JP2023044526A - 樹脂組成物 - Google Patents

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【課題】大気環境下に曝露された状態でも粘着面の濡れ性が変化しにくく、電子部品を搬送する際に位置ずれや脱落が生じにくい粘着剤層を形成するための樹脂組成物を提供すること。【解決手段】本発明の樹脂組成物は、はく離ライナーR1で粘着面10aが保護された粘着剤層10を形成するために使用されるものである。粘着剤層10は、下記条件T1、T2における粘着面10aに対する水の接触角θ1、θ2の変位Rが5°以下である。T1:23℃環境下ではく離ライナーR1を剥離した直後T2:23℃環境下ではく離ライナーR1を剥離し、粘着面10aを大気環境下で2時間曝露後θ1:T1での粘着面10aの水接触角(°)θ2:T2での粘着面10aの水接触角(°)変位R(°)=θ2-θ1【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。より詳細には、本発明は、半導体チップやLEDチップなどの小型の電子部品の転写に使用される粘着剤層の形成に好適に使用できる樹脂組成物に関する。
半導体装置の製造過程においては、一般に、ダイシングテープ上に仮固定した状態で半導体ウェハをダイシングにより個片化し、個片化された半導体チップはウェハ裏面のダイシングテープ側からピン部材により突き押して、コレットと呼ばれる吸着治具によりピックアップし、回路基板などの実装基板に実装されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、微細加工技術の進歩により半導体チップの小型化、薄型化が進んでおり、コレットで個別にピックアップすることが困難になってきている。また、半導体装置の小型化も進んでおり、多数の微細な半導体チップを実装基板上に密に実装することが要求されてきており、コレットにより個別に実装するのは効率が悪いという問題もあった。
上記の問題を解決する手段として、レーザートランスファーと呼ばれる技術が検討されている(例えば、特許文献2参照)。レーザートランスファーでは、まず、仮固定材上に半導体チップなどの小型(例えば、一辺100μm以下サイズの方形)の電子部品を格子状に配置し、電子部品が配置された面を下方に向けて配置する。次に、該仮固定材の電子部品が配置された面に対向して、電子部品を転写する(受け取る)ための転写用基板を隙間を設けて配置する。次に、仮固定材側から電子部品にレーザー光を照射することにより、仮固定を解除して剥離させ、転写用基板上に落下させることにより転写する。転写用基板に転写された電子部品は、別のキャリア基板に転写して実装基板に実装することができ、或いは、転写用基板から直接実装基板に転写することにより実装することができる。
レーザートランスファーでは、小型の電子部品をコレットなどを用いて機械的にピックアップする必要がなく、複数の電子部品にレーザー光を照射し、掃引することにより光学的な時間スケールで転写することができるため効率が飛躍的に向上する。また、仮固定材と転写用基板を隙間(クリアランス)を設けて配置することにより、電子部品を所望の間隔に調整して電子部品を配列することができるという利点も有する。
レーザートランスファーでは、仮固定材と転写用基板が隙間(クリアランス)を設けて配置されるため、剥離された電子部品が転写用基板に衝突した際に衝撃を受けて破損したり、跳ねて位置ずれが生じたり、裏返るなどの不具合が生じる問題があり、転写用基板の表面には、電子部品が転写用基板に衝突した際の衝撃を緩和するための衝撃吸収性が要求される。一方、受け取った電子部品を搬送する際に、位置ずれや脱落しないような粘着性も要求される。このため、前記転写用基板の表面には、衝撃吸収性と粘着性を兼ね備える粘着剤層が設けられている(例えば、特許文献2)。
特開2019-9203号公報 特開2019-067892公報
上記粘着剤層の表面(粘着面)は、通常は、はく離ライナーで保護され、使用直前にはく離ライナーを剥離して、装置に組み付けられて使用されている。しかしながら、はく離ライナーを剥離して大気環境下に曝露された状態では、粘着面の濡れ性が経時的に変化して、電子部品を搬送する際に位置ずれや脱落が生じるという問題があった。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大気環境下に曝露された状態でも粘着面の濡れ性が変化しにくく、電子部品を搬送する際に位置ずれや脱落が生じにくい粘着剤層を形成するための樹脂組成物を提供することである。
本発明の第1の側面は、樹脂組成物を提供する。本発明の第1の側面の樹脂組成物は、粘着剤層を形成するために使用されるものである。
本明細書において、本発明の第1の側面の樹脂組成物を「本発明の樹脂組成物」、本発明の第1の側面の樹脂組成物により形成される粘着剤層を「本発明の粘着剤層」を称する場合がある。
本発明の粘着剤層は、仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために好適に使用できるものであり、より詳細には、仮固定材上に電子部品が配置された面と対向して隙間を設けて配置され、電子部品を受け取るために好適に使用できるものである。従って、本発明の粘着剤層は、前記電子部品を受け取る際の衝撃を緩和するための衝撃吸収性と、受け取った電子部品を搬送する際に位置ずれや脱落しないような粘着性とを兼ね備えるものである。そして、本発明の樹脂組成物は、そのような衝撃吸収性と、粘着性とを兼ね備える本発明の粘着剤層を形成するために好適に使用できるものである。
本発明の粘着剤層は、その粘着面がはく離ライナーで保護されている。前記はく離ライナーは、本発明の粘着剤層の衝撃吸収性と粘着性を保護するために少なくとも一方の粘着面上に積層されるものであり、本発明の粘着剤層を前記電子部品を受け取るために使用する直前に剥離される。しかし、はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態では、粘着面の濡れ性が経時的に変化して、電子部品を搬送する際に位置ずれや脱落が生じるという問題があった。
本発明の粘着剤層は、下記条件T1、T2における前記粘着面に対する水の接触角θ1、θ2の変位Rが5°以下である。
1:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離した直後
2:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離し、前記粘着面を大気環境下で2時間曝露後
θ1:T1での前記粘着面の水接触角(°)
θ2:T2での前記粘着面の水接触角(°)
変位R(°)=θ2-θ1
本発明の粘着剤層において、前記変位Rが5°以下であるという構成は、はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態でも、粘着面の濡れ性が経時的に変化しにくく、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できるという点で、好適である。
本発明の粘着剤層の前記粘着面に対する下記条件の鉄球落下試験による粘着剤層の沈み込み深さの前記粘着剤層の厚さに対する割合(沈み込み深さ/厚さ×100)は、15%以上であることが好ましい。
鉄球落下試験:1gの鉄球を高さ1mから粘着面に自由落下させる。
前記割合が、15%以上であるという構成は、本発明の粘着剤層が優れた衝撃吸収性を示し、電子部品を受け取る際に、破損したり、跳ねて位置ずれが生じたり、裏返るなどの不具合が生じることを防止できる点で、好ましい。
本発明の粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での初期粘着力F0と、放射線照射後の前記粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での粘着力F1において、下記式で示される放射線照射時粘着力の変化率が95%以下であることが好ましい。

放射線照射時粘着力の変化率(%)=(F0-F1)/F0×100
前記放射線照射時粘着力の変化率が95%以下であるという構成は、前記変位Rを5°以下に調整し、はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態でも、粘着面の濡れ性が経時的に変化しにくく、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できるという点で、好適である。
本発明の粘着剤層の厚みは、1μm以上500μm以下であることが好ましい。本発明の粘着剤層の厚みが1μm以上であるという構成は、電子部品の衝突による衝撃吸収性に優れるという点で、好ましい。また、本発明の粘着剤層の厚みが500μm以下であるという構成は、受け取った電子部品を別のキャリア基板や実装基板へ転写する際の転写性の観点から好ましい。
本発明の樹脂組成物は、アクリル系粘着剤組成物であることが好ましい。本発明の樹脂組成物が、アクリル系粘着剤組成物であるという構成は、前記変位Rを5°以下に調整する粘着剤の設計のしやすさ、透明性、粘着性、コスト等の点で、好ましい。
本発明の粘着剤層は、前記粘着面とは反対側の面に別の粘着剤層が積層されていてもよい。この構成は、前記粘着面において前記変位Rを5°以下に調整し、大気環境下に曝露された状態でも、粘着面の濡れ性が経時的に変化しにくく、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止でき、さらに、前記粘着面とは反対側の面に積層される別の粘着剤層により、電子部品を受け取る際の衝撃吸収性を調整できる点で、好ましい。また、別の粘着剤層を、転写用基板を構成する基材、又はキャリア基板などに貼り合わせることができる。
本発明の粘着剤層(前記別の粘着剤層が積層される場合を含む)は、前記粘着面とは反対側の面に基材層が積層されていてもよい。本発明の粘着剤層が、前記粘着面とは反対側の面に基材層を有することにより、電子部品を受け取る際の安定性や取り扱い性が向上する点で好ましい。
本発明の粘着剤層において、前記基材層の前記粘着剤層が積層されていない面に、別の粘着剤層が積層されていてもよい。前記基材層の前記粘着剤層が積層されていない面に別の粘着剤層が積層されていることにより、例えば、別の粘着剤層をキャリア基板に固定することができ、作業性の観点から好ましい。
前記基材層は、電子部品を受け取る際の安定性や取り扱い性の観点から、ポリエステルフィルムから形成されることが好ましい。
本発明の第2の側面は、本発明の樹脂組成物により形成される粘着剤層を提供する。また、本発明の第3の側面は、本発明の第2の側面の粘着剤層を有する粘着シートを提供する。本発明の第2の側面の粘着剤層、及び本発明の第3の側面の粘着シートは、本発明の粘着剤層を有するため、仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために好適に使用できるものであり、より詳細には、仮固定材上に電子部品が配置された面と対向して隙間を設けて配置され、電子部品を受け取るために好適に使用できるものである。
本発明の樹脂組成物から形成される粘着剤層(本発明の粘着剤層)は、はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態でも、粘着面の濡れ性が経時的に変化しにくく、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できる。従って、本発明の樹脂組成物は、レーザートランスファーに使用される衝撃吸収性と粘着性を兼ね備える粘着剤層を形成するために好適に使用できる。
本発明の粘着剤層を有する粘着シートの一実施形態を示す断面模式図である。 本発明の粘着剤層を有する粘着シートの他の一実施形態を示す断面模式図である。 本発明の粘着剤層を有する粘着シートの他の一実施形態を示す断面模式図である。 本発明の粘着剤層を有する粘着シートの他の一実施形態を示す断面模式図である。 図3に示す粘着シートを用いた電子部品の加工方法の一実施形態における第1工程を表す断面模式図である。 図3に示す粘着シートを用いた電子部品の加工方法の一実施形態における第2工程及び第3工程を表す断面模式図である。
本発明の樹脂組成物は、はく離ライナーで粘着面が保護された粘着剤層(本発明の粘着剤)を形成するために使用されるものである。
本発明の粘着剤層は、半導体チップやLEDチップなどの小型の電子部品を回路基板などの実装基板に移載する加工技術に使用されるものであり、具体的には、仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために使用される粘着剤層、より詳細には、仮固定材上に電子部品が配置された面と対向して隙間を設けて配置され、電子部品を受け取るために使用される粘着剤層として好適に使用されるものである。本発明の粘着剤層を電子部品の移載に使用することにより、複数の電子部品を光学的な時間スケールで本発明の粘着剤層に配置することが可能となり、個別にピックアップする必要がない。本発明の粘着剤層に配置された電子部品は、別のキャリア基板に転写して実装基板に実装することができ、或いは、本発明の粘着剤層から実装基板に直接移載することができるため、製造効率を格段に向上させることができる。本発明の粘着剤層は、前記電子部品を受け取る際の衝撃を緩和するための衝撃吸収性と、受け取った電子部品を搬送する際に位置ずれや脱落しないような粘着性とを兼ね備えるものである。
本発明の粘着剤層は、前記粘着面(粘着剤層表面)を有する限り、その形態は特に限定されない。例えば、片面のみが粘着面である片面粘着シートを構成してもよいし、両面が粘着面である両面粘着シートを構成してもよい。また、本発明の粘着剤層が両面粘着シートを構成する場合、前記両面粘着シートは、両方の粘着面が本発明の粘着剤層により提供される形態を有していてもよいし、一方の粘着面が本発明の粘着剤層により提供され、他方の粘着面が本発明の粘着剤層以外の粘着剤層(本明細書において、「別の粘着剤層」と称する場合がある)により提供される形態を有していてもよい。
本発明の粘着剤層は、基材(基材層)を有しない、いわゆる「基材レスタイプ」の粘着シートを構成してもよいし、基材を有するタイプの粘着シートを構成してもよい。なお、本明細書において、「基材レスタイプ」の粘着シートを「基材レス粘着シート」と称する場合があり、基材を有するタイプの粘着シートを「基材付き粘着シート」と称する場合がある。上記基材レス粘着シートとしては、例えば、本発明の粘着剤層のみからなる両面粘着シートや、本発明の粘着剤層と別の粘着剤層(本発明の粘着剤層以外の粘着剤層)からなる両面粘着シート等が挙げられる。また、上記基材付き粘着シートとしては、例えば、基材の片面側に本発明の粘着剤層を有する片面粘着シートや、基材の両面側に本発明の粘着剤層を有する両面粘着シートや、基材の一方の面側に本発明の粘着剤層を有し、他方の面側に別の粘着剤層を有する両面粘着シートなどが挙げられる。なお、上記の「基材(基材層)」とは、支持体のことであり、本発明の粘着剤層を使用する際には、粘着剤層とともに電子部品を受け取る部分である。粘着剤層の使用時に剥離されるはく離ライナーは、上記基材に含まれない。なお、「粘着シート」には、「粘着テープ」の意味を含むものとする。すなわち、前記粘着シートは、テープ状の形態を有する粘着テープであってもよい。
本発明の粘着剤層の前記粘着面(電子部品を受け取るための粘着面)は、はく離ライナーにより保護されている。前記はく離ライナーは、本発明の粘着剤層の衝撃吸収性と粘着性を保護するために少なくとも一方の粘着面上に積層されるものであり、本発明の粘着剤層を前記電子部品を受け取るために使用される直前に剥離される。
本発明の粘着剤層の実施形態について、図面を参照して、以下に説明するが、本発明の粘着剤層は当該実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の粘着剤層を有する粘着シートの一実施形態を示す断面模式図であり、1は粘着シート、10は粘着剤層、R1、R2ははく離ライナーを示す。
図1に示すように、粘着シート1は、はく離ライナーR1と、粘着剤層10と、はく離ライナーR2が、この順に積層された積層構造を有する。粘着シート1は、半導体チップやLEDチップなどの小型の電子部品を回路基板などの実装基板に実装する加工技術に使用されるものである。粘着シート1において、粘着剤層10は本発明の粘着剤層で構成されるものであり、仮固定材に配置された電子部品を分離し、分離された前記電子部品を受け取るために好適に使用されるものである。はく離ライナーR1は、使用前に粘着剤層10から剥離され、露出した粘着面10aで電子部品を受け取るものである。はく離ライナーR2を剥離することにより露出する粘着面10bは、転写用基板を構成する基材、又はキャリア基板などに貼り合わされる。
図2は、本発明の粘着剤層を有する粘着シートの他の一実施形態を示す断面模式図であり、2は粘着シート、20、21は粘着剤層、R1、R2ははく離ライナーを示す。
図2に示すように、粘着シート2は、はく離ライナーR1と、粘着剤層20と、粘着剤層21と、はく離ライナーR2とが、この順で積層された積層構造を有する。粘着シート2は、半導体チップやLEDチップなどの小型の電子部品を回路基板などの実装基板に実装する加工技術に使用されるものである。粘着シート2において、粘着剤層20は本発明の粘着剤層で構成されるものであり、仮固定材に配置された電子部品を分離し、分離された前記電子部品を受け取るために好適に使用されるものである。粘着シート2において、粘着剤層21は、粘着剤層20と共に、電子部品を受け取る際の衝撃吸収性を調整しうるものである。粘着剤層21は、本発明の粘着剤層で構成されるものであってもよく、本発明の粘着剤層以外の粘着剤層で構成されるものであってもよい。はく離ライナーR1は、使用前に粘着剤層20から剥離され、露出した粘着面20aで電子部品を受け取るものである。はく離ライナーR2を剥離することにより露出する粘着面21bは、転写用基板を構成する基材、又はキャリア基板などに貼り合わされる。
図3は、本発明の粘着剤層を有する粘着シートの他の一実施形態を示す断面模式図であり、3は粘着シート、30は粘着剤層、S1は基材、R1ははく離ライナーを示す。
図3に示すように、粘着シート3は、はく離ライナーR1と、粘着剤層30と、基材S1とが、この順に積層された積層構造を有する。粘着シート3は、半導体チップやLEDチップなどの小型の電子部品を回路基板などの実装基板に実装する加工技術に使用されるものである。粘着シート3において、粘着剤層30は本発明の粘着剤層で構成されるものであり、仮固定材に配置された電子部品を分離し、分離された前記電子部品を受け取るために好適に使用されるものである。粘着シート3において、基材S1は、電子部品を受け取る際の安定性や取り扱い性を向上させるものである。はく離ライナーR1は、使用前に粘着剤層30から剥離され、露出した粘着面30aで電子部品を受け取るものである。
図4は、本発明の粘着剤層を有する粘着シートの他の一実施形態を示す断面模式図であり、4は粘着シート、40、41は粘着剤層、S1は基材、R1,R2ははく離ライナーを示す。
図4に示すように、粘着シート4は、はく離ライナーR1と、粘着剤層40と、基材S1と、粘着剤層41と、はく離ライナーR2が、この順で積層された積層構造を有する。粘着シート4は、半導体チップやLEDチップなどの小型の電子部品を回路基板などの実装基板に実装する加工技術に使用されるものである。粘着シート4において、粘着剤層40は本発明の粘着剤層で構成されるものであり、仮固定材に配置された電子部品を分離し、分離された前記電子部品を受け取るために好適に使用されるものである。粘着シート4において、基材S1は、電子部品を受け取る際の安定性や取り扱い性を向上させるものである。粘着シート4において、粘着剤層41は、粘着剤層40と共に、電子部品を受け取る際の衝撃吸収性を調整しうるものである。粘着剤層41は、本発明の粘着剤層で構成されるものであってもよく、本発明の粘着剤層以外の粘着剤層で構成されるものであってもよい。はく離ライナーR1は、使用前に粘着剤層40から剥離され、露出した粘着面40aで電子部品を受け取るものである。はく離ライナーR2を剥離することにより露出する粘着面41bは、転写用基板を構成する基材、又はキャリア基板などに貼り合わされる。
以下、各構成について、説明する。
(本発明の粘着剤層)
本発明の粘着剤層は、下記条件T1、T2における前記粘着面に対する水の接触角θ1、θ2の変位Rが5°以下である。
1:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離した直後
2:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離し、前記粘着面を大気環境下で2時間曝露後
θ1:T1での前記粘着面の水接触角(°)
θ2:T2での前記粘着面の水接触角(°)
変位R(°)=θ2-θ1
本発明の粘着剤層において、前記変位Rが5°以下であるという構成は、はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態でも、粘着面の濡れ性が経時的に変化しにくく、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できるという点で、好適である。電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できるという点で、前記変位Rは、4.5°以下が好ましく、より好ましく4°以下、さらに好ましくは3.5°以下であり、3°以下、2.5°以下、2°以下、又は1.5°以下であってもよい。
前記変位Rの下限値は、特に限定されないが、前記粘着面を大気環境下で曝露後した場合に粘着面の濡れ性が上昇すると、電子部品を他のキャリア基板や実装基板への転写性が低下する場合がある。電子部品の転写性の観点から、変位Rは、-5°以上が好ましく、より好ましくは-4°以上、さらに好ましくは、-3°以上である。
本発明の粘着剤層において、前記水接触角θ1は、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できるという点で、120°以下が好ましく、118°以下がより好ましい。また、前記水接触角θ1は、電子部品の転写性の観点から、110°以上が好ましく、111°以上がより好ましい。
前記水接触角、及びその変位Rは、具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定されるものである。前記水接触角、及び変位Rは、本発明の粘着剤層を構成する樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)の種類や組成(モノマー組成)や架橋剤の種類や量、粘着剤層の厚みなどにより調整することができる。
本発明の粘着剤層の前記粘着面に対する下記条件の鉄球落下試験による粘着剤層の沈み込み深さの前記粘着剤層の厚さに対する割合(沈み込み深さ/厚さ×100)は、15%以上であることが好ましい。
鉄球落下試験:1gの鉄球を高さ1mから粘着面に自由落下させる。
前記割合(沈み込み深さ/厚さ×100)が、15%以上であるという構成は、本発明の粘着剤層が優れた衝撃吸収性を示し、電子部品を受け取る際に、破損したり、跳ねて位置ずれが生じたり、裏返るなどの不具合が生じることを防止できる点で、好ましい。本発明の粘着剤層が優れた衝撃吸収性の観点から、前記割合は、より好ましくは17%以上であり、さらに好ましくは20%以上であり、特に好ましくは30%以上である。また、他のキャリア基板や実装基板への電子部品の転写性の観点から、前記割合(沈み込み深さ/厚さ×100)は、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。
鉄球落下試験は、具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定されるものである。鉄球落下試験における前記割合(沈み込み深さ/厚さ×100)は、本発明の粘着剤層を構成する樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)の種類や組成(モノマー組成)や架橋剤の種類や量、粘着剤層の厚みなどにより調整することができる。
前記粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での初期粘着力F0と、放射線照射後の前記粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での粘着力F1において、下記式で示される放射線照射時粘着力の変化率が95%以下であることが好ましい。

放射線照射時粘着力の変化率(%)=(F0-F1)/F0×100
前記放射線照射時粘着力の変化率が95%以下であるという構成は、前記変位Rを5°以下に調整し、はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態でも、粘着面の濡れ性が経時的に変化しにくく、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できるという点で、好適である。前記変位Rを5°以下に調整するという観点から、前記放射線照射時粘着力の変化率は、より好ましくは94%以下、さらに好ましくは93%以下であり、90%以下であってもよい。また、他のキャリア基板や実装基板への電子部品の転写性の観点から、前記放射線照射時粘着力の変化率は、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上である。
本発明の粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での初期粘着力F0は、0.1N/20mm以上であることが好ましい。前記初期粘着力F0が0.1N/20mm以上であるという構成は、衝突時の電子部品の跳ねによる位置ずれや裏返りなどを抑制できる点で好ましい。電子部品の位置ずれや裏返りを抑制できる点で、前記初期粘着力F0が0.2N/20mm以上がより好ましく、0.3N/20mm以上であってもよい。前記初期粘着力F0の上限は、特に限定されないが、受け取った電子部品の別のキャリア基板や実装基板への転写性の観点から、好ましくは7.5N/20mm以下、より好ましくは7N/20mm以下、さらに好ましくは6.5N/20mm以下である。なお、初期粘着力は、放射線照射前の粘着力である。
本発明の粘着剤層の前記粘着面の放射線照射後のステンレスに対する常温での粘着力F1は、0.01N/20mm以上であることが好ましい。前記放射線照射後粘着力F1が0.01N/20mm以上であるという構成は、次の工程などへ搬送する際に受け取った電子部品の位置ずれを抑制し保持する点で好ましく、前記放射線照射後粘着力F1は、0.03N/20mm以上がより好ましく、0.05N/20mm以上がさらに好ましい。また、前記放射線照射後粘着力F1は、受け取った電子部品の別のキャリア基板や実装基板への転写性の観点から、好ましくは2N/20mm以下、より好ましくは1.5N/20mm以下である。なお、放射線照射とは、高圧水銀灯の紫外線(特定波長:365nm、積算光量:460mJ/cm2)の照射を意味する。
上記初期粘着力F0、放射線照射後粘着力F1、及びその変化率は、例えば、後掲の実施例に記載の粘着力測定により測定することができるものであり、本発明の粘着剤層を構成する樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)の種類や組成(モノマー組成)や架橋剤の種類や量、粘着剤層の厚み、光重合開始剤の種類や量などにより調整することができる。
本発明の粘着剤層の厚みは1μm以上500μm以下であることが好ましい。本発明の粘着剤層の厚みが1μm以上であるという構成は、粘着剤層の粘着剤ヌケ等を防ぐという点で好ましい。電子部品の衝突による衝撃吸収性の観点から、本発明の粘着剤層の厚みは5μm以上が好ましく、10μm以上、20μm以上、又は30μm以上であってもよい。本発明の粘着剤層の厚みが500μm以下であるという構成は、電子部品の別のキャリア基板や実装基板へ転写する際の転写性の観点から好ましく、400μm以下、又は300μm以下であってもよい。なお、本発明の粘着剤層が、別の粘着剤層との積層構造である場合、前記粘着剤層の厚みは、積層構造全体の厚みである。
本発明の粘着剤層が、別の粘着剤層との積層構造である場合、別の粘着剤層を含まない本発明の粘着剤層の厚みは、1μm以上50μm以下であることが好ましい。本発明の粘着剤層の厚みが1μm以上であるという構成は、粘着面の濡れ性の変化を抑制する観点で好ましく、2μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。また、本発明の粘着剤層の厚みが50μm以下であるという構成は、電子部品の別のキャリア基板や実装基板へ転写する際の転写性の観点から好ましく、40μm以下、30μm以下であってもよい。
本発明の粘着剤層の常温における初期プローブタック値は、5N/cm2以上42N/cm2以下であることが好ましい。前記初期プローブタック値が5N/cm2以上という構成は、電子部品などの粘着剤層への衝突による衝撃を十分に吸収でき、衝突時の電子部品の跳ねによる位置ずれや裏返りなどを抑制できる点で好ましい。電子部品の位置ずれや裏返りを抑制できる点で、上記初期プローブタック値は、8N/cm2以上が好ましく、10N/cm2以上、又は12N/cm2以上であってもよい。また、前記プローブタック値が42N/cm2以下であるという構成は、受け取った電子部品への粘着剤の固着、糊残りを防ぐ観点から好ましく、40N/cm2以下、又は35N/cm2以下であってもよい。なお、初期プローブタック値とは、はく離ライナーを剥離した直後の粘着面のプローブタック値である。
本発明の粘着剤層の前記初期プローブタック値に対する粘着面を大気環境下で2時間曝露後のプローブタック値の変化率は、-14%を超えることが好ましい。前記プローブタック値の変化率が-14%を超えるという構成は、搬送時の電子部品の脱落や位置ずれを抑制できる点で好ましい。電子部品の脱落や位置ずれを抑制できる点で、上記プローブタック値の変化率は、-10%以上が好ましく、-8%以上がより好ましい。また、前記プローブタック値の変化率の上限値は、特に限定されないが、受け取った電子部品を別のキャリア基板や実装基板へ転写する際の転写性の観点から、10%以下が好ましく、5%以下が好ましい。なお、大気環境下で2時間曝露後のプローブタック値は、はく離ライナーを剥離した後に、大気環境下で2時間曝露した後の粘着面のプローブタック値である。また、前記プローブタック値の変化率は、以下の式で求められるものである。

0:初期プローブタック値
1:大気環境下で2時間曝露後のプローブタック値
プローブタック値の変化率=(P1-P0)/P0×100
上記初期プローブタック値、大気環境下で2時間曝露後のプローブタック値、その変化率は、具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定することができるものであり、本発明の粘着剤層を構成する樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)の種類や組成(モノマー組成)や架橋剤の種類や量、粘着剤層の厚みなどにより調整することができる。
本発明の粘着剤層に対する下記条件の熱機械分析(TMA)による沈み込み深さの前記粘着剤層の厚さに対する割合(沈み込み深さ/厚さ×100)は10%以上であることが好ましい。
・熱機械分析(TMA)
プローブ直径:1.0mm
モード:針入モード
押し込み荷重:0.05N
測定雰囲気温度:-40℃
押し込み負荷時間:20分
レーザートランスファー工程においては、光学的な時間スケールで電子部品の転写が完了するため、この時間スケールでの粘着剤の衝撃緩和特性が重要となる。具体的には、光学的な時間スケールとは、レーザー光を掃引する周波数と相関があり、例えば、100kHzなどである。100kHzの周波数領域の粘着剤物性は、温度時間換算則より-40℃の低温領域での粘着剤物性に相当するため、この温度域で粘着剤に荷重を掛けたときの変形量が大きいほど衝撃緩和特性が優れていることを意味する。例えば、熱機械分析(TMA)で-40℃において粘着剤層に荷重を掛けた際の上記割合(沈み込み深さ/厚さ×100)を衝撃緩和特性の指標として用いることが出来る。
-40℃での熱機械分析(TMA)における上記割合(沈み込み深さ/厚さ×100)が10%以上であるという構成は、粘着剤層を薄くしても、電子部品などの衝突による衝撃を十分に吸収でき、電子部品を損傷や位置ずれなく受け取ることができる点で好ましい。電子部品などの衝突による衝撃を十分に吸収できる点から、当該割合は、15%以上が好ましく、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上であってもよい。受け取った電子部品の別のキャリア基板や実装基板への転写性の観点から、上記割合は、95%以下が好ましく、90%以下であってもよい。
上記割合(沈み込み深さ/厚さ×100)は、本発明の粘着剤層を構成する樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)の種類や組成(モノマー組成)や架橋剤の種類や量、粘着剤層の厚みなどにより調整することができる。
レーザートランスファー工程においては、光学的な時間スケールで電子部品の転写が完了するため、この時間スケールでの粘着剤の衝撃緩和特性が重要となる。具体的には、光学的な時間スケールとは、レーザー光を掃引する周波数と相関があり、例えば、100kHzなどである。時間スケールに換算するとおよそ10マイクロ秒であり、この時間スケールでの衝撃に対して粘着剤が応答して変形する必要がある。
本発明の粘着剤層の周波数100kHz、25℃での貯蔵弾性率(Pa)の常用対数(Log10G')は7.5以下であることが好ましい。前記貯蔵弾性率の常用対数が7.5以下であるという構成は、電子部品などの粘着剤層への衝突による衝撃を十分に吸収でき、衝突時の電子部品の跳ねによる位置ずれや裏返りなどを抑制できる点で好ましい。電子部品の衝突による衝撃吸収性の観点から、前記貯蔵弾性率の常用対数は、7.4以下が好ましく、7.3以下、7.2以下、7.1以下、又は7以下であってもよい。本発明の粘着剤層上に受け取った電子部品を搬送する際に位置がずれるのを防ぐ観点から、上記貯蔵弾性率の常用対数は、4以上が好ましく、5以上であってもよい。
本発明の粘着剤層の周波数100kHz、25℃での損失係数(tanδ)は0.8以上であることが好ましい。前記損失係数が0.8以上であるという構成は、前記粘着剤層が光学的な時間スケールにおいて優れた減衰性を示し、電子部品などの粘着剤層への衝突による衝撃を十分に吸収でき、衝突時の電子部品の跳ねによる位置ずれや裏返りなどを抑制できる点で好ましい。電子部品の衝突による衝撃吸収性の観点から、前記損失係数は、0.95以上が好ましく、1.2以上であってもよい。本発明の粘着剤層上に受け取った電子部品を搬送する際に位置がずれるのを防ぐ観点から、前記損失係数は、2.8以下が好ましく、2.3以下であってもよい。
100kHzの周波数領域の粘着剤物性は、温度時間換算則より-40℃の低温領域での粘着剤物性に相当するため、この温度域での粘着剤の衝撃緩和特性も同様に重要である。
本発明の粘着剤層の周波数1Hz、-40℃での貯蔵弾性率(Pa)の常用対数(Log10G')は8.5以下であることが好ましい。前記貯蔵弾性率の常用対数が8.5以下であるという構成は、電子部品などの粘着剤層への衝突による衝撃を十分に吸収でき、衝突時の電子部品の跳ねによる位置ずれや裏返りなどを抑制できる点で好ましい。電子部品の衝突による衝撃吸収性の観点から、前記貯蔵弾性率の常用対数は、8.4以下が好ましく、8.3以下、8.2以下、8.1以下、又は8以下であってもよい。本発明の粘着剤層上に受け取った電子部品を搬送する際に位置がずれるのを防ぐ観点から、上記貯蔵弾性率の常用対数は、4以上が好ましく、5以上であってもよい。
本発明の粘着剤層の周波数1Hz、-40℃での損失係数(tanδ)は0.1以上であることが好ましい。前記損失係数が0.1以上であるという構成は、前記粘着剤層が低温において優れた減衰性を示し、電子部品などの粘着剤層への衝突による衝撃を十分に吸収でき、衝突時の電子部品の跳ねによる位置ずれや裏返りなどを抑制できる点で好ましい。電子部品の衝突による衝撃吸収性の観点から、前記損失係数は、0.2以上が好ましく、0.3以上、0.4以上、又は0.5以上であってもよい。粘着シート上に受け取った電子部品を搬送する際に位置がずれるのを防ぐ観点から、前記損失係数は、2.2以下が好ましく、1.7以下であってもよい。
上記貯蔵弾性率の常用対数、損失係数は、例えば、動的粘弾性測定により測定することができるものであり、本発明の粘着剤層を構成する樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)の種類や組成(モノマー組成)や架橋剤の種類や量などにより調整することができる。
(本発明の樹脂組成物)
本発明の粘着剤層を構成する樹脂組成物(粘着剤組成物)としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤などが挙げられる。粘着剤層を構成する樹脂組成物としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤が好ましく、中でも、本発明の粘着剤層の上記所望の各種物性、特に、前記変位Rを5°以下に調整する粘着剤の設計のしやすさ、透明性、粘着性、コスト等の点より、アクリル系粘着剤が好ましい。つまり、本発明の粘着剤層は、アクリル系粘着剤組成物から構成されたアクリル系粘着剤層であることが好ましい。上記粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系粘着剤組成物は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有する。上記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として、アクリル系モノマー(分子中に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)を含むポリマーである。上記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むポリマーであることが好ましい。なお、アクリル系ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、いずれの形態であってもよい。例えば、粘着剤組成物は、エマルジョン型、溶剤型(溶液型)、活性エネルギー線硬化型、熱溶融型(ホットメルト型)などであってもよい。中でも、生産性の点、光学特性や外観性に優れる粘着剤層が得やすい点より、溶剤型、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物が好ましい。特に、電子部品の衝突による衝撃を吸収し、電子部品の位置ずれや裏返りを抑制できる観点から、溶剤型の粘着剤組成物が好ましい。
つまり、本発明の粘着剤層は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有するアクリル系粘着剤層であり、溶剤型のアクリル系粘着剤組成物により形成されることが好ましい。
上記活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好ましい。即ち、上記活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物は、紫外線硬化型の粘着剤組成物が好ましい。
上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物(アクリル系粘着剤組成物)としては、例えば、アクリル系ポリマーを必須成分とするアクリル系粘着剤組成物、又は、アクリル系ポリマーを構成する単量体(モノマー)の混合物(「モノマー混合物」と称する場合がある)若しくはその部分重合物を必須成分とするアクリル系粘着剤組成物などが挙げられる。前者としては、例えば、いわゆる溶剤型のアクリル系粘着剤組成物などが挙げられる。また。後者としては、例えば、いわゆる活性エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤組成物などが挙げられる。上記「モノマー混合物」とは、ポリマーを構成するモノマー成分を含む混合物を意味する。また、上記「部分重合物」とは、「プレポリマー」と称する場合もあり、上記モノマー混合物中のモノマー成分のうちの1又は2以上のモノマー成分が部分的に重合している組成物を意味する。
上記アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分(単量体成分)として構成(形成)された重合体である。上記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須のモノマー成分として構成(形成)された重合体であることが好ましい。すなわち、上記アクリル系ポリマーは、構成単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち、いずれか一方又は両方)を表し、他も同様である。なお、上記アクリル系ポリマーは、1種又は2種以上のモノマー成分により構成される。
必須のモノマー成分としての上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル(ステアリル(メタ)アクリレート)、イソステアリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの炭素数が1~20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。中でも、上記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数が4~18の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、n-ブチルアクリレート(BA)、ラウリルアクリレート(LA)、ラウリルメタクリレート(LMA)である。また、上記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、特に限定されないが、電子部品の衝突による衝撃を吸収し、電子部品の位置ずれや裏返りを抑制できる観点、搬送中の電子部品の脱落や位置ずれを抑制できる観点から、上記諸特性(特に、衝撃収取性)に制御する観点から、80重量%以上であることが好ましく、85重量%以上、又は90重量%以上であってもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合の上限も、特に限定されないが、99重量%以下、又は98重量%以下であってもよい。
上記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、共重合性モノマーを含んでいてもよい。すなわち、上記アクリル系ポリマーは、構成単位として、共重合性モノマーを含んでいてもよい。なお、共重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、後述の架橋剤や紫外線重合性炭素-炭素二重結合と第2の官能基たるイソシアネート基とを併有するイソシアネート化合物等との反応点になる点、透明性、粘着力の制御等の点より、分子内に水酸基を有するモノマー、分子内にカルボキシル基を有するモノマーが好ましく挙げられる。すなわち、上記アクリル系ポリマーは、構成単位として、分子内に水酸基を有するモノマーを含むことが好ましい。また、上記アクリル系ポリマーは、構成単位として、分子内にカルボキシル基を有するモノマーを含むことが好ましい。
上記分子内に水酸基を有するモノマーは、分子内(1分子内)に水酸基(ヒドロキシル基)を少なくとも1つ有するモノマーであり、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつヒドロキシル基を有するものが好ましく挙げられる。本明細書においては、上記「分子内に水酸基を有するモノマー」を「水酸基含有モノマー」と称する場合がある。なお、水酸基含有モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)などの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;ビニルアルコール;アリルアルコールなどが挙げられる。
中でも、上記水酸基含有モノマーとしては、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、より好ましくはアクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)である。
上記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として上記水酸基含有モノマーを含有する場合、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、上記水酸基含有モノマーの割合は、特に限定されないが、後述の架橋剤や紫外線重合性炭素-炭素二重結合と第2の官能基たるイソシアネート基とを併有するイソシアネート化合物等との反応点になり、架橋度や放射線硬化性を制御する点、透明性、粘着力の制御等の点より、0.5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.8重量%以上であり、さらに好ましくは1重量%以上である。また、上記水酸基含有モノマーの割合の上限は、20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは18重量%以下であり、さらに好ましくは15重量%以下である。
上記分子内にカルボキシル基を有するモノマーは、分子内(1分子内)にカルボキシル基を少なくとも1つ有するモノマーであり、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシル基を有するものが好ましく挙げられる。本明細書においては、上記「分子内にカルボキシル基を有するモノマー」を「カルボキシル基含有モノマー」と称する場合がある。なお、カルボキシル基含有モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げられる。また、上記カルボキシル基含有モノマーには、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマーも含まれるものとする。
中でも、上記カルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸が好ましく、より好ましくはアクリル酸(AA)である。
上記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として上記カルボキシル基含有モノマーを含有する場合、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、上記カルボキシル基含有モノマーの割合は、特に限定されないが、後述の架橋剤や紫外線重合性炭素-炭素二重結合と第2の官能基たるイソシアネート基とを併有するイソシアネート化合物等との反応点になり、架橋度や放射線硬化性を制御する点、透明性、粘着力の制御等の点より、0.5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.8重量%以上であり、さらに好ましくは1重量%以上である。また、上記カルボキシル基含有モノマーの割合の上限は、20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは18重量%以下であり、さらに好ましくは15重量%以下である。
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、上記水酸基含有モノマー及び上記カルボキシル基含有モノマーの割合の合計は、特に限定されないが、後述の架橋剤や紫外線重合性炭素-炭素二重結合と第2の官能基たるイソシアネート基とを併有するイソシアネート化合物等との反応点になる点、透明性、粘着力の制御等の点より、1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは3重量%以上である。また、上記割合の合計の上限は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得る点、透明性に優れる粘着剤層を得る点より、20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは15重量%以下である。
さらに、共重合性モノマーとしては、例えば、多官能性モノマーが挙げられる。上記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。なお、多官能性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として上記多官能性モノマーを含有する場合、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、上記多官能性モノマーの割合は、特に限定されないが、0.5重量%以下(例えば、0重量%を超えて0.5重量%以下)が好ましく、より好ましくは0.2重量%以下(例えば、0重量%を超えて0.2重量%以下)である。
上記のアクリル系ポリマーは、例えばその凝集力や耐熱性等の改質の観点から、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーに由来するモノマーユニットを含んでいてもよい。アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすための他の共重合性モノマーとしては、例えば、窒素含有モノマー、脂環構造含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、および、リン酸基含有モノマーが挙げられる。窒素含有モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルフォリン、アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、およびアクリロニトリルが挙げられる。脂環構造含有モノマーとしては、例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび(メタ)アクリル酸メチルグリシジルが挙げられる。スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、および(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸が挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、例えば2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。
特に限定されないが、上記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)が低いモノマー(以下、「低Tgモノマー」と称する場合がある)が含まれることが好ましい。上記モノマー成分として低Tgモノマーを用いると、当該アクリル系ポリマーを含有する粘着剤が柔らかくなり、本発明の粘着剤層の上記諸特性(特に、衝撃吸収性)を制御し、電子部品の衝突による衝撃を吸収し、電子部品の位置ずれや裏返りを抑制できる観点、搬送中の電子部品の脱落や位置ずれを抑制できる観点から、好ましい。
上記低Tgモノマーのホモポリマーを形成した際のガラス転移温度は、特に限定されないが、例えば、0℃以下であり、好ましくは-10℃以下、より好ましくは-25℃以下である。上記低TgモノマーのTgが上記範囲であることにより、粘着剤層の衝撃吸収性が上がる。
上記低Tgモノマーは、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分に含まれるモノマーとして例示した上述のモノマーであってもよいし、それ以外のモノマーであってもよい。特に、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、上述のアクリル系ポリマーを構成するモノマー成分として例示したモノマーであって、且つ、低Tgモノマーであるモノマー成分を含むことが好ましい。上記低Tgモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記低Tgモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸2-エチルヘキシル(EHA、ホモポリマーのTg:-70℃)、アクリル酸ブチル(BA、ホモポリマーのTg:-55℃)、メタクリル酸ラウリル(LMA、ホモポリマーのTg:-65℃)、アクリル酸ラウリル(LA、ホモポリマーのTg:-23℃)、アクリル酸イソノニル(iNAA、ホモポリマーのTg:-58℃)等が挙げられ、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリルが好ましい。
上記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として上記低Tgモノマーを含有する場合、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、上記低Tgモノマーの割合は、特に限定されないが、80重量%以上であることが好ましく、85重量%以上、又は90重量%以上であってもよい。低Tgモノマーの割合の上限も、特に限定されないが、99重量%以下、又は98重量%以下であってもよい。低Tgモノマーの割合が上記範囲内であると、上記諸特性(特に、衝撃吸収性)を制御し、電子部品の衝突による衝撃を吸収し、電子部品の位置ずれや裏返りを抑制できる観点、搬送中の電子部品の脱落や位置ずれを抑制できる観点から、好ましい。なお、ポリマーを構成するモノマー成分中に2種以上の低Tgモノマーが含まれる場合は、上記「低Tgモノマーの割合」は、上記2種以上の低Tgモノマーの割合の合計である。
本発明の粘着剤層中のベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)の含有量は、特に限定されないが、本発明の粘着剤層の総重量100重量%に対して、50重量%以上(例えば、50~100重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上(例えば、80~100重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、90~100重量%)である。
本発明の粘着剤組成物が含有する、上記アクリル系ポリマーなどのベースポリマーは、モノマー成分を重合することにより得られる。この重合方法としては、特に限定されないが、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。中でも、粘着剤層の透明性、コストなどの点より、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましく、溶液重合方法がより好ましい。
また、上記のモノマー成分の重合に際しては、各種の一般的な溶剤が用いられてもよい。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。なお、溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記のモノマー成分の重合に際しては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などの重合開始剤が用いられてもよい。なお、重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルマレエート等)、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。中でも、特開2002-69411号公報に開示されたアゾ系重合開始剤が好ましい。上記アゾ系重合開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と称する場合がある)、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(以下、「AMBN」と称する場合がある)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリアン酸などが挙げられる。なお、熱重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系ポリマーの重合の際に上記アゾ系重合開始剤を用いる場合、上記アゾ系重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分100重量部に対して、0.05重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、0.5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.3重量部以下である。
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。他にも、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤が挙げられる。上記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。上記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。上記α-ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。上記光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム等が挙げられる。上記ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン等が挙げられる。上記ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジル等が挙げられる。上記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。上記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。上記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。上記アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。上記チタノセン系光重合開始剤としては、例えば、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等が挙げられる。なお、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系ポリマーの重合の際に上記光重合開始剤を用いる場合、上記光重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分100重量部に対して、0.01重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、3重量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.5重量部以下である。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態で粘着面の濡れ性が経時的に変化する原因は、はく離ライナーの表面に形成された剥離層に含まれる剥離剤が粘着剤層に移行し、粘着剤層に移行した剥離剤が、粘着面の表面にブリードアウトするためと考えられる。従って、アクリル系粘着剤層におけるアクリル系ポリマーを架橋し、粘着剤層に移行した剥離剤の粘着剤層内での移動を抑制して、粘着面の表面への剥離剤のブリードアウトを抑制することにより、粘着面の濡れ性の経時的変化を抑制することができると考えられる。なお、これは推測であり、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましく、より好ましくはイソシアネート系架橋剤である。
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられる。また、上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業株式会社製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートHL」、日本ポリウレタン工業株式会社製)、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物(商品名「タケネートD-110N」、三井化学株式会社製)などの市販品も挙げられる。
上記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。また、上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学株式会社製)などの市販品も挙げられる。
アクリル系粘着剤組成物が架橋剤を含む場合、上記架橋剤の使用量は、特に限定されないが、前記変位Rを制御して、搬送中の電子部品の脱落や位置ずれを抑制できる観点から、ベースポリマー100重量部に対して、1重量部以上であることが好ましく、より好ましくは1.5重量部以上、さらに好ましくは2重量部以上である。また、上記使用量の上限は、粘着剤層において適度な柔軟性を得て、粘着力を向上させる点より、ベースポリマー100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは5重量部以下である。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、特に限定されないが、架橋促進剤を含んでいてもよい。架橋促進剤の種類は、使用する架橋剤の種類に応じて適宜選択することができる。なお、本明細書において、架橋促進剤とは、架橋剤による架橋反応の速度を高める触媒を指す。かかる架橋促進剤としては、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、テトラ-n-ブチル錫、トリメチル錫ヒドロキシド等の錫(Sn)含有化合物;N,N,N',N'-テトラメチルヘキサンジアミンやトリエチルアミン等のアミン類、イミダゾール類等のN含有化合物;等が例示される。なかでも、Sn含有化合物が好ましい。これら架橋促進剤の使用は、上記副モノマーとしてヒドロキシル基含有モノマーを用い、かつ架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を用いた場合に特に効果的である。上記粘着剤組成物に含まれる架橋促進剤の量は、上記アクリル系ポリマー100質量部に対し、例えば、0.001~0.5質量部程度(好ましくは0.001~0.1質量部程度)とすることができる。
本発明の粘着剤層は、外部からの作用によって意図的に粘着力を低減させることが可能な粘着剤層(粘着力低減可能型粘着剤層)であってもよいし、外部からの作用によっては粘着力がほとんど又は全く低減しない粘着剤層(粘着力非低減型粘着剤層)であってもよく、電子部品を実装する手法や条件等に応じて適宜に選択することができる。
本発明の粘着剤層が粘着力低減可能型粘着剤層である場合、本発明の粘着剤層が相対的に高い粘着力を示す状態と相対的に低い粘着力を示す状態とを使い分けることが可能となる。例えば、本発明の粘着剤層が電子部品を受け取る(転写する)工程では、本発明の粘着剤層が相対的に高い粘着力を示す状態を利用して、電子部品などの粘着剤層への衝突による衝撃を十分に吸収でき、衝突時の電子部品の跳ねによる位置ずれや裏返りなどを抑制できる。一方で、その後、受け取った電子部品を別のキャリア基板や実装基板へ転写する過程では、本発明の粘着剤層の粘着力を低減させることで、転写性(受け渡し性)の向上や電子部品への糊残りを抑制することができる。
このような粘着力低減可能型粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、放射線硬化性粘着剤、加熱発泡型粘着剤等が挙げられ、放射線硬化性粘着剤が操作性の点で好ましい。すなわち、本発明の粘着剤層は放射線硬化性粘着剤から形成されることが好ましい。粘着力低減可能型粘着剤層を形成する粘着剤としては、一種の粘着剤を使用してもよいし、二種以上の粘着剤を使用してもよい。
上記放射線硬化性粘着剤としては、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、又はX線の照射により硬化するタイプの粘着剤を用いることができ、紫外線照射によって硬化するタイプの粘着剤(紫外線硬化性粘着剤)を特に好ましく用いることができる。
上記放射線硬化性粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマー等のベースポリマーと、放射線重合性の炭素-炭素二重結合等の官能基を有する放射線重合性のモノマー成分やオリゴマー成分とを含有する添加型の放射線硬化性粘着剤が挙げられる。ベースポリマーとしては、上記と同様のアクリル系ポリマーを使用することができる。
上記放射線重合性のモノマー成分としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等挙げられる。上記放射線重合性のオリゴマー成分としては、例えば、ウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等の種々のオリゴマーが挙げられ、分子量が100~30000程度のものが好ましい。本発明の粘着剤層を形成する放射線硬化性粘着剤中の上記放射線硬化性のモノマー成分及びオリゴマー成分の含有量は、上記ベースポリマー100質量部に対して、例えば5~500質量部、好ましくは40~150質量部程度である。また、添加型の放射線硬化性粘着剤としては、例えば特開昭60-196956号公報に開示のものを用いてもよい。
上記放射線硬化性粘着剤としては、放射線重合性の炭素-炭素二重結合等の官能基をポリマー側鎖や、ポリマー主鎖中、ポリマー主鎖末端に有するベースポリマーを含有する内在型の放射線硬化性粘着剤も挙げられる。このような内在型の放射線硬化性粘着剤を用いると、形成された粘着剤層内での低分子量成分の移動に起因する粘着特性の意図しない経時的変化を抑制することができる傾向がある。
上記内在型の放射線硬化性粘着剤に含有されるベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーが好ましい。アクリル系ポリマーへの放射線重合性の炭素-炭素二重結合の導入方法としては、例えば、第1の官能基を有するモノマー成分を含む原料モノマーを重合(共重合)させてアクリル系ポリマーを得た後、上記第1の官能基と反応し得る第2の官能基及び放射線重合性の炭素-炭素二重結合を有する化合物を、炭素-炭素二重結合の放射線重合性を維持したままアクリル系ポリマーに対して縮合反応又は付加反応させる方法が挙げられる。
上記第1の官能基と上記第2の官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシ基とエポキシ基、エポキシ基とカルボキシ基、カルボキシ基とアジリジル基、アジリジル基とカルボキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、イソシアネート基とヒドロキシ基等が挙げられる。これらの中でも、反応追跡の容易さの観点から、ヒドロキシ基とイソシアネート基の組み合わせ、イソシアネート基とヒドロキシ基の組み合わせが好ましい。中でも、反応性の高いイソシアネート基を有するポリマーを作製することは技術的難易度が高く、一方でヒドロキシ基を有するアクリル系ポリマーの作製及び入手の容易性の観点から、上記第1の官能基がヒドロキシ基であり、上記第2の官能基がイソシアネート基である組み合わせが好ましい。イソシアネート基及び放射性重合性の炭素-炭素二重結合を有する化合物、すなわち、放射線重合性の不飽和官能基含有イソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、ヒドロキシ基を有するアクリル系ポリマーとしては、上述のヒドロキシ基含有モノマーや、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテル等のエーテル系化合物に由来する構成単位を含むものが挙げられる。
上記の放射線重合性の不飽和官能基含有イソシアネート化合物を使用する場合、本発明の粘着剤層を形成する放射線硬化性粘着剤中の上記放射線重合性の不飽和官能基含有イソシアネート化合物の含有量は、上記ベースポリマー100質量部に対して、例えば5~100質量部、好ましくは7~50質量部程度である。
上記放射線硬化性粘着剤は、光重合開始剤を含有することが好ましい。上記光重合開始剤としては、例えば、α-ケトール系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール系化合物、芳香族スルホニルクロリド系化合物、光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート等が挙げられる。上記α-ケトール系化合物としては、例えば、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α’-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。上記アセトフェノン系化合物としては、例えば、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1等が挙げられる。上記ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等が挙げられる。上記ケタール系化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系化合物としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロリド等が挙げられる。上記光活性オキシム系化合物としては、例えば、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム等が挙げられる。上記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。上記チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。放射線硬化性粘着剤中の光重合開始剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、例えば0.05~20質量部である。
上記加熱発泡型粘着剤は、加熱によって発泡や膨張をする成分(発泡剤、熱膨張性微小球等)を含有する粘着剤である。上記発泡剤としては、種々の無機系発泡剤や有機系発泡剤が挙げられる。上記無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類等が挙げられる。上記有機系発泡剤としては、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等の塩フッ化アルカン;アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ系化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等のヒドラジン系化合物;p-トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等のセミカルバジド系化合物;5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等のトリアゾール系化合物;N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド等のN-ニトロソ系化合物等が挙げられる。上記熱膨張性微小球としては、例えば、加熱によって容易にガス化して膨張する物質が殻内に封入された構成の微小球が挙げられる。上記加熱によって容易にガス化して膨張する物質としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタン等が挙げられる。加熱によって容易にガス化して膨張する物質をコアセルベーション法や界面重合法等によって殻形成物質内に封入することによって、熱膨張性微小球を作製することができる。上記殻形成物質としては、熱溶融性を示す物質や、封入物質の熱膨張の作用によって破裂し得る物質を用いることができる。そのような物質としては、例えば、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。
上記粘着力非低減型粘着剤層としては、例えば、感圧型粘着剤層が挙げられる。なお、感圧型粘着剤層には、粘着力低減可能型粘着剤層に関して上述した放射線硬化性粘着剤から形成された粘着剤層を予め放射線照射によって硬化させつつも一定の粘着力を有する形態の粘着剤層が含まれる。粘着力非低減型粘着剤層を形成する粘着剤としては、一種の粘着剤を使用してもよいし、二種以上の粘着剤を使用してもよい。また、本発明の粘着剤層の全体が粘着力非低減型粘着剤層であってもよいし、一部が粘着力非低減型粘着剤層であってもよい。例えば、本発明の粘着剤層が単層構造を有する場合、本発明の粘着剤層の全体が粘着力非低減型粘着剤層であってもよいし、本発明の粘着剤層における特定の部位が粘着力非低減型粘着剤層であり、他の部位が粘着力低減可能型粘着剤層であってもよい。また、本発明の粘着剤層が積層構造を有する場合、積層構造における全ての粘着剤層が粘着力非低減型粘着剤層であってもよいし、積層構造中の一部の粘着剤層が粘着力非低減型粘着剤層であってもよい。
放射線硬化性粘着剤から形成された粘着剤層(放射線未照射放射線硬化型粘着剤層)を予め放射線照射によって硬化させた形態の粘着剤層(放射線照射済放射線硬化型粘着剤層)は、放射線照射によって粘着力が低減されているとしても、含有するポリマー成分に起因する粘着性を示し、本発明の粘着剤層に最低限必要な粘着力を発揮することが可能である。放射線照射済放射線硬化型粘着剤層を用いる場合、本発明の粘着剤層の面広がり方向において、本発明の粘着剤層の全体が放射線照射済放射線硬化型粘着剤層であってもよく、本発明の粘着剤層の一部が放射線照射済放射線硬化型粘着剤層であり且つ他の部分が放射線未照射の放射線硬化型粘着剤層であってもよい。なお、本明細書において、「放射線硬化型粘着剤層」とは、放射線硬化性粘着剤から形成された粘着剤層をいい、放射線硬化性を有する放射線未照射放射線硬化型粘着剤層及び当該粘着剤層が放射線照射により硬化した後の放射線硬化済放射線硬化型粘着剤層の両方を含む。
上記感圧型粘着剤層を形成する粘着剤としては、公知乃至慣用の感圧型の粘着剤を用いることができ、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤を好ましく用いることができる。本発明の粘着剤層が感圧型の粘着剤としてアクリル系ポリマーを含有する場合、当該アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を質量割合で最も多い構成単位として含むポリマーであることが好ましい。上記アクリル系ポリマーとしては、例えば、上述の添加型の放射線硬化性粘着剤に含まれ得るアクリル系ポリマーとして説明されたアクリル系ポリマーを採用することができる。
上記シリコーン系粘着剤としては、特に制限されず、公知乃至慣用のシリコーン系粘着剤を用いることができ、例えば、付加型シリコーン系粘着剤、過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤、縮合型シリコーン系粘着剤などを用いることができる。シリコーン系粘着剤は1液型、2液型のいずれであってもよい。シリコーン系粘着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記付加型シリコーン系粘着剤は、一般に、ケイ素原子にビニル基等のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンとを、塩化白金酸等の白金化合物触媒を用いて付加反応(ヒドロシリル化反応)させることによりシリコーン系ポリマーを生成させる粘着剤である。過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤は、一般に、オルガノポリシロキサンを過酸化物により硬化(架橋)させてシリコーン系ポリマーを生成させる粘着剤である。また、縮合型シリコーン系粘着剤は、一般に、末端にシラノール基又はアルコキシシリル基等の加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサン間の脱水又は脱アルコール反応によりシリコーン系ポリマーを生成させる粘着剤である。
シリコーン系粘着剤としては、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点、粘着面の濡れ性の経時的変化を抑制して、搬送中の電子部品の脱落や位置ずれを抑制できる観点より、例えば、シリコーンゴムとシリコーンレジンとを含有するシリコーン系粘着剤組成物が挙げられる。
前記シリコーンゴムとしては、シリコーン系のゴム成分であれば特に制限されないが、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどを主な構成単位とするオルガノポリシロキサンを使用できる。また、反応の型に応じて、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーン系ゴム(アルケニル基含有オルガノポリシロキサン;付加反応型の場合)、メチル基を少なくとも有するシリコーン系ゴム(過酸化物硬化型の場合)、末端にシラノール基又は加水分解性のアルコキシシリル基を有するシリコーン系ゴム(縮合型の場合)などを用いることができる。なお、シリコーンゴムにおけるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、通常、15万以上であるが、好ましくは28万~100万であり、特に50万~90万が好適である。
また、前記シリコーンレジンとしては、シリコーン系粘着剤に使用されているシリコーン系のレジンであれば特に制限されないが、例えば、構成単位「R3Si1/2」からなるM単位、構成単位「SiO2」からなるQ単位、構成単位「RSiO3/2」からなるT単位、および構成単位「R2SiO」からなるD単位から選択される少なくとも1種の単位を有する(共)重合体からなるオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジンなどが挙げられる。なお、前記構成単位におけるRは炭化水素基又はヒドロキシル基を示す。前記炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(メチル基、エチル基等のアルキル基など)、脂環式炭化水素基(シクロヘキシル基等のシクロアルキル基など)、芳香族炭化水素基(フェニル基、ナフチル基等のアリール基など)などが挙げられる。前記M単位と、Q単位、T単位およびD単位から選択された少なくとも1種の単位との割合(比)としては、例えば、前者/後者(モル比)=0.3/1~1.5/1(好ましくは0.5/1~1.3/1)程度であることが望ましい。このようなシリコーンレジンにおけるオルガノポリシロキサンには、必要に応じて、ビニル基等の各種官能基が導入されていてもよい。なお、導入される官能基は、架橋反応を生じることが可能な官能基であってもよい。シリコーンレジンとしては、M単位とQ単位からなるMQレジンが好ましい。シリコーンレジンにおけるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、通常、1000以上であるが、好ましくは1000~20000であり、特に1500~10000が好適である。
シリコーンゴムとシリコーンレジンとの配合割合としては、特に制限されないが、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点より、例えば、シリコーンゴム100重量部に対して、シリコーンレジンが100~220重量部(特に、120~180重量部)であることが好ましい。
なお、シリコーンゴムとシリコーンレジンとを含有するシリコーン系粘着剤組成物において、シリコーンゴムとシリコーンレジンとは、単に混合されている混合状態であってもよく、互いに反応して、縮合物(特に部分縮合物)、架橋反応物、付加反応生成物等となっていてもよい。
付加型シリコーン系粘着剤として、例えば、商品名「SD4580」、商品名「SD4584」、商品名「SD4585」、商品名「SD4587L」、商品名「SD4560」、商品名「SD4570」、商品名「SD4600FC」、商品名「SD4593」、商品名「SE1700」(以上、ダウ・東レ株式会社製);商品名「KR-3700」、商品名「KR-3701」、商品名「X-40-3237-1」、商品名「X-40-3240」、商品名「X-40-3291-1」、商品名「X-40-3306」(以上、信越化学工業株式会社製)が市販されている。また、過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤として、例えば、商品名「KR-100」、商品名「KR-101-10」、商品名「KR-130」(以上、信越化学工業株式会社製)などが市販されている。
シリコーンゴムとシリコーンレジンとを含有するシリコーン系粘着剤組成物は、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点、粘着面の濡れ性の経時的変化を抑制して、搬送中の電子部品の脱落や位置ずれを抑制できる観点より、架橋剤を含んでいることが好ましい。はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態で粘着面の濡れ性が経時的に変化する原因は、はく離ライナーの表面に形成された剥離層に含まれる剥離剤が粘着剤層に移行し、粘着剤層に移行した剥離剤が、粘着面の表面にブリードアウトするためと考えられる。従って、シリコーン系粘着剤層におけるシリコーンゴムとシリコーンレジンを架橋し、粘着剤層に移行した剥離剤の粘着剤層内での移動を抑制して、粘着面の表面への剥離剤のブリードアウトを抑制することにより、粘着面の濡れ性の経時的変化を抑制することができると考えられる。なお、これは推測であり、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。このような架橋剤としては、特に制限されないが、シロキサン系架橋剤(シリコーン系架橋剤)、過酸化物系架橋剤を好適に用いることができる。中でも、シロキサン系架橋剤が好ましい。架橋剤は1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記シロキサン系架橋剤としては、例えば、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンを好適に用いることができる。このようなポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおいて、水素原子が結合しているケイ素原子には、水素原子以外に各種有機基が結合していてもよい。該有機基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;フェニル基等のアリール基の他、ハロゲン化アルキル基などが挙げられるが、合成や取り扱いの観点から、メチル基が好ましい。また、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの骨格構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれの骨格構造を有していてもよいが、直鎖状が好適である。
前記過酸化物系架橋剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド、アルキルパーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、モノパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイドなどを使用できる。より具体的には、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキサン、2,4-ジクロロ-ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシ-ジイソプロピルベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキシン-3などが挙げられる。
シロキサン系架橋剤として、例えば、商品名「BY24-741」、商品名「SE1700Catalyst」(以上、ダウ・東レ株式会社製);商品名「X-92-122」(以上、信越化学工業株式会社製)が市販されている。
シリコーン系粘着剤組成物が架橋剤を含む場合、上記架橋剤の使用量は、特に限定されないが、低粘着性、低タック性を制御して、搬送中の電子部品の脱落や位置ずれを抑制できる観点から、ベースポリマー100重量部に対して、0.5重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.7重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上である。また、上記使用量の上限は、粘着剤層において適度な柔軟性を得て、粘着力を向上させる点より、ベースポリマー100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは5重量部以下である。
前記付加型シリコーン系粘着剤組成物には、白金触媒などの硬化触媒を含むことが好ましい。白金触媒として、例えば、商品名「CAT-PL-50T」(信越化学工業株式会社製)、「DOWSIL NC-25 Catalyst」または「DOWSIL SRX212 Catalyst」(以上、ダウ・東レ株式会社製)などが市販されている。粘着剤層の電子部品の受け取り性、位置精度、実装基板への転写性やタック力等のバランスの観点から、硬化触媒の含有量は、ベースポリマーとしてのシリコーン系ポリマー(シリコーンゴム、シリコーンレジン等を含む)100重量部に対して、0.1~10重量部程度が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノールなど)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。なお、このような添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着剤層(特に、アクリル系粘着剤層)の作製方法は、特に限定されないが、例えば、上記樹脂組成物を基材又ははく離ライナー上に塗布(塗工)し、得られた粘着剤組成物層を乾燥硬化させることや、上記樹脂組成物を基材又ははく離ライナー上に塗布(塗工)し、得られた粘着剤組成物層に活性エネルギー線を照射して硬化させることが挙げられる。また、必要に応じて、さらに、加熱乾燥してもよい。
上記活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に制限されない。
上記樹脂組成物は、公知乃至慣用の方法で作製することができる。例えば、溶剤型のアクリル系粘着剤組成物は、上記アクリル系ポリマーを含有する溶液に、必要に応じて、添加剤(例えば、紫外線吸収剤など)を混合することにより、作製することができる。例えば、活性エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤組成物は、上記アクリル系モノマーの混合物又はその部分重合物に、必要に応じて、添加剤(例えば、紫外線吸収剤など)を混合することにより、作製することができる。
なお、上記樹脂組成物の塗布(塗工)には、公知のコーティング法を利用してもよい。例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどのコーターが用いられてもよい。
特に、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物により粘着剤層を形成する場合、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。なお、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物が紫外線吸収剤を含有する場合には、光重合開始剤として、広い波長範囲で吸光特性を有する光重合開始剤を少なくとも含むことが好ましい。例えば、紫外光に加え、可視光でも吸光特性を有する光重合開始剤を少なくとも含むことが好ましい。これは、紫外線吸収剤の作用により活性エネルギー線による硬化の阻害が懸念されるところ、広い波長範囲で吸光特性を有する光重合開始剤を含んでいると、粘着剤組成物において高い光硬化性が得やすくなるからである。
(はく離ライナー)
本発明の粘着剤層及び/又は別の粘着剤層の粘着面は、使用時までははく離ライナーにより保護されている。本発明の粘着剤層が両面粘着シートを構成する場合の各粘着面は、2枚のはく離ライナーによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているはく離ライナー1枚により、ロール状に巻回される形態(巻回体)で保護されていてもよい。はく離ライナーは粘着剤層の衝撃吸収性、粘着性の保護材として用いられ、使用する際に剥がされる。また、本発明の粘着剤層が基材レス粘着シートを構成する場合、はく離ライナーは粘着剤層の支持体としての役割も担う。
上記はく離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離層を有する基材などが挙げられる。上記剥離層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙などが挙げられる。
シリコーン系剥離剤は、付加反応型、縮合反応型、カチオン重合型、ラジカル重合型などの、公知のシリコーン系剥離剤が挙げられる。付加反応型シリコーン系剥離剤として市販されている製品には、例えば、KS-776A、KS-847T、KS-779H、KS-837、KS-778、KS-830(信越化学工業株式会社製)、SRX-211、SRX-345、SRX-357、SD7333、SD7220、SD7223、LTC-300B、LTC-350G、LTC-310(ダウ・東レ株式会社製)などが挙げられる。縮合反応型として市販されている製品には、例えば、SRX-290、SYLOFF-23(ダウ・東レ株式会社製)などが挙げられる。カチオン重合型として市販されている製品には、例えば、TPR-6501、TPR-6500、UV9300、VU9315、UV9430(モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製)、X62-7622(信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。ラジカル重合型として市販されている製品には、例えば、X62-7205(信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。また、これらの剥離剤に剥離性能の調整のために、シリコーンレジン(R3SiO1/2単位とSiO4/2単位からなるケイ素樹脂)やシリカ、エチルセルロースなどを添加しても良い。
長鎖アルキル基径剥離剤には、長鎖アルキル基含有アミノアルキッド樹脂、長鎖アルキル基含有アクリル樹脂、長鎖脂肪族ペンダント型樹脂(ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合物、ポリエチレンイミン、および水酸基含有セルロース誘導体からなる化合物群の中から選ばれる少なくとも1種の活性水素含有ポリマーと、長鎖アルキル基含有イソシアネートとの反応生成物)などの、公知の長鎖アルキル系剥離剤が挙げられる。硬化剤、紫外線開始剤を添加して硬化反応を行う剥離剤でもよいし、溶剤を揮発させて固化する剥離剤でもよい。
「長鎖アルキル基」としては、炭素数が8~30のアルキル基が好ましく、炭素数が10以上、12以上、18以下、24以下等でもよく、中でも直鎖状のアルキル基が好ましい。具体例としては、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、ドデシル基、トリデシル基、ミリスチル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、セチル基、パルミチル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ドコシル基等から選択される、1種又は2種以上のアルキル基が挙げられる。
長鎖アルキル系剥離剤として市販されている製品には、例えば、アシオ産業株式会社製アシオレジン(登録商標)RA-30、一方社油脂工業株式会社製ピーロイル(登録商標)1010、ピーロイル1010S、ピーロイル1050、ピーロイルHT、中京油脂株式会社製レゼムN-137、花王株式会社製エキセパール(登録商標)PS-MA、日立化成株式会社製テスファイン(登録商標)303等が挙げられる。
フッ素系剥離剤としては、パーフルオロアルキル基含有ビニルエーテルポリマーや、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレンなどのフッ素樹脂をバインダー樹脂中に分散させたコーティング剤などが挙げられる。
剥離剤は、必要に応じて、帯電防止剤、シランカップリング剤、滑剤などを含有しても良い。
プラスチックフィルムや紙の表面に、剥離剤層を形成するのは、公知の方法で行えばよい。具体的には、グラビアコーティング、メイヤーバーコーティング、エアーナイフコーティングなどの、公知の塗工方法を使用することができる。
はく離ライナーの厚さは、特に限定されず、5~100μmの範囲から適宜選択すればよい。
(別の粘着剤層)
本発明の粘着剤層は、前記粘着面とは反対側の面に別の粘着剤層が積層した粘着シートを構成してもよい。すなわち、本発明の粘着剤層は、2層構造の粘着剤層を有する基材レス両面粘着シートを構成してもよい。本発明の粘着剤層が、2層構造の粘着剤層を有する基材レス両面粘着シート基材レス両面粘着シートを構成することにより、例えば、本発明の粘着剤層が別の粘着剤層と共に、衝撃吸収性を制御することができる。また、別の粘着剤層を他の基板(キャリア基板)に固定することができ、作業性の観点から好ましい。
前記別の粘着剤層は、本発明の粘着剤層と同一の粘着剤で構成されていてもよく、本発明の粘着剤層と異なる粘着剤で構成されていてもよい。例えば、放射線硬化性粘着剤や加熱発泡型粘着剤などの粘着力低減可能型粘着剤層であることが好ましい。別の粘着剤層とキャリア基板との密着性が高い状態で電子部品を転写でき、また、その後に放射線照射や加熱により他の粘着剤層の粘着力を低下させてキャリア基板から容易に剥離することができるため、キャリア基板を容易に再利用でき、リワーク性に優れる観点から好ましい。
別の粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、1μm以上が好ましく、より好ましくは3μm以上である。厚みが一定以上であると、衝撃吸収性を制御しやくなり、また、キャリア基板に安定して固定しやすくなり、好ましい。また、別の粘着剤層の厚みの上限値は、特に限定されないが、450μm以下が好ましく、より好ましくは300μm以下である。厚みが一定以下であると、キャリア基板から剥離しやすくなり、リワーク性が向上し、好ましい。
(基材)
本発明の粘着剤層(別の粘着剤層との2層構造を含む)は、前記粘着面とは反対側の面に基材層が積層されている粘着シートを構成してもよい。すなわち、本発明の粘着剤層(別の粘着剤層との2層構造を含む)は基材付き粘着シートを構成していてもよい。本発明の粘着剤層が基材付き粘着シートを構成することにより、基材が支持体として機能し、電子部品を受け取る際の安定性や取り扱い性が向上する点で好ましい。
上記基材としては、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルムを好適に用いることができる。プラスチック基材の構成材料としては、電子部品を受け取る際の安定性や取り扱い性の観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニルスルフィド、アラミド、フッ素樹脂、セルロース系樹脂、およびシリコーン樹脂が挙げられ、ポリエステルフィルムが好ましい。ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ブテン共重合体、およびエチレン-ヘキセン共重合体が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。基材は、電子部品を受け取る際の安定性や取り扱い性の観点から、ポリエステルフィルムから形成されることが好ましい。基材は、一種類の材料からなってもよし、二種類以上の材料からなってもよい。基材は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。また、基材は、プラスチックフィルムよりなる場合、無延伸フィルムであってもよいし、一軸延伸フィルムであってもよいし、二軸延伸フィルムであってもよい。使用時に剥離されるはく離ライナーは「基材」には含まない。
上記基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、支持体として機能するための強度を確保するという観点からは、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上である。また、適度な可撓性を実現するという観点からは、基材の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは180μm以下である。なお、上記基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。また、上記基材の表面には、本発明の粘着剤層との密着性を高めるため、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
本発明の粘着剤層(別の粘着剤層との2層構造を含む)が基材付き粘着シートを構成する場合、前記基材層の粘着剤層が積層されていない面に、別の粘着剤層が積層されていてもよい。すなわち、本発明の粘着剤層(別の粘着剤層との2層構造を含む)は、基材付き両面粘着シートを構成してもよい。本発明の粘着剤層(別の粘着剤層との2層構造を含む)が基材付き両面粘着シートを構成することにより、基材が支持体として機能し、電子部品を受け取る際の安定性や取り扱い性が向上すると共に、別の粘着剤層を他の基板(キャリア基板)に固定することができ、作業性の観点から好ましい。
(粘着シートの製造方法)
本発明の粘着剤層を有する粘着シート(本明細書において、「本発明の粘着シート」と称する場合がある。)の製造方法は、本発明の樹脂組成物(粘着剤組成物)の組成などによって異なり、特に限定されず、公知の形成方法を利用することができるが、例えば、以下の(1)~(4)などの方法が挙げられる。
(1)上記樹脂組成物を基材上に塗布(塗工)して組成物層を形成し、該組成物層を硬化(例えば、熱硬化や紫外線などの活性エネルギー線照射による硬化)させて粘着剤層を形成して粘着シートを製造する方法
(2)上記樹脂組成物を、はく離ライナー上に塗布(塗工)して組成物層を形成し、該組成物層を硬化(例えば、熱硬化や紫外線などの活性エネルギー線照射による硬化)させて粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材上に転写して粘着シートを製造する方法
(3)上記樹脂組成物を、基材上に塗布(塗工)し、乾燥させて粘着剤層を形成して粘着シートを製造する方法
(4)上記樹脂組成物を、はく離ライナー上に塗布(塗工)し、乾燥させて粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材上に転写して粘着シートを製造する方法
上記(1)~(4)における製膜方法としては、生産性に優れるという点で、乾燥させて粘着剤層を形成させる方法が好ましい。
上記樹脂組成物を所定の面上に塗布(塗工)する方法としては、公知のコーティング方法を採用することがき、特に限定されないが、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などが挙げられる。
本発明の粘着シートの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、1μm以上が好ましく、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上である。厚みが一定以上であると、本発明の粘着剤層に電子部品が精度よく転写しやすくなり、好ましい。また、本発明の粘着シートの厚み(総厚み)の上限値は、特に限定されないが、500μm以下が好ましく、より好ましくは300μm以下である。厚みが一定以下であると、電子部品を精度よく他のキャリア基板や実装基板に転写しやすくなり、好ましい。なお、本発明の粘着シートの厚みには、はく離ライナーの厚みは含めないものとする。
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層を有するため、優れた衝撃吸収性を示す。例えば、上記の鉄球落下試験における衝撃吸収率(%)は10%以上であり、好ましくは15%以上であり、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、又は40%以上であってもよい。
衝撃吸収率(%)は、上記の鉄球落下試験機にて、上記条件で衝撃を加えた際の衝撃荷重Fを計測し、以下の式より求める。
衝撃吸収率(%)={(S0-S1)/S0}×100
(上記式において、S0は粘着シートを貼着せず、SUS板のみに鉄球を衝突させた時の衝撃荷重のことであり、S1はSUS板と粘着シートとからなる構造体の粘着シート上に鉄球を衝突させた時の衝撃荷重のことである)
(電子部品の加工方法)
本発明の粘着シートは、電子部品の加工方法(電子部品の加工用途)に用いられる。より具体的には、本発明の粘着シートは、仮固定材(基板、もしくは粘着シート)上に配置された電子部品を本発明の粘着剤層で受け取るために好ましく使用される。本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層を有するため、電子部品などの粘着剤層への衝突による衝撃を十分に吸収でき、衝突時の電子部品の跳ねによる位置ずれや裏返りなどを抑制できる。また、本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層を有するため、受け取った電子部品の搬送時に、電子部品の脱落や位置ずれを抑制することができる。
本発明の粘着シートを上記電子部品の加工用途に使用する場合、前記仮固定材の電子部品が配置された面と、本発明の粘着シートの粘着剤層の粘着面とが対向して、隙間を設けて配置されることが好ましい。当該構成は、前記仮固定材と本発明の粘着シートとの位置関係を制御することができ、電子部品を粘着シートの所望の位置に配置できる点で好ましい。
本発明の電子部品の加工方法は、仮固定材上に配置された電子部品を本発明の粘着シートの粘着剤層の粘着面で受け取る工程(第1工程)を含む。本発明の電子部品の加工方法において、本発明の粘着シートは、電子部品などの粘着剤層への衝突による衝撃を十分に吸収でき、衝突時の電子部品の跳ねによる位置ずれや裏返りなどを抑制できる。
本発明の電子部品の加工方法において、前記仮固定材上に電子部品が配置された面と、本発明の粘着シートの粘着剤層の粘着面とが対向して、隙間を設けて配置されることが好ましい。当該構成は、前記仮固定材と本発明の粘着シートとの位置関係を制御することができ、電子部品を粘着シートの所望の位置に配置できる点で好ましい。
本発明の電子部品の加工方法は、さらに、前記粘着シート上の電子部品を、他の粘着シート又は他の基板上に配置する工程(第2工程)と、及び、前記粘着シートの粘着剤層の粘着面上から、電子部品を剥離する工程(第3工程)とを含むことが好ましい。本発明の電子部品の加工方法は、第2工程及び第3工程を含むことにより、効率的に電子部品を移載することができる。
本発明の電子部品の加工方法の実施形態について、図面を参照して以下に説明するが、本発明の電子部品の加工方法は当該実施形態に限定されるものではない。図5は、図3に示す粘着シート3を用いた本発明の電子部品の加工方法の一実施形態における第1工程を表す断面模式図である。
本実施形態において、本発明の電子部品の加工方法の第1工程は、粘着シート3のはく離ライナーR1を剥離して、粘着面30aを露出させ(図5(a)参照)、仮固定材50に配置された電子部品51(図5(b)参照)を分離して、粘着シート3の粘着剤層30の粘着面30aで受け取る工程である(図5(c)、(d)参照)。
図5(a)において、粘着シート3のはく離ライナーR1を剥離して、粘着剤層30の粘着面30aを露出させる。はく離ライナーR1の粘着面30aと接する面には、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系等の剥離剤による剥離層が形成されている(図示略)。剥離層に含まれる剥離剤の一部は、粘着剤層30に移行している。
図5(b)において、仮固定材50の片面に複数の電子部品51が配置されている。仮固定材50を構成する材料は特に限定されず、上記のプラスチックフィルムやガラス基板が挙げられる。また、仮固定材50は粘着シートであってもよく、その場合、電子部品51は粘着シートの粘着面上に配置されていてもよい。仮固定材50は放射線透過性の材料で構成されることが好ましい。
仮固定材50の片面に電子部品51を配置する方法は、特に限定されず、例えば、上記の粘着力低減可能型粘着剤層を介して電子部品51を配置することが挙げられる。その場合、粘着力低減可能型粘着剤層に放射線を照射するか、加熱することにより、仮固定状態を解除することができる。本実施形態では、電子部品51は、上記の放射線硬化性粘着剤層(図示略)を介して仮固定材50に配置されている。
本実施形態では、仮固定材50の片面に複数の電子部品51が配置されている。本実施形態では、上記電子部品51のサイズは、例えば、1μm2~250000μm2である。本発明の電子部品の加工方法によれば、このような小型の電子部品を効率的に移載することができる。
本実施形態では、仮固定材50の電子部品51が配置された面を下方に向けて配置し、粘着シート3の粘着剤層30の粘着面30aを上方に向けて配置し、仮固定材50の電子部品51が仮固定された面と、粘着シート3の粘着剤層30の粘着面30aとが対向して、隙間dを設けて配置される。隙間dを設けることにより、仮固定材50と粘着シート3との位置関係を制御することができ、電子部品51を粘着シート3の所望の位置に配置できる。隙間dの間隔は、特に限定されないが、例えば、1~1000μm程度である。
本実施形態では、粘着剤層30は、本発明の粘着剤層から形成されるものであり、衝撃吸収性を有する。また、粘着シート3の粘着剤層30が形成されていない面は、別の粘着剤層が積層されていてもよく、その場合、別の粘着剤層を介してその他の基板に固定されていてもよい(図示略)。
本実施形態では、仮固定材50の側から電子部品51にレーザー光Lを照射して電子部品51の仮固定状態を解除して、電子部品51を仮固定材50から分離する。より詳細には、電子部品51が接触している部分の仮固定材50にレーザー光Lが照射されると粘着力が低下して、電子部品51を仮固定材50から剥離することにより、分離される。レーザー光Lは複数の電子部品51に個別に照射してもよく、一部に照射してもよく、全ての電子部品51に一括して照射してもよく、掃引することにより照射してもよい。本実施形態では、複数の電子部品51の一部に照射するものである。
図5(c)において、仮固定材50から分離された電子部品51は、粘着シート3に向かって落下し、粘着剤層30の粘着面30aで受け取られる。粘着剤層30は、本発明の粘着剤層で構成されており、優れた衝撃吸収性を示すため、電子部品の衝突による衝撃を吸収して破損を防ぎ、電子部品の位置ずれや裏返りを抑制できる。
図5(d)、(e)において、仮固定材50に配置された別の電子部品51にレーザー光Lを照射して分離、落下させ、粘着剤層30の粘着面30aに受け取らせる(転写する)。本実施形態では、図5(b)においてレーザー光Lを照射した電子部品51の隣の電子部品51にレーザー光Lを照射する。
図5(d)、(e)において、仮固定材50と粘着シート3の位置関係は、図5(b)と同じであってもよく、位置関係をずらしたものであってもよい。本実施形態では、粘着シート3に対して仮固定材50を図5の右方向に所定間隔ずらしてから、レーザー光Lを照射する。これにより、所望のピッチに制御して電子部品51を粘着シート3の粘着剤層30に配置することができる。
図5(f)において、図5(d)、(e)に示す工程を繰り返すことにより、全ての電子部品51が粘着剤層30に受け取られた形態を示す。本実施形態において、電子部品51は所望のピッチを設けて配列されている。
図5(b)~(e)の工程中、及び図5(f)の状態の保管中、粘着剤層30の粘着面30aは、大気環境下に曝露される。粘着面30aが大気環境下に曝露されると、はく離ライナーR1の粘着面30aと接する面に形成された剥離層から粘着剤層30に移行した剥離剤が、粘着面30aにブリードアウトしてくると考えられる。粘着面30aに剥離剤がブリードアウトしてくると、粘着面30aの濡れ性、粘着性が経時的に低下して、電子部品51を保持する能力が低下し、粘着剤層30に保持された状態の電子部品51を搬送したり、次工程に供する際に、電子部品51の脱落や位置ずれ等の不具合が生じ得る。
粘着剤層30は、本発明の粘着剤層で構成されており、粘着剤層30に移行した剥離剤は、粘着剤層30内で移動が抑制されており、粘着面30aへのブリードアウトが抑制されている。従って、大気環境下での粘着面30aの濡れ性、粘着性の経時的低下が抑制されて、粘着剤層30に保持された状態の電子部品51を搬送したり、次工程に供する際に、電子部品51の脱落や位置ずれ等の不具合を抑制することができる。
図6は、図3に示す粘着シート3を用いた本発明の電子部品の加工方法の一実施形態における第2工程及び第3工程を表す断面模式図である。
図6(a)に示すように、他の粘着シート又は基板60に対向、離間して、粘着シート3の粘着剤層30の粘着面30a上に配列された電子部品51を配置する。60が粘着シートの場合、基板60の粘着シート3に対向する面61は粘着面であり、60が実装基板の場合、面61は回路面である。
図6(a)において、図5(f)の状態の電子部品51は、反転して、基板60の面61に対向して下向きに配置される。粘着剤層30は本発明の粘着剤層で構成されているため、大気環境下での粘着面30aの濡れ性、粘着性の経時的低下が抑制されている、従って、図6(a)の形態に電子部品51が搬送されて、下向きに配置されたとしても、粘着剤層30の粘着面30aの電子部品51は、脱落や位置ずれすることなく、保持は維持されている。
次に、図6(b)に示すように、他の粘着シート又は基板60の面61と粘着シート3の粘着剤層30の粘着面30a上に配列された電子部品51を近接させて、電子部品51と面61を接触させることにより、電子部品51を他の粘着シート又は基板60の面61に配置することができる。
次に、粘着剤層30が放射線硬化性粘着剤から形成される場合は、図6(c)に示すように、粘着シート3の基材S1側から電子部品51に紫外線Uを照射する。紫外線Uにより、放射線硬化性粘着剤から形成される粘着剤層30は硬化して粘着力が低下して、電子部品51は剥離可能になる。紫外線Uは全ての電子部品51に照射してもよく、必要に応じてマスク等をして一部の電子部品51に照射してもよい。本実施形態は、全ての電子部品51に紫外線Uを照射する。
次に、図6(d)に示すように、粘着シート3と他の粘着シート又は基板60を離間させることにより、粘着シート3の粘着剤層30の粘着面30a上から電子部品51が剥離することができ、それと同時に、他の粘着シート又は基板60の面61へ転写される。粘着剤層30を構成する放射線硬化性粘着剤は、紫外線Uにより硬化して粘着力が低下しているため、電子部品51を容易に剥離して、他の粘着シート又は基板60の面61へ転写して、配置することができる。粘着シート3の粘着剤層30上の電子部品51配置パターンが維持された状態で、面61へ転写、配置される。
図5、6において、粘着シート3に替えて、図1、2、4に示される粘着シート1、2、4を用いて、同様に電子部品の加工方法を実施することができる。その場合、粘着シート1、2、4のはく離ライナーR2を剥離して、ガラス板などで形成されたキャリア基板に固定して使用することが好ましい。
実装基板上への実装する電子部品としては、特に限定されないが、微細で薄型の半導体チップやLEDチップに好適に使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[製造例1]アクリルポリマーAの製造
トルエン中に、2-エチルヘキシルアクリレート100重量部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート12.6重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.25重量部とを加えた後、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、これにメタクリロイルオキシエチルイソシアネート13.5重量部を加えて付加反応させることで、炭素ッ炭素二重結合を有するアクリル系共重合体(アクリルポリマーA)のトルエン溶液を得た。
[製造例2]アクリルポリマーBの製造
トルエン中に、2-エチルヘキシルアクリレート100重量部と、アクリル酸2重量部と、トリメチロールプロパントリアクリレート0.01重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.2重量部とを加えた後、70℃に加熱してアクリル系共重合体(アクリルポリマーB)のトルエン溶液を得た。
[実施例1]
(粘着剤の調製)
アクリルポリマーAを100重量部含むアクリル系ポリマー溶液Aに、架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」)3重量部、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤(BASFジャパン製、商品名「イルガキュア127」、分子量:340.4、波長365nmの吸光係数:1.07×102ml/g・cm)3重量部を加え粘着剤を得た。
(粘着シート)
はく離ライナー1(株式会社フジコー製、商品名「PET-75-SCA1」、厚み:75μm)の離型処理面に上記の粘着剤を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが50μmとなるように塗布して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の粘着面をはく離ライナー2(東レ株式会社製、商品名「セラピールMDA」、厚さ:38μm)で保護して、(はく離ライナー1/粘着剤層/はく離ライナー2)からなる粘着シートを得た。
[実施例2]
溶剤揮発(乾燥)後の粘着剤層の厚みを100μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、(はく離ライナー1/粘着剤層/はく離ライナー2)からなる粘着シートを得た。
[実施例3]
溶剤揮発(乾燥)後の粘着剤層の厚みを150μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、(はく離ライナー1/粘着剤層/はく離ライナー2)からなる粘着シートを得た。
[実施例4]
(粘着剤の調製)
アクリルポリマーBを100重量部含むアクリル系ポリマー溶液Bに、架橋剤(三菱ガス化学株式会社製、商品名「テトラッドC」)2重量部を加え粘着剤を得た。
(粘着シート)
はく離ライナー1(株式会社フジコー製、商品名「PET-75-SCA1」、厚み:75μm)の離型処理面に上記の粘着剤を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが50μmとなるように塗布して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の粘着面をはく離ライナー2(東レ株式会社製、商品名「セラピールMDA」、厚さ:38μm)で保護して、(はく離ライナー1/粘着剤層/はく離ライナー2)からなる粘着シートを得た。
[実施例5]
(粘着剤1の調製)
アクリルポリマーBを100重量部含むアクリル系ポリマー溶液Bに、架橋剤(三菱ガス化学(株)製、商品名「テトラッドC」)2重量部を加え粘着剤1を得た。
(粘着剤2の調製)
アクリルポリマーAを100重量部含むアクリル系ポリマー溶液Aに、架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」)0.2重量部、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤(BASFジャパン製、商品名「イルガキュア127」、分子量:340.4、波長365nmの吸光係数:1.07×102ml/g・cm)3重量部を加え粘着剤2を得た。
(粘着シート)
はく離ライナー2(東レ株式会社製、商品名「セラピールMDA」、厚さ:38μm)の離型処理面に上記の粘着剤1を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが10μmとなるように塗布して粘着剤層1を形成した。
次いで、はく離ライナー1(株式会社フジコー製、商品名「PET-75-SCA1」、厚み:75μm)の離型処理面に上記の粘着剤2を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが50μmとなるように塗布して粘着剤層2を形成した。
上記で得られた粘着剤層1と粘着剤層2の粘着面同士が接触するように貼り合わせ、(はく離ライナー2/粘着剤層1/粘着剤層2/はく離ライナー1)からなる粘着シートを得た。
[実施例6]
溶剤揮発(乾燥)後の粘着剤層1の厚みを20μmとしたこと以外は、実施例5と同様にして、(はく離ライナー2/粘着剤層1/粘着剤層2/はく離ライナー1)からなる粘着シートを得た。
[実施例7]
(粘着剤の調製)
シリコーンポリマーC(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SD4600FC」)100重量部含むシリコーン系ポリマー溶液Cに、架橋剤(ダウ・東レ株式会社製、商品名「BY 24-741」)1.0重量部、白金触媒(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SRX212Catalyst」)0.9重量部を加え粘着剤を得た。
(粘着シート)
はく離ライナー3(三菱ケミカル株式会社製、商品名「MRS#50」、厚み:50μm)の離型処理面に上記の粘着剤を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが50μmとなるように塗布して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の粘着面をはく離ライナー4(株式会社フジコー製、商品名「SK1U」、厚さ:38μm)で保護して、(はく離ライナー3/粘着剤層/はく離ライナー4)からなる粘着シートを得た。
[実施例8]
(粘着剤の調製)
シリコーンポリマーC(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SD4600FC」)100重量部、シリコーンポリマーD(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SE1700」)30重量部含むシリコーン系ポリマー溶液Dに、架橋剤(ダウ・東レ株式会社製、商品名「BY 24-741」)1.0重量部、架橋剤(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SE1700Catalyst」)3重量部、白金触媒(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SRX212Catalyst」)0.9重量部を加え粘着剤を得た。
(粘着シート)
はく離ライナー3(三菱ケミカル株式会社製、商品名「MRS#50」、厚み:50μm)の離型処理面に上記の粘着剤を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが50μmとなるように塗布して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の粘着面をはく離ライナー4(株式会社フジコー製、商品名「SK1U」、厚さ:38μm)で保護して、(はく離ライナー3/粘着剤層/はく離ライナー4)からなる粘着シートを得た。
[比較例1]
(粘着剤の調製)
アクリルポリマーAを100重量部含むアクリル系ポリマー溶液Aに、架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」)0.2重量部、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤(BASFジャパン製、商品名「イルガキュア127」、分子量:340.4、波長365nmの吸光係数:1.07×102ml/g・cm)3重量部を加え粘着剤を得た。
(粘着シート)
はく離ライナー1(株式会社フジコー製、商品名「PET-75-SCA1」、厚み:75μm)の離型処理面に上記の粘着剤を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが30μmとなるように塗布して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の粘着面をはく離ライナー2(東レ株式会社製、商品名「セラピールMDA」、厚さ:38μm)で保護して、(はく離ライナー1/粘着剤層/はく離ライナー2)からなる粘着シートを得た。
[比較例2]
溶剤揮発(乾燥)後の粘着剤層の厚みを50μmとしたこと以外は、比較例1と同様にして、(はく離ライナー1/粘着剤層/はく離ライナー2)からなる粘着シートを得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)接触角
実施例及び比較例で得られた粘着シートのはく離ライナー(実施例1~4は、はく離ライナー2、実施例5、6は、はく離ライナー1、実施例7、8は、はく離ライナー4、比較例1、2は、はく離ライナー2)を剥離し、曝露された粘着剤層面を、スライドガラス(松波ガラス工業株式会社製、26mm×76mm)に、2kgハンドローラーを用いて貼着した。
上記のようにして得られた評価用試料の評価面のはく離ライナー(実施例1~4は、はく離ライナー1、実施例5、6は、はく離ライナー2、実施例7、8は、はく離ライナー3、比較例1、2は、はく離ライナー1)を剥離した直後に、曝露された該粘着剤層面の接触角を、接触角計(協和界面科学株式会社製、商品名「CX-A型」)を用いて、該粘着剤層表面に水を2μL滴下して5秒後の値を計測した。測定は、N=5で実施し、これら測定値の平均値を初期接触角θ1とした。
また、曝露2時間後の接触角は、上記のようにして得られた評価用試料の評価面のはく離ライナー(実施例1~4は、はく離ライナー1、実施例5、6は、はく離ライナー2、実施例7、8は、はく離ライナー3、比較例1、2は、はく離ライナー1)を剥離し、曝露された該粘着剤層表面を大気環境下で2時間曝露した後に、上記同様の条件により曝露2時間後の接触角θ2を測定した。
接触角の変位R(°)を次式により求めた。

変位R(°)=θ2-θ1
(2)鉄球落下試験(沈み込み量/厚さ)
実施例及び比較例で得られた粘着シート(幅30mm×長さ30mm)のはく離ライナー(実施例1~4は、はく離ライナー2、実施例5、6は、はく離ライナー1、実施例7、8は、はく離ライナー4、比較例1、2は、はく離ライナー2)を剥離し、曝露された粘着剤層面の全面を、両面接着テープ(日東電工株式会社性、商品名「No.5600」)を介して、SUS板(厚さ5mm)に、2kgハンドローラーを用いて貼着した。
上記のようにして得られた評価用試料の評価面のはく離ライナー(実施例1~4は、はく離ライナー1、実施例5、6は、はく離ライナー2、実施例7、8は、はく離ライナー3、比較例1、2は、はく離ライナー1)を剥離し、曝露された該粘着剤層面に、落球試験機を用いて、1gの鉄球を高さ1mから自由落下させた。該鉄球による粘着剤層面への沈み込み量を、共焦点レーザー顕微鏡により計測した。次に、該沈み込み量(μm)を粘着剤層(実施例5、6では、粘着剤層1、粘着剤層2の合計)の厚さ(μm)で割り、単位厚さ当たりの値(沈み込み量/厚さ×100)(%)を求めた。
(3)粘着力(対SUS304)
実施例及び比較例で得られた粘着シート(幅30mm×長さ30mm)のはく離ライナー(実施例1~4は、はく離ライナー2、実施例5、6は、はく離ライナー1、実施例7、8は、はく離ライナー4、比較例1、2は、はく離ライナー2)を剥離し、曝露された粘着剤層面の全面に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、商品名「ルミラーS10」、厚み:50μm)を貼着した。次いで、評価面のはく離ライナー(実施例1~4は、はく離ライナー1、実施例5、6は、はく離ライナー2、実施例7、8は、はく離ライナー3、比較例1、2は、はく離ライナー1)を剥離し、曝露された粘着剤層面をSUS304に貼着した直後の粘着シートの初期粘着力F0を、JIS Z 0237:2000に準じた方法(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°、測定温度:23℃)により、測定した。
また、評価面の粘着剤層面をSUS304に貼着した粘着シートの粘着剤層全面に紫外線照射装置(日東精機株式会社製、商品名「UM-810」)を用いて、高圧水銀灯の紫外線(特定波長:365nm、積算光量:460mJ/cm2)を照射し、上記と同様にして、放射線照射後粘着力F1を測定した。
放射線照射時粘着力の変化率(%)を次式により求めた。

放射線照射時粘着力の変化率(%)=(F0-F1)/F0×100
(4)プローブタック値
実施例及び比較例で得られた粘着シート(幅20mm×長さ50mm)の剥離ライナー(実施例1~4は、はく離ライナー2、実施例5、6は、はく離ライナー1、実施例7、8は、はく離ライナー4、比較例1、2は、はく離ライナー2)を剥離し、曝露された粘着剤層面の全面を、両面接着テープ(日東電工株式会社、商品名「No.5600」)を介して、スライドガラス(松浪ガラス工業株式会社製、26mm×76mm)に、2kgハンドローラーを用いて貼着した。
上記のようにして得られた評価用試料の評価面のはく離ライナー(実施例1~4は、はく離ライナー1、実施例5、6は、はく離ライナー2、実施例7、8は、はく離ライナー3、比較例1、2は、はく離ライナー1)を剥離した直後に、曝露された該粘着剤層面のプローブタック値を、プローブタック測定機(RHESCA社製、商品名「TACKINESS Model TAC-II」)を用いて、5mmΦのSUS製のプローブ端子にて、プローブ下降速度(Immersion speed):120mm/min、テスト速度(test speed):600mm/min、密着荷重(Prelod):20gf、密着保持時間(press time):1秒の条件で計測した。測定はN=5で実施し、これら測定値の平均値を初期プローブタック値P0(N/cm2)とした。
また、曝露2時間後のプローブタック値は、上記のようにして得られた評価用試料の評価面のはく離ライナー(実施例1~4は、はく離ライナー1、実施例5、6は、はく離ライナー2、実施例7、8は、はく離ライナー3、比較例1、2は、はく離ライナー1)を剥離し、曝露された該粘着剤層表面を大気環境下で2時間曝露した後に、上記同様の条件にて、曝露2時間後プローブタック値P1(N/cm2)を計測した。
プローブタック値の変化率(%)を次式により求めた。

プローブタック値の変化率(%)=(P1-P0)/P0×100

また、以下の評価基準で電子部品の搬送性を評価した。

〇(搬送性良好):プローブタック値の変化率が-14%超
×(搬送性良好):プローブタック値の変化率が-14%以下
Figure 2023044526000002
上記で説明した発明のバリエーションを以下に付記する。
〔付記1〕はく離ライナーで粘着面が保護された粘着剤層を形成するための樹脂組成物であって、
下記条件T1、T2における前記粘着面に対する水の接触角θ1、θ2の変位Rが5°以下である、樹脂組成物。
1:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離した直後
2:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離し、前記粘着面を大気環境下で2時間曝露後
θ1:T1での前記粘着面の水接触角(°)
θ2:T2での前記粘着面の水接触角(°)
変位R(°)=θ2-θ1
〔付記2〕前記粘着剤層が、仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために使用される、付記1に記載の樹脂組成物。
〔付記3〕前記粘着剤層が、仮固定材上に電子部品が配置された面と対向して隙間を設けて配置され、電子部品を受け取るために使用される、付記1又は2に記載の樹脂組成物。
〔付記4〕前記粘着剤層の前記粘着面に対する下記条件の鉄球落下試験による粘着剤層の沈み込み深さの前記粘着剤層の厚さに対する割合(沈み込み深さ/厚さ×100)が、15%以上である、付記1~3のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
鉄球落下試験:1gの鉄球を高さ1mから粘着面に自由落下させる。
〔付記5〕前記粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での初期粘着力F0と、放射線照射後の前記粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での粘着力F1において、下記式で示される放射線照射時粘着力の変化率が95%以下である、付記1~4のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

放射線照射時粘着力の変化率(%)=(F0-F1)/F0×100
〔付記6〕前記粘着剤層の厚みが、1μm以上500μm以下である、付記1~5のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
〔付記7〕アクリル系粘着剤組成物である、付記1~6のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
〔付記8〕前記粘着剤層が、前記粘着面とは反対側の面に別の粘着剤層が積層されている、付記1~7のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
〔付記9〕前記粘着剤層が、前記粘着面とは反対側の面に基材層が積層されている、付記1~8のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
〔付記10〕前記基材層の前記粘着剤層が積層されていない面に、別の粘着剤層が積層されている、付記9に記載の樹脂組成物。
〔付記11〕前記基材層が、ポリエステルフィルムから形成される、付記9又は10に記載の樹脂組成物。
〔付記12〕付記1~11のいずれか1つに記載の樹脂組成物により形成される粘着剤層。
〔付記13〕付記12に記載の粘着剤層を有する粘着シート。
1 粘着シート
10 粘着剤層
R1、R2 はく離ライナー
2 粘着シート
20、21 粘着剤層
3 粘着シート
30 粘着剤層
S1 基材
4 粘着シート
40、41 粘着剤層
50 仮固定材(基板もしくは粘着シート)
51 電子部品
60 粘着シート又は基板

Claims (13)

  1. はく離ライナーで粘着面が保護された粘着剤層を形成するための樹脂組成物であって、
    下記条件T1、T2における前記粘着面に対する水の接触角θ1、θ2の変位Rが5°以下である、樹脂組成物。
    1:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離した直後
    2:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離し、前記粘着面を大気環境下で2時間曝露後
    θ1:T1での前記粘着面の水接触角(°)
    θ2:T2での前記粘着面の水接触角(°)
    変位R(°)=θ2-θ1
  2. 前記粘着剤層が、仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために使用される、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記粘着剤層が、仮固定材上に電子部品が配置された面と対向して隙間を設けて配置され、電子部品を受け取るために使用される、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記粘着剤層の前記粘着面に対する下記条件の鉄球落下試験による粘着剤層の沈み込み深さの前記粘着剤層の厚さに対する割合(沈み込み深さ/厚さ×100)が、15%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    鉄球落下試験:1gの鉄球を高さ1mから粘着面に自由落下させる。
  5. 前記粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での初期粘着力F0と、放射線照射後の前記粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での粘着力F1において、下記式で示される放射線照射時粘着力の変化率が95%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。

    放射線照射時粘着力の変化率(%)=(F0-F1)/F0×100
  6. 前記粘着剤層の厚みが、1μm以上500μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. アクリル系粘着剤組成物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記粘着剤層が、前記粘着面とは反対側の面に別の粘着剤層が積層されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記粘着剤層が、前記粘着面とは反対側の面に基材層が積層されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記基材層の前記粘着剤層が積層されていない面に、別の粘着剤層が積層されている、請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 前記基材層が、ポリエステルフィルムから形成される、請求項9又は10に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の樹脂組成物により形成される粘着剤層。
  13. 請求項12に記載の粘着剤層を有する粘着シート。
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