臥姿勢の要介護者の踵58によって、これを受ける部位の突起10には荷重が作用した状態が長時間に亘って続く。また、マットレス本体Mt(Bd-2)、Mt(Bd-3)は、一般的には介護用電動ベッドに適用される。介護用電動ベッドは、食事やテレビ鑑賞などの際に日常的に背上げが行われ、一定時間以上、背上げした状態が継続される。この使用態様において、マットレス本体Mt(Bd-2)、Mt(Bd-3)は、背上げした介護用電動ベッドによって折り曲げられた湾曲状態が保たれ、この湾曲部位に位置する突起10群には常に力が作用した状態が続く。長時間に亘って荷重を受け続けた突起10は不可逆に変形してしまい、荷重を解除しても元の形状に戻らない現象が発生する可能性がある。この現象の発生を抑制する手段として、マットレス本体Mt(Bd-2)、Mt(Bd-3)に、伸縮性に優れた表皮層TM(図23)を加えるのが良い。表皮層TMとしてポリウレタン(PU)からなるシートを好適に採用することができる。ポリウレタンシートは360度全方位に270%ないし350%の伸縮性を備え、かつ摩擦力の強い素材である。
突起10を備えた高反発素材の部位を「表層部Bo」と呼ぶと、表層部Boの上に表皮層TMを広げ、表層部Boの周縁部分と表皮層TMの周縁部分とを互いに接着することで、伸縮性に優れた表皮層TMを備えたマットレス本体Mt(Bd-2)、Mt(Bd-3)を提供することができる。図24は、表層部Boの周縁部分と表皮層TMの周縁部分とを互いに接着することを説明するための図である。図24において、参照符号Baは接着部位を示す。接着部位Baである周縁部分で囲まれた中央部分Caは接着されない。
伸縮性に優れた表皮層TMを備えたマットレス本体Mt(Bd-2)、Mt(Bd-3)の作用を図18に基づいて説明する。摩擦力の強い表皮層TMは、突起10の表面に沿いながら圧縮、傾倒に追従して伸縮して撓み変形する。荷重が解除されれば、表皮層TMは元の状態に復帰する。表皮層TMの復帰力によって、突起10の原形状への復帰を促すことができる。
図25の参照符号46は、要介護者が仰臥位で横になる位置を介護者に認識させるための目印を示す。図25に図示の目印46は三角形の形状を有し、三角形目印46の頂点が例えば介護用電動ベッドの回転軸位置に整合される。介護者は、目印46を確認しながら、仰臥位の要介護者の寝位置つまり前述した第1部位Mt(Bgy-th)の隆起に対応した骨盤位置を調整できる。具体的に説明すると、介護者は目印46を確認しながら要介護者の寝位置を調整して、要介護者の屈曲点つまり上前腸骨棘~大転子が目印46の位置にくるように、また、前述した第1部位Mt(Bgy-th)の隆起に対応した骨盤位置となるように要介護者を位置決めできる。このことによって、各隆起による要介護者のアライメント保持が可能であり、また、介護用電動ベッドの背上げ時に隆起形成部材Fpによる隆起部Mt(Bgy)の盛り上がりによって座骨結節の前滑りが止まるため、要介護者が滑り座りになるのを防止することができる。
介護用電動ベッドを背上げしたときに、座位バランスや筋力の低下のため、体幹が横倒れし易い。図7を参照して、実施例のマットレスMtを要介護者に適用した場合、第1部位Mt(Bgy-th)、左右の第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)の隆起部Mt(Bgy)によって要介護者が位置決めされる。これにより、例えば、要介護者の頭頚部を安定化することができ、また、横倒れを防止できる。
第4の例のマットレス本体
図26は、第4の例のマットレス本体Mt(Bd-4)を示す。このマットレス本体Mt(Bd-4)は、セミオーダーでユーザの好み、体型、要介護者の状況に適合させるのに容易に対応できるように設計されている。マットレス本体Mt(Bd-4)はフレーム70を有し、例えば領域I、領域II、領域IIIの3つの領域で構成した場合、各領域毎に、その特性が異なる複数のマットレス部分72(1-1)、72(1-2)、72(1-3)を用意し、ユーザの体型、好み、要介護者の状況に適した領域I、領域II、領域III毎のマットレス部分を組み合わせてユーザに提供するようにしてもよい。
第5の例のマットレス本体
図27は、第5の例のマットレス本体Mt(Bd-5)の斜視図である。このマットレス本体Mt(Bd-5)はプロファイル加工機によって作られ、全域に亘って複数の突起10が形成されている。プロファイル加工機によって形成された突起10を「プロファイル突起」と呼び、参照符号(p)を付記する。典型的には、マットレス本体Mt(Bd-5)の平らな底面に、図28に示す第1、第2の隆起部形成部材Fp(1)、Fp(2)を接着することにより隆起部Mt(Bgy)を備えたマットレスMtが形成される。このマットレスMtは、図27に図示の状態つまりマットレスの表面をプロファイル突起10(p)で構成した状態で使用してもよいし、これを上下反転させて、プロファイル突起10(p)が下に位置する状態で使用してもよい。
図28を参照して、第1の隆起部形成部材Fp(1)は、図1を参照して説明したのと同様であってもよいが、ここでは、第1部位Mt(Bgy-th)として、仰臥位の人体の大腿部から踵に亘って延びる長さを有している。第2の隆起部形成部材Fp(2)は、図1を参照して説明したのと同様であり、第2隆起形成部材Fp(2)によって第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)が作られている。変形例として、隆起形成部材Fpを3つの部材で構成し、第1ないし第3の部材で、第1部位Mt(Bgy-th)、第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)の各々の隆起部Mt(Bgy)を作るようにしてもよいのは前述した通りである。
図29の(I)は、第5の例のマットレス本体Mt(Bd-5)の平面図、(II)は右側面図、(III)は左側面図、(IV)、(V)は端面図である。図30はマットレス本体Mt(Bd-5)の底面図である。図29の(I)を参照して、図示の第1領域Ar(p1)は、第1の隆起部形成部材Fp(1)が設置される部位である。図示の第2領域Ar(p2)は、第2の隆起部形成部材Fp(2)が設置される部位である。図示の第3領域Ar(p3)は、第1、第2の隆起部形成部材Fp(1)、Fp(2)が設置されない部位である。すなわち、第1領域Ar(p1)は、大腿部ないし踵が位置する領域である。第2領域Ar(p2)は、肩ないし肘、頭頸部が位置する領域である。第3領域Ar(p3)は、背部、腰部、臀部が位置する領域である。
図31はマットレス本体Mt(Bd-5)の平面図であり、図29に対応した図である。図32は、図31のA―A線に沿った断面図である。図33は、図31のB―B線に沿った断面図である。図34は、図31のC―C線に沿った断面図である。図35は、図31のD―D線に沿った断面図である。
プロファイル突起10(p)の説明において、第1領域Ar(p1)の位置する第1プロファイル突起には参照符号10(p-1)を付し、第2領域Ar(p2)の位置する第2プロファイル突起には参照符号10(p-2)を付し、第3領域Ar(p3)の位置する第3プロファイル突起には参照符号10(p-3)を付して以下に説明する。
図32を参照して、第1領域Ar(p1)に位置する第1プロファイル突起10(p-1)と、この第1領域Ar(p1)に隣接する第3領域Ar(p3)の位置する第3プロファイル突起10(p-3)とは、その高さに高低差があり、特性が異なる。同様に、第2領域Ar(p2)に位置する第2プロファイル突起10(p-2)と、この第2領域Ar(p2)に隣接する第3領域Ar(p3)の位置する第3プロファイル突起10(p-3)とは、その高さに高低差があり、特性が異なる。なお、第1ないし第3のプロファイル突起10(p-1)、10(p-2)、10(p-3)は、各々の領域において、隣接するプロファイル突起10(p)の間のピッチは同じであり、45mmのピッチである。
図32を参照して、第1プロファイル突起10(p-1)の高さH1は、第3プロファイル突起10(p-3)の高さH3に比べて高い(H1>H3)。これにより、第1プロファイル突起10(p-1)と第3プロファイル突起10(p-3)の特性が異なる。図31および図32を参照して、第2プロファイル突起10(p-2)の高さH2は、第3プロファイル突起10(p-3)の高さH3に比べて高い(H2>H3)。これにより、第2プロファイル突起10(p-2)と第3プロファイル突起10(p-3)の特性が異なる。なお、図示のマットレス本体Mt(Bd-5)にあっては、第1プロファイル突起10(p-1)の高さH1は第2プロファイル突起10(p-2)の高さH2と等しい(H1=H2)。変形例として、第1プロファイル突起10(p-1)の高さH1と第2プロファイル突起10(p-2)の高さH2が異なっていてもよい。
図36は、プロファイル加工によって作られるマットレス本体Mt(Bd-5)の製造方法を説明するための図である。図36に図示の参照符号92はプロファイル加工機を示し、94はローラであり、96はカッターである。周知のように、プロファイル加工機92は、その一対のローラ94が凹凸形状の周面を有し、この一対のローラ94の間に板状のポリウレタンフォームワークピース98が通過する時にワークピース98をカッター96によって上下二分割する。すなわち、プロファイル加工機92によって1枚のワークピース98から2枚の成形品つまり2枚のマットレス本体Mt(Bd-5)を作ることができる。
マットレス本体Mt(Bd-5)の板状ワークピース98には、典型的には、その両面の同じ位置に可撓性の成形型部材100が配置される。成形型部材100は、領域によって、上述したプロファイル突起10(p)の高さが異ならせるのに用いられる。成形型部材100は厚みを有するシート状部材であり、好ましくはポリウレタンフォームで作られる。成形型部材100は板状ワークピース98と一緒にプロファイル加工機92を通過する。
図36において、符号100に(1)を付記した第1成形型部材100(1)は図29の第1領域Ar(p1)に対応した形状を有し、そして、第1隆起部形成部材Fp(1)に対応した形状を有する。符号100に(2)を付記した第1成形型部材100(2)は図29の第2領域Ar(p2)に対応した形状を有し、そして、第2隆起部形成部材Fp(2)に対応した形状を有する。
第1、第2成形型部材100(1)、100(2)は、夫々、上述した第1、第2の隆起部形成部材Fp(1)、Fp(2)の配置位置に設置され、そしてプロファイル加工後に剥離される。成形型部材100が配置された領域は、そうでない領域との対比で、一対のローラ94による圧縮率が異なるために、高さの異なるプロファイル突起10(p)を作ることができる。そして、高さの異なるプロファイル突起10(p)は、その特性が異なり、相対的に低い突起10(p-3)は、高い突起10(p-1)、10(p-2)よりも硬い。
図37、図38は、プロファイル突起10(p)の高さ及び特性を領域毎に異ならせるひとつの手法を説明するための図である。マットレス本体Mt(Bd-5)の板状ワークピース98は、領域毎に高さ及び特性の異なる第1素材102、第2素材104、第3素材106で構成してもよい。このように、硬度の異なる第1素材102、第2素材104、第3素材106を横並びに配列した板状ワークピース98の場合、上述した成形型部材100を用いなくても、第1素材102で構成される第1領域、第2素材104で構成される第2領域、第3素材106で構成される第3領域の各領域に存在するプロファイル突起10(p)の特性を変えることができる。もちろん、成形型部材100を使ってプロファイル加工してもよい。図示の例では、隣接する2つの素材102と104、素材104と106との間の接着面Bdは鉛直面で図示されているが、これを例えば傾斜面で構成して接着面Bdの面積を拡大して剥離を防止する、あるいは接着に加えて凹凸嵌合させることにより物理的に剥離防止するのが好ましい。また、横並びに配置して互いに接着された第1素材102、第2素材104、第3素材106の両面の全域に、この全領域に亘って延び且つ厚みを有するシート状の素材108を積層し且つ接着した板状ワークピース98を作成することで接着面Bdの剥離を防止するようにしてもよい。
図39は、プロファイル突起10(p)の高さ及び特性を領域毎に異ならせる自由度を高める手法を説明するための図である。図39を参照して、成形型部材100を設置する領域分けとは異なる領域分けで、硬度の異なる素材110、112、114、116を併置して互いに接着された板状ワークピース120を作成して、この板状ワークピース120に対してプロファイル加工してもよい。これにより、高さ及び特性の異なるプロファイル突起10(p)で構成された多様な領域分けが可能となる。また、上述したシート状の素材108を積層してもよい。
図40、図41は、成形型部材100を使って多層構造の板状ワークピース130をプロファイル加工する例を示す。図40は、上下3層の板状ワークピース130を示す。中間130aを挟む上層130bと下層130cは同じ素材で構成され、中間層130aは、上層130bと下層130cとは異なる素材で構成される。3層構造は一例に過ぎず、5層であってもよいし7層であってもよい。図41は、多層構造の板状ワークピース130をプロファイル加工して作ったマットレス本体Mt(Bd-5)の断面図である。図41から分かるように、多層構造のプロファイル突起10(p)によって高さ及び特性を変えることができる。
図42は、成形型部材100をマットレス本体Mt(Bd-5)の構造材の一部として取り込むことで、プロファイル突起10(p)の高さを含む特性を領域毎に異ならせる手法を説明するための図である。図42に図示のように、マットレス本体Mt(Bd-5)は、プロファイル加工後、成形型部材100を剥離することなく、成形型部材100を構造材の一部として残存させることで部分的に積層した部分多層構造を作ってもよい。必要であれば、マットレス本体Mt(Bd-5)を成形した後に底面の全域に接着したシート素材122または追加の層を有していてもよい。この図42に図示の構造、つまり、成形型部材100をマットレス本体Mt(Bd-5)の構造材の一部として取り込む構造を採用したときには、隆起形成部材Fp無しで、部分的に隆起した隆起部Mt(Bgy)を備えたマットレスMtを構成してもよい。
上述したように、プロファイル加工機を使ったマットレス本体Mt(Bd-5)は、高さ及び特性の異なるプロファイル突起10(p)で任意の領域分けが可能である。図43は、領域分けに関する好ましい例を説明するための図である。図示のマットレス本体Mt(Bd-5)は、7つの特性の異なる領域Ar-1ないしAr-7を有し、各領域毎にプロファイル突起10(p)(図示せず)の高さ及び特性が異なる。第1の領域Ar-1は大腿部の約半分に対応した領域である。第2の領域Ar-2は大腿部の残部から下腿部のふくらはぎに対応した領域である。第3の領域Ar-3は肩、上腕に対応した領域である。第4の領域Ar-4は頸部に対応した領域である。第5の領域Ar-5は背部、腰部、臀部に対応した領域である。第6の領域Ar-6は後頭部に対応した領域である。第7の領域Ar-7は踵に対応した領域である。
各領域のプロファイル突起10(p)の特性つまり硬い、柔らかいは、次の通りである。硬い順から列挙すると、第5領域Ar-5領域、第1領域Ar-1=第2領域Ar-2=第3領域Ar-3=第6領域Ar-6、第4の領域Ar-4=第7領域Ar-7であるのが好ましい。
以上、第5の例のマットレス本体Mt(Bd-5)及びその変形例を説明したが、マットレス本体Mt(Bd-5)及びその変形例は、領域によって高さ及び特性の異なるプロファイル突起10(p)を備えている。このことから、図42に図示の成形型部材100をマットレス本体Mt(Bd-5)の構造材の一部として取り込む構造の場合に説明したように、部分的に隆起した隆起部Mt(Bgy)を備えたマットレスMtを隆起形成部材Fpなしにマットレス本体Mt(Bd-5)及びその変形例だけで構成してもよい。
また、図26を参照して前述した第4の例のマットレス本体Mt(Bd-4)のマットレス部分72(1-1)、72(1-2)、72(1-3)を、プロファイル突起10(p)を備えた部材で構成して、セミオーダーでユーザの好み、体型、要介護者の状況に容易に対応できるように設計してもよい。
また、上述した隆起部Mt(Bgy)を形成するのに、隆起形成部材Fpをマットレス本体Mt(Bd)に接着して一体化してもよいが、マットレス本体Mt(Bd)にポケットを設けて、このポケットに隆起形成部材Fpを抜き差し自在に組み付けるようにしてもよい。図44はマットレスMtの底面図である。マットレスMtには、第1ないし第3の部位Mt(Bgy-th)、Mt(Bgy-sh)、Mt(Bgy-hdn)に対応して収容部30、32、34が形成されている。第1収容部30は第1部位Mt(Bgy-th)に対応している。第2収容部32は第2部位Mt(Bgy-sh)に対応している。第3収容部34は第3部位Mt(Bgy-hdn)に対応している。これら収容部30、32、34は、隆起形成部材Fpを収容するポケットとして機能する。例えば各部位Mt(Bgy-th)、Mt(Bgy-sh)、Mt(Bgy-hdn)に対応して厚さや形状の異なる隆起形成部材Fpを用意し、好みなどに応じて任意の隆起形成部材Fpに収容することができる。
マットレス本体Mt(Bd)にポケットを形成する方法として、例えばマットレス本体Mt(Bd)に対応する大きさのシートをマットレス本体Mt(Bd)に接着し、このシートに第1ないし第3の収容部30、32、34を設ければよい。もちろん、マットレス本体Mt(Bd)の例えば第1部位Mt(Bgy-th)に隆起形成部材Fpを接着し、残る部位については、ポケット方式で隆起形成部材Fpを抜き差し可能にしてもよい。
ポケットを構成する第1ないし第3の収容部30、32、34が上に位置する状態でポケット付きマットレスMtを使っても良いし、第1ないし第3の収容部30、32、34が下に位置する状態でマットレスMtを使っても良い。
図45は、エアバッグで構成された隆起形成部材Fpを示す。図示の参照符号64はエアバルブを示し、66はエア充填器を示す。隆起形成部材Fpをエアバッグで構成することにより、隆起形成部材Fpに充填するエアの量を調整することで、隆起形成部材Fpの高さ、硬さを調整することができる。また、隆起形成部材Fpからエアを抜くことにより隆起形成部材Fpを扁平にすることができる。
図36を参照して前述したように、プロファイル加工機92によって、一枚のワークピース98から2枚のマットレス本体Mt(Bd-5)が作られる。この2枚のマットレス本体Mt(Bd-5)の平らな面を互いに貼り合わせることで、隆起部Mt(Bgy)を備えたマットレスMtを作ってもよい。これによれば、隆起部Mt(Bgy)を備えたマットレスMtは、各マットレス本体Mt(Bd-5)の各領域間でのプロファイル突起10(p)の高低差が2倍になった隆起部Mt(Bgy)を作ることができる(図46)。図46において、プロファイル加工機92によって作った第1のマットレス本体Mt(Bd-5)には、参照符号「(Bd-5)-No.1」を付し、第2のマットレス本体Mt(Bd-5)には、参照符号「(Bd-5)-No.2」を付して識別してある。
第1、第2のマットレス本体Mt(Bd-5)-No.1、Mt(Bd-5)-No.2は、共通のポリウレタンフォームワークピース98から作ってもよいし、異なる硬度のワークピース98から作ってもよい。図47は、異なる硬度のワークピース98から作った2枚のマットレス本体Mt(Bd-5)の平らな面同士を張り合わして2枚のマットレスMtを作った例を説明するための図である。図中、参照符号「98(s)」は相対的に柔らかいワークピースを示し、参照符号「98(h)」は相対的に硬いワークピースを示す。また、柔らかいワークピース98(s)から作ったマットレス本体Mt(Bd-5)には「(s)」を付記し、硬いワークピース98(h)から作ったマットレス本体Mt(Bd-5)には「(h)」を付すと共に、目視での識別を分かり易くするために、柔らかいワークピース98(s)及びこれから作られたマットレス本体Mt(Bd-5)(s)にハッチングを付してある。
変形例として、2枚のマットレス本体Mt(Bd-5)の平らな面の間に、隆起形成部材Fpを介在させた状態で、2枚のマットレス本体Mt(Bd-5)を互いに貼り合わせて、隆起部Mt(Bgy)を備えたマットレスMtを作ってもよい。
以上、プロファイル加工機92を使ってプロファイル突起10(p)の高さ及び特性を領域によって異ならせたマットレス本体Mt(Bd-5)又はマットレスMtを説明した。図48ないし図51は、プロファイル加工機92を使って領域によって異ならせたマットレス本体Mt(Bd-5)又はマットレスMtを説明する。
図48、図49は、プロファイル加工機92で成形する前の準備工程を説明するための図である。準備工程では、板状のワークピース98の一方の面に第1の成形型部材100(1)と第2の成形型部材100(2)が配置される(図48)。ここに、第1の成形型部材100(1)は、図29に図示の第1領域Ar(p1)に対応した形状を有し、そして、第1領域Ar(p1)に対応した位置に配置される。第2の成形型部材100(2)は、図29に図示の第2領域Ar(p2)に対応した形状を有し、そして、第2領域Ar(p2)に対応した位置に配置される(図48)。
図49は、図48に図示のワークピース98を上下反転させた状態を示す図である。ワークピース98の他方の面には、第3の成形型部材100(3)が配置される。第3の成形型部材100(3)は、図29に図示の第3領域Ar(p3)に対応した形状を有し、そして、第3領域Ar(p3)に対応した位置に配置される。すなわち、第3の成形型部材100(3)は、前述した第1、第2の成形型部材100(1)、100(2)とはオフセットした位置に配置される。第1ないし第3の成形型部材100(1)ないし100(3)はプリフォーム加工後に取り外される。
第1ないし第3の成形型部材100(1)ないし100(3)は、同じ材質、同じ肉厚の部材で構成されていてもよいし、異なる材質、異なる肉厚の部材で構成されていてもよい。図示の例では、第1ないし第3の成形型部材100(1)ないし100(3)は、同じ肉厚及び同じ硬度のポリウレタンフォームから作られている。
図50の(I)はプロファイル加工によって成形したマットレス本体Mt(Bd-5)を示す。マットレス本体Mt(Bd-5)は、第1、第2の成形型部材100(1)、100(2)を配置した部位、つまり第1、第2領域Ar(p1)、Ar(p2)と、第3の成形型部材100(3)を配置した部位、つまり第3領域Ar(p3)とで厚さが異なり、第3領域Ar(p3)が相対的に薄い。すなわち、図50の(I)に図示のマットレス本体Mt(Bd-5)は、第1部位Mt(Bgy-th)、第2部位Mt(Bgy-sh)、第3部位Mt(Bgy-hdn)の隆起を備えている。したがって、図50の(I)に図示のマットレス本体Mt(Bd-5)でマットレスMtを構成してもよいが、好ましくはマットレス本体Mt(Bd-5)の平らな面に追加の層140(図50の(II)を接着することでマットレスMtを作るのがよい。変形例として、マットレス本体Mt(Bd-5)に、前述した第1、第2の隆起形成部材Fp(1)、Fp(2)(図1)を設けることでマットレスMtを作ってもよい。また、図51に図示のように、2枚のマットレス本体Mt(Bd-5)の平らな面同士を貼り合わせてマットレスMtを作ってもよいし、2枚のマットレス本体Mt(Bd-5)の間に第1、第2の隆起形成部材Fp(1)、Fp(2)を介在させてもよい。
第6の例のマットレス本体
図52ないし図55は、プロファイル加工機によって作られた第6の例のマットレス本体Mt(Bd-6)を示す。図52はマットレス本体Mt(Bd-6)の斜視図である。図53はマットレス本体Mt(Bd-6)の平面図である。図54は図53のA-A切断線に沿って切断した断面図である。図55は図53のB-B切断線に沿って切断した断面図である。
第6の例のマットレス本体Mt(Bd-6)は、図27などを参照して前述した第5の例のMt(Bd-5)の変形例でもある。マットレス本体Mt(Bd-6)は、第4領域Ar(p4)と、第5領域Ar(p5)1を更に含み、第4領域Ar(p4)は、第1領域Ar(p1)に含まれる踵部位の対応した領域である。この第4領域Ar(p4)を構成する第4プロファイル突起10(p-4)の高さは、第1領域Ar(p1)を構成する第1プロファイル突起10(p-1)の高さよりも低い。
第5領域Ar(p5)は、第3領域Ar(p3)において、第2領域Ar(p2)に隣接する部位、より詳しくは頭頚部に隣接する部位つまり背部の上端部に対応した領域である。この第5領域Ar(p5)を構成する第5プロファイル突起10(p-5)の高さは、第2領域Ar(p2)を構成する第2プロファイル突起10(p-2)の高さよりも低く、第3領域Ar(p3)を構成する第3プロファイル突起10(p-3)の高さよりも高い中間の高さを有している。第5領域Ar(p5)は、第2領域Ar(p2)の肩部を支持する左右の部位まで延びている。
図56は、図53などに図示の第6の例のマットレス本体Mt(Bd-6)の変形例を示し、図54に対応した断面図である。踵部位の対応する第4領域Ar(p4)は、これを構成する第4プロファイル突起10(p-4)が部分的に異なっている。第4プロファイル突起10(p-4)において、第1領域Ar(p1)に近い部分に位置する第4プロファイル突起10(p-4-1)は、第1領域Ar(p1)に遠い部分に位置する第4プロファイル突起10(p-4-2)よりも高い。すなわち、踵部位の対応する第4領域Ar(p4)は、これを構成する第4プロファイル突起10(p-4)の高さが、第1領域Ar(p1)に近い部分では相対的に高く、遠い部分では相対的に低い。この第4プロファイル突起10(p-4)の高さの相違は図示のように段階的に異なっていてもよいし、徐々に異なっていてもよい。
以上、好ましい実施例を説明した。実施例の変形例として、前述したように、隆起部は、「大腿部の付け根」よりやや下方の部位つまり「座骨結節の直前」の部位、好ましくは「大腿部の付け根から膝の真下までは達しない大腿部」の部位、更に好ましくは、実施例で開示したように、「大腿部から下腿部のふくらはぎまでの下肢」の部位に設けるのがよい。また、隆起部は、「肩部」の部位、好ましくは実施例で示したように、「肩から肘までの上腕」の部位に設けるのが良い。人体の各部の位置は、日本人の平均身長に基づいていると理解されたい。本発明に従う「マットレス」は弾性素材で構成されたマットレスを意味している。ここに、弾性素材の典型例はポリウレタンフォームであるが、他に天然ゴム系発泡体、ポリエステル綿圧縮構造体を挙げることができる。
Mt マットレス
Mt(Bd) マットレス本体
Mt(Bgy) 隆起部
Mt(Bgy-th) 第1部位
Mt(Bgy-sh) 第2部位
Mt(Bgy-hdn) 第3部位
10(p) プロファイル突起
Fp 隆起形成部材

Claims (9)

  1. 弾性素材で構成されたマットレスであって、
    該マットレスの一部が隆起した隆起部を有し、
    該隆起部は、
    仰臥位において軽く屈曲した膝関節に連なる大腿部から下腿部のふくらはぎまでの下肢に対応して位置する第1部位を有し、
    該第1部位の隆起によって前記下肢に接触して該下肢を支持することを特徴とするマットレス。
  2. 請求項1に記載のマットレスにおいて、
    前記第1部位の隆起を備えたマットレス本体と、前記第1部位の隆起を形成するための隆起形成部材とを有する、マットレス。
  3. 請求項1に記載のマットレスにおいて、
    前記隆起部は、肩関節から肘までの上腕に対応して位置する第2部位を更に有し、
    該第2部位の隆起によって前記上腕に接触して該上腕を支持する、マットレス。
  4. 請求項3に記載のマットレスにおいて、
    前記第1、第2部位の隆起を備えたマットレス本体と、前記第1、第2部位の隆起を形成するための隆起形成部材とを有する、マットレス。
  5. 請求項3に記載のマットレスにおいて、
    前記隆起部は、頭頸部に対応して位置する第3部位を更に有し、
    該第3部位の隆起によって後頭部を持ち上げて頭頸部が軽度に前屈位した姿勢を作る、マットレス。
  6. 請求項5に記載のマットレスにおいて、
    前記第1ないし第3部位の隆起を備えたマットレス本体と、前記第1ないし第3部位の隆起を形成するための隆起形成部材とを有する、マットレス。
  7. 請求項1、3、5のいずれか一項に記載のマットレスにおいて、
    該マットレスがプロファイル加工機によって作られたプロファイル突起を有し、
    前記隆起部が位置する領域の前記プロファイル突起の第1の高さと、該隆起部が位置しない領域の前記プロファイル突起の第2の高さとが異なり、
    前記第1の高さが前記第2の高さよりも高い、マットレス。
  8. 請求項7に記載のマットレスにおいて、
    前記隆起部が位置する領域に対応する部位に、前記マットレスを局部的に隆起させる隆起形成部材が設けられている、マットレス。
  9. 請求項1、3、5のいずれか一項に記載のマットレスにおいて、
    該マットレスがプロファイル加工機によって作られたプロファイル突起を有し、また、前記プロファイル加工機によって形成された前記隆起部を有する、マットレス。
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